運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-10-12 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第69号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十二日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 越智  茂君 理事 松永 佛骨君    理事 長谷川 保君 理事 古屋 菊男君    理事 岡  良一君       有田 二郎君    助川 良平君       高橋  等君    亘  四郎君       滝井 義高君    福田 昌子君       柳田 秀一君    山口シヅエ君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  委員外出席者         厚生事務官         (薬務局企業課         長)      川嶋 三郎君         厚生事務官         (薬務局薬事課         長)      尾崎 重毅君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 十月十二日  委員杉山元治郎君辞任につき、その補欠として  岡良一君が議長の指名で委員に選任された。 同日  岡良一君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  新医療費体系に関する件     —————————————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任を行いたいと存じます。理事岡良一君が昨十一日委員を辞任されたのに伴い、理事が一名欠員を生じました。この補欠選任に関しましては、委員長より指名するに御異議なしと認め、再び委員に選任された岡良一君を理事に指名いたします。  次に、新医療費体系に関する件についての質疑を続行いたします。岡良一君。
  3. 岡良一

    岡委員 この間質問をいたしまして、保険局長から少し具体的な御答弁を承りたいと思いながら、承り漏らしておりますので、この点を二、三点お聞きしたいと思います。  そこで、まず率直にお答えを願いたいのですが、この新医療費体系実施されたときに、保険財政ははたして重圧があるかどうか——重圧という言葉が不適当であれば、現在の保険財政から見て、より以上の給付費の増があるのではないかという点であります。これは、たとえば先般参考人として来ていただきました国保団体中央会代表者の御意見を承りますと、どうもやつてみると国保としては給付費の増になる心配があるということは、御意見の開陳の際にも、委員質問に対しても、繰返し答弁をしておられたのであります。その点いかが見通しを持つておられるかという点であります。
  4. 久下勝次

    久下説明員 お尋ねの問題につきましては、前にも簡単に申し上げた機会があると存じますが、一応の数字といたしましては、この建前で参りますことが、ただちに保険財政への負担を加重するようなことはないと思うのでございます。ただこの新医療費体系のお配りしてあります本文の中にもございますように、医療行為種類別頻度変化というものは絶無であるとは申せないと思うのでございます。この点は私から申し上げるまでもなく、こういう体系になりますれば、輝度の減るものもございましようし、またふえる懸念のあるものもあると思うのでございます。しかしながら、これらの問題はいずれも将来の問題に属しておりますので、私ども自身も実は的確な見通しがつかない実情でございます。今この機会に簡単にふえる見込みがないと言い切る自信もございませんし、また変化があると申し上げる自信もないのでございます。要するに、こうした相当大きな変革でございますので、それに伴いまして診療行為種類別頻度には相当変化があると考えるのが常識だと思います。この見方をいずれに見るかという問題だと思うのでありますが、何分にも、くどいようでありますが将来の問題に属しますので、今ここで私が簡単に見通しを申し得ないのでございます。
  5. 岡良一

    岡委員 そこで問題は、先般お示しのように政府管掌健康保険だけでも給付費が逐年増加しておる、本年度はあるいは三百五十億にも達するやの懸念もある。そうなれば保険財政としては当然五十億前後の赤字という懸念もあるというような事態であるといたしますれば、昭和二十七年度診療行為別、その診療行為頻度から組み立てられたところのこの体系実施された場合に重圧を、あるいは医療給付費について、この結果さらに頻度等の変更から保険財政上支出がより多くたる、給付費の増が多くなるというような事態見通しはされないのでやつてみなければわからないが、大体保険当事者である国保団体中央会代表者諸君もその点を非常に懸念しておるというようなことからかんがみて、保険をあずかる担当局長としては、この新医療費体系実施に移すということは、現在のようにもうすでに大きな赤字が現在のいわゆる一点単価のもとにおける給付費においても予想されておるときにおいては、このような体系を採用することは非常に好ましくないというお考えなのかどうか、そういう点を率直にお答え願いたい。
  6. 久下勝次

    久下説明員 率直に申し上げまして、私ども考え方はこの新医療費体系考え方そのものと同一なのでありますが、今までのように物に対して報酬が支払われるという形が根本的にかわつて参ります結果、先ほど私が抽象的に申し上げましたが、投薬とかあるいは注射とかいう行為は従来よりも減る可能性考えられると思うのでございます。逆に再診料のようなものにつきましては増加する懸念がないでもございません。私がプラス、マイナスの関係を申し上げましたのはそういう点でございます。そこで、それではどういうふうに今後作用して参りますかは、私としては先ほど申し上げたように何とも申し上げられないのでありますけれども、少くともこの体系考え方が、実績調査の結果診察行為と申しますか診断行為と申しますか、これに必要な経費を支払うという建前でつくられまする以上、これに対してこの資料に取上げられておりまする必要な点数支払いをするということは当然なことと考えておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、医療というものに対するこの考え方、それから具体的にその支払いをする点数の多寡というものが実績調査の結果出ておる数字でございまするので、私といたしましては、率直に申し上げまして大きな問題ではありながらも、こういう考え方保険のみならず、一般医療制度の中に取入れられて行くということは至当なことと考えている次第でございます。
  7. 岡良一

    岡委員 とにかく物の対価と技術料を別に分離して正しく評価するという方針は繰返して申しますように正しいことなのだが、ただ問題は現実給付費が非常に増大をし、本年度においては収支上大きな赤字が見込まれておるというような事態は、事の理想的な体系そのものではあるとしても、それを実施する時期として、いわばタイミングの問題としてやはり当局者はよく考えなければならぬと思う。その辺の率直な御見解を承つておる。今御指摘のようにこういう体系で行けば投薬頻度は減るであろう、一部には投薬頻度は三割以上減るであろうというようなことを言つておる人もある。しかし医師としてはそういうことは表現することができない。いわゆる三割以上の投薬濃厚診療であつたということはあり得ない話だと思う。そういうべらぼうな話はないと思う。同時にある程度までやはり処方箋を交付するということになると治療内容が公開されることになると思う。おそらく小児科の医師さんなんかは非常に困ると思う。やはり大腸炎であつて他のものは消毒剤でいいものでもテラマイシンを使わねばならぬというような事態に追い込まれて来るということは、良心的な医者であればあるほどなつて来ると思うのです。そういうところからやはり単に投薬内容においても実質的には高価薬を使うことによつて、あるいは点数がふえて来ることによつて、結局医療費の増が来るのではないかということも実地の立場から考えると予想される。あれやこれや考えまして、それから投薬頻度減つて医療内容において、投薬内容において給付費がふえて来るということもやつてみなければわからぬことではあるが、いろいろな事態が起つて来る。そういう事態を考慮されて、さらでだに赤字財政で今これをやるということは、保険財政赤字にさらに赤字を増額するかもしれないというようなことも予想されるとするならば、保険局長としてはこういう体系を今ただちにこのままで実施することについて、どういうお考えであるかということをひとつ伺いたいと思います。
  8. 久下勝次

    久下説明員 新医療費体系実施するタイミングの問題について、社会保険現状から考えて一体どう思うかというお尋ねでございますが、もともと私から申し上げるまでもなく、この新医療費体系というものは全体のわくをふやさないという建前のもとに仕組まれておるものであります。そこでそれでもなお社会保険現状から見たタイミングの問題というものは、依然としてお話のように残る問題であると考えるのでありますが、今申したような大前提がありますことは一つの大きな条件でございますが、同時に国会の議決を経てすでに公布されております医薬分業関係三法の施行が一月一日に迫つておる。私ども立場からは、当然これに沿うすべての準備が進められなければならない責務を与えられておるわけでございます。一つには全体の財政的なわくを広げないという基本的な方針があるということと同時に、今申し上げたような私どもにとつてみれば至上命令が与えられておるわけでございますが、私が多少懸念をして申し上げておりまするような将来の影響というものにつきましては、的確な見通しが立ちませんこともございまするし、今ここでああでもないこうでもないと、将来の懸念資料なしに取上げて議論する時期ではないと考えておるような次第であります。先ほど申し上げたような二つの大きな立場から、この問題は是認をしておるのでございます。
  9. 岡良一

    岡委員 前提が正しく、そのままにやつてみても動かないものであればそれでいいのであるが、ただやつてみた上で非常に案に相違した結果になりはしないかということをぼくは懸念してお尋ねしておるわけです。そこで問題は、なるほど医薬関係三法が昭和二十六年に改正になつて、一月一日から強制分業をやるにしたにしましても、今申しましたような現在の保険財政の大きな赤字を控えておつてこれをやることは、保険財政にさらに赤字を加増する。しかもそれに対して何ら被保険者にも負担をかけないでその赤字の危機を克服し得るという見通しもないとすれば、むしろこれは政府みずからがやはり専門的な、具体的な立場から医薬三法の実施期日は延期されてもいいのじやないか。必ずしも至上命令というわけでもない。立法府がきめたところで事実上それがぐあいが悪いということになれば、法律の改正政府がイニシアチーヴをとつても一向さしつかえないと思う。ただこの間、厚生大臣はつきりないと言つておられる。そこでそうなると保険局長としてはどういうお考えなのか、そういう点を承つておるのであります。  それはそれとして、ちよつと話ははずれますが、関係しますのでお聞きしますが、ことしのたとえば健康保険給付費国庫負担、あれはやはり例年通り何割かの国庫負担を、厚生省省議決定予算要求ではしておられますか。
  10. 久下勝次

    久下説明員 国民健康保険に対する国庫補助につきましては二割相当額昭和二十九年度は四十七億ございました。昭和三十年度予算要求には同じく二割補助といたしまして五十七億円の要求を出しております。
  11. 岡良一

    岡委員 いや、これまでの例では国保補助だけじやなしに、政府管掌部分等についても給付金国庫負担省議では決定をされて大蔵省に要求されておられたのですが、ことしはどういうふうにお取扱いですか。
  12. 久下勝次

    久下説明員 今、健康保険船員保険等医療保険に関して私どもが所管をしておりますものにつきまして、数字を持つて来ておりませんけれども、それぞれ一割五分の国庫負担要求いたしております。
  13. 岡良一

    岡委員 保険財政が今年度政府管掌保険では、先般の話では先ほど申し上げましたように二割、あるいはこのままの形で給付が行われると五十億ほどの赤字だ。これはぎりぎり一割五分の国庫負担でまかなえるようなやはり見通しの上に立つての御要求であるかということを承りたい。
  14. 久下勝次

    久下説明員 一割五分相当額国庫負担が実現をいたしますれば、今年度のような状況が来年度にも引続き行われるとなりましても、来年度赤字なしに、しかも若干給付内容改正されるということになる見込みでございます。具体的には傷病手当金給付期間の延長もあわせて考えておる次第でございます。
  15. 岡良一

    岡委員 そこで新医療費体系でやはりこの一点単価が問題になるのですが、これはこの間も申しましたように、政府資料でも十二円何がしというふうに五十銭近い増になつておる。政府資料では、一点単価を一円ふやせば百三十三億の保険財政の増になるということでありますから、二年半ですか、医療担当機関なり医師というものは相当な実質上の損害をこうむりつつあつたわけであります。こういう事態にかんがみても、それからこの間の保険局長お話では、稼働点数がふえたと言われておるけれども政府管掌保険給付費の逐年増を見ても、おそらく稼働点数の方が異常なふえ方をしておるので、稼働点数のふえたことは、必ずしも一点単価が現行あるいはこの三月の調査から出ておる十二円云云という数字を動かすに足るとも考えられませんし、この調査はつきりとできておらない。そこで問題は、現在の一点単価は私はどうしてもこれは動かさなければならぬと思うのですが、そのことは何か審議会の答申をまつて善処するというふうなことを大臣は言つておられますが、なるほどそれはそうでしようが、しかし資料としては明らかに出ておる。やはりどうしても動かさなければならぬということが出ておる。そうするとこれは保険局として、やはりこれまで一点単価決定には中心的な役割を持つておられたことは持つておられたのだが、ただ一点単価はやはり動かす、上げなければならぬという考えを持つておられるのか、また持つておられてものを言つておられるのかどうか、その点率直な御意見があつたら聞かしていただきたい。
  16. 久下勝次

    久下説明員 たびたび申し上げておりますように、一点単価を動かさなければならないというほど、実ははつきりした私ども材料結論も得ておらないのが現状でございます。しかしながらこれをどうするにしても、検討する必要があるということは十分認めておる次第でございまして、そういう意味合いにおきまして、大臣自身臨時医療保険審議会諮問を出しておるような実情でございます。このことはひとり最近に始まつたことではなくて、昭和二十七年以来のことでございますが、ただそういう機関諮問をしてその結論を待つておりまする以上、私ども立場としてそれらの機関審議をさておいて、右か左かの結論を出すということは、その趣旨からも慎むべきであると考えまして、このような態度をとつておるわけであります。
  17. 岡良一

    岡委員 ぼくはこの新医療費体系実施されるということ、それから一点単価の問題、現実医療給付費政府管掌保険ではふえて来ておるので、一割五分の国庫負担を要請しておられるが、従前の例に見ても、ましてや一兆億予算というような国の大わく予算財政政策に押えられて、保険財政にあらゆるしわ寄せが今来ておるというような感じがするわけなんです。そこで保険局長の御苦心は十分われわれはわかつておるのだが、今いろいろお答えになるそのお答えでは、一つも実はわれわれにも見通しが立たない。何となく現在の医療保険制度の先行き不安な感じが実はいたすわけなんです。そういう点、問題は予算の問題にもかかわりますので、この程度にしておきたいと考えますが、とにもかくにもこの際一割五分の国庫負担は、省議決定ということ以上に、おそらくわれわれ委員全員も望むところだと思うのですが、厚生省としてもその点は何とかひとつ努力していただきたいということを衷心からお願いを申し上げて、私の質問はこれで終ります。
  18. 小島徹三

  19. 福田昌子

    福田(昌)委員 今、岡さんの御質問に対して、三十年度予算では社会保険医療費負担分においても、国保は二割、健保においては一割五分を要求しておるという御答弁ですが、その額面はつきりしないという御答弁でございましたが、大体御提案になつたのでございますから、どれくらいの額面要求しておられるか御記憶があると思いますが、お示しいただきたい。
  20. 久下勝次

