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川船参考人 宅地建物取引業法を、
東京都では
建築局の建設業部で取
扱つております。私、部長の
川船でございます。ただいまからお尋ねの点について
意見を申し上げたいと思
つておりますが、最初にお断り申し上げたいことは、私部長でございますが、
建設業部長でなく、
川船個人の
意見というふうにお聞き取りを願いたいと思
つております。時間がどのくらいになりますか、もし
項目について簡単に説明して時間がございましたら、全般について御
参考までに、いい機会なので
意見を申させていただきたいと思
つております。
第一に、
取引業の
対象として広く
農地、
山林をも含むことの可否とありますが、
東京都に関する限りは、
農地だとか
山林だとかいうものを区分して行く意味がないので、これを含めることは、私は妥当だと
考えております。この点は賛成いたします。
それから二の
新規並びに
更新の
登録手数料三千円以下は、三人ともに高いとおつしや
つておりますが、これが他の
手数料との振合いで高いと言うならば、これは議論は別でありますが、この額の
負担に耐えぬということのための反対ならば、私は反対します。われわれはその
程度のものが
負担できぬ
程度の
業者には、あぶなくて取扱わせられないと思
つております。
それから
登録の有効期間の
適否について、長くという
意見があつたのでありますが、私はむしろ逆に縮めた方がいいと思
つております。と申しますのは、ただいま最終的な数字は出ておりません。目下整理中でございますが、その中間報告を申し上げますと、
東京都において今約四千七百ぐらいにな
つておりますが十二月ごろは四千二百ぐらいでございます。そのうちで一割を抽出いたしましたその結果、現住
関係、
営業関係等の
調査をいたしましたものによりますと、住所不明のものが三四%という大きい数に達しております。
昭和二十七年八月発足以来、これだけの数にな
つております。他
府県とは事情を異にしております。これを延長したならば、どういうふうになるかという点を、数字をも
つて御説明申し上げたのであります。この
営業は、御
承知の
通り浮沈常ならざる
営業でございます。ただいまこれを二年を五年にするように、
実情に沿わぬという御議論があつたのは、
東京都に関する限り、その意はむしろ
実情に沿わないじやないかということを申し上げたい。
それから
業者の
資格制度について、いろいろ御議論にな
つておりますが、私たちも早晩解決してもらわなければならない問題だと
考えております。
試験と申しますか
——試験という言葉は、少しどぎついようでありますが、私は何がしかのここに
一つの
資格というものがいるのではないかというふうな
考え方を持
つております。あとから申し上げたいと思
つておりますか、はさまつたので御
参考までに申し上げますと、私は企業というものは、
信用一本のものだというふうな
考え方を持
つております。
従つて私は
登録要件の強化ということは、常に期待しております。どういう点を
登録要件の強化として期待するかと申しますと、
信用を高めて行くという
要件の強化がまず必要です。
信用度のうちには、素質の点と経済面の点と二つあると思うのです。素質の点につきましては、なかなか制定がむずかしいのでありますが、今までにある種の刑事事件について
責任を問われたというような者は、この
営業に携われない。あるいは一定期間携われない、あるいは永久に携われぬというくらいにまで、行くべきではなかろうかという
考え方を持
つております。
業法の違反についても、ある種の違反のものは将来つけないのだ、あるいは一定期間停止するというふうに強化して行くべきものではないかという
考えを持
つております。さらに
信用度を高める上におきましては、経済的な面において、あるいは資本金額とか、あるいは
資産額といつたような面においても、規制は必要ではないか。ただいま
資産要件は
憲法違反云々とい
つておりますが、その点は私ここで議論いたしたくないのでありますが、何といたしましても、人様の財産を取扱うのに、何らの
資産もないといつたような者では、はなはだ不安定だと思う。では金があるから
信用できるかといえば、一概には言えないのてすか、まずおおよその目安として、そのくらいのものはなければならないのではないかと思
つております。
そのほか、学識経験という面からも、私は必要な点があるのではないかというふうに
考えております。と申しますのは、この
営業は、いろいろの
法律関係なり、その他に
関係を持
つておるわけであります。
従つて、この
業法の
関係を知
つておることも必要であるし、あるいは
都道府県の諸規則も知
つておく必要がある。その他、
取引についての物権なり債権なり、
