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1954-04-14 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十四日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長代理理事 青柳 一郎君    理事 中川 俊思君 理事 松永 佛骨君    理事 長谷川 保君 理事 岡  良一君       越智  茂君    助川 良平君       田子 一民君    降旗 徳弥君       安井 大吉君    亘  四郎君       佐藤 芳男君    滝井 義高君       杉山元治郎君    山口シヅエ君  出席政府委員         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 四月十四日  委員岡良一君辞任につき、その補欠として今澄  勇君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  厚生年金保険法案内閣提出第一二四号)  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三一号)  厚生年金保険及び船員保険交渉法案内閣提出  第一三九号)     —————————————
  2. 青柳一郎

    青柳委員長代理 都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職を務めます。  これより会議を開きます。まず厚生年金保険法案船員保険法の一部を改正する法律案厚生年金保険及び船員保険交渉法案を議題とし、質疑を続行いたします。長谷川保君。
  3. 長谷川保

    長谷川(保)委員 第三種保険者の問題でありますが、政府当局は、第三種保険者鉱業法第四条に規定する事業事業場に使用され、常時坑内作業に従事する被保険者、いわゆる坑内夫に限つているようでありますが、坑内夫のみならずたとえば恩給法三十八条におきまする今国会における改正等によりますいわゆる不健康業務あるいは労災法労基法等によりまして、それぞれ規定されておりまする危険業務不健康業務等があり、あるいは年齢五十才くらいで職場を転換しなければならないという重労働者があると思うのでありますが、何ゆえに坑内夫にだけこれを限つたのであるか、その理由をお示し願いたい。
  4. 久下勝次

    久下政府委員 坑内夫以外の特殊な労働に従事しております人たちに対し、坑内夫同様な特例を設けるかどうかということにつきましては、実はかねてから各方面に御意見があつた点でありまして、私どもといたしましては、本案を作成するにあたりましては、十分その問題も検討はしてみたのでございます。ただ成案を得ますまでは確信をもつて同様の取扱いをしなければならないというところまで調査も行き届きませんでしたので、ただいままだ検討段階にある次第でございます。具体的には、いわゆる高熱労働に従事している人たちがそういう意味合いにおいて同様な取扱いをしてもいいのじやないかという話が前から出ておるのでございます。しかしながらこれを実際に現場に行つて調査もしたりいろいろして見たのですが、坑内夫と違いますところは、非常に短時間に職場の転換ができる。穴の中に入つて終日おらなければならない、簡単に休養等もとれないような環境にある坑内夫と、やはりその点多少の違いもあるという点もございます。そういうようなことで、実はただいままでのところはまだ結論を得るに至つておらないのでございます。もう一つつけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、実は坑内夫につきましては特殊な条件の緩和をいたしておるのでありまするが、そのためにまた一面坑内夫からは高い保険料をとつておるわけであります。この点がやはり特殊な労働特別扱いをして参りまする上には考えて参らなければならない点であろうと思つております。同時にまた高い保険料をとつておりますと同時に、若干の部分につきましては、実はガラガラ計算でやつておりますので、精密な区分をして申し上げるわけに参らないのですけれども達観的に申し上げますならば、やはり小額の保険料率につきましては、一般労働者犠牲においてと申しますか、坑内夫に対して特典が与えられているというような関係もまた半面においてあるわけであります。それらの点も他の労働者にこういうような累を及ぼしますことについて、検討をしなければならない点であろうと考えておるのであります。従いまして他の労働者特別扱いをして、それが一般労働者人々に対して何ら影響がないことであるということでありますれば、これはまた比較的問題は簡単でございますけれども、この保険建前から申しまして、今申し上げたような保険料負担の面についての若干の問題もございますので、そういう意味合いにおいても、今検討いたしておるところであります。これは私ども否定的に考えておりませんので、研究中であるということで御了承を得たいと思います。
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 本法案によりますと、坑内夫諸君保険料負担は千分の三十五、一般の方は千分の三十ということになつておるようでありますが、千分の三十五出しましてなお保険数字から申しまして、他の労働者負担をかけることになつておりますか。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 先ほど申し上げましたように保険数字計算の上からは、今回の改正案坑内夫とそれ以外の女子を除きました一般労働者とは、全体の数字を一緒にして計算しておるわけであります。大体従来の慣例から、一般保険者の二割増程度保険料率負担にするというようなことでやつておるわけであります。精密に実は坑内夫だけの分につきまして、脱退などの表をつくり、数字計算をつくるという資料もまだはつきりしたものがございませんので、計算してございませんが、大体達観的に申しますれば、船員の例などと比較してみますと、若干坑内夫が他の一般の方に犠牲をかけていると言つていいのではないかという点があるのでございます。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 理論的には確かなものではないが、大体そういうことであろうという腰だめで考えられる、こういう意味でございますね。
  8. 久下勝次

    久下政府委員 さようであります。
  9. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この第三種保険者という考え方の中には、労働の非常にきつい、従つてある年齢になれば、その労働に従えないというような強度の問題と、それから不健康あるいは危険というような意味が含まれているのではないかと想像するのでありますけれども、さように考えてよろしいでしようか。
  10. 久下勝次

    久下政府委員 大体におきまして、そういう点であると思います。それにつけ加えますと、先ほど申し上げました職場労働に従事しながら、簡単に休養等がとれないという特別な環境にあるということも、坑内夫においては考慮に入つていると思つております。
  11. 長谷川保

    長谷川(保)委員 御承知のように、恩給法ではたとえば警察職員監獄職員あるいは先ほど申し上げました今回改正になりました元の恩給法の三十八条の四にありまする危険業務、こういうようなものにつきましては、恩給を授給いたしまする資格期間が、たとえば警察職員でありますと、普通は十七年でありますが、十二年で資格を得るということに相なつておるわけであります。恩給法でさように規定してあります。御承知のように厚生年金法労働者恩給法一般には言われており、考えられておるわけであります。従いまして恩給法でしていらつしやいますものと同様の業務にあります者に対しては、やはり第三種保険者というように持つて行くべきであるというふうに考える。どうも先日来の同僚質疑、それに対しまする当局の御答弁を聞いておりましても、単に恩給法等の場合、国家使用者であるという考え方だけでなくて、公務員というようなものに対しましては特別な考え方を持つている。つまり逆に申しますれば、労働者の方はそれより低いものでよろしいというような考え方のもとに、この法案がつくられているように思うのであります。今申しましたように、恩給法でちやんとはつきり、警察監獄職員というような危険業務、あるいはまた癩病院看護婦さんその他のような不健康業務、あるいは熱処理のための汽罐夫、機関車乗務員等々に対しまして、それぞれ特例を設けているわけであります。今申しましたような坑内夫だけに限つたという理論的根拠が私には納得できない。これにつきましてもう一度局長の御意見を伺いたい。
  12. 久下勝次

