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1954-06-03 第19回国会 衆議院 建設委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月三日(木曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長代理理事 田中 角榮君    理事 瀬戸山三男君 理事 中島 茂喜君    理事 志村 茂治君 理事 細野三千雄君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       高田 弥市君    仲川房次郎君       堀川 恭平君    松崎 朝治君       赤澤 正道君    村瀬 宣親君       井手 以誠君    三鍋 義三君       山下 榮二君    只野直三郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    牧野 誠一君         建設事務官         (河川局防災課         長)      淺村  廉君         参  考  人         (東京都議会建         設委員長)   内田 道治君         参  考  人         (東京建設局         河川局長)   佐藤 九郎君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ――――――――――――― 六月二日  委員高田弥市辞任につき、その補欠として木  村武雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木村武雄辞任につき、その補欠として高  田弥市議長指名委員に選任された。 同月三日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致の件  東京高速道路に関する件  災害復旧に関する件     ―――――――――――――
  2. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 これより会議を開きます。  本日委員長が不在でありますので、暫時私がかわつて委員長の職務を行います。  東京高速道路に関しまして、前回に引続きまして調査を進めます。  本件に関しまして、参考人として東京都副知事岡安彦三郎君の代理として河川部長佐藤九郎君を招致して、参考意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 御異議なしと認めてさよう決定いたしました。
  4. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 本日は参考人として、東京建設局河川部長佐藤九郎君、東京都議会建設委員長内田道治君を招致いたしております。  参考人方々には、御多忙中のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本件に関し発言の申出があります。順次これを許します。村瀬宣親君。
  5. 村瀬宣親

    村瀬委員 一昨々日当委員会におきまして、東京都の建設局長にお尋ねしておつたのでありますが、時間切れになりまして、途中で終つておりますので、引続きお尋ねいたしたいと思うのであります。  東京都の建設局責任者の御意見といたしましても、最初この道路申請なつたときの実情からいえば、上の方を無料自動車を通して、その下にできる二階建の約一万坪の面積のうち、川の両岸に接していないところの場所は、ほとんど利用価値はなかつた。こういうことをお認めになつておるのであります。どちらかの岸に接しておるところは、あるいはガレージ、あるいは倉庫等利用できるはずでありますが、まつたく川のまん中通つておる部面は、それは倉庫使用ができず、ガレージにはむろんならず、ほとんど利用価値がなかつたということをお認めになつておるのであります。われわれも現地に行つて、そう見たのでありますが、そのほとんど利用価値のなかつたものを、今度途中において川を埋め立てるということになりますと、その両岸に接していなかつた建物が、前には広場ができまするし、営利は自由であるし、ガレージ倉庫以外のキヤバレーにでも、パチンコ屋にでも、何にでも利用できることになるのでありまして、その価値は数十倍、数百倍に一足飛びに上つて参るわけであります。そういたしますと、いかにも最初利用価値のないものを、ただ交通緩和をはかるという目的で道路申請しておく、いわゆるこういう河川水面使用願を出していろ。そうして途中でできかけろと、その構造方法をかえまして、埋立てによつてりつぱな価値があるものにする。こうなりますと、いかにも会社当局者とが、ちやんと最初から計画的にとりあえずこういうものを出しておいて、そして最初はほとんど無価値のようなものである、一見していかにも交通緩和だけをはかるためのりつぱな道路であるという観点に立つておるが、途中において埋め立てて、倉庫またはガレージに相当する部分利用できるような方向に許可を取直すということになりますと、これは最初から計画的に、いわゆる許可を与える者も、許可申請する者も、ちやんと将来を見越してさようなことをやつたのではなかろうかというような疑いも持たれるわけであります。これは汚職疑獄世の中が沸騰しております今日、まことに道義上もよろしくない印象を与えるのであります。その間のいきさつについては、何よりも明らかにしておかなければならないと存ずるのでありまして、われわれ衆議院の建設委員会におきましても、これらに関するいきさつを聞かしていただきたいと思うのでありますが、どのような経過、どのような御方針になつておりますか、伺いたいのであります。
  6. 佐藤九郎

    佐藤参考人 ただいまのお話は、水面占用でもつてあの高速道路をつくつて、両岸に接しない、しかも浮見通のごとく水に浮いたところで、岸から離れているところは、非常に利用価値がないのじやないか、それをどうやつて利用するつもりで計画を立てたか、その点と埋立てとの関係を御質問なつたと拝承いたしまして御答弁申し上げます。  この水面占用昭和二十六年三月に許可になりましたときには、最初から埋め立ててやつたらどうかというお話もあつたそうです。しかし、当時いろいろな埋立申請その他のことがありましたが、一切あそこは埋め立てずに、水面として残して置くというような大きな方針があつたわけでございます。そこで、高速道路におきましても、水面占用のまま、つまり浮見道として建設でき得るかどうかということを検討いたしました結果、浮見道で行ける、水面占用で行けるという技術士検討の結果、許可なつたものでございます。その後いよいよ建設大臣運輸大臣道路運送法による自動車道営業の免許がございまして、いよいよ実施設計の段になりましたところが、道の幅員をいかにとるかという問題が出て参りました。そこで最初の九メートルの計画が、都庁あるいは首都建設、あるいは建設省という道路関係方々検討の結果、九メートルではとうてい将来の施設としては足りない。そこでいろいろ調査の結果は十二メートルということにしたのでございます。それでやはり水面占用として幅員は十二メートル、こういうようになつたのでございます。そういたしまして今までよりも三メートルばかり幅が広くなりますと、現在あの会社が施工中の山下橋、新幸橋との間のところは、水面が片側に五メートル内外のものしか残らないというような状態になつて、五メートルぐらいを残したほかは、水面の上部をおおいかぶさる形になります。そうしますと、太陽の光線が入りませんし、その下の水質は、正常を保ち得るかどうかという問題が起つたのでございます。そのあとの浚渫の関係――従いまして、正常に保ち得られるかどうか、日光が遮断されて水質ぱ腐るではないかというような問題が出て参りました。それでそういう状態水質を正常に保てないならば、むしろこれを埋め立てて、そこを公共施設利用したらどうかという議論が出て参りました。  またあそこは、ちようど干満状態によりましては、干潮の場合には川底がほとんど見えて、非常に臭気を発しておるところでございます。今後こういう状態が続くならば、いつそのこと埋め立ててもらいたいという地元の声が非常に大きくなつて参りました。そこでわれわれの方では埋立てということを研究して参つたのでございます。むしろそういう声にも応じて、埋め立てた方が、環境整備の上からいつてよかろうということになつて、結局あの高速道路が、かえつて環境の上に埋め立てた方がよかろうということにしまして、埋立ての議案をただいま都議会の方に提出しておるわけでございます。  こういう経過をたどつておるのであります。
  7. 村瀬宣親

