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1954-03-04 第19回国会 衆議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月四日(木曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 青柳 一郎君 理事 中川 俊思君    理事 中川源一郎君 理事 松永 佛骨君    理事 古屋 菊男君 理事 長谷川 保君       越智  茂君    助川 良平君       寺島隆太郎君    降旗 徳弥君       安井 大吉君    山下 春江君       滝井 義高君    萩元たけ子君       柳田 秀一君    杉山元治郎君       山口シヅエ君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (児童局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田邊 繁雄君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ――――――――――――― 三月二日  国民健康保険団体所属保健婦設置費国庫補助  に関する請願金子與重郎紹介)(第二六八  五号)  生活保護法による保護基準率引上げ等に関する  請願山口シヅエ紹介)(第二六八六号)  クリーニング業法における試験制度存続に関す  る請願赤路友藏紹介)(第二六八七号)  戦没者遺族弔慰金支給に関する請願大石ヨ  シエ君紹介)(第二六八八号)  同(大石ヨシエ紹介)(第二六八九号)  戦傷病者援護強化に関する請願植木庚子郎  君紹介)(第二七六〇号)  同(木村俊夫紹介)(第二七六一号)  同(菊池義郎紹介)(第二七六二号)  同(橋本清吉紹介)(第二七六三号)  戦没者遺族弔慰金等支給に関する請願大石  ヨシエ紹介)(第二七六四号)  同(大石ヨシエ紹介)(第二七六五号)  社会保障費減額反対に関する請願松平忠久君  紹介)(第二七六六号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法公務死適用範囲  拡大に関する請願(逢澤寛君紹介)(第二七九  〇号) 同月三日  戦傷病者援護強化に関する請願平野三郎君  紹介)(第二八二九号)  同(生田宏一紹介)(第二九五五号)  社会保険における暖房料認可に関する請願(菊  池義郎君外二名紹介)(第二八三〇号)  未帰還者留守家族等援護法による医療給付適用  期間延長に関する請願辻政信紹介)(第二  八三一号)  社会保障費減額反対に関する請願寺島隆太郎  君紹介)(第二八八一号)  同(中村時雄紹介)(第二九五三号)  クリーニング業法における試験制度存続に関す  る請願田中角榮紹介)(第二八八二号)  同(赤松勇紹介)(第二九四八号)  同(西村力弥紹介)(第二九四九号)  理容師美容師法の一部改正反対に関する請願(  岡村利右衞門紹介)(第二八八四号)  同(小澤佐重喜紹介)(第二九五〇号)  同(赤松勇紹介)(第二九五一号)  附添看護婦及び附添婦身分保障に関する請願  (水谷長三郎紹介)(第二八八五号)  在日朝鮮人に対する社会保障適用等に関する請  願(田中稔男君外三名紹介)(第二八八六号)  南方未帰還同胞に関する請願中川源一郎君紹  介)(第二九五二号)  遺族年金並びに弔慰金支給促進に関する請願(  庄司一郎紹介)(第二九五六号)  の審査を本委員会に付託された。 同月三日  社会保障費減額反対に関する陳情書  (第一三九五号)  同(第一三九六  号)  同  (第一  三九七号)  同  (第一三九八  号)  同(第一三九  九号)  同外二件  (第  一四〇〇号)  同(第一四〇一号)  同外一件  (第一四〇二号)  同  (第一四〇三号)  同外一件(第一  四〇四号)  同  (第一四〇五号)  社会保障費並びに公共事業費等国庫補助率引  下げ反対陳情書  (第一四〇六号)  保健所保健婦設置費に対する国庫補助存続に関  する陳情書  (第  一四〇七号)  保健所に要する人件費等交付方法に関する陳  情書(第一四〇八  号)  国民健康保険医療給付費に対する国庫助成の法  制化に関する陳情書  (第一四〇九号)  保育所措置費増額に関する陳情書  (第一四一〇号)  保育所定員制等に関する陳情書外二件  (第一  四一一号)  衛生行政費削減反対陳情書  (第一四一二号)  簡易水道事業に対する二十九年度国庫補助増額  に関する陳情書  (第一四一三  号)  清掃施設に対する財政措置に関する陳情書  (第一四一四号)  母子福祉資金貸付等に関する法律改正陳情  書  (第一四一五号)  戦没者遺族援護等に関する陳情書  (第一四一六号)  狂犬病予防法改正に関する陳情書  (第一四一九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四二号)  身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四六号)(予)  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第四七号)(予)  消費生活協同組合法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五五号)  未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法  律案内閣提出第六八号)(予)
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案身体障害者福祉法の一部を改正する法律案児童福祉法の一部を改正する法律案消費生活協同組合法の一部を改正する法律案及び未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案、以上五法案を一括議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許可いたします。長谷川保君。
  3. 長谷川保

