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1954-03-25 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十五日(木曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 松永 佛骨君    理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君    理事 岡  良一君       植木庚子郎君    越智  茂君       助川 良平君    高橋  等君       寺島隆太郎君    降旗 徳弥君       安井 大吉君    滝井 義高君       萩元たけ子君    柳田 秀一君       杉山元治郎君    山口シヅエ君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  高辻 正己君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         厚生政務次官  中山 マサ君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正己君         厚生技官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         農 林 技 官         (水産庁次長) 岡井 正男君  委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 三月二十四日  身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四六号)(参議院送付)  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第四七号)(参議院送付)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出第八  三号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  あへん法案内閣提出第八九号)  厚生行政に医する件     ―――――――――――――
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まずあへん法案議題とし、審査を進めます。本案はすでに質疑を終了しておりますので、ただちに討論に付するのでありますが、本案につきましては、討論の通告もございませんので、本案討論を省略し、ただちに採決いたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  本案討論は省略し、ただちに採決いたします。本案原案通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案原案通り可決いたされました。  なお本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小島徹三

    小島委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     ―――――――――――――
  6. 小島徹三

    小島委員長 次に医薬関係審議会設置法案戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案らい予防法の一部を改正する法律案、以上三法律案を一括して議題とし、質疑に入ります。御発言はございませんか。   〔「政府側がそろつていないじやないか」と呼ぶ者あり〕
  7. 小島徹三

    小島委員長 なおこの際委員長から正式に厚生省に申し上げます。政府側の諸君の出席がおそいので、こういうことであつた審議影響いたしますから、今後なるたけ早く御出席を願います。  ちよつと速記をとめてください。   〔速記中止〕   〔委員長退席青柳委員長代理着席
  8. 青柳一郎

    青柳委員長代理 それでは速記を始めてください。     ―――――――――――――
  9. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ビキニ環礁付近における爆発実験による日本漁船被害事件について発言を求められておりますので、これを許可いたします。岡委員
  10. 岡良一

    岡委員 楠本君にお尋ねしたいのですが、先般新聞の伝えるところによりますと、保安庁の方では、第五福龍丸事件以後同方面海域から十隻の漁船が三崎港と東京港に帰港したが、内七隻に積んで来たまぐろ、生いか、作業衣などに放射能反応があつたということを発表いたしており、これに対して楠本君は海上保安庁発言は軽率であつて厚生省の検査に間違いがないというようなことを申しておられますが、この点はその後重ねて、その厚生省の主張に間違いがないという確証を得られるような措置をとられたのかどうか、その点いかがになつておるかお話願います。
  11. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘のように、過日の水産委員会におきまして、海上保安庁から魚類その他に若干の放射能を検出したということを聞いたのでありますが、その後私の方におきましては、再びさような地域につきまして重ねて記録その他を調査いたしまして、その結果厚生省の精査には何ら間違いのないことを再確認いたしました。   〔青柳委員長代理退席委員長着席〕 なおこの点を海上保安庁に申出をいたしまして、同じく調査を依頼いたしましたところ、その後海上保安庁の方にお参きましては、これは大した専門家がやつた仕事でもないので、おそらく間違いであつたろうということを申し出まして、陳謝して参つております。なお現在まで私ども各五港におきまして、船舶数にいたしまして、今日現在で約九十そう、約八十万貫の魚を厳格に調査いたしましたが、それらの結果は福龍丸関係を除きまして、すべて放射能その他の反応を認めません。ただきわめて一部の船舶にしかもその外部にきわめてわずかな放射能を証明し得たものはございます。
  12. 小島徹三

    小島委員長 岡君及び他の委員の方に申し上げます。今外務大臣を無理に外務委員会から借りて参りました。十五分だけ借りて参りましたから、そのつもりで御質問願います。それで他の政府委員に対する質疑をしばらく留保して、外務大臣質疑を集中していただきたいと思います。三十五分になれば外務大臣は放免しますから、そのつもりで御質問願います。
  13. 岡良一

    岡委員 外務省といたしまして、このたび新聞紙等を通じてビキニ環礁被爆事件については資料を調査の結果、一応その当時における被爆船である第五福龍丸は、禁止区域外にあつたという事実については、これを確認をしたということまで調査が進んでおる、こういうことが新聞で発表されておりますが、その点その通りでございましようか。   〔委員長退席青柳委員長代理着席
  14. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 福龍丸の書類によりますればその通りであります。
  15. 岡良一

    岡委員 そのことはしかし将来の補償等にもかかわる重要な問題でありまするが、それでは外務省は、福龍丸航海日誌において示された三月一日三時三十分当時におけるあの経緯度の位置にあつたということを確認されるのでしようか。
  16. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外務省はそういう点については専門家でありませんから、関係方面確認をしたものをそのまま受取つて、確かなものだと認める以外に方法はありません。
  17. 岡良一

    岡委員 そのように危険区域外にあつた日本漁船である第五福龍丸被爆を受け、今国民的にも大きなセンセーシヨンを起しておる。このことについてはアメリカ側補償をいたす用意があるということを、本日の新聞紙を通じて見れば、外務大臣報告いたしておりますが、政府としては当然これは賠償要求すべきものである、このように考えるのでありまするが、外務省アメリカ側のいわば補償を期待されるのであるか、日本として自主的に賠償要求されるのであるか、この点いかようにお取扱いになる御方針であるか承りたいと思います。
  18. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 それは今後の話合いによらなければはつきりいたしませんが、日本アメリカとは安全保障条約締結等特殊の親善関係にありますから、特に片ひじ張つて賠償とか補償とか区別をつける必要もない場合が非常に多いだろうと考えておりますので、まだどつちにするかは決定しておりません。
  19. 岡良一

    岡委員 日米安全保障条約をあなたは例にとられますが、日米安全保障条約とこの問題とはこれは問題の性質がはるかに異なつておるのじやないでしようか。日米安全保障条約相互相互防衛についてのいろいろな義務なりまたは援助なりを規定したものでありまするが、しかしこれは平和時においてアメリカの第二次水爆実験という事態が、しかも禁止区域外でたまたま漁撈に従事をしておつた日本人漁夫日本漁船に大きな被害を与え、しかもそのことは日本国民が海の魚に蛋白脂肪等の給源を仰いでおり、国民栄養上も大きな不安と恐怖をかもしておるという事実について、これは日米安全保障条約を例にとつてお互いが仲よくやつておるのだから、片ひじを張らないということでは私は相済まないと思うが、重ねて外務大臣のお考えを承りたいと思います。
  20. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 それは御意見の相違です。われわれはアメリカとの間に特殊の緊密な関係があり、しかもアメリカは自分の子弟の生命犠牲にしても日本を守ろうという約束をいたしておるのでありますから、ほかの国とは関係が違う、そこで普通この例は違いましようが、何か人に被害を及ぼしたときに、示談で事が済めば裁判費がかからないでよいのであつて、つまり補償で事済めば、特に四角ばつてやらなくても、日本側の要請が全部満足されればそれで十分であろうとも考えていますが、しかしこれはまだ決定はしておりません。
  21. 岡良一

    岡委員 しかしながら賠償であるか、補償であるかという点については、私どもは当然やはり日本は国の許された権利として、何もかた苦しくけんか腰で行くというのではなく、当然な国家の権利として、それを行使するのですから、これは賠償要求すべきであると私どもは思いますが、その点についてはさておきましよう。  それではこの六月三十日までに期限をつけまして、さらに四百五十マイルに拡大された危険区域指定しておりますが、このことは日本漁業界に大きな影響を与えるばかりでなく、国際法上から見ても、私どもは違法であると考えておりまするが、外務省見解として伝えられるところのものとはかなり見解を異にしておる、一体外務省としては、こういう措置に対していかなる見解を持つておられるのであるか、特に国際法上そういう慣例があつたのかどうかという点をもあわせて御答弁願いたいと思います。
  22. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 国際法上はこういう種類爆弾というものは前例がないのですから慣習はありません。しかしながら同種類のもの、たとえば一万メートルに及ぶ艦破射撃を、その船が二十数ノツトでもつて大洋のまん中を艦列をなして走りながら大砲を撃つ、その場合には半径一万メートルに及ぶ、そして二十ノツトなら二十ノツトの速力で一日半日ずつと走る、その間の水面が危険区域として指定された例はしばしばあります。日本でもそういう指定をいたし、各国お互いに、その国の防衛力のためであるからというので、できるだけこれに近寄らないようにいたし、お互いに尊敬し合うという例はあります。従つてこれは程度の問題であつて、その広さ及び期間がどうであるかという点を除けば例はあることはあります。そこで今度の場合は、そういう爆弾種類が違いますから、新しい例になり、従つて範囲も広くまた期間も長いということにおいては今までの慣例とは違つております。しかしわれわれはアメリカ防衛力の増強はすなわち世界の安全に資するゆえんと考えておりまするから、できるだけこれに対しては機密保持協力し、かつこの実験その他が妨げられないように、できるだけの措置を講じたいと思つております。但しそのために日本漁業が著しく不利な影響をこうむる場合は、これは漁業という立場から考慮をしなければならぬので、この点については実際上どれだけの損害があるかということを関係者調査を依頼いたしております。
  23. 青柳一郎

    青柳委員長代理 岡君に申し上げます。大臣退席を急いでおられます。でき得る限り厚生行政範囲内で御質問を願いたいと思います。
  24. 岡良一

    岡委員 私は、厚生行政範囲内と申しますのは、結局国民栄養を海の魚に依存しておるという立場から、国民栄養の観点からこの問題をお尋ね申し上げておるので、多少逸脱しておるところは御了承願いたいと思います。
  25. 青柳一郎

    青柳委員長代理 でき得る限りと申し上げました。
  26. 岡良一

    岡委員 そこで、それでは重ねてお伺いをいたしますが、外務農林両省の方で二十日から損害補償のほかに危険区域の短縮ということについて、いろいろ作業を進めておられるように新聞で承知しておりますが、この問題についていかように進捗しておるか、また将来その基礎に基いて、その作業の結果得られた結論に基いて、アメリカ等に対していかなる処置に出られようとする御所存であるのか、この点を承りたいと思います。
  27. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれはできるだけアメリカのそういう実験等には協力をいたしたいと考えております。従いまして、できるならば範囲縮小等について言及することを避け、これに基く漁業損害等についての措置を講じたい、こう思つておりますが、まだ結論は出ておりませんから、これはいかんとも申し上げる段階になつておりません。
  28. 岡良一

