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1954-03-11 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十一日(木曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 長谷川 峻君 理事 中野 四郎君    理事 山田 長司君 理事 小林  進君       天野 公義君    鍛冶 良作君       田中 角榮君    原田  憲君       山中 貞則君    久保田鶴松君       古屋 貞雄君    杉村沖治郎君       矢尾喜三郎君  委員外出席者         証     人         (前保全経済会         理事長室監査課         長)      神崎 賢二君     ————————————— 本日の会議に付した事件  保全経済会等特殊利殖機関に関する件     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまより会議を開きます。  前会に引続き保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして調査を進めます。  ただちに証人より証言を求めることにいたします。ただいまお見えになつておられる方は神崎賢二さんですね。
  3. 神崎賢二

    神崎証人 そうです。
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 あらかじめ文書をもつて承知通り、正式に証人として決定いたしましたからさよう御了承願います。  これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は、全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務運営についてはとかくの風評があつたのでありますが、昨年十月二十四日突如として全国一齊に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情については世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうか監察し、もつて立法その他国政の審議に資するため行政運営上障害なつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知なつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います     〔証人神崎賢二朗読〕    宣誓書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。
  7. 田渕光一

    田渕委員 ちよつと、証言に入る前に伺つておきたいことがあるのですが、おとといでしたか、証人松本君の証言を求めるときに、この証人かどうかは小林進君が来るとわかるのでありますが、当委員会入口におつて、つぶさに松本証人に対する尋問を聞いておつた証人の記章をつけておつた人がおつたということですが、神崎君は、この松本君の証言中この委員会入口におられましたかどうですか、ちよつと伺つておきます。一ぺん委員長から聞いてみてください。
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 何か、おととい、この委員会を傍聴されておつたのですか。
  9. 神崎賢二

    神崎証人 いいえ、私は傍聴はしておりませんです。ただ、委員会の方から、もうしばらくで終りそうであるから、表のドアの前で待つていてもらいたいということを言われまして、表に待つておりました。
  10. 塚原俊郎

    塚原委員長 それは何時ごろですか。
  11. 神崎賢二

    神崎証人 時間は忘れましたが、五時過ぎだと思います。
  12. 田渕光一

    田渕委員 委員部のだれがそういうことをしたのですか。委員会終つてから連れて来ればいいじやないですか。それを、六時十五分に終つたのだから、一時間以上も何しておつたのですね。だれが連れて来たのですか。これは将来の証人のことにも関係があるのです。少くとも証人の控室というものが設けてあるわけだから、そこから出すわけはないはずだ。どういうわけでそういうことをやつたのか、委員長からあとで調べておいてもらいたいと思います。将来の運営上そういうことはよろしくありません。気をきかすこともよいが、委員会が何時に終るか、ときには十二時までかかるかわからないのに、そういうようなことを委員部でかつてにとりはからつて証人を連れて来るというようなことはよくありませんから、将来のために一言申し上げておくが、委員長の方からもなお注意を与えていただきたいと思います。
  13. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまの田渕君の御発言はまことにごもつともと思います。委員長手元においてその間の事情をよく調査いたしまして、今後そういうことの絶対ないように注意いたします。
  14. 田渕光一

    田渕委員 それから、もう一点証人に聞いておいてもらいたいことは、松本君に証言を求めておるときに、その内容を大体どの程度まで知つてつたかということを証人に聞いておいてもらわないと、その点について関連して来ますから、委員長から証人に聞いてもらいたい。
  15. 塚原俊郎

    塚原委員長 神崎君に私から最初にお尋ねします。今委員の諸君からもいろいろ御注意があつたのをお聞きでしようが、ここに証人としておいでになる前に、この前の証人として呼びました松本君との間に何か御相談をなさつたようなことがございますか。
  16. 神崎賢二

    神崎証人 ございません。
  17. 塚原俊郎

    塚原委員長 この前の委員会を約一時間くらいそこのドアの外でお聞きになつたというお話ですが、松本君の証言並びに委員質問というようなものはあなたとして十分お聞き取りになつたでしようか。
  18. 神崎賢二

    神崎証人 十分には聞いておりませんが、多少は漏れて来る言葉を聞いたことはあります。
  19. 塚原俊郎

    塚原委員長 それから、あなたと松本君は、同じ会社におられたのですから、もちろん仲がいいと思いますが、松本君が退出されたあと今日までの間相当時間がありますが、どういうことを聞いたのかとか、あるいはどういうふうに答えたらいいのだというようなことでお打合せになつたようなことはありますかどうか、その点をまたあらためてお聞きいたします。
  20. 神崎賢二

    神崎証人 打合せたことはありません。
  21. 塚原俊郎

    塚原委員長 ありませんか。あとなつ打合せたということになりますと、また問題になるのですが、いま一度お聞きしますが、ございませんか。
  22. 神崎賢二

    神崎証人 一緒には帰りましたが、打合せるとか、内容に関してつぶさに聞くというようなことはありません。
  23. 塚原俊郎

    塚原委員長 つぶさにというと、なかなか意味がありますが、どうなのですか。その辺のところをはつきりしてください。ただ一緒に同道して帰つたというだけですか。
  24. 神崎賢二

    神崎証人 一緒に帰りまして食事をいたしました。
  25. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは、お打合せをなさらぬという言葉は御訂正なさつた方がいいのじやないですか。
  26. 神崎賢二

    神崎証人 打合せというのがどういうことか私にはわかりませんが、どんな模様だつたということは聞いたことはあります。
  27. 田渕光一

    田渕委員 松本証人は徹頭徹尾伊藤を尊敬し、りつぱな人物だ、こう言つて、当日の証言では当委員会の求めることを言うておらぬのです。しかも、あなたは松本証人と二人で、ほくが降りるときに、この正門から出たでしよう。ぼくはちやんと知つておる。そこで、もう一つ聞いておくのだが、入口のそこにいすを持つて来てもらつて、あなたがかけて聞いておつたかどうか。
  28. 神崎賢二

    神崎証人 私は、最初そこに参りまして立つてつておりましたら、いすを持つて来てかけていてくれ、こう言われまして、かけておりました。
  29. 田渕光一

    田渕委員 済まぬけれども、ここにいる委員部のどの人だか、ちよつとそういうことをした人を教えてくれませんか。
  30. 塚原俊郎

    塚原委員長 先ほども私から申し上げましたように、その間に大分不都合の点もあつた委員長は認めておりまするので、十分注意いたしまして、そういうことの絶対ないように注意いたします。よく調べてから御報告いたします。
  31. 小林進

    小林(進)委員 議事進行について発言をいたします。これは今の問題とは問題が違いますが、実は一昨日の委員会でも最初に御質問申し上げようと思つてつたのを、つい私の出席がおそくてそのままになつたのであります。それは、この前の理事会で決定いたしました事項で、いわゆる決算委員長田中影治君が決算委員会でわが行政監察委員会をやや侮辱、軽侮するような発言があつたことについて、理事会を開きまして、この問題については次回の委員会田中君の出席を請うて正式におわびさせる、こういう理事会申合せがあつたはずでありますが、一昨日の委員会でとうとうその行事がなされなかつたのであります。どんなぐあいになつておるか。
  32. 塚原俊郎

    塚原委員長 お答えいたします。小林君は出席が遅れたためにそういう御発言をなさるのじやないかと思いますが、私は当日冒頭に申し上げました。その趣旨を申し上げますと、一昨日のその前の日の決算委員会において田中決算委員長冒頭においてあの言葉を取消したといういきさつを申し上げると同時に、その日脳貧血のために倒れまして、翌日五日間の請暇願を出して病気療養中であるから、本日は出頭することができないということを冒頭に申し上げまして、会議に入つたわけでございます。あなたの御出席が遅れたためでありまするから、今後はどうぞ定刻にお出かけください。  神崎君にお尋ねいたします。保全経済会に入社されるまでの神崎君の略歴について簡単にお述べを願います。
  33. 神崎賢二

    神崎証人 私は、昭和二十四年に中央大学を卒業しまして、それから父の手伝いをいたしました。それから二十六年の一月二十三日に保全経済会に入社いたしました。
  34. 塚原俊郎

    塚原委員長 お父さんのお仕事手伝いといいますと、どういう仕事つたのですか。
  35. 神崎賢二

    神崎証人 お答えします。父親は時計並びに貴金属の卸を営業いたしております。その手伝いをいたしておりました。
  36. 塚原俊郎

    塚原委員長 二十六年の一月三十日に入社されたのですね。
  37. 神崎賢二

    神崎証人 一月二十三日だつたと思います。
  38. 塚原俊郎

    塚原委員長 入社されてからどういう仕事をなさつていましたか。あなたは最後は監査課長ですね。最初から監査課長なのですか。
  39. 神崎賢二

    神崎証人 違います。
  40. 塚原俊郎

    塚原委員長 その経過を説明してください。
  41. 神崎賢二

    神崎証人 お答えいたします。入りました当時は見習いとして入社いたしまして、最初のうちは部課制度はしかれておりませんで、何課何係というような仕事には携わつておりません。二十六年の三月ごろに部課制度がしかれ、主計課勤務になりまして、四月ごろ主計課主任を命ぜられました。その年の十二月だつたと思いますが、監査課が初めてできまして、監査課主任を命ぜられ、二十八年の十月に監査課長を命ぜられました。二十九年一月十三日に退職いたしました。
  42. 塚原俊郎

    塚原委員長 監査課長というのはどういう仕事をなさるのですか。これはなるべく詳しく説明してください。
  43. 神崎賢二

    神崎証人 お答えします。監査課長としての権限というものは別に規定されておりませんけれども、監査課は大体本店並びに支店経理監査を行うことになつております。そのほかに決算書類の作成という仕事の二つがおもな仕事なつておりまして、その内容といたしましては、月に大体十日以上は支店監査に出向いたすことになつております。本店監査は一度行いかけたことがありますが、いろいろな問題が起きまして中止いたしました。決算手続は、経理部地方部の方から提出されます半年分の試算表によつて、私の方で合併の試算表をつくり、それから決算手続を経て決算報告書というものを作成して理事長室長手元へ提出いたしました。
  44. 塚原俊郎

    塚原委員長 支店監査を主としやられたようですが、本店監査が何かの事情によつてとりやめになつたという今御発言でしたが、それはどういう事情ですか。本店監査はやつてはいけないのですか。そんなことはないのでしよう。
  45. 神崎賢二

    神崎証人 本店監査もやる規定になつておりまして、私も実は、監査課長としての職責上、本店監査支店と同様に扱つてやりたいといつも念願いたしまして、一度理事長に申し上げ、最初に、一回でありますけれども、証券部監査を実施いたしたことがあります。そのときはたまたま証券部部長が不在のときでありまして、二、三日やつたあとでその証券部長が帰つて参りました。そこで、松本室長から、証券部長がこういうふうに言つておるというふうに、一つの中傷的なことで怒られましたので、私の方では、怒られてまで監査をして、あとあとの私の監査課勤務にさしつかえるということを感じましたので、室長に申出でまして中止いたしました。それ以後は監査はいたしておりません。
  46. 塚原俊郎

    塚原委員長 それではあなたは監査課長職責を果してないじやないですか。自分が首になることがこわいからやらなかつたというのですか。
  47. 神崎賢二

    神崎証人 そうです。
  48. 塚原俊郎

    塚原委員長 この委員会保全経済会資料が提出されておりますが、これは監査課でつくつたものですね。
  49. 神崎賢二

    神崎証人 そうです。
  50. 塚原俊郎

    塚原委員長 これはみんなほんとうのことが書いてありますか。
  51. 神崎賢二

    神崎証人 それは帳簿から出しました数字には間違いないと思いますが、内容的には、以前の繰越し残高に相当の食い違いがありますので、真実ではないと思います。
  52. 塚原俊郎

    塚原委員長 それは問題ですな。どの点が真実で、どの点が真実でないか、いま一回言つてください。いやしくも国会が要求して資料の御提出を願つたのが、真実でないというようなことになつたら、これはたいへんなことですから……。
  53. 神崎賢二

    神崎証人 真実でないというのは、私の記憶では、土地建物勘定相当水増しがあると考えております。この水増し昭和二十七年の九月に行つたものと記憶しておりますので、それがずつと二十八年にまで踏襲され、繰越されておりますので、私は真実ではないとお答えいたします。
  54. 塚原俊郎

    塚原委員長 真実でないのはその部分だけですか。
  55. 神崎賢二

    神崎証人 そうです。
  56. 塚原俊郎

    塚原委員長 毎期の損益計算において、毎期とも莫大な損失を計上してありますが、この損益計算書内容はどの程度範囲の方が御存じなのでしようか。
  57. 神崎賢二

    神崎証人 損益計算書というか、決算報告書でありますけれども、決算報告書を私の方でつくりまして提出するのは、理事長室長を通じて理事長へ提出しておりますので、理事長松本室長、あるいは監査課の私と監査課の課の人間は知つておると私は考えております。
  58. 塚原俊郎

    塚原委員長 その範囲ですか。
  59. 神崎賢二

    神崎証人 そう考えております。
  60. 塚原俊郎

    塚原委員長 神崎君は保全経済会経理内容は一番詳しく知つておる方ですね。
  61. 神崎賢二

    神崎証人 一番詳しいかどうかはわかりませんが、私としては割合に保全経済会の社員の中では詳しい方だと思つております。
  62. 塚原俊郎

    塚原委員長 詳しい方のあなたが毎期の損失状況というものをごらんになつて、会の将来に対してどういう見通しを持つておられましたか、御説明願います。
  63. 神崎賢二

    神崎証人 私といたしましては、別に見通しというものは持つておりませんでしたが、毎期の決算に赤字を相当出しておることを常に見て知つておりますので、そのときどきに現われて来る数字を見ながら、私は一種の不安というものは持つておりました。また一方では、理事長に何ものかを期待するというような観念を持つており、そのまま仕事を続けておりました。
  64. 塚原俊郎

