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滝井委員 向井大蔵
大臣がわざわざ内閣総理
大臣の吉田さんにあててこういう文書をやるくらいでありますから、おそらくこれは当然閣議で論議されている。その閣議で論議された結果が、何も臨時
医療保険審議会に方式を問えとは言
つていない。主体性というものはあなたの方にある。関係各省が主体にな
つて根本的な
検討を加えるものとする、こうな
つている。何もそんなところに聞けとは書いておらない。できれば付録として聞いてごらんなさい、こういうことである。そんなところの
意見を聞いてあなたの方がそうするということではなくて、あなたの方が
現実に主体がなければ、これは言
つて来たら何もかもうのみにするかというと、決してあなた方はうのみにしていない。たとえば社会保障
制度審議会の年金の問題なんかでも、国の負担をなんぼにしようと言
つても、財政がありませんとい
つて一割か一割五分にあなたの方は削
つている。それは各省に主体があるからだ。だから、主体がなければいけないわけだ。あなた方は、現在、根本的の
検討を加えた結果どのくらいの単価にすればいいのだということを大蔵省に折衝しているはずだ。それができなければ、大蔵省と何回折衝しても、一円上げれば八十億いりますとか、あるいは八十三億いりますとか言
つても
——大体あなた方の方は何円上げればいいかと言えば、はあ、そうでございます、私は一円上げるときの計算だけしておきましたとい
つて大蔵省に行かれますか。絶対に行かれません。
厚生省としては、少くとも十円、十五円、十八円というような
基本線があるのだから、この
程度の財政措置は大蔵省はできるかという
相談をするのは、だれが
考えても常識である。それは二十八年の二月十三日のこの文書で
はつきり言
つている。この
はつきりしているものを何もしていない、こういうことなんです。だからあなた方は、中央
社会保険医療協議会あるいは臨時
医療保険審議会にさいぜんも逃げ込まれているが、それは許されぬというのである。これはあなた方の諮問機関である。諮問機関に一切の責任を負わせるということはまかりならぬ。そういう点はこれ以上追究しませんが、こういう文書があることをよく御記憶にな
つて、そうしてあなた方が主体にな
つて、この次に臨時国会が開かれるまでには、現在の日本の
医療体系のもとにおいては、単価を何円にすれば適正であるということを出してもらいたい。これは絶対出してもらわなければ、この次の審議はやりませんから、
はつきり要請をいたしておきます。
その次の問題でございますが、
医師の身分の問題に対する
考え方です。これは、新
医療費体系は
現実に生じている所得の分析をやるとうた
つているのですが、ところが、実際に分析されているのは給与の分析をや
つている、サラリーの分析をや
つている、所得の分析はされていない。ところが、CPSその他の生計費の状態から出て来た給与の妥当なものというのは、これはやはり
現実の所得を問題にしている。たとえば
医者が
病院に勤めてお
つて、
病院で給料を一万五千円もらう、そのほかに今度は家に帰
つて患者を何人か内職みたいにみる。これは
長谷川先生がきのう多分御指摘にな
つてお
つたが、そうしてそこに二千円とか、三千円謝礼にもら
つた、これはその人の所得なのです。一万五千円
プラス内職の三千円の一万八千円、これはその人の所得なのだ。ところがあなた方は所得の分析をされるといいながら給与の分析をしておるということなのです。こういう点の修正をしてもらわなければならぬ点と、たとえば普通の開業医であるならば、これは普通のサラリーマンと違
つて、あなた方がストップ・ウオツチでぼつと押して一分間の診療時間の報酬というものは四円三十六銭である、これはこれでいいのです、そのほかに開業医であるならば時間外労働に対してどの
程度のストップ・ウオッチを押したものを加味するか、あるいは
夜間の待機の時間がある。
夜間に
患者が来るかもしれぬということで待
つている時間がある。そういう深夜労働にどの
程度のものを見積
つて−これは看護婦に対する給料の支払いというものは労働
基準法によ