    岡委員 私どもとしては非常に遺憾千万な御答弁でありますが、それでは重ねてお尋ねをいたします。たとえば先ほど例を引かれました艦砲射撃などという場合においては、時間的にも区域的にも非常に限られておる。ところが今度の第三次水爆実験として伝えられるところのもの、それにかかわる危険区域指定は、日本東京を中心とすると室蘭から下関に及ぶものである。しかも六月三十日までそれが危険区域として指定されておる。しかもその直北にはウエーキ島があり、そこにはプレジデント・ラインなり、日本の日航なり、あるいはパン・アメリカンなり、ノース・ウエスタンなりの航空路があつて、こういうことをあえて冒してまでもここを通つている。またそこで漁労に従事している漁民に対しても、あるいは大きな犠牲を与えるかもしれない。こういうようなことをおもんぱかつた場合、それでもなおかつ外務省としてはこれに協力をする、従つて期間縮小とか区域縮小というようなことについて、とこう申されるのであるかという点について、重ねて御決意を承りたい。  もう一つは三月一日のビキニのこの水爆実験については、アメリカ本国の最近の輿論も実に被爆範囲が拡大されておつたことに驚いておる。同時にまた科学者の専門的な意見に徴しましても、水爆実験ということになると、これは科学者実験室においてどの程度のエネルギーを放出するのか、その範囲がどれほど及ぶかということがわからない。従つてつてみた結果についてその破壊力の拡大、あるいは力というものをはかるよりほかないというのが、現在の科学者意見である。そうなれば四百五十マイルと指定いたしましても、事実上はるかにそれを越える範囲犠牲を及ぼす可能性は十分にある。現にビキニ爆発の五日、六日あとに、五百マイル離れたところにおいても放射能が発見されておる。アメリカのある船は、一千マイルを離れたところの航路を通過しながら、しかもやはり放射能が発見されたという報告も来ておる。こういうことになれば、かりに被爆範囲を四百五十マイルと指定しても、これをもつてはたして危険区域であるとみなせるかどうか、その危険区域内におるならば、平和な漁民や汽船や旅行者は安全を保てるかどうか、そういう保障ができないということが、今度の事件によつて明らかになつておるわけであります。しかもこの場合において、第一、第二を通じて地球上におけるただ一つの大きな具体的な原爆犠牲者としての日本、また日本国民を代行する日本外務省当局が、これに対して協力をするというようなことで、はたして相済むのか、世界輿論に対してもあるいはまた国民のこの関心に対しても相済むと思われるのか、この点は人道上の大きな問題であるとも考えるのであるが、岡崎外相の重ねての御答弁を承りたい。
  29. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 いろいろ御意見はありますが、私は今の科学者調査を信頼してこの危険区域外は安全であると信じております。またそれを信じ得ないという材料は今のところ何もありません。それから世界の今の実情から言えば、アメリカ側のかかる実験を阻止する手段は、自由主義諸国の一国としてとるべきでない。もし世界中原子管理ということになればこれは別でありますが、ただいまのところは、私はこのアメリカ実験等をむしろ助けるべきであろうと考えております。これは日本被爆を受けたからということではなくて、世界平和の維持のために必要であると確信をしております。しかし今申す通り、この地域一般言つて――人道問題とか何とかいうお説でありますが、この危険地域に関する限りは、日本漁業の問題であろうと思つております。従いまして漁業がどれだけ損害を受けるかという実情調査いたしまして、これに対しては適当な措置を講ずべきだと思うわけであります。それ以外には日本の、たとえば一般貨物船がその中を通過するということは聞いておらないし、その他特に問題になる点はない。要するに漁業の問題である。漁業妨げがあればそれだけの措置を講ずるし、妨げがなければさしつかえない。こういう意味でできるだけ実情調査して善処したいと私どもは考えております。
  30. 岡良一

    岡委員 そこでお伺いするが、外務大臣は現在指定された危険区域外をもつて科学者調査結論であるからさしつかえない、こうおつしやいますが、現に第五福龍丸危険区域として指定されたところ外のところにおつて、これが大きな犠牲を払わんとしておる。なるほどその犠牲は軽微な火傷であるが、あるいは生命の擁護に対しては不幸な転機をとるかわからない。しかし少くとも日本のその方面権威者は、そのうちのある部分は不幸な転機をとるかもしれない。少くともその観察には二箇月を要するであろうということを言明しておる。こういう事実に徴しても、われわれはこの四百四十海里というものが、科学者調査の結果あるいは研究の結果にまつたものであるから安全であるという考え方において、このままに見のがしておらるという外務省態度は――事実がすでに安全であるという危険区域外の地点において、大きな犠牲を払つておるという事実を、まつたくあなたは無視しておるのじやないか、その点が一つ。いま一つは重ねて関連してお尋ねをしたいのであるが、たとえば昨日われわれの委員会意見の一致によつて福龍丸処置について、政府側特に外務当局に対して申入れをいたし、またこのことについては、与党総務会の方でも、政府がこれを買い上げることに決定をしたというようなことを承つておるのであるが、これは買い上げられるのであるかどうか。もう一つは買い上げられた福龍丸はこれをいかにいたされるのであるか、その管理、その研究の主題として、これは日本の学界に提供されるのであるか、それともまた別な方途を講ずるのであるか、この点についても重ねてお伺いをいたしたい。
  31. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 今度危険区域を広げましたのは、要するに安全を十分に考慮しての措置と私は考えております。御いまして今回の措置は、その危険区域外では安全であると信じておりますし、また安全でないという証拠はどこにもない。福龍丸については与党から買い上げるべしという申入れ政府は受けております。なるべくならば政府としてこれを買い上げたいという意向でありますが、まだ決定はいたしておりません。これをどういうふうに処置するか、これは関係省できめることで、外務大臣のきめる問題じやありません。しかしながら、今の私個人考え方としては、第一にはこれが不測の手段によりまして、この情報を非常にほしがつておる第三国に流れないような、セキユリテイの処分を考えなければならない。同時にこれを学問の研究に役立つ意味で適当な方法で使用いたしたい、こういうふうに考えておりますが、具体的にどうするかということは、まだ買上げもきまつておりませんから、従つて処分もきまつておりません。
  32. 柳田秀一

    柳田委員 今の岡君の質問に関連して少しお尋ねいたします。自由主義国一環としてむしろ協力しなければならぬというような今のお言葉でありましたが、私は少くとも原爆に関しては、世界中で皮肉と申しますか、不幸と申しますか、第一、第二、第三の被害をこうむつた日本としては、原子力兵器を禁止するような措置を、世界各国に当然要求する権利もあると思うし、また同時に責任もあると思うのであります。きようの新聞を見ますると、チヤーチル英国首相はこういうものを禁止する意図はないかというような議員の質問に、こういう原子力というものは発見するのにも苦労したが、これをなくするのにもさらに困難を伴うということを、目に涙を浮べて老宰相が語つておられたというところに、私は老首相がいかに心痛しておるかがわかると思う。従つて今の岡崎外務大臣の御答弁は、そういうふうに努力したいというような御答弁ならまだ話がわかるのでありますが、むしろいささか逆襲されるような形で、自由主義国の一国として協力するというようなお立場では、おそらく日本全体として満足しないと思います。もう一度重ねてお伺いしたいのですが、これはチヤーチル首相の言われるようにはなはだむずかしいことかもしれないが、進んでそういうような用意もあるというような御答弁ができるのか、やはり日本アメリカあるいはその他の自由主義国一環として、こういうような実験にはその後もさらに進んで協力したい、こういうような御意見であるか、最後にひとつ承つておきたい。
  33. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは二つの別の問題をお聞きになつておるので、私は原子力国際管理ということには全面的に賛成であります。従つてこれをどういう方法で実現するかということは、今おつしやつたようになかなか困難な事態でございまして、ことにソ連の態度を見ると非常に悲観的にならざるを得ない場合もありますけれども、われわれは希望を失わずに、この原子力国際管理という方にできるだけの力を尽すべきであろうと思います。しかしながらそれがきまるまでは一方の国の実験は自由にしておいて、一方の国はこれを妨げるということでは、片手落ちになりますし、ことに自由主義諸国防衛力関係から、その国際管理がきまるまではわれわれはアメリカなりイギリスなりのそういう研究には協力をいたして行くべきものだ、こう考えております。
  34. 柳田秀一

    柳田委員 ただいまの御答弁は満足いたしましませんが、まあ立場も違うことでありますし、今日は外務大臣も特に忙しい外務委員会をさきましてこちらへ来ておられますので、私は厚生行政関係した点だけを伺います。  その前に、先ほど同僚岡委員からわが国から進んでアメリカ賠償要求をすべきである、こういうような御意見に対して、岡崎外務大臣はそう荒立てなくても、お互いに仲のよい間がらでは示談というようなことも個人間の場合でもやるのであるから、国際間でもそういうふうに行きたい、こういうような御答弁だつと思いますが、仲のよいほどならばなおさら向うも虚心坦懐にわが国にそんな申出があつたと思うのですが、いかに親しきうちにも礼儀ありで、仲がよくてもこういうような公海上において、しかも禁止区域外において――その禁止区域自体の問題もありますが、公海上において、事前に何らの予告もなしにこういうような人体にまで影響するような大きな被害をこうむり、さらにそれによるところの経済的な大きな影響をごうむり、さらに日本人としては心理的に非常に大きなシヨツクを受けたこの事件に対して、米当局から日本外務当局に正式に陳謝の意が表明されましたか、その事実だけを承りたいと思います。
  35. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 まだ実は危険区域外にあるという確認はただいまのところ関係省調査をしてほぼ間違いないことは事実だと思いますが、この確認の手続を十分いたしまして、これをアメリカ側に承認せしめるというのがまず第一であつて陳謝等はまだ参つておりませんが、いずれそういうことは考えられることと思います。
  36. 柳田秀一

    柳田委員 しからば危険区域外確認をまつて陳情の要求なり何なりするという御意向と承つてよろしゆうございますか。
  37. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 まずそういうことになろうかと思つておりますが、これは国際交渉の問題でありますから、ここで私が言明する限りではないのであります。
  38. 柳田秀一

    柳田委員 新聞の報ずるところによりますと、日本漁船区域外であるということは、海上保安庁その他の方においてすでに確認されたというふうにわれわれは存じておりますが、さらにこの上慎重に調査を期せられて、この確認を再確認されるのはいつごろになりますか。あるいは今の確認をもつて足れりとせず、さらに再調査されるのでありますか。その確認は少くともどういうような方法でなさるのでありますか、この点もお聞きしたい。
  39. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは外務省のすることじやございません。関係省で、これで十分だという結論がはつきり出ますれば、それを外務省は受取るだけであります。それがつまり確認の最終的の決定であります。こういうことになると思います。
  40. 柳田秀一

    柳田委員 私はこれについてもずいぶん議論もあります。またわが国としてはこれは外であつたということは大体確認できておると思いますが、それが海域外であろうが内であろうが、少くともこれはわが国としては外であるといつておるのでありますから、またそれは大体認めておると思いますが、それは水かけ論になりますからやめますが、少くともこれだけの現実に被害があつたのに対して、親しきうちならなおさらのこと、陳謝の意が表明されてしかるべきであると思いますが、それに対して陳謝の意が表明されていないということは遺憾でありますが、これは直接外務委員会お尋ねいたすことにして、そこで岡崎国務大臣お尋ねいたしたいのは、この問題を、被害を受けた漁夫、被害を受けた船、魚というふうにわけられますが、特に一番大事な人間の生命の問題に関してお尋ねいたします。最初にこの被害を受けられた人たちが帰つて来られたときに、日本の学者陣は何よりもまずこの放射能の物質の量、質あるいは寿命等を、いわゆる死の灰の正体、いかなる原子核の分裂が起つて、その核分裂から生成されたところのどういう元素群等があるかということが大事であつて、それが治療に何よりも大事であるというような声が学者陣から出ましたし、同様のことは十七日に厚生省外務省を通じてその解明方を申入れておるのでありますが、この物質の解明に対してそういうような申入れなり、学者の要望等を外務当局は受次いで、それをアメリカ軍当局にそういう解明の申入れをされましたかされませんか、結果の有無だけをお知らせ願いたいと存じます。
  41. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 それは先方に申入れてあります。但しこれは機密保持、つまりある国においてはこの機密を何とかして手に入れようと八方苦心をいたしておる現状でありますので、その機密保持と両立する範囲内でなければならぬわけでありますが、他方においてアメリカの学者の言うことで、これは私は専門家でないからわかりませんが、万一この原子爆弾等の被害アメリカ側が受けた場合に、そのもとがどういう爆弾であるかということが発見されなければ治療ができないというのでは、アメリカとしても戦争のような場合を考えればそれは手遅れになつて何もできないということになるので、アメリカ側の学者の研究の主体はそのもとが何であろうとも火傷なりその他の被害を受けた場合に、これに対して応急の手当が加えられるような研究をいたしておるそうでありまして、またそれでなければ実際ものの役には立たぬと私は思つております。それがはたして事実であるならば、おそらく秘密保持と両立する範囲で治療の方法は十分講じられるのじやないかと想像はいたしておりますが、この点は私にははつきりどつちということは言えません。
  42. 青柳一郎

