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1954-04-22 第19回国会 衆議院 建設委員会農林委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十二日(木曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員   建設委員会    委員長 久野 忠治君    理事 瀬戸山三男君 理事 田中 角榮君    理事 中島 茂喜君 理事 細野三千雄君       逢澤  寛君   岡村利右衛門君       高田 弥市君    仲川房次郎君       五十嵐吉藏君    村瀬 宣親君       三鍋 義三君    菊川 忠雄君       只野直三郎君   農林委員会    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 金子與重郎君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤喜一郎君    寺島隆太郎君       松岡 俊三君    神戸  眞君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         建設政務次官  南  好雄君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君  委員外出席者         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    鶴海良一郎君         建設事務官         (河川局次長) 植田 俊雄君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君         建設委員会専門         員       田中 義一君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       岩隈  博君         農林委員会専門         員       藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  土地区画整理法業内閣提出第一二八号)  土地区画整理法施行法案内閣提出第一二九  号)     —————————————   〔久野建設委員長委員長席に着く〕
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより建設委員会農林委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けました建設委員会委員長でありますので、前例によりまして委員長の職務を行いますから、御了承願います。  土地区画整理法案及び土地区画整理法施行法案の両案を一括して議題といたします。まず提案理由説明を聴取いたします。渋江計画局長。     —————————————
  3. 渋江操一

    渋江政府委員 御審査をいただくにあたりまして、両法案提案理由とその概要を申し述べたいと存じます。  まず第一に土地区画整理法案提案理由を御説明申し上げます。  御承知通り現在土地区画整理事業は、都市計画法及び特別都市計画法に基いて運営されているのでありますが、その施行方法に関する主要事項は、これらの法律において準用する旧耕地整理法規定によつているのでございます。この旧耕地整理法は、明治四十二年に制定され、昭和二十四年に廃止されたものでありまして、その規定は、その後における社会事情変遷に即応しない部分も相当ございますし、また元来農地に対して適用するために制定されたものでありますので、市街地施行される土地区画整理事業については、適合しない部分も少くないのであります。また都市計画法及び特別都市計画法土地区画整理に関する規定には、各種施行者の行う事業の間に関係権利者取扱い等について不均衡がありますので、その調整をはかることが必要とされていたのでございます。  ここにおきまして、これらの法律土地区画整理に関する規定を統合整備いたしまして、単独法を制定し、運用の統一を期するとともに、市街地における土地区画整理事業の円滑な施行を促進して、公共施設整備改善及び宅地利用の増進をはかり、もつて健全な市街地の造成に寄与するため、本法案提案した次第でございます。  以下本法案の従来の土地区画整理と異なる主要な点について御説明申し上げます。  第一に、土地区画整理組合は、従来は土地所有者によつて組織されることを原則としておりましたが、近時における借地権の地位の重要性にかんがみ、事業を円滑に施行するため、借地権者もその組合組合員としたのであります。  第二に、地方公共団体は、従来は建設大臣施行命令によつて土地区画整理事業施行することとされていたのでございますが、地方の実情に応じまして自発的に事業施行することができることとしたのであります。  第三に、国の利害に重大な関係がある土地区画整理事業につきましては、現在も戦災都市の復興のための土地区画整理について行政庁施行に当つておりますが、今後におきましても建設大臣が必要と認める場合には、土地区画整理事業行政庁施行させることができるものとし、なお特に必要がある場合には、建設大臣が自ら施行する  ことができることとしたのであります。  第四に、土地区画整理事業の円滑な運営をはかるために、土地所有者及び借地権者のみならず、その他の関係権利者についても、その意見が反映し得るように必要な措置を講ずることとしたのであります。すなわち事業計画及び換地計画を定める場合におきましては、あらかじめこれらを公衆の縦覧に供し、利害関係者はこれらに関し意見書を提出できるものとしまして、その意見書の処理について必要な規定を設けたのであります。また地方公共団体及び行政庁施行する土地区画整理事業について置かれる土地区画整理審議会委員並びに土地区画整理組合の役員及び総代について任期を定め、改選請求または解任請求制度を設ける等の措置を講じたのであります。  第五に、一定規模以下の過小宅地及び過小借地または関係権利者の同意があつた宅地につきましては、換地にかえて建築物の一部を与え得ることとし、密集市街地等における土地高度利用をはかることとしたのであります。  以上が土地区画整理法案提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に土地区画整理法施行法案につきまして、提案理由とその概要とを御説明申し上げます。  土地区画整理法施行伴つて現行法による土地区画整理について必要な経過規定を設ける必要があり、あわせて関係法令の改廃を行う必要がありますので、本法案提案した次第であります。すなわち土地区画整理法施行に伴い、現行法により土地区画整理組合及び地方公共団体施行する土地区画整理については、土地区画整理法施行の日から五年以内に同法の規定による土地区画整理事業に切りかえることができるものとし、その他の土地区画整理については、土地区画整理法施行の日に新法の規定による土地区画整理事業に切りかえるものとして、必要な経過規定を設けるとともに、これによりまして特別部市計画法を廃止し、登録税法その他の関係法令に所要の改正を加えたのであります。  以上が土地区画整理法施行法案提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 久野忠治

    久野委員長 これより両案につきまして質疑に入ります。  なお建設省よりは南政務次官渋江計画局長鶴海都市計画課長農林省よりは平川農地局長が出席いたしております。  質疑の通告があります。よつて順次これを許します。川俣君。
  5. 川俣清音

    川俣委員 私は時間の都合上、数点にわたつて概略的にお尋ねをいたしたいと存じます。  ただいまの提案理由によりますと、在来ありました土地区画整理に関しまして、幾多の変遷を見ておりますために、これを改正しようといたしておるようであります。そこで問題となります点は、御承知のように、日本の地勢と文化の発展と経済歴史の示すところによりますと、だんだん熟田熟畑宅地に地目変換せられますことは否定できないと思うのであります。従いまして、農地はだんだんと奥地の方へ延びて行かなければならない。奥地を侵して参りますと、山が荒れて参ります。山が荒れた結果、結局災害市街地に及ぼしまして、せつかく計画された市街地が破壊せられるような結果になつて来ると思うのであります。そういう観点から見まして、この本法必要性を強く要望せられておりますのは、いわゆる密集市街地と申しますか、大密集地帯でありまする住宅地帯というもりから出発しておられるのではないかと思うのです。もちろん今日、日本のような多くの人口を狭隘な土地に持つておるところにおきましては、旧来の農地区画整理法だけでは十分でないということは、これは認めざるを得ないと思うのでありますが、その便宜をはかるために、地方農地に及ぼす影響の甚大である点を欠如いたしておるのではないか。これは日本食糧政策上、重要な問題であると思うのです。一方市街地が形成されて行く結果、だんだんと農地減つて参つて、その農地の開拓を山間に求めて行く。その山間に求めた結果、森林が荒されて、先ほど申し上げたような荒廃を来して、結局は市街地がその災害をこうむるという結果になつて参る。現状の、市街地だけを考え農地考えないという行き方をいたしますならば、結局日本国土全体の上から、必ずしも好ましい結果にならないのではないかという危惧を抱くのであります。しかも、本法説明によりますと、第三に「国の利害に重大なる関係がある土地区画整理事業等につきましては」と、こう説明せられております。戦後、今までいろいろな法案提案されましたが、国の利害に重大な関係があるというような押しつけがましい提案理由は、かつてなかつたと私は思う。むしろ公共利害のためとかいう表現になつておるのでありますが、国の利害に重大な関係があるというような押出しでこの法案ができたといたしまするならば、これは重大な関心を持たざるを得ないと思いますので、この点に関しての御答弁を願いたいと思います。
  6. 渋江操一

