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1954-11-29 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第76号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十九日(月曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 越智  茂君 理事 松永 佛骨君    理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君    理事 岡  良一君       青柳 一郎君    有田 二郎君       高橋  等君    中川源一郎君       降旗 徳弥君    安井 大吉君       亘  四郎君    滝井 義高君       萩元たけ子君    福田 昌子君       柳田 秀一君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局医務課         長)      熊崎 正夫君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 十一月二十七日  委員高橋等君、中川源一郎君及び柳田秀一君辞  任につき、その補欠として田中伊三次君、篠田  弘作君及び島上善五郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員篠田弘作君及び田中伊三次君辞任につき、  その補欠として中川源一郎君及び高橋等君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十九日  委員山口六郎次君、萩元たけ子君及び島上善五  郎君辞任につき、その補欠として有田二郎君、  福田昌子君及び柳田秀一君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  新医療費体系に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず前会の長谷川委員質疑に対する薬務当局報告を承ります。薬務局長
  3. 高田正巳

    高田説明員 前回でございましたか、長谷川先生から大阪府の医師会におきまして、薬局処方箋を出しまして、その調剤が適正であつたかどうかということについて調査をいたされた。その事実について当局側でも調査をいたすようにという御質疑がございました。私どもこの調査を人を派していたしたのでございまするが、私ども態度といたしましては、率直に申し上げますると、これは医師会がおやりになつた調査であるからして、その調査答弁をいたすような材料を集めるとかいうふうな気持では全然なく、その報告が真実であるといたしまするならば、これは薬務行政上におきましても非常に問題である。従つてその真相をできるだけ的確につかみたい。そうして薬事行政の今後の運用に資したい。かような態度調査に当つた次第でございます。それで大阪へ参りまして、直接あるいは大阪衛生部当局を通じまして、まず調査をなさいました医師会側にお持ちになつております調査資料なり、あるいはまた調査方法等につきまして、御提供を願い、お話を願うようにお願いを申し上げたのでございまするが、これは極秘であるということで資料の御提供もいただけず、調査方法につきましても御説明をいただけなかつたのでございまして、この点ははなはだ遺憾でございましたが、実はそのために調査に非常な困難をきわめました。さような調査支障がございましたが、関係の方の御好意によりまして、府の医師会で発表されておりますその報告書だけは何とか手に入れることができましたので、それをたよりにいたしまして、調査実施いたしたわけでございます。今日までのところ、当局調査をいたしました資料を、実は昨日持ち帰りまして、その整理をいたしておりまするので、なお細部の点につきましては、十分なる結論が出ておらないのでございまするが、大要次のような事実が判明いたしました。  これは大阪神戸と両方で実施がされておるのでございまするが、まず大阪の方につきましては、処方箋が百十三枚出されておりました。そうしてこれらの処分箋には、一枚について一ないし三の処方が書いてあります。大体二処方でございますが、一つのもございますし、三つのもございます。それでこの処方組合せをいろいろ検討いたしてみますると、十四種類組合せがございます。そのうちの十二種類組合せのものには、報告書の方にはフタリジンという名前で書いてあるようでございますが、一般名フタリールスフアチアゾール、それからアロバルビタールアモバルビタール溶性フエノバルビタールという四つの薬が入つております。これを言葉をかえて申しますと、処方箋の出されました百十三枚の中で、百枚にはこの四つの薬のいずれかが処方されておる、かような関係なつております。