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1954-10-15 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第71号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十五日(金曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 越智  茂君 理事 松永 佛骨君    理事 長谷川 保君 理事 古屋 菊男君       助川 良平君    安井 大吉君       亘  四郎君    滝井 義高君       福田 昌子君    柳田 秀一君       並木 芳雄君    山口シヅエ君       山下 春江君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  委員外出席者         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      館林 宜夫君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 十月十五日  委員中野四郎君辞任につき、その補欠として並  木芳雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  新医療費体系に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  新医療費体系に関する件について質疑を続行いたします。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 大臣がおいでたら、大臣に対する質問があるのですが、それは古屋委員が先に申出がありますので、古屋委員終つてからでけつこうでございます。  これは主として保険局長にお尋ねをいたしたいのですが、医務局においても当然こういうことはお考えになつておることだと思いますから、医務局の方に御答弁を願い、なお補足するところがあれば医療課長からでも御答弁を願いたいと思います。  その前に、先般東京都のどこかの社会保険出張所でもけつこうだから、具体的にこの体系点数を、昭和二十七年の三月でも十月でもけつこうだから、当てはめた資料をつくつていただきたいというお願いをいたしております。それができておれば委員だけ御配付をお願いいたしたい。  それでは質問に入ります。まず第一点は、入院の場合における回診は、再診料になるかどうかということです。今までの概念で行けば、患者入院をしておつて、院長以下回診をしても再診ではないわけです。今度は新しく医者技術というものを認める姿になつておりますから、回診は再診料に入るのか入らないのか。患者に面接をして行く、具体的に患者の肉体を診察するというこの行為は、再診料の中に入るかどうか。
  4. 曽田長宗

    曽田説明員 私どもが今回お示しいたしました資料の立て方は、入院患者でありましても、医師診察に出向きますれば、その際に再診料を払うということにいたしております。ただ入院中に数回医師診察を受けるということもあり、また中には、医師診察を受けなかつた日もあるというようなこともあるかと思うのでありまして、こういうようなときに具体的にどう定めて行くかということは、さらに検討して参らなければならぬのではないかと思いますが、資料として差上げましたのは、入院患者は、平均して大体一日一回診察を受け、それに対して再診料を支払うというように考えております。ただ結核療養所でありますとか、あるいは精神病院というようなところでは必ずしも毎日診察していない慢性的な患者が相当ございますので、こういうのはあるいは例外的に考えて行かなければならないのではないかというふうに思つております。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、結核とか精神病は一応これは何日に一回の回診の場合における再診料を認めるかということは検討の余地があるが、普通の病気の場合においては、再診料は回診の場合においては一日一回は大体支払う、こういうことなんですね。——わかりました。  その次はこの処置で四点以下のものは初診料あるいは再診料に加えるということになつておる。そうしますとこの四点以下の処置が一日の間に集積をした場合、たとえば目が悪くてやつて来て、同時にフルンケルができておつた。これを処置し、洗眼をしてもらつた。それが二点と三点で五点になつたというような場合はどういうことになりますか。五点を二点と三点ならばこれは初診料なり再診料に入りますが、同時に行われた場合は加えられるのか。そういう場合が一つと、午前中に目が悪くてやつて来た。ところが午後は今度は同じ患者が、今言つたように何か外科的な処置でやつて来た。そうして足した場合に五点になつた。こういう場合には常識で考えると一日に午前と午後と二回に時間を異にしてやつて来たのですから、当然午後の場合は三点、四点以下の処置であつても再診料が払われる。これは常識的に考えられます。ところが同時に処置をした四点以下のものが加わつて四点以上になつた、五点になつた、六点になつたというときはどうなんですか。
  6. 曽田長宗

    曽田説明員 私どもの計算の基礎は一つ行為に対して平均何点というようなことを基準にいたしておりますので、さような点から行きますと、二点と三点という二つのものが加わりましても、さような小さな処置というものは診察料にみな打込まれておるというふうに計算してございます。これは平均的にという考え方であります。それは実際問題としては多少無理ではないかということも検討はいたしたのでありますが、もしそうするとすれば、さような場合の頻度がどれくらいあるか、そうしてそのときに支払うとすればどの程度処置経費増になり、従つて診察料の方をどの程度減らさねばならぬか。あるいは診察料をそのままにしておくとすれば、診察料をまかなう経費がどれだけ不足するかというようなことを勘案して参らなければならぬ。今のところは二点と三点でありましても、小さいものが重なつたものは全部診察料の中に打込んでおるという考え方です。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうすると四点以下の処置は同時に何回あつてもこれは全部診察料ないし再診料に入る、こういうように理解をいたします。  それから今度の新医療費体系の中には、こういうようなものも考慮に入れられておるかどうかということなんです。たとえば具体的な例を申しますと、含糖テプシンですね。一人、二人の患者に与えるために新しいびんを切つた。そうしてその後に含糖テプシンをあまり使わなかつたとなると二週間か三週間ですぐかびが来て使えなくなるということは、これはみな医者の経験するところなんです。そういう場合薬価の中にはこういう陳腐になつた薬品、たとえば病院なんかは、これは長谷川先生もそういう御意見ですが、医者によつて使う薬が違うのです。今まで古くからおつた医者はいろいろの薬を使つてつた。ところがその医者が何らかの理由で病院をやめて新しい医者がやつて来ると、今まで使つてつた薬を使わずに、くるつと違つた薬を使い始める。そうすると前に使つてつたそれぞれの医者というものは、それぞれの学問と技術相違のあるために処方箋が違うわけです。そうしますと、一つ病院でも医者がかわつたり何かすることによつて、使わない陳腐な薬品が相当たくさん集積されて来る。これは小さな診療所を調べても相当陳腐薬品集積があるということを私は調べてわかつておりますが、その額がどのくらいかということはなお今調査中でございますが相当ある。そうするとそういうような薬品ロスと申しますか、いわゆる現実の具体的な医療に使わなくて、薬局でもこれは今後は同じ問題が生じて来ると思いますが、薬局のたなの中で眠つて使えなくなつておる薬、こういうものもこの体系をつくるときには考えられたのかどうか。
  8. 曽田長宗

    曽田説明員 薬品の減耗と申しますか、ロスにつきましては、その調剤上のロスとして一割見込んでございます。それからそれ以外の、今例示されましたような、結局使わずにそのまま廃棄してしまつたというようなたぐいのものは、これは経費の中に一応入れてございます。実際調査の結果はさようになつております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。調剤料の中にそういう薬品ロスというものが入る、あるいはたな等に眠つて使えなくなつておる薬は経費に入る、こういうことになる。これは今まででも、たとえばマイシンのようなものは高価な薬であるので、当然一割くらいのロス保険点数のときに計算されておつたと記憶いたしております。それが入つておるということが確認いただければけつこうでございます。  その次には薬剤師夜間調剤料なんですが、この前私は開局薬剤師勤務薬剤師との技術料というものが、一本の〇・五九三点になつておることは不合理だということを指摘いたしましたところ、局長からこの調剤技術料についてはまつたく筋が通つていないという御答弁がありました。私はまさにしかりだと思つておりますが、さてその場合においても、医者には初診でも昼の初診と夜の初診とは現実においても、四点と六点との違いがあるわけですが、薬剤師においても、これは昼に患者が来た場合と、夜に来た場合とでは調剤技術料に何らかの相違点が認められなければならぬことは当然なんです。大体夜間調剤料というものはどういうぐあいにお考えになるのですか。これをひとつ御説明願いたい。
  10. 曽田長宗

    曽田説明員 調剤料といいましても、前にも御説明申し上げましたように、大体診療所において現実調剤に要した経費というものを基準といたしまして、薬局あるいは診療所いずれにしましても調剤したところに調剤料として支払うということになつておりますので、特に夜間、昼間ということを考えておりません。今申し上げましたような実情としては、これは夜間調剤も昼間調剤もみな含めて、平均された数字であることを御了承願いたいと思います。
  11. 滝井義高

    滝井委員 こうなるとちよつと保険局長に御答弁願わなければならぬことになるのですが、いらつしやらないので、課長さんでけつこうですから、そこでひとつ御相談になつて、どうせ実務はあなた方がやられておるのですから、夜間調剤技術料というものをどの程度プラスアルフアするのか。現在医者初診においては、昼は四点で夜間が六点になりますから、五割の増しになつておる。だからその点を、やはり医者と同じように五割増しにするのかどうか、こういう点をひとつ御相談になつて基本線の御答弁を願いたい。
  12. 館林宜夫

    館林説明員 保険局長病気でございますので、かわつて答弁申し上げます。夜間調剤料を昼間の調剤料と区別するかどうかにつきましては、この新医療費体系診察料保険において取扱います際に、夜間においてやはり区別するかどうかとの関連において考えるべきと思います。従いまして診察料夜間を区別するかどうかは、なおいま一度検討いたしたいと思います。それにつれて考慮いたしたいと思います。
  13. 滝井義高

    滝井委員 実はこのあと調剤技術料夜間の分とともに、医者の現在の昼の初診料四点と夜の六点をそのままで行くのかどうかをお尋ねするつもりであつたのですが、検討ができていないそうでございます。しかしこれはもう二箇月を控えておりますから、これは保険局長がおればやかましく言わねばならぬことなんですが、おられぬので、どうもはなはだやかましく言うこともないのですが、これはやはり速急にまとめてあなた方の基本的な方針は出していただかなければならぬと思います。現実夜間診察料というのは五割高いのですから、当然薬剤師諸君においても調剤技術料というものは、私は昼と夜の差というものはなくちやならぬと思うのです。そういう思想はお認めになるのでしようね。それをひとつはつきりしていただきたい。
  14. 館林宜夫

    館林説明員 仰せ通りだと思います。ただ基本的に昼間と夜間とどの程度の差別をつけるかということは、なかなかむずかしい問題でございまして、この意味合いにおいて希望といたしましては昼間も夜も込めて一本の点数が立てられ、総医療費収入において差がなければ、それによつて取扱つていただくことが保険の建前としましてもまた療養担当者側の手続の便宜上からも、その方がよろしいかと思つてはおりますけれども、ただ感じの上で、深夜等において診察したものが同じ点数であることは納得しがたい面がございますので、それらの点との兼ね合いがあるわけでございます。ただ仰せ調剤料についても、もし診察料において区別をする場合においては、同じ思想を盛り込むべきであるということは私どもも同感でございます。
  15. 滝井義高

    滝井委員 思想が同じであれば、それ以上追及いたしません。  その次は処方箋についてでございます。処方箋通貨と同じ価値を持つということはお考えになつたことがありますか。
  16. 曽田長宗

    曽田説明員 もう少し御説明をいただきませんと、ちよつとわかりません。
  17. 滝井義高

    滝井委員 処方箋通貨と同じ価値を持つということは、局長さんはけさの読売新聞をごらんになつたかと思いますが、読売新聞に、現在の健康保険というものはおそらく年度末には百億の赤字になるだろう。その医療費増加をしておる原因というものをつきとめなければならぬ。いろいろ原因をあげて来ております。健康保険利用者がふえた、あるいは医療機関増加をした、あるいは保険証第三者に貸す——これはきわめて重大な問題でありますが、第三者保険証を貸す、あるいは中小企業人たち自分親戚縁者あるいは家族長期病気になると、その家族あるいは親戚縁者自分企業従業員に仕立てて、保険証を交付して長期療養に使う、あるいは医師水増し診療があるとかいうような五つのことが、医療費増高原因ではないかというようなことを——これは新聞紙ですから厚生省もそうだかどうかわかりませんが、こういうことがあげられておる。ここで一番私たちが注目しなければならぬことは、現実保険証第三者に貸されておる。それから中小企業従業員でない人が従業員になつて保険証を持つておるということが新聞紙で指摘されておる。そうすると処方箋通貨と同じ価値を持つ。私の炭鉱の地帯では金券というものがはやつております。現在重油が入り、外炭が入り、産業が石炭を使わないために石炭の急激な値下りを来して、非常な危機が襲来して、炭鉱業者の方々が現在大挙して陳情に参つております。業者自分で賃金を払う金がないので金券というものを出しておる。一枚の紙きれに事業主が判を押して、おれが支払いの責任を持つという金券なのです。そういうもので現在医者にも行つております。あるいは配給所で米なんかも買つております。あるいは日用品店では生活のいろいろ必需的な日用品も買つております。これよりも今度できる処方箋というものは価値がある。なぜならば、健康保険の被保険者が、たとえば二百円の価値のある薬の処方箋を書いてもらつたとすると、その一枚の処方箋がこれを薬局に持つて行けば二百円だ。そうすると薬をもらわなくても、薬局行つてこの薬のかわりに化粧品に化ける可能性があるということなんです。そういうことは医務局長も御存じだと思いますが、現在イギリスでも行われておる。現在イギリスではこれをどういうぐあいに防止をするか、処方箋化粧品や手ぬぐいやネクタイに化けるのをどういうぐあいに防止するかということが非常な頭痛の種になつておる。現在保険医監査制度——これはあとでも触れますが、これは現在厚生省はなかなか監査がたいへんだといつて手を上げておるようでございます。あとでもまた大臣が来たらやりますが、日経連においては、こういう問題を取上げて監査制度の強化をやる、医者国家公務員に準ずるものにしなければならぬというようなことも言つております。ところが今度はいよいよ処方箋がそういうぐあいになる可能性がある。イギリスでもやられておるということになると、そういうことを防止するための方策というものはたいへんなことになるのです。そういうものに対してどういう具体的な方法をお考えになつたことがあるか、これはつくつた医務局考え、それから保険局の具体的な今までの医者に対する経験がおありになると思いますから、してもらつてみるといいのですが、なぜ私がそういうことを心配するかと申しますと、実はこういうことがあつた。私の友人サントニン処方を出した。小さな子供サントニン処方を出したところが、どうしたことかサントニンを飲んだら子供が死んでしまつた。おそらくこれはサントニン特異体質ではなかつたかと思いますが死にました。私の友人裁判所に呼ばれた、そうして一切のカードを詳細に調べられた。過去においてもそういうことがなかつたのか、あるいは現実に出した処方はどういう処方であつたか、詳細に調べましたところが、医者には大体間違いがなかつた。ところがさて調べて薬剤師の方からそういう間違つた処方をやつたかどうか、処方に基いて間違つた調剤の量が患者に与えられたのかどうかという点になると、これはなかなか疑問なんです。そこで裁判所はどういうことになつたかと申しますと、その薬局サントニンを仕入れた一切のものを調べ、そうして出た一切のものを調べて、それの引算でこの判定をやろうとしたのです。これは常識的に考えれば非常に合理的なことなんです。ところが現実の日本の薬品の販売の現況から見たら、これはもしかすると薬剤師諸君はぬれぎぬを着るおそれが出て来る。こういう点から私は考えて、よほどこの処方箋に対する取扱いと申しますか、今後保険薬剤師になるわけですから、監査というものについては相当慎重な態度で行つていただかないと、薬剤師諸君に不当なるぬれぎぬを着せる場合が出て来るということなんです。そうするとこれはしからば処方箋通貨として行つた場合を考えるならば、一々薬店から出て来る患者さんなりを一々調べるか、これもまたなかなかたいへんなことなんです。これは今後監査が行われるということになれば、薬局監査患者監査とをやらなければならぬということになれば、おそらく保険局の機構というものは、今のおそらく三、四倍に人員をふやさなければ、この監査はできないということになるだろうと私は思うのです。現在社会保険出張所は、いろいろの監査をやる場合には相当精密なことをやつております。たとえば患者の家を一軒々々たずねて聞取書をとつております。ところが今度は今後薬剤師とその薬局でもらつた患者のすべてにわたつてやらなければならぬということになると、これはたいへんなことになる。だからこれは当然こういう、私たちも物と技術とを分離する思想は大賛成ですから、こういう点について処方箋が今いつた炭鉱金券のような役割をするということに対する防止策、そういうことをどうお考えになるのか、こういうことなんです。医務局長さん、ひとつあなたの明快な御答弁をいただきたいと思います。
  18. 曽田長宗

