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1954-05-13 第19回国会 衆議院 建設委員会住宅に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十三日(木曜日)     午後一時四十三分開議  出席小委員    小委員長代理 内海 安吉君      岡村利右衞門君    瀬戸山三男君       田中 角榮君    堀川 恭平君       五十嵐吉藏君    志村 茂治君       細野三千雄君  出席政府委員         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君  小委員外出席者         議     員 逢澤  寛君         参  考  人         (中部日本不動         産協会会長)  須永伊之助君         参  考  人         (東京宅地建         物取引業組合連         合会会長)   細川  清君         参  考  人         (日本不動産協         会理事)    藤川豊次郎君         参  考  人         (東京建築局         建設業部長)  川船  勲君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 五月十三日  小委員有田二郎君三月二十九日委員辞任につき、  その補欠として堀川恭平君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員佐竹新市君四月二十一日委員辞任につき、  その補欠として長正路君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  岡村利右衞門君四月十五日委員辞任につき、委  員長指名で小委員補欠選任された。 同日  安平鹿一君四月十日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員補欠選任された。 同日  細野三千雄君四月十二日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員補欠選任された。 同日  志村茂治君四月十七日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同日  和田博雄君四月二十七日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  宅地建物取引業法改正に関する件     —————————————
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより建設委員会住宅に関する小委員会を開会いたします。  本日は小委員長が不在でありますので、私がかわつて委員長の職務を行います。  宅地建物取引業法改正につきまして調査を進めます。  本日は参考人といたしまして、須永伊之助君(中部日本不動産協会会長)、細川清君(東京宅地建物取引業組合連合会会長)、藤川豊次郎君(日本不動産協会理事)、川船勲君(東京建築局建設業部長)、以上の皆さんが御出席になつておられます。  この際ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。これより宅地建物取引業法改正につきまして、順次御意見をお願いするわけですが、本日は本会議があります関係上、中途で小委員会をやめなければならぬことになるかもしれませんので、御一人につき、大体二十分間程度で御意見の要領を御発表願いたいと思うのでございます。  御委嘱申し上げました東大教授有泉先生事故のために来られぬというので、本問題についての御意見を文書をもつてつて来ておられます。簡単でありますから私からごひろう申し上げます。  本法をより実効的なものたらしめるため、第十三条(業務処理の原則)の規定中に、業者が単に売買等契約を結ぶことだけで能事終れりとすることでなく、さらにその契約の履行についても責任を持つべきであることを明記して、実際にこうむる依頼者の損害に対する補償の根拠とすべきではないか。  第二点は、宅地建物取引に関する苦情処理事務局審議会において行うことも可である)のようなものを設けて、紛争の処理に当らせてはどうか。  第三点は、旅行あつせん業等の例にならい、ある程度資産を供託する等の措置を講じ、業者信用を高め、あわせて被害者被害最小限度に食いとめる必要はないか。  以上三点が有泉博士の御意見でございます。御報告申し上げておきます。  それでは参考人諸君の御意見を伺うことといたします。中部日本不動産協会会長須永伊之助君。
  3. 須永伊之助