    長谷川(保)委員 未帰還者留守家族等援護法について少し伺いたいのでありますが、今この法律によつてこれを適用されまして、入院して療養いたししておりまする者の数は現在どれくらいございますか。
  4. 田邊繁雄

    田邊政府委員 約五千名でございます。
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この人々は今年の十二月二十八日で、療養の方は一応期限切れになるかと思つておるのでございますが、さようでありますか。
  6. 田邊繁雄

    田邊政府委員 相当多数の方々が期限満了になると存じております。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そういたしますと、そのあとについて何らかの方策を当局としてはお持ちでありましようか。
  8. 田邊繁雄

    田邊政府委員 未復員者帰還をした際に、未復員期間中の疾病について、国が療養するという規定は、たしか二十三年の十二月より実施された制度であると思います。これは国家公務員災害補償法療養補償という精神にのつとりまして、そのような規定が設けられたわけであります。当初は療養期限が二年でありましたのが三年に延長せられまして、国家公務員災害補償の場合と歩調を一にしたのでございますが、さらに期限満了の際に、さらに二年延長せられまして、現状に至つておるわけであります。それで満了あと、どういう措置を講ずるかという点につきましては、いろいろの点を考慮して処置しなければなりませんので、ただいまのところでは研究中でございますが、われわれといたしましても、何とかこれを見通しのつく限り国家の手でめんどうが見れないものだろうかという考え方で、目下実は研究をいたしております。
  9. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この療養中の人々病気は、やはり呼吸器病が多いのでしようか、種類はどうなつておりますか。
  10. 田邊繁雄

    田邊政府委員 呼吸器病が大部分であります。
  11. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これについては一応国家の名前で召集した人々でありますから、ここで打切るというようなことでなしに、何とか方法を立てなければならぬと思うのでありますが、御当局の方にも御研究願つて、われわれも研究するというふうにいたしたいと存じておるわけであります。さらにこの中に内地発病した者でこの法律案に適用されておる者があるでしようか、ないでしようか。
  12. 田邊繁雄

    田邊政府委員 これは二十三年の十二月に実施せられましたときに実行されたわけでございますが、その際に、未復員期間中に自己の責に帰することのできない事由によつて療養中の者というのは、この法律の施行の際、現在療養しておる者を拾つたわけであります。従いまして戦争中に内地結核等病気にかかりまして、その後ずつと療養しておる者は、この法律によつて救われておるわけでございますから、どのくらいの数があつたか、今正確に私記憶いたしておりませんが、内地発病の者も含まつておるものと承知いたしております。
  13. 長谷川保

    長谷川(保)委員 これはこの前にもたびたび問題になつた点でありますが、内地で入院しておりまする人々は、いわゆる療養の小づかいというようなものは与えられないで、生活保護法でまかなつていることになつておりましようか、伺いたいと思います。
  14. 田邊繁雄