    渋江政府委員 まず土地区画整理法一つ問題点として、ただいま御指摘になりました市街地との関係、また市街化することによる農地地域に対する影響、この点につきまして、農地保全立場から御意見がございました。この点は、実は土地区画整理法そのもののねらつておりまするところが、お話のように都心地土地高度利用ということが、かなり大きな問題になつておるわけであります。これは、この法案を通じてごらんいただきますと、十分御理解願えると思うわけでありますが、いずれにいたしましても現在の人口趨勢、ことに都市人口趨勢等からいたしまして、市街地現状のまま放置しておくということは、土地人口とか、市街地域人口との関係を結び合せて参りますと、どうしてもこれは市街地の与えられた地域高度利用ということに主眼を置いて参らなければなりません。そういう観点からいたしまして、都市計画計画も立てなければならない、その方法としての土地区画整理という事業も行わなければならない、これが合理的な形で行われなければならない、こういうような考え方に立つて立案をいたしておるつもりでございますので、御了承いただきたい、かように存じております。  それから、もう一点御指摘がございました国の利害関係ある事業を国が施行するという規定についての御質問でございます。この点は、土地区画整理事業全体が、公共利益関係あることによつて初めて公共性を持たせ、事業をやるという建前にし、従つてその施行者に対して法律上の権限も与えられる、かような関係になつておるわけでありますが、この公共利害関係のあるうちの、特に国の利害に重大な関係のある事業については、事業施行主体に特別の条件を置いておるわけであります。逆に申しますと、国みずからが、あるいは国の命令によつて行政機関事業主体になつてやり得る土地区画整理事業というものは、公共利害関係があるということだけでは十分でない、そこに国の利害に重大な関係があるという一つ条件並びにその災害の発生その他特別の事情によつて急施を要するというものに限定されなければならないということを、この第三条に規定いたしておるわけであります。さような意味におきまして、この国の利害に重大な関係があるという表現を使つておるようなわけであります。しかしながら、これに関係のない公共的な利害関係のある事業については、これは公共団体施行主体になる場合もあります。それから土地区画整理組合という組合施行主体になる場合もある、かようなことを規定いたしておるわけであります。その点の国の利害に重大な関係のあるという意味は、この法案としては、かような意味で用いておるという点を御了承願いたい、かように存ずるわけであります。
  7. 川俣清音

    川俣委員 第一点で、もう一つお尋ねしたいのですが、国の利害に重大な関係といのは、どういうことを意味しておられるのですか。すなわち法律の中には、国の利害に重大な関係とい表現で出て来る部分がほとんどないと思うのですが、国の利害に重大な関係と言われる意味は、どういう意味ですか。続いて国の重大なる利害という観点から見まして、一体現在のような市街地が自然発生的に伸びて行くというようなことを、歴史的に認めて行かざるを得ないという立場をとつておられるのか、または日本全体の産業構造の上から、市街地あり方を将来規整して行こうという考え方があるのかどうか、こういう点については、何ら触れておらないのです。市街地というものは自然に厖大になつて行くものだ、町村合併が行われて、市街地がだんだんふえて行くものだという観念だけに立つて国の利害考えて行けるのかどうか。国の利害に重大な関係というようなことになりますと、これは産業構造の上に思いをいたしての上でなければならないはずだと思うのです。単に建設省だけの狭隘な考え方だけで、国の利害に重大なという観念をもつて行政をすべきではないと思いますので、この点についての御見解を承りたい。
  8. 渋江操一

    渋江政府委員 国の利害に重大な関係があるという条件を明示いたしております意味は、ただいま御説明申し上げた通りでございます。今の都市地域伸び方に対する規整方法等に触れて御質問がございましたが、これはひつきようするに、広い視野において問題が取上げられなければならないということは、お話通りであろうと思います。すなわち、これは国土計画あるいは地方計画という問題に、この都市地域それから農村の地域あり方というもののバランスをとつて行くという考え方、これはひつきよう私は都市問題、農村問題という観点からもう一つ飛躍した一つ国土計画という立場で処理せられなければならないことであろうと考えられるわけでございますが、しからば都市地域をある程度規整して行くという立場に立つて、いかなることが考えられるかということになりますが、これは現在の制度のもとでは、ひつきよう都市計画の問題に相なると考えます。さような意味で、ただいま申し上げました国土計画の上からもある程度の規整を必要とし、都市計画の上からも、市街地地域の取方についてはある程度の規整をやはり必要とするのではないか、かように考えておるわけでございます。
  9. 川俣清音

    川俣委員 私のお尋ねしておる点の主要な点について、誤解があるようであります。国の利害というのは、国の利益及び害だと思いますが、どういうことを国の利益とし、どういうことを国の害だとしておられるのか、その点をお尋ねしたいのです。私は国の利益及び害というものは、こういう市街地からのみ考えて国の利害を判断すべきではなくして、やはり国の国土総合計画という上から判断して参らなければならないのではないか。それが国の利害ということになるのではないか。あなた方の観念は、市街地をどうして形式して行くかという上から国の利害考えておりますけれども、それは国の利害というようなものではない、むしろ国総合計画から見ての利害という観点に立たなければならぬのではないか、こういう意味お尋ねしておるのです。  それから、この法案を見ますと——私は十分見ておりませんけれども、今局長説明されたような総合計画が立つて、その立てられた総合計画の一部でありますところの市街地計画というものによつてでき上つたのではなくして、むしろ総合計画というものは全然なしに、市街地計画を先に打立てられた形の法案であるように見受けるのであります。一体政府として、国土総合計画というものは立てておられるのですか。ないでしよう、まだでき上つていませんよ。一体町村合併でも、あるいは農地に対する政策でも、おのおの局なりその担当の面からのみいろいろ強調せられておりますけれども、国の総合計画は立つておりませんよ。あなたは立つておるというようなお話でありますが、立つておるならば、国の総合計画の一環として市街地計画が立てられるというのならば、私はまだ了承します。総合計画が立つていないじやないですか。こういうばらばらな計画総合計画になるという考え方ならば、これは別です。一体現在の状態のように、市街地がいたずらに密集地帯として計画されていいかどうか。将来のいろいろな国防のことを度外視いたしましても、日本産業構造機構の上から、こういうあり方がいいか悪いかという判断が、一度でもなされたかどうか。この法案を通覧いたしますと、そういうことが一度も検討された上の法案であるとは見受けられないのです。そういう検討がされたならば、されたような御説明を願いたい。
  10. 渋江操一

    渋江政府委員 この土地区画整理事業の前提になりますものは、都市計画法でございます。都市計画法のさらに上位計画になるものが、先ほど申し上げました国の総合開発計画なり地方計画であろうということを申し上げたわけであります。現在、国全体を通ずる国土計画が十分確立されていないということは、私どももさように存じますが、しかしこれは、筋道としてはそういう国土計画があつて、それに基いて地方計画が立てられ、そのもとにおける事業施行方法としてこの土地区画整理事業が成り立つて行くという考え方を申し上げたつもりでございます。従いまして、この土地区画整理事業が、さしあたつての問題といたしましても、都市計画を離れてこの土地区画整理がひとり歩きをして仕事をやるという建前にはなつておらないのであります。これはこの法案の中に、事業施行いたします地域をとるにいたしましても、公共団体等がいたす場合におきましては、やはり都市計画の立てられておる区域内に限るということを一つ条件にいたしております。さような関係から御理解願えますように、結局都市計画法があつて初めてこの土地区画整理事業が行われる、その手続法規をこれは規定したという建前にいたしておるわけであります。それで、国の利害に重要な関係があるという表現を用いておりますが、それではこの中で取上げます事業はどういう事業かということを申し上げますと、たとえて申しますれば、国が直轄施行いたします河川改修工事があつた場合に、これとの関連において現在の市街地の中で河川改修事業をやる必要な土地を取得することがなかなか困難である。土地区画整理事業は、一種の市街地区画形質を変更して仕事をやろうということでありますから、さような公共用地を生み出すための一つ方法として、区画整理事業を国の直轄事業を行うと同時にあわせてやるということは、これは国の利害にも関係があり、しかも事業そのものの円滑な施行の上にも、国みずからやる方が適当ではないかという関係からいたしまして、かようなことを国の利害に直接の関係があるという表現をいたしておるわけであります。その他国鉄の重要な駅前広場整備をはかりますとか、国の官衙の密集いたしております地区の土地区画整理をいたしますとか、さような関係において、いずれも国の利害に重大な関係があるという表現をうたつて、いわば条件しぼつて国がやり得る場合を規定いたしておるわけでございます。
  11. 川俣清音

