運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-27 第19回国会 衆議院 建設委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十七日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 内海 安吉君 理事 瀬戸山三男君    理事 田中 角榮君 理事 中島 茂喜君    理事 細野三千雄君       逢澤  寛君   岡村利右衞門君       高木 松吉君    高田 弥市君       仲川房次郎君    赤澤 正道君       志村 茂治君    三鍋 義三君       山田 長司君    菊川 忠雄君       只野直三郎君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         建設政務次官  南  好雄君         建設事務官         (計画局長)  澁江 操一君  委員外出席者         議     員 寺島隆太郎君         議     員 川俣 清音君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   小林 誠一君         建設事務官         (計画局都市計         画課長)    鶴海良一郎君         専  門  員 西畑 正倫君     ――――――――――――― 四月二十七日  委員和田博雄君辞任につき、その補欠として山  田長司君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十四日  河川法改正に関する陳情書  (第二九五七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  土地区画整理法案内閣提出第一ニ八号)  土地区画整理法施行法案内閣提出第一ニ九号)     ―――――――――――――
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  土地区画整理法案及び土地区画整理法施行法案の両案を一括して議題とし、前会に引続き質疑を継続いたします。瀬戸山三男君。
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 簡単な事項でありますが、二、三この法文の意義を明らかにするために質疑を続けたいと思います。これはこの前の委員会の席で、当局の見解をただしたのでありますが、そのときに明確な御答弁を得られなかあつたので、さらにお尋ねいたすわけであります。  第七十六条の第三項、いわゆる都道府県知事が同条による許可を与えます場合に、期限その他必要な条件を付して許可を与えるということになつておるが、その条件に不当な義務を課することはできない、そういうことはしてならないという規定があるわけであります。期限についての不当なことは別問題として、ここに「不当な義務」ということの、ただ抽象的な文字でありますから、これは常識で判断すべきではありますけれども、具体的にいろいろな紛争が起つておるのは、これから始まつておるのであります。そこで、大体どういう場合をここにいう不当一な義務と認めるかということを、立案の当時どういうふうに考えておられたか、さらに明らかにしていただきたいのであります。
  4. 澁江操一

    澁江政委員 ここにいう不当な義務を課する条件範囲でございますが、一般的に申し上げまして行政行為許可処分一つ条件の内容というものは、その行政処分目的に照しまして必要な限度にとどめるべきものであるということは言い得ると思います。従つて、この場合における不当な義務条件に入るかどうかということも、終局的には、この建築行為許可処分目的から来る当然の条件として考えられる条理というもののものさしによつて判断されるということになるわけでありまして、これらにつきまして今までの行政裁判等判例等を基礎にいたしまして、私ども考えを申し上げさせていただきたいと思うのであります。具体的に申し上げますと、私どもの今まで遭遇いたしましたこういう建築許可処分につけました条件が六つほど出ております。  まずその一つ一つを具体的に申し上げますと、たとえば第一の条件でありますが、移転を命じた場合には、三箇月以内にその物件を広場境域外撤去することという条件を出しておる場合、それからその次といたしましては、かような建築物撤去によつて生ずるすべての損失については、土地に対してその補償はこれを一切要求しない。それから次に、第三に条件といたしました例を申し上げますと、一定の期間内に撤去しない場合には、行政執行法によつて代執行をせらるるも異議を申し立てない。それからまた第四といたしまして、許可を受けた建築物は一切担保に提供しない。あるいは第五の設例といたしまして、建築物を他に転貸または譲渡する場合は、転貸を受けた者または譲渡を受けた者が、ただいま申し上げましたような条件に従うことをあらかじめ承認させまして、その承認を証する書類を区長に示して区長承認を受けた上でなければいけない、かようなところまでこまかく条件を出しておる場合があります。それから第六番目として、建築申請者あるいは転貸または譲渡を受けた者の相続人にもかような条件をそれぞれ付しておる場合が、ただいままでの例として考えられております。これらに対しまして、行政裁判の結果を申し上げますと、無償撤去義務建築主に課する条件、これは有効ということに裁判例なつておるわけです。しかしながら、ただいま申し上げました条件の中の行政代執行に対しまして異議を申し述べないという義務を課する条件、これは無効である。いわゆるここにいう不当な義務を課する条件に相当する、こういうふうな判定を下しております。こういつたようなところから見まして、私どものこの法律運営といたしましては、やはりただいま申し上げました抽象的な条件といたしましては、その許可処分をいたす目的に照しまして、条理上当然と考えられる条件、これはこの条件として不当な義務を課するものでないという範疇として当然なことでありますが、ただいまお話申し上げましたような代執行に対しては全然異議を申し述べないという無条件なことを要求する、さような許可条件は無効であるという裁判例から見ましても、さようなことに大体照応するような条件の場合においては、これはここにいう不当な義務を課する条件であるというふうな判例に持つて行かるべきものであると思います。これらのことについては、ひつきよういたしますのに、最後にはかような行政処分が無効であるか無効でないかということを裁判所が判定する結果になつて参りますので、その裁判例ともにらみ合せて運営して行かなければならない問題であるというふうに考えておるわけであります。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一つあと一点でありますが、同じような趣旨の問題であります。第七十八条の、いわゆる移転に伴う損失補償のことでありますが、条文を読み上げる必要もありませんので、第一項の移転除却、こういう場合の損失補償について「その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失補償しなければならない。」こういうふうになつておるのであります。これも前の不当な義務というのと同じように、通常生ずべき損失というのは、判例その他でもきまつておると思いますが、常識的に一応判断しなければならぬと思います。そこで、私はそれをなぜお尋ねするかというと、今までの、特に戦災復興区画整理において、これが非常に問題になつておる。ところがこういう法律を知らない一般庶民天衆と申しますか、国民は、法律をたてにとつて自己権利を守るということはきわめて少いのであります。いわゆる泣寝入りをするという事例が相当にある。そこでどういうことを、これで通常生ずべき損害というふうに考えられておるか、それを明らかにしてもらいたいと思います。
  6. 澁江操一

    澁江政委員 通常生ずべき損失範囲でございますが、これは土地収用法等の場合におきましても、補償原則として、通常生ずべき損失という法律上の字句を使つております。それで本法の中の「通常生ずべき損失」の範囲も、この土地収用法運営において考えられている損失補償とまつたく一致するものではないかというふうに考えられるわけであります。具体的に申し上げますと、問題になりますのは営業損失補償建物移転とか、あるいは除却とか、そういう実費のかかります損失、これについては明らかに、はつきりその損失範囲というものが明定できることになつて参ると思いますが、問題はやはり営業上の損失補償、こういつたようなことが一つ範囲といたしましては、従来ともやや明確を欠いておつたのであります。これらに対しまして、この法律取扱いといたしましては、ただいま申し上げました収用法との関係ともにらみ合せまして、さような営業上の損失補償についても、当然これは通常考えらるべき営業上の損失補償、これも考えられて行かなければならない、かように考えております。なお、企業上の損失補償という問題も、土地収用法の上では一つ条件がつけられまして考えられておることは御承知通りでございまして、その点につきましても、これは収用法上の原則と大体同じに考えて処理さるべきものだというふうに考えております。この損失補償範囲を最終的に裁決をいたす方法につきましても、最終的には収用委員会裁決にまかせることに和川なつております。さような点からいたしましても、ただいま申し上げたようなことに、当然この規定解釈運用としてはされるべきものであるというふうに考えております。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今局長お話になりましたように、移転とか除却であるとかいうのは、比較的科学的に算定されますので、それほど紛争は起らないのが実情であります。ところが、ただいまもお話になりましたように、営業補償と申しますか、そういう点が現実の問題となつて非常に争いなつている。争いを起すような人であればまずけつこうでありますが、ところが一般には、争いを起すまでの知恵がない。そこで今収用委員会云々と言われましたけれども、そういうのを一々やつておる実例はそうないと思う。たとえば地方行政区画整理をやる。たとえば戦災復興で、現在行われておるわけでありますが、普通の営業でもよろしい、商店でも、旅館でも、料理屋でも、それを移転する、その間営業をやらない、あるいは業態によつてはその移転、あるいは除却状況に応じた営案やる、こういういろいろな事例があるわけでありますが、ところがそれを一々どういうふうにすればいいかわからないというのが国民の大多数であろうと思うのです。この土地区画整理などという法律は、専門家でもなかなかわからない法律でありまして、一般国民は、こういう法律があつて補償云々といつても、どうせお役所がおやりになることで、しかたがないという考え方が非常に多い。しかもやり方からいえば、できるだけそういう補償なんというものは不問に付すというか、知らぬ顔をしてどんどんやつていこうというのが、私は実例じやないかと思う。それは、しかし今せつかくこういうりつぱな法律条文をつくつておられるけれども、政治が国民をかわいがる、国民を愛するという実際の行いが行われておらない、そこで紛争が起る。たとえば料理屋料理屋の話は、えらく例が悪いのでありますが、旅館でもそういう事態にならなければ、相当お客さんが宿泊して利益があるのに、一箇月か二箇月、場合によつて国家予算の不足のために相当これが長引く場合がある。私が見ておる実例では、大体二年ぐらいかかつてつたところがあります。それについてはほとんど営業補償というものが認められておらない実例があるのです。一々紛争を起してからこれをやる。それよりも、あらかじめこういうことは、通常これだけやれば旅館が一時営業ができない、あるいは商売ができない、そういうことで初めからこの法律を適用してやられる。こうならなければいかぬと思いますが、そういう場合の補償はどういうふうに現実に行われておりますか。
  8. 澁江操一

