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1954-05-14 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十四日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君    理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君    理事 長谷川 保君 理事 岡  良一君       助川 良平君    降旗 徳弥君       亘  四郎君    滝井 義高君       萩元たけ子君    柳田 秀一君       杉山元治郎君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚生事務官         (引揚援護局         長)      田邊 繁雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 五月十三日  覚せい剤対策に関する陳情書  (第三〇〇九号)  同  (第三〇一〇号)  国民健康保険医療給付費二割国庫負担の法制  化に関する陳情書  (第三〇三〇号)  同(第三  〇三一号)  同(第三  〇三二号)  覚せい剤対策に関する陳情書  (第三  〇三三号)  同  (第三〇三四号)  伊豆半島の国立公園指定に関する陳情書  (第三〇三五号)  医薬分業実施に関する陳情書  (第三〇六〇号)  南アルプス国立公園指定に関する陳情書  (第三〇六一号)  児童福祉事業に関する陳情書  (第三〇八一号)  一般民生事業に関する陳情書  (第三〇八二号)  医療社会事業に関する陳情書  (第三〇八三号)  社会保険医療に関する陳情書  (第三〇八四号)  未帰還者留守家族等援護法による療養期間等に  関する陳情書  (  第三〇八五号)  覚せい剤対策に関する陳情書  (第三〇九六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  厚生行政に関する件  請願     一 戦傷病者援護強化に関する請願(       今井耕紹介)(第一六一号)     二 同外一件(中野四郎紹介)(第一       六二号)     三 同(志村茂治紹介)(第一六三       号)     四 同(山本正一紹介)(第一六四       号)     五 同(河野一郎紹介)(第一六五       号)     六 同(柳田秀一紹介)(第一六六       号)     七 同(池田清志紹介)(第一六七       号)     八 同(木村俊夫紹介)(第一六八       号)     九 同(風見章紹介)(第一六九号)    一〇 同(大高康紹介)(第一七〇号)    一一 同(大久保武雄紹介)(第一七一       号)    一二 同(迫水久常紹介)(第一七二       号)    一三 同(濱田幸雄紹介)(第一七三       号)    一四 同(葉梨新五郎紹介)(第一七四       号)    一五 同外一件(赤城宗徳紹介)(第一       七五号)    一六 同外一件(橋本登美三郎紹介)(       第一七六号)    一七 同外一件(塚原俊郎紹介)(第一       七七号)    一八 同外一件(佐藤洋之助紹介)(第       一七八号)    一九 同(山崎猛君外一名紹介)(第一七       九号)    二〇 同(丹羽喬四郎紹介)(第一八〇       号)    二一 同(門司亮紹介)(第一八一号)    二二 同(原彪君(改)紹介)(第一八二       号)    二三 同外一件(加藤高藏君紹介)(第一       八三号)    二四 同(小泉純也君紹介)(第一八四       号)    二五 同(小島徹三紹介)(第一八五       号)    二六 戦傷病者援護強化に関する請願(       加藤鐐五郎紹介)(第五一八号)    二七 戦傷病者援護強化に関する請願(       安藤覺紹介)(第八五六号)    二八 戦傷病者援護強化に関する請願(       坪川信三紹介)(第二六〇四号)    二九 戦傷病者援護強化に関する請願(       植木庚子郎君紹介)(第二七六〇       号)    三〇 同(木村俊夫紹介)(第二七六一       号)    三一 同(菊池義郎紹介)(第二七六二       号)    三二 同(橋本清吉紹介)(第二七六三       号)    三三 戦傷病者援護強化に関する請願(       平野三郎紹介)(第二八二九号)    三四 同(生田宏一紹介)(第二九五五       号)    三五 戦傷病者援護強化に関する請願(       只野直三郎紹介)(第三二六五       号)    三六 戦傷病者援護強化に関する請願(       中澤茂一紹介)(第三三五七号)    三七 同(松平忠久紹介)(第三三五八       号)    三八 同(降旗徳弥紹介)(第三三五九       号)    三九 同(羽田武嗣郎紹介)(第三三九       九号)    四〇 同(小川平二紹介)(第三四六二       号)    四一 同(原茂紹介)(第三四六三号)    四二 戦傷病者援護強化に関する請願(       池田清紹介)(第三五二八号)    四三 同(赤路友藏紹介)(第三五二九       号)    四四 戦傷病者援護強化に関する請願(       今村忠助紹介)(第三六八五号)    四五 同(池田清志紹介)(第三六八六       号)    四六 戦傷病者援護強化に関する請願外       一件(岡田五郎紹介)(第三九〇       九号)    四七 同(永田亮一紹介)(第三九一〇       号)    四八 向(大橋武夫紹介)(第三九一一       号)    四九 同(中村時雄紹介)(第三九一二       号)    五〇 同(吉田重延君外一名紹介)(第三       九一三号)    五一 同(竹尾弌君紹介)(第三九一四       号)    五二 同(喜多壯一郎紹介)(第三九一       五号)    五三 同(中島茂喜紹介)(第三九一六       号)    五四 同(有田喜一紹介)(第三九一七       号)    五五 同(首藤新八紹介)(第三九一八       号)    五六 同(迫水久常紹介)(第三九一九       号)    五七 戦傷病者援護強化に関する請願(       中村三之丞紹介)(第四〇五四       号)    五八 同(細野三千雄紹介)(第四〇七       三号)    五九 同(辻政信紹介)(第四〇七四       号)    六〇 同(富田健治紹介)(第四〇七五       号)    六一 同(田子一民紹介)(第四〇七六       号)    六二 同外一件(堀川恭平紹介)(第四       〇七七号)    六三 同(熊谷憲一紹介)(第四〇七八       号)    六四 同(原健三郎紹介)(第四〇七九       号)    六五 同(櫻内義雄紹介)(第四〇八〇       号)    六六 同(赤澤正道紹介)(第四〇八一       号)    六七 同(逢澤寛君紹介)(第四〇八二       号)    六八 同(橋本龍伍紹介)(第四〇八三       号)    六九 同(大西正道紹介)(第四〇八四       号)    七〇 同(寺島隆太郎紹介)(第四〇八       五号)    七一 同(園田直紹介)(第四一四三       号)    七二 同(山下榮二紹介)(第四一四四       号)    七三 同(船越弘紹介)(第四一四五号       )    七四 戦傷病者援護強化に関する請願(       中村清紹介)(第四一八七号)    七五 同(小島徹三紹介)(第四一八八       号)    七六 同(高橋禎一紹介)(第四一八九       号)    七七 同(苫米地英俊紹介)第四二五一       号)    七八 同(島村一郎紹介)(第四二五二       号)    七九 同(椎熊三郎紹介)(第四二七四       号)    八〇 同(水谷長三郎紹介)第四二七五       号)    八一 戦傷病者援護強化に関する請願(       中川俊思君紹介)(第四二九三号)    八二 同(中崎敏紹介)(第四三二七       号)    八三 同(塩原時三郎紹介)(第四三四       三号)    八四 同(前田正男紹介)(第四三六四       号)    八五 同(西村力弥紹介)(第四三六五       号)    八六 同(牧野寛索紹介)(第四三八四       号)    八七 同(淺香忠雄紹介)(第四三八五       号)    八八 同(三宅正一紹介)(第四三八六       号)    八九 戦傷病者援護強化に関する請願(       杉山元治郎紹介)(第四四二一       号)    九〇 同(林信雄紹介)(第四四二二       号)    九一 同(伊瀬幸太郎紹介)(第四四三       六号)    九二 同(廣瀬正雄紹介)(四四三七       号)    九三 同(佐藤芳男紹介)(第四四三八       号)    九四 同(青柳一郎紹介)(第四四八九       号)    九五 同(松井豊吉紹介)(第四四九〇       号)    九六 同(上林與市郎紹介)(第四五二       三号)    九七 同(吉武惠市君紹介)(第四五一四       号)    九八 戦傷病者援護強化に関する請願(       松永東紹介)(第四五五九号)    九九 同(竹谷源太郎紹介)(第四五六       五号)   一〇〇 同(中井徳次郎紹介)(第四五六       六号)   一〇一 同(川島金次紹介)(第四五六七       号)   一〇二 同(加藤鐐造君紹介)(第四五六八       号)   一〇三 同(土倉宗明紹介)(第四五六九       号)   一〇四 同(大橋忠一紹介)(第四五七〇       号)   一〇五 同(田渕光一紹介)(第四五七一       号)   一〇六 同(大上司紹介)(第四五七二       号)   一〇七 同(鍛冶良作紹介)(第四五七三       号)   一〇八 同(岡村利右衞門紹介)(第四五       七四号)   一〇九 同(野田卯一紹介)(第四五七五       号)   一一〇 同(平野三郎紹介)(第四五七六       号)   一一一 同(庄司一郎紹介)(第四五七七       号)   一一二 同(松山義雄紹介)(第四五七八       号)   一一三 同(松崎朝治紹介)(第四五七九       号)   一一四 同(福田一紹介)(第四五八〇       号)   一一五 同(細迫兼光紹介)(第四五九二       号)   一一六 同(山崎猛君外一名紹介)(第四五       九三号)   一一七 同(福田繁芳紹介)(第四六一九       号)   一一八 同(大平正芳紹介)(第四六二〇       号)   一一九 戦傷病者援護強化に関する請願(       田中幾三郎紹介)(第四六三四       号)   一二〇 同(町村金五君紹介)(第四六三五       号)   一二一 同(松浦周太郎紹介)第四六三六       号)   一二二 同(山手滿男紹介)(第四六三七       号)   一二三 同(柳原三郎紹介)(第四六三八       号)   一二四 同(山本幸一紹介)(第四六三九       号)   一二五 同(楯兼次郎君紹介)(第四六四〇       号)   一二六 同(齋木重一君紹介)(第四六四一       号)   一二七 同(辻原弘市君紹介)(第四六四二       号)   一二八 同(三鍋義三紹介)(第四六四三       号)   一二九 同(田中織之進君紹介)(第四六四       四号)   一三〇 戦傷病者援護強化に関する請願(       丹羽喬四郎紹介)(第四七七八       号)   一三一 同(佐藤洋之助紹介)(第四七七       九号)   一三二 同(今澄勇紹介)(第四七八〇号       )   一三三 同(白浜仁吉紹介)(第四八〇九       号)   一三四 同(早稻田柳右エ門紹介)(第四       八一〇号)   一三五 同(橋本登美三郎紹介)(第四八       一九号)   一三六 同(赤城宗徳紹介)(第四八二〇       号)   一三七 同(大石ヨシエ紹介)(第四八二       一号)   一三八 同(加藤高藏君紹介)(第四八五一       号)   一三九 在南会社従業員遺家族戦傷病者       戦没者遺族等援護法適用請願(永       田亮一紹介)(第一〇四号)     ――――――――――――――
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず本日の請願日程に掲載いたしております百三十八件の戦傷病者援護強化に関する請願並びに在南会社従業員遺家族戦傷病者戦没者遺族等援護法適用請願を一括して議題とし、審査いたします。これらの各請願につきましては、昨日の理事会におきまして細密に検討いたしました結果、その趣旨を適切なるものと認め採択の上、内閣に送付すべきものであるとの一致した意見が得られましたが、そのように決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なおこれら各請願に関する委員会報告書の作成に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認めそのように決します。     —————————————
  5. 小島徹三

    小島委員長 次に健康保険単価並びに監査に関する件について滝井委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。滝井義高君。
  6. 滝井義高