    川俣委員 同じことを繰返してもむだだと思いますが、今の当局説明によりますと、国の利害というのは、本来の国の利害じやなくして、国が行う事業利害というふうに説明されておりますが、国の利害というような表現をするからには、総合国土開発あるいは国の総合土地利用効用、こういう意味からでなければ、国の利害という表現が適当ではないのではないか、こういう意味お尋ねいたしたのであります。  そこであらためてお尋ねをいたしますが、農林省農地局は、この土地区画整理事業法と本来の農地局考えておりまする農地の活用との間において、摩擦や衝突が起きるというふうにお考えにならないかどうか。農地局考えております農地の拡大とその強化並びに農地高度利用という面からいたしまして、この法律が妨げになるというふうにお考えにならないかどうか、この点を、御説明できるならば御説明願いたい。
  12. 平川守

    平川政府委員 もとよりこういう法律によつて一定地域一定の制限を受けることになりますので、その手続過程におきまして、農地を保護することについて十分な注意がないと、その心配があると思います。そういう意味におきまして、農林省としても、本法案につきましては、建設当局ともいろいろ打合せをいたしまして、その地域の編入その他の過程におきまして、農業委員会意見を聞き、あるいは農林大臣に相談するというようないろろな御注文を申しまして、農地が不当に壊廃されることのないようにといういろいろな点につきまして、いろいろ要求をいれていただいておるようなわけであります。
  13. 川俣清音

    川俣委員 いろいろの要求がいれられておるということでありますが、一体農地局長は、どこを考えておられますか。熟田熟畑がだんだん押されて行つて農地効用の上から行きましても、だんだん農作物をつくる土地効用度の低い山間部に開拓して行かなければならぬような状態です。日本文化史から見まして、市街地が形成される付近が、最も長い期間を要して熟田になり熟畑なつたところです。それを捨てて、だんだん山奥に入つて行かなければならないことになると、農作物の生産は下つて行かなければならぬ。これも経済上やむを得ないということも言えるでしようが、むしろ問題はそこにある。一体農地としておく方が経済価値があるか、住宅敷地として土地を活用して行つた方がよいかという経済価値からいうと、農地住宅敷地にかえて行く方が経済上利潤が多い。この多いままに放任しておいてよろしいかどうかという問題について、農地局は無関心ではおれないはずだと思います。一体、今日のような市街地の形成が、はたして日本産業構造の上から適当かどうかというようなことについて、検討せられた上のものであるかどうか、そんなことは検討しなかつたのではないですか、農地局長どうですか。
  14. 平川守

    平川政府委員 市街地あり方等につきましては、私も専門でありませんので、その方面の見地から議論を立てることは困難であります。これは主として建設省の御意見従つておるわけでありますが、御意見通り農地が比較的安易に壊廃されるという傾向があることは、非常に心配をいたしておるところであります。これに対しましては、別途の方法をもつて農地法建前におきましても許可制度をしきまして、かなりこれについては厳重な手続により、一つ一つ査定をいたしましてやむを得ざるものと認めるものについて許可をするという方法をとつておりますが、なおそれだけでは不十分であると思つております。これに対しましては、何らかさらに一歩進んだ対策をもつて、いま少し広い高い見地から、できる限り各種産業その他のための用地につきましても、極力農地を避けて、その他の土地利用によつてそれらの目的を達するような機構と申しますか制度と申しますか、そういうものを考案する必要があるということを痛感しておる次第であります。ただ一面、都市あるいはその他の産業上の利用ということもあるわけであります。これは結局両者の調整をはかつて行くよりいたし方がない。農地立場の方と、この都市その他の立場の方とがよく相談をいたしまして、一方的に計画が進められることのないようにいたしたいというので、この法律案においても、そういう意味において、できるだけいろいろな関係者の協議するような制度を、この中に盛り込んで参りたいという意味のことを申し上げておるのであります。
  15. 川俣清音

    川俣委員 どうも農林省の研究も足りないのじやないかと私は思つております。一体日本市街地は、日本の天然資源を活用して国民の福祉の上に寄与するということよりも、お互いに食い合うという形のでき方が、日本市街地の形成なんですよ。できるとすれば、工場などはできないで、お互いに日常生活を便利にするというだけの小さな店ができて来て、それが市街地になつて行くというようなことであります。または俸給生活者のおる市街地を建てるようなこと、積極的に国の、あるいは国民全体の将来の発展を考えるということよりも、お互いが食い合うような市街地ができることが少くとも今のでき方なんです。しかも町村合併ができまして、はなはだしいのになりますと、一郡を一市にする、あるいは九割も農地であるようなところに、ごく一部に市街地があるということから町村合併行つて市にするというような、にわかな市がずいぶんできておるではありませんか。私は現在まで、大都会地であるとか密集市街地について、これらの法律の必要なことの理由も了解できないわけじやない。しかしながら、今町村合併が非常に弊害を伴つて行われておるときにこういう法律ができますと、さらにそれを裏づけてやりまして、むしろ不健全な市街地ができるおそれがあるのではないか。市街地自体としても不健全であると同時に、一方、日本のこの矮小な国土一体どうして活用して行くかという面について、地方市街地のごとき、単に店だけ並んで、一階建ての家がたくさんできて、ただ土地だけが住宅地という意味において利用されて来るというようなことでいいのかどうか、こういう点からも検討されて行かなければならなくなつたのではないか。一方、御承知のように、だんだん山が荒れて来るというので、保安林の必要が出て来た。市街地から里に行き、里から山に行つて、だんだん山の上まで荒して行つたから、今度は山の上から整理して行かなければならない状態になつて来た。こうしたことに一貫性を欠いているのではないか。こういうことについての検討なしに、一体何を目標にして農地局計画を立てておられるか。そういう計画とこういう都市計画との間の調整をはかることが、今最も必要な時期になつて来ておる。ただ法律の末端だけについて、意見を十分いれられたからというのは、それは農地局長意見はいれられたかもしれないが、農村の意見はちつとも入つていませんよ。あなたは、そうお思いにならないかどうか、伺いたいと思います。
  16. 平川守

    平川政府委員 私どもも、常識的に、都市建設のあり方について、ただいまの御説のような考え方をもつて都市の建設ということが必要であろうと思います。従いまして、建設当局に対しましては、でき得る限り土地を有効に使うような形においての計画を要望いたしておるわけであります。しかし、これは建設省の方が専門的に研究しておられることでありますから、われわれといたしましてはそういう希望をもつて建設省の方が研究されて、その最小限度の要求としてこれだけの人口に対してこれだけの土地がいる、こういう場合におきましては、これはやむを得ず農地の方においてある程度の譲歩をせざるを得ない。しかしながら、われわれの立場から申しますれば、農地というものを極力壊廃することなしに、都市の方の計画なりその他の計画を進めてもらわなければならぬ。一方、農業上に特に必要な土地農地等について、これらのものの希望なり意見なりがいれられずに、一方的に壊廃されるということは困るわけでありますから、そこをチエツクする意味におきまして、各種の協議とか意見を聞くとかいうような条項を入れまして、農民の希望あるいは農業関係の方の立場の希望がいれられるように、この法制に対してもいろいろ御修正を願つたということでありまして、われわれとしても、もとより研究は、十分とは申し上げませんが、しかし、そういう考え方で御相談を申し上げておるということを、御了承願いたいと思います。
  17. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけお尋ねいたします。第二条の六項「この法律において「宅地」とは、公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。」というのですが、普通の観念で言いますと、土地台帳法から見ますと、宅地というのは、宅地という地目に登録してあるのが宅地となるのであつて畑地、原野も同じなわけです。ここの宅地意味は、一体この法独特の宅地なのか、登記上の宅地という意味なのか、そういう点についてはあいまいであります。そこで、そういう疑問が起つて来るのでありますが、この宅地規定には、農地がふくまれているのかいないのか。なお同七項において、借地権とは、借地法にいう借地権であると規定されております。従つて本法には、農地法に基く借地権は含まれていないものと思うのでありますが、その理由一体どこに置いておりますか、この二点を農林省建設省の両方にお尋ねしたい。
  18. 渋江操一

