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1954-02-19 第19回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十九日(金曜日)    午前十一時三十九分開議  出席委員    委員長 森 三樹二君    理事 大村 清一君 理事 鍛冶 良作君    理事 田嶋 好文君 理事 高瀬  傳君    理事 島上善五郎君 理事 竹谷源太郎君       尾関 義一君    羽田武嗣郎君       原 健三郎君    並木 芳雄君       鈴木 義男君    三輪 壽壯君  委員外出席者         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 二月十九日  委員山中貞則君辞任につき、その補欠として中  川俊思君が議長の指名で委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 森三樹二

    森委員長 これより会議を開きます。  法案の審査に先だちましてお諮りいたします。一昨日の理事会においてお話のありました小委員会の設置についてでありますが、従来の特別委員会においても設置いたしました通り、十五国会において作成いたしました公職選挙法改正要綱に基き、その後の改正等調査し、改正案立案に資するため、十一名よりなる公職選挙法改正案起草小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森三樹二

    森委員長 御異議ありませんから、さよう決定いたしました。  それでは、小委員の数は十一名とし、各派割当は、各派所属委員数の比率によりまして、自由党五名、改進党、社会党両派おのおの二名とし、小委員投票の手続を省略して、委員長より指名いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森三樹二

    森委員長 御異議ありませんから、さよう決定いたしました。  それでは、小委員大村 清一田嶋 好文網鳥 正興君河野 金昇君森三樹二君竹谷源太郎鍛冶良作高橋英吉高瀬 傳君島上善五郎鈴木義男君の諸君を指名いたします。  小委員長選任につきましてはいかがいたしましようか。
  5. 島上善五郎

    島上委員 小委員長は、先例によりまして、委員長がこれに当られんことを望みます。
  6. 森三樹二

    森委員長 島上君の動機に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 森三樹二

    森委員長 それでは不肖私が小委員長としてその任に当りたいと思います。  なお、小委員会には、小委員のほか、委員が随時出席して御討議いただきたいと思います。     —————————————
  8. 森三樹二

    森委員長 次に、公職選挙法改正に関して調査を進めます。島上善五郎君。
  9. 島上善五郎

    島上委員 この際、本委員会において一つ申合せをいたしたいと存じます。と申しますのは、政界粛正に関しては、私どもも痛感しておるところでありますし、院外にも強い意見がありますので、この際政界粛正の最も大きな問題の一つとして、選挙法を抜本的に改正する必要がある、かように考えます。そこで、小委員会並びに本委員会において、今後政界粛正にこたえるために、選挙法抜本的改正のために、たとえば連座制強化の問題であるとか、選挙区制の問題であるとか、投票方法の問題であるとか、あるいは選挙公営の問題であるとか、そういう点について徹底的に論議をして結論を出すようにいたしたい。特に在来議員中心法改正であるという非難があった事実にかんがみまして、この際院外意見も広く聞くような方途を講じつつ、そういう結論を出すように運んでいただきいということについて、一つ申合せができますならば、していただきたい、かように考えます。
  10. 原健三郎

    ○原(健)委員 ただいまの島上君の動議にわれわれ自由党としては賛意を表するものであります。この際、いろいろ問題になつておる選挙法を扱本的に改正して政界粛正し資しなければならぬという輿論にこたえて、ぜひこれを断行したいと思うのであります。それで、一番問題になつている選挙区制とか、公営とかいうような点についても、この際抜本的に検討を加え、また輿論動向もよく察知して、適当なところに改正をいたしたい、こう存ずるのであって、われわれも賛意を表するものである。さらに、この際お願いいたしておきたいことは、小委員会もできまして、その小委員長委員長がなるのでありますが、今までの前例から見ると、この公職選挙法委員会はきわめて超党派的によく熟議をこらしてやつて来たのであります。これは、今までもそうでありましたから、ぜひ、小委員長としても、また本委員会委員長としても、きわめて公平に論議をよく尽すようにしていただきたい。そうでなくして、社会党左派意見を尊重するようなことのないように、この際特に御注意を申し上げて賛成いたします。
  11. 森三樹二