    曽田説明員 私ども問題としてはいろいろと検討いたしましたのですが、根本的には医師薬剤師及び患者というような人たちが、結局今日と申しますか、これからもいろいろと案じ出されるであろう制度というものを、ほんとうによく運用して行こうという、よりよき理解と申しますか、協力と申しますか、これがなければ完全にはなかなか行きがたいものであろうというような結論に結局なるわけでございますが、具体的な方法として、多少なりその弊害を除くということになれば、今もお話がございましたように、いろいろ監視の制度はそう完全には行くまいけれども、整然と整えて行くように努力する、また処方箋につきまして使用期間を短かく限定する、もちろんそのことが非常に不都合を生ずるというようなときは例外でもありますが、また他面におきましては、その一つ処方をできるだけ病状の変化が予想されない限りは、一枚の処方箋で済ましていただくということが望ましいとも思いますが、他面におきましては今日まで普通に二日分ずつ投薬が行われておつたというような患者に対しては、二日分ずつの通用期間しかない処方箋を与えるというようなことで、よほど弊害は減じ得るんじやないか、根本的には最初に申し上げましたような、よりよき理解協力を求めるという態勢へ持つて行かなければならぬだろうというように考えております。
  19. 滝井義高

    滝井委員 お説の通りだと思います。問題は国民道義の問題になつて来ると思うのです。この問題は私非常にむずかしい問題だと思いますので、なおこれ以上は申しません。よく御研究になつていただくことが必要だ、こういう点で、ございます。  それからいま一つは現在これもちよつと保険に関係するのですが、注射技術料というものは皮下注射が二点、静脈注射が四点、これはそれらのものを平均したものが今度の新体系では診療所で二・五九四点と、こう出て来ているわけです。大体保険局なり医務局考えとしては、皮下二点、静脈四点で行かれるつもりですか、この点をひとつ明快にしていただきたいと思います。これは一番普遍的な問題でありますから、方針はきまつていると思います。
  20. 館林宜夫

    館林説明員 まだ具体的な点はわかつておりませんが、もちろん個々について皮下あるいは静脈あるいはそのほかの点滴とい全うな、いろいろ詳細な点数はきめなければならぬと思います。今出ておりますものはそれらの平均値が出ております。
  21. 滝井義高

    滝井委員 どうもこれは困つた問題です。一番大事な点なんですが、先日私はこういうこまかい点を初めからやりたいと思いましたけれども、時間の関係でやらなくて、初診料について六・二〇三点というもので行くかというこういう質問をしたところが、それはまるくして端数を切つて六点でやつて行く、こういう明快な御答弁局長から得たのです。そうしますとこれは当然この再診料にしてもまるくして行くということだと思います。そうしますと注射料が今言つたよう病院が二・八一三点なんですが、診療所注射技術料が二・五九四点というものがどういうことになるのか、それを今から検討するということになると、これはわれわれ新医療費体系のふえるとか減るとかという議論がなくなつてしまうのです。問題は現実論であつて抽象論では話が済まされないところまで来ているわけです。根本は国民医療費が上るか下るか、あるいは医者収入が減るか減らないかという、こういう現実論になつて参りますと、やはり現在出ておるものが具体的にどういうぐあいに翻訳されるのか、こういうことになるわけです。先日から、翻訳をする場合にはそれはまた別個の方法考える、こういう答弁をむずかしくなるとされておるのですが、それではどうもぐあいが悪いのです。そうなると、ここでこの医療費体系というものは来年一月一日から実施まかりならぬという動議を今から出して決議をしなければならぬ。だからその点をはつきり相談されてやつてもらわなければいけないと思います。これは決して無理な注文じやないと思います。少くとも三年のあなた方の努力の結晶がここに現われて来ておるわけですから——ここでまた読み上げなければならないのですが、参議院では、社会保険に対する影響というものについても九月中に国会に報告することということで、五月二十六日にもう決定しておるわけです。だから社会保険翻訳したときにはどうなるということは、当然ここに出て来ておらなければならぬはずだ。私はそこまでは、ほんとうは言わなければならぬところだが言いたくない。言いたくないが、現在の二点と四点という皮下静脈のこの点数は、このまま行くのか、それともこれに何ぼかのプラスアルフアが加わるのか。これが二点であるものが三点になるということは言わなくともよろしい。現在の二点、四点の技術料プラスアルフアが加わるのか、それとも今言つたよう皮下静脈も、この平均技術料である診療所の二・五九四点で行かれるのか、ただこれを丸くして三点にするとか、あるいは切り捨てて二点にしてやるのか、こういう点ははつきりしてもらわなければ、社会保険にわれわれが翻訳をしてどうなるこうなると言つたつて、水かけ論になつて議論ができない。ものさしがなくなつてしまう。だからその点はもつと明確にしていただかなければいかぬと思います。これは局長さんが来られても、やはり課長さんたち意見を総合して局長さんが答えられるわけですから、ひとつそこでよく御相談願つて方針を御答弁願いたいと思います。委員長どうぞそういうふうに要請してください。
  22. 小島徹三

    小島委員長 ちよつと速記をやめて……。   〔速記中止〕
  23. 小島徹三

    小島委員長 速記を始めて……。滝井委員、続行してください。
  24. 滝井義高

    滝井委員 今雑談の中に、半月くらい保険の作業をやれば何とか目鼻がつくという御説明でございました。今の私の要求した資料がある程度そういうものに答えておると思います。これは長谷川さんが、あとでこれについて御質問されるようですから、私は御遠慮申し上げますが、実際これをやつた上ではつきり出て来ておるのです。これは実際にやつていただいたわけなんですが、社会保険点数で、現行の点数と、今度新しくできた医療費体系点数とでやつてもらつた場合に、これは結局私がこの前指摘したように、十二%患者なり保険者の負担がふえるということがはつきりして来たわけです。あなた方が総医療費はふやさないという前提のもとに出されたものが確実にくずれて来た。しかもそのくずれるということが昭和二十七年十月の資料で具体的に出て来た上に、今言うようにこれを今度は具体的に保険にどういうぐあいにやるかということは今からやらなければわかりませんということ。しかもそれを具体的にやつてみなければ、さらに増加するか減るかわからないというならば、あなた方の医療費体系のこの四つの大きな柱というものはくずれてしまうことになる。すなわち現状の医療費の分析をした、国民の総医療費増加させない、医療機関の所得の増減を著しく来させない、分業実施に必要な事項を中心にしてやる、この四つの柱が、今のような御答弁を聞くとくずれてしまうことになる。そうすると医療費体系は根本的にひつくり返つて、何も議論をすることができなくなつてしまう。あなた方が答弁ができないと言えば、まあできないでけつこうです。要求しません。  そこで、それに続いてちよつとつつ込んで聞きたいのですが、今までの注射料というものは、皮下二点、静脈四点という技術料の中には、いわゆる医師技術料のGと人件費のNと経費のMが入つておる。これは入つておることをお認めになるでしようね。
  25. 館林宜夫

    館林説明員 おつしやる通りであります。
  26. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今までの注射料皮下技術料の二点ないし四点にプラス——たとえば現在の注射料の上り方というものは、医務局長こういうことがあることを御存じでしようね。薬の値段が十円以下の場合には一点、十五円までは二点、十五円またはその端数を増すごとに二点を加えるということは御存じだつたでしよう。
  27. 曽田長宗

    曽田説明員 はい。
  28. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今までの注射料は、この技術料プラスがあり、今言つたよう薬品費というものは原価ではなかつたわけです。すなわち十円までのものは一点になつており、十五円までのものは技術料に二点を加えるし、十五円またはその端数を増すごとにだんだん積み重ねて二点ずつ加えて行つて、そしてその技術料と薬価とが足されたものが注射料として出て来たわけです。そうすると、たとえばここに一本十六円の原価の注射医者が買つたという場合のその現実注射料というものは、これは皮下注射であつたならば二点の皮下注射料にプラスの十六円になるわけですね。そうしますと十五円までのものは二点で、十五またはその端数を増すごとに二点を加えますから、十六円の注射は四点になる。従つて一本十六円の注射技術料も加えて六点というのが現在の技術料なのです。そうすると今の御答弁で、二点の中には技術料のGと人件費のNと経費のMが入つてつた、と同じようにいわゆる二点に加えられる十六円の注射の四点というものの中にも、GとNとMが加えられるとともに、薬品の原価のKが加わつてつたということなんです。これはそう理解してさしつかえありませんか。どうですか。
  29. 館林宜夫

    館林説明員 従来の考え方としては仰せ通りであります。
  30. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、技術料に加えられる四点の中にもGプラスプラスMが入つておる、こういう式が出て参ります。そこで物と技術とを分離することになつた今度の新しい体系考えてみますと、技術料は二・五九四点、従つてこれは先般来の御説明で明かにGプラスプラスMと人件費も経費技術料の中に一緒に入れてしまつた、こういう御答弁があつたわけですね。そうしてその二・五九四点に薬品の原価である十六円を足したものが医療費体系における注射料だ、こういうことになつた。そうすると現在の二点、皮下二点、静脈四点で行くかどうかということは、ここでぜひ答弁を求めなければならない点があるから言つているのです。なぜならば、もし皮下が今まで通りの二点で行くということになれば、これは技術料をちつとも重んじたことにならぬ。適正技術になつていないということなんです。なぜならば今までは薬品の中に技術料やら何やら入つてつたからいけませんぞといつてそれを取り出してくれたはずです。取り出してそれを技術料の中に入れたはずのものが技術料の中に入れられていない。こまかく私は分析してみた。入れられていない。だからその点はどうするのだというのです。物と技術を分離したといつた場合に、注射においてはどういうぐあいに分離したのかということが具体的な説明としてここに登場して来なければならない。それでこまかく分析してみれば今あなた方がわからないということ、その答弁ができないということなのです。これははつきりとした方針がきまらないということですが、分析の仕方はこういう形で物と技術とが技術料の中に入つて来るならば、今まで注射の薬と一緒にまじつてつた技術料をこつちへ抜いて来なければならぬ。従つて当然二点ないし四点の現在の技術料というものにプラスアルフアが加わるという思想が出て来る、こういうことです。その点の御答弁はないようでございますから、あとでよくお話合いになつて具体的な資料をお出しになつていただきたいと思います。
  31. 曽田長宗

    曽田説明員 ただいまの点につきまして保険に具体化すという問題は御承知のように別の問題としましても、考え方の問題をもう少し御説明申し上げておく必要があるのじやないかと思いまして申し上げますが、平均して注射技術料が二点幾らというふうに申してありますのは、これは皮下注射の場合、静脈注射の場合というふうにわけるときにはかわつて来るということは前にも申し上げた通りであります。これは差上げました資料についてもおわかりのように、平均いたしますと注射料は金額で申しますれば三十円九十銭になつておる。ところが皮下注射は一番数が多いのでございますけれども、二十五円八十銭になつておる。それから静脈注射は三十九円十六銭というようなことになつておるという考え方でありますのは、注射技術料は個々の場合といたしますれば、注射技術料の計算されました金額に応じて点数もきまつて来る。そこで薬品について、今までは薬品プラスアルフアがくつついておつたということを御指摘になつたのだと思うのでありますが、そのプラスアルフアというものは今後は私ども注射料の中からは技きたい。そうしてこれをむしろ診察料の方に移して報酬を支払うという形に持つて行きたい。でありますからこの技術料に加えられる薬品というものは薬品の原価というように考えておるわけなのであります。それでは具体的に個々の注射の場合に、薬品の非常にはしたの出る金額というものをどういうふうに処理して行くかということにつきましては、いわゆる金額でお払いするということも一つ方法でありましようし、あるいはこれが一つの御疑問のようでありましたけれども、私どもかように一通りの分析はいたして参りますが、保険等において具体的に支払いをいたすという場合には、ともすればこの薬品平均十五円なら十五円、そうして十五円から二十円までの薬品というものにつきましては、その薬品の原価を、たとえば十五円なら十五円と区切りまして、そうして二点なら二点の注射技術料というものを加えて行く。そうすると事実十八円の薬品を使つた場合には、技術料が予定された平均よりも若干減つて参ります。しかし今度は十二円の注射薬を使つたときにはその分がプラスになつて来るからというようなことで、平均十五円というところをとつて、この注射技術料と加えて、保険の場合等においては注射報酬だという形を編み出すことも一つ考え方ではないかというように思つております。私どもここに体系として掲げましたのは、その中味がよくわかるように一応分析して報酬を定めて行く、かように考えておる次第であります。
  32. 滝井義高

