○平田
政府委員 税の立法の方の直接の責任は主税局に
なつておりまして、私の方は運用につきましては全責任を負
つておりますが、私からお答えした方がいいのかどうか問題でございます。ただ私もいきさつその他よく了承いたしておりますので、その点のところだけを申し上げまして御参考にいたしたいと思います。
生活協同組合につきましての課税をどうするかという問題は、実は御
承知の
通り大分前からのいきさつのある問題でありまして、大蔵省といたしましても協同組合の育成ということにつきましては、実は十分理解を持
つておるはずでございますが、時に他の納税者の
負担との比較というようなこともあわせて常に考えざるを得ない、こういう立場にありまして、協同組合の側といたしますと、なかなか御満足の行くところまで現在もあるいは来ていないのではなかろうかと存じております。ただ一時、
昭和二十五年でありましたか、いやしくも法人であるからには、会社も協同組合も農業組合も全部一率の課税をするということで、三五%の法人税を課することに
なつたのでございますが、これはその後の実情に応じましと、いかにもどうも少しきついのじやなかろうかというので、一昨々年の二十七年でございましたか、法人税を四十二に上げます際に、協同組合の方はそのままにすえ置いたことは、実は私が主税局長の当時でございましたから
承知いたしておりますが、しかしそれでもまだ不十分で、もつと差をつけるべきだという御議論がございます。今
厚生省から御指摘になりました点は、昨年
国会で税法が問題になりました際に、
国会の
修正で実は農業協同組合が、特に戦後の非常に悪
条件にたたられて再建整備をや
つておる組合が非常に多い、半分以上のものが赤字を出しまして、国から相当補助金まで出して再建整備をせざるを得ない。そういう事情のもとにある組合に対しましては、特に特段の考慮をすべきである。そういう
趣旨からいたしまして、今後積立金が一定限度までできるまでは、さらに特別の税法上の扱いをする、そういう意味で、昨年
国会の
修正でそういう条項が入ったように存じておるわけでございます。その際に協同組合も入れるか入れないかということで大分問題があ
つたようでございますが、事の起りが今申し上げましたように、特に農業協同組合を
中心にします特殊の再建整備ということにあり、しかもそれに関しましましては、再建整備法等もできまして、非常に特別な
措置も設けられておるような事情もありましたので、またその分はそういう
修正に
政府として応ずるのもまずやむを得なかろう。ただこの
趣旨を協同組合のどの
程度に拡張したらいいかどうかということについては、大分議論がございましてどうも全般的に広めるのはどうであろうかということが、ただいま
厚生省から
お話になりましたような方向で、昨年はきま
つたように私も
承知いたしております。今年も実は課税問題につきまして、一般に税率をもつと下ぐべきではないかという議論が大分ありまして、税制調査会におきましても、いろいろ御研究に
なつたのでございますが、なおこれに関しましては、その他にもいろいろの問題がございまして、たしか大蔵省としましては、
はつきりした
結論が出ないで、まだ
政府の案としましては、今申し上げましたことに対しましても、一歩進んだ案を
国会に出すというところまでは至
つていないようでございます。おそらくそういう問題はやはり今後の
一つの問題ではなかろうかと思うのであります。ただその際におきまして、ちよつと申し上げておきたいのは、実は協同組合に税がかかると申しましても、それは相当利益を上げたものだけでございます。協同組合の本旨に従いまして、割もどし、歩もどし等をいたしまして、消費者に安く売る、つまり事業の分量に応じまして配当をするというような場合におきましては、これは課税から除外する、課税利益に入れない
建前に
なつております。
生活協同組合の場合は、あるいはそういうケースが比較的少いかと思いますけれ
ども、
趣旨がそういう
趣旨に
なつておりまして、要するに、組合員のための組合事業という意味で、組合自体としまして、剰余金の出ないような仕事をやりますと、法人税でございますので、おのずから少い
税金で済むということになるわけでございます。ただしかし一方組合側からいたしますと、やはりある
程度の利益を上げた、それを組合内部に留保いたしまして、それを事業資金にしたい、こういう意欲があるようでございまして、それがあまり強く出ますと、これは普通の中小企業者との税の
負担の
関係に
なつて参りまして、中小の企業は、かなり高い法人税なり所得税あるいは事業税を納めているのに、協同組合がめちやくちやに低くては困る、こういう非難が出て参りまして、その辺の調整がなかなかむずかしいところでございます。しかしもちろん
政府といたしましては、どういう点に一番重点を置いてや
つて行くべきか、そういう政策面のことも考えて、今後もやはり税制の問題のことにつきましては、
検討して行くべき問題ではなかろうかと思いますが、
最初に申し上げましたように、私ちよつと直接の責任でございませんので、本日は事情だけを申し上げまして、あるいはさらに必要がございます。場合には、主税局の責任者に来てもら
つて、御聴取願
つたらいかがかと思います。