    村瀬委員 宅地の極端な払底を来しておりまする東京都といたしましては、坪百三十万円くらいのところは、ざらにあるようであります。もつとも、これは買い手と売り手のことでありますから、場所によつては、百三十万といつてつても、八十万になるか七十万になるかしりませんが、大体少しいいところで幾らかと言えば、坪百三十万円が、建物土地業者がここへ出ていつも語るところなのであります。そういうふうに、宅地払底によつて値上りをしておりますときに、もしあの川を全部埋め立てることが最初予想されるといたしますならば、首都建設立場からも、この払底しておる宅地利用という点から考えましても、いろいろ新たな方法があつたと思うのであります。必ずそれだけの面積ができる上に、二階建の高速道路をつくらねばならぬというものではありません。別にそれを利用する方法は、また新たな観点から――あの目抜き場所に、あれを埋め立てたとき、両端の道路を加えて相当広い土地が造成されるのでありますから、そういたしました場合に、別途の考えによつてそこを利用して、そうして高速道路あるいは地下道にするとか、その造成された宅地利用によつてできる財源をもつて交通緩和に資するとか、他に方法幾ら考えられたと思うのであります。そうして五種類も六種類もある利用方法考えた上で、あそこをああいう高速道路をつくるのが一番よいという結論なつたものならば、私はそれは正しい許可方針であつたと思うのであります。しかし、最初埋立てということは全然考えないで、あそこにあれだけの広い土地ができるということは想定されないで、とりあえず上と下の二階のスペースを利用することによつて、たまたまできる屋根のところを有料で自動車を通そう、こういう方針で進んでおつた。ところが途中において、それでは水が腐るとか、あるいは環境整備で必要だとかいう理由でそれを埋め立てる、こういうことにかわつたといたしますると、これは一つの限られた既成事実の上に立つた埋立てであり、また最初からここにこれだけの土地ができるが、これをどうやつて利用するのが首都建設の上に一番有効であるかという公平な正しい判断はできないわけであります。またあの埋立てによつてとりあえず土地ができる。しかも場所はああいうところである、東京都の目抜き場所である。これをどうやつて利用するのが一番いいか。交通緩和の点あるいは文教政策の点、そのほか宅地関係または干潮関係、すべての観点に立ちまして、総合計画上から審議をした上で、ここに高速道路をつくるのが首都建設立場から一番よいという結論に達したのなら、それは私は正しい措置であつたと思いますけれども最初はそういうことを全然考えないで、どうしても他に利用のできないような方法に仕上げておいて、高速道路というものを建造しかけて、途中で、水が腐るからこれを埋め立てるということであるならば、そこにはもつと研究する余地があるのではないか。しかも、それによつて不当な厖大な利益を生むものがそこに伴つておるということになりますと、これはなかなか容易なことで決定のできるものではないと思うのであります。ことに、自然というものは相当よく研究をしておきませんと、今は、埋め立てても、排水その他でさしつかえないと言つておられるかもしれませんが、一体何ミリの雨が東京に降るか。今までどれほどの雨が降つたかを調べてみないことには、あの川を埋め立てるごとによつて、その付近一帯が、いつどろ沼になるかわからないのです。かつて神戸でも例のあつたことであります。生田川を埋めた、また掘り返して、その土砂くずれによつて、その入り口の暗渠がつぶれたためにああいう惨事が起つたのだと言いますけれども、はたしてそれきりかどうか、それはわかりません。自然の形態というものは、人力をもつて容易にかえ得るものではないのであります。それをかえるがためには、百年の将来までもわかるという自身がなければ、なかなか埋立てというものはできるものではない。これは野中兼山が高知において実例を示しておるのであります。自然をはばんで人間ががいろいろのことをやつても、あるいは二十年に一ぺんか三十年に一ぺんか、どういう大事件、大豪雨が起るかわからないのでありまして、簡単にこれを埋め立ててよいというような計算は、ただちに出るものではない、十日や二十日で出るものではないと思うのであります。それやこれやを勘案いたしまして、この取扱いが決定をされたようではないのでありますけれども、単に環境整備、水が腐るということだけでそのような措置がとられて、それで何ら後世の批判を受けずに済むものであるかどうか。これはいわゆる汚職疑獄というような点からも不安でありますし、また実際にあの付近排水、雨量との関係、その他都市計画の面からも調査が完了したものであるかどうか。  さらに、もしそうであるとするならば――埋め立ててよいという基礎に立つならば、あすこを埋め立てるときは、どうしても高速道路よりほかに利用価値はなかつたのであるか。あの付近にあれだけの土地ができますならば、ほかにも何らかのもつとよい利用方法をお考えなつた上での措置であるかどうか、それらについても、もしお調べができておれは伺つてみたいと思います。
  8. 佐藤九郎

    佐藤参考人 高速道路が二十六年に水面専用許可になりました当時では、いろいろな案があそこに生れておりました。埋め立てて建物を建てたいというような申請もございました。それから、主として商店街をつくるというもの、あるいはビルを経営したいというようなもの、そういう申請があつたようでございます。この高速道路株式会社も、初めはあの川一体を埋め立てて、大きな建物をつくつて、その中に自動車道路を通して東京駅までつなごうという案もあつたのでございます。そういうものを、すべて都市計画上の見地から研究いたしました結果、あそこへ高層な大きなビルディングをつくることは、いたずらに都市交通をますます混雑せしめるゆえんであるから、一切あそこには高い建物はいかぬ、こういうことになりました。しかしその建物の中に道路を通すという、いわゆる高速道路高架道路でございますが、そのアイデアだけは何とか生かしたいということになりまして、つまり高層建物は路面の上の部分は一切切つてしまう、それから横も道路幅員以外の部分は切つてしまうということになつて高速道路だけが残つたわけでございます。つまり、高架高速道路は絶対必要であるが、ビルを建てることは一切困る。そうしてその高速道路も、あの近辺に最も不足しておる駐車場、それからガレージ、そうしたものになるべく利用し得られるような構造であるならば、それが最も都市計画施設としてあの近辺にほしい、またぜひつくりたい施設であるという結論になつて、ああした計画が生れたわけであります。
  9. 村瀬宣親

    村瀬委員 しからばお尋ねをいたしますが、埋立ての御方針を一応原案としてお出しになつた。そういたしますと、そこ一に五メートルほどではあるが、それくらいでは日光も当らないし、水が腐るから、そこでこれを埋め立てよう、こうおつしやる。そうすると、その五メートル分は、別の家を建ててもよいという御方針になつておるのでありますか。そうでなければ、あなたは特別な作為をもつて、現在できておる高速道路に特別な便宜を与えることになります。なぜならば、現在できておるその二階建というものは、いわゆる浮見道路でありますから、そばの道路とは接することはなかつた。それでもよいというので、申請を出して来たのであります。ところが、その五メートルほど埋立てができるものは、これは今私が申し上げました通り、場合によれば一坪百三十万円もするところであります。だれでも借手があけます。そういたしますと、あまり高くてはいかぬが、今できておる二階建程度のものならば、当然他の申請希望者があれば建てさせるつもりでありますか。それならばあなたの処置は公平であります。だれにも何とも言われません。それでなくて、そこは建てさせないのだ、埋め立てて、ことさらに前に広場をつくつて、今まで利用価値のなかつた浮見道路利用さすのだ、こういうことになりますと、一足飛びで何百倍、今まで一万円のものが百万円の価値になつて、百倍の利益をことさらに与えることになる。そういうことを考えて出したと言われても、私は弁解の辞はないと思う。そうでなくして、五メートルほど、それには別途で、だれでも理由があれば、あまり高いものはいかぬけれども、今建てておる二階建ならば建てさすのだ、そうしてあるいは丸ビルの一階の商店ぐらいのものならばちやんと許可するのだ、こういう御方針ならば、これは公平であります。それならばよろしい。こういう御方針でありましようか。
  10. 佐藤九郎

    佐藤参考人 ただいま埋め立てて高速道路で使う部分以外の土地利用、こういう問題でございますが、これはいろいろ検討しました。主として都市計画上の観点から検討されたのでございますが、今おつしやいました土地利用は、切売りと申しますか、これを売つてそこに建物を建てさせるというような使い方は一切しない。緑地広場駐車場――面積によつていろいろ異なつて参りますが、割合にまとまつたところは、駐車場ともなり得るでありましよう。これを土地の形状と環境従つて広場緑地駐車場道路、そういうものに利用する、こういうことで一切建物は建てないという方針でございます。
  11. 村瀬宣親

    村瀬委員 駐車場あるいは道路と、小さい声で最後に言われましたが、そこが非常に非難を受けるのであります。とにかく浮見道路であつたのでありますから、そこで二階建ができておるけれども利用価値がなかつた。そこへ埋立てをして、家を建てるのかといえば、建てさせない。また建てさせなくてもいいが、緑地でもガレージでもよろしい。しかし、道路ということになると、それでは出入り口ができて、浮見道路が全然浮見道路でなくなる。だからガレージぐらいまではよろしいが、それでは入口はそこに許すのか、許さぬのか。それはずらつと二階建ができておるのでありますから、そこへ五メートルほどできて、入口は許すのでありますか、許さぬのでありますか。
  12. 佐藤九郎

    佐藤参考人 建物の五の事務所その他があろわけでありますが、そこに埋め立ててできました土地を、その建物のための道路、――これはこの計画では、たとえば屋上無料駐車場が設けられております。そこへの進入の昇降口、こういうものは当然許可しなければならぬ、かように考えております。
  13. 村瀬宣親