農地関係なり、建築基準法なり、あるいは税法なりが必要ではないか。それらをこと
ごとく知る必要はありませんが、おおよその知識ぐらいはなければ、自分みずからも不便でもあるし、また知らざることによ
つて取引の相手方に迷惑を及ぼすようなことがあ
つてはならないというような
考え方を持
つております。そういう
業者は、かなり多いのでありまして、私
どもの方としては、そういう
業者の素質をいかにして向上させるかという面に力を注ぎまして、絶えず講習会を開いております。過半数がこの講習会を受けておる現況であります。その折の
一つの笑い話を申し上げますと
——今日は有泉先生もおいでになるというお話を伺つたのですが、おいでにな
つておりませんが、講習会に有泉先生に講師としてお願い申し上げております。その折に、最後に講師の方が、何か
質問があるかと申しましたときに、
業者の中から、ただいま先生が盛んに地上権ということをおつしや
つておられましたが、一体地上権とは何ですかという
質問が出たのであります。地上権を知らないでこの
営業に携わ
つておる。これは全部ではございませんが、こういう点についても、学識経験は必要なものではないかという
考え方を持
つております。その他
登記の手続
関係におきましても、知らなければならない。あるいは物件の鑑定においても、しかりであります。特に
東京都の
ごときは、
都市計画の面も非常に複雑にな
つております。その
土地を売
つてやつたとい
つても、全然
宅地として使えないものもある。
従つて、そういうふうな
土地の鑑定なり、あるいは
法律上の性格なりというものを知らなければならない。評価の点も知
つておらなければならない。松とひのきとの区別はつくが、すぎとひのきとの区別はつかない
業者というのでは困るのであ
つて、物件の鑑定などはぜひとも必要ではないかと
考えております。そのほかに測量
関係等も、若干知
つておく必要があるのではないかという
考え方を持
つております。特にこの面につきましても、講習会を開いておりますが、その上に、やはりこういう
質問が出ております。三角形の面積は、底辺に高さをかけて二で割ればいいのですが、そうすると、どうして二で割るのかということの説明を求める。これにはどうも講師の方で参
つて、この次からは出るのをかんべんしてくださいというようなことがあるのであります。これはいかに素質の低い人が入
つておるかということの
一つの例としてお話申し上げたのであります。
従つて、この
営業につきましては、
試験と申しますか、これくらいのものは、この
営業に携わる者として、最低知
つておらなければなるまいというように、私たち
考え方を持
つております、従しまして、第四項については、
試験の可否については、すでにこの点でおわかりのことだと思
つておりますが、
資産の面につきましてもさようであります。
なお
認可という字句が使
つてありますが、どういうことか知りませんが、これは
登録要件を強化すれば
認可にひとしいではないかと思います。
認可も許可も同じでありますから、大した意味もないではないかと思
つております。
次は五項の、単に
登録業者のみでなく、その使用人の
責任についても云云
——これはまつたく同感であります。この使用人というものの規制ができておりません。これを規制することが、私最も現業なり企業なりの
信用を高める措置ではないかと
考えております。御案内の
通り業者というものは、かつぎ屋と俗に業界では言
つておりますが、情報を持
つて来るそのような者を使
つております。これがないと一切できないのであります。この性格というものが非常に不安なんでありますから、
従つて常用であるか臨時であるかという面と、またそれらの者に対するところの
責任というものを、明確にしておかなければなるまいというふうな
考え方を持
つております。従いまして、
法律の中には使用人に対する規制の強化というものもぜひとも必要である、お願いを申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
それから六の、二年以上
業務に従事する者を
登録要件にしておりますが、二年以上おつたからとい
つて、これは大した意味はないと思
つております。
それから七の
審議会制度を設ける
——これは私大賛成で、ぜひとも
法律に書いてもらいたいと
考えております。当切この
審議会というものを書くことにな
つておつたのだそうでありますが、どうしたことか削つたのだということを言
つておりますが、ぜひともこれはなければおかしいと
考えております。このようなのがございませんので、
東京都は今年度の都議会において、独自に条例をも
つて審議会を設けて、四月一日から発足いたしております。その内容は、いろいろありますが、重要な
制度について知事の諮問に応じて回答するとか、あるいは
調査研究するとか、あるいは
手数料について
意見を求めるとか、あるいは