さてこの四種類の薬の大体の御説明をいたしてみますると、まずその繁用度でありますが、私どもの方で、東京都内の最も代表的な総合病院、これは大病院でございますが、実は時間がございませんので、二つほどこの大病院調査をいたしたのでございます。これらの病院におきまする一箇月間の処方件数はおのおの三万処方くらい出されておるのでございます。その約三万のうちで、アロバルビタール及び溶性フエノバルビタール、この二つの薬の処方は、一箇月間に一回も出ておりません。それからフタリールスルフアチアゾール並びにアモバルビタールの方におきましては、処方は出ておりますが、その回数は非常に少くて、前者につきましては、その総処方数との比率をとつてみますると、一病院では〇・〇二%、もう一つの方の病院におきましては〇・〇三%というパーセンテージになつております。なお後者すなわちアモバルビタールにつきましては、一応病院では三・四%、他の病院では三・八%という数字を示しております。ただあとの方のアモバルビタールにつきましては、その処方の多くは神経科処方でございます。大体こういう状況なつておるわけであります。  これを要しまするに、大阪で発行されました処方箋の百十三枚のうちの百枚の中には、かように普通にはほとんど処方されぬような薬が処方されておつたという事情があるのでございます。特に処方箋の中身を実際に調べてみますると、これらの薬を日本にない外国製薬会社商品名で書際れてあるものが相当数見受けられました。しかもこれらの商品名のものは輸入をいたしておりませんので、かような場合にはむしろ断つた薬局についてはやむを得ないものがあると首肯されるのでございます。処方されました薬の性格につきまして申し上げたのが以上の通りでございまするが、その次には、この調剤されました薬が正しく調剤されたかどうかということにつきまして試験をいたしておられるのでございます。これはあの報告書にも書いてありまするように、国立学芸大学教養学部高木助教授及び大阪市立衛生研究所で行つておりますることは事実であります。前者高木助教授の方は、個人的な依頼を受けられまして、三日間で八十一検体をやつておられます。後者市立衛生研究所の方では、ホミカエキスだけの正式な依頼試験を行つております。市立衛生研究所で行われたホミカエキスの方の試験繁用医薬品でもございまするので、試験結果につきましてもほとんど問題はございませんでした。大部分は国立学芸大学高木先生試験をされたものの方にいろいろな問題があつたのでございます。それでこの試験方法につきまして御本人にお立会いをいたしまして、いろいろと試験のやり方についてお伺いをいたし、非常に気持よくお話願つたようでございます。その試験方法につきまして二、三私の方の技術家たちの判断といたしまして気のつきましたことは、一つは、公定書収載医薬品がたくさんあるわけでありますが、その公定書収載医薬品試験法につきましては、公定書に定められた方法があるにもかかわらず、これによつておられないのでございます。なお大体は新潟医大岡崎博士試験方法を採用したというふうに報告書にも書いてございまするし、またさようなことのないように伺つたのでございます。その岡崎博士試験方法の書物があるのでございまするが、そのうちの一部分だけをおとりになりまして——これは時間的な関係でそうなつたことと思いますが、いろいろな方法をもつて一つのものを確かめるということであるのに、一、二の方法で確かめておるにすぎない。なおまた、これは全般的にそういうことが言えるのでありますが、数多くある試験法のごく一部によつて判定をしておられるのでございます。従いましてその結果につきましては、なおいろいろと疑問の余地が存在するというふうに考えられるわけでございます。しかしながらこれは当時の事情を伺つてみますると、是が非でも三日間でこの八十一検体というものをやつてくれというふうにきびしい時間的な制約があつたのでございまして、無理もないことと考えられるのでございます。ただ結論的に申し得ますことは、この程度試験で結果を最終的に判断するのは十分な試験法ではないというのが技術者の一致した見解でございます。  以上は薬の性格なり素性なりあるいは試験方法について概括的なことを申し上げたのでございますがさらに個々の問題について二、三調査の結果判明したことを申し述べてみたいと存じます。その一つは、溶性フエノバルビタールという薬が、先ほども申し上げたのしでありますが、百十三枚の処方箋のうちに十八枚ございます。これが処方されております。ほとんど全部が不適正な調剤と制定されておるわけでございます。これは先ほどちよつと申し上げまして通り、二大病院の一箇月間のそれぞれ約三万点の処方のうちに一回も出ておらない薬でございますが、さらにまたこの溶性フエノバルビタールというものは非常に吸湿性が強くて、散剤として調剤いたしますると、すぐべとついてしまう。従つて散剤としての調剤には使用できない薬なのだそうであります。