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田中(角)
委員 次に伺いたいのは、原さんとさんさんやり合つたあとで、少しやりにくいのですが、こういうふうな
法律案を出すこと
自体が、おかしいのじやないですか。私も与党の一人であるから、こういうふうな発言をするには、相当腹をきめてや
つているわけでありますが、こういうふうな重大な
法律違反を起すおそれがあるというような
予算を組む場合には
——もちろん一兆円以内で押えようということに対しては、私
たちだけではなく、野党の諸君といえ
ども異論はないと私は思うが、
ただその内容が問題であります。一兆円
予算を組まなければインフレの収束はできない。これはある意味で言うと、非常にいい看板を掲げて、場合によると鬼面を掲げて、内容は適当に自分の思う通りにやるといわれるような
予算の一面を持
つておるのじやないかと言われても、しようがないのじやないかと私は
考えております。なぜならば、明治憲法以来、衆参両院の議決により
予算編成権及び
審議権を拘束されるというような
法律は初めてであります。その
法律は、いまだ公布して日も浅く、実施もしないうちに、骨抜きにしようというのじやなく、
まつたく有名無実にしてしまうという案であります。少くとも新憲法を平たくお読みになる以上は、憲法の尊厳というものをもう少し強く
考えた場合に、国を建てるためにそれ以外に
方法がないと言われるならば、正面切
つてこの
法律の延期を願つたらどうですか。あなた方はこの
法律を施行する意思がないのでしよう。今年度一年間一兆円
予算を組まなければ、国の財政はいかんともしがたい。
大蔵大臣の演説の中にも、それもし一歩誤れば、千仭の奈落の谷底に陥ると
言つております。まさにその通りであります。その通りであるならば、一兆円
予算を組むことに対しては、われわれは双手をあげて賛成しております。賛成はしておるが、筋は通さなければなりません。その意味において、平たく言つから、衆参両院の議決を尊重するという建前からいって、この
法律の一年施行延期を提案することが至当だと私は思う。そうでなかつたら、堂々とこの
改正法律案をわれわれに提案することが望ましい。次善の策さえもできない場合は、その次にも
方法がある。
地方分与税という
法律案を出すならば、税法に関する問題であるから、当然
大蔵委員会にかかるべきである。
地方自治庁のそういう態度を借りなくても、
大蔵省は堂々と、まつ向からこの
法律の
改正に取組めばいい。それもしない。しかも
地方自治庁は、この
法律案を出すときに、
大蔵省のしり馬のようにな
つて、
地方財政の一部としてもらえるからと、いい気にな
つて出そうという
考え自体がおかしい。私はこの問題に対しては真剣に発言をしておる。一月の一日からほとんど一箇月間、この問題にかか
つておるのでありますが、私は、
ただに自分が提案者であつたから、言うのではありません。衆参両院
議員一人の反対もなく全会一致で通つた
法律が、その施行を見ずして、しかも正式に筋を通さずして、適当に
附則において改廃せられるというがごときことは許されない。これは新憲法の蹂躙であります。
事務局自体が、そのような案をつくろうということ
自体がおかしい。私は、自分の党から出ている大臣を呼ばずして、
事務当局の
責任者であるあなた方に対してこういうことを言うのは、代議士の地位と代議士の権力でもって、適当な発言をしていると言われる面があるかもしれません。しかし事ここまで来るまでには、私もいろいろな手を尽した。そしてできるならば、私はこの
法律の一年延期さえも、場合によ
つてはお互いが
相談しようじやないか、こういう案さえも出したにもかかわらず、今の
段階において
地方分与税法案を出し、その場合は
大蔵委員会に付託する
——特別
委員会をつく
つてやろうというような
意見もありましたが……。あなた方が
地方に対する分担金や補助金の率をかえるというような問題は、この一兆円
予算という大きな
前提をのむ場合は、当然これに付随する
前提事項として可決せられるでしよう。しかし、この
道路整備費の
財源等に関する
臨時措置の
法律というものは、これは全然別個の外様の
法律です。その意味において、しかも閣内において統一もしないうちに、
地方分与税法案として
大蔵委員会に付託せられれば、われわれは全部かわ
つて大蔵委員になる。
地方行政
委員会に付託せられるとすれば、私
たちはきようにも
地方行政
委員会の
委員に肩がわりをします。こういうものを筋を通さないで、提案者の
了解も得ないで、
事務当局が
原案を作成するなどというようなことは、私は失敬きわまると思う。しかも重大なるこの
法律案を、とにかく今がたくしてあなた方が提案しなければならぬような事情はない。一兆円
予算をくずさないで、しかもこの
法律を
改正しないで、
法律違反を起さないような案をつく
つて、ごらんなさいと言つたら、つく
