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1954-08-24 第19回国会 衆議院 建設委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十四日(火曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 内海 安吉君       高木 松吉君    高田 弥市君       丹羽喬四郎君    堀川 恭平君       山田 彌一君    赤澤 正道君       五十嵐吉藏君    片島  港君       西村 力弥君    三鍋 義三君       安平 鹿一君    山下 榮二君       只野直三郎君  委員外出席者         建設事務次官  稲浦 鹿藏君         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     水野  岑君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建設事務官         (住宅局長)  師岡健四郎君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 八月十八日  委員仲川房次郎辞任につき、その補欠として  丹羽喬四郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員志村茂治辞任につき、その補欠として片  島港君が議長指名委員に選任された。 同日  委員片島港君が辞任につき、その補欠として志  村茂治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  第五号台風による災害状況に関し説明聴取  建設行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 内海安吉

    内海委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が不在でありますので、理事である私がかわりまして委員長の職務を代行いたします。  第五号台風による災害状況に関しましては、政府より説明を聴取するのでありますが、これは開会前に懇談の形式で米田河川局長より聴取いたしましたので、ただいまより政府当局に対し質疑を行いたいと思うのでございます。質疑の通告がございます。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 このたびの第五号台風だけではございませんが、こういう天災地変が広汎に起きた場合の連絡網というものは、どういうことになつておるのか。八月の十二日ですか、この台風被害総額報告が、今建設省には全部集まつておる、これは相当のスピードであると思われるのですが、昨年の九州、山口県その他を襲つた台風において、その連絡通報というものは非常にばらばらであつたということを、私は聞いておりまして、そういうことから、それを総合的に一本にして政府のこれに対する対処策を徹底し、また統制あるというか、効果あらしめるというか、そういう方策をとらなければならぬ、そういう見解から、内務省復活という意見が、その点に関しまして相当出て参つたのでございます。そういうことは非常に危険なものと私たちは考えておるのですけれども、しかし、いずれにしても、内務省復活に変化することは危険であるが、災害情報を正確に、しかも迅速にキャッチして、そして広汎なる災害全体を見通して、これに対する対処策を早急に立てるということはぜひ必要であるし、そういうことが政府責任である、かように思われるわけであります。それで、このたびの十二日の被害額がちやんとプリントになつて出て来ておるところを見ますと、その間の調整が相当前進されておるのじやないか、かようなぐあいに思つておるわけですが、建設省としては昨年の経験にかんがみまして、本年度はそういう点に関する努力をどういうふうに前進せられておるのか、お聞き申したいと思うのでございます。
  4. 米田正文

    米田説明員 台風時の連絡通報の問題については、実は非常にわれわれ今苦慮をいたしておるところであります。御承知のように、今そういう連絡通信はつきりしておるのは、警察電話が一番はつきりしております。警察が各県に直接の連絡網を持つ。それから各県には各地方警察から通報がある。今これが一番完備しておる。それから気象台関係では、各地区中心になつて地方情報を集めることになつております。東京との連絡無電でやることになつております。それからわれわれの方はまだ完備したものを持ちません。今そういう整備拡充中でございまして、各地点に無電装置をいたして、各主要河川地方建設局の中枢とを無電で結び、その無電で結んだものを東京に送る、こういう方針で今整備中でございまして、まだ完備をしておりませんが、これは近いうちに完備をする予定でございます。そこで今やむを得ないので普通電話を優先使用する方法をとつております。洪水報だと電話局に申し込むと全部の電話に優先して各地区連絡がとれる、こういう方法で現在やつております。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいまロボット観測機ですか、あの無線の通報機が近く整備せられるということですが、現在はどういう程度まで整備が進んでおるか。しかも東北地方では一明年度ですか、これを予算化して実施するとなつておるが、どうもそれがいろいろな関連から、また計画が延ばされるのではないかというようなこともあるわけなんです。それでは非常に東北地方としては困るのでございます。これは計画通りつて、早急に災害地帯情報をキヤツチして、そして計画を立てる。よい計画は着々と既定計画通り実施してもらいたい、こう念願するものでございます。その進行状況と、今問題になつておる東北観測施設の充実に対する建設省側計画、見通し、そういうものについてお話を願いたい。
  6. 米田正文

