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1954-08-16 第19回国会 衆議院 決算委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十六日(月曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君    理事 藤田 義光君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       徳安 實藏君    片島  港君       山田 長司君    吉田 賢一君       中村 梅吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君         農 林 大 臣 保利  茂君  委員外出席者         食糧庁長官   前谷 重夫君         会計検査院院長 佐藤  基君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 八月十三日  委員池田禎治君辞任につき、その補欠として大  矢省三君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  中村梅吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年慶政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続きまして農林省所管食糧庁関係、特に黄変米に関する問題について最終的に審議を進めます。申すまでもなく、本問題につきましてはすでに数回の委員会において事務的な審議は尽されておるものと考えますので、本日はその締めくくりといたしまして、黄変米問題をめぐる国費の欠損の責任の所在を明らかにする最後的質疑をそれぞれ主管大臣に行いまして、当決算委員会としての妥当な結論を打出したいと、かように考える次第でありますから、委員各位におかれましても重点的質疑を行われますよう、議事の適正なる進行に御協力を願う次第であります。  では質疑を許します。徳安君。
  3. 徳安實藏

    徳安委員 大臣が見えます前に食糧庁長官ちよつと伺いたいと思います。私もできるだけ簡明にいたしますから、長官もどうか時間に制限がありますので、簡単にお願いいたします。  外米輸入にあたりまして、食糧庁商社との間の契約関係は、これは請負ですかあるいは代理ですか、明確にしていただきたいと思います。
  4. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。食糧輸入につきましては、政府間の協定の場合と、純粋に民間貿易の場合と二通りございます。政府間の協定の場合におきましては品質、価格等政府間で協定いたしますので、その場合におきましては運送の委託という形になると思います。一般民間貿易の場合におきましては、現在の方式によりまする食糧庁民間商社の間の契約という形になるわけであります。
  5. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、政府間で売買契約のついておるものは輸送代理契約だとこういうことでありますね。そこで伺いますが、そうしますと代理行為をしますものに対して、毀損だとかあるいは亡失等の場合に賠償契約がついておるように思いますが、これは少し不自然ではないでしようか。代理の場合においてはそういうものを払うということはどうでしよう、むしろこれは請負契約の場合にはそういうことがあり得ると思いますけれども、そうでない場合にはやはり今申したような亡失毀損等の場合において損害賠償するというような条項はちよつとおかしいのではないですか。
  6. 前谷重夫

    前谷説明員 代理の場合におきましては、発地におきまする規格及び価格につきましてはこれは政府間で決定いたしますが、その点に関する賠償の問題は起らないわけであります。しかし輸送中におきます故意または過失というふうな委託契約に基きます責任はあるわけであります。その点につきましては賠償の問題は起るわけであります。
  7. 徳安實藏

    徳安委員 船運賃等につきましては、先般の説明によりますと、各商社の方から見積りを出させて、それで一番最低のものをとつて全部に適用しておるのだということでございましたが、その船運賃というものは、そうしますと代理行為であるならば食糧庁船会社との間の契約になるのじやないかと思うのですが、いかがですか。
  8. 前谷重夫

    前谷説明員 代理の場合におきます価格決定方式でございますが、輸出価格及び船積みにおきますチャージは、これは決定いたしております。運賃等につきましては——保険料タリフがございますので、そのタリフに基きまして単価指定するわけでありますが、運賃につきましては、お話のように、ほかの北米でございますとか、あるいはその他の一般航路運賃の上昇あるいは下降傾向を考えまして、たとえば五月、六月、七月の各航路運賃と、それから七月におきます運賃の状況は上りぎみ下りぎみかということからいたしまして、過去の、その前月——七月でございますと六月のタリフ運賃が幾らであるか、それに対して一般運賃がどのくらい上つておるかということで、七月の場合におきますと前月が七ドルで、それに対しまして全体の運賃下降率からいたしまして六ドル八十セント、こういうふうにきめましてそれを予定して見積りをとりまして、その最低の六ドル七十セントというところを指定単価として指定するわけでございます。
  9. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、これは指定はいたしますが、実際は、かりに食糧庁で示した船会社運賃よりか契約におきましてはそれ以下を下まわるもので商社契約をしておる場合においては、食糧庁は何ら関係はないのでございますか。あるいはそれに対して責任もないし、また同時に責めることもできない。結局それは一応の見当見積りであつて、実際は船会社食糧商社とかそれ以下に契約をしましても、そしてその間の幅のものをとつておりましても、これは何ら不正でも何でもないということでございますか。
  10. 前谷重夫

    前谷説明員 われわれはいろいろのデータによりまして一つの指定単価をとりまして、その指定単価のもとにおきまして契約をするわけでありますから、それは不足する場合もございますし、余る場合もその情勢によつてあり得ることでございますが、その単価でもつて契約をする。それの過不足につきましては、食糧庁としては足らない場合においても責任を持たない。こういう形にいたしております。
  11. 徳安實藏

    徳安委員 足らない場合に責任を持たぬということは、もちろんこれはそうでしようが、足らない場合があり得るでしようか。先般来からの説明によりますと、各商社から、船会社からとつ見積りを出させる。その見積りの一番最低のものをとつて、そうして契約の対象にするのだ。こういうことでありますから、商社がすでに見積りをとつておる金額でありますから、それが今度はそれ以上に契約をするというりくつはないと思います。それから代理でありますならば、もちろん商社食糧庁との間の契約であつて商社というものはただそのお使いをするということになると思うのですが、それはいかがでしよう。もしお使いでなくて代理であつても、そうしたものはもう請負なんだというのでしようか。もし請負ならばこれはもちろんお話のように一応見当を出したそれ以下で契約いたしましても、何らその損得に対して食糧庁責任を持つことはないと思いますけれども、もし代理関係であるならば、その点ははなはだおかしいと思うのですが、いかがですか。
  12. 前谷重夫

    前谷説明員 先ほども申しましたように、一定の指定単価に基きまして請負契約をいたすわけであります。代理ではございません
  13. 徳安實藏

    徳安委員 先ほど代理のようなお話であつたし、今度は請負というお話でありますが、そうすると一貫したものではなくて、ものによりましてある限度までは請負だ、ここから先は代理だ、こういうようなぐあいに二重になるのでございますか。
  14. 前谷重夫

    前谷説明員 先ほどあるいは誤解を招いたかとも思いますが、考え方といたしましては請負という考え方契約をいたしております。ただその契約の場合におきまして、輸出価格とか輸出港におきまする船積契約というものは先方で当然きめて参りますから、その内容が当然きまつて来る。で、こちらといたしましては価格指定する場合の内容として決定いたしたというものがあるわけでございます。
  15. 徳安實藏

    徳安委員 それでは請負ということになりますと、船運賃から海上保険料までも入れたものに対して幾パーセントの手数料を出すということは考えられないと思いますが、この点に対する矛盾はいかがでしようか。
  16. 前谷重夫

    前谷説明員 請負を実施いたしまする場合の単価決定方式でございますが、輸出船積み価格保険料、その他の諸チャージというものを決定いたしまする場合におきまして、それぞれ——保険料につきましてはタリフによつてやります、船運賃につきましては、ただいま申しましたように各航路傾向をとりまして、前月価格傾向から落して行く、あるいは上げて行く、こういう単価のとり方をいたしておるということでございまして、そのきめましたもの全体として請負契約を実施するわけでございます。
  17. 徳安實藏

    徳安委員 この問題につきましてはもう少し追究したいと思いますが、時間がございませんからいずれ御答弁速記を調べまして次の機会にさらにお伺いしたいと思います。  次に日本の港へ入りましてから陸揚げをいたしまして倉庫に入るまででありますが、これに請負でございますか、代理でございましようか。
  18. 前谷重夫

    前谷説明員 本来でございますと、輸出港からわれわれの必要とする消費地までの関係を、根本思想といたしましては、請負的な考え方でやつておるわけでございますが、契約の形といたしましては、一応船積みから着港まで、着港から消費地までを一応附帯契約としてやつておるわけでございます。
  19. 徳安實藏

    徳安委員 うわさに聞きますと、何か運輸商社に関する団体で共栄商会とかいうものがありまして、その港に入りましてから陸揚げをして倉庫に入りますまでの所要金に対する契約金は、すべて食糧庁から附帯して契約する商社に払われるのじやなくて、共栄商会というものに全額を払われておる。それで共栄商会とかいうものは何か代理委任状を持つて受取つておるとかいうお話でありますが、そういう点はいかがでありましようか。
  20. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまお話共栄商会とかいうものは、輸入商社代理人として行動をしておるわけであります。
  21. 徳安實藏

    徳安委員 それでは大体においての代金支払いは、この代理人支払われておるのが現状でありますか。
  22. 前谷重夫

    前谷説明員 共栄商会輸入商社からの委任を受けて、そうして支払い迅速化のために、その部分食糧庁から輸入商社代理人としてそちらに支払つておる、こういう形であります。
  23. 徳安實藏

    徳安委員 それでは、それは明らかになりましたが、次に附帯事業として港から陸揚げをいたしまして、そうして倉庫に入れる。これは各料金がいずれも公定料金になつておるようでありますが、それを合算いたしましたものの請負契約とする、それに対して手数料をお払いになつておりますか、お払いになつておりませんか、伺いたいのであります。
  24. 前谷重夫