    田邊政府委員 そのように承知いたしております。
  15. 長谷川保

    長谷川(保)委員 その額は今幾らくらいでありますか。
  16. 田邊繁雄

    田邊政府委員 甲地で大百円、乙地で四百五十円くらいと存じております。
  17. 長谷川保

    長谷川(保)委員 外地発病したものは、例の恩給関係の方でまかなうことになつておりますか。
  18. 田邊繁雄

    田邊政府委員 外地と申しますか、療養中の方であつて恩給の症状に達しておる人々に対しましては、従来は恩給を停止するという規定になつてつたわけであります。これは療養恩給その他年金とは併給しない。これは実はこの種の制度においては一つの原則になつているわけであります。しかしまあいろいろの点を考慮いたしまして、国会において御修正になりまして、両者を併給するということにいたしまして、しかしまるまる併給するのでなしに、その療養費の一部を本人より徴収するということにしたわけであますが、しかし少くとも手元に千円程度の小づかいは残すということで、従いまして名目的な療養費で、月に五十円程度という方も相当多数あろうと思いますが、そういうようにして千円程度の小づかいが残るように調整しております。
  19. 長谷川保

    長谷川(保)委員 前からこの問題がたびたび問題になつているのでありますけれども、何とか内地外地発病者を平等に扱うという形はできないものでしようか。何とか方法はないものでしようか。
  20. 田邊繁雄

    田邊政府委員 実はこれは戦没者遺族援護法公務認定基準の問題に関連する問題でございますので、結局は恩給法の問題になるわけでございます。公務執行発病との間の因果関係近接度合い恩給法で申しますと直接因果関係または相当因果関係があつた場合に公務によるものと認められる。こういう解釈になつております。従来の例で申しますと、内地発病公務として認められる場合が少いわけでございます。そういつた関係内地結核患者に対しましても、公務と認められない方が相当出て来ているわけでございます。従つて恩給ないしは障害年金の面においてこれを救済すると申しますか手を打つということは限界があるわけであります。目下のところは、従つて生活保護法による小づかいと日用品ということしか手はないのではないか、やむを得ないのではないかと思つております。
  21. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もう少しこの法律について伺いたいのでありますが、研究不十分でありますので、この次まで留保さしていただきます。
  22. 小島徹三

  23. 滝井義高

    滝井委員 児童福祉法の一部改正身体障害者福祉法の一部改正と二つにまたがる問題でございますが、この法律改正で大きな主眼をなしているものは育成医療更生医療の問題だと思うのであります。ことに育成医療更生医療ともに、複雑な成形外科的な処置を必要とする問題でございますが、それに関する診療費支払いの問題でございます。まずそれぞれの身体障害者あるいはその扶養義務者支払い能力があると、こう認定したときには、その支払い能力があると認定した額だけはこれは本人負担する、あるいは扶養義務者負担をするということになつているのですが、そういう認定をする具体的な基準と申しますか、どういう方法でその支払い能力があるという認定をやるのか、それをまず第一にお伺いいたしたい。
  24. 安田巌

    安田政府委員 身体障害者福祉法関係、つまりおとなの方のことを先に申し上げたいのですが、自己負担額認定基準生活保護法基準よりも少し上の方にいたしておるわけでありまして、具体的に申しますと、総理府統計局行つておりますところの消費者家計調査から国民の平均的な消費水準というものを出しまして、そのような平均的な消費水準によるところの自己負担額補装具医療費その他の費用の多少に応じまして負担をさせるという方法をとつておりますから、全部ただというわけには参りませんけれども生活保護基準よりは相当高いものになつております。
  25. 滝井義高