    久下説明員 数字を持つて来ておりませんものですから、明確には申し上げかねますが、政府管掌健康保険におきましては、一割五分相当額の五十数億になつておるという状況でございます。それから国民健康保険につきましては、先ほど申し上げました通り五十七億でございます。なおそのほかに組合管掌健康保険がございますが、これがちよつと数字はつきりしませんですが、船員保険につきましても同様に一割五分相当額要求しております。
  21. 福田昌子

    福田(昌)委員 大体三十年度予算の全貌というようなものが、九月ごろでしたか、ちよつと新聞に出ていたことがありますが、その新聞によると、社会保険に関しては百三十三億程度要求をするというようなふうに出ておりましたが、総額百三十三億くらいになるという御構想ですか。
  22. 久下勝次

    久下説明員 百三十億という数字も実は私自身も記憶ありませんが、社会保険費一般会計負担分はとうていその程度にはとどまらないと思います。国民健康保険国庫補助だけでも、要求額としては百億近い金額になりますから、その程度に納まるはずはないと思います。二百億を越える金額になると思います。
  23. 福田昌子

    福田(昌)委員 私どももこの健保医療給付額、これは一割五分負担ということで計算いたしますと、政府管掌が五十億であり、組合管掌に何がしか、船員保険に何がしかを補つたといたしましても、私ども百三十億くらいではまかなえないと思つてつたんでありますが、そういたしますと、今御答弁がございましたように、結局総額ではこの医療費負担分として二百億以上要求しておられるということでございますか。
  24. 久下勝次

    久下説明員 私が申し上げましたのは、社会保険に対する一般会計負担を申したのでありまして、医療給付費に対する負担分だけですと、百三十億程度かもしれないのです。このへんは他の部分についての数字を記憶いたしておりませんので、正確には申し上げかねますけれども、先ほど申し上げた政府管掌健康保険国民健康保険だけで百億を突破いたします。そのほかに組合管掌健康保険、これもおそらく三十億以上になるはずでございます。それに船員保険がごくわずかございますので、私ども関係の分だけで大体百三十億をちよつと越える程度金額ではないかと思います。
  25. 福田昌子

    福田(昌)委員 それにプラス従来国庫負担として考えられておつた分が追加されるわけでございますね。もちろん昨年度の国の負担分百九十七億から国保医療給付費二割負担分の四十七億というものを差引いた百五十億ほどのものがこの百三十億に追加されるという計算でございますね。そうしますと、今年度といたしましては社会保険のために従来の事務費負担分もあわせ、医療給付費の分を含めて三百億近いものを要求しておられる、こういうことになるのでございますか。
  26. 久下勝次

    久下説明員 数字を持つて来ておらないので、たびたび大まかなこと申し上げて恐縮でございますが、三百億近いと申すよりも二百億を越して二百億に近い方の数字くらいに私は記憶しております。大体そのくらいになると思います。
  27. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、このいただきました資料から見ましても、大体いろいろな社会保険関係に使われております国の費用というものは、すでに二百億近いものになつております。もちろん社会保険というような厳密な立場からいえば少しさしさわりのあるようなものもあるかと思いますが、大体において二十九年度予算そのままですでに百九十億からの国の負担分というのがなされておるわけでありますが、今度健保政府管掌組合管掌の分その他船員保険なんかに医療費の一割五分を負担して、なおかつ二百億程度でまかなえるということは、どうしてもそろばんが合わないような気がするのでございます。従いましてこの件につきましては、あすでけつこうでございますから、資料をお出し願いたいと思います。  きのう私お願い申し上げておいたのでございますけれども国民医療費の中で公費負担の分はどれくらいのものが公費負担になつておるかということをお示し願いたい。そしてそれが二十九年度分においては予算総額の上において何パーセントになるかお示し願いたい、そういう資料がいただきたいということを申し上げておきましたのですが、まだ御配付願わないのですが、どうでございましよう。
  28. 久下勝次

    久下説明員 とりあえず私どもの方で調査いたしました数字をパーセントで申し上げますが、総医療費に対しまして国庫負担をしております割合は、昭和二十七年度におきまして八・二六%、昭和二十八年度におきまして八・四九%でございます。今印刷をいたしておりまするので、午後は印刷をいたしましたものをお配りできる予定でございます。
  29. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、今日問題になつておりまする社会保険支払い報酬の基準になつております一点単価の問題になりますが、これを一円上げるといたしますと、国庫負担におきましてどれくらいの増額になるのでございますか。
  30. 久下勝次

    久下説明員 これは先日お手元にお配りを申し上げました資料でごらんをいただきたいのでございますが、昭和二十九年度予算基礎にいたしまして積算をいたしますと、国の負担分単価一円を上げることによりまして、十六億七千百万円の増加になるのであります。
  31. 福田昌子

    福田(昌)委員 公費という面からいたしますと、当然国の負担分というものは十六億、その程度しか一円上げても負担増にはならないはずでございますが、これまでいろいろと委員会において御質問申し上げて参りました段階におきましては、単価を一円上げることによりまして、そのときどきによつて説明違つてつたのでございますが、七十億膨脹するとか、百億膨脹するとか、百三十億膨脹するとかいろいろ御説明をいただいて参つたわけであります。さような御説明を私ども伺つておりましたが、資料をお出し願いましたら、一円上げることによつての国の負担分というものは明らかに十六億であるということがわかつたのであります。先ほど御説明いただいておりました単価を一円引上げると百億近い膨脹があるという御説明は、一体どういう根拠で御説明になつたのでございましようか。
  32. 久下勝次

    久下説明員 このことはそのとき御説明申し上げました際にもお断りをしておいたはずでございまするが、この資料でもごらんいただきますように、個人負担分を除きまして、保険者負担分、国及び地方負担分、この三つを合計したしますと約百億をちよつと越える金額になるのでございます。従来申し上げておりましたのは二十八年度予算基礎にして積算をいたしましたものを申し上げておるのでございますが、その際は大体今申し上げました意味の百億に匹敵いたしますものを二十八年度予算から積算して申し上げておつたのでございます。これはこういう意味でございます。純粋に国及び地方負担に属しますものは、現在の制度のままで参りますれば、ここにございますように国が十六億七千万円、地方費が四億二千万円ということでございまするが、問題は保険費負担分八十一億三千九百万円をどうするかという問題になると思うのであります。私どもがこの数字を加えたものを今まで申し上げておりました趣旨は、一方におきまして今日被保険者負担能力は限度に達しておるということが一般的に言われておるのでございまして、おそらく保険料率引上げ等によつて保険者及び事業主負担をこの際にこういう金額を増額するということは非常にむずかしいことではないかというふうに考えておる次第でございます。若干の負担は多少無理はお願いはするにいたしましても、全部の負担事業主及び被保険者負担に転嫁するということが実際問題としてむずかしいのではないか。そこで私ども考えを申し上げますれば、こういうふうに保険者負担が増額いたして参ります機会に、従来から私ども自身も主張しておりました医療給付費に対する国庫負担という問題を同時に実現をしたいという気持があるのでございます。そういう気持がありまするので、その辺のところを内容をわけてこまかく申し上げる資料もございませんから、一応保険者負担分としてこれだけふえるということ、そのうちの相当部分はその結集におきまして国庫負担でもしてもらわなければならないであろうというような意味を含めるつもりで総額を申し上げておつたのでございますが、今回はその辺の誤解を避けまするためにそれぞれわけて資料として差上げたわけでございます。
  33. 福田昌子

    福田(昌)委員 私ども公費として考えておりますのは、昨日も申し上げましたが、田及び地方負担分公費であるのでありまして、保険者が民間の企業体が負担する保険料金まで、これを公費わくに入れて御説明なさるということは、非常に本筋を誤つたものだと思うのであります。そういつた企業体に対する同情とか、あるいはまたいろいろ総医療費の膨脹というようなものを防ぐ意誓いからのいろいろな思惑があつたといたしましても、公費というものはあくまでも国及び地方負担分であるということは御存じのはずでございます。そういつたまやかしの数字を入れまして御説明願うことは今後一切お慎みを願います。従いましてただいまの局長の御言明から、二十九年度社会保険においては、大体国の負担というものが百九十億程度、現行の単価を一円上ることによつて国の負担増というものは十六億であるということがはつきりしたわけでございますから、その線で今後のお話をお進め願いたいと思うのであります。従来のように一円単価を上げると、国の負担分が百億から百三十億増すというようなごまかしの御説明は今後一切お断りを願います。  次に御質問申し上げたいのでございますが、医師に支払われた医療費はここには昭和二十七年度では大体千二百九十八億と出ておりますが、この同じ本文のC項に参りますと、二j七年三月の病院及び診療所の収入を推定すると、千百七十一億出て参るのでございます。病院の推計は収入が少くなつておりますが、支払われた分が千二百九十八億ということになつておりますが、この差は支払われた分と受取つた分は同じであるべきはずでありますが、相当な開きがあるのはどういうわけでございますか。
  34. 曽田長宗

    ○曽田説明員 これは冒頭にも一応御説明申し上げたと思うのでございますが、b項に上つておりますのはその資料関係から大体二十七年度でございまして、二十七年の四月から翌二十八年の三月までをカバーする数字だというふうに御了解願いたい。それに対しましてC項に上つておりますのは、二十七年の三月一箇月だけの調査になつております。従いましてむしろbと比べましたならば、二十六年度の最後の月に該当しておるわけでございます。それを大体十二倍いたしたものを一応ここに掲げたわけであります。そういうような意味で参りますれば、正確な比較は困難でありますが、C項に掲げてあります二十六年度と七年度との中間に入つて来る数字がこのCに比較さるべきものだというふうに考えられるのでありまして、あまり大きな差はないのではないかというふうに考える次第であります。
  35. 福田昌子

    福田(昌)委員 問題は二十七年の三月、これは二十七年に限りませんが、三月という月をお選びになつて、それから推計して、一年間の必要経費なり収入なりを出そうというところに問題があるのでございまして、三月の月というものは課税の問題などもありまして、いろいろな点から統計上その基準としておとりなさるには適当でないということが、この一点をもつても明らかになると思うのであります。ところがこの資料というものは、全部二十七年三月と十月を基準にしておられるというところにおきまして、信頼性においてもはなはだ疑問があると思うのでございます。  次にお尋ねさせていただきたいのですが、きのうもお尋ねいたしましたが、薬剤を個人が買いました金額は、この七ページでよくわかるのでございますが、二十八年百五十七億薬局からそれぞれの個人が買つたという分が出ておりますが、一体病院や診療所はどれくらいの薬剤を二十八年度に購入したことになつておるのでございましようか。
  36. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 二十七年度におきましては大体三月調査によりまして、私どもの方で全国的に推計いたしたのであります。大体その推計によりますと、最低二百億は下らざる数字というふうになつております。それで全国に延ばしますいろいろな統計的な点はまだ詳細に確かめておりませんが、まず二百億は上まわるものと考えております。二十八年度はまだ調べておりません。
  37. 福田昌子

    福田(昌)委員 その二百億と申しますのは、病院及び診療所が購入した総額でございましようか。
  38. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 さようでございます。
  39. 福田昌子

    福田(昌)委員 それに民間の個人価人が買いました、二十七年度でございますと百八十八億というものが追加されまして、大体三百八十八億前後の業剤が購入されたということになるのとございましようか。
  40. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 お話のようにこの附表の一におきましては薬局に支払つた分が百八十八億ということになつております。それでなおその次のその他というところに四十億くらいの患者が支払つた金がございますが、この中にも一応薬代として払つた分があるように承つております。従いまして病院、診療所で使つた分と、それから患者がそういう関係で支払つた分と合せまして最低四百億にあるじやないか、この四百億は最低でございまして、それ以上上まわつているということは私ども想像つくのでありますが、それがどれくらいになるかということはちよつとわれわれにはわかりません。
  41. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、この間の御説明では二十七年度つたと思いますが、薬品の総生産高は六百二十八億だという御説明がございましたが、買われた分が大体四百億前後だというお話でございますと、その生産高から見ますとすでに二百二十八億というものが開いております。しかもこれは生産者価格と小売価格において引比べているわけですから、実際の開きというものは二百億、もつと以上の開きがある薬品というものがどうなつたかわからないという形になるわけでございますが、薬品の担当であらせられる薬務局としていささかどうものんびりしておられると思うのでありますが、これに対する御追及はどのようにしておられるのでありますか。
  42. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 まことにごもつともな御質問だと思います。特に病院、診療所で使つた金額、それから薬店で売り払います金額、これはいわゆるA価あるいはB価でございまして、われわれが調べました生産動態統計調査報告の工場の生産価額はC価でございます。従つてその間の金額の差もございまして、実際問題としては病院、診療所あるいは薬局の四百億というのは工場の原価に比べますとそれ以下になるということは御指摘の通りであります。実はこの点につきましては前々から滝井先生等からもお話がございまして、私どもとしてもいろいろ調べたのであります。今薬務局といたしまして調べまするものは、法律に基きまして生産の面につきましては的確な調査がございます。しかしこれがどういうふうに流通をしておるか、あるいは最終消費者の手に渡るかという点につきましては、実は的確な調査はなされておりませんので、一応想像のもとにその間の食い違いを御説明申し上げますと、大体今申し上げましたように、最低四百億というふうに考えてみますと、これが四百五十億あるいは五百億近くになるかもしれませんが、その点の問題が一つと、それから戦後医薬品の生産が逐年非常に増加いたしまして、二十七年度におきましては、工場の生産数量はそのまま消費者の手には渡つていないということは大体想像がつくのでございます。しかも二十七年度におきましては二十六年度に比較いたしましてその傾向が顕著でございまして、極端に申しますれば、大体六百二十億生産したのでございますが、その生産した医薬品の一月分あるいは二月分くらいまでは二十七年度中においては消化されなかつたのではないかというふうな推察も十分立つのでございます。それからなおそのほかこれは輸出はわずかでございまして十五億くらいだつたと思います。それから六百二十億の工場の生産額でございますが、その中にはダブる分がございまして、たとえばサントニンを製造したというふうな場合に、それは製造金額として統計に上つて参ります。しかし同時にその製造されたサントニンを小わけ業者が買いまして、それでまた一般家庭向きに製造したという場合に、それも製造金額として上つて来るのでございます。そういうようなダブつた金額がやはり相当あるだろう、やはり何十億というふうにあるらしいのであります。従いまして、まことに恐縮でございますが、そういうようなところからその辺の食い違いの数字があるのではないかというふうなこともわれわれとしては判断するわけでございます。  それからなおしいて申し上げますれば、二十七年度国民健康調査におきます薬店に支払つた百八十八億という金額でございますが、これもいろいろ伺いますと、大体統計学的には全国に及ぼしてさしつかえない数字のようでございますが、はたしてその調査表の内容調査対象である世帯が正確に薬を買つたということを記帳してもらつたかどうか、その辺にも若干問題があるんじやなかろうか。百八十八億あるいはそれを若干上まわる数字であるということは大体想像つくのでございますが、その点は大した問題じやないといたしましても、以上のようなことからその辺の食い違いの説明にかえさせていただきたいと思います。
  43. 福田昌子