    澁江政委員 お話のように、現在の土地区画整理事業に対します損失算定方式、それからまたその損失を実際上保護して行く施行者立場、これらがただいまお話がございましたように、地元利害関係者立場考え、十分な措置をしているかどうかという点については、まだまだ努力をいたすべき余地が、私どもも多分にあるというふうに考えております。損失補償原則が、あくまで御承知のように当事者の協議によるということでありますので、施行者がみずから努めて損失範囲なりその他につきまして、相手方の権利者立場考えてやるというところまで、なかなか参らないのおりますが、しかし、むしろ損失を少くするような方法において、まず第一には区画整理事業を行わなければならないということを、施行者立場としては考えて行くべきであろうと思います。さような関係において、ただいま行われております土地区画整理事業におきましても、たとえば営業はそのままに残して、新しい建築物、をいわゆる後退する新しい建築線の上に立てて、その建築をやる間の期間というものは、公用地になるべき道路上なら道路上に仮設の営業所をそのまま残して営業を続けていただくといつたような方法を、具体的には施行の上ではとつているようなわけであります。そういつたような土地区画整理事業をやる段取り、あるいは施行の上においてできるだけそういう考慮を払つて行くということがまず第一に留意しなければならない点ではないかと思います。それにしても、なおかつ起り得る損失、これについては、ただいまお話のように、あるいは地元民の権利者のいわゆる未知識のために十分な措置がとられない場合もないとは限らぬと思います。そういう点につきましては、むしろ施行者損失補償措置についての、何と申しますか、中央からの指示なり、啓蒙なり、そういつたようなことを十分配意すると同時に、これにつきましては、やはり施行者事業費の節約ということが大きな問題でありますから、損失金額に対する十分公正な事業費の裏づけというものを、根本的には考えて行かなければならないのではないかというふうに考えます。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 あなたの方では、非常によくお考えくださつておるのでありますが、いわゆる末端というと失礼でありますけれども、実際に事業施行するときには、今おつしやつたように、なかなか簡単に参らない。もう少し具体的に申し上げますと、たとえば、道路を拡幅するために旅館なら旅館が後退しなければならない。それだけの後退する費用は、簡単に計算ができるのでありますが、後退する期間営業ができなかつたのも計算に入れられると思うのです。そればかりではなく、たとえば人が集まる商店でも同じでありますが、御承知通りに、今予算の問題を言われましたが、この区画整理事業というものが、非常に遅々として進まない場合が多い。せつかく道路は広げたが、あとの鋪装はもちろんできないし、道路が完全に構築されない。そして、こまかいことを言いますが、その後退した家の前の側溝もなかなかいつまでもできない、その付近はどろ沼のようになつておる。そういうところには、人も買いにも来ないし、まして旅館などというところでは人は集まらない。そういうことをやはり計算に入れてここにいう「通常生ずべき損失」と、こう見られるお考えですか。
  10. 澁江操一

    澁江政委員 ただいまお話がございましたような営業上の損失、それが事業施行の直接の結果として受けられる当然想定される損失、これは当然のことで、営業損失補償としまして当然取上げられるであろうと思います。お話の、工事施行中に起ります諸条件から来るお得意様が減つた、とまり客が少くなつたといつたようなことについての不在な判定、これはなかなか一律に——これは当然損失範囲に入るということは、具体的なそれぞれの例につきまして解決して行くよりほかに方法がないと私ども考えます。通則をそこの中ではつきり打立てるということは、困難ではないかというふうに存じます。通常受くべき損失つまり運営方法、結論を見出すことが、実際むずかしいというのは、そういう点にあると思うのでありまして、抽象的な一つ基準で、損失であるか損失に入らないかという点を立てることはむずかしいのではないか。具体的なケースにつきまして判定して、行くよりほかに、方法がないというふうに存じております。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もちろん個々の具体的の事実に従つて判定しなければならぬのでありますが、先ほど局長予算の問題にも触れられましたけれども、たとえば先ほど申し上げたように、まず後退する、移築する、あるいは移転する、そういう予算昭和二十八年度でついてようやく移転した。ところが道路を整備する予算というものは、今度は昭和二十九年度でなくてはならない、その間に六箇月ないし一年の開きがある。そうすると、実際問題として、前の道路はぐしやぐしやになつて、旅館には人が集まらない。あるいは商品を売つている営業所には人が来ない。これは当然因果関係があるのでありますが、そういうものは、もう移転してそこに家ができておるのだが、人がとまろうがとまるまいが、入が来ようが来まいがかまわぬという趣旨かどうかということなんです。
  12. 澁江操一

    澁江政委員 ただいまお話の例のような場合につきましては、これはやはり一応損失対象としてどの程度に見るかということは、一つの具体的な先ほど申しました例につきまして判断をするよりほかに、方法はございませんが、やはり損失一つの態様としてこれは考えて行かなければならない問題ではないかというふうに思うわけであります。ただ具体的な、現在事業執行しておる各公共団体あるいは市町村がやつております区画整理事業の面において、さような点についての十分な補償措置ができておるかという点になつて参りますと、この点につきましては、先ほど予算関係のことも申し上げたわけでありますが、必ずしも十分でない面もあるのではないかというふうに考えるわけであります。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私はもうお答えを必要としないのでありますけれども、今おつしやつた通りでありまして、国家予算その他の事情もありますが、大体区画整理事業をいたしますときに、いろいろな計画を立てて、そうして予算というものはずつと前にできる。実際やつてみると、予算が足らないとかなんとかいうことで非常に遅れておる。しかも移転補償その他について、あるいは営業補償もある程度見るでしようけれども、その最初に計画された予算が全然間に合わない。そこで、あとではどうにもならないという実情が、日本全国各地に相当あるわけであります。そういう点はよく考慮されて、そういう末端と申しますか、地方事業施行地帯に対しても特に注意をされ、国家財政も乏しいのでありますが、区画整理事業のために、いわゆる住民と申しますか、国民をあまり痛めつけないように、ひとり指導考慮をされんことを希望いたしまして、私の質問はこれで終ります。
  14. 久野忠治

  15. 三鍋義三

    三鍋委員 ただいまの瀬戸山委員の御質問とも関連するのでありますが、この整理法施行法案に関連いたしまして、具体的な問題を一、二あげまして御質問いたしたい、このように考えます。  第一の問題は、あの大きな話題になつております、八重州口の埋立地建築されている鉄道会館の問題でありますが、お尋ねしたいのは、あの鉄道会館公共建築物の中へ入るわけですか、それとも一般営利会社建築物の中へ入るのですか。どうもはつきりしませんので、これに対してお答えを願いたいと思います。
  16. 澁江操一

    澁江政委員 土地区画整理事業との関係において、八重州口の鉄道会館の問題についての御質問でございましたが、まず第一点は、この鉄道会館用地区画整理事業対象なつている、つまり土地として考えられた場合に、どういう取扱いを受けるかということに一つはなるわけであります。それからその敷地の上に建てられた鉄道会館建築物は、この土地区画整理事業との関係においてまたどうなるか、こういう二つの問題があると思います。それで前段のあそこの鉄道会館用地、これは日本国有鉄道業務用地ということになつておるわけであります。従つてこの法律案取扱いにおきましては、九十五条の換地の特別扱いけます鉄道用地というものの中に入つを受て参るわけでございます。従いまして、かりにあそこの八重口一帯に対しまして区画整理事業が行われるということになりますれば、鉄道会館用地というものに対する取扱いが、この九十五条の第一項の鉄道用地ということで処理して行かなければならないことになつて参ります。  それから建物との関係でございますが、これは鉄道会館建物の全体的な性格を申し上げますと、一階が駅に使われる、二階以上が駅以外の用途に使われるということになつておりまして、いわゆる公共目的に使われる部分とそうでない部分とが、一つ建物の中にチヤンポンに入つて来るという建物性格なつておるわけであります。さような関係なつて参るのでありますが、いずれにいたしましても、土地区画整理事業の上では、一つ区画整理建築線の上に建てられなければならないということになつて参りますと同時に、この関係においては、建築基準法運用として、いわゆる広場計画を持たなければあの建物は建ててはいけないという制約、条件がつけられるわけです。これは建物性格が民間的な建物である、いわゆる個人の建物である。あるいは鉄道建物であるということに関係なく、同様の原則の中にさばかれるということになるわけであります。その意味から申しますと、鉄道会館建物性格が、公共建物であるかないかということは問題にならない、こういうことになつて参ります。
  17. 三鍋義三

    三鍋委員 決算委員会で、八階以上は建築させないといつたような決議がなされておるということを聞いておるのでございますが、現在の進捗状況と多少食い違いがあるように思うのでございますが、その点どういうふうになつておりますか。
  18. 澁江操一

    澁江政委員 その問題は、実は私どもの所管から若干はずれておりますけれども、しかし八重洲口広場計画というものに関連しまして、私どもも多少いろいろ承知している範囲内で申し上げさせていただきまして、詳細なことなり、責任ある答弁としましては、やはりその関係当局にただしていただきたい、かように存じます。  今のお話の、八階以下という制限なつておるのは、建築基準法制限以内の建物でなければならないという結果から来ておるわけであります。これは都知事がその許可処分権限を持つておるわけでありまして、もし八階以上にするということであれば——これは過去の経緯は御存じになつておられると思いますが、都知事許可しなければ、八階以上の建築は許されない。それについて、都知事が現在までとりました手段といたしましては、建築審査会の諮問に基いて処分行為をいたしておりますが、その建築審査会の意見としましては、広場計画というものは、都市計画が決定になつた上で初めて確認し得る段階になり得るはずであるから、その上において初めて八階以上の建築許可をする、こういう立場をとつて今日に至つておるわけです。現在の建築工事状況がどうかと申しますと、これについては、私ども承知して範囲内では、今の制限以内の高さにおいて工事を行つておるという状況のように承知いたしておるわけであります。
  19. 三鍋義三