    米田説明員 現在のところ東北では、北上川水系中心にして、無電連絡を仙台とできるようになつております。そのほかに今年は最上川と阿武隈川の水系に増設をする予定でおります。これは本年度中であります。来年度以降についても、なお拡充をして行く方針ではございますが、まだ今そういう予算を計算中でございまして、できるだけ私どもとしては予報施設完備する方針で進みたいと思つております。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 この前、私、山形県の西郷の軍事道路の問題に関し、御質問申し上げましたときには、次官は御出席なかつた。それで次官にお聞きしたいのは、その際保留してある一点なのでありますが、あの道路事業認定になりまして、去る二十一日に第一回の収用委員会が行われました。それで、その前にさかのぼりまして、本年の一月八日に、関係農民上林與市郎代議士があなたの方に参られまして、そうしてるる事情を訴えた。その訴えを聞かれて、やはりこの計画現地状況あるいは住民の利益、そういうものにわたつて考えますと無理があるというわけで省議を開いてその認定は行わないことにした、こういうぐあいに上林代議士答弁しておつた、こういうことを私は直接上林君から聞いているわけです。この前官房長がおいでになりましたので、その点をただしましたところが、私としてはそういう省議を開いたことは記憶は全然ございません、こういうことでございました。そこで、これは次官に聞くか、また当時の大臣である戸塚氏に聞くか、いずれかにしなければならないことになつて保留しておるわけであります。確かに官房長の言われることが正しいのか、また私が上林氏から直接聞いたその話が正しいのか。これは上林君が帰つて来ると、直接対決しなければならない問題になりますので、はつきりと御答弁願いたいと思うわけであります。
  8. 稲浦鹿藏

    稲浦説明員 この問題については、私のところへも、また前の大臣のところへも陳情に見えまして、いろいろ事情を聞いてみますと、村で意見二つに割れておる。その当時の話では、大体数において半分ぐらいずつの割合で賛成反対がある、こういうことでございました。同じ村で住民二つに割れるということは、まことにおもしろくないから、それで住民納得してもらつてそうして仕事を進めてもらいたい。県に行つて話するか、抜打ち的に事業認定をきめてしまうというようなことはやりませんから、かようなことを、大臣の意向も相談申し上げて、そういうふうにしてお答えしたいので、その間二度くらい見えたのです。その問題を省議を開いてその結果を申し上げるといつたことではありません。それははつきりと申し上げます。ただ円満に話し合つて、こういう問題は解決すべきものだ、県の方から十分に納得のできるような了解を得てもらいたい、事業認定省議を得たからといつて、すぐにはやりませんからと、かようなことを申し上げたのです。
  9. 西村力弥

    西村(力)委員 二つに割れるというその二つというのは、これは二等分であるかどうか、それはわかりませんが、この前も申し上げた通り、現在道路の幅を広げる問題に関連する人は百十名、その中の八十五名が現在道路拡幅には全面的に協力すると言つた。ところが、今認定によつて強行せられようとしておるその新道路関係者は、五十六名中四十六名が反対しておる、こういう事実なんだ。それを二つにわかれるという場合に、まつたく両々勢力が相拮抗しているように二等分であるかのごとくお受取りになつておるのは、これは実態をあまりにもお知りにならないことではないかと思う。そういう点からいいまして、二つに割れているということではなくて、現在道路拡幅であれは、三十年来の住民の希望である。それには惜しみなく協力する、ほとんどの人々がそういう態度をとつておるときに、なぜわかろうとなさらないのか。全然そういうことは通じなかつたのかどうか、まことにその点は遺憾に思わざるを得ないわけであります。そこで今、抜打ち的には事業認定はしない、知事側においては住民納得を得て来るようにと言われた、こう言われだのでありますが、そうしますと、事業認定をやつたのは、結局抜打ち的ではないという、そういう御丁寧なる手続あるいは何かをふまれたことになるのではないか。また県側において住民納得せしめて来い、しかる場合には認定をするかしないか、そういうようなこと。納得すれば認定の必要はないことになるのでしようが、そういうことを言つていることは、結局認定をしないということになる、そういう言葉であるとわれわれは思わざるを得ない。今のお言葉による一つは、抜打ち認定はしないということ。ところが認定したのだから、抜打ちでないという、そういう段階をふんだ手続というものはあるはずだということと、住民納得をせしめて来いと言つたそのことは、認定はやらないという意味であつたのだとわれわれは解釈することに対する次官のお考えをお聞きをしたいと思います。
  10. 稲浦鹿藏