    滝井委員 大蔵省が来るまで待ちます。
  7. 小島徹三

    小島委員長 それでは滝井委員発言はしばらくお待ち願いまして、岡良一君。
  8. 岡良一

    岡委員 実は医薬関係審議会設置法のときに、昭和二十六年の医師法薬事法あるいは関連法規の改正に基いて、あの強制分業が地域的にあるいはまた必要なるケースにおいて実施されたときにおける医療費の動きがどうなるか、この問題を同時に並行的に解決しなくては国民医療上ゆゆしき問題が起るのではなかろうかと思うので、その見通しをはつきりと資料として提出を願いたい。これがなければこの医薬関係審議会設置論というものもからまわりに終るのではないかということで、資料提出を要求いたしておきましたが、その資料提出がないままに医薬関係審議会設置法が通過いたしました。そこでその資料、要するに強制分業実施された地域において、また実施されたケースにおいて医療費負担というものが具体的に、たとえば処方箋交付料とかあるいは調剤手数料というものがどういうふうに設定をされるかということは、直接医療内容なりあるはかまた医療担当者なり、あるいは薬剤師なりの利益にもいかわる問題であり、また保険財政にも大きく響く問題があるわけです。私どもが一番心配するのは、その結論の出方によつていわゆる新しい医療報酬の体系ができたときに、それが保険財政に響いて、しかも保険財政が現在のわくに縛られておると、結局それが医療内容の低下とか、あるいはまた被保険者負担増とかいうようなことになつて来ては非常にわれわれとしても心外である、実はこう思つて資料提出を要求したわけなのです。その資料提出は八月中に整備したいというのが厚生省の御意向であつたのです。しかしこれは局長なり課長はよく御存じだと思いまするが、医薬分業の当時は、特に局長は次長もしておられたし、十分関心も持つておられたの、あのときの論議というものを十分想起していただいて、今後審議会結論を出す、これと並行的に解決さるべき処方箋交付料あるいは調剤手数料というようなもの、それと現在保険料単価の十一円八十三銭というもの、こういうものとの関連はどういうふうにあるべきが正しいというふうに思われるのか、この点の原則的な考え方をまず承りたい。
  9. 久下勝次

    久下政府委員 医薬分業実施前提としての医療費の問題につきましては、大体今岡先生のおつしやつたような問題があると私ども考えておるのであります。ただこの問題につきましては、厚生省内におきましていろいろ打合せをし、すでに方針決定いたしておりますが、お話のように医薬分業が広範囲に実施されるということになりますれば、現在の社会保険関係点数表には相当な修正を加えなければならないということを予想いたしております。しかしながらまた社会保険医療というものは今日相当広範囲に行われておりまして、いろいろな関係から医薬分業実施に伴う医療費方針がきまりましたあかつきにおきまして、社会保険関係点数表の改訂ということに具体的には問題が現われて参りますことも事実でありまして、私どもといたしましてもそのことに対して無関心であり得ないのでございます。しかしながらこの問題は、社会保険というものを含めまして、もつと広い立場におきまして国民医療に及ぼすあるいは国民経済に及ぼす影響を検討するという立場から基本的な方針が検討され、決定されて行かなければならないというふうに話し合つておるのであります。そういう立場をとります限りにおきまして、私ども保険局が主体的にこの問題を処理するという建前ではなく、厚生省部内の仕事の分担の上から申しましても、当然この問題は医務局中心になつて検討し、それに私どもも参画し、意見を述べながら基本的な方針がきまつて行くというような態勢をとることに打合せをいたしておるわけであります。今日の段階においてはそういう点についてまだ結論を得ておりませんので、私の立場から具体的な影響について申し上げる材料を持つておらないのでございます。繰返しますと、国民医療全般に及ぼす影響というものを医務局中心となつて厚生省内関係局が協力して方針決定をし、その方針決定がありましたならば、具体的に社会保険にこれをいかに現わすかということで私の方で参与するというような段取りで進める予定であります。まだその基本的な方針決定には至りませんで現在においては従来たびたび調査をいたしました資料を整備をし、その内容を検討いたしておる段階でございます。
  10. 岡良一

    岡委員 久下さんの御答弁は一口に言えば非常にずるいので、私は何も具体的に結論が出ておつたらお示し願いたいと言つておるのではないのであります。国民全体の医療の問題ではありますけれども、事実上の問題とすれば、共済組合等医療保険を取扱つておる部面などを含めまして、全部で共済組合関係健康保険に準じた制度その他の適用を受けておるもの、政府管掌組合管掌健康保険を含めればおそらく大体六千万に近い人口が包括されておると思う。そういう場合健康保険における事実上の医療給付の取扱いがおよそ右へならえしておるということも当然御承知の通りだと思う。それでありますから何と言つてもこの問題はやはり健康保険を取扱う局としては非常に大きな関心を持たなければならぬ問題であることも必然的だろうと思う。しかしそれはそれといたしまして、一応そういう立場からこの原則について承りたい。原則は、医療内容を低下せしめてはならない。それから医療費を全体として膨脹せしめてはならない。医療費負担については、被保険者負担を現在以上に増さしめてはならない。この三つがぼくは一番大事な前提だと思う。それにつけ加えて言い得べくんば、御存じのように、現在も保険担当医がやはり一点単価の問題でるる陳情いたしておる。従つて現行制度以上に医療担当者の実質的な所得減になつてはいけないということもつけ加えて、いわば四原則が出て来るわけです。全体としての医療費の膨脹はいけない。医療内容を低下せしめてはいけない。被保険者負担を増さしめてはいけない。医療担当者の実質的な所得現行以上に低下せしめてはいけない。これはもう超党的に一致すべき四原則だとぼくは思う。この四原則をあなたは承認されるかどうか、承りたい。これはデイスカツシヨンでもけつこうです。
  11. 久下勝次

    久下政府委員 私も大体におきましてその四原則は堅持しなければならないと思つております。ただその四原則全部をおつしやる通りのままで堅持しなければならないということになりますると、ひとりこれは医薬事業の問題だけではございません。いろいろ社会保険診療報酬の問題につきましては、各種の要望がたくさん提出されております。その御要望というのは、おそらく全部実現不可能というような結果になろうかとも思います。ただお話を承つておりますと、おつしやつた問題の解決の道は、給付費国庫負担に持つて行くということ以外にはないようでございます。そうなりますと、私はこの問題をそのままの形で受取りまして、そう簡単に将来をお約束するという立場にもございません。いろいろそのときどきの状況に応じまして、ただいまおつしやつた原則のうちの一部につきましては、あるいは場合によつては若干の訂正を加えた形で折衝をしなければならない。私は結論的にそうすると申し上げるのではありませんけれども、そういう折衝をしなければならないような場合も出て来るであろうというふうに予想するのでございます。
  12. 岡良一

    岡委員 それはおつしやる通りで、この四原則を全部生かすということになれば、これはもちろん給付費国庫負担ということが事実上予算化されるということでなければ解決はできない。そこでそれが実現をされないということになれば、この四つの原則は何らかの形で調整をされなければならないことも当然でしよう。  そこで今度はイロハからお尋ねをしたいのですが、現行の十一円八十三銭という単価構成要素は何と何であるか、それぞれいかに評価をされて積み重ねられたものであるか、この点をお伺いいたします。
  13. 久下勝次

    久下政府委員 現行単価計算基礎になりました数字は、昭和二十四年九月の実績調査基礎にいたしたものであります。これに賃金及び物価の指数を乗じまして基礎数字といたしましたのであります。その項目を大わけにして申し上げますと、まず第一は、医業経営に必要な人件費でございます。その次は総括的に維持費という言葉を使つておりますが、家賃、地代、火災保険料建物償却費機械器具購入費事務用品費通信費公衆衛生費被服費等維持費という名目で計上しております。その次に一括して衛生材料費という項目がございます。内訳は、医薬品費、カルテ、薬包紙等、こういうようなものが一括して衛生材料費として計上してあります。その次に光熱給水費、まかない材料費、最後に雑費、これらが医業関係医業支出ということで一口に入れまして、別に世帯費として医師生計費を計上し、必要な税金も加算いたしまして、全体の合計数字が五万七千九百九十一円という数字を出しております。これを稼働点数四千九百三十五点で割りまして出しましたものが現行単価基礎でございます。
  14. 岡良一

    岡委員 ちよつと聞き落しましたが、そうすると、この維持費の中の被服費は使用人のものの被服費というわけなんですか、それからこの生計費の中に公租公課が入つているということですか。そうすれば、生計費は一応どれくらいに見積られており、公租公課はどれくらいに見積られてあるのか。この点細目別の内訳を御説明願いたい。それからまかない費というのは、この医業形態の経営面で一体どういう構成なのかということ、そしてその医師だけの世帯についての食糧費は生計費とは別なのかどうか。この点数字をあげて御説明願いたいと思います。光熱給水費についても、これは医業に必要なものだけについて言われたのか、生計費について必要なものを言われたのか。
  15. 久下勝次

    久下政府委員 順序がお尋ねと多少違うかもしれませんが、まず被服費光熱給水費、まかない費等は医業経営に直接必要なものだけでございます。具体的に申し上げますと、被服費のうち、医師が個人的の生計を営むために必要な被服に入りませんが、医師自身が着ます白衣、それから看護婦等の被服は入りますし、入院患者の被服も入るのでございます。光熱給水費も、おつしやる通り、直接の生計に必要なものは世帯支出の方に含めまして、医業経営に直接必要なものだけでございます。まかない費についてもまた同様であります。それから税金は世帯支出のほかに月額六千八百三十九円を見込んでございます。世帯支出の方はそれ以外に別に計上いたしまして、大体CPSの二割増に、さらに少しでございますが、将来の見込みを加えた数字になつておりまして、その結果が一万八千九百十九円でございます。
  16. 岡良一

    岡委員 そうすると、人件費維持費衛生材料費等、この各項目別の金額について実数をお示し願いたいと思います。
  17. 久下勝次

    久下政府委員 この計算の基礎になりました数字個々について申し上げます。人件費は四千三十八円、家賃地代が千二百六十五円、火災保険料二百二十三円、建物の修理、償却費千七百四十九円、大装置費が四百五十八円、器具購入費が千八百四十三円、事務用品費が三百二十六円、通信費が四百九十三円、公衆衛生費が百七十二円、被服費が六百五十七円でございまして、以上申し上げました家賃、地代から今申し上げた被服費までを維持費という区分にいたしております。それからその次は衛生材料費になりますが、第一の医薬品費は一万二千二百三十一円、カルテ、薬包紙、薬袋、容器代、これは主として調剤に必要な材料費でございますが、これが九百六十円、その他の衛生材料費が千四百七十九円、この三つを一括して衛生材料費というくくりをしております。それから光熱給水費は千八百四十三円、まかない材料費が千七百六十一円。最後が雑費でございまして二項目にわかれておりまして、第一の項目は旅費、賞与その他の給与費、退職積立金これら一括して九百三十四円、それから雑費の二は図書費、研究費その他の雑費千八百一円。以上が医料に直接必要な支出でございまして、その合計は三万二千二百三十三円でございます。  それに対しまして別に今度は世帯支出という項を設けております。それは医師生計費でございまして、それが一万八千九百十九円、税金が先ほど申し上げました六千八百三十九円でございまして、以上全体を合計いたしましたものが、これも先ほど申し上げた五万七千九百九十一円でありまして、これを稼動点数四千九百二十五点で割りまして十一円七十七銭という平均単価を出しているのであります。
  18. 岡良一

    岡委員 この医師人件費は一名分だろうと思いますが、その点と、それから医師の標準世帯構成は一体どれだけに見ておられるのか。
  19. 久下勝次

    久下政府委員 経営者である医師自身の俸給はここにはつきりいたしませんが、そこに働いております事業機関から給与を出しておりますもの、これは私立の診療所百五十四箇所について調べているのでありますが、その内訳を申し上げますと、病床のあるもの四十七、病床のないもの百七箇所調べまして、その中に専務の医師が八人、兼務の医師が二人。と申し上げますのは、これは百五十四箇所全部の数字でございます。薬剤師一人、助産婦三人、看護婦四十五人、見習い看護婦五十五人、その他の技術員六人、事務要員十一人、その他二十八人でございまして、百五十九人の人が働いております。つまり百五十四箇所の私立診療所の病床のあるもの、ないものを調査いたしましたところ、そこに働いておりまする職員が百五十九人でございまして、その総経費が給与にして四十四万千六百七十円になりますので、これを一箇所平均にしました数字でございます。なおこれは、今申し上げた数字は二十四年九月の数字でございますから、賃金ベースの変動は指数をかけまして直してございます。それからもう一つ、医師の平均世帯人員は五・二人となつております。
  20. 岡良一