    渋江政府委員 まず第一に、宅地意味でございますが、ここにいつております宅地意味は、土地台帳法にいう地目の上の宅地という意味ではございませんで、この土地台帳法にいう地目の名称いかんにかかわらず「公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地」というふうに定義いたしておりまして、すなわち公共用地でありまして、しかも国、公共団体が持つておる国有地、公有地以外の私有地、これを宅地というふうに定義づけておるわけであります。この関係は、現在の都市計画法の上におきましても、同様な定義をいたしておるわけでございまして、それをそのまま引継ぎましてここに規定をいたしたような次第でございます。  それから第二点のお尋ねでございます借地権意味でございますが、これはここに規定いたしてございますように、借地法にいう借地権というふうに定義をいたしております。借地法に基く借地権の範囲というのは、土地の賃貸借契約によつて生じております借地権を全部含んでおりませんで、御承知のように建物の所有を目的とする借地権、これを借地法にいう借地権というふうに定義をいたしております。このような関係におきまして、一般にいわれる借地権の範囲よりやや狭い、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  19. 川俣清音

    川俣委員 農林省の御答弁がないので、御答弁いただきたいのですが、特別都市計画法によると「政令により公共の用に供するものと定める土地以外の土地をいう。」こういうことで、あらゆる土地宅地という表現ができるというのが新法の考え方のようです。現在の特別都市計画法では、おそらく都市計画地域内の土地であることでありましようが、「この法律において」という表現で、都市計画法宅地とは違つておる広汎な意味を持つのじやないか。そうすると、今までの普通国民生活の観念でいう宅地とは、非常に隔たつたものであつて、あらゆる土地宅地である、国の土地または公共団体の所有する土地以外の民有地は、全部宅地になるという考え方ができるのじやないか、そういう解釈のおそれがあるのじやないかと思いますが、この点に関する建設省並びに農林省の御見解を承りたい。
  20. 渋江操一

    渋江政府委員 特別都市計画法の第二条の宅地と、ここにいつておる宅地とは、ひつきよう対象は同じことであります。一方は特別都市計画法の中に借地の定義をいたし、それからこれを廃止いたしまして、その規定土地区画整理法の中に持つて来た、こういうことでございます。もちろんこの土地区画整理事業施行される地域が、その前に条件となつて現われるわけでありまして、この法律の中をごらん願いますれば、おわかり願えますように、土地区画整理事業を行い得る地域は、地元の所有権者等が自己の土地区画整理事業を行うという、自分の権利を自分で処分するという考え方は別にいたしまして、それ以外の第三者、すなわち国なり、公共団体なり行政機関が区画整理事業を行うという場合におきましては、都市計画法の適用されておる、都市計画法の行われておる区域内に限るというふうにしぼつてございますので、今お話のように、あらゆる民有地をこの法律宅地の対象として取扱つておるのではないかということとは違いまして、やはり従来の特別都市計画法宅地の対象であるものをそのまま受継いでおるというふうに規定いたしておるわけであります。
  21. 平川守

    平川政府委員 宅地の定義につきましては、今建設省から御説明がありました通りであります。借地権の方に、農地法に基く賃借権者が入つておりません。これにつきましては、いろいろ問題があろうかと思うのでありますが、一応この「借地権を有する者」というものが、土地区画整理事業主体になるような意味においての所有権者と同じような扱いを受けておりますので、農地法にいう賃借権者を除かれておるのであります。ただ、これらの農地法における小作権者等の権利が保護されるということについては、十分考慮の必要があるのではないかと考えまして、これについては農業委員会その他の意見を徴しまして、それらの意見がいれられるように法制の考え方がなつておるわけであります。
  22. 川俣清音

    川俣委員 どうも始まりが定時を遅れまして、私他の委員会へ出なければならぬ約束がありますので、これで私の質問は打切るわけにはいきませんけれども、他の機会にお譲りを願うことにいたしまして、私の今日の質問は終つておきたいと思うのです。しかし、これは委員長においても御了承願いたいのは、定時に政府委員がおいでにならなかつたという責任があるわけです。この責任を、私はあえて追究するわけじやありませんが、時間が空費せられましたために保留せざるを得ない点を御了解願つて、他の機会に質問いたすようにおとりはからい願いたいと思います。
  23. 中村時雄

    ○中村(時)委員 関連して。今の農地局長建設省の方の答弁をお聞きしておつて、第二条の六項並びに七項の点ですが、宅地規定において、そういうふうな関係を持つていらつしやるとするならば、これに関連いたしまして、第九条の第三号に「市街地とするのに適当でない地域施行地区に編入されていること。」このようになつておるわけでありまして、この場合の「適当でない」という問題と、その宅地外の、たとえば農地なら農地、そういうものとの関連は、この「適当でない」という中に農地というものが含まれるかどうか。その点が一点と、現在施行されているところの都市計画法あるいはまた市町村合併伴つてこういう都市計画ができ上つて来ますと、その地域にある農地というものは地価が非常に高騰するわけです。その意味において、現在農地をどんどん手離しておる。それは実情は幾らでもあります。そのような状態に対して、食糧問題から来るこの重大な時期に、農林省としてはいかなる手を打とうとしていらつしやるか。あるいは、ただこういう都市計画法において放任をして行くか、そういう考え方に対して、一言お尋ねをいたします。これは関連質問ですから、簡単に質問しているわけですが、いずれ私の持時間が来ましたら、十分御検討願いたいと思います。
  24. 渋江操一

    渋江政府委員 まずこの法案関係のある「市街地とするのに適当でない地域」という意味を、私の方から御説明申し上げまして、それに関連します他の点につきましては、農林省から答弁を願いたいと存じます。  ここの宅地意味は、先ほど申し上げたような意味でございまして、地目のいかんにかかわらず、都市計画の適用されている地域内における、いわゆる公有地、国有地以外のものをさしておるということを御了解願いたいと存じますが、そこでその中に農地が対象となり得ることがございます。都市計画区域が、地目の上で宅地といわれておる地域だけに限定されているとは、必ずしも言い得ないというふうに私も存じます。そこで第九条に「市街地とするのに適当でない地域」——この「適当でない地域」という意味は、この土地区画整理事業を行うという、そもそもの土地区画整理事業の目的が、第一条に掲げてございますように、健全な市街地の造成をはかることにあるということにいたしておるわけであります。従つて、さような意味からいたしましても、土地区画整理事業の名にかりて、実体は市街地たるべき性格のものでないものを施行地域として選ぶ、これは土地区画整理事業を行うのに当然適当でないということが、目的からいたしましても考えられるわけでありまして、そういう意味で、第九条に、土地区画整理事業事業計画そのものを、それぞれ施行地がら出して参りますのを、知事が認定する建前になつておるのであります。そういう認定の上でこういうものは不認可の範囲に入るということを法律上明定いたしたわけであります。
  25. 平川守

    平川政府委員 この地域の中に農地が入つておるということは、当然考えられるわけでありますが、それを入れることが不適当であるかどうかということの判定の場合におきまして、たとえば百三十六条等にありますような農業委員会等の意見を聞く手続があるわけであります。そういう手続によりましても、農地の保護の立場からこれを編入することが不適当であるかどうかという意見がいれられることになつて参ります。そういうものを材料にして知事が判定をされることになろう、かように考えておるわけであります。
  26. 久野忠治

  27. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私のお願いいたしておりましたのは、土地区画整理法案に関連する問題でございますが、河川局の関係者どなたか、おいでになりますか。
  28. 久野忠治