    稲浦説明員 その後県の方が地元にいろいろ説明し、交渉して、聞くところによりますと、副知事あたり現地行つていろいろ説得したそうですが、結局がんとして聞いてくれなかつたから、どうもやむを得ないからその認定をせざるを得なかつたというようなことでありましたが、結局手続をとつたのです。その問いろいろ折衝し、時間もかけておる。結局やむを得ないとして取扱つたと思います。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 思いますといつて、あなたの方で認定なさつたのだから、思いますでなくて、そうしたのだろうと思うのですが、そういう言葉のやりとりはとにかくとしまして、この前の計画局長の御答弁では、現地に人を派して、その現地調査報告に基いて最後的な腹をきめたというような趣旨の御発言があつた。それで本日、その調査に行かれた事務官報告書を見せていただきたいと言いましたところが、そういう復命書というものはないのだ、こういうお話でございました。一体命令を受けて出張されたときに、建設省においてはそういう復命書というものは出させないか、口頭による復命だけでよろしいとしておるか。このようなことは、一般の役所の常識としてはあり得ないことではないかと思うのです。一体確かにその復命書というのはないのかどうか、御答弁願いたい。
  12. 渋江操一

    渋江説明員 この復命書につきましては、この前の委員会西村委員からの御質問に対しまして私申し上げたかと思いますが、復命書はとつてある、写しもございます。それらは一連の関係書類として保存してございますので、御要求がございますれば、その内容をお見せするのは、決して躊躇するものではないというふうに私も考えております。
  13. 内海安吉

    内海委員長代理 西村さん、この間から大分猛烈におやりになつたようだが、今の計画局長書類ですか、そういうようなものをごらんになつたら、おわかりになるのじやないでしようか、どんなものでしようか。
  14. 西村力弥