このような処方散剤処方として出ておりますことは、いささか了解に苦しむのでございます。なお散剤として調剤いたしまする場合には、溶性でなく、同じ薬効を持つたフエノバルビタール調剤いたすのが普通なのでございます。それでこの場合におきましては薬局におきましてフエノバルビタール調剤しておるのでございます。さような事情がございます。それから次にフタリールスルフアチアゾール処方したものが、これはフタリジンという名前なつておりますが、一般名フタリールスフアチアゾールと申すのでございますが、百十三枚の処方のうちに九十五枚ございました。多く不適正な調剤という判定なつております。処方箋を実際に調査してみますに、先ほど申し上げましたサルフアサリダインという、これは米国の何とかという会社商品名だそうでありますが、外国商品名で書かれておるものが相当ございました。これはむしろ断るのが普通でございますが、なお患者の強い要請等によつて薬効の似通つたようなものを出しているようであります。この点につきましては薬事法上遺憾に存ずるのでございます。そういう事実があつたことが判明いたしたのでございます。  次は神戸市の問題でございますが、これはホモスルフアミンという薬の単味処方箋が出ております。これにつきましても、二、三判明いたしましたところを申し述べてみますと、ホモスルフアミンと書いてあります処方に対しまして、そのホモスルフアミン錠剤を交付したもの、あるいはその錠剤をくだいて粉状にして与えたもの等が、判定の万におきますと処方箋に指示しない他の錠剤を渡した、あるいはまた主剤を含むも他の薬剤を混じたという判定なつております。これは錠剤でございますので、賦形薬が入つているからそういうことになるわけでございます。この判定を見ますと、判定言葉から受けます感じはいかにも不都合なように感じられるのでございますが、その中味はかようなことなのでございます。また処方箋の現物を見ますと明らかにスルフアミンと記載してございまして、その通り調剤されておる。ところがこれが判定を見ますと、まつた違つた薬剤を偽つて調剤せるものと判定されておるものもございます。これはおそらく何かの間違いであろうと存ずるのでございます。それからなお判定を見ますと、主剤を含むも分量著しく不正確なものという判定がございますが、これは先ほど試験をされた方のお話を伺いましても、定量的な試験は行つておらないのでございますので、どういうことでそういう判定が出て参つたか、この辺の事情ちよつとわからないでございますが、なおまたこういう場合もその判定に入つておるようでございます。すなわちホモスルフアミンという薬は、これは二、三年くらい前までは非常に慣用された薬だそうでございますが、今日は抗生物質が出て参りまして、それに圧倒されて今日ではそれほど使われない薬だということをちよつと聞いておるのでございますが、そういうふうな関係でもございましたのか、手持ちの薬が十包分だけしかない、それで処方には十二包ということになつておるのでございますが、薬がそれだけないので、本人に断つて、これは十包だけしかありませんと言つて交付したようなものもこの中に入つておるようでございます。また、これはどうも私どもほとほと弱り切つたのでございますが、まつた違つた薬剤を偽つて調剤せるものという判定なつておるものでございまして、薬局側について調査をしてみましたところ、間違つてやりましたというのはいいのでございますが、本人は確かにそれを調剤したと主張し、またそこに行つてみますと、とりかけの現品があるというようなものが現認されるようなものもあるのでございますが、このような点につきましては、どうももう少しほんとうのところを確かめるには、今の私ども調査では不十分なように存ずるのであります。  まだこまかい資料を十分検討いたしておりませんので、はつきりしたことを申し上げられないので恐縮でありますが、大体以上のようなことでございまして、一応大阪医師会調査結果として不適正なる調剤ということに判定されておるものにつきましては、その全部が必ずしもそうではなく、正確に調剤したものと判明したもの、あるいは正確に調剤したであろうと思われるものも相当数あるようでございます。従いましてそれらの点をもつと詳細に知るためには、現地医師会薬剤師協会の率直なる御協力を得ませんければ実際の事情はなかなかつかめないのではないか、かように考える次第でございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今回の私どものやりました調査並び大阪府の医師会の発表されております調査報告というようなものにつきましては、これを十分な参考にいたしまして、分業実施後は薬局調剤が適正に行われますように厳重なる指導監督を加えて参る所存でございます。大体以上であります。
  4. 有田二郎