    久下政府委員 まず坑内夫だけに特例が設けられております事情につきましては、先ほど私が申し上げました事情のほかに、この制度ができました当時は戦争中でございまして、いわゆる石炭増産が国策としてやかましく言われておりました時代の産物であろうと思いますが、こういう考慮坑内夫だけに設けられた特別の理由になつているように私ども聞いているのであります。もちろん先ほど申し上げましたような労働特殊性ということが当然主たる要素でございますけれども、それに加えてそうした事情があろうと思つているのであります。今回の改正案におきまして坑内夫だけに限りましたのは、そうした実体的な理由と、従来から坑内夫につきまして特例が設けられておりましたので、もちろんこれをやめる理由もございませんので、そのまま続けて参ります。それ以外に広げて行くかどうかということにつきましては、実は恩給法との関係は若干違うと考えているものでございます。と申しますのは、恩給法制度は多分に労務管理的と申しますか、そういうような考え方要素に入つておりますし、また特例として取扱いましたものにつきましても、いわゆる納付金といつておりますこちらの保険料負担に当りますものは、そうした危険業務に従事しております者、不健康業務に従事しております者と一般公務員と何らかわらないわけでございます。その点が先ほど私が申し上げた、この制度の中におきまして特殊の勤労者特例を設けるかどうかということと、よほど事情が違つている点であると思うのであります。
  13. 長谷川保

    長谷川(保)委員 戦時関係の問題につきましては、戦時特例といたしましてさらに十一年三箇月というような坑内夫特例があつたと思うのであります。そういうことでありますから、今の局長の御答弁には納得できない。ただ労務管理の問題があるということでありますれば、その点ももちろん考えないのではないのでありますけれども、どうもそれだけの考え方ではあれだけの特例をつける理由としては、理由薄弱であると私は思うのであります。なぜかならば他に、たとえば給与に対します特例があるわけであります。それによつて号俸等が違うのでありますから、そこで労務管理の点はできているはずであります。でありますから、この第三種保険者をこの坑内夫のみに限ることは不合理であると思うのでありますが、その点につきましてはまた他の機会に譲りまして、次に第五条に「厚生年金保険事業運営に関しては、その大綱につき、あらかじめ、社会保険審議会に諮問するものとする。」ということがありますが、この大綱といわれておりますものは具体的には何を意味しますか、伺いたい。
  14. 久下勝次

    久下政府委員 大綱として従来諮問をしておりますのは、結局こうした法律改正制定等に関するものとして考えております。
  15. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それではすでに問題にもなつておるのでありますが、第六条の「常時五人以上の従業員を使用するもの」の問題であります。どうも当局手数煩雑、あるいは保険財政というような面からだけ、五人以下の人を使用しております事業所に対しまして手を出すことを控えているというようように考えられる。しかし社会保障という立場から考えましても、社会保険という点から申しましても、五人以下の従業員を持つておりますようなその貧弱な自営業者零細業者等に使われております労働者をこそ保護すべきである。それに対する保護対策を十分に伸ばさなければならぬ。大事業所に対しましては、何と申しましても基礎がしつかりしておりますからよいのでございますけれども社会保障という見地から申しますれば、むしろ五人以下の人々に手を出さなければならない。それが単なる保険財政が少し悪くなるとか、あるいはまた事務上煩雑であるとか、そういうような理由でこれをなさないとしますならば本末転倒のものであると考えるのであります。この点につきまして当局の御意見を伺いたいのでありますす。
  16. 久下勝次

    久下政府委員 考え方といたしましては、ただいま仰せになりましたことと完全に私どもも同じに考えておるのであります。ただしかしながら最初お話のありました理由一つ——いろいろそれぞれの理由をみな私どもは実際問題としては考えなければならないと思つておりますが、特に重点を置いて御考慮をいただきたいと思いますところは財政上の問題でございます。これは昨年国会の御議決を経まして、約六十万を予定した新規事業所拡張をいたしたいのであります。この関係で私ども新規適用分として来年度予算にもなお別扱いをいたしておるのでありますが、これは厚生年金保険の方は八千円で頭打ちをしておりましたのであまりいい例ではございません。健康保険の例で申し上げますと、従来の適用保険者平均標準報酬月額は九千円を突破しておりました。昭和二十九年度には一万円を越える予定をいたしておるのであります。ところが昨年の夏、一部改正によつて適用拡張いたしました分につきましては、その後の実績を見ましても、大体七千円台くらいの標準報酬になるわけでございます。また他の例を申し上げますと、日雇い労働者制度健康保険制度別制度にいたさなければなりませんでした事情は、やはりこの五十万を数える日雇い労働者月額五千円程度報酬と見ざるを得ないというようなことになりますので、これを一般健康保険の中に抱きかかえることにいたしますと、結局は既存の被保険者に対しまして相当大きな影響を与え、少くとも料率の変更等を行わなければならないという見通しが立てられましたので、その他の事情考慮してあの制度を別にした事情もございます。おそらく五人未満の事業所、三百万を越える被保険者を抱きかかえることになりますと、その標準報酬はさらに昨年拡張分よりももつと低いものと予想しなければならないと思うのでございます。そういう意味合いにおきまして、そういう人たちをこの制度の中に取入れますこと、これは同時に健康保険の中にも取入れることになるわけであります。そうなりますと、保険財政の上に非常に大きな影響を来すものではないかというふうに私は危惧しておるのであります。事務的な問題もございますけれども、そうした面につきまして、私どもとしてはさらに精細に検討してかかりませんと、単純に理論上正しいことであるからというだけで取入れられない事情がございます。そこで私どもとしては、昭和二十九年本年度はこの問題につきまして真剣に実は取組んでみたい、調査をしてみたいという心組みでおります。そういう点につきまして実情が明らかになり、いろいろな基礎的な検討が済みました上で、その影響等考慮して、できることならば一日も早く適用拡張するというような段階に進みたいと計画しておるものでございます。
  17. 長谷川保

    長谷川(保)委員 当局の将来に対しまするそういう意図のあることを了承いたしましてこの質問を終りまして、次は二十条の標準報酬の問題であります。これはいろいろ問題のあることを私も承知をいたしておるのでございますけれども、しかし標準報酬を一万八千円にとめた。船員保険におきましては三万六千円である。最高第十二級一万八千円にとめたということ、この点はどういう理由によるのでありましようか。船員保険同様になぜ三万六千円に持つて行けなかつたか、あるいは健康保険におきましても三万六千円であるわけでありますが、なぜ持つて行けなかつたか、その理由を承りたいのであります。
  18. 久下勝次

