○
井堀委員 その
答弁は私としてはまことに了解に苦しむのでありますが、今あげられました五十五才を六十才に引上げる理由の
一つとして、
労働年齢を取上げられております。私の手元にある資料から行きますと、
労働者の
労働年齢というものはむしろ低下して参
つておる。
反対であります。これは化学工業あるいはその他いろいろな新しい、近代的な企業活動の被害が
労働者の生命を縮めておる統計が出ておる。この点からいえば逆である。それから第二にあげております
日本人の寿命が延びておるというのでありますが、確かにそれはその
通り、しかしこれはいろいろな
関係もあるでありましようが、乳幼児の死亡率の減退によるものがこの問題を規定する大きなフアクターにな
つておる。でありまするから、こういうものの場合には尺度にはならぬのであります。それから一部には長生きをする者が出ております。たとえば結核その他の療養上の改善によ
つて出ておりますが、しかしこれはこの場合には例にとるべきではないのであります。でありますから、そういう理由でありまするならばこれはおやめになることを希望しておきます。
それからさらに年齢をにわかに——調整はもちろんやることでありますけれ
ども、基本的なことは十三年前にさかのぼ
つて約束をしたことを——長期
保険というものはそういうものではありません。
掛金を最初かけたときから十三年かけて来ておるのであります。それを全部払いもどしをして、そうして新しい
制度を約束するというのであるならばいいけれ
ども、この場合には、やはり被
保険者の権利をいささかでも蹂躙する場合には、被
保険者の了解なしにはやれぬことである。もちろん国会がそれを代理しておるのだといえば今日の
制度では一応りくつが通るでしよう。しかしそれでは審議会の
制度を設けたのが意味をなさなくなる。私は
厚生年金保険審議会の中に被
保険者あるいはこれに
関係の深い雇い主、それに知識経験者を入れたということは、こういう
関係者の意思がいかなる場合の法律の
改正においても無視されたり蹂躙されたりすることがないように、それを守ろうとするところにこの法律の一箇条が入
つておると私は信じておる。そういう意味で被
保険者側はあげて
反対をしておる。経営者側といえ
ども、この点に対しては——
政府側の
改正をもし諮問されるならば、正規の機関においては
反対されない。原案を主張しておるのであります。でありますから、これは
答弁になりませんし、たいへん見当違いの御
答弁でありますから——そうでありますならば、これは私の思い違いでお尋ねをしたのでありますから、現行
通りにおやりになることが正しかろうと思います。
次に進んでお尋ねをいたすのでありますが、適用範囲を拡大する点について先日も他の
委員から質問があつたようでありますが、その
答弁を伺
つて納得ができませんので重ねてお尋ねをいたします。今日社会
保険審議会においても強い要望がありましたし、
社会保障制度審議会の
政府に対する
勧告答申案を見ますると、このことをよく説明しております。すなわち
社会保障制度というものの足がかりにこういう社会
保険の
各種のものを
統一整備することを繰返し強調しておるのであります。こういう点からいたしますると、今日適用外に置かれておりますものの中で、常時五人以上の
事業所に限られておるのでありまするが、五人以下の企業というものは、
大臣も
答弁で数字を明らかにしておりましたが、私の統計はやや古いもので、昭和二十六年の総理府の統計でありますが、五人以下の
事業所は、製造業だけを見ましても六二・六%、商業におきましては九一一%でありますから、
日本の
労働者として当然この
保険の恩恵を受くるべき
対象の
労働者で、おおまかでありますが、約半数ばかりの
労働者が漏れておる。しかも中小企業、零細企業に属する人々の
日本経済における地位というものは、非常に重要であります。その重要度におきましては、むしろこういう社会
保険の恩典を一番先に享有せしめなければ、
日本経済の復興はこういうところに大きな障害を生じ、これが
日本経済の一大ネツクにな
つておるわけであります。でありますから、もし社会政策としてこの種の
保険を普及徹底しようとするならば、まずこの際中小企業、零細企業の悪い条件のもとにあります
労働者の救済のためにこの
保険が手を差延べるべきことは、私が説明をするまでもないと思うのであります。この点に対して、あなたの言質をとらえて言うわけではありませんが、あなたは真摯な態度で、しかも
社会保障について、あるいは社会政策について熱心な態度を表明されておりましたから、それほど熱意があるならば、この
機会になぜ思い切
つて中小企業、零細企業に手を差延べる
改正をなさらなかつたか。この点に対しては、どうも今までの
大臣の
答弁では納得できませんので、ひ
とつ納得のできるような
答弁をお願いいたします。