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1954-08-23 第19回国会 衆議院 決算委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十三日(月曜日)     午後二時九分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君    理事 藤田 義光君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       青木  正君    高橋 英吉君       徳安 實藏君    牧野 寛索君       三和 精一君    河野 金昇君       並木 芳雄君    片島  港君       山田 長司君    大矢 省三君       吉田 賢一君    松田竹千代君  委員外出席者         検     事         (大臣官房経理         部長)     竹内 寿平君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         食糧庁長官   前谷 重夫君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 八月二十三日  委員越智茂君、村瀬宣親君、中村梅吉君及び三  浦一雄君辞任につき、その補欠として青木正君、  河野金昇君、松田竹千代君及び並木芳雄君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開きます。  この際御報告いたします。前回委員会において決定をみました日本開発銀行の造船融資に関する件に関しまして、証人として佐藤検事総長馬場検事正河井検事井本刑事局長その他担当検事諸君証人喚問の期日は、理事会において協議の結果来る九月六日、月曜日午前十時より連日委員会を開いて証人尋問を行うことに決定いたしましたからさよう御了承願います。
  3. 田中彰治

    田中委員長 前会に引続きまして農林省所管食糧庁関係黄変米に関する問題につき審議を進めます。つきましては、本日の理事会におきまして協議決定を見ました通り、本問題に対する決議の都合もありますので、特に法務省関係官出席を求め、残余の質疑を要点的に簡潔に行い、もつて一切の質疑を終了し議決に入りたいと思いますから、さよう御協力を願います。それでは質疑を許します。
  4. 柴田義男

    柴田委員 議事進行に関しまして。今政府委員席を拝見いたしておりますと、井本刑事局長がお見えになつておりますが、法務大臣並びに溝原政務次官がお見えになつておりません。われわれは黄変米の問題を今日まで大きな世論とともに取上げまして、大体終結に近くなつて、ことに本日決議もあげよう、こういう段階に到達しておるのであります。こういう場合にやはり責任者である法務大臣の御出席がないということは、本委員会審議が非常に阻害されると思いますが、どういう理由法務大臣並びに溝原次官の御出席がないのか承りたいと思います。
  5. 田中彰治

    田中委員長 井本刑事局長に説明させます。
  6. 井本台吉

    井本説明員 お答えいたします。いずれも公務その他やむを得ざる事情によつてきようは出られないのであるというふうに私承つております。
  7. 柴田義男

    柴田委員 少くも内閣の閣員の一人である法務大臣公務でここに御出席ができない、これはどうもわれわれは断じて納得しがたいものである。国会最高のものでなければならない。しかもその委員会において二十三日に委員会を開くということは数日前にわかつてつたはずであります。それが突如として公務のために御出席ができない、これだけではわれわれは断じて納得ができません。もつと明らかな御答弁を願いたいと思います。
  8. 井本台吉

    井本説明員 公務その他やむを得ざる事情によつてきようは午後一時半の会合には出席できないということを私承つただけでございます。それ以上のことは存じません。
  9. 柴田義男

    柴田委員 単に公務ということは、しかも国会におきまして委員会が中心となつてこの問題を論議いたしておりまするさ中に、突如として出席ができないというここはどうしても納得ができません。そういうふうに国会を軽視されるということは、何かその他の大きな権力によつて阻止されたのかどうか、そういう点を明確にしていただきたい。
  10. 井本台吉

    井本説明員 やむを得ざる事情によつて出られないということを承つておるのでありまして、それ以上はお答えできません。
  11. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は井本局長に伺いたいのでありますが、一昨日来からの新聞を見ておりますると、決算委員会出席する証人等のことについて、自由党池田幹事長が何かいろいろに策動せられておるようなことを聞いておりまするが、刑事局長法務大臣その他上司から何かそういう暗示か指示のようなことでも受けたようなことはありませんか。
  12. 井本台吉

    井本説明員 私はただいまお尋ねのようなことは全然聞いておりません。
  13. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと刑事局長お尋ねしますが、あなた方が何か被疑者とかいろいろな証人取調べでお呼び出しになつた場合——これはぼくは参考に聞いておるのですが、いつの幾日に行くとか行かぬとか断らぬでおいて、突如その日に断つて家庭事情で行かれませんということでそれを許せますか。それを許せばきようはいいのですよ。
  14. 井本台吉

    井本説明員 やむを得ざる場合にはそれはいたし方がないと思います。
  15. 田中彰治

    田中委員長 あなた、理由を言わぬで許せますか、家庭事情で……。
  16. 井本台吉

    井本説明員 やむを得ざる事情で……。
  17. 田中彰治

    田中委員長 どういうやむを得ざる事情ですか、それを言いなさい。やむを得ざるではわからぬ。わからぬということをやむを得ざる事情ということでは違う。やむを得ざるということは何かわかつていることじやないか。
  18. 井本台吉

    井本説明員 さように聞いているだけでございます。
  19. 田中彰治

    田中委員長 あなたはそんなことを言つておいて、刑事被告人かなんか呼ばれた場合に、私はこれでついて行くが、それでいいのですね。
  20. 井本台吉

    井本説明員 やむを得なければしかたがないと思います。
  21. 田中彰治

    田中委員長 やむを得ないということがあるか。
  22. 柴田義男

    柴田委員 単にやむを得ない、それは言葉の上にはそういう言葉がございますが、少くもこの委員会が開かれるというのはもう大分前からわかつておられるはずなんです。しかも法務大臣も、同時に清原次官まで一緒出席しないということは無責任きわまると思う。これは委員長において厳重に抗議をされて、なお急速に出席を要望いたすものであります。
  23. 田中彰治

    田中委員長 どうです、質問をやりますか。
  24. 杉村沖治郎

    杉村委員 これは非常に遺憾しごくであります。井本刑事局長を責めてみたところが、それは確かにいたし方のないことであります。しかしながらこれをいつまでもそういうことで審議を遅延しますと、どうもそういうことを待つておるような人もなきにしもあらずでありまするから、この際議事を進めた方がいいと思います。
  25. 田中彰治

    田中委員長 質疑を許します。藤田君。
  26. 藤田義光

    藤田委員 本日は事務次官の出席もありませんので、主として刑事局長に関連した事項を質問してみたいと思います。  当委員会は長時間にわたり黄変米の問題を審議して参つたのであります。いよいよ結論を出すにあたりまして、われわれは現在いわゆる病変米と称する政府手持ちの約八万トンの外米の処理等に関しまして、非常な関心を持つておるのであります。同僚山田委員が先般来質問したところによりましても、過去におきまして病変米処理に非常に不明朗な動きがあつた。特にこの横流し事件処理いたしました担当検事が数名転勤させられておる。またこれに関連して先般来の疑獄事件等をめぐりまして、検察庁に対する国民信頼は地を払つておる。私は法務省設置法第七条のいわゆる刑事局長権限として検察事務に対する最高権限を持つている井本氏に率直に聞きたい。かくのごとき国民の主食に関連した重大な病変米決議をするにあたり、法務大臣は、新聞報道によれば、去る十四日以来山中湖に逃避している。十二日の当委員会においていじめられたから、その疲労回復のために山中湖行つたという報道がなされている。局長として翼賛の任務を持つ井本氏は、法務大臣山中湖に逃避した事実を知つておるかどうか、まずお伺いしておきたい。
  27. 井本台吉

    井本説明員 小原法務大臣が、たしか八月十四日、十五日、十六日と三日間、御自身の山中の別荘に休養におもむかれたということは私聞いております。
  28. 藤田義光

    藤田委員 本日の委員会の開催は、すでにその当時判然しておるのであります。先般当委員会において、各委員から真剣な、深刻な質問がありまして、法務大臣としても重大な責任を感ぜられるのが当然である。二十三日に当委員会が開会されることを大臣知つてつたかどうか、その事実をお示し願いたい。
  29. 井本台吉

    井本説明員 その点につきましては、私大臣に確かめたことはございません。
  30. 藤田義光

    藤田委員 先般の当委員会には、刑事局長自身大臣に随行してここに出席しておつた。しかも各委員の真剣な討論をよく聞いておつたはずであります。そうすれば、本日証人喚問をめぐる幾多の問題で法務省関係質問が出るということは、常識的に当然考えられるのであります。終戦前の議会制度的な感覚で法務大臣が本日欠席されたということになれば、重大な責任問題であります。  この問題に関しましては、先ほど来同僚委員質問もありましたから、私はこの辺で省略いたしますが、去る十二日の当委員会において法務大臣は、検察庁威信回復のために、吉田総理自由党支部長会議における発言は不適当である、ピントがはずれておると言われ、しかも声明書を出さないかという質問に対しましては、いずれ総理会つて真意を確かめてみる——ああいう総理大臣のもとでは法務行政は安心してできないではないかという質問に対して、今私が申し述べたようにはつきり答弁したのであります。刑事局長一緒に聞いておつたが、その後法務大臣吉田総理に会われたかどうか、会われて、国民代表たる国会で論議されたこの問題の結末をつけられたかどうか、はつきりお答え願いたい。
  31. 井本台吉

    井本説明員 問題が重大でございますので、大臣が御自身で御答弁になるのが適当だと私考えます。私から御答弁申し上げることは差控えたいと存じます。
  32. 藤田義光

    藤田委員 あなたに大臣としての答弁を求めてはおらぬ。法務省設置法第七条の権限を持てる井本刑事局長答弁を求めておる。刑事局長として聞きたい。
  33. 井本台吉

    井本説明員 大臣が御自身吉田総理にお会いになつて、そのいなやをお尋ねになつて答弁されるというふうに、この前も御答弁をしたと思います。従つてこのことは正確を期する意味からしましても、私は大臣からお話になることと考える次第であります。
  34. 藤田義光