    岡委員 そこでこういうふうに一応一点単価の構成を承つたので、これはひとつプリントにしていただきたいと思うのでお願いをいたしたいと思います。問題は、今のような百五十四箇所、百五十九人ということでありますと、これはどういうふうに抽出されたのか知りませんが、これは根本的に基礎はもうかえて行かなければならぬと思うのです。かりに強制分業ができるというようなことになりますとですね。これは辺鄙ないなかでできるわけじやないので、東京の真中とか大阪とか大都会でできるわけですから、そうすると人事院でもいわゆる地域差というものを認めているようなかつこうで、諸物価の指数なり従つて生計費指数などというものも非常に高くなる。そういうものをやはり抽出してそこに医師の世帯を見るということが一つ。それからもう一つは、今ですと今御報告のように百五十九人の中に薬剤師もいるというような事情になつている。薬剤師のいるようなものはこの中に含まないのだから、薬剤師のいないそういういわばある基準の限界的な——いわゆる限界生産費というものをよく農業方面で言つているのだが、そういう限界経営費というものを出してもらわなければならぬ。そういうふうな資料についての何かお調べになつ材料があつたらお答え願いたいと思いますが、ありませんか。
  21. 久下勝次

    久下政府委員 実はその方もほとんど毎年厚生省といたしましては医療関係調査を重ねているわけでございます。特に医薬分業に関する法律が国会を通過いたしました以後におきましては、相当な経費を使いまして調査をいたしているわけであります。それらを精細に分析いたしますればあるいはお尋ねのような限界生産費というような数字も出て来るかもしれないと存じますが、ただいまの段階ではまだそこまで検討はされておりません。  なお念のために、御質問にはございませんが申し上げておきますけれども現行単価の算出の基礎数字は今申し上げた通りでありますが、その算出の基礎にとつた数字につきましては、当時医師会、歯科医師会とも了承をしておられないのであります。これでは不満であるから従つて暫定措置としてのみ了承するというような条件つきの承認でございます。いろいろ数字からまだ若干の問題を医療担当者側は残しているというような現状であります。
  22. 岡良一

    岡委員 そこでぼくは特に御注意願いたいのは、かりに強制分業になりましても、第一項の人件費など薬剤師等をも含めての平均の給与額でありますが、医師がおそらくこの調剤という行為をやめたといたしましても、やはり看護婦は必要なんです。それは患者のいろいろな意味の診察上の介添え役としても必要になつて来るだろうと思いますし、あるいはまたカードその他をとるとかいろいろなことでこれは窓口及び診察上の介添えとして必要になつて来る。それから維持費というものも当然必要になつて来るわけであります。それから光熱給水費も、今の薬局の実態から見て別にそうせんじ薬を使うなんということもないので、やはりほとんど試験的に使う場合が多いわけです。いろいろ試験管に尿を入れてあたためるとかそういう場合が非常に多いわけでありますが、光熱給水費もほとんど差異はない。まかない費というものが内容がよくわかりませんが、このまかない費は入院患者を持つとかベツドを持つておるものについてという意味じやなく、生計費に伴うまかない費であるとするならば、これは当然看護婦であろうが、薬剤師であろうがそこへとまり込んでおる者がかりにあつたとすれば、それを引くわけにいかないからこれは生きて来るわけです。また医師生計費というものは、当然五・二というような一箇月の生計費は生きておる。さらに公租公課というものも出て来るわけでありますし、雑費も図書購入費とかその他でこれも生きて来るわけであります。動かせるものは衛生材料費、一万二千二百三十一円と、そうして九百六十円プラス千四百七十九円、これらをプラスした一万四千五百円ばかりのものが動かせるものなんです。ここに処方箋交付料というものと、そうして薬包紙というものは薬剤師の方へ行くので、処方箋交付料というものがここに入つて来るということになるし、そうしてそこにまた調剤手数料というものが入つて来る。この構成は要するに、医薬品の材料費の一万二千二百三十一円というものはやはり動かない。これは薬剤師に行つたつて医師の方へ行つたつて動かない。そうすると薬包紙その他九百六十円、これも動かない。千四百七十九円といりものは、これは四千九百二十五点のうちの千九百二十五点がこの診療費に要する——この中にはあるいは小手術もあるかもしれませんが、しかしおおむね調剤の手数料というものはここでしか出て来ない。この千九百二十五点の中に処方箋交付料というものが出て来なければならないし、そうして調剤手数料というものも出て来る。これらはこういうことをはつきりめどを立てないでおいてここでやつているんだということを言つたつて、これはやれつこないという心配がある。これをしいてやるとかえつて保険財政が苦しくなつたり、あるいは医療内容が悪くなる、こういう点についてわれわれはみなが非常に心配をしておるわけなんです。事実数字を承りましてわれわれの心配、杞憂というものはやはり決して杞憂ではなかつたというような気もするのですが、そういう点あなた方の方ではどうお考えになりますか。
  23. 久下勝次

    久下政府委員 おつしやる問題は十分検討を必要とすると思つておりますが、申すまでもなく、社会保険の診察報酬は今申し上げました基礎に基く単価に点数を乗じまして表わし、結果的に表われるものでありまするので、単価の計算の基礎なつ数字は以上のようではありまするけれども、実際の医療経営に必要な経費と見合いをいたしまして点数の方の操作によりましても私はその問題は可能ではないか。確かに御指摘のように非常に細密に区分をして行きますると、そういう点が正確でないかもしれませんけれども、しかし結果的に申しますれば、点数上の操作によりましても結果的には同じような表現の仕方ができるのではないかというふうに考えておるものでございます。こんなことを申し上げまするのは、実はここで医師の技術料と称すべきものに対する支出の分が単価基礎の中に入つておりますが、一方点数の方でも多くのものに技術料と考えられるべきものを加算して点数を出しておるわけでありまして、その辺の考え方から申しましても、非常に厳密な意味でそこまで区分をいたしませんでも、点数の操作によつて結論を得ることは可能ではないかというふうに私は考えております。
  24. 岡良一

    岡委員 最後に、私はこの数字を承つて思つたことですが、そして今の御答弁に関連してですが、点数で操作される、そうして生計費の一万八千九百十九円の中には、五・二人という世帯構成があつて、この一万八千九百十九円という生計費医師としての生計費が含まれておる、技術料もそれにプラスになつておるのだ。一体どの程度にプラスになつておるのかということになると、これは医師会側としても非常に問題になつて来るのではないか。一応そういうことは納得するとしても、もし技術料が含まれるとすれば、やはり技術料は取出してもらわなければならぬ。そうするのがほんとうだと思う。そうして技術料というものを衛生材料費の方に少し入れてみたり、あつちへ入れてみたり、こつちへ入れてみたり、そうかと思うと、被保険者医師の窓口で初診料だけは一ぺん払わなければならないとしてみたりなどということになつて医師の技術料というものが、はつきりした一つの項目として医師の納得の行くものが納得の行く姿で医師の手に支払われておらない。ここに現行健康保険制度の根本の医療報酬の一つの大きな盲点があると思うのです。この点はこういう機会にひとつ十分に当局も御研究を願いたい。  それから五万七千九百九十一円で四千九百二十五点の点数だから十一円八十三銭が出たこと、これは点数で操作されるとしますならば、一点単価では総体的には低くなるということになる。そうして低くなつて、なおそれにプラスして、かりに処方箋交付料を五点として五点をプラスして医師の方にやるとしても、その場合に問題は二つあるわけですが、そうしたならば、結局は全保健医療財政というものの中には五点が五点そのままプラスにはならないけれども、大きなプラスが出て来るわけで、全体としてこれを一体財政的にどうするかという問題が起きて来るであろうし、また処方箋交付料というものの五点というものが正しいかどうかということも考えなければならぬのではないか。これは処方箋を交付するということは、その場合診療に伴う自動的な行為として法律が規定しておる。そうすればやはりもう一ぺんこの段階において、医師の診療報酬そのものに対する技術の評価というものをはつきりとしてもらわなければならぬ。処方箋交付料というものは紙一つ出しておけばいいというものではない。だからそれに要する費用は——法律上診療をしたならば、必ず処方箋を交付しなければならないということになれ一は、技術に伴う自動的な行為としての処方箋交付というものになつて来る。そうした診療の技術というものは、そうすると強制分業された場合には非常に高く評価されるが、されないところは今のようにあいまいな姿に残されて行くという一つの矛盾が起きて来る。この点いろいろの問題が起きて来ると思う。これは日本の社会医療保険の途上における一つのある意味における非常に革命的、画期的な転換期に来ておるのではないか。この機会に医療を担当する者、薬局の諸君も、利益というものは別として、公正妥当な結論を得るようにひとつこの際に保険局としても努力していただきたいということを希望いたしまして私の質問を終ります。
  25. 小島徹三

    小島委員長 次は滝井君。滝井君に申し上げますが、大蔵省からは大村主計官が来ておりますが、よろしいですか。
  26. 滝井義高

    滝井委員 けつこうです。
  27. 小島徹三

    小島委員長 それでは御発言願います。
  28. 滝井義高

    滝井委員 医療単価の構成については私も質問したいと思いましたが、岡委員から御質問があつて大体わかりましたので省略させてしただきまして、少し根本的な問題を大蔵省立合いの上でお聞きしたいのですが、私は現在社会保険は一つの行き詰りの状態が出て来たと思うのです。保険局長は、現在の社会保険はなお今の姿でどんどん進展していると思われるか、それとも行き詰まりつつあると思われるか、この点の見解をお聞かせ願いたい。
  29. 久下勝次

    久下政府委員 行き詰まりという点はどういう点をさしておつしやいますのか、私としては答弁に苦しむのでありますが、財政的な面で申しますれば必ずしも行き詰まりとも私は考えておりません。と申しますのは、現に年々受診率も増しておりますにもかかわらず、何とか保険料の引上げをしないでまかなつて行ける見込みがまだ立つております。さらにこのほか御承知のように、一部の点数の改訂もありましたし、あるいは新しい医学に基く治療方針も採用をいたしまして、財政的に申せば負担増になるものばかりでございますけれども、それをなおかつ克服して国民医療に貢献をしております実情は、まだ私は行き詰まりではないと考えております。しかしながらこの傾向は確かにある程度制約が加えられなければならないような条件も絶無とは申せません。しかしそれだからといつて行き詰まりというような言葉で表現するような状況にはまだないと考えておる次第であります。その他個々の細部の問題につきましては、滝井先生も十分御承知ようにたくさんの問題がございまして、一つ一つをとらえますと結局今日の段階では解決ができないというために、それをもつて行き詰まりということでありますれば、あるいはそういう問題が多くの問題の中にはあるかとも思います。私としてはさように考えております。
  30. 滝井義高