    滝井委員 総理府における平均的な消費水準というと、具体的にどういうことになるのですか。具体的に申しますと、たとえば現在生活保護を受けている人の一食が十六円、最近米価が上りましたので、これが二、三円くらい上るかと思うのでありますが、東京における一般の一食の水準は、平均多分二十四円くらいではなかつたかと記憶しております。保安庁の隊員が多分三十円くらいだつたと思います。そういうぐあいに、一般水準が二十四円、生活保護者が十六円というと、相当の開きがあるわけですが、平均的な消費水準を大体どの程度に置くのか。この身体障害者あるいは児童福祉法のこういう基準というものは、私はおそらく生活保護法対象者、あるいはそのボーダー・ラインのところにある人々を主たる対象として、こういう負担能力のある人というのが認定されておるのじやないかと思うのです。だれでも全部やれるというわけじやないと思うのですが、そこのところをひとつ、あとでまた予算関係もありますので、もつと具体的に伺いたい。
  26. 安田巌

    安田政府委員 更生医療にいたしましても、それから補装具にいたしましても、必ずしも生活保護法を受けている者が多いというわけではないのであります。FIESという調査がございますけれども、その平均的な消費水準というものを考えまして、その水準にある者については補装具なり、あるいは更生医療に要する費用の多少に応じて大体一割から三割八分までを本人負担するということになつております。もしその標準が、その人の生活水準より高い場合には、それにまた若干指数を上げて行く。それからさらに、その人の生活水準が低い場合には、今申しましたものをさらに下げるというようなこまかい表をつくりまして、それで実施しておるのでありますけれども、もしさらにこまかく御説明をいたす方がよろしいのでございましたら、説明員から申し上げます。
  27. 滝井義高

    滝井委員 こまかいことは、あとでまた個人的にお伺いするとしまして、問題はその本人負担能力がある、こう認定をされて、その負担能力のある額だけは差引かれることになるわけであります。そうした場合に、今度は児童福祉法の方においては、もしその本人あるいは扶養義務者が、自分の一負担能力があると認定をせられた額を支払わなかつた場合には、都道府県知事本人またはその扶養義務者から、支払わなかつた額を徴収することになつております。ところが身体障害者の方は、そういう規定がないようですが、これは同じこういう措置をする立法であつて、一方は都道府県知事が支払わなかつた額を取立てるところまで行つているし、一方はそういうことをしていないのですが、これは同じような立法のものだと思いますが、どうしてそういうことに相なつたのですか。
  28. 安田巌

    安田政府委員 同じ取扱いをいたしております。三十八条の第三項をごらんになりますと、「第二項に規定する行政措置が行われた場合において、身体障害者又はその扶養義務者が、同項の規定により支払うべき旨を命ぜられた額の全部又は一部を支払わなかつたため、都道府県又は市町村においてその費用を支弁したときは、当該都道府県又は市町村の長は、当該身体障害者又はその扶養義務者から、その支払わなかつた額を徴収することができる」。それで大体同じ取扱いにいたしております。
  29. 滝井義高

    滝井委員 どうも私うつかりしておりましたが、そうすると医療機関にその支払いを命じられた人が支払わなかつた場合に、具体的な医療機関の手続というものはどういう形で行われることになるのですか。実はなぜこういう質問をするかと申しますと、生活保護費患者でも、一部健康保険その他を持つておる人でやらせる場合ができて来ますところが現実にそういうものが支払われない場合が非常に多い。そういうものばかりでなく、現実健康保険家族の半額が非常に未払いが多いわけなんです。いわんやこういう生活保護の人あるいは身体障害者という人が、いくら命じられても、実際にその支払い医療機関にやらないということは、現実に非常に多く、おそらく全部それなんです。その場合にそれを今度は都道府県知事あるいは市町村長に対して、この人が支払わなかつたということを医療機関から申告をさして、今度は高利貸のように、市町村長あるいは都道府県知事が貧しい人に取立てに行くということも、非常に私は道義上の問題が出て来ると思うのです。そこらの事務的な取扱いというのはどういうぐあいになつておりますか。
  30. 安田巌

    安田政府委員 この場合は基金が支払うことになつておりますから、そこでその基金当該指定医療機関に払うわけであります。あとでそれを援護実施機関基金に払うわけでありまして、援護実施機関当該身体障害者の方にその分の負担を払わせるというかっこうになりますので、生活保護法の場合とちよつと違うので、むしろ滝井委員のお考えのようになるのじやないかと思います。
  31. 滝井義高