    滝井委員 いろいろ考え方を伺いましたけれども、とにかく私たちはどうもきわめて現実的で、具体的でなければ話が進みませんので、保険に具体化するには別な問題だ、こういう前提がありますためになかなかこれ以上話が進めにくいのです、従つて一応こまかい問題はこれくらいにして、あと大臣が見えましたら——きようはきわめて簡単な質問からどうもとんだ大きなこまが出ちやつたものですから、これでやめさせていただきまして、あとだれか局長にやられる人がおると思いますから、私大臣が来られてから古屋先生からの次に大臣に対する質問を留保して、これで一応やめさせていただきたいと思います。
  33. 小島徹三

  34. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先般滝井委員から二十七年十月におきまする東京都内の社会保険関係の診療所で千点くらい無作為に抽出して、日本医師会立会いで、この新医療費体系を適用した場合にどういうような結果になるかということを具体的に調べて、その資料を提出してほしいというきわめて適切な、またきわめて重要な御要求があり、私どもそれに賛成をいたしたのでありましたが、本日その資料を厚生当局から渡されましたのを拝見いたしますと、非常に重大な問題になつて来たのであります。今日までこの新医療費体系につきまして厚生当局の払われました御努力に対しましては、全委員をあげて本委員会におきましてもしばしばその労を多とする、敬意を表するというように、私どもは率直に敬意を表して参つたのであります。今日も私はその御努力に対して敬意を表することにつきましてはいささかもかわりありません。しかしながら御承知のように日本医師会と政府との交渉が非常にまずく、二十七年十月の調査がほとんどできなかつた、政府はやむなくきわめてわずかの診療所についてあるいは病院についてお調べになつた、これはすでに柳田委員等からも指摘されましたように、この昭和二十七年十月の調べにおきましては、個人立の診療所のごときは、実に有床診療所二箇所、また無床診療所わずかに九箇所、こういうような調査がなされたのであります。こういうような調査が統計学上何らの価値がないということは、これはすでに同僚委員が指摘した通りであります。従いまして今回のこの実地調査をしていただきましたことは、これはきわめて重要な意味を持つておるのであります。昭和二十七年の同じ十月の診療報酬の請求書によつてこれが調査されたわけであります。その結果きよう配付されました資料の二番目の三のところにはつきり結果が出ているわけでありますが、これによりますれば、今回のは内科、小児科が二十、耳鼻咽喉科十、眼科十、外科が十、私立大学病院外来を含むという前提でやられたようでありますが、その結果を見ますと、これは実に重大な結果が出て参ります。私どももこれほどではなかろうと実は予測しておつたのでありますが、非常に重大でございます。すなわち新医療費体系によつて点数でその請求書を実際に適用して計算した結果はこの表の通りでありまして、内科におきましてはきわめてわずかに点数が減るようでございますが、被保険者の場合だけ、その他の場合は全部点数が著しくふえることになつております。これを私今ここで計算いたしたのでありまして、あるいは少し違いがあるかもしれませんが、平均して全部をざつと当つてみますと、ここに出されております内科、小児科、外科、眼科、耳鼻咽喉科におきましては、被保険者本人の分でふえます点数は、全部を計算いたしますと四〇二〇。五、これをパーセントでやりますと二二・五%、被保険者本人の治療に要します点数は二割二分五厘ふえるということになります。被扶養者におきましては、ふえまする計算は——これは全部どの科もふえまするが、その合計は四一二五・四ふえる、パーセンテージで申しますると、平均いたしまして一二八・八六%ふえる、実に重大きわまりない現実がここに出て来たのであります。私は昭和二十七年十月以降今日までのこの保険の受診率の増加あるいはまた点数その他の増加、全体の保険財政の関係等を見て参りますると、これはたいへんなことになる、これよりもはるかに大きな数字が出て来ると当然推察をしなければならないのであります。従いましてもしこれをこのままやるといたしますれば、健康保険国民健康保険もまつたく懐滅せざるを得ないという重大きわまりない結果がここに出て来るわけであります。もちろんこれは東京都内の調査でございますから、これをもつて全国に推し進めるということはそこに無理はございますけれども、大体私どもこういうものに関係いたしております者がこれを見れば全国の推察ができるわけです。でありますからこういう重大な事実が出て来た以上は、これはもう一度根本的にこの新医療費体系考え直してもらわなければならぬ、この事件ばかりじやありません、すでに本委員会においてこの新医療費体系というものがどんなに重大な欠陥を持つているかということが暴露されました。これらのものを思い合せまして、今日までの厚生省の労は多といたしまするけれども、日本の全国民の生活に重大な影響を持つておりまするいわば日本の医療制度の革命ともいわれるべきことを行いまするには、これは絶対責任あるものといたしまして国会も政府もとうていこれをもつて行うことができないことはもはや明らかであります。従いまして私はまず厚生当局に対しまして、こういうような欠陥をお認めになつて医療費体系をひとつ根本からやり直しになるかどうか、本日大臣が出ておりませんが、所管の責任者でありまする医務局長に御意見を承りたいのであります。
  35. 曽田長宗

    曽田説明員 御要求になりました資料厚生省としましてもさつそく調製してみたのでありますが、時間がございませんので、これを算定いたしますについてもいろいろな仮定を用いております。いろいろ専門別に注射料あるいは薬治料等の原価等もかわつておるのでありますけれども、これを全部同じものを用いた。それからただいま長谷川委員からも申されましたように、これが特定の地域において行われたものであるということ、かような点から行きまして、この数字をもつてただちに全体を断じていただくことも危険なのではないかというふうに考えられるのであります。またこれを土台にいたしましても、ごらんのように内科、小児科とか外科というようなものは非常に数が多いのでありまして、おそらく診療所の七、八割はかようなものでないかと思うのであります。それに対しまして眼科、耳鼻科は非常に数が少いのであります。それで内科、小児科についてごらんを願いますと、これは被保険者あるいは被扶養者、両者を合せて見ますと大体二%の増というように推定されるのであります。これは私どもが再々診療所平均としておおむねその程度の増になつておるということを申し上げたのとむしろ非常によくそろつて来ておるわけであります。それから外科、眼科、耳鼻科のようなものにつきましては、この前に御説明いたしましたときにもちよつと触れたのでありますが、これはむしろ本来ならば診察料を内科小児科の場合とはかえて行かなければならぬような場合が事実である。ただこれをわけるのは非常に困難であるから、かような外科系統のものにも内科と同じような診察料を払うとすればどうなるか。それでそのためには処置料というもので支払われておる額をこの再診料の中に合体して行くならば、そういう同じ画一的な方法がある程度まで通用するだろうというようなところから、内科、小児科で国民医療費の態勢は定まつて行くのでありますけれども、そういう特殊な専門科に対しても、これをなるべく同じような方法で支払いが行われるというように考えられないかというようなことで、例の簡易なる処置というものを診察料の中に入れて参つたのであります。それがそれでもまだ十分に打込みきれていないということは私どもも承知いたしておるのであります。これにつきまして、このようなことを申し上げますと、またかえつて紛糾するかもしれませんけれども、私ども注射料それから調剤料というようなものは、いろいろな種類の行為一つの群としてまとめてあるわけであります。私ども診察料なるものもこれを群としてまとめて診察料において変化が生じないというものであるならば、初診料と再診料との間のバランスは一応計算としてはお示しのようなものが出ておりますけれども、これを再診料の方から初診料の方に報酬を移して行くというような考え方考えられるのじやないか。むしろそういうようにいたしますと、内科、小児科に対する報酬はかわらないのでありますけれども、特別な専門科に対する、ただいまごらんのような少し有利過ぎはしないかというようなところの調整はできるのではないか。しかしまた一方から言いますと、今までかような眼科、耳鼻科というような科が今日まで非常に不利だつたのではないかというような意見もございます。こういうようなところは十分検討して、大体の数字はただいまお示ししたようなところでありますが、その相互の間で多少の調整をするということは、今後さらに私ども検討して参りたいというふうに思つておる次第であります。
  36. 長谷川保

    長谷川(保)委員 いずれとしましても、これは特定の地域でありますが、同じその特定地域で同じ診療報酬の請求書で新医療費体系を当ててみて、もちろんこの新医療費体系をこれに適用してみるには、厚生省の方と日本医師会の方でお立会いでありますから、両方でお考えになつて一応今日までつくりました新医療費体系の性質からすれば、こういうように当てはめるのが妥当である、この当てはめましたときにおいて、一番考えられまする妥当な方法だと思われる方法でこれは計算なさつたに違いないと思うのです。同じ地域の同じ診療報酬で現行点数表によるものと、新医療費体系によるものとを頭のいい日本医師会と厚生省のお役人が両方で妥当だと思われるやり方で適用してみたに違いないと思うのです。その結果が——大臣ちようどおいでになりましたが、大臣はすでにこれを御承知かどうか知りませんけれども、その結果が、しかも内科小児科が非常に多いと申しますか、内科、小児科は三百軒、外科は百軒、眼科は百軒、耳鼻咽喉科が百軒とちやんと数字が書いてある。こういうように取上げて、昭和二十七年の十月分の請求書に新医療費体系は幾らになるかといつてお立会いの上で適用してみたところが、大臣、非常に困つたことには、これは平均しますると、被保険者本人の点数増加点数で申しますと四千二十点ふえる。パーセンテージで申しますと二二・五%ふえる。現行点数よりも新医療費体系を適用すると二五%ふえる。平均しまして内科、外科、眼科、耳鼻咽喉科二五%ふえてしまう。被扶養者になりますと三八・八六%ふえてしまう、たいへんなことになる、こういうことがこの資料はつきりした、これは先ほども繰返して申し上げたのでありますが、大臣がいらつしやつたから繰返しますが、これを二十七年十月以降今日までの保険の受診率の増その他の情勢を考えますと、これははるかに大きなものになつてしまうと考えるのが当然であります。従いまして、これをもしこのままやるとすればこれは保険がつぶれてしまう、健康保険国民健康保険もつぶれてしまうということが考えられるのであります。それで私どもは先ほども同僚委員と、まだ全部と相談したわけではありませんが、一部の者と相談いたしまして、これは根本的にやり直してもらわぬと、今日までの厚生省の各位の労は多といたしますが、その点につきましては、同僚委員からたびたび敬意を表されておるのでありますけれども、多といたしますが、この新医療費体系をやられた厚生省自体が手を上げてしまう、政府が最初に手をお上げになる、これはみなつぶれてしまう。ですからこれはもうあらゆる点から検討いたしまして、新医療費体系が重大な欠陥を持つていることがわかつて参りました。私ども厚生省も神様じやないから、いろいろな間違いも疎漏もあろうと思う、考え方にも間違いがあろうと思う。決して私どもはそれを責めるのではない、ところが一月一日からこれを元にいたしまして医薬分業に入ろうという重大なときであり、しかもこんなに混乱しておるのでありますから、これを私どもはときをかしますから、もう一度これをお考え直しを願つて、そうして国会も政府も一緒になつてこの重大問題を解決しようじやないか、今そういう考えでこれをやり直しになる御意思があるかどうか伺つてみたい。これはどうしてもおやり直しにならなければならぬと思う。面子とか何とかという問題に今とらわれている時期ではございません。もつと事柄は重大であります。私ども国会の方でもこれを責めようとは思いません。これは重大なる一つの問題と厚生省はとつ組んでおるのでありますから、責めようとは思いませんが、もしおやり直しになるという御意思があるならば、私は同僚諸君とお諮りして、今日をもつて一応本委員会を閉じていただくようにいたしまして、そうして皆さんにあらためて計算をして新しい体系を組んでいただいて、それをもつてもう一度臨時国会前にこの問題ととつ組んで国民のために考え直して見よう、こう思うのであります。大臣の御意見をこの際承りたいと思います。
  37. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 私途中から入りまして、今まで閣議をしておりまして、すぐ飛んで参りました。従いましてその前後のいきさつがはつきりいたしませんから、まず医務局長からお答え申し上げます。
  38. 曽田長宗

    曽田説明員 先ほども私少し申し上げ過ぎるくらいなところまでお話してしまつたんじやないかとも思つておりますが、私どももいろいろとその後検討もいたしております。また当委員会において皆さん方からの御意見も伺つております。また正式にあるいはいろいろ個人的に医師会あるいは薬剤師会、歯科医師会というような方々に対する今度私どもが発表いたしました新体系の反応とでも申しますか、こういうようなものも若干は承知いたしております。こういうような点から、このお示しいたしました新体系というものに若干再考の余地があるのではないかということは私どもも感じております。その基本はお示しのありましたような数字を、やはり基本として考え行つていいのではないかというふうにも思つております。私ども皆さん方の今申されましたような御意見を取入れてどの程度手を加えてみるかということについて急いで勉強いたしますれば、ある形のものがすぐにできるんじやなかろうかというふうに考えております。そのためにさらにどれくらいの期間を延ばさなければならぬかということ等は申し上げかねます。私どもとしては必ずしも根本的にくずれるものではない。若干考慮を加えてみたいというように思つておるところが率直な感じでございます。
  39. 長谷川保

    長谷川(保)委員 厚生当局もともかくいろいろな面子もありましようが、その面子を一応とつて、これを考え直すというように医務局長はお考えになつているようであります。そこで私は委員長にお諮りをいたしたい。ただいまお聞きのような重大な問題が出て参りました。この際やはり私どもはそれぞれの職責を十全に果すために、国民の重大な福祉に関係する問題でありますから、厚生当局ですみやかにもう一度お考え直しを願い、十全な新医療費体系にするように尽力していただきまして、それができ上ります間、本日なお残りの諸君質問がありましようからそれはやるといたしまして、一応本日をもつてしばらく委員会をおとじになつて、そうしてあらためて臨時国会前に召集されまして、新しい資料を基礎にいたしましてもう一度検討する、こういうように委員長においてお諮りをいただきたいと思うのでありますが、この点委員長説明を承りたいと思います。
  40. 小島徹三

