○草葉国務大臣 ビキニ原爆実験に関しまして、漁船の乗組員に原爆症が現われた、またこれに積んで参りました魚の処理につきましての問題は、最近最も大きいシヨツクを与えております問題であります。そこで実は昨朝その荷が東京に参りまして、
お話の十四日に船が入
つたようでございますが、その間の事情は昨朝現地に
関係者を派遣いたしておりまして、その状態を調べておりますが、私の方へ参りました報告につきまして、大体今までいたしましたことを一応ここで御報告申し上げておきたいと存じます。
焼津の港に船が着きまして、現在までわか
つておりますのでは、乗組員が二十三名であ
つたように存じます。そのうち二十二名は焼津隔離病舎に隔離いたしまして全員の検査を行
つて、その後の経過状態を現在観察中であります。一名は重傷のために東大病院に運んで、今入院中でございます。被服類からも放射能が検出されましたので、全部とりまとめまして、これをそれぞれ格納いたしておるのであります。またただいま申し上げましたように、昨朝ただちに係官を派遣いたしまして、広島の
方面あるいは東大の
方面からも参りまして、目下現地の調査をいたしております。追
つて報告が参ることと存じております。そこで東京の方におきましては、昨朝早朝魚市場の方に着いて、その方から東京都にとりあえずこの魚の処置について打合せがあり、昨朝午前九時ごろ東京都から厚生省の方に連絡がありまして、従いまして食品衛生上の立場からこれを十分注意して処置をする
方法をと
つたのであります。そういう次第でありまして、これが処置につきましては、科学研究所の山崎博士の
意見を求めまして、結論的には、魚の実体について放射物質の含有の有無を検査して、その結果食用に適するかいなかを判定することが必要であるという
お話でありましたから、昨朝午前十時、ごろ東京都におきまして、原爆に遭遇いたしました市場入荷の魚の処置について、それぞれ
関係者を招致いたしまして本省からもそれぞれ
関係者が出まして緊急協議をいたし、実物の検査の結果、私の方に参
つております報告によりますと、ガイガー測定機を使用した結果、三〇センチメートルの中に七・五ミリメートルのレントゲン量の成績が出て来た。従
つて食用に不適当であると決定した。こういう決定をいたしまして、一部研究材料を収集しました以外は、全部箱詰のまま地下二メートルのところに埋却処分をいたしたのでございます。そうして東京都に参りました分は、全部市場に出すことなく、昨日の午後三時に完全にこれを食いとめることができたのであります。焼津の水揚場におきまして引揚げました数量が二千二百九十貫くらいで、二百四、五十貫を残したあとは全部それぞれ発送いたしたようでございまして、十三府県に出したようでございます。確実にあとで詳細に部長の方から御報告申し上げることにいたします。それぞれの
関係方面には全部手配をいたしまして、調べました結果、行先と魚の量と種類とがわかりましたから、食いとめるものはただちに食いとめたのでありますが、一部市販に流れておる心配のものもありますから、後刻その場所等はここで発表いたしておきたいと思います。こういう状態で、食品については措置をと
つております。
また一方乗組員について現在調べておりますが、遭難をいたしました船は福龍丸であ
つたと存じます。九九・九トンで、乗組員の大部分は船員保険の被保険者に
なつておると存じます。調べますると、四十八名が船員保険加盟者でありますが、今度乗
つて行
つた人は二十三名であ
つたという報告であります。船であるので乗船するときと下船するときとある
関係で、福龍丸の船員保険加盟者は四十八名であるけれ
ども、今回出て行
つた人は二十三名であ
つたというので、これらの詳細につきましては、現地に行
つておりますから、後刻報告があると思います。ですから二十三名のほとんどが船員保険に加盟しておるのではないかと思います。一時の臨時雇い等で行かれた場合は別でありますが、そうでないと、船員保険法によりましてこれらの医療、家族等の手当は一切いたす予定をいたしております。従いまして医療の給付——これはなおりますまでに三年以上かかりますと三年で打切ることに
なつておりますが、その期間内であればなおるまで治療を続けて参る。その他、これは
仕事中に起
つたことと認定されますので、傷病手当として医療を続けながら四箇月間は現在の俸給を本人に渡すことができることに相
なつております。その他今後の治療の状態によ
つて、それぞれ船員保険法によ
つて相当処置ができることにいたしております。魚肉の問題につきましては、それぞれ発送いたしました先、それが市販に行
つたと思われるところについては、部長からお答えいたします。