    久下政府委員 まず標準報酬わくを一万八千円にとどめましたことは、保険料負担の急激な増高を避けたいというのが根本的な理由でございます。船員保険取扱いを区別せざるを得なかつた事情は、ただいま申し上げた事情のほかに、船員保険につきましては、御案内のように業務上傷害に対するいわゆる災害補償制度が一括されておるのであります。これは申すまでもなく事業主負担によつてその最終報酬に基いて生活保険するというのが建前制度でもございますので、その意味合いにおきまして三万六千円に引上げておるわけであります。一面この制度を考えます場合に、それはそれといたしましても災害補償以外のこの年金に相当する面も三万六千円に引上げられておりますので、その点は同様でございますが、ただ今回の案では定額部分相当重きを置いた給付の仕方をして行こうという考え方を取入れておりまする関係もございまして、標準報酬わくはそれほど多く引上げなくてもいいじやないかというふうな考え方もあるわけでございます。これは絶対的な議論ではございませんけれども、そういうことも関連して考慮されてしかるべきものと思うのであります。一万八千円に引上げることによりまして、大体統計上で見ますと八〇%を越える労働者は一万八千円の報酬以下でございます。一万八千円を越えて二万円以上の労働者の数というのは全体の労働者の一割何分か、あとで正確に申し上げますが、その程度にすぎないのであります。そんな点も考え合せてみまするときには、最初申し上げた労使の急激な負担増を避けるという考え方からも、今申し上げた定額制の問題を取入れておるということからも、まず今回の改正としてはこの程度にとどめるのが、実際的であろうというふうに考えたわけであります。
  19. 長谷川保

    長谷川(保)委員 保険料負担をこの改正案のように、給付の面におきまして国庫負担が一割五分、あるいは坑内夫において二割というような線に置くから、保険料負担が非常にきつくなるということは言えるわけでありますけれども、しかし先ほどお話のように、実収におきましては三万六千円まで持つて参りましても、パーセンテージはそう大きなものではない、従いまして被保険者の方、要するに労働者といたしましては、ある程度高級をはむ人々である。そして実数から申しますと、そうたくさんの数でありませんから、使用者側といたしましては、そう大きなものではない。それに国庫負担というものをこの改正案のように固着いたしましますればなんでありますけれども、その国庫負担を増額いたしますれば、その問題も解決するのである。一万八千円というところで計算して参りますれば、御承知のように老令年金等の場合に支給されまする金額というのは月額にいたしますときわめてわずかである。それではとうてい生活ができないと思うのであります。従いまして当然三万六千円まで引上げて、そうして何も高い給料をもらつているものを下げて来る必要はないのでありますから、当然そこに上げるべきだと思うのであります。しかし時間がありませんから、それらについてはまた他の同僚諸君からお話がありましようから……。この点で第一級を三千円にしたということ、ことに基本年金額計算特例の点におきまして、過去のインフレの非常な影響を受けました諸君、たとえば最初におきましては千分の百二十四というようなことであつたと思いますが、高い保険料を払つておりました諸君が、その払つて参りました非常な犠牲にもかかわらず、インフレによつて非常にひどい保険給付を受けるに至つている。その高い保険料を払いましたときの大きな犠牲が今日計算される場合には三千円の標準報酬として計算されるということは非常な不合理であります。この点私は痛感するのでありますが、三千円という数字にくぎづけました理論的根拠がおありだと思いますが、その理論的根拠をお示し願いたい。
  20. 久下勝次

    久下政府委員 三千円にいたしました理論というと少し強過ぎるのでございますが、問題はお話のように過去の標準報酬が低かつた、実際報酬額が低かつた時代人たちを今日の状態においてどう扱うかということが問題になるわけであります。私どもとしてはこれは何らかの方法によつて引上げて今日の実情に合うような給付ができるようにする必要がある、こういうような考え方のもとにいろいろと検討いたしてみたのでございます。従来のやり方としては特定の時期を押えまして、たとえば船員保険法の例で申しますと、昭和二十一年の四月以前の標準報酬というものは、一応平均標準報酬計算をする場合には切り捨てまして、その後の報酬だけを平均して扱うというようなことをやつた例がございますし、また今日船員保険法の一部改正で御提案申し上げておりますのには、昭和二十七年以降の標準報酬を平均して保険期間報酬標準報酬すとるというようなやり方をしているものもございます。その点につきましては、これをどうするかということをいろいろ実はあらゆる場合につきまして個々に検討をして来たわけでございます。そのある時期以前のものを切り捨てるという処置をとりますと、被保険者としては、いわばその資格を失つたりまた出たり入つたりする場合が非常に多いのであります。それらをしさいに検討してみますと、結局三千円に、最低のものに引上げるということにやつた方が最も合理的であるという結論に達しました。具体的なあらゆる場合を検討した結果そういうことになつたわけでございます。  そこで問題は、御了承いただきたいと思いますのは、この保険建前から申しまして、保険給付財源の主たるものは、被保険者及び事業主から徴収する保険料でございます。これが保険給付財源の主たるものでございまして、結局過去の人たちはやはり当時の貨幣価値としては別でございまするが、少くとも金額としては非常に低い保険料を払つているだけでございます。その金が金として積み立てられているわけでありますので、今日これを保険給付をいたしますのには、理論的には実は過去の金額だけを基礎にしてやればいいわけであります。それがあまり低いというので特別の措置としてこういう措置とつたわけであります。従いましてこれは引上げることによりまして、その財源措置を考えなければならないということに当然なるわけであります。それらの点も考え合せなければなりませんので、私どもとしては過去の年金引上げあるいは過去の標準報酬引上げることによる必要な財源は、将来の労働者負担をさせるということはお気の毒であると思いまして、できれば全額国庫負担でやるべきだという理論は持つてつたのであります。この間申し上げたと思いますが、今回の一般労働者に対する国庫負担を五分だけ引上げをいたしました、その理由として私どもが主張して参りましたのは、一つはこの労使負担を増すからということと、もう一つは今申し上げた財源的には準備してなかつた過去の標準報酬引上げ年金引上げ等そういうものに要する費用の財源等も必要であるので、その両方理由をもつて国庫負担引上げて参りたいという要求をして参つたわけであります。それの結果、内容的に分析したわけではございませんけれども両方理由をもつて五分の引上げが行われているというようなことにもなつているわけであります。従いまして財源負担として、精密には申し上げられませんが、大体の考え方とし七申し上げますと、過去の引上げに必要な財源は一部は将来の事業主及び労働者負担になつており、一部は国庫負担の増として現われているというように御了承いただきたいと思います。
  21. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今日この措置が不当であるというところからいたしまして、一部の労働者の間に更年法無用論というものが出ていることは御承知のことと存じます。先ごろの本委員会井堀委員からもこの点強く指摘されたのでありますが、私は三千円にこれをとどめるというのはどうしても不当であると思う。少くともこの基本年金額計算する場合におきましては、特例をもつと上に引上げなければならぬ。理論的にこの点は追究して参りまして引上げなければならない。なぜかなればインフレ自体が国の責任であるということが一つ、それからいま一つ第二の論拠としましては、この積立金国家が積み立てて資金運用部に持つて行つて国家使つたのであります。しかも今日民主的な運営ということが相当叫ばれておりますけれども、全然民主的な運営はされておらぬ。この被保険者及び使用者側の言い分というものは何にも通されておらない。やかましいその言い分に対しましてようよう昨年において十億、今年まで入れまして三十五億というようなものが還元融資というようになつて来ておりますけれども、わずかにそれだけ。その払い込みました保険料というものは国家資金運用部に入れて国家の用に使つたのでありますから、当然その損害に対しましては国家が責任を負うべきであります。これを生活にあえいでおりまする労働者諸君の責任に帰すべきでないということは当然のことであると思うのであります。もし理論的にこれを過去におきまするたとえば労働者の払いました保険料を物価指数に合せまして標準報酬を上げて参るとしますれば、何倍ぐらいが至当とお考えでありますか。標準報酬を何倍に今日したらいいと思いまするか、伺いたいのであります。
  22. 久下勝次