    村瀬委員 それでは屋上無料駐車場へのエレベーターか何か出入口はあるにしても、その道路の下にできる二階建であります。もともと今日のせち辛い世の中に、何十億もかけて道路をつくつて、ただお通りなさいというのは、これはどうもよく調べてみなければならぬことなんです。そうすると、その下にたまたま二階建が一万坪ができる。それを貸して、しかも建設省その他、許可では、それはもう絶対に倉庫ガレージ以外には貸さない、こう副知事はここで明言されたのでありまけすれども、その倉庫ガレージ以外には利用しないというので、建てさせた。それを目当てに大体この会社はできておるのであります。何も道路緩和とか、そんな社会事業みたいな意味でつくつた会社ではないのであります。でありますから、問題は、道路の下にできる二階建の利用である、最初からそれを利用しようと計画しておつた。その二階建の倉庫に充てるべきところは、最初浮見道路であつた。川のまん中にあつて利用価値がなかつたのであります。それを今度あなた方が途中から埋め立てようとおつしやる。その理由は、水が腐るからとおつしやる。何も会社のためじやないとおつしやるが、結果としてできるその五メートルの埋立地に面したところへ出入口を許すのであるかどうか。私はそこへあらためて家でも建てさすというならば、最に初与えた許可条件から見て公平でもあるし、利用価値もあると思う。また、家は建てさせないでガレージか何かにする、それもいいでしよう。しかし、それはあくまでも、今度埋め立てたところに出入口は許さぬというのであるかどうか。そんなこと言つてみたつて、非常識な話で、そこにちやんと広場ができたのに、出入品を何キロもずらつと通さぬと言つても、愚かな質問でありますけれども、しかし一体方針はどうであるか、それを聞いておきたいのであります。出入口を許すならば、それ一つによつてこの会社は何百倍の利益を得る。そういう利益をことさらに与えようとなさるおつもりが、この埋立ての考えの中に含まれておるのであるかどうか、それを明らかにしておいていただきたい。
  14. 佐藤九郎

    佐藤参考人 その道路下建物への出入品の問題でございますが、利用上から申しまして、そこに出入口を一切許さぬということは、不可能と考えております。
  15. 村瀬宣親

    村瀬委員 そうなりますと、もう最初からまつたく計画的である。第一に、倉庫ガレージ以外には許可しないと品では言つてつたが、それがくずれて来ておる。それから出入口も何もなかつた浮見道路のその倉庫に、今度出入口をつくろうとおつしやる。そうなると、単に出入品利益を得るだけじやありません。最初計画は、あなたの方は詳しいだろうが、ちよつと見ると、そのまん中に二メートルの長い通路通つて手押車か何かで、両はたの倉庫へ品物を納めて行こう、こういう計画である。そうしますと、その二メートルはいらぬことになる。その二メートルの長い通路分賃貸料だけでも莫大なものです。のみならず、その二メートルは別に考えましても、今まで出入口のなかつたものが、出入口ができるのでありますから、出入口のない建物まつたく利用価値がないのでありますが、出入口ができると何百倍の価値になる。そういうことを平気でおやりなさろうというのでありまして、私たちははなはだ納得しがたいものがあるのであります。  委員長、私は一応この程度質問を打切つておきまして、時間がありましたらまたお尋ねいたします。
  16. 田中角榮

  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 きようは東京都の方々でありますので、私ども東京都の方方に対しては、ただ今日どういう状況になつておるかということを大体お尋ねし、それに対して建設省や運輸省でどういう処置をとるかということは別に考えたい、こういうつもりでおりますので、東京都の方々については別に追究がましいことはやりませんし、やるべきでないと思います。ただ、今、村瀬委員がくどいほど言われたことは、今日埋立てでの案が出ておる。これが埋立ての案だということは、あの申請自体を見ればわかるということを、私は最初から申し上げておいたのであります。それが今日そうなつて来ておる。そういうふうに、何か特定会社を利するがごとく東京都の行政が行われておる。私どもは、特定会社がもうかろうが、もうかるまいが、そんなことは何も干渉がましいことをやる必要はありませんけれども、常に申し上げあおりますように、東京都は日本の首都である。そのために、首都建設の特別の法もつくつておる。それは何も東京都知事一つ行政団体というような考えでおりませんので、この問題を特に取上げて、真に首都としての都市計画なり、治安なり、あるいは衛生なり、そういう問題がこれでいいかどうかということを検討して参つたのであります。そこで、あの最初計画を見まして、水面使用申請並びにそれに対する許可をされておるのは、現に山下橋付近で工事をしております。私どもはそういう建築や土木の専門家ではありませんが、しろうとがあの申請を見まして、また許可条件を見ましても、こつけいしごくだということを、たびたび申し上げておつたのは、大体ああいうものをつくつて、下に五メートルぐらいの暗い場所があるのでありますが、そこは舟運の便を妨げない特別な条件がついておる。大体あんなものを建てて、下は舟運の便を妨げないというような条件をつけて許しておる。そんなことはできるものではないということは、最初から申し上げておる。きようは河川部長さんでありまして、河川部長さんは、最初からあれて御関係であると思いますが、ああいう構造のものを建てて、一体舟運の便をはかるというほんとうのお考えがその当時あつたのでしようか、それをひとつ伺いたい。
  18. 佐藤九郎

    佐藤参考人 私、当時水道局におりまして、河川部には関係ございませんでしたが、引継ぎを受けましたのでお答え申し上げます。  最初許可なつたときの構造その他は、先ほど申しましたように、幅員九メートルくらいならば行けるであろうというので九メートルのものでありました。それから高さも数寄屋橋なりあるいは土橋なりの橋梁を横切る際に道路構造令の四メートル五十の空間を残せば、高さもその程度でよかろう、こういうことで考えておつたのでございます。そうしますと幅員が九メートルであり、高さが四メートル五十でありますので、その上に通ります自動車の荷重と申しますから、そういうものも、普通の道路というふうに考え計画を進めておつたわけでございます。そこで許可になつたのでございますが、いよいよ水面占用許可を受け、かつ運輸、建設両大臣の免許を得て実施設計にかかつた際に、いろいろ技術士の問題で討論がございました。まず幅員の問題。先ほど申し上げました通り、十二メートルが至当である。それから高さの問題。高さの問題は、四メートル五十ではなくて五メートル二十の高さにぜひしてもらいたい。というのは、路面電車のポールの関係でそういうふうになつたのであります。それからその上に乗ります自動車荷重でありますが、これも将来バスが発達して大型のバスになるから、この荷重も現在の標準よりももう少し上ぶんな荷重をとるように、こういうことになりまして、そこにいろいろ設計上の諸条件が加わつて来たわけであります。そうしますと、幅員、高さ、荷重、こういう点から勢い柱もずつと太くなければならなくなつたのであります。そうした関係で、最初はもつと小規模なもので行けると考え許可になつたのでありまして、その当時は確かに船もどうにか通れる、こういう見通しのもとに進めるようになつたのでありますが、ただいま申し上げましたような設計上の諸条件が加味されまして、柱も太くなり、幅員も大きくなる、こういう結果、先ほど申し上げましたようなことにならざるを得ない、かようなことになつたわけであります。
  19. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大体工事が鉄筋コンクリートでできておりますので、現在やつておりますところをとやかく言つてもしかたがない。いろいろとたびたび都当局の御意向も聞きました。ガレージ倉庫以外には絶対使わせないのだ、必ず舟運の便をはかるのだ、今はああいうようになつておるけれどもちやんと浚渫して船を通すのだと、あくまでもここで強弁されたのでありますが、そんなことはできますまいということを私は申し上げた。あなたはそういうことを言つておると、あとで困りますよ、今からそういうことは断言されない方がいいということを岡安副知事に申し上げたが、その通りになつた。こういうことはその通りになるのです。そこで許可条件に反しておるから、この免許によると、許可条件に反したときは取消すとある。取消すといつても、千三百六十メートルもある鉄筋コンクリートのあれは三階建でありますから、それをどうするのですか。こわすのですかただ書面上ものがそうなつていればそれで済むというような考え方で東京都の行政をやられては困ると言つておきましたが、しかし言つても始まらないのであります。  そこで、埋立てをされるというのでありますけれども、あそこの千三百六十メートルだけを埋め立てられるの一か。あそこはずつと川が運河式に続いておりますが、東京都の密集したところに水があるということは、非常にゆとりがある。しかも災害、火災、大地震という場合には、どうしてもこれがなくては困るというのが東京都の状態だと思。どこも逃げ場がありません。みんな埋め立ててしまして鉄筋コンクリートばかり建てて、一朝大きな災害、火災があつたら――爆弾が落ちることは今は予想しておりませんけれども、そんなときに、あんなに何もかも埋め立ててしまつたらどうなるか。先ほど自然の状況を人為によつて悔いを百年の後に残すという議論がありましたが、そういうことがあつてはならないからということを心配しておるのでありまして、ここを埋め立てられると言われるが、もうここを埋め立てなければしかたがありません。あんな穴ぐらに水を滞らしておつてはたいへんでありますから、いよいよできた以上は埋め立てなければならぬ。私は埋め立てなさいと副知事さんに言つたのです。そうしなければ意味をなさない。  そこで、河川部長さんに聞きたいのは、こうやつて大きな計画はありますが、東京都にはほとんど地面がないから、水面の上を高速道路にしようという計画の形になつておるのでありますが、そうやつてああいう河川と申しますか、東京都内の水のある場所を将来全部埋め立てられる計画でありますか。
  20. 佐藤九郎