    小島委員長 追つてお答え申し上げます。古屋菊雄君。
  41. 古屋菊男

    古屋(菊)委員 大臣に御質問申し上げますが、また医者がとお思いでありましようが、私今医者をやつておりませんし、医者の役員もやつておりません。そうして家は電気屋で医者にはあまり関係はありませんから公平な立場でひとつお尋ねをいたしたいと思います。  今度提出されました新医療費体系のうちで、医療費体系と医薬分業との関係についてでありますが、各委員と政府当局との間に活発な質疑が展開されておりますが、まだ遂に意見の一致を見ることができないのであります。大臣は新医療費体系は必ずしも医薬分業と本質的に不可分なものではない、常にこう御答弁をなされておるようでありますが、私もこの両者は可分の問題であると思うのであります。こういう点においては賛成しておるのであります。たとえば医薬分業問題が起りませんでも、医療費体系の変革ということはあり得ることだと私は考えております。しかし今度の場合はあくまでも抽象的な本質論であつて、この時期に厚生省が新医療費体系を国会に提出されて現実に審議しておるのでありますから、これは直接関係がないということはなかろうと私は考えておるわけであります。さきの第十九国会において医薬関係審議会設置法案が審議された際にも、あの法案実施の重要性にかんがみまして、医薬分業に関する医療費体系のデータをおそくとも九月中に本委員会に提出し、報告する等の確認を大臣から得て、初めてこの法案が通過したのであることは御承知の通りであります。また参議院においてもこの決議をいたし、その同じ趣旨のものであつたと存じております。従いまして今般厚生省において新医療費体系を国会に提出され、われわれがこれを議しておるという現実においては、医薬分業という問題の上に立つておるものであると存じまして、この観点からしますれば、新医療費体系を医薬分業問題と切り離して論ずることはできないのであると思うのであります。これは密接の関係のあるものである、こう考えておりますが大臣の御所見を伺いたいと思います。
  42. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御所見の通りに私ども考えております。
  43. 古屋菊男

    古屋(菊)委員 そうすると昭和二十五年の八月に厚生大臣が臨時診療報酬調査会に諮問しておりました医師、歯科医師薬剤師の適正なる技術料及び薬価の設定ということが医薬分業実施の可否を判定する基準となるものでありまして、新医療費体系の基本点はこの基準を設定するということにあると思うのでありますが、それと同時に私が申し上げたいのは、大臣がしばしば医薬分業の実施ということは昭和二十六年にきまつたものである、こう言われるのは当局としてはごもつともと思いますが、きまつておるとしても私ども国会としては現在の医薬分業を実施するかどうかということは、それが妥当であるか、またはこの問題が不適当であるかという問題については真剣に考慮しておるのでありまして、妥当でないという結論が出れば立法措置を講じて医薬分業の実施を廃止するとか、あるいは実施の期日を延期するとか、こういう措置を講じなければならないと思います。現に第十九国会におきまして、参議院から医薬分業実施を延期するの法案が議員立法として提出されておりますが、これも継続審議になつておるということも御存じの通りであります。少くとも私といたしましては、医薬分業の実施の期日が明年の一月一日からということは絶対不可変のものではなかろうと存じております。昭和三十年の一月一日から実施することが妥当でないならば、これは変更しなければならない。私はこれを変更し得るものであると考えておりますので、医薬分業を実施するかどうかは日本の医療制度の変革に大きい影響を与える問題であると思うのでありまして、医薬分業実施の可否を判定するということは、この新医療費体系一つの大きい問題であると考えておるのであります。私どもはこの両者はどうしてもわけて考えられないのでありますから、本問題は非常に慎重に、そして早く解決しなければならない。そして本委員会で臨時国会前に新医療費体系の妥当性に関しては何らか結論を出すべきであると私は考えておるのであります。またその方向に進むべきものであると考えておりますが、非常にむずかしい問題でありますからもう一層検討が心要ではなかろうかと思います。そこで本委員会においても最終的の結論は出さなくても、厚生省当局におきまして調査期間中に得たいろいろの批判的のことを考慮された上で、遅くとも十一月中旬ころまでには、もう一度意見を求められた方がよいかと私は考えておるのであります。きようも滝井委員質問に対して政府委員がおつしやられたように点数ということに対しては、まだまだ不明の点が非常にあるようでありますから、この点はもつと検討した上で、もう一度意見を求められた方がよいかと私は考えておる次第であります。なおそれでも当局としてはそれには及ばないということで、新医療費体系を一月一日にそのまま大臣は強行するお考えであるかどうか、その点をお伺し伺たいと思います。
  44. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 ずつと以前から再三お答え申し上げております通りに、この新医療費体系は御指摘のようにいわゆる医薬分業とはたいへんな関係があるものである、また直接関係があるという点は、私どもも同感に考えております。従いまして、分業と申しまする点から考えますると、その実際のやり方はこの新医療費体系の方程式を基準にして、それに基いてこれを保険点数翻訳して、そうしてこれを実行に移す、こういうことになりますので、これをこのまま実施はいたしませんが、これが基本になつて実施することは間違いない。私どもはそれを翻訳と申して、なるべくそのまま行く方が妥当である。ただ不合理な点があるなら、これは根本的に訂正してかからなければならぬでしようが、そうでない限りにおいては、これを翻訳して行く。従つてコンマ以下三点もございますから、これを実際支払いし得るように保険協議会に諮問をして、これを点数にかえて行く、そのかえる場合に、この精神をそこなわぬようなかえようをして行こう。従つてどうしてもこの協議会の答申をまつてこれを実施する段階になつて行かなければなりません。実はこれが一月一日からになつておるから、今のお話のように一月一日に強行するかという点については、実は強行とも強行でないとも、そういう意味は全然持つておりません。ただ現在の法律からすると、いやがおうでも厚生省側としては一月一日に実施のできる準備をして行かなければかえつて皆さんの方から怠慢のそしりを受ける。従つてどもは一月一日からの実施というこの法律の基本に基いて準備を進める、それに間に合うように各般の準備をして行かなければならないというのが実は従来から一貫してお答え申し上げておる点でございます。そういうふうな準備をとりはからつております。
  45. 古屋菊男

    古屋(菊)委員 そうすると、大臣はある程度強行しようというお考えですね。ところで今新医療費体系の基礎になつておるデータの、昭和二十七年三月の医療経済調査というものに対する信憑性、妥当性の問題でありますが、この複雑な困難な調査をされた御当局には非常に感謝しておりますが、まだまだ非常に不備な点が認められるのであります。この調査においても大量的観察方式で統計をとれというわけではありませんが、スモール・サンプリングでもけつこうです。これはもつとスモール・サンプリングで、ほとんど統計になつておらぬように私ども考えております。たとえば診療ということと治療ということは、各車門別においてまつたく違つた形に現われて来るのでありますから、もつと専門的な調査を進めておいていただきたいと思うのであります。もう一つ、日本医師会との連携、ことに医師会がこういう問題には非常に関心を持つておられるのでありますから、もつと医師会の善意的好意をもつて、お互いに十分な調査をして協力してやつていただくという点において粗漏の点はなかろうかと思うのでありますが、協力されておつたかどうか、この点もお伺いいたしたいと思います。  次に医療費体系が、今までの御答弁によりますと、国民医療費制度にどういう影響をもたらすか、あるいは薬剤師に与える影響はどうであるとか、あるいは病院診療所に与える影響、ことにどの層においてはどれだけの影響を与えるかというような点もほとんど明確になつておりませんので、これはやつてみねばわからぬというようなことでありますが、こんな話ではどうも前途が危ぶまれるのでありまして、こういうような体系を基礎にして実施された場合には、必ず国民医療費増加は来るだろうと考えるのであります。私はこういうことを考えまして、この医療費体系なるものも非常にずさんな感があるのでございます。今日においても大臣はこの医療費体系をもとにしてやるということ——今まで委員が非常に活発な議論をもつて検討されておるにもかかわらず、まだこれをもとにしてやろうという不動の確信を依然として堅持しておられるようですが、もう一度確たる御返事をいただきたいと思います。
  46. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 だんだん新医療費体系については御議論の点もよく承知いたしたのであります。従つてこれらの御意見の点につきましてはこれを尊重いたして参りたいと存じます。ただ御指摘のように、全体から申しますと、私どももこれをもつていわゆる万全な、統計学的なものの上から申しましても、治療の上から申しましても、一点の批判のないようなものではないということは、最初から実は申し上げておる点であります。ただあらゆる点から考えて、これ以上には方法もなし、またこれをもつてどもは新医療費体系としての基本とすることに、決して妥当性を欠いておらないという点から御報告を申し上げたのであります。従いまして御指摘のように、あるいはあらゆる点からもつともつと——ただいまのお言葉を借りますと小さい部面あるいはもつと掘り下げた部面と申しますか、そういう点等をあらゆる角度から検討し、二十七年ばかりでなしに二十八年についても十分検討するということも当然でございます。しかしこれらの点も実際上の取上げ方によつてはなかなか困難でございましたので、従つて今申し上げたようなことを基本として資料をつくつたのであります。この資料につきましても、いろいろな角度からこれを検討して参りましたことは従来再三お答えを申し上げた通りでございます。これによつて医療費の増高が不安定ではないか、これもある点から申しますと、このような御議論も私は確かに成立すると思います。しかしそういう点と、それから医師収入なりを十分検討する意味において、従来の収入というものを一つの基本にして考えたのでありますから、なし得る可能な限りにおきまして、これらの点は収入なり国民負担なりに影響を与えないという考え方で計算を打立てて参つたのでございます。実際やつてみないとわからないというだけではこれはまことに申訳ないのでありますから、ある意味においては、てにをはから考えますと、そういうことが一方からは必ずしも言えぬことはないとは思いますけれども、私どもなるべくそういうことは避けたいと存じます。少くとも一つの基本を出す以上はあらゆる点から計算して、それによつて国民の負担にどう影響するか、あるいは医師収入にどういう変化を来すかというような点を検討いたしました上でないと、単なる砂上の楼閣にしかすぎませんから、そういう意味でいたしまするために、実は統計資料というものを中心にいたしたのであります。そうじやございませんと、もつと、理想的な一つの案から国民の負担の増高なり、あるいは従来のやり方に急激な変化を来さないというだけの問題でありますと、だんだんこの委員会でも御指摘にありましたあるいは外国等の例なり、あるいは従来各国のとつておりまする例等を引用しながらやることにはやり得る点もあろうと存じまするが、日本の従来の行き方あるいは国民負担の点なりを十分検討する意味においていたしたのでございますから、従つて統計学的な基本資料というのを実は重んじたような次第でございます。そういう意味でございまするので、この点につきましては私どもも御指摘の点十分検討しながら進んで参りましたし、また今後もそのような心持を持つておることを御了承をいただきたい。
  47. 小島徹三

  48. 滝井義高

    滝井委員 大臣に対する御質問を残しておりましたので、少し時間がかかるかと思いますが、きわめて重要な体系に関連のある問題でございますので、この際再び体系についてある程度検討を加えるという今御意見もあつたようでございますので、あえて申し上げなければならぬと思うのですが、その前に昨日緒方副総理に出ていただきまして、体系の問題についてお聞きをいたした。その結果閣内におけるいろいろの意見もあつたので、今後は各方面の意見を聞いて、閣内の意見をまとめて参りたいという意味の御答弁があつたのですが、先般五日の閣議であつたと思いますが、今度また今月になつて二度目の閣議が開かれたわけなんですが、本日会議でそういう点何か御結論でも出たものでしようか、その点を率直にひとつ御表明を願いたい。
  49. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 その後一両回、二回、きようもで三回目と思いますが、実はあのときのいろいろなお話については昨日副総理から御答弁申し上げた通りであります。本日は別にこれに対する取上げた議論はございません。
  50. 滝井義高

    滝井委員 その次に、大臣の言葉で言えば、いよいよこれを社会保険点数翻訳をする、こういうことになるわけですが、その翻訳をするについて、この翻訳厚生省独自の立場でやられて持つて来るのか、このあと先の問題なんですが、今度いよいよわれわれは翻訳をしたのを出してもらわなければならぬことになるわけです。それは先に臨時医療保険審議会なり、中央社会保険医療協議会にかけて、そうしてまとまつたもので国会に持つて来られるか、それとも先に国会に出されるのか、この点をひとつ明白にしておいていただきたいと思います。
  51. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 この点数の改訂あるいは点数の変更と申しますか、そういう点につきましての一応の従来とつておりますることをお答え申し上げまして、大体今回も従来の通りにいたしたいと存じまするので、その点を事務当局からお答えを申し上げます。
  52. 滝井義高

    滝井委員 ちよつと答弁の前にお聞きをいたしておきたいのですけれども、今度それはどういう過程で持つて来られるかわかりませんが、ここに持つて来られたものは大体決定案として持つて来られるのか、また何か別な意見をそれに加えるかという、こういう点も同時にあわせて御表明を願いたいと思います。
  53. 館林宜夫

    館林説明員 保険において採用する事務手続のことをお答え申し上げますが、でき得る限り早急にこの体系の線に基きまして保険の各点数を改訂する案を検討いたしまして、その新しい改訂案を早急に中央社会保険医療協議会を開催いたしまして、それに諮問いたしまして各界の御意見を伺う、こういうことになるわけでございます。
  54. 滝井義高