    久野委員長 河川局次長が出席しておられます。
  29. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 第一に、河川局の方にお伺いいたしたいのでありますが、明治二十九年法律第七十一号、河川法上に規定いたしております既存の慣行水利権のお取扱いは、いかように相なつておるか、まず第一に聞きたい。
  30. 植田俊雄

    ○植田説明員 慣行水利権は、しばしば判決例等がございまして、権利として尊重されております。また現在におきましても、そういうふうな取扱いをいたしております。
  31. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 慣行水利権に対しましては、ただいまの御答弁をもうちよつと私の方から補足いたしますと、明治二十九年六月三日勅令第二三六号をもつて、これは大体現在あなた方がお与えになつておる水利権と御同様に扱われておるという法律上の建前は、これは私が説明するまでもない。さりながら、最近盛んに行われております電源開発あるいは工業用水等に対して、新しい水利権を付与するときには、既存の水利権——この場合には、慣行水利権と慣行水利権に付随するものとの線をどう引くかということは追つて質問しますが、そういうことを別としても、既存の水利権、なかんずく何十年、何百年前から存続いたしておる農業水利権に重大な影響を与えることが多いと思われるが、このような場合に既存の水利権、特にこの場合は、さつきお確かめいたした明治二十九年勅令第二三六号をもつて保障されておる慣行水利権の保護について、現下建設省はいかような措置をなしておるか。またこれが実際の問題においては、どういう取扱いをやられておるか。これは先に建設省から答弁を願いたい、次いで農林省から御答弁願いたい。
  32. 植田俊雄

    ○植田説明員 慣行水利権におきましても、また河川法に基きまして許可いたしました水利権につきましても、これと抵触するような別個の水利権を設定いたす場合におきましては、その水利権を尊重いたす建前からいたしまして、新たに水利権を設定いたします場合には、既存の水利権者の意見を聞くという建前になつております。これを通常地元諮問と称しておりますが、地元諮問をとりまして、それによりまして水利権を許可するかどうか判断をいたしまして知事がきめる、またその申請が建設省の方に出され、建設大臣に参ります場合には、建設大臣はそれを十分尊重する建前にいたしております。
  33. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 これに関連して農地局長にお伺いいたしますが、新しい水利権の付与が行われておる。現に電源開発であるとか、あなたの方のやつておられる農業水利であるとか、あるいは厚生省関係の水道関係、なかんずく、本法関係があるから聞きたいのですが、そういう場合に、府県の窓口と現実にあなたの方と、どういう御接触でどういう御連絡で——ただいま建設省のお答えでは、既存のものを保護するのだ、既存のものに既得権を与えて後にやつておるのだという答弁をいただいたのですが、これに対して農林省の現実の問題は、どうなつておるか伺いたい。
  34. 平川守

    平川政府委員 法制的には、新しい水利権を付与するということは、現行法におきましては、もつぱら河川の管理者あるいはこれに対して建設大臣が監督をしておられるということでありまして、既存の水利権の保護あるいは新たに起るべき他の水利権の保護というようなことは、もつぱら運用にまかされておるように思います。実際問題といたしまして、最近の電源開発等に関しましては、電源開発促進法による電源開発の審議会がございまして、その審議会においていろいろ関係者が意見を申すことができる機会が与えられております。その機会に既存の水利権の保護のための発言をわれわれもいたしております。しかし、これは電源開発促進法に基く関係でありまして、その他の関係につきましては、むしろ法制的でなしに、実際問題として大きな問題につきましては、地元がなかなかやかましいのであります。その地元の、ことに既存の水利権を持つております地元の農村等が、非常に神経質でございますので、従いまして、これに対して実際問題として、しばしばあるいは建設当局あるいは県の内部におきましての農地部と土木部とのいろいろな折衝があるわけでございます。しかし、これは実際問題でありまして、従つて法制的な制度となつておりませんので、抜かりがないということでないのであります。従いましてこれに対してわれわれといたしましては、関係法規を改正することについての提案もいろいろいたしておるような次第であります。
  35. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 農地局長の御答弁で大体尽されたのですが、実際は府県へ行くと、建設大臣がこれは認可するのだ、建設大臣が府県知事に委任しておるのだ、さらに実態を掘り下げて行くと、土木部長の裁量でやつておるのだ。しかしここで聞きたいのですが、おそらく河川局次長は、河川法が日の目を見たときには、あなたは生まれていない、卵にもなつていない。その当時は、内務省の土木局で、建設省というものはなかつたのであります。よつて、これは今のような民選の知事ではなくて、公選の知事であつた。山県有朋がつくつた地方制度に基く県知事が、すなわち内務省の土木部という部ですらつと指令したら、クレームも起りません。ところが現在の建設省を見ると、格別に県知事とは——自治庁を通しての何らかの関係はあつても、こんなものは実際問題としてはないのですよ。だから、土木部で土木部長が裁量して線を引けば、ちよろりと認可になるのだ、事後承諾である。農林省農地局長が今言つておられる通り、適当なる立法措置がなければ、弱き農民、弱き農業大衆、もしくは土地の生産性を向上するとか、ないしはこの区画整理法によつて適当なる市街地をつくつて、水道によつて公衆の利益をあげることはできない。今の建設省は昔の内務省と違う。第一、この法律ができたときは、あなたは生れていない、卵にもなつていない。まだこういう矛盾があるのです。そこで、そういう矛盾はあなたは認めますな。今の建設省と昔の内務省は性格が違うのだ。その違う上に立つて、さつきわが輩が指摘した明治二十九年六月三日の勅令二三六号以降今日までに及んでおる。実際上には、慣行水利権とまつたく同様と言つては、厳密な法律論的にはどうかと思うが、慣行水利権とほぼ同一に取扱つておられる事実上の河川引用の水利権というものがある。河川法には別に罰則があるけれども、水どろぼうとして訴えてない、時効を経過しておるのだ。こういうものは、一応現行の慣行水利権として認めるのかどうか、その辺のところをいま一ぺん伺いたい。
  36. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいまおつしやいました前段の、私が生れていない時期にできた河川法で、実情に沿わない点も多々あるかと思います。その点につきましては、私どもできるだけ早い機会に河川法の改正をいたしたいと考えまして、ただいま準備をいたしておる次第でございます。  次におつしやいました、その法律ができました時の内務省と現在の建設省とが性格が違う、これは私は一部はあり得ると思います。昔のように知事の更迭が容易にできた内務省と、公選知事の現在とにおいては、多少の差があることは考えます。しかし、公選知事であるから土木部長が専断でやつて、知事がそれには関与していないということについては、私はどうもそう思えないのです。昔から水利権の問題で、あるいは軽微な問題は土木部長にまかせたというようなことがあるかもしれませんが、重要な水利権の問題になりますと、一県の利害に関するところが大きいのでございますから、現在の知事でも、昔の知事と同様に水利権の問題には非常な関心を持つておられるものと思つております。その点におきましても、どうも認めるという寺島先生の御意見をそのまま承認したというわけには参りかねると思います。
  37. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私が聞いておるのは、そういう意味じやないのだ。昔の内務省は——内務省の土木局が、終戦後ぷうつと風船玉のようにふくらんで建設省という看板を掲げた。昔は内務省の一局で人事交渉が行われておつた。そういうものと、現在の建設省の委任事項を知事に与えたりとはいいながら、それとは意味が違うのだという法律上のけじめを言つたのだ。しかし、それは見解が違つてもよろしい。  次に聞くが、河川法において、水利権の許可をあなた方は与えておるが、この基準となるものは、何といつても渇水量が基準となるのだ。今立法の前提条件として、盛んに用意をしておると言つておるけれども、建設省一体渇水量をつかんでいるのかどうか。つかんでおるとすれば、どういうふうな調査をして、どういうふうなつかみ方をしておるか。
  38. 植田俊雄