    佐藤参考人 都市内の河川はできるだけ残すべきである、かように考えております。まず河川は埋めるべきではない。でありますから、たとえば首都建のルートに指定されておるところ、これも一部河川にかかる部分もございますが、実施にあたつては、できるだけ河川は埋め立てずに行きたい、かように考えております。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 御議論はそれでけつこうでありますが、しかしこうやつて構造物をつくると、埋め立てなくてはならなくなるのであります。そうすると、今の千三百六十メートルです。これは非常に議論になつておりますが、それでは交通緩知をするという美名は通らないのであります。あそこはずつと延ばさなくてはなりません。千三百六十メートルの高速道路を三十キロ、四十キロで走つたら、自動車一体どこにはけるか。ますます混雑するだろうということは、しろうとでもはつきりわかる。現在混雑している東京都の自動車交通をどうするかということは、きわめて重大問題であります。私は東京都内をまわつて、ほんとうに神経衰弱になるくらい、この処理をどうするかということを心配しております。その一方法として、これもやむを得ないが、しかし千三百六十メートルでは何にもなりません。それは、会社はもうかるかもしれませんけれども、この高速道路によつて交通緩和をしようというようなことは無理な話です。率直に言つて、何にもなりません。なるという考えがあれば、詳細に承りたいのでありますが、なりません。ならぬどころの騒ぎではなくて、紺屋橋と土橋のところはきわめて混雑をするでありましよう。今でさえも片側交通になつているところでありますから、きわめて混雑をするでありましようが、延ばされるつもりであるかどうか、それをひとつ伺いたい。
  22. 佐藤九郎

    佐藤参考人 千三百六十メートルは、紺屋橋と難波橋の間の延長でありますが、この間が免許になつているところでございます。昇降口であります両方の橋のきわ、ここの設計につきましては、ただいま御意見がございましたように、特に新橋寄りの難波橋の方は非常に混雑しているところでございますので、あそこに上り口と下り口を、あの地点に一緒におろしたのでは、交通緩和を目的とする高速道路がかえつて悪になるのではないか、こういつた議論がございまして、その自動車の流れの措置としまして、あそこに上り口も下り口も一緒につけたのでは困るからということで、これは道路関係の方ともいろいろ舞いたしました結果、下り口はもつと先に延ばさざるを得ない。上り口は難波橋から上つても、下り口は難波橋からさらに新橋を越えて、昭和通りの蓬莱橋という橋がございますが、あのきわの川沿いのところに道路がございます。この道路になじみよくおろす、これがあそこの下り口の設計としてはその方法が最もよかろう、こういうふうに大体議論が結論づけられておりますので、そうした考えで設計を進めているところであります。
  23. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 これは議論になりますし、済んだことで、どうにも取返しがつかないという状態になつておりますので、言うても始まらない。大体さつきもお話なつた通り、あそこに十何階建がスカイ・ビルディングを建ててもうけようということから始まつたのでありまして、幸いにして東京都は、そういうことは迷惑だからというので、今度平たく延ばしてひとつもうけようということになつたのであります。千三百六十メートルで、ほんとうにこれを会社の重役さんがおつしやる通りに、われわれはもうけるつもりでなくて、東京都の高速道路をつくつて交通緩和をはかりたいという一念だというお話でありますが、一念であつたならば、せつかくそれほどの社会事業の熱意がありますならば、今おつしやつた通りに、金が足らぬでしようから、せめても昭和通りまで両方とも延ばさなければ意味をなさない。一番きゆうくつなところに上り口と下り口を延ばすと言われましたが、難波橋と紺屋橋、あんな狭苦しいところにつけてやる、これがそもそもの事の起りの間違いです。ほんとうに交通緩和をはかり、自動車を流すというならば、せめて昭和通りまで両方とも取付けなければならないのでありますが、難波橋の方はそういうお考えのようであります。紺屋橋の方は、私、聞くところによると、またほかの会社からその継続といいますか、何とかその続きをやらしてくれというような話も出ておるそうでありますが、どうせやるならば、どんどん延ばさなくてはならない。皆さんも率直にお考えになつて、千三百六十メートルで、一体自動車を走らせて――小型自動車の競走ではないのですから、そんなことはいかぬということはおわかりですが、たとえばほかの会社があるそうで、それも何といいますか、社会事業家でしようが、せめて昭和通りまで両方ともつなぎたいという計画をしておられたということをうわさに聞いておりますが、ここまで来たらそういうものもどんどん水面のところは水面使用許可してやらせる方が私はいいと思う。それをやらなければ、山下橋のところはやめてもらいたい。その点はどうですか。東京都の態度について、委員長さんと両方とも御意見を聞いておきたいと思います。
  24. 佐藤九郎

    佐藤参考人 千三百六十メートルで交通難が解決するとは、毛頭思つておりません。首都建設計画の四十九キロの選ばれましたルート、これを逐次延ばさなければならぬ。それが延びるに従つて、ようやく高速度道路の効用が大になる、かように考えております。しかしてその千三百六十メートルからさらに延ばすという、実は芝浦の埠頭まででございますが、そこまで延ばしたいという申請もしております。またほかの会社もございまして、都としまして延ばすという方針は立てておりますが、どの会社にどういう方法許可を与えて、どうするということまでは、今のところまだ決定しておりません。それから延長させるということだけは、これは方針として、ぜひそうしなければならぬというふうに考えております。
  25. 内田道治

    内田参考人 都の建設常任委員会の前委員長であります石島さんが、たびたびこの建設委員会に出ましてお答えを申し上げておることと存じますので、審議の経過等はすでにおわかりのことだと思います。五月の末の議会に、ただいまお話のありました埋め立てるという議案が提出されまして、前建設委員会はこれを慎重な扱いをいたしたいという意味合いから継続審議に持ち込まれた。先月二十七日に委員の総改選をやりまして、一昨一日の委員長の互選によりまして、初めて浮び上つた私が委員長でございます。従つて、本日午後に初会合を開いて、付託されました本案につきましては慎重な態度で審議を進めたい、かように考えて招集しておるのでございます。ただいまお話のありました点等につきましては、建設委員会のみならず、議会全体が非常な関心を持つて、ここに建設当局を呼んで審議を重ねております。その議論になりました点も、ただいまおつしやいましたような、一体高速度道路が千三百六十メートルというようような半端なもので役に立つか、立たぬか、また水面使用がいいかどうかという点に論議が集中されたのであります。しかしながら、既成の事実をいまさらかえることは、相手のあることであるから無理である。要すれば、東京都がこれを買い上げてやつたらどうかというような案もありました。しかしながら、財政事情がこれを許しませんので、いたし方なく次善の策を立てざるを得ないというようなことに理事者の方も考えて、埋立て案を出したのだと考えております。委員会といたしましては、ただいま申し上げましたように、今日からこの審議を慎重に扱い、都の権益を守り、そして都民の福祉に少しでも沿い得るような方策に持つて行きたいという考えのもとに、これから運営いたすつもりでありますので、委員会としての意見はただいまのところは発表いたしかねると思います。御了承願います。
  26. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 先ほど河川部長が、延ばすという点は、方針がそうなつておる。そうならなければ話にならないのですから、あたりまえのことですが、これは東京高速道路株式会社にこういうものを独占させるという御方針であるかどうかということを聞くわけであります。
  27. 佐藤九郎