    森委員長 他にございませんか。
  12. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま島上君並びに原君の方から御提案がありましたが、改進党といたしましても、この際この選挙法改正について抜本塞源的に根本的に改正することにはしごく賛成であります。どうしてもやはり、こういうふうないろいろ世間を騒がせるところの汚職事件であるとか、あるいはいろいろなとかく問題になるような事件が起きました機会をとらえて、徹底的に風評のあるところの選挙法改正して、真に日本民主主義を確立することが、目下の急務であると考えますので、先ほど原君が言われましたような超党派的立場を堅持しつつ、厳正公平に輿論動向を察知いたしまして、すみやかに有効適切に選挙法改正されんことを切望してやみません。改進党としてもさよう考えますので、先ほどの島上君並びに原君の御提案に対して満腔の賛意を表します。
  13. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 われわれの属する日本社会党といたしましても、つとにこのことは痛感いたしておったことでありまして、今回のことがあつて初めて強調するわけではないのであります。ことに、政界粛正のためには、選挙法改正というようなことだけで目的を達し得るものではない。公務員が理由ない金をいろいろな方面から収受する。政党資金の通常の仕方もきわめて封建的なものが残つておるのであります。そういうものをやめなければならない。あるいは、ある意味においては刑法の涜職罪規定のようなものも改正しなければならないとさえ考えておるのでありまして、いろいろな点にもつと抜本的の改正を加えなければ、政界のほんとうの民主化明朗化とはできないと思つておりますが、なかんずく選挙について不合理に金がかかるということが政界を汚濁せしめる一つの大きな原因であろうことは疑いないのであります。諸外国においても、最初は相当腐敗した選挙が行われておつたにもかかわらず、イギリスでも、アメリカでも、フランスでも、すべて、ときどきこの種の事件が起つて、それを契機として選挙法改正が行われ、罰則強化、いろいろのことが行われた結果、非常に明朗な選挙になつておるのであります。わが国におきましては、ちようどいいチャンスで、ぜひ、各党が党派を超越して、わが日本の国の政治明朗化するために、選挙法を根本的に改正をする、こういうことを実行していただきたいと存ずるのであります。そういう意味をもちまして、わが党も、各党の御意見と同様に、心からの賛意を表するものであります。
  14. 森三樹二

    森委員長 島上君より提出されました選挙法の根本的な改正動議に対しましては、各党賛成の御意見を述べられましたので、当委員会において島上君の動議通り決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 森三樹二

    森委員長 それではただいま島上君から提出されました選挙法根本的改正動議は可決せられました。  なお、先ほど、原健三郎君より、委員長また小委員長としての私に対する御意見がございましたが、もとより私といたしましては、選挙法改正にあたりまして、一党一派に偏するような考えは毛頭ございません。できるだけ公正妥当な気持で私は当委員会を運営したいと思いますので、皆さん方の御協力をお願いしてやまない次第でございます。  他に御発言ございますか。
  16. 並木芳雄

    並木委員 私は、ただいまの動議にも関係ございますが、この際、公職選挙法について、三浦部長国会立場から権威ある答弁を求めたいと思うのです。それは、現在問題として取上げられておりますいわゆる造船問題、造船疑獄と称せられるものに関連しての公職選挙法違反並びに政治資金規正法違反疑いがあるのではないかという点について、社会党左派から、自由党改進党、元日本自由党総裁でありました鳩山さん、要するに吉田、重光鳩山三党首を告発するのだという新聞記事が出ておりますので、これに関してでございます。告発理由として新聞に報道されておりまするのは「二十七年の十月選挙、二十八年の四月選挙にさいし現在造船疑獄の源となつている「外航船舶建造融資利子補給法」およびこれに関連する「利子補給および損失補償法」などによつて政府と特別の利益関係にある造船工業会船主協会関係銀行が自由、改進、日自の三党に政治献金し、この献金東京選挙管理委員会選挙費用として属出たことは、公職選挙法第百九十九条、二百一条の規定にしたがつて政治資金規正法罰則第二十二条と、第二十六条の適用をうけ、政党は五千円以上、五万円以下の罰金刑、党の代表者たる総裁は三年以下の禁固、または五千円以上、五万円以下の罰金刑は免れない」というのがその根拠であります。私どもとしては、自分の所属する改進党の総裁重光さんの名前が出ておりますので、この際質問をいたしますものでありますが、主観的には絶対にこういう条項に抵触しないという確信を持つております。  そこで、まず第一に、公職選挙法の百九十九条にある、いわゆる「請負その他特別の利益」というものに対して、立案当事者でありました三浦法制局第一部長の的確なるそれについての見解を、この際、確認的ではありますけれども、明らかにしていただきたいと思います。
  17. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまのお尋ねの点でございますが、現在新聞紙上にいろいろあげられております件については、私実体をよく存じておりません。ただ紙上で拝見しておるにすぎないわけでございますので、それに必ずしも関連いたしませんで、百九十九条に規定してありまする「請負その他特別の利益を伴う契約」というものは、これを立案いたしましたときにはどういう趣旨であつたかということにつきましてお答えを申し上げたいと思います。  この規定は「特別の利益」と書いてございまするので、もちろん普通程度利益というものを含まないことは当然でございます。それから、請負等をあげてございまするが、これは特別の利益を伴う者が選挙に関し寄附する等のことは、いろいろ弊害を伴いまして不正の原因となることがありまするので、そういう意味においてこの規定が設けられたわけであろうと思いますが、その規定の設けられた趣旨をくんで考えました場合におきましては、特別の利益を伴うという場合には、普通程度利益でなくして、何かやはり独占的な利益を伴う場合はもちろんでありますが、そうでなくても、普通程度利益以上に何か特殊な利益関係が生れて来る場合を予想して立案したわけでございます。たとえば、例を申し上げますと、その当時にも考えておつたのでありますが、特別の払下げを受ける事業とか、あるいは特定の運送請負をする業者であるとか、あるいはあるものについて特別の使用を許可される場合であるとか、こういうように何か特殊の利益関係を伴う場合において「特別の利益を伴う契約」というように、立案の当時におきましては考えておつたわけでございます。
  18. 並木芳雄