    須永参考人 本日、立法府の各位に対しまして、宅地建物取引業法一部改正の資料といたしまして、卑見を開陳いたしまする機会をお与えいただきましたことは、立憲治下国民といたしまして、まことに光栄に存ずるところであります。つきましては、つつしんで上申いたしたいと存ずるものであります。  実は昭和二十七年に本案が本委員会の議題となりました当時に、私ども大分おそく聞いたのでありましたが、その内容を拝見いたしまして、これは世間通例法規とも行き方がかわつておるし、また私ども三十年来の不動産業者といたしましての知識から見まして、適正を欠くきらいがありましたので、当時大分運動いたしまして、一部の修正をお願いいたしました行きがかりもある法案なのであります。公布いたされまして以後本日までに、すでに二十余箇月を経過いたしたのでありますが、この間の実情を見ますると、本法第一条の目的達成に対しましては、きわめて効果が薄かつたのでありまして、見るべきものがなかつたということは、ひとり私が申すばかりでなく、地方都道府県業者社会あるいは検察当局等におきましても、この法を重視いたしておらない傾向にあるほどでありまして、せつかく本法施行いたされましたのに、この結果を見ましたことは、きわめて残念なことに属すると考えるものであります。  但し、本法が生れまして多少の効果があつた、それは何か。従来潜在いたしておりました不動産業者が、本登録によりまして顕現いたしましたために、これによつてつて事業税とそれから所得税が増徴されたことは、これは余分なことでありましたけれどもプラスの面であります。  しかしながら、一面におきましてマイナスの面といたしましては、御承知ごとく、比較効果がありませんのに、地方行政をいたずらに煩雑にいたしましたので、こく低いパーセンテージでございましようけれども国民負担が増した。それから妙な現象でございまするが、これは登録前になかつた事故が、本法施行によつてつてわいたのであります。それは何であるかと申しますと、本法施行いたされまして、登録業者でありまする商標を店頭に掲示いたしまするから、要するに業者は玉石混淆、人的信頼顧客が誤る結果となりましたので、これによるところの事故も相当あつたと私は観察いたしておるのであります。あるいはひが目かも存じませんが、この事故は否定することができない状態にあるのでありまして、まことに悲しむべきことだと考えまして、実は立憲治下国民といたしまして、みずからが当面いたしておりまする法律につきましては、これを適正化する上において、私どもが協力いたしますることは、けだし国民の義務なりとも考えまして、今回陳情に及んだ次第であります。  次に、取引業対象といたしまして、農地山林を含むことの可否についてのお尋ねでありまするが、これは御承知ごとく、当時の立法趣旨からして見まするならば、これを除外いたしますることは、当時におきましては当然なのであります。しかしながら、施行いたしました結果から見ますると、不動産業というものが、ひとり宅地建物のみの売買をいたしておるものでございませんことは、皆様すでに御承知通りでありしまするが、これがために、登録業者山林その他農地等を扱いますると、自然と本法を軽視する傾向に相なるのであります。また登録を受けておらない山林その他の土地のみを業務といたしております者も、遂には宅地を扱いまする場合もありますので、本法目的達成上、至大な支障がありますことは、ひとり本日の参考人である私より申し上げますばかりでなく、これは近畿地区府県より、決議をもつて建設省陳情いたしてあるところに見ましても明らかなのでありまして、ましてや私ども業者から見ますならば、業者遵法精神の涵養、本法第一条の目的達成から見ましても、ぜひこれを一切の不動産を扱うことに、ひとつお改めを願いたい、かように考えるのであります。しかし、参考人はそう言うけれども扱つてもさしつかえないのではないか……。御説ごもつともであります。しかしながら、そういたしますると、ただいま申し上げましたような欠陥が生じて参りまして、おのずから本法第一条の目的達成支障が生じて参るのでありまするから、この点を重く考慮いたしまして、かく陳情を申し上げ、本日の私ども意見として上申いたすものであります。  なお、一部の御当局のお考えの中にも、農林行政関係するのではないかと申すのでありますけれども、私はさにあらずと考えるものであります。何となれば、山林登記もその他のことも、一切農林省が扱うというものではありません。やはり所有権の移転につきましては法務局で扱い、その他のことにつきましては、やはりそれぞれ該当いたしまする官署の所管として扱う事項が、山林についてもあるわけでありまして、山林行政についてかれこれするものではないのでありますが、それらのお考えは、私どもはただちにそうあるべきだと申し上げることができないという考えを有しておるものであります。  それから次に、新規並びに更新登録手数料(三千円以下)の適否についてこのことは、高きに失するのであります。はなはだ申し上げにくいのでありますけれども、わが国内において国民負担いたしております手数料とか、あるいは登録設定に対しまする税とかというものを一瞥いたしてみますと、建設省関係のものはきわめて高いのでありまして、これはひとつの異例であります。本日私が持参いたしたのでありますが、昨日法務省関係あるいは大蔵省関係その他について調べてみましたところによりますと、かの重職に就職いたします弁護士の登録料が三千円で、登録年限はございません。会計士登録料は、公認会計士が三千円で年限はございません。会計士補は一千円であります。医師の登録税は三千円で年限はありません。薬剤師の登録税は千五百円で年限がございません。獣医さんも同じくであります。それから採掘権設定登録税、これは特に国がその人のみに許して、その人に所得させますところの登録税でありますが、これが一万二千円であります。それから砂鉱権設定登録税が九百円、漁業権登録税一件について百二十円、出版権登録税が一千二百円、特許料を見ますると、御承知ごと特許一つ進歩を奨励するものでありますけれども、一面他の部分の進歩を押えますところの性質をもつて、そのことの生産を許します特許登録税でありますが、これですらも一年から三年までは毎年五百円であります。これこそほんとう特許料であります。それから実用新案登録手数料が一年から三年まで毎年金三百円であります。公証人登録料はございません。それから土地家屋調査士登録手数料は五百円で年限はありません。司法書士登録手数料はございません。かような状態にあるのでありまして、これらと比較してみましても、これが世間並だといたしますならば、これが高きに失するという答えは明確に出し得るのであります。  かようなわけ合いでありまして、私ども更新登録料につきましては、著しく低減していただきたいのでありますが、御参考までに一言申し上げてみたいと思いますのは、これが立法いたされます昭和二十七年の委員会においての質疑応答資料によつてみますと、更新登録料は相当引下げるべきものだということが、答えの中に明らかになつているのであります。ただ同じ建設省関係におきましても、建設業法本法との登録料に対する差は、建設業法によりますると、法律において金額が定めてございません。しかるに本法におきましては三千円以下と定めてあるのでありまして、本法のあり方からいたしますならば、やはり更新登録の場合においても、これを私ども要望いたしまするように、一千円以下というふうにお定めを願うことが適当ではないか、かようにも考えるものであります。  なお一言申し上げてみたいと思いますことは、地方財政を考慮して云々という説明があるのでありますが、これはとんでもない当時の立法者のお考え違いではないか、かように思うのであります。これは手数料でありまして、不定期の性質を持つております。また私ども不動産業者といえども都道府県事業に対しましては都道府県税を、国の行政につきましては国税を納めているのであります。国の方針からいたしました本法施行によつて生ずる費用を、しかも私ども業者のみに負担させるという行き方は、これは私どもの常識をもつては、どうしても相いれることができない、また業者負担にたえないところでありまして、ぜひこの点は、さようなお考えのもとに適正だとして定めてあるのでありますけれども、これを排斥していただきまして、ひとつ何とぞ私ども陳情趣旨をお聞き届けいただきまして、更新登録料に限りましては一千円以下、登録年限につきましては、二年は短かきに過ぎるのでありまするから、これを五年にしていただきたい、かようにお願円いするものであります。  なお登録年限理由につきましては、長きに失しますると既得権化する、こういうことを申しておりますけれども、元来不動産業は、戦後におきましては自由営業でありまして、既得権化するということがおかしいのであります。  それから顧客に対しまするインフオーメーシヨンの効果も考慮してということでありますが、本法による登録制度は、御承知ごと資産制度その他の比較条件として登録いたすものではございません。これは人的信頼中心といたしましての登録でありまするので、財界の変動とか、そういうことをもつてこの年限定めるということは、私は困難だ、かように考えるのであります。  それから二年ごと登録することによつて、業界を粛正するやの意味のことをもお述べになつておりますけれども、御承知ごとく、登録をいたしまする条件は、登録者資格は、第六条の条件欠格者でなければ、だれでも登録することができます。これに応じなければ、都道府県知事は処罰を受けるのでありますから、二年ごと更新することによつてこれを浄化するというようなことは、これは当てにならないことを当てにすることでありまして、この理由にも私どもからは賛成できない、また実情に沿わないことをここに上申いたしたい、かように考えるものであります。  次に、業者資格制度について上申いたします。試験制度というようなことを申す者もあるのでございまして、これを民法契約だとか、あるいは登記法だとかその他のことを課題とするということでありますならば、一応もつとものようにも聞えるのでありますけれども、御承知ごとく、日本国民の全部が民法登記法、商法その他を知らないでも、営業いたしております。私どもは、法の不知をもつて法定め責任を免れることができないことは、先生方が御承知通りであります。従いまして、試験制度ということも、私どもは賛成できないのでありまするし、試験制度によりますると、どういう試験をするのか、だれが試験をするのだかわかりませんけれども、従来何十年と営業いたしておりまして、信用がその都市で屈指の人でも試験にすべるおそれもあるのであります。かるがゆえに、私ども試験制度には反対いたします。  それから資産制度ということは、憲法精神に違反いたすものだと思うのであります。資産によつて法の前に立ちます資格を異にするということは、どうかと思うのでありまするし、すべての統制法規が撤廃いたされつつありますときに、この法規でさえ逆コースを行くものじやないかと思いますのに、なお統制を強化し、その他にむずかしい条件を付しますることは、私はいたずらに営業の自由を叫ぶものではありませんけれども、これこそほんとう憲法営業の自由の精神にも反し、資産によつて法の前に不平等にする結果となるものだと考えまして、私は資産要件定め制度に対しましても反対するものであります。  認可ということにつきましては、私、これは研究しておりませんので、深く意義あるお答えを申し上げることができないのでありますから、この場合認可につきましては、私意見を上申いたしますることを他にお譲りいたしたいと存じます。  それから使用人に対しまして、私が陳情いたしましたのによりますと、第二十四条というものを設けて、従業員資格定めてもらいたい、こういう陳情が申し上げてあると思いますけれども、事実を申し上げますと、きのう本法によつて登録を取消された者が、きようは女房が登録を受けて、従業員でならば営業することができるのであります。従業員名前ならば営業を続けて行つていいけれども登録者名前では、登録者では営業を続けて行つてはいけないということと同じでありまして、このことは、近畿ブロツク府県からも陳情があるようでありまするし、全国共通の声でありまして、ぜひこの点は、憲法精神に反しない範囲におきまして、お定めを願いたい。少くも陳情人陳情してあります程度のお定めをいただきたい、かように上申するものであります。  それから二年以上業務に従事したことを登録要件とすること——これは幾分業者の素質を向上いたします何かの手段がなければいけないのであります。わが国におきましては、学問においても、不動産売買または仲介というような学問は、どなたも、どの学府においても教えておりません。またこの問題が取上げられまして、行政上の仕事となりましてからまだ新しいのでありまして、これは答えを出すになかなかむずかしいのでありますけれども、まずその業務に、二年間まじめにやつてその業務を会得した者に登録させるということでありますならば、これは一番間違いがないのだ。司法官試験に合格いたしまして、あと実習するのと同じようなものであります。できますことならば、ぜひこの制度も御採用いただきたい、かように上申いたすものであります。  それから、審議会でありますが、六大都市の中では、要望いたしておる都市が相当あるのでございます。この審議会目的といたしますところは——最近愛知県の建築部長さんのお話を承つてみますと、どうしても業者の協力がなければできない。それだから、ぜひ大都市だけなりと、審議会を設けて、双方で決定をいたすならば、民主的であるから業者も納得するであろう。従つて、びしびしやつて行くことができるから、ぜひこの審議会を設けてもらいたい、かような御意見もありましたので、できますならば、設けることが必要だということを上申するものであります。  罰則適否につきましては、私が本法罰則とその他の法規罰則とを比較いたしましたものをお手元へお配りいたしましたが、他の法規比較して数倍の重さになつておりますことは、これによつて見ましても明らかなのであります。その一例を、時間が参りましたが、お許しを得まして簡単に申し上げさしていただきますならば、建設業法の場合は無登録でありまして、一年以下または十万円以下の罰金であります。しかるに本法におきましては、三年以下、三十万円以下となつております。それから建設業法におきましては、一万円以下の過料がございます。それから証券取引業法罰則におきましても、過料の科目は、第二百八条、第二百九条、第二百十条の三つがありまして、一万円以下の過料、五千円以下の過料、三千円以下の過料がございます。また日本銀行法罰則によりますと、第四十八条で五千円以下の過料一つあるだけであります。日本経済金融を左右いたします銀行の総裁が、業路上最大の悪いことをいたしまして五千円であります。本法とぜひ御比較を願いたいところであります。また信託業法——ども業務関係がありますが、第二十三条でこれは除外されておる業務であります。これは同じことをやりまして、第二十条で五千円以下の罰金、これが最高刑であります。それから第二十一条で十円以上千円以下の過料、第二十二条で十円以上百円以下の過料、こうなつておるわけであります。どうかこれも本法と御比較をいただきたいのであります。それから日本開発銀行法罰則を見ますと、第五十条で三万円以下の罰金、これが最高刑であります。第五十一条で三万円以下の過料、第五十二条で一万円以下の過料、こうなつております。ぜひこれらと本法と御比較いただきまして、陳情人陳情趣旨を御採用いただきますと同時に、本日補足説明いたしました参考人の上申の趣旨を重く御採用していただきまして、ぜひとも陳情通り改正を御採択いただきますように、折入つてお願いするものであります。長時間御清聴をいただきまして、つつしんで感謝いたします。
  4. 内海安吉