    滝井委員 それからこの予算の問題ですが、更生医療には千九百十七万、育成医療は五千六百二十万の中で三千百一万が医療関係に充てられているように思いますが、こういう算定基礎と申しますか、大体どの程度更生医療あるいは育成医療をやるためにこういう数字が出たのか。問題は、この整形外科手術というものは非常に複雑なんです。現実にわれわれが生活保護患者を見る場合に、生活保護法で複雑な整形外科手術をやりますと、健康保険点数できめられてしまつておるのです。先日私の友人がそういう手術をやつたのですが、基金の方に問い合わしてみますと、たとえばある大きな手術をやる場合に、これを百点ぐらいにしてくれ——実際に七箇月も八箇月も他の病院に入院をしておつて、そうしてそれがなおらなかつた。そこである優秀な整形外科のところにやつて来る。ところがこれを少し大がかりの手術をやつてペニシリンその他をやると、それがわずかに二週間か三週間ですつきりなおつてしまう。前の病院では七箇月も八箇月も入院しておつたけれども、それをなおし切れない。ところがある優秀な整形外科医者に行くと、これは少し大手術をやつて、ある程度ペニシリンを使うと、これは二、三週間でなおるという認定が出る。そこでそういうことを連絡すると、そういう大手術をやるのは困ります、やはりこれは百点ぐらいでやつてもらわなければということで、実は非常にその医者が困るという現実があるわけです。こういうぐあいで整形外科手術というものは、おそらくこれは、こういう具体的なお金を出して来ているのですから、健康保険か何かの点数基礎にして、整形外科手術基礎を出して来ていると思うのですが、こういうことが結局身体障害者あるいはこうした児童障害を打破つてやるという、とうとい立法に、一つの大きな制限になるという疑いがあるわけです。まずその千九百十七万円と三千百一万円、こういう具体的な算定基礎をどういうところに置かれたのか、これを御説明願いたい。
  32. 安田巌

    安田政府委員 更生医療を受ける必要のある者が戦傷病者のほかにどのくらいあるだろうかという一応推計をしてみたわけでありますけれども、その際には四万人くらい全国にあるだろうという数字が出て参つたわけであります。しかし本年は予算関係もございますし、何しろ新規の事業でございます。一度この予算を入れますと毎年出すことになりますから、いろいろ財務局としても都合もありまして、千五百七十四人分で千九百十七万円、こういう予算になつておるのであります。それから更生医療診療報酬の問題でございますが、今のところはお話のように、健康保険点数単価を用いておるわけでございます。実は二十七年、二十八年と両年度戦傷病者更生医療行つておりますけれども、今のところでは健康保険点数単価をもつて大体うまく行つてるように私どもは聞いておりますが、なおお話もございますので十分研究してみたいと思つております。
  33. 太宰博邦

    太宰政府委員 児童育成医療の点でございますが、これは大体該当の対象と申しますか、先年私どもが調査いたしましたところでは、約十七、八万ほどになるかと存じますが、しかしこれは人によつてもつと多い、あるいは数十万の多きに上るということを申しておる人もあるような状況でございます。大体予算の三千百一万円というのは、社会局長から申し上げました通り、格別これで何箇年計画でやるというほどのかたまつたものじやございません。初年度でもありますし、また今年みたいな予算編成状況のときでございますので、この辺におちついたというだけのことでございます。しかしながらこの予算を極力活用して、できるだけ成績を上げたいと存じておるのでありまして、同じ育成医療対象になる児童疾病につきましても、たとえば先天性股関節脱臼というようなものは、御承知の通り、これはさほど経費をかけないでもなおる分でございまして、極端なことを申せば、赤ちやんが生れたときに助産婦がちよつと赤ちやんの股を開いてみることによつて、ただちに発見できるのであります。またそれを発見いたしました場合は、ちよつとした注意、平素のおむつの当て方を注意しただけでもよくなるということが言われるほど、これはやり方いかんによつてはさほど経費をかけないで済むわけであります。その他もちろん金を食うのもございますが、大体初年度はそのうち先天性股関節脱臼あるいは小児麻痺というようなところに、重点を置いてやつて行きたいと考えておる状況でございまして、大体初年度分として肢体不自由児が九百九十五人ですから千人に近い、それから目の方の視力障害が四百三十九人、それから耳の方の聴力障害、これは二百六十五人を対象として組んでおる状況でございます。
  34. 滝井義高