    青柳委員長代理 柳田君に申し上げます。お約束の時間が大分たつていますから恐縮ながら簡単に願います。
  43. 柳田秀一

    柳田委員 これは非常に問題なんでありまして、外務大臣が予算委員会等でも答弁されておるので、今のようなことを言つておられることを知つておると思うのですが、たとえばもう陳腐な兵器になりましたが、毒ガスを使つて障害を受けた。それならば何をおいても治療するのにはどういう種類の毒ガスであるかを解明することが治療になる。従つて今回の場合でもその放射能がどういうところに入つて行くか、あるいはどういう寿命かというようなことによつて治療ができるということを日本の学者は言つておるのです。従つて岡崎外務大臣日本の学者の言を信用されますか、それともアメリカの方で言われた学者の言を信用されるのですか、どうも私はふにおちない。ある新聞が、それでは自主性も常識も何もあつたものじやない。これは外務省じやなしに皆無省だというような皮肉を言ておるのでありますが、私はどうもふにおちないのであります。ことにそこに来ておられます中川アジア局長はこういうようなことを言つておられるのであります。日本の学者からそういうような申入れをしたときに、申入れの趣旨はわかるが、この際は患者の治療が先決問題だから、日米協力して万全を期してほしいという申入れに対して、婉曲に断るようなことを言つておられます。日本の学者がとにもかくにもその実体がわからなければ治療が進まないといつておるのに、むしろそれを大いにアメリカの方に取次いで、そういう希望をかなえるように努力しようというのではなくて、むしろそれをしいて押えるような答弁をしておられます。こういう点から見ても、あるいはまた奥村次官が新聞に発表しておる談話、またこの前厚生委員会で小瀧政務次官が言つておられることはみな同じことであつて、向うから専門の経験のある学者が来るのだから、それと日本協力したらいいのじやないか、こういうようなことであります。日本は実際に被害を受けておるのに、アメリカの方はそれに対して正式に陳謝も何もしない。そうして日本人がモルモツトがわりになつてその結果アメリカの方は被害に対しては相当自分たちも将来役に立たしたい、そういうところだけはアメリカの方にもわけまえをくれ、こういうふうに国民はそれをどうしても受取るのであります。そこで外務省は、この点はやはり毅然たる態度日本の自主的外交をもつと発揮してもらわなければならない。ことにこれは人間の生命に関する問題でありますから、特にその感を深くするのであります。まだくお聞きしたいのでありますが、時間が制約されますので、これに対しては御答弁も大体同じような方向の御答弁しかいただけないと思いますから、先へ進みます。  ただ一つだけお尋ねしますが、岡崎外務大臣はこういう原子力による被害に関しては、日本アメリカのどちらの医学が進んでおるように理解されておりますか。その点をひとつ。
  44. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 その点は私はわかりません。ただわれわれも日本の学者の言うことは信じたいと思つております。ただ現在においては学者の意見がまちまちであつて、ある人はまぐろを食べてよろしいということを公表しておるが、ある学者はとんでもない、まぐろは食えないのだといつて発表しておる。ある人は、被害はそれほど心配することはないという発表をいたしておれば、ある人はあるパーセンテージは非常に危険だということを発表しておりまして、日本の学者のどれを信じていいかも、われわれのような専門家でない者にはわかりません。
  45. 柳田秀一

    柳田委員 岡崎さんが予算委員会で、アメリカの専門医に被害者の状況を見せさえすれば、現在の医学の許す範囲の治療はできるものと考えております、こう速記録には出ておりますが、こういうことを言つておる。これはよほど日本の医学がおわかりになつておらぬ。あるいは現地のこういう原子医学に対して、外務当局として折衝されるのにはもう少し御理解がほしいのであります。こういう速記録から申しますと、これは大分はげた頭としか私どもには考えられぬのであります。今後こういう放射能の解明は、近く国会に提出されます――提出されましたかと思いますが、秘密保護法との関係はどうなりますか。今度の秘密保護法案で、われわれが承知しておりますところの第一条の第三項でしたか、これにはいわゆるMSA協定に基いて米国から供与された装備品と、そういう構造、性能、品目で公表せられざるものに対する制約立法と思いまするが、もしもこの秘密保護法が制定されたといたしまするならば、このたびのは別にMSA協定に基いたものでもなければ、アメリカから供与されたものでもないと思いますが、こういうときに医学者が自分の治療をやるために、この物質はどういうものであるかということを新聞等に発表することは秘密保護法によつて縛られることになりますかどうか、その点の見解をお伺いしたい。
  46. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは秘密保護法には関係がありません。しかしながら日本の国として国際信義、国際友情その他から考えて、できるだけ自分の親しき自由主義諸国の機密は、国として守ることは当然であり、また従つて国民としてもこれに協力すべきは常識上当然のことと思いまして、いたずらにこれをほしがつておる国にわからせるような発表の仕方をすることは、私ははなはだおもしろからざることと思いますが、罰則の適用等は遺憾ながらできません。
  47. 柳田秀一

    柳田委員 第五福龍丸の引渡しは、まず今のところアメリカからも要求があつたかどうかしりませんが、引渡すようなことはないというふうに、われわれは新聞等で自由党の総務会等でも言われたように承知しておりますが、今後もしもアメリカの方からこれを引渡せとか、あるいはアメリカの方で処分したい、あるいはアメリカの方から補償等が来たときに、その反対給付として渡してほしいとか何とかいう要求があつたときにも、岡崎外相日本の学界の輿論を十分くまれまして、断固としてそれを拒否される御意向でありますか。福龍丸日本において確保するということをはつきり再確認をしていただけますかどうか、この点伺いたい。
  48. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは外務大臣の所管事項じやありません。船を日本側でもつていかに処分するかということは、関係各省の決定するところであつて外務省は外交交渉はいたしまするけれども、そうしてまた国務大臣として十七分の一の意見は申し述べますが、ここで私がどうするということは、関係各省で協議しないこの際申し上げることはできません。
  49. 柳田秀一

    柳田委員 このたびの被害漁夫に対してわれわれは非常に心痛しております。現在の白血球の状態その他において新聞紙上伝えられるところによつても、われわれとしては非常に心痛しておる。ことにこれを見ておられるところの東大の医学陣においては、不幸な転機をとるのじやなかろうかというような最悪の事態まで心配されておりますが、一方アメリカにおきましては、日本に参りましたパストアという原子力委員は、日本新聞あるいはその他の報道機関等あるいは学界等が、これをはなはだしく誇張に報道しておるということをロール委員長報告しておるというふうに伝えておるのでありますが、外務大臣もこの事件が起つて以来、自分の御所管にも関係深いことでありますから、新聞等もお読みになつておると思いますが、外務大臣自身の現在御理解されておるところによりますと、この事件に対して日本新聞報道等が、あるいは学界等が事実以上にパストア委員の言われるように誇張に報道しておると思われますか、それともやはり日本の学者の言うように、あるいは事態によつては最悪の事態まで至るんじやなかろうかというふうにお考えになつておりますか、どちらでありますか、これだけお伺いして私の質問を終ります。
  50. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 学者の意見がどうであろうとも、それを新聞が報道することは当然のことであつて、学者が誇張しておるかどうかという議論はできましようけれども、もし学者の意見をそのまま報道しておるならば、新聞が誇張しておるかどうかということは議論にはならぬと思います、現在新聞はあらゆる方面の材料をとつて、できるだけ正確に報道しようと努めておることは私も承知しております。ただその根拠となる学者の意見が一致していないものですから、いろいろその間に矛盾したような報道が出て来ることもやむを得ないことと思います。
  51. 滝井義高

    ○滝井委員 日米合同調査会の会議を昨日持たれましたが、その主体はいずれにあるかということが一つ。  いま一つは、この日米合同調査会議アメリカ側からいろいろ情報がもらえると思うのでございますが、日米相互防衛援助協定というものについては、アメリカからもらつた情報は、祕密保護法にひつかかることになつている。おそらくこの法案は近く通ることと思いますが、この合同調査会議というものは当然しばらく続けられると思います。従つてこの法案の通つたあとにおいてもおそらくそういう問題が続けられるとするならば、そのものはこれの対象になるかどうかということ。  それからいま一つは、魚の問題は、日本の学者でも、害になる害にならぬと議論百出だという御答弁がありましたが、今日の新聞であつたか、アメリカから日本外務省に対して、あの指定した区域内の魚類というものは危険である、しかし区域外の魚はそう大して危険ではな、いこういう通知が外務省にあつたという報道があるが、そういう報道があつたかどうか、これに対する答弁をいただきたい。
  52. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 合同調査会でありますから、これは合同にやるのでありまして、その主体は外務省でやつております。つまり日本側でやつております。それからこれはアメリカ側から今のところはMSAの協定も承認を受けていないし、法律もできておりませんから、何ら適用はありません。将来はその法律の範囲内においては適用があります。しかしながら今日といえども日本側の責任ある科学者たちが必要な秘密は常識的に守つてくれるものと私は信じております。  それから最後のお問い合せですが、これはアメリカ原子力委員会において調査した結果をアメリカ大使から外務省報告をいたして来たのであつて、それを発表いたしました。
  53. 滝井義高

    ○滝井委員 問題は外務大臣が最初に言われましたように、われわれは今後アメリカの原子兵器の実験を阻止するものではない、むしろ実験を助けるべきだ、問題は魚の問題だ、こういうことを言われました。われわれも合同委員会としては魚の問題が一番大事なところなんです。アメリカから危険区域の中における魚というものが危険だという御通知が来ておれば、当然これはその魚に対する――危険な魚なんですから、その地区の魚というものは危険区域外にも出て行くのです。そういう魚は危険であるからどういう措置をとれということは、当然これは急速に水産庁あたりと連絡をして、そうしてもつとこれを科学的に、学問的にわかりやすく大衆に発表していただくことが今後の日本の水産業の一番大事な点じやないかと思うのです。なぜそういうことを申すかと申しますと、現在すでにアメリカは十才か何かの子供が可燃性の絹織物を着ておつた、そうしたらそれに火がついて燃えたから、もう日本の絹織物は輸入まかりならぬとか、日本でつくつたまぐろは原子であぶないから輸入相ならぬということで、ぴたつと日本の生きて行く産業に重大な影響のあるものを断ち切つておるわけなんです。だからアメリカにそういう親切心があれば、当然外務省としては水産庁と連絡をとつて国民に認識せしむる必要があると思うのです。そういう措置を具体的にどういうぐあいにとられるのか、それをあわしてお伺いしたいと思います。
  54. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 申し上げておきますが、まぐろのカン詰についてぴたつと措置は何もとつておりません。それからただいまの御質問でありますが、これは関係省に、さらにこれに基いて調査をいたして適当な措置を講ずるつもりでおります。
  55. 青柳一郎