    塚原委員長 保全経済会に対する国税局及び税務署関係というものはどういうふうになつておりましたか。
  65. 神崎賢二

    神崎証人 税務署日本橋税務署でありますけれども、日本橋税務署関係源泉税関係だけだつたと思います。それから、国税局の方では、本郷税務署を通じて私が一度個人の所得の確定申告をいたしたことがありますが、その関係国税局からたびたび調査に参りました。別に深い特殊な関係というものは、私が関係した範囲内ではありません。
  66. 塚原俊郎

    塚原委員長 保全経済会伊藤理事長を通じまして政党献金をやつたとか、政治家へたくさんお金をやつたということが大分問題になつておることは、あなたもよく御存じでしようが、こういう点について神崎君の知つておる点がありましたら御説明願いたいと思います。
  67. 神崎賢二

    神崎証人 政治献金相当多額にしているという話はたびたび聞いたことがありますが、どこへ幾ら行つたか、だれに幾ら渡つたかということは全然聞いたことがありません。
  68. 塚原俊郎

    塚原委員長 多額というのは大体どのくらいというふうに聞いておりましたか。
  69. 神崎賢二

    神崎証人 多額といいましても、昭和二十八年の一月ごろに、三重山林のときに三千何百万、あるいはその前の月にやはり三千万という多額金額が一ぺんに出ております。そのときに、この中の三千何百万というものが政党献金だということを聞いておりますので、それで私は多額と申し上げたのであります。
  70. 塚原俊郎

    塚原委員長 その多額というのは、合せて大体どれくらいになるとあなたは考えておりましたか。
  71. 神崎賢二

    神崎証人 今ちよつと記憶がはつきりしませんので、どの程度金額かは、はつきりわかりませんが、三重山林では相当数水増しなつておると私は思つておりますので……。
  72. 塚原俊郎

    塚原委員長 それが幾らですか。三千何万ですか。
  73. 神崎賢二

    神崎証人 三千何百万という……。その前の月が二千五百万。六千万近いです。
  74. 塚原俊郎

    塚原委員長 それ以外に知つておる点はありませんか。
  75. 神崎賢二

    神崎証人 それ以外には知つておりません。
  76. 塚原俊郎

    塚原委員長 平野さんとか早稻田さんとか松本さんとかいう顧問がおられましたが、この顧問団に対する顧問料支払いはどういうふうにしておつたのですか。
  77. 神崎賢二

    神崎証人 顧問料支払いは、私は現金授受を見たことがありませんので全然わかりませんが、帳簿面では月々五万円程度出ていたことははつきり記憶しております。それ以外に出ていたような話は聞いたことがありますが、実際には私タツチしておりませんので知りません。
  78. 塚原俊郎

    塚原委員長 あなたがお渡ししたとか、そういうことは全然ないのですね。
  79. 神崎賢二

    神崎証人 ありません。
  80. 塚原俊郎

    塚原委員長 委員の方、どうぞ。
  81. 田渕光一

    田渕委員 いろいろ伺いたいのですが、まず証人に伺いたいのは、一昨日ここから帰られて、前の証人松本君と一緒夕飯をあがつたという話ですが、率直に言うが、あなたが一緒にこの表門から出られたのを私は見ておる。そこで、松本君がどういう感想を持つておりましたか。これから伺う上に非常にこれが関係しますので、伺いたい。行政監察特別委員会証人として出たが、委員というものは非常に甘いものだとか、いいかげんなものだという話はあつたのかないのか。私はあつたと思うんだ。松本君と夕飯を食べられたときに、松本君の委員会証言に対する感想と申しましようか、どういう気分でしたか。ちよつとこれを伺いたい。
  82. 神崎賢二

    神崎証人 そのときには、ただ、大分一日中しぼられたという話を聞いただけであります。
  83. 田渕光一

    田渕委員 それ以上聞きますまい。  そこで、今委員長からお尋ねになりましたことに関連するのですが、三重県飯南郡のあの山林を三千百万円で買つたというので最初資料が出ておるのです。ところが、だんだん調べてみると、それは六百万円くらいしか村田卓蔵にやつておらぬ。あとの二千五百万はどこに使つたかと国税局につつ込まれたので、当時の秘書課長といいましようか秘書長といいましようか、井上君がこの二千五百万円は政党に献金いたしましたとはつきり書いて国税局へ届けておるのですが、これをあなたは御存じですかどうですか。
  84. 神崎賢二

    神崎証人 三重県の山林の三千百万円は、たしか六百万円と二千五百万円の二口に帳簿上計上されておると思つております。また二千五百万の政党献金をやつた井上さんが国税局報告書を出した、そういう話を今聞きましたが、井上さんから直接そういう話を聞いてはおりませんし、その二千五百万円も、経理部で私の方から聞いたところでは、たしかに松阪勧銀支店へ送つたはずだという話を聞いております。従いまして私は直接井上さんからもこれは政党献金だという話は聞いておりませんが、私の想像では、これも政治献金ではないかと想像しております。
  85. 田渕光一

    田渕委員 さつき委員長質問に対して、三千万円ないし二千五百万円といろいろあとから出て、約六千何百万円か出ておる——。ところが、松阪勧銀支店に送つた二千五百万円というものを井上君が松阪勧銀から受取つて、これを水谷紫石という者に渡してしまつた。これを、政治献金というのか、あるいは水谷君の手からこれを仏教保全経済会大谷瑩潤君渡つたと私は思うんだが、あなたはその当時この金が水谷紫石を通じて仏教保全経済会大谷さんに行つたということを聞いておりませんかどうですか。
  86. 神崎賢二

    神崎証人 聞いておりません。
  87. 田渕光一

    田渕委員 そこで、この山林を、十月二十四日に休業宣言すると同時に、これを不二林業に売つておる。不二林業は、保全経済会が倒れたので、すぐ債権者から差押えをされるといかぬというので、その山林内にある杉、ひのきというものを五百万円で売つておる。このどさくさにすでに切り尽してしまつた。その金が下二林業小柳善治君に行つておるということを聞いておるのですが、この点は御存じありませんか。
  88. 神崎賢二

    神崎証人 私もあとで聞いた話で、休業後でありますけれども、不動産の課長さんが山林へ行かれたという話を聞いて、その山林の木がほとんど切られておるということは聞いております。しかし、三重山林を不二林業へ売り渡したという話は全然私は知りません。
  89. 田渕光一

    田渕委員 そこで、三千百万円で買つたと称して、村田卓蔵君には六百万円しかやらぬ。二千五百万円はどこかに消えてしまつたわけです。これはいずれ警視庁も調べているでありましようが、そこで、その二千五百万円の金並びにその他まだ三千万円ほど、これはあとでお聞きしますが、あなたの言う通り数千万円の金が政治献金として贈られたものと私は思うのであります。ところで、この全部で六百万円しか出していない山を七億円というような財産見積つて最高裁判所長官あるいは衆参両院議長国警長官などに、これだけの財産がございますといつて三十何億の財産を報告した。この六百万円で買つた山、しかも実際は杉、ひのきは五百万円で売つてしまつておる。残るのは、土地は別として、薪炭林百万もないのです、それを七億円というような水増しして国警長官並びに衆参両院議長などに出したことについて、あなたは御存じでありますかどうですか。
  90. 神崎賢二

    神崎証人 あとで、福山さんがそういう方面にそういうものを提出したという話は聞いております。
  91. 田渕光一

    田渕委員 聞いておるが、実際六百万円しか渡さぬ山を、杉、ひのきをばさばさ切つて五百万円で売つてしまつているのです。それで、現に実際から言うと百万円しかないのを、七億円に水増ししておるのですが、先ほどあなたが、だれがつくつたか知らぬけれども責任を持てないと言うのは、要するに資料にこういう水増しがあるからです。たとえば、当時不動産をたくさん買つておりますが、この不動産の買取り価格というものは約八億七千万円ぐらい。これを三十五億の資産ということに出しておるのですが、こういうことを、監査課長として、当時当局へ出すのに御相談にあずかりましたか、あずかりませんでしたか。
  92. 神崎賢二

    神崎証人 ただいま申されましたのは、たしか休業当時に発表した三十五億円の資料だと私は考えますが、その中に入つているたしか二十何億に評価されている不動産、これの評価につきましては、何倍かに水増ししたということは不動産課がやつたことでありますし、あるいは有価証券は証券課でや、りました。その当時私は、松本室長から、最近のバランス・シートをつくつてくれ、こういうことを言われました。しかしながら、私は、その当時、たしか休業は十月二十四日でありますが、九月の決算もできておりませんので、そういうものは私はできません、こうお答えいたしました。ところが、室長の方で、やむを得ずいるので、何か不動産の方に頼んである、それで不動産の方でたしか二十六億か七億、それから有価証券の方で三億幾ら、約三十億に近い数字が出て来た、あと残りの大きい数字をぼくに聞かせてくれ、こう申しますので、それでは概算でよければ私の方でお教えいたします、こう申しまして、仮払いとかあるいは什器備品造作勘定というものを約二億ちよつとの概算数字を申し上げておきました。それで、三十五億に満たない部分はその他の資産、こういうように書かれておると私は記憶しておりますが、そういうような状態で作成されたものだと私は考えております。
  93. 田渕光一

    田渕委員 先ほど委員長の御質問に対して、実質は監査はしておらないのだというお言葉でしたが、そういう数字を詳しく知つておるとすれば、あなたは監査課長として全般にわたるととろの大体のものは、相当監査もし、数字も握つてつたのではないですか。あなたも中大を卒業しておるのだから、少くとも私はそのぐらい記憶力なり知識があるものと見てお伺いするが、どうですか。
  94. 神崎賢二

    神崎証人 実質上の監査はいたしておりませんが、やはり半年分の試算表なり、あるいは決算のときに元帳全部を私は見ますので、大きな数字なり、大体は考えれば記憶が出て来るのではないか、こう考えております。実質上は監査いたしておりません。
  95. 田渕光一

    田渕委員 あなたの方からいただいた資料で、理事長理事顧問理事長室長調査役、調査役付課長、秘書課の主任、その次の順に監査課長というのが来ております。それから証券部長、建築課の課長あるいは経理部長、用度課長あるいは地方部長、管理課長とか総支店長とかいう順序に来ておりますが、あなたが入社以後一月退社するまで、こういう順序で保全経済会の職員の席次と申しますか職務分担というのはやつてつたのですかどうですか。
  96. 神崎賢二

    神崎証人 私は、そうではないと感じております。
  97. 田渕光一

    田渕委員 これは書き方の順序にもよりましよう。しかし、少くとも全財産をある程度まで監査して行くのですから、監査課長というのは相当重要なポストであつたと思いますが、あなたはどのくらいのサラリーをとつておられましたか。
  98. 神崎賢二

    神崎証人 私は手取りで二万円くらいです。
  99. 田渕光一

    田渕委員 またこれに関連してあとで申し上げます。  少し話がそれるようですけれども、警視庁が、渋谷の道玄坂の芸者屋に隠してあつた帳簿というのを引揚げました。これはあなた事情知つておられるわけだが、このことについて、たとえば芸者屋の関係で、こういうぐあいに帳簿を渡した、それをだれかが言つたので警視庁がこれをひつぱり揚げたのだという経路がわかつたら、知つている範囲の御証言を願いたい。
  100. 神崎賢二

    神崎証人 渋谷から帳簿が出たというようなことは、私は東京新聞で見まして初めて知りました。昨年の九月までは帳簿監査課の方で保管しておりましたので、渋谷から出て来るというのは新聞の間違いではないかと私は思つております。
  101. 田渕光一

    田渕委員 間違いではないんだ。あつたから警視庁がとつたわけです。あなたが知らなければ、記憶を呼び起してあげるために申しますが、麻布の霞町の電車の停留所をちよつと横に入つたところに三祐荘というアパートがある。ここのアパートの裏で全部その帳面を焼いたということをわれわれは情報によつて聞いておるんですが、あなたこれをお知りになりませんか。
  102. 神崎賢二

    神崎証人 そのことも私は存じておりません。三祐荘というアパートはたしか経理におります林君という人が住んでおるところだと私は思います。また東京新聞にもたしかそういうように出ていたと私は記憶しておりますが、もともと帳簿というものは経理にあるので、あるいは持つて出たものが何が出て来たか私は存じておりませんが、もしも出れば十月以降の帳簿であり、九月以前の帳簿は、私の方で保管しておりました関係で、そういうところへは私は預けておりません。
  103. 田渕光一

    田渕委員 まことにそうなくてはならぬのですが、保全経済会というのは非常にふしぎな経理をしておつて、二重三重帳簿をつくつておる。ことに経理におつた林君が三祐荘のアパートにとまつてつたから、二重三重帳簿で、漏れて来れば、これはどうしても隠さなければならぬと思えば、一応とまつているアパートに持つて行くということは常識で想像ができる。それを警視庁の手が入るといかぬので焼いてしまつた。焼した残りを元しん子という名前の芸者、これは金川家という置屋の渋谷の芸者です。このしん子という芸者の姉さんが井上貞。この井上貞という女将のやつている林家というところに隠しておつたものを警視庁がつかまえたということを聞いておるのですが、あなたは、監査課長だから、少くとも林君を知つているのだから、ここらくらいは知つておるでしよう。
  104. 神崎賢二

    神崎証人 私は、そんなところへ隠してあるということは全然知りません。
  105. 田渕光一

    田渕委員 林君から聞いたことがありませんか。
  106. 神崎賢二

    神崎証人 聞いたこともありません。
  107. 田渕光一

    田渕委員 まだありまするけれども、ほかの方の御質問もありましようから、この程度にいたします。
  108. 塚原俊郎

    塚原委員長 関連質問で、鍛冶良作君。
  109. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつきのあなたの証言で、本店監査をしようと思つた証券部長からしかられたと言うが、どういうことでしかられたのですか。
  110. 神崎賢二