    佐藤参考人 延長する場合の経営の主体の問題でありますが、いろいろな事情がございます。そこで、都としてこの会社に独占させるということは考えておりません。
  28. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 建設省意見はよく聞いておりますので、今日はとやかく申し上げないのでありますが、計画局として、この処置が適切であつたかどうか、確信を持つてお答えを願いたいのであります。
  29. 澁江操一

    ○澁江政府委員 この点につきましては、この前の高速道路についての御審議の際も、計画局の意見は申し上げてあると思いますが、先ほどもお話がございましたように、都市計画上の観点としては、河川、水路あるいは東京都内のほうというような水辺周辺地区の現状というものは、で奉るだけこれを残して行きたいというのが都市計画上の一つの着眼点でございますので、根本はさような考え方になつております。しかし、この問題を処理するにあたつての配慮といたしましては、これも先ほどお話の出ましたように、高速度道路全体計画と、首都建で立てておりますその際のルートの候補地でございますが、ただでさえ非常に土地の制約されておる東京都の特に都心部の現状におきましては、やはりある程度公用地というものを利用するという考え方も、これもまた一つ土地利用方法としては、やむを得ないのではないかというふうに考えて、このルートその他については、私どもとしては都市計画上も認可を与えるという考え方に立つた次第でございます。  この経営主体、あるいはこれに対する河川使用埋立て上の問題点等につきましては、それぞれ今結論雲譲が出て参りましただけれども計画局といたしましては、都市計画上の立場としてやはり同様に考えておつたような次第でございます。
  30. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 道路交通の面から道路局長は、この千三百六十メートルの設計によるいわゆる高速度道路は、あれでよろしいというお考えが今日あるかどうか、もうたびたびの問題でありますから、結論を聞いておきます。
  31. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 千三百六十メートルだけでは、交通緩和にさほど効果はないと考えておりますが、これが将来延びる計画も持つており、今の千三百六十メートルだけであつても、駐車の点からいいましても、また交叉する交通緩和する意味から行きましても、相当の効果はあると考えております。
  32. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 たびたび問題になつた難波橋や紺屋橋、あそこで上下の取付はやつて、それで自動車交通緩和をはかられるという確信があるわけですか。
  33. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 取付道路の問題につきましては、たびたび御意見もございましたし、その後私どもも再調いたしております。そこで元の計画のような取付道路でありますと、上り下りに相当な困難がありますので、これを緩和する方策は、先ほど河川部長の言われましたように、ただいま研究中でございますが、ともかく困難な取付道路がございましても、その上を駐車場その他に利用もできますし、またそこに相当の交通が入つて来ると予想しておりますが、そういう交通が入つて来ればこの交叉交通が大分緩和できることになりますので、その点は効果があるというふうに考えております。
  34. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 先ほどどなたであつたか、既成事実でやむを得ない。まさにその通りなんです。私はこの東京都のやり方が、既成事実――東京都のやり方か建設省都市計画のやり方かよくわかりませんが、この既成事実によつて非常な問題を起しておる。今また問題になつておる東京駅の八重洲口の問題、あれも既成事実によつて問題を起しておる。あそこも埋め立てた跡でありまするが、まず鉄鋼会館を建て、それから観光会館を建て、それから問題の国鉄会館ですか鉄道会館というのですか、ああいうものを建てて、今度反対があつてひつ込めろといつても、もうどうにもならないのです。富士山みたいな大きなものの建ててしまつて、そしてあとで問題を起し、国会でもほかの委員会でいろいろ問題があつたようでありますが、既成事実をつくつておいてあとでとやこう言う、私はこういう政治ではあまりよくないと思う。これもまきにその通りであります。道路局でも計画局でもよろしいのですが、東京都の今の人間の集まりと自動車交通の状況、これはまさに神経衰弱の状態になつておる。これではとうていこんな姑息な手段では解決ができないと、私はひそかに心配をいたしておるのでありますが、これに対してどういう――あまり町を一緒くたに集めてしまつて人聞ばかり集めているからこういうことになるのでしようが、何とかこれは別の方法、何というか奇想天外な方法でも考えなければ、自動車のために人間が苦しむ。せつかく金をかけて鋪装し道路をつくつても、道路は人間が通るのではなくて、自動車の寝場所になつておるのですが、これについて、もう少し根本的なやり方を考えてもらわなくちやならないと思う。どこへ行つても、御承知のように金をかけて自動車の置場になつておる。そうして人間は、その自動車をよけて命がけで歩かなくちやならない。これでは私は道路政策といいますか、都市計画政策は、根本的に間違いだと思うのですが、何かこれに対して、もう少し根本的にこれを改めるお考えがあるかどうか、研究をきれておるかどうか、それをこの際伺つておきます。
  35. 澁江操一

    ○澁江政府委員 都市計画上の問題といたしましては、ただいまお話のございましたように、既成事実のあとをおつかけて行くというのでは、結局都市計画というものは、絶えず後手々々という形になつて参ります。そういつた観点から、こうした問題を中心といたしまして、反省すべき都市計画上の問題というものは非常に多いと考えております。しかし、東京都の全体的な政策の上で、過大都市防止という問題を考える、そういつたような点につきましては、おのずから別の方策があろうかと考えますが、現在の地域内におけるかような問題を中心として考えて行かなければならないのは、これは建設省内部でもいろいろ議論が立てられておるわけでありますが、河川とか道路とかあるいは公園とか、そういつたような公共用地の利用計画利用方法、これを中心とした都市計画上の考え方というものを相当根本的に打立てなければ、覆いろいろかような問題がやはり続発して行くというふうに察せられます。ただでさえ足りないそういつた都心部の土地利用して、あるいは道路の地下を利用して、あるいは河川、水利の敷地を利用して、あるいは公園の地下を利用してというようなことで、いろいろ問題が起ると思うのであります。そういつたような問題点を中心といたしまして、都市計画上の対策を早く考えて行かなければならないというように考えております。  それからもう一つは、道路面の利用、あるいは街路面の利用という問題でございますが、これは道路局長からあとでまたお話があると存じますけれどもお話のように、現在の路面駐車に対する対策を中心として、いろいろ考えなければならない問題は相当あるわけであります。首都建等の調査等を中心といたしまして考えておりますのは、公共の駐車施設、それから路面駐車制限、それに対応して、場合によりましては駐車料金の徴収、こういう問題を一連として総合的に考えて行く、こういう方向に大体研究の目標は進められておるわけであります。
  36. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 お話のように道路自動車の置場になつているような状況に、東京の繁華街がなつて来ております。こういつた状態がだんだんにほかの都市にも及んで行くのではないかと心配いたしております。それについての対策は、ただいまいろいろ研究しておるのでございますが、先ほど計画局長の言われました公共駐車場施設、そのほかに、路面に駐車する場合には、外国あたりでは有料の方式をとつておりますが、そういつたこと、それで上つた金については、また駐車場をこしらえて行くというふうなことを考えて行かなければ相ならぬのではないかと思つております。また平面的に駐車場をこしらえるというようなことは、土地のないところではなかなか困難でありますので、これは立体的につくり上げて行くことを考えて行かなければならぬと考えております。こういつた考えをただいま持つておりますが、今後研究いたしまして、至急何らかの対策を立てたいと考えております。
  37. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今両局長から言われたように、これはぜひすみやかに研究立案されて、早く解決するようにしなければ、人間が困るのです。人間の住む場所が、自動車のために追いまわされているというようなことでは、これはまあこういうふうに交通文明が発達すれば、一面やむを得ないところがありますけれども、それに対する対策は、今は政策面においては放任状態になつておりますから、ただ自動車がふえたからふえたからということでは、政治がなつておらぬようにも思われますので、ひとつ専門家の皆さんがよく御研究立案されんことを要望いたしております。  もう一つ、きようはこれで委員会は最後だと思いますので、官房長にちよつとお尋ねいたします。ずつと前の委員会で、監督官庁としての意見を聞いておいたのでありますが、これも東京都にも関係があります例の帝都高速度交通営団の事件はどういうふうになつているか、それに対する監督官庁としての処置はどういうふうにされているかを、この際お尋ねいたしておきます。
  38. 石破二朗