    内海委員長代理 委員諸君の御質問は、参考人諸君の御陳述の終つた後に一括して行いたいと思います。御了承願います。  次に東京宅地建物取引業組合連合会会長細川清君。
  5. 細川清

    細川参考人 私ども意見といたしましては、大体ただいま須永君が言いましたのと、ほとんど同一でございますが、同一な点は省略してよろしゆうございますか。
  6. 内海安吉

    内海委員長代理 けつこうです。
  7. 細川清

    細川参考人 私として最も強調したいことは、多少重複いたすかもしれませんが、新規登録手数料は、そのまま従来の方針を踏襲することにいたしまして、更新の場合には、なろうことならもう少し低減していただきたい、千円以下ぐらいにひとつ軽減していただきたいことが一つでございます。  それから第三項目登録有効期間適否については、これは現在二年になつておりますが、二年というのはあまりに短期間過ぎますので、これは三年以上にぜひお願いしたいと思つております。  それから第四項目業者資格制度——試験資産要件許可等に関する問題につきましては、相当重大な問題でございまして、私どもは今考慮中でございますので、この際この問題は保留さしていただきたいと思います。  第五、第六は、須永氏の御意見同一でございます。  第七の審議会制度の問題につきましては、現在東京都の方では着々委員もつくり、やりつつありますので、これはむろんいい制度だと心得ております。  第八の罰則適否については、須永君の意見同一でございます。  以上簡単でございますが……。
  8. 内海安吉