    青柳委員長代理 ただいま中山厚生政務次官、岡井水産庁、次長、中川外務省アジア局長、楠木環境衛生部長がおりますが、何か御質問がございますか。
  56. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 被爆を受けましたことによつてつて参ります損害補償の問題がどうも区々としておりまして、確定をしていないのであるが、私ども新聞等で拝見しますと各委員会で伺つて考えるのでありますが、まず第一にその漁夫の医療費及びその家族の生活保護、また家族が東京に参りますその旅費等につきましては、予備費から出るというようなことも、先ごろ厚生大臣から伺つたように思うのでありますが、これは決定しておりましようか、伺いたいのであります。
  57. 中山マサ

    ○中山政府委員 この問題につきましては、いろいろと皆さん御心配いただいておるようでございますが、今のところ漁業組合が臨時にお金を立てかえてやつてくだすつておりますけれども、むろんこれは厚生省といたしましては、この点においては御心配はかけないということに決定をいたしております。
  58. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そうすると厚生省では予備費から出すということを一応考えているのでしようか。
  59. 楠本正康

    楠本政府委員 事務的の取扱いの問題でございますから私から御返答いたしたいと存じます。  現在医療費につきましては、たまたま全員が漏れなく船員保険の被保険者でありましたために、船員保険を適用いたしました。しかも厚生部内においては、船員保険をできるだけ幅を持たせて、できる限りの運営上の措置を講じまして、何一つ支障ない立場をとつております。従つて現在のところは医療費につきましても、また生活費につきましても、当分の間従来通りの俸給が船員保険によつて支給されておりますので、支障はございません。
  60. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今の生活保護の点で、家族の生活保護の関係について伺いたいのでありますが、御承知のように、船員保険ではいろいろ今までのいきさつ等がありまして、この漁夫たちに対しては、一箇月六千円ぐらいしか出せないという実情にあるということを承つております。ところが実際においては、彼らの生活は月二、三万円かかつておるということであります。従いまして船員保険の傷病手当金によるだけでは、彼らの生活はできないわけであります。このことはどういうようになつておりましようか伺いたい。
  61. 楠本正康

    楠本政府委員 重ねて申し上げておきますが、船員保険の規定においては、四箇月間は全額俸給が支給されます。従つて少くとも四箇月間は従来通りの生活が医療費を離れて行えるわけであります。
  62. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 楠本さんにそれを伺うのは無理かと思いますけれども、平均標準俸給が彼らのは今まで安く届けてあるわけであります。そこで月六千円ぐらいしか入らない。事実は少しごまかしがあつたわけであります。保保険料との関係でごまかして届けてあるわけであります。事実は月二万円ないし三万円必要であるということが実情調査しまして、はつきりしておるわけであります。ですから六千円もらつてつたならばどうも東大なり、第一なりに主人を預けてうちの者は干上つてしまうということになるわけです。ですからそこを、これは個人の責任による損害ではありませんから、当然政府がこれを補償しなければならぬ、あるいはさらにアメリカから補償してもらわなければならぬ。従つて六千円ではどうにも食つて行けないのでありますから、そのため今までの実収から申しまして、月収二、三万というものの差額を何とかしなければならぬ。船員保険では間に合わぬわけであります。それを今さしあたつてしてあげなければ家庭の方々は生活にも困りますし、また事実患者を病院に預けて治療と研究のために病院に入院してもらうということはできないわけです。だからその生活費あるいはまた東京に参ります旅費、こういうようなものを何とかしてやらなければならぬ。これについて政府でどういう対策ができているかを伺いたいのであります
  63. 小山進次郎

    ○小山説明員 いろいろ問題が関連しておりますので、便宜お答えを申し上げまして、私の方の所管からほかの方の所管に移る関係部分までお答えを申し上げたいと思います。先ほどお話があつたのでございますが、今回のことが漁夫の過失に基くものではない、従つて政府が全額を補償するか、あるいは先方が責任を持つべきか、どちらかでなくちやいかぬ、こういう前提でのお話であつたわけであります。この点について今日までとつて来ました方法は、先ほど申し上げましたように、現実に漁夫が医療を必要とし、かつ生活上の費用を必要としておる、こういう事実がございますので、それについては船員保険法の定めるところによつて実施して参つているわけであります。但し漁夫の届け出ております標準報酬と実際の収入との間に食い違いがあるということは、これはおそらくおつしやる通りだというふうに考えざるを得ないだろうと思います。その点についてどういうふうな対策をとるかということでありますが、この差額を国が責任を持つて当然補填すべきであるというような考え方は、現在のところ私どもはとつておりません。どこが責任を持つかといえば、これは当然そういう損害を与えたところがその責任を持つべきものなのでありまして、この点についての政府関係は、事実上そういう生活困窮という事態が起きたならば、一時的にいずれはどこかから全面的に補償さるべき性質のものでありますから、事実上何らかの方法でつなぎをつけて行く、こういうことであるわけでございます。そういう方法一つとして、あるいは先ほど政務次官から申し上げましたような方法も実際上とられつつあるわけでありますが、いずれにしてもこれはきわめて臨時的な、しかも過渡的な方法でありまして、根本的には一日も早く当然それを補償してくれるところから補償してもらうというような筋に沿つて話を固めて行くということが必要なのでありまして、これが非常に先になるということでは困るわけでございます。現在政府部内においてはその話を一刻も早くまとめようということで、すでに具体的な地固めをしておるというのが現在の段階でございまして、ここまでが私どもの事実として申し上げられる範囲でございますが、これから先はあるいは外務省なり、もしくは水産庁の方から申していただくということにしたいと思います。
  64. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私も海岸近く住んでおりますので、大体漁師のことはよく知つておるのでありますけれども、実際において最近のあの附近の漁業家というものは、ことに漁師の諸君は常に生活はかなり窮迫しておる。でありますから、船員保険でもつてただちに手を打つといたしましても、先ほど申しましたように、六千円しかくれない。船員保険の標準手当金は六千円で、片一方は二、三万円どうしてもかかるのだということになつておりますと、これは今日生活に困るわけであります。東大等に入院をいたしません最も大きな理由は、やはり生活に困るということであつたわけであります。これが実地に伺つてみてわかつておるわけであります。だからその問題をすぐに手を打つてあげないと、治療その他にも手遅れになる。きようあたり被爆者が東京方の方に来るそうでありますけれども、治療を安んじて受けられないということになりますので、これはどうしてもすぐ手を打つてもらわなければならぬ。もうすでにおそいのであつてアメリカさんの補償なんということは事実いつのことかわかりはしません。また私が心配するのは、こういう問題は事件が起きました今日は大きく取上げられておりますけれども、これが三月、四月、半年たちますと、いつのまにか問題でなくなつてしまつて、世人の口の端から、うわさも七十五日という中に入つてしまう。だからそのときになつてこの諸君が非常に気の毒な立場に立たれますし、あそこでアメリカさんが今後何べんでも水爆実験をするのであろうということは、あの実験危険区域を広げたことではつきりわかつておる。でありますから、今後もこういう問題が起つて来るでありましようし、また今日出漁しております諸君の中でこういうような事情になつておるものがあるかもしれません。またもつとひどい事情になつて、船員あるいは乗組員が死んでおるというようなことがあるかもしれません。でありますから、こういう対策はもうおそいので、今までに政府はちやんと立てていなければならぬはずだ。それをいまだにその方針がはつきりつかぬ、漁業協同組合に一時立てかえてやつてもらつているというようなことであつてはならないと思う。だからこの点を厚生当局としましては、国民一人々々の生活の問題といたしまして、基本的な生存権の問題、重大な基本人権の問題といたしまして政府関係当局全部話をいたしまして、すみやかにこれを解決せられるように私は望んでやまない。それですでに予備費から出せという話も各党から起つておるわけでありまして、これは当然ただちに手を打つて万全を尽してあげる、こういうようにしていただきたいと思うのであります。  それからこの前も同僚諸君から言うてあるのでありますが、船員保険でやるというのが本来間違つておるのでありまして、社会保険を適用するのは間違つておるのであります。これはこの前にもすでに申し上げておりますから、くどく申しませんけれども、一時的なものとして将来他の方法にかえる、便宜的な一時的な問題として、ということでだけならばわれわれは一応了承できるのでありますけれども、社会保険をこれに使うということは、社会保険の考え方からいつてどうしたつて無理だと思うのであります。これはこの前同僚諸君から言つてありますので、この点につきましては厚生省は一時的のものとしてこうやるのであるか、それともまたこれをかけるのが正しいと考えているのであるか、念のために伺つておきたい。
  65. 中山マサ

    ○中山政府委員 考え方は依然として今日までかわつていないのでありまして、御意見のほど同つて考えさせていただきたいと思います。
  66. 柳田秀一

    柳田委員 中山政務次官は常識家でいらつしやいますから、私は常識としてお聞きしたい。ちようど戦争で戦地へ行く、そこでけがをする、病気になる、それで帰つて来て、海軍病院とか降軍病院に入りますね。そのときにたまたまその人が工場労働者等であつて、社会保険に入つてつた。お前は社会保険に入つているから社会保険で見てもらえ、こんなことは言いませんね。それと今度の問題とは別問題ですよ。別問題でありますけれどもアメリカが、いかに国際連合の信託統治下にあるとはいいながら、しかも一定地域においてああいうような危険な実験をして航行を禁止する、これは平時ではございませんで、そのこと自体が非常時なんだ。またそういうことによつて自分の方に何ら思わざるところの被害を受けて帰つて来た漁夫というものは、非常時の災害だ。社会保険というのは平時立法なんです。従つてこういう非常時のものにもこういう平時立法を適用するということ自体無理がある。これは常識から考えても、こういうような国民の血税から出たような社会保険の中に、われわれ国民に何ら罪のないようなこういう問題の治療を持つて行くということにも、また矛盾があるわけだ。だから原則論的には当然アメリカ補償要求され、アメリカから補償が来るにきまつていますからそれから出す、しかしそれはいつのことかわからぬから、まず立てかえておく、この筋道が私は常識論としても――また保険の具体的な問題は前の速記録にも載つておりますから、よく政府委員からお聞き願いたらいい、これは常識論としても考えられると思いますが、厚生政務次官立場ではありますけれども、あなたの円満なる常識から考えて、私の考えていることが無理かどうか、イエスかノーだけでけつこうでありますから、その点だけを伺いたいと思います。
  67. 中山マサ