    藤田委員 小原法務大臣の属僚である刑事局長の無責任なる答弁納得できません。しかし答弁がないということならば、この際お伺いしたい。黄変米措置に関しまして、検察庁で何か方針をきめたかどうか。それに対する事務一切を処理せられておる刑事局長として、何か具体案を持つておられるかどうか。はつきり数字で示していただきたい。具体的に示していただきたい。
  35. 井本台吉

    井本説明員 過去の黄変米事件につきましては、前回の御質問もございましたので、さつそく関係の部署には書面でこのことを取調べるように照会しております。将来の事案につきましては、過去の実績にかんがみまして十分警戒して、違反があれば取締つて行きたいこういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 藤田義光

    藤田委員 過去の事犯に関しまして指示されておる——いつどういう形式の指示をされたか、お示しを願いたい。
  37. 井本台吉

    井本説明員 前回山田さんの方から、東洋醸造の三千余トンの黄変米が、和歌山に行つた五百十二トン以外には行き先がわからないというようなお話でありましたので、その点につきましてほかの黄変米がどうなつておるか、東京地方検察庁最高検察庁を通じまして調べるように申し伝えてございます。
  38. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの刑事局長答弁について一応関連して質問させてもらいます。  過ぐる委員会において私が有働一夫なる人物をあげて——これを追究すれば、当然有働が横流しした張本人であるから、これについての食管法の問題を取上げて質問したはずでありますが、これは有働一夫なるものをどういうふうに取調べをしたか。ただいまの刑事局長の御答弁を聞いておるとさつぱり進展していないようにうかがわれるのですが、この点についていかなる処置をされたか、参考に伺つておきます。
  39. 井本台吉

    井本説明員 かようなことは私が御説明申し上げるまでもなく、刑事事件はなかなか簡単に結論のでる問題ではありません。有働につきましても前回も申し上げました通り、他にも告訴事件がございます。それらのこともにらみ合せまして、東洋醸造の三千余トンの黄変米の件は相当調べなければならぬという結論に達したものでありますから、その点をさらに引続き調べるように命じてあるのであります。
  40. 藤田義光

    藤田委員 どうも問題の重点がはつきり解明されていないように思うのであります。先般来幾多事件に関連いたしまして、法務省あるいは検察庁に対する国民信頼がなくなつておる これはもう国民の常識であります。くどいようでありますが、特に重大問題に関連して、国民検察庁に対する不信の念を抱いておる。たとえばあれほど世上問題にしまして、かつてわれわれの同僚先輩北村徳太郎代議士が、この部屋におきまして、株主相互の問題に対する措置を盛んに追究したことがあつた。何年間も放任しながらも、昨年ようやく保全経済会検察庁は手をつけた。数百名の参考人被疑者ひつぱりながらも、ほとんどうやむやな結末をつけてしまつておる。特にこの問題に関しましては、国会行政監察委員会まで開かれまして、当時の有力者を召喚するということも計画されたのであります。保全経済会の問題に関連しまして、私は風評ではありまするが、ここで刑事局長にこういう具体的な問題をはつきりお聞きしておきたい。東京地検馬場検事正自由党幹事長池田勇人氏は五高の同窓である。うわさによれば馬場検事正子供仲人をしておる。従つて保全経済会等の問題をめぐりまして、検事正池田幹事長の間にしばしば密会があつたという風評がある。これに関連して私は検察庁信用回復のために、風評ではありまするが、真相をお開きしたい。
  41. 井本台吉

    井本説明員 馬場検事正は私と同じく昭和三年に、司法省時代司法官試補を拝命した方でありまして、御家族のことも存じておりますが、結婚されるような年齢の子供さんはないように承知しております。従つて、その以外のことは私直接聞いたことはありませんが、私の承知しておる限りにおきましては、さような会合の事実はないと考える次第でございます。
  42. 藤田義光

    藤田委員 刑事局長の知る範囲内においてはさような会合の事実はないと言われる。もしさような事実があつた場合は、天下注視の大事件なるがゆえに、刑事局長職務怠慢になります。もしこれが真相であつた場合は刑事局長はどう措置されるつもりであるか。銀座三原橋付近すし屋、あるいは銀座における某料亭、ここに現在の自由党最高執行責任者馬場検事正等を呼びつけたという風評がある。しかも自由党の某最高幹部はここにしばしば出入りしておる。(「横流し事件をやれ」と呼ぶ者あり)私は横流し事件等に関する検察庁信用を回復するために、こういう事件真相をなるべく率直に刑事局長からこの機会にひろうしていただきたい。全然こういう会合の事実があつたということをお聞きになりませんかどうですか、お尋ねしたい。
  43. 井本台吉

    井本説明員 ただいまお話のような事実は私聞いておりません。
  44. 藤田義光

    藤田委員 もしさような事実があつた場合はどう措置される所存でありますか。
  45. 井本台吉

    井本説明員 具体的に事案を詳細に調べてその上で善処することにいたします。
  46. 藤田義光

    藤田委員 詳細に調べて善処されるというのはどういう方法で調べられるか、国民代表の前ではつきりさせていただきたい。
  47. 井本台吉

    井本説明員 さような事案犯罪事件になるのか、それ以外のものであるのか、具体的に事件が起きてみなければそのときの方法はただいまからきめるわけには参りません。
  48. 藤田義光

    藤田委員 これは実に奇怪な御答弁でありますが、この会合の事実があつたという風評を耳にしたのは、あの造船疑獄事件の進展最中であります。もし東京地検最高責任者容疑者と会見するというようなことがあれば、これは事件になりませんか。もみ消しというような問題が起きませんかどうですか、あなたの意見をお伺いしたい。
  49. 井本台吉

    井本説明員 職務に関連して饗応を受けたということがあれば、これは刑法の漕職罪になります。従つてさような事実があればこれは相当処分に値いする事案でございます。但しかようなことは、もし間違いがあれば、しかも間違つたことを知つておりながらさような会合の事実を刑事上の処分を受けしめるために申告したということになりますと、これまた申告者証告罪に該当する場合もございます。さような意味におきまして、ただいまお話のような事案がもしもう少し具体的にわかるのでありますれば、私どもも十分調査いたします。
  50. 高橋英吉

    高橋(英)委員 ちよつと関連して一言……。ただいま藤田君の質問中に馬場検事正池田自由党幹事長が五高で御同窓であつたという御質問であつたのですが、これはもう絶対に間違いであつて馬場検事正は一高出身であつて、五高出身でないと聞いております。それからまた馬場元治代議士というのが自由党におりますが、これが五高出身池田自由党幹事長と同級生です。それからまた馬場元治氏の娘さんの仲人池田幹事長はやつておるのです。そういう事実を局長御存じですか。
  51. 井本台吉

    井本説明員 馬場検事正は私の知つておるところではたしか五高出身東京帝大出身であると記憶しております。池田氏と同級だつたかどうかということは存じておりません。
  52. 高橋英吉

    高橋(英)委員 東大と京大の間違いです。池田君は京都帝大で一方は東京帝大でした。
  53. 藤田義光

    藤田委員 先般の当委員会におきましての私の質問に対しまして、その後法務省当局から造船保全日殖関係事件予算配分に関する資料が出ております。これに対する謝金内容をこの資料で十分つかめません。全国的にどういうものに対して配分されたか、先般の刑事局長答弁では計理士払つたということでありますが、この資料によれば全国的に謝金として配分されておる。謝金配分状況を簡単にひとつお示しを願います。
  54. 井本台吉

    井本説明員 経理のこまかい内容でございますから、専門家経理部長が私と一緒出席しておりますので、経理部長の方からお答えいたしたいと思います。
  55. 竹内寿平

    竹内説明員 謝金お尋ね通り全国各庁に配付いたしてございますが、歳出予算科目解疏というのがありまして、それによりますと検察費の中にございます諸謝金というのは国の事務を委嘱されたものまたは協力部外者に対する報酬通訳謝金等)と定義されております、しかしながら造船並びに保全日殖関係予備費等の請求におきましては、この謝金計理士等に対する経理調査のための報酬として与えるものであるという趣旨で御承認を得たものでございます。従つて全国に配付いたしましたものもそういう趣旨において使用されておるものとかように考えております。  そこで造船関係におきましては東京、大阪、神戸、その他名古屋等におきまして関係帳簿を多数押収しておりますが、日殖並びに保全経済会関係におきましては全国で支店、出張所の押収、捜索をいたしておりまして、その押収帳簿も非常に多数に上つております。これらの調査公認会計士といつたようなものを全部煩わしてやるということは会計士の数が非常に少いのでございまして、東京におきましてはたしか五名だつたと思いますが、これらの公認会計士にお願いし、さらにこれらの人たちがつれて来ました補助者二名、合計全部で十五名くらいになるかと思いますが、こういう方々に四十日にわたりまして調査を願つております。その他全国公認会計士などのおらない地方などではどうしておるかと申しますと、私ども調査しましたこころによると、元の保全経済会に勤務しておつて、その後やめて、ほかの会社に働いておるとかいうような方々事件関係がないというふうに見られる方方に手伝つていただいて、それに対して、各庁によつて違いますが、あるいは二百円、あるいは三百円というふうに日当のような形で謝金を出しておるようであります。そしてそれを合計いたしまして大体四百八十万五千六百円三月末日までに使つておりまして、十九万四千四百円が不用額になつておる、こういうのが実情であります。
  56. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの答弁と先般の答弁とは食い違いがありますが、いずれ来月の委員会におきまして真相を究明したいと思います。  公訴の推持ということは検察庁当面の重大責任であります。ところが公訴権実行に関して民意を反映させるというところから検察審査会という制度ができております。これは一応独立して職務を実施するということにはなつております。先ほど関連山田委員質問もありましたが、今後黄変米結論を出した場合において、いろいろとその問題に関する公訴権実行に関して、今までのような問題を起す危険性があるのでありますが、検察審査会刑事局長関係はどういうふうになつておるか、この機会にお示し願いたい。
  57. 井本台吉