    有田(二)委員 薬務局長さんのお話、一応御了承申し上げておきます。どうかひとつ薬務局として十分なる薬局の御指導をお願いしたいと思います。同時に大阪府の医師会につきましては、私は昭和二十九年十月十日付で一つの脅迫じみた書面ちよだいしているのです。その中には、貴下厚生委員会でこの案の実施促進のため御活躍なさるならば、来るべき総選挙に際しましては重大なる決意をしなければならない、とあります。なお貴下選挙区の医師会会員各位医師会の主張に御同意くださつております。こういうような非常識きわまることが書いてある。われわれは国民代表であつて薬剤師代表でもなければ医師代表でもないわけです。本委員会審議も、各委員とも医師代表でも薬剤師代表でもない、国民のためにどうしたらいいかという線でわれわれは審議いたしている。大阪府の医師会——今の薬局の分については別に意見はありませんけれども、少くとも私にちよだいしましたこの脅迫文、しかもこれは大阪府の医師会長名前——天王子医師会長、南区医師会長、浪花区医師会長、生野区医師会長、阿倍野区医師会長、住吉区医師会長、東住吉区医師会長、西成区医師会長名前で、しかも公文で、医師会長の判を押してこういう書面ちよだいしているのです。どうか医師会薬剤医師も、お互いに常軌を逸しないで、真剣に国民の仕合せのために考慮されるべきものであつて、この問題もやはりそういつたことを医師会薬剤師会もともに反省して、よりよい医療の発達に協力すべきだと思うのでありまして、私は薬務局長の御報告を了承しますと同時に、医師会に対してはもちろんでありますが、薬局側に対しても十分反省していただいて、薬務局において十分御監督、御指導あることを私はお願いしたいと思います。
  5. 小島徹三

    小島委員長 引続き新医療費体系に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。長谷川保君。
  6. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいまの御調査に対して、私ども国会議員といたしましての良識によつて十分判断することができるのでありまして、私はこの努力に対しまして深く感謝の意を表するものであります。
  7. 小島徹三

  8. 松永佛骨

    松永(佛)委員 新医療費体系につきましては、先月の十月一日以来十数回にわたつて相当こまかく掘り下げて、その不備を指摘もされましたし、また当局の意のあるところも聞いて参つたのでありますが、御承知通り政治情勢というものが非常に緊迫をいたしまして、間違えば明日にでも解散になるかもしれないという情勢下において、この実施期は来年の昭和三十年一月一日施行ということは、すでにして昭和二十六年の六月四日に各党満場一致をもつてこの改正法案が通過をいたしておるのでございますから、これを好むと好まざるとにかかわらず行わなければならないという実情に置かれておるのであります。また反面、現在の医師会薬剤師会反目状況、あるいは本問題に対する対立抗争、そういつたものを大所高所から見ますと、今有田氏に対する大阪医師会からの公文書による脅迫状間違えば選挙妨害になるわけでございましようが、そういつたものも出されて、いろいろな面から尖鋭化しておる。こういつた状態下におきまして、先般来審議をして参りましたあの新医療費体系というものを一月一日から実施をされまして、これで医務局薬務局も、あるいは関連して保険局におかれても、大体大きな摩擦相剋なしに、スムーズにとまでは行かなくても、何とか国民福利増進のためにやつて行けるというお見通しがあるのかないのか、一応その点から伺つておきたいと思います。
  9. 久下勝次

    久下説明員 新医療費体系を具体的に実施に移します関係は、御案内の通り私のところは最も深い関係を持つております。そういう意味合いにおきまして所見を申し述べさしていただきたいと思います。  先般御説明を申し上げましたように、私どもは新医療費体系を忠実に保険点数の中に表わすこれに努めて参つたのでありますが、同時にその作業をいたします基本的な方針範囲内におきましては、実際の影響をできるだけ少くするように、この前の御説明の際にも申し上げましたように、病院診療所間のバランス、あるいは各科相互間のバランスということにつきましては、基本方針をくずさない範囲内におきましてできるだけ考慮を加えたつもりでございます。  なおこの点数改正は目下中央社会保険医療協議会に諮問中でございますので、審議会審議の経過によりましては、いろいろとまたそれぞれの専門の立場の方から有益な御意見も出て来るであろうと存じます。厚生省といたしましては、それらの意見に基きまして最終的な決定をする所存でございます。ただいまのところ、私どもとして作業をして参りまして、今原案をお手元に差上げてあるのでございますが、この程度のもので実施されるのでございますれば、ただいま松永先生お話の中にもございましたように、部分的には多少変化はあるにいたしましても、全体といたしましては社会保険行政の上から支障なく行くものと考えておる次第でございます。
  10. 高田正巳