    福田(昌)委員 この生産総額の六百二十億ですか六百二十八億ですか、これはもちろんC価で御発表のことと思いますが、これをA価に換算いたしますと大体どれくらいになるものでございますか。
  44. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 実はその点も私ども調べたのでございますが、一般的に申し上げますと、B価の場合は大体A価の最高一割増しくらいのようでございます。それからC価の場合はまたB価の大体一割五分くらいのようでございまして、結局C価がA価に対しましては最高三割くらいまで、これはいずれも最高でございまして、特に二十七年度ころからは大体生産も好調に達し、従つて販売も相当熾烈になつておりますので、その率はそのまま適用はできないというふうに考えられる次第でございます。
  45. 福田昌子

    福田(昌)委員 三割増しということになりますとたいへん大きな額面になると思うのでございます。六百二十八億の三割増しということになりますと、これはたいへん大きな数で、八百億を越す額面になると思うのでございます。八百億を越す額面を消費者価格ということにおいて考えますと、八百億に相当するものが生産されておりながら、消費されたものは四百億そこそこ、もう少し大目に見まして五百億相当分だといたしますと、半分しかその行方がわかつていないということになつて、これは薬務当局としてはずいぶんのんびりしておられることだと思うのでありまして、この点半分がわからないということではどうしても了承できない点があるのでございます。どういう形においてこの半分の分を追究しておられるか、研究しておられるか。今日その研究の段階でもけつこうですから御説明願いたい。
  46. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 さつき御説明申し上げました通り、私ども薬務当局の所管といたしましては、医薬品の製造に対する企業行政と、それからなお保健衛生上の立場からする医薬一般についての規制でございます。従いまして、これは一般の企業行政にも通用するのでございますが、生産された商品が流通過程におきましてこれを的確にとらえるということは非常にむずかしいのでございます。なおこういう企業に関連いたしまして当然そういうことはある程度われわれとしても検討しなければならないところでありますが、結局説明内容といたしましては、先ほど申し上げました通り、これを要約いたしますれば、八百億という今のお話でございましたが、これは八百億にはなつておりません。最高三割と押えましてそういうことでございます。病院、診療所で買います場合にはB価の場合が多い、診療所のうちのごく一部分はあるいはA価で買う場合もあると思いますが、病院は大体B価以下でございます。そういうようなことからも、さらには販売の熾烈なることから申し上げましても、八百億は相当下まわるということは申し上げられると思います。それから先ほど申しました通り、二十七年度における生産額の大部分が最終消費者の手に渡つていない、この額もおそらく数十億あるいは百億に達するかもしれないというふうに想像されるのであります。それからなお六百二十億の生産金額の中にダブるものがあるという点でございます。それらを勘案いたしまして、大体において生産された医薬品の行方というふうに御了承願いたいと考える次第でございます。
  47. 福田昌子

    福田(昌)委員 医薬品のそういつたような市場の流通過程を御調査いただくのはたいへん困難だと思いますが、非常にのんびりしておられると思う。簡単に申しますと、行政上の管理において非常にずさんな感じがいたすのでございます。従いまして、ここにお示しいただきました国民医療費の、たとえば二十七年度の千五百四十九億、二十八年度の二千九十二億、こういつたものは、医薬品の購入のてんまつが明らかになりますれば、当然膨脹して来ると考えなければならないのでありまして、ほんとうの国民の総医療費というものは、もつとずつとずつとこの医薬品を購入した分だけが、そうしてただいまはつきり答弁願えなかつた分だけがマイナスになつているわけですから、その分だけ実際にはこの示された額よりも多いということになるわけでございますが、それは御了承いただけるのでありますか。
  48. 曽田長宗

    ○曽田説明員 先ほど薬務局の方からも御答弁申し上げたのでありますが、この医療費調査は非常にむずかしいのでありまして、薬務局の方で、この数字をそのままとるわけにも行かないので、若干これより上まるのではなかろうかというような話につきまして、私もこの調査関係いたしたものとしてできるだけ正確にとりたいというふうに考えたのではありますが、これは統計を実際にやつたものであればあるほど率直にむずかしいということを申し上げざるを得ないのであります。一番具体的に今の問題について出て参りますことは、はつきりとした病院の治療薬というものは大体漏れがないと私は思います。それに対しましていわゆる滋養剤、ビタミン剤のようなたぐいのものなんかは、これはある程度落ちているかもしれぬ、しかしその落ちているのはどのくらい落ちているかという推定になりますと、これはまたよりどころがないのであります。私どもそういう意味においては、これがもう少しふえて来るのじやないかということは、率直に申し上げまして感じております。
  49. 福田昌子

    福田(昌)委員 先ほど医者が二十七年度購入いたした医薬品というものは大体二百億くらいに相当するという御答弁がございましたが、この医者が購入いたしました二百億というものは、国民医療費の二十七年度分の千五百四十九億の中に含まれておるのでございましようか、そのらち外なのでございましようか。
  50. 曽田長宗

    ○曽田説明員 これは当然病院、診療所でもつて消費した医療費というものに入りております。またそれに対しても代償が支払われておるものであります。
  51. 福田昌子

    福田(昌)委員 薬剤の生産とその消費の面が一向につかめないのでございますが、先ほどの参考人の御出席をいただいて薬剤師の方から御説明をいただきましたときの御説明によりますと、今日薬剤師で開局しておられる方が全国で一万七千名からおられて、そのほかに医薬品販売業者が七万人からおられる、そういつたお店で大体一月の売上げが二十万、そのうち六割が医薬品だというお話を承つたのでございます。二十万の六割といたしますと十二万で、ございますので、大体薬局一万七千の方々が月に十二万の医薬品の売上げかあると推定、たし、それからまた医薬品販売業者七万の人たちが、十二万でないまでもその八割の十万程度医薬品の売上げがあるといたしますれば、ちようどこの生産価額総額に類似の成績が出て参るのでございます。これは薬剤師の方がおつしやつておられたことを私はまねておるのでございまして、薬局の側の御説明によつた点でございます。そういたしますと、大体二十七年度の六百二十八億円の生産高を消費価額に直した額面に匹敵するということに相なるのでございます。従いまして実際の面はストックにもなつておらないし、行方不明にもなつておらないで、約六百二十八億の生産価額のその生産品がさばけておるやに考えられるのでございます。そういたしますと、結局お出しいただいたこの総医療費というものは非常にずさんであるという結果になつて参ります。こういう、ずさんな総医療費をふやすとかふやさないとかいうことを、わくをおはめになるということは、まことにおかしな話だと思うのでございます。この総医療費の増額というものに対して、それぞれの基準においてまことにあやふやなものを寄せ集めておりながら、総医療費といういかにもコンスタントのもののようなかつこうで押し出して参りましたものを固執なされるというのはどういうところにその意思があるのでございますか。
  52. 曽田長宗

    ○曽田説明員 この医療費の新体系というものにどの程度の理想を具体的に盛るかということは、これはきわめて雄大な構想になつて来るわけでありますが、私ども今回取上げましたのは、そのうちの一部分を取上げたということは前にも大臣からもお話があつた通りであります。ただいま私どもが取上げました新医療費体系というものの限りにおきましては、病院、診療所以外における薬品の使用量のいかんということは直接には響いて参らないと思います。そういう意味におきまして今の総医療費の推計において考慮が足りないところがあるのではないかということをごもつともと考えましても、ただいま私どもが提出いたしました新医療費体系には響いて参らぬというふうに考えております。
  53. 福田昌子

    福田(昌)委員 いろいろ御説明いただきましたが、要しますところ、国民の総医療費というものは、まことにずさんな信用のならないものでありながら、それにかつてわくをはめることによつて、しかも国民医療費の増加をはかりたくないという、これは国民すべての要望であり、私どもそれを念願しておりますが、その素朴な要望をすりかえてかつてな、ずさんな予算を出して参つて、それで新医療費体系という形で押し切つて行こうとしておられることは明らかでございます。私どもはこういう体系から申しますと、医薬品の分が多くなつて参れば、それだけわくがかつてにきめられておるわけでございますから、社会保険の診療費の配分の分においてもこれは当然食い込んで来るということが言われるわけでございまして、わくが限定されていて、医薬品というものの購入量額面ということがまことにはつきりしていない、それに対しては何ら検討は加えられていないということになりますと、これがどのように膨脹して参るかわかりませんが、そのしわ寄せは全部社会保健の支払いの面にかかつてくることになるのでございますが、その点をお考えになつてこういう案をお出しになつたのでございますか。
  54. 曽田長宗

    ○曽田説明員 国民の総医療費わくを、今回このお示しいたしました新医療費体系というものによつて縛ろうというような考え方は私どもつておりません。この新医療費体系の響影として、総医療費にどういうような響きがあるかということについては、再々申しておりますように、医療費体系そのものとしては影響はないものと考えるというふうに私どもとしては認めておるわけであります。
  55. 福田昌子

    福田(昌)委員 この新医療費体系をおつくりになるとき、そもそもの基準というものは、国民の総医療費が膨脹しないということが一つの基準だということを御言明になつたと思うのでありますが、ただいまの御答弁によりますと、この新医療費体系は、そんなものは全然考えておらない、膨脹してもさしつかえない立場でやつたというふうに聞えるのでございますが、非常に矛盾した御答弁だと思います。どちらがほんとうでございますか。
  56. 曽田長宗

    ○曽田説明員 新医療費体系それ自身の影響としては、医療費を膨脹させない、医療費の膨脹は、支払い方法のいかんということだけではございませんで、他のいろいろの理由によつて膨脹を来しておる。この問題は別個に検討さるべきものだというふうに初めから考えております。
  57. 福田昌子

    福田(昌)委員 速記録を読まないと的確なところはわかりませんが、明らかに総医療費わくに増減を来さない範囲で新医療費体系をつくつた、それを基準にしたということを申しておられるのであります。そういうぬけくとしたごまかしの答弁をなさるということは、医務局長の御人格においても非常に疑わしいことであります。時間があつたら私速記録を調べてみたいと思うのですが、そういう間違つたことをぬけくとおつしやられる。そういうことでありましたならば、医者の技術の報酬というものを御勘案になる場合において、あなたはお医者さんであるはずでございますから、医者の技術の評価というものを国民の総医療費わく関係なく御勘案になれるはずでございます。この新医療費体系はそういう立場において、すなわち国民の総医療費がふえようがどうしようが、医者の技術というものを適正に評価したいという覚悟でおつくりになつたものでございますか。
  58. 曽田長宗

    ○曽田説明員 私再々申し上げておりますように、新医療費体系の採用ということ、それ自身によつては、医師、歯科医師、薬剤師、薬剤師というとちよつとあれかもしれませんが、今までの医療費医師、歯科医師の診療を経て与えられる医療に対する報酬というものに対しては影響がないということを申し上げたのであります。ただこの点について御疑問があるいはおありかと思うので、もう一辺はつきり申し上げますが、この医師、歯科医師を通じての医療というものに対する報酬の絶対額というものは、私どもここではただいま一応別の問題としておる。ただ支払い方法がかわつたということだけでは変化を生じないという意味であります。
  59. 小島徹三

    小島委員長 福田君に申し上げますが、大臣は十四日は終日さしつかえがあるそうですから、もしも大臣に御質疑があるようでしたら……。他の委員の方々も大臣に御質問がありましたならば……。
  60. 福田昌子

    福田(昌)委員 それでは大臣に御質問させていただきたいと思いますが、その前に医務局長に一点だけお尋ねしておきます。たいへん苦しい御答弁で、賢明な医務局長の御答弁としては、私の方が頭が悪いのでしようが、さつぱりわかりません。どういう意味で御答弁になつたのかわからないのでございますが、あなたのこれまでの御説明を伺いますと、総医療費を増さない形において、医者の技術料も評価する考え方において、この新医療費体系をつくつてつた。そしていろいろなものを動かして来たが、大体初診料と再診料を非常に動かして参つた。初診料と再診料を六点、四点にすることによつて二点以下の処置、検査料というものをこの中に含めてしまつた。かようにいたしますと、大体の数字が現行の社会保険医療から来まする診療報酬の総点数及び総額面にまつたく一致するのでありますということを答弁しておられるのであります。最後まで国民の総医療費、そしてまた現行の社会保険支払い基金のわくに縛られてこの新医療費体系をつくつたということを明らかに示しておられるのでありますが、まことに非良心的な御答弁を再再なさるということにおきまして、私ども非常に遺憾に思いますが、この点はあとでまた医務局長に重ねてお尋ねさしていただきたいと思います。  大臣のお時間がないそうでございますから、大臣に簡単に一、二点お尋ねさしていただきたいと思いますが、大臣はこの資料をお出しになりますとぎに、説明といたしまして、医療の向上をはかるためにこれを出して参つたというお話でございましたが、私どもこの資料から医療の向上がはかられるとは思えないのでございます。大臣の申しておられます医療の向上ということはどういうことであるか、この点を御説明願いたい。
  61. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 医療の合理化を来して、その合理化によつて医療の向上を来すようにして行きたい、具体的に申し上げますと、従来はいわゆる技術というものが全然評価されずにおるという状態でありますから、これを分割いたしまして、技術に対する報酬を検出いたして、そうしてそれを一つ医療費体系として出して来た次第でございます。
  62. 福田昌子