  9. 藤川豊次郎

    藤川参考人 全日本不動産協会理事藤川豊次郎でございます。  このたび協会から業法改正陳情申し上げましたところ、本日立法府におかれまして意見を聞く参考人としてお呼びくださつたことを、厚く御礼を申し上げます。  本取引業法施行されまして二年間、その間におきまして、業法制定当時と大分社会状態もかわつて参りましたので、それに応じてこの業法改正方陳情申し上げましたのですが、ただいまここに御質問の順序によりまして、一つ一つ申し上げます。  この取引業法は、当時宅地建物対象としたものでございました。大体この業法は、都会中心業法でございましたので、こういう業法ができ上つたのでございますが、その後前参考人のおつしやつた通り土地建物以外の農地山林取引するということが、各地方において非常に多くあるという現状から、都会地を離れた所から非常にその要望が多いので、現状を調べましたところ、実際に農地あるいは山林取引が行われて、しかもそれがこの取引業者の手を通じて主として行われておるということになつておるから、どうしてもこのたびはこの農地山林を含めた、すなわち土地建物取引業法あるいは不動産取引業法にこれを訂正していただきたい、こういう要望が各地からありますから、ここに陳情いたしました次第であります。  次に、登録手数料につきましては、今須永さんが申されましたことについては、それに同感でございますので、省略させていただきます。  それから登録期間の問題でございますが、これにつきましては、現在の二年はあまりに短か過ぎる、やはりこれは五年くらいがいいのではないかというようなことが全国の業者の声でありまして、ぜひこの点も五箇年ぐらいに延長していただきたいということを、切に御要望申し上げます。  第四の資格制度でございますが、これは業者を通じまして依頼者の方の利益を擁護する立場から、資格制度は最も強いことを要望いたしますけれども、これも現在の段階におきましては、あまり強いということは、かえつて弊害があるのではないか。またただいま申された通り試験その他資産の多い者は必ず有能であり、また悪いことをしないというふうに限られたものでもないので、この点は第六の業務に従事したことを登録要件とするということと二つをかみ合せまして、その点を適宜配慮していただいたならば、この弊害と有効な点がちようどあんばいされましていい結果になるのではないか、それについては、業務に二年間従事しておるということのみでなく、各地方におかれまして、講習会その他の方法によりまして、業者の質的向上をはかられるならば、この両方がうまくマツチして、いい資格ができるのではないかと考えておりますので、さようひとつ御訂正願つたら、たいへんけつこうなことと思うのであります。  使用人の責任につきましては、現在の業法におきまして、大体使用者の責任になつておりますので、これは当然なことであつて、現在の業法通りでいいと思います。  それから第七の審議会制度でございますが一これは予算も伴うことでありますので、現在は地方長官の任意になつておりますが、この点は、各地方地方業者の数あるいはその土地実情に応じて、やはり地方長官にまかせるという現在の状態で、私はさしつかえないと思うのであります。  罰則適否につきましては、これは須永さんの申された通り、あまりこの業法罰則が重過ぎるということは、どなたも認めるところでございまして、この点は各業種につきましての罰則を適宜あんばいされまして、あまりにこの業法に限つて重くないように御考慮されることを切にお願いいたしまして、私の意見を終りたいと思います。きようはありがとうございました。
  10. 内海安吉

    内海委員長代理 次に、業務の実施状況並びに改正案に対する各参考人の御意見の陳述がありましたが、これに対して川船勲君の御意見を承りたいと思います。
  11. 川船勲