    久下政府委員 ちよつとただいまの御質問に対しては、簡単にはお答えいたしかねるのでございますが、厚生年金保険の過去の標準報酬の変動を申し上げますと、昭和十七年六月施行以来法律改正だけでも七回いたしておるわけであります。そこでこの七回それぞれの、さらに具体的な個々の被保険者につきまして、その当時々々の貨幣価値とを比較して、何倍にしたらいいかということを出しますことは、私どもとしては簡単に出ないのではないかと思つておりまして、また計算もいたしたことはございません。ただ問題は三千円程度引上げをとどめておくことが適当でないのではないかということが御出発の御意見だと思います。この点は今お話のような意味における考慮を加えることも、あるいは一つの筋道かもしれませんけれども、問題は要するにどの程度まで引上げるかという問題にかかると思うのであります。いろいろ過去の事例等を——ちようどインフレ進行中の措置として、先ほど申し上げたような前例もございますし、この辺のことにつきましては、もちろん今日の貨幣価値に合うように引上げて参ればよろしいのでありますけれども、これは保険の立場からは、率直に申し上げますれば、保険料を納めない人に多額のものをやる、しかも全部それは国家の責任であるとのみは言い切れないと思うのであります。それらの関係もございますので、引上げにはおのずから限度がありはしないだろうか。私どもは三千円でなければならぬ、これ以上は上つてもいかぬし低くてもいかぬ、そういう意味の積極的な理論的根拠は持つておりませんけれども、いろいろな事例を考え合せまして、まあこの程度ならば何とか御了承をいただけるのではないかという考え方で案をつくつたのであります。
  23. 長谷川保

    長谷川(保)委員 なかなか了承がいただけないのでありまして、昭和十七年ないし十九年というものは、物価が幾分上つておりますけれども大体安定しておつた。その後順次改正されておるのは、物価指数、賃金指数に応じまして改正されて来ていると思いますが、やはりそれぞれに対しまして合理的な態度をとることが国家としては当然だと思うのであります。それが合理的な立場ではなくて、単に腰だめ式でこれを改正されるということは、非常に厳密な保険数理の上に立つて科学的に経営をされますこの厚生年金保険に対します改正の態度といたしましては至つて不満足である。先ほど申しましたように、労働者諸君の間には、そういうようなことであればもう厚生年金保険というようなものはつまらないという考え方がすでに起きておるのであります。この基本年金額計算特例に対しましては、私は非常に不十分だと言わざるを得ないのであります。けれども、議論がどこまでも進みますから、一応これまでにいたしまして、船員保険については最低が四千円でありますが、何ゆえにこの厚生年金保険におきましては三千円にとどめなければならなかつたか。もちろん健康保険は三千円でありますけれども健康保険とは性質が違うのであります。将来総合的な国民年金保険に持つて行くということは、これはどなたもお考えになるところであり、政府当局も考えておると厚生大臣も答弁をしておられる。といたしますれば、将来統合して参りますのに、やはり総合年金保険であります船員保険の方に近づいて行くという考え方を当然すべきでありまして、今ここに改正する以上は四千円という最低をとるべきではないか、しかもただいま申しましたような基本年金計算特例という点から申し上げましても、三千円ということはどう考えても低きに過ぎることは一目瞭然でありまして、これはどなたも異論のないところであると思います。なぜ船員保険を四千円にし、基本年金額計算特例を四千円まで引上げなかつたか、三千円から四千円に上げるといたしましても、保険料といたしましては月十五円の差で、しかも、おそらく今日四千円未満の賃金をとつております諸君はまずまず一人身と考えてよろしいのである、その諸君が十五円よけい出すということはそう大きな苦痛ではないでありましよう。けれども、そういうような年金保険料を支払つて参りました方方が、過表の五年、十年というものを標準報酬三千円できめられるか四千円できめられるか、これは大きな問題でありますので、私はあらゆる点から考えて、少くとも第一級を四千円には上げるべきだ、こういうように思うのであります。何ゆえに三千円にされたかについていま一たび当局の御意見を伺いたいのであります。
  24. 久下勝次

    久下政府委員 三千円の第一級に該当する被保険者厚生年金保険においては、二十八年十二月末現在の数字によりますと二十二万八千人おりまして、全体に対する比率は二・九七、約三%に当るわけでございます。これに比較いたしまして船員保険の場合には、最低標準報酬四千円である第一級に該当いたします被保険者は全体で一万一千三百十四人でありまして、約十五万人の被保険者に対しまして七五%という数字を占めております。これはなぜと言われましても、実はあまり理由は多くないのです。問題は、被保険者として実際にそれだけの報酬をとつていないのに標準報酬の最低を引上げますと、その分だけ保険料負担が増すからということ、これは事業主についても同様でございます。そういうことから、現実に少くとも厚生年金保険におきまして、二十二万八千人という三千円該当者がございますものですから、こういう等級を設けておるわけでございます。船員保険を四千円にいたしましたのは、今申し上げた比率から申しますれば相当無理があると申しますか七・五%も第一級に属しておる、片方は二・九%にすぎないというような点から申しますと、理論的な説明はちよつとつきがたいと思います。社会保険審議会におきまして、法律改正の都度船員保険の方ではこの問題がいつもやかましい問題になります。今日でも実は四千円も低過ぎるから五千円にしろというような議論が盛んに叫ばれて論議の焦点になつておるような実情でございます。そこで給付もよくなりますため、保険料の若干の負担を増しましても給付はよくしたいという考え方から四千円ということにきめられておるわけでございます。これはその程度意味でございまして、私どもとしては三千円を四千円にしなければならないというよりも、むしろ本来これはできるだけ実質賃金に合せて行くというのが趣旨でございますので、三%に当るような人がまだ第一級該当者であるという現状から見ましてこの程度はやむを得ないのじやないかと思つておるのであります。
  25. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私どもの方で各労働組合の諸君の御意見を伺つたところによりますと、保険料負担が十五円上つてもよいから四千円にしてほしい、こういうことを総同盟、総評ともに申しております。今の保険料負担が多くなつて困るというのは、多分使用者側の御意見が強く反映しているのだと思うのでありますが、政府は使用者側の利便を考えて、この最大の関係であります被保険者側の要求を無視されたということは納得が行かないのであります。こういう点はむしろ労働者側を主体として考えるべきである。使用者側といたしましても、四千円に上げても実質上そうたくさんの負担増ではないのであります。今おつしやいました数字から申しましてもはつきりいたしております。こういうことは残念だと思います。何ら理論的な根拠がなくて、単なる資本家の力に押されてこういう数字を出されるということは、私は非常に不当であると思うのであります。これはまた次の機会に譲りましよう。  次に二十四条の点でありますが、私まつたくこの点について知識がないので教えていただきたいのでございますが、第二項の「二以上の事業所報酬を受ける被保険者」の場合でございますが、届出、徴収の義務者あるいは第二十九条の通知というような点は、具体的にはどういうようにしてやるのでありましようか、伺いたいのであります。
  26. 久下勝次