    三鍋委員 ところが実際問題は、すでに九階のところまて進んでおるようでございますし、それから構想が十二階であるといつたことを耳にするのでございます。都知事権限に属するわけでございますけれども、しかし、やはり当建設委員会といたしましてもこれに全然無関心であり得ない、このように考えます。  会館はそれといたしまして、もう一つ問題なのは、その会館に隣り合つて、路面に接近して鉄鋼ビルとか観光ビルといつたものが建築されておる。これによりまして、呉服橋と数寄屋橋の路線の拡張ができなくなつて来た。それにずつと押されて、つまり駅側拡張は全然これで制約されてできなくなつたために、その反対側のいわゆる槇町ビルですか、八階建のものがありますが、これが移転せなければならない、そういうはめになつておるやにお聞きするのでございます。この横町ビルは、震災を受けた後に、都市計画法によつて建てられたものであり、また戦災後における特別都市計画法から除外されて、現在移転せなくてもいいといつたような状態のもとにあつたものが、こういうあとから建てられたビルのために、その制約を受けて移転せなければならないということは、私ちよつと筋が通らないと思うのであります。私がこれを申し上げるのは、各委員の方にもそれぞれ請願書が来ておると思いますが、この声はやはり正しい一つの訴えとして聞いて上げる必要があるのではないか、このように思いますがゆえに、この委員会で御質問申し上げるわけでございましてこの施行法と関連いたしまして、こういう問題は大なり小なりあちこちにあると思いますが、どのように実際に調整され、運営されているかということについて、澁江さんの御意見を承ることができればと、このように考えます。
  20. 澁江操一

    澁江政委員 愼町ビル移転問題、それからあそこの八重洲口広場計画等に関しましての地元からの意見は、一部は私ども聞いております。施工者対現在の建物の所有者という関係においては、先ほど申し上げました建築許可の問題と同じでありまして、東京都知事建物所有者という関係において処置すべきものだと思いますが、私ども考えは、端的に申し上げまして、横町ビルの当事者の言い分であられる、建物の建つた時期の前後をずつと基準にいたしまして、横町ビルの方が先に建つたがゆえに、それについての広場における愼町ビルの地位というものは、あとから来たものに追い立てられるというようなことであつてはならないという御主張でありますが、その点は私どもは必ずしもそうは思いません。この都市計画区画整理の方式として、先に建つた堅牢建物でも、移転を必要とする場合がありますれば、これは移転しなければいけない、そういう計画もあり得る。たださような関係がやはり一つ考慮の中に加えられて、換地その他の操作の上においても、愼町ビルの現在の広場におけるつの条件、すなわちあの横町ビルという建物は、建築の大部分の面が道路に面しているという条件を著しくかえてもらつては困るというお話のように、私は一部は聞いているのでありますが、そういう点については、私は換地計画その他の上で十分考慮さるべき余地が残されているのではないかというふうに存じます。しかし、これは広場計画を立てる上の問題ではなくて、その後における換地方法において、この土地区画整理法の上でも、従前の利用状況、環境、それらに照応して新しい換地を定めなければいけないという一つ原則が打立つております。その原則一つの応用問題であろうというふうに私は考えておるわけであります。
  21. 三鍋義三

    三鍋委員 もちろん都市計画なるものは五十年、百年後のことを考えてやつて行くべきものでありまして、現在自分の建物が不動のものであるといつた考え方は、私は偏狭であると思うのでございますが、当事者にしてみれば、また切実なものがあると思います。これはあまりこまかく入り過ぎるかもしれませんが、この人らの気持を私受取つてお聞きするのでありますが、ああいつた八階の建物が実際の技術面において移動することができるものかできぬものかということをお聞きしたいのであります。
  22. 澁江操一

    澁江政委員 ただいまの戦災復師事業で、各都市において、かなり堅牢建築物の処理に悩んでおりますけれども、堅牢建物移転、除去方法等についても、最近においてはかなり技術的に進歩して参りました。たとえて申しますと、先般名古屋において、六階薙であつたか八階建であつたか、階数は記憶しておりませんが堅牢建築物移転いたしております。かような点か白申しまして、愼町ビルの堅牢建物をあのままの姿で新しい換地の上に移動させるという工事方法は、技術的には私は可能であろうというふうに存じております。この点は、今まで戦災復興事業で各都市に行われて来た技術方式のやり方をそのまま信頼することによつて、そういう結論が出し得る、私はかように存じております。
  23. 三鍋義三

    三鍋委員 この陳情によりますと、何といつても今までの行きがかりもある、既得権といいますか、この場所を確保したい、補償料その他幾ら積まれても動きたくないのだ、こういつたことを言つておるのでございますが、こういう場合に対して、実施上どのようにこれが適用されるかということを御質問いたしたいと思います。
  24. 澁江操一

    澁江政委員 実施の上の問題としましては、この土地区画整理事業で、やはり全部の地区関係者の同意が得られることを理想といたしますけれども、必ずしもさように行かない場合もございます。個々の権利者のそれぞれの立場によりまして、完全な同意が得られないという場合も想像されるわけであります。さような場合におけるいろいろな処理としては、結局この法律の上でもその方式を出しておりますが、組合の場合であれば、組合総会の三分の二以上の多数決の議決によつて処理して行くという方法はとり得るかと思います。かりに公共団体のあの八重洲口の施工が考えられるとするならば、それは土地区画整理審議会の委員たる者を選任いたしまして、その意見を聞き、審議会の結果を待つて施行主体が判断をして行くようにするほかはないのでありまして、その際においても、先ほど申し上げましたように、できるだけ換地計画その他の運用方法において当事者の同意を得られるような形で努力をして行く、これがまず考えられる方法ではないかと思います。
  25. 三鍋義三

    三鍋委員 もう一点お伺いしたいと思います。これは委員長お答え願いたいと思いますが、過日当委員会におきまして、例の高速度自動車道路の問題が取上げられまして、非常に真剣に各委員から御意見の御発表があつたのでございますが、いわゆる安全上、防火上、交通上、衛生上、あるいは都市美の関係から、非常に真剣に御審議がなされまして、そして現地を実際に視察したりしておる。私は発言はしませんでしたけれども、大きな問題であると思つて、非常に関心を持つてその成行きを見守つてつたのでございますが、いつの間にかそれが消えて行つてしまつたような感じを持ちまして、何かそこにすつきりしないものを感ずるのでございますが、これを今後どのように処理されようとするのか、また一旦都庁で許可し建設大臣も承認したものを、われわれがここで毒して変更あるいは中止できるものか、どういう見解のもとにあの審議がなされ取り扱われているか、今後これをどのように御処理なされようとしておるか、これをお聞きしたいと思います。
  26. 久野忠治

    久野委員長 先回の理事会で、この問題を御相談願つたわけでございますが、都の建設委員会の方で特別委員会ができまして、いろいろその結論について相談がなされておるようでございます。そこで都の建設委員会の結論を待つて、当委員会に建設委員長並びに都の副知事にも御出席を願つて、そうしてさらに検討しようということに先般理事会で申合せをいたしたわけであります。ところが、まだその結論が出ておらないようでございまして、あの問題はまだそのまま捨ておいているわけではございません。これは当然当建設委員会としても結論を出しまして、東京都に向つて申入れをいたしたいと考えておるわけでありまして、今国会中にはある程度結論を出すべく委員会に諮りたい、さように考えておるわけであります。いずれ機会を得て理事会にも諮りまして御相談申し上げたい、かように考えておるわけであります。御了承いただきたいと思います。
  27. 三鍋義三

    三鍋委員 ただいま、その経過につきまして、私がお聞きしていなかつたものでありますから、質問したわけでありますが、ぜひこの問題を真剣に取扱つていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終りたいと思います。
  28. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 関連質問一つ。今の問題は都の議会の特別委員会でどういうふうにきまつた承知しませんが、ある筋から聞きますと、東京都知事は今後自分でやるということを言明したという——私は直接ではありませんからわかりませんが、そういうことを言われたということを、これは正確とは申せませんが、昨日聞きましたので、その点お含みの上進めていただきたいと思います。そうしないと、今三鍋さんのおつしやつたように、まだ何とかなりはせぬかというようなことから、少くとも建設委員会の御迷惑のかかるようなことは、絶対やりたくないと思います。  それから、ちよつと伺いたいのは、これは私はほかの委員会関係で中座しておりましたので、二重になるかもしれませんが、先ほど三鍋さんの聞いておられる八重洲口区画整理の問題てあります。具体的に言うと、例の横町ビルの陳情を受けたのでありますが、私は一昨日でありましたか、東京駅に行つたついでに、あの辺をちよつと歩いてみた。なるほど鉄道会館の方は、相当電車通りからひつこんで立つておりますから、ちようど向い側の愼町ビルをあれと同じようにひつこませると、あの道路の形がよくなる。それで陳情がほんとうかどうか、私は一方聞きでありますのでわかりませんが、換地計画を申しますか、最初の整理の計画では、あのちようど交叉点の角のところの木造だけを取除いて、あそこを広場にするといいますか、広くするような計画なつておつたのを、さらに鉄道会館がずつとひつこんで、あそこを扇型のようにひつこめたら非常にかつこうがいいということであるか、どうかわかりませんが、その最初の案を変更されて、さらに横町ビルにかかるように変更された、こういうふうに陳情者は言うのでありますが、そのいきさつはそういうふうになつておりますかどうですか。
  29. 澁江操一