    高田説明員 新医療費体系につきましては、今一番の当局であられる保険局長から今のような御答弁がございましたが、関連いたしまして私の方の関係でもお答え申し上げたいと思います。  事務的な準備十分なりやという御質問の御趣旨のように存じますが、そのために実は明日、明後日と都道府県の衛生部長並びに医務薬務両課長を集めまして、厚生省といたしましては、最後の事務的な決定をはかる態勢をとることになつております。なおこれに関連いたしまして、具体的に例の例外をきめます審議会の方のことが相当問題になるわけでございますが、まだ最終的な答申は出ておりませんけれども医師法除外例、それから薬事法二号の除外例、これらにつきましては大体において一つの線が出て参つておるわけでございます。これは私どもの想像では近く確定的なものが出て参るのではないか、かように考えておる次第でございます。  地域の問題につきましては、これは若干の論議をまだ残しているのでございますが、これも私ども考えにおきましては、最初の幹事試案のごとく広くやるというふうなことを考えませんで、相当しぼつてこれを行いますならば、妥協点が十分に見出せるものというふうな観測をいたしておるわけでございます。従いまして、かりに一月一日から今のような態勢で突入した場合にどうであるか、非常に混乱が起きはしないかどうかという松永先生の御質問につきましては、分業実施地域外ということになりました分につきましてはこれは問題はございませんし、さらに患者の側におきましては、御承知薬事法の一号の自由意思を認めるという例外が大きく開かれているわけでございますので、患者側におきまして特別なる不便をただちにこうむるというふうなことは全然ないわけでございます。かような観点からいたしまして、混乱なく実施できるものと私は考えておる次第でございます。
  11. 熊崎正夫

    熊崎説明員 医務局長がただいま参議院の方にまわつておられますので、私かわりまして御答弁申し上げます。  ただいま高田薬務局長から御説明いただいた点で大体尽きていると思うのでございますが、私どもの方の新医療費体系につきましては、大体これは社会保険の方に反訳していただく方の準備が整つているとすれば、これは絶対支障なく実施できるというふうに私ども考えてよろしかろうと存じます。  それから医薬関係審議会の方の医師法二十二条の但書の点でございますが、これはただいま薬務局長が申し上げた通りでありまして、一昨日新聞にも報道していただいたと存じますが、私どもとしましては、審議会最終幹事試案と申しますか、そういう心組みをもちまして医師会の方といろいろと折衝して、最終的のまとまりはまだできておりませんけれども、大体この程度の線でまとまりがつくんではなかろうかという線を出しまして、これを審議会におきまする部会に報告をいたしまして、あわせて新聞発表もいたしたのでございます。そういうことになつております。ただいまのところ、審議会関係の方の見通しもそのようになつておりまするし、医務局関係としましては大体の準備は整つておるというふうに申し上げてよろしかろうと存じます。
  12. 松永佛骨

    松永(佛)委員 医務局なり薬務局あるいは保険局責任者として、大体来年一月一日からこれを行うも、さしたる混乱がないというふうにお考えのようである、こういうふうに承りました。ところが実際の面におきまして、その当事者であるところの医師側あるいは薬剤師側が相当先鋭化して、いろいろな問題を惹起しておる。大体その根本は当局がそういつた点の指導に欠けておつたということも事実であり、昭和二十六年の六月に通過した本案に対しまして、その後審議会もようやくこの間設置法が通過したというような程度で、その休戦期間あまり長つたということは怠慢であつたのか、掘り下げた研究をなすつておられたのか知らないが、いささか不満であります。ところが大体においてこの双方の了解あるいは提携、薬剤師医師と、医師指導下において薬剤師が唇歯輔車の間に立つてこの仕事をやつて行かなければ、医療の正道というものは歩めるものでもないということは、わかり切つたりくつであります。大体基本的な誤解から解いて、そうしてこの誤解をなからしめて、両者が欣然握手をして、国民医療保護のために医師薬剤師もまつ裸になつて出て行く。また役所なり国民大衆は、これに対してできるだけの便宜と生活の安定、そして家庭的にも私生活の上における後顧の憂いをなからしめて、治療に研鑽し、あるいは薬業に専念のできるように持つて行かなければならないということは、これは当然当局の責任でもあり、国会としましても、この基本的な立法の精神はそこにあつたわけであります。たまたま昭和二十六年の六月本案が通りましたときには、参議院におきましては山下義信氏、本院におきましては不肖松永委員長の任を帯びておりまして、どちらもが真宗の寺院の住職でありまして、十何年もみ合つた本案をば、参議院でも衆議院でも坊主が円満に解決するということはまことにめでたいのだというような、きわめて円満なうちに、各党各派ともに賛成討論をなさつて、満場一致でこれが通つたのでありまして、私は国会の権威上、これをサムス分業である、あるいは占領当局の圧迫であるというような声も一部には聞きますが、これはもうまつたく誤解から出発しておるということであります。