    ○植田説明員 川の問題は、御承知のように二つございまして、洪水の防禦の問題と、それから利水の問題であります。利水の問題は、ものによりましていいろ段階がございますが、電力等でありますれば平水量が問題になるでございましようし、また農業用の灌漑用水でありますれば、平水量よりもむしろ灌漑時期におきます水、しかも灌漑時期が大体渇水時期に当りますから、渇水量が問題になることは当然でありまして、渇水時期における水の配分をめぐつて各種の問題がありますことも御承知通りでございます。建設省では、渇水量に対する把握が十分であるかどうかという問題でございますが、建設省の工事にいたしましても、渇水量の把握ということは、どうしても必要なわけでございます。申し上げるまでもないと存じますが、堤防、護岸の維持のためには、渇水時にどの程度の水が流れるかということを考えなければ、そういつた工作物の寿命を判定するわけには参りませんし、堤防を維持するという面から考えましても、渇水量の把握というものは必要なわけでございます。従いまして、渇水量というものは昔から絶えず研究しておつた問題でございます。それでは今どの川についてどの程度正確な渇水量の把握ができておるかということにつきましては、私ただいま資料も持ち合せておりませんが、渇水量の見当がつきませねば、水利権に対する許可ができないわけでございます。従いまして、ある具体的な河川について水利の配分が起る場合におきましては、私どもの方では、技術陣を総動員いたしまして渇水量の判定をいたし、またその渇水量が足りない場合においては、上流にどういうダムをつくつて渇水量を補給するかということを考え、それとにらみ合せつつ新たな水利権を許可することにいたしておるわけでございます。
  39. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 それは表向きの答弁として承りますよ。実際は、建設省河川局長様のおやりになつておられるやり方をよく検討してみるのだ。そうすると、大体土木部長が暗黙の認可を与えるのです。どうも土木部長が、知事を通して建設省河川局長室にやあやあとやつて来て、その間に第三者からクレームがつかない、もしくは抗議が来ないという場合には、工事の終るまぎわになつて水利権を許可する。現実上の問題としては、あなた方は責任回避を行つておるのだ。今の答弁によると、渇水量の正確なデータはないのだ。渇水量の正確なデータはないが、腰だめ的に、大体暗黙のうちに工事を認めさしておる。そしてその工事をやりつつ、工事ができ上つたころ、大体の場合は水利権の認可を与えておる。水利権の認可を待つて工事を始めたという例の方がむしろ少い。これはその関係者の農地局長もおるけれども、大体そうなのだ。さつき言つた、ぼくが聞きたいと思うのは、そういう無責任な責任回避が第一行政上行われておる。前段に内務省と建設省との違いをぼくが持ち出したのも、そこにある。そこで慣行水利権等は、あなたは権利として受託しているのだと明確に言つておるが、慣行水利権と、現在やみ水利権——と言つては悪いけれども、やみもまた年久しき数十年にわたるやみであるならば、やみとは言えないような水利権があるが、これを一体どういうふうに考えておられるのか。
  40. 植田俊雄

    ○植田説明員 慣行水利権は権利であることは当然でありますが、やみの水利権というものも、私はやみの水利権であれば、正式の水利権を許可する場合には尊重する必要なしと考えるのでございます。しかし、これは個々のケースによりまして、権利としての行使期間が長いかどうかによりまして、場合によつては尊重しなければならぬと思いますが、具体的の問題でございませんと、やみの水利権を尊重するのかしないのかというお話ですと、ちよつとお答えしかねるのであります。
  41. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 やみの水利権を尊重するかしないか、白か黒かということを聞いているのじやない。しからばそういう答弁をするなら、もう一ぺん聞くが、慣行水利権の法的見解いかん。
  42. 植田俊雄

    ○植田説明員 慣行水利権は、先ほどお話になりました河川法の規定によりまして、完全な法律上の権利でございます。
  43. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 慣行水利権は、その法律制定以前の規定である。であるから、これは法的性格を持つておるのだ。しかし法律制定以後においても、まつたく同様の性格を持つて行われておる水利権がある。こういう問題についてはお調べ願いたいのですが、これは河川法ではないが、最高裁判所の最近の判例において、これを権利として認めておるということがあるから、ひとつ別途に御研究願いたい。突然お呼出ししてこういうことを言うのは何ですが、ちよつとこういうものでなくて、最高裁判所の判例から引例されればそういうことはできない。そこで慣行水利権なら慣行水利権——やみとは言いません。言い直しますが、慣行水利権を準慣行水利権と読みかえて、慣行水利権なり準慣行水利権がある場合に、今あなたは利水と治水という立場から河川の問題を展開されて来た。しからば、治水の問題はしばらくおいて、利水の問題について申せば、利水の側においてこれを行政している農林省とか厚生省とかと所要の事務連絡を、法律的にも、あるいは内部規定的にもしなければならぬと思つているが、これについては、一体現在どういう取扱いになつておるのか、第一に建設省に聞いておいて、次に農林省に聞きたい。
  44. 植田俊雄

    ○植田説明員 明治二十九年の河川法の規定でございますが、これによりますと、当時の内務大臣を建設大臣に読みかえます場合においては、建設大臣及び河川管理者である知事が、すべての利水の行政をもやるようになつております。この考え方につきましては、現在の時勢におきましては適当でないと私ども考えております。従いまして、ただいま準備いたしております河川法の改正案につきましては、建設大臣及び河川管理者である知事が水利権の処分をいたす場合においては、関係行政庁すなわち大臣、各省及び、ものによりましては出先機関と協議いたしまして、その意見を尊重して水利権を決定いたしますように、法案の準備を現在いたしております。
  45. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 平川君に聞きたい。今関係出先機関並びに関係官庁と協議の上改正ではやると言つている。それじや改正案というものは——およそ法律というものは、最大公約数の現実が出て来て、最大公約数の現実を縛るために、ある程度の法律が制約事項としてなされるのだという観点からすれば、不文法という考え方からいつても、今までの次長の考え方は生きておるのだ。今までそういう事務連絡等は、事しさいに受けておりますか。同時に、今河川法を改正する準備中であると次長は言われておるが、農林省の方にはどういう御連絡がありましたか。
  46. 平川守

    平川政府委員 先ほどもちよつと触れましたように、法制的には、現在の法律ではそれぞれの利水の立場のところに相談をするという制度になつておりません。従いましてごく最近までは、ほとんど御相談を受けていないというのが実情であります。ただ先年の電源開発の促進法において、一つ機構をつくられた。それによつて審議会等の機会に、利水の立場の者がいろいろ発言をするということが起るようになつて参りました。一方慣行水利権を持つております農民等がなかなかやかましいという現実問題がありまして、従いまして最近になりましてからは、事実上非常に問題のありそうな点については、建設省から御相談を受けることがございます。しかし、これはごく最近そういう事例が起つたということでありまして、制度的にそうなつているわけではありませんので抜かりがないことを保しがたい。新しい改正の案を建設省で立案されておりますが、これについては素案を拝見いたしまして、これについて意見を求められた。私どもの方からも意見を出しております。ただいまたしか法制局で審議中だというふうに承つております。これにつきまして、なおいろいろ意見の相違もございます。まだ話が完全に固まつているわけではありませんが、要するにわれわれの方としては、従来の慣行水利権者その他いろいろな利水の立場意見が、治水の立場と同等に重要性を持つておりますので、それらの関係者が対等に相談をいたして、水の利用なり治水なりの方針をきめるようにいたしたい、こういう意見を出しておるわけであります。現在まだ最終の決定に至つておりません。
  47. 久野忠治

    久野委員長 寺島君に御注意申し上げますが、ただいま土地区画整理法について審議を進めておりますので、この法案関係をした質疑を先にお願い申し上げます。
  48. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 国土総合開発委員会の水制度部会において、最終意見がまとまつておるとかまとまらないとかいう段階に近いということを聞いておる。これと今河川局で考えておる河川法の改正案との関係いかんということを第一に聞きたい。  第二は、水制度部会の意見が最終的にきまろうというときに、こういう河川法の改正をそれと切り離して考えることは行き過ぎではないか、これに対する所見いかん。
  49. 南好雄