つてあげましよう。この
予算の
前提になるものは、警察法そのものも
改正しようというのでしよう。こんな大きな問題もある。通るか通らぬかわからないそういう問題を、通そう、また通さなければならないという
前提のもとに組まれた
予算であるだけに、そういうふうな大きな
法律案がまだあるのですから、その
法律案をまず出して、そして二十九年度一兆円
予算は通る。こういう
見通しかつかれたときに、あなたの方も国の大義に
従つて、一年間ぐらいこの施行を待
つてくれませんかというのが、筋の通つたやり方だと思う。私は今までこんな発言をしたことはありません。ありませんが、深刻に言えば、私も国を思う至情において人後に落ちない。あなた方もそうだと思う。しかし、筋は通さなければなりません。筋の通らない政治に、一体国民が協力しますか。しかも、
地方分与税法案云々、また何とか今次長が言われたように、耳新しい
法律案も出す。それがまたうまくなければ別な
法律案でやろう、こういう
考え方はいけないじやありませんか。あなた方は、一年間延期をするか、まだまだ三月三十一日までには日があるから、
予算か通るその前の日にな
つて頼みに行きます、それまでは
附則で直すような大それたことはいたしませんくらいなことを言われても、私はいいと思う。しかも、閣議も
決定しない。私が
ただ事務当局の
責任者であるあなた方に、こういうことを言うことは御無礼で、また
議員の品位を傷つけることでもありますが、私は事実政治には筋を通さなければいかぬ、こういうことを真剣に
考えておりますだけに、とにかく原さんも帰られて、
主計局長とも
相談されて大臣にひとつこの次には
建設委員に出てもら
つて予算編成の
経緯も
説明したり、何とかいい知恵はありませんかというような態度に出られることかいいじやないですかということくらい、御報告願いたい。また同時に次長も、塚田君にここに出られて
地方の財政はこういう状況だ、こういう線に沿
つて行くのです。
ガソリン税によ
つて事業量は拡大せられても、とにかく
地方の負担金というものはどうにもならないから、こういうことにしようじやありませんかというようなことを、この
委員会でお互いに胸襟を開いてや
つてい
ただきたい。そうでなかつたら、この問題は実に議会と行
政府の対立を起す。私は確実にそういう憂いを持つわけであります。衆参両院
議員が一致して、一人の反対もなく、しかも明治憲法以来たつた
一つ予算編成権、
審議権を拘束して、相当な異論があつたにもかかわらず、新しい角度からこの
法律が取上げられたものを、その施行いまだしというときにおいて、一片の行政
措置においてこれを改廃しようということ
自体が、将来に禍根を残すおそれがある。しかもあなた方が、
ガソリン税が五百億に
なつた場合、百五十億ないし二百億の
地方負担をどうするのだ、
道路の工事費を増せば
地方財政はいいのかというならば、
法律をもう少しお読みなさい。私が自分で提案をして自分で
改正をした新しい
道路法には、明らかに書いてあります。
地方財源がどうしても負担できない場合、国が全額国庫負担をすることができるという除外例を設けてあります。七十九億をプラスする、それはもち屋はもち屋なんです。
予算編成技術というものは、あなた方がほんとうに専門家である。また
地方財政というものは、
地方自治庁が専門である。同じことですよ。
道路は
道路屋が一番よく知
つておるはずなんです。そういう人
たちが、全国の実情に徴して七十九億を全額負担にしてやればいいじやないですか。現実に太政官布告以来、北海道は全額負担でや
つているじやありませんか。だから、現在の
法律を
改正しなくても、こんないざこざを起さなくても、これは十分筋を通して、またあなた方が言う通りになるのです。私
たちも、自分の総務会でもや
つております。あらゆる状態においてや
つておるのでありまして、自分の党から出ておる大臣の下におるあなた方にこんなことを言うのは、私
自体のかなえの軽重を問われることは百も知
つておる。しかし正しいことを守るためには、どんな人にでも、
関係者の一人々々に私は熱意を持
つてこの事実を訴えたいという
気持で申し上げておるのです。あえて私は
答弁を求めようとは思いません。思いませんが、この次に大臣が来られるまでには、運動をしたり、何とか提案できるであろうというがごときことをも
つてしては、提案するかしないかわからないじやないか。
ただ事務的に研究しているだけじやないか。研究すること
自体がおかしいことです。行政整理もしなければならぬというときでありますから、通る見込みのないような、将来に禍根を残すようなそういう
法律を御研究になること
自体がおかしい。私は率直に結論だけを申し上げますから、お帰りにな
つて大臣にひとつ厳重に私の発言を伝えてい
ただきたい。私も自由党の党員として政調会、総務会、代議士会、その他公式な機関を通じて、自分の意思を周知徹底せしめるように努力をいたします。慎重な御考慮を煩わしたいと思います。