    並木委員 ただいまの三浦部長の説明によつてもわかります通り、今度の造船工業会船主協会関係銀行というものは、外航船舶建造融資利子補給法及びこれに関連する利子補給及び損失補償法というものに関連して政党献金をすることは、これは何ら特別の受益者とみなされないと私どもは確信しておるのでありますけれども、その点をお尋ねしたいと思います。
  19. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点につきましては、先ほども申し上げましたように、実体をよく存じませんで、ただ新聞紙上で拝見しておるだけでございますので、ここではつきりどうだということを申し上げることもいささかどうかと考えておりまするが、そういう問題を離れまして一般的に考えました場合に、そういうことによつてただそれに特別の利益を与えるという目的利子を補給したり損失を補償したりするのではなくて、もつと広い全体的な国策見地からそういう制度を設けておる場合におきまして、それが特別の利益を伴う契約になるかどうかという点につきましては、必ずしもそうはならないように私は想像いたすわけでございます。
  20. 並木芳雄

    並木委員 非常に明快な答弁で、すこぶるわれわれは満足するものでございます。従つて、これは、造船工業会とか船主協会グループと、それから関係銀行金融業者グループの二つにわけた場合、いずれも関連して来ないということが言えると思いますが、この点、念のために、ただいまの一般原則に照して考えますならば、あと銀行であろうと、あるいは銀行から融資を受ける造船界であろうと、海運界であろうと、これはもう一様に関連性が出て来ないのだという結論になつて参りますが、お確かめいたします。
  21. 三浦義男

    三浦法制局参事 利子補給関係におきまして、銀行は国との間においては契約をいたしますから、いわゆる契約当事者であることについては間違いはないだろうと思います。それから、銀行以外のいわゆる船主あるいは造船会社というものは国との間の契約を結んでおりませんから、いわゆるここにいう契約当事者にはその場合は入らない。銀行契約当事者である。ただ、内容的に特別の利益を伴う契約であるかどうか、つまり国銀行との間が特別の利益を伴う契約であるかどうかという点につきましては、先ほど私が一般論として申し上げました趣旨において御了解を願いたいと思います。
  22. 並木芳雄

    並木委員 先はどの趣旨において了解する場合には、これは国策として出て来ているので、必ずしも特別の利益を受けるものとに思われない。こういう趣旨において私どもは了解いたしますが、その点大事なところですから重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  23. 三浦義男

    三浦法制局参事 私の言葉が多少足りない点もあるかと思いますが、必ずしも国策のためにあるから特別の利益を伴うものであるという意味ではないのでございます。こういう見地から利子補給問題等が制度的に考えられておるのであつて、その意味において利子補給なり損失補償をされても、銀行なり何なりは、俗な言葉で言えば元々である。つまりその結果普通の銀行の業務以上に特別に利益が与えられたようにはならないのではないか、こういう意味でございまして、結論を申し上げれば、ここにいう「特別の利益を伴う契約当事者」にはならないのではないか、こういう意味でございます。
  24. 並木芳雄