    前谷説明員 それに対する手数料は支払つておりません
  25. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、港に入るまでのものに対しては手数料を払うが、それ以外のものに対しては払つていないということでありますが、公定料金で扱つておりまするものをあなたの方から商社受取つて、それは請負契約になりますから、あるいは代理契約になりますから、そこに隔てがあると思います。請負契約なつた場合にはかりに公定料金が百円であつても、それは商社の力量によつて六十円でも八十円でも下げて請負させるということにおいてさやをかせぐ、こういうことで経営しておるわけなんですか。手数料は一文もないということになりますと……。
  26. 前谷重夫

    前谷説明員 手数料の問題は全体として、輸入の場合におきまして船積みから全部の場合におきます手数料として〇・五パーセントの手数料請負する場合にきめておる。こういうことは先般申し上げたわけでございますが、ただそれぞれの個々のもの、たとえば陸揚げから奥地の倉庫に持つて来る場合に、特にそれについての手数料を支払つておるというわけではないのであります。
  27. 徳安實藏

    徳安委員 私は大臣にも少し聞きたいと思いますので、この点はその点が速記に明らかにされましたならば、また後刻伺うことにいたしまして、私の質問はこれで打切りたいと思います。
  28. 柴田義男

    柴田委員 今の同僚徳安委員からの質問に関連して食糧長官に伺いたいと思います。われわれがいただいております資料を見ますと、外国食糧売買契約書となつて、甲が食糧庁支出負担行為担当官、乙が貿易商社、こういうことになつておりますが、この資料外国食糧売買契約書を中心といたしまして考えました場合には、今のように請負でやる部分がどのくらいで、あるいは代理行為をやる部分がどういうというようなことが判断がつかないと思いますが、この外国食糧売買契約書というのは民貿限つて契約書でございましようか、その点を伺いたい。
  29. 前谷重夫

    前谷説明員 契約の場合におきましては、輸入契約によりまして民貿の場合と政府管理の場合と違うわけでありまして、大体の数字はかわりないと思います。多少その内容は業者によつて違う場合があります。
  30. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、今徳安委員も議論しておりました部分は、あげて民貿以外政府政府契約をやる場合の代行行為をやる場合のみをさして御答弁なつたのかどうか、この点を承つておきたい。
  31. 前谷重夫

    前谷説明員 陸揚げの問題につきましては、民貿の場合も政府間の貿易の場合におきましても、同様に考え方といたしまして請負的な考え方をもつて実施いたしております。
  32. 田中彰治

  33. 徳安實藏

    徳安委員 外務大臣ちよつと伺いますが、ただいまビルマタイ等からの外米輸入に対していろいろ問題が起きておりますが、もしこれを輸入しないとかするとかいう問題につきましては、東南アジアとの貿易関係からいろいろデリケートな問題が起きると思いますが、そういう点に対する御所見を伺いたいと思います。
  34. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ビルマタイ、いずれも日本が多量に米を買いつけていることについては、非常に好感を示しております。しばしばそういうことを当局の人々が漏らしております。また同時にそれに対応して日本としては各種の輸出品を出しておりますが、双方の間にはただいまのところは非常に良好な関係が結ばれておりますが、米を輸入しないということなつたらどうなるか。これはどうも仮定の問題で、具体的にやつてみなければわかりませんが、今ほど良好な関係が持続されないであろうということは予測されるわけであります。
  35. 徳安實藏

    徳安委員 最後農林大臣に一口伺いますが、大体御心境は心の中でおきまりになつていると思いますが、本日あたりの新聞を見ますと、厚生大臣は何か人体試験をやるとか、あるいは厚生大臣みずから試食してみるとかいうようなことを発表しているようでありますが、これらに対する農林大臣の御所見なり、また今後この問題に対する最後けじめの御心境を伺つておきたいと思います。
  36. 保利茂

    保利国務大臣 お答えいたします。けじめ心境と申しましても、前委員会から私しばしばこの問題ついて申し上げている通りでございます。すなわち私どもとしては有害、無害論に対して、論議をすることは差控えたいと思います。と申しますのは、私ども食糧配給当局者でございます。従いましてそれが有害なりや無害なりやという研究判断は、厚生省においていたされているわけであります。従つて厚生省研究判断にまたなければならない。但しその研究判断に対しましては、私どもは絶対の信頼を持つて行なます。ただ何さま議論も出て騒がしていることでございますから、私どもとしましては厚生省研究判断の結果は結果としまして、さらに私どもとして努力をいたすべきものは努力して、その含有量を引下げるという努力払つて、さき申しますような原則的な考えで処理して参りたい。さしあたりといたしましては、配給操作上支障のない限りできるだけそういう問題の米はあとまわしにする。その間にさらに研究が積まれることを切望いたしております。
  37. 徳安實藏

    徳安委員 すみやかなる対策を政府に要望いたしまして、私の質疑は一応打切ります。
  38. 田中彰治

  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず外務大臣に伺います。時間が制限されておりますので、簡明に要点をお答え願いたい。  去年の十二月契約いたしまして、本年五月にフィリピンから食えない外米を二万トン農林省外務省が売渡しをあつせんしておる事実があるのであります。この事実は前会にここに出席いたしましたあなたの方の経済局長が、二万トンさような契約を取次いだことを認める、それは農林省から依頼を受けたんだ、こういう程度の御発言があつたのであります。その点簡単でよろしゆうございますから、要点、経緯を聞きたいのであります。
  40. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 取調べた結果によりますと、先方からも米を二万トン程度売りたいということがありまして、農林省等外務省から取次ぎました。その結果先方商社費用負担厚生省から係官が現地に出張して調査をいたしました結果、その中の六十六百トンをいわゆるエスクロ・バーターによりまして——というのは、輸入はしますが金は払わないで、その金を積み立てて先方日本よりの輸入品代金にあてるといういわゆるエスクロ・バーターによつて買うことに決定したということを了解しております。外務省としてはその意味の先方の希望を取次いで、こちらの方で適当と思えば買うし、適当と思わなければ買わぬという態度でありましたが、適当なものとみえて買うことになつたようであります。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが現実においては二万トンの契約をして六千六百トンを持ち運んで日本政府受取つたが、品物が悪いのであとは打切りになつておる。受取つておらない。こういう事実、先方にいたしましても正規の食糧品としては売つておらぬのであります。われわれはフイリピンから食糧の米を買い入れるということは前代未聞であります。あるいはこの間にいろいろと汚職的な、もしくは非常に不当なあつせんが行われてないかというようなうわさすらあるのであります。現にその米は横須賀の倉庫で滞貨したままであります。品物は持つて来ておりますが、まつ赤であります。とてもこれが白米とは見えぬのであります。そういつたものを数億円の支払い義務を負担いたしまして買うような取次ぎをするということは、外務省といたしましても少し行き過ぎだ。輸入食糧の悪い干渉ではないか。外務省はプラスになることはともかく、こういうような食糧輸入上マイナスになり、国民損失に帰するようなこういう干渉はすべきものではないと思うのだがいかがでしようか。
  42. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外務省としては、米が売りたいという国がありますれば、イタリーにしても、スペインにしてもあるいはアメリカにしましても、東南アジア諸国にいたしましても、すべてこれを関係官庁である農林省に委管しております。そしてその間買つてくれとか、買つてくれるなということは一切言つてありませんあと農林省国内需給の必要と、そして米の種類に関する調査、これに基いて関係官が買うか買わないかをきめるだけでありまして、われわれはいやしくも米を売りたいというところがあれば、できるだけ安くていい米を選択するために、これを外務省部内で押えておくということはしないで、専門官庁に委管して適当な調査を求める、これがわれわれの態度であります。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二万トンのうち六千六百トンは受取られて、あと品物が悪いので受取ることを拒んで契約を破棄されておるのでございます。品物倉庫に積み上つて処理することも困難であります。こういう事実につきましては、外務省責任を持たぬというのですか。主管庁である農林省にまかしておいたら、どういう悪質な悪いものをあつせんしようともそれは農林省責任である、こういうことになるのでしようか。農林省でもこれを持ちあぐんでおるのであります。この点について責任を感じませんか。重ねて聞きます。
  44. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは国内官庁の仕事の分配上当然のことであつて外務省がいい米であるか悪い米であるかということを判断いたしましたならば、これは農林省に対する権限の侵犯になります。米のよしあしは農林省がきめるものであつて外務省がこれに対して口を出するのじやありません
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 現実におきまして、外務省農林省へ無理やりに押えつけてあつせんをしたというような情勢すらあるのですが、そういうことはありませんか。
  46. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そのような話は絶対にありません
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きまりをつけたいのですが、農林大臣に聞きますが、あと受取ることをしないで契約を破棄してしまつております。二万トンなら二万トン受取るべきですけれども品物が悪いから何らかの手違いのためにこれは受取れない。大体古い古い古米で着色していてずいぶんひどい、一見いたしまして食糧にならぬことはしろうとでもすぐわかる。こういうようなものを買わなくてはならないことは、外務省不当干渉の結果ではないのですか。
  48. 保利茂