    井本説明員 検察審査会最高裁判所事務局所管になつております。公安関係だけは法務省が分担しておりますが、そのほかには検察審査会と私どもと全然関係はございません。
  58. 藤田義光

    藤田委員 最後に私は刑事局長にお願いしておきたいのでありますが、先ほど来数名の委員によつて質問されたが、法務大臣出席がなかつたことに関する理由が解明されていない。その理由のいかんによつては、来月の委員会において法務大臣責任問題が当然出て来ると思うのであります。ぜひとも文書をもつて至急当委員長あて、本日出席されなかつた理由を詳細具体的にお示し願いたい。以上要望いたしまして私の質問を譲ります。
  59. 田中彰治

  60. 片島港

    片島委員 私は本日は主として法務大臣にお暫ねいたしたいと思つたのでありますが、法務大臣がお見えにならないのでまことに残念でございます。黄変米の問題について、藤岡委員からの質問に対する答弁が非常に不満足でありますから、私はもう一回確かめておきたいと思うのでありますが、先般来の委員会質疑応答御存じのように、この前の黄変米払下げの場合に非常に不法な問題が起きたということは、山田委員からも指摘された通りであります。ところがこれが発覚いたしましたのは、検察当局が努力をしてこれを発見いたしたのではなくて、配給を受けた被害者がこれを申出をしてこれがわかつたような次第であります。しかもこのたびの黄変米の問題は、単に黄色いから毒素があるというのではなくて、白いのにも毒素があるということが明確になつた。この前の委員会において私は保利農林大臣に、当然毒素の。パーセンテージの非常に多い場合でも、払下げをしなければならないが払下げ後における食品衛生法の問題、食管法問題等から、払い下げたならば、その行く先はどうなろうとわからぬというのでは困るじやないかと質問しましたところ、民間に払い下げてしまつたあとのことは、私たちは番人をつけて米を見ておるわけには行かぬ、こういう答弁があつたのであります。しかし払下げを受ける病毒米というのは非常に毒素が多いわけでありますから、それを門番を立てて張り番をしていることはできないかもしれませんが、食管法食品衛生法の立場から、当然法務省としては問題にしなければならぬ。ただ申出をした場合に取上げようというのでは、あまりにも芸のない話である。私はこういう問題が大きく取扱われておる場合におきましては、今後どうしても払下げが出ると思うのでありますが、そういう払下げの場合には、法務当局としてはこういうふうにして処置をして行きたいという具体的な、明確な方針をここで明示しておいていただきたいと思う。
  61. 井本台吉

    井本説明員 犯罪の検挙は、犯罪があつた後に検挙するのでありまして、あらかじめ犯罪のあることを予定して検挙するというようなことはできません。この黄変米の問題につきましても、もし不当な横流れというようなことがありますれば、私どもといたしましては厳重に検挙するつもりでございます。ただ何分にも少い人数で検察事務をやつておりますので、一般のこれに関連する方々の告訴、告発あるいは申告等を十分に期待しておる次第でございます。
  62. 山田長司

    山田(長)委員 関連して、ただいま刑事局長の話でまつた納得行かないので、私はつけ加えて伺うわけです。実はあなたにこの前の委員会で、私は有働一夫なる者が明らかに食管法違反をやつておるということで、これは本人自身が私の友人に言つておるのです。違反をやつているということを言つておるのではないが、払下げを受けた米は横流しをするのだということを言つておる。ですから私は証人まで出す用意があるが、なぜ有働一夫を部下に命じて取調べをせずにほつてあるのか、このわけを伺いたい。
  63. 井本台吉

    井本説明員 私は、有働一夫を放任したわけではありません。もちろんこの有働一夫を含めまして、取調べるようにいたした次第であります。
  64. 山田長司

    山田(長)委員 この問題は本年の月二十八日に、わが党の高津議員が本会議質問したときに、時の法務大臣犬養氏は、一昨々年のメーデーの事件の公判調書の作成のために忙しいので、検事を総動員して調べているために、検事の更送をやむなくやつているのだと言つております。御承知のように、去年の六月から九月、十一月と、まるで数箇月の間に検事の更迭を三回やつているのです。これはどう考えてみても、外部の黄変米関係のある人たちの話によると、これは財界人がこの中に関連して、それで検事のこの問題に取組んだ人をかえたのであつて黄変米事件は、人間が食うと毒があるのじやなくて、この取調べる人がかえられてしまうのだということを言われているくらい流言が出ているのです。それだのに、私はこの前検事陣の三人の更迭は、どういう理由でやられたのかという、質問をしたときに、メーデーの公判調書の作成に忙しいので検事の更迭をした。木村検事と冨田検事をかえ、さらにそのあと十一月にも検事がかわつているという答弁がされているのですけれども、これはどう考えても納得できないのです。何のために、ちよちよいメーデーの公判調査の作成という理由で、数箇月の間に三人の検事をかえているのか。私は実は木村検事に会つているのです。それで、現に黄変米の調書を私に見せて、これだけの書類なんだということまではつきりつているのですから、これは当然……(「書類を見たのか」と呼ぶ者あり)いや書類は見せていないけれども、積んである書類の高さを見せているのです。ですから私は、神戸に黄変米の問題を調べに行くときに、実は検事に会つているのです。それで和歌山の事件は世に出ているけれども、大阪と京都、神戸、愛媛、姫路の問題は世に出ていないが、これは実にけしからぬ事件なんだということを、私はその話の中からキヤツチしているのです。そういう点でこの三人の検事の更迭は、犬養法務大臣は、五月一日のメーデーの公判調書の作成だけだということでごまかされてしまつているけれども、これは何としても私は承服できないのです。この間に財界人が動いているという事実も聞いているのですから、どうかその点私はあなたに、五月一日のメーデーの公判調書だけのことでかえていないのだという話を、ひとつしてもらいたいのです。
  65. 井本台吉

    井本説明員 有働一夫の関連事件の検事が交代いたしましたことは、ただいま御質問通りでございます。これは本年の一月でございますか、犬養大臣が御答弁申し上げました通り、まつたく部内の検事の配置がえによる交代でございまして、外部からのさしずによつてかわつたというようなことは全然ございません。ただ、内部の非常な人手不足から、御指摘のように黄変米の検挙にまで及ぱなかつたということは、調べてみればあるいはそういうことになるかもしれませんが、現在では、前回申し上げました通り、これは二百四十万円の横領事件の被疑事件ということで調べをしているわけでございます。そのほかに、何かさような外からのさしがねによつて、検事が不当に交代したというようなことはございませんので、何かさらに具体的な事情がございますれば、拝聴いたしたいと思います。
  66. 山田長司

    山田(長)委員 さらに伺いますが、日本糧殻会社に関連を持つて……。
  67. 田中彰治

    田中委員長 関連質問だから、なるべく簡単に……。
  68. 山田長司

    山田(長)委員 これ一つで終ります。東洋醸造人たちが日本糧穀会社の重役の中に大分入つておるわけです。それで完全に食管法違反を東洋醸造の重役陣は犯しているわけなんです。東洋醸造の人を、それでは何人検察当局喚問して調べているか、参考に伺つておきます。これは食管法違反を犯しているばかりでなくて、完全に黄変米をやみ流ししているのであつて食管法違反のほかに、政府当局をごまかしている。これは払下げもやつているわけなんですから、当然検察当局は追究し、調べておらなければならないはずなんです。この点について一応東洋醸造はどういうふうな態度でお取調べになつたか、参考に伺つておきます。
  69. 井本台吉

    井本説明員 前回答弁申し上げました通り、この点につきましては、少しく調べた方がいいのじやないかと私どもも考えましたので、関係筋を通じまして、調べ方を命じた次第でありまして、まだその点に関する報告が来ておりません。従つて調べをする態勢にあるということで御了承願いたいと存じます。
  70. 山田長司

    山田(長)委員 今の御答弁では、黄変米の最後の結論を出さなければならぬという重大なときに、この前の黄変米が横流しをされているのがはつきりして、しかもそれが関西で国民の食生活に関連がある事態が発見されているのにかかわらず、それがいまだに結論が出ずにあるということは、黄変米結論を出すにあたつてまことにふに落ちないのです。もう二年近い歳月がたつているのですから、東注醸造の重役陣営というものをなぜもつと追究されないのか。これがやはり今、前に関連された東京地検と一連のつながりがあると見ているのです。そういう点でなぜ東洋醸造をもつと追究して調べずにおるのか。あなたの今の答弁でもさつぱりふに落ちないようなお答えをされているが、どういうわけでそれが追究されずにおつたのか、これを伺います。
  71. 井本台吉