    川船参考人 宅地建物取引業法を、東京都では建築局の建設業部で取扱つております。私、部長の川船でございます。ただいまからお尋ねの点について意見を申し上げたいと思つておりますが、最初にお断り申し上げたいことは、私部長でございますが、建設業部長でなく、川船個人の意見というふうにお聞き取りを願いたいと思つております。時間がどのくらいになりますか、もし項目について簡単に説明して時間がございましたら、全般について御参考までに、いい機会なので意見を申させていただきたいと思つております。  第一に、取引業対象として広く農地山林をも含むことの可否とありますが、東京都に関する限りは、農地だとか山林だとかいうものを区分して行く意味がないので、これを含めることは、私は妥当だと考えております。この点は賛成いたします。  それから二の新規並びに更新登録手数料三千円以下は、三人ともに高いとおつしやつておりますが、これが他の手数料との振合いで高いと言うならば、これは議論は別でありますが、この額の負担に耐えぬということのための反対ならば、私は反対します。われわれはその程度のものが負担できぬ程度業者には、あぶなくて取扱わせられないと思つております。  それから登録の有効期間の適否について、長くという意見があつたのでありますが、私はむしろ逆に縮めた方がいいと思つております。と申しますのは、ただいま最終的な数字は出ておりません。目下整理中でございますが、その中間報告を申し上げますと、東京都において今約四千七百ぐらいになつておりますが十二月ごろは四千二百ぐらいでございます。そのうちで一割を抽出いたしましたその結果、現住関係営業関係等の調査をいたしましたものによりますと、住所不明のものが三四%という大きい数に達しております。昭和二十七年八月発足以来、これだけの数になつております。他府県とは事情を異にしております。これを延長したならば、どういうふうになるかという点を、数字をもつて御説明申し上げたのであります。この営業は、御承知通り浮沈常ならざる営業でございます。ただいまこれを二年を五年にするように、実情に沿わぬという御議論があつたのは、東京都に関する限り、その意はむしろ実情に沿わないじやないかということを申し上げたい。  それから業者資格制度について、いろいろ御議論になつておりますが、私たちも早晩解決してもらわなければならない問題だと考えております。試験と申しますか——試験という言葉は、少しどぎついようでありますが、私は何がしかのここに一つ資格というものがいるのではないかというふうな考え方を持つております。あとから申し上げたいと思つておりますか、はさまつたので御参考までに申し上げますと、私は企業というものは、信用一本のものだというふうな考え方を持つております。従つて私は登録要件の強化ということは、常に期待しております。どういう点を登録要件の強化として期待するかと申しますと、信用を高めて行くという要件の強化がまず必要です。信用度のうちには、素質の点と経済面の点と二つあると思うのです。素質の点につきましては、なかなか制定がむずかしいのでありますが、今までにある種の刑事事件について責任を問われたというような者は、この営業に携われない。あるいは一定期間携われない、あるいは永久に携われぬというくらいにまで、行くべきではなかろうかという考え方を持つております。業法の違反についても、ある種の違反のものは将来つけないのだ、あるいは一定期間停止するというふうに強化して行くべきものではないかという考えを持つております。さらに信用度を高める上におきましては、経済的な面において、あるいは資本金額とか、あるいは資産額といつたような面においても、規制は必要ではないか。ただいま資産要件憲法違反云々といつておりますが、その点は私ここで議論いたしたくないのでありますが、何といたしましても、人様の財産を取扱うのに、何らの資産もないといつたような者では、はなはだ不安定だと思う。では金があるから信用できるかといえば、一概には言えないのてすか、まずおおよその目安として、そのくらいのものはなければならないのではないかと思つております。  そのほか、学識経験という面からも、私は必要な点があるのではないかというふうに考えております。と申しますのは、この営業は、いろいろの法律関係なり、その他に関係を持つておるわけであります。従つて、この業法関係を知つておることも必要であるし、あるいは都道府県の諸規則も知つておく必要がある。その他、取引についての物権なり債権なり、農地関係なり、建築基準法なり、あるいは税法なりが必要ではないか。それらをことごとく知る必要はありませんが、おおよその知識ぐらいはなければ、自分みずからも不便でもあるし、また知らざることによつて取引の相手方に迷惑を及ぼすようなことがあつてはならないというような考え方を持つております。そういう業者は、かなり多いのでありまして、私どもの方としては、そういう業者の素質をいかにして向上させるかという面に力を注ぎまして、絶えず講習会を開いております。過半数がこの講習会を受けておる現況であります。その折の一つの笑い話を申し上げますと——今日は有泉先生もおいでになるというお話を伺つたのですが、おいでになつておりませんが、講習会に有泉先生に講師としてお願い申し上げております。その折に、最後に講師の方が、何か質問があるかと申しましたときに、業者の中から、ただいま先生が盛んに地上権ということをおつしやつておられましたが、一体地上権とは何ですかという質問が出たのであります。地上権を知らないでこの営業に携わつておる。これは全部ではございませんが、こういう点についても、学識経験は必要なものではないかという考え方を持つております。その他登記の手続関係におきましても、知らなければならない。あるいは物件の鑑定においても、しかりであります。特に東京都のごときは、都市計画の面も非常に複雑になつております。その土地を売つてやつたといつても、全然宅地として使えないものもある。従つて、そういうふうな土地の鑑定なり、あるいは法律上の性格なりというものを知らなければならない。評価の点も知つておらなければならない。松とひのきとの区別はつくが、すぎとひのきとの区別はつかない業者というのでは困るのであつて、物件の鑑定などはぜひとも必要ではないかと考えております。そのほかに測量関係等も、若干知つておく必要があるのではないかという考え方を持つております。特にこの面につきましても、講習会を開いておりますが、その上に、やはりこういう質問が出ております。三角形の面積は、底辺に高さをかけて二で割ればいいのですが、そうすると、どうして二で割るのかということの説明を求める。これにはどうも講師の方で参つて、この次からは出るのをかんべんしてくださいというようなことがあるのであります。これはいかに素質の低い人が入つておるかということの一つの例としてお話申し上げたのであります。従つて、この営業につきましては、試験と申しますか、これくらいのものは、この営業に携わる者として、最低知つておらなければなるまいというように、私たち考え方を持つております、従しまして、第四項については、試験の可否については、すでにこの点でおわかりのことだと思つておりますが、資産の面につきましてもさようであります。  なお認可という字句が使つてありますが、どういうことか知りませんが、これは登録要件を強化すれば認可にひとしいではないかと思います。認可も許可も同じでありますから、大した意味もないではないかと思つております。  次は五項の、単に登録業者のみでなく、その使用人の責任についても云云——これはまつたく同感であります。この使用人というものの規制ができておりません。これを規制することが、私最も現業なり企業なりの信用を高める措置ではないかと考えております。御案内の通り業者というものは、かつぎ屋と俗に業界では言つておりますが、情報を持つて来るそのような者を使つております。これがないと一切できないのであります。この性格というものが非常に不安なんでありますから、従つて常用であるか臨時であるかという面と、またそれらの者に対するところの責任というものを、明確にしておかなければなるまいというふうな考え方を持つております。従いまして、法律の中には使用人に対する規制の強化というものもぜひとも必要である、お願いを申し上げたい、かように存ずる次第でございます。  それから六の、二年以上業務に従事する者を登録要件にしておりますが、二年以上おつたからといつて、これは大した意味はないと思つております。  それから七の審議会制度を設ける——これは私大賛成で、ぜひとも法律に書いてもらいたいと考えております。当切この審議会というものを書くことになつておつたのだそうでありますが、どうしたことか削つたのだということを言つておりますが、ぜひともこれはなければおかしいと考えております。このようなのがございませんので、東京都は今年度の都議会において、独自に条例をもつて審議会を設けて、四月一日から発足いたしております。その内容は、いろいろありますが、重要な制度について知事の諮問に応じて回答するとか、あるいは調査研究するとか、あるいは手数料について意見を求めるとか、あるいは営業の取消しなり停止について意見を求めるということのほかに、特にこの審議会においては、事件の紛争について裁定をするということをいたしております。ことに紛争といいましても、取引の実態でなくして、主として手数料の問題についての紛争についての裁定をするということをしております。ほかに、ちよつと話がそれますけれども、建設業部の中に審議会を設けることになりまして、これで私たちは紛争の解決をいたしております。東京都の現況から申しますと、昭和二十五年から約七百件ほどの件数を処理いたしておりますが、そのうちの九五%は解決いたしております。請負とそれから依頼者との間におけるいろいろの紛争がございますが、審議会の名において調停をいたしまして、ほとんど大半が解決いたしておるというふうな状況であります。従いまして、このような状況から考えましても、宅地建物につきましても、かなりの紛争を持つのではなかろうか、このような例を引用いたしまして、宅地建物取引業法の中に書いていただきたい、こういうふうに考えております。東京都といたしましては、他府県に先んじて今年度から実施いたしておりますが、法律をもつて強制していただきたいということを、私この機会に関係当局陳情申し上げたい、かように考えております。  八項の罰則適否についてでありますが、非常に重いというように言われておりますが、私は重いという感じは受けておりません、むしろ強化すべきではないかという考えを持つております。  さらにもう少し立つたついでにしやべらしていただきたいと思います。特に行政を取扱つている者として痛切に感じる点を、この機会におきまして関係当局陳情を申し上げたい、かように思つております。  この法律は、由来当初の発達から申しますと、業界の声から発達したというふうに聞いております。それで当初の案といたしましては、強いものであつたというふうに聞いておりまするけれども、どういうことでありましたか、経過はよく存じておりませんが、でき上つた法律は、きわめて微温的なものであるということになつております。従いまして、私たちが取締りの点につきまして、常時不便を感じておるということを、特にこの際申し上げておきたいと思つております。この営業が、なぜ取締りを強化するかと申しますと、御案内の通り、人の職業につきましては、職業安定法があつて、個人の自由に許しておりません。職業の仲介なりあつせんなり等の取引については、個人の自由企業のわく内にこれを置かないということになつております。そのように人の職業とも同格な立場にある財産を取扱う者を、漫然たる法規のもとに置いておいていいかどうか。せつかくつくつたなら、なぜもう少し強化して行かないかというふうな考え方を持つておるのでございます。私の考え方を申しますならば、先ほどからこの法律が非常に強いのだという意見が多いようでございますが、私は非常にそれは逆だと、こういうふうに考えております。もしそういうふうにして行くならば、竿頭一歩を進めて、この法律の撤廃を叫んだ方が簡単ではないかと考えております。この法律を強化するか、しからずんばこの営業はこのままの姿で行くならば、この営業というものが公営の部門に移されて行かなければなるまい。公営に移すことがいやであるならば、個人の企業としておくならば、さらにこの法律を強化して、営業信用の強固なものとして立つて行かせなければならぬというふうな考え方を持つておるのでございます。  それからなお若干の意見を申し述べますと、法律の字句に関連しておりますが、現在では宅地建物取引業法ということになつておりますけれども、今申し上げました通り、その内容はまつたく宅地建物取引業届出法くらいなものであります。これに付随しまして、若干業者の心構えといつたようなものを訓示的な条文を掲げてあるという程度であります。さらにこれを私は強めて行かなければなるまいというふうな考え方を持つておるのであります。なお、今のような改正につきましては、どういう点を改正して行くのだという点につきましては、先ほどもちよつと触れましたので、この点は省略さしていただきたいと思います。  それから、今申し上げた通り項目別の一の方の農地なり山林なりを含める云々という問題に関連しまして、やはり含めた場合に、不動産取引業法といつたようなものにでもかえて行つていただきたいというふうな考え方を持つております。これに関連して当然生れて来る問題であろうと思つております。  以上、当路の行政にタツチいたしておる者の意見といたしまして、以上のような意見を申し上げます。どうぞ十分御審議の上、私たちの要望をいれていただきたいということを申し添えまして、簡単ながら私の陳述を終ります。なお残余につきましては、御意見に応じましてお答えいたします。
  12. 内海安吉