    西村(力)委員 それを見せてもらいたいとこちらの方に頼んで建設省に申し込んだところが、それはないというあなたの方の答弁つたというので、私はふしぎに思つてつた。今の御答弁で、それはあるということがわかつたから、それを見せていただきたいわけなんです。それを見ると、また話が発展するわけですが、私もその点については、道路局長とそれからあなたと、会議終つたあとで話をして、その調査があまりに形式的というか、大事なところにさわらないようだと言つたところが、こういう点はこちらで責任を持つて調査に当つたのに、それを信用をしないのじや話にならぬとあなたが怒られた。私は、怒らないで話をしようというぐあいに言つた。それはまあ私的な話でございましたが、確かにこのたび帰つてみまして現地人々に聞いてみますと、上林代議士もそのことを知つて県庁行つた。ところが、いつ来るかわからない。それでは現地の楯岡という町の土木出張所行つたのだろうということで、そこに行つたところが、全然そういう人が来るということはわからない。どうにもわからない。それで土木出張所の名をかたつて村の役場電話したところが、確かに来るのだ、こういうことであつたので、それでは現地行つているのだということで行つたところが、向うから自動車で来た。それでここが現地だから降りてくれと言つたところが、現地を見る必要はないと言つて、ちよつと降りただけで、そこに二、三分降りただけで、どこか別のところに用事があるからというので行かれた、こういうことになつておる。それから関係住民も、その日そこに着かれる一時間ぐらい前に、建設省の係官が来るから集まれと言われた。しかし一時間前に言われたつて、ろくすつぽ集まるわけはない。二、三人の人が来ただけで、上林代議士もそこには立ち会つていない。そうして追つかけまわして、こつちから行つたの向うの方から来たのとぶつかつて、ここが現地だから降りてくれと言つたところが、二、三分降りただけですぐ行かれた。それから役場における会談には、県側とか役場側とか、そういうものはたくさんおりますけれども現地関係住民は二、三人が一時間前に通知を受けて乗り込んだだけで、ろくすつぽ話もできなかつた、こういうことになつておる。だからそのことを聞いて――私は事実を知らなかつたから、そういうことをあまり言つて役人の人格を傷つけたりあるいは苦境に陥れてはいけないと思うからこの前は言わなかつたけれども、この間住民会つて事情を聞いてみるとこういう事実がある。それを唯一の判定の基礎としてこういう認定をされるというのならば、あまりあたたかい行政ではないのじやないか。あの住民たちは、もうわずかばかりの土地を取上げられて、しかも前々から、大且川という川があつて、それを改修するために時折自分の持ち田を離して、自分犠牲にしながらその河川を守つて来て、そうして今度道路を新しくつくるために非常な犠牲をする。しかもその道路は、こつちに部落があつてこつちに川があつて道路をはさんだ新しい部落の発展ということは考えられない。こんなことをして子孫に残したらどういうことになるかということを言つておる。そういう現地賛成反対のいかん、あるいは将来を見越した立場、あるいは農業経営の規模の点、そういうような点をとくと調査をなされるべきはずであるにかかわらず、そんなものを基礎にして判断されたのでは、私どもとしては、それは建設行政として万全ではない、こう言わざるを得ない。しかも、最後のぎりぎりの認定をし、土地収用をやろうとする態度は、あまり好ましくないと思う。これは少し苦情めいて参りましたが、その復命書というものに対しましても、私たちは、あなた方が置かれておるウエートよりぐんと軽い、まつた現地を見ない立場において、しかも関係住民の少しばかりの意見を聞いて、より多く起業者側である県側意見のみがのしかかつて来た報告書であるということを言わざるを得ないわけであります。それは法によつて土地収用もできるでしようけれども、そういう法というものは、これは恐れおののいて最後的に行われなければならないのじやないか。これは憲法第二十九条に規定されておるものを侵すということになるのでありまして、あなた方が持つておる権限というものは、決して生来ある権限でなくて、これはもうやむを得ず収用することを認められておるものであるので、もつともつと慎重にそのことをなさるべきでないかと思う。  その点の御答弁はいりませんが、それでは次官にお聞きいたしますが、この費用安全保障諸費から出ておる、そして年度が特別で年々延ばされておるわけですが、安全保障諸費から一般道路費用支出するということは、決算上あるいは予算の構成の組み方からいうて、安全保障諸費というものはかくかくの目的で組まれおるのだというような点から見まして、この支出は不当なものにならないかどうか、こういう疑念を私は持つわけであります。一般道路費用というものは、また別な費目で計上せられ、支出せらるべきであり、一般道路であるというぐあいに主張せられる限り、安全保障諸費から出すということは、会計上の非常にルーズな運用ではないか、かように思われる。御列席の建設委員の各位は、おかしいことを言うというように思われるかもしれませんが、私は建設委員会はしろうとでございますので、そういうしやくし定規的な疑問を持つわけでありまして、この点に関する御答弁を願いたいと思います。
  15. 稲浦鹿藏