    神崎証人 その当時は、証券部長が、たしか北海道で総支店会議をやられて、出席していたころだつたと思います。私は別に留守をねらつてつたわけではありませんが、結果から見ればそういうような形になつてしまいまして、私は、やつたあとに、証券部長から、部長の不在中にやつたということでひどく怒られました。それから、あの当時証券課には、いろいろな信用取引の関係で、私たちにも見られないものがたくさんあつたらしいので、それを見られたのではないかという感じて、多分怒つたのではないかと思います。それで、私の方では、そんなに怒られてまでもやることは私の首に関係すると考えたので、途中でやめてしまいました。
  111. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこが重大なんです。あなたは会社の監査課長という正当なる監査をすべき職務にあるにかかわらず、あなたに見られて困るものが会社の中にあるということがふかしぎです。それは一体何なのですか。それから、もう一つ聞くが、かりに証券部長が留守中にやつて悪いと言うならば、帰つて来てから正式にやつたらよさそうなものだ。また証券部だけでもない。ほかにもあるのだから、それは堂堂とやるべきだ。しかるに、その一事をもつて全部をやめたということにわれわれの了解の行かぬところがあるのですが、それはどういうわけですか。
  112. 神崎賢二

    神崎証人 その点につきましては、私の職務怠慢であると責められてもしかたがないと思いますが、やはり保全の会社の中でも派閥というものがあつたように感ぜられ、そして監査というものはどこへ行きましても非常に憎まれるものでありまして、私も常に陰口をみんなが言つておるのを聞いておりますので、私もどこかへ追いやられるというような感じがしたので、やめてしまつたのであります。
  113. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこが重大です。一体会社の内部の者にまで知らすことのできない内幕だということになれば、それは伏魔殿だ。あなたはそういうふうに考えませんか。そういうものであるからあなた自身も手がついて行かぬのです。いわんや、外の者からこれを見たら、何が起るか知れぬとわれわれは感じるのだが、あなたもそういう感じか起りはしませんか。
  114. 神崎賢二

    神崎証人 そういう感じは起ります。
  115. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで、さつき、出した報告は真実でないというのは、あなたは先ほど不動産の価格について真実でないと言われたが、そうじやないのでしよう。今言つたような伏魔殿なのだから、こんなものが出たつて、形式なのだから、実際は何があるかわからぬというのがほんとうなのじやないか。これはどうなのですか。
  116. 神崎賢二

    神崎証人 それについては、ちよつとわかりかねます。
  117. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の聞いておる通り、不動産の価格が変だ——さつきのあなたの言葉を聞いておると、二十七年に買つた価格がそのまま載つておるから真実でない——。ところが、二十七年から二十八年まで不動産は下つていませんよ。むしろ上つています。二十七年そのままの価格を記載して出したとすれば、むしろ水増しでなくて、実質上においてまだ上のものなのです。しかるに、二十七年の価格を書いて出してあるから水増しだと言われることは、私は了解が行かぬ。これはどういうことですか。
  118. 神崎賢二

    神崎証人 お答えいたします。私の説明がちよつと不備だつたかとも思いますが、昭和二十七年のたしか九月の決算期だつたと思います。それ以前に購入せられたいろいろな土地建物の中でも、要するに私には場所とか坪数とかいうもののわからないものが計上されていたものがある。それで、その処置に私は困りましたので、その部分を全部他の土地建物へ水増しして作成したものであります。それ以後にも三重山林なんかも当然出て参りますが、その点から私は真実でないと申し上げたのであります。
  119. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、二十七年に買つた価格をそのままにするから水増しだというのじやなくて、最初からとんでもないものを水増しして書いておつたということが真実でしよう。それから、これは不動産だけではない。私は、有価証券についても調べて、ある程度知つておるのだが、わずか四千万円かそこら出したものを一億出したことにしておる。というのは、幸いにして資産が一億であつたから一億で株を買つた言つて、実際は三千何百万円かしか買つておらない。そういうことはあなたはよくおわかりでありませんか。だから、ほんとうでないということがほんとうなのだと思いますが、いかがですか。
  120. 神崎賢二

    神崎証人 大体先ほど真実でないと言うのは、大きいものは土地建物で、あるいは有価証券の中にも多少そういうふうなものがあるかとも思いますが、一億円出された形になつていますということは、ちよつと記憶にありません。
  121. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことでなくて、今私の言うように、不動産の帳簿価格というものはうそである。有価証券の記載してある価格も水増しのあるものである。であるから、すべて帳簿に載つておる財産というものは真実でないと私は心得る。そういうことじやないかと私は言うのだが、どうですか。
  122. 神崎賢二

    神崎証人 そういうことになります。
  123. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今あなたは理事だの理事長だのと言われたが、あなたのところでは前には理事長が一人あつて理事がなかつた。いつから理事ができたのか、それから理事のない理事長をしておつたのはいつからいつまでか、それを伺いたい。
  124. 神崎賢二

    神崎証人 以前私が入りましたころに、たしか理事のいない理事長があつて、私もそういうのは少しおかしいと思つておりました。あるらしいような話は聞いておりましたが、それはだれがだれだかさつぱりわかりませんでした。理事というのがはつきり生れたのは、たしか昨年ごろではないかと私は思つておりますが、それまで部長をしておられた方が理事になつた、こう思います。
  125. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、それまでは理事長言つてつた理事長と言えば長なんだから、下に理事がおると世間では思うに違いない。そうしてみると、実際は理事というものはなくて、伊藤斗福なるものの専断でやつた。そうして世上にいかにも理事会というものがあるように見せかけておつたと断言せざるを得ないか、その点はいかがでありますか。
  126. 神崎賢二

    神崎証人 そういうことになると思います。
  127. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それと、もう一つ、あなたのさつき言われたことで、あなたが経理を監査されたときには毎期欠損があつた、これは間違いないことだろうね。ところが、毎期欠損があるとすれば、利益がないのだが、あなたの方の投資者に対しては、匿名組合だと言つて、利益金を毎月三分、多ければ五分の支払いをしておる、この事実はありますか。
  128. 神崎賢二

    神崎証人 利益がないのに配当を出しておつたことは事実であります。
  129. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたも中央大学を出られたというからには相当法律知つておると思うが、匿名組合というものは、利益がなかつたら利益の配当をしてはいかぬと書いてある。しかるに、利益の配当をしておるということはどういうわけであるか。世上をごまかすもとじやないか。法律に違反しておるものであるとわれわれは考えるが、あなたはそういうふうに考えませんか。
  130. 神崎賢二

    神崎証人 配当は、利益配当ではなく、約束配当であつたと私は考えております。
  131. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで、もう一つ私が聞きたいのは、現在はどうしておられますか。休業しておつて、あなた方はどういうことをしておるか。社員には相かわらず給料を払つておるのか、現在経費というものはかからぬようになつておるのか、どのようなことになつておりますか。
  132. 神崎賢二

    神崎証人 私は、ここのところずつと毎日警視庁と検察庁の方へ呼ばれておりまして、会社へ出ておりませんので、どんな状態になつておるのか、さつぱりわかりません。
  133. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 同じく社員がそのままおるか。おれば給料を払つておるか。払つておるとすれば、毎月どれほどの金が支出されているか。それだけ財産がなくなるのだから、あなたの知つておる範囲、またあなたの感じでもいいから、伺いたい。これは重大なことですから。
  134. 神崎賢二

    神崎証人 社員は一月十三日に全員解雇になつております。そして私たちも一月三十一日までは残務の整理、引継ぎや何かで残つておりました。その後二月一日からは、向うの出資者組合の方できめた方だけ残つていただくというようなことになつておる模様であります。私も、解雇になりましてから、一月からずつと給料はいただいておりません。またその他の者も二月の給料はいただいていないと聞いております。従つて、何とか私らも失業保険で生活しておりますが、その点は私も詳しくは存じておりません。
  135. 田渕光一

    田渕委員 関連して。さつき、鍛冶委員質問に対して、証券部長の牧原から証券部の証券関係でこうせいと言われたので、自分は監査課長として正義を通したら首になると思つたというお話がありましたが、実際証券部長の牧原君は、保全経済会の中で、あなた方が言うことを聞かなければ、監査課長としてのあなたを首にするくらいな、あるいはよそへ追いやるくらいの力を持つておりましたかどうですか。
  136. 神崎賢二

    神崎証人 力があつたかどうかは私はわかりませんが、牧原部長理事であり証券部長でありますので、またその他の部長とも非常に親しく、われわれとは別個な行動をとつておられたと私は思つております。これは私が感じたことだけであります。
  137. 田渕光一

    田渕委員 証券部長であり理事であるから、相当うるさいことはわかつたのですが、あなたの感じでは、実際の実力があつたかなかつたか、そして証券部長理事だけで、ほかに何らしておられなかつたかどうか、それをひとつ伺いたい。
  138. 神崎賢二

    神崎証人 私は、実力があつたとその当時思つておりました。また、理事であり部長であり、その他関係会社の取締役か何かをやつてつたように聞いております。
  139. 田渕光一

    田渕委員 そこなんです。それを聞きたいのです。関係会社の取締役とか監査役をしておるのを、あなたの知つておる範囲で承りたい。牧原君のやつていることです。
  140. 神崎賢二

    神崎証人 牧原部長関係しておりました会社は、たしか上野工業とか言つたような気がいたします。
  141. 田渕光一

    田渕委員 それ以外に御存じありませんか。
  142. 神崎賢二

    神崎証人 私は知りません。
  143. 田渕光一

    田渕委員 それなら、ひとつお教えしよう。大谷瑩潤君のやつておる京都の仏教保全経済会の機関紙である株式会社中外日報、これに保全経済会の金が一千万円出て、牧原君がそこの監査役をしておるということをあなたは御存じですかどうですか。
  144. 神崎賢二

    神崎証人 中外日報が出ましたので、私は今そうだつたかなと感じましたが、監査役かどうかはわかりませんが、中外日報という会社はもともと疋田理事がつくられた会社でございます。従つて、ほかのうちの部長とか理事相当その中に名前を連ねているという話は聞いておりましたから、当然牧原部長も入つていると思います。
  145. 田渕光一

    田渕委員 記憶がないようですから申し上げる。もう一つあるのです。六日商事株式会社というのに、元東京国税局におつた内田弘輔というのが、保全経済会の金を五千万持つてつている。牧原君はそこの取締役をしているのですが、これも聞いたことがありますかどうか。
  146. 神崎賢二

    神崎証人 そう言われますと逐次記憶が呼び出されて参りますが、私の関係しておりました保全経済会の持つております不二林業とか富士航空とか三宅証券とかいう会社がございますが、伊藤理事長やそのほかの理事とか部長が名前を連ねていたと私はよく聞いておりますから、その点ではほかの会社にいろいろの方が関係しておると思います。
  147. 田渕光一

    田渕委員 まだあるのです。これもあなたが御存じなければ申し上げる。富士航空株式会社にやはり保全経済会の金を四千万持つてつているが、これは平野力三君を伊藤斗福に紹介した小宮三郎が社長で、そこの取締役に牧原君が入つている。これは四千万円の会社です。
  148. 神崎賢二

    神崎証人 取締役をやつているかどうかは私は聞いたことはありませんが、先ほど私が申し上げましたように、牧原理事とか、あるいはそのほかの理事、その当時の部長が出資したような形によつて会社がつくられておる、こう私は思つておりますから、ほとんどの会社に関係しておられるのではないかと思います。
  149. 田渕光一

    田渕委員 それから、あなたの言つた上野工業というものもそうなんだ。上野工業へも一千四百万円持つてつてこれも牧原君が専務をやつておる。そういうぐあいに、五つも六つも、四千万あるいは一千万、五千万という保全経済会の金を持つてつて、しかもこれが証券部長だ。それであなたのような監査課長に対して一つの圧力を加えているのだが、こういうようなことをやつている金がみな大衆から集めた保全経済会の金なんだ。これが正しい投資であるかどうかということは、この会社がもうけておれば正しい会社だが、みなボロ会社だ。こういうふうなぐあいで、証券部長やなんかがみな食つちまつたということは、あなたは当時気がつきませんでしたか。
  150. 神崎賢二

    神崎証人 感じておりました。
  151. 塚原俊郎

    塚原委員長 山田君。
  152. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいま証人のお話を伺つておりますと、あなたは監査課長であつて、非常に職務怠慢だつたと思うとか、あるいは、どこかに追いやられるかもしれなかつたからということで、まつたくその職責を忘れて、自分の首をつなぐことだけに営々としておつたということが、あなたの今の証言の中からうかがわれるわけです。そこで、私はあなたに伺うのですが、もしあなたが本気になつてこの監査の立場におられて仕事を十分監査しておつたならば、こんな大きな悲劇を生まなかろうということはまず言えると思うのです。実は、これはあなたの方の仕事に属する関東総局の範囲に属するわけでありますが、非常にもつともらしく顧問団を連ねたり、カタログを持つたりして歩いていたために、何人もの一家心中が起つたり、あるいはまたまさに失心状態になつているような人がいるわけです。例をお話しますと、家内も持たないでげたの歯入れをやつていた職人が、外交員のためにうまい口車に乗せられて、二十数万の金を全部出してしまつた。あるいは先祖伝来の山を売つてしまつた、こういうことで、まことに聞くにも聞けないような気の毒な事実がたくさんにあるわけですが、もしあなたが非常に真剣に監査の衝に当られて、自分の首を切られてしまうだろうなどといういくじのないものの考え方ではなくして、もしこのときにあなたに勇気があつて、こんなことじやしようがないと思つて、ひとつこれをどういうふうにか——当局に話すとか、何か方法を講じてやつてくれるという誠意がこの仕事の中から起らなかつたかどうか。この意見を最初に一点伺いたいと思うのです。
  153. 神崎賢二

    神崎証人 まことにごもつともで、私にもう少し勇気があればと思いますが、この点についても、伊藤理事長は非常にワンマンな性格を持つておりまして、私が地方の支店監査を執行いたして参りましていろいろな不正とか欠点を書いて報告を出しましても、そのままにしておくのがほとんどであります。従いまして、私のやつて来た支店監査も、私が見たりして来たものをただ書いて理事長に報告するというだけにとどまつたもので、その後の処置をこういうふうにしたというようなことは理事長からは感じとられませんでした。また、本店の方も、当然監査をしなければならないのにやらなかつたのは私の職務怠慢かもしれませんが、たといやつたにしましても、理事長は同じような処置をとつたのではないかと私は今でも感じております。
  154. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたは監査の立場で地方支店をときどき監査されているようでありますが、そこで私は伺うのですけれども、あなたが監査をした報告を中央へ出している中において、あなたが監督された範囲で、支店の場合どういうような監査ができたと思うか、これがまず一つ。実は、あなたが監査の衝に当つて本店で首がつながれるということだけじやなくて、私は今幾つもの事例を持つておるわけでありますが、支店監査が不行届きであつたために、支店の人たちが、もう会社の実体を知つたときからすでにごまかす方法を講じて、現に山を買つたり田畑を買つている支店の人がたくさんにあるわけです。こういう点について、支店監査が十分だつたと思うかどうか、これを伺いたいと思う。
  155. 神崎賢二