    ○中山政府委員 御希望はイエスかノーかでございますけれども、これはイエスかノーではちよつと返答できないと思うのであります。なぜならば、これは非常事態におけるできごとである、まつたくおつしやる通りだと思います。しかしアメリカにおきましてもその一つ区域をきめたということは、そのほかに被害がこうむらないということを前提にして区域をきめておつたのであろうと私は思います。その間の事情をよく知らないのでございますが、これも常識的に私は判断をいたしておるのであります。私の円満さがどこまで行くか、これはおほめをいただいてまことに冷汗でございますけれども、私は向うはよもやここまで来ようとは思つていなかつただろうと思うのであります。私もアメリカに長年おりましたので、彼らがいかにあけつぱなしの性格であるかということをよく承知しておりますから、まさかごまかしで、ここより向うは絶対に行けないというような考えで、ここまでということでやつたろうと私は考え得ないのであります。だからもうこちらもそれよりも先では被害をこうむらないという感覚で漁夫も出漁したのだろうと思うのであります。これはちようどダレス長官が言つておりましたように、まことに不幸なできごとである。まつたくその通りであります。ほんとうにアメリカにとりましても、いずれは何とかしなければならないし、向うから医師も派遣している次第でございますし、これのために時間と労力を費すのですから、伺うにとつても不幸であるし、日本にとつてはより以上不幸なことで、お互いに不幸なできごとであるということは、私は常識論としては成立すると思うのでございます。それでこちらの漁夫がそこに区域外ということでいたのですから、これは当然やはり社会補償の保険制度で行くべきであろうと思います。私は今までの考え方がかわつていないという原則に立つてものを言つているのでありますが、たとえば戦争ということで赤紙一枚で連れて行かれて被害をこうむつたということは、これは少し飛躍した考えではないかと思うのであります。これは常識論ですから、私は政府委員としては責任はとりません。一婦人議員としての常識論を求めると言われるのですから、常識論としてお答えするのです。戦争へ出て行つたのと漁夫が魚をとりに行つたのでは全然立場が違うのですから、これは柳田氏のようなまことに明晰な頭脳の持ち主のお言葉とは受取りかねるのでございます。
  68. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今の船員保険の考え方は、どうしても無理です。これは保険局長もこの前一時的だということを私にも言つているのです。一時的にかける、そういうことでなければ無理なんです。ここで議論してもしかたがありませんから、ともかくすみやかに厚生省としましては最善の努力をしていただきまして、この被害者たちの生活保護に万全を尽していただきたい。ただお役人仕事で、机の上で今までこうだからこう行こうということでなしに、実際に生活のできるように、安心して治療のできるように、ひとつ努力願いたい。これをお願いしておきます。  それでは衛生部長もおいででございますから、さらに伺いにい。昨日の会議に出られたようでありますから伺いたいのでありますが、今の外務大臣答弁からしますと、どうもこれはまごまごしていると、やはり学者諸君のほんとうに自由な研究ができなくなる。私ども考え方からすれば、こんな秘密は全世界にぶちまけて、全世界の人人が原子に対する秘密を全部知つてしまわななければ、国際管理なんてできない。国際管理をするのは、そこまで行かなければだめだ。それを一方的にして行くような考えでいてはできないと思いますけれども、さしあたつての問題として、日本の学者がその治療のための研究、また今後万一水爆日本の国土の上に受けて、日本の都市が放射能でよごれてしまつたような場合にどうするか、また被爆者をどうするかという今後に対する重大な研究をしてもらわなければならない日本の学者諸君の研究が、先ほどの外務大臣答弁によりますと、私は阻害されるのじやないかと思う。ことに今後秘密保護法等ができますと、それが非常に困難になるのじやないか。またほんとうに人道的な立場に立つてこの秘密を公開して行こうとする学者諸君に対しては、圧迫があるのじやないかというように考えまして、おそらく世界で一番進んでおります日本の原子医学の研究妨げ、さしあたつて治療方法研究妨げると思うのでありますが、これに対して厚生省は断固とした態度をもつて学者諸君の研究を守つて行けるか。治療に万全を期し得るか。それから外務大臣答弁がどこの国の外務大臣かわからぬような答えで、学者諸君の自由な研究妨げるようなことになのじやないかということを私は非常に危惧するのでありますけれども、それに対する政府委員としての立場を伺つておきたい。
  69. 楠本正康

    楠本政府委員 従来私ども原爆調査研究協議会を設けまして、この研究に当つて参りました。今回の問題につきまして、さらにこの機構を拡充いたしまして、新しい専門家等も委員に加えまして、若干の予算措置等もほどこしまして、一層厳格な研究を確実に進めて参りたい所存でございます。
  70. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 それから船のことでございますが、水産庁がいらつしやるようですから、伺つておきたい。この船は今一応隔離して置いてある。これを政府で買い上げるかもしれないというような事情にございます。いずれにいたしましても、それがいつ決定するのか。またさしあたつて漁夫諸君が乗り組んで生活のためにかせぎに出るということのためには、すみやかに代船をつくつてやるとか、その金を渡すとか、何とか生活の道を立ててやらなければならぬと思いますが、これに対して水産庁はどういう態度をとつておられましようか。
  71. 岡井正男

    ○岡井政府委員 船の問題につきましては、現在のところ厚生省と連絡を保ちまして、監視人を置きまして、現在焼津港のところへ置いてあるわけであります。これはいずれ代船を建造さして所有者が早くもとの漁業に帰るようにしたいという気持だと思いますが、今の船の損を将来どうするかというまでは、まだ私どもの方でははつきりいたしておりません。
  72. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私が伺いたいことは、漁夫諸君が働けるようにすぐ船を何とかしてやらなければならぬじやないか。都築博士のここでの参考人としての御意見によりましても、あるいは二、三人不幸な転帰を見るんじやないかというような非常な危惧すべきお言葉がありましたが、その他の諸君につきましては、必ずしも病院にばかりおらぬでも、定時的に一人の医者がついて結果を見て行けばよろしいのであつて、その他のときにはどんどん働きに出ていいんだ、こういうお話であります。ぜひそういうふうになつてほしいと思うのでありますが、そうなると、ただちに船を用意してやらなければならぬ。あるいは漁具その他を用意してやらなければならぬ。こういうことであろうと思います。それをどういうように処置をさしておられるか。水産庁ではどういうふうにきまつているか。すでに決定しているか、全然未決定であるか、それを伺いたい。
  73. 岡井正男

    ○岡井政府委員 これは船主の方の考え方もありますが、今のところ事務当局といたしましては、代船を建造して、前より若干いい船くらいにしてやるのがほんとうだ、こういう考えでおります。現在の船は保険に幸いに入つておりますから、その関係も考慮いたしまして、資金の不足の分につきましては、適当に援助してやりたい、かように思つております。
  74. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今の話はぜひすみやかに手を打つていただきたい。  それからいま一つ伺いたいことは、この被爆によつて魚が非常にたくさん廃棄されたようです。この廃棄された魚の損害はどう補償されてあるのか。まだ全然補償されてないのか。あるいはまた将来どういう補償をして行くのであるか。これもアメリカから補償が来てからというのでは、非常に困るだろうと思います。これに対してすでにどういう手当がしてあるのか。また今後どういうつもりであるか、未決定であるか、そういうことを伺いたい。
  75. 岡井正男

    ○岡井政府委員 今のところ計算上は、廃棄された魚の分も直接被害をこうむつたというもののうちに入れて計算いたしております。ただお尋ねの、現在その魚の代金を仮払いか、あるいはどこからか立てかえておるのかという問題でございますが、これは地元の協同組合の方で適宜に心配しておるわけであります。
  76. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今さしあたつて漁業協同組合でやつているといたしまして、将来は何とかする、こういうことですね。  それから、たとえば東京の魚市場に参りました魚を、あそこで処置したようでありますが、あの損害というものは結局今のところは第五福龍丸の船主でありますか、あるいは漁業のことですから、おそらく漁夫と船主との歩でわけることになつておるわけでありましようが、その点はどうですか。
  77. 岡井正男

    ○岡井政府委員 先ほど私がお答えした中で若干誤解を生じましては恐れ入りますので、もう一度言葉をつけ加えたいと思います。  現在漁夫で困つておる者につきましては、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、漁業協同組合が一応心配をいたしておりますが、魚の処分につきましては、魚河岸へ上つてすでに地下へ埋没してしまつておるというのは、一応あれは焼津の方から離れて東京の魚河岸で仕切りをいたしております関係上、今のところ東京の魚市場の仕切り関係の者たちの迷惑でとどまつておると思います。
  78. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そうすると今のところは魚市場の損害ということになつて、船主や漁夫諸君の損害ではないというのですね。  それからその魚を廃棄いたしますのにずいぶん大きな穴を掘つて入れておつたようでありますが、そういう費用、あるいはあそこを消毒した費用というものはどこで持つておりましようか、やはり魚市場で持つておるのでしようか。
  79. 楠本正康

    楠本政府委員 廃棄処分に要します若干の経費は一応魚市場に依頼いたしまして実施をいたしたわけであります。今のところそれに対して政府からは何ら金を出しておりません。
  80. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 食品衛生法上の立場から申しますと、やはり東京都がこれに対して費用を出すことになりましようか。
  81. 楠本正康

    楠本政府委員 この廃棄処分を命ぜられましたものから異議が出たときに、訴訟の結果に基きまして、場合によりまして弁償するのが法律の建前になつております。しかしかようなことは今まで適用されたことは一応もございません。
  82. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 訴訟すれば大体政府の手で出すとか、あるいは東京都で出すという見通しですか。その見通しはどちらですか。
  83. 楠本正康

    楠本政府委員 法律の建前がさようになつておりますから申し上げたのであります。別に私はそれ以上申し上げたわけではございません。
  84. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 いろいろこまかいことを伺いましたが、この不幸な事件によりまして損害を受けました国民の一人々々に――漁業の面におきましても、漁夫の諸君にいたしましても、船主の諸君にいたしましても、その他の関係者にいたしましても、どうかこれ以上の迷惑がかからぬようにすみやかに万全の援護の措置をとられんことを切望いたしまして私の質問を終ります。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 今の長谷川さんの質問に関連してですが、昨日楠木環境衛生部長は日米合同会議に出られたわけですが、今後いろいろ魚の問題その他を研究する上において、患者さん、それに被災した船というものが関心を持たれて来る。しかしこういうものはわれわれが注目しておるので、アメリカもそう無理なことはできないと思いますが、問題は患者の着ておつた衣服です。この放射物質の繊維に対する研究にはこれはなくてはならぬものです。現在アメリカ日本国民が衣服に対する注目が新聞その他に出ないので、衣服をもらいたいという意向が強いということも聞いておるのですが、大体そういう話が日米合同会議で出たのかどうか、同時に今後医学的な研究の上において衣類というものは絶対必要だと思いますが、厚生省の方のこれに対する態度は大体どうなのですか、これだけを関連してお尋ねしておきたいと思います。
  86. 中川融

    ○中川政府委員 昨日行われました調査の会合は、外務省で開かれました関係もあり、便宜私からお答えいたしたいと思いますが、その前に今回の試験に関しましてのアメリカ政府の根本的な考え方といいますか、態度につきまして若干説明いたしまして御参考に供したいと思います。  新聞等に、日本側が自主的に調査あるいは医療に当るべきであるというような論がいろいろ出ておりますが、これは新聞で非常に騒がれておりますけれども、現実におきましては、その点についての疑問といいますか、問題は一つもないのでありまして、アメリカ側の考えは、医療にしろ、対策にしろ、すべて日本政府なり日本の機関が当るべきであるということははつきりしております。しかしアメリカの方の原因によりこの被害が起きました関係から、アメリカとしてはでき得る限りの協力援助をいたしたい、その意味におきまして、人もアメリカからよこし、アメリカその他の施設でもし役に立つものがあるとお考えなら、いつでも御利用いただきたい、その意味で待機させておくというのがアメリカの根本的な態度でございます。  なお補償の問題等につきましても、非常に敏速な発表をいたしまして、アメリカとしては、これについては十分補償する用意があるということを言つて来ております。従つて現在日本側では、その補償の対象となる損害の算定を急遽やつておる次第でございます。もとより損害というものは、今から推測あるいは測定できない分もずいぶんありますので、最終的な損害額の算定は相当の時間がかかると思いますが、そのような最終的な測定を待たすに、とりあえずわかつたものからでも払つてもらえないかということで先方と交渉したいと考えております。  従つてたとえば今度罹災されました方の家族の生活費の問題であるか、あるいは入院費用の問題であるとか、あるいは船に与えました直接の損害であるとか、かようなものは今からでも算定ができますので、このようなものの解決は案外早いのではないかというふうに期待いたしております。  なお船員の方々が着ておりました衣服等につきまして、アメリカがこれを欲しやしないかというような御質問でございましたが、私がただいま申し上げましたアメリカの基本的な考えからいたしまして、アメリカとしては、これは日本が保管し、しかるべく処置するということについて何ら疑念を持つておりません。従つてただいま御指摘のような懸念は、われわれ今まで一ぺんも感じたことはありません。昨日の会議でもそのような問題は出ておらないのでございます。
  87. 岡良一