    滝井委員 詳細な御答弁をいただきましたが、千丈の堤もありの一穴からという言葉がございます。やはりこれは客観的な全般の情勢から考えて、日本の社会保障制度が急激に進展して行く情勢には私はないと思います。だれがあるといつてもないと思う。さいぜん岡さんが四原則をあげましたが、医療費が上らずに、診療の内容は低下せずに、患者の負担が増加せず、しかも担当者の所得が現実よりも下らない。現在のままで行けばこの四つのうちのどこかにしわが寄る、あるいはどこか二つぐらいにしわが寄る以外には、私は社会保険の状態というものは打開できない状態まで来ておるのではないかと思うのです。そこでそういうところを質問するために大蔵省に来ていただいたんですが、具体的に行き詰まりつつある状態を申し上げますと、現在すでに府県においては、結核予防法ができました。これは重要な社会保険の一環をなしております。すでに患者は半額を公費で負損してもらうことによつて免除されることになるわけなんですが、現在すでに府県において予算がない、従つて患者に支払つてくださいという事態が起つておるのです。これは現実に起つておる。それから国民保険においても健康保険においても受診率が非常に増加しておることは、今局長の御答弁の通りでございます。増加することによつて国民保険にどういう状態が現われて来たかというと、いわゆる二割の国庫負担の増加によつて今まで一般会計から特別会計に繰入れておつたものを、地方財政の窮迫につれて一般会計から特別会計に繰入れることをやめつつある、こういうことによつて保険経済というものは、いわゆる二割の国庫負担が実現をしたけれども、一般会計から特別会計に繰入れることを地方財政の窮迫のために切られたために、表面的には国民保険の財政はよくなつた形を呈しておるが、受診率の増加によつてプラス、マイナスされて、依然として医師に対する支払いの遅延という状態が起つて来る、医師に対する支払いの遅延はいわゆる医療内容の低下かあるいは医師の診療による所得の減退が、どちらかを結果することになつて来る、あるいは生活保護法というものは、現在医療保護法だ、こういわれる状態が出て来ております。これはすでに予算の面においても私は厚生省は大きな見当違いをしておると思う。すでに現実において期限に支払いを切りかえることによつて、これは一時的な増加の現象だといつたけれども、まだ現実にその増加の状態が続いておる。私は最近二、三の福祉事務所を調べてみましたが、福祉事務所の仕事というものはもはや生活保護の仕事よりも医療保護の仕事の方が多くなつて来ている、医療保護の希望者が福祉事務所には殺到しておるという現状です。そうしてしかも県の民生部の社会課は、何とかしてそれを切つてもらわなければとても支払いができない。現在福岡県のごときは一月までしか支払われていないという状態です。これならば貧しい弱い階級というものは医療も満足に受けられないということになる。しかも現在社会局が長い結核患者には今度は熱計までつけて、いわゆる審査の対象にしなければならぬのでお出しなさい、今度はこういう具体的な個々の診療の面まで立ち入つて、そうしてその審査の参考にするという事態まで起つて来ているわけなんです。まつたく医療の自主性というものが予算というものできめられてしまう形が現実に出て来て、医療内容は急激に低下を見ようとする情勢が出て来ておる。それから今の二十四年九月に決定した単価というものが不合理であることは万人の認めるところで、すでに賃金ベースその他においても二十四年は人事院の勧告は七千八百七十七円、現在はその倍以上の一万五千四百八十円になつている、こういうようにこれは明らかに単価というものについても大きな改訂を加えなければならぬ、ところがこれをこのままにほうつておるとすれば、これはやはり健康保険国民保険の経済を保つために人間の生命が犠牲になるという現実に出て来ている。すでに生活保護の予算を守るために、解放性の結核患者、喀血の結核患者がどんどん療養所からおつぽり出されている現実です。こういうまつたくヒユーマニズムというものが没却された政治の姿が出て来ておる一方、現状の問題は、これは十一円五十銭の単価の問題というよりか、むしろあの単価かけるの点数の中における技術料をどうするかという問題になつて来ておるというように、何一つ見ても現在の社会保険というものに明るい面というものはない、しかも厚生年金でわれわれが見たように、保険者側も、いわゆる事業主側も勤労者の側も、もう保険料というものは負担できませんと言つている、あるいは国民保険においても保険料の単価を引上げるの問題が起るとこぞつて反対する、現在地方税がとても多くてあるいは国税が多くて、われわれのさいふは口は一つである、国に払う税金、地方公共団体に払う税金、国民保険料、すなわち保険料として払うものもわれわれの一つの口から出るのであつて同じであるからとてもできないと言つておる。そうすると分業問題について言つてみると、これはサムスも一%ないし三%上るということは当時のあらゆる日本の資料基礎にして結論をつけている。そうすると一%ないし三%でも現在の国民医療費の状態からいうと四十五億ないし五十億なのです。そうすると何ら明るい面がないということで、局長さんは現在社会保険は経済的に行き詰まつていないと言うけれども、私は現実に行き詰まつている状態が現われていると思うのです。問題はそういう状態を打開をして行くためには日本の総予算の中における社会保障費のわくの問題に結局帰着できると思うのです。これは大蔵省と保険局に同時にお伺いしなければならぬですが、一切の社会保険基礎というものは、昨年いわゆる昭和二十八年の七百三十六億のわく、今年の当初予算のわく七百七十四億、三党協定の修正による七百九十九億、いわゆる日本の総予算の中の七%ないし八%というのが、大体日本の社会保障費のひとつのコンクリートしたような観念として現在われわれの前に絶えず提起せられておる問題なのです。これをイギリスみたいに二〇%にするということは、現在の日本の再軍備強行の保守勢力の強い状態のもとにおいてはこれはなかなか困難です。ほとんど不可能といつていい状態なのです。大体保険局あるいは大蔵省はこういう状態のもとにおいてこの社会保障費のわくというものを破ることができるかということなのです。この点が今後こまかい単価の問題よりも何よりも一番の根本問題だと私は思う。もし保険局の中で、現在の社会保険というものは非常な危機にあつていけないということで、大蔵省の良心的な人たちと——保険局だけでは単価問題はどうにもならない、これは一内閣の問題として論議しなければならぬと局長さんは絶えず言われておるんだが、まず一内閣の問題として持ち込むためには、大蔵省の良心と厚生省保険局の力以外で打破ることはなかなか困難な情勢にある。もちろんわれわれもこれを打破るために努力しますが、内閣の内部における原動力がそういうところにあると思いますので、これに対する大蔵省と保険局の基本的な見解を承りたいと思うのです。ほんとうは大臣に出ていただかなければならぬのですが、一応そういう案をこしらえる事務当局の意見を承りたいと思います。
  31. 久下勝次

    久下政府委員 非常に基本的なお尋ねでありますが、率直に申し上げまして私が先ほど申し上げたことに対しまして、ただいまの滝井先生のお話は逆のお考えを持つての御質問と承つたのであります。但しこれを率直に申し上げますならば、現在の点数なりあるいは単価なりというものを改訂しなければならない、特に今お話にございましたように、医薬分業実施に伴つて、そういう問題に大幅に手をつけなければならないであろうという前提に立つて、それを打破る道はないのではないかというようなお考えに私は承つたのであります。私が先ほどお答えを申し上げましたのは、そういう今後の問題でまだ結論を得ておりません問題は、考慮に入れないで申し上げておつたのでありまして、その辺に食い違いがあるように私は承つたのでございます。しかしながら実は私自身もさようなことを考えておりますがゆえに、先ほど岡先生の御質問に対しても若干の留保を置いて、原則を御承認申し上げておるということを言つたつもりでございます。確かに単価とか、点数とか、その他支出の増大いたします問題を前提として、今日の段階でそのままで申しますれば、相当むずかしい問題だと私は思つております。ただここで私が申し上げることができますことは、点数なり単価の問題なりというものを、医薬分業実施に伴つて手をつけなければならないということは、必然的な問題であるとは思つておりますけれども医薬分業実施のことだけを申し上げますれば、先ほど来お話のございますように、国民医療費負担を、このことをやるために増大させるということは、私自身もとるべき策でないと考えておるものでございます。そういう意味合いにおきましては、私は医薬分業に伴う医療費の調整あるいは点数の改訂ということは、それほど見通しとしては心配をしておらないつもりでございます。しかしこれは単純に、私はあえて申し上げますが、りくつだけの問題だと思つております。実際の問題といたしましては、いろいろ問題の起きることも私自身予想もし、また覚悟もいたしておるつもりであります。かといつて、それがただちに結論として、医療費の増大となつて現われるということは、また大きな方針にぶつかつて参りますので、何とかその辺は関係方面とのお話合いで調整をとるようにいたすほかはないというふうに考えておるのであります。  いろいろ、生活保護法、結核予防法等、例をあげてお話でございますが、この辺の問題まで私がお答えをする立場にございません。申し上げられないのでありますが、少くとも社会保険に関する限りは、今後非常に難問題が次次と起つて参りまして、各方面へ御心配をかけ、私ども自身も苦労をしなければならないことを覚悟はいたしております。いたしておりますけれども、しかしそう悲観的にばかり私は考えておりません。何らか関係方面の御了解を得て、国民医療を確保する意味における社会保険の使命を、十分達成し得る見込みがまだあるというふうに思つておるのでございます。
  32. 大村筆雄

    ○大村説明員 国の予算の総額の中における社会保障費の総額についてはどういうふうに考えておるか、あるいは今後どういうふうに考えるか、大体そういう御趣旨の御質問と了解してお答え申し上げます。もつともこの問題は私どもより大臣に御答弁願う方が適当かと存じます。ただいま社会保障費七百九十九億、これはおそらく狭い意味での社会保障費ということでおつしやつたのだと思いますが、社会保障の解釈いかんによつて、もつと広い意味で解釈いたしますと、私どもは二千億というものが社会保障の中に含まれておると考えておるのであります。ただ金額だけの面で社会保障費というものを取上げて云々するということは問題があると思うのでありまして、国民の生活がどう伸びるとか、国民所得の配分をどう考えるかという観点とも関連して、社会保障の問題を取上げて行かなければならぬと、こういうふうに考えておるのであります。それにつきましては予算総額の全体において、産業振興費との関係もございますし、その他全般の問題としての一環として論ずる必要があると考えます。私ども全体の気持としては、社会保障制度全体としてこれをだんだんよい方向に推進して行くという気持を持つておるのでありまして、そういう気持の上に立ちまして最低どこまで経費を見るかという点で、できるだけこれを拡充し、あるいは増額して行くという気持においては、みなこれは共通しておる次第でございます。私としてはこの程度のことしか申し上げられません。   〔委員長退席、古屋(菊)委員長代理着席〕
  33. 滝井義高

    滝井委員 どうも二人から明確な答弁が得られません。まず先に保険局長の方ですが、保険局長医薬分業の問題を私がここで一生懸命論議したものでありますから、医薬分業問題にこだわつておるようでありますが、私は医薬分業にはこだわつていないのです。問題は最初申しましたように、十一円七十七銭という単価が出たわけでありますが、問題は単価だけでなく、点数との積なのでありますから、そうすれば技術料というものは主として点数で多く現在は現われて来ておるわけであります。だからこれは医薬分業には関係ない。日本においては技術者が尊重されておらないことは、万人の認めるところであります。従つて技術料というものは、医薬分業があるなしにかかわらず、これは隔離しなければならぬ。社会保険で隔離しなければならぬことは当然であります。従つて技術料というものは、これは医薬制度調査会や臨時報酬調査会においても、国民所得の増額に比例して上げて行かなければならぬということを言つておるのです。従つて千五百億という二十七年くらいのものを基礎にしてこの前医務局長と論議したのですが、そのときの国民所得と現在の国民所得五兆九千八百億に比較してみれば、国民所得は二三%上つておるわけであります。そういう一般論としても技術料を上げて行かなければならぬわけです。これは医薬分業を前につけ加えたから、どうも医薬分業にこだわつておるようでありますが、決して私は医薬分業にこだわつておるのではなくして、一般論として技術料というものは当然考慮しなければなりませんし、あるいは技術者というものも当然に今の社会保険においては、学校を出たてのわれわれのような若僧の医者と、大学出て何年もやつておる老大家とが、同じ点数でやられておるというところにも一つの不合理があるわけでございます。そういう点で、何も決して医薬分業にこだわつて言うのではないので、一般論として現在の社会保険というものをほんとうに打立つて行かなければならぬ。今の七百九十九億という中に、これは社会保険単価の問題が一切含まれて来ておる。なぜかといえば、社会保険費、結核対策費、あるいは失業対策費、いわゆる日雇い労務者の健康保険というものも結局ここから生み出されて来るわけです。あるいは生活保護費というものの中から、いわゆる生活保護の医療というものが出る。児童保護費の中から厚生医療、育成医療というものが出て来るということになれば、やはり主眼はここなのであります。七百九十九億のわくが広がることは即社会保険の津価の拡充ができて、単価問題の解決を割合やさしくすることを意味するわけです。やはり根本はここです。こういうわくの中で締められておつていいか。とてもそういう情勢ではいかぬじやないか。  それから大村主計官の方もそういう意味なんです。日本の社会保障費二千億の内訳をちよつとお聞かせ願わなければならぬと思うのですが、社会保障費を拡充していただかなければならぬ問題は、いろいろたくさんあることは私はわかりますが、やはり今社会保険単価を論議しているわけです。単価というものが出るのは、七百九十九億のわくの中から出て来るわけです。これを今の社会保険の危機に対してそのままでいいかどうか、大蔵省事務当局の良心はどう考えておるかということを言つているわけです。保険局だけでこの問題を解決できない段階もあるわけです。たとえば先般、昨年の補正予算の問題について、入院料を二十四点から二十七点に上げ、往診料を五点から十点に上げたときも、問題はやはり主計局が一番難色を示したわけです。あるいは現在医者の税金の問題は、国税局は税金を三〇%にするということに反対であるというけれども、あなた方の方はそうじやない。単価を上げられるから、ひとつ税金を三%にぜひ上げてもらうということで、大蔵省内部においても主計局と主税局は意見が違うのです。だから日本の一つの内閣の中で、一つの医療行政に対する意見がまちまちであつては困るから、内閣としてはどうなんだ、そのためには大蔵省の主計局と保険局とが、医療問題はどういう方向に進めようじやないかということを話合つてみたらどうかということで、実はおいでを願つているわけです。そういう点誤解されないように御答弁願うとともに、二千億の内訳もひとつあわせて御答弁を願いたい、こういうことであります。
  34. 久下勝次