もちろんサムス准将が指示をされたことは事実であり、国会提案以前におきましては、あるいは占領軍当局の圧迫というものがあつたかなかつたかは知りませんし、また敗戦国民としてこの圧迫にあらざるも威圧に屈服したという卑屈な立場が日本人側にあつたかも、それは知りません。しかし少くとも国会に提案以後においては、国会の権威としましては、サムス准将や占領軍に圧迫されたということはごうまつもありません。たとえば当時これに関与して当委員会委員であつた青柳、亘、高橋あるいは有田、岡、福田先生等が多数いらつしやいますが、その以前において、一例をあげますると、保健婦、助産婦、看護婦法等において、占領軍当局から相当な横車を押され、日本の国情と相違する点を指摘して敢然として戦い続けた結果、大体四月一日から改正しなければならぬものが、三月三十日の大詰めになつてまでオーケーがとれなかつた、占領軍の承認が得られなかつた。よつて委員会を占領軍当局に返上してしまうという決意を私初め一同がいたしてこれを速記録に載せた。当時の黒川厚生大臣、葛西次官が非常に面食らわれて速記録の取消しを私に承認を求められ、半面そのサムス准将に通知せられて、そうしてサムス准将の方から、ここに御臨席の青柳一郎氏、あとどなたでしたか両三名を招かれて、そうして部下の行過ぎは監督の任にあるサムスの手落ちであつたことをおわびし、日本の国会の毅然たる態度に敬意を表する、こう言つて、わが国会の要求を、青柳一郎氏が小委員長として成案を練られた原案を、ほとんど承認されたという例もあります。いわば日本の国会は、敗戦国でありまするが、毅然たる態度をもつて、当委員会がサムス准将に反撃を加え、むしろこれに大譲歩をさせたという例がある。このサムスが去つた後にさらに圧迫を感じたという気持は、当委員会にごうまつもなかつた。これは国会の名誉のためはつきり速記録に残しておきたいと思うのであります。  これが誤解された点は、中には夜中に医者をたたき起して、処方箋をもらつて、また一里も一里半も山を越えて薬局をおとずれて薬をもらう、そういう不便なことはまつぴらでございますから、どうかそういう法律改正はやめてくださいという陳情書がたくさん参ります。これはもつてのほかであつて、誤解されたか、誤り伝えられたか、あるいは偶然か故意か無知か知りませんが、そういう結果になつておることは事実であり、また先ほど言われました処方箋の問題でも、当時の立法の精神は、医者のための法律であつてはならない、薬剤師のための法律であつてはならない、結論は国民のための法律であつて、それが医療の向上、進歩を促進し、あるいは薬学の知識を普及徹底し、ひいては日本にただ一つ認められておる、どうぞこうぞ合格点になりかけておるこの社会保険制度というものを円満に発達さすための隘路をこれによつて除いて、そうして保険制度の確立を期するということが、大きな社会保障制度にも寄与するという立場からこれが論議され、各党の委員がこれに賛成をしたというのが当時の実情であつて、われわれはそんな、処方箋を持つて一里も走らなければならぬとか、あるいは急患者があるのに、なおかつ処方箋を持つて薬局を訪れなければならないというような不便な法律ができ上ることを想像してこの法案を審議したのでは絶対ないということは、あすでも解散になつた場合に備えて、私は衆議院の当厚生委員会としての意思表示をしておく必要がある。当時立法の責任にあつた者としての意思表示をしておく必要があると思う。たとえば処方箋問題につきましても、当時の昭和二十六年六月四日の速記録の、私から当局に対しまする試験投薬ということはどうだろうというような問題、それから善意に解釈して病名がいかなる名義によつても判別しがたいものに対して、朝、昼、晩と処方箋を書いて投薬し——私は医学上の専門語は知りませんけれども、教育学ではこれを、試行錯誤法といいますが、そういうような試験的な投薬を与えて行く場合に、善意によつて医師がこれを行うのに、処方箋を作為的に発行しなかつたというので処罰を受けるというようなことになつたのでは、善良なる医師は迷惑であります。また作為的に試験投薬をやつてみなければわからない、また打診時代であつて、はつきりした診断ができる時代ではないということを、作為的に悪質なる医師がたまたまやるということがありますと、結果は全快してしまつてからか死亡してしまつてからでなければ、決定的な診断が下されない。善意でやつて処罰されてはたいへんだ。作為の脱法をやられては困るし、この点ひとつ当局の見解を明らかにしてくれという私の質問に対して、当時医務局次長であられた現久下保険局長はいろいろと御答弁せられましたが、要約しますと、ただいま委員長が御引例のような、非常に緊急な、目の前で薬を飲まして、そうして患者のそれに対する反応を見る必要がある、いわゆる緊急治療と試験投薬が重なるような場合におきましては、私どももただいまの考えとしては処方箋を交付しなくてもよろしい、そういうような解釈をいたしておるのであります。