    保利国務大臣 これは一々どこからどういうふうに具体的な契約に私立ち入つておりませんから、ただ前年来の黄変米の問題がありまして以来、黄変米を含む輸入問題については、今までもしばしば申しておりますように、とにかく国民生活上、また国家財政に大きな影響を及ぼすわけであるから、最善管理運営をするようにいうことを強く食糧庁に私どもとしては指示をいたして来ておるわけであります。  話は違いますけれども貿易関係でイランから米を売りたいというような話がありましたときも、産地からきわめて安心もできないというようなことで、その米は実質的には日本に入つて来ておらないのですけれども、買うことは買う。しかしそれはセイロンに引取つてもらつてセイロンが別途買付けておるところと切りかえるようにしておつたというようなことで最善の注意を払つておりますから、ただいまのお話フィリピンの問題は、貿易関係その他いろいろの点も考慮して処置したこととは存じますけれども、主食として完全なものであるという前提の上に立つて私は買つていないと思うのです。従つて価格の立て方等におきましても、そういうふうな処置によつてつておるとすれば買つておると思いますけれども、具体的にはひとつ食糧庁長官が実際の指揮をしておりますから、長官からお聞きとりを願います。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 時間もないことでありますから、こまかい事務的のことは聞かないことにいたします。そこで大臣になお伺つておきますが、これは現に売れないで困つておる米でありますが、このようなもので損害を生ずることは目に見えるのでありますから、すでに三億円になりますか、あなたの方ではこの三億円の現金を支払つたか支払わないか別といたしまして、こういう民間貿易によりまして大きな損失に直面しておるわけでありますが、損害賠償でも請求するというような最善の措置をとつて国損を少くするというような、そういう方策をおとりになる意思はありますか、これだけ聞いておきます。
  50. 保利茂

    保利国務大臣 具体的でございますから食糧庁長官からお聞きとりいただきますれば非常に仕合せだと思いますけれども、これは五万一千円くらいで買つておる、これを加工米として処分をいたしますれば、五万四千円くらいに処分ができるわけでありますから、従いましてそのために損害を不当に生ずるというおそれはないように長官は申しております。なおこの処置につきましては、私自身も耳にいたしました以上は十分監視といいますか、指揮をとりたいと考えております。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 五万四千円というような、そんなあまい話は一応この場限りで聞いておきます。とてもそういうことはできません。時間がありませんから、いずれまた別の機会に伺うこともありましよう。  次に伺いますが、なぜこのたびの黄変米がこんなに大きな問題になつたかということについて、私どもはあなたにぜひとも聞いておかなければならぬ点があるのでありますが、こういう点についてはいかがでしようか。大体あなたの方におきましては先般来しばしば問題になりましたように国際検定人の検定証明書によつて輸入している。そこで黄色いのではなく白い米に黄変米菌がついているかいないかについて十分判断できない。ただ検査のそういう不完全なものによつて輸入している。厚生省がこれを別の角度からいろいろと培養実験などをやりまして菌を発見するということになりまして、そこが制度上ちぐはぐになつているということが考えられるのでありますが、こういう制度上のちぐはぐについては将来何か対策といたしましてこの欠陥をなくする必要があるのではないか。抜本的に統一するという必要があるのではないかということを考えますが、これに対する御所見を聞いておきます。これも要点だけでけつこうです。
  52. 保利茂

    保利国務大臣 私は今の御質問の点について具体的の意見を持ちませんけれども、ただお話のような点は実際問題として感じております。すなわちかような取引を根絶するということは培養実験後でなければ取引が行われないというようなことにも相なるわけでございますから、しからば培養実験を買付け前に一々やることができるかどうかというような点についてはもう少し研究してみなければ、私どもとても矛盾は感じておりますけれども総合的にもう一ぺん検討し直してみる必要があろうと考えております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 厚生大臣に伺いますが、あなたの方できめた二・五パーセントの配給問題であります。これを世論が少し収まる時期を待つて配給さそうという、結局配給を強行しようというようなそういう意思がどうもあるかのようで、基準を撤回する意思もないというようなことが新聞にも報道されておるのであります。そこでぜひ聞いておきたいのでありますが、すべてここで呼んだ学者並びに他の委員会に呼んだ学者は、一パーセント以上の混入するものについては安全を証明することはできない。一パーセントでもやつとだと言つておるのであります。いいかえますると一パーセント以上はまつたく論外だということが学者の共通いたしました意見であります。にもかかわらずあなたの方ではやはり二パーセント半ということを継持しようというようなことが紙上伝えられておる。一体何を根拠にしてこういうような我を張つて行かれるのであろうか。反面におきましてこの毒米の配給がいかがあろうかということによつて、八千万民衆は実際健康の危険にさらされておりますくらい真剣にお考えにならねばならぬ許容率の問題であります。これを一応撤回するか、さもなくば一パーセントは一応押えておくか、農林省と話をし直しましてあらためて調査研究の上で直すということになさつてはいかがですか。
  54. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 ただいまの配給基準の問題でございますが、二・五パーセントは厚生省の試験その他によりまして従来黄色い米の場合は一パーセント、しかも一パーセント以内においての配給を許容しております。しかし白色の米にもいわゆる黄変米がありまする結果こういう新しい基準をきめた次第であります。ところがただいま御指摘になりましたように、委員会等におきまする学者の意見等が相当強く述べられておりまするので、これを傾聴いたしまして、基準は基準として両省次官の覚書をとりかわしておりまするが、幸い農林省におきましてもただちに配給という手配をする必要がないようでございますから、この間十分検討をいたしたいというのが、現在の厚生省態度であります。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 むしろ進んで〇・三パーセントということにして、しばらく検討の時間を持つということにする方が、国民の側からしたならば望ましい。なぜならば非常に黄変米に対して世論が沸騰して以来、黄変米の毒素に対する感受性が敏感になつております。過敏というくらいにまでなつておりますので、こういうときにおきましては、やはり一パーセントであろうとも老人、肝臓病者などにはずつと大きく変化が加重されるであろうことはしろうとでもわかるのでありますから、そういうようなお気持ちならば、進んで〇・三で一応この際は押えておくということになさる方がより賢明であろうと思いますが、いかがでしようか。
  56. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 従来の覚書では一パーセントという基準に相なつております。しかし一パーセントでは不十分であるから、一パーセントの場合は五日間というのが今度の基準でございます。従つて従来のよりももつと下まわつた基準にいたしておりますから、今回の基準をあらためて撤回いたしますと、従来の基準に帰つて来るわけであります。私どもはただいま申し上げましたようにいろいろ御意見等がありますから、幸いに配給は当分はする必要はない状態でございまするから、その間御納得の行く実際の科学的検査をいたしまして示したいと存じております。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 厚生大臣に伺いますが、二十七年度は二五パーセントほどしかサンプリングしておらない。二十八年度におきましては四〇パーセントしておる。従つて二十八年度は六〇パーセント、二十七年度は七五パーセントは無検査の配給をしておるのであります。二十七年度は二万二、三千トンの黄変米がでており、二十八年度は十二万トンの黄変米が出ております。このようにサンプルの量が多ければ多いほど黄変米がよけい出ておるのであります。もの残りの六〇パーセントを試験したならば黄変米は二、三十万トン出たのではないと推定されるのでありますが、この点についてあなたは責任をお感じになりませんか。
  58. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 従来はすでに買付けのときに協定に基いた一パーセント以下の買付けというのが中心と相なつて、しかも黄色いたしましたものに限つてしておつた次第であります。念のためにさらに着港におきまして問題と思われる米を再検査と申しますか、厚生省関係者が出まして検査をいたしたのがお示しの通りに相なつておる次第であります。そういう状態でありますから、一応買付けにおきましてもこの協定を守り、さらに着港において具体的な検査をいたしたという状態に相なつております。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 新しい基準によりまして配給をしようとする、もしくは当分の間研究をして、配給しようとする、等いろいろのお考えがあるようだが、根本において一体これは国民保健ということに重点を置くのか、国損を少くしようというところに重点を置くのであるか、もう入つてしまつたのであるからしかたがないから何とか皮をむいても配給してしまえというお考え方なのであるか、基本的な態度をはつきりしていただきたいと思います。
  60. 保利茂

    保利国務大臣 もともと外国米に対しては大方の議論がさまざま行われて、かような一言にして言えばまずい割高の米をこの苦しい経済の中において入れるということは不経済だ。それをしもあえて忍んで入れておりますゆえんは、一に長い間の国民の米食中心の食生活が、口で申し上げるようにそう右から左に切りかえられるものではない。昨年の凶作に際会いたして——しかし長くかようなことが続け得るものではありませんけれども、ともかく消費者大衆の日常の生活に思いをいたして、国民経済全体から言えばたいへんな損失、犠牲を払つて外米を入れておるわけでございます。従つてその動機はどこまでも国民大衆の生活を守つて行くために入れておるわけでございます。しかしながらそれが国民保健上障害を受くる、予期せざる事態によつてさような状態になつて来るということでありますれば、これはいかに国の経済がどうとか申しましても、目ざすところは国民の生活を守るというところにあるわけでございますから、国民の生活を逆に損ずるという形になりまするならば、私は国庫に与える損失その他につきましては別個の問題といたしまして、あくまでやはり国民の生活を守るという考えにおいて処理して行かなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林大臣最後に承つておきます。学者はすべて一パーセント以上は反対なんであります。それから二パーセント、二・五パーセントという基準はどこからも説明はないのであります。そこでこれはわれわれに言わせるならば、厚生省の事務当局の恣意をもつてあえて行政的に物事を解決せんとするところの、それがもとになつておる危険があると思います。やはりあなたは食糧の配給、保管、管理の主管庁大臣でありますので、いやしくも学者がこぞつて真剣に、個人の利害も名誉も離れ、あらゆる圧迫、危険にも屈しないで二・五パーセントというようなことは論外であるというふうに極論しておる場合に、ずつと安全率の高いところに線を引いて、一パーセント以内でなければこの際は断じて配給しない、こういうことに強い決意をなさつて国民の保健を守る、生活を守ると同じ意味で国民の保健を守るという、この立場をあなたが貫いて行くことをなさることが、この際処すべき基本的な態度としては最も至当なあり方であろうと考えるのでありまして、ぜひともそうあつてほしいのであります。この点について一体どうお考えになつておるか、最後に聞きまして私の質問を終ります。
  62. 保利茂