    ○石破政府委員 高速度交通営団の理事者が検察当局の取調べを受けまして、理事のうち数名の者はすでに起訴されている状態でございます。それから総裁は、一応の取調べは受けたのでありますが、現在はすでに釈放されまして、現職の業務をいたしている状況でございます。御承知の通り、高速度交通営団の規則から申しますと、必ずしも理事は何名いなければならぬというようなものでもございませんし、現在のところ、総裁が釈放された以降におきましては、大体のところ現在の仕事をやるには、まず支障なくやつているものとは考えておりますが、現に理事のうち数名の者は起訴されているというような状況でございますので、運輸省ともよく相談いたしまして、早急に適当な善後措置を講じまして、世間の疑惑、世間がいろいろ心配しているその心配の種を取除くとともに、新線建設その他のいろいろ重要な業務があろうと思いますから、そういう業務に支障を来さないように、至急そういう措置をとりたいと思います。これはまことに申訳ありませんが、御承知の通り大臣が今病気静養中でありまして、あるいは若干そういう措置が遅れておるという御懸念があるかもしれませんけれども、早急に善後措置を講じたい、かように考えております。
  39. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 言うまでもなく、高速度交通営団は、相当国費をつぎ込んで、交通行政をやつておるのであります。しかも、今理事数名と言われましたが、何名か私よくわかりませんけれども、とにかく最高首脳部以下、実際営団の仕事を責任をもつてやるべき人たちが――罪は、裁判がなければもちろん黒白はきまりますまいけれども、総裁以下数名起訴された。それに対して何らかの手を打たれたか、処置をされたかどうか、あるいは先方から何らかの進退についての監督官庁に対する伺いを立てたかどうか、ただそのままになつておるかどうか、その点をお聞かせ願いたいのであります。
  40. 石破二朗

    ○石破政府委員 総裁が身柄拘束を受けますと、その後総裁事務を代行する理事を任命しておりまして、建設省におきましても、それを承認しております。さらにその総裁代行の理事が、私的には――私的と申しますか、正式の文書によるものではありませんが、いろいろその間のことにつきましては話を聞いております。正式の進退伺い等は、もちろんまだ出してはおりませんけれども、そういうもののあるなしにかかわりませず、早急に措置を講じなければならない、かように考えております。
  41. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大臣は病気で長く休んでおられたということもあるだろう。またこれは運輸省の関係もありましよう。いずれにしても、こういうこのごろの社会の状況を見ますと、どこかにきわめて不愉快なことばかり多いのであらます、この問題も、ああして国費を投じておる営団といいますか、会社みたいなものが、非常に内部は複雑怪奇であつて、外部からはとうていその実情をうかがい知ることができないような状況になつておる。あるいはきちんとやつておるのかもしれませんけれども、大騒ぎをして刑事事件を起しておる。これに対して、監督官庁は何らの措置もとらない。それでは国費を投じておるああいう事業の監督としては、私はちよつと怠慢じやないかと思つております。  これは全然余談であります。これは建設委員会の問題でありませんから、別途に研究いたしたいと思つておりますが、最近の国鉄の営業状態、これも非常に余談になつて失礼でありますけれど、こういう日本の政治がきわめて混乱した状態になつておるから私は申すのであります。たとえばさつき私は、道路を人間が通るのに、人間は自動車から追いまわされておると申しましたが、駅でもそうであります。東京駅の駅舎の状況を見てみなさい。このごろたくさんの学生その他の団体旅行がありますが、こういう旅客というものには決していす一つ与えられない。あのコンクリートの上にすわつて新聞紙をしいて、そうしてみんなそこに何千、何万へという者が土下座をして汽車の発車を待つておる。そうかと思うと、あれほど厖大な国費をかけて高層な駅舎をつくつたけれども、それは一体だれががんばつて使つておるかという、すべて商人であります。そうして商人ががんばつておる。一体駅の乗り口は、われわれ始終東京におる者でさえも、どこが汽車の乗り口か、探さなければわからないくらいの状態です。ましてや、いなかから東京に集まるたくさんの人たちが、どこへ行つたら改札口があるのか、どこが乗り場か、ほとんどわからないようにして、中はまるでデパート――、こんな政治をいたしておるのでは、国民は迷惑しごくであります。これはあなた方に関係ないことでありますけれども、一例を申し上げるとそういう状態である。ああいうものを国民の名において国会で粛正しなければ、将来国鉄の営業というものは、国民にサービスする機関ではなくて、一部利益団体をサービスするという機関になり移つて行きます。これは東京駅が中心ですが、東京駅ばかりではありません。これがだんだんはやつて行くでしようが――現に皆さんもそうでしよう、金を出して汽車に乗る客を休ませるいすが与えられないで、商店街ばかりつくつて、ほんとうに汽車を利用し駅利用する人たちは、コンクリートの上は新聞紙を敷いて、発車を何時間も待つというような日本の政治は、これは非常な間違いではないでしようか。それと同じ交通営団の問題でも、そういうことではいけないから、どしどし処分すべきものは処分して、ほんとうに国民にサービスする機関にしなければならない。たまたま今問題になつておる高速道路も、そういう観点から私どもは研究を進めておる。もう少し国民にサービスするようにすべきであつて、これは国家の行政でも同じことであります。何か一部の者と結托をして、そうして国民大衆に迷惑をかけるような政治が今日あつちこつちで行われておる。こういうことではとても納得できない。やり方によつては、東京駅のまん中に店をつくる必要は全然ありません。あれは金を出して、高い汽車賃を払つて、そうして快適な旅行をしようという人たちのために使わるべきところであつて、何も商店街に使うところではない。そういう金を出して汽車を利用する人たちを泣きの涙で土下座で待たせるようなこういうやり方というのは、これは国民の憤激を買うでありましよう。そういう意味で、この高速道路東京都においてひとつ研究されんことを私は要望いたしまして、今日の質問を終ります。
  42. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 本件に関する本日の調査はこの程度といたします。参考人御両君には御苦労さんでした。     ―――――――――――――
  43. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 次に災害復旧に関する件を議題といたします。――井手以誠君
  44. 井手以誠

    ○井手委員 災害復旧についていろいろお尋ねしたいことがありますが、今日は一点だけお尋ねいたします。それは、昨年の水害に対し、御承知のように府県にあつては十万以上、町村にあつては五万以上のいわゆる小災害についても、国庫補助と同じ措置を講ずるという言明が、予算委員会や特別委員会建設委員会等におつて何回となく大臣から繰返されておることは、官房長も御承知の通りと思います。それが二十八年度及び二十九年度においてどういうふうに措置されたか、その点かお伺いしたいと思います。
  45. 淺村廉

    ○淺村説明員 小災害につきましては、直接の所管は自治庁でございますが、建設省としてもこれについては大いに関心を持つところでございまして、府県からの報告に基きまして、自治庁において二十八年度の全額を十六億というふうに決定されたのであります。それにつきましては、元利補給の措置決定しておりまして、一応の行政上の措置が講ぜられたと考えております。なお全体の額につきましては、もつと大きくいろいろ申請もございましたけれども、当時の状況から十六億で全体の査定が終つたという状態でございます。
  46. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 この際ちよつと申し上げますが、建設省から米田河川局長、浅村防災課長、大蔵省から牧野地方資金課長が出席しておりますから念のため……。
  47. 井手以誠