要するに試験的投薬なる言葉でもつて簡単に是非をきめる筋合いのものではない。根本的な精神に返りまして、処方箋交付の原則というものがどこから出て来ておるかというような基本的な考え方から行きまして、私どもは繰返し申し上げておりますように、全体的に言いますると、これはきわめて限局した解釈と運用をすべきものであるという御答弁です。それに対して、そういたしますと、緊急投薬を行つて、そうしてその自覚症状を見て、すぐにまた次の対症療法を講じなければならないという場合には、処方箋を発行しなくてもいい。ただ漠然たる意味の試験投薬は当然義務づけられるが、それは医師の良識にまつというわけですかという質問に対して久下次長は、大体ただいまの委員長お話通りでありますという御答弁があり、またそういつたことにおいて私どももそんなきうくつなものではない。現在食糧管理法あるいは食確法というものがあるけれども、現に政府は十日あまりの米の配給しかしていない。あとの大半はやみ生活を公然の秘密として行つておる。しかし食確法は厳然として生きておるということであつて、私ども処方箋を交付し、かつ患者調剤を希望するというこの間一連の関連性を、現在より以上の不便なものにしてはならないということを考える。そうしてこの法案が通過したということが、当時立法政府にあられてこれを必要とされた福田昌子医学博士、岡良一博士が今日なおこの席におられるのでございますから十分御承知通りである。私はかように思います。ただ自由党の丸山委員だけが、最終に私個人の一身上において、この問題に関して政治的の解決の仕方と、私が四十年来経験いたしました信念との間になお割切れないものを持つております。この解決にはあまりに審議の期間が短いために私の態度を表明したくない意向を持つておりますので退席をいたします。貴重な審議権を放棄いたしますことは相済まないことと存じておりますという言葉を残して退席しておりまして、他は満場一致できめております。なぜ満場一致できめたかというと、現在の国民医療より不便なものになるということを考えてきめた議員は一人もない、より便利に、より安価に、より早く治療ができるというところに重点を置いてつくられたものであるということははつきりした事実であります、この意味において私ども国会議員は決して医者の味方でもなければ、薬剤師の味方でもない。国民大衆とともにあるということを念頭に持つておるということははつきり申し上げられるのであります。  ところが先般来、政府が急慢ながらもようやくにしてでつち上げられましたあの新医療費体系は相当穴もあり、傷もあり、欠点もあり、欠陥もある。あるものは労働基準法違反にあらずやと思われるもの、あるいは複雑怪奇な手続を要する等の欠陥を暴露いたしましたが、しかしおよそ人間がつくるものである以上、デスク・プランにおいて完璧を期せられるということはあり得ない。これを求める人の方がよほどどうかしておる。私どもはこれを行うて後にその欠陥を是正して行くということが第二である。第一は行わざる先にその欠陥を少からしむるという意味のことを考えておるのですが、まず当局の現在の政治態勢の上から、私どもが責任上お伺いしておきたい一点は、一月一日から実施をするということが、実際には手続上あるいはこれを滲透さす上においあ、一月一日から実施されては困るというお考えか、それともぜひともこれを実施しなければならないと考えておられるのか、あるいは当事者が尖鋭化しておる今日、たとえ三箇月か六箇月から冷却期間、または備準期間、さらに新医療費体系の是正期間というものを置いた方がいいとお考えになるのか、この点は非常にむずかしくて御答弁のしにくい点でありましようけれども、忌憚のない点を一応速記録にとどめさせていただき、私はあすの解散に備えて、その責任上申し上げた次第であります。
  13. 高田正巳

    高田説明員 私は責任を持つております範囲について御答弁申し上げたいのであります。松永先生は冷却期間のために、あるいは準備のためにと言われましたが、事務的な準備につきましては先ほど三人からお答申し上げた通りであります。冷却期間というお話、なるほどごもつともでありますが、冷却期間になるかどうか、その点私どもは非常に心配をいたしております。むしろ問題を将来に残して、その間にますます両者の間が尖鋭化して行くということさえ私どもは心配をいたしておるのであります。かように観点からいたしまして、少くとも私どもの担当いたしまする範囲におきましては一月一日から施行することを希望いたしております。
  14. 松永佛骨