    保利国務大臣 よけいなことを申し上げるようでございますけれども、たとえばビキニ水爆実験以来、まぐろの扱い方にいたしましても今日までずいぶん廃棄処分にいたしておりましたけれども、今日の研究結果によれば、そそんなものは廃棄するに及ばなかつたというような状態に現実あります。それからまたこの黄変米の問題につきましても、学者間においては——吉田さんはもう全学者が一致してとおつしやいますけれども、私は必ずしもそうではない、そうばつかりとも言えないと思うのであります。やはり私といたしましては、国の食品衛生の管理をたしておられるところの厚生省研究判断を唯一のよりどころして行くのが当然妥当な措置ではないか。むろんその他のことに目をおおうて一切耳を傾けないというようなことは慎むべきでございますけれども、いやしくも行政責任をとつて参りまする者としては、やはり行政責任を持つてつておられるところの厚生省研究判断の基準にまつほかはない、私はさように考えております。
  63. 田中彰治

    田中委員長 藤田君。
  64. 藤田義光

    ○藤田委員 日本は世界の米の市場におきまして最大のカスタムであり、世界米市場の三分の一を日本輸入いたしておることは、外務大臣御存じの通りであります。従いまして私は、外貨の割当のパーセンテージを見るまでもなく、外米輸入に関する外交措置ということは全国家的な大問題であると考えておるのであります。黄変米の問題が巷間うるさくなつて参りましてから相当の時日を経過いたしております。私はこの外交上、国策上大問題たる黄変米問題に関しましては、ただちに外務省は遺憾なき措置を講じたというふうに確信をいたしておりますが、どういう措置を講ぜられたかこの際岡崎外務大臣の御答弁をお願いします。
  65. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外務省としましては、先ほども申した通り、黄変米が何パーセントあればいいとか悪いとかいうことを判断する立場にないのであります。今までのところは一%以内のものを輸入するということで、一%以上のものは輸入しないことになつております。その趣旨に基いて交渉をいたしておるような次第であります。今後その基準がかわれば別です。今のところはかわつておりませんから、特にその点については考えておりません
  66. 藤田義光

    ○藤田委員 外務大臣は一パーセント以内ならよろしいという前提のもとに交渉を行つておると言われるが、どういう国とどういう内容の交渉をされておるか重ねてお伺いいたします。
  67. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外務省が直接当りましたのはビルマでありまして、ビルマとの間には政府間の貿易協定の中にその趣旨が書いてあります。それからタイにつきましては、先方関係省と日本側の輸入を代行する商社間においてとりきめができておると承知しております。
  68. 藤田義光

    ○藤田委員 新聞の報道によれば、先月末の閣議の席上、これは話題になつたことは保利農林大臣も認められておりますが、マレーにおきましては黄変米が常食であるというようなことを外務大臣から発言があつたそうであります。閣議の内容は秘密でありますが、新聞記者会見においておそらく福永君が発表したのではないかと思う。これは非常にゆゆしい大問題であります。それほど研究されておるならば、黄変米に対しても一見識を持つておられるだろうと思う。どういう根拠でそういう発言をされたか、この際率直にひとつ答弁を願いたいと思う。
  69. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは先般の閣議の席上申したのではなくて、その前に、日本のイランから輸入する米とセイロンの中共から輸入する米とを交換する折に、セイロン側としては、実は自分たちの方は日本や中国で産するようなねばねばした米は好まないので、タイビルマでつくられるむしろさらさらした米を好む。従つて日本のこれらの地域から買いつけた米と、セイロンがゴムとバーターして中共から買いつける米を交換したいという話、その話から出たものでありまして、私は別にセイロンの人たちが黄変米を好んでそればかりを食べると言つたのではないので、要するにタイビルマからの米を好んで輸入して食糧に供しておる。その間に別段セイロンでは黄変米の問題が起つていないことは事実であります。要するにタイビルマの米を好む、こういうことを言つたのであります。
  70. 藤田義光

    ○藤田委員 私の先ほど来の質問に対しまして、外務大臣は内政の問題に関して答弁を回避されておる。しかし私は外務省の出先の一つの大きな使命は、この国民の主食の確保たる外米輸入問題を円滑にやることである、そのためにわれわれは高い税金も払つて駐在員を外国に派遣しておる、そういう観点からしましてこの際——保利農林大臣先ほど意思表示がありました。自分は国民生活を第一番に考える。先ほど来の外務大臣答弁によれば、どうも国民生活よりも外交が大事であるというような印象を与える。私が具体的に聞きたいのは、一九五二年にビルマからフィリピンに二万トンの米が入つて、これはフイリピンの食糧公団でも始末に困つてその米を日本に入れた、これはフイリピンの下院議員が日、本に視察に来ましたときにその話が出て、ある政界の有力者が介在していやいやながらこれを入れた。フイリピンの言うことを聞かざれば外交上、賠償上不利になるという大局的な思わくもあつたかもしれぬ。しかしながら先ほど発言がありましたように、国民の主食にまつたく適せぬような外米を外交上の必要で入れたということになれば、国民生活よりも外交が大事かというような大問題を起す危険があります。その辺の経緯を簡単でけつこうでございますが、お示し願いたいと思います。
  71. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外交上悪い米を輸入しなければならぬということはごうもありません。従いましてそんなことは外務省としては全然考えたことはありません先ほど吉田君に御返事しました通り、米を売りたいという国がありますれば、外務省としては自分で判断して、これはいいとか悪いとかいつてあるものは農林省に伝え、あるものは外務省で握りつぶしにしてしまうというようなことはいたすべきものではないと思う。すべて主管官庁である農林省に移管して、農林省で適当と思えば買われるでありましようし、適当と思わなければ買われないと思います。その間には何ら外交上の必要があつて農林省等に無理を頼んだということもなければ、また今後もそんなことは全然考えておりません
  72. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは申し上げますが、昨年末のバター不足に対処いたしまして、農林省の畜産局はあわててオーストラリアから相当大量のバターを入れた。これはすべて不適格である。続いて五月末にはデンマークから入つたのでありますが、先月の七日に厚生省はこれを大部分不適格品として決定してしまつておる。輸入された二十万トンのうち十五万トンのバターが不適格であるということがわかつておる。私は黄変米の問題といい、この乳製品の問題といい、どうも日本外務省の役人の努力が足らぬのではないかと思う。国力の背景が弱まつている、あるいは占領中のギャップがあつたというような口実はありましようが、類似のかかる問題が山積するところからして、私は岡崎外務大臣の施策に何か欠けるところがあるのではないかと考えるのでありますが、こういう一連の問題に対しまして何か所見がございましたらひとつお示し願いたい。
  73. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 外務省といたしましては、通商交渉というような一般的なことはもちろんいたしますけれど、も、個々の輸入について特にいたしてはおりません。これは通産省なり農林省なりのいたすことであります。たとえば綿花を輸入するとか、機械を輸入するとか、また米だとかバターだとかを輸入しましようけれども、これは一々外務省で外交交渉でやるのではありません。これはビジネスの商取引としてやるのであります。それで問題があれば関係各省からクレームを相手国につけましよう。そういう場合にはまた外務省としてはクレームの問題の処理について御助力はいたしましようけれども、個々の商取引の内容について外交問題としてこれを交渉することは従来はいたしておりませんし、またそれはどこの国でもいたし至ることではありません
  74. 藤田義光

    ○藤田委員 これは見解の相違になるかもしれませんが、外交上国民主食の確保という問題ほど重大な問題はない。私は何も外務省はアメリカのきげんとりのために存在してはいないと思う。国民生活を確保するために国家はあるのでありまして、ただいまの外務大臣答弁は納得ができぬのであります。  われわれの委員会におきまして、かつて対米債務という大きな問題を取上げていろいろ政府当局の意見を聞いたのでありますが、外務省はこの問題に関しまして、最近の情報によればすでに五億ドル支払う、二十年の年賦払いで払うというような行き過ぎた決定をなさんとしておるというような風聞を聞いておる。私はどうも外務省の行き方というものは国民生活、国家本位という立場を離れましてあまりに国際的に、あまりに一方に偏した行き方をしておる結果、主食の問題にこういう問題が起きて来るのだと思う。ビジネスであるということ言われますが、私は外交交渉の一般方針の具体化したのがビジネスであると思う。従つて外務省責任が大半こういう黄変米問題あるいは腐敗バターの問題に押しかぶさつて来ておるというふうに解釈する、これは強弁ではありません外務省のやり方がよければこういう問題は起きない。起きてもこういう厖大な被害を国家に与えるという危険はないと私は考えております。御意見がありますかどうか。
  75. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういうことをおつしやいますと、通産省や農林省外務省の通産局、農林局にならなければならぬわけであります。各自みな独立した官庁としてその責任をとつておるのであります。外務省としてもこれらの各省と相談をいたしまして、外交交渉の部分外務省がやる、直接商取引の部分は代行商社もあり、また直接食糧庁輸入する場合もありましよう。これと一般の外交交渉とを混同はいたすべきものではないと考えて、現在の通りいたすつもりであります。
  76. 藤田義光