    久下政府委員 前段は御質問ではございませんでしたが、意見として申し上げさせていただきますが、標準報酬の最低の基準の問題につきましては、私どもはこの法案国会に提案をいたしますまでに、一昨年一回、また昨年の暮からことしにかけて正式に社会保険審議会に諮問いたしたわけであります。その際には労働者意見といたしましても、資料で差上げてございますように原案に賛成という意見が出ておるのでございます。むしろその点事業主側は、この三千円にとどめるかどうかということは何も意見言つておりません。最高額を上げることについて問題にしておつただけでございます。そういう事情がありまして、私どもとしては別に資本家側の意見とつたということでも何でもございません。なお労働者側は、私どもがこの成案を得ますまでに関係をし、接触をいたしました限りにおきましては、そのお話は出ておりません。むしろ船員保険部会におきまして、先ほど申し上げたような、五千円に引上げるべきだという意見が途中において出ておつたということだけ申し上げておきます。  二十四条第二項の問題でございますが、これは二以上の事業所に働いております場合におきましては、その二以上の事業所で受けております報酬額全体を合算したもので標準報酬をきめるというようにしてあるわけでございます。そして具体的な保険料に関する給与の届出等につきましては、もちろん各事業所別にやつてもらいます。それから保険料の徴収につきましては、事業所別に届けられたものに基きまして標準報酬を按分をして、それに基いた保険料の徴収を各事業所にいたします。従いまして保険料徴収の問題につきましては、法律には明確にはしてございませんが、政令で規定をする予定でございます。届出等は各事業所からそれぞれ別個にやつていただくつもりでございます。
  27. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の第一段の方につきましては、労働者側の意見を聞いてみますと、労働者本来の主張というものを最後においては撤回したいというように私どもに申しておりますが、そういう事情があることをお含みいただきたいのであります。  少し急ぎますので先へ参ります。二十九条の五項にありますような、事業所が廃止されるというようなことによりまして、労働者の権利をとることをうつかり忘れているようなことが、労働者側に相当あるのではないか。健康保険でありますと、みな一応はつきりしておりますから、権利を喪失するというようなことはありませんが、厚生年金保険のような場合には、事業所が——ことに小さい事業所なんか労働組合などがしつかりしておらなないところ、あるいは福祉関係の課のないようなところでは、事業所が廃止されることによつて労働者がうつかり第四種被保険者になる権利を失つてしまうということがありはせぬかということを心配するのでありますが、現実においてそういう例はございませんか。
  28. 久下勝次

    久下政府委員 従来実際問題としては、通知ができなくて本人に伝達ができなかつたというようなことはあまりないようであります。ただ二十九条の関係の通知等に関する規定は、特に今度の改正で明確にいたしまして、被保険者の利益保全のために十全の措置をとりたいという意味でございます。実際問題といたしましては、私どもは各事業所ごとに健康保険委員という、実際に健康保険及び厚生年金保険の施行について保険官署の手伝いと申しますか、現場におきましていろいろ被保険者の指導等をしていただく方をお願いしております。現在は二十人以上の事業所には全部置くことにいたしております。これは私ども事業一つ措置として、この指導委員には冊子を毎月配付いたしまして、新しい状況もお知らせしたり、法律改正等の解説を加えまして、指導上気をつけていただきたい問題を書きましたものを配つておるわけであります。そういうような方にこのごろ非常に気持よく御協力をいただいておりますので、あまり問題はないかもしれません。なおしかし二十人未満の事業所まではまだ及んでおりませんので、そういう点につきましては十分注意をいたしたいと思います。
  29. 長谷川保

    長谷川(保)委員 次に三十三条の問題でありますが、「保険給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基いて厚生大臣が裁定する。」ということになつております。たいがいの者はこの法案を見て参りますと、都道府県知事に異議に対する裁定をさせておるのだろうと思うのでありますが、さようでありますかどうか。また同時に、この問題と少し違いますが伺つておきたいのは今日御承知のように都道府県にあります保険課の職員の身分が国家公務員になつておるようでありまして、業務はそれぞれの各府県の関係業務をいいしておるようであります。そこで業務関係と身分関係と一緒にしてほしいという希望が非常に強いのであります。これは私はもつともだと思うのであります。先般ちよつと厚生大臣に伺いましたが、十分な御答弁でないようでありました。将来これをどうなさつて行くか、ついででありますから伺いたいと思います。都道府県にあります保険課の職員をどうするかということです。
  30. 久下勝次

    久下政府委員 まず第三十三条のお尋ねでございますが、これは実際問題といたしましては都道府県知事に実際の事務を委任する予定でございます。ただその場合に委任をされました知事は、厚生大臣の名前による保険証を交する関係もございまして、こういう表現にいたしておいたのでございます。それから異議の裁定ではございませんで権利の出ました者が請求をして参りました場合に、一応はつきりしたものをきめて、権利の発生を明確にする意味で証書を交付するために書いたのであります。それから地方の保険官署の職員の身分の問題でございますが、会計法等の規定の関係もございまして、御案内のように、政府が管掌をする保険保険料の徴収あるいは給付の支払い等、国庫金の収入、支出に関する事務を行うことが主たる任務でもございますので、あとの任務はみなそれに付随しておる関係でございます。従いましてこの身分を地方公務員にするということは、現在の建前としてはちよつと無理かと思うのでございます。実際問題として確かにそのために地方公務員が主である都道府県の中におきまして、若干の問題のありますることは私ども承知いたしておりまするけれども、これは都道府県側にも随時お願いいたしておりまするし、また保険官署の職員自体にも気持の上におきましては十分府県の中に溶け込んで一緒になつて仕事をするように、また知事その他の上司の指揮も十分に受けて円滑な仕事の運営が行われるようにということを実は口やかましく指導いたしておるのでございます。ただいまのところ身分上の問題につきましてこれを基本的にかえるということは、いろいろな制度関係もございまして、消極的な考え方でございます。ただ公表してよろしいかどうかわかりませんが、地方自治法の改正に関連をいたしまして、保険職員及び職業安定、失業関係の職員みないずれも地方事務官という、国家公務員の身分で地方庁の事務をしております。この人たちの身分をどうするかということ、この問題につきましてはただいま自治庁方面と話合いをしております。その結果あるいはもう少しはつきりしたものになるかと思いますが、その話合いにおいても、ただいまのところにおきましては、地方事務官という制度をやめてしまうという考え方は出ておらない状況でございます。
  31. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の問題でありますが、この点は全国の保険課の職員が、私どもにやはり陳情をして来ておる。給与の問題、恩給の問題あるいは業務自体の問題、相当この人たちがそれだけのことを申しまするだけのものがあると私ども察するのであります。実際において地方の保険課へ参りまして、相当やりにくいな、こう思うのであります。今のお話の、国でやつておる社会保険だからということだけではどうも理由が薄弱であつて、やはり重点は職員諸君の身分の安定であり、また業務の能率的な運営を十分満足してやつていただけるということでありませんと業務が進まないと思います。厚生省としましては職員関係の定員の大きな問題でありますから、いろいろ困難に思われるかもしれませんけれども、私はやはり職員諸君のために、事業自体が能率的にとにかくやりよく進めるということを何といつても一番根本にしなければならぬと思う。この点についてもう一度御意見を伺つておきたいのであります。
  32. 久下勝次