    滝井委員 これに関連する支払いの問題でございますが、現在これらの生活保護を含めた支払いが非常に遅れておるわけであります。生活保護患者というものは、非常に長期診療機関にかかることは、すでにその平均点数を見てもわかると思うのです。これらの整形外科的な処置を必要とする身体障害者、あるいは児童股関節脱臼、あるいはその他の障害においても相当長期の治療を要するものです。これらの医療指定機関を定めて行くのですから、特定の少数の医療機関が中心になつてやることは当然になる。現在の客観的な情勢を見ると、それらの支払いが非常に遅れておるということなんです。はなはだしいところは十月、早いところで十一月分くらいしか支払われていない。こういう莫大な医療費を要するものの支払いが遅れるということは、そのしわがどこに寄つて参るかというと、結局疎漏な医療が、弱い児童障害者あるいは身体障害者に及んで来ることは当然なんです。医は仁術だといつても飯を食わずに仁術をやるわけにも行かないのが現在の資本主義社会なんですから、そういう点、児童局あるいは社会局保険局においても、こういう立法をしたならば、当法これは責任を持つてその支払いを推進するということがなくては、画龍点睛を欠く立法になつてしまうと思います。こういうものは社会保険診療報酬支払基金法に基いて翌々月には確実に支払われるようにやれるのかどうか、この際お尋ねをしておきたいと思います。
  35. 安田巌

    安田政府委員 更生医療は先ほどもちよつとお話がありましたけれども、やはり専門家に治療を受けさせないと効果が上りません。かえつてまた弊害があることもございますので、この指定については、専門の整形外科ということで、設備の点からも、経験の点からもよく考えまして、慎重にきめて行くというやり方を従来もやつて来たのであります。ただいまのところでは、二十七年と二十八年が戦傷病者更生医療となつておるわけでありますけれども、この更生医療費用というものは、現在は県の方から直接医療機関に払つておりますが、これはあまり遅れたということは実は聞いていないのでございます。明年からは一般の方が始まるわけでございますが、しかしこれも生活保護社会保険医療と違いまして、必ずやらなければならぬというのではなくて、やはり予算というものが基礎になりますので、その辺をにらみ合せてやらなければなりませんから、そう今御心配のようなことはないのではないかと私ども考えております。
  36. 滝井義高

    滝井委員 ひとつできる限りそういう方向に向いてやつていただきたい。生活保護費医療扶助が現実に非常に遅れておるということになると、これは、あつものにこりてなますを吹くというように、こういう厚生省から出るところの医療関係立法というものは、何でも監査をする、あるいは帳簿検査をするというように、検査や監査は厳重にやるけれども支払いというものはちつとも行われてないじやないか、だからそういう医療には責任を持てないという風潮が現在巻き起りつつあるわけです。しかし義務だけは不当に課す、しかし支払いは遅れるというので、すでにこういうものに対する嫌悪の情が起りつつあるわけです。従つてこれはよほど注意してもらわないと、せつかくのいい法律画龍点睛を欠くうらみがありますので、ひとつ関係の部局においては、できるだけ御努力をしていただくことをお願いいたしまして、質問を終ることにいたします。
  37. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ちよつと関連して、今滝井委員の方からも、医療扶助の金の支払いが遅れておるという話が出ましたが、聞くところによりますと、政府は第三次補正予算を組み、国会に提出するということでございます。大臣がいないところで伺つても変でありますが、これは明らかに医療扶助措置等の金が足りないのでありますが、二十八年度の第三次補正予算にそれを要求なさる予定になつておるかどうか、お伺いいたします。
  38. 安田巌