    ○藤田委員 これはまあ外務省の役人が大量に厖大な国費を使つて海外に駐在していないという前提のもとならば、ただいまの外務大臣答弁は納得しますが、現実外務省の機構運営外務省設置法に基く権限等から考えまして、ただいまの外務大臣答弁には私は賛成できません。しかし見解の相違になるかもしれませんから、時間の都合もありますのでこれ以上御答弁を求めません。  先ほどちよつと発言しましたが、この機会に対米債務の私が先ほど申し述べたことは事実であるかどうか、お示し願つておきたい。
  77. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 御承知のように対日援助に関するガリオア等の債務は、これを債務と心得て研究をいたしておりますが、まだ決定には至つておりません
  78. 藤田義光

    ○藤田委員 昨今の新聞には外務大臣か最も力を入れておられますアメリカ本国、加州から入つた米に非常な毒素か入つておつた、新聞に写真を入れまして、ねずみが即死しておるような報道がされております。私はアメリカの信義上これは大問題であると思う。民主主義の国であり、文明をたつとぶとかねて自称しておる国からこういう米が入つて来たということになれば、外務大臣がどれほどアメリカ大使館に頭を下げても、国民のアメリカに対する信用は一朝にして失墜してしまうのであります。南方諸地域は施設の不備とかなんとかいう理由もありましようが、アメリカにおきまして米の集荷その他に施設の不完全ということは想定できないのであります。こういう加州米に非常に毒素の多いものが入つて来たために、しかも東京都の下町方面の弱い者がたくさん迷惑をこうむつておるというような事実を御存じであるかどうか、御存じであつたならいかに措置されるつもりであるか、外交上の大問題であるから私はお伺いしておきます。
  79. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 別に私はアメリカ大使館に頭を下げておるわけではありません。またアメリカの信用が失われようと失われまいとそれはアメリカのことでありますから、それまで別に世話をやくつもりはありません。また今問題のお米の点につきましては、これは農林省その他において適当な調査をいたしておるでありましよう。その結果に基きますれば必要な措置は講じますけれども、まだ外務省としてはそういう点について通告を受けていないのであります。
  80. 藤田義光

    ○藤田委員 かねての外務大臣の御答弁とただいまの答弁、これは速記録によりましていずれはつきりとアメリカ当局に見てもらいたいと考えております。この機会農林大臣にお伺いしたいでありますが、今回黄変米の問題をめぐりまして何か商社研究機関をつくらせるとか、あるいは検定オンリーのための会社を設立するとか、こういう計画はございませんかどうですか、この機会にお伺いしておきます。
  81. 保利茂

    保利国務大臣 私はこの問題はかなり全世界にわたつておる国際取引の対象になつておると思います。それが今日私どもの聞いておりますこころでは、関係の国々においては今日までまだ黄変米の問題が問題となつていない。日本だけが研究が進んで問題になつておるというところに非常に大きな問題が横たわつておると思います。従いましてお話のように、ある機会にこの問題はやはり国際的に持ち出さなければならぬ性質のものであろうかと考えるわけでございますが、それにいたしましても、日本研究というものは十分完備させる必要があると私は考えております。今お話のような点につきまして商社がやるというわけには行かない、これはやるとすれば国でやらなければいかぬのじやないかと考えております。
  82. 藤田義光

    ○藤田委員 先般吉田委員からも質問がありましたが、食品衛生法に基きまして、厚生大臣は諮問機関として食品衛生調査会というものを持つておられる。この問題に関連して、近日中にこういう有力な調査会の開催ということを考えておられますかどうですか。  もう一点お伺いしたいのは、黄変米輸入した港は、資料によれば全国で二十六あります。そのうちで検疫官が駐在しているのは七港、駐在官総員がわずかに十四名、これはほかの機構を縮小しても即時充実の必要がある焦眉の大問題でありますが、機構的に何か考えておられますか。
  83. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御質問の第一点は、従来黄変米の取扱いについてはあまり諮問をいたしておらないのでありまするが、しかし事がまことに国民の保健上重大問題でございますから、今後は諮問いたしまして十分に意見を尊重したいと存じます。  第二の点は、これまたお示しの通りでございます。今後すみやかな配給あるいは処置等をいたしまするため、現在の十四名では不足と存じます。従いまして、これらを充実して検査の充実を期したいと考えております。
  84. 藤田義光

    ○藤田委員 時間がございませんから、最後農林大臣にお伺いしたいのであります。先ほど、どの委員かの質問がありましたが、日本政府外米輸出先、これの契約関係、それから商社との関係、これがどうもはつきりしないのであります。たとえばビルマ日本の間には政府間の契約が結ばれる、それから日本商社政府の間には代理行為が行われるのである。代理ということになりますと、これは民法の規定で当然効果が政府に直接及ぶ非常に強大な権限になりますが、あるいは民貿契約のサンプルを見ますると、売買契約というふうにもなつておる。先ほど食糧庁長官答弁によれば、請負契約という表現もあつたように承知いたしております。この三者の法律関係がはつきりなりませんと、われわれが決議あるいは結論を出す場合におきまして、なかなか微妙な問題をはらんでおりますので、この三者の法律関係を簡単に、商社政府はどういう契約をしておるか、今度商社と向うの政府はどういう契約をしておるか、政府同士はどういう契約をしておるか、この三者の関係をお示し願いたいと思います。
  85. 保利茂

    保利国務大臣 せつかくのお尋ねでございますけれども、私は契約当事者として一々関係をしておらないので、これは業務の直接の責任者として食糧庁長官が扱つておるわけでありますから、法律関係等につきましては、ひとつ長官からお聞き願いたいと思います。
  86. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、政府間の貿易の場合、民貿の場合、それぞれ形が違つております。政府間の貿易の場合におきましては、価格、品質等は政府間で協定するわけであります。その積地から日本までの輸送請負によつて商社契約いたしておりますし、民貿の場合におきましては、売買という形において通常の取引をしているわけであります。
  87. 柴田義男

    柴田委員 関連して……。私の時間をその分から引いていただいてけつこうでありますが、外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。  先ほどたまたまガリオア、イロアの問題について同僚藤田委員から御質問がありまして、外務大臣は、当然これは債務と心得て交渉の過程にあるというお答えでございましたが、われわれ当委員会におきましては、ほとんど一致的見解といたしまして、ガリオア、イロアは決してはつきりした債務ではない、しかも当時の外務大臣あるいは緒方副総理——われわれは吉田総理の出席を求めたのでありましたが、遺憾ながら総理は御出席ありませんでしたけれども、当委員会に出席の際には、精神的債務であると、これだけははつきりと伺つています。もちろん速記録等を取調べますとはつきりいたすと思いますが、そういうことで、われわれは当時から、これは日本政府の債務ではないと強く主張し、また当局も精神的債務だということを御答弁なつたのでございます。本日外務大臣の藤田委員に対する答弁を承りますと、全然それと異なつた過程において外交折衝を重ねておられるようでありますが、どういう変化をそれに来したのであるか、当時の御答弁と非常に食い違いがございまするが、この点承つておきたいと思います。
  88. 田中彰治

    田中委員長 柴田委員ちよつと申し上げますが、総理がこの問題で理事会に来まして、緒方副総理が答弁するが、緒方副総理の答弁には責任を負うというので、緒方副総理の答弁を聞いておりますから……。
  89. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ガリオア等を債務と心得ているということは、予算委員会その他におきまして、当時の池田大蔵大臣時代から書き物によつて答弁をいたしております。政府の方針はもうずつと前からその通りになつております。
  90. 柴田義男

    柴田委員 予算委員会でどういう発発言をなさいましたか、それはわれわれは関知せざるところでありますが、当委員会において御答弁の際には、はつきりと精神的債務、こう御答弁なつたはずであります。しかも当時ガリオア、イロアというのはアメリカの占領政策の一環としてやつたことでもあるし、ことに国民大衆からいいますると、あの代金はすでに政府に支払つておつた。それを政府が、国民大衆からとつた金は一般予算として使つてしまつた。そうしてまたもう一度これが債務となつた場合は、国民大衆が二重の支払いをしなければならぬという結果になるのであります。こういう観点からも当然これは外交折衝によつて支払いを拒否すべきであるとわれわれは思うのであります。これに対しまして重ねて外務大臣の御答弁を承りたいと思います。
  91. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは見解の相違になりますが、政府としては常に債務と心得ておりまして、これが決定は債権債務額がきまり、国会の承認を経て債務と確定するわけでありますが、それまでの間は債務と心得ておる、こういうことはずつと一貫した方針であります。
  92. 柴田義男