    澁江政委員 八重洲口広場計画につきましては、いずれにいたしましても、これは他日の機会にこの委員会にもいろいろごひろう申し存なければならない点があると存じますが、計画の最終決定をするという段階にまだ到達するところまで行つておりませんが、従来の経過から参りますと、御承知のように前国会において決算委員会で取上げられた際に、一応広場計画の案なるものが二案ほど示されたことがあります。その案を基礎としてさらに再検討の結果立てられておるごく最近の計画案というものと比較いたしますと、なるほどお話のように、変更になつた結果になつております。変更になつたと申しますことは、最終的な案に至るまでの経過としてそういう形が出て来たということでありまして、一旦立てられた計画が、その後においてまた変更になつたという意味ではありません。そこで、そういう関係において、端的に申しますと、奥行きの深い形の広場というよりも、奥行きの浅い、扇形でなくて梯形と申しますか、そういう形の広場にする方が、同じ広場としての活用面積をとるにしても利用価値が高い、こういう結果になつて来ておることは事実であります。その結果として、今の横町ビル移転措置が、その計画によれば必要である、こういう結果になつておるわけであります。
  30. 久野忠治

    久野委員長 議員川俣君より委員外発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 久野忠治

    久野委員長 御異議なしと認めます。それでは川俣君。
  32. 川俣清音

    ○川俣清音君 私先般の当委員会において、農林委員会を代表しまして二、三質疑をいたしておるのでありますが、続いてお尋ねいたしたいと思います。  本法の目的でありますいわゆる土地区画整理事業というものが、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善並びに宅地の利用の増進をはかるためにこの法律が設けられたその趣旨については、何ら反対するものではございませんが、この法律で定めるところに従つて行われる土地の区画並びにその形質の変更及び公共施設の新設または変更に関する事業と、農地法との衝突の面について、二、三点お尋ねいたしたいと思うのであります。  農地法は、御承知通り、食糧増産並びに健全な農業経営の維持に必要な法律としてできておりますことは、私が申し上げ上げるまでもないところであります。これが日本の大きな土地改革を遂行し、国の予算から見まして、また個人の権利から見まして、大きな土地改革が行われたゆえんのものは、日本の食糧増産並びに健全な農業経営の維持のために必要であるという観点に立ちまして、大きな犠牲を国民にしい、しかも農地法というものによつて食糧増産をはかろうといたしたのであります。ところが、これだけ大きな犠牲を払つてでき上つた農地改革と本法の衝突面について、この法案が比較的考慮されていないのではないかという観点から、四、五点お尋ねいたしたいと思うのであります。なるほどいわゆる密集市街地形成の上から、こういう法律が出て来ることは私は必然だと思うのです。しかしながら、一方において、最近町村合併によつて都市計画が推進されて参ります。食糧増産と健全た農業経営の上から、一番障害になるものは何かと申しますと、農民がせつかく土地改革によつて得た土地を、その目的の農地に利用しないで、これを宅地に変更して行こうということが、この大きな目的を一番はずしておるところのものであります。せつかくこれだけの大きな犠牲を払つて、また個人にも犠牲を払わせて、国も犠牲を払つた上に、しかもそれが農地でなく、単に宅地に転用されるということになりますと、この農地改革の根本的趣旨が失われるということが一つであります。  もう一つは、そのように農地が他の経済価値の高い宅地になつて参りますと、その宅地以外のそれに付属している、隣接している農地がまた土地の高騰をいたします。土地が高騰いたしますと、農業の経営が割安になつて来るというとこから、また農地を他の目的に利用しようとする向きが出て参ります。とうてい隣接の宅地と経済競争の行われるような状態のものではありません。宅地と競争できるような農業経営は、現在日本の農業経営の中において営み得ない。米価は公定せられ、その他の農産物も、国民食糧確保の上から、また価格形式の上から、どうしても押えられなければならぬ問題であります。隣接宅地がだんだん高騰して参りますと、その農地を手放して宅地にかえようという経済的な活動が行われて参ります。そしてそれがだんだん拡大されて、いわゆる農地の壊廃となつて来るのではないかと思うのであります。先般農林委員会におきまして、自由党の降旗徳彌君は、最近の農地改革はまつた目的を逸脱して、だんだん宅地になつて行くんじやないかということを指摘しております。私はこの降旗君の、いわゆる宅地になつたものを元の地主の所有権にまでもどせというような暴論については必ずしも賛成できませんけれども、確かに農地改革の目的を逸脱する面積がだんだん拡大されて行くことは、恐るべきことではないか。こういうことが国の全体の上からはたして許されてしかるべきかどうかということについて、建設省並びに農林当局は検討せられたかどうか、この点お尋ねいたします。
  33. 澁江操一

    澁江政委員 農地法との関係で、ただいま御質問のございました点でありますが、日本の今後の人口問題に対処する一つ方法として、食糧増産、それから人口の受入れ態勢としての、居住地域としての壷中の土地の利用計画、この二つの問題は、端的に申しまれば、唇歯輔車の関係にあるということに尽きると思います。従いまして、農地側の立場としては農地法の問題、都市側の宅地の問題としては宅地の利用計画そのものの改革ということが、本来ならば相並行して行われるということが理想的な姿であろうというふうに考えます。その意味におきまして、建設省の考え方を率直に申し上げますれは、都市計画の面におきましても、ただいまここに議題になつております土地区画整理法案対象といたしております市街地の土地の利用増進の問題にいたしましても、結局今言つたような目的につながるということことになると思います。そういう観点からは、既成市街地の宅地の利用度を高めて行く、これはどうしても放任したままの形で行けば行くほど、これは増大する都市人口あるいは都市に農村から移入されて来る人口、これに無統制のままに都市内の土地を利用させるということになればなるほど、今お話になりましたような農地側に対する非常な圧迫になつて働いて来ることは当然であろうと思います。むしろ、それを所定の都市計画なり、宅地の利用計画の線の上に乗せて解決して行くということにするのがほんとうでありまして、それがすなわち農地側に対する圧迫を無放任のままに置いておいた場合に比較いたしまして、少くとも相当緩和して行くということになるのではないがというふうに考えております。建設省の本法の提案をめぐりまして考えております基本的な考え方と申しますればさような考え方でございます。
  34. 小林誠一

    ○小林説明員 農地の壊廃の問題につきましては、川俣先生のおつしやる通りでございますが、二十八年一月から六月までに農林大臣なりあるいは都府県知事が壊廃の許可を与えました面積は二千四百六十四町歩でございまして、大体年間にすれば、これの倍の五千町歩ぐらいが壊廃されるわけでございます。農林省といたしまして、この農地が無計画につぶれますことは非常に遺憾なことでございますので、たとえばこれを宅地にするという場合は、個々の人がほんとうにその宅地に使うかどうかということをはきつきり確認いたしまして、しかもその必要最小限度と申しますれば、建物の建坪がその敷地の約三〇%に当るというような程度で、無計画に宅地にすることはいけないということ、そういうことで実情を見まして、ここにブローカーが入つたり何かしないような方策でやつておるのでございます。もつとも現在の段階では、宅地は非常に窮迫して、住宅難ということもございますので、都市近郊におきましては、やむを得ざる最小限度の許可はどうしても与えなければならぬと思います。しかしおつしやるように、現在の農地価格と宅地価格のアンバランスの問題から、従つて農地が宅地にどうしても食い込まれるという問題があるのでございます。こういう問題につきましては、根本的には完全なる都市計画、宅地計画と申しますか、そういうものが建設省において立てられまして、それと農林省とよく打合せをいたしまして、これが無統制に壊廃せられないような方策を講じて行きたい、かように存じておるわけでございます。
  35. 川俣清音

    ○川俣清音君 それでは建設省にお尋ねしますが、確かに今日の住宅難を緩和する何らかの対策を講じなければならないことは私どもも認める。しかし、この法案を出されることによつてのみ解決するかといえば、私は建設省の面から言うと、もつと別な面があるのじやないかと思う。建設省は、住宅難を宅地面積の拡大によつてある程度緩和できるというお考えのようですが、私は日本のような狭隘な国においてはむしろ宅地の拡大よりも、地上、空中に伸びて行くようなことを建設省としては考えて行かなければならぬじやないか。それにはなかなか建設省は経済的援助ができないために人の力を借りて、または他の領域に進んで行つてそれを緩和しようというのは、私は無責任じやないかと思うのです。本来でありますならば、なお高層建築をさせて、あるいはアパートのようなものを市街地に建てさせることによつて、むしろ都市の矮小な面積における土地の活用ということを考えて、上に伸びて行くことについて努力をしないで、土地の拡大に求めるというような無責任なこの法案の仕方について、私どもは承服できない点があるのでありますが、これについての御所見をお伺いしたい。
  36. 澁江操一

    澁江政委員 ただいま川俣先生の仰せになりました点は、むしろ私どもが申し上げたいと思つてつた一つの問題点なのでありまして、この法案の中でも、いろいろの疑問はさておきまして、端的に申しまして都市の高層化ということを具体的にねらいたいということであります。そういう観点からいたしまして、お話のように、むしろ横に広がるという建前をとりたくない、縦に都市を立体化して行く形をとりたいということが、根本的な考え方の一つなつておるわけであります。そういう観点からいたしまして、たとえて申しますれば、従来までの区画整理方式では全然取上げられていないのでありますが、この法案におきましては、宅地の立体換地方式というものを一つつております。詳いことはさておきまして、従来のごとく一定の敷地内で平屋建の建物でもつて居住を満足するというようなもう時代ではない、宅地の利用増進の上から行きましては、むしろある程度の高度利用、三階ないし四階にして、平屋建の敷地面積を三倍なしは四倍に働かせて使う方法にしなければいけない、これを一つの宅地立体換地方式という形で条文を入れておりますが、そういう方法をとつて参りたい、これがその法案の一つ大きな山にもなつておるということであります。さような観点でございますので、ひとつ横に広げての他人の領域を侵して行くというような形をとらないということを原則としておるということを申し上げておきたいと存じます。
  37. 川俣清音