    井本説明員 まつた事件繁忙で手が足らなかつたという一語に尽きる次第であります。
  72. 片島港

    片島委員 この問題はまことに重要であります。たかが黄変米の問題、こういうふうにお考えかもしれませんが、本日法務大臣やあるいは清原次官がおいでにならないということにも非常な疑惑を持つわけなんであります。この点は、私は井本刑事局長に対して非常に同情の意を表するものであります。この重大な黄変米の問題について、法務大臣清原次官はみな刑事局長責任をなすりつけて、お前行つて適当に言つておけというようなことで、こちらに来てから汗をふきふき答弁をしておられるのはまことに同情にたえない。しかしながらこの前の払下げの問題でも、払下げた米がアルコールの原料にならないで、みな食糧にまわつてしまつた。そしてそのアルコールの原料は、食糧に横流しをした金をもつて関東一帯からさつまいもを買つた、こういうことになつておるわけなんです。そして関西地方に配給になつて、配給を受けた人間が申告をして初めてわかるというようなことでありますが、やはりこれがかんしよに肩がわりをする——少くとも払下げを受けたところからその品物がなくなつたころには、やはり検察当局がおかしいじやないかというくらいの眼を光らすような態度をもつて行かなければ、最後になつてあそこから申告があつたから、その場合に犯罪が初めて出たというようなことでは、どうしても承服できない。そういうことをあなたたちはぬけぬけと言えるなら、きようは法務大臣清原次官もこわくないから出て来るはずでありますが、やはりこれをとつちめられるのがこわいから、井本刑事局長に全部この責任を負わしているのです。私は来月六日の日に委員会において法務大臣にとくと突きとめたいと思うのであります。先ほど杉村委員から御指摘があつたのでありますが、この問題について、われわれがたとえば検事総長あるいは司法部当局をここに証人として喚問をするということになりましたところが、司法部内において相当の動揺が起つているということを聞いているのであります。動揺が起つたために、証言がまた非常にいいかげんなあいまいなことになつてしまつたら、これでは非常に困るのであります。井本刑事局長は一番の中枢でございますから御存じだと思いますが、われわれが六日に召喚しようというこの問題について、何か司法部内においていろいろと干渉といいますか、他からの権力によるいろいろな干渉がましいことやあるいはそういう雰囲気があることをお感じになりませんか。その点は明確にしておいてもらいたい。
  73. 井本台吉

    井本説明員 ただいまお尋ねのような雰囲気は全然ございません。
  74. 片島港

    片島委員 この問題についても、先ほど藤田委員からお話があつたのでありますが、三箇月ばかり前の閣議の席上におきまして、吉田総理池田幹事長に向つて、君は四十回も銀座の彼女のところに出入りするそうじやないかとじようだんを言われたところが、池田幹事長が、私も念いろいろと贈があるから月に四十回くらい行きましようと言つたところ、各閣僚が唖然としたような顔をしておつたということを私は承つておるのであります。あの雲上人の吉田総理でさえ、四十回も銀座に出掛けているということを知つておるのに、捜査の当局にある井本刑事局長は何も知らないというふうに言つておる。あなたたちはもう少し奥歯にものをはさまないで、そういうことはうわさに聞いてはおるが、しかしながらそういうことはわれわれの犯罪捜査については何も関係がないからと言えばよいのでありますが、何事も逃げ口上である。  最後にお尋ねしておきます。この前指揮権の発動がありましたときに、佐藤前幹事長はあわてて総理のところに行きまして、私がひつぱられることになるならば池田君も危い、池田君が危くなるようなことになれば総理の身辺にも及びますよというようなことを、少しはつたりといいますか、おどかしをかけてから指揮権発動をやらしたということを私たちは聞いておる。これは私たちは何回も聞いておりますが、そういうようなことについてあなたはお聞きになつたことはありませんかどうか、聞いておきたいと思います。
  75. 井本台吉

    井本説明員 池田さんの私行に関する件につきましては、全然私承知いたしておりません。  それから指揮権発動の際のいろいろなお説につきましては、新聞、雑誌その他にいろいろな人の談話等が載つてつたので、そういうような話も聞いておりますが、具体的な事案としてさようなことがあつたかどうかというような面につきましては、私ども全然存じておりません。
  76. 片島港

    片島委員 私は井本刑事局長一人を前においてあまりいじめてみたところでしかたがありませんから、この次の委員会におきまして法務大臣を相手にしてもう少し真相を究明したいと思います。
  77. 田中彰治

    田中委員長 片島君に聞きますが、銀座に行くというのは、銀座に散歩に行くのですか。どこかに遊びに行くのですか。
  78. 片島港

    片島委員 それは銀座のおめかけさんのところに出入りしておる。そこが料理屋だというような話を聞いております。
  79. 田中彰治

    田中委員長 吉田賢一君。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 刑事局長に伺います。国会で問題になりまして、政府の答弁によつて明らかになりましたのは、昨年の十一月三日以来本年七月末の黄変米の認定総量は十一万四千トンに上るのであります。それからそれのうち七月末現在の在庫量は八万一千余トンになるのであります。そこでその配給差額はすでに配給済みなんです。配給済みは申すまてもなくこれは人の胃袋に入つたのであります。そこで私があなたに聞かんとするのは、この黄変米は去年の七月から九月にかけましてすでに厚生省から白米のうちに黄変米菌あり、こういうような認定をいたしまして、通達ができておるのであります。そういたしますると、爾来農林省におきましては、黄変米は白米の中にもあるということは大体知つておるはずであります。厚生省におきましては、もちろんそれを知つて続々と出て来る黄変米に対する対策を立てなかつた、こういうようなことになつております。そこでこのたび国会におきまして俄然問題が紛糾してしまつたのでありまするが、政府が黄変米毒素を有するということは、これは学者におきまして毒素の実態はつかんでおるものもあり、つかんでおらないものもありますけれども、異論のないところであります。そういたしますと、この黄変米をすでに配給した分が明らかになつておるのは三万数千トンであります。それからさらに配給されたというのが何ぼあるかわからぬ、将来も配給するかもわからぬ、こういう状態になつております。そこで刑事局長といたしまして、もし学者が有毒な米であるということを判定しているにかかわらず、あえて食糧に配給するということになりましたならば、もしその結果身体障害を来しましたら、相当私は責任があるのじやないか、こういうように思うのであります。少くともこれは肝臓障害でも生じましたならば、その生じた結果に対しまして、政府はどうするのだ。一体責任を感じているのだろうか。少くとも過失障害責任というものが発生するのではないだろうか。業務上の重大な過失障害という事案が発生するのではないか、こう考えるのであります。御所見を聞きたい。
  81. 井本台吉

    井本説明員 身体障害者のその障害の事実、毒米の配給との間に相当因果関係がございますれば、さような場合には業務上過失障害なりあるいは重大な過失があれば過失障害罪になるものと私は考えております。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはひとつあなたもきようは答弁のための答弁というのではなしに、八千万の国民は学者がとめておるにかかわらず配給しようという黄変米を見て、その毒素は身体障害を及ぼすだろうというその危険な立場に置かれておるのであります。そこで過去と現在と将来にわたつて刑事的な観察を、あなたに意見を聞くのでありますから、もしその因果関係があれば過失障害罪が生ずるというような、そういう抽象的なものじやなしに、少くとも今日は法務大臣がおりませんので、元来法務当局において、取締りの立場における当局の意見を聞こうというのがきようの質問趣旨でありますから、従つてあなたにおきましても、そういう観点からひとつ御答弁願いたい。政府におきましては、学者が反対しておることはすつかり知つておるのです。大部分の学者は反対しておるのでありますけれども、二・五%の含有量のものは配給してよしという結論を持つておるのです。現に厚生大臣のごときは、他の希望しておるかいないかにかかわらず、人を誘つて試食するという乱暴なことをやつておるのであります。あるいはまたアルバイトの学生を集めてやろうかといううわさすら出ておるのであります。たいへんなこれは乱暴な挙措だと考えております。そこでこういうような乱暴なことは、あらかじめ少くとも有害かもしれぬという、そういう蓋然性に対する認識があるならば、これは明らかに結果に対する刑事責任を負うべきであると思うのであるが、そういう意味においてひとつ真剣に御答弁願いたい。
  83. 井本台吉

    井本説明員 私の答弁まことに御不満だと存じますけれども、その問題が具体的な事案化いたしました場合には、有毒米の配給と身体障害者との間に相当因果関係がなければ、刑事事件としては扱えないのが刑事事件としての常識でございます。従つて具体的には毒米の配給があつて、その毒米によつて身体に障害を生じたという場合に、業務上過失なりあるいは過失傷害罪になる場合があり得るというふうに申し上げた次第であります。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ここで横流しを論じたり、あるいは身体障害を論じたりしますゆえんのものは、この厖大な米がまだ何ほどの割合において、有毒な黄変菌があるかわからないという事態にありますので、将来に対する予防的な見地からも、法務当局の所見を伺つておかなければならぬ、こういうのが質問の趣意でありますので、事件が起つた検察庁において捜査する、そういうことならばわれわれはあえてあなたに聞く必要はないのです。けれども、まさにそういう危険性ありという真剣な叫びがあるのであります。受ける者もそうなんです。研究しておる学者もそうなんです。大部分がそうなんです。そこであえてこれを配給して、人の身体障害が生ずるかもわからぬということを、もし法務当局が目をつむつて行くならば、私はこれはたいへんなことだと思うのです。まつたく行政的な立場から離れてしまつたということになるのです。そんな法務当局ならいらぬのです。そんな法務大臣ならいらぬのです。それは警察と検察庁があるだけでよいと思う。  やはり少くともそういう危険がありというような警鐘が乱打されておるならば、それに対する正しき考え方をまとめて行くというのが、私は法務行政のあり方でなければならぬと思うのです。重ねて聞きたい。
  85. 井本台吉

    井本説明員 先ほどお答え申し上げました通り、これが事件となりますのは、さような毒米の配給と身体障害との間に因果関係があつた場合に犯罪になるのでありまして、私どもの立場におきましては、もしさような事案が起きますれば、それは犯罪として十分検挙する、そういうことを申し上げるのでございまして、さようなものを容認するという考えは毛頭ございません。
  86. 田中彰治

    田中委員長 吉田委員、もうそれをやつたつてだめですよ。何かはかのことでやつてやめましよう。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらこれは重大なことでありますので、きようは決議せんとするのであります。
  88. 田中彰治