    柴田委員 承服はできませんが……。
  93. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長から聞きます。この前外務大臣決算委員会へおいでになつたときに、今柴田義男君の言う通り、国会の決議を経ない以上は債務と心得ておらない、精神的債務だからなるべく払わないように、なるべくこれを軽くするように、払つたとしてもうんと軽くするように、払わぬようになるべく努力したい、速記録をあとで調べますが、外務大臣からそういう御答弁がありました。
  94. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういうことを記憶しておりません
  95. 田中彰治

    田中委員長 それではあと速記録を見てから……。山田長司君。
  96. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいま藤田委員及び柴田委員から質問せられたものを、さらにつけ加えて質問することを恐縮に思いますが、ぜひ外務大臣に御答弁願います。なぜ私が重ねて伺うかといいますと、日本の占領政策が非常にうまく行つているということで、アメリカのマッカーサーに対しては国会で感謝決議までしておると思うのです。しかも特に食糧問題については、小麦粉とかあるいはそれに類する食糧をもらつて国民は当時非常に感謝したと思うのです。それが今両委員が言われましたように、ここでどういうところで返済限度五億ドルというようなことをきめて新聞発表をしているものか知らぬが、すでにアリソン駐日大使を通してそれが金額まで申し出ているということが言われているのですが、それがあなたはただ単にそんな漠然としたことで、もうすでに国民は感謝決議までしたものが、さらにこれから国民の大きな負担になつて、たとい二十年であろうと十五年であろうと、それが大きな負債となつて残るということについてはこれは承服できないことです。もう一ぺん私はあなたに御答弁願います。
  97. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは先ほど予算委員会と言いましたが、予算委員会のみならず、本会議でもしばしば質問がありまして、私もまた吉田総理も答弁をいたしております。それを思い出していただけばはつきりすることと思います。私の趣旨はなるほど感謝決議をしておるが、その当時かりに金を払うから貸してくれと言つたところで、あの食糧の非常に困窮の際に、ほかの国で金を貸してくれて、食糧日本で買い入れるだけの措置をしてくれたであろうか。要するに返す返さないは別として、あの当時窮迫せる事態を緩和することができたのは、これは少くとも対日援助のおかげと言うべきであつて、この点では返す返さないは別として感謝はいたすべきものであろう、しかしながら政府としてはこれは債務であると心得ておりまして、またその内容はきまつておりませんけれども、借りたものは返したいという気持で一貫しておることは事実であります。但し新聞等に出ておりますことは何ら政府が発表したことでもなし、従つてどもまだ決定はいたしておりません
  98. 山田長司

    ○山田(長)委員 政府だけが借りたと思つているので、実際は国民はもらつたものだと思つていると思うのです。なお私はやはり決算委員会で昨年質問しているのですが、緒方副総理は道徳的な債務である、あるいは精神的な債務であると言つて、別にそれが法律的の債務であるということを言つていないのです。それが今新たに法律的な債務であるということの発生する根拠がどこにあるか、私には理解できないのですが、どこに一体その根拠を置くのかもう一ぺんそれをお伺いいたします。
  99. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は法律的の債務だと言つておりません。債務であると心得えておる、こう言つておるのであつて、それは債務額がきまり、その額についての支払い方法等もきまり、それが国会の承認を得たときに法律的の債務になるわけであります。
  100. 山田長司

    ○山田(長)委員 一体日本にこのガリオア、イロアの問題は食糧ばかりでなしに、衣料などもつて来られたわけですが、港に着いてもあるいは飛行場に品物を持つて来られたものについても、日本政府当局はその物量がどこにあるのか、どれだけの量が来たのかということについての根拠が当時全然調べてなかつたわけです。ただサンフランシスコにおいてのみ送られた数量というものがわかつていたというような、実に漠然たる、これはアメリカだけの御都合のよい数量の取調べであつて日本政府にはその根拠がなかつたはずです。どこにその根拠が今になつて発見されたと言われるのか、もう一ぺん外務大臣に伺います。
  101. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これは通産省と関係官庁、当時は貿易庁もありましたが、その方面で正確な数字等を集計して研究中であります。もちろん納得すべき正確なる数字的資料ができてから決定いたす問題であつて、これが関係各省の研究を待つておるわけであります。
  102. 山田長司

    ○山田(長)委員 これらの問題についてはアメリカの指示に従つて日本から朝鮮に幾多の衣料品、食糧品、これらが朝鮮事変が勃発すると同時に送られたということについてのそれらの資料は、当時深川の農林省倉庫の中にあり、それがさらに九段の大橋図書館にリンゴ箱で六十箱も、薄紙の送り状が保存されておるということを伺い、さらにそれを見て来た人の話も伺つておるのですが、これらの債権については、外務当局は一体どういう態度で取上げようとするのか、このことについても一応伺つておきたいと思うのです。
  103. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 そういう種類の債権債務がありますれば、ガリオア等の話合いの中におきまして、これは当然差引かるべきものと考えておりますが、まだいずれにしてもそういう具体的のことは決定いたしておりません
  104. 田中彰治

    田中委員長 山田委員、ひとつなるべくほかの方を……。
  105. 山田長司

    ○山田(長)委員 この点については少しも私には了解できないのですが、このことで時間をつぶすことを避けます。  次に外務大臣に伺いたいのは、昭和二十四年以来黄変米輸入で外務当局もこれはずいぶん骨を折つていると思うのですが、今問題になつている黄変米は国損として約七十億の損害を与えようとしているわけですが、特に外務当局に願いたいことは、これから先も黄変米輸入ということが考えられないわけではなく、当然これから先も考えられると思うのですが、そこでお隣りの中国からなどはなぜ多くの米を——幾らか買つて来ているようですが、これを大口に切りかえて日本食糧に充てるということの考慮がなぜ払われないのか、中国の場合は日本の準内地米に匹敵するような米だといわれているのですが、これについては外務大臣はどういうふうにお考えですか。一応参考に伺つておきます。
  106. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはいい米であれば輸入することは一向私どもはさしつかえない。要するに問題は見返り品のいかんとか、決済方法とか、数量の点、こういう点について関係各省できめますれば、その範囲内においてはできるものと考えております。
  107. 山田長司

    ○山田(長)委員 次に厚生大臣に伺いますが、何か新聞を見ますと、あなたは黄変米を試食してひとつ国民に安心を与えるんだというようなことが出ておりますが、政府のやつていることは国民指揮権発動以来、特に信用しないと思うのです。そこでこんなことで国民に納得させて一応安心を与えて黄変米を食わせようというわけなのでしようが、もつと具体的にこのことについての安心の行く方法をあなたはお持ちにならないのかどうか参考に伺つておきます。
  108. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 いろいろ伝えられておりますが、実は当委員会でもそうであつたと存じまするし、ほかの委員会におきましてもこの変黄米の不安に対する除去の方法をいろいろな角度から考えて行かなければならない。私どもはその最も基本になるものは科学的根拠だと考えております。従いましてこの科学的根拠を従来もいたして参りましたが、それでも不安でありますので、これらの点につきましてもつと詳細な立場からの科学的根拠を見出して参りたいと存じます。決して黄変米を私どもが食べたことによつてこれの不安が一掃するとは考えておりません。もう少し科学的にあらゆる点から検討いたしまして、十分なデータを出して国民にお示し申したいと存じます。
  109. 山田長司

    ○山田(長)委員 次に農林大臣に伺います。実はこの黄変米の騒ぎが起つて以来、私は国民から何べんとなく投書をもらつておるわけです。それで黄変米だといつておりますが、普通の配給米であつて、この米を陸揚げするまでの間に海水をときどきぶつかけるんだ、それでこれを不良米にわざわざしてしまつて、中には粉米が非常に少いのに、くず米と称してこれを糧穀会社へ払い下げているのだ、払い下げている経路は菓子の工場にも、こうじ会社にも、みそ会社にも、しようゆ会社にもこの払い下げを願つて大株主が農林省に出入りしておつて、これを払い下げるのだ、こういう意図の投書なのですが、払い下げる経路について伺いたいと思うことは、さしを入れて袋の中から黄変米を一応出されるわけだと思うのですが、倉庫の中にたくさん積まれている袋の中からどんなふうに出されて、これを黄変米と認定して払下げを行つているのか、これがまず一点。  もう一つは、この間から私はたびたび伺つているのですが、どうしても理解のできないことは、日本糧穀会社のような会社があつて、その配給後にこの配給米のやみ流しをするわけですが、農林省としては今後払い下げたあとの事態をどんなふうに考えておられるのか、これを伺います。この二点で私の質問を終ります。
  110. 前谷重夫

    前谷説明員 サンプルの問題でございますが、黄変米決定するのは厚生省において菌培養の結果決定するわけでございます。その菌培養をいたしまする場合のサンプルのとり方でございますが、それは品質、品種、積み地及び取扱い商社別に一定のロットによりましてサンプルをとりまして、そのサンプルに基きまして厚生省が細菌培養の結果菌の有無を決定する、こういうことになるわけであります。  配給の問題につきましては、当委員会におきましても二十六年の処理につきましていろいろ御意見がございまして、われわれといたしましてはこの配給につきましては慎重を期しまして、一パーセントから一〇パーセントのもの、一〇パーセント以上ということで、厚生省とその用途を御協議いたしまして、その用途に従いまして直接実需者に対しまして売却をいたしておるわけであります。その実需者に対しましては県当局と連絡をとりまして、横流し等のないように監視をいたしております。
  111. 山田長司