    内海委員長代理 御熱心な御陳述がありまして、まことにありがとうございました。  なお、これより質問を行いたいと思いますが、参考人各位の間における質疑応答は、この際御遠慮を願いたい、委員参考人との間の質疑にとどめていただきたい。大体取引業法に関する諸問題という点において、第一項、第四項、第五項、第七項、さらになお意見がありましたけれども、この問題について川船さんの御意見は多少かわつたところがありましたけれども、他の須永君、細川君並びに藤川君の御意見は、大体において大同小異であつて、この業法改正ということについては同感なようであります。  これより質問に入りたいと思います。
  13. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山小委員 ちよつと川船さんに御意見を聞きますが、先ほど問題点の五に当るところでありますが、いわゆる使用人の責任について適当な規則を設ける必要がある、こういう御意見であります。ほかの方もそういう御意見でありましたが、この問題は、先ほど須永さんでありましたかの御意見に出ましたように、たとえばこの業法に違反したということで、営業登録を取消しを受けても、具体的な話では、妻の名儀で登録をして、さらに実際は登録を取消された主人がやれるようなことになつておる、こういう問題がありましたので、それをそういう使用人は使つていいとか悪いとか、そういう意味の何かの規定を設ける必要があるかどうかということが、この問題を出した趣旨であつたと思うのです。ところが川船さんの方では、こういうある種の規制をしなければならない、こういう御意見であつたわけでありますが、何かこういう類似のもので、使用人の責任規制のそういう法律か規則か御存じありますか。
  14. 川船勲

    川船参考人 こういう営業について、これに類似の営業で使用人の規則をどういうふうにされておるか、他の事例があるかというお尋ねだと思つておりますが、そこまでは調査してございませんけれども、現在私たちが営業の実態を見ておりますときに、先ほど申し上げました通り、いろいろ問題を起すのは、こういう部面から起しやすいのでございます。と申しますのは、あそこの店の使用人であるというふれ込みで行くけれども、実際はそこへ絶えず出入りしておる要するに情報屋であり、かつぎ屋であつた。その者に手数料を渡した。そこで問題が起きて、店の方にかけ合つてみると、いやあれはうちに出入りする情報屋であつて、私の使用人ではございませんというふうなことがある。その間使用人であるか、今のような単なる情報の提供者であるか、不明確な点が多い。法律も、これは届出を要求いたしておりますけれども、さらにこれを明確なものにして、要するに常用の使用者であつた場合には、責任を持つて行くというふうな形をとつて行つてもらいたいというふうな考え方であります。その間に、あえて法律関係を明確にして行きたいとともに、あわせてこれらの者がその店に雇われておりましても、待遇が非常にまちまちな姿になつております。あるいは歩合制度で行くとか、あるいは安い給料で行くとかいうふうなことになつておりまして、私が業界を指導して行く今後の方針といたしましては、使用人として置くならば、生活に耐え得るような待遇を与える。それからもう一つ、この業界を向上発展させて行くためには、主人、使用をも合せ、横の連絡をとつて、連合組合のごときものが主になつて、健康保険組合等を設けて、使用人なり本人なりの待遇の向上をはかつて行く、そしてこの営業を地に足をつかせて行くということでないと、信用を高めるわけにはいかない。要するにこの営業は、資本も、大した知識もいるわけではない、要は信用一本のものであるので、いかにして信用を得さして行くか、その職業に安定させて行くかということに考え方を置いておるのであります。従いまして、私が今申し上げました点は、以上のような考え方からの意見でございます。その点、念のために申し上げておきます。
  15. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山小委員 今お話の、いわゆるかつぎ屋というのですか、実際業界にそういうことはあるのだということでありまして、有益な意見を聞いたわけでありますが、そういう場合に、川船さんも御存じの、この業法の第二十八条の罰則のところに、使用人が何か法律に違反した場合には、法人でも個人でも同じですが、業主が罰則の適用を受ける、使用人も適用を受けるというふうになつておるわけでありますが、そのかつぎ屋というようなものは、この法律の適用に入る実情にあるのですか。
  16. 川船勲

    川船参考人 かつぎ屋とか情報屋は入つておりません。あそこの店におる、ここのところをどういうふうに区分をするか、これは私はまだ研究の過程にございます。どういうふうにやつて行くかということは、私は研究しておりますが、かつぎ屋なり情報屋ということは、実際はわからない。都合のいいときは常用になつて、都合の悪いときには情報屋になるというようなことがございます。ここのところをもう少し明確にさせなければならぬが、これをどういうふうにしようかということで、今知恵をしぼつておるわけでありますが、いい名案がございません。何かひとつ業界の人たちにも諮つて、いい案を出したいというふうな考え方を持つております。
  17. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山小委員 それは結局いろいろな弊害があるというのは、そこに大きな問題点があると思うのですが、今おつしやつた通りに、この二十八条でつながりができるかどうかということは、具体的には非常に問題だと思う。そのつながりは、一体どういうふうにしたらできるか。つながりができないとなると、一体どうしたらそういう不正といいますか、人に損害を与えるようなことを未然に防ぐ方法がとり得るか。あなたの方は、いろいろ実情にタツチしておられるのでお考えがありはせんかと思いますが、お伺いしたい。
  18. 川船勲

    川船参考人 現在の段階としては、そこまでの方針なり方策なりという点について、まず何かしなければなるまいと私は考えておるのですが、それではどの程度方針なり方策なりを講ずべきかという具体的なことは、まだ御説明申し上げる段階に至つておりません。さらに今後こういう機会がございましたら、その折に申し上げてみたい、かように思つております。
  19. 細野三千雄

    ○細野小委員 さつき東大の有泉教授の、業者の方が、単に土地売買契約を結ぶということでもつて手を引かれるのではなくて、進んで契約の履行まで責任を持つようにしたらどうだという御意見のように聞いたのですが、これに対して、あなた方の実情はどんなふうになつておりますか。
  20. 須永伊之助