    福田(昌)委員 技術を分離することによつて医療が向上するというお話でございましたが、この技術の分離ということはたいへん困難な問題が起つて来るわけであります。それはそれとして了承いたすことにいたしましても、一体この技術というものをどのように評価しておられるのでございましようか。
  63. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 技術の評価は、いろいろな点から、基本的な立場からと実際上の問題からと両方の問題があると思います。基本的な立場からは、先般来るる各委員から、日本の医療技術に対する評価の場合に、諸外国等と比較した場合には、技術の評価が低廉ではないかというような御意見相当出ております。私どももこれには同じようなことを申し上げておつたのです。ただこの資料において今回私ども考えておりまするのは、従来の医療費体系という線から考えまして、二十七年の実態調査を中心に考えて参つたのでありますが、その場合において、その中に含まつております医療の技術に対する評価というのを検出して、そうしてそれを今回のお示しした点数で表わして来たのであります。従いましてその表わして来ました、具体的に申しますると、あるいは初診あるいは再診に対するこの点数というものが、根本的な立場から者えてこれで妥当であるか、その評価が低過ぎはしないかという議論が当然起つて来ると思うのであります。私どもは当然その議論は起り得るものだと考えます。但し、こういう問題はどこが理想的な線であるかということはなかなか困難でありまするし、また急激にそれを変更することは、基準を持たないのでありまするから、なかなか困難であると同時にやりにくいのであります。従つて二十七年の実態調査を中心にして検出して参つたという結果と相なりましたことが、この初診並びに再診等に対する技術を中心にした点数の具体的な数となつて表われて来ておるのであります。従つて、私どもこれが十分であるとか理想であるとかいうことは考えておりません。
  64. 福田昌子

    福田(昌)委員 私何べん大臣から御答弁をお伺いしましてもよくわからないのですが、たとえば、買物をいたします場合に、デパートへ行つて食料品も衣料品も一緒に見つけて買つて来るのよりも、町のそれぞれの専門の店一行つて、衣料品なう衣料品、小間物、雑貨の類は雑貨として買つて来る、別別の店に行つて足を費して買つて来る方が、そういう買物の道においても向上すると考えるのと同じような感じがするのであります。大臣の御説明の範囲内においては、医療の向上と一致するとはどうしても考えられないのでございます。しかもこの新医療費体系を見ますと、ただ初診料、再診料といたしましても、さも点数がふえたかのごとくに見えます、そして医者の技術を適正に評価したかのごとく見えますが、その中には検査料も入つておりますし、簡単な処置料も入つておるというようなことで、実質的にはちつとも金銭的な額面においてもふえて参つていない。ただ診察料と申し、処置料と申し、そういう名前を変更してつけかえたにすぎないというような体系でございます。こういう名前がえしただけで医療の向上がはかられるということであれば、これはまことにおやすい御用でありまして、こういうことで医療の向上がはかられると真実にお考えになつておられるものでありますならば、厚生大臣の頭はきわめて簡単でおかしいと思います。この点も私ども納得できないのでございますが、医療の向上は私ども厚生大臣の御答弁ではどうしても納得できません。  次に医療の組織についてお伺いしたいのでありますが、厚生大臣は今日の医療組織をこのままでいいとお考えでございましようか。
  65. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 決して十分であるとは考えておりません。
  66. 福田昌子

    福田(昌)委員 もちろんそうでございましよう。ではどういうふうになさろうという御所存でありますか。
  67. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 医療体系をもう少し根本的な点から検討して、これも再三従来から各委員間で御質問があつた点でございますが、従つて医療全体の体系一つの基準を置いて、その体系に向つて整備するようにいたして参らねばならないと存じております。また厚生省におきましても一応その全体の医療体系の基準を検討いたしまして、その完璧に向つてただいま努力をいたしているような次第であります。
  68. 福田昌子

    福田(昌)委員 たいへん長い間御検討しておられるようでありますけれども、この医療組織、医療行政に対する主管官庁は厚生省でございますが、その中でも特にどの局がこの医療行政に対しては主管局になつておるのでございますか。
  69. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 いろいろな方面に各局で関係はしておりまするが、主たる局は医務局が中心に考えております。
  70. 福田昌子

    福田(昌)委員 医務局が御中心という話でありますが、医療機関におきましても、医務局が知らない医療機関というものがたくさんある。厚生省自体がまた関知しない、厚生省所管外の医療機関というものが、いただきましたこの資料にはたくさん出ておるのでございます。これは一体どういうわけでございますか。
  71. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これも先般来再三御質問がありまして、そういう点は厚生省が中心になつて医療組織の整備のときには十分検討すべきじやないか、例をあげての御質問等も出ておりましたが、こういう点は私どもも同感に考えております。しかしこれらの連絡等があるいは十分でないために、全体の組織という点からしまするとあるいは重なつたり、あるいは不十分であつたりする点が確かに御指摘のようにあると思います。こういう点については、今後一層さような点を是正して参りたいと考えております。
  72. 柳田秀一

    ○柳田委員 関連ですが、それでは厚生大臣は、本日そういうようなある特殊の病院の払下げ等に関する委員会が今どこかで開かれておるのを御存じですか。
  73. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 それは本日その委員会が開かれておるかどうかは存じません。しかしただ、そういうことが従来からあつておりますることは承知しております。
  74. 柳田秀一

    ○柳田委員 あなたは努力すると言つておられるが、今この本院の中で炭鉱病院の払下げに関する件というのが議題になつて、ほかの委員会でちやんとやつておられるのを厚生大臣は全然御存じないでしよう。そういうことで全然努力しておられない。現に今、炭鉱病院の払下げに関する件という議題になつてきようはやつておるのです。そういうふうに、あつちこつちで支離滅裂になつてつておる。
  75. 福田昌子

    福田(昌)委員 今一例を御指摘になりました通りでございまして、いろいろな点で現実すでに厚生省の関知しない医療機関というものが生れて参つたり、あるいはその管理者がかわつてつたりしておる状態がたくさんございます。しかし厚生省内におきましても医療機関の主管局は医務局であると言いながら、医務局が御存じのない、あるいは関係のきわめて薄い形において社会保険病院というものがたくさんできて参つております。こういうような無統制のことで厚生大臣としての御職責がお勤まりになると考えておられましようか。もし真実に研究しておつたり、こういうことに関心を持つておるというのであれば、こういうものは半年や三月で起つた問題ではないのでありまして、長年にわたつてそういう間違つた方向に医療行政が進みつつあるということにおいて、厚生大臣になられたら早急にこの点に関する御検討、御修正というものがなされなければならぬと思うのであります。この点がきわめてずさんである。それにもかかわらずそういう根本的なこと、それこそやらなければならぬことを抜きにいたして、買物をするのにはデパートで買つちやいけない、小売店で買わなければいけないと指定するようなこの新医療費体系に修正することは本末転倒だと思うのであります。この点に関しまして厚生大臣は真に医療行政を軌道に乗せ、むだのない、そしてまた主管が厚生省で医務局であるならば、その主管下に包括してこそ、ほんとうの日本の医療機関医療行政が円滑なものになるということをこの際お考え直し願いたいと思うのでございます。  次に重ねてお尋ねいたしますが、厚生大臣はかつて外務次官でおいでになつたとき、昭和二十六年例の医薬分業法案が問題になりましたときに、全国の薬剤師大会でいろいろ演説をされておるのでございます。その演説の内容によりますと、自分はぜひとも厚生委員になつてこの医薬分業を実施したい、今国会はその絶好のときであるというような御演説があるのでございますが、そのお考え方においてただいまも同じでございましようか。
  76. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 当時のことはちよつと記憶はいたしておりませんが、当時国会において昭和二十六年に医薬関係三法案が成立いたしました。この成立に対しましては政府提案も国会において相当修正されまして、それによつてほとんど全会一致で両院とも通過いたしたという経験から、状態から見まして、私ども厚生省といたしましては当然その趣旨にのつとつて進むべきことが必要であると存じまして、そういう心持で現在進んでおる次第であります。
  77. 福田昌子

    福田(昌)委員 二十六年のその当時のお考えと少しもかわりがないという御答弁をいただきました。その当時でさえ、外務次官であるけれども自分は厚生委員になつて医薬分業実施を敢行したいというお話でありましたから、まして今日はその最高の機関である厚生大臣になつておられるわけでありますから、当然医薬分業実施を断行するというお考えであると解釈してよろしゆうございますか。
  78. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは私が断行するとか断行しないという問題ではなしに、先ほど申し上げましたように法律によつて、しかもそれは国会において十分意思を加えられました法律が明年一月一日に実施ということに相なつておりまするから、従つて当然私が厚生大臣でありまする以上は、これを尊重せざるを得ないのであります。また尊重することが当然であると存じます。ましてこれを逆に尊重しないような行動をいたしますると、国会の皆さんから、それに対するおしかりを受けるのは当然であります。従つて私はこの現在の法律に向つて厚生省全体が忠実に進んで参るようにいたすことが必要であると存じまして、その準備をいたしておる次第であります。
  79. 福田昌子

    福田(昌)委員 二十六年三月に全国の薬剤師大会でお述べになりましたその意思をこの際御修正になつたといたしましても、国会のすべての人に対して決して御迷惑は及ぼさないと思いますから、その点よくお考え願いたいと思います。  私の大臣に対する質問はこれで終ります。
  80. 小島徹三