    田中委員長 のれんと腕押しをするようなもので、だめだ。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう委員長言葉もありまするから重ねて御注意的に伺つておきます。あなたは身体を障害する、肝臓障害を起すというような非常に切実な叫びを多くの学者がしておるということ、そういうことについて、これは法務当局といたしまして、相当な注意を払つておかなければならぬと思うのだが、そういうことに対する御用意はありませんか、依然としてそれは身体障害が起つて、百万人の肝臓病者が出て日本人が多数死ぬということが出たら、そのときに因果関係があれば検挙するだろうということで放任することになるでしようか。国会がそういうふうな意見を述べるのです。大臣がいないからやむなく尋ねるのであります。意見を述べつつ質問をするというゆえんのものは、日本人の健康を守りたいからです。あなたは日本人であればそういう点についてはおそらく同憂を感ずるだろうと思う。憂えがないというならば別です。罪があつたらしばつたらよいじやないかと、そんなら聞かないのです。未然に防ぎ得るものならば、相当な研究をしながら注意を加え——あなたは現にさつきの藤田君の質問でありましたかに対しまして、たとえば証告罪のことまでお伝えになつておる、だれも証告のことを言つてやしない、質問もしていない、それは法的注意を喚起しているのであろうと思う。法的な秩序の維持ということも最大の問題と考えております。と同時に自然にこういつたことに対しまして、もつと深い真剣な注意をもつて臨んでもらわなくちやならぬと思うのです。だからお尋ねするのです。死んでしまつてから、肝臓病になつたらなおらぬというのでしよう。私この間兵庫県へ帰りました。兵庫県で医者がたくさん寄りまして、よく医者と話しましたときに、最近肝臓患者が激増しておるというのです。三重県におきまして多数の肝臓病者が発生いたしまして、中部日本が大きく書いておりました。これは黄変米のためではないかといつて騒いでおりました。今あちらこちらの医者の関係に聞いてみますと、世界では日本が一番肝臓病者が多いそうです。肝臓病はなおらぬそうです。あなたは肝臓病の経験はないだろうと思いますけれども、それほど重大な危険に迫られておるのです。その迫られておるのを、農林省なり厚生省と国会におきましてまだ意見の間隔がある。はつ書しない。そこでわれわれはこう質問するのです。あなたらの立場は非常に重大なんです。だから事前にそういうことに対してもつと真剣な態度をもつて臨んでもらわなくちやならぬというのが私の質問趣旨なんです。御意見ありませんか。
  90. 井本台吉

    井本説明員 実は肝臓病につきましては私自身肉身を一人なくしておりまして、非常な関心を持つておるわけでございます。学者がかような毒米について諸説を発表し、あるいは各地に肝臓黄変症の患者が出ておるというようなことは、これは相当重要なことだと非常な関心を持つて考えておる次第でございます。ただ何分にも法務省もしくは検察庁の関与する場面というものは、国政全体におきましてはある限られた場面でございまして、犯罪発生後の検挙が大部分でございます。しかしながら予防的なことも全然考えていないわけではございません。従つてどもといたしましては、もしこの毒米の配給によつて国民が、あるいは肝臓黄変症になり死亡したというような場合には、その配給の事実と身体障害の関係について相当なる因果関係があれば、それにつきましては、刑事事件として厳重に取締つて行きたいと考える次第でこざいます、
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでに配給済みの黄変米についてはあなたの方はどういうふうに処理して行かんとするのであるか。われわれは横流しについて厳格な取締りを要望しておるものであるが、すでに政府みずからが配給してしまつたもの、これはどういうふうにされようとするのであろうか。そんなことはまだわれわれの関知するところの範囲でないということなんだろうか、いかがでしようか。
  92. 井本台吉

    井本説明員 まだ私どもの方にその黄変米の配給によつて身体障害を生じたというような事実の報告が入つておりません。しかしながらこれは近く私どもの部内の次席検事の会同がございますので、さような点につきましては十分注意いたしまして、国民一般に障害が起らぬということを期待して行きたいと考える次第でございます。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし身体障害が起る起らぬにかかわらず、食品衛生法の見地から見ましても、当然食糧として配給することはできないのであります。であるのにかかわらず食糧として配給して、食糧となつてすでに消化してしまつて排泄してしまつている、こういうような事実なんであります。でありますから、こういう事実に対しましては一体どうなさるか。身体障害とはまた別の問題になつて来ます。
  94. 井本台吉

    井本説明員 食品衛生法にいうところの食品であるかどうかということの認定いかんによると私は考えておる次第でございます。
  95. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して。その点を伺いたいと思つたのですが、ただ井本さんは行政官ですから上司の命令等は受けなければなりませんでしようから、そういうことに関しては私深く追究しませんが、食品衛生法の問題なのでございます。食品衛生法の四条でありましたかの、有毒なものを政府当局がやつておる場合においては違法を阻却することになるとお考えになるのでしようか。いかがでありましようか。
  96. 井本台吉

    井本説明員 食品衛生法に、ある限られた事情について厚生大臣の除外規定がございます。かような規定によつて配給されたというような場合には、一般的にいえばこれは問題にならないという場合もございます。しかしながらその除外の理由が相当であつたかどうかというような点につきましては、さらに検討を加えませんと結論的な結果は出ないと私は考えるのでございます。
  97. 杉村沖治郎

    杉村委員 その点ですが、厚生大臣が厚生大臣としてほんとうに正しい権限に基いてやつた場合においては、私も違法を阻却すると思うのであります。しかしながら日本の学界においてほとんどこの黄変米、いわゆる病毒米はいけないということは輿論となつておるのであります。しかも厚生大臣はみずから昭和二十八年の八月二十九日の通達をもつて、農林省に対して、イスランディ黄変米については特に二百八十粒中に七十一粒入つておるということを通告しておる。ところがその後においてさらに入港したところの米に対する通告を怠つておる。この間当委員会でも私が質問したところが外務省に対してはその必要がないとまで暴言をもつて答えておるのであります。かようなわけでありまして、いかに厚生大臣でありましても、輿論を無視して、いわゆる学界、医学界等においてほとんど意見の一致しておるところの毒物を、厚生大臣であるからのゆえをもつてこれを配給しても違法を阻却するということには私はどうもならないのではあるまいかと思うのでありますが、その点についての御所見はいかがでありましようか。
  98. 井本台吉

    井本説明員 具体的にはいま少し研究いたしませんと結論的なことは申し上げかねます。要するに権利の濫用の程度にまで至つておるかどうかというところが結論を左右するものになると私は考えるのでございます。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは臆測というよりは推測を前提にするようなきらいがありますので、あるいは問答はいかがかと思いますけれども、念のために伺うのでありますけれども、あなたの方では1法務省では、政府が行う行為は、前提といたしまして法務省は関与しない、よしんば刑事的な責任が生ずるおそれがあつても、もしくは国会において刑事責任ありというような追究を受けておつても、あるいはまた国民は、あるいは法律常識からいたしましても、それは相当な疑義がある、こういつた被疑状態の事実がありといたしましても、そのこと自体が政府の責任である、厚生大臣責任である、農林大臣責任であるというような、同じく政府の内部の行為であるということになると、あなたの方では手をつけないということが原則になつておるのではないかと思うのであります。あなたは、よしんば政府であろうとも、そうでなく民間の何らの力のない者がしたのも同じに厳正に臨むということが、私は法務行政のほんとうのあり方だと信じておるのであります。でありますので聞くのでありまするが、これは刑事局長に聞くのはいかがかと思いますけれども、念のためにと前置きして聞くのですが、あなたの方で、よしんば政府の行為であろうとも毅然として何ものにも恐れない、そういうことになつてもらわなければ、この黄変米の今後の処理につきましても私ども安心できないのでありまして、横流しだけじやないのでありまして、幾多の不正不当が起つて来るだろうと思う。でありまするので、ほんとうにあなたらの立場を聞くのですが、政府の行うことは事のいかんにかかわらずまず手がつけられないんだ、こういうようなのがあなたらの気持なんだろうが、これは今日は刑事局長の、そういうかたい立場じやなしに、あなたとして何とかこれに対する感想でも苦衷でも述べてもらいたいと思うのですが、いかがでしようか。
  100. 田中彰治

    田中委員長 吉田君時間ですから。
  101. 井本台吉

    井本説明員 政府が不法なる行為をしたという場合には、おそらくそれは政府が構成する機関の刑事責任が生ずるのではないと私は考えるのでございます。刑罰法規の上からは、政府機関と民間機関となんら区別すべき理由はございません。これは一律平等に扱うのがほんとうでございまして、有罪の心証を得ますれば、私は政府職員であろうと民間人であろうと、さようなことについて区別すべき理由は全然ないと考える次第であります。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは聞くのでありますが、われわれは今後におきましても明らかにしてもらわねばならぬ問題を相当たくさんに持つておりますので、この機会にあなたによつて資料を出してもらいたい。それは直接黄変米には関係ございませんけれども、六日の結論を得る資料になりますので、ぜひ必要なんでありまするが、政治資金規正法のお調べ中に、千葉及び横浜におきまして、政界の巨頭、名を申せば佐藤氏その他でありまするが、巨頭連中を多数お調べになつておる事実がある。われわれの調査によりますと、実に厖大な数千枚に上る、厚さにおいて六寸と言われるのでありますから、数千枚に上る調書ができておるようであります。千葉及び横浜におきましての、この資料はぜひひとつ取寄せて当委員会に出すようにしていただきたい。できますかいなや、ひとつ御答弁願いたい。
  103. 井本台吉

    井本説明員 役所に帰りまして上司とよく相談したいと思います。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはそういう調書ができた事実があれば、それは当然保存されておるはずでありまするから、それではひとつ取寄させるように委員長からはからうようにしていただきたい。委員長おはからい願います。あなたが上司と相談するならば、上司がノーと言えば持つて来ないことになる。これはたいへんな調査の障害になりますから、それでは資料として提出することを委員長から要求するように願いたいと思います。
  105. 井本台吉