    松永(佛)委員 これは希望する方が無理でありまして、法律がある限りはやらなければならないから、好むと好まざるとにかかわらず当局としてはやつておるということが実際上の問題でありましようが、やりかければやらなければならないから、やらなければならないという信念に立つておやりになつていただきたいと思いますが、ただ問題は新医療費体系というものに対して相当な考えがある。私は要は運営であると思う。法律そのものよりも運営でありますから、少くとも医師会薬剤師会、双方の間をばもう少ししつくりとするように、両者の自覚を促さなければならない。先ほど高田薬務局長報告をされましたように、東京において中央総合病院が三年間に一回も使わなかつたような薬をば処方箋に書いて町の医者に処方を求めるということも無理である。しかし現状で押し通す場合には、将来こういつた医者のいやがらせ処方というものもあるでありましようし、また新しく単価が整備された今度の新医療体系によりますと、医師薬剤師をいやがらすために、ことごとく病気にビタミン剤あるいたホルモン剤等の栄養物を処方箋に入れる。ビタミンB十五ミリのものを一回五個ずつ一日四回、あるいはビタミンC剤十ミリのものを一回五個ずつ四回あげなさいという処方薬局へ持つて行けば、たとえば武田製薬のビタミンB1三百錠入りの、一般のお客さんだつたら三百円で売れるものを、処方箋で来た場合、二百円程度の原価に既成薬の一点四円というものを加えた二百四円で売らなければならないということになると、これは薬局が立つて行かない。どうしてもこれは医師薬剤師の間がしつくりとして、要は両者が何でも早く病人をよくして治療を促進する、またそれによつて役所に生活の裏づけをして行く道を講ずるということに基本的な問題が残され、また両者の融合というものが運営の上に大きな働きをするという意味において、私は実際問題として一月一日の実行は多少むずかしいのではないかというふうな考えでありますが、衆議院議員としての発言権がいつまであるかという今日、明日のときにおいて、まだ法案が出ておらない今日、政府の出された新医療費体系にはいろいろの欠陥がありますから、できるだけよりよきものにしてやつていただきたいという希望を持ちたいという程度にとどめます。  今が私が申し上げた立法の精神というものを十分体されまして、三局において今後とも万遺憾なくこれに当られんことを希望いたす次第でございます。
  15. 小島徹三

  16. 福田昌子

    福田(昌)委員 いろいろ委員からも御発言がございましたように、昭和二十六年六月にきめられました医薬分業法案の実施を間近に控えまして、その具体的な措置のために必要な新医療費体系をめぐり、いろいろ論議がかわされました。またそれを実際に翻訳いたしました点数表の改訂、あるいはまた社会保険診療に対する医療の請求表についての改正表なども御検討になりまして、資料として提出していただいたわけであります。御承知のように、昭和二十六年六月に、新しい方法として医薬分業を強制的に実施すべしという法案そのものをめぐりましても、いろいろな論議がかわされましたが、その後三十年一月一日を間近に控えた今日におきまして、その分業の実施に対して案として提出されました新医療費体系をめぐりましても、これはもうこの厚生委員会のすべての委員からいろいろな角度よりの御発議があり、意見が沸騰いたしまして、最後に多くの問題点をなお残しておるような状態で今日に立ち至つておるわけでございます。もちろん国民医療の立場からいたしまして、これは医師薬剤師も協力すべきものであることは言をまたないところでありますし、また厚生当局とされましては、法律できめられた以上、これを実施するにおいて、無理のないように、できるだけ適正に実施されなければならないことであり、またされるであろうことは、これまた私どもが期待してよいところと思うのであります。問題は、行政当局に移す手前の法律そのものに対しまして、なおかつ多くの疑念がこの厚生委員会でも持たれておる点にかんがみまして、厚生委員会におかれましては、新医療費体系に対しましても、またこれによつて新しく実施されるであろう医薬分業の問題に対しましても、慎重でなければならないと思うのであります。私は厚生委員会の一員といたしまして、少くとも新医療費体系実施には、なおかつ新医療費体系そのものをめぐつて多くの問題点が残され、ましてや医薬分業に対しましては、よほど慎重に考えなければならない多くの問題点が相当あるということを指摘いたしまして、一応の意思表示をいたしておきたいと思うのであります。
  17. 小島徹三

    小島委員長 それでは、以上をもちまして今国会の委員会は終るわけでありますが、終りにあたりまして一言ごあいさつを申し上げます。  今国会は、当委員会の所管といたします厚生行政について、病変米の配給問題、新医療費体系に関する件等重要問題が山積し、閉会中でありましたが連日委員会を開会し、多数委員の御出席のもとに熱心な検討が続けられ、閉会中の審査による委員会の活動に万全を期し得ましたことを、委員長より厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会