    岡委員 中山政務次官にお尋ねいたしたい。実は先ほどお聞きの通り岡崎外務大臣からの御発言について、われわれも納得しがたい点があつた。その点は要するに、百マイルと指定された危険区域外において操業しておつたにもかかわらず、犠牲をこうむつた。今度四百五十マイルに危険区域の拡大をした、従つて大丈夫だ。ところが問題は、百マイルに指定されたけれども大丈夫ではなかつた。四百五十マイルに指定されたところで大丈夫であるかどうか。これは先ほど申し上げましたように、現在の原子理論学者の通念といたしまして、水爆に関する限りは、被害がどの程度に拡大するかは書斎ではわからないのである。結果でなければわからないのである。であるから、四百五十マイルがはたして危険区域として、それの外におれば安全であるかどうかということもわからない。だから十四日のアイゼンハウアー大統領の記者会見においても、はつきり今度の事件は遺憾であると言つておる。これらの事実を考えました場合に、四百五十マイルであるからいいんだ、われわれはアメリカ協力するという立場から水爆実験を認めるということは、結場局事実上日本人犠牲になつてもいいんだということになるわけであります。こういうことは、今も柳田君から言われた良識ある婦人議員としての中山厚生次官はどう考えられるか、私どもとしてはどうにも納得ができないのである。しかも一旦犠牲が起つた場合は、厚生行政上の大きな問題になる。またこういうことで現に国民栄養上大きな不安が起つておることは御承知の通りであります。そういうことがあつてもいいんだというに至つては、これは私ども非常に納得しがたいと思うんだが、その点政務次官はいかがお考えになりますか。
  88. 中山マサ

    ○中山政府委員 ただいま岡委員から、そういうことがあつてもいいんだということは遺憾じやないか、こういうお言葉でございまするが、これはちよつと私岡議員のお言葉とも思われないのであります。そういうことがあつていいのだということを考える人は絶対にないと思います。それで外務大臣にいたしましても、決してこの距離を開いてやつてみなさい、そこでまた被害があつたらそのときのことだという、そんな無責任なお気持であの発言をなすつたものとは、私も良識ある婦人議員という今おほめのお言葉をいただきましたが、私の良識がその言葉を受取らないというので、返上申し上げるわけでございます。それで岡議員なりあるいは両派の社会党の方々がこれから一本になつて行くという、今いろいろの御相談もやつているようでございまして、自然やはり何だかんだという立場の違いも出て参りましようが、結局アメリカとはお互い世界の平和を保つて行くために手をつなぐという線を持つております関係上、決してわが国民に災害があれよというのではなしに、何とかしてあるいは反対側がそういうものを日本にぶちまけたときにはどうするかということも、またお考えいただかなければなりませんし、これは私ども世界の両陣営に向つて同じことを叫びたいと思います。アメリカに向つてだけこういうことはいかぬじやないか、ああいうのはいかぬじやないかとおつしやることは、これまた良識が許さないところでありまして、私もこの間婦人公論の二月号に「絶望より希望へ」という題で書いておきましたから、どうぞお読みいただきたいと思います。これは私どもが絶望せざるを得ない立場に置かれておるのであります。これは私どもがつくり出した世界情勢ではないのであります。御案内の通り、両陣営が初めはいろいろなことを言いまして、私どもに平和憲法を押しつけて来たのであります。ところが世界情勢がかわりまして、自分たちが押しつけておいて、押しつけた人間がけんかをいたしまして、それを遵奉しようとするわれわれ国民がとつおいつ悩んで参つております。私も外務委員をやつて参りました関係上、これくらいのことは知つておりますが、そういうわけでお互い日本国民はソ連に向つて同じことを言いたい。ソ連もまた人道を守つて早く原子力管理しよう、管理員をつくろう、管理するのに協力せよということを言いたい。国連でそれを拒否したのはソ連であつたように記憶しておりますが、われわれ国民はイデオロギーのいかんを問わず世界に向つて早くやめてくれと叫びたい。そうでないと無力なわれわれは絶望するよりほかはないのだ。そこで理論の推移から申し上げなければならないのでありますが、私はこの間四箇国の外務大臣でしたか、首相でしたかの会議がありましたときに、婦人公論にも書いたのでありますが、それと並行して、この原爆被害がいかに甚大なものであるか、イデオロギーのよしあしはたなに上げてしまつて、この水爆被害の恐ろしさを知らせなければならぬ。交戦国においてたとい生き残つておる者があるとしても、その土地におけるいわゆる農産物、魚類もまた滅亡したら、食べるものがなくなつて生活することができないのだから、いつそのこと原爆で殺された方がまだよいかもしれないということで、この被害の恐ろしさを両陣営にしみじみと思い知らせたならば、こういうばかな水爆原爆を両方で持ち合つて行くことはあるまいということを書いておきましたから、どうぞひとつ私の意のあるところをお読み願いたいと思います。
  89. 岡良一

    岡委員 あなたの識見を承つて大いに敬服をいたしました。重ねてお尋ねをいたします。そういうお気持でおられる中山次官は、この際第三次水爆試験は禁止すべきだということは、あなたの信念としてわれわれが了承してよいのかどうか。はつきり簡単にイエスかノーかだけで答えていただきたい。
  90. 中山マサ

    ○中山政府委員 これもまたイエスかノーかだけではお答えできません。私は片方だけにそれをしいるということには無理があると思う。両陣営が同時にやめなければならぬ。これはイデオロギーの問題になつて来そうでありますが、現在は三反政策が行われておる。反米、反吉田、反軍備ですか、この線で行つて反米思想に向つて来ておるのが現在の日本の状態でありまして、この水爆の災害がまことに過大であつたということは、より以上反米思想をあおる動機となるのではないか。アメリカに、アメリカにということではいかぬと思います。社会党では、水爆は困るということを何とか委員会世界に向つてお出しになるとおつしやつておりましたが、世界に向つてということには、私のイデオロギーからはしごく賛成であります。しかし一方的にはどうかと思います。
  91. 岡良一

    岡委員 私はまつたく御懸念のない人物のつもりなんです。私は別にモスクワの手先でもありませんし、ペンタゴンの手先でもありません。ただ問題は、アメリカは六月三十日までに、四百五十マイルに危険区域を拡大をして、第三次水爆実験をやるという決意を明らかにしておる。この間は百五十フイートのタワーの上でやつたが、今度は飛行機で積んで行つてやるということをニユーヨーク・タイムズがはつきり報じておる。ここ二月か三月先には水爆実験があり得るのです。しかも今日の日本の不完全な調査では、魚類に関しても、何ら科学的に立証されたところの安心感はない。国民はいたずらに不安、恐怖にかられておる。そういうような事態に対しては、何もわれわれはアメリカだけをというのではない。ただアメリカはやると言つておる以上、このアメリカのやるということに対してはやめてもらいたいといつて、ワシントン政府の友好的な措置をわれわれが期待するということは、あなたの御論旨からいつても一向さしつかえないと思うが、その点について、はつきりイエスかノーだけをお答え願いたい。
  92. 中山マサ

    ○中山政府委員 厚生委員会から少し脱線したようでございます。その点はひとつ外務省の方におつしやつていただきたいと思います。所管事項が違つて参ります。私の方は魚類、それにかかつた人の治療あるいはその後これをいかにするかということであります。そういう対策に向つて行かなければならないのですから、アメリカに向つてそれを禁止してほしいということは所管事項が違うと思いますので、どうぞ外務省の方にお願いいたします。
  93. 岡良一

    岡委員 それでは外務省お尋ねいたしたいと思いますが、昨日は中川局長もオブザーヴアーとして行つておられたので、いろいろ概括の御説明があつたと思いますが、なお念を押しておきたいと思います。いわゆる今度の第五福龍丸被爆事件についての学術的研究日本の学者が主体性を持つてやる、アメリカはこれにはあらゆる協力を惜しまないという原則が昨日承認をされたのであるかという点をまず伺つてみたいと思います。
  94. 中川融

    ○中川政府委員 日本アメリカとの調査団といいますか、学界の方々が集まられた昨日の会合におきましては、アメリカ側の一貫した態度はいかなる便宜あるいは協力あるいは助言、その他日本側が欲する場合にはこれを自分らの知つておる限り、能力の範囲において提供いたしたい、こういう趣旨で開かれて、またそのように行われた次第であります。
  95. 岡良一

    岡委員 私の尋ねた点にひとつもあなたは御答弁なさつておられないが、日本の学者陣がこの研究ないし診療については、あくまでもイニシアチブをとるのであるという原則が、昨日の会合で承認されたのであるかどうか、この点いかがでしよう。
  96. 中川融

    ○中川政府委員 調査の対象になります患者あるいは船その他の材料はみな日本側の手の中にあるのでありまして、従つてこれに対する調査その他は全部日本側がやるということになるわけであります。その点につきましては、初めから疑念がないわけでありまして、従つて特にそのことを取上げて論議して決定したということはございませんが、初めからその趣旨のもとに行われておるわけであります。
  97. 岡良一

    岡委員 それでは楠本さんに尋ねたいが、あなたは非常にけしからぬことを言つておる。日米共同の調査について、とにかくあなたが中へ入つていろいろ文部省なりあるいは外務省の間をかけめぐられた結果として、こういうことを言つておるのです。仲よく日米共同してやつてくれという外務省からの申出があつて動いたわけである。厚生省としては日本の学者の意見も尊重したいが、日米協力の吉田内閣の線に沿つてこの問題もうまく行くように望んでいる、あなたは実際こういうことを言うたのかどうか。
  98. 楠本正康

    楠本政府委員 きわめて簡潔な文章に訳されておりますので、言つた意思がきわめてぼんやりしておることはやむを得ませんが、ただ私はこう考えております。日本の学者が自主性を持つて研究をして行く。しかしながらこれにはあくまで両者協力しつつ研究を進めて行くという意味でありまして、その点は昨日の会議にも明らかにお互いに承認されておる事項でありまして、これが何ら日本の学術研究に対して支障あるものと考えておりません。当然のことだと考えております。
  99. 岡良一

    岡委員 昨日の会議には、そういうことになつたことは今中川局長からも御答弁通りでございますが、その以前にあなたはこういうことを言つておる。このことの是非は言わないでおきましよう。そこで具体的に――何も私は反米とか反政府とかいう意味で言うのじやない。われわれはやはりわれわれとしても科学者としての立場から申し上げるのですが、一体こういうような問題について、今この合同会議について申し上げますと、この被爆漁夫の診療について、またその船にあるいろいろな諸材料について、第五福龍丸について、こういうものは将来の水爆禍に備える重要な科学的資料としての人道主義的な立場からもまことに貴重な資料である。しかも原爆禍に見舞われた日本としては、これらの問題に対しても相当各方面の学界の諸君が検討し、努力し、成績を上げておる。そこで今度の被爆事件に伴つて、現在日本側の手にある一切の資料は、船も人も、また衣服その他船具、漁網等も、同時にあくまでも日本がこれを管理し、日本が自主的に自由にこれを研究対象とすることができるのかという点が一つ。  もう一つは、この成果については、日本の学者は科学の自由という建前において、これを世界の学界に報告する自由というものも当然伴わねばならないと思うが、この点についてもあなた方おとりなしをなさつた局長なり部長立場においては、どういう結論になつておるか。
  100. 楠本正康