    神崎証人 支店監査が十分でなかつたと私は今にして考えておりますが、この点は、二百の支店監査課にいる七人の人間が担当しておりますのですが、一年間フルに動いてもおそらくは全店に届かないと私は考えております。この点から非常に不行届きの点があつたと思いますが、支店の人がかつてに田畑を買つたり山を買つたりしたようなことはないと私は思います。
  156. 山田長司

    ○山田(長)委員 次に伺いたいことは新夕刊新聞の問題でありますが、この新夕刊に六千二十五万円という非常に莫大な仮払いが出ておりますが、このことについては、あなたは監査の衝に当つてつたので、おそらく知らないことはないと思うのですが、この新夕刊は山崎さんが持つておる新聞社ではないのです。新聞社の実体は、建物は、あるいは土地は三浦義一という人が持つている。この六千二十五万というような莫大な仮払いは何のために新聞社へ出たものとあなたはお思いになりますか。もし御存じでありましたらばお教えいただきたいと思います。
  157. 神崎賢二

    神崎証人 新夕刊新聞に六千二十五万円という仮払い金が出ていることは私も記憶しております。また、どういうわけでこういうところに出したのか、私も、その当時としてみれば、だんだんふえて行くのでおかしいと感じておりましたが、理事長の言いつけでこれはあとで社員の引当てにするのだ、こういう話を聞いておりました。
  158. 山田長司

    ○山田(長)委員 先ほど委員長があなたに伺いましたときに、あなたの会社にたびたび税務署の人が行つたということをあなたは答弁せられておりましたが、その税務署の人たちがあとなつて会社をこしらえておるようですが、この税務署の人たちの中であなたと関連のあつた税務署員の名前を、おわかりになつている限りを全部言つてください。
  159. 神崎賢二

    神崎証人 私が税務を担当いたしましたのは、たしか最初国税局の松井さんという方が来られたときからだと思いますが、今お話のあつた中の、会社をつくつておるというお話は、たしか内田さんのことではないかと思いますが、二十六年度はたしか望月さんの方から駒井事務所に頼んで国税局に出したと私は聞いております。それ以後の二十七年は私が確定申告をつくりまして提出いたしましたが、国税局の人の名前としては松井という方と菊地、柴という事務官、これだけしか記憶しておりません。日本橋税務署源泉税関係でありまして、若林という方と森、関、渡辺、大体このように名前を記憶しております。
  160. 山田長司

    ○山田(長)委員 重要なポストにおつたあなたは知らないはずはないと思いますが、あなたがおられる期間中に政党の人たちの出入りはどんな人たちがあつたか。これは実はこの間もあなたの会社から来られた人に聞いておるのですが、あなたは特殊な形でこれを御存じだと思うのですが、一応伺いたいと思う。
  161. 神崎賢二

    神崎証人 会社に来られた政党の方は、私は部屋が四階でありますのでほとんど知りませんが、顧問の方は当然知つておりますし、それから、顔は全然知りませんので名前もわかりませんが、聞いた話では、駒井先生とか、あるいは宮腰代議士、その程度しか聞いておりません。
  162. 山田長司

    ○山田(長)委員 募集にあたりまして会社の内容の有利なことを話されて、そのときに奨学資金まであるのだ、こういうことで、あなたのところでは子供の将来のことまで考えて奨学資金制度のことを話されておりますが、この奨学資金制度によつて非常にお気の毒な立場にある子供があるのではないかと思いますが、その点についてあなたの知つている範囲のことを全部言つてください。
  163. 神崎賢二

    神崎証人 奨学資金制度がどういうわけでできたか私も知りません。ただ、決算のときに奨学資金という勘定科目が出てまわつて来る。この程度しか私は存じておりません。
  164. 高木松吉

    ○高木委員 ちよつと関連して。出資総額は大体わかつておるが、利益配当をしておるのだが、利益配当の総額は何ぼになるか。
  165. 神崎賢二

    神崎証人 配当金の累計高は、ちよつと記憶はありません。
  166. 高木松吉

    ○高木委員 それはないはずはなかろうと思うが、どうなんだ。これが重大なんだ。われわれ調べるのに基本になるのだ。今山田君の言われた奨学資金等も問題だが、総額の出資はわかつている。しかし、利益配当を、たこ配したかもしれぬけれども、何ぼ配当しているか、これが今まで明らかになつてない。ぜひ明らかにしたい。大体わからぬことはないだろう。
  167. 神崎賢二

    神崎証人 大体、数字的には記憶がありませんが、赤字が二十三億から四億だということは記憶しておりますが、そのうちの配当が幾らであつたかは記憶にありません。
  168. 高木松吉

    ○高木委員 その赤字の大半は利益配当にまわつているのかどうか。利益の配当じやないんだ。身を食つているんだが、しかし、どういう形でか利益配当と称してあなた方が還元してやつた総額というものがわからないか。もし全部はわからなかつたら、何年から何年にはどれだけもどしてやつたというようなことはわからぬか。
  169. 神崎賢二

    神崎証人 大体のことで、数字のここでありますから記憶違いがあるかもわかりませんが、去年の九月の決算のごきの半年の配当金は大体四億から五億の間ぐらいではなかつたかと私は記憶しております。
  170. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 証人の話の中に、自分は四階にいて、出入りする政治家の顔がわからなかつた顧問がときどき来ておつた、そうして新らしい宮腰という名前なんか出しましたが、先日来顧問証人なつて来てもらつていますが、その平野証人あるいはその他の証人休業まで会社の方にほとんど出入りしていなかつたということを言われておつたのですが、あなたの証言によつて、何べんか会社の方に出入りしていることがわかつた。あなたが見受けた人、それから、そういう人を何べんぐらい見受けたか、何べんぐらい会社に顔を出したか。知つている範囲のことを述べてください。
  171. 神崎賢二

    神崎証人 顧問の方の話でありますが、一番来られたのは平野先生だということはわかつておりますが、何回来られたかということは、記憶ありませんし、わかりません。それから、その次に来られたのは松本先生で、それから早稻田先生は一番来た回数は少かつた。私はこの程度しかお答えできない。
  172. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 そのうちにおいて、顧問と会社の関係においてどの程度に深いかということは、あなたわかつていますか。
  173. 神崎賢二

    神崎証人 どの程度に深いかわかりませんが、平野先生はときどき理事長と同道して支店の建築完成のお祝いの言葉を述べに行かれた、演説に行かれた、そういうことは聞いておりますから、一番深いのじやないかと思います。
  174. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたは、内部でいろいろ経理上の調査をして、それが機微に触れるとあなたは首になるというので、その調査を避けておつたと思うのですが、しかし、公然とわかる中に、たとえば日東通信社の新聞広告料というものがあると思う。これは非常に莫大な金になつていると思うのですが、このことについて、実はこの日東通信社で財産の隠匿をしているということが世間に言われているわけです。そういう点で、広告料以外に支払いをされていると思いますが、広告料金以外に支払いをしているような目星がありますかどうか、ちよつと伺いたい。
  175. 神崎賢二

    神崎証人 私は日東通信社がどんな関係だかはよくわかりませんが、ときどき社長の関本さんとたしか言つたと思いますが、その方が理事長の部屋に来られたということは聞いておりますが、財産隠匿とか、そういうことは全然感じてもおりませんし、全然知つてもおりません。
  176. 山田長司

    ○山田(長)委員 私たちの立場で言いますと政治浪人と言うのですが、そういう形で、たとえば後藤帰一さんとか、あるいは三浦義一さんとか、児玉誉士夫さんとか、そういう人たちの出入りもあつたように見受けるのですが、これらの人たちの出入りはあつたかどうか。
  177. 神崎賢二

    神崎証人 三浦義一さんとかあるいは後藤帰一さんとかは名前は聞いておりますが、全然知りません。ただ児玉先生は来ているということを見たことはあります。何回来たかはわかりませんが、児玉先生が来ているところを見たことはあります。
  178. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたは非常に長いから、あるいは知つていると思うのですが、実は昭和二十七年二月十八日の日にわが党の議員が、全国的に保全経済会という一種の金融機関ができておつて、それでその実体はどういうのか知らぬけれども、とにかくたくさんの金を全国から集めている、こういうことを国会で質問しているわけです。そのとき大蔵大臣は、今そういう実態であることを知つている、そこで銀行法の法令に違反する場合があるかどうか十分これは取締りをする、こういうことを言つているのですが、その当時何かあなたの方に大蔵省の銀行局あたりからこの調査をされたかどうか。あなたは古いから、おそらくそういうことが国会で問題になつたときに何か耳にしているのじやないかと思うのですが、この点正直にひとつ答えてください。
  179. 神崎賢二

    神崎証人 大蔵省の方が来られたということは私は全然知りません。
  180. 山田長司

    ○山田(長)委員 内部におられて、会社がなかなか思つたように行かないということだけは、さつきのあなたの一種の不安にかられておつたということだけでわかるわけですが、監査の衝に当つてつて、調べてはならぬと言つても、人間というものはおもしろいもので、調べてはならぬと言われたり、見ちやならぬと言われると、何かそれが見てみたいものですが、そういう点で、あなたの立場上、調べちやならぬと言われても、あるいは見ちやならぬと言われても、あなたの立場ならば大体見られるのです。そこで、使途不明の金というものは大体どのくらいあつたように——あなた見ちやならない、聞いちやならぬものでも、あなたの立場なら聞けるのですが、使途不明の金がどのくらいあつたように思われますか。あなたの立場でひとつお答え願います。
  181. 神崎賢二

    神崎証人 記憶でありますので、この数字は的確かどうかわかりませんが、私の感じました金額を申し上げますが、大体一億四、五千万円から二億の間ぐらいではないかと思つております。
  182. 山田長司

    ○山田(長)委員 あなたにそれ以上聞こうとはしません。二億や三億のものじやないのです。だから、どうもあなたにはそのことは答えられそうもないから伺いませんが、次にあなたに伺いたいことは、築地の秀花という待合にあなたも行つているという事実があがつているわけです。何回ぐらいあなたはこの秀花においでになられたか。それから、おいでになられたとき、たとえば今議題になつております改進党の大麻さん、ずいぶんこれは雑誌や新聞にも問題になつておられるのですが、そういう人、あるいはその他山崎さんや児玉さん、こういう顔ぶれがあなたと一緒行つた中に入つているのですか、この点であなたがそのほか知つている範囲の人たちをあげてください。
  183. 神崎賢二

    神崎証人 私はそういうところに一度も行つたことはありません。
  184. 山田長司

    ○山田(長)委員 大体私の伺うことはこれで終ります。
  185. 塚原俊郎

  186. 小林進

    小林(進)委員 あなたにひとつ順序上お尋ねするのですが、今お年が幾つで、最終の大学を出られたのが何年であるか、ちよつとお尋ねしたいと思います。
  187. 神崎賢二

    神崎証人 私は、昭和二十四年に卒業しまして、現在満二十八歳であります。
  188. 小林進

    小林(進)委員 満二十八歳で監査課長でありまするから、先ほどから大分責任の重いような質問がありましたが、私はあなたに決して責任を追究をしようというのじやない。こういう会社の一監査課長に、その会社のインチキなやりくりまで知つていて、なぜ承知でそんなことをやつたかなどという愚問を私は質問しようとは思わないのであります。やはり、一サラリーマンとしては、御身後生にその会社に忠誠を誓つて勤め上げようというのが、本望なんだ。でありまするから、ただ私は、あなたのその監査課長という立場上、一番保全経済会内容を詳しく知つていられるんじやないか、その知つていられる範囲内容をできるだけひとつ正直にお話を願いたい、こういうのであります。これはもう責任は一つもないわけであります。だから、どんなことをあなたがしやべられようと、経営者ではないのだから、あなたこ詐欺罪が行つたり、あるいは為替法違反になつたり、そういう刑法上の犯罪は一つもあなたに成立しない。ましてや、一サラリーマンであるあなたに政治上や道徳上の責任が一つも波及するはずがない。ですから、そういうことはひとつ気軽にお答えを願いたいと思うのであります。  それで、ひとつお尋ねをしたいのですが、あなたが監査課長として、先ほどから政治家というものを何か知つている関係があつたかどうかというお話があつたのですが、おとといの証言にもこれは問われたのですが、池田勇人氏の私宅へあなたはおいでになつたことはございませんか。
  189. 神崎賢二

    神崎証人 一回も行つたことはありません。
  190. 小林進

    小林(進)委員 おとといのお話に、何か伊藤斗福氏に古田というのと古谷という二人の女の秘書がおられて、その、)ちでどなたか一人が池田邸にしばしば伊藤斗福氏の用件で使いに行つている、こういう話が出たのでありまするが、もししからば、その秘書の中のだれが一体池田さんのお宅へお使いに行つたの知つていられたらひとつお答えを願いたい。
  191. 神崎賢二

    神崎証人 そういうようなことも聞いたことはありません。
  192. 小林進

    小林(進)委員 それでは、築地の秀花という待合を一体御存じですかどうか、お尋ねいたします。
  193. 神崎賢二

    神崎証人 秀花という待合を全然知りません。
  194. 小林進

    小林(進)委員 おとといの理事長室長松本君の証言では、松本君、山崎一芳、児玉誉志夫、伊藤斗福、こういうような人々と数回行つているという証言があつたのですが、われわれの調査では、約二十回ぐらい、あるいは二十回以上どうも保全経済会の幹部諸君がここへ出入りをしておるという調書があがつているのですが、あなたは一回もおいでになつたことはございませんか。
  195. 神崎賢二