    ○川俣清音君 私はそれは非常に了解するところではなくて、ほんとうにそういう考え方であればけつこうなんですが、ほうとうにそうするかどうかという問題であります。私が質問をすれば、おそらくほんとうだとおつしやるでしよう。そうすれば拡大して行くことを少し制限することを、あなた方はむしろ満足してお受けになるだろうと思う。ほんとうに上に伸びて行くことをおやりになれば、拡大について少し制限をきつく受けても、あえて満足せられると思うが、これはどうですか。今の宅地を四階建にするということになりますと、三倍以上の効率が上つて参りますから、拡大はこの程度で防いで行く、上に伸びて行くということになりますれば、拡大することを強力に防ぐということについてもあなたは御承認になるだろうと思いますが、この点どうですか。非常にいい意見で、あなたの意見通りに思いますが……。
  38. 澁江操一

    澁江政委員 結局人口問題の処理ということになつて来るわけでありますが、居住条件の解決を、増大する人口の上からどういうふうに処理して行くかということに、大きな意味ではなつて来るわけであります。先ほど私が申し上げましたように、現状のまま無統制にやつて行けば、これはお話通り好むと好まざるとにかかわらず、そういう姿にならざるを得ないと思うのであります。この法律はそういう都市の立体化を考えて行く。今の御質問は、しからば横に広がることをむしろ規制したらどうか、こういう御意見のようでございますが、しかし規制するということと立体化するということとは、これは並行して行われなければ、結局押える方は押えて、立体化の方法については手はとられていない、こういうことであつてはならぬと思うのでありまして、そういう点はやはり現在の宅地制度の条件下におきましては、やはりこの法律がねらつておりますような立体換地方式をでき得るだけとつて、その受入れの形を完備して行く。それはおのずから横に広がる力をそぐ結果になつて参る、こういうことで解決して行く方が最も正しい行き方ではないかというふうに考えておるわけであります。
  39. 川俣清音

    ○川俣清音君 私が賛成したのを、どうも途中でしかしとか、またはということで制限をされてはいけないのでありまして、ほんとうに住宅の立体化を急速に実現するということになりますれば、いわゆる日本のような矮小な土地におけるところの宅地の拡大ということは、極力防いで行かなければならぬと思う。ところが、この法律によると、確かにねらいは合理的な利用だ、こう言われますけれども、合理的な利用という名前に便乗いたしまして、今日の経済状態から見ますと宅地の拡大になるおそれがあるのではないか。あなた方のねらいは当然な規制をしよう、いわゆる既成市街地の合理化ならばこれを別にいたしますということであるが、最近のような町村の合併によつて行われますところの新しい市街地の形成ということになりますと、急速に高層建築になるということは、あなた方予想できないと思う。またあなたが今言われたような熱意を持つて、建設省がどれだけの援助と努力ができるのですか。おそらくできないから、看板は、あるいは理想としては、高層建築がいいんだという説明だけじやないですか。ほんとうにやるという、それだけの財政的裏づけを今持つておられますならば、このような議論は起きて来ないと思う。建設省としては、上に行くんだという看板を持つていなければ、建設省の値打かないから、看板を持つているんだというだけでありますならば、いたずらに宅地の広大ということで、さつき農林省が説明したような農地の壊廃面積が五千町歩にも及ぶというような恐るべき傾向を持つて来るんじやないか、むしろこれに拍車をかけるような傾向になるのではないか、根本的に農地法との衝突——ほんとうは並行して進むべきものが衝突の傾向に行くんではないか。これに対して農林省は一体どれだけ研究したのですか。政務次官は今来たのでわからぬから、農地課長どうですか。
  40. 小林誠一

    ○小林説明員 農地の壊廃の問題でございますが、今申しました五千町歩というのは、単に宅地だけではありません、公有敷地を入れた全部を一括して申し上げたのであります。この公有敷地の問題は、この前この建設委員会でも問題になつたところでございまして、これは、たとえば工場を誘致するという観点から、地元の方も非常に熱心でおられました。これは今の県民所得なり固定資産税の関係もあろうかと思いますが、そういうことについて非常に熱心なのでございまして、そういう点も勘案いたしまして、また工業が発展するということは、むしろ農村から過剰人口を吸収するという観点からも、農林省として必ずしもこれを否定するというわけに参りませんので、やはり宅地の場合と同じように必要最小限度、たとえば建坪が今申しました宅地の三分の一というような原則も入れまして、最小限度の必要な土地、しかも農業生産力の上から申しましても、生産力の低い土地を工場の敷地にまわすように極力やつておるのでございます。各府県におきましても——府県の場合は五千坪以下でございますから、割にそういう問題はないかもしれませんけれども、農林省と同じような方針で県としてもやつておりまして、この問題につきましては、検討というよりも、ケース・バイ・ケースで、個々のものについて十分監督をいたしておるつもりでおります。
  41. 川俣清音

    ○川俣清音君 それではさらにお尋ねいたしますが、私は既成市街地の考え方については何ら異論はない。問題は市町村合併後におけるところの、最近の経済事情からいたしまして、新市街地をつくろうという傾きがだんだん出て参ります。これに対する規制を農林省はどう考えておるか、こういう点なんです。そういう点については、建設省ではおそらく百三十六条で調整するという考え方だと思うが、これは調整すべき以上の根本問題だと思うのです。既成市街地についてはこの程度の規制で十分だと思う。百三十六条を見ますと、むしろ逆でなければならないと思うのですが、逆であつてよろしゆうございますかどうか。おそらく農林省からいうならば、これは逆であるべきとが至当ではないか。なぜかというと、知事がこれらの事業計画をする場合には、農業委員会の意見を聞かなければならないと書いておりますが、農業委員会の意見を聞いた上でなければ事業計画は立てられないというふうにすべきじやないか、そう思うのですが、農林政務次官どうですか。
  42. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話通り、この法律は農林省としても重大な関係がありますので、本法をつくりますまでには、建設事務当局とも相当打合せを遂げたわけであります。ただお話のように、純粋の都市区域内においては何ら問題はございませんが、最近の町村合併促進法によりますところの新しい事態に応じまして、いろいろ農地の壊廃等の問題が起つてつております。その点から無制限に農地がつぶれることのないようにしなければならない、こういうことで百三十六条によりまして、この規定をはつきりといたしたのであります。これが逆でなければならないという御意見もございますが、しかしながら、これは農業委員会の意見を聞く義務を持つ、こういうことになつておるわけでございますから、この法を活用いたしまして、御心配の点のないように、農地が無制限につぶれることのないようにしたい。しかし、ただいま農地課長からも申し上げましたように、農村の過剰人口を吸収する等のために、適当なる工場の増設ということも必要なわけでありまして、これは当然農地法によつて、五千坪以上のものについては農林大臣が管理をすることになつておるわけでありますから、これらの法を適当に運用いたしまして、御心配の点のないように善処いたしたいと存じておるわけでございます。
  43. 川俣清音

    ○川俣清音君 そこで、建設省の政務次官にお尋ねしなければならぬが、農地法は先に出た法律で、この法律あとに出るのですが、一定の区画の計画が立つて土地区画整理事業が遂行されますと、ある面積の特定法でありますから、この法律が優先することになると思うのです。そういう考え方をしなければならぬのは当然だ、そこにまたこの法律の必要性もあるのだろうと思うのです。そこで私は、一定の面積以上のようなところについては——これは東京の中野にあるような畑、あるいは東京市内の一部にありますような農地、これはたとい面積が大きくても問題ないと思うのです。多くの農地を含んだ新しい市街地の計画が立てられる場合におきましては、少くとも百三十六条を逆に書いて行かなければ、今日の経済情勢からして高層建築などということはおよそ及ばないことになる。従つて、現在の経済情勢の中においては、新しい市の発展のためにということで、だんだん農地を壊廃して行く方向にある。町村合併が行き過ぎがあるといわれているように、これらの法律もまた、行き過ぎになるおそれがありますので、逆な書き方をすべきじやないか。もちろん、これは一定面積とかいうことを限つてもよろしいと思うのですけれども、そういう建前をとらなければ、さらに壊廃の一途を激化するんじやないか、こう思うのですが、この点について建設省並びに農林省の御見解を承りたい。
  44. 平野三郎

    ○平野政府委員 この法律が優先するのじやないかというお話でありますが、政府といたしましては、法律はすべて平等の建前に立つておるわけでありますから、いずれの法律を特に重要視して行政の運用をするというようなことは、毛頭考えておらぬわけでありまして、すべて平等の建前である。あとは行政の運用の問題でありますから、適切なる運用によつて御心配のないようにいたしたいと存じております。
  45. 南好雄