    小島委員長 長谷川保君。
  81. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 まず大臣に伺いたいのでありますが、今日新医療費体系実施する、また同じく来年一月一日から医薬分業を実施するということになつたわけでございます。このときにあたりまして医療担当する医師の団体であります日本医師会とまつこうから対立をするということになつております。これはきわめて重大なる問題であり、またきわめて遺憾な問題だと思うのであります。この医師の団体である日本医師会とまつこうから対立した状況におきまして、この新医療費体系あるいは医薬分業ということはできるはずがないのであります。私はできるはずがないと思う。もししいてやるとすれば、大混乱の起きることは火を見るよりも明らかであります。従いまして今日までの間において、政府は当然日本医師会と十分なる協力態勢を立てるために努力すべきであつた。しかるに今日、この実施を目前にして、このようにまつ正面からの対立になつておる。これは実に重大なる政府の責任であると思う。単に厚生当局だけでなく、政府全体の重大な責任であると思う。もしかくのごとくにいたしまして、日本国民医療が齟齬を来すということになりますれば、その災いははかることができません。まず大臣はこれらについてどういうように責任を感じておられるか、伺いたいのであります。
  82. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 昭和二十六年にすでにこの法律が決定いたしまして、しかも政府昭和二十八年から実施するという考えが、国会の御意思によつて昭和三十年と相なつたと記憶いたしておりますが、それはただいまお話なつたようなわれわれの準備、あるいは準備態勢というものを十分にしたいという国会の意向でもあり、またそうすることが必要であるというので、さように相なつたと存じております。従いまして厚生省におきましても爾来、一方におきましてはいろいろ諸準備をいたすと同時に、直接医療担当者の集団であります日本医師会等とは、十分な連絡をとつてつて来たのであります。しかしものによりましてはあるいはその十分な連絡が不十分であつたという場合も、今日から考えると必ずしも了解が得られずに来たという場合も、先般来御説明申し上げたようにあつたと存じます。しかしすでに昭和三十年からこれが実施という一つの眼目が打立てられておりますから、その眼目に合うように、厚生省もあるいはこれらに直接御関係になつております関係機関も、ともどもにその目標に向つて進んで行かなければならないと存じます。そこにあるいは意見の対立等がありますと、理論的な問題を十分検討して行つて、そうして進んで行かなければ、いろいろな問題の実施は非常に困難であると思います。現在お示しのように日本医師会等におきましては、この問題について相当強い反対の意思表示もされておるということを聞いておりますが、しかしこれらの点につきまして根本的な問題等をよく御相談申し上げてできるだけ御協力をいただくように、私どもは今後も努力をいたしたいと存じておりますけれども医師会自体におきましてもこれらの点を十分御了承いただきたいと考えておる次第であります。
  83. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 医師会から私どもちようだいいたしました資料によりますと、最初からずいぶんひどいいきさつがあつたようであります。ことに医師会の諸君の言葉をかりて申しますれば、当時司令部の方からも相当な圧力があつた。この医薬分業に反対をいたしました日本、医師会の幹部諸君はパージを食つた。これ以上闘えばさらにはなはだしい圧力があるということを危惧いたして、やむなくある程度でのんだということであります。もともとの事の起りがそこにあるとすれば、これはきわめて重大であります。当時司令部の統治時代にあつたのでありますからやむを得ないといたしましても、今日におきましてはその根本問題を考えないでは断じていられません。われわれは国民的矜恃からいたしまして、もしそのような圧迫ということがあつて、かような事態に立ち至つたといたしますならば、私は医師会にも、薬剤師会にも味方をするものではありませんが、あくまで一国民といたしまして、一代議士といたしまして、事の本質的の問題を考えたいと思うのであります。今日の医師会のこの問題に対しまする非常な硬化というものが、もともとそこに発足しておるものであるといたしますれば、根本的に考え直さなければならない。これは国民といたしましても、どなたも御異論がないところだと思うのであります。根本からいたしまして、すでにそういうような間違つた発足をしておる。従いましてそこに出て来たこの問題でかくも硬化しておる。厚生当局はこれに対して当然今日まで大きな努力をいたしまして、この日本医師会との対立硬化に対しまして適当な道を講ずべきであつたと思います。どうも私どもに与えられております資料、あるいは伝え聞きますところによりますと、そういう努力がほとんど見えない。一体昭和二十七年の三月に調査をいたしましてから後、あるいは十月でありますか、その調査においてすでに正面衝突をいたしましてから後、どんな努力をなさつたのであるか。また今日どんな努力をなさつていらつしやるのであるか。この点を承りたいのであります。
  84. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実はお話のように、占領下におきましてこれらの問題についての強いサゼスチヨンがあつたことは御承知の通りであります。しかしこの問題はそれによつてつた問題とは私ども考えておりません。日本医療体系全体がそもそも明治の初めから出発をいたします当初において、その体系をとつてつてつたと存じます。これが根本の問題だと存じますが、従つてそれが爾来何十年かの歳月を経まして、常に、あるいは時によつて強弱の差はありましても、論じられ、なされて来て、だんだんとその後に及んでおるという、歴史を持つておる問題であると存じます。そういう意味でありまして、その後さようなことが占領下において一部ありましたが、しかしこの二十六年の三法の成立等は、それらの直接の問題よりも、根本的問題の解決としての三法の成立と相なつたことと私ども考えております。そういうのでございますから、これが実施にあたりましては、仰せの通りに、慎重によく関係者と相協力して当然行くべきものであります。これにつきましてはただいま申し上げた通りでありますが、その後あるいは調査にあたりまして、あるいは前国会におきまする医薬関係審議会設置法の御通過によります設置の行き方につきまして、私ども関係者とそれらの点をよく御相談して現在進んで来ておる次第であります。
  85. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 この医薬分業の法案が最初出されましたとき——今大臣は、司令部の強いサゼスチヨンがあつたということを申されましたが、医師会の側から申しますれば、さつき申しましたように、非常に圧迫があつたと申されておるのであります。当時の実情を私はつまびらかにいたしませんが、医師会が申しておりますような、司令部から非常に強い圧力があつて、そうして遂に日本医師会の幹部諸君がパージされたという事実を大臣はお認めになるか、その点を伺います。
  86. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 私もその間の事情は詳しくは存じませんが、いろいろその中にはいきさつ等もあつたと思います。問題は必ずしもこの問題だけでなく、これに派生した問題においての問題があつたように承知いたしております。しかし昭和二十六年の最後の国会で、修正当時の状態におきましては、もうすでにその状態はある意味においては相当解消しておる、最も強く支持しておつたような人たちは、もう日本を去つておるというような状態であつたと存じております。
  87. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 しかし司令部の方針といたしまして、やはりそういう方針をとられておつたのではないか。サムス准将はお帰りになつたといたしましても、司令部の方針といたしましては、一応打出しました方針はあくまで遂行する、そういう方針ではなかつたか、いかがでありますか。
  88. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは私はそれではなしに、むしろ最初申し上げた根本的な日本の医療に対する体系というものが、明治の初めごろから制度もそのつもりでつくり、あるいは学校もそのつもりでつくり、そうしてそれが常に例外的に一緒になつて来たというものが根本的なものではないかと思う。そのときにはつきりした、何とか違つた形において打立てておりましたならば、その後何十年の間、この問題はそう起らなんだ問題ではないか、根本の日本における医療制度を立てたときに、すでにその端を持つてつたのである、それを未解決のまま実施を遅らし遅らし、あるいは例外規定をもつてずつとやつて来たところに、この問題が今日まで論議された根本があるのじやないか、こう考えております。これは具体的な問題としてさように考えております。たまたまお話になりましたようなものが一つの契機になつたのでございます。けれどもそれは根本的の問題じやないのである。従つてどもが現在これを真剣に検討し、考えます場合には、決して強力なる一種の占領下の落し子としてこれを取扱うという考えは実は持たずに、どこまでも日本の医療の向上と、その進展のためにこれが役立つようにして参りたいというのが根本の考え方でございます。
  89. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 先日薬剤師会の副会長の方がおいでになつての、参考人としての発言の中に、薬剤師側といたしましては、これを実施することにおいて一〇%ぐらいしか収入の増はないと思う。しかし薬剤師の地位が認められたということについては、薬剤師側はこれは九〇%のものであると考える、こういうようにおつしやつておられます。私は伺つておりまして、いかにももつともしごくだと思いました。薬剤師諸君が、今まで日陰の者であつたとは言い切れませんが、そういう状態に近いような状態の場面も社会的にあつたのであります。それが表面に出て来るというので、非常な喜びを持つて満足しておるといつた考え方につきましては、深く同情できるのであります。いわば人格が認められた、職業が認められたという喜び、それからある意味では民主的な一つの喜び、深く同情できるのであります。それと同時に一方医薬分業の三法を拝見いたしまして、医師法の三十三条にありまする罰則問題を見ますと、今度は医師諸君に対してまつたく反対の御同情を申し上げることを見出すのであります。つまり、処方箋を出す出さぬということを、まるでばくちをしたり盗人をしたと同じような罰金でもつてきめておる、こんな三十三条にありますような不届きな、反民主的な考え方はないと思う。これは政府提案で出されたのでありましようが、こういうことを一体民主的だと考えることができようか。ことに医師諸君というのは日本のインテリであり、日本の社会の中上層にあられる諸君であります。なぜこういうようなばからしいことをなすつたのであるか。もちろんこれをしなければ今日まで慣行されております処方箋を出さないという行き方が是正できないというところからでありましようが、しかしそういうものを罰則でやつて行くというようなことは最も反民主的だと思う。こういうことが政府提案で出されたことは実に残念だと思います。また当時国会で、どういう関係であつたか存じませんが、これが通過したということは残念でたまりません。こういう処方箋を出すか出さぬかを罰金刑で押して行くということを、大臣は民主的な立法だとお考えになるかどうか。もしこれを民主的でないとお考えになるならばどういうようにこれを改善するか、お考えのほどを承りたいのであります。
  90. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは、私申し上げるのがちよつと間違つておるかもしれませんが、たしかほかの関係におきましてもこの罰則関係があつたのではないかと存じます。あるいは薬事法の一般的な方面あるいは医師法の一般的な方面にも、ある程度罰則を設けてあると存じます。お話のように、法律全般と思いますが、かような罰則なんかは法律自体においてもなるべく遠慮する方が民主的にはいいと思う。ただその法律の施行を十分ならしめるために、各法律においてやむを得ざる場合に罰則というものを設けておるのが通例でございますが、医療関係におきましては必ずしもほめたことじやない。しかし従来ともこういう形をとつて来ておつたのであります。
  91. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 死体を見ないで検案書を書いたとかあるいは診断書を書いたとか、あるいは処方箋通りに処方をしないとか、処方箋によらない調剤をしたとかいうことは、それは非常に国民生活に大きな影響を与える、あるいは国民の健康に対して非常な影響を与えるというようなことで罰則があるのはわかります。しかし処方箋を出す出さぬというようなことで罰金刑ということは、これは正しいとお思いになるかどうか、当時の事情においてはいざ知らず、今日においてこれが妥当であるとお思いになるかどうか、これを伺いたい。
  92. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは当時十分御審議をいただいてつくられました法律でございますから、今これが施行の前にあたりまして私がこれは正しくないと申し上げることは適当ではないと存じます。従つて現在のこの三法におきまする法律内容はこの通り実施さるべきものだと考えます。ただその場合に、それでいいのかということになりますと、将来これがずつと永続するものでなく、中にはあるいは修正したりあるいは訂正したりすべきことが当然起つて参ります。そういうことはあり得ると思います。
  93. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 大臣のお立場といたしましてはただいまのようなお答えしかできないであろうと思いますので、私はこの点はこれ以上申し上げないのでありますが、しかしもう一つもとへもどりまして、ただいまのように医師会が対立しておる今日において、この医薬分業ということは私はできないと思う。これをしいて圧力をもつてやるというようなことは不可能であると思う。またこれと不可分である新医療費体系をそのまま圧力でもつて行うということは不可能であると思いますが、大臣のお考えはいかがでありますか。
  94. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは医師会におきましても、私先ほど申し上げたような事実上の動きがありまするし、あるいはそういう意思表示もありますることは承知いたしておりまするが、問題は、日本の医療の向上のためにこれをどうして行くかという場合に、すでに一応は十分論議されて、そしてこれが実施をまさに数箇月後に控えておるというときでございますから、これはなるべくあらゆる点から検討いたしまして、急激なる変化を来さずに、しかも医療の実際上の向上になり、またそれぞれ国民にもその直接の関係者にも十分これが了解できる線をなるべく打立てたい。そしてそのトラブルを最少限度にしながらともどもに御了解をいただくという線でないと、実際上はなかなか困難であると思います。私どもはどこまでもその線を一つつて、そうして進んで参りたい、かように考えております。
  95. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私は先般地方へ参りまして友人の医師をたずねましたところが、そのうちに大勢医師諸君が集まつてつた。偶然そこに飛び込んだのでありますが、私何をしているのかと見ましたら、これを強行せられるということを覚悟して、自分たちは総辞職する、そのために慣行料金をつくつておる。大体そのときの慣行料金の一つずつを見てみますと、今日の点数の四倍ないし五倍のものをつくつておられる。それが医師会の幹部が集まつて真剣に討議してやつている、こういう重大な事態なのであります。今度は私は甘く見たらたいへんだと思います。先般も日本医師会の幹部の方の私見を聞いたのでありますが、これをどうしても強行して来るならば日本医師会はまつたく潰滅する。であるからあくまで今度は日本医師会の運命をかけてもこの問題には対抗すると言つている。私は事実事はそこまで行つていると思う。その場合に国民諸君に及ぼしまする影響というものは実に重大であります。こういう問題をこのまま進めて行くわけには政府としてもまた厚生省当局としても当然参らぬと思う。今いろいろ了解を得るように努力したいとおつしやつておりますが、今日その努力がなされているようには私どもにはどうも感じられない。厚生省も壁にぶち当つて手も足も出ないというのが今日の現状ではないか、こう私は思うのであります。そんなことではならない。私はどうしてもこの壁を突き破らなければならぬ。何とかしてここに日本医師会の諸君の了解を得る道を得て事を円満に解決するということに全力をあげなければいけないと思う。しかし今日の厚生省の状態を私は拝見しておつて、また大臣を見ておりまして、もはや手も足も出ないという状態にあるのではないかと思います。壁を突き破つて十分了解を得てこれをやつて行けるという自信が本心からおありになるかどうか。ないとすればこれは実に重大な問題であります。私も国会議員といたしまして、この国民の重大なる問題を前にいたしまして、この委員会でお茶を濁すというわけには参らない。実に重大きわまりない問題であると思う。一体大臣はその見通しとしてやれると思つておるのかどうか。今ここだけの答弁でなしに、国民の運命を深く思つて国民の受けまする障害というものをお互いに責任を持つて考えて、ほんとうにやつて行けるかどうか、一月一日までにその問題が十分解決するとお考えになつておるかどうか、見通しのほどを承りたい。
  96. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これはあらゆる点から検討して参らねばならないと存じております。ただ法律が三十年の一月一日から実施される。その間に約三年有余の期間を置いて、そうしていよいよ実施の数箇月前になつた。しかるに一方においては絶対にこれは反対だ、また一方においては賛成だという状態でこれがずつと参りますることを、私どもたいへん憂えております。決してよくない姿だと思う。従つてこれは何とか協力をしながらやり得る方法、最善の方法を——最善かできなければ次善の方法でもとつて、そして相協力する態勢をとつて行くことが最も望ましいことだと存じております。従いましてこれは具体的に進んで参らねばなりませんから、医薬関係審議会等におきましては具体的な問題を取上げ、また今回皆さんの御審議をいただいております。私どもの抱負におきましても、先ほど来申し上げましたように、実態を急激に変化させないでいろいろな点からこれを考えて行つて、それを総合した結果がだんだん御説明し上げたような状態になつておりまするので、従つてそういう点から考えて、しかもそれが国民全体にいい影響を来し医療の向上を来すためにというのを真に目標にいたしておりまするから、これはおのおのの立場においてできるならば忍ぶべき点はひとつお忍びいただき、最善の方法または次善の方法に向つて進んで行くようにいたさなければならない。お話のように何十年来の懸案の一つの解決でございますから、その間にいろいろ困難の点もあろうと存じまするが、この困難な点をできるだけ打開をして行つて、少しでも多くの方にその点を了解していただくようにして参らなければならないと存じておりますから、今後数箇月でございますが、私どもは努力をいたしたいと存じております。しかし関係者の方にもこの点はよく了解をお願い申し上げたいと存じております。
  97. 滝井義高

    ○滝井委員 関連。大臣は、あらゆる方法をもつて協力をしてもらうような方法をとつて行く、最善の方法、できなければ次善の方法をとる、こういうことでございました。大臣も多分御存じだろうと思いますが、この出て来ておる新医療費体系というものが赤字の上に立つているということは大臣は御存じでしようか。
  98. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 二十七年の集計いたしました数は、滝井さんのお話のように全体としては赤字が出ておるということは事実であります。
  99. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、赤字の上に立つておるこの新医療費体系をそのままに実施をすればどういう結果が出るかということなんだ。これは医療機関の荒廃と、そして医療従事員の医者、看護婦あるいは薬剤師諸君の過度の労働と、あるいはそうでなければ診療内容の低下が起ることは火を見るよりも明らかなんだ。そうしますと大臣は、現実に出て来たこの新医療費体系赤字の上に立つておるとするならば、最善の努力はこの赤字を解消する方向に修正をしなければならないが、最善の努力はその修正を含むかどうか。
  100. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 この医療費体系では今お話のような赤字の修正とかいうものは問題の直接の解決にはなつておりません。これはお示しの通りであります。しかしこの新医療費体系が目途といたしておりますのは、従来のあるいは投薬あるいは治療の中に技術と物とか混同されておりまするのを分類し、その分類する分類の仕方においても幾つかありましようが、今回とりましたのは、このような形においてひとつ分類をして、そうして今後それが一つの新しい医療費の行き方としての基準を出して行こう、こういうのであります。でありまするから、この新医療費を打立てようが打立てまいが、そうであろうとあるまいと、今御議論の点は、これを解決するにはおのずから別  の方法と申しましようか、当然いろいろ検討すべきものだと私ども考えて  おります。
  101. 滝井義高