    神崎証人 一回も行つたことはありません。
  196. 小林進

    小林(進)委員 そういうことから考えますと、あなたは保全経済会のあまり重要なポストにはいられなかつたということになると思います。大体ここで重要な議題が行われているのであります。  それでは、ひとつお尋ねいたしますが、監査課長本来の仕事といたしまして、あなたはモダンエンタープライズという会社に保全経済会から出資をされていることを御承知だと思いますが、どういう経緯で、どういう関係で出資をされたのか、また出資をした会社の内容がどんなぐあいになつているか、お聞かせを願いたい。
  197. 神崎賢二

    神崎証人 モダンエンタープライズという会社は、私は元帳の有価証券勘定で見たことはありますが、その会社が銀座の方にあるという話を聞いていただけで、行つたことは全然ありません。休業後に、その会社がどうなつたのか、望月さんのところへ聞きに行きました。ところが、その会社はすでにぶつつぶれてしまつているという話を聞いた程度で、その設立の経緯とか、あるいはだれが設立をしたのかも全然知つてはおりません。
  198. 小林進

    小林(進)委員 そうすると、これは一つの例でありますが、そのほか日本水銀鉱山株式会社とか、新トリビユーン株式会社とか、アジヤ興業株式会社とか、いろいろございますが、先ほど田渕君の質問した会社もある。当然自分の会社で出資をした会社でございますから、監査課長としてはそういう会社の内容も克明にお調べになつているものという推定で質問をしたのでありますけれども、今のお答えによりますと、これはほかの会社も合せて、何か内容を全部お知りになつていないようにも聞きとれるのでありますが、全然ほかの会社も調査をされなかつたのかどうか、これをひとつお聞かせを願いたい。
  199. 神崎賢二

    神崎証人 関係会社には一度も——一度もということはございませんが、監査の立場で行つたことはありません。たまたま三宅証券とか六日商事とか、幾回か行つたことはありますが、調査ということはいたしたことはございません。
  200. 小林進

    小林(進)委員 それでは、ほまれ商事株式会社という会社ですが、何か架空の会社のようにも思える。もちろん所在地もどこを調べても出て来ないのでありますが、ただ帳簿の上だけに載つている。このほまれ商事に二千万円の金が出資をされているのでありますが、この二千万円は児玉誉士夫氏のところへ行つているのではないかとわれわれは推定をしているのであります。やや確実に近い材料をもつてこういう推定をしておるのであります。あなたはこれをいかように承知をしておられるか、ひとつ承りたい。
  201. 神崎賢二

    神崎証人 私は、最初、そのほまれ商事という会社は、名前は違つていますが日動商事という名前の会社と同じものではないかと考えておりまして、名前が帳簿上で違つているのだと考えておりましただけで、休業後になりまして、その会社がないということを初めて知りまして、たまたま望月さんに聞きに行きましたところ、それではその二千万円は児玉さんの関係の方へ出ているんじやないかというような話を聞いたことがありますが、全然私は関知いたしておりません。
  202. 小林進

    小林(進)委員 そういたしますと、このほまれ商事が日動商事と同体のものであるという御証言でありますが、そうすると、この日動商事は児玉誉士夫の株式会社でございますかどうか。
  203. 神崎賢二

    神崎証人 今の私の説明はちよつと足らなかつたように思いますが、私は、ほまれ商事という会社はないことがわかつたときに、日動商事ではないか、こう思つていただけで、そうしたら、あとで、日動商事と保全経済会は何ら関係がないということを望月さんが言われまして、それではほまれ商事という会社が全然架空のものだということを初めてそのときに知りました。それで、その金がどこへどういうふうに行つたのか、こういうことを聞きましたら、望月さんから、児玉さんのところへ行つたんではないかというような話を聞いただけでありまして、その経過とかあるいは金銭授受とかいうものは私は全然関係いたしておりません。
  204. 小林進

    小林(進)委員 あなたは監査課長として、これが全部帳簿に記載されているのでありますが、ほとんどその真相を追究されていない。監査課長として決して有能な監査課長でなかつたと思わざるを得ないのであります。こういう二千万円の金が帳簿に記載されて、しかもそれが朦朧として消えてしまつているということを、休業後望月君から初めて聞いたなどということでは、監査課長として仕事のやり方が非常にルーズじやなかつたかと私は考えるのであります。ともかく、こういう株式会社に出資している金が合計して四億近くある。これは本体を追究して行けばみんな消えてしまう株式会社である。いやしくも十五万人の零細なる金を集めた四十五億に近い金のうちの四億も出資している株式会社の本体を見きわめないで、一体ほかにどんな監査課長仕事があるのですか。こういうのを追究して行くのがあなたの仕事じやなかつたかと思う。こういうことを一番お聞きしたがつたのでありますが、聞いてみてもちつとも出て来ませんので、この会社の朦朧性をあなたにお尋ねするのはやめます。やめますが、監査課長としてこれぐらいはお知りだつたと思いますが、伊藤理事長が渡米されるとき、これはやはり日本円をドルに換金するなりして持つて行かなければアメリカ旅行はできない。その金が帳簿に載つていない。どういう形でその金ができ上つたのか、お聞かせ願いたい。
  205. 神崎賢二

    神崎証人 そのことは警視庁でも調べられておりますが、私は理事長が渡米の当時は主計課主任であつたと思います。理事長が渡米するときは当然現金をドルにかえて持つて行つたわけでありますから、保全経済会から出ているはずであります。そのとき出したのは出納課長でありまして、私は、幾ら出されたのか全然わかりません。そして、これは私の方でいろいろどういうふうにやつたのか聞いたところの話でありますから、確実なことは申し上げられませんが、渡米の費用を一時現金とみなして前渡金として残しておく、いわゆる現金とみなして伝票だけで残しておく、こういうような形をとつていたということを聞いております。そして後々に、これを順次不動産なりあるいはその他あれば、科目に水増しして消して行つた、こう記憶し、また私も推定いたしております。
  206. 小林進

    小林(進)委員 その渡米のときあなたは直接出し入れを扱つた係の役てなかつたということだけは了承いたしましたが、そこまで詳しくお知りになつているのでありますから、その渡米のときにドルに換金をして一時仮払いの形にした金が一体何千万円であるか、それをお聞かせ願いたい。
  207. 神崎賢二

    神崎証人 先ほども申しましたように、私は金銭授受に全然タッチしておりませんから、渡米費用が幾らであるかは私は全然知りません。
  208. 小林進

    小林(進)委員 しかし、そこまでお知りになつているのでありますから、理事長がアメリカに行くときにどれくらい持つて行つたかというぐらいの見当は、内部でも話合いもあつたろうし、あなたは知つていられたと思う。何もここで隠す必要はないのであります。あなたの政治責任やら道徳責任やら法律責任は何も言わないのであります。社内の風評だけでもよろしゆうございますから、あなたの知つていられる範囲だけのことを率直にお聞かせ願いたい。
  209. 神崎賢二

    神崎証人 前渡しの伝票として残しておく理事長のお金は常にありまして、どの分が渡米の費用であるか、どの分が実際に理事長がもらつて国内で使われたかということは、私の判定では全然わかりません。幾らつて行かれたかということは、社内の風評もございませんし、私聞いておりません。
  210. 小林進

    小林(進)委員 それでは、休業直後における仮払いの問題についてお尋ねいたしますが、保全経済会の特徴としては、非常に理事長の仮払いが多いのです。あなたは監査課長として仮払いの内容についても相当詳しく調査をしているだろうと思うのでありますが、まず第一に、この仮払いの内容について知つておられる範囲をお聞かせ願いたい。
  211. 神崎賢二

    神崎証人 仮払いの内容に関しては、私は一切知つておりませんです。
  212. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 関連して伺いますが、あなたは中村五郎君を知つておりますか。
  213. 神崎賢二

    神崎証人 中村五郎さんという名前は知つております。
  214. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 顔を見たこと、もの言うたことありませんか。
  215. 神崎賢二

    神崎証人 会社へ一回程度来られたと思います。私もたまたまそこにいれば顔を見ますから、存じ上げております。
  216. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 それでは、この中村という人が伊藤理事長と知り合いになつた、その紹介等をだれがしたかというようなことをあなた聞かれたことはありませんか。
  217. 神崎賢二

    神崎証人 聞いたことはありません。
  218. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 関連して。監査課長をする前にあなたは主計課におられたと言いましたね。そのときは主計課部長は望月京一君ですか。
  219. 神崎賢二

    神崎証人 そのときの課長は宮沢という方で、経理の部長も望月さんが兼任されていたと存じます。
  220. 古屋貞雄

    ○古屋(貞)委員 その望月さんは、当時伊藤理事長室長をも兼ねておつて伊藤理事長に影のごとくつき添われて、終始一緒仕事をされておつた、こういうようなことは知りませんか。
  221. 神崎賢二

    神崎証人 常に一緒におられたと私も記憶をいたしております。
  222. 小林進

    小林(進)委員 あなたは何をお聞きしても案外知つておられないので、どういうふうに質問してよいかわからない。総括的に申し上げますが、新聞その他の関係で、誇大な宣伝、広告料として三億有余の金が出ている。あなたは監査課長として、この支出方法について一体どういう感じを持たれたか、まずここから順次聞いて行きましよう。
  223. 神崎賢二

    神崎証人 確かに広告宣伝費の金額相当多額に上つておりましたので、常に私はこの点をもつと切り詰めてやるようにお願いしておりました。
  224. 小林進

    小林(進)委員 宣伝広告の中にはほんとうに誇大な広告もありまするが、中には、脅迫めいたというのか、恐喝めいたというか、保全経済会の弱点をつくような原稿その他を整備し、そしてそれを売りつけるというような形のものの支出金も相当あるようにわれわれは推定いたしておりまするが、あなたは監査課長として、そういうようなものを具体的に知つておられたら、ここでお聞かせ願いたい。
  225. 神崎賢二

    神崎証人 全然私は知りません。
  226. 小林進

    小林(進)委員 それでは、顧問関係。平野顧問に三百十八万円、早稻田柳右工門氏に大体百三十万円前後、それから松本信次氏には、若干の食い違いがありまするが、われわれの調査によれば百七、八十万円くらいの顧問料が出ているが、この顧問料の支出について、これが多いとか少いとか、あるいはそのほかにまだ出ていたやの記憶があるとか、お知りになつている点をひとつお聞かせ願いたい。
  227. 神崎賢二

    神崎証人 顧問料支払いは、私は帳簿上で見るだけで、金銭授受なんかは全然見たこともありませんし、私が渡したことは一回もありません。従つて、どのくらい出されているか、帳簿上の金額が実際正しいのかどうかも私はよくわかりません。
  228. 小林進

    小林(進)委員 それでは、次は政党献金関係にいたしますが、先ほどあなたの証言でも、みずから監査課長として、支出不明な金が一億数千万円、二億円近くあると言われた。これはやはりわれわれの調査にやや近い数字なのであります。こういう数字をあげたことと、それから、内部においても毎期毎期欠損で非常に不安を感じたというようなことは、従来の証言にないあなたらしい正直な証言を得たわけなんで、この点われわれは非常にいい感じを受けているわけです。その二億円内外に上る政党献金も、われわれの方ではやや実際に近い数字を全部つかんでいる。つかんでいるのでありますから、何もあらためてここであなたから新しい一つの事実をつかもうというのじやないのだが、やはりあなたが監査課長としてお知りになつている点があると私は思う。たとえて言えば、帳簿の上に自由党へ二百万円、政治資金規正法に基いてちやんとりつぱに届出の出ているようなことも、監査課長としてあなたは当然お知りになつていたと思います。以下それに準じて、その二億円に近い金の支出を、知つておられる範囲でひとつ具体的にかつ正直にお答え願いたい。
  229. 神崎賢二

    神崎証人 政治献金がどこへ行つたかは、先ほども申し上げましたように、私は全然知りませんし、私の方で決算をいたしますとき、ここで水増しだというのがわかつた部分を、これは何だと聞いてみますと、たいがい政党献金だ、こう言われます。これは井上秘書にほとんど聞いた話であります。それ以外具体的に私は教えてもくれませんでしたので、私も全然知りません。
  230. 小林進

    小林(進)委員 それでは、あなたは政党関係の資金もほとんど自分でお考えにならないで、望月君やら井上君に聞いて、やつと自分の疑問を解決していられるというような話になつて来るのでありますが、最近ようやく新聞紙上にいや何々政党に三千万円だとか、やれ何々のだれに二千万円とか、だれに一千万円とかいうような数字、少し具体的に人の名もあげて報道されているが、ああいう記事をごらんになつて、さもありなん、やはりわれわれが社内であらかじめ聞いていた風評に近いものが初めて新聞に出て来たとお考えになつたのか、寝耳に水だというふうに考えられているのか、ひとつ感想を承りたい。
  231. 神崎賢二

    神崎証人 あの新聞を見まして、たしか東京新聞だつたと思いますが、初めてあれを見て知つたのでありまして、あれがほんとかうそかも私は全然知りません。
  232. 塚原俊郎

    塚原委員長 天野君。
  233. 天野公義

    ○天野委員 それでは、証人にまず帳簿の点でお伺いしたいと思います。先ほどもお話があつたのでありますが、確かめる意味においてお聞きするのですが、この保全経済会では裏帳薄というのは全然なかつたのですか。表帳簿というか、あなたの扱つていた帳簿だけでおつたのでありますか。
  234. 神崎賢二

    神崎証人 帳簿に関しましては、経理部の方でつくつておりまして、それが決算のときに私の方へまわつて参ります。そうして、いろいろと一時税金のことでもめたときがありまして、そのときに二重帳簿を私の方で作成したことがあります。
  235. 天野公義

    ○天野委員 二重帳簿を作成したわけですね。そうすると、表帳簿と裏帳簿があつたということは確かですね。その裏帳簿というものは大体いつからいつまでのものをおつくりにたつたのですか。
  236. 神崎賢二

    神崎証人 ちよつと記憶がありませんが二十六年から二十七年にかけてのことだと思います。
  237. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、それ以後は二重帳簿はないのですか。裏帳簿はありませんか。
  238. 神崎賢二