    楠本政府委員 これらの点につきましては、必ずしも具体的な話は出ておりませんが、しかしながら研究材料が日本の手によつて使われるということについては当然だと思つております。ただこの問題につきましては、先般来お話の出ております補償の問題が若干ひつかかつて来るかと存じますが、私はこれは当然研究する以上材料がなくては研究ができない。従つてその材料を使つて日本の学者が研究して行くということは当然なことだと思つております。
  101. 岡良一

    岡委員 発表の自由は……。
  102. 楠本正康

    楠本政府委員 この点に関しましては特に昨日はアメリカ側におきましても、別に人間の生命等に関するものについては、何ら秘密はないんだということを言つております。
  103. 岡良一

    岡委員 この問題は、現にきのうか一昨日か来られたアイゼンバツトにしても、新聞記者に対しても、その他の関係の人に対しても皆口をかんしておる。日本の医者は治療すればいいので、放射能などの原則についての学問的な研究は必要ないと言つておる。実際問題として、これはわれわれ科学者としての立場から、この予防措置に対しての研究を進めて行こうとするなら、まだまだ灰もいるわけです。従つてそういうものを入手し得る便宜も供与するくらいのことがなくてはならないわけだが、そういう意図は全然ないように見受けられる。今度の東大木村研究室において発表されたごとく、十数種の放射能元素についてはすでにもうはつきりしておる。ところがこういうことも発表したくないという考えのようである。こういうことから考えると、私ども研究の将来を非常に危ぶむ。これは私ども科学者の自由というものが非常に侵されたのではないかという不安からお尋ねしておるのであるが、この点は将来の問題であるから、その後問題になつたときにお尋ねすることとして、その次に、先ほどの小山君の発言に関連してお尋ねしたいのであるが、小山君は、原爆実験による事故等については何らかの補償の道が講ぜられるという意味のことを漏らされたわけであるが、しかしこれはなかなかそう急に行くまいと今中川局長も言つておられますが、なかなかそう簡単に行くまいと思う。そこでこの間草葉厚生大臣はこの問題に必要なるところの費用は、予備費等からでも支出する道があるので、御安心願いたいということをこの委員会言つておられる。ところが予備費として先般政府がこのビキニ被爆事件に関するものとして出ておるものは百十八万円、その使途はガイガー計数管等の整備ということになつておる。そうすると船員の生活保障の問題とか、あるいはそれに関連した具体的な犠牲者のための事実上の補償というものは何ら予備費の中に含まれておらない。一体これは、今後補償の道があるまでは当然政府としては出すと言つておられるのであるが、どういうふうに取扱われるか。具体的な方針でもあるのかどうか、これを中山厚生政務次官からお伺いしたい。
  104. 中山マサ

    ○中山政府委員 先ほど中川氏が申されましたように、わかりやすい問題からお金をこちらにまわしてもらう手もあるというお話でございましたが、なるほど船員の生活だとか船の状況などを考えましても、明々白々の状態でございまするので、一時も早く分割払いでもいうような形ででも、早急にこの問題を処理して行つてもらつて、そうしてそのときくでわかつたものから払つてこれに充てて行くようにして行つていいのではなかろうかと、まだ最後的に予備費というような問題もはつきりと決定したわけではないのであるやに私は受取りまするが、何とかそういうふうにして、まことに御満足を与え得ない回答かと私も思いますけれども、私どもは懸命に善処することを御了承願えますなら幸いでございます。
  105. 岡良一

    岡委員 私がお尋ねしているのはそうじやないのです。アメリカの方から逐次補償すると言つておりますから、来るでしよう。しかしこれは国と国との金の受取りということになりますれば、やはり相当四角四面の手続がいると思うのです。ところが私も焼津に行つて見ましたが、現地は火の消えたような姿なんです。やはりこれには政府はとりあえず見舞金等ででも適当な処置をする必要があるのではないか。その金の出道は、草葉厚生大臣の言によれば、予備費等においてもとおつしやつておられる。ところが予備費は百八十万円で、それもガイガー計数管の整備に充てられる。これでは直接の被害者には一文も行かないと思う。これで済まされるのか。政府の方でも何とか予備費の方から、大臣の言明のごとく、現地についても見舞金等を支給される御用意があるのかどうか。これは中川局長の所管外かもしれないが、お聞きしたいのですが、御存じの通りこの問題は性格が非常に違つておりますし、法律的な根拠も違つておりますが、内灘の問題、あれは何も被害はない。ただ音が聞えるからということで、将来を推定されて、安全保障費から七千六百万円の金を出しておる。予備費から出せなければ、とりあえずこういう項目からででも、剰余金から出しておいて、この金は日米合同委員会で御相談になれば出ると思うのです。使途の目的は違いますけれども、安全保障諸費は内灘の補償費などに使われておる。これはやはり外務省の方で御努力になればできるのではないか。現にこの間も外務省の方から厚生省へ来て、四百七十万円の診療所の建設費が内灘へ補助費として行つておる。診療といえばこれはよほど重要な問題だ。そういうことからやりくり操作ができるのかどうか、この点いかがでしようか。この点もひとつ伺いたい。
  106. 中川融

    ○中川政府委員 今当面の救済費と申しますか、何とか支出すべきであるというお話まことにごもつともでございます。先般厚生大臣が御答弁で、場合によつては予備費を使う道もあるということを申し上げたそうでありますが、政府部内でも予備費を使うという点につきましては、一つ方法として研究しておるわけでございます。一方アメリカからの補償が早く来るということになれば、あるいはその方を使うということもあろうかというような状況から、まだ決定はしていないのでありますが、少しこれの方が長引くということであれば、何かの方法――その場合には、やはり内灘の例とは同じようにはちようと扱いかねるかと思います。結局予備費ということが一番適当な方法じやないかと思います。この点につきましては目下関係省において協議しておりますので、ただいまどうということは政務次官の申されました通り決定しておりません。せつかく研究中でございます。
  107. 岡良一

    岡委員 この十四日に焼津に帰到して、帰到したときにすでに航海日誌にはつきり現われておる。航海日誌に現われた三月一日三時三十分の第五福龍丸の位置は、これが以内という反証はあり得ないのです。しかるにやつときのうになつて初めて外務省禁止区域外にあつたということを確認する。そういう実にいわば手ぬるいことをやつてつては、現地の姿を見るとそれじや気の毒なのです。ですから予備費でも何でもいい、厚生大臣ははつきり言つておるのであるから、これは水産庁もそうだし、厚生省もそうだし、外務省もそうなんだから、あなた方この問題だけにでも至急に関係の局長会議でも開いて、国の予備費としてぜひ支出してやるという措置を講じていただきたいと思う。これはこの程度にいたしましよう。  そこで法制局の第一部長が来ておられますからお伺いいたしまするが、先ほどの外務大臣の御答弁に非常に不満を感じた問題は、外務省においてもいわゆる禁止区域外に第五福龍丸があつたという事実は確認されておるという場合、アイゼンハウアー大統領は、二十四日の記者会見で予防上の責任があつたということを言明しておられるわけであります。してみれば、当然アメリカ合衆国政府にはもろもろの今度の被爆事件に伴う被害に対する賠償責任は国際法上あるのではなかろうかと思うのであるが、この点はいかがでしようか。
  108. 高辻正己

    ○高辻政府委員 お答え申し上げます。いわゆる危険区域外で災厄をこうむつた場合、アメリカ側の責任はどうであるかという御質問のようでございます。かような事例は国際関係においてあまり類を見ないことでありますので、国際慣例等がどのようなものであるかというような観点から実は断言することはできないわけでございますが、一般の法理を推し進めて参りますと、かような事態に対してまつたく責任をまぬがれるということは言えないことであろうと私は考えております。
  109. 岡良一

    岡委員 そういうあいまいま答弁では困るのです。アメリカのいわば元首であるアイゼンハウアー大統領が、公の記者会見で、今度の被爆事件については、予防上アイゼンハウアー政府としても責任があるとまで向うは言つておるのです。向うが言つておるのにこちらはその責任があり得るかもしれないというようなことを言つておる。それじや日本政府は、中山さんにお言葉を返すようだがペンタゴンの出先ですよ。国際法といつてもこういう事例はないのです。ないが国際法はおおむね慣習的な常識で問題をさばいておるのです。ですからそういう観点から、これは賠償責任がアメリカ政府にあるかないかだけをはつきりお答え願いたい。
  110. 高辻正己

    ○高辻政府委員 あるかもしれないというようなあいまいなことを申し上げてはおらないわけでございます。第一に予防措置を講ずる責任があることは、当然言うまでもないことと思います。それからそういう事態を引起したことに対して、私が今申しましたのは、責任を免れるということは言えないだろう、こう申し上げたわけでございます。はつきりしておると私は考えております。
  111. 岡良一

    岡委員 関連して。マーシヤル群島は信託統治ですから閉鎖水域があるわけですが、これは中川局長からでもいいが、大体何海里くらいが閉鎖区域になつておりますか。
  112. 中川融

    ○中川政府委員 旧日本委任統治区域アメリカの信託統治区域になつておりまして、その信託統治の協定におきまして、閉鎖区域を必要に応じて設けることができるとなつておりまして、その条項によりましてアメリカは閉鎖区域というものを設定しておるのであります。それはあくまでも領土及び領海に限られておるのでございます。
  113. 岡良一

    岡委員 それではアメリカがたとえば、そういういわゆるわれわれ国際通念から見て、領海の範囲をうんと拡大して百海里も危険地域として指定するという場合、これは国連の安保理事会によつて信託統治というものを一応認められている関係上、アメリカ政府としては安保理事会の承認を得るというくらいの手順は必要じやないのでしようか。その点をお伺いいたします。
  114. 中川融

    ○中川政府委員 いわゆる閉鎖区域危険区域とは別個の観念に基くものでありまして、閉鎖区域とはそこに国際連合の監視員が自由に入れないといいますか、一般の視察といいますか、監視といいますか、監督といいますか、国際連合の監督を排除し得る区域であります。これに反しまして危険海域というのは今の武器の実験というようなことが先ほど外務大臣が例としてあげられましたように、昔におきましても、実際に砲弾等発射していろいろ練習をした、それに類する観念でございまして、従つてこれは何と申しますか、法律上の観念というよりは、むしろ実際上の問題として行われておるのではないか。実際したとえば演習する際に各国に通知いたしまして、この区域を演習区域として指定する、危険であるから入らないでくれ、こういう趣旨のものと大体同一に解釈すべきではないかと考えております。従つてこの設定を国際連合に通知する必要があるかないかということは解釈次第でございますが、しかしアメリカ国際連合に通知する以上の措置をとりまして、各国に周知せしめるように公報をもつてこれを示達しておるわけであります。
  115. 岡良一