    ○山田(長)委員 もう一度尋ねるのですが、今後払い下げたあとどういう監督をするか、これを聞いているのです。
  112. 前谷重夫

    前谷説明員 これは品質の点によりましてそれぞれ用途をきめるわけでございます。そして用途別の実需者に対しまして払い下げるわけでございまして、それにつきましては厚生当局はもちろん、府県——主として府県に対しまして、払下げの箇所とかを決定いたします場合に、それに対する十分なる監督をしていただく、こういう形をとつているわけでございます。
  113. 田中彰治

    田中委員長 杉村沖次郎君。
  114. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私はまず外務大臣に伺いたいのですが、先ほど外務大臣は、一パーセント以下についての交渉はかつてなされた、こういうことをおつしやられたのであります。本年の病変米は一パーセントどころじやないのですが、これにつきましてどういう外交交渉をなされたか、なされないか、その点をひとつ伺いたい。
  115. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 一パーセント以上のものが入つておりますれば、これは契約違反でありますから、その場合には正確なる調査をいたしました上で交渉をいたします。
  116. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 一パーセント以上の病変米が混入しておることは、昭和二十八年の八月二十九日に、厚生省から農林省に通達がある、しかもそれは、従来は黄色いものの毒素であつたけれども、白米に毒素が入つておるということの通達であります。さらに続いて九月の二十五日に通達があるのであります。この九月二十五日の通達では、三百粒中に十七粒の病変米が入つておることが厚生省から農林省に通達され、八月二十九日の通達ではそれが二百八十粒中に七十一粒となつておるのでありますが、外務省はそういうことを知らないのかどうか。
  117. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれの方はすべて専門家の指示によつて、その決定に基いていろいろな交渉をする。昨年の秋でありましたか、ビルマとの間では、一パーセントということで交渉をいたしております。その後変化があれば、また交渉をし直すよりいたし方がないと考えております。
  118. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 今の外相の答えは、私の質問がわからないのか。後を向いて話しておつたからわからない。質問をよく聞かなければいけない。そんないいかげんな答えを聞いているのじやない。昨年の八月二十九日に、厚生省から農林省あてに、従来は黄色いものばかりのことを言つておつたけれども、白米の中に毒素が入つておることが発見されたからといつて通達がある。その通達では、二百八十粒中に七十一粒入つておるという。さらに九月の二十五日に、別の袋を調べたところが今度は三百粒のうちに十七粒入つておる、こういう通達があるのでありまして、一パーセント以上であることは明らかであります。そういうことをあなたは知つておるのか知らないのか、こういうのです。あなたは先ほど一パーセントの範囲内において外交交渉をなされたと言うのでしよう。一パーセント以上の混入率であることを厚生省農林省に通達をしておるのだ。そうしたならば、そのことについて何らか処置をされたか、知つておるか知つておらないか、これを聞いておるのです。今のあなたの答弁は、私の聞いておることの答弁になつておらない。
  119. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれの交渉したときは昨年の十月でありましたか、これはイエロー・グレーンといういわゆる黄値い色の黄変米について交渉いたしました。それ以外のことはいたしておりません。またおつしやるようなことは、私は直接聞いておりません
  120. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 厚生大臣に伺いますが、厚生大臣は、この外交交渉に最も関係のある外務大臣に何ゆえそれを知らせなかつたか。厚生大臣にお答えが願いたい。
  121. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 従来、先ほどお話のありました黄色い米を一パーセントというのを目標にいたしております。ところがお示しのように、実験いたしますと、初めてそういうものが白いのにも出た。そこでそれについて注意を喚起し、さらに年末になりましていろいろこれを研究して、白い色の中にも黄変菌というものがあることを確認し、その後いろいろ実験をいたしました結果、今回の基準の改訂に相なつたのであります。
  122. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そんなことを聞いておるのではないのです。いま少し質問をよくお聞きなさい。外務省は一パーセントの混入率をもつて外交交渉をしておるのだ。ところがあなたの方から、昭和二十八年八月二十九日に農林省あてに、白米の中にも毒素が入つてつて、しかもその白米の毒素の混入率は、二百八十粒の中に七十一粒入つておるということを通知しておるのです。だからそのことを今外務大臣に聞いたら、外務大臣は知らぬと言うから、なぜあなたは外務省にそういうことを知らせなかつたのかというのだ。外国から米を買うのには外交交渉が必要でしよう。しかるに、従来一パーセントであつたのがこういうふうに混入率もかわつておれば、黄色いものではなく白米の中にもそういうものがあるとすれば、なぜそれを外務省に知らせなかつたか、どういうわけで知らせなかつたかということを聞いておるのです。とんでもない答弁は困りますよ。
  123. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 それはそういうのを発見いたしましたから、主管省の農林省の方に通知いたしました。これがいよいよ基準が確定いたしますと、もちろん関係省には連絡すべきではありますが、当時におきましては、主管省としての農林省の方に注意を喚起し通知をいたしたという順序に相なつております。
  124. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私の問いになぜ答えてくれぬのか。どういうわけで外務省に知らせなかつたかというのです。外務省は一パーセント以下の混入率について外交交渉をしたのでしよう。そうしたならば、それ以上の混入率があつた、従来の黄色いものないところの白米にまで毒素が入つておるということがわかつたならば、すみやかにこれを外務省に知らせて協力を求めなければならぬではないかというのです。それをなぜやらなかつたか。いろいろほかのことを答えてごまかしてはいけない。
  125. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 決してそうではございません。黄色いのを一パーセントにしておつたが、たまたま白いものの中にも発見したということを御通知をした、それで白いのをどのくらいのパーセンテージにするという研究までには至つておりません。従つて農林省の方へそういうことを通達いたしただけでございます。
  126. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 なぜ外務省に知らせなかつたかということを聞いておるのに、どうして答えないのか、あなたは外務省に知らせる必要はないと思うのか。外交交渉は外務大臣がやつておるのじやないか、その外務省が従来は外交交渉において一パーセント以下という混入率で交渉しておるけれども、このたび検査したところがこういうふうに黄色いのでない中にも毒素が入つておるし、しかも混入率も二百八十粒のうちに七十一粒というのは何パーセントになりますか、こういうふうに入つて来ております。これは大いに外交交渉で研究してもらいたいということを当然外務大臣の方へ通報するのがあなたの職務上の責任ではないか、それをなぜしなかつたか、する必要がないからしなかつたのかどうか。
  127. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 従来の基準におきましても、農林省厚生省だけでございます。従つてこれはただいま申し上げたようにそういう菌を発見したということを、向うの注意を喚起支、通知をいたしたので、外務省にはする必要がないと存じております。
  128. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 これはたいへんな認識不足です。外務省に通知する必要はないと言うけれども、これはとんでもない話だ。それではあなたは米の輸入について外交交渉ということは何ら関係ないと考えておるかどうか。
  129. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 外務省は基準に基いた向うの政府との外交交渉であります。従いまして、基準の確定というのは農林省厚生省との相談の上、覚書をもつて決定いたします。
  130. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 保利農林大臣に伺いますが、農林大臣は少くとも食糧の所管大臣として厚生大臣から通知を受けた、この昨年八月二十九日付の通報並びに九月二十五日付の通報に基いて、何らか外交交渉上における必要性を感じたか感じないか、また外務大臣に対してそのことを通報したかしないか、協議したかしないか、これを伺いたい。
  131. 保利茂

    保利国務大臣 厚生省から白いのにも入つておるから注意をしてくれという通報がお話の時期にあつたということは、怒られるかもしれませんけれども私はそれを最近聞いたのであります。しかし外交交渉々々々々と言われましても、黄色い米が問題になつて、そうして黄色い米が大体一パーセント以下であればさしつかえないという当局の御判断に従つて、一パーセント以上のものは入れちやいかぬということで外務当局に御折衝を願つて成功したわけですけれども、しかし白い方の米の問題については厚生省から、それはすべていかぬのだ、こういうふうに来ておれば別でありますけれども、一体主食として配給し得るかいなか、していいのか悪いのかということについては別段何も指示があるわけではない。従つて農林省としては、昨年十二月ごろから白い米も厚生省で実験をされておるわけで、その実験の結果どういう配給をしたらよろしいか、あるいは全部配給していけないのか、その点の配給基準を求めておる結果が今日になつておるわけなんです。従いまして、外務省にどうとか言われますけれども、それが一体入れていいものか悪いものかという判断がつかないうちは——いけないとなればそれはそれに基いて外交交渉をしてもらう、そこまで行つていないということなんです。
  132. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 農林大臣は、これはとんでもないことですね。それでは部下の指導をしておらないんだ、部下からはまつたくたな上げをされているんですか。「衛食第一〇九号昭和二十八年八月二十九日厚生省公衆衛生局環境衛生部食品衛生課長食糧庁検査課長殿」こういう次第で、昭和二十八年七月五日に輸入したものが四千百八十二袋毒素の入つておるものがある、しかも白米の中に毒素が入つていますと書いてある。それから七月十日の分が三百二十袋、(保利国務大臣「それは承知しております」と呼ぶ)それを知つておつたらなぜ知らぬと言う、白米の中に毒素が入つておるということを、あなたの方に通知が行つているではないか。昨年の八月ですから一年たつておる。そんなことだから国民に毒を食わせるような輸入をするのです。  そこで私は農林大臣並びに厚生大臣外務大臣に伺いますが、あなた方は吉田内閣の閣僚として連帯責任を感じておるのかおらないのか、また吉田内閣は自己の失政に対して責任を負うのか負わないのか、まずこの二点を明確に答えてもらいたい。
  133. 保利茂