    滝井委員 そこで国会に持つて来ますか、その国会へのかけ方と前後の関係を伺いたい。そこを尋ねておる。具体的な取扱いを……。
  55. 館林宜夫

    館林説明員 それによりまして大臣が告示をする段取りになるわけであります。
  56. 滝井義高

    滝井委員 そういうことじやなくして、もしあなた方が持つて来た案をわれわれがここで実施まかりならぬという議決をしたときはできませんよ。それは行政的なものであつても、国会の意思がその医療費体係というものは不合理だからまかりならぬと言つたらどうしますか。それはあなた方諮問機関の意見を聞いただけだ。だからその前後をどうするか、先に国会に意見を求めるか、中央社会保険医療協議会なりあるいは臨時医療保険審議会に求めて、そうしてぴつしやりまとめた厚生省の案として国会に持つて来るか、それとも国会に案を出して、国会がオーケーと言つたら中央社会保険医療協議会なり臨時医療保険審議会なりにかけるのか、どつちが先なのか、こういうことをお尋ねしている。
  57. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 従来の手続につきましてはただいま事務当局からお答え申し上げた通り、従つて従来また今後におきましても、保険点数の改訂と申しまするか、これらに関しましては保険協議会に厚生大臣が諮問をいたしまして、その諮問の形においてはいろいろ形がありましようが、大体幹事案なら幹事案という一応の案を出して諮問をする場合と、全然そういう案を出さずにする場合ともあり得ると思いますけれども、一応はやつぱり幹事案というのを出してそうして諮問をし、従来なるべくその答申を尊重するという形をとつてつておりまするが、その協議会のメンバーは御承知のような各関係団体その他の代表が加わつておられますので、十分この点は検討ができると存じております。それによつて厚生大臣に答申がありますから、その答申に基いて厚生大臣はこれを実施に移す、これが従来の段階であります。ただ今回はたいへんな急激な変化なり全面的な変化があるから、その他に何か考慮する余地はないかという点につきましては、現在はまだ検討をいたしております。
  58. 滝井義高

    滝井委員 これはきわめて重大なことなんです。おそらく今長谷川委員から御指摘になつた点は根本的な問題にも——今から質問をしますが、非常に私たちは疑問を持つておるわけなのでございますが、その根本的なものはあとにいたして、一応現在の問題点である社会保険翻訳した場合にはどうなるかということが、政府当局の方としてはまつた答弁ができないわけなんですね。従つてそういう翻訳した場合にどうなるかという答弁ができないものを、今度は何も国会にも諮らずに、今言つたように中央社会保険医療協議会のことでぽつとやつてしまつた、国会はただつんぼさじきだつたということは、これは今までの大して問題のないときなら私はそれでけつこうだと思う。ところが今度は医療革命だといわれるような大問題なのだ。保険経済を根本からゆさぶる大問題だ。だからどちらに先にかけて来年一月一日から実施することになるか、こういうことなのです。これは当然大臣の権限としては、先に国会の御意見を聞いて、その御意見で了解を得られたならば今度は私の方は諮問案として出しましよう、あるいは先に諮問案を出したならば、国会はこれは何も言う必要ない、そのまま一月にやる、こういうことなのですか、その間をはつきり大臣この際しておいてもらわぬと困る。これを絶対ひとつはつきりしてください。
  59. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 厚生省といたしましては新医療費体系の御報告を申し上げ、皆さんの御審議をいただいておるこの新医療費体系における御意見というのを、私どもの根本の意見として実は拝聴したつもりで御報告を申し上げたのであります。従つて私はこれを翻訳々々ということを申し上げておつたのでありますが、それを今度は具体的に点数に改訂する場合に、この新医療費体系の線に沿つて、そうしてなるべく尊重しながら、少し零点何々というのがありまするから、それらの動かしようがあるいは問題になる場合もありましようと存じまするけれども、これはその根本精神をくつがえさないような翻訳の仕方をして幹事案というのを保険協議会に出す、こういう考え方をいたしておる次第でございます。これは現在もさような考え方でいたしております。
  60. 滝井義高

    滝井委員 そうすると大臣は国会には幹事案というものは出す必要はない、こういう結論になるのですが、そう考えてさしつかえありませんか。問題は医療費体系だけの承認を得ればいい、具体的に翻訳したものは国会はくそ食らえだとこういうことになると思うのです。これはもつともこういう段階ですから、言葉にいろいろ衣を着せずにはつきりと、幹事案は国会に先に出して承認を得たい、あるいは社会保険協議会に先に出す、どちらか直接答えていただければけつこうです。
  61. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 私が今申し上げた通りでありまして、この新医療費体系に基いて、今度はこれを点数翻訳したのを保険協議会に出す予定でございます。
  62. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。そうすると国会には出さぬということでございますからそれ以上は申しません。  次にお尋ねをしますが、そういたしますと、社会保険医療協議会というものは、先般多数決で強行いたしました。そうしますと、これはもし保険者あるいは療養担当団体のどれか一つが強硬な反対をして——この前には医師会が退場いたしましたが、もし今度国民保険の連合会とか、あるいは健康保険組合が、これは上るんだといつて退場された場合にも強行することになると思いますが、それでやはり国会の御意見も聞かずに強行されるつもりでございますか。
  63. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは保険協議会の運営の問題でありまして、それにはそれぞれ御承知のように、あるいは会長があり、運営というものはともどもにやつておるのであつて、その運営は会長において十分なされる。また慎重に今回のような場合は取上げられると私は期待をいたしております。従つて十分意見は反映した形によつてなされると存じております。
  64. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。それならば多数決でも今まで幹事案が通らなかつたことはないのです。中央社会保険医療協議会で今政府の出した幹事案は通るということで、おそらく無理々々にでも強行してやられると了解できると思うのです。それ以上は言いませんから、それじやいよいよこの医療費体系の根本の問題について言つておかなければならぬと思いますので、質問させていただきます。と申しますのは、どうもわれわれには体系だけしか尋ねんということでございますから、この点を少し質問させてもらわなければならぬ。大臣は総医療費の概念をどうお考えになりますか。
  65. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 根本問題の御質問で、これは資料にも出しておりまするように、総医療費はいろんな医療関係のものを全部含めて総医療費というので出ておるのだと存じます。従つて直接の診療関係の医療その他の医療というのが加わつたのが総医療費となつておるのであります。
  66. 滝井義高

    滝井委員 そうすると診療関係の医療と、その他の医療とこういうことになつたわけです。そうするとその他の医療費に入るものはどの程度までを総医療費にお入れになりますか。大臣はこういうことと、こういうこととを含んで、大体大きなわくでけつこうでありますから……。
  67. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは詳しいことは事務当局から申し上げますが、私の申し上げるのは、あるいは家庭配置薬その他医薬関係のもの、そういう医療に直接関係して来るもの、そういうものを総医療費の中に含むべきものだと考えております。
  68. 滝井義高

    滝井委員 あなたの方の厚生省の行政費、これも私たちのさいふから出たものでまかなつておる。いわば間接医療費なんです。これも総医療費の中に入るのですね。
  69. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは考え方によると思いまするが、今回の資料の中には入れておらないと存じます。全然別にしておると思います。
  70. 滝井義高

    滝井委員 入れていないのですね。そうしますると総医療費という概念は、この前も私ちよつと参考人に指摘したのでありますが、あなたは参考人としてどういう点を総医療費考えておられるか、直接患者が払う医療費を総医療費考えるか、そう言うと、そういうものは総医療費と言わない、これは答申の中にもそういうものは医療報酬としか言つていない、医療報酬は診療に対する報酬、これがS1、調剤に対する報酬、これはS2、総報酬はSとすれば、ΣS1+ΣS2になる、ところが総医療費は、S=ΣS1+ΣS3+ΣS4というように、もう少しあるかもしれないがこうなつて参る。そうすると国民の総医療費はきわめて範囲が小さくしかとられていない。直接医療費は比較的正確にとられている、いわば間接医療費はいわゆる物品費とか付添費とか交通費というようなもの、あるいは行政上のロス、むだというようなものを排除するための意味の総医療費の概念が入つておらない。従つてこれは当然新しく検討する場合に、日本の国民の総医療費というものはどの程度のものであるかということを把握する場合には、もつと広げて日本国民全部の総医療費というものを検討しなければだめだ。二十七年度を一千五百億とすればこれでは土俵が狭くてやりくりがなかなかつかない、むだを省くところが少くなる。大きなわくを広げて来るとたくさんなむだが出て来るからたくさんな経費が出て来る。こういう点は基本的の問題として考えなければならぬ、理論として当然である。日本の医療の大変革をやろうとするときはそれを考えることが常識だと思う。大臣はそういう医療費体系を御検討なされて考える意思があるかどうか、これをひとつ御答弁願いたい。
  71. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御指摘の点ごもつともと存じます。どう申しましようか言葉の不十分な点はお許しをいただいて、広い意味に考えるときは当然これは検討して考えなければならぬ。先般も問題になりました全体の新医療体系という点から考えますと、あるいはそこまで当然これは検討いたすべきものであり、またこれと離しましても御指摘のような場合にはそれの十分な組織化、合理化を考えないと、医療全体として問題を残す点が確かにあると思う。今回はしかしその点を区切りまして先ほど来また御報告の中にも織り込んでおりますようなしめた、しぼつたような形で検討して参りたい。
  72. 滝井義高

    滝井委員 そういうぐあいにしぼつて来ると非常に大きな間違いが起つて来る。なぜかというと、それならば国民医療費の負担能力というものを何を基準にしてお出しになりますか。国民医療費の負担能力は現在国民が負担をしている医療費が負担の限界である、限界でないという基準は何を基準にしてお出しになりますか。
  73. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは学問的にはいろいろな検討があると存じます。また学者によりましても国民負担の限界というものを、あるいは住宅なり、被服なり、衣料なり、それによつてずつと分類して参りますときにいろいろな限界、線を引き得ると存じます。しかし私どもは大体従来のような状態を一つ考え方基準に置きまして、そうして俗に三%何がしと言つておりますが、必ずしも三%が限界の、いわゆる原則でもない。ただ従来から流れて来ている一つの動きが、大体そのくらいの点が一つの動きだろうというような点があつて、あるいはこれが学問的に一致する場合と一致しない場合とあると思う。従つて先般も御指摘になりましたように国民の総所得に対する割合等から考えますと、これはもつと厳格に分析してかかるべき点も多々あろうと思います。
  74. 滝井義高

    滝井委員 十九国会のときには国民所得の三%が日本の国民医療に対する経済的負担の限界であるということを、速記を調べてごらんになつてはつきり言明された。きようになると先般来私が指摘したものだから、どうもぐらついて来て、三%ぐらいあるというのが、今度は住宅の基準なんというものが医療費基準と関係があるかどうか知りませんが出て来る。これでは私はどうも困ると思うのです。問題は国民医療費をどの程度負担し得るか、これが大問題なのです。だからこの点はたまたま昭和二十七年が三%にほぼ近かつただけであつて、その他三%という数字は出て来ないのですよ。私はこういう概念を持つておる。総医療費というようなものは、これはおそらく検討してみれば一つのわくが出ると思いますが、行政費からいろいろの間接費すべてを入れてみると、これはそう大きな何千億と違つたものではない、こう思うのです。ところがそれをあなた方はただ直接医療費だけを持つて来るから、これはわくに大きな出入りが相当出て来る。もつと土俵を広げてみると国民の総医療費というものはある程度国民所得に見合つたもので行きつつあるのじやないか、こういう考えが出て来るのです。ところがそれを非常に小さな直接医療費みたいなものを総医療費の概念で当てはめておるところにこの体系の大きな誤りがあると思う。従つて千五百億という小さなわくで——決して小さなものではありませんが、私の概念による小さなわくです。その小さなわくでやるところに技術料その他においても非常に無理が出て来ると思うのです。時間がありませんから私はそれ以上やりませんが、こういう点ももつと検討してもらわなければならない。特に大臣にも医務局長にもお願いいたします。  その次、保険局に関係がありますが、参議院の八月十七日の厚生委員会の答弁で、久下局長は現在の社会保険点数のアンバランスについては、八月中に検討終つてその資料を出します。それを実施するかどうかということについては一応疑問であります。確約はできかねますけれども検討終つて資料を出す、こうおつしやつた。そうすると当然やがて新医療費体系が、大臣の今言われるように強硬に実施せられるであろう一月一日におけるアンバランスの是正と新医療費体系との関係はどうなるかということなのです。これは現在社会保険医療協議会で御諮問になつておると思いますが、これには二つの案がある。日本医師会から出ておる案は、新聞で見てみますと初診料が十点で再診料が五点なのです。そうしてあなたの方の政府から出ておる案は、初診料、再診料は何も書いてない。修正する必要がないというところなのでしよう、何も書いてない。そうするとこの関係というものはどういうことになるのですか。アンバランスを是正して来年一月からこれを実施することになる。そうするとそこに新医療費体系がかぶさつて来る。これはどういうことになりますか。中央社会保険医療協議会に行つたときには、もしかすると医師会の初診料十点が民主的な運営をやつて行けば認められるかもしれません。その場合の新医療費体系との関係はどうなるのですか。これをひとつ明確に御答弁願いたい。
  75. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 お話のように現在協議会に点数のアンバランスの是正、一口に申しますとそういう意味においての諮問をいたしております。従つてこれが遠からず、なるべく早い機会に私どもは答申の出ることを希望しております。これが出ます場合にはなるべくそれを尊重したいと思います。従つてそれは現在の点数の是正であります。もしやそうなりますと現在の初診料、再診料にも響くじやないか、当然響くと思います。またアンバランスがもしや響くものがあるならば、それを響かせるところに今諮問をしておる意味があるのでありますから、その場合には改訂しなければならないと存じます。
  76. 滝井義高

    滝井委員 新体系で六・二〇三点というものは来年の一月からまるくして実施いたしますと久下局長は言明いたしまして、そこで二十七年から現在の二十九年までには推移がある。必ずプラスアルフアというものを加えなければならぬ客観情勢というものが出て来ると思うのだが、あくまでも六・二〇三点というものをまるくして六点で行くかと聞いたら、それで参ります。こういう答弁をされた。ところが今のあなたの御答弁では、もし日本医師会の十点が認められたときは十点で行きますと言う。それはどういうことですか。どつちがほんとうなのですか。
  77. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは点数のアンバランスの問題と、この新医療費体系とは別にお考えをいただきたい。点数の方は現在の状態におけるアンバランスを考えておる。従つて現在の状態が修正されてどの程度まで行きますか、これからの問題であります。その場合には当然それが一つの既得権になります。そう考えております。
  78. 滝井義高