    稲浦説明員 行政協定費用でもつて一般道路改修をやることは不当でないか、こういう御意見でありますが、これは何か行政協定費用を使い得る理由があつて初めて支出できますので、委員会でいろいろ相当検討した結果支出されて、全国的にほとんど一般道路にこれが使用されております。建設者としましては、公共事業道路改修なり改良をやつておりますが、非常に経費も足りませんので、こうした費用支出し得られることは、道路改良促進のために非常に効果的だ。なお全国的に、国道ですらこれを使つております。別に法的な間違いじやないという見解でもつて、むしろ地元負担もかかりませんし、非常に道路改修としては効果的なものだとして、これをとることに非常な努力をしている次第であります。むしろほめていただかなければならぬくらいである、かように思つているのですが、この点でおしかりを受けるということは、まことにわれわれとしては心外にたえないところであります。関係各省が集まつて検討した結果支出しておりますから、違反じやないと思います。さようひとつ御了承願いたいと思います。
  16. 内海安吉

  17. 片島港

    片島委員 災害復旧のことで少しお尋ねしたいのでございますが、台風五号のみならず、台風などがあつた場合、いろいろと建設省被害状況などの調査をやられるわけでありますが、本日先ほどからの局長の御説明による災害金額ども、私手元の資料で調べて見ますと、ほとんど各現地からの報告に基いた数字がここに計上せられているようであります。従つて地元各県から報告せられるものには、そこの非常な主観がまじつておりますから、必ずしも正確なものではない。あるところは非常に水増しをし、あるところは非常に正確にやつているわけであります。これについて、建設省最後的に査定をせられる場合には、どういうふうな方法をとつてやられるでありましようか。
  18. 米田正文

    米田説明員 お話通り、ただいまお手元にあります報告額というのは、文字通り報告額でございまして、内容の検討をいたしておらぬものでございます。しかもこの報告数字なるものは、台風直後早々の間に報告せられたものでありまして、十分精密な実地調査をした結果ではございませんのが実情でございます。そこで各府県はこの災害後、各被害地に参りまして測量をして、原形に相当する復旧計画というものを立てるわけであります。原形が適当でない場合には、改良を含んだ設計書をつくるわけであります。各一箇所ごとにこまかく積み上げた設計書というものができ上る。一箇所が百万円とか五百万円とかいうような設計書ができ上るわけです。そこでその設計書をつくるのには、件数にもよりますけれども、どうしても災害直後二、三箇月かかる。去年のごときは、非常に数が多かつたので、全国で十万件もございましたから、十万冊という設計書全国でできるわけでありますので、去年は非常にひまがかかりました。今度の災害でも、まだよくわかりませんけれども、従前の実績から申しまして、おそらく二箇月ぐらいは設計書をつくるのにかかる。そうすると、そういう設計書について、技術者が一々現地行つて、そのでき上つたものを査定するわけであります。建設省から、あるいは農林省から、それぞれの主管省から現地行つて、破壊の状況復旧計画設計計画等を照し合せまして、そうして現地で検査する。そしてこれが適当ならばそのまま発足します。これが少し余分に見込み過ぎているということになると、見込み過ぎの分だけを削りまして、適当なものにかえさせる。あるいは足らないものについては、また増額をさせるというような適宜な方法現地でとりまして、最後査定を受けた設計というものが確立するわけであります。そうしますと、各県は、そういう検査を受けて確立した設計を総まとめにしまして、たとえばの話ですけれども、今まで三億という報告をしておつたけれども、そういう集計をした結果が二億五千万円になる、こういうような結果になつて、それを各関係省――建設省なら建設省としてはそれを集計して、予算支出対象にする。でありますから、要は設計書が完成をいたし、査定が終了いたしまして、確定数字が出て来る、こういうわけであります。
  19. 片島港