    ○南政府委員 川俣さんの御質問、私途中から拝承したのでありますが、お考えにつきましては、私もまことに同感の面があるのであります。最近の情勢を考えてみますと、都市計画を立てる上におきましても、現在のような町村合併促進法に基いて急激に大きくなつたいわゆる自治団体の区域を、そのまま東京や大阪のような都市計画と同一視してやるべきものではないという御趣旨については、私まつたく同感でありますし、そういうように行政指導をして参りたいと思つております。  なお、既存の市街地につきましても、建設省は二、三年来、従来のような平面的都市の造成ということであつては、四つの島における人口問題を解決する上においてもどうかという点で、二十九年度予算の乏しい額ではありますが、建築の高層化ということにつきまして、十分とは申しませんけれども、できるだけの努力をしておりますことは、建設省予算を見ていただけば御了解願えると思います。既存のいわゆる市街形成につきましても、今後でき得る限り予算措置をいたしまして、今立てております立体市街地化ということについては、格段の努力をして参るつもりであります。  なお、御承知通り土地区画整理法は手続法でありますが、この手続法の母法になります都市計画法あるいは農林省関係の農地法の関係が、この母法との調整面をこの手続法の百三十六条で十分折衝してやつて行こうということを事務的に結びつけておりまして、建設省の行政指導の方針がそうであり、農林省の行政指導の方針がそうでありますならば、川俣さんの御心配になるような、そういう行政面における摩擦は、私はおそらく起らぬだろう。多少問題を平面化するという考え方で、農地が市街地になるためにつぶれて行くというような傾向は、従来はありましたけれども、今のような建設省の指導方針のもとで参りますならば、大きな意味から申しますと、そういうような御心配はおそらく将来は生じて来まいというような気がするのであります。
  46. 川俣清音

    ○川俣清音君 今の両政務次官の御答弁は、いずれも十分に現状を把握しておられないのじやないかということを考える。というのは、大体当該地区の利害関係者は、当該地区の農業委員会が代表するというような考え方をしておる、あるいは町村長の意見を聞けばいいのだというような考え方をしておる。ところが、市街地をつくろうということになりますと、町村長もおそらくその土地の繁栄という上から賛成して来る傾向なのです。そこにむしろ問題がある。また本来の農業委員会は、農地の保全、食糧増産に寄与すべき建前でできておりますけれども、最近の傾向を見ますと、むしろ土地のブローカー化して、土地の値上りから来る利益を農民の利益なりというような考え方で率先するような傾向があるのです。特に町村合併が行われて、市の農業委員会というようなことになりますと、農村のことを、農地のことを忘れて、いかにして市街地をつくるかということについて率先狂奔しておるのじやないか、むしろブローカー化しておるというそしりが方々で起きて来ている。その点から見ると、当該地区の農業委員会の意見を聞くよりも、むしろ県全体としてはたして適当かどうかというような意味において、県農業委員会の意見を聞くというならばまだ私はわかる。そういうことを考えると、どうしても個人の権利というふうに——個人の権利は守られなければならない、これはもちろんでありますが、それに追随するような方向で行きますと、土地の壊廃になるんじやないかということを非常におそれておる。私は単に農民の自己的な立場を擁護しなければならないと言つているのじやない、むしろ大きな国の食糧政策の上かな、農地法の上から好ましくない傾向に行くのじやないか、その是正をどこかではからねばならぬのじやないかという見解なのです。これについてどうです。
  47. 南好雄

    ○南政府委員 お答え申し上げます。私はそのことをあまりにはつきり申し上げてはと思つて、御遠慮申し上げたのでありますが、これは川俣さん、なかなかむずかしい問題でありまして、結局市街地の問題と農村の問題が、末端においてはこういう形において行政的に措置されるということを申し上げた。農地も大事でありますし、ふえて行く人口を収容する都市の形成ということももちろん大事であります。その間の調整をどこでとるかということが問題になつて来るわけです。繰返して申し上げますが、土地区画整理法というものは、実体法規ではなくて、一定の都市計画を遂行する手続法規なのです。その手続法規の中で、今の川俣さんの御議論のようなことを解決しようというのは、法律としては私は少し無理なような気もするのであります。むしろこれは都市計画法とかあるいは農地法において、政府全体として集約した政策を現わして来る、建設省といたしましては今までのような考え方で、平面都市の造成ということでは、今後数年ならずして行き詰まる、従つて乏しい財政ではあるが、今後はできるだけ立体的に都市形成というものを考えなければならぬ。そこで公営住宅の方面におきましても、少くとも十階以上の高層アパートをつくろうというような方面にかわつてつておりますことは、予算を見ていただけばわかりますし、建設省がそういう考えで、ただどんどん広がつて行く毎年百数十万の増人口を、ただ平面的に解決しようというようなことでは、乏しい農地でありますので、その辺に非常な影響を来すという考え方で、この土地区画整理法の中にも立体化ということの一つ考えが出ておる。こういうことを局長からも毎々説明しておるのでありまして、ここしばらくの情勢の推移を見きわめまして、建設省といたしましては、都市計画法ども、あるいは御主張のように直して行かなければならぬ機会も遠からずして起きることだろう。反面におきましては農地法などにも、耕地の維持ということについてのもつと強い制限が農地法で起きて来るのではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。
  48. 川俣清音

    ○川俣清音君 今の政務次官の御答弁には、半分は大体賛成ですが、半分はどうも賛成しがたいのであつて、まず一応手続法として考えるのは当然だと思うが、手続法そのものとしては不完備じやないか、こういうことを申し上げる。たとえば八十八条の七項に、当該の農業委員会の意見だけ聞くことになつておりますが、これではいかぬのではないでしようか。県農業委員会の意見もあわせて聞くというようなことにならないと、農地の壊廃が行われるじやないか、こういう点なんです。当該農業委員会が、常に農民の利益——眼前の利益は守るかもしれないが、大所高所から守るかどうかという点については、非常な疑惑があるばかりでなく、先ほど申し上げたように率先土地ブローカーになるというようなおそれが最近出て来ておるから、むしろそこへ行くと、都道府県農業委員会というものは、全体的な観点から判断するであろうから、都道府県農業委員会の意見を徴さなければならぬというような手続法にしたらどうだろうか、こう言つておるのです。  もう一つは、百二十二条は、一定面積を越えるようなものは建設大臣または農林大臣の意見も聞かなければならないというふうに手続をかえて行つたらどうだ。あるいは百三十六条のところにも、当該町村農業委員会または土地改良区のほかに都道府県農業委員会の意見も聞かなければならないというふうにすべきじやないか。知事の全体としての意見を徴する機関は、府県農業委員会というものがあるのですから、その意見を聞かなければならないということは、あなたのお説の通りだとすれば、手続法ですから、入れたつてさしつかえない。手続上のこういう義務を負わせてそれらのことを防ぐということは、何らさしつかえないのではないか。この点両政務次官に伺いたい。
  49. 南好雄

    ○南政府委員 お答え申し上げます。これは実際法律をやつてみて、そうしていろいろの機関の動き方によつて法律をかえて行くというような行き方を、私たちはやつておるのでありまして、県知事にいたしましても、市町村長にいたしましても、市町村の農業委員会にいたしましても、川俣さんの御指摘のような傾向にあるかも存じません。私はよく存じませんが、常に大所高所に立つて、その機関の持つておる本来の使命によつて動くように法律はできておるのであります。なお、当該地区の農業委員会の意見を聞かずに府県の農業委員会の意見を云々というような御意見もございましたが、法案作成の途次農林省と打合せたときには、むしろ逆で、当該市町村の農業委員会の方が実情がよくわかる、従つてその意見を聞くようにという農林省の希望で、そういうふうにしたように私どもも聞いておるのであります。結局農業委員会土地ブローカーのようになつて、市街地にするためにどんどん耕地をつぶして行くという弊害が顕著に現われて来た場合には、農林省の方における農業委員会の行政指導によつても、ある程度はとめられますし、それによつてとめられない場合におきましては、また法律の改正ということも考えなければならぬか、一応法律で取上げる場合においては、当該農業委員会は、農業委員会の持つておる使命を完全に遂行するものということを前提条件にいたしまして、法律はつくつてある、こういうお答えをするよりほかないと思つております。
  50. 平野三郎

    ○平野政府委員 さすがに農政の大権威者であらせられる川俣先生でありますだけに、よいところを御指摘になつておられるわけであります。まさに町村合併促進法等の影響から、市町村農業委員会土地ブローカー的な傾向を帯びておるということもあり得ると存ずるわけでございます。しかしながら、農林省といたしましては、日本の国土全体の趨勢を見まして、やはりある程度農地がつぶれて行くということはやむを得ないところと存じます。従来の実績を見ましても、年々三万五千町歩程度の農地が他に転用されて行くわけでございまして、それがために、また一方農地の拡張、改良の政策に、乏しい予算の中から相当支出いたしてやつておるわけであります。しかしながら、日本の食糧政策の立場から申しまして、できるだけ農地を維持して行くということについては、もちろんかわりがないわけでありまして、その点において建設省とも十分打合せをいたしまして、行政運営の適正を期してやつて行きたいと思つているわけでございます。ただいまの県の農業委員会の意見も聞くべきではないかというお尋ねにつきましては、建設政務次官からお答えを申し上げました通り、これはむしろ実状をわかつている市町村農業委員会の意見を聞くほうが適当である、こういう言のもとに本法を御審議願つておるわけでございまして、御心配の点につきましては、その通りでございますが、十分行政運営を通じまして、適正に進めて参りたいと考えております。
  51. 川俣清音

    ○川俣清音君 農林省が都道府県の農業委員会の意見をあわせて聞くというようなことについて反対したというのは、おかしいと思うのです。なるほど実情は、当該農業委員会がよく了知しておるということは言えると思う。ところが、町村合併が行われた後において、にわかにできた農業委員会が、全体の計画などについて知悉しておるなどということは言えないと思う、むしろそれは弊害こそあるのです。もちろん利益代表でありますから、当該の農業委員会の意見を聞かなければならぬことは、私も認める。しかしながら都道府県全体として、はたしてそういう計画がよろしいかどうかということにつき、あわせて都道府県農業委員会の意見を聞いて悪いということがどうして言えるのですか。農林省がそんなことを言つてつてまけしからぬと思うが、農地課長、どうです。
  52. 小林誠一