    滝井委員 大臣は重大な発言をされました。現在の既得権になると言いましたが、現在五点の処方箋の既得権はゼロになつております。これはどうしてですか。そういう論理の矛盾というものを−子供だましではありませんよ。これは国会です。もつとはつきり答弁をして来なければいけないのですよ。久下局長は現在既得権の処方箋料五点はなぜゼロにするのか、現存の五点の理論的根拠はどこから来たかというと、それは昔の医師会で請負をやつたときに五点でしたから、それを持つて来ました、こう言う。これを今度は処方箋料はゼロにしたのはなぜか、それは昔は処方箋をもらう人は少なかつたが、今度はたくさん出るようになつたからゼロにしなければならない、こういうことなのです。するとあなたは現在の既得権の五点も認めるという答弁になりますよ。既得権を認めれば、今度は十点を認めなければならぬ。六点を是正して十点になる、こういうふうに私は了解いたしますが、今の答弁はつきりそうかどうか、お答え願いたい。
  79. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 私が既得権と申したのは、あるいは言葉が不十分だつたかもしれません。不十分な点はお許しを願いたいと思います。ただ現在の点数においてただちにたいへんなアンバランスの点があるじやないか、これはもとからの議論であります。また実際上の問題に不合理を感じておる。それを早くかえようじやないかということは、夏ごろからの団体も同様に考えております。従つてこれを実現し得る点から早く実現をして行きたいということは、私ども委員会でもたぶんお答えを申し上げたことだと存じております。従つてこれの答申がありますならば、もちろんなるべく早くこれを改正したいと存じております。そういう意味においてその精神は将来ともくんで行きたいと考えております。そういう意味で申し上げました。
  80. 滝井義高

    滝井委員 そうするとアンバランスの是正の中には、十点の初診料が通るとか、その他たくさん、二、三十種類のアンバランスの是正ですから、いろいろありますが、この新医療費体系とはかわつたものが出た場合には、初診料の六点とか再診料の四点とかいうものは固執しない、医療費体系は、社会保険医療協議会の意見を尊重して、言葉は悪いが既得権として社会保険に実施して行く、こう理解してさしつかえありませんか。そうしますと、この医療費体系は現在の情勢を基礎にして、少くとも昭和二十七年の情勢が現在まで来ておるということを仮定しておるわけです。変化がないということ、スライドする必要はない、修正する必要はないという答弁があつたのですから、現在の状態と昭和二十七年の状態は同じだ、従つて現在の情勢の中に立つてアンバランスの是正をして、十点でなければ現在の情勢では不適当だ、こういうことになれば、これは根本から違つて来ますよ。すべてにプラスアルフアが行かなければならないという理論が出て来ることを大臣は今お認めになつたことになるのですが、この点もつとはつきり答弁を願つておかなければならない。
  81. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 今度の点数の是正において、どういう結論が出ますか今想像はできませんけれども、しかし私ども検討しております点は、いろいろな関係の中で調整ができて、大体ほどよい点でおちつくのではないか、またそれを期待しておるのであります。そういう答申に対しましては、私どもは尊重して行かなければならない。尊重して行く場合にはこの方程式通りに行かぬ場合があるじやないかというのが今の御指摘だと存じます。その場合、現在でも答申を尊重しまする場合には、あるいは政府負担が増になることも予想しております。そういう意味において、同様に考えております。
  82. 滝井義高

    滝井委員 どうも答弁が明確でなくてわかりません。時間炉ありませんから、とにかくアンバランス是正と新体系との関係は保険局において十分考えておかなければならない問題を含んでおるということだけをひとつ指摘しておきましよう。  その次に大臣にお尋ねしますが、昭和二十六年の十二月七日の閣議で、社会保険診療報酬の単価に関する件が討議されておると思いますが、大臣御記憶にありますか。
  83. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 記憶にありますが、今ははつきりした資料を持つておりません。
  84. 滝井義高

    滝井委員 これは当時大臣でなかつたかもしれませんが、閣議の了解事項はその後に厚生大臣になられた方も尊重しなければならぬということは当然です。昭和二十六年の十二月七日の閣議了解事項の中に、単価及び点数については、根本的に検討し、これが適正をはかる、こういうことになつておる。きようは久下さんがおいでにならないと非常にぐあいが悪いのですが、久下さんは、大臣もそうですが、現在の単価は妥当であるが適正であるかどうかわからぬ、こうおつしやつた。閣議ではこれが適正をはかる、こうなつておる。はかるということは明らかに適正でないということなんだ。その後厚生省は単価及び点数について根本的に具体的にどういう検討をされたのですか、これをひとつ御答弁願いたい。
  85. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 現在の単価は、御指摘のようにそういう径路をたどり、あるいは臨時というような意味からの径路で来ておると思います。従つて、これが単価の基本的なきめ方というものについてもつと検討の余地があるというのが、実は臨時医療報酬調査会でございましたが、社会保険医療協議会というものをつくり、かつまた諮問をした根本になつております。その後数年間これについては熱心に検討されて参りましたが、本春以来しばらくそのままの状態になつておりましたので、さらに最近メンバーを新たにしてこれを早く取上げ、答申を待ちたいというので、現在熱心にこれを続けておられるという状態でございます。
  86. 滝井義高

    滝井委員 大臣答弁と久下さんの答弁とは違います。今大臣は臨時単価だということなんですが、臨時という言葉は暫定単価ということですね。先般十九国会のときに私は現在の単価というものは暫定単価だと主張した。そうすると、久下さんは、暫定単価ではありません、暫定単価と考えるのは日本医師会だけでしよう、こういう答弁をされた。今大臣は、臨時単価、いわゆる暫定単価とお考えになつておる。これは医療課長どういうことなんですか。あなたの方の厚生省の所管局長は、それは暫定単価じやありません、二十六年は適正単価であると断言した。大臣は今、二十六年のあのときは臨時単価だ、だから、これはそのために検討したと言われる。これは厚生省としてどういうことなんですか。大臣はかわつたかもしれませんけれども局長大臣答弁が違う。これはおかしいですよ。
  87. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは違うと申されますが、決してそうじやないので、その当時の御答弁と今私が申し上げましたこととは、言葉はいろいろ不十分な点もあつたかもしれませんが、しかし精神は同じだと思います。それは今の単価は検討の余地があるという意味から私は申し上げておる。従つてあの閣議の了解なり、その後の点なりは、単価についての検討をずつと続けて参つております。また当時の単価の基本から現在まで来ている点に対しまして局長がお答え申し上げて、かりに私の答弁と違つたような印象をお受けになつたといたしますと、それは実態においてそれがずつと来ているという意味においてであろうと存じます。私どもはこの単価はこれで妥当だと申し上げましたが、妥当というのは、必ずしも適正という意味じやないのであつて、これは私たいへん苦しんだ答弁をいたしたのでありまするけれども、その精神は大体御了承いただけると思います。そういう意味におきまして単価について諮問いたしておるのであります。単価が全然問題でなかつたら諮問なんかする必要はありません。もう一ぺん検討してくださいというのがその本心でございます。
  88. 滝井義高

    滝井委員 その点を保険局長にお話になつてみてください。この前から再々言うように、大事な結核対策を立てると所管局長答弁したが、大臣が知らなかつたり、局長答弁大臣答弁が食い違つたりするようなことは困るから、意見を統一して出て来てくれということを私は冒頭に申し上げておる。よくそれを言つて、この次から局長が間違わぬように大臣から指示してください。  昭和二十八年二月一三日に向井大蔵大臣から内閣総理大臣吉田茂さんに、社会保険診療報酬に関する課税上の取扱い等に関する件という文書をお出しになつているのですが、大臣は何かそういう文書を御記憶ありますか。
  89. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 課税の減免の問題であろうと存じます。その点は記憶はいたしております。
  90. 滝井義高

    滝井委員 御記憶になつておるそうでありますからけつこうであります。その中に社会保険診療報酬の適正化についてやはり書かれております。どういうことが書かれているかというと——大臣は御記憶になつておるか、なつておらないか、きわめておぼろげのようでありますから、あるいは御記憶になつていないかと思いますが、社会保険診療報酬の適正化については、関係各省においてすみやかに根本的な検討を加えるものとする。なおこの場合、要すれば、臨時医療保険審議会その他の民間の公正な意見を徴するものとする。こうなつております。根本的な検討を加えるのは各省でやれということです。その場合、付録として要すればということは、やらなくてもいいが、できれば臨時医療保険審議会その他の民間の適正な意見を徴するものとするというのが、向井大蔵大臣から総理大臣吉田茂さんに出している文書なんです。そうすると、これは主管省はあなた方の方なんですから、各省とあなた方の方で根本的な検討を加えなければならない。二十六年にも言われており、二十八年にも言われておる。そしてこれがすでに足かけ四年になんなんとするのにまだ結論が出ない。適正であるかどうかわからぬけれども妥当だというようなことでは、一国の保険行政をあずかる大臣として私は怠慢だと言わなければならない。大臣はこの文書は社会保険の税金のことぐらいしか覚えておられぬだろうが、この中には重要な社会保険の診療の適正化についてうたわれておる、これは大体、当時関係各省とどういう処置をとられましたか。具体的に何省とどういう措置をとつた、何省とどういう措置をとつたということをここではつきりつてください。
  91. 館林宜夫

    館林説明員 医療課長からお答えいたします。単価の問題につきましては、折りにふれて大蔵当局と協議はいたしております。
  92. 滝井義高

    滝井委員 大蔵当局とどういうことを交渉されたか、そのてんまつを詳細に、大蔵当局はどういう意見を持つておるのか、それをひとつここで説明をしてもらいたい。どういう点に単価の根本的な改訂をやる隘路があるか、そういう点を明白にしてもらわなければならぬ。これは私が言つたのではない、向井大蔵大臣が内閣総理大臣に出しておる、やれということを言つておるんだ。だからもつとはつきり、具体的に、大蔵省と何円をもつて交渉したらそれは高いと言つてはねられたか、そういう具体的なものなのだ。根本的に関係各省とやれ、なお公正を期するために臨時医療保険審議会等に意見を聞いてみろ、こういうことなんです。だから、あくまでも主体は厚生省なんだ、あなた方は問題がむずかしくなると中央社会保険医療協議会とか、臨時医療保険審議会と申しますけれども、主体はあなた方なんです。これは、この向井大蔵大臣が内閣総理大臣にあてておる文書でもはつきりしておる。隠れみのに隠れてはだめなんだ。だからまずみのをぬいで、何円を大蔵省と交渉した、その結果大蔵省はこれではだめだ、現行で行くと言つたのか、そういう点を、具体的に金目をあげて——現在の医療費体系は、岡さんも指摘されたように、十二円五十銭でなければ保険経済が赤字であるということははつきりしている。これは大して税金がかかつていないときの十二円五十銭なんです。これに税金がかかる、あとでまた医者の身分保障の問題を出しますが、いろいろかかるとそれではやつて行けない、私は自分で具体的に健康保険のいわゆる普通保険病院調査しました。あるいは農村の厚生関係の病院意見も聞いてみました。あるいはそこから陳情書も出ております。いろいろ調べてみましたが、最低十四円でなければどうしても現在の病院はやつていけぬということは大体はつきりしております。税金がなくて最低十四円です。昭和二年発足以来健康保険点数の単価もずいぶんかわりました。これは私全部調べておりますが、健康保険の単価というものはずいぶんかわつて来ている。昭和十八年四月一日は一律に二十銭だつた、歯科は十銭だつた。こういうように、一律の十銭か二十銭のときから現在の十二円五十銭、十一円五十銭まで変化して来ている。従つてあなた方のところは、こういうものについての日本で一番確実な資料、確実な算定の基礎を持つている。どんなところよりも持つているはずだ。従つてあなたの方は、今大蔵省と折りにふれて交渉されたというが、具体的に何円をもつて大蔵省と交渉したか、何円ならば病院の経営は成り立つという基本的なものがあつてのことだと思いますが、具体的にここで御説明を願いたい。
  93. 館林宜夫

    館林説明員 単位につきましては、一番基本的な問題は、単価はいかなる算定方式によつて最後の結論を出すかという問題でございます。その点において、今使用されております単価は、大臣が先ほど臨時とお答えになりました気持もそこにあるかと思いますが、一応あの当時の算定方式を使つたわけであります。しかしながら、やはり米価と同じように、いつにおいてもその数式が使えるような、どの階層の人にも納得いただけるような、ある程度確固たる基本的な数式が必要でございまして、その意味合いにおきまして、基本的な数式の基本問題につきまして、臨時医療保険審議会で各階層の代表者の方々と今協議中でございまして、その協議の上において基本的な算定方式が決定しますれば、あとはほんど機械的に、資料に基きまして、何円が妥当であるかという結果が出るわけでございます。その意味におきまして、ただいまはその基本方式を算定しているわけでございまして、関係各省との連絡は、かりに一円上げたらどういう結果が起るかという話合いをしているわけでありまして、幾らが妥当であるかという結果は、その基本的な考えがまとまつた後に出ることと思います。
  94. 滝井義高