    ○滝井委員 あなた、それは認識不足なんだ。昭和二十五年の八月七日のときに時の厚生大臣黒川さんは何と諮問  いたしましたか。いいですか、これはこの前医務局長にも読んでもらつた。非常に認識不足だ。諮問は「医療の向上と国民の経済的負担力とを勘案したる医師、歯科医師及び薬剤師の適正なる技術料及び薬価の基準につき会の意見を問う。」なんであります。あなたは現在の十一円五十銭の単価は妥当であるけれども適正であるかどうかはわからぬという答弁ですよ。そうすると、あなたの前任の大臣が答申を求めたものは、適正な技術料を求めておる。適正な技術料とは何かということなんです。それをはつきり今度の答申でうたつておる。適正な技術料とはどういうものかというと、「医師、歯科医師の専門技術者としての生活を十分考慮して定めなければならない。」こうなつておる。端的に言えば、これが適正な技術料なんです。そうすると今の経営というものは赤字の上に立ち、いわゆる手術もみんな赤字なんです。これは神−崎さんがこの前ここではつきり参考人として御意見を述べた。赤字の上に立つたものを今度はそのまま現実に持つて来る、それを解消するかどうかはまた別個の問題になるということになりますと、この医療費体系は、本来あなたの前任大臣諮問をし、そうして臨時医療報酬調査会が答申した精神とはまつたく離れておるじやありませんか。これはただ現状の分析だけであつて、適正であるかどうかというようなことはまつたく示していないということなんですか。それならばあなたの出したこの医療費体系というものは適正ではない、こう断定してさしつかえありませんか。
  102. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは最初から申し上げておりまするように、今度の新医療費体系は従来その中にごちやごちやしておりました医療行為というものを、技術あるいは物、その他というものをはつきりわけて、今後はそういう形でして行こう、従つて昭和二十七年なりあるいはその後の趨勢なりというものが、この基準によつて、ことに昭和三十年以降にはこれをもつてつて行こうというのであります。全体の医療費の経営状態等というものは、この分類のいかんにかかわらず検討して参らねばなりませんから、一方におきましては、先般来申し上げておりまするように、臨時医療報酬審議会というようなものにこの根本的な検討は願つておる次第であります。いずれその答申もあろうと存じております。従つて彼此相まつて行くとこれが完備するとは存じまするが、それじやなくとも一つの行き方としましての新しい医療費体系というものは、今回お示しいたしました新医療費体系として現われて来たのであります。
  103. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣、これはもう少し今までのこの厚生委員会の十日やつた経過を事務当局にもよくお聞きになつて出なければいかぬ。大臣は物と技術が完全に、正確に分離しておると言つたつて、物と技術が分離していないですよ。これは繰返すと長くなりますから、これだけで二時間もかかりますから言いませんが、物と技術が分離していない。これはこの前医務局長と私の問答あるいは柳田委員との問答を通じてごらんになつたら、分離していたい。処方箋というものは無料になつておる。処方箋というものは物である。枚の紙でも物である。ところが診察料の中に入つてしまつておる。耳鼻科のいわゆる二点以下の処置というものは物なんです。みんな診察料の中に一緒になつておる。物と技術がひとつも分離していない。正確に分離しているとおつしやるけれども、分離していない。これはあなた方の方はおそらく——きのうもちよつと医務局長は失言しました。処方箋を書くことも診察の中に入れてしまつた。ところが医師法にはそんなことは書いてない。こういうことはみんなはつきり矛盾だらけです。やはりこの審議の経過をもつとよく見ていただいておかなければならぬと私は思う。たまたまちよちよこと出て来られて、その場その場のいわゆる切れ切れの答弁をされたのでは、一貫をした議論が進んでいるときに、大臣答弁と前の局長あたりのした答弁とが違うことでは困るのです。これはあるいは薬剤師諸君の技術料つて、開局薬剤師の技術料とサラリーマン諸君の薬剤師の技術料とは違う。〇・五九三点というようなものは、医務局長は筋が通らぬものだと言つていらつしやる。まつたくあらゆるところで筋が通らぬということを、全部ではないが再々にわたつて認めて来ていらつしやるわけです。しかもそれが赤字の上に立つておる。そうすると、そういうこととは別個に今大臣のあれがちよつと違つたのですが、臨時医療保険審議会でやつておる、こうおつしやいますけれども、これは久下さんの答弁とは違う。久下局長は現在の初診料の六・二〇三点というものは、その端数を何とかまるくしてそのまま実施しますということを答弁しておる。あなたはこれはまた別個に論議をします、こうなると、これは修正することを意味する。久下さんは、修正したら保険経済に重大な影響を及ぼすからたいへんだ。現在初診料は四点である、この四点が六点にふえることでさえもたいへんでございますから、この二点は別個の何らかの負担にしてもらわなければ、健康保険の被保険者負担ではたいへんでございますと言つておる。そうするとあなたは、これは別個にまた考えてやるのだ、こうおつしやる。これは二十七年の現状を分析した結果こうなつた、物と技術を分離する。こういうことでございます。これが適正かどうか、また別個に臨時医療保険審議会等に諮ります、こうおつしやる。久下さんは、そのままやると言う、どつちがほんとうですか。久下さんの言うた六点は、これは検討して、それが間違つておるということになれば、これは修正をするということなんですか。その点もう少しはつきり答弁をしていただきたい。
  104. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは私この委員会に出ませんときでも、皆さんの御質問なり、それに対するお答えを申し上げたことは省に帰りまして一々よく報告を受けておりますから、従つて一貫しないことはないと存じております。ことに技術と物とをわけるという意味におきましては、これはそろばんで二、三が六というようなわけようではありませんが、基本的にはそういう考え方でいたしておるということを申し上げたのであります。お示しのように、あるいは四点以下あるいはいろいろの処置という場合においては、必ずしも截然と出ておらないことも従来御答弁申し上げた通りであります。なお保険の場合に、これを私は俗に翻訳すると申しておりまするが、この方程式を基本新医療費体系保険にかえます場合には、従来保険局長お答え申し上げておる通りであります。私は全体の医療費というものが赤字になつておる場合に、これをどうするかという場合に、多分それに対しては、あるいは単価の問題等が影響の根本になつて来るだろう、そういう意味でさつきはお答え申し上げたのであります。従つてこの点はどうぞ御了承願います。
  105. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると点数はその通りやる。もちろん医者の報酬あるいは患者の負担というものは、点数単価をかけたものです。だからこれはどつちかがかわれば、そこに出て来る積が変化することは当然である。そうすると今の大臣の発言では、現在の単価というものは妥当ではあるが、適正かどうかわからぬので、これを検討して、これが不適正であるということであれば、あるいは妥当でないということになれば、これは来年の一月一日から修正することにやぶさかでない、こう了解してさしつかえありませんか。
  106. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは最初から申し上げておりますように、この点数とは別に一点単価の問題、一点単価予算に影響して参ることが多分にあります。小さい点でありますと、あるいはさようなことは少いかも存じませんが、原則的には予算に影響する。従つて御協賛をいただいておる本年度予算の執行にあたりましては、ただちに何月からということは、年度内では、その影響の来ます場合には、その予算の処置をしない限りは困難ではないか、これは私が申し上げるまでもなく、御了承いただけることと思います。従つて一月一日ということが困難な場合がもちろん生じて参る。ただ全体として考えましたときに、今申し上げましたように、また先般も私どもから申し上げましたように、単価の問題については適正か適正でないかというのをひとつ検討をして、その答申が審議会の方から出ます場合には十分検討して参りましようということを申し上げておるのであります。そこでこの新医療費体系における点数で表わしております場合においては、これをなるべく忠実に、しかもその実際の支払い等に保険行政においてなし得る点にこれを翻訳して来なければならぬと思います。そういう場合にはこれを忠実に翻訳して、そして支払いの実際に合うような行き方にかえて行く、こういうことになつて来ると従来からお答え申し上げておる通りでございます。
  107. 滝井義高