    久下政府委員 ただいまお話のような問題が、保険関係職員からも出ます理由事情も私どもは知つておるのでございますが、その一番重要な理由は給与が違うということであると思います。身分が厚生省に属しておるということそれ自体というよりも、その結果として現われる給与が違つておる、これは私どもも実は認めざるを得ないのでございます。今日地方に配置しております保険関係職員とそれぞれの都道府県吏員との給与を比較いたしますると、全体的に二号俸ないし三号俸ぐらい低くなつておる。この点は私どもとしても実は非常に憂慮しておるのですが、国家公務員全体の給与の建前がございまして、人事院の一定の基準によつて給与の号をきめております関係もございまして、実はいかんともいたしがたい状況でございます。この点は地方公務員国家公務員との間にそうした差がある、これを調整するというような大きな立場から考えていただかなければならないものと考えておるわけでございます。仕事のその他の面につまきしては、身分の不安定ということはないと私どもは考えております。なお任用等につきましても、都道府県知事その他の県の首脳部と常に緊密に連絡をとり、その了解のもとにのみ任免をいたしております。それから仕事の実施をして行きます上におきましても、先ほど申し上げましたように、両面からいろいろ注意もしたりお願いもしたりいたしておるわけでございます。この点は多少の非難もあり不円滑なところがないとは申せませんでしたが、だんだん改善されておるものと私は考えておる次第でございます。
  33. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の点につきましては、給与が少いということが一番大きな問題であることは御指摘の通りであります。実際同じ県庁の建物の中で働いておつて、そういうことでは非常に困るということは当然なことであります。これにつきましては、消極的とおつしやらないで、積極的にひとつお考えを願いたいと思います。きようは質問を急ぎますから、その問題は別の問題でありますから別の機会にまた伺うことにいたします。  三十四条の方に参りまして例の基本年金額及び加給年金額の問題でありますが、これはすでに至るところで、あらゆる場合に指摘されておりますように、いかにも額が低いのである。恩給と比べましても、すでに他の同僚議員から指摘されておりますように、実に低い、これで生活ができて行くはずがない、またこれらの質問に対しまして、先般来、生活保護法の二級地から見ればいいのだとおつしやつている。けれども生活保護法には教育扶助もあれば、あるいは住宅扶助もあり、医療扶助もあるのであります。基本的な考え方として、保険料をかけておる者が国家扶助、公的扶助を受けております方々よりも低いものであるという考え方はどうしても私は納得ができません。しかも生活保護法によりまする給付というものでは事実は生活がいたしかねる、ほんとうの飢え死しない程度にしかできておりません。それよりも以下である。なるほど二級地におきます生活扶助で一人の場合は、生活保護法よりも本年金の、たとえば老齢年金給付というものは高いのでありますが、二人になりますれば低くなつてしまう。三人、四人となりますればなおさらであります。しかも一方には医療扶助その他各種の扶助がある。本年金にはそれがないのであります。こんな低いことであつてはならないと思うのであります。これはどうしても根本的に考え方をかえなければいかぬ、こういうような二十年もかけまして、そうして食うこともできないというような年金を受ける。しかも先ほど来お話のように今日の労働賃金の水準というものは非常に低いのである。非常に低いのが労働賃金のあり方である。さらにまた退職金の問題もすでに論議されておるのでありますけれども、なるほど名目は、退職金のありますものが事業所の中で九〇%あるというような資料をいただいておるのでありますけれども、しかし実際にそれが幾らの退職金であるということになりますと、これは実にひどいものである。恩給と比べましてもこれは問題になりません。どうしてもこれは私は納得行かない。すでに公聴会におきましてもあるいは社会保障制度審議会におきましても、これは基本年金を三万六千円にすべきであるということが言われておる。また加給年金にいたしましても恩給と比べましていかにも低いのであります。どうしてもこういうところに、先ほど申しました労働者に対しまして一段低いものとしてお考えになるという考え方が随所に現われている。こういうことはその著しいものであります。こういう考え方は私は根本的にいけないと思う。このことにつきましては、すでに何回も同僚諸君が伺つてあるわけでありますので、私は一言このことに関連いたしまして、先ほどの質問にも関連をいたすのでありますが、少くともこの年金制度基本年金額を倍額に引上げる必要があるということを強く思うのであります。先ほど来指摘されておるのでありますが、このことに対するお答えを伺いたいと同時にどうしても物価は上昇して行くと見るのが、長い目で見まして当然考えられることでありますが、著しい上昇の場合に備えまして、公聴会等で近藤博士の言われたような、物価が二割以上上りますときには自動的にスライドいたしまして給付額を引上げる、こういうようなことがなさるべきであると思いますが、それに対する御意見を伺いたいのであります。
  34. 久下勝次