    片島委員 それは全額国庫負担の場合はそうでありましようが、補助金などを交付する場合も、そういうことになるのでありますか。
  20. 米田正文

    米田説明員 その点私の説明が足りませんでしたが、今私が申しましたのは、国から補助をする工事でございます。各府県及び市町村が、それぞれ国の補助を受けるべき災害を持つておる。ところが、今私どもの所管しております災害国庫負担法対象になるべき災害復旧というものは、おのずから中に限界がございます。そのわくに入らないものは、今度は府県なりあるいは市町村が単独で、自分みずからの力で復旧しなければならぬわけであります。それは種領別にも、そのわくに入らない種類があると同時に、金額からいいましても、そのわくに入らない金額のものがございます。というのは、府県では十五万円、市町村では十万円という限界以下のものは、それぞれの地方自治体で自分責任を持つて復旧する、こういうことになつております。それからこの国庫負担対象にならない種類工事がございます。それもやはり地方団体自体復旧しなければならない、こういうことになりますので、それらのものについては、建設省なりあるいは国の機関としてはタッチいたしません。
  21. 片島港

    片島委員 これは一つの例でありますが、農地災害の場合、山口県のある二箇村で非常に莫大な災害復旧費をいただき、災害復旧をいたしたほかに非常に金が余つて、すつからかんの農協が非常に大きな貯蓄をしたという例が、決算委員会報告されたことを、私聞いておるのであります。また建設省関係において現地行つてみますと――実は会計検査院が抜打ち調査をいたしまして、その結果補助金だけで工事をやつておるために地元負担を出しておらないというような関係から、国への補助金の返還の命令を出すというようなことをやつておるわけであります。これは抜打ちでありまして、一割にも満たないようなところを調査しておるのでありますが、調査をするということになれば、そういう例が非常に多いわけであります。それとまた逆に、遠慮がちな地方自治体におきましては、自分のところでこれだけの工事をやりたいけれども地元負担がかさむからというので、わざわざ遠慮しておるようなところもあるのであります。そういうわけで、会計検査院が全的面な調査、あるいは遠慮しておるところまでの調査はできないのであります。建省としては、ただ単にいろいろと県の方で設計図をつくられるとかなんとかいうことでなしに、この公平な配分について、もう少し精密な慎重な態度をもつて査定をせられないことには、地方自治体としては非常に困ると思います。もし返還命令などが来た場合に、隣の村には検査に来なかつたがために、隣では運がよかつた言つており、調査せられたところは、うちは運が悪かつたというようなことがあるのでありまして、運ばかりでやるのではなくて、何とかそこにもう少し公正な方法を講じてもらわなければならぬと思いますが、その点について何か御意見がありますか。
  22. 米田正文

    米田説明員 おつしやられるような事例がいろいろございます。会計検査院からも指摘され、あるいは財務局が調査行つてそういう事例を指摘したり、いろいろございます。実は従来の査定は、私どもの方から現地に出かけます査定官の数が非常に少いために、全部の現地査定というものは行い得ないので、サンプル的にある率のものだけを見て、あとは県庁のうち、あるいは地方土木出張所の中で書類で検査をしたのが一昨年までの実績でございます。これは長い間、非常に検査官が少かつたのと、それからこういううそのことを言つたり、虚偽の設計をするというようなことは、終戦前には例がなかつたわけで、そういうように人が足りないものですから、実地査定をしないで部屋の中で書類審査をする、こういうのが非常に多かつたのでありますが、おつしやられるような事例があちこちらに出て来たのが最近の実情であります。そこで昨年から百パーセント現地調査をしようというので、要員も多数増員いたしまして、去年は百パーセントを目標にしてやりましたが、去年の災害量が多かつたために、最後の結末としては、全体の八割は現在査定をし、あとの二割はやはり書類査定によらざるを得なかつた実情であります。ところが問題は、やはり書類査定をしたものの中から生れて来るのが実情であります。そこで本年度は、ぜひ百パーセント実地査定をしたいというので、要するに検査官を増員することにおちつくものですから、その方面の折衝を今いたしております。来年度予算としては、ぜひこれは実現をいたしたい、こういうふうに考えております。  ただいまお話のありました中に、さらにいろいろな事情で、地方から唐出ないものの中にも、種々災害復旧しなければならぬものがあるということでございます。その通りだと思いますので、あるところではまだ災害があるのに要求しないところもある、逆にないのにあるように出すところもある、そういうように、ちぐはぐではありますが、要するに現在の法律の建前としましては、補助を申請して来たものについて、これを査定して補助をするという建前になつておりますので、補助を申請して来ないものには補助をしないというのが今の建前であります。やはりどうしても地方公共団体が補助を申請して来たものに、今のところ限つておる実情でございます。ただ現地行つてそれでは非常に足りないではないか、もつとこういうところをやらなければいかぬじやないかというような目につくところがあれば、今までも検査官があれもしなければいかぬじやないかというような指示をした例はございますけれども、建前としては、申請して来たものに対して補助をするということになつております。
  23. 片島港