    須永参考人 お答え申し上げます。あの東大の先生は、不動産業取引の実態をよく把握しておいでにならないようであります。仲介にあたりましては、民法等におきましても、その責任の範囲は、仲介の範囲でとどまつておるのでありますけれども売買いたします売買当事者の目的は、代金の受渡し、物件の引渡しを済ませまして、無傷なものを登記を完了いたしましたときに、初めて完全に売買されたことになるのてありますから、ただ仲介業と申されましても、私ども事故なく瑕疵なく登記までを完了いたしまして、ちようど先ほどの有泉教授が要望されておるところまでやつておるのが仲介業の現在の実態でございます。
  21. 細野三千雄

    ○細野小委員 かつぎ屋という言葉がさつき出たのですが、これは実際上あるのかとも思いますが、あなた方業者協会をつくつて、お互いにそういうものについての弊害を防ぐような方法を講じておられると思うのですが、どんな実情になつておりますか。
  22. 須永伊之助

    須永参考人 お答え申し上げます。川船部長さんは、不動産業の実態について、いまだ御存じがないようであります。と申します一例は、東京都の現在の登録人員数は、五月一日現在で五千三十二名に達しておりますのを、先ほども四千何ぼと申しておられました。これは御多忙で無理はないと思いますが、この一例から言いましても、御存じがないのではないかと思います。その際に、もし籍のない者が営業いたしますれば、十二条の無登録取引に該当いたしまして、二十四条におきます三年以下の懲役、三十万円以下の罰金に相当いたすのであります。もしそれがどこかに籍があるものといたしまして、従業員、使用人もしくは代理人といたしましてこれが活躍しておるものといたしますれば、それは二十八条の連座規定がございますので、本人が業務規定違反その他のことによりまして違反がありますれば、本人が処罰されますことはもちろん、それを使つております登録業者まで処罰されるのであります。私は寡聞にして東京の実態を存じませんけれども、名古屋その他の都市におきましては、川船さんがおつしやつたような事実は——たまにはあるかもしれませんが、まつたく見当りません。またさような場合があるといたしますならば、せつかく本法ができて処罰することになつておるのでありますから——三四%行方不明の者があるということですが、これは住所の変更等は、二週間以内に届出を要することになつておるのでありまして、もし三四%という実態をつかんでおりますならば、どしどし罰則を適用して粛正すべきでありまして、私は川船さんがおつしやるほど不動産業は乱脈になつていないと考えます。
  23. 堀川恭平

    堀川委員 須永さんに聞きますが、せんだつてあなたが言われておつたときには、法人は代表者だけの罰則にしてくれと言うておられたが、これは撤回されたのですか。  それからもう一つは、ここの四では、資産とかなんとかいう要件があることは憲法違反であるというようなことを言うておられましたが、六の方では、こういうものを認可するのには、二年以上この業務に従事した者ということを書いておられますが、一体その関係はどうなんですか。また一方は憲法違反であり、一方は憲法違反でないというのは、どういうわけですか。
  24. 須永伊之助

    須永参考人 つつしんでお答え申し上げます。従来におきましては自由営業であつたのでありますが、資産制度資格に設けますることに相なりますると、実情から先に申し上げますれば、相当数が脱落して失業いたすのであります。  それから憲法違反であるという私ども考え方には、他に別説も立つことと存するので反りますけれども不動産業のみに特にそういう資格を設けることは、法の前に不平等にするものだといり私ども考えのもとに——近ごろ憲法違反ということが、ちよつと流行いたしておりますために、私どももその病気にかかつてつて、つい言い過ぎかもしれませんが、ただいま申し上げましたような点から、憲法精神に違反すると考えて、上申いたしたのであります。  なお、お前はそう言うのに、二年以上実務に従事した者でなければ登録を受けさせないということは、お前の主張と相抵触するではないか、またそういうお前の説から行けば、憲法違反となるのじやないかというお尋ね、一応ごもつともでありますけれども、私はこの点は、従来自由営業であつたものを制限いたして登録をさせ、登録料をとる本法の建前から、ただいま私ども陳情いたしておりまする二年以上実務に従事した者でなければ登録させないという主張は、不動産業になろうとする者は、二年以上そこで勉強さえすれば、どなたでもなれるのでありますから、これは一つの制限ではない。ただ私どもが心配いたしますのは、建設業者は、きよう建設業の登録を受けますと、建てたものをあすからでも売却するのでありますから、もし私どもの本件に対します陳情が御採用になりますときには、建設業者には本項の規定を適用しないということにでもいたしませんと、建設業者に対しましては、門戸閉鎖になるのじやないか、かような点も実はおそれておるのであります。それ以外におきましては、二年間勉強しさえすれば、どなたでもなれるのであります。  それから、多少の知識は要することでありますが——先ほど川船さんがおつしやいましたような、税法がどうだとか、建築法がどうだとか登記法がどうだとか、測量がどうだとかいうことは、おのおの国家登録試験に合格した者が、それぞれ専門でおるのでありまして、私どもが全部を知らないでもいいのであります。これは当該官吏各位が、何をも全部知らないでもお勤めができるのと同じでありまして、本業の実態を把握しない部長さんといたしまして、かような御意見が出るのも、御無理はないのでありますけれども、ぜひ二年くらいは実習をさせまして、遵法精神も涵養させ、ほんとう取引のこつをも会得させまして、しかして後に登録させることが一番いいのではないか、かように考えまして、実は陳情申し上げておるわけであります。
  25. 堀川恭平

    堀川委員 それでは一体全国のこの業務に携わつておる店舗で、大体平均どのくらい使用人を置いておられますか。
  26. 須永伊之助

    須永参考人 私どものところは法人でありますが、私どもの例を申し上げますと、使用人が現在で四人、あとは役員が従事いたしております。私が承知いたしておりまする東京都のある店で見ますと、会社になつておりますから、その中に役員がおるかもわかりませんが、一人の社長に対しまして二十人くらいの人たちが出入りいたしておるのを見たのであります。名古屋市の例から行きますれば、現在使用人として届出済みの者だけでも、数百人が従事いたしておるところもあります。
  27. 堀川恭平