    ○小林説明員 この問題につきまして都道府県農業委員会の意見を聞かなくともよろしいというようなことは毛頭申しておりません。この原案につき、市町村農業委員会の意見を聞いてくれということを農林省としては申し入れたのでありまして、都道府県農業委員会の意見を聞かなくてよろしいということは毛頭申しておりませんので、この点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
  53. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうすると建設省の意見、農林省の意見とは違うじやないですか。私はあわせて聞くべきだ、こういうので建設省にお尋ねしたところが、農林省の意向でこういうふうにしたのだというのは、どういうのですか。どうもだらしがない。
  54. 小林誠一

    ○小林説明員 それはこの原案には初め入つておらなかつたのでありまして、農林省といたしましては市町村農業委員会の意見を聞いてくださいということを申し入れて、この原案に入つたのであります。それ以上のことは何も申しておりません。
  55. 川俣清音

    ○川俣清音君 あわせて都道府県農業委員会の意見を聞かなければならないというふうに、どうしてもう少し主張しなかつたのですか。それは利害の代表であるということで、当該市町村農業委員会の意見を聞くべしという主張はよくわかる。その通りだと思いますが、あわせて全体から見て、一定面積以上のようなところは、都道府県農業委員会が非常に関心を持つて見ておるのだから、その意見を聞かなければならないということは、当然入れるべきじやないですか。他の農林省の方の法律においても、一定区画以上のものについては都道府県農業委員会の意見を聞かなければならないというように、あなた方はつくつておるじやないですか。そういうようにつくつておいて、これだけは入れなくてもよいということが、どういうわけで言えますか。それでは終始一貫しないじやないですか。なぜもう少し主張しなかつたのか、主張しなかつた根拠をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  56. 小林誠一

    ○小林説明員 実はそこまで考えなかつたのでありまして、別に根拠はないのでありますが、農地の転用につきましては、都道府県知事許可が必要ということのなつております。このときにはご承知のように都道府県農業委員会の意見を聞いて都道府県の知事が許可することになつておりますので、壊廃については当然都道府県農業委員会が意見を述べることはあり得ると思いますので、しいてりくつをつければそういうこでございますが、この場合には、率直に申しましてそこまで考えなかつたのであります。   〔委員長退席、内海委員長代理着席〕
  57. 川俣清音

    ○川俣清音君 そうすると農林省としては、やはり積極的に意見を聞くということが、ほかの同じような法律の建前からいつて必要だということが明らかになりましたが、建設省はこの点はいかがでありますか。
  58. 南好雄

    ○南政府委員 川俣さんの御質問お答え申し上げますが、今農林省の農地誤長が説明いたしましたように、知事が都市計画をきめる際におきましては、一応都道府県農業委員会の意見も聞く機会があるのだ、その機会において一応都道府県の農業委員会の意見が入つておるから、具体的の小さいいわゆる土地区画整理の場合におきましたは、当該地区の農業委員会の意見を聞けば、そのことが義務づけられるならば、行政指導上御心配の点がないようになる、こういう見通しのものにおいて法律ができておる。私たちもそういうつもりで、それをもつて足りると思つている。問題は、御質問のように、最近の情勢下においての市街地になつて行くことと、農地との摩擦面をどういうふうにやらなければならないかということですが、これは先ほど申しましたように、都市計画法あるいは農地法でやるべきものであつて、きまつた計画を遂行するためにやる手続法である土地区画整理法案においては、今私の考えておりますような宅地の立体化というような条文もここに出て参つておるわけでありますから、その辺で両省緊密に連絡をとつて行政運用を十分に考えて参りますならば——根本的にはなかなかきめられない問題ではありますが、まあ現下の情勢に適応するような妥当な結論が出るだろう、こういうふうに考えておるということを申し上げておるのであります。
  59. 川俣清音

    ○川俣清音君 私も手続き法であるということは十分に認めておる。これは結局事業計画が立てられた上においては、農地法を越えて優先するものであるというふうに理解をし、その特徴をも認めておる。従つてそれまでの手続上、これらの県農業委員会の意見を聞くという義務づけが必要じやないか。これは前は必ずしも義務づけられていない。問題は八十八条です、農地課長よく勉強したまえ。採草放牧地は当該農業委員会へといつたつて、おそらくこの書き方で行くと、管轄する市町村農業委員会というのは、二つ農業委員会が出て来るということになりますよ。あるいは三つの農業委員会になるかもしれぬ、関連するのです。ですから、それは当然含まれる。それで意見が違つて出て来る場合がある。従つて県農業委員会の意見もあわせて聞かなければならぬということは、必ず起きて来なければならない事態なのです。これは当然考えていなければならぬはずです。二つの農業委員会が別々な意見を出したらどうする。そういうことが出て来ることは明瞭なんです。ことに採草地の場合は出て来ます。農地の場合でも出て来ると思いますけれども、採草地の場合は特に出て来る。そういうことに都道府県連合会の意見をあわせて聞かなければならないという義務をつけるのは当然だと思うのです。また知事にも任意に、ときによつて意見を聞くことができるというのではなく、やはり義務づけておくことは、こういう弊害を防ごうという考え方になれば当然入れておかなければならぬじやないか。おそらくこれに農林省が反対するわけはない。少し勉強が足りなかつたから建設省に対して意見の述べ方がぬるかつたというにすぎない。今からでもいいからあらためて勉強しなさい、どうです。
  60. 澁江操一

    澁江政委員 だんだん御質問の要点であります点をお述べになられたわけでございますが、百三十六条の規定は、ごらんになりますように、これは知事はどうしても当該地区の市町村の農業委員会の意見を聞かなければならぬといふうに義務づけております。聞くことができるという裁量の余地を与えておるのではありませんで、義務づけられておるということは、条文の上ではつきりいたしております。この点は御了解をいただきたいと思います。  そこで、私どもの当初この法案の運用について予定しましたことは、農業委員会の意見というものは、市町村農業委員会の意見であつも、これは知事の審査裁量の上においては必ず農地部を通じ、そういう意味において知事の補佐機関としての農地部の意見というものも当然裁量の上に反映する、こういうふうに運用の上で当然考えられますので、さような関係から行きまして、かりに今御指摘になりましたような事態があつたといたしますならば、それの調整その他につきましては、これは知事の補佐機関としての農地部の立場において解決される場面もあり得る。なお、先ほど次官からお話がございましたように、農地の壊廃そのことは、農地法の適正な運営を期しておられるそれぞれ県農業委員会等におきましての発言の機会が、当然農地法の立場上から与えられておるわけでありまして、そうい点から二重、三重に、百三十六条の運営の適正を期せられる余地は十分全体の構成の上に残されておる、かように考えておるわけであります。法案自体の立て方といたしましては、これは農林省と緊密な連絡の上で立てられた規定であるということを、あわせてつけ加えさしていただきたいと思います。
  61. 川俣清音

    ○川俣清音君 八十八条にも都道府県農業委員会の意見をあわせて聞くということを入れたからといつて、何らさしつかえないばかりでなく、むしろ定面積以上についてはそういうことによつて是正をして行こうということは一向さしつかえないことだと思う。また百二十二条について、一定の面積以上については建設大臣とあわせて農林大臣の意見も聞かなければならないということを入れたからといつて、何らさしつかえないじやないか。  百三十六条についても同様、積極的な趣旨はそれでよろしゆうございましよう。逆に書いてその農地の造成の目的を逸脱するようなことについては、その方面から制肘を加えるという考え方は、ちつともさしつかえないではないか。ことに将来上の方へ伸びて行こうといたしますならば、私はそういうふうな考え方をしておることが適当であろうと思う。しかしながら、あなた方が心配されておりますごく一部の農地もあえて高く売るというようなブローカー的なものについては、厳に戒めて行かなければならぬことは、またこの法律によつて手続をかなりやかましくいたしまして、それらのものに対する市街地形成の上に役立たせようというその意図は私は賛成であります。問題は広汎な面積になりますと正面衝突するので、それらについては積極的に是正の必要があろう、こういうのでありますから、何らあなた方の意見と違つておりません。これらの意見を入れたつて、ちつとも障害になることはないと思います。   〔内海委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 澁江操一

    澁江政委員 結局百三十六条ないしは八十何条かにおける県農業委員会の既定の権限を、土地区画整理の上でもう少しはつきりさせたらどうか、こういう意見に尽きるわけであります。先ほど農林省側からも意見がありましたように、土地区画整理法の上で与えられる農業委員会権限が必要であるか、既存の農地法の中で与えられておる権限によつて十分全うされるかということになるわけでありまして、私ども考えがあるいは間違つておるかもしれません。しかし、現在の農地法の第四条によつて農地を農地以外の用途に転用する場合は、知事が県農業委員会の意見をどうしても聞かなければならないのですが、知事がかりに土地区画整理法の上で市町村の農業委員会の意見を聞くといたしましても、農地以外の用途に転向するという意味合いからいたしまして、この土地区画整理事業の認可を下す場合におきましては、どうしても県の農業委員会の意見も聞かなければならぬことになつておる。そういう農地法から与えられておる固有の権限が県の農業委員会に与えられておる結果からいたしまして、土地区画整理法の上で与えられる権限と農地法で現在持つておる権限と、これは結局同じ権限を行使することになると思うわけでありまして、そういう点について農林省が先ほど御答弁なつたことが、当然筋合いとしては出て来る、かように考えられるわけであります。
  63. 川俣清音

    ○川俣清音君 農林省のお答えは、あなた方と大分違う、これは少し検討が足りなかつたということを明らかにしておるのです。いろいろ入れることも好ましいということを返事をしておる。従つてこれを入れられるべきじやないか。  それから百二十二条についても、政令で定める一定面積以上の割合の場合においては、建設大臣と農林大臣と両方の意見を聞かなければならないということを入れてもちつともさしつかえない。同じ政府です。建設大臣及び農林大臣としても、面積が大きくなれば大いに意見がおるであろうと思います。そんなに小さい面積までは、一定区画でけつこうです。むしろ広汎な面積については……。
  64. 澁江操一