    神崎証人 ちよつと記憶にありませんが、二重帳簿をつくつた場合もありますし、修正を加えたものもあります。そういうような関係で、経理部の方でつくりましたそのままのが残つているというものは、全期間を通じてないと思います。
  239. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、元帳を直したり、また裏帳簿をつくつたりして、二種類、三種類の帳簿ができていたわけですね。
  240. 神崎賢二

    神崎証人 三種類ということはありませんが、二種類は事実であります。
  241. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、その裏帳簿を保管していたのはだれですか。
  242. 神崎賢二

    神崎証人 帳簿に関するもの、総勘定元帳でありますが、これは期間が終了いたしますと監査課の方で一切保管しております。
  243. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、裏帳簿監査課で保管していたのですね。そうすると、表帳簿はどこで預かつたのですか。
  244. 神崎賢二

    神崎証人 表帳簿も裏帳簿も全部一切私の方で保管したわけであります。
  245. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、休業直後に伊藤理事長の命によつて二十七年の十月以降の帳簿を焼いてしまつたという話を聞いておるのでありますが、その点はいかがでしよう。
  246. 神崎賢二

    神崎証人 事実であります。
  247. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、二十七年十月以降、理事長の命によつて帳簿を焼いてしまつたという事実がはつきりしたわけなのでありますが、どの帳簿をお焼きになつたのですか。
  248. 神崎賢二

    神崎証人 どの帳簿と言われましても、おそらく元帳と金銭出納帳だけだつたと思います。
  249. 天野公義

    ○天野委員 これはきわめて重大な問題だと思うわけです。この焼かれた帳簿というものは重要なものだと思うのであります。そうすると、二十七年十月以降の焼かない帳簿というものもあつたわけでありますか。それとも、元帳も裏帳も全部焼いてしまつたのですか。
  250. 神崎賢二

    神崎証人 元の帳簿を焼きまして、現在裏帳だけが残つており、それは警視庁の方へ押収されております。
  251. 天野公義

    ○天野委員 帳簿を焼いたのはどこで焼いたわけですか。
  252. 神崎賢二

    神崎証人 本店であります。
  253. 天野公義

    ○天野委員 いつ、どういう人が立ち会つて焼いたわけですか。
  254. 神崎賢二

    神崎証人 いつと言われましても、日付は忘れましたのですが、大体十一月ごろだつたと思います。また、立会人というものは別にありませんし、おそらく四階の監査課で破いて、だれかが地下のボイラーへぶち込んだんだと思います。
  255. 天野公義

    ○天野委員 帳簿を焼く命令をしたのはだれですか。
  256. 神崎賢二

    神崎証人 理事長だと思います。
  257. 天野公義

    ○天野委員 これはきわめて重大な問題ですが、帳簿については大体はつきりしたと思うので、次の点に移ります。  平野顧問についてでありますが、先ほど直接の金銭授受はしていないというお話でありましたけれども、平野顧問に対する顧問料は、井上が毎月持つて行つたという話をこの間聞いておるわけであります。実際は井上が持つて行つたんですか、それとも平野さんが毎月々々とりに来たんですか。
  258. 神崎賢二

    神崎証人 井上さんが持つて行つたことはあるかもしれませんが、平野さんがうちへとりに来られたという話も聞いておりますから、そういうことも当然あつたと思います。
  259. 天野公義

    ○天野委員 井上が持つて行つたという場合と、平野顧問がとりに来たという両方の場合があつたわけですね。
  260. 神崎賢二

    神崎証人 両方の場合があつたと私は思います。
  261. 天野公義

    ○天野委員 平野顧問保全経済会において果しておりました役割、それから保全経済会の内部に関していろいろと発言をした点もあると思いますが、そういう点について聞いていることがありましたならばお話願いたい。
  262. 神崎賢二

    神崎証人 平野先生がどんな役割をうちの会社で果しておられたかはわかりませんが、ただ、先生がいろいろ方方の開設、支店の改築祝いのときにおいでになられたとか、そういうようなことを知つておるだけでございまして、どんなことを理事長と相談したかということは全然わかりません。
  263. 天野公義

    ○天野委員 次に、先ほど小林君の質問の続きになる問題でありますが、日本水銀鉱山株式会社というものに関して知つていることをお話願います。
  264. 神崎賢二

    神崎証人 日本水銀鉱山も、先ほどのモダン・エンタープライズと同じように、私は知りませんでしたが、証券課に問い合せたところが、払込領収書があつたので、一時私は安心しておりました。ところが、休業後に立ち至つて、その払込領収書がどうも怪しいというので、会社があるのかないのか、私の方で一度調べたことがあります。ところが、どこにあるか、銀行に問い合してもさつぱりわからない。こういうことが出て参りまして、私も非常に困りましたので、この件をその当時望月さんに聞きに行つたことがあります。これは何だか望月さんと中村五郎さんとがやつたことで、その関係は、理事長の不在中にやつたことだから、理事長は知らないという話だけで、どこに日本水銀鉱山という会社があるのか、私も存じ上げておりません。
  265. 天野公義

    ○天野委員 それでは、新トリビユーン株式会社というものと保全との関係をひとつお話願います。
  266. 神崎賢二

    神崎証人 新トリビユーンという会社は、ただうちが持つているということだけを帳簿上で知つているだけで、だれが関係しているのかも全然私は知つておりません。
  267. 天野公義

    ○天野委員 公安文化協会との関係も、知つていることがありましたらお話してください。
  268. 神崎賢二

    神崎証人 そういうものも私は知りません。
  269. 天野公義

    ○天野委員 次に、アジア興業株式会社はいかがでしよう。
  270. 神崎賢二

    神崎証人 アジア興業も同様に私は知りません。
  271. 天野公義

    ○天野委員 仮払いの点については知らないという話がありましたが、小柳善治さんのことは御存じでございましたね。
  272. 神崎賢二

    神崎証人 先ほど申し上げました仮払いのことでその内容は知らないと申し上げたのは、理事長の仮払いがどこへ行つたのか知らないということを申し上げましたので、小柳さんに行きました仮払いはおそらく二千万円の件ではないかと思いますが、これは二十七年九月に有価証券勘定に最初つておりましたのを、私が決算のときに発見して、株がないので断りましたところが、そのうち株が来るというので、一時仮払いの方へ計上しておきました。たれに渡つたか、私の方ではわからないので、小柳善治という名前を帳簿上つけておきました。それがどこへ行つたか、全然私は知りません。その後、休業後に至りまして、仮払いのことで私の課の江利用という人が理事長にこの内容について問合せに行きましたところが、その金は返してあるとかないとかいう問題で非常にもめたことがありますが、帳簿上では返つてないと記憶しております。
  273. 天野公義

    ○天野委員 その次に、後藤帰一氏に五百万円仮払いをした経緯について知つておることをお話願いたい。
  274. 神崎賢二

    神崎証人 その件も、小柳さんの場合と同様に、最初帳簿上は日蘇貿易という名前で、確か五百万円だと思いますが、書かれております。それを聞きましたところ、後藤さんだというので、後藤という名前を書きまして、日蘇貿易を消しました。
  275. 天野公義

    ○天野委員 それから、不二林業株式会社の七百八十万円はどういうふうに……。
  276. 神崎賢二

    神崎証人 それも仮払いで、実は三回にわたつて出ておると思いますが、林道開設資金で確か七百三十万円、不二林業の設立の関係調査とか何かで五十万円、合計七百八十万円が不二林業への仮払いになつております。この点について小柳さんに聞きましたところ、これも受取つてないという話を聞いたことがあります。この点もおかしな話で、その当時持つて行きました井上さんに聞かなければわからないのじやないかと私は思います。
  277. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、仮払いの金では途中で消えてしまつたような金が多いように見受けられるのであります。その金の行方はどうなつておるか、——休業後もいろいろあなたも御調査をされたと思いますが、そういうところから推定すれば、どういう結論が出て参りますか。
  278. 神崎賢二

    神崎証人 そういうものが使途不明の中に含まれて来るのじやないかと私は思います。
  279. 天野公義

    ○天野委員 それから、問題をかえまして、伊藤理事長にあなたは相当使われたりいろいろやつておられたわけでありますが、盛んに伊藤理事長は保全のようなものの立法化ということについて自信を持つた発言をしばしばしておつたという証言があるわけでありますが、あなたから見た伊藤の立法化についての熱意なり努力の現われというものはどういう点にあつたか、その点をお話願いたいと思います。
  280. 神崎賢二

    神崎証人 理事長が立法化を言つておりましたけれども、一度私はその内容いかんと問いただしたことがありますが、そんなことはお前たちが聞かなくてもいい、こういう話をしておりましたので、私は実は立法化のことは何だかあまり信用が置けないと思つておりました。しかし、片一方では、やはりああいう理事長ですから、私の方は一種の期待をするという観念は持つておりました。
  281. 天野公義

    ○天野委員 立法化について伊藤理事長がいろいろ自分で資料を集めるとか、調査をだれかにさせたとか、また有識者の意見を求めたとか、そういうような具体的な努力の現われというものはあつたのでありますか、知つておる範囲でお答え願いたいと思います。
  282. 神崎賢二

    神崎証人 努力をしていたのか、していなかつたのか、休業後は、立法化と言つて会社へ出て来ないので、どつかへ行つておるのだろうという感じだけで、私の方では全然わかりません。
  283. 天野公義

    ○天野委員 休業後ばかりでなく、保全経済会が発足以来、立法化ということについて盛んに口にしておるわけです。そうすると、発足以来休業までその努力のあとが見られなければならないのですが、そういう点についてはいかがでしようか。
  284. 神崎賢二

    神崎証人 私は、そういう努力があつたかないかという問題ではなく、私の受けた感じでは、どうも結果から見て、立法化という言葉が怪しげなものだと、現在ではそう考えております。
  285. 高木松吉

    ○高木委員 証人証言を聞いておると、何を聞いても疑いが出て来るので、特に聞いておきたいのだが、あなたの帳簿——いわゆる出資者に利益と称してもどしてやつた金です。これがはたして正確の数字であるかどうかが疑問になつて来たわけです。二十五年の四月二十五日から二十五年の十二月三十一日まで五百万円、出資者に利益がありとして返しておる。それから二十六年の一月一日から二十六年の十一月三十日まで一億九千万円返しておる。二十六年の十二月一日から二十七年の五月三十一日までは二億八千万円返しておる。二十七年の六月一日から二十七年の九月三十日までは二億七千万円と書いてある。二十七年の十月一日から二十八年の三月三十一日まで四億と書いてある。二十八年の四月一日から二十八年の九月三十日まで四億九千万円、合計十六億六千万円、利益があつたと称して、集めた金のうちから利益配当の形式で出資者に返しておるが、この数字もあいまいではありませんか。これだけ返していないが、返してあるがごとくに記載しておるのではないですか。その点をはつきりさせてもらいたいと思います。
  286. 神崎賢二

    神崎証人 配当の支払い金の数字は間違いないと思います。これは、本店では配当金を支払つておりませんし、二百持つておる支店で全部支払いを行つております。配当の支払いは毎日毎日の日報で累計されておりまして、その月末の累計高は、それぞれの支店試算表なつて現われておるわけです。それを半年分合計したものを全部計上しておりますから、ほぼ間違いはないと私は思います。
  287. 高木松吉

    ○高木委員 そうすると、この数字を報告した基本になつた帳簿は、表帳簿か裏帳簿か。
  288. 神崎賢二

    神崎証人 表帳簿、裏帳簿というものは、本店帳簿をいうのであつて、この配当金の支払いは全部日報によつて行われております。そして日報によつて試算表を作成して、合計の試算表が私の手元へ参ります。ですから、裏帳簿も表帳簿も一つしかありません。
  289. 高木松吉

    ○高木委員 そうすると、この数字には間違いはないという確信が持てるのですか。
  290. 神崎賢二

    神崎証人 この数字は、地方部支店課でつくりました試算表をそのまま私の方で本店の方へ計上しております。そして、この配当の支払いが間違いがあるかないかは、経理部の方から上つて参ります確定配当金の送金簿によつてこれはつけ合せをして見るものでありまして、経理部の方と支店の方の両方で間違つておれば私はわかりませんですけれども、間違いないと私は確信を持つております。
  291. 塚原俊郎

    塚原委員長 中野君。
  292. 中野四郎

    ○中野委員 わずかなことですが、あなた、今日までに検事局か警視庁で調べられたことがありますか。
  293. 神崎賢二

    神崎証人 警視庁の方では毎日調べられております。
  294. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、匿名組合というのだが、たしか全国の投資者の名簿はあるはずなんだが、これは捜査当局へ出したかどうか、これをひとつ聞いておきたい。
  295. 神崎賢二

    神崎証人 本店には投資者の名簿というものはなかつたように記憶しておりますが、地方部支店課にありますものは、人名だけを書いた出資者名簿とかいうものがある。各支店には出資者の名簿は当然備えつけられております。
  296. 中野四郎

    ○中野委員 この名簿は当然捜査当局に提出をしなければならないと思いますが、あなたの方で提出をされた事実があるかどうか。
  297. 神崎賢二

    神崎証人 その点は、地方部支店課の方で保管してあるので、私は知りません。
  298. 中野四郎

    ○中野委員 この投資者の名簿が明らかでないということが非常に問題になつておるのだが、さつきあなたの話を聞いておると、帳簿大分焼いたようなんですが、私、ちよつと大臣室へ行つてつて、席をはずしておつて、皆さん方の御質問と重複するかしらないが、帳簿を焼いたのは大体どういうものをば焼いたのか。そうして、その焼くにあたつて、その帳簿を全部焼いたのか、中から必要なものを抜いて焼いたのか。焼くにあたつては、たれが命令したり指示をしたか。その点を聞かしてもらいたいと思います。
  299. 神崎賢二

    神崎証人 どのようなものを焼いたか、ほかの課は全然私は知りませんですが、自分の課で焼きましたものは、元帳と出納帳であります。これだけしか焼いておりません。——帳簿と称するものは。
  300. 中野四郎