    片島委員 申請して来ないのはやむを得ないのでありますが、補助を受けたので工事をやつて自分のところでは地元負担をやつておらなかつた、負担が非常に足りなかつたというような関係から、返還をするように命令が出ておる。こういうところは、非常に困りまして、特に貧乏な町村が多いのでありますから、次に来つたところの災害について、災害復旧ができないような状態になつておるわけであります。そのために、過年度災害がそのまま累積をして来るような形になつておるのであります。これを返還するということは、現地においてとうていできる問題ではないのでありまして、正直言いますと、検査を受けたところが運が悪かつたというような状態になつておるようであります。全部を検査するということになれば、非常にたくさんなものがひつかかるわけでありますから、これを救済するのは――摘発せられたものを救済するということは、法的にはできないかもしれませんが、建設省としては、これを実際の行政面において救済する意味において、次の災害復旧などの補助の場合に、それを幾分ずつ減らしてその方から差引いて行くといつた形において救済する方法でもとつていただくことはできないものかどうか。そうしないと、隣村同士で非常な不公平な状態が起きておるわけであります。私が言つたのは、一つの例でありますが、何かそういう点を公正を期するような方法行政的に考える余地はないものかどうでありますか。
  24. 米田正文

    米田説明員 非常にむずかしい問題でございます。なるほど実情論から申しますと、今のように何とかそれを解決してやりたいというお気持が強く出るということは、ごもつともでありますけれども、また一面、今災害補助の厳正という面から、災害復旧にいろいろと事故がある、水増しがある、二重査定がある、こういう問題をいろいろと指摘をされております。それも今申しましたように、書類の審査の中からそういうものが生れ出るのですが、そういう虚偽の申告に類する、平たくいえば悪いことをしたものに対して、その救済をやるというのは、今の災害復旧の厳正を期するという意味からは、非常に困難だと思います。これは私どもとしては、当初から虚偽の申告をしないように努力をいたしております。なるほど、昔の災害補助率というものは、比較的少く、今の法律では三分の二であります。六割六分の補助が一番下の線であります。しかし去年のごときは、一番大きいところは九割九分くらい行つたところがございます。そういうふうになれば、一〇〇のうち九九まで国の補助ですから、地元の負担が非常に少いのです。去年の災害は非常に大きかつたために補助率が上りましたが、そういうところは、地元負担ももちろんある程度はありますけれども、そう負担ができぬという程度ではなかろう。以前の分で、そういうお話のような補助率が低かつたために地元負担ができないで、その足りない分を何らかの方法でやらないとかいうようなことで、国の補助だけで仕事をしておつたというものについては、実は会計検査院あるいは大蔵省からも、非常にきつく還付させるようにという指示を、私どもはその都度催促されておるような実情でありますから、これは御了承を願います。
  25. 片島港