    安田政府委員 現在のところはそのような予定になつておりません。
  39. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先般もいろいろと御注意申し上げておるのでありますが、それを組まないと実際問題として支払いができないのじやないか、そうして二十八年度に支払うべきものを二十九年度あるいは三十年度というようにずるずるに持つて行くということになつてしまうのじやないか、そういうことを憂えるのであります。これは本省の方で責任をもつて組む必要がある。これは義務立法であり、義務費でありますから、なおさらそれを組まなければならない。これは二十九年度の予算の方に今度修正案を入れましても、とうていまかないきれるものでないことは確実であると言つてよいほどの数字が考えられるのでありますが、当然それは組むべきであると思いますが、その御意図は全然ないのでありましようか。
  40. 安田巌

    安田政府委員 二十八年度の支払い予算が足りないことははつきりいたしておりまして、そのために二十九年度には、実は二十億の赤字補填の金が入つておるわけであります。本来ならばその二十億も二十八年度に補正予算で組むべきありますが、いろいろ財政の都合から申しましてそれがむずかしいものでありますから、二十億を二十九年度に組んだというような現状でございます。従いまして今第三次の補正の際にそういうような費用を追加計上するということは、現在のところでは政府としては考えていないということを聞いております。
  41. 柳田秀一

    ○柳田委員 ちよつと質問しておきますが、私のところにこんな陳情が来ております。傷病恩給受給者が戦時中公務により病を得て長い間療養生活を続けながら、未復員者給与法の適用者にはこのたびの法改正によつて医療給付が行われるのに、一方の傷病恩給受給者は医療の給付が行われないというようなことは、不公平ではないかという陳情であります。つまり傷病恩受給者で現在まで引続き療養を続けておる者についても、未復員者給与法の適用者と同様に医療の給付を受けられるよう、その際給付の一部を差引かれるわけでありますが、そういうような御考慮を願いたいということであります。これは審五療第三十八号という通達で、法第十八条に規定する者が傷病恩給を受給した場合に限つて認めるのであり、旧法施行前に復員した者は旧法施行後三年、また施行後復員した者は三箇年間経過した場合は時効により療養の給付を受けることができないという通達があつて、だめということになつておるのであります。私まだ法律の勉強が足りないので法文等も詳しく理解しておらぬのでありますが、これは援護庁の方ではどういうことになつておりますか。先ほどの長谷川委員の質問のように、先国会でも未復員患者の問題でずいぶん当委員会でも御審議願いまして、便宜の措置と申しますか、比較的あたたかい措置をとつていただいて、当然それに適用されるものとわれわれも思つてつたのでありますが、これによりますと、各都道府県のそれぞれの当該課においてもこれは意外であつたというような感じを受けておるようでありますが、この点についてひとつ御説明をお聞きしておきたい。
  42. 田邊繁雄

    田邊政府委員 御陳情の内容がよくわからないのでありますが、療養を必要とするものであれば療養を継続さしてやり、その人の傷害が増加恩給程度に達しているならばただちに増加恩給を支給する、こういうことになつており、原則はかわらないわけであります。増加恩給を支給する際に療養を打切つたとするならば、それは療養をする必要がないという状態に達したと解釈する以外ないと思います。それは個別の問題でありますが、長い間療養しておつたものが打切られて、まだ療養を要するような場合は実費程度のものを徴収する、こういうふうになつておるわけでございます。なおまた具体的に陳情の内容をよく拝見いたしまして研究したいと思います。
  43. 小島徹三

    小島委員長 その他にございませんか。  なければ本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。    午前十一時三十二分散会