    久下政府委員 まず私から私に関するお答えを申し上げます。  技術料あるいは技術差の問題、単価の問題等を取上げてお話でございますが、この点には私どもも触れて申し上げたつもりでありまして、それらの問題は、現在の診療報酬——点数と単価の積として支払われます診療報酬が、全体として医師の技術を合理的に、あるいは医師の生計を立てるのにはたして合理的なものであるかどうかという点にかかるのであろうと私は思います。それらの点は私どもとしては総合的に考えまして、今日の段階におきましては、まだ診療報酬そのものの総額として支払われますものが、必ずしも不合理であるというような結論には達しておらないのでございます。そういう意味合いにおきまして、先ほど前提をつけて申し上げたつもりであります。  それから技術差の問題につきましては、これは私ども常々、むしろ私どもの方からも言つている問題であります。これはおそらくそれだけの問題として論じますならば、何人も異存のないところのように私は承知いたしております。ただ問題は、技術差をいかにしてつけるかという問題であります。この点が数年来、もつと長くと言つてもいいのですが、戦争中にできました国民医療法の時代から未解決の問題でございます。医師及び歯科医師の個人個人の技術差というものを、だれにどれだけのものを支払えということを、具体的に個々の段階をつけることのむずかしさのために、必要なことは論ぜられながら今日まで未解決になつておる問題でございます。もう一つつけ加えて申し上げますが、私どもとしては社会保障の一環である社会保険に対して、国庫としても、必要な経費の支出をもう少し増額してもらうという希望におきましては、年末かわつておりませんし、今後もなおこの要望は続けて参りたいと思います。ただしかしながら社会保険診療報酬の問題を、すべて今日の段階で国庫の負担のみで解決しようとする、そういう行き方をとることがいいかどうかということにつきましては、私はまだそういう結論に達しておらないのであります。むしろ国庫負担ということは、今日日の前にいろいろ御要望のあります問題を解決する手段として使うという意味でなくて、もつと基本的な立場に立ち返つて、社会保障の一環である社会保険に、現在以上に国庫の負担を出してもらうというような線で論ずべき問題であろうと思います。そういたしませんと、今御引例になつたような単価問題、技術料、技術差の問題の解決のために国庫負担を増すということは、必ずしも私は全体の観点から言いまして得策であると考えておらないのであります。
  35. 大村筆雄

    ○大村説明員 医療点数の一点単価の問題でございますが、これにつきましてはただいま保険局長から御答弁なさいました意見と私どもは全然一致いたしております。別に矛盾しておりません。  それから二千億の内訳でありますが、手元に資料を持ち合せておりませんが、おそらく七百九十九億の内訳には遺家族援護対策費、軍人恩給費を入れてのものであると思いますが、これはおそらく含めていらつしやらないと思います。これは私ども遺家族援護対策費いたしましてそれを全部入れております。遺族年金も軍人恩給も入れております。その他恩給費も社会保険の一環として入れております。そういうのを広く社会保障と解釈いたしまして二千億という数字を出しております。
  36. 滝井義高

    滝井委員 大村主計官保険局長も大体意見が同じだ、必要な経費の増額をある程度やるということらしいのでございますが、ぜひそうしていただきたいと思うのです。  それから今局長の御答弁の中で、現在の報酬が不合理でないというお言葉があつたのですが、そうしますと現在の十二円五十銭甲地区、それから十一円五十銭乙地区というものを妥当だ、こういうお考えなんですか。
  37. 久下勝次

    久下政府委員 仰せのことは、いつも私が言葉をあいまいにした答弁をして御非難を受けるのですが、実は正直なところ私は今お話のような妥当であるという結論も持つておりません。しかしながら先ほど申したような不合理であるという結論も持つていない。非常にあいまいな気持でございますけれども、それはなぜかと申しますと、私どもは現在検討している段階でございます。そういう段階におきまして、これだけの大きな問題を右に左に結論をつけるということは早計であると思つておりますし、また現に心からそう感じております関係上、さように申しておる次第であります。御了承願いたいと思います。
  38. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと妥当であるかどうかはわからぬ、しかし不合理ではない、こういうことなんですね。そうしますとお尋ねしますが、大体今の単価というものは、これは非常な紛糾の後に決定した単価でございますが、昭和二十七年三月末日までの暫定単価ということではなかつたのですか。それともこういうように四年も五年も恒久的に行く単価として診療担当者なり、あるいは政府当局者が理解しておつたのですか。その点は恒久的単価であつたか、暫定的単価であつたか。
  39. 久下勝次

    久下政府委員 不合理とか妥当性ということを念を押してお話でありますが、そういうふうな言い方をされることは必ずしも私ども言つておりません。不合理とも合理的であるとも考えていないというふうに御了承願いたいと思います。  それから暫定単価であるかどうかという問題につきましては、この辺実は非常にデリケートな問題でございまして、私どもの率直な立場を申し上げれば、厚生省といたしましては、当時原案としてお示しをいたしました現行単価を正しいものとして出したつもりでございます。ただ診療担当者側はこれを了解をいたしますのに、自分たちは暫定単価として受取るというような文書が出ておるという関係になつております。またそれに関連して臨時医療保険審議会をつくるというお話もございました。これも設置をいたしておりまするので、この点は見解の相違、御解釈御自由ということになろうかと思いますが、私ども立場を率直に申し上げれば、医療担当者側は暫定単価であるとおつしやいましたけれども、私どもの方としてはそうは考えていない。しかし御意見のあることでもありまするから、臨時医療審議会を設けまして、根本的に検討いたしましようというような態度をとつたものでございます。
  40. 滝井義高

    滝井委員 そうするとあれは一応固定した恒久的な単価た、厚生当局の考えはこうなるわけです。しからばその二十四年の九月のいろいろの物価その他を基礎にしてつくつた単価、現在のこの昭和二十九年の現実において、なお二十四年の基礎にしたものが妥当なものとして依然として続けることがいいのか、それは不合理ではない、やはり当然妥当なものとして行けるのかどうか、こういうことなんです。もつと率直に答弁を願えば、単価改訂の——これは安くなる方に改訂することと高くなる方に改訂することとありますが、いずれにしてもかまわないが、とにかく改訂の必要があるかないかということなんです。
  41. 久下勝次

    久下政府委員 率直に申し上げますと、二十四年九月の調査の実績に基きまして、これに二十七年一月までの物価及び賃金の変動の指数を乗じまして、現行単価というものは出ておるのでございます。従いまして二十七年一月から今日まですでに二年以上もたつております。その後の変動を見なければならないのではないかということは、それだけの観点からは申せると思います。しかしながらこの辺が実は非常にデリケートなところでございまして、厚生省自身が、当時の厚生大臣が非常に骨を折られまして、一応数字としてはこれを妥当なものとして、私ども信じて出し、今日においてもそう思つておるのでありまするが、医療担当者側の御要望にこたえまして、所得税課税につきまして特別な措置を講じておるのでございます。これは単価が低いがために特別の措置を講じたというのではないと私は思つておるのであります。単価としては、計算の基礎としては合理的ではあるけれども、しかしながら医療担当者側からそういう御要望もありましたので、税に対しも特別な措置を講ずる必要があるという当時の厚生大臣の政治的な判断のもとにとられたと思つておるのであります。しかしながら、結果におきまして税に対して特別の措置が講ぜられ、今日若干の問題はあるにいたしましても、基本的にはそうした方針が維持されておる現実であると思います。そこでそういう点を勘案いたしまするときには、結果におきまして医師の技術料とも見らるべき生計費が相当上まわつて、つまり単価計算基礎になる先ほど申し上げた数字よりも当然上まわつたものになつておるわけでございます。そういう点を考慮いたしますと、私ども立場からのみ申し上げれば、必ずしも単価を改訂しなければならないという結論にはならないわけでございます。そういういきさつで個々の問題をそれぞれ筋を立てて、それをまた前提として申し上げますと、あるいは説明をいたしますると、今日理論的に単価を改訂しなければならないということにあるいはなるかもしれませんが、私どもの見解は以上申し上げた通りでございまして、もしも今日の単価決定いたしました際の計算の基礎になりましたものが正当なものであるという前提に立つて、ただ特別な措置として税の措置が講ぜられておるのが。しかし結果において単価というものは、それでは今日筋が立たない、不合理なものであるかどうかというような観点に立つてものを論じました場合には、私どもとしては、税に対する特別措置というものもあわせ考えまして、そうして単価の問題も是正するかどうかということを検討しなければならないというふうに思つておるのであります。しかしながら、そういうようなことは必ずしも各方面の御賛同を得ている意見ではございません。むしろそれはそれとして別々に筋を立てて行くべきだという御議論の方が、特に医療担当者側には強いわけでございますので、私が先ほど来あいまいなことを申し上げておりますのは、そうした問題について、私どもは何と申しましても、今日の段階では十分な御了承を得ておりません。かといつて、それでは私どもが改訂をしなければならないと思つておるというふうな段階でもないというきわめてあいまいな段階であることであります。
  42. 滝井義高

    滝井委員 どうもちよつとわかりませんが、昭和二十七年一月までの物価、賃金の変動を一応やはり二十六年の末にきめた単価は考えた、こういうことなんでしよう。そうしますと、その後における物価あるいは賃金の変動というものは考慮しなければならぬから、そういう観点からは現在の単価というものは改訂しなければならぬ、こういう御答弁をされておるが、あとになりますと、どうも現在の単価を改訂する必要はないようである。こういうことですか、どうですか。その限りにおいて物価及び賃金がもし二十七年一月以来二箇年間に変動をしておるとするならば、これは物価あるいは賃金というものは単価決定の重要な要素であつたので改訂しなければならぬ、こう了承してさしつかえありませんか。それが一つ。  それから税金の問題は厚生大臣その他——大蔵委員会にも私この前出たのですが、国税庁長官がうんとつるし上げられた結果、これはやはり単価の問題で問題が未解決であつたので、その不足分を税で補う、こういうことだつたと私は了解をしておるのですが、どうも今の御答弁で、後半の答弁では、税も考慮して単価決定しなければならない、こう言われるかと思うと、税は別であつた、こう言われるようでもあつたし、その点どつちなんですか。この二点をもつとはつきりしてください、大事な点ですから……。
  43. 久下勝次

    久下政府委員 まず、ちよつと私の方から申し上げたいのでございますが、ただいまの御意見を伺つておりますと、現行単価決定いたしました昭和二十六年十二月の処置は是認をされておられるのかどうか、その点が明確でございません。もしも現行単価決定基礎になりましたその数字を是認してかかる……(滝井委員「一応是認していなければ話にならぬでしよう」と呼ぶ)私どもは是認をしてかかつておりますので、先ほど申し上げたようなことになると思います。つまり是認をしてかかつておるということは、この単価をきめた当時の条件としては妥当であるというふうになるわけであります。それによる医師生計費は、CPSの二〇%増しの一万八千九百十九円という計算をしておるわけでございます。しかしながら妥当であるにもかかわらず、政治的な考慮から、当時税に対する特別な措置が講ぜられました結果、この税金に必要な六千八百三十九円というものは引下げられまして、医師生計費、つまり医師の収入と申しますか、生計費に充てらるべき収入、実質所得が増額された結果になつておるわけでございます。これはただいま数字を持つて来ておりませんが、昭和二十七年一月以降の賃金、物価の変動、それをかりに税措置がないものといたしますれば、賃金、物価の変動をスライドさせたものを上まわる程度の措置が講ぜられておる、こういうように解釈していいと思うのでございます。そういう意味合いにおきまして、今日結果におきまして、医師に支払われておるという言葉は少し適当ではございませんが、医師所得になつております社会保険診療報酬というものが改訂を要しなければならないほど不合理なものであるという結論になつていないということを申し上げておるのでございます。
  44. 滝井義高