    ○中野委員 さつき委員長質問の中で、あなたは毎期の決算期に対して赤字が非常に出て来たので不安を感じておつたと言われておるのですが、そこでちよつと聞いておきたいが、昨年の二、三月ごろにはもう相当不安が濃厚であつたと思うのですが、あなたはどういうふうに感じておられましたか。
  301. 神崎賢二

    神崎証人 毎期の決算でいつも不安は感じておりましたので、ただ感じていたということだけしかお答えはできないと私は思いますが、その当時は毎期、望月さんがおれば望月さんに、あるいは中村さんにも言つたことがあると思いますが、どういうふうにするのかということを常に私は心配して、どういうふうに今後この赤字を埋めて行くかということを聞いたことがあります。
  302. 中野四郎

    ○中野委員 一昨年の昭和二十七年の九月時分には保全経済会は非常に日の出の勢いのときであつた。そして、国会の方から言うと、抜打ち解散が八月二十八日に行われて、政治家は非常に金に飢えておつた。こんなときに、後光のさしておるような保全経済会だから、辺りかまわずにあなたのところから金をもらつておるような傾向が多いのだが、伊藤斗福君は警視庁で、三月ごろはまつたくだめだつたということを言つておるのですが、あなたの感じは、昨年の三月ごろは、はたしてそういうような状況にあつたかどうかということを聞いておきたいと思います。
  303. 神崎賢二

    神崎証人 どういう状況にあつたかということは、利益がないのに配当しているのでありますから、当然その当時から、もうだめなのはだめなんである、詰まつてつたことは事実だつたろうと私は記憶しておりますが、しかしながら、いくら詰まつても何とか回転しているうちは倒れないという感じは受けております。
  304. 中野四郎

    ○中野委員 たいへん正直でよろしい。初めからだめだつたので、利益のないのに配当しておるのはおかしいと言うあなたは、まことに正直です。これが保全経済のほんとうの実体でしよう。  そこで、もう二点伺つておきたいのですが、物を買い入れたりなんかするのに大分水増しがあつたことをあなたは認めておるのだが、この水増しした金はどこに使われたと思いますか。相当あります。たとえば新夕刊に行つている金が六千五百万と言つておるが、実際は三千五百万の水増しなつておる。三重県の山林の七十五百万の支出の中で三千百万円を松阪勧銀の代理店に送つておるが、実際は六百万円しか山元に行つておらぬ。例をあげれば切りがありませんが、私らの調査によれば、十億近い金がこういう水増しなつておるわけです。これはどこに行つたのです。——あなたの御想像では。少くとも監査課長をしておつたのだから、帳簿上に見ておればすぐわかることなんです。あなたくらいのまじめな人なら、おそらく直感されたろうと思います。どこへ流れたと当時は思つておりましたか。——現在もともにですよ。
  305. 神崎賢二

    神崎証人 どこに流れたかと言われましても、想像でも別にお答えすることはできませんが、三重県の山林のときだけは、井上さんからこれは政治献金だということは聞いております。従つて、現在の感じとすれば、その他のものもそうではないか、あるいは理事長がどこかに使つたのだ、これしか考えられません。
  306. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、政治献金にも相当使つたように思うのだが、理事長が隠しておる財産大分あるのじやないですか。まあいろいろ話のつじつまを合せて行きますと、一つの銀行なり会社をトンネルにして、そうしてあなた方の帳簿の上においては向うに払つたことにしておいて、それから先一部の水増し理事長の隠匿財産というような形になるおそれは多分にありましたね。ないとは否定できないね。だから、そういう点で理事長財産隠匿の一つの形があるのではないかと思うが、これに対してあなたはどういう見解を持つておるか。もしありとすればどのくらいあると思いますか。たとえば京都の方にも、山形屋に送つた七千万円という金も、現金輸送しておつたのでありますから、こういう点はどういうふうに感じますか、
  307. 神崎賢二

    神崎証人 警視庁でも言われますが、財産隠匿ということはあるような気もするし、ないような気もするし、私には全然わかりません。また京都の山形屋に七千万円だか送つたとか、あるいは幾らだか金額はわかりませんが、新聞にも何だか載つていたような気がします。しかし、休業後のように新聞に書いてあつたと思いますが、休業後にそれだけの金があつたのかなあと、私は非常にふしぎな感じを抱いておつたのであります。また、今でも、そういうことはなかつただろうと思うだけであります。
  308. 中野四郎

    ○中野委員 そこで、ちよつと伺うのだが、昨年の十月の半ば過ぎから十一月の半ばごろまでの間に、北海道の某会社に相当な金が流れた例があるのですが、これはここでは一々名前をあげることは人様の名誉に関することだから申しませんが、それは帝国銀行を通じて流れておる金だが、伊藤理事長財産隠蔽の一つの手段として帝国銀行をトンネルに使つて、その会社に金を貸しつけておるように聞いておるのです。その金額は大体七、八千万円の金額になるのですが、あなたの方で何かそういうような感じを受けたことがあるかどうか。警視庁でもおそらくこれは聞かれたかもしれませんが、またこれから聞かれるのかもしれませんが、どうですか。ありますか。
  309. 神崎賢二

    神崎証人 ありません。
  310. 中野四郎

    ○中野委員 もう一つ聞いておきたいのですが、広吉料を各方面に払いましたね。新聞社や放送局、相撲場、いろいろな方に払いましたが、この広告料は一体だれが取扱つているのですか。結局あなたの方の許可を得るのですか。
  311. 神崎賢二

    神崎証人 私の方の許可は別に得ません。それは最初総務部の方で担当しておりまして、企画課で広告屋さんと折衝して、それが総務部長の手を通じて理事長室長理事長経理部長をまわつているように思います。私の方へまわつたことは全然一度もありません。
  312. 中野四郎

    ○中野委員 そうすると、監査課長として、広告料とか宣伝料というものが一番はげしく出たのはいつでありますか。
  313. 神崎賢二

    神崎証人 一番はげしく出ましたときと言われましても、記憶にありませんが、うちの方で相撲放送するようになつてからであります。
  314. 中野四郎

    ○中野委員 そうでなくて、この業態がいろいろいけなくなつた、そこで大大的に宣伝して金を集めなければならぬということは、すでに前の証人が述べておるのです。従つて、大々的に新聞社やあるいは放送局とか、ないしいろいろな方面に宣伝をされて、一番多く金の支出されたときはいつかと聞いておるのです。
  315. 神崎賢二

    神崎証人 広告料の金額などは全然記憶にありませんが、大体二十七年から八年にかけてでないかと思います。
  316. 中野四郎

    ○中野委員 新聞広告料といつてもなかなかなまやさしい金額でない。三億六千万からの金が出ているのです。そうしますと、あなたの先ほどの話から言うと、全然もうかつていないのに、利益配当しつつこのような莫大な広告費を使うということは、やはりそこに根拠がなくてはならない。その根拠を前証人言つておられるのです。苦しくなつたから、——どなたかおつしやつた自転車のペタル操業というのだそうだが、ぐるぐるまわすという意味でしよう。そういう意味において宣伝を盛んにして、金を多く集めるために使つたということだが、それが何月ごろかと言うのです。帳簿の上に何月ごろから一番はげしく出ているかということを聞くのです。昨年の三月ごろだと、一番危機であつたと言う伊藤斗福君の言葉と合致して来ると思うのです。それで監査課長数字の上で聞くのです。
  317. 神崎賢二

    神崎証人 私の方では、広告料は何月ごろが一番はげしいかということは別に見ておりません。決算のときに半年分をまとめて見るだけでありまして、それが多くなつたが少くなつたかということだけしか私の方ではわかりません。
  318. 塚原俊郎

  319. 田渕光一

    田渕委員 私はまだ大分聞きたいことがあるが、きようは本会議が二時かららしいので、振鈴の前に食事もしなければならぬから、この証人証言を求めることは後日に譲つて留保したいと思います。たた伺つておきたいのは、先ほど平野顧問がよく支店の開店のときなどへおいでになつて会つたというお話がありましたが、そういうことはどのくらいございますか。支店を開設されるときに、あんたは監査課長として、平野さんと一緒行つたかどうか。
  320. 神崎賢二

    神崎証人 私は平野先生と同道して一緒行つたということは一度もありませんが、よく、支店で建築祝いなんかやりますと、支店の方から写真を送つて来るので、見ておりました。何回行つたかは別に記憶いたしておりません。
  321. 田渕光一

    田渕委員 それで、一緒行つたわけではないのですね。それじや、もちろんあいさつされたようなこともない。しかし、あなたは新夕刊の方へはちよちよ行つたというようなお話がありましたが、新夕刊へも行くと同時に、芝の明舟町の平野さんの事務所へも行つたことがございますかどうですか。
  322. 神崎賢二

    神崎証人 新夕刊はちよちよい行きましたが、平野先生の明舟会館へは休業後にたしか一度しか行つたことはございません。
  323. 田渕光一

    田渕委員 それでは、営業中は行つたことはないと言うのですね。  こういう話を聞いたことはありませんか。とにかく、後藤氏に五百万出ている金は、日蘇貿易会社をつくるのだというので出して、そして伊藤理事長と後藤帰一君が麻布の元ソ連大使館へ数回おもむいた、そうして同時にまた明舟の会館の方へも行つた、こう聞いておるのですが、そういうことを聞いたことはございませんか。
  324. 神崎賢二

    神崎証人 帳簿上で日蘇貿易とかあるいは後藤氏と名前を書いたことは記憶しておりますが、そのほか、ソ連大使館とか、そういうような話を聞いたことは一度もありません。
  325. 田渕光一

    田渕委員 明舟会館の平野さんの事務所の三階で「革新」という雑誌を出しているのをあなたは見たことがありますか。
  326. 神崎賢二

    神崎証人 ありません。
  327. 田渕光一

    田渕委員 先ほどのお話で、元帳も出納帳も焼いたと各委員質問に対してお答がありましたが、出納帳で、大体顧問にどのくらい出たとか、あるいは、当時非常に立法の運動をしておつたから、出入りする政治家にどのくらい出ておつたかというのがわかつては悪いから、これを伊藤君が焼けと命令したのだと思うが、およそあなたの記憶では、どの政党幾らということはわかりませんか。政治家にどのくらい出たということ、数字あるいは人を知つてつたらお答えください。あなたは非常にありのままをお答えいただいて、実際保全経済会証人としては一番正面にすなおに言つてくださつておるので、伺つておるわけであります。
  328. 神崎賢二

    神崎証人 元帳を書きましたときにそういうものは一切出ておりません。顧問料も五万円と記憶しております。
  329. 田渕光一

    田渕委員 この新夕刊へ六千二十五万円が出ておるのですが、そこで、新夕刊の社長に伊藤君がなられたということをあなたは御存じですかどうですか。
  330. 神崎賢二

    神崎証人 聞いたことはありません。
  331. 田渕光一

    田渕委員 新夕刊の社長になつたときに、当時の大株主であるという三浦義一君、児玉誉士夫君、それから高源君に五百万円ずつ金一封として千五百万包んだと聞いておりますが、これはどうですか。御存じありませんか。
  332. 神崎賢二

    神崎証人 六千二十五万新夕刊に借財が出ておりまして、そのうち三千五百万円合わないというのは、あそこの山崎社長とずつとつけ合せをしましたときにわかりましたのですが、その三千五百万円は二千万円と一千五百万円の二口にわかれておりまして、それを理事長のところへ、たしかことしの一月だつたと思いますが、千五百万円合わないけれどもどうするのだと私が聞きに行きましたら、それは金一封だからという話を聞いたことはあります。だれに金一封をやつたのか、全然私は存じ上げておりません。
  333. 田渕光一

    田渕委員 新夕刊から当委員会の事務局が資料を求めた中にこう出て来ておるのです。一千五百万円は、伊藤理事長が同社の大株主となつたのを機会に、元の新夕刊の所有者であつた三浦義一、高源重吉、児玉誉士夫の三君へあいさつとして金一封を贈呈したものであるらしい、千五百万円合わぬ金はそれじやないでしようかと新夕刊の方から当委員会に報告して来ているのです。もらつた方でそう言つておるのですから、その千五百万円はそれじやないかと思うが、あなたは監査課長としてそのくらいの金をやつたかどうかということは聞かなかつたかどうか。伊藤君から千五百万円をやつたのだということをあなたが聞いたとき、その三人の名前は出ませんでしたかどうですか。
  334. 神崎賢二

    神崎証人 理事長から聞きましたときには、名前は全然聞いておりません。
  335. 田渕光一

    田渕委員 あなたが入社されたのは昭和二十六年の一月二十三日と伺いましたが、二十六年にあなたが入つたその年の春ごろ、京都の仏教保全経済会ができたときに、こういう「利殖のしるべ」というものをつくつた。これにはつきり大谷瑩潤さんなども出て来ておるわけでありますが、これは御存じですか。このパンフレットはどこで刷つたかということは御存じないですか。
  336. 神崎賢二

    神崎証人 そのパンフレットがどこで印刷されたかは、私全然知りません。
  337. 田渕光一

    田渕委員 このパンフレットをここにごらんに入れますが、これをごらんになつて、どのくらいの部数を刷られたか、おつしやつてください。     〔書類を証人に示す〕
  338. 神崎賢二

    神崎証人 このパンフレットを見せられましても、どのくらいの部数を刷られたか、どのくらいの金額が出たかは、全然知りません。
  339. 田渕光一

    田渕委員 いつごろあなたはそれを見られましたか。
  340. 神崎賢二

    神崎証人 そういうパンフレットは、私会社に勤めるようになつてからも全然見たことはありません。
  341. 田渕光一

    田渕委員 大谷瑩潤さんと結ぶ動機は、先ほどあなたに聞いた、いわゆる三重県の山林の二千五百万円を、井上俊吾君あて松阪に送つて、それを水谷紫石がとつて水谷紫石から大谷瑩潤さんに行つたのだと思いますが、これは井上君も当時それは政治献金だということを言つておるのです。ところが、この間瑩潤さんは、そういうことは知らぬということを言つたので、あるいはこれは中に入つたブローカーが着服したのかもしれないけれども、この二千五百万円というものは明らかに政治献金である、これがはつきりした政治献金だとうたつておるのはこの書類しかないのです。つまり三千百万円の金のうち六百万円はわかつたが、二千五百万円はどこに行つたかとつかれたところ、当時の井上俊吾君から、政治献金に使いましたとはつきり言われた。これが一番はつきりしておるのですが、あなたは監査課長として、この二千五百万円というはつきりと届けておるところの金がどこに行つたかも聞きませんでしたか。ただ政治献金というだけで、どの政党、あるいはだれに行つたかというようなこともあなたは聞きませんでしたか。ここが一番のキー・ポイントなんですが、どうですか。その当時の事情知つておれば、わかつておるだけ率直にお話願えれば、たいへん参考になると思います。
  342. 神崎賢二