つて規制をされるとするならば、これは当然深夜労働に対するものが所得の中には考慮されなければならぬ、こういう点なのです。第二番目には老後の保障の問題です。現在会社に勤めているサラリーマンの
医者、あるいは
国家公務員である
医療職の
諸君というものは恩給があ
つたり退職金がある。ところが現在の
保険医というものは何ら老後が保障されていない、こういう老後の保障の問題も所得に
プラス・
アルフアーとして出て来なければならない。さらに現在個人が開業医として
病院を経営し、あるいは無床の
診療所を経営しておるとするならば、これはそこに当然医業経営の危険度というものを見て来なければならぬ。あなた方は
薬品をも
つて注射する
技術料の場合には
薬品の
ロスというものを入れてくれている。当然所得の中にもそういう医業経営の危険度というものを見て来なければならぬということなのです。こういうように所得の分析というものをやる場合には、当然有形、無形のそれらの諸要素というものを加味した
体系が出て来なければならぬということなのです。今度
体系をつくる場合には同時にそういうものを加味したものを出してもらいたい。これはこの次のときにぜひそれを出してもらいたい。それから税の問題もありますが、これも当然考慮してもらいたい。これはきようは時間がございませんから申しません。
そのほかに今度は現在の日本の
医療のあるべき姿として、たとえば医学校から新しく医学生が出て来る。現在医学校の卒業生の人員なんというものはま
つたく現在の日本の
医療行政とは関係なく、文部省の所管のもとにやられておる。そうするとその日本の
医療行政の中で、年々三千か四千卒業する医学生というものをどういうぐあいに日本の現在の
医療制度とマッチさせるのか。現在の三千か四千の卒業生は多いのか少いのか、これが日本の全人口から
考えて適当なものであるかどうかというようなものも、日本の
医療態勢を
考える場合には当然これは
考えて来なければならぬ。と同時に
現実の分析から、現在の日本の
患者さんの数というものは大体どの
程度あるか、あなた方は
患者のうちの六割は
医者にかかる、四割は
医者にかか
つていないと言われる。そうするとその四割を
医者にかけて合理的になおすためには、大体どういう政策が必要なのだということは、さいぜん申しました総
医療費の問題に関連して来る、こういう点。さらに被
保険者並びにその
家族は現在五千二百万といわれあるいは五千五百万といわれておる、これに対して現在六万三千くらいの
保険医がおるということでございますが、それが大体適正妥当なものであるかどうか、こういう点が問題にな
つて来るわけであります。あなた方の
医療費体系というものはただ日本の
現実に支払われておる報酬だけを取上げて来て、それが
国民総
医療費でございますとい
つてその中でやるけれ
ども、それではいけない、こんな大きな変革をやろうとするならば、当然これらの諸問題をも
はつきりとした
資料によ
つて、その上に日本の
医療態勢というものを打ち立てなければならぬ、ここれはどうせこういう作業にかか
つたのですから、やるときはひとつこういう根本的な問題も一緒にやりましようやということがわれわれの主張なんです。因循姑息な医薬分業にこたえるがために
ちよこ
ちよこやることではなくして、
ほんとうに日本の医薬分業が日本の国家の進歩の方向に向いておるとするならば、当然こういう基本的な問題はあわてる必要はない、何も一年、二年も争うことはない、現在の状態で
けつこう
国民の
医療がやれて来ておるのだから、それを合理化するためには
——十九国会の一番光に私が
質問いたしたときに、現在のこの任意分業と新しく
昭和三十年一月一日からやる医薬強制分業との
相違はどこにあるかと言
つたら、
大臣は医薬関係を合理化することだと言われたが、それをより合理化するためにはもつと根本的なピラミッドの底辺から積み上げて来てもらいたい、こういうことなんです。私はこの
意見は間違
つていないと確信いたしております。臨時国会の前にそういうことを出してもらいたいということは無理でございますけれ
ども、そういうことをも一応考慮の中に入れた
体系に書きかえてもらいたい、こういうことです、これは
答弁はいりません。一応私の
質問はこれで打ち切らせていただきたい、こう思うわけであります。