    久下政府委員 基本年金額及び加給年金額合せた年金額についてのお尋ねでございます。先日来大臣もたびたび御説明申し上げたように、生活保護費との関係はただいまお話の通りであります。ただこの際生活保護費と本制度による年金額との建前の上において、これは申し上げるまでもないことでございますが、御留意いただきたいと思います点は、生活保護法の生活扶助費は臨時措置といたしまして、他に何らの生活のかてのない者に対して扶助される最高額が示されておるわけでございます。何らかの生活手段を持つておりまする人は当然その額から引かれるものでありますが、この年金額はさようなことは全然顧慮されずに支給をされるものであるという点が御留意を願いたい点でございます。二級地の世帯を構成しない六十歳の男子に給与するものに大体定額が合うというような意味で、これはあるいはとつてつけたような説明であるかもわかりませんが、しかしそういうことも一つのよりどころにもなりますので、そのことを強く御説明申し上げておるのでありますが、要するに問題は保険財政と申しますか財源と申しますか、そういうものとの関連においてもきめられざるを得ないわけでございます。今日大幅な労使負担増加が可能であるということが言えますならば、私どももこの程度でとどめる意思はなかつたのでございます。いろいろそうした事情を勘案をいたしまして、保険料負担はあまり上げないように、しかも給付はできるだけそのわく内において厚くというようなことで、いろいろ既存の制度に対して制肘を加えたりしたものもございます。たとえば脱退手当金のようなものであります。そういうふうにしてかんじんなものにはできるだけ厚くやりたいというような考え方制度を立てたつもりでございます。  なお生活保護費との関係でもう一つ申し上げておきたいと思いますることは、問額は私どもとしてもこの年金によつて生活をして行ける程度のものを何人にもやりたいという気持においてはかわつておらないのであります。何分にもこの制度そのものが保険建前で、保険料を徴収してやつて行くというものであります関係上、しかも一面におきまして先ほど来お話にも出ておりましたように、今日の労働者の中には非常に賃金の低い人が多数ございます。そういう人たちに、かりにこれを四千円とか五千円とかいうものを最低額として給付するような案にいたしますると、それより低い給与をとつておりまする人たちは、被保険者として保険料を払つておるよりも、資格ができたらさつさとやめて遊んでいた方が、年金をもらう額が多くなるのだからということは、全体の政策としてはおもしろくない。問題はやはり今日やかましく叫ばれておりまする最低賃金制度というようなものが確立されましたならば、おそらくそのときにはこの年金額についても根本的に顧慮が加えられてしかるべきではないかと思いますが、保険建前でやつておるということと、最低賃金制の確立されてないという現状におきましては、やはりこの制度のような基本的な考え方をとらざるを得ないのではないかというふうに思つておる次第であります。  それから物価の上昇に対する将来の対策の問額でございますが、この点は制度上は必ずしも明白にはなつておりません。保険料率計算につきまして五年以内ごとに、少くとも五年以内に再計算をするということが後の方の条文に明記してございます。これは条文にもございまするように保険給付額、それを検討する材料になつておりまするし、またそれを検討する場合には物価の変動等を当然考慮に入れなければなりませんので、保険給付及びそれの財源というようなものは全般を通じて再検討がなされると思うのであります。そこで当然に物価の変動によつてスライドするという書き方はいたしてございませんけれども、実際問題として結果的にはそういうことにならざるを得ないだろうし、またそうすべきだと考えておるのでございます。
  35. 長谷川保

    長谷川(保)委員 恩給では御承知のように賃金ベースが上ることによつて原則としてスライドしております。でありますから、そのときごとにスライドしております。だから当然スライドすべきだと私は思うのであります。こういう点も恩給などと比べて非常に給付を落してある、あらゆる意味で落してあるということを残念に思うのであります。そうして保険料率計算について五年ごとに計算をし直すということでありますから、そういうことが条文に載つておるのでありますから、当然今のお話のようにその場合には給付についてもやるのだということは当然でありまして、当然なことでありますならばやはり明確にこの法文に書いておくべきである。それが書いてないというのは変だと思うのであります。その点はその点としまして、どうも局長さんは、老齢年金給付につきましては、あれはあまりたくさんくれると、労働者が遊んでる方がいいというわけで、働かなくなることを御心配になつているようなお話が今あつたのでありますが、どう勘定いたしましてもこの老齢年金給付はまず低い者では二千百円から、せいぜい三千円あるいは三千五百円行きますかどうか、そう御心配になるほどたくさんいただけると私どもはまつたく満足いたしまして質問をやめるのでありますけれども、どう勘定いたしましてもきわめて少い額であります。とうてい生きて行けない額であると私どもには考えられるのであります。  ついでにここで伺つておきたいのは、三十四条の四項の点でありますが、これは私の読み方が悪いと思うのでありますが、「加給年金額は、その計算基礎となる配偶者又は子一人について、四千八百円とする。」年額四千八百円、つまり月額四百円というわけであります。これがはつきりしないので伺うのでありますが、「配偶者又は子一人について」という言葉の意味は、配偶者プラス子一人の場合については毎月八百円くれるという意味でありましようか、それともどつちか一人についてだけ四百円くれるという意味でありましようか、どつちでありましようか。
  36. 久下勝次

    久下政府委員 御質問でないことにお答えしてはなはだ恐縮でありますが、八十一条の料率の再計算に関連してちよつとつけ加えて御説明を申し上げておきたいと思います。この八十一条第四項に、保険料率は、保険給付に要する費用の予想額に照して、云々と書いてございます。そういう意味合いにおきまして、当然私は先ほど申し上げたように、保険給付に要する費用というものが前提として話題に上る。その結果保険料率がきまるということになるのであります。大きな変動がありますれば当然「少くとも五年ごとに」ということでありますから再計算をされるものと考えております。その場合に当然スライドするということを書いておきますと、同条の第五項にある保険料率のところで、やはり問題を明確にしておかなければならない事情が起つて参ります。この八十一条の全体の考え方は、とりあえず五年間程度はこの第五項の保険料率で参りまして、特別な大きな変動がなければ、五年後に再計算をいたしまして、そのときの給付の実態、あるいは予定運用収入等を計算いたしまして、料率をかえて行きたいという考えであります。なお大きな影響のありますのは、予定運用収入でありますので、それらの点の利まわりがどうなるかということは今日予測ができませんので、今日の段階ではいろいろな場合を予想した資料を差上げておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、当然スライドということを表現すると、料率のこともやはりそれに連れて触れておかなければならない事情も出て参りますので、五項に合せた四項の考え方で、そういう点はおのずから解決して行くものと考えておる次第であります。  それからお尋ねの本論であります。加給年金の問題でありますが、「配偶者又は子」と書いてあります場合には、配偶者と子がありますれば、当然両者を含みますし、その一方であります場合には一方というふうに読むのが慣例でございます。
  37. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこでそう考えましても、私はこの老齢年金の支給額では食つて行けないと思うのでありますが、先ほどお話のように日本の労働者の賃金水準は非常に低い。その賃金水準からいたしまして、老齢になりまして自分の家を建てて持つておるとか、あるいはまた余裕金があるとかいうようなことはほとんど考えられないと私は思うのであります。従つてそういうものをこれで補うということを期待することは、今日の労働者生活実情を見ますれば、無理だと考えるのであります。この料率にあるもので、労働者生活できるとお思いになりますか。それともまた生活ができないとお思いになりますか、伺いたいのであります。
  38. 久下勝次

    久下政府委員 これだけで生活をして行けるとは思つておりません。もともとこの制度は、私どもとしては一種の防貧的な制度であるというように考えておりますので、生活の有力なる足しになるというふうに考えます。
  39. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今生活の余裕がないということは、どなたもお考えになれるだろうと思う。従いましてこれがほんの生活の足しにしかならぬ、こういう考え方は私はどうかと思うのであります。国家恩給に対しましては、これよりはるかにいいものを出しておる。これと比べれば、比べものにならないだけのものを公務員諸君には出しておるのであります。労働者が今日生活の余裕がないということは、これはもう明らかであります。でありますならば国家の一番重要な本をなしておるもの、つまり労働者の生産ということの上に国家社会が立つておるのであります。その国家社会の構造の基本をなしております生産に従いまする労働者が、その日の生活に毎日追われておつて、しかも二十年保険料をかけて、最後に労働をやめなければならぬという年齢になり、体力が衰えて参りましたときに、食えないような給与しかできない、初めからそういうお考えであることは、これは根本的な間違いであると私は思うが、一応その問題はその問題としまして、ことに病気にでもなつたらどうしようもないと思います。従いまして私は厚生年金保険に対しまして当然健康保険の療養給付の項を準用し、老齢年金を受けます諸君に対して、この厚生年金保険におきまして療養給付をすべきである。そうしなければ、もし病気になつた場合には、彼らはまつたく生活の方遂に困ると思うのでありますが、この療養給付をするというお考えは、この改正案をつくるにあたりまして全然なかつたのでありましようか、またそういう考え方に対してどういうふうにお考えになりますか。
  40. 久下勝次