    ○井手委員 ただいま、関心を持つておるが、主管は自治庁であるというお話でございました。なるほど交付金の場合には、自治庁が主管ではございましようけれども、小災害の復旧ということや、公約の履行については、あくまでも建設大臣責任者でなくてはならぬと私は考えております。本日は、主管が自治庁であつて、自治庁において進められておるということでは、私は引下らないつもりでありますから、そのつもりでお聞きを願いたい。  大体当時、小災害の金額は、四十億くらいを見込まれておつたのでございます。そこで十六億というのはどういうふうに交付されたのか。普通の平衡交付金の中に、一千二百億でございましたか、その中に含まれておるということだけでは、小災害の補助にはならないのであります。この要素は、すでに当時財政需要というものがきまつたあとでございましたので、財政交付金は、別途にひもつきで交付されなくては、補助にはならないのであります。それは、私が申し上げるまでもなく、建設省は御存じであろうと存じます。そこで、十六億というものはどういうふうに交付されたか、また二十九年度は幾ら交付される御予定であるか。さらに、建設省は何回も、建設省の責任において小災害の復旧に補助金を出すということを通達するという言明をなされておりますが、それは履行されたかどうか。地方庁の報告によつてつておるというお話でございましたけれども、それでは不十分でございますので、以上三点をお尋ねいたします。
  48. 淺村廉

    ○淺村説明員 小災害について特別に考えるということにつきましては、また十六億の決定がございまして、それについて元利補給の措置が講ぜられたということにつきましては、建設省からも都道府県に対して通知をいたしておきました。通知済みでございます。なお、これにつきましては、別わくで、自治庁の方において考慮がされておるものと了解いたしております。
  49. 井手以誠

    ○井手委員 そういう答弁では、私は納得いたしません。考慮されておるものだということでは、無責任だと思います。小災害については責任を持つて、国庫補助と同じ効果を及ぼす措置を講ずるということを、何回となく大臣は言明されております。われわれもそれを信頼して、法律案にはそれを書かなかつたのであります。それは官房長もよく御存じのところであります。その措置が、起債を別わくで十六億認めて、その消化については毎年度償還金額を国庫が負担するということかどうか、明確な御答弁を願いたいと存じます。それと二十八年度、二十九年度の金額をはつきり承りたいと存じます。うやむやにされることは、私は絶対に承即いたしません。建設省の責任ある御答弁を願います。
  50. 石破二朗

    ○石破政府委員 小災害の額の査定については、いろいろ議論もある点と思いますが、政府といたしましては、総額十六億と査定いたしまして、その全額について二十八年度に融資の措置を講じた次第であります。そういたしまして、この元利補給につきましては、当時お約束をいたしました通り、国庫においてこれを全部負担するという措置が講ぜられました。その点は間違いございません。ただ別わくになつておると了解しておると申し上げました点も、私そう思つておりますが、これは自治庁の当局でないと、はつきりしたことがお答え申し上げかねるのでございます。ただ私ども建設省としましては、小災害の措置に関する限りは、お約束の通りのことをいたしたい、かように考えております。  なお、二十九年度にどうこうというお尋ねがありましたが、先ほど申し上げました通り、総額十六億と査定いたしておりますので、二十九年度には別の措置を講じておりません。
  51. 井手以誠

    ○井手委員 小災害は十六億と査定した、それは二十八年度の融資によつてまかないをつけた。そういたしますと、小災害については二十八年度中に復旧ができてしまうという勘定になるわけであります。十六億の当否については、私非常に疑問があります。大体補助工事費の五%を建設省は常に申されておりますので、四十億くらいになるかと存じております。この点についてはまだ議論があるが、きようは最終日でございますので追究はいたしません。問題はその十六億の措置でございます。私はその融資の効果が小災害の復旧に真に役立つておるかどうかということを見届けることが、建設省の任務であり義務であると考えております。そういうふうに自治庁において処分されておる、適当にやられておるだろうことでは、承認しがたいのであります。十六億は別わくにはつきりなつておるかどうか、その分については必ず政府において元利補給金を見るというそのはつきりした書類をお見せ願いたいのであります。
  52. 石破二朗

    ○石破政府委員 ここに書面を持つておりませんけれども、十六億につきましては、起債の特例に関する法律がたしかあつたと思いますが、その万で措置いたしたのでありまして、政府で後年度に返済の元利を補給するという点については間違いないと思います。
  53. 井手以誠

    ○井手委員 その十六億のわくは、私詳しく知りませんけれども、起債の金額のきまつた――幾らでございましたか、何百億かきまつたあとに、なお十六億を追加されたのでございますか。十六億追加されたということは、私は聞いていないのでございますが、念を押したのでございますか。
  54. 石破二朗

    ○石破政府委員 その千二百億というものを初めに予定しておいて、それに追加したかどうかということを念を押したかというお話でございますが、実は私の方といたしましては、当初千二百億と自治庁がかりに想定いたしたといたしましても、あるいはその中で節約不用になる起債予定のものもあつたのかもしれませんけれども、私の方はその千二百億の外にあるか中にあるかという点につきましては、実はほかの事業全体もわかりませんし、私の方の責任としては別にそこを念を押しておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  55. 井手以誠

    ○井手委員 先刻も申しましたように、はたしてその十六億が建設省が意図されたように効果があつたかどうか、ほんとうに小災害の復旧に使用されたかどうかということを突きとめることが、私は建設省の任務だと思います。それがよくわからぬということでは、責任は免れませんよ。そこでその十六億の府県の配分はわかつておりますか。
  56. 淺村廉

    ○淺村説明員 ただいまここに資料を持ち合せておりませんけれども、都道府県に配分されておる額については、私どもの方で調べればわかります。
  57. 井手以誠

    ○井手委員 十六億の都道府県の配分、これは建設省で査定されておるならば、その査定された都道府県分の配分表があるはずであります。それはございませんか。
  58. 石破二朗

    ○石破政府委員 先ほど防災課長から申し上げました通り、あるはずであります。もちろんあります。従いまして、これが有効に使われておるかどうかという点に、まだ御疑念があるかとも思いますが、これは小災害について政府から融資を受けた、つまり起債をした方の自治体の工事の施工状況を見るわけでございます。これを見まして、はたして小災害にそれだけの金がいつたかどうか、まだ疑問の余地は残るわけでございますが、私の方といたしましては、先ほど防災課長からも申し上げました通り、国庫負担法に基く監督権はございませんけれども、自治庁ともよく連絡いたしまして、はたして政府が予定しておりました通りの使途に使われておるかどうかという点につきましては、今後十分調査もし監督もして行きたい。ただ法規上は、これは建設大臣の権限ではない、かように防災課長から先ほど申し上げました通りであります。
  59. 井手以誠

    ○井手委員 この小災害の復旧に関すと問題については、以上の御答弁では了承はしかねるのではございますが、本日のところ、これ以上は申し上げません。  そこで、本日中に査定の金額並びに都道府県の配分と、先刻答弁になりました小災害についても、二十八年度中に融資をもつて措置するという通達の写を、当建設委員会委員部に、本日中に御提出になるように希望をいたしておきたいと存じます。  それから、最後に念を押しておきたいと思いますが、小災害については、金額査定については意見があるけれども、公約に基いて小災害は高率補助が適用された、かようなことを地方に私どもがはつきり発表してもさしつかえないのでございますか、その点を最後に念を押しまして質問を打切りたいと思います。
  60. 石破二朗

    ○石破政府委員 資料につきましては、御希望通りに提出いたしたいと考えております。  それからなお小災害に対する措置につきましては、当時政府が申し上げておつた通りの措置を講じた、かように御発表になつてさしつかえないと思います。
  61. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 そのほかにありませんか。
  62. 仲川房次郎