    滝井委員 向井大蔵大臣がわざわざ内閣総理大臣の吉田さんにあててこういう文書をやるくらいでありますから、おそらくこれは当然閣議で論議されている。その閣議で論議された結果が、何も臨時医療保険審議会に方式を問えとは言つていない。主体性というものはあなたの方にある。関係各省が主体になつて根本的な検討を加えるものとする、こうなつている。何もそんなところに聞けとは書いておらない。できれば付録として聞いてごらんなさい、こういうことである。そんなところの意見を聞いてあなたの方がそうするということではなくて、あなたの方が現実に主体がなければ、これは言つて来たら何もかもうのみにするかというと、決してあなた方はうのみにしていない。たとえば社会保障制度審議会の年金の問題なんかでも、国の負担をなんぼにしようと言つても、財政がありませんといつて一割か一割五分にあなたの方は削つている。それは各省に主体があるからだ。だから、主体がなければいけないわけだ。あなた方は、現在、根本的の検討を加えた結果どのくらいの単価にすればいいのだということを大蔵省に折衝しているはずだ。それができなければ、大蔵省と何回折衝しても、一円上げれば八十億いりますとか、あるいは八十三億いりますとか言つて——大体あなた方の方は何円上げればいいかと言えば、はあ、そうでございます、私は一円上げるときの計算だけしておきましたといつて大蔵省に行かれますか。絶対に行かれません。厚生省としては、少くとも十円、十五円、十八円というような基本線があるのだから、この程度の財政措置は大蔵省はできるかという相談をするのは、だれが考えても常識である。それは二十八年の二月十三日のこの文書ではつきりつている。このはつきりしているものを何もしていない、こういうことなんです。だからあなた方は、中央社会保険医療協議会あるいは臨時医療保険審議会にさいぜんも逃げ込まれているが、それは許されぬというのである。これはあなた方の諮問機関である。諮問機関に一切の責任を負わせるということはまかりならぬ。そういう点はこれ以上追究しませんが、こういう文書があることをよく御記憶になつて、そうしてあなた方が主体になつて、この次に臨時国会が開かれるまでには、現在の日本の医療体系のもとにおいては、単価を何円にすれば適正であるということを出してもらいたい。これは絶対出してもらわなければ、この次の審議はやりませんから、はつきり要請をいたしておきます。  その次の問題でございますが、医師の身分の問題に対する考え方です。これは、新医療費体系現実に生じている所得の分析をやるとうたつているのですが、ところが、実際に分析されているのは給与の分析をやつている、サラリーの分析をやつている、所得の分析はされていない。ところが、CPSその他の生計費の状態から出て来た給与の妥当なものというのは、これはやはり現実の所得を問題にしている。たとえば医者病院に勤めておつて病院で給料を一万五千円もらう、そのほかに今度は家に帰つて患者を何人か内職みたいにみる。これは長谷川先生がきのう多分御指摘になつてつたが、そうしてそこに二千円とか、三千円謝礼にもらつた、これはその人の所得なのです。一万五千円プラス内職の三千円の一万八千円、これはその人の所得なのだ。ところがあなた方は所得の分析をされるといいながら給与の分析をしておるということなのです。こういう点の修正をしてもらわなければならぬ点と、たとえば普通の開業医であるならば、これは普通のサラリーマンと違つて、あなた方がストップ・ウオツチでぼつと押して一分間の診療時間の報酬というものは四円三十六銭である、これはこれでいいのです、そのほかに開業医であるならば時間外労働に対してどの程度のストップ・ウオッチを押したものを加味するか、あるいは夜間の待機の時間がある。夜間患者が来るかもしれぬということで待つている時間がある。そういう深夜労働にどの程度のものを見積つて−これは看護婦に対する給料の支払いというものは労働基準法によつて規制をされるとするならば、これは当然深夜労働に対するものが所得の中には考慮されなければならぬ、こういう点なのです。第二番目には老後の保障の問題です。現在会社に勤めているサラリーマンの医者、あるいは国家公務員である医療職の諸君というものは恩給があつたり退職金がある。ところが現在の保険医というものは何ら老後が保障されていない、こういう老後の保障の問題も所得にプラスアルフアーとして出て来なければならない。さらに現在個人が開業医として病院を経営し、あるいは無床の診療所を経営しておるとするならば、これはそこに当然医業経営の危険度というものを見て来なければならぬ。あなた方は薬品をもつて注射する技術料の場合には薬品ロスというものを入れてくれている。当然所得の中にもそういう医業経営の危険度というものを見て来なければならぬということなのです。こういうように所得の分析というものをやる場合には、当然有形、無形のそれらの諸要素というものを加味した体系が出て来なければならぬということなのです。今度体系をつくる場合には同時にそういうものを加味したものを出してもらいたい。これはこの次のときにぜひそれを出してもらいたい。それから税の問題もありますが、これも当然考慮してもらいたい。これはきようは時間がございませんから申しません。  そのほかに今度は現在の日本の医療のあるべき姿として、たとえば医学校から新しく医学生が出て来る。現在医学校の卒業生の人員なんというものはまつたく現在の日本の医療行政とは関係なく、文部省の所管のもとにやられておる。そうするとその日本の医療行政の中で、年々三千か四千卒業する医学生というものをどういうぐあいに日本の現在の医療制度とマッチさせるのか。現在の三千か四千の卒業生は多いのか少いのか、これが日本の全人口から考えて適当なものであるかどうかというようなものも、日本の医療態勢を考える場合には当然これは考えて来なければならぬ。と同時に現実の分析から、現在の日本の患者さんの数というものは大体どの程度あるか、あなた方は患者のうちの六割は医者にかかる、四割は医者にかかつていないと言われる。そうするとその四割を医者にかけて合理的になおすためには、大体どういう政策が必要なのだということは、さいぜん申しました総医療費の問題に関連して来る、こういう点。さらに被保険者並びにその家族は現在五千二百万といわれあるいは五千五百万といわれておる、これに対して現在六万三千くらいの保険医がおるということでございますが、それが大体適正妥当なものであるかどうか、こういう点が問題になつて来るわけであります。あなた方の医療費体系というものはただ日本の現実に支払われておる報酬だけを取上げて来て、それが国民医療費でございますといつてその中でやるけれども、それではいけない、こんな大きな変革をやろうとするならば、当然これらの諸問題をもはつきりとした資料によつて、その上に日本の医療態勢というものを打ち立てなければならぬ、ここれはどうせこういう作業にかかつたのですから、やるときはひとつこういう根本的な問題も一緒にやりましようやということがわれわれの主張なんです。因循姑息な医薬分業にこたえるがためにちよちよこやることではなくして、ほんとうに日本の医薬分業が日本の国家の進歩の方向に向いておるとするならば、当然こういう基本的な問題はあわてる必要はない、何も一年、二年も争うことはない、現在の状態でけつこう国民医療がやれて来ておるのだから、それを合理化するためには——十九国会の一番光に私が質問いたしたときに、現在のこの任意分業と新しく昭和三十年一月一日からやる医薬強制分業との相違はどこにあるかと言つたら、大臣は医薬関係を合理化することだと言われたが、それをより合理化するためにはもつと根本的なピラミッドの底辺から積み上げて来てもらいたい、こういうことなんです。私はこの意見は間違つていないと確信いたしております。臨時国会の前にそういうことを出してもらいたいということは無理でございますけれども、そういうことをも一応考慮の中に入れた体系に書きかえてもらいたい、こういうことです、これは答弁はいりません。一応私の質問はこれで打ち切らせていただきたい、こう思うわけであります。
  95. 小島徹三