    ○滝井委員 これで質問をやめます。それで十四日には内閣を代表して緒方副総理の本委員会への出席を要求しておきます。
  108. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 どうかこのことによつて国民の生活に大影響を及ぼしますような重大な破局に至りませんように、もう日もないことでございますから、厚生当局や政府全体といたしましてあらゆる御努力を願いたい。今日壁に頭をぶつけたようなかつこうに見えますけれども、誠実に国民全体の生活を考え医師諸君、薬剤師諸君のお立場考えて行けば、今日まで私ども資料をいただいて審議いたしました点から見ましても、まだまだおのずから道はあると私は考えるのでありますが、ここで厚生当局の御努力を信頼いたしまして、この点はこれ以上申し上げませんが、日がありませんから、どうか全力を尽して国民生活の上に大きな破綻が来ませんように御努力を願いたいのであります。  次に、やはり根本問題でありますが、今回の新医療費体系をつくるにあたりまして、国民医療費を増加させないというわくの中にこれをつくられておる、そのことが資料はつまりいたしておりますが、そういう考え方自体が私は根本的に検討されなければならぬ、ここに十分にこれが問われなければならないと思うのであります。すでに厚生省が私どもに御提出になりました資料を見ましても、新医療費体系のところで「国民医療費は著しい増加の傾向を辿つていると思われる。これは医学の発達その他各般の社会経済状勢の好転の結果とも言えるであろう。」こういう言葉が書いてある。医学の発達のために国民の総医療費が増加して来ておる。これはわれわれは何も悲しむべきことではない、むしろ祝福すべきことです。医学が発達して来て、そのためにともかくも国民医療費が増高した、そのうしろにはわが国の死亡率が著しく減退したという事実がある。年々十万あるいは十四、五万というような日本の人の命を救うことができておるとするならば、国民医療費が増高してもそんなことは何でもありません。そんなことは何も気にする必要はない。まだまだ増高してよろしい。国民の死亡率が減つて行く、死なない国民がたんさんふえて行くというなら、そんなことは何も気にすることはない。むしろどんどん医療費増高してもよい。それだけの腹をもつて、無比の尊い国民の生命を守つて行くという態度が政治の根本でなければならぬと私は思う。それを何をおそれて国民医療費が増高するということだけをとどめようとするのか。まつたく角をためて牛を殺すと申しますか、あるいはわずかな金を惜しんで、まるでつめで拾つてみでこぼすと申しますか、尊い国民の生命を失つて行くということになりますれば、これは問題にならない。こういう考え方自体が根本的に問われなければならぬ、検討されなければならぬ。国民医療費は増高したつていいのです。それによつて十四、五万、二十万、何十万という国民の生命が救われて行くならば、二千億や三千億が何が惜しいか。国民の生命を守り、国土を守ろうとして自衛隊のために二千億も三千億もの金を使つているじやないか。現実国民の生命がこれで救われて行き、死亡率が減つて行くというなら、何を惜しんでこの総医療費をこのわくにあてはめなければならぬか。国民の生命の尊貴ということを一番根本の考え方にする民主主義の政治といたしまして、その考え方自体が私は根本的に間違いだと思う。だから、そういう考え方自体をここに検討しなければならぬ。それだから、もし個々の私経済においてこの医療費負担ができないということであれば、よろしく国庫負担の線を出したらいい、こういうように私は思うのであります。この新医療費体系をつくりました根本のわく国民医療費の増加を来さないというわく、これについて私はこう考えるが、厚生大臣はどう考えますか。
  109. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 この点はごもつともであります。私どももさように考えております。決して矛盾はしていないと思います。この資料の一番最初にもお示しいたしましたように、二十六年は千百七十二億一千八百万円であつたものが、二十七年は千五百四十九億、二十八年は二千九十二億と年々増高いたしており、その増高率は最近は三〇%以上を越しておる。二十九年度にはおそらく二千数百億になつてくると思います。あるいは三十年におきましても、現在を中心に考えますと幾分か強弱はありましようけれども、同様な趨勢をたどつて来ると思います。これは医学の進歩もございましよう。あるいは新しい病気の発見もございましよう。また治療の完備ということもございましよう。それは当然であり、また決してこれはお話のように悲しむべきことじやない。そのために日本人の健康が十分になり、寿命が延びて来るという状態はむしろ尊ぶべき状態である。それでそれを二十七年の千五百四十九億九千六百万円に押えるという意思は毛頭ございません。二十八年は二千億、二十九年は二千五百億、三十年は二千八百億になつても、それを二十七年のように押えて行こうという考えでは毛頭ございません。ただ一つの同じような病気の場合には、それによつてただちに負担を増すという行き方はとらぬようにしよう、こういうのであります。でありますから、この点は御意見通りであります。
  110. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 個々の病気それ自体について費用を増さないように努力しようというようなことであるように今伺つたのでありますが、これは医学の進歩によつて非常に高いものを個々の病気に使いましても、早くよくなり、死ぬ者が少くなるということになりますれば、そこにいろいろ複雑な考え方が起ると思うのであります。それはともかくといたしまして、それではもし今後国民医療費が増加して行くという場合に、国民の私経済がこれを補い得ない、これは今後の趨勢においては当然そうだと思う。また事実これからだんだん医学が進歩して参りまして、非常にいい薬ができ、いい手術その他の療法ができて来るという場合に、医療費はどうしても増加して行く、しかし増加して行つても、先ほど申しましたように、これによつてたくさんの人が死ぬことから救われて行き、病気がすみやかにいやされて、職場に復帰して行くということになればそれでいい、こう思いますけれども、しかし私経済がこの医療費の増高に耐え得るかどうかということはきわめて重大な問題であり、おそらく私は概念といたしましては耐え得ない、そこに世界の国々が公費負担あるいは医療公営というようなことまでも行われて参りました理由があると思うのであります。これは科学的に、経済学的に考えましてもそういうことは言えると思う。そこで、今後そういう事態が急速に起つて行くことは、国民医療費のこの三年間の上りぐあいを御提出になりました資料によつて見ましてもはつきりわかるのであります。その私経済が耐え得ないという点につきまして、国庫負担をして行くということを当然急速に進めて行くべきだと思いますが、厚生大臣のお考えはいかがでございますか。
  111. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これも当然のことだと存じております。従いまして年々国費の負担は増して来つつありまするし、また今後も増すことを私どもも予想いたしております。むしろある程度これは国民の総所得と関連して来ると思います。国力の増加につれて国民の総所得というものは年々増して行く。ある限度に参りますと、大体横ばいになつて来ると思いますが、その状態までにはやはりお示しの通り医療費という立場においては増して来るのではないか。その後においては国民負担というものが相当困難になる。その間においても困難の度が相当ありますので、従つてども国費負担というのは年々増して来るべきものだと思う。またその負担は国費で相当負担すべきものと存じまして予算等はさように処置しております。今後におきましてもその点は当然努力して参らねばならないと考えております。
  112. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今後増加の形勢にあるということをお認めになつたということはわかりますが、しかし今この趨勢の問題とともに、今直面いたしておりまする日本医師会との対立ということを解決する一つの方法といたしましては、私は単価問題があると思う。それで単価の問題を急速に解決するということが、一つのやはり方法であろうと思うのでありますが、確かに先ほど滝井委員質問に対してもお答えになりましたように、予算を伴う問題でありますから、重大ではあります。しかし直面いたしました問題の解決の方法として、単価値上げということをお考えになつているか。これも責任上あまりこまかいことはお答えになれないかと思いますが……。
  113. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実はこの点も先般来御質問お答えを申し上げておつたのでありますが、これは単価の問題の検討は慎重にいたさなければならないと存じまして、その態度をとつているのであります。一方お示しのようにいろいろな点から検討して来なければなりませんし、またそれがただちに国民負担に影響する場合もあります。あるいはその他の保険関係者にも影響して参る、あらゆる点からこれを検討して参らねばなりませんし、その後の保険の趨勢等にも全体として見なければなりません、そういう意味におきまして、実はこの保険単価を中心に検討しております審議会等で、われわれの資料をもつて十分な御検討をいただいて、その答申を待つというのが最も公平な、そしてまた慎重な態度であると存じまして、現在ではその答申を待つという状況でございます。答申が出ますと、十分これを検討して参りたいと思います。
  114. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 時間がありませんから、根本問題としてもう一つ大臣に伺いたい問題があるのであります。それは今度のこの新医療費体系というものを見ますと、技術と物の対価というものをわけた、こういうようなお話でございますが、確かにそういう面もある程度あります。ある程度ありますが、しかし同僚議員諸君からすでにたびたびその点はつかれましたように、むしろ率直に申しますれば、今までの医療費というものを薬剤師の収入と医師の収入とにただわけただけのものである、といつてほとんどさしつかえないようなものである。実質は私はそうだと思うのであります。この医療費体系を見ましても、この中に占めまする薬品の価格というものは相当大きなものであることは御承知の通りでありますが、医師やあるいは病院の職員諸君の人件費につきましてはストップ・ウオッチによつて正確な測定をなさつたということであります。しかしどうもちようだいいたしました資料の中には、薬品の生産原価、販売価格というものにつきましては何らそういうような同様な原価計算というものがなされているようには、どこにも一つも見えないのでありますが、この薬価の生産原価あるいは販売価格等につきまして十分な測定をなさつたんでしようか、どうですか。
  115. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 新医療費体系作成にあたりましては、主として医療費の原価を調査するということから医務局が主体になりまして、病院、診療所等におきますもろもろの原価を測定いたしたのであります。今お話医薬品製造業におきますところのそういう面の調査はいたしておりません。
  116. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 これは実に重大な問題だと私は思うのであります。この日本の医療体系の革命とも申すべきものを行うときに、その医療費の中の非常に多くの部分を占めますところの薬の原価を何ら考えないで、そして一方薬剤師諸君の技術の時間、あるいは単なる薬方費その他の材料費あるいは医師の働いております時間、それもきよういただいております資料は、こんなひどい資料はないと思うのです。初診を八分でやつてしまう、注射は二分でやる、こんなひどい計算を基礎にしたなんということは驚くべきことだと私は思うのであります。もつてのほかだと思うのであります。いずれにいたしましてもこういう厳格な測定をしておきながら、一方薬の生産原価あるいは今日の製薬会社の生産自体がどんなに合理化されているかどうかというような問題、こういう問題を何ら考えない。私のいただきました資料によりますと、この資本金に対します利子の支払いも大きなものであります。金利の支払いは実に大きなものであります。こういうような問題を何ら考えないで、これを合理化しないで放つておいて、病院診療所の従業員の問題だけを検査した。こんなべらぼうな話はない。このひとことを聞いて、この新医療費体系は落第だと私は思う。どうしてもそんなべらぼうな話はありません。私は薬剤師諸君の立場を立てるということは賛成であります。しかしながらその元になります薬代を全然考えておらない。今まであるままだ。しかし今まであるままという薬代の実情はどうでしよう。今一言つたように金利がうんとかかつている。どれだけ生産が合理化されているか。あるいはまた広告料のごときは、私の持つている資料によりますと、厚生省からいただいた資料では残念ながら広告料が幾らかわかりませんが、広告料のごときも相当大きな広告をやつている。今日新聞の広告の一体何。パーセントが薬の広告料でありますか。またテレビ、ラジオ等におきますあの広告料は一体どうでありますか。そういうような大きな問題。また今日病院、診療所に持つて参りますあのサンプルの価格というものはどんなに大きなものであるか。私は思うのでありますが、たくさんの外交員を使つて実に不当なる販売技術、資本主義社会の欠陥をそのまま露呈いたしますような非常な広告料あるいは販売費、これの増高を来しております。これは合理化すればおそらく二割や三割ではあるまい。もつと大きなものが出るであろう。それに何ら手をつけないで、病院の従業員の問題だけをかくもきびしく取上げる。——初診八分というのはどこでやつておるのか、あるいは厚生省直営の国立病院等でこういう疎漏なる初診をやつていらつしやるのかどうか存じませんが、少くとも私の知つておる責任ある病院ではこんなことではとうていできない。こういうひどいことをしておきながら、片一方においてそういう片手落ちをしておるということは驚くべきです。原価計算を何によつてやられるのか、こういう方針をなぜとられるか、責任ある大臣答弁要求いたします。
  117. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御質問の心持はよく私どもわかります。これは単なる製薬ではなしに衛生材料の問題も衛生機械器具の問題もあります。従つて医療関係のもろくの材料というものを一つには考えて行くべきである。また場合によると国家はこれらの高い薬品等に対する生産費の低減を来すために相当力を注いで行かなければ一ならないという問題もあわせ含まれておる。しかし御承知のように最近のこれらの問題につきましては、いわゆる自由競争と申しますか、自由販売であつて、なかなかむずかしい問題が含まれておる。しかしそれなら従来とも放任しておるかというと決してそうではなしに、薬品によりましては政府は大いにこれに援助をして、外国からでないと入らないものを国内でつくるようにいたして参つたり、またこれが販売についても、輸出等に振り向けるということをいたして単価を下げることを努力して参つたりいたしておりますが、御質問の点のような心持は私どもも持つております。また将来これをどうして行つたらいいかということには大きな問題があろうと思います。従つてこれとは切り離しても、それらの問題については、今後直接の医料関係の向上という点から考えましても努力をして参らなければならないと存じておりますが、それをただちに原価計算してここで表わすということは、必ずしも、この新医療費体系が要請しておる点ではないと存じます。これがそういうふうになりますとけつこうでありますが、なかなか峯上は困難でありますから、最初から申し上げたような形でやつてつたのであります。今後これらの問題につきましては、私ども心持はさような心持を十分持つておるということを申し上げます。
  118. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 薬品のあるがままの現在の値段によつてこれを出されたということでありましようが、しかしこれは非常に大きな問題を含んでおります。というのは病院や診療所はB価で入ると先ほど課長さんが言つておりますが、事実は非常に差がある。つまり地方によつてうんと違う。僻陬の地に行くに従いまして非常に高い薬代になります。また支払いのいい家と悪い家では非常に値段が違う。買入れの方法によりまして非常に違つて来る。どういう現状でこれをやつてつたか知りませんが、厚生省直轄の病院でも、実質はずいぶん違つておるであろうと思います。そういうものの現状基礎に置いてこの計算をされたということは非常に困つたことです。ことに生産原価にいたしましても、たとえばストレプトマイシンあるいはペニシリンのごとき非常に生産過剰である。言いかえますれば二重投資という形が非常に大きく出て来ておる。そういうところから、その金利を国民がみんなひつかぶつたのではたまつたものではありません。また税金から投融資などに持つてつたのでは——幾ら持つて行かれるか知りませんが、たまつたものではありません。こういう問題の合理化こそついて行くべきであつて、そこをついて行けば、今の単価の値上げ問題だつてある程度出て来ると私は思う。だからこういう考え方自体に、今回の基礎的な考え方自体にすでに大きな問題があると思う。今後そういう問題をおやりになるということでありますけれども、そういう片手落ちの医療費体系を出されたということは私は非常に残念だと思うのであります。一体広告料を厚生省ではどれくらいとおつかみになるか、あるいは販売費を整理できるのはどれくらいあるとお考えになるか、これは今伺うのは無理かもしれませんが、こういう薬の生産原価あるいは販売価格というものを相当合理化できるとお考えになつておるかどうか。額などはおそらく申されないでありましようけれども、大体推測ができれば額を伺いたいし、できなければできないでけつこうでありますが、どれくらい、どの程度に合理化できる余地があるとお考えになるか、この点を伺いたい。
  119. 尾崎重毅

    ○尾崎説明員 実は薬務局長病気のために今まで私がかわりに御答弁申し上げましたが、所管の企業課長も出ておりますので、詳細はそちらに御答弁いただきたいと思います。現在広告費は薬務局長からもこの委員会でございますか、あるいはこの前の医薬関係審議会設置法の審議のときでございますか、御答弁申し上げたと思うのでありますが、大体総販売金額の五%から八%くらいになつておるはずでございます。第二の合理化の点でございますが、これは便宜企業課長から御答弁していただきたいと思います。
  120. 川嶋三郎

    ○川嶋説明員 お尋ねの点でございますが、広告費につきましては、一般的に見まして、医薬品について、特に広告料をたくさん使つておるという感じがいたします。私どももそういうことを常々実は考えておつたわけであります。特に広告費を使いますのは、新しい医薬品を医師あるいは一般国民に早く周知徹底したいということで広告を出す、あるいは季節的に必要な、たとえば夏のビタミンというようなもの、こういうものに特に重点を置いて行くというようなことで、広告が多くなるわけでありますが、実際広告費をたくさん使いますのは大メーカーであります。私どもも大メーカーの広告担当者につきまして、実はしばしば警告を出しておりますが、会社としましては経験的にある金額というものを広告のために使う、それは結局広告することによつて非常に売れる。従つて価格も下げて行けるというので、国民保健の上の利益もある、こういうようなことになるのでありますが、今までとりました処置におきましては、特にひどい広告、すなわち極端な懸賞づきの広告等につきまして、薬務局として自粛も要望いたしまして、これは九月以降全然やらぬことになつております。けれども一般的な広告につきましては、ただいま申しましたように、やはり一つの企業的な利益と、国民保健への利益もあわせて考えられますので、これをどこまで切り詰め得るかということは、容易に結論の出せない問題であると思います。  それからその他一般の経費につきましてはただいま一方におしては自由企業であり、現状がすでに非常な生産過剰でありますので、各社とも非常な経費の切り詰めをやつております。従つてどもの見るところでは、なかなか現状以上の一般経費の節約は無理じやなかろうか。しからば企業の利潤はどうかと申しますと、他の産業と比べまして決して現状では多くの利益を得ておりません。その点はたしかお手元に上げた資料にも載つておるかと思いますが、むしろ相当悪い現状でございます。私どもむしろ企業が新しい薬に力を入れて、どんどんと進歩して行くことを望んでおるのでありますが、そうした利潤が上げられないために、外国に比べて遅れるのではないかということを実は懸念しておる次第でございます。  もう一言申し上げたいことは、医薬品企業は、ほかの企業と違いまして、非常にヴアライエテイーに富んでおります。ことに新しい医薬品が特によく使われて売れるというのは、非常に短かいので、普通三年と申しておりますが、新しい医薬品で三年でございます。従つて企業体は絶えず新しいものを追つかけて行くというような現状でございます。先ほどストマイ、ペニシリンのことにつきましての御指摘がございましたが、ストマイにつきましては、閣議決定方針に基いて技術提携、それから金融のごあつせん等をやりまして、非常に当初は足らなかつた薬、輸入をしておつたストマイにつきましても完全な国産をいたしまして、現在は国際価格に完全にさや寄せをしております。なお相当の額を輸出しておる現状でございます。  なおペニシリンにつききましても、一時たくさんの企業が濫立いたしましたが、その後たいへんな整理が来ました。それは実は技術の向上ということに原因があるのでございます。それまで非常に小さな規模でやつておりました。コルベン作業でやつておりましたのを、大きなタンク培養になつたということで、大きな資本を持ち得る大企業が残つてつておるという形になつております。現状におきましてはペニシリンも私どもの見るところでは、非常に企業としては合理化されておりまして、価格も国際価格にさや寄せされ、相当な額の輸出をしておる現状でございます。
  121. 滝井義高