    井本説明員 もしお漏らし願いますれば、千葉の検察庁あるいは横浜の検察庁でだれを取調べたかというような点について何か手がかりが得られますれば、私どもの方では好都合と考えます。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは四千七百万円の本年の予備費の対象になりました取調べの件のうち、こういうことになればあなたの方ですぐお調べがつくだろうと思いますから、ぜひお願いいたします。
  107. 田中彰治

    田中委員長 横浜と東京の某所——事実は横浜と千葉で調べておるのだから、その政治資金規正法のお取調べになつたのが千葉とあすこに相当部数のがあつて、今検察庁でそれの処分に相当頭を悩ましておるらしいのですが、それを出してくださいよ。もしなんだつたらだれとだれが入つておる事件吉田さんと相談してください。それから削らぬでくださいね。  柴田義男君。
  108. 柴田義男

    柴田委員 先刻同僚の片島委員からいろいろな問題を質問されたのでございまするが、これは黄変米に何ら関係がない。こういうことでなしに、われわれは検察当局が、黄変米の問題にいたしましても、あるいはその他の問題にいたしましても、世人からいろいろと疑惑を持たれている、こういうことではいけない。私どもは司法権の独立を信頼し、検察庁のやつていることは正しいことをやつているのだ、こう信じたいし、そういう角度から質問しているのであります。われわれは決して流言飛語によつて惑わされて、それを根拠として質問いたしているものではありません。国民大衆は検察庁が行つていることはどういうことをやつているのか、これはだれしもが非常な関心を深くしている問題であります。もしも司法権の信用というものが失墜いたしましたならば世の中はまつたくまつ暗やみでございます。まつたくこれは悲しむべき問題が大きな問題として将来に残ることがある。そうあつてはいけないから、その問題を中心といたしまして伺つておるのでありまするが、本日のこの状態を見ましても、先ほど来、ただ、公務で、あるいは一身上の都合で法務大臣出席されない、あるいは溝原次官出席されない、これは井本局長がそういう御答弁ではございますけれども、やはり世人はこれは許しません。この委員会で堂々と法務大臣としての所信を披瀝せられ、あるいは溝原次官としてのお考えを堂々と述べてもらいませんと、どうしても、われわれ委員だけではございません、国民大衆が承知しない。また司法権に対しましても、あるいは大きな圧力がどこからかおおいかぶされたのではないか、こういう疑惑を持ちますることは非常に悲しむべき現象だと思う。先ほど来の片島同僚の質問に対しましても、池田幹事長が二号さんの経営しておる料理屋へ月に四十回も行つておられる、こういう現実を検察庁が知らぬのか、といいますることは、検察庁があの大きな世の中を騒がせました、たとえば造船の問題にいたしましても、保全経済会の問題にいたしましても、莫大な国費を使つて調査をされた、七千七百三十何万円かの費用を使われた。そういたしますれば、政界のうわさを持たれた人々の一挙手一動というものは調査されておつてしかるべきであるし、調査されておるはずである。そういたしましたならば、四十回行かれたのか三十回行かれたのか、どういう料理屋でどういう会合をされたというようなことは調査されておらぬはずはないのです。だから池田幹事長にもしもそうした事実があつたといたしまするならば、その銀座裏の料理屋は何という料理屋か御存じのはずであるからお知らせを願いたい。
  109. 井本台吉

    井本説明員 先ほど申し上げました通り、私はさような事実は聞いておりません。なお犯罪事実に関係がございますれば、犯罪事実として捜査するにやぶさかではございません。
  110. 柴田義男

    柴田委員 しからばこれも流言飛語ではないのですが、すし屋検察庁が中心となつてつておるすし屋が三原橋の近所にあるのですが、これは何というすし屋御存じでございましようか。
  111. 井本台吉

    井本説明員 検察庁に入るすし屋というのは私は存じておりません。
  112. 柴田義男

    柴田委員 ただ知らぬ、存ぜぬということであつてはどうもわれわれは、——だから検察庁に対しましても信頼が薄らいで来るのだ。井本さんはおいでにならぬかもしれぬけれども、二葉鮨というところに検察庁を中心として集まられておるというのはもう世人がみんな言つております。それは私のようないなかから出て来ておつてももうわかつておるのだから、これはおわかりにならぬということはあり得ないと思います。実際にそういうすし屋検察庁方々が集まるというようなことはございませんでしようか、重ねて伺いたいと思います。
  113. 井本台吉

    井本説明員 いつ集まつたかというお話でございますか、私は少くとも本年になりましてからさような話は全然聞いておりません。
  114. 柴田義男

    柴田委員 われわれは、ただ井本さんがそこに行かれるということではないので、検察庁方々は、それはどういう意味かわかりませんが、よくそのすし屋を利用されていろいろな会合を開いておる、こういうことを聞いておる、こういうことでございますが、それでもおわかりにならぬですか。
  115. 井本台吉

    井本説明員 最近のことは今申し上げた通り全然私聞いておりません。去年のことでございますと、あるいは私はつきりそういうことがあつたかないかということは、自分が関知しておりませんのでわかりませんが、少くとも本年になつてさような会合があつたということは全然聞いておりません。従つてもし会合がありましても、問題の疑獄事件等には何ら関係がないと存じます。
  116. 柴田義男

    柴田委員 それではもう一つこういうことで伺いたいと思います。たとえば検察庁が指揮権の発動以来一切の問題をほとんど形がないようなかつこうにしてしまつた。これに対して国民大衆は何と考えておるのでありましようか。憤慨しておるとお考えでございましようか。やむを得ないと、もう圧力には屈してしまつたのか、国民大衆の考え方を井本さんにお尋ねいたしたい。井本刑事局長としての御答弁であると政治性が含まれていけませんから、国民の一人として、国民は憤慨しているであろうか、あるいはあたりまえだと考えておられるか、その点を承りたい。
  117. 井本台吉

    井本説明員 いろいろの考え方、疑念があることと考えます。個人として申し上げましても、私刑事局長でございますから、刑事局長である井本が申し上げたということになりますと、結局個人の陣弁にはなりませんので、御遠慮申し上げたいと思います。
  118. 柴田義男

    柴田委員 それから今度は別な方面で、いろいろな費用がたくさん使われておりますが、これをただいただいた資料だけで調査をいたしますと、たとえば謝金というのが千八百十万円、造船保全日殖関係で六千九百八十一万七千円という莫大な費用がここに使われております。費用の大部分が、東京検察庁を見ましても、合計何万円、何万円と端数がほとんどございませんが、こういうような使い方というものは、検察庁が常にこういう形で費用を使つておるのかどうか。どういうような支払い方法をおやりになるのか。われわれは経理上から考えますと、費用によつては何千円、何百円という端数もつくわけなんだが、どこを見ましても何万円、何万円、合計何十万円というようになつておりますが、実際こういう使い方をやるのかどうか。そして、五万円の予算を与えられた一検察庁は、かりに四万円で事足りても、五万円使つてしまうものかどうか、この点を承りたい。
  119. 井本台吉

    井本説明員 経理のこまかい内容につきましては、専門家経理部長の方から答弁した方が正確であろうと思います。
  120. 竹内寿平

    竹内説明員 お答えいたします。ここに資料として差上げました配付内訳でございますが、これはこういうふうに配付をいたしておるという配付の内訳でございます。実際には、お尋ねのように端数が出るものでございますが、そういう端数のこまかいものを正確にここに表わしますには、実地に行きまして検査をしませんと得られませんので、あとは決算の状況とにらみ合せまして、科目を乱すことなく使用されたもの、かように推定いたしまして、かような資料にいたした次第でございます。
  121. 柴田義男

    柴田委員 その分は了解いたしました。  これで私の質問は終ります。
  122. 杉村沖治郎

    杉村委員 質疑はこの程度で打切つて黄変米に対するところの決議をひとついたしたいと思いますが、これをお諮り願いたいと思います。
  123. 山田長司

    山田(長)委員 六日の日にもきようのような状態で、井本刑事局長だけということであつてはいかぬから、委員長から特に念を押して、はつきり確約して行つてもらいたいと思います。
  124. 田中彰治

    田中委員長 さつき吉田委員から何か出せと言われたが、ちよつとぼくにはわからないのだがどんなものを要求するのですか。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その取調べたおもな人の名前を委員長まで申し出ますから……。
  126. 田中彰治

    田中委員長 以上で質疑は終りました。  この黄変米問題につきましては、当初第十五回国会、すなわち昭和二十八年二月二十七日の決算委員会におきまして、初めて審議に着手した重要事項の一つでありまして、爾来第十九国会におきましても、引続き審議に移し、委員会を開くこと実に十八回、現在閉会中も継続審議をいたしておる次第であります。しこうして現在まで参考人として招致した関係当事者十三名、その間参考資料の提出要求はもとより、黄変米の倉庫積み状況等については、前後二回に及ぶ実地調査等々、文字通りの慎重審議を重ねて来たのであります。従いまして、理事会におきましても、事案の重大性にかんがみまして、本委員会審議の結果による決議を農林、厚生両大臣に送付すること、及び一方議長に対しては、昭和二十七年度決算に関する委員長報告中、不当事項の大なるものとして特記することの二方針の決定をいたすことに協議がまとまつた次第であります。  この際本問題に関して、理事会において協議決定をいたしました決議案を委員長提案とし、これを岡林専門員をして朗読させます。     〔岡林専門員朗読〕   決議(案)    輸入病変米に関する件   政府が国民の主食として輸入した外米中に病変米が混入し、配給不適格と認められたものが、昭和二十六年度九千三百余屯、同二十七年度一万三千四百余屯、同二十八年度七万八千六百余屯、同二十九年度(七月三十一日現在)四万千六百余屯を算し在庫量八万余屯に達した。   これがため、二十七年度以前の分において、すでに八億三千万円の国損を来し、二十八、九両年度分においては、更に巨額の国損を生ずる見込である。   而してこれら病変米の取扱に慎重を欠いたため、多量のものが既に飯米として配給又は横流しされたのみならず、在庫八万余屯についても、一定基準によつて正に配給されんとし、国民保健上極めて憂慮すべき事態にある。   よつて委員会は、政府に対し、速やかに左の措置を講ずることを強く要望する。    記  一、政府は責任の所在を明らかにし、適当に処置すること。  二、政府は外米輸入契約に関し、再検討を加え、損害の補填等につき善処すること。  三、病変米を配給することは、これを中止すること。再掲精その他の処理をなし、再検討の上、学者の一致した意見により、これを処理すること。  四、病変米処分は公平適正を期し、かつ、国損を最小限度に止めること。  五、政府は外米輸入に当り、病変米の輸入を防止するよう努力すること。  右決議する。
  127. 杉村沖治郎