    堀川委員 それから法人の罰則の件は、どうなんですか。
  28. 須永伊之助

    須永参考人 つつしんでお答え申し上げます。法人の罰則につきましては、先日中川先生でありましたか、小委員会におきまして連座規定を拡充強化しようという時期であるから、第六条第一項第二号中「役員であつた者」を「その法人の代表者」に改めることは、不適当ではないかという御意見があつたのであります。この点につきましては、私どもはすべて刑罰というものは、できるだけその人間に限ることにいたすのがいいのであると考えるものでありまして、一つの会社でも、御承知のように現業に従事いたして給料をとつております重役、それから名前だけつらねております並び重役もあるのでありますが、たまたま現役の重役なり従業員事故を起しますと、営業の取消しに相なりますことは当然でありまして、つつしんでお受けいたさねばなりません。しかしながら、そのときに全部が重役を免職されて失業いたしますことは、よろしいのでありますけれども、法人組織の要件としての役員としてそこにつらなつていただけで罪も何もなかつた者までも、二年先までその営業を禁止されるということは、他の法令と比較した場合にどうか。私どもの立場から行きますれば、これは改めていただきたい、かように考え陳情を申し上げたものであります。  なお第二十条第一項第二号中「又は第四号」を削るということであります。これはたとえてみますと、一千万円の不動産会社があると仮定いたしまして、そのうちに禁治産者が一人できますと——二十条第一項第二号中にこれが入つておりまして、これは第六条の規定でもありますが、その中の第四号を削るという陳情をいたしたのであります。そうして第二十条第一項第二号に該当いたしますと、これはいやおうなしに登録を取消されるのであります。この場合には、私は第二十条第二項の一時営業停止の方にまわすことが適当だと考えまして、前回はなはだ要領を得なかつたと思いますが、その点を希望いたしまして陳述申し上げました次第であります。
  29. 堀川恭平

    堀川委員 川船さんにお聞きしますが、東京都では、この業者で法人がどのくらいあるのか。それから、その法人は同族会社が多いのですか。そうでないほんとうにりつぱな重役として、これから入つておられる人が相当ある会社が多いのですか。
  30. 川船勲

    川船参考人 法人と個人の割合は、大体の数でありますが、一五%が法人になつております。それから法人の内容でありますが、これは二、三の会社を除きましては、個人会社というような見方をしております。そこで、先ほど私申し上げました三四%は、現在調査したところの姿においてはこうだつたが、どうも数字がおかしいので、さらにその内容を精査しておるのだということを前提として申し上げておりますので、先ほど実態が云々とおつしやつておられたが、そういうふうにお聞取り願いたいと思います。  なお参考人間の論争はやめよという御注意でありますが、先ほどの名古屋の須永さんの御意見によりますと、東京都の実態をよく知らぬけれども、建設部長は実態をよく知らぬのじやないかということでありますが、東京都の実態を知らずして、私が実態を知つているかいないかということは論理が一貫しておりませんので、この点を御参考までに申し上げておきます。
  31. 志村茂治

    志村委員 川船さんにお聞きしたいのですが、今東京都で講習会が開かれておりますが、その講習会に参加している業者状態、どのくらい参加しておるか、また講習が終つた後の成績はどうであるか。
  32. 川船勲

    川船参考人 講習の内容を申し上げます。今までに受けた数は、私ちよつと記憶いたしておりませんが、大体地域ごとに会場を三つにわけまして、ぐるぐるまわりにやつております。希望者が非常に多うございまして、この前のごときは、これをお断りするというくらいになつております。私どもといたしましては、その前に講習を受けた方に、あなた方は今後受けるとすれば、どういう科目の講習を受けたいかとか、時間は何時ごろがよろしいかとか、日時はいつがいいかということを聞いて、次の日程と申しますか、講義の内容なり構想なりというものは、そういうふうな意見を聞いてやつておりますので、一定はいたしておりませんが、絶えず業者要望をいれて講習をやつております。その結果から申しますと、非常に喜ばれておると考えておりますし、私の方に連合会が設けられておつて、連合会も共同でやつております。私らの方の経費は少いので、今年度は業界の方からも若干出していただき、両者共同でこれをますます盛んにして行きたいと考えております。
  33. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山小委員 手数料の問題で、東京都の実例を聞きたい。東京都の手数料は、どのくらいの高になつてつて、それをどういうふうにどういうふうな方面に使用しておりますか。それから条例で講習の場合は、低くされておりますか。
  34. 川船勲

    川船参考人 東京都のこの面についての歳入歳出面について御説明申し上げたいと思います。二十七年度の手数料は千四十万円ほどになつております。これに対して、使つた金は約千三百十一万円となつておりますが、この内訳を申しますと、大体これには十人が専属で当つております。そのほかに、そのときの調査の現況いかんによつては、臨時に他の部課から応援せしめておりますが、その経費が二百二十七万円ほどになつております。事務費が約千八十三万円、合計千三百十一万円、過不足して二百七十万円が都が持ち出しているという状況になつております。二十八年度においては収入が減つておる。と申しますのは、二年ごとに更改しておりますので、二年目は落ちて行くことになつております。従つて登録手数料は四百二十一万円というふうに落ちております。これが人件費、事務費合せて六百九十一万円ほど使つております。二十九年度は予算でありますから、九百万円計上してございます。要するに事務費、人件費合せて千百七十一万円使つております。そうすると、大体二百七十万円くらいが都の持出しに入るのではないかと考える。お尋ねの講習議会に対する本年度の経費は、大体六十万ほど使用する建前になつております。なお登録手数料更新とあれとの間において差があるかと申しますと、差はございません。三千円、同じことになつております。
  35. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山小委員 もう一つさつき実態調査を進めておつて、三四%くらいは行方不明みたいになつており、これは再調査しなければ確実でない、こうおつしやつたのですが、それはそうだと思います。それから、先ほど審議会手数料の紛争なんかで相当いい成績をあげておる、こういう話がありました。手数料違反であるとか、あるいはそういう事務所行方不明みたいなことは、業界の粛正のためから大いにやらなければならない、こういうふうにわれわれ考えております。ところが一面、この業法は、あつてもなきがごとしという御意見もあつたのですが、もし手数料で紛争を起すような、この法律に違反しておれば、処罰されたり登録を取消されたりして粛正されて行くという趣旨本法はできておると思う。事務所問題も同じですが、そういう意味で、東京関係で何かこの業法を適用されて、粛正といいますか、そういうことがあつた実例がございますか。
  36. 川船勲

    川船参考人 これまでに二、三警察の方へも連絡をとつておりますが、御承知通り東京都は他の犯罪も非常に多いのでありまして、警察方面はなかなかこれに身を入れてくれないというのが実情になつております。私の方といたしましては、現在の段階といたしましては、罰するなり取消すなりということが主ではございません。現在の段階は、まだ指導の段階ではないか。でき得る限りは指導して是正して参りたいという考えを持つております。今の実態調査も、これからもう少し強く出て行きたいという前提のもとにいたしております。これからは警察の方とも連絡をとつて手数料の問題も解決いたしておりますので、進んで参りたい、かように考えておりますが、法律発足して二年弱の現況といたしましては、でき得る限り指導を加えて参りたい、かような心がけでおります。
  37. 内海安吉

    内海委員長代理 他に御質問はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 内海安吉

    内海委員長代理 参考人各位には、御多忙のところ御熱心に御意見の御陳述をいただきまして、感謝にたえません。本日は御苦労さまでございました。  委員会はこの程度といたしまして、散会いたします。    午後三時十三分散会