    並木委員 よくわかりました。私が質問しようと思つた要点に触れて答弁を得ましたから、もうあとは不要のものでございますが、蛇足ながらこの際念のためにお尋ねをしておきたいことは、東京都の選挙管理委員会でこれを受付けた場合に、都の選管としてはその内容をチエツクする義務があるかどうかという点なんです。受付けてから相当の期限がたつて選管の方でも社会通念的に考えて何らそういう疑問を持たない場合には、それで一応セットされたというふうに思われないかという点なんです。これは今のこの問題を離れた一般論でございますが、要するに違法である内容を持つたものの届出を選管が受理したときに、選管としてはこの内容をチェックする責任があるかどうか。また、あるなしにかかわらず、相当の月日がたつた場合には、それは一種の時効的なものでございますか。そういうものでこれが問題の外に置かるべきものであるかどうかという点であります。
  25. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまの公職選挙法あるいは政治資金規正法関係では、選挙管理委員会がそれを受理した場合、その是非善悪を判断して、受付けるものは受付け、拒否するものは拒否しろというような義務は負わせてございません。ただ、政治資金規正法では、調査内容について立ち入つて調べることがあれば、それをさらに調査し得る権限は与えてございます。
  26. 並木芳雄

    並木委員 もう一つ。もし社会党左派で言う告発というものがなされ、これが受理されて裁判になつた場合、結局最後に判定を下す者は、これは私ども裁判官であると思つております。たとえば今問題になつている、契約当事者ではなくても特別の利益を受ける者であるかどうかといつた点についての最後の判断は結局裁判所にある、こういうふうに思つておりますが、その点間違いないでしようか。念のためお尋ねいたします。
  27. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点はお説の通りだと思います。
  28. 島上善五郎

    島上委員 第百九十九条の二項についてその解釈を質問します。「衆議院議員及び参議院議員選挙に関しては国と、地方公共団体の議会の議員及び長並びにその教育委員会委員選挙に関しては当該地方公共団体」、この「選挙に関しては」ということに対してまず質問しますが、自由党改進党の諸君は、あの寄附は第一選挙に関してではない、こういうように解釈しておるようであります。私はここに新聞を持つておりませんか たしかちようど選挙のまん中に、四月選挙の際には四月の十一日だつたと記憶しておる。それから十月選挙の際には十月十六日だつたと記憶しておる。その日に多少の誤りがあるかどうか知りませんが、とにかく選挙が告示になつて以後投票するまでの間、ちようど選挙運動期間中に、それぞれ一千百万円ないし三百万円というような多額な寄附がなされておる。私はこれは選挙に関しての寄附であると思う。当然このように解釈すべきものだと考えておりまするが、その点の解釈をまず伺いたい。
  29. 三浦義男

    三浦法制局参事 選挙に関してと申しますのは、選挙運動期間中はもちろんのこと、あるいは選挙の前後においてなされる場合の寄附等選挙に関する寄附、もちろんこういうことになるだろうと思います。しかしながら、選挙に関するという意味は、ただその期間だけで選挙に関することになるという意味ではないのでありまして、そういう間になされる寄附選挙に関連してなされるという意思がそこに内在していなければ結局犯意が構成されませんので、たまたま選挙運動期間中なり何なりにやられた場合には、他から推定した場合にはそういうような気配がするということは言い得るかとも思いますけれども、その意思がない場合において、意思と関連して考えないと、選挙に関する寄附であるかどうかということは断定できないのではないか、かように考えております。
  30. 島上善五郎

    島上委員 とにかく選挙に関しての寄附であることは、いろんな客観的な事実から判断してこれは明白ですから……。  それから、今の並木君の質問した点は見解の相違が大分ありますし、実体を御存じにならない三浦法制部長に質問するということ自体が無理だと私は思うのです。それに対して私どもは別個の見解を持つておりますが、特に質問いたしません。  そこで、二百一条について、質問しますが、「何人も、選挙に関し、本人名義以外の名義を用いた寄附及び匿名寄附をしてはならない。」それから二項に「何人も、前項の寄附を受けてはならない。」こういうふうになつております。私が先ほど申し上げました四月選挙、十月選挙のさ中になされた寄附の中で、銀行団有志という名によつて寄附をされておりますし、あるいは造船工業会という名によつて寄附をなされておりまするが、私ども解釈によりますれば、その造船工業会の中でも、たとえば播磨造船が幾ら出したとか、名村造船が幾ら出したとかいうように、造船会社によつて金額がそれぞれ違つておるはずです。特に聞き及んでおるところによりますれば、政府から融資を受けたその融資の額に比例して寄附の額も違つておるということでありますが、当然、そういう場合には、それぞれ寄附した会社なり本人名義でもつて寄附をすべきものであつて有志とか法人でない団体名前を用いるということはこの条項に抵触するように思われますが、その点どのように解釈されますか。
  31. 三浦義男