    杉村委員 当委員会が本決議をしなければならないところの趣旨を弁明しておきたいと思います。  わが国におきましては、食糧が不足でありますために、外米を輸入しなければならないことは、従来からの方針でやつてつたのでありますけれども、この外米中に人命に影響を及ぼすような毒素を含んだ外米が入つて来るようになつたのは、つい最近でありまして、昭和二十六年、昭和二十七年に輸入した米の中にも、ただいま朗読しました決議にあるような多量の病毒米があつたのであります。これがために八億余万円の国損を生じておるのみならず、このためにこの毒素米のやみ流し事件等の刑事事件までも起きておるのであります。これがために当委員会におきましては、昨年厳重なる警告をいたしまして、将来かようなことの生じないようにいたしたいと努力いたしたのであります。しかるにもかかわらず本年、今までとは非常に異なつたところの十一万四千トンというような莫大な数量、価格にして約七十億という莫大なる国費を使つて輸入したところの毒米があるに至りましては実に国民の食糧政策上これは非常に重大問題でありまして、これを等閑に付することはできないのであります。  かように、昨年度におきまして八億四千万も国損を生じ、さらに本年さような莫大な損失を生ずるに至りましても、政府はこれに対して今日まで、何らこれといういわゆる革新的研究もなされおらない。ずるずるべつたりでやつて来ておつて、一人の責任者も出ておらないということは、わが国将来の国民の食糧政策に実に重大なる影響があると考えられますので、当決算委員会といたしましては、国家の財政経費の観点からも、国民保健の観点からも、どうしてもただいま朗読いたしたところの決議をいたして、もつて将来こういうことの起らないようにしなければならないという意味合いから、ただいまのような決議をするに至つた次第であります。  簡単でありますが、その趣旨について申し上げた次第であります。
  128. 田中彰治

    田中委員長 次にこれを討論に付します。天野君。
  129. 天野公義

    ○天野委員 私は自由党を代表いたしまして、輸入病変米に関する決議案文に賛成の意見を述べるものであります。  今回の病変米問題に関しましては、先ほどの委員長お話通り、また決議案文の前文にあります通り、わが委員会といたしましては、長い間慎重審議を重ね今日に至つたわけでありますが、この間におきまして莫大な国損を来しておるわけであります。これについては、国家財政上並びに国民保健の上からいたしまして、善処をしなければならないということは言うまでもないところであります。従つて本案文にありまするがごとく、政府は外米の輸入契約等に対し再検討を加え、国損の補填等について善処すること、これをまずまつ先に取上げざるを得ないわけであります。  しかしながら翻つて考えまするに、昨年の十二月までは、病変米と申しまするか、黄変米ということにつきましては、黄変米が一%まではよいということになつてつたのでありまするが、十二月以降におきましては、白い米の中にも病変米があるということになつたわけでありまして、ここに事態がまつたく一変して参つたわけであります。従つてこの白い米に生ずるところの病変米をいかにして防止するかといとことが一番大きな問題ではないかと思うわけであります。従つてその措置といたしましては、本案文には明記はされておりませんけれども、厚生省並びに農林省ともども協力をして、この検査機関を整備し、輸入された米に対する結論をすみやかに出すようす善処する必要があると同時に、さらにさかのぼつて、輸入をする場合においては現地において検査をする機関を設けるように相手国に対して了解を求め、並びに国際的な検査機関に対しても新しき事態であるこの病変米の問題については特に了解を求め、この検査機関の協力を得て、事前にこの病変米の輸入を防止するような方途を講じない限り、いつまでたつてもこの病変米の輸入ということは防止することができないわけであります。従つてこの点につきましては、政府において国内的な問題ばかりでなく、対外的な問題も十分考慮し、検査機関の万全を期して、もつて病変米の輸入については万全を期せられたいのであります。  もう一つは、現在ありまする病変米処分につきましては、これはもういやしくも国民の保健に関する重大な問題でありまするから、学者間の統一した意見に基いて、国民保健にまつたく影響がないというふうにするために、再掲精その他の措置をなして、万全の措置をとられる必要があるわけでありまするが、それでもまだ処理のできないというものにつきましては、従来の黄変米処分のように不当な価格でひもつきの会社等に払い下げるというようなことを避けて、公平適正を期して、国損を最小限度にとどめるように、政府において善処をせられたいと思うのであります。  またこの問題につきましては、過去におきましてもいろいろの問題があつたように見受けられるのでありまして、たとえば横流し事件であるとか、また厚生省からの指令が来たときにはすでに配給をせられておつたというような、いろいろ合点の行かない点もありまするし、また不当な損害を国がこうむつたというような点もあるのでありまするので、これら全般をひつくるめまして、責任の所在を明らかにして、綱紀の粛正をはかつていただきたいと考える次第であります。  私は自由党を代表いたしまして、以上の希望を付しまして、本決議案に賛成の意見を開陳した次第であります。
  130. 田中彰治

  131. 並木芳雄

    並木委員 私は改進党を代表して、ただいま委員長から提案になりました輸入病変米に関する件についての決議案に賛成の意を表明いたします。  この決算委員会がいち早くこの問題を取上げて今日まで審議して来たのであります。けれども、だんだんと審議の過程において、黄変米病変米の問題は国民の戦慄すべき問題にまで発展して来たのであります。ただに最近の一現象にとどまらず、この報告にもあります通り、二十七年度以前の分にまでさかのぼつて病源菌が入つてつたということは、これは私は国民に対して一種の殺人未遂をしておつたのではないか、そういう疑いすら抱くものであまりす。ことに黄変米といいますから、私どもは色がついている米だけが心配である、こう思つて、白いものを食べておれば安全だと思つて、私なんかは池田さんとは違つて、内地米をあまり食えませんから、主として白い外米を食つていたけれども、今日考えてみれば、私はボートの選手で、かつて委員長みたいにずいぶん太つていたけれども、最近めきめきやせて来る。これはやはり外米を食つてつたので、その中に黄変米があつて、それが私の肝臓や腎臓についに病害を及ぼしておるのじやないか、こういう懸念すら抱くに至つておる。これは私ばかりじやないと思うのです。八千万国民はひとしく、そんな恐しいものであつたかということを今日身をもつて体験し、津々浦々まで、その恐るべきことに対する恐怖の念を持ち、不平不満を漏らしていることは皆さん御承知の通りであります。  そこで私ども今日この委員会においてこの決議を採択することはもう当然のことであつて、詳しい説明はいらないと思いますけれども、特に最後のところに記載してあります政府に対する要望事項については、どうしても私どもも一言触れておきたいと思いますので、その点だけは前の杉村、天野両委員と重複する点もあるかもしれませんけれども、簡単に申し上げておきたいと思います。  第一に政府の責任の所在をはつきりしろ、これは今までほかの委員会でもやつておりましたけれども、驚くべきものだ。厚生大臣にその責任を問えば、いや配給の方は農林省でやつております。こう言うのです。きようは前谷食糧庁長官もあそこで傍聴しておりますけれども責任はあたかも農林省食糧庁にあるように言つている。今度は農林大臣責任を追究すれば、危険があるかないかということは厚生省の方で認定するので、あちらの方で大丈夫だと言うからそれを信頼して今まで配給を続けて来た、これだけでも責任の所在ははつきりしません。そもそもこんな悪い外米を輸入するに至つたのは、外交交渉において岡崎軟弱外交のしからしむるところではないかと言つて、外務省にほこ先を向けてみれば、いや日本としては四等国であつて、三等米、四等米を輸入しなければならない状態である、ビルマやタイでは現にこの黄変米を食べているんです。こういうようなことなんだ。いい米を送つてくれといつてもそこに微妙な関係があつてなかなか思うように行かない。だからわれわれはしよつちゆう言つているんです。早くわが党が言う通り自衛軍をつくつて、強くなつて、悪い米なんかを輸入されて黙つて泣寝入りするような四等国で甘んずるなということを、口をすつぱくして言つている。しかし岡崎外務大臣のごときは初めからこの勝負には負けている、位負けがしている、これも責任はつきりしない。きようは井本刑事局長が来て、先ほど来法務省もしつかりしろ、法務省の役人はみな殺人未遂で、これは故意ではないでしよう、過失かもしれないけれども、私どもはあなた方をみな起訴してやろうと思うぐらいの気持が起る、興奮が起る、これもはつきりしない。あそこに会計検査院の小峰御大がいますけれども、会計検査院だつてやはり今まで怠慢ではなかつたか、こういうふうに考えますと、ほんとうにどこに責任があるかということがはつきりいたしませんので、あまり過去のことを私どもはくどくど追究したい気持にはなりませんけれども国民を安心させるという点に重点を置いて、一刻も早くどこにそのがんがあるか、責任があるかを明らかにしていただきたいと思います。  それから第二は、「政府は外米輸入契約に関し、再検討を加え、損害の補填等につき善処すること。」これはただいま申し上げました政府の代行機関として日本の商社だけにまかしておくところに一つの欠陥があるのではないか、これは自由経済のいいところであつて、日本の商社にまかしておけば機敏な行動と商取引を上手にやる、その美点はあるでしよう。けれどもかたがたまた商社間において非常な競争をする、そして悪いものでも高く買い付けるというような点も出て来ないとも限らない、またそこにいかなるやみ取引が行われて、外国の商社との間でリベート問題でも起つているかもしれない。そうしてリベートをつかませられて、悪い米と知りながらも大丈夫だというようなことで輸入しておらないとも限らない、そういう点については政府は外米輸入契約に関して十分再検討を加えていただきたい、そうして国民の疑惑を一掃し、安心して外米を食べられるようにしてほしい、こういうことを要望するものであります。  第三は、これは一番大事な点だと思うのですが、「病変米を配給することは、これを中止すること。」これを中止してもらいたい。農林省も厚生省もあまり面子にこだわることはないと思うのです。とにかく一時停止する。この間厚生省は停止するのが苦しいために、草葉厚生大臣が試食をしましたけれども、あれはざつくばらんに私どもよくやつたとほめてやりましよう。けれども考えようによつては、あれだつてずいぶんおかしな話で、インチキはございませんというでんすけ賭博やこいこいか何かが、街頭でいいかもをとつつかまえて、いや大丈夫です、当りますと言つて、いざやらせればその中にはちやんと病変米が入つている、でんすけ賭博、こいこいとよく似ている。考えてみれば、ずいぶんちやちな幼稚な草葉隆円厚生大臣の演出だと思います。しかしそこまで掘り下げずに、われわれはざつくばらんに、一応毒ではないということを国民に安心させる意味に善意に解釈して、しかし坊さんのことですから死ぬ方を喜んでいるかもしれない、用心はするかもしれないけれども。一応善意に解して、厚生大臣の誠意を買うことといたしますが、どうぞひとつこれはここにあります通り、再びつき直すとか何とかして、厚生省だけの面目にとらわれず、広く専門家である学者の意見を聴取して、ほんとうに私どもが、外米はどんなものでも売りに出ているものは、配給されているものは食べて大丈夫だ、こういうところまで一日も早く到達するように努力をしてほしい、これが私どもの念願であります。農林大臣は配給をとめたいとかとめるとかいつてつて、まだわれわれにははつきりしておりませんが、とにかくとめてもらいたい、そういうことを強く要望いたすものであります。  あとの点の「四、病変米処分は公平適正を期しかつ国損を最小限度に止めること。」「五、政府は外米輸入に当り、病変米の輸入を防止するよう努力すること。」これは前段に私が述べたところに包含されておると思いますから、ここでは省略いたしまして、以上改進党を代表しての賛成討論を終りたいと思います。
  132. 田中彰治