    片島委員 よくわかつたのでありますが、ただ地方自治体というのは、御承知のように災害復旧関係が一番大きな財政負担となつておるわけでありまして、地方自治体が現在のような財政状態では、災害復旧というものは国にたよらなければならぬのはやむを得ないのであります。私は九州ではありますが佐賀県ではありませんが、御承知のように佐賀県の県財政が非常に逼迫しております。九州では、各地にそういうような状況がありますが、県市町村等におきまして、たいがい災害復旧費をこの程度まではもらえるだろうという見込みから、復旧をだんだんとやつておりましたところが、査定を受けたためにそれだけもらえない、それは結局地方自治体がかぶらなければならぬといつたようなこと、それから補助金が非常に遅れるために、そのつなぎがどうしてもできないといつたようなことが、県市町村に対する財政の非常な行き詰まりを生じておるような状態であります。こういうような場合において、何か応急に当然やるべきであろうと思つて地方自治体が見込み復旧に着手した場合には、これだけはカバー治してやる、あるいはやむを得ないような場合には、補助金をできるだけ早目に交付をする、こういうような手当はやつておられますか、また今後やつていただくようになるのでありますか。
  26. 米田正文

    米田説明員 佐賀県のごときは、災害のために県財政が非常に苦しくなつて来たという実情のようでございますが、お話のように、災害を受けてそれを早期に復旧するというために、金の支出が非常にふえる。それに対して国の補助予算支出が非常に少い、こういうために、その支出したものと、国からもらう補助予算との差額が借りた形になつてつておるというような事例が各地にございます。それは二十八年度災害についていうと、去年と今年で合せて、私ども査定数字では、大体三〇%が今年度一ばいかかつて行く金高でございます。一方それに対して県はどういう実情にあるかというと、四割ないし五割やつておるところがあるのでございます。そうすると、三割と四、五割の差である一、二割というものは、今地方の負担になつておるという形でございます。財政当局にいわせると、金の行つただけ仕事をやつてくれ、こういう極端な議論もございます。しかし私ども事業官庁として見ると、そういうわけに参らぬ、やはり再度災害を受けないように、今度の台風に重要なところは対策が立つておるようにというような措置をどうしてもとらざるを得ないので、今の今年の予算状況から見て、三割程度の支出ではどうしても足りないというので、二十八年度災害については、今年内にもう五十億融資をしてもらいたいということを、今強く大蔵省に折衝中でございます。まだはつきり出せるという見通しまで立つておらぬ段階ではございますけれども、なるべく早く五十億の線を確保したいというので、今努力しておるところでございます。これが出れば、各県とも今の問題の解決ができるではないかと思つております。
  27. 堀川恭平

    ○堀川委員 ちよつとだけ気がついたから河川局長にお伺いするのですが、私先般北海道へ行きまして、災害の点も見たのですが、木橋の間にごみよけの柱が立つている。あれが洪水のときに流木でこわれてしまつている。みんななくなつているのを、災害対策に認めてくれ、こういうことだつたのです。実はそれを聞いてみる、検査官は現地に来て査定をして認めたものです。ところが本省に帰つたらそれはいけないのだ。こういうことで省かれたというのみです。私はどうも納得できないのです。前のごみよけをつけなかつたら、今度の洪水では橋のけたが飛んじやうのじやないか、こう思うのですが、一体どうなんでしようか。
  28. 米田正文

    米田説明員 実は具体的な事例として私まだ承知をいたしておりませんが、お話だけ承つてみますと、これが県道なりあるいは市町村道なりの橋梁であつて、それがごみよけといいますか、流木よけあるいは流木よけのための棒ぐい施設であつたものが災害を受けましたら、その金額が、たとえば県の場合でしたら十五万円を越し、あるいは町村の場合でしたら十万円でございますが、そういう金額を越しましたら、当然対象になるべき性質のものでございます。もしそれを採択しなかつた、不採択にしたということでしたら、何かほかに原因があるのかもしれません。よく調査いたしますが、できますればその名前と場所をお伺いいたしておきたいと存じます。
  29. 堀川恭平

    ○堀川委員 メナシベツ川です。しかしこれは二百五十メートルくらいある橋でしたから、十万円や十五万円じやなかろうと思います。ほとんどなくなつておりました。
  30. 内海安吉

    内海委員長代理 ほかに御質問ございませんか――それでは本日の災害対策並びに建設行政に関する一般質問はこの程度といたします。お暑いところ御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会