    三浦法制局参事 この二百一条の「本人名義以外の名義を用いた寄附及び匿名寄附」という場合の「本人名義以外の名義を用いた寄附」という意味は、積極的に他人名義を用いてした寄附の場合がこれに入るだろうと思います。それから、匿名寄附と申します場合は、積極的に他人名義を用いませんでも、自分名前を隠してする場合の寄附匿名寄附ということになるだろうと思つております。ただいまの具体的の問題につきましては、私も実体をよく存じませんから、どういうことになつて寄附がなされ、献金がなされたか存じませんが、たとえば船会社なり何なりが自分でやるのを、わざわざ自分名前を秘めて、そして他人名前あるいは造船協会か何かの名前で出そうという意思があつた場合においてはこれに該当するかもしれませんが、そうでなくして、そういうものが協会なり何なりの会員であつて、そういうあれで話合いをして、また協会が独自の見地で出すというような場合であれば、ここにいう「本人名義以外の名義を用いた寄附」ということには該当しないと思います。従いまして、実際にどういうような意味でその寄附がなされ、どういう動機でそれがなされたかというそこが実体問題としてはつきりいたしませんと、その問題の、いわゆる具体的にそれがどうだという結論ちよつと申し上げかねるわけでございます。
  32. 島上善五郎

    島上委員 たとえば造船工業会といつて寄附する場合には、造船工業会会員として月々きまつている会費一万円なら一万円、その月々きまつている会費で、造船工業会がその会費の中から寄附したという場合と、今私が言つたように、政府から融資を受けた割合によつて寄附の額が違つているというようなことになりますと、これは当然経営会費あるいは経営の会計の中からした寄附とは思われない。実体は各会社が個々にした寄附である。そういうものに造船工業会名前を使うということ、その点もう一ぺんはつきりしてもらいたい。  それからもう一つは、有志地方銀行団あるいは信託銀行団有志というような有志名前を使つている場合は、一体この「匿名」ということにならぬかどうか、このいずれに該当するかをはつきりしてもらいたい。
  33. 三浦義男

    三浦法制局参事 寄附をいたしまする場合に、造船協会なりがそれぞれ寄附割当をして、そうしてそれを集めて出したというような場合におきまして、その内部の割当がどうであろうとも、要するにそこに出された場合の寄附自体の性質が、船主が出す寄附をその名をわざと隠して造船協会名前で出したかどうかというようなその実体によつて、それが本人名義以外の名義を用いた寄附になるかどうかをきめるよりしかたがないと考えるわけでございまして、その実体が私にはよくわかりませんので、先ほど申し上げましたように、その問題についてはどうであつたという結論を明確にはここで打出せない、こういうわけでございます。  それから、有志の場合におきましては、これは全体の寄附をいたします人たち寄り集まつて出したわけでありましようし、その寄り集まつた構成しておる有志メンバーがどういうものであるかということが実質的にわかつておれば、特に本人名義以外の名義を用いた寄附とか、あるいは匿名の寄付ということにはならないのじやないかと思います。
  34. 島上善五郎

    島上委員 しかし、地方銀行団あるい信託銀行団というものはそれぞれ固有の銀行名前があるはずですから、その銀行団でつくつておる団体が全体として出したのではなくて、その団体のうちのどこの銀行、どこの銀行というふうに、これまた造船融資関係がある銀行が出しておるそうですが、そういう場合に、有志ということは私は匿名ということに当然なるように考えますが、もう一ぺんその点をはつきりしてもらいたいと思います。
  35. 三浦義男

    三浦法制局参事 その有志の場合におきまして、有志の構成されておるメンバーというものが実質的にわかり得るものであれば匿名にはならないと思いますが、全然そういう名前が実質的にもわかり得ないものである場合におきましては、匿名寄附になるか、ならぬかという問題につきましては、さらにそのときの——有志という名前で出したときの意思がどうであつたかということを、そのときの事情によつて判断してきめるよりしかたがないだろう、こういうわけでございます。
  36. 森三樹二

    森委員長 御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。    午後零時十六分散会