  133. 柴田義男

    柴田委員 私は社会党を代表いたしましてこの案に賛成するものであります。  私どもは昨年の国会黄変米問題をとらえまして、黄変米の輸入に関しましては農林当局に厳重に警告を発しておつたのであります。そういたしましたあとにできました問題は、黄色くなつた黄変米でなしに、白米の中にも病変米が発見された、これが今度の黄変米問題として大きな問題になつたわけでございまするが、こういう問題になりましてからも、厚生省あるいは農林省当局は、たとえば二・五%を最大許容率と決定され、これを配給しようと計画を立てられたのであります。食糧の絶対量の足りないというのは、どの委員もしばしば申しされておりまするが、単に足りないから入れた、入れた米は科学的な検査の結果黄変米が発見された、これだけではやはり国民大衆は納得いたしません。そういう観点から、今も薬毒もいろいろな角度から論ぜられましたが、やはり政府が責任の所在をはつきりと明らかにしてもらいたい、これはどうしてもはつきりといたさなければならない大きな問題であると思うのであります。そのほか、二、三、四、五三つく並んでおりまするが、その中でやはり一番問題になりまするのは、現在の八万数千トンという莫大な量で、これを邦価に換算いたしまするならば、五十数億になると思います。こういう莫大なものが主食にはならないということでございますると、莫大な損失が生れまするけれども、しかし国民の保健を考えました場合に、国が損するから許容率を決定いたしまして配給するなんということは断じて許されません。よつてやはりこれはどうしても配給を中止して、再掲精の上で学者の意見を尊重して処理をする、これはどうしてもこうしてもらわなければならぬとわれわれも固く信じておるものであります。  その次の残された問題は処分の問題であります。五十数億、六十億になんなんとするものがどういう方面に処分されるか。たとえば非常に比率の低いものは、あるいはみそ、しようゆになるでありましようし、あるいはお菓子の原料になるでありましようが、こういう問題にいたしましても、農林省の食糧庁の主観だけで決定するようなことがあつては困る、やはりこの問題に対しましてもたとえば何か民間人あるいは学者を加えた委員会のようなものを設けまして、そうしてこれに対しましてあらゆる角度から研究をされて、国損を少くしなければならぬ、こういうことを大いに強く要望いたすものであります。処分をいたしまする場合にも、かつて処分の仕方のように、随意契約によつて特定の者にこれを処分し、そうして今問題になつて残されておりまするような横流しがあつたとか、知らないでそれがまた一般の大衆の主食になつたというようなことがあつては許されません。そういう角度から第四の処理の問題をひとつ大きく取上げていただきたいと思うのであります。  最後には輸入の問題でありまするが、これもたとえば岡崎外務大臣の御答弁を承つておりましても、林農大臣の御答弁を承つておりましても、ビルマであるとかタイでございましても、まだ日本の科学的な検査によつて黄変米ができておるという現実をはつきりのみ込んでおらぬようであります。これは日本の弱体な外交折衝の欠陥でもございましようが、科学を否定する者はどこの世界にもありません。だからやはり科学的な検査に重点を置いて、これは毒であるのだということを相手国に対しましてもはつきり了承を得られるような方途を講じて、再びこうした黄変米というものの輸入を阻止していただきたい、こういうことを申し述べまして賛成の意にかえるものであります。
  134. 田中彰治

  135. 松田竹千代

    ○松田(竹)委員 私は日本自由党を代表して本決議案に賛成の意を表せんとするものであります。  この黄変米問題が世上に伝わるや、国民は非常な衝撃を受けた、いな愕然としたのである。これは当然のことである。三度々々食う米の飯にそうした有害なものがあるということを知つては愕然たらざるを得ない。わが日本は尊い外貨を多量に出して毎年々々主食たる米の輸入を継続して行かなければならぬということは、わが国の一大悩みとするところである。しかし主食なるがゆえにやむを得ないという現状である。しからばその輸入にあたつては、政府は特別の注意を払つてしかるべきである。アメリカからの輸入にも黄変米があつたということであるが、アメリカのごときにおいては純正食糧法などがあつて、たとえば日本から輸出するところのカン詰数千箱のうち、一カンでもニカンでもさびついたカン詰があればただちにクレームをよこす、抗議をするというようなあんばいであつて、これすなわち国民の保健に注意をするからにほかならぬ。しかるに日本が毎年々々輸入するところの米の中に黄変米があるということはわれわれは最近知つたのであるが、当局においては相当前からわかつておる。しかも一度その有害なることが世上に伝わつて、その専門家がこれを十分に認定しておる問題に対して、なおかつただちに配給を中止するという言明をなし得ないということは一体何たることであるか。要するにこの問題は、わが日本政府当局は日本国民の保健という重大な問題、しかもその主食たる米の問題に対して十分なる注意を払つてなかつた、熱情が足りなかつたということの発露にすぎないと私は考える。この問題に関する限りにおいては、政府によろしくもつとすなおになつてしかるべきであると思う。しかるにその態度いまなお躊躇逡巡しておるというようなことは、われわれにはまつたく了承できないことである。しかもその間にあるいは横流し、配給の間に政商がわだかまつて重大な疑獄も想像されておるというに至つては、まことに言語道断といわなければならぬと思う。どうかこの問題に関する限りにおいては率直な、すなおな気持になつて、政府当局は国民の心理的な影響も考えて、よろしく暫処あつてしかるべしと私は考える。この決議案は、それらの点から考えまするならば、はなはだなまぬるい感じなきを得ない。しかしその趣旨のあるところを了として、私は賛意を表するものであります。
  136. 田中彰治

    田中委員長 他に討論はありませんか——では討論は終りました。ただちに本案につき採決をいたします。委員長提案の通り可決するに賛成の諸君は起立を願います。     〔総員起立〕
  137. 田中彰治

    田中委員長 起立総員。右案は可決されました。  なお本件について議長への報告並びに関係大臣に対する通告手続については委員長に御一任願います。     —————————————
  138. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行について……。来月の六日から開かれますところの委員会資料として、私は氏名は申し上げませんが、造船疑獄に関して不起訴となつたところの人たちの調書の取寄せを願いたい。不起訴処分に付した人の取調べ調書の提出方申請をいたしておきます。
  139. 井本台吉

    井本説明員 今お答えできないのです、技術的にどのくらいかかるかわかりません。
  140. 田中彰治

    田中委員長 名前をこの人この人こいうふうに限定して出してください。
  141. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは具体的に申し上げておきましよう。佐藤榮作氏の取調べ調書、池田勇人氏の取調べ調書、あとは追つて私の方から申し上げます。これだけをお願いします。
  142. 井本台吉

    井本説明員 役所に帰りまして、上司とよく相談して善処したいと思います。
  143. 田中彰治

    田中委員長 本日はこの程度とし、次会は九月六日午前十時から政府関係機関の収支、特に造船融資に関する件を議題として審議いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後四時八分散会