営業の取消しなり停止について
意見を求めるということのほかに、特にこの
審議会においては、事件の紛争について裁定をするということをいたしております。ことに紛争といいましても、
取引の実態でなくして、主として
手数料の問題についての紛争についての裁定をするということをしております。ほかに、ちよつと話がそれますけれ
ども、建設業部の中に
審議会を設けることになりまして、これで私たちは紛争の解決をいたしております。
東京都の現況から申しますと、
昭和二十五年から約七百件ほどの件数を
処理いたしておりますが、そのうちの九五%は解決いたしております。請負とそれから
依頼者との間におけるいろいろの紛争がございますが、
審議会の名において調停をいたしまして、ほとんど大半が解決いたしておるというふうな状況であります。従いまして、このような状況から
考えましても、
宅地建物につきましても、かなりの紛争を持つのではなかろうか、このような例を引用いたしまして、
宅地建物取引業法の中に書いていただきたい、こういうふうに
考えております。
東京都といたしましては、他
府県に先んじて今年度から実施いたしておりますが、
法律をも
つて強制していただきたいということを、私この機会に
関係当局に
陳情申し上げたい、かように
考えております。
八項の
罰則の
適否についてでありますが、非常に重いというように言われておりますが、私は重いという感じは受けておりません、むしろ強化すべきではないかという
考えを持
つております。
さらにもう少し立つたついでにしやべらしていただきたいと思います。特に
行政を取
扱つている者として痛切に感じる点を、この機会におきまして
関係当局に
陳情を申し上げたい、かように思
つております。
この
法律は、由来当初の発達から申しますと、業界の声から発達したというふうに聞いております。それで当初の案といたしましては、強いものであつたというふうに聞いておりまするけれ
ども、どういうことでありましたか、経過はよく存じておりませんが、でき上つた
法律は、きわめて微温的なものであるということにな
つております。従いまして、私たちが取締りの点につきまして、常時不便を感じておるということを、特にこの際申し上げておきたいと思
つております。この
営業が、なぜ取締りを強化するかと申しますと、御案内の
通り、人の職業につきましては、職業安定法があ
つて、個人の自由に許しておりません。職業の仲介なりあつせんなり等の
取引については、個人の自由企業のわく内にこれを置かないということにな
つております。そのように人の職業とも同格な立場にある財産を取扱う者を、漫然たる
法規のもとに置いておいていいかどうか。せつかくつくつたなら、なぜもう少し強化して行かないかというふうな
考え方を持
つておるのでございます。私の
考え方を申しますならば、先ほどからこの
法律が非常に強いのだという
意見が多いようでございますが、私は非常にそれは逆だと、こういうふうに
考えております。もしそういうふうにして行くならば、竿頭一歩を進めて、この
法律の撤廃を叫んだ方が簡単ではないかと
考えております。この
法律を強化するか、しからずんばこの
営業はこのままの姿で行くならば、この
営業というものが公営の部門に移されて行かなければなるまい。公営に移すことがいやであるならば、個人の企業としておくならば、さらにこの
法律を強化して、
営業を
信用の強固なものとして立
つて行かせなければならぬというふうな
考え方を持
つておるのでございます。
それからなお若干の
意見を申し述べますと、
法律の字句に関連しておりますが、現在では
宅地建物取引業法ということにな
つておりますけれ
ども、今申し上げました
通り、その内容はまつたく
宅地建物取引業届出法くらいなものであります。これに付随しまして、若干
業者の心構えといつたようなものを訓示的な条文を掲げてあるという
程度であります。さらにこれを私は強めて行かなければなるまいというふうな
考え方を持
つておるのであります。なお、今のような
改正につきましては、どういう点を
改正して行くのだという点につきましては、先ほ
どもちよつと触れましたので、この点は省略さしていただきたいと思います。
それから、今申し上げた
通り項目別の一の方の
農地なり
山林なりを含める云々という問題に関連しまして、やはり含めた場合に、
不動産取引業法といつたようなものにでもかえて
行つていただきたいというふうな
考え方を持
つております。これに関連して当然生れて来る問題であろうと思
つております。
以上、当路の
行政にタツチいたしておる者の
意見といたしまして、以上のような
意見を申し上げます。どうぞ十分御審議の上、私たちの
要望をいれていただきたいということを申し添えまして、簡単ながら私の陳述を終ります。なお残余につきましては、御
意見に応じましてお
答えいたします。