    小島委員長 福田昌子君。福田さん、大臣は一時十五分に出かけますから、済みませんが、そのおつもりで願います。
  96. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 今私時間の制限を受けましたから簡単に御質問させていただきます。新医療費体系を国会に御提出いただきましたが、これは中央社会保険医療協議会、臨時医療保険審議会にも提出しておられるのでございますか、そうしてどの程度これが審議されておるのでありますか。
  97. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これはほかにはどこにもまだ提出いたしておりません、国会だけでございます。
  98. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 これから御提出になる御意思でありますか。
  99. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 別にこれを提出・する考えは持つておりません。ただこれを保険点数にかえます場合に保険協議会にその点数を諮問したいと存じます。
  100. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 点数諮問をするとはどういう意味でございますか。これは医療報酬の配分の一革命でございますが、そういうものではなくて、ただ点数のアンバランスを修正する、そのときの参考資料にする、その程度でございますか。
  101. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これに基きまして保険にこれをかえる意味でこれも点数で現わしておりますが、実際支払いの場合の点数としては不便と存じます。〇・何何何まで出しておりますから、従つてなるべくこれをまとめて現金支払いの可能な状態に持つて来なければならないと存じます。そういう意味で点数を、先ほどお話がありましたあるいは幹事案というような形にいたしまして、これを協議会にかけたいと存じます。
  102. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、この内容、その根本を流れておる医療報酬の支払い形態の変化、そういうような精神はこの新医療費体系に盛られておるそのままの形において点数の点だけをこの審議会、この協議会にかけて参る、こういうことでありますか。
  103. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御意見通りであります。
  104. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、医師の取り分、薬剤師の取り分というものを新医療費体系に出されておるようにはつきりいたしまして、いわば医薬分業を実施いたします段階におきましては当然この体系が必要になつて参りますが、その一つの準備体系とも言えるわけですが、そういう意味合いにおいて、この審議会、この協議会におかけになる、こういうことでありますか。
  105. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 大体さようでございます。
  106. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 まだこれからおかけいただくそうでございますが、その前に国会に意見をお問いくださる意味で資料をお出しいただいたわけでございますが、国会ではかくのごとく意見が紛糾いたしまして、とうていこの資料というものは修正しなければこれ以上審議できない、あらゆる点に矛盾が出て参つたという段階にあるわけでございますが、厚生当局においてはこの矛盾を是正する意味において修正なさる御意思があるのでございましようか。
  107. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 いろいろ御意見がございました点は十分尊重したいと存じております。但しこれをただちにこの点数の修正に持つて行くかどうかは検討の余地がありまするので、御意見の点は十分私ども了承いたしております。
  108. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 意見を了承していただいても、これは言葉のあやで、了承していただく必要はないのでありまするが、問題は国会のこの厚生委員会の意見をどの程度厚生省は尊重して、この新医療費体系に修正を加える意思があるかどうかというところにかかつておると思うのでありまするが、そういう御意思がはつきりあるのかどうか、この点再びお尋ねいたします。
  109. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これを修正いたしまする場合におきましては、いろいろこの内容の検討というものに響いて参りまするので、だんだんとお話し申し上げておりまするように、ただちにそれを根本的からの修正というものは、いろいろな意味から検討して行かねばならないと思います。従いまして御意見のありました点は私ども総合いたしまして十分これを尊重しながら検討いたして参りたいと思います。
  110. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 この新医療費体系は、医薬分業をやります場合の実施にあたりましての一つの前提条件として、厚生省が新医療費体系を出して参らなければならぬということになつてつたわけでありまするが、出していただきました新医療費体系というものが、私どものはなはだ納得の行かない形であつたということでございます。ところが厚生大臣は、この納得の行かない資料であつたとしても、厚生委員会の意見は尊重はするけれども、それには左右されない、こういう御意見でございます。従いまして厚生大臣としては、この新医療費体系でかくのごとく厚生委員会で議論が沸騰いたしましたが、それにもかかわらず現在の段階においてはやはり相かわらず国会の厚生委員会の審議の状況を無視して、法律通りに医薬分業は三十年の一月一日から実施しようとお考えになつておられるかどうか、その点伺いたいと思います。
  111. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは先ほどもだんだん申し上げましたが、実は一月一日から実施の状態になつておりまするので、これに間に合うようにあらゆる準備をして行かねばならないというので、その準備の万全を期する努力をいたしておる次第であります。別に私どもがこれをどうあつてもやるというような、いわゆる強行というような考え方じやなしに、当然いたさなければならない任務に向つてその立場におりまする現在の厚生省でございまするから、従つてあらゆる点からその準備を進めておる次第であります。
  112. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 御承知のように、自由党では、憲法さえおかえになろうという事態でございます。ましてや、かくのごとくこの新医療費体系をめぐりまして議論が沸騰しておる現実の段階においては、昨日緒方副総理は内閣のその責任ある答弁として、新医療費体系は十分検討し、これは閣議の了解事項というのではないけれども、いろいろな各分野にわたる輿論はもちろん尊重いたしまして、各分野における意見の調整をはかつて十分慎重を期したいということであつたので、ございます。法律になつておるからこれは実施しなければならないということではなかつたのでありまして、法律であろうともぐあいが悪い場合には修正する——憲法さえ改正しようという内閣であります。この程度の医薬分業の親法案がきまつておるからといつて、これをある程度修正し、これに適正な時宜を得た修正、変化を加えるというのは当然でなければならないと思うのであります。厚生大臣のこの点に関する御見解を重ねてお伺いいたします。
  113. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 昨日緒方副総理がお答え申し上げましたのは、私どももそういう心持でいたしております。従つてこれは大きい問題でございますから、これが準備にあたりましても十分慎重に慎重を期し、かつまた国会を中心にしました、あるいはその他のいろいろな機関等におきましても、十分意見を承つて、この準備の万全を期したいと存じておる次第でございます。
  114. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 病気と申しますものは、個人におきましてはまつたく災難でございまして、好んで病気する人はございません。いわば天災地変の災害にもひとしいものでございます。国家の予算においてもやはり災害対策費というものを組んでございますが、しかし不慮の災害が起つてつて、災害対策費ではまかない切れないものが出て参つた場合におきましては、ある程度の適宜な予算増というものをはかつておられますが、医療においても当然そういうような考え方で行くべきものではないかと思いまするが、これに対する御見解はどうでございましようか。
  115. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実は医療は普通の災害と趣が違つて、ずつと人間のおい立ちから最後まで一つの医学的に検討のできる余地があると私は存じます。従つて政府におきましてはそれらの点を十分検討して、あるいは予算の必要なものはこれを予算に最初から組んでおく、あるいは施設その他で必要なものは十分その施設をするように努力をいたして参らねばならないと考えております。しかしそのときの情勢によりましてあるいは流行病が多数出て参りましたり、あるいは災害に伴つたいろいろな問題が起りましたり、その他の急変な状態が起ります場合には、これは御指摘のような処置を当然とつて参らねばならないと存じます。
  116. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 個人における疾病というものは災害と同じようなものだと私は考えるのでありますが、大臣はそうはお考えにならないということであります。どういうわけで災害とはお考えにならないのでありましようか。
  117. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは災害も学問が進歩しますると、ずつと予見ができると思いますけれども、現在の台風あるいは地震等におきましては必ずしもそうは参りかねる場合もあろうかと存じますが、病気等の場合にはいろいろな原因を最近は学問的に相当検討されまして、そうしてそれに対する予防あるいは治療というものが普通の災害とはおのずから全然比較にならぬほど進歩し、また向上した形になされておると存じます。従つてこれらの問題は、災害的な緊急な費用等ということは考えず、むしろ経営的な立場からのいわゆる恒久的な方策というものが必要である。病気に対しましては、臨時的なその場限りの状態ではなしに、もつと本質的な立場からの処置と考究というものがなさるべきものである、こう考える。そういう意味で私はただ違いを申し上げたのであります。
  118. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますと、根本的には疾病も災害的な性質を持つておると言えるけれども、簡単に申し上げれば科学的な研究の水準において、災害の場合においては日本の科学陣営にはまだ予測しがたい点が多分に残されている。しかし医学の場合においては進んでおるから、ある程度災害の予測というものが考えられて、それに対する対策も考えられている。いわば科学の研究の程度、分野の相違によつて疾病というものはすでに災害的な範疇を脱しておる、こういうふうに考えておる、こういうことなのでございますね。そうなんですか。
  119. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 大体そういう考えでおります。
  120. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういう意味で予算の編成もお組みいただいておると私好意的に解釈させていただきますが、そういうふうにして組んでいただきました予算におきましても、たとえば災害対策費におきましても、年々千数百億の災害対策費というものが予算に組まれております。しかしせつかく千数百億の予算が組まれておりましても、ときによりますると、物価の変動によりましてセメントや砂利やその他災害復旧土木関係の資材というものが大いに増加して参りましよう。あるいはまた地元の要求によりまして、当然修理する箇所が政府当局の考えよりもうんとたくさんな数が出て参るということもあり得ると思うのでありますが、さような場合におきましては、厚生大臣がもし建設大臣であつたといたしましたら、どういう処置をおとりになるのでございましようか。
  121. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実は災害の場合には、忍び得る場合もなきにしもあらずでございます。ただ病気の場合には、これは人命に最も関係をいたしまするから、災害以上の重要性を持つておるのではないか、これは二つのことを比べることがすでに少し無理な点があると存じますけれども……。従つてどもは人命に最も重大な影響を来します病気その他の保健問題につきましては、これらの何よりも慎重に、かつまた力を注ぐべきものだと考えます。
  122. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 巧妙に的をはずした御答弁をなさいましたが、人の命を預かる疾病の治療であるから、災害以上に医療費というものは十分検討しなければならない、また医者に対する医療報酬の点も十分検討しなければならないという御答弁に承つたのでありますが、あなたの部下である医療課長は、長年の単価の引上げの問題につきましても、先ほどの御答弁によりますと、折に触れて思い出したようにこれを検討するというお話であつたのでありますが、それでも御満足なんでございましようか。
  123. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 それは別に思い出したわけではございません。これはたしか二十六年以来と存じますが、単価の問題は、先ほど御指摘にありましたその後におきまして、医療協議会に諮問をし、その協議会におきましても本質的な立場から、あるいは実際上の問題からずつと、おそらく三年くらい検討を続けて来ておられると存じます。ただ結論が、なかなかむずかしいのでちよつと出にくい状態でございましたが、最近再びこれを何とか早くまとめたいというので目下熱心に検討を進めております。そういう意味で厚生省自体におきましても、その協議会とともどもに協議を進めながら検討し、結論を出すことに努力をいたしておる次第でございます。
  124. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 厚生大臣の御答弁課長さんの御答弁ははなはだ違うのでありまして、三年も四年もかかつておられるということは、御熱心のようでありますが、その内容におきましては折に触れて思い出したように検討しておられるから三年も五年もかかるのであります。これからは折に触れて思い出したような検討ではなくして、もう少し誠意を持つた検討大臣の命令においてお願いしたいと思います。  次に、大筋だけしかこの委員会へ諮らないという先ほどの大臣の御意見でございましたが、私も大まかなことだけしかお尋ねしないのでありますが、重ねて先ほどの例に返りましてたとえば災害復旧費、土木復旧費というものを予算に組んでおるとか、いろいろありますが、資材が値上りになつた、あるいは箇所がふえて参つたというときには、建設大臣であつたらどういう処置をなさるかという、具体的に御答弁がなかつたようでありますが、重ねて御答弁をお願いいたします。
  125. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 私はまだ建設大臣をいたしておりませんので答弁はどうかと思いますが、多分値上げ等によりまして事業に蹉跌を来します場合には、それに即応した緊急措置をとつて行かなければならないと思います。
  126. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 その即応した緊急措置をいかようにおとりになるか、具体的にお答え願いたい。
  127. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 値上げをいたすべきものは値上げをいたします。処置を急いでやらなければならぬと思います。
  128. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういたしますとセメントや鉄筋や、そういつた資材が上ればそれにつれてある程度の予算増もやむなく考えなければならない、こういうことでございますか。
  129. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 その通りでございます。
  130. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そのお考えのお方が今度厚生大臣になられると、現に厚生大臣でおありになるが、現行の医療報酬が適正でないということはいかなる厚生大臣におかれましても、これまでのいろいろな質疑応答において御了解いただいていることと思うのでございます。このあまりにも他の物価の上昇と見比べまして低きにすえ置かれ、無視されている医療報酬に対して、これをセメントや鉄筋の値上りと、つまり物と技術を同等に評価することは多少筋違いかと思いますが、しかし生活の基準において報酬の点から見ました場合、ある程度類似の点もあるわけでございますが、この意味において現実医療報酬はあまりに低いということが輿論の動向になつております。こういう動向に対して建設大臣である考え方からすれば当然これは引上げなければならない、予算増というものをこの結果から考えなければならないと思いますが、厚生大臣としてもそういうようにお考えになりますか。
  131. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは実は私先般も適正であるかどうかは検討の余地がありますから検討いたしておりますと申し上げたのであります。従つて私はただちにこれが適正でないということを申し上げる立場にはないのであります。そういう意味におきまして、適正でないという結論が出された場合に、これをどう修正するかというのが問題の焦点になつて来る次第であります。それを医療協議会で熱心に検討いたしておるというのが現段階でございます。そういうのでございまして、ちよつとセメントなり堤防なりの問題とこれは相当違つておるのである。本質的な問題が違つておりますから、単に災害の場合と比較して片方のセメントが値上つたから請負ができなくなつたというのと違いまして、あらゆる点から検討して参らなければならぬと思います。
  132. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 確かに災害復旧事業と性質が違つておりましよう。違つているということは、土建屋さんの土木復旧事業より医療の方が、人の生命を預かる仕事であるから、それだけ心身ともに緊張した、非常に重要性のある仕事だと考えておるのでございます。従つてそういう意味においての厚生大臣としての対策というものが望ましいと思つているのでございますが、厚生大臣の御答弁によりますと、今日の社会保険の単価が適正であるかどうかも自分としてはまだおわかりにならないそうでございます。厚生大臣ともあろう方としては、今日の医療報酬が適正であるかどうかということが、一目瞭然にわかることが根本の知識であろうと思います。それがまだ検討になつていない。先ほどの御答弁によりますと、妥当であるけれども適正でないということを御発表になつていたと思いますけれども、ただいまの御答弁は適正であるかどうかもわからぬという御答弁に逆もどりしたわけであります。それで重ねてお尋ねいたしますが、今度の新医療費体系によりますと六・二〇三点で国民の疾病の診断をすることになつております。しかもこの中には二点以下の処置料が含まれております。これを金額にいたしますと七十四円弱の金額になるのであります。七十四円弱の貨幣におきましてあなたの生殺与奪の権が握られることにもなると思うのでありますが、それで適当であるとお考えでございますか。
  133. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実は適正であるかどうかという点について検討してもらつておる、従つて、それが直接単価の問題になつて参りますから、協議会に諮問いたしておるということを申し上げたのであります。そこで初診療の場合に、この新医療費体系からいたしますと御指摘のように六・二〇幾らということになつておるのでありますが、これは最初から申し上げましたように、いろいろな当時の調査資料を中心にして検出いたしました結果かように相なつたのであります。そこで、現在これだけを取出してほかのものと比べると、七十何円になるからあまり低いじやないかという議論も確かにあると存じますが、しかし全体から考えますと、この新医療費体系をつくり上げます基本から御説明を申し上げた通りであります。そういう点から初診療を六・二〇幾らということにいたした次第でございます。
  134. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 その根本の考え方において医者技術というものを無視せられておるということであります。しかもあなたがお考えになつておられるこの医薬制度の適正を期したいとか、医療制度の向上をはかりだいとかいうこととは根本的にずれておるということであります。時間がありませんから質問を省略いたしますが、医療の本質、医療の適正化というものは、こういう末梢的なこまかなことを、大臣ともあろうあなたがとやかく御苦心なさるべきものではないのでありまして、医療の本質、医療の向上をはかるということであれば、もう少し厚生大臣といたしましては、大局に立つての手をおつけにならなければならない点がたくさんあると思うのであります。第一、終戦以来日本に残されておりまする無医村の解消、千数百村というものは相かわらず無医村になつておりまするが、こういう無医村に対してどういう処置をおとりになるか、こういうことこそ大臣として一番にやらなければならない処置であります。一軒の店の支払い方法をどうするとかこうするとかいうのじやなく、大衆が店のない土地に住んでおります場合には、あるいは雑貨屋なり小間物屋の店を早くつくるということが大衆の利便でなければならぬ。そういう意味で無医村の解消ということは、厚生大臣として一番先にやらなければならない問題でありますが、それにもかかわらず、相かわらず無医村の解消というものはそのままにほつたらかしになつておるのであります。千何百箇町村の無医村が相かわらずそのままである。にもかかわらず、あなたがざつとごらんになつても東京のまん中には国立病院があり、その隣には何やら病院ができたり、あるいは何々大学の病院があつたり、病院が氾濫している状態であります。こういうことに対する御統制、こういうことに対する整備ということこそ、厚生大臣としてやるべき仕事だと思うのであります。そういうことをほつたらかしておられて、そして医療行政全般から見れば末梢的にすぎることにあなたが苦心されるということは、厚生大臣として非常な誤りだと思うのであります。しかも先ほど建設大臣であれば、物価の上昇につれてある程度災害復旧費の増額をはからなければならないということを主張されたあなたが、厚生大臣となればたちまち国民の総医療費というものは増したくない、これにはわくをはめるべきだというまことに矛盾した御意見をお吐きになります。厚生大臣ともあろうあなたは、やはり閣僚の一人であります。そういうことからいたしまして、もう少しバランスのある政策というものをお考えになるべきだと思います。日本の災害復旧費、土木復旧費の国家予算というものは一体総予算の何パーセントを占めておるか、あなたは御存じだと思います。十数パーセント以上占めておる。この災害復旧費の予算に比べて社会保険、これをしいてまた敷衍いたしますと、国民医療の国家の負担率というものはわずかに二百億にすぎないのであります、災害復旧費の五分の一、六分の一にすぎない国家の負担であります。総医療費が何億になるとか、何百億、何千億になるとか、まことしやかなことを申されますが、国家の負担額というものはわずかに二百億にしかすぎないのであります。しかもこのわずか二百億の負担で、八千五百万の生命をあずかろうということであります。これでは無理なのがあたりまえでありまして、一軒の家庭でも家庭の経済というものは、貧乏であれば貧乏であるほど、疾病に対する負担額というものが増加して参ります。外国の例を見ましても、金持の国が日本よりももつとたくさんの負担割合を持つております。たとえばイギリスにいたしましてもスエーデンにしても、一二%が国民所得の上からいたしますところの医療費の負担であります。日本ではいかに大目に見たつて三%前後でありまして、現実の例から四%前後にはなつておるかと思うのでありますが、その程度で無理やりに押えよう、全体の収入の多いところでさ、えも、英国やスエーデンのごときは、その収入に対して一二%というものを国民の総所得に対する医療費の負担として見ておるのであります。日本はこの貧乏の中で、総所得というものが少い中で、わずかに三%や四%で国民の疾病を押えて行こうというところに根本的の無理があるのであります。しかもその中で薬剤が値上りになる、その薬剤というものは自由企業、利潤追求の企業形体をそのままにしておいて、それをもつて治療する医者の側だけに統制経済をしいて、医者技術料というものをけたはずれに落して行こうという考え方においては、既得権の尊重もなければ、医者技術料に対する尊敬というものも無視して行く、こういうところに根本の間違いがあるということを御反省願いたいと思うのであります。厚生省におられるたつた一人の技術者である医務局長自体が、注射というものが二分八秒でできたり、往診料というものは二十九分でできたりするようなことを出される、私は厚生当局に猛省を促したいのであります。そこで医務局長にお尋ねいたしたいのですが、二十九分でどうして往診するのですか。飛行機やヘリコプターでもお持ちになるなら別ですが、遠隔の地へ二十九分で往診ができると思いますか。農村では行くだけで二十九分ぐらい簡単にかかつてしまう。どういう計算で出されたか、その頭のほどが疑わしいのであります。もつと根本的のことをお考え願いたいと思うということを申し上げて猛省を促しておきます。時間がありませんから、この程度にしておきます。
  135. 小島徹三

    小島委員長 委員長から一言当局にお尋ねいたします。政府は一体何月何日ごろまでに社会保険医療審議会に対し保険診療点数に関する諮問を出すつもりでありますか。
  136. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 現在のところの準備の状態では大体十一月上旬と考えております。大体十日までと存じております。
  137. 小島徹三

    小島委員長 この際一言ごあいさつ申し上げます。本新医療費体系については、委員諸君において十分なる審議の結果、本新医療費体系の性格、本質等は御了解がついたと思うのでありますが、この新医療費体系が具体的に社会保険診療に対し、いかなる影響を及ぼすかをさらに十分審議する必要があると思われますが、今回の新医療費体系に関する審議は一応これをもつて終了し、いずれ開かれるべき臨時国会の直前、適当なる日時においてさらに前記影響を示す詳細、具体的な資料等を得て審議することにしたいと思います。これによつて現在参議院に継続審議中の、いわゆる医薬分業法案に対する委員会の態度決定に、万全の態勢を整えたいと思うのでありますが、右をもつて長谷川委員に対する答弁にかえます。  休会中にもかかわらず熱心に審議されました委員諸君の労を多といたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会