    久下政府委員 今お話の短期給付と私ども言つております療養給付の問題を取上げるということは、この制度建前としては適当でないと思います。少くとも陸上の労働者につきましては、同じ適用範囲を持つておりまする健康保険制度がございますので、療養の給付をそういう人に広げる必要があるとすれば健康保険制度の上において考うべきだと思つております。しかし結局健康保険制度適用するといたしましても、この年金受給者、少くとも老齢年金受給者というものは被用者でなくなつておりますので、任意継続被保険者というような特別な措置を講じなければなりませんし、そうなりますと保険料を相当大幅に負担をしていただかなければなりませんので、制度として全般的にやりますことはちよつと無理がありはしないかと思つております。そういう人が病気になつたら気の毒ではないかということにつきましては、私どもそう思いますけれども、これはやはり人によつて違うであろうと思います。ほんとうに困る人につきましては、やはり補完的な制度である生活保護法等が活用されて行くべきであると思つておるのであります。  なお、つけ加えてちよつと申し上げますが、厚生年金保険の福祉施設というものがございます。この法律にも簡単な根拠がございますが、それに基きまして今厚生年金保険事業としてやつておりますものには身体障害者、年金受給者である身体障害者につきまして、その健康保険による療養の給付期間が切れた者につきまして、なお治療の必要があり、社会に更生できるような人があるといたしますれば、そういう人にこの制度のサービスといたしまして、若干の人に療養の給付をやつております。これは療養の給付とは言つておりませんで、福祉施設と言つておりますが、そのために全国数箇所にございます年金病院、これはそういう目的に使うために設けたものでございます。そういう制度は一部分にございます。
  41. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もう時間がございませんので、たいへん残残念なんですが、あとの質問は次会に留保したいと思うのであります。最後に一言だけ申し上げておきます。ただいま申し上げたように、確かに一面から申しますならば、国民健康保険が十分に国内に普及しておりますれば、国民健康保険におきまして老後その療養の給付を受けるということもある程度可能であろうと思うのでありますが、今日のような普及の程度におきましては、ことにこれは都市に普及しておりませんゆえに、労働者の多くがむしろ都市におるということを考えますと、老齢年金給付を受けます受給者にとりまして、病気のときに非常に困ると思うのであります。これについてもつと十分に考えるべきである。国民健康保険の今申しました長期保険、短期保険という考え方で参りますならば、私はそういう考え方を何ら原則とする必要はないと思うのでありますが、もしそういうことであるといたしましても、それならばそれで国民健康保険に対しまする普及の努力をもつとしなければならぬ、その努力が今日当局に足らないということを指摘いたしまして、あとの質問は、たいへん恐縮でありますが、次に留保いたします。
  42. 杉山元治郎

    ○杉山委員 今局長さんが厚生年金には福祉施設があるというお話がございましたし、この法案にも「必要な施設をすることができる。」と書いてあるのでありますが、一体その福祉施設として今政府の方ではどういうものを予想しておられるかということをお聞きしたいことと、もしできるならば、先ほど長谷川委員お話になつておりましたように、今いただくような少額の厚生年金では、一人の人であつても、おそらく老齢年金、特にまた遺族年金では生活ができにくいと思いまするが、こういう場合に、金銭給付でなしに、政府は特別にこのための福祉施設をするというならば、老人ホームをつくつてこういう人たちを入れてやるということで、安心してやつて行けるような福祉施設をする考えがあるのかどうかということも一応伺つておきたいと思うので、この点についての御意見をひとつ伺いたいと思うのでございます。
  43. 久下勝次

    久下政府委員 厚生年金保険の福祉施設として現在実施しておりますのは、先ほど申し上げました病院施設を持つておるということであります。これは全国に五箇所ございます。一箇所現在建設に着手中でございます。それからそこに入ります年金受給者について、二十九年度の予算では三千万円ほどの予算を計上いたしまして、療養の援護をやつておるわけでございます。そのほかに、病院に収容しないで、年金受給しながら療養を続けておりますこういう人に対しましては、一人当り年額で、ごくわずかでございますが、二千円程度のお見舞金を差上げるというような事業も従来から引続いてやつておるわけであります。  そこで老人ホームの問題でございますが、私どもも実は現在その問題については考慮をいたしておる段階であります。ただ実際問題といたしまして、老人ホームをつくります場合、どういう財源でつくつて行くかということが一つの問題でございます。またつくりました老人ホームの経営をどうするかということが問題でございます。年金の福祉施設として老人ホームをつくり、老齢年金受給者を入れて行く、そういう人が当然入れるようなことにするためには、相当莫大な建設費と相当莫大な経常費が必要でございます。今御指摘のように、現在受給年金額は非常に少額でございまして、とてもその経常費をまかなつて行くのには足りませんから、どこからかこれを持ち出さなければならぬ。そういう財源を、一部の人のために保険給付あるいは保険財政の中から支払うということにいたしますと、これは相当な問題であろうと思つておりまして、問題は結局建設費をどこから出すか、また償還を要するとすれば、どうするか、経常費をどういうふうに持つて行くかというような問題が、まだ今日の段階では簡単に解決できませんものですから、具体的に年金の福祉施設として老人ホームをつくるということは、まだ検討段階でございます。
  44. 杉山元治郎

    ○杉山委員 老人ホームの建設の意図があるが、ただ財源の問題について考えている。そういうことも考えられましようが、しかしあのたくさんの積立金と利子をもつて、ときによつたならば利子だけでも国庫によけい入つているような点などを考えてみても、政府がやろうという意図があつたら、そういう問題はできないことはないのであります。いかにもある一部の人たちに恩恵を施すということになつて一般保険者に多少の迷惑をかけるのではないか、こういう御意図もあろうと思いますが、しかし保険であり、また相互扶助の立場から行くというなら、そういう気の毒な、養老院に行かなければならぬというような人たちのためには、特別の多少の援助はお互いしてもよい、今言う積立金の中からの金でもできるのではないか、こういう考えを私どもは持つておりますが、そこについては政府と私ども意見の違いになりますから、やむを得ませんからお聞きをいたしませんが、ぜひこの問題についてもつと熱意を持つて考えていただくことができるなら幸いだと思います。ほかのことはまた後日質問します。
  45. 青柳一郎

    青柳委員長代理 他に御質疑がございませんようでありますので、本日はこれにて散会いたします。次会は明後十六日金曜日午前十一時、場合によりましては午後まで続きますから、そのおつもりでお願い申し上げます。    午後零時十六分散会