○滝井
委員 今の審査問題に関連して、
一般的なことを少し御質問申し上げておきたいのですが、今
柳田さんからの御質問に対して、監査の対象となるものは府県の審査
委員会の結果、それから
患者の実地調査、主としてこういう二つの点を基礎にして審査の対象にな
つていることは、私はよく存じておるわけです。そこで、問題は審査
委員会なんであります。御存じの通り、私も審査
委員を経験したことがありますが、戦争中でありましたけれ
ども、二千枚ぐらい審査をさせられるわけです。そうすると、自分の郷里から福岡まで出て行くわけですが、朝一番で出て
行つて、夕方までに帰
つて来なければならない。その間に二千枚やらなければならないというので、大車輪でやるわけです。もちろん長年審査をや
つていますと、担当地区が大体きま
つておりますので、その市なり、その郡なりにおける医者の診療の特徴というものは、大体わか
つて来るわけです。そうすると、どの医者は大体どういう注射を濃厚に使う、どの医者は麻薬をうんと使うのだというようなくせが、すぐ審査
委員にはわか
つて来るわけです。ところが問題は、その審査
委員の客観的な
立場よりも、今度は主観的なものが審査
委員会に非常に入
つて来るわけです。たとえば、今は死にましたが、私と一緒に飯塚
病院の院長がや
つておりました。ところが、私が削らないものを院長ほどんどん削
つて行くわけです。そうすると、私はそこで一緒にや
つておりましても、院長さん、それはひどいから削らない方がいいだろうと言うわけには行かない。どんどん削るわけなのです。そうしますと、開業医から出ておる審査
委員と——大学から出ておる審査
委員と、役人から出ておる審査
委員と、飯塚
病院あたりから出ておる審査
委員とは、審査のやり方が違
つておるわけなのです。現実に社会保険という一本のわくの中で審査はや
つておりますけれ
ども、これは実際に違うのです。私は経験しておるのです。そうしますと、その減点の状態を見てみますと、私なら私がや
つた減点は、自分が開業医をや
つておるということで、割合に寛大な審査をやる。ところが、役人さんがや
つたときほ、非常な極端な審査をやるというように、違
つて来ておるわけなのです。そうしますと、今度はその審査
委員会の三箇月なり四箇月の結果を見てみると、たとえば六千点の請求点数に対して毎月千点も削られておるというような人は、当然監査の対象になり得る可能性があるわけです。なぜならば、これは濃厚診療をや
つておるという疑いがすでにそこにかか
つて来るわけなのです。そういう点で、審査の基準というものはありますけれ
ども、治療の形態はそれぞれ個人々々の得手、不得手というものがある、あるいは習慣というものがあるのです。その注射の使いぶりや処方箋の書きぶり、全部わかるわけなのです。従
つてこれはまず個々の
保険医と監査の問題、これはあとでまた質問いたしますが、この問題を
考える場合には、この審査
委員はしよつちゆうかえなければならぬということになる。ところが現在医療協議会——私は医療協議会の根本的な矛盾をつきましたが、審査
委員というものは、現在ボス的な状態になりつつある。審査
委員は、のべつまくなし同じ者が審査
委員に出て来ておる情勢が最近は出て来ておる。少くともこれは、監査の対象になるような医者を審査
委員の中に入れてみる。そうしますと、自分のやり方がどうな
つておるか、どういう状態で自分が診療しておるかという反省が出て来る。そうしますと、審査
委員に出てお
つて濃厚な診療などをやることはできない。ですからそういう人を審査
委員にでも抜擢をしてみる。みな
保険医ですから、少くとも社会保険の診療担当者になる限りにおいては、保険の規則はある
程度知
つておかなければならぬ。今ある
程度審査
委員を固定し過ぎておるところに
一つの問題がある。しかも審査
委員も能力がありますが、莫大なものを審査さしておる。今度はいま
一つの予防策としては、それぞれの担当した審査
委員は、自分の担当地区の医者のくせがわかるわけなのですから、そういうときにまず監査にかける前に当然注意をすべきなのです。現在もちろんある地区においては注意が行われておると思うのです。従
つて何々地区の何々という医者はどうも濃厚診療の疑いがあるから、こういう状態が続くならば、監査の対象になる、だからその地区の医師会長は指導してくれということで指導をやるならば、そういうものは医師会内部の自浄作用によ
つてだんだんなくな
つて行くのです。そういう状態をや
つて、監査にかかるようなものはさま
つておるわけなのですが、だんだんそういう自浄作用によ
つてなくな
つて行くのです。審査
委員を長く固定せしめないということ、同時に審査
委員会で監査の対象になるというものは、医師会にすみやかに通知をして、医師会内部の自主的な
解決をさせて行くということ、こういう方法をとるべきだと思うのです。現実においてもはがきその他において注意はしております。それをもつと積極的にやらせる必要があると思うのですが、そういう具体的な指導を、現在
厚生省はや
つておるのかどうか。この点をひ
とつ御答弁願いたい。