    ○仲川委員 私はこの機会に、真剣に聞いておきたいと思う。御承知の通り、日本は戦争に負けて四五%の領土が減つた。その残りの領土で八千五百万の日本人がどうするかということについては、いろいろな説がありますが、まずもつてその残つた国土を十分日本の再建、文化の発展に利用するためには、道路の発達以外にない、かような観点から私は叫んでおるのでありますが、それは最近、昨年の九州の災害、あるいは近畿の災害、この災害の復旧は緊急のことであるというので、議員立法の措置が昨年度はとられました。そうしていよいよ着手いたしました。ところが奈良県では、この間から知事なりその他が見えて、いろいろ陳情されたところによりますと、その法律できめたことが現在適用されておらない。現に承ると、二十八年度の仕事にかかるときには、大体八割見当だというのに、奈良県では五割か六割、二十八年度は平均五割六分八厘ということを聞いております。次に、そうした工事を執行するについて、すでに契約済みの県の支出だけでも五億四千四百万円ほどもらはなければ、どうしてもやつて行けないということを申しております。さらに町村の方も、すでに着手しておる。どうしても必要な工事にかかるには一億二千百万円ほどもらわなければならない。本年度は四億何がしも支出する。まあ六億もらわなければどうにもならない。すでに今やつておることである。さらに本年度二百二十箇所やらなければならぬが、てんでやつて行けないということを叫んでおります。さようなことでは、われわれがせつかく議決した議員立法が生きて来ないということになりますので、そういう点についてどういうふうにお考えであるか、真剣に聞いておきたい。
  63. 米田正文

    ○米田政府委員 今のお話は、主として道路の被害及びその他に関してのお話であつたようにも受取れましたが、災害後復旧費は、道路河川等を全部一括しまして、各県の復旧費を今年度の予算で第一次配賦といつたしたのでございます。その点については、各地から非常に不満の意向が出て来ておるのでございます。大体の状況を申しますと、二十八年度、二十九年度のものを合せまして、私どもの査定の額としては、大体三〇%程度のものが竣工をいたす予定でございます。今年度一ぱいです。そこでただいまのように、まだ緊急を要するもので、ぜひやらなければならぬものが種々あるのでございます。われわれとしても、その実情は十分承知をいたしておるのでございますけれども、今年度の緊縮予算のために、ある程度の予算でがまんしなければならないという状況になりましたので、各地にその事情も伝えて、この乏しい予算でいかに効率的に実施をいたして行くか、復旧して行くかという問題について、各県の事務当局者とも種々相談をいたしておる実信でございます。どうしてもこれでやれないという分も出て参ろうかと思います。そういう分については、これもまた今後の問題でございますけれども、一部は融資によつて解決をするというような方法もとらざるを得ないのじやないかというのが、私どもの今の率直な考え方でございます。
  64. 仲川房次郎

    ○仲川委員 予算関係で金が減りましたことは、よく承知しております。私の申し上げている問題は、二十八年度にすでに建設省なり大蔵省なるの査定が済んで御承認を得た継続事業としてかかつておるところの、どうしても義務的に支出をしなければならない国庫負担というものが、奈良県が五億五百七十九万七千円、同時に中小河川災害復旧に対する助成の国庫負担、これが一千百六十万七千円でございます。それから、どうしてもこうしても今申した通り三〇%、そのくらいに該当する、奈良県の研究を要する小河川というものが四億六千四百四十万九千円ございます。合せまして九億八千百八十一万三千円、どうしてもこれはいる金です。大体国の方針の三〇%以下になると思います。ところが、今度国の交付いたしております金は、まことに少い四億二千七百十三万円でございます。そうすると、差引どうしても五億五千四百万円足りない。足りないから、どうしてもこうしても金がないからほうつておいて、河川が荒れたあとで災害があつても、道路が通らなくてもほうつておくのだということでありますか。今度の緊縮予算で認められた範囲内においてやらなければならないということになると、町村等において、こうした義務的工事の支払い分が、一億余万円いる。そこで六億七千五百万円どうしても足りない。これは必要なものです。必要なことをしない、それでは建設省というものは何をするのか。またわれわれがやかましく言つてつくつた議員立法をどうするのか、ほとんど運営ができない。そこで、幸い大蔵省の方がおいでになつておりますから、この点よく御考慮になつて、必要なことは、これはやるかやらないか、その点について伺いたい。
  65. 原純夫

    ○原政府委員 非常に財政緊縮できゆうくつでありますために、各所にしわが寄り、その中で、率直に申して災害関係によりましては、決して小さくないというふうに考えて恐縮いたしておるわけであります。できる限り御希望に沿うような方向に今後も努力いたして参りたいと思つております。ただそこで、他のものよりも大きくしわが寄つた事情のうちで、申し上げて御理解願いたいと思いますことは、昨年の臨時国会におきまして、査定見込額として、予算の積算の基礎にいたしました額から、二十九年度予算の際にまとめました基礎数字が、大分縮まつております。これにつきましては、いろいろな災害関係の事後のいわば再査定とか、監査とかいうようなものの実績によりまして、二十八年災につきましての今後の見直し等によつてつて来るであろうということを考えましたものが相当多い。それからもう一つは、例の超過工事の問題でございます。法律上超過工事をとれろということにはつきりなつておりますが、この超過工事につきましては、どの程度とるかというようなことは、まず災害が多いか少いか、それから財政の余裕がどの程度あるかという相関関係でいたすというふうに考えることに自然なつて参るわけで、昨年のように災害が、いわば近年においては未曽有の大きさである、また財政の方は特に緊縮をせなければならぬというようなときに際会いたしましたために、超過工事につきましての見方を、ただいま申し上げましたような角度から、この際は超過工事も最小限必要なところにがまんしていただきたいという考えを入れまして、大きく見ましてその二点を軸といたしまして、二十九年度の予算の基礎を固めたわけでございます。いろいろ各地からのお話、陳情など伺つておりますと、それらの点について、現地はやはり昨年の臨時国会の際の基礎数字を一応頭に持つておられて私どもの申しますそういう見直し、ないしそういう超過工事についての行政上の処理という点が、まだ織り込まれておりませんので、これが識り込まれますれば、この復旧歩合は、二十九年度予算で六割近いところまで行けるということに見ております。これはそういう基本の数字が違いますので、現地から見ますと二割しかできない、三割しかできないという声がございますが、この点は、ただいま申しました数字に沿うて極力関係各省当局にも御努力を願いたいし、被災現地側にも御協力を願いたいというふうに考えているわけでございます。ただいま農林関係は、大分再査定が進んでおりますが、建設関係はスタートを起したところでございまして、これはまだ若干かかると思いますが、そんなような方向でやつて参りたい。いよいよそれで行かぬ場合の融資のお話もたびたびございまして、いろいろ頭を痛めております。これは理財局の方のことでございますので、私から正式に御返事を申し上げるわけに行かぬのでありますが、ただいまのところ理財局は、財政と並んで金融も緊縮しなければならぬというような見地、また緊縮のために資金運用部資金の集まりも必ずしも当初の通り乗り切れるかというようなことに問題があつて、それじやそれで何とかしようというようなことは、まだちよつと申せる時期でないのであります。とりあえずは、二十九年度予算に組みました補助費を、施工の進度ないし補助割当の進度に応じて流して、出水期前にできる限りの工事をやるようにして行こうというように考えます。
  66. 仲川房次郎

    ○仲川委員 大体本問題は、昨年の九州の大災害から端を発しましてそうした問題が起きて、十一月十五日くらいまでかかつたと思います。この間いろいろ論議した結果、二十八年度の標準率をオーバーしたところを指定するというようなことになつている。そうして二十八年度の標準率の半分までは応急復旧としてこれが入る。残りの二分の一は残すということまできまつたのであります。そうなつた以上は、国民がその工事に向つて行く権利があります。いかに悪いことをしても、法律がなければ罰することはできないが、法律があれば、法律によつて罰することは当然であります。そこで、地方へ参りますと、われわれ議員もその話をして一応納得させた。ところがその執行をしないということになると、憲法にいわゆる立法府と行政府と二つの執行が違うということになつて、まことに遺憾だと思います。そこで、あなたのおつしやる通りに、金がないから出さないとなると、すでに昨年大蔵省の方で、かかつてよろしいということで、かかつているところの工事の金を払わないということになつて、二十九年度の工事は中止するよりしようがない、かようなことになる。これでは災害の復旧に対して非常に遺憾だと思いますので、この点十二分に考慮されて実情に即するように特別の措置を大蔵省の方で御配慮願いたいと思う次第であります。
  67. 田中角榮

    田中(角)委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は開会に至らなかつた