    岡委員 しかしとにかくエニウエトクという島はなくなつたのじやないかとさえ言われておるのですよ。ですが信託統治が認められておる島が、しかも安保理事会の決議を経て認められておる島がなくなつておるというような爆発をやる。一応信託統治ならばかつて次第だなどというようなことは、これもわれわれ常識上考えられないと思う。しかしこの点はあなた方も十分の御研究がないと思うから、この程度にいたします。  それでは、四百五十海里ということに今度は拡大をされた。これは法制局の第一部長お尋ねをするが、これはどうなんでしよう。公海の自由というわれわれの観念から見ると、まことに傍若無人の考え方だと思うが、こういうことははたして許されているのかどうか。この点ひとつ法律的な考え方をお願いいたします。
  116. 高辻正己

    ○高辻政府委員 どうも国際法のことになりますと、あんまり自信身持つてお答えすることができないのであります。一応私の持つております知識をもつてお答えをさしていただきます。御承知のように、公海はまつた各国の使用の自由にまかされておるのでありまして、いかなる国も他国の公海使用を妨げることができないということにされている、これがいわゆる公海使用の自由ということに一口に言われておるところでございます。ただこのような公海でありましても、一時的あるいは部分的に一国がそこを使用いたしまして、他国の船舶の航行等にある程度制限を加えるということはあり得るわけで、国際慣例上も認められていることだろうと思います。たとえば艦砲射撃をするというようなことはその一つの例だろうと思いますが、そういうふうに常に公海を一定の場合に使用して、ある程度他国にそのために制限を加えるということをもつて、ただちに全部違法であるということは言ないだろうと思います。ただ御指摘のようにそのような比較的大きな事例が国際法上どうであろうということになると思いますが、これについてはその期間の問題とか、その幅の問題とか、相当な知識をもつてお答えしなければならぬと思いますので、はなはだあいまいで恐縮でございますが、原則としては先ほど申し上げた通り、この場合はどうかということは今もう少し研究をさしていただきたいと思います。
  117. 岡良一

    岡委員 これはアジア局長お尋ねするが、一体あなたの方でどう考えておられるか。問題は先ほども岡崎外務大臣は海軍の演習をやる、艦砲射撃をやる、そういうものは相当な水域を危険区域として指定するということは、従来の慣例上もあり得たのだ、昔からもあつた、こう言われる、しかし今度の事情は東京実験爆発の中心であるとすれば、室蘭から下関までなんです。四百五十海里も、こういう広大な地域がしかもこれが六月三十日、まだあと三月も危険区域とされておる。おれの方では公海自由の原則に基いて水爆実験は自由だ、ここへ入つて犠牲者となることも自由であるなどというような意味の自由は、常識上私ども国際法公海の自由というものの概念に通用しないと思うのだ。そういう点あなたの方は一体どう考えられるか、今後の措置が目の先に迫つておる。事務当局としてこの点どう考えておるか伺いたい。
  118. 中川融

    ○中川政府委員 危険区域が非常に大きな水面まで拡げられたということにつきましては、たしかにマイナスの面もあるわけでありまして、日本漁業者がここである程度漁業をしておつて、これは水産庁の方の御意見を伺うが、この事態は漁場としてそう重大なものではないけれども、これから南の方に行く道に当るそうでありましてかような意味から漁業にとつては、相当の損害になるということであります。しかし他方日本アメリカ日本防衛を委任しておるといいますか、協力してもらつておる関係にありますので、アメリカの国防力が増すということは同時に現在日本にとりましては、その意味から非常な利益があるわけでありましてその趣旨におきましては、アメリカ実験にむしろ協力すべきであつて、これを邪魔するのは、やはり日本としてもとるべき措置でない、かように考えます。従つてその両者を比較検討いたしまして、かつできるだけ日本にとりましてのマイナスの面を少くするように先方に話して、これが調節をはかるということが、われわれ外務当局の今とるべきことであろうと考えておりまして、その趣旨で目下研究いたしております。
  119. 岡良一

    岡委員 さすが外務大臣の子がいらしく同じようなことを言われる。これは決して私が社会党だから言うのではないのですが、われわれの常識では、国民が納得しないと思うのです。ここでまた言うのにペダンチツクでいやなんですが、ダレスが今度の事件についてこういうことを言つているのです。もし敵の攻撃をわれわれが防禦しようと思うなら、われわれはわれわれの持つている実力というものをすべてのものの前に公開する必要がある。今度ビキニ水爆実験がやられて、その結果日本が大きな被害を受けただけでなしに、日本全体が食糧の非常に大きな不安を受けておる。日本がこういう不安と脅威にさらされることも認めて、いわゆるアメリカ防衛力を強化することに協力するためにやむを得ないのだ、これはあなた方はそれこそペンタゴンの出先であつても、日本外務省ではないと言いたい。もう一ぺんその点、どんな犠牲はあつたところで努力はするが、結局犠牲があつたところでやむを得ない、われわれはあの原爆水爆実験というものは、自由諸国の防衛力を強化するという目的にある以上は甘受しなければならないとあなた方は考えておられるかどうか。この点をもう一ぺんお聞きしておきたい。
  120. 中川融

    ○中川政府委員 あらゆる被害を甘受しなければならないというのではないのでありまして、被害が起らないように万全を尽すわけでありまして、その意味で今度の危険区域が拡がりましたのも、被害を事前に防止する意味からこれを拡げたわけであります。この拡げたということにつきましては、これに根本から反対するというような態度はとらずに、これについて、拡げたことによる支障をできるだけ除去するというのが私ども外務当局のただいまの考えでございます。
  121. 岡良一

    岡委員 その点は外務省としては第三次の水爆実験も認める、その認めるという立場は自由諸国の防衛力を強化するという意味合いからやむを得ない。水爆実験も、近代的な防衛力を増強する意味において不可欠なものと認めて、外務省は第三次水爆実験は許容するものである。ところで問題は、危険区域が百マイルと指定されたがその危険区域外にいた日本人漁夫が犠牲を受け、それから国民が食糧に関する不安を持つておるというこの無形のはかり知るべからざる大きな国民的な不安の感情というものがあつたという事実、従つて四百五十マイルに広げたからといつて、必ずしもその区域外において被害があるかないかということもわからない。また四百五十マイルという厖大な地域に広げられた場合には、なるほど太平洋における漁獲は一%かもしれない、しかし魚類の繁殖にどういう影響を与えるかということは、今後の問題として、これは専門家も非常に憂慮しておるのである。こういうような実際の事実というものに目をおおうて、第三次の水爆実験も、自由諸国の近代的な防衛力を増強するためにはやむを得ないのであるというのが外務省のお立場であるかどうか、この点をもう一ぺん、いずれあらためてまた大臣答弁を求めたいと思うが、あなたのきつぱりとした態度伺いたい。
  122. 中川融

    ○中川政府委員 アメリカが新しい武器の実験をするという場合に、これを阻止したいというふうには考えておりません。しかしながらこの実験の仕方あるいはする時期というようなもの等につきまして、日本側としては日本側のいろいろな事情からこういうふうにしてもらいたい、ああいうふうにしてもらいたい。また今度つくりました危険水域についても、たとえばこれをずつと六月末まで引続いて危険水域に指定する、あるいはその間に若干中絶期間というようなことも認められるならば認められるようにしたい、いろいろこれの修正といいますか、これをできるだけわれわれから見た実情に沿うようにしたいということは考えておりまして、目下水産当局と協議いたしておる次第でございます。
  123. 岡良一

    岡委員 最後に一点だけお伺いをいたしておきたいと思う。それは中川局長と第一部長お尋ねをしたいのであるが、こういうふうに四百五十マイルの広大な海域が、相当長期にわたつて危険区域指定され、しかもなぜ危険であるかといえば、これは目で見、耳で聞くことのできない、しかも前代未聞の放射能の塵埃が飛びかうのである。これは現に今度のビキニ爆発のときにも、漁師は百海里以上も遠方から三時四十分にはその爆発を認めておる。まつ赤な雲の柱が立ち上り、それが五、六秒の間に黄色になり白くなつて、船におおいかかるようなきのこ型の広がり方をしたと航海日誌に書いてある。そういうことから察するに、この放射能を帯びた灰は、とにかく高度の高い空中は自由にそのときの風向きによつて飛散をし拡散をする可能性が十分あるわけだ。現に三月三日の午後四時三十分の京大工学部応用物理学教室のガイガー計数管には出ておる。気象台の予報課長の話によれば、当時のある高度における風と一致した時間的な距離において来ておるのであるから、そうあり得るであろうということも言つておられるということである。そういうようなことになれば、四百五十マイルそのものが妥当であるかどうかということも、あつた事実から見て、われわれとしてもきわめて妻な状況にあるわけである。そういうような危険な実験がなされるときに、これはあるいはプレジデント・ラインを初め、日本貨物船日本の客船も航行しておる、各種の航空会社の飛行機も通つておる。こういうようなことによつて各国間の航空輸送というふうなものが重大な脅威あるいは不安にさらされるというふうなことがやはり戦時国際法というか国際法上認められておるものなのかどうか、そういう点についてこれまでの事例があるかどうか、またあなた方の解釈としてはどう考えられるかということが一つ。  もう一つは、私ども考え方によれば、こういうふうにしてごく微細な炭酸カルシウムであるか何か知らないが、それには人体をきわめて危険に陥れ得るところの放射能が付着しておる。これは明らかに戦時国際法上禁止されておる細菌戦と同じものである。こういうような放射能の付着した微細な灰が空中に拡散されるようなことは、いくさのときにも戦時国際法上当然細菌兵器に準ずべきものとして禁止さるべきものに該当するのじやないかと私どもは思うわけです。しかしこういう点はこれまでの取扱いの例もいろいろあろうと思うが、これは中川局長なりまた高辻第一部長なりから御見解を参考までにお示し願いたい。
  124. 中川融

    ○中川政府委員 何と申しましても原爆というのはまつたく最近の発明でありまして、このような事例は従来はなかつたわけでありまして、これに類する国際先例というものも今私は思い出すことができないのであります。従つてその点に関しましての御質問には具体的にお答えすることができないのでございます。なおこの実験の灰が遠い高い空を通つて、たとえば日本の領土まで降つて来るというようなことがもしありますれば、これはなかなかゆゆしい問題でありまして、これはまた考えなければならないわけでありますが、そのようなことにつきましては、今回この三月にやりました実験の結果について、日本関係ある限度においての情報はアメリカ側にも要求しておるのでありまして、たとえば今の空気がどうなるかとか、あるいは水がどうなるかとか、魚がどうなるかというような資料を要求しておるのでありまして、それらの結果を見まして、また判断の参考にしたいと考えております。今まで得ましたところでは、水、空気等には遠い距離にまでこの影響が及ぶことはないということでございます。
  125. 岡良一

    岡委員 非常にたよりのない御答弁なのですが、ただ私どもが申し上げたいことは、結局今度の実験でだれが被害者であつたか。それはマーシヤル群島の原住民も二百四十名ばかりが犠牲を受けておるとも伝えられておる。しかし少くとも広島、長崎の犠牲を味わい、今度また三度目を味わい、しかもそれについては相当科学的な水準の高い日本が、しかも十年間広島、長崎の経験に没頭した権威者もいる、従つてこの日本が先例を開かなければならぬわけです。これだけの決意と勇気がなければならぬ、これが全然ないということでは、ほんとうに政府のやり方というものは、私どもばかりじやなく国民が納得しないと思う。そういう点で、あなたと押問答してもしかたがないからこれでやめまするが、しかしこれはぜひひとつお考えを願い、もつと雄邁な決意と勇気をもつてこの問題に対処することによつて真に国民は納得する、私はそう信じておるので、この点は今後十分外務省において御検討願いたい。一応これにて終ります。
  126. 青柳一郎

    青柳委員長代理 次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会      ――――◇―――――