    滝井委員 一万八千九百十九円を認めるか認めぬかということは、現実にもう十一円五十銭と十二円五十銭でわれわれ診療担当者は受取つているわけですから、認めるとか認めぬとか言つたつて、現実に受取つておることなんで認めておるのです。認めなければ受取らないはずですから……。ところがその受取つておるということは、一応は認めておるけれども、そのときの算定の基礎というものが、二十四年の十月というようなずいぶん前の話を基礎にしておつて、それはなるほど幾分物価あるいは賃金というものを勘案したでしよう。しかしそこは意見の相違があつたので、なおこれはわかれておる。しかし現実の問題として、政治論としては認めて来ておるわけなんです。金を受取つたのであるから認めて来ておる。そうして税も、同時に一方担当者からいえば、それが不足であつたから認めるが、しかしそれは現実は不足しているというから半分は認めていないわけです。税を加えて初めてこれはどうにか受取ることに認められておるわけです。ところが現実になつて、今度は三年たつたのだから、今の一万八十九百十九円には変動が来なければならぬということは当然なんです。ところが今度は変動が来ると同時に、税の問題もその当時の通り二五なり三〇%で認められたかというと、現実は認められていない。現在三九%になつておる。これは末端の国税局に行つてごらんなさい。三九%で徴収しようとして非常に問題が起つておるのです。だから問題はこういうところにあるわけなんです。結局局長さんの了解をしておる点との食い違いが出ておる。だからそれは昭和二十六年の十月に決定したような線が、現実において税においても出ておるし、あるいは単価の問題においても今度は二年間の修正を加えられて来ると——これは何も固定の線を動かして来るわけじやない、ただスライドして来るだけですから税も同じことです。ところが税の問題はくずれ、そうしてそれが二年たつた現実において、ベース・アツプその他どんどんやられるけれども単価の問題はそのまま据え置かれておる、こういう点に問題が出て来ておるわけです。そういう点を今度はつきりと厚生省は大蔵省と話合つて、きちんときめてくれれば、問題が起つたところで、あなた方には筋の通つた主張ができるわけです。ところが筋の通つた主張を——現在の税金もくずれておるし、それから単価の問題についても変動があつたものをそのままにして置いておるところに問題がある。先般私は医者の書いた世にもふしぎな物語というものを読んだ。まず保険医の大会にやつて来るのに自転車に乗つて来ておつた。ところがパンクをした。従つて自転車のパンクを直すために自転車屋に寄つたところが、パンク賃三十円だつた。今度上野に着いて——埼玉県かどこかの人らしいが、上野に着いて靴を見たらまつ黒によごれておる。これじやどうも東京に行くのにおかしいというので、靴を磨いてもらつたら二十円だつた。ところが自分が今出て来るまでに一生懸命うちで結核菌の検査をした。結核菌の検査は局長さん御存じ通り三十分ぐらいかかる。痰をもらつて染色をして、顕微鏡でガフキーの何号だということを決定して、予防法の申請をする。ところがこれは二十三円だ。パンクを直すのはわれわれしろうとでもできますが、上手な人が直すには十五分ぐらいでちよつとやる。靴磨きは、靴磨きの大学があるということを聞かないが、材料費にしたら幾らですか、実に安い。ところが結核菌の染色をして顕微鏡で検査をして二十三円だ。その医者が世にもふしぎな物語と言つて書いておりましたが、やはりこういうところに根本的な問題がある。せつかく勉強して、希望を持つてよりよい診断をして、よりよい治療をしようという診療担当者が、こういう世にもふしぎな物語を語るようになつたら私におしまいだと思う。どうも今の医療というものは適正医療ということが問題になつておりますが、医療に生命がないのです。適正医療というのは何かというと、これは経済的な保険経済というもののみを主眼にした医療だ、いわゆる科学的な医学的な適正医療でないところに問題がある。従つてここに何か予算のわくを破るような、いわゆる適正医療が行われるような状態が出て来ると、これはどんどん監査やあるいは審査で切つて行く形が現実に出て来る。もう人間は死んだつてかまわない、保険経済を守ればいい、こういう点に非常な不合理性が現在出て来ておるわけなんです。こういう世にもふしぎな物語があるくらいなんですから、そこでもう一度前の問題の答弁をしていただきたいことになるわけですが、その点ひとつはつきりしてもらいたいと思います。
  45. 久下勝次

    久下政府委員 私があえて念を押してお尋ねしたのでございますが、ただいまの御意見の前段と後段と私は少し何か違いがあるように感じたのであります。と申しまするのは、少くとも終局的に滝井先生がおつしやつておりますことは、現在の社会保険診療報酬というものは現行単価基礎としてそれだけでは不十分なので、税に対する特別な措置を講ぜられて、両々相まつてその結果において了承しておるのだ、というふうにおとりになつておるようにうかがえます。しかしながら私どもとしてはそう考えておらないのであります。そこが食い違いの点だと思います。私どもとしては、少くともその当時のやり方としては、この現行一点単価決定いたしました内容につきましては、不合理の点を考えておらないのであります。今日でもさように思つております。従いましてそれだけの問題でございますれば、物価賃金の変動の指数を乗じてこういう計算がされておりまするので、大幅な変動がありますれば、当然手をつけなければならないということになろうと思います。ただ私が申し上げておりまするのは、滝井先生のおつしやるのと少し違うのでありまして、一点単価の計算の基礎そのものは合理的なものである、それにもかかわらず、特別な政治的な考慮から税に対する特別な措置が講ぜられた、そういうふうに理解をしておるのであります。従いまして前の方だけで申しますれば、物価賃金の変動に応じて今日手をつけなければならないかもしれませんけれども、税に対する特別措置が——部分的には確かにお話のように若干の問題もあるように私聞いております。私どもの方でも今調査をいたしておりますが、とにかくそれは抜きにいたしまして、方針としては、やはり同じようなことが続いております今日の段階におきまして、私どものような前提に立ちます限り、この単価計算の某礎というものを今かえなければならないというふうに考えておらないということを申し上げておるのでございます。いろいろ御引例のございました個個の点数等につきましては、ずいぶんいろいろな御意見がございます。その辺のことにつきましてはまた御指摘によりまして十分に検討をいたしたいと思いますが、私どもお話の中にございました現在の社会保険診療は適正診療ではないという断定は下しておりません。むしろ必要にして十分な医療はやつており、近代医学の進歩に応じた新しい治療方針もどんどん取上げてやつておるつもりでございます。世にいわれる制限診療であるとか不適正診療であるとかいうような考えは持つておらないのでございます。
  46. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、大分問題がはつきりして来ました。局長さんの方は一万八千九百十九円というものは適正なものである、従つてその当時税を三〇%にしたということはおまけだつた、こういうことなんですね。従つておまけが六千八百三十九円ついておつたので、物価の変動が昭和二十七年以来現在までの二箇年の間に相当あつたにしても、六千八百三十九円というおまけが当時ついておつたのだ、しかも税はそういう状態で、現実に問題はあるにしても、行われておるから、単価改訂の必要はない、こう了解してさしつかえないわけですね。どうもそうなるように思う。
  47. 久下勝次

    久下政府委員 私はそういうふうに最初から断定的に申しておらないのでありまして、そこの辺が少し問題の焦点がいろいろこんがらがつて来る原因ではないかと思います。実は大蔵省がここにおられますので、私も非常に言いにくいのでありますが、税の問題などで交渉いたします場合には、私は、私があえて御指摘申し上げた滝井先生がおつしやるようなことを、実は大蔵省に言つておるわけであります。従つて私がまだ改訂をするという結論に到達していないという意味においていろいろなことを申し上げたのであります。こういう説明もつくという意味で……。しかしながらこれはおそらく政府部内でもこんな言い方をしましたならば、大蔵省あたりは税の問題では絶対にそつぽを向くだろうと思います。私は問題を単純な理論と政治的——政治的と私どもの考えるのははなはだおこがましい話でありますが、とにかくいろいろな措置がとられて、それらを総合した考え方に立つた結論とはもちろんかえて考えなければならないと申しているのであります。ただお前は現行単価を適正と思つているのかどうか、それを改訂しなければならぬと思つているのかどうかというようなつつ込んだ御説でございますから、世の中では各方面の方々に御了得をいただいている説明ではございませんが、こういう説明もできると私どもは考えております。少くとも現行単価を当時におきましては私どもは正当のものとして事務的には考えておつた。現在もそう思つているということを申し上げているにすぎないのでありまして、これをただちに現行単価は改訂しなくてもいいんだという結論を私が持つているとおとりになつていただくことは私の本意ではございません。少しあいまいな言葉で申し上げて恐縮でございますが、結局現行単価につきましては、そうしたいろいろな総合的な措置がとられておりますことをまた一つのまとまつた前提として考えなければならない。しかしながらまた内容にわたつて論議をして参ります場合には、先ほど申し上げたようなこまかい理論も出て来るというような程度におとりを願いたいのであります。そういたしませんと、結論が今おつしやいまするように、私の本意と違う方に伺つてしまいますので、たいへんあいまいなことを申し上げて恐縮でございますけれども、御了承願いたいと思います。
  48. 滝井義高

    滝井委員 どうも曖昧模糊としておりますが、いずれにしてももう結果的に見て単価を改訂しなければならぬと私は断定をいたしたいのです。それとやはり税の問題あるいは単価の問題とともに行われた一つの点があります。それは源泉徴収の問題でございます。社会保険のいわゆる基金から支払われるものは、一括して当時三万五千円だつたと思いますが、現在は多分生活保護法関係が加わつたので四万になつていると思います。これは現在一年間に総計幾らくらいが源泉徴収されておりますか。
  49. 久下勝次

    久下政府委員 最近生活保護法がかわりましたので、最低基準はちよつと失念いたしましたが、生活保護法は全面に扱います場合は御承知の通り三万五千円、その後のものにつきましては後ほど調査をいたしまして御返答申し上げます。
  50. 滝井義高

    滝井委員 どうも私がちよつと調べたところによると、二十八年四月から二十九年二月まで二十三億一千八百九十三万で、東京だけでも三億二千万円くらい徴収された、こういうことですが、問題はこの金です。基金にこれが毎月々々支払い者からとられる。そうすると税金は私たち多分年三回納めるのですが、これはもう前もつてどんどん納めているわけなんですが、実はこういう金が単価問題とともに、いわば税をまけてやるから引きかえとして大蔵省にとられた形になつているわけです。二十三億の金が一年間にわれわれの手元にあつて、三箇月でも四箇月でもこれをまわすことができるということになれば、これは医療担当者にとつては相当の資金になるわけです。ところがこれが吸い上げられてしまつているわけですが、基金では大体金はどうしているのですか。毎月とるのですから利子その他も相当あると思うのですが、二十三億の金ですから、まわせば相当の利子になると思います。大蔵省に納めるのはおそらく一年に三回納めればいいんだと思いますが、これをまわそうと思うならば、二十三億三回に納めると三で割つても七億ばかりの金が全国でに三箇月か四箇も動く形ができて来るんじやないかと思うのです。あるいはその半分の四億くらいかもしれませんが、この金の扱い方を基金でじつとむしておくのも惜しいことと思いますが、これは何とかしておりますか。
  51. 久下勝次