    ○南政府委員 寺島さんの御質問にお答え申し上げます。河川法の改正は、水制度部会と関係なしに、数年来建設省で研究しておるのであります。河川法を改正する最後の意見と申しますものは、水制度部会あたりの結論が出れば、その結論にして公正妥当でありますものならば、河川法改正にも参酌すべきものだと私は考えます。しかしながら、河川法を改正するという考え方は、今起きた問題ではなく、すでに四年か五年か前から河川法の改正は幾つも案をこしらえてやつておることは、寺島さん御承知通り。最近治水、利水というような問題について、いろいろむずかしい問題が起きまして、水というものを一貫性をもつてながめてみた場合にどうすべきかということについて、経済審議庁あたりの水制度部会というものが、国土総合開発審議会の一部としてできたことも聞いております。これで水制度についてのいろいろの議論をやつていることも——私は関係しておりませんが、事情は聞いております。それに意見ができたような話も聞きます。ごく一部の小委員会の案しかできていないという話も聞いております。どういう意見が出ますか、河川法改正の最後の結論が出るまでに、水制度部会あたりの結論が出て参りますれば、それらのものを参酌して河川法の中に盛り込んで、現状に最も適当な河川法をつくりたい、こういうことは考えておりますが、あながち河川法と水制度部会とは絶対にくつつけて、その結論が出るまで河川法の改正はできないものだとは、建設省としては考えておりません。
  50. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 大体水制度部会の意見ができて来ておるが、水制度部会に対する意見とは関係なく、河川法は四、五年前からやつているんだから、その案が早くまとまれば、これをくつつけて審議させてもよろしい。もし間に合わなければ、河川法は河川法で独自でやるんだ、かような御見解と了承してよろしゆうございますか。
  51. 南好雄

    ○南政府委員 私はそのように考えております。
  52. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 しからば、説明員に聞きたい。やはりあなたが言われた治水と利水との二つがあるとするならば、利水に関する問題については——きようは時間が非常に制約されているので困るのだけれども、これは非常にかつて気ままな行政をやつておる。大体道路で自動車を一台走らせるという運送業だつて、これは公聴会を開いて第三者の意見を聞いて、既得権に対する異議の申立てが許されておるのです。それが、あなたが生れる前にきまつておつた、いや、あなたのお母さんが生れた時分の法律をたてにとつて、慣行水利権だけを認めて準慣行水利権については明白なお答えがない。それで土木部長が、第三者から格別の異議がなければ、工事のできぎわになつて与えておるという、こういうことは、民主主義の原則に反するのです。今農林省農地局長に聞くと、個々のケースについて格別の相談がないと言つておる。それから私が聞きたいと思うのは、河川の渇水量の厳密な調査をしていない。渇水量の厳密な調査がない。よつて渇水量を上まわる量、すなわちずさんな量の水利権が与えられておる。これは具体的な問題になつて来るから私は言わないが、そういう例が各地の河川においてある。そういうかつて気ままな行政をやるということは好ましくない。好ましくないか、きようは土地区画整理法関係する法律案の審議である。しかし区画整理のかなたには、やはり水道法その他も控えておるのだから、そういう関係委員会において質疑をするけれども、ここにはつきり御答弁を承つておきたいことは、今後重要なる、もしくは問題になつておる河川の水利権の許可に対しては、水資源法というような法律でもあればともかく、現在そういう御用意もないのだ。こういう現状のもとにおいては、少くも最も利害の密接いたしておる農林省あるいは厚生省と緊密なる連絡をいたした後でなければ許可をいたさないのだ、これは内部事項として緊密なる連絡をいたすのだというふうに了承してよろしゆうございますか。
  53. 南好雄

    ○南政府委員 お答え申し上げます。水利権の許可につきましては、寺島さんのお言葉の通り、これは非常にむずかしい問題であります。その水利権の権というような程度に至るものかどうかは知りませんが、平穏かつ公然に水を使つておつた場合に、その使う権利がどういう状態になつて行くかというような問題は、行政上の設権行為でなくとも、結局それをきめるときには、裁判所の見解に従うほかはないと思いますが、水利権を認可する際におきましては、今の建設省の方針といたしましては、その権利を与えることによつて他にはなはだしい公共の弊害があるかどうかということは、当然考慮しなければならぬ事項でありますから、法律的にそういうようなことをやらなければならぬということは、現在の河川法においてはありませんけれども、行政を円滑に施行する際におきます心構えとして、問題のありそうなものについては、これはそれぞれ所管官庁なりあるいは地元のそういう利害関係人に相談をしつつ行政はしなければならぬものだ、こういうふうに考えております。従つて、そういうような方針のもとにおいて水利権を与えて行くようにいたしたい。それは別に法律上の要請ではないが、行政をやつて行くという建前においては、今日のような状態のもとにおきましてはそういうふうに行かなければならぬものだ。いろいろ御議論があつたようでありますが、私の関係しております範囲内においては、建設省河川行政と申しますものは、具体的の場合はどうか知りませんが、われわれの関与しておる心構えといたしましては、御心配のないように行つておるように思うのでありますが、具体的の事例で御不満の点がございましたら、また後ほどにゆつくり拝聴いたしまして、そういう問題についてのできるだけの配慮はいたしたいと考えております。
  54. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 南政務次官の答弁は了承します。それでけつこうです。これを管理しておるのは——南さんが百年も政務次官をやつておるといいのですが、内閣がぐらぐらしておつて、実際問題としてなかなかそうは行かないのです。そこで河川局次長に聞きますが、一体水利権を許可する場合に、慣行水利権と準慣行水利権——準慣行水利権というのは、私が新しく言い出した言葉かもしれないが、これは最高裁判所の判例によつて大体演澤できる考え方である。こういうものがあるのだ。こういうようなものをにらみつつ、水利権の普通の場合はよろしいが、重要なもの、もしくは問題になるようなものは、農林省、厚生省と十分な連絡をするか。あるいはしないで、建設省はいわゆる特権財閥の大工場の工業用水の走狗となるようなことは断じてないかどうか。あなたの方は、上の方はかわつても下の方はかわらぬのだから、そこのところを明確に答弁してもらいたい。
  55. 植田俊雄

    ○植田説明員 寺島さんの御質問は、大体私に向けられまして、私が答弁いたすはずでございますが、ただいま政務次官から非常に明快にお話くださいました。実は政務次官は、政界に長くおられますから、御答弁は非常に明快であり、率直で、しかも非常に含みがございます。私も政務次官が今お話になりましたと同じことを——こちらは役人でございますから、口下手ではございますが、申し上げようと思つておつたのでございます。ただいま寺島委員のおつしやいましたことは、私も同感でございます。また政務次官が先ほど答弁いたしましたことも、私は河川局次長として河川局におります間は、その通り実行いたす所存でございます。
  56. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 これで終りますが、それでは今後河川については重要な、もしくは問題点に対する水利権、工業水利権、農業水利権もしくは公衆衛生用水利権等の水利権の限界については、現在の状態においては、河川法というものは何しろ明治何年の法律である、よつてつてこれが立法措置がないからといつて、なおざりにするものではない。行政措置において納得の行くように、行政各部、すなわち農林省、厚生省と緊密なる連絡をとつて、水の問題から関係民にいささかも不安を与えないような措置をせられることを厳重に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  57. 久野忠治

    久野委員長 次に中村時雄君。
  58. 中村時雄

    ○中村(時)委員 先ほどの問題点に関連した問題ですが、今平川さんのおつしやつた百三十六条の点です。百三十六条には、確かに土地区画整理事業農地等の関係の調整について、当該農地を管轄する市町村農業委員会及び当該施設を管理する土地改良区の意見を聞かなければならない、このように規定してあります。このように規定してあるけれども、しかしその利害関係を有する問題として、たとえば、その代表者の選出のことがここで問題になつて来るわけです。この農地の小作人に対しての貸借関係というものがここに出て来るわけですが、この利益関係において、小作人などがその対象に入つていないということになつて来るわけですが、これに対してはどういうふうに考えていらつしやいますか。
  59. 平川守