    ○滝井委員 関連して……。今総販売金額の五%ないし八%の広告料が出ておるということでございますが、私が見たところでは、六・九%ぐらいになつております。大体合つておるようでございますが、そうすると、これは昭和二十七年ですか、それとも現在昭和二十九年なんですか。その後相当ラジオ、テレビ等において製薬会社は重要なスポンサーになつております。従つてこれはあるいはふえておるのではないか思う。私の方でいろいろと手わけをして調査してもらつたのですが、新聞広告の種類別の比を見てみますと、これは一九五四年、ことしの四月の調査ですが、それによりますと、大体新聞の広告面で一〇%以上を占めるものを見てみますと、まず第一が医薬品、それから化粧品、それから図書、食料、嗜好品、機械機具、映画、演劇、これだけが大体一〇%以上なんです。薬事といいますと、医薬品と化粧品が入ります。これが大体二八・五%を占めて一番多い。それから今度は記事の広さの面について、全国の新聞四十八紙について調べてみましたところが、大体において広告面でその一四・一%を占め、記事面で六・一%を占めておる、こういう状態です。そうしますと、当然これは最近における今言つた売行き不振、生産過剰の状態は、各社にヒステリックな広告戦術をとらしておることは火を見るよりも明らかであります。大体薬の広告と販売とのカーブを精密に分析してみますと、こういうカーブになつております。まず初めに製品ができますと、非常な広告費をつぎ込みます。そうすると、ぐつと広告費のカーブが上つて参ります。そうすると、当然薬の販売のカーブがこのカーブにつれて徐々に富士山のすそ野のような状態からだんだん上つて参ります。そうすると、一定のところで、ぐつと広告費を最大限に使うと、売行きのカーブも最高に上つて参ります。そうすると、売行きが最高に上つたときには、広告費を徐々に減らして参ります。そうすると、売行きは急角度に減少はいたしません。やはり今度は富士のすそ野のようにプラットが徐徐に水平面に下つて来て、薬の売行きが減つて来ます。そうすると、減つて来たから、もう一回今度はラジオなりテレビなり新聞を使つて、広告費をつぎ込むと、今度は下らないで、品物の売行きが徐々に上つて来る。こういう方法で今申しましたように季節的な状態、あるいは薬品の売行きの状態等を見て、適当に広告費をつぎ込んで行く、こういう状態が現在製薬業においては行われておることが、大体分析の結果わかつて来ました。そうすると今五%なしい八%というのは、これは二十七年なんですか、現実の二十九年の状態というものはどういうことなんですか。さいぜんから申しますように、今まで国民医療費総額、すなわち負担の能力というものは国民所得の三%だというのがあなた方の原則だつたのです。十九国会における私のすべての質問を通じて大臣並びに医務局長答弁は、国民の総医療費すなわち負担の限界というものは国民所得の三%である。これがあなた方の今までやつて来た答弁なんだ。ところがこの国民所得の三%というものがくずれ去つておる。実は私たちは国民所得の三%がはたしてあなた方の言うように正しいものであるかどうかということの検討をやらなければならぬ。なぜならば国民負担能力の限界を規定するからなんだ。ところがこの三%というものは、どう考えても下からだんだん積み上げて行けば行くほどあなた方の言つた国民所得の三%の限界をはるかに越えて来るのです。へまをしておると、あなた方の言う三%の倍額の五%、六%というものが国民負担の能力だということが出て来る。そうしますと、あなた方がしつかり締め上げておつた一千五百億のその土俵というものは、へまをすると三千億の土俵になつてしまう。そうするとその三千億のわく内で現在の医師技術料、薬剤師の技術料をどうするかという問題になつて来ると、問題の解決はやさしい。あなた方のいわゆる国民の総医療費というものは、どうもこの統計から見ると患者から医者に支払われたものばかりを中心にして考えて行つておる、こういうことになつてしまう。そうしますと、医療費体系というものの総医療費国民所得の三%であるなんという観念をまず先にコンクリートしておつて、そうして今度はそこから出て来た数を基本にして医療費体系をつくつたというその根本的なものの考え方がくずれて来ることになるのです。このあたりのところが一番下から論議を進めて行く場合に大事なところなんだ。ところがこれはこまかく積み上げれば総医療費体系というものぐらつくとともに、そのわくが今度ははつきりしないのです。あなた方は千五百億のわくなんだ。私たちはどうも千五百億のわくというものはとてつもなく広げられるという考え方なんだ。そうすると国民負担の限界というものをもつとはつきり分析してみなければならぬ、こういうことになる。そこで私たちは広告費とか、今言つた製薬の原価ということになるわけです。そうしますと当然これは今度は製薬業における利潤は少いでしよう。少いならば製薬業に順当に再生産のできる姿をつくつてやらなければならぬことになる。だから製薬業においても製薬技術者にどんなに働きかけるか、それをストツプ・ウオッチでやつてみなければならぬ。そうしてストップ・ウオッチでやつて、製薬技術者の俸給は二万五千円が適正妥当なものであるというならば、それを基本にして、Gというその製薬技術者の技術料プラスの製薬に使うところのものと、それから今度は人件費のNというものが加わつて来る。そうすると日本の製薬業に必要な経費というものはびしやつと出て来る。これに利潤をやるかどうかということは、これは一応別の問題だ。そこで働いておる人が全部食えて行けば、これは医者の方の診療所なんかは雨が届つても当分十一円五十浅でやむを得ぬと、こうおつしやるのですから、製薬業もこの耐乏生活のときには忍んでいただかねばならぬことになる。やはり議論というものは一貫をした筋の通つたものでして行かぬと、一部の弱いものだけを押えつけて、そうして他はそのままほつておくことはできないということになる。議論がそれましたが、広告料の五ないし八%というものはいつなのか、そしてその後の二十九年のテレビあるいはラジオ等が非常に広告に利用される現段階においては、それがどういう状態になつて来ておるのか、この点をもつとはつきりしておいてもらいたい。
  122. 川嶋三郎

    ○川嶋説明員 ただいま御議論になつている数字は二十七年度でございます。それから宣伝広告費の中でどんなぐあいのパーセンテージでいろいろなものに使われているかという点でございますが、全部を一〇〇といたしますと、一般向けが八二%で、専門向け、専門の雑誌に掲げておりますのが一八%でありますが一般向けの中でラジオ、テレビが一九%、新聞が四四%、雑誌が五%、説明書が二%、設備広告が六%、その他が六%、こういうような。パーセンテージになつております。
  123. 柳田秀一

    ○柳田委員 そこでこの問題に関連して大臣に伺いますが、たとえばよく新聞医薬品の広告に、本品は医師の指示によつて云々と書いてあるのです。お医者さんの指示がなかつたら使えない、そういうものを一般新聞に広告しておるのです。こういうことは世界中どこを歩いても日本だけなんです。医師の指示によつて使えるというものは、たとえば医学界の雑誌、そういうところに広告をしたらいいのであつて一般新聞に何も広告する必要はない。アメリカの「ライフ」をお読みになつても、そういうものは全然出ておらぬでしよう。そういうふうに医師が使うものを一般新聞やらラジオやらテレビに広告する必要はさらさらない。こんなことをやつている国はどこにもない。だからあなたが、今ここでそういうような医師の指示によつて使う薬品は、医学界とか医師の団体とか、そういう特別の範囲の雑誌、新聞等にする広告はよろしいが、一般新聞やそういうものに広告することはできない、そういうような禁止条項を持つたところの何らかの法的あるいは行政的の措置をおとりになる、今ただちにとは言いませんが、おとりになる意思があるのかどうか、それを関連して聞いておきます。
  124. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 ごもつともな点がありますからよく研究してみます。
  125. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 たいへんおそくなりましたから、私一言だけ伺つてきようの質問は打切り、次の機会にまた質問したいと思います。  私がこの問題をやかましく申し上げましたのは、もちろん無責任なうわさだと存じますけれども、この医薬分業が行われるときに大きな製薬業者から賄賂が使われたということが巷間うわさされておるのであります。それから、なお今日におきましては、やはり製薬会社からそれぞれの方面に相当大きな、あらゆる形での金が出ておる、こういううわさがあるのであります。しかるにこの問題に何ら手をつけてないという、資料を拝見したところではどうも手がつけてないのであります。だから薬剤師及び医師会の対立というようなことよりも、根本にはもつと影武者があるのじやないか、そこからへんな金が出ているという一うわさもあるのであります。こういう問題はもつと明瞭にしておく必要がある。しかるにこの薬品の価格あるいは生産原価という問題が、何ら触れられておらないということは実に困つたことです。私は、これは根本的にやり直す必要がある、こう考えるのであります。それでこの点ひとつ大臣に十分お考え直しをしてもらわねばならぬ。もしこの問題に触れる必要はないと思われるならば、私どもは断固として反対をいたします。こういう問題は当然触れるべきだというならば、その処置をすべきである。これは理の当然であります。世間は薬剤師の諸君と医師の諸君とのけんかのように考えておりますけれども、とんでもない話だ。そうじやないという問題がここに考えられて来るわけでありまして、私は薬剤師諸君も医師会の諸君もまた国民全体もともに合理的に、正しく民主主義社会の中に喜んで生活できるという方針をとるにあたつて、こういうような暗い問題がうわさされておるということは残念だと思いますから、どうかこの点大臣におかれましては根本的にお考えを願いたい、こう思うのであります。  ついでながら一言、今の企業課長のお答の中にございませんでしたので、ちよつと伺つておきたいのですが、特許料は一体どのくらい外国に払いますか。それで私は終ります。
  126. 川嶋三郎

    ○川嶋説明員 特許料は技術提携の品目によつてそれぞれ違つております。ちよつと正確な数字はわかりませんが、二十七年度は一億八千八百万円くらいだつたと思います。
  127. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ありがとうございました。私はこれで終ります。
  128. 福田昌子

    福田(昌)委員 関連して。製薬事業の問題は今に始つたことではないのでありまして、二十六年六月にこの親法案が決定いたします前後におきましても、製薬業を自由企業、利潤追求の今の企業のままにまかしておいていいかどうかということを十分検討されて、その後臨時診療報酬調査会あるいはまた臨時医薬制度調査会ができました。その席上におきましても、この問題というものは、社会保険の問題を検討されるごとに、やはり製薬事業に対する合理化というような問題が非常に問題になつてつたわけであります。従つて医療費体系を出して参る段階におきましては、当然今の医薬品の生産事業に対しても、新らしい検討がなされなければならなかつたはずでありますが、それにもかかわらず三年間、この間に何ら検討がなされていない、あいかわらず製薬事業は厖大な広告料を使いまして、自由企業のままでほしいままな利潤追求が医者の側から見ると許されておるという状態にある、しかも医者の側にはこれとは全然正反対な統制経済を強行しようというのでありますが、これで厚生大臣はバランスがとれておるとお考えになつておるかどうか、この一点だけ伺わせていただきたい。
  129. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 今仰せのように医薬品の改善に関する決議というものも当時示され、従つて医薬品に関する改善あるいは合理化と申しますか、御質問のようなことは私どもも承知いたしておる次第でございます。従つて先ほど来薬務局関係から申し上げましたような方向をたどつてつておりますが、製薬に対する企業は一般の企業と違いますので、政府におきましても、保健衛生上の立場から相当な規制は加えてはおりまするが、しかし純然たる圧力と申しまするか、その立場においてずつとやつて行けるという筋合いでもありませんので、その点はいろいろな関係から一般の企業的な色彩を持つておりまするから、なかなか困難だと存じます。困難ではありまするが、しかしあわせて日本の医療の向上という立場から申しますると、先ほど来御質問にもありましたように、製薬というのは、たいへん大きい問題でありまするから、従来ともこれに対する助成あるいは海外輸出その他について、政府も特段の力を注いで参つてつたのでありますが、今後におきましてもこれらの点は十分検討して参りたいと存じております。
  130. 福田昌子

    福田(昌)委員 研究されたり、さようにお考えいただいておるということは非常にありがたいのでございますけれども、今日はすでに研究や考慮する段階ではないと思うのでございます。大臣もすでに、同じ一つ医療体系において、その基礎となる薬品が利潤追求の自由企業であり、これを使う医者の側においては統制的な経営形態が強制される、いわば政策において、木と竹を継ぎ合せるような、まつたく矛盾した体系において、医療形態というものを推し進めて行こうというところに矛盾があるということをお認めになつたと思うのであります。そしてまたこれが前々から懸案になつておる製薬事業というものを、ある程度厚生省が所管し、他の企業とは別個にこれを考えて、はかつて参らなければならないということを認めておられるようでございますが、なぜこれに対して積極的な行動をおとりにならないのか。そしてまたいつごろからこれを実施されるのか。そしてまたこの製薬事業に対するある程度の国家管理、統制と申しますか、そういうものがなされない限りにおいては、新医療費体系を出して参つたということは片手落ちであり、その条件が整わない限り、新医療費体系意味をなさないということは、また当然のことであるのでありますが、これに対して大臣はどうなさるおつもりであるか、御所見を伺いたいと思います。
  131. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 現在におきましても医薬品の中で特別なものは国家管理をいたしておることは御承知の通りであります。しかし全体の医薬品を国家管理にするという立場においては、問題がまことにいろいろな問題を含んでおると存じますので、なかなかそういう方向には一概には行きにくい状態ではないか。御承知のように特別なものは現在そういうふうにやつておる次第であります。全体の医薬品なり、さきに申し上げました衛生材料なり、あるいは医療機械なりというものについては、むしろコストを安くして、そして最も優秀な品物のできるという方向に援助し、助成するというのが根本じやないかと考えます。そういう点において手ぬるいじやないかというおしかりは、あるいはお受けすることにはやぶさかではございませんが、こういう点について将来十分いろいろな面から検討して参らねばならないと考えております。従つて全体の統制という立場からの技術等は、今のような意味で困難であると考えております。
  132. 福田昌子

    福田(昌)委員 製薬で国家管理しているものがあるというようなお話でありましたが、私どもは存じ上げておりません。どういうようなものが国家管理になつておるのか。大臣の御意向からすれば、その線をだんだん推し進めて行かれるように聞かれるのでありますが、その点はつきりしていただきたい。
  133. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは幾つもあると存じます。詳しいことは薬務局長からお聞き願いたい。たとえば最近におきましては阿片の値段、管理というような問題、その他特殊的な薬という問題、それはやつておりますが、一般的にはそういうものはないと私先刻も申し上げております。
  134. 小島徹三

    小島委員長 資料要求に関する柳田秀一君の発言を許可いたします。柳田君。
  135. 柳田秀一

    ○柳田委員 昨日お願いいたしました本文の二ページa表、これが新医療費体系のエッセンスですが、これの費用から換算した点数——その資料の中で特に往診の項等に関して多少出ておりますが、これではどうもまだどこから出て来て、どこまで導かれたということは不十分なのであります。一体各診療行為別にどういうような等価係数をつくつておるかということが一つ。  それから手術、往診等につきましては、稼働率tが非常に違うが、それはどのように平均値を出されて、どういう等価係数を出されておるか。こまかいことを言うと時間をとるから言いませんが、どうも数が合いません。従つてこれがどういうふうにして導かれたかということを本文の二ページではわかりませんので、一目瞭然とわかるような資料を出していただきたい。聞くところによると、きのう委員会が済んでからこの往診問題だけでほかで会議を開かれた。実際からいうと、脱落しておるものをごま化そうと苦心された会議のように私には邪推されるのでありますが、そうでないでしようか。邪推はいけませんから、私は邪推はいたしませんが、邪推せぬでも済むような資料にしていただきたい。これだけ私は要求いたします。
  136. 松永佛骨

    ○松永(佛)委員 ちよつと一言だけ。先ほど長谷川保委員の御発言中、大製薬会社から相当の額の賄賂とはつきりおつしやつておりますが、流れておるということを承つたのであります。私はこれは聞き捨てならぬ問題であると思います。もしそういうことがありとするならば、当委員会におきましてこれがどういう方面に流れ、どう消化されておるかということを一応掘り下げて検討する必要があると思います。かつて私の委員長時代でありましたか、堀川委員長の末期でありましたか、そういう一部のうわさがあつて調査をいたしました。たまたま某局において三人の人がそういうことに関連し、すでに警視庁にあげられて処分をされたあとであつたということを聞いたのでありますが、はつきりと賄賂という言葉をもつて、大製薬会社が巨額の金を流しておるということであれば、これはまつたくもつて許しがたい問題であります。党派を超越して当委員会で糾明をしなければならないと思いますが、委員長の御所見を承りたい。
  137. 小島徹三

    小島委員長 お答えいたします。長谷川委員の発言は、うわさがあるという程度でございましたし、かりにそういう事実があつたといたしましても、私は全厚生委員諸君の良識を疑うものではありませんから、いかなることがあろうとも、正当なる判断がなされるものと考えまするがゆえに、厚生委員会としては今ただちにこれを取上げて調査するという段階ではないと考えます。  それでは本日の質疑はこの程度にいたしまして、次会は明後十四日午前十時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。    午後一時五十分散会