    久下政府委員 基金のそのやり繰りにつきましては、各保険者から必要な保険給付の支払いに要する資金を基金に支払いをするわけであります。支払いが来ますとすぐそのまま——そのままというのも語弊がございますが、あらかじめの計算に基きまして、一日を争つて医療担当者に支払いをいたしております。そのときに同時に国税局にも源泉徴収の分を支払つているはずであります。従いまして国税局に支払う部分を温めておつて、基金が利子をかせぐということはないはずであります。なお基金全体として確かに年額五、六百億の金を扱つております。それは扱い金額が大きいのでありますけれども、しかし基金として利子収入として予算編成をいたしておりますが、昭和二十九年度におきましても三千万円程度でございます。ごく短期間銀行に預託をいたしますので、その間の利子は三千万円ほどで、結局この金はお話の税に支払う金も含めて診療報酬として保険者から支払われましたものをほんの短期間銀行に預けますために生ずる。基金全体の坂扱いの金額でいえば三千万円という利子収入はそう大したものじやないと思うのであります。
  52. 滝井義高

    滝井委員 時間がありませんのでこれでやめますが、先般個人的にもお話しましたが、この社会保険医療協議会の件です。これは大蔵省が来ておられますのでお尋ねをしたいのですが、聞くところによりますと、この協議会の委員の方が、個人的に私も指摘したのですが、非常に東京付近ばかりである。大阪あたりがちよつぴりいるのですが、なぜ東京付近ばかりに委員を持つて来たんだということで聞いてみますと、これは旅費の問題があつてこういうふうになつているので、遠方からでは大蔵省が経費を出さないということなんですが、大蔵省で何かこういう委員を決定するときに、こういうわずかな旅費まで主計局あたりではけちに削つてしまうのですか。なぜこういう質問をするかと申しますと、御存じのように現在社会保険は全国で私の計算したところでは家族も含めて五千四百二十万、これはもちろん共済組合まで入れてなんです。ほとんど国民の五八%、約六〇%近くのものが包含せられている。そうしますと、これは地域的な色彩というものが単価決定その他に——これは十一円五十銭とか十二円五十銭とか十三円五十銭とか、甲乙丙とあるわけですが、ところが医療協議会というものはそういうものを決定したりあるいは保険医が悪いことをしたらその指定の取消しその他をやるのです、従つて普遍性とともに地域性を反映しなければならぬ委員会でございますが、旅費の関係があつてどうもこれはこういうことだというお話もちよつと承つているんですが、その点大蔵省どうですか。今後もし普遍的に、たとえば九州や北海道の果からやつて来るのでも、そういうものの旅費を削るいうことはないでしよう。これをひとつ……。
  53. 大村筆雄

    ○大村説明員 私ども協議会とかあるいは審議会の経費を審査いたしますのは、具体的に当時わかつております委員の現住地を基礎にいたしましてそれで旅費を積算いたしておりますから、特に東京近辺しか委員に出られないような旅費を計上するということは絶対にございません。
  54. 滝井義高

    滝井委員 そうしますとこんどは厚生省になるわけですが、今大蔵省からはつきり言明を得ました。中央社会保険医療協議会というものはいわゆる社会保険の活殺を握つている諮問委員会だと私は見ているわけなんです。私は社会保険というものは保険者と被保険者と療養担当者、この三者が一番利害関係、特に利害関係の多いのは診療担当者と診療を受ける被保険者だと思う。これは基礎なんです。被保険者とかいうけれども、これはやはりどつかで医療を受けるわけでありますから、あるいは公益代表とかいいますけれども、これもやはり医療を受けるわけですから、すると問題はこの構成にある。今までのこの構成を見ると、保険者の代表が六人と被保険者、事業主の代表が六人、診療担当の代表が六人、公益代表が六人。そうしますと問題は、これは経済的な問題も決定しますが、やはりこれはきわめて専門的な技術上の問題等も扱うべきだ、あるいは診療内容の監査の問題も扱うべきだ。そうしますとその医療協議会で一番犯人になる方の側はだれかというと、これは診療担当者だ。この診療担当者の代表は、医師、歯科医師、薬剤師を含めてわずかに六名なのです。こういうことは私が医者だから言つておるのではなくて、これではほんとうの技術的な問題の審査その他が非常にできかねる。公益代表というものを見ると、これは全部被保険者に入る人になる。被保険者に入らなければ、社会保険の学者以外には、社会保険関係のない人は、何も入れる必要はない。従つて私はこの委員の構成についてはもつと考えてもらわなければならぬと思うのです。少くとも地域的な代表を入れてもらわなければならない。たとえば当然北海道とか九州とか四国というような辺陬の地域からの代表も入つて来なければならない。ところがこれを見ると、委員二十四人の構成というものは健康保険国民保険、船員保険の保険者の代表六人、こういうことなのです。それから被保険者、事業主、船舶の所有者まで入れておる。その代表が六人、それから医師、歯科医師、薬剤師等の利益代表が六人で、公益代表の人が六人、こうなつておるわけなのです。こういう構成が問題なのです。問題は医者と患者なのです。だから少くとも患者と医者と半々くらい入れて、そして両者の意見の対立するものをきめる意味で、保険者なり公益代表から二、三人入れたらいいのです。これは医師、歯科医師、薬剤師が不当に圧迫されて、これでは保険の医療協議会というものではない。少くとも二十四人の委員を選ぶならば、五千四百万の被保険者の中から十人くらいは出て来なければならない。そしてその五千四百万の脈を直接握つておる歯科医師なり、薬剤師なり医師が——今後いわゆる分業をやるとすれば、当然薬剤師も入つて来なければならない。それからこれには保険局長さん、医療課長さんしか入つておりませんが、当然社会局長も入つていなければならぬと思う。なぜなら生活保護法の医療というものは日本における重要な医療の問題になつて来ておる。国民保険の方は入つておりますが、それが入つていない。当然こういう委員の構成は、できればあなたの方から法律の改正案を出してもらつて、委員を、ブロツク別にできなければ何か地域的に出すような状態をつくつていただかなければ、これはほんとうの協議会にならない。東京や大阪のような社会保険の発達——東京には国民保険さえもないではありませんか。そういうところからばかり委員が出ておるが、現在の日本の中で、少くとも国民保険の関係者は二千四百万人おるわけです。そうすれば二千四百万の者は何によつて運営がなされておるかというと、市町村が運営主体である。ところがそう言つては語弊がありますが、国民健康保険の中には、相当これを食い物にしておる人がおるということなのです。これは全部とはいえませんが、そういう傾向にある人がおるということが言われております。従つてそういう上に積み上つた代表ではなくして、やはり草深きいなかの中で、ほんとうに国民健康保険に取組んで苦労しておる人を出して来て、そういう真実の声を聞くという姿をつくらなければ、日本の医療制度社会保険制度というものは非常に阻害される、むしろこういうところに問題があると私は考えます。こういう点についてどうです、これをあくまで押し通して行かれるつもりでありますか。そういう地域的なものも考慮して、少くとも九州や北海道や四国の辺陬の地域からの代表も、旅費を出すといつておるのですから、入れる御意思があるか。この形式は各団体の推薦ということになつております。これは一応法の上ではそういうことをうたわないとぐあいが悪いと思いますけれども、出すについてはこれはもつと考えなければならないとこう思うのです。この点ひとつ御答弁を願いたい。
  55. 久下勝次

    久下政府委員 現在の中央社会保険医療協議会の構成につきましては、ただいまお話のございました通りで、各関係の団体からの人々は、それぞれの団体からの推薦によりますこともお話通りであります。御質問は推薦をしてもらう場合に厚生省として注文をつけたらどうかということのようでありますが、まだ現在の段階におきましては、私はそこまで言うことがよいかどうか考えておるものでございます。ことに御指摘になりました国民健康保険につきましては、代表者は、国民健康保険団体中央会の専務理事のほかは全部地方から出ておりまして、現在の委員は栃木県、神奈川県及び愛知県でそれぞれ国民健康保険の運営をやつておられる方々でございます。そういう意味におきましてはただいまの御意見通りになつておるわけでございます。その他の関係者につきましては、たとえば診療担当者の代表といたしましては、山形県の医師会長も入つておるわけでございます。ただ地域代表ということを医療協議会のメンバーの構成の主体にし、それを原則とするということ自身におきましては、私はまだ相当検討を要する点があろうかと思います。これについては医療協議会で論議していただきまする問題はいろいろありまするけれども、そのすべてがもう少し高いと言つては語弊がありますけれども、ある特定の地方の利害とか、ある特定の階層の利害ということのみを代表するものでなくて、医師、歯科医師の利害全般を代表するような方に出ていただく方が、この協議会の運営としてはより適当ではないかというふうに考えておるのでございます。もちろんそれぞれ医師、歯科医師、薬剤師というものが、全体として各地方地方の利害得失を、そうした全般の立場から取捨選択をして、歯科医師会、医師会としての立場で、意見をまとめて協議会に出て来ていただくことが本来の姿であろうと考えておりますので、私の方から特に地域の代表をつくるということの注文をいたしますつもりは、ただいまのところはありません。
  56. 滝井義高

    滝井委員 地域の代表を出せということではなくて、地域を考慮する必要があるということなのであります。たとえば今申しましたように、生活保護の医療費というものは二百億を越えておる。ところがそういう医療費関係である社会局長は入つていない。まつたくこの協議会に対して発言権がない。ところが生活保護というものは現在社会保険と同じように取扱われておる、こういうことなんです。そうしますと当然その主管の保険者として社会局長が入るならば、今度は福祉事務所関係の貧しい人々を直接お世話する人が入つて来なければならぬことになる。あるいは今度は日雇い労働者の保険ができて来たので、こういう者も当然出て来なければならぬ。現在日雇い労働者と船員とはどつちが多いですか。これは明らかに日雇い労働者の方が多い。ところが船主の代表まで入れておる。こういう点に現在の社会保険の状態から考えて非常な不合理がこれには出て来ておる。また国民健康保険というものの運営の主体はそれぞれの市町村にある、連合体というようなものはわれわれはつくらなくてもよいのです。連合体は国民健康保険の運営にとつては、予算の面、その他においては大して貢献していない。むしろそれがあるためにいろいろの問題が出ている。しかも連合体から来ておる者は保険者なんです。それは保険者の代表でよい。何もそういうものが被保険者の代表として入る必要はない。被保険者の代表として入れるならば、運営委員のようなものを入れなければならぬ。運営委員は各市町村の中で、ちやんとそれぞれ公益代表から出ておりますけれども、運営委員の中には被保険者の代表も出ておるのですから、運営委員の中から出して来るべきものなのです。それが保険者の代表も、被保険者の代表も、公益の代表もみんな保険者の中から出て来て、ほんとうの五千四百万の患者の声というものが出て来ない。あるいは五千四百万の現実に脈を握つている医者、薬剤師の数があまりに少い。だからこういう点で保険局長なり、社会局長なりを入れたり、あるいはその対象になる福祉事務所や自由労務者失業対策関係の人を入れたり、あるいはもつと薬剤師や医師、歯科医師の人をふやす考えがあるかどうかということなのです。
  57. 久下勝次