    神崎証人 二千五百万円は政治献金だというようなことを聞いただけで、どこの党とか、あるいはだれにというようなことは、一切聞いたことはありません。
  343. 田渕光一

    田渕委員 私は、先ほどお目にかけたパンフレットが今わかつた。「利殖のしるべ」というものは二十八年八月七日に六十三万円の印刷代を払つておるということがわかつたのですが、二十八年の八月といえば、もうすでに休業一歩前であります。カンフル注射をしなければならないときです。そのときに、そういう非常にもうかるのだというような誇大な広告をやつて、六十三万円も使つておられるのですから、これは詐欺の手段としかわれわれには思えないのであります。これはちよつとごらんになつてもわかるのでありますが、二十八年八月にそういうものを出したということについて、あなたは今監査課長としてどういうふうに考えておりますか。非常に会社が苦しいのに、そういう誇大なパンフレツトをつくつて大衆を欺いたことになつておるのですが、あなたはそれをどういうふうに考えられますか。
  344. 神崎賢二

    神崎証人 どういうふうに考えるかと言われましても、結果から見れば、そういう誇大なことをしてつぶれたのだから、詐欺だと言われればそうかもしれませんが、その当時としてみれば、これで非常に大きな回転資金が入つて来たかもしれませんし、ぼくはどういうふうに答えていいかさつぱりわかりません。
  345. 田渕光一

    田渕委員 おとといの松本証人は、最後までやつて行けると思つた、こう言つておられる。あなたが理事長に案を持つてつても、水増しをかつてにやられるし、牧原理事あるいは証券部長から文句を言われるし、あなたとしてみればどうでした。——最後までやつて行けると思われたか、思われませんでしたか。ここがあなたと松本君と人格の違うところで、今までの証言が生きて来るか生きて来ないかはこの点にあるのだから、その点をひとつ率直に……。
  346. 神崎賢二

    神崎証人 その点は、見通しというような問題と同じようなものだと思いますか、私とすれば、先ほど申し上げましたように、常に不安を持つていたということであります。不安というのは、このまま行つたらつぶれるという不安でありまして、いつになつたらつぶれるというような一種の気持もありました。しかしながら、当時望月さんにどうするのかと聞きますれば、不動産が評価されればもうかる、あるいはそのあとにはいろいろ有望な事業に手を出して赤字を埋めて行くとか、そういうような話も聞きましたし、そういう点、腹では一種の期待という観念を持つておりました。そして、松本室長なつてからも常に不安は持つておりましたけれども、やはり理事長とか松本室長から、私に、もう少しがんばつてくれ、大丈夫だから、こういうお話を承つたので、それで私の方もやはり期待を持つていたわけであります。
  347. 田渕光一

    田渕委員 不安であつたということはあなたは認めた。しかしながら、もう少しがんばつてくれということは、あなたが非常に不安であるから、とうていやつて行けないからよすとか、あるいはこれではいかぬからというようなことを、諌言か、あるいは注意伊藤理事長に申し上げたから、あるいは松本君に言つたので、それでもう少しがんばつてくれというようなことを言つたのですかどうですか。
  348. 神崎賢二

    神崎証人 私は、入りましてから、いろいろな経理の仕事とか、技術的なことを望月さんに非常に教わつておりましたので、望月さんがやめられましたときに、私もやめる、こう申し上げましたところが、理事長なんかからもとめられておりました。望月さんがやめたときに、これでは会社はだめになるのじやないかという一つの観念を持つておりました。望月さんがやめられる理由というのも、これは別な話でありますけれども、三重県の山林を買うことについて断つたことが何かやめたことと関連性があるということを聞いておりますので、これはどうしてもほかの方が望月さんを追い出したんだという感じを私は当時は受けておりました。従つて、私も会社の中では望月派だと言われておりましたので、望月さんと一緒にやめて行くつもりでした。ところが、そういうように言われまして、それではと、私も残つておりましたのですけれども、望月さんがいなくなつたのでは当然つぶれてしまうのではないか、こう私は考えておりましたから、不安が常に重なつて来たのであります。
  349. 田渕光一

    田渕委員 大体、望月君が非常にいい案を立てられて、こうして行きたいというふうにいろいろ献策したけれども、聞きいれないから、そこで、それではかつてにしろというようなことで理事長とわかれられたらしい。そこで、あなたが望月派であつたというような点から——いろいろ真相をつかむのに非常に有益なる証言をあなたがしてくださつたので、私もこの点についてはあるものをつかんでいるのでありますが、どうでしよう、望月君と伊藤君とが衝突したときに、顧問団の平野君あたりが第二会社案で行こうと言つたのに、伊藤君は立法化で行こうと言われたのか、それとも、伊藤君が第二会社案で行こうと言うのに平野君が立法化で行こうと言われたのか。あなたは望月君にかわいがられ、ことに監査課長をしておられたのですから、その当時の伊藤理事長と平野顧問、あるいは望月さん——会社がのるかそるかだから、そこであなたに待つてくれと理事長が言つたというのですが、こういうようなところを参考になるように御証言願えませんか。
  350. 神崎賢二

    神崎証人 伊藤理事長と望月さんがぶつかつたというのは昭和二十七年のことでありまして、伊藤理事長と平野顧問がぶつかつたというのは休業のときのことだと思います。時間的にずれがあるではないかと思います。平野顧問は第二会社案、伊藤理事長は立法化案、こう二つにわかれているというような話を聞いたことはあります。
  351. 田渕光一

    田渕委員 平野君が第二会社案を言うのは、たとえば山梨県の自分の選挙地盤から九千万円ほどの金を自分が口をきいて集めているので、これを先に返すのにはどうしても伊藤を追つぱらつてしまつて保全経済会を乗つとらなければならぬ、そこで第二会社をつくるということについて児玉誉士夫らと非常に積極的に口をきいたと聞いておりますが、それをあなたは御存じですか。
  352. 神崎賢二

    神崎証人 そういうことを聞いたことはあります。
  353. 田渕光一

    田渕委員 ありますのですか、ありませんのですか。
  354. 神崎賢二

    神崎証人 あります。
  355. 田渕光一

    田渕委員 そのかいつまんだ話をここでひとつ御証言つておきたい。これが一番大事なことです。
  356. 神崎賢二

    神崎証人 具体的にはよく存じ上げておりませんが、井上さんが、休業なつてから一時ずつと会社へ出て来なかつたことがありまして、何をしているのかと開きましたところが、秘書課の方では、平野さんと一緒に——松本顧問一緒だという話をしておりましたが、第二会社に持つて行くというようなことを相談しているらしい、こういう話を聞いたことがあります。その内容がどんなものであるか、私は全然関係いたしておりません。
  357. 田渕光一

    田渕委員 平野君は、この会社を投げ出してしまえと伊藤君に非常に強く要望したらしい。私たちの方では、要するに、第二会社として、平野君が整理に入つて、一応伊藤をたな上げして、山梨県の方の九千万円を先に清算さしてしまおうという手を打つた、そこで平野君を伊藤君は信じなくなつたと聞いておりますが、これはどうですか。そういう結果からそういうふうに伊藤と平野君の間が去つて行つたかどうかを、知つている範囲でおつしやつていただきたい。
  358. 神崎賢二

    神崎証人 山梨から集めたお金を先に返すというようなことは聞いたことがありません。ただ、理事長と平野顧問が、そういう第二会社案の件でもつて非常にもめていたということは聞いたことがあります。それだけしか私は知りません。
  359. 田渕光一

    田渕委員 立法化の運動を頼んでも、平野顧問ではできないというような不平を言つていたことはありませんですかどうですか。——伊藤理事長が。
  360. 神崎賢二

    神崎証人 不平というものを全然聞いたことがありませんです。平野顧問に対して伊藤理事長がその当時何か非常に怒つておられたというようなことは、たまたま聞いて知つておりますですが、その後に井上さんが中に立つて仲直りをしたという話も聞いております。
  361. 田渕光一

    田渕委員 平野顧問が三百何十万円という顧問料をとり、芝の明舟会館を使つて、そうしてその下をまたよその金属会社に百万円の権利金をとつて貸して、保全の方へはその家賃を払わないで、又貸しした会社から五万円か七万円の家賃をとつているように聞いている。ことに保全会の自動車も使つている。こういうような意味で、私たちはほとんど保全のまるがかえのように考えております。それが衝突するとか、伊藤君が平野君を信じなくなつたということを、あなたとしてはどういうふうに感じておりますか。
  362. 神崎賢二

    神崎証人 どういうわけでそうなつたか、私今わかりませんが、結局は休業後の立法化に——理事長の言う立法化に協力してくれなかつたから信じなくなつた、こう考えております。自分は。
  363. 田渕光一

    田渕委員 結局立法化に協力をしなくて、本質は山梨県の九千万円を返すために伊藤をたな上げしてしまおうというので望月さんと衝突したということを、中村五郎という内輪の証人から私たち聞いておりますが、あなたはそれを御存じありませんか。
  364. 神崎賢二

    神崎証人 私は聞きません。
  365. 田渕光一

    田渕委員 本会議も始まりましたから……、なおもう少し聞きたい点もありますので、これで終らずに、また後日来ていただくかもわかりません。  非常に素直な証人で、大体全部わかつたのでありますが、もう少し聞きたいこともありますから、ひとつこの次にしていただきたい。
  366. 塚原俊郎

  367. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 本会議も始まつておりますので、二、三点だけ伺つてみたいと思います。  そこで、この筋を通しますと、あなたは理事長室の監査課長ですが、同僚議員からも裏帳簿と表帳簿に関して質問があつて監査課長としての立場上帳簿を焼いたと言つている。そうして、これは焼いてもよろしい帳簿を焼いたのであるかという質問に対して、本物を焼いた、こういうことを言つておられますが、これを正直に話してもらいたい。
  368. 神崎賢二

    神崎証人 本帳簿を焼いたということは事実でありますが、私の独断でやつたのではなしに、理事長から、理事長の前渡しを埋めるためにやつてくれ、こう言われまして私の方でつくつたものでありますが、理事長からそれを処置するように命ぜられて、私が焼いた形になつております。
  369. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 本物の帳簿は焼いていない。あなたはそうおつしやるが、本物の帳簿はまだほかにある、その帳簿の行方を警視庁も一生懸命探しておられる、こういうことを聞くのですが、そうじやないですか。
  370. 神崎賢二

    神崎証人 警視庁でもそういうように言われますし、私がいくら焼いたと言つても、警視庁でも信用しないのでありますが、私はみんなのいる前で破きましたし、焼きましたし——まあ焼かせたのでありますが、おそらく私はほかにはないと考えております。
  371. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 それでは、あなたは監査課長としては理事長と相談の上で焼かれたのですか。
  372. 神崎賢二

    神崎証人 理事長が四階に上つて来て私に言つたことであります。
  373. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 そうすると、その帳簿を焼かれた時分は、前の大蔵大臣の池田さんが渡米中で、国際電話を通じて、この帳簿を焼いてしまえという話があつたという町の声でありますが、そういうことですかどうですか。
  374. 神崎賢二

    神崎証人 そんなことは全然知りません。
  375. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはさつき、後藤帰一という名前を帳面に載せたことがある、それから日蘇貿易というものも聞いたことがある、こう言われたが、どういう性質のものだと聞いておりますか。後藤とはどういう人で、日蘇貿易KKとはどういうことだと聞いておりますか。
  376. 神崎賢二

    神崎証人 それは、日蘇貿易という名前が書いてあつて、何だかおかしい、これはないのじやないかという話から、井上さんから、後藤さんにやつた金だということを聞きましたが、私は元帳に後藤と名前を書いただけであつて、後藤さんという人は見たこともありませんし、全然知りません。
  377. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 明舟会館の中野事務所と同じところにおります。平野氏と後藤氏の関係はあなた御存じないですか。平野氏とは明舟会館に行く前よほど密接な関係のあるものとわれわれは想像できるのですが、その点はどうですか。
  378. 神崎賢二

    神崎証人 何だか後藤さんが平野事務所に行つているようなんですが、私はそういう事実も知りません。
  379. 塚原俊郎

    塚原委員長 神崎証人に対する尋問は、本日はこの程度にて終了いたします。後日再び出頭を求めることになるかもしれませんから、その点御了承願います。  証人には長時間にわたり御苦労でした。  この際御報告いたします。去る三月九日本委員会証人として証言を求めました松本辰雄君より、証言の一部訂正願いが委員長まで届いております。前例によりまして、これを朗読の上速記録にとどめることにいたしますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  380. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議がなければ、さよう決しよす。  次に朗読いたします。   一、三月九日貴委員会に於ける証言内容中一部訂正の件   三月九日貴委員会に於て保全経済会について証言を求められましたが、証言記憶違いにより誤りがある点を気付きましたから、左の通り訂正致し度いと思ひますから、宜敷く御取計ひ下さる様御願ひ申上げます。     記   訂正する点  一、児玉誉士夫氏との関係について    児玉さんと知り合つたの休業後に知り合つたと申述べた様ですが誤りで、昭和二八年十月十日頃初めて御逢ひしたのが事実であります。              以上以上の通りであります。  本日は、重要なる本会議関係上、委員会調査はこの程度にいたしまして、本日午後尋問の予定になつておりました河野銀行局長及び脇坂東京国税局長は来る十三日に出頭を求めることにいたし、順次喚問予定証人の出頭日時を変更いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  381. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議がなければさよう決します。  次会は来る十三日午前十時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時七分散会