    澁江政委員 百三十六条の関係においては、私ども建設省の立場からあえて強弁することは、これはあるいは行き過ぎかと思います。その点は農林省の意見を十分お聞き取り願いたいと存じますが、私どもの知つておる知識の範囲内で申し上げたわけでありまして、その点御了承をいただきたいと思います。  それから百二十二条の関係におきましては、これは土地区画整理事業計大臣の権限を言つておるのでありまして、農地との関係においては、先ほど私ども建設政務次官から申し上げましたように、土地区画整理対象地区編入されるかどうかということが、問題の一つの山でありまして、それから後の手続過程における設計の許可認可の権限が、これは農林大臣と共管でなければいけないということはないではないか。これはあくまで設計の認可でありますから、これは換地の計画にいたしましても、区画整理事業計画に一定める設計の認可にいたしましても、それらについては、これは建設大臣固有の権限の行使としまして、農林大臣と共管ないし協議さるべき性格のものではないということは、設置法上の関係からいたしましても、当然であろうと考えておるわけであります。
  65. 川俣清音

    ○川俣清音君 これはもちろん設計に関する手続の問題であります。従つて面積が一定面積以上農地に及ぼすような場合において、農林大臣の意見を聞かなければならないということは、建設大臣としての当然の責務だと私は思う。
  66. 澁江操一

    澁江政委員 百二十二条の関係におきましては、これは県を通じ、それからそれぞれの行政機関を通じて、結局建設大臣の許可にまで持つて来ているわけです。県知事が設計の許可をしようとする場合に、建設大臣の許可を得なければならないということを、もう一つうたつているわけであります。それで県知事の設計許可についての考え方を立てる上においては、ただいまいろいろの関係からお話が出ましたように、それぞれ農業委員会の意見も聞かれた上で、区画整理事業としての計画承認されるかされないかという一つの過程、ふるいを通して出て来た結果として現われているわけです。それの上に立つて、今度設計の許可をしようという段階になつたときに、初めてここに建設大臣の許可ということが必要だという形になつて出て来ておるわけであります。そういう点から申しまして、私は何らさしつかえないのではないかというふうに思います。
  67. 川俣清音

    ○川俣清音君 この点はそのように思われますので、私ももう少し検討したいと思います。いずれにしても、問題は、この法律のねらいとして出ておりますのは、密集市街地、既成市街地というものを、どうして計画的に形成するかということに主眼を置いておりますために、最近起つて来るような情勢にあります行き過ぎの町村合併から起る弊害を、どうして防ごうかというのが私ども考え方であります。どうもその考え方が、そういうことを予想しない考え方の上に立つているのではないか。この法案全体を見て既成市街地または密集市街地というものを非常に、重要視して——もちろん重要視すべき性質のものでありますから、重要視されることは当然だと思います。しかしながら新しく起るところの最近行き過ぎの町村合併について、新しく市街地をつくろうというような動きが非常に濃厚なときに、これが逆用されないかということを憂慮しての問題であります。これらについて十分の考慮を払われてないのではないかという建前で今申し上げたのでありますから、建設委員会におきましてもそれらの点を十分検討せられて、それらの弊害が起きないような措置が、当委員会において研究さるべきであろうということを申し上げまして、農林委員会としてはあらためてこの委員会に申し出たいと思いますけれども、私の質疑は、時間が参りましたから、これで終つておきたいと思います。
  68. 久野忠治

    久野委員長 他に御質疑はありませんか。
  69. 細野三千雄

    ○細野委員 川俣君の質問に関連してお尋ねいたします。この間農林委員会との連合審査会の問題になりました第二条の六項の宅地の定義が、いろいろ問題を起している一つの原因だと思う。私は農林委員会の方でいろいろ御心配になる点は、ごもつともだと思いますが、本法は手続法だということを政務次官も言われました。問題は、むしろ母法である都市計画法にあるので、都市計画区域を決定するということが問題なわけであります。これは都市計画区域を決定すれば、あとは手続ですから、その都市計画区域を決定する場合に、農村の利害関係というものがどういうふうに反映するかということを御説明願えれば、農林委員諸君の御不満も多少緩和するのではないかと私は思います。その点において農民の意見がどういうふうに反映するような手続になつておりますか。
  70. 澁江操一

    澁江政委員 お話通り都市計画のきめ方によつて、この土地区画整理法案で現在御心配になつている点が解決されるかされないかという点が一つございます。それで、今お話がございましたように、ことに町村合併になつた新しい都市における都市計画の適用につきましては、私ども考えといたしましては、農林省等のただいま御心配になつているような点がございますから、そこで適用する区域の範囲をきめるときには、相当連絡の上できめて行かなければならぬというふうに考えております。それで、具体的に法律上要請されている手続としましては、都市計画審議会というものにかけて、初めて都市計画区域がきまるわけであります。その際に都市計画審議会のメンバーの中には、農地関係者、たとえて申しますれば、県の農地部長等がそれぞれ農村関係立場を代表されて出ておられるわけでありまして、そういうものの審議を通じて最後に出て来たものから都市計画区域を決定して行くわけでありますが、それについても、なお全般的な方針としては、農林省の立場との関係から十分緊密な連絡調整をとつて、ことに新しい都市の都市計画としては考えて行く、こういうことなろうかというふうに思つております。またそうしたいというふうに考えているわけであります。
  71. 細野三千雄

    ○細野委員 この間の委員会で問題になりました第二条の宅地の定義におきまして「公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。」といつて、非常に包括的に言つておりますから、私疑問が起つたのであります。以外の土地でありますから、その中には当然農地が否まれている。農地であるものに、宅地という名前をつけるということは、宅地という概念から逸脱しているじやないかというふうに思つて、いろいろ御心配になるのじやないかと思います。そういう点で、農林委員の御心配のないように、この場合にいう宅地というのは、都市計画区域と決定された区域内の宅地なんだということを、もう少し明確に承りたいと思います。
  72. 澁江操一

    澁江政委員 第二条の定義の中の宅地はもちろん、この法律全体が、都市計画区域内に適用されるという前提に立つております。都市計画法を、母法ないしはその子供の法律であるという考え方に立つていることも、先ほど政務次官から申し上げた通りであります。そこで土地区画整理事業そのものが、都市計画区域の範囲内に限るわけでありまして、それの対象としての地域たる宅地の適用範囲都市計画区域内に限るということは、当然であります。
  73. 細野三千雄

    ○細野委員 ほかの方の問題で、ちよつと質問したいと思います。七十五条の技術的援助の問題でありますが、この点につきまして、土地改良法第七条には、やはり同じような技術的援助の規定があり、第三項に「専門的知識を有する技術吏員の援助を求めることができる。」という条項があつて、その次に「都道府県は、正当の事由がある場合を除いて、前項の規定による請求を拒んではならない。」という条項もありますが、本法においては請求拒絶ができるようなふうになつている。この点、土地改良法と違つている理由が何かございますか。
  74. 澁江操一

    澁江政委員 土地改良法と同様な運営考えておるということであります。別段その規定に出さなかつた、明文を出さなかつたということに他意はございません。
  75. 細野三千雄

    ○細野委員 それでは土地改良法第四項のような規定を加えてもさしつかえない、そういうふうに修正してもさしつかえないという御意見ですか。
  76. 澁江操一

    澁江政委員 明文を立てなくても、私どもは当然と考えておりますが、修正その他についても、別に私どもは反対すべき理由を持ちません。
  77. 細野三千雄

    ○細野委員 土地改良法にあるのに、こつちにないから問題になるのだと思つておるのであります。土地改良法にあるならば、同じように運営するならば、こつちにも入れた方がいいのではないか、かような意見を持つているわけであります。  次に第九十五条でありますが、特別の宅地、これにつきまして鉄道、軌道あるいは電気、ガス第が入つておりますが、水道が入つていないのは、何か理由があるのでございますか。
  78. 澁江操一

    澁江政委員 上水道は政令できめたいと思つております。それから下水は公共施設として取扱いたい、かように考えております。
  79. 細野三千雄

    ○細野委員 なお、私どもの党で問題になりましたのは、現在土地の所有権並びに借地権について争いがあるような場合、借地権があつちなのかこつちなのかというふうな問題が起つた場合に、借地権を主張する人を両方とも借地権者と認めるか、あるいは所有権について争いがあるような場合に、両方ともそれを権利者として認めるのか、そういつた問題は東京都あたりもずいぶん多いと思うのでありますが、その点について、何か御方針がございますか。
  80. 澁江操一

    澁江政委員 根本的には、権利関係争いは、この区画整理法では解決するものではない、これは裁判によつて確定してもらう、こういう考え方に立つております。従つて権利上の争いがこの区画整理事業対象となる土地についてございますれば、その争い争いのままとしてこの手続を進めて行くという形をとつております。従つて、その二つの借地権が、それぞれここに規定してございますように相当の証明方法が立つて権利者であるということが実証できるということになりますれば、これはその意味で権利者としての取扱いをすることになりますが、ただいまお話になりましたように、かりに裁判上の争いがある、係属中になつておるということでありますれば、これは権利が確定いたしておりませんから、権利の確定していないものは権利者としての取扱いはできない、こういうことになつて参ります。で、二つの権利があるというふうに仮定したお話でございますけれども法律上の関係といたしましては、さような点は規定しておらない、こういうふうに解釈するよりほかに方法はないわけでございます。
  81. 久野忠治

    久野委員長 これにて両案に関しまする質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会をいたします。    午後一時十四分散会