    平川政府委員 区画整理を実施する側の立場におきましては、農地の小作人等は、そういう関係ではないわけです。むしろそれを実施されることによつて利害を受けるという立場にあるわけです。そういう意味でこの区画整理の組合員というものにはならない。従つてそれによつて影響を受けるものの側といたしましては、小作人をも含めた農業関係の代表機関としての農業委員会意見を述べるという制度になつております。この点につきましては、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、一応本案の考え方といたしましては、土地区画整理審議会等は、組合員から選ぶというような建前になつておりますので、その組合員には小作人はなれない。小作人はこの事業によつて影響を受ける側といたしまして、農業の方の代表機関であるところの農業委員会を通してその希望を反映せしめる、こういう制度になつておるわけであります。
  60. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農業を担当する農地局長としては、はなはだ奇怪な答弁ですが、その第八条第二項「前項の場合において、宅地について権利を有する者のうち所有権又は借地権を有する者以外の者について」——この問題に、今の小作人が入つていない、こういうことになつている。そうすると、その意思が無視されて、その計画ができたときに、たとえば対象の関係だけの小作人になつて来る。そこで小作人の方は何の発言権もなければ権限もない。そのために利害は必然的に飛んでしまうという結果が出て来る。そうすると、地主の方としては、これは当然強行される性格を持つて来るわけです。ですから、小作人を相手にしなくてもよろしい。この土地の小作料が安いのだから、いつそのこと都市計画宅地に売れば非常に高価に売れる。そこで問題は、小作人に相談しなくても売買できるという結果が出て来る。事実そういう結果が出て来ておるじやありませんか。これに対してどういうふうにあなたはお考えになつておるのか。
  61. 平川守

    平川政府委員 その御意見は、私どもといたしましてもまことにもつともであると思います。ただ一応の本案の考え方といたしましては、壊廃等に対する許可は別に残るわけであります。最後の押えはそつちの方でやる。それから、その前に計画そのものについての同意については、一応権利者の範囲に入つておりませんけれども、しかしこの計画自体に対して農業委員会意見を聞くといつたような過程がありますから、その過程において、やや間接的ではありますけれども、意見は反映するわけであります。この区画整理の方を主にした考え方の法制でありますので、その主体のようなところには、小作人は入つておらないというのであります。お話のように、小作人の保護において、これでは十分ではないという点は、確かにそういう考え方も成り立つと思うのです。
  62. 中村時雄

    ○中村(時)委員 考え方が成り立つとか成り立たぬということではない、現実に利害関係が直接来るのですから、あなた方がそこでお考えになつておるよりも大きな問題です。あなたもあまり勉強していないようだし、私もきよう出されて、ぱらぱらとひつくり返して見ただけなんですから、くどく申しません。もう一点、それをもつと延長してみますと、この百三十六条にちやんと出ている。これを読んでみますと、建設大臣施行者である場合には、この規定は一応農林大臣の方は省かれてしまう。そうすると、先ほど川俣委員も言つたように、産業構造からいつて都市計画の方が重大だというのでこれを取上げた、農地の方は附帯的な問題として現われておる。だから、農地をつぶすことは問題にならなくなる。そこで実際の農林省の方の考え方としては、農地の方を主体にとろうと思つている。そこに食い違いが出ておるように思う。そうすると最後の権限を建設大臣が握つたら、農林の方は一体どういうふうになりますか。これを農地局長、答弁していただきたい。
  63. 平川守

    平川政府委員 この場合につきましては、建設農林両省において協議するということに、申合せをいたしておるのであります。従いまして、われわれの方で農民の側に不利益になると思います場合には、これを認めないということで、運用はさしつかえなく行くのじやないかというふうに考えております。
  64. 中村時雄

    ○中村(時)委員 協議をするということは、ここでおつしやられましても、この条文にはちやんと建設大臣主体になつて来ておる。それではなぜ農林大臣と協議すると、こう入れないのですか。
  65. 南好雄

    ○南政府委員 お答え申し上げます。中村さんの御質問につきましては、建設省内においてもいろいろ問題もあつたのでありますが、これは手続法でありまして、実体法は戦災復興都市計画法ですか、何かそういう法律でありまして、その実体的なものの計画を遂行する手続をやつたのが、いわゆる土地区画整理法なのであります。先ほどから計画局長説明しておりますように、都市計画のできておる部分についてのその都市計画の案を実行するために、その手続規定したものがこれなのであります。都市計画という以上は、私は一部分において農地のあることは否定いたしませんが、それは一部分農地でありまして、法案の上において農地があるからといつて都市計画施行する際に両省主管とか共管とかいうようなことは、今の法制の上においてはやつておらないのでありまして、八、九割までが宅地で、一割ないし二割が農地であつても、食糧増産が非常に重要視されておる現在のような場合には、事務的に協議をするということで、行政の運用を円滑に行つております。一部分農地のために、法律にまで明記して各省が所管を争わなければならないものとは、私は考えておらぬのでありまして、計画遂行の際におきましては、農林省と十分事務的に連絡してやりますから、農林委員会の御意向は建設省も十分拝承いたしまして行政の円滑を期したい、こう考えておる次第であります。
  66. 中村時雄

    ○中村(時)委員 やはり本音が出ました。これは建設省農林省とのタイ・アツプの上での問題でなくて、やはり都市計画法を中心にこの問題が出て来ておる。そうすると、やはり都市というものが舞台の中心になつて来ておる。あなたは、農地は一部分であつて、わずかなものであるという概念を持つていらつしやる。ところが、最近は町村合併の問題が出て来ておる。町村合併をやれば、次に来るのは都市計画に基いたいろいろの農地の売買という問題が非常に大きく出て来ておる。現実に出て来ておる。そうすると、当初都市計画で立てて行つた戦災当初においては、わずかなものであつたということは事実であつたでしよう。ところが、最近においては非常に変革して来ておる。すなわち、農地の売買が非常にはげしくなつて来ておる。そういうことに関して、農林省当局はどういうふうに考えていらつしやるか。これが第一点。  それから、実は私もほかの小委員会に呼ばれておるので行かなければなりませんが、もう一点だけ続けてお尋ねしておきたいのは、百三十六条の最後に「政令で定める軽微なものについては、この限りでない。」とうたつておる。この「軽微なもの」という解釈は、どういうふうにして行くのか。この二点についてお尋ねしておきたい。
  67. 平川守

    平川政府委員 最近の町村合併あるいは都市の膨脹によりまして近隣の農地の売買が、農地としての価値でなしに、土地としての価値を見込んで盛んになりつつあることは、御指摘通りであると思います。実は私どもも、この点については非常に腐心しておりますが、どうも適切な対策が立ちませんで恐縮でありますが、要するに農地の壊廃許可制度を現在としては活用して、関係当局ともよく御相談いたしまして、不当に農地がつぶされることのないように運用して参ることが、現在では与えられた唯一の手段になつておるわけであります。この壊廃につきましては、かなり厳重に審査をいたしまして、工場敷地等につきましても、みだりな壊廃は認めないように努めておるつもりでございます。そういうことによつて、不当なる壊廃が行われないようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
  68. 中村時雄

    ○中村(時)委員 時間がないので、あとは保留にいたしまして、最後に、これは委員長お尋ねするのですけれども、この法案は、建設委員会では今日上げてしまう予定なんですか。
  69. 久野忠治

    久野委員長 違います。次会にも継続いたします。
  70. 中村時雄

    ○中村(時)委員 実はわれわれは、この法案を今日初めてもらつたわけで、まだ十分な研究もしていないような状態なんです。これはわれわれとしても、非常に重大な農地関係の問題に関係がありますから、十分研究さしていただきたいと思うのです。これは私の不勉強を暴露するようですけれども、ぜひともお願いいたしたいと思います。
  71. 久野忠治

    久野委員長 他に御質疑はありませんか——御質疑がなければ、本連合審査会は一応これにて終了いたすことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会