    久下政府委員 まず社会局長の問題でございますが、現在の私どもの仕事のやり方から申しますると、私はその必要を感じないのじやないかと思つております。社会局長からあるいは注文が出れば格別でございますけれども、部内におきまして確かに医療協議会で審議をしていただきます案件は生活保護法に相当大きな影響があります。しかしこれはひとり生活保護法だけではなしに、公衆衛生局所管の関係の方面にも大きな影響があり、あるいはまた医務局関係にも影響があるのであります。それぞれの部内におきまして影響がありますので、私どもとしては中央社会保険医療協議会に諮問をいたします案件を決定いたします前には必ず関係局と緊密なる連絡をとり、打合せをいたします。その了解を得なければやらないという建前をとつております。それ以外におきましては審議会におきまして意見がありますれば、それを私どもがかわつて申し述べることもできましようし、まずまず現在の段階ではその必要がないだろうと思いますが、かりに必要があるといたしますると、これは法律を改正しないとできませんので、その辺ももう少し検討させていただきたいと思うのであります。それからその他の医療担当者の人数をふやすということにつきましては、そういう御意見が従来からございます。臨時医療保険審議会ができましたのも、本来ならばこういう法律に基く機関があるのでございますから、診療報酬の問題でああいう特別の機関を設ける必要はなかつたのです。ところが診療担当者の占める割合が医療協議会においては四分の一である。従つてもう少し診療担当者に重きを置いた制度をつくつてほしい、こういう御要望であり、この点はこもつともだと思いまして、臨時医療保険審議会を設け、この構成は診療担当者を全体の三分の一に引上げるというような重みをつけて現在やつておるわけでございます。その意味合いにおきましては少し考えなければならないと思いますが、しかしまた一面医療協議会の案件をいろいろ検討いたしますると、保険者の代表、被保険者の代表はこれはどうしても扱くことはできませんし、それを診療担当者の比重を軽くするということも、これまた検討を要することだと思います。そういう意味合いにおきまして診療担当者のみをこの際ふやすということはいかがなものかと考えております。先ほどの地域的に出すということにつきましては、もしも地域的な問題が医師会、歯科医師会として問題であるということがございますれば、医師会、歯科医師会の方で委員を推薦する際にそういうことを考慮していただけばいいことであろうと思います。くどいようで恐縮でございますが、私は私の立場から医師会歯科医師会にそういう指導と申しますか、注文と申しますか、申し上げるのは適当でないように考えておる次第であります。
  58. 滝井義高

    滝井委員 どうも保険局長、私が医者だから医師会のことばかり気にしているように思われておるのでありますが、医師会のことは問題にしていないのです。私は筋を通しているのです。たとえば国民保険の連合会会長さんとか、神奈川県の連合会長さんといつたところで、出て来ているのはほとんど関東地区ばかりなのです。だから少くとも全国で五千四百万の国民を対象としておるなら、たとえば、これはたとえばですが、九州から被保険者が一名出る。それから四国から一名出る。中国から一名出る。近畿から一名出る。関東から一名出る。東北から一名出る。北海道から一名出る。こういうような形が被保険者では出て来なければいかぬ。国民保険のこの状態を考えれば、たとえば九州、四国、中国から国民保険の代表が一名出て来る。あるいは近畿、関東から一名、東北、北海道から一名出る、こういうことを言つておる。あるいは保険者にしても九州、四国、中国から一名出る。近畿、関東から一名出る。それから東北、北海道から一名出る。それから医師の方の代表も九州から一名、四国から一名、中国から一名、近畿から一名、関東から一名、東北から一名、北海道から一名、こういうような、あるいは薬剤師、歯科医師社会保険を扱う量が少いから、やはり社会保険の扱う量に基いて代表を同様にそれぞれのブロツクから一名ずつ出て来なければならぬ。これは対々ですから、こういう構成にしなければならない。ところがこれは対々じやない。対々でお互いに論議をしてその仲裁をとり、あるいはその採決をするときには、これは公益代表、あるいは保険者代表というものを入れておつてもかまわない。ところが現実の案を見ると、医務局長さんにしても、あなたにしても、共済組合の組合員なんです。だからあなた方は二重人格になつている。共済組合の連合会の代表もする、同時に保険者の利益の代表もする、あるいはここに出ている末高さんもそうです、早稲田大学の教授として早稲田大学の共済組合に入つておる。ところが学識経験者になつておる、二重人格である。そういうことではほんとうにお互いに利益を代表して出て来るとここに書いてあるが、問題はそういうところにあるのです。いかにも保険者代表、被保険者代表、公益代表といつておられますが、実際はそうではない。本質は公益代表でも何でもない、はつきりわけたならば被保険者です。ですから、公益代表というものは全然保険とは関係のない九州とか、東京の大学の人が出て来ることが筋だ。これは労使関係すべてそういう形でやつているので、労働者の中から公益委員というものが出る形は労働委員会にも、どこにもない、ところがこれに限つてこういうことが行われていないから、おそらく医者も不満だし、問題の筋がすつきりして決定されても、今の単価の問題のように議論が出て来る、だから議論をする相撲の場というものは、お互いにふんどし一つで相撲をとらせる。行司は保険者代表、公益代表でいいのです。ところが保険者代表が皆被保険者なんです。あなた方も被保険者でしよう。こういうところに根本的な矛盾を含んでおる。表面はいかにもいいのですが、公益代表もこれは被保険者代表です。そういう点に矛盾があるので、そういう矛盾を解決して行かなければならない。これは根本的な大きな大問題ですから、はつきりした形で論議のできる土俵をつくつてやることが、われわれ国会議員の任務でもあるのです。私が医者だから、局長は私が医師会のことばかり言つておるように思われているようでありますが、医師会の代表についてもそういうふうに出さなければならぬのであります。これは一般の開業医で東京あたりは社会保険を問題にしておるかもしれぬけれども、北海道とか、九州とか、炭田地区の方では問題にしていない。なぜならば、社会保険がなくても、一般診療があるから食つて行ける。ところが社会保険ばかりの医者は社会保険の指定の取消しも、診療報酬の決定もするから、一番大事だ、あるいはいなかの医者は保険給付がその経済を左右する状態なんですから、そういう点で不合理のあることがはつきりしているわけです、だからこの法律の検討をせられて、そういう意味で改正をせられる意思があるのかどうかということをお間きしたいのです。
  59. 久下勝次

    久下政府委員 重ねての御意見にたてをつくようで恐縮ですが、私は中央社会保険医療協議会の構成が今の段階でいいとは考えておりません。もう少し構成の点については根本的に考え直さなければならぬと思いますが、単価などは、方向といたしまして今先生がおつしやつたような方向のように考えておらぬかもしれませんが、たとえば例をあげておつしやいましたように、私も実は保険者であり、被保険者であり、しかも社会保険行政の監督の立場に立つというような非常に複雑な立場をとつておりますので、結局はそれぞれの立場の方々がどちらの色合いが濃いか、どういう立場をとつて行くのが適当であるかということで、確かに被保険者の中に入つたり、お医者さんの方が公益代表の中に入つておられます。それらの点につきましてはなお御指摘の点もございますので、十分検討をいたします。また別の形におきまして私も現在考えておりますので、十分御意見の点も尊重いたしまして、検討を加えたいと思つております。
  60. 滝井義高

    滝井委員 時間もおそくなりましたから、これで終ります。
  61. 岡良一

    岡委員 時間もありませんから、簡単に一言だけお答えを願いますが、先ほど大村君の御意見によると、日本の広義の社会保障制度費というものには、いわゆる狭義の七百九十億以外に、先般復活いたしました旧軍人並びにその遺家族及び傷痍軍人等に支給さるべきものが含まれるとおつしやつた。この点は非常に原則的な問題であります。しかし、あなたもおそらくは上司の意を受けて、お取扱い上はかように考えておられるのであろうと思いますが、いかなる理由で旧軍人や傷痍軍人やその遺族に支給されるところのいわゆる恩給なるものが社会保障制度費の一環であるのかという点を、もつと具体的に御説明を願いたい。
  62. 大村筆雄

    ○大村説明員 遺家族援護対策は理論上はいろいろ問題があるかと存じます。あるいはこれは国家補償じやないかと言われる方もあると思いますが、問題は終戦後大部分の遺家族の人が非常に生活に困窮しておる、これを援護するのが端的な問題じやないかと思うのであります。そういう意味から、その作用からいいまして、これは社会保障の一環として取扱つていいのではないか、かような広い意味で社会保障の一部に入れて考えておる次第であります。
  63. 岡良一

    岡委員 しかし、それは原則的に非常に大きな誤謬だと私は言いたい。個人の所有権なり、そうした個人の生活の権限に関して、国が国の強制によつてそれを侵犯したときには、国が賠償の責任を負わなければならぬということは、新憲法にはつきりうたわれておる。たまたま遺家族の多くが貧困であつたから、遺家族援護費というものは社会保障制度費である、結果的にそうなつておるかもしれないが、しかし、それはあなたの言葉をそのまま逆説的にいえば、遺家族が貧困になつておらなければ、国はその責めに任ずる必要はないという逆説が原則として成立する。そうなれば、明らかにそれは憲法そのものを無視したことになる。私はこういうことをくどくどしくあなたと論争しようとは思わない。ただしばしば大蔵省側が発表されるいわゆる社会保障制度費の中にこれが含まれておる。こういうことは、そういう大きな原則的な観点というものを故意に無視しておられるのか、あるいはまたその国の政策を故意に何らか弁護しようという作為のもとに立つておるのか知らないが、しかしこれは原則としては間違つておる。こういう点は、滝井君じやないが筋を通しておかなければならぬ。各国の立法例を見ても、英国だつて南阿戦争の時代から、遺族にも傷痍軍人にもやつておる。もちろんこれは社会保障制度費の費目の中に入れておりません。イタリアだつてエチオピア戦争のころからやつておるが、社会保障制度費の中に入つておらない。これをただひとり日本の大蔵省が社会保障制度費として取上げておるということは、まことに国際的にもひけ目を感ずるような取扱いであるから、こういう取扱いをしないように、原則は筋を通していただかなければならぬ。  いま一つ、実は一昨年の予算委員会で私が大蔵大臣にお尋ねしたときに、今問題になつておる社会保険の問題で、保険というものはやはり保険料を中心にその経営を考えて行くべきものであるから、この際国がその給付費負担をすることは、社会保険の経営という原則から見ておもしろくないのであつて、国としてはその原則に立つてあまりいたしたくはない、こういう御答弁があつた。そこで、今度もおそらく厚生省の方では、社会保険給付費についての国の補助についてはしかるべく折衝があつたはずだと思う、折衝にあたつてはあなたは上司の意を受けてなさつたと思いますが、やはり大蔵省は現在もそういう考え方に立つておられるのかどうか、その点を承りたい。
  64. 大村筆雄

    ○大村説明員 給付費の国庫補助の点でございますが、この点は財政負担とも関連いたしますし、所得の再配分とも関連いたしまして、総合的にやはり検討しなければいかぬ問題だと存じます。単なる保険数理的な観点からだけでは解決できないと考えております。
  65. 中川源一郎

    ○中川(源)委員 関連して。さつき遺家族に対して、生活困窮しておる者が多いから援護法による保障をしておるという意味の御意見がありました。遺族の立場といたしましては、援護という言葉だけでも不愉快であり、まことに不都合千万である。援護とは、たすけまもると書いてある。助けてもらう必要は何もないのです、そういう食うのに困るならば食わせてやろうというような意味で支給されるならば、遺族としては辞退いたします。そんなものを受ける筋はないのです。国のために命をささげて尽した者に対しましては当然国が補償しなければならぬ。これは当然です。ドイツでもイタリアでもオーストリアでも、敗戦国はみな国のために尽した者には国が恩給を支給しておる。また弔慰金、年金を怠つた国はない。敗戦後怠つている国は日本だけだ。七年も八年も怠つておいて、初めて出すのに、恩給法で支給すべきものを援護法なんというけしからぬ名前をつけて出しておるということについては、その当時の厚生大臣が、まことに僅少なものである、また援護という名前をつけたことも不都合であるかもしれないが、これは国家補償の意味で出すのであるから、心から感謝の意を表わしてわずかのものでも一様に支給するのであると言つている。こういう意味でわれわれ遺族としては受取つておるのです。だから、そういう心得違いのないようにしてもらいたい。恩給を出されるについても、恩給はわずか文官の三分の一にすぎない。どの国でも当然文官以上の恩給を支給しております。日本だけが文官の三分の一とは何事ですか。国のために命をささげた者といたしましては、国にものをくれ、金をくれと言いたくない。それは国が今非常に困難な事態にありますし、また予算の都合もつかない、そういうときですから、恩給を文官並に出せということは当然要求すべきことでありますけれども、それは今遠慮しておるのです。ですから、役人の方々、ことに大蔵省の方々は、そういう心得違いのないように、重ねて私からも付言いたしておきます。
  66. 古屋菊男

    ○古屋(菊)委員長代理 次会は公報を持つて御通知いたします。なお来る十八日火曜日の午前十時より市町村職員共済組合法案について地方行政委員会との連合審査会が開かれる予定でありますから、万障繰合せて御出席をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会      ————◇—————