    保利国務大臣 これは憲法、内閣法に規定してある通り、責任があることは申すまでもありません。いわんや私は農林省長官として、農林行政の全般につきまして私は全責任を政治的にも行政的にも負わなければならぬことは当然のことでございます。日々その責任を感じて業務をとつておるわけでございます。
  134. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 もちろん私どもも十分連帯的に責任を持ちますと同時に、厚生省所管につきましては私は全責任を持つておりますことは、先ほど農林大臣と同様であります。
  135. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 今両大臣が言われた通りであります。私は外務に関しては責任を負つております。
  136. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 当然にわかり切つておることでありますけれども、私がかようなことを何ゆえ質問したかといえば、先ほどから答えを聞いておれば、外務大臣はそれは厚生省である、それは食糧庁である、こういうようなことを言つて、他人の方に責任を転嫁してろくに答えもしない、何のために閣議を開くのですか。外国米の輸入などということにつきましては、少くともこれは一蓮托生でありましよう。そこで保利農林大臣を初めあるいは草葉厚生大臣も、外務大臣も、この食糧輸入について、少くとも食糧政策上におけるところの失政であるということを考えておるかどうか、つまり行政措置において、こういう輸入行政について誤りがあつたかなかつたか、誤りであると思うかどうか、失政であるかどうかということを伺いたい。
  137. 保利茂

    保利国務大臣 私ども食糧の直接当局者としては、先ほども申し上げましたように、国民の生活をいかにして守るかということに全力をあげて参つております。しかしながら、そのやつて、参りましたあとにつきまして責任があるかないか、これはもう大方の御判断におまかせするほかはないと私は思つております。
  138. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 いろいろ黄変米関係外米関係において問題がありますが、私どもは忠実に国民の健康を守る立場からいたしておりますから、失政とは考えておりません
  139. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 食生活の改善をして、米の輸入ということが必要がなくなれば別でありますが、厖大なる食糧輸入するとしますれば、どうしてもこれはタイビルマ等からも輸入しなければならぬわけです。その際においては今までの知れる範囲におきましては、人体に害のない程度という特別の一パーセントという基準を設けたわけであります。また今後新しい調査によりまして、さらに基準がかわればその基準に基いて検討交渉するわけであつて、米の輸入が必要である以上は、人体に害がない、配給にさしつかえがない程度のものを輸入するのは当然でありますが、その範囲においては従来から政府はまじめに努力して来たと考えておりますから、失政とま考えておりません
  140. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 三大臣ともこの黄変米事件、病変米事件を失政と思わないというに至つては、これは言語道断だ。まず保利農林大臣からいうなれば、保利農林大臣は、農林省は昨年の八月二十九日に厚生省から白米の中に毒素が入つておるという通知並びに二百八十粒のうち七十一粒ある、こういう通知を受けておるではないか。それをこのごろになつてあなたは知つたというが、日本人は米は主食でありますよ酒やタバコのように嗜好品とは違う。主食なのだ。その主食に毒が入つておることを——昨年の八月に二百八十粒のうちに七十一粒も毒が入つておるということを通知を受けておるにもかかわらず、それに対処する処置をなさずして、かくのごとく十一万四千トンという厖大なる毒米を輸入したということについて責任がないということは言語道断だ。また厚生大臣は昨年の八月二十九日に白米の中に毒素が入つておるということがはつきりして農林省まで通達を出しておる以上は、今までは黄色いので一パーセント以下のわくであつたけれども、将来これではどうも相ならぬ。国民の保健上たいへんなことであるからといつて、善処すべき道をとつておらないじやないか、それで責任がないと言えるか。  また外務大臣は、この問題について、昨年来この黄変米についてどれだけの騒動を起しておるのか、これがわからないはずはないのだ。しかもこのような、いわゆる白米の中にも毒素が入つおることについて、おのおの責任がないというけれども、これはなるほど吉田自由党内閣の閣僚として、そういうことを言うことをあるいは吉田首相から教わつておるかもしれませんが、こういうことでは国民としては決して吉田内閣というものを信じようはずがない。これはとんでもないことでありましよう。  さらに私は外務大臣に重ねて伺いますか、この間の第一物産の松井捨次郎という参考人のお答えの中に、日本官憲が外米の検査をすることは向うで好まないということを答えられたのであるが、そういうことについて何か聞いておるかおらないか。
  141. 保利茂

    保利国務大臣 昨年の夏から秋にかけて入りましたコロンビア米の実験の結果、黄変菌がある、従つて今後は白い米といえどもゆだんはならぬ、こういう通報を受け、そこで私どもとしては、白い米に黄変菌がついておる、それが現地において簡単に見わけがついて、今日行われている国際取引の中で避けられ得るものであれば、これはもう問題はないわけと思います。全力をあげてそれを避ける方法をとる。同時にもう一つの見方は、この間楠本部長も言つておりまするように、これは今後の研究にもなるのでしようが、全然毒素のない食べ物というものは——たとえばばれいしよのごとく、中には黄変菌以上の毒素がある。しかし一体それのどこまでが無害であるか有害であるかということがわからなければ、毒がまじつておるから全部有害だと判断することは私どもにはできやしません。そこで国の研究機関を持つておられる厚生省が、どういうところが国民の保健衛生上有害であるか、あるいは無害であるかという研究判断の結果を得られて、その上に立つて国民の保健衛生から見て、また食糧確保の上に手を尽して行くべきものであろう。その基準は最近になつて出されておるという状態でございますから、御趣意はよくわかりますけれども、私どもとしても注意をいたすだけいたし、また国の研究機関の新しい基準を乗り越えれば——あえてあなたの言われるように国民に毒を食べさせるというようなお叱りを受けることはもうやむを得ないわけなのですけれども、私どもはさような考えは毛頭持たないのですから、その点は繰返し申し上げておりますけれども、特に誤解のないように御了承願いたいと思います。
  142. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 私からもこの点お答え申し上げます。お示しの通り、ただいまお話のように去年発見いたしました。それから今度は白い米にも大きな危険を感じましたから、ずつと検査を始めて参つたのであります。始めました結果昨年の年末に至りまして、これは白い米にもいわゆる黄変菌がある、このままではいけないからというので、動物実験等をいたしまして、その結果今回の基準の改訂ということにいたしたのでございます。そういう関係でございますから、発見以来そのパーセント、あるいはどの程度までが健康上恕限度といたすべきかというので、今まであらゆる点から鋭意検討いたして、今回の基準の改訂と相なつた次第でありますから、この点どうぞ御了承をいただきたいと思います
  143. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私は今言われたことは聞きませんから、どういうふうに言われたか承知いたしませんが、常識的に言えばビルマにしてもタイにしても自分のところで売る米を外国で一々検査するということはあるいは好まないかもしれません。しかしながら日本の国内における黄変米の事情等もよく説明しましたので、この点についての検査を困るということは、先方では言つたことはないのでありまして、検査は続けておる、またその間に摩擦があるということを聞いておりません
  144. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 今厚生大臣は昨年の暮れ白米の中にも毒素があるということを知つたと言われた。あなたは何を言つておられるのか、これはあなたの方の部下が出したのだということを知つておられますか、八月二十九日の通達です、厚生大臣これを見てください。そんないいかげんなことで済みますか。
  145. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 それは先ほど申し上げました通り、またただいまもお答え申し上げました通りに、ただいまお読みになりましたその通りのことを発見をいたしましたから、その後白色米についても検査をする方法をとつて参つたのでございます。そのとつて参りました結果、昨年の年末に至りまして白色米にもいわゆる黄変菌があるのを確認いたしました。最初に発見いたしましたのはお示しの通りであります。従つてその後検討をいたし、研究をいたして、動物実験等をいたしてこれを検査しなければならないという態度を確定いたしたので、しからばこれはどのくらいの限度にいたすべきや、その恕限度をどうすべきかというので、今まで研究をいたして参つたのであります。先ほどお話もありましたが、たとえば同じ水なら水の中にも、いわゆる水道なら水道の中もいろいろな菌があります。しかしそれの全部菌のなくなつたのはかえつて蒸溜水で体には悪いのであります。これは私が申し上げるまでもないのであります。その限度をどの程度に置くかというので検討いたして参つて、今回の基準というのを示したのでございます。
  146. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 外務大臣最後に一つ伺いますが、今日の国際情勢は実にきのうの敵がきようの味方、きようの味方があすの敵と、こういうようなことになる。われわれ思い返すなれば、たれも言わぬでも胸のうちはどんなであつたでありましよう。アメリカはあたかも日本を援助するがごとくこのごろでは言つておりますけれども、以前はソビエトと共同して日本をいじめほうだいいじめて、日本の手足をもいでしまうようなことをアメリカが先頭に立つてやつた。そうして今度は原子爆弾、水素爆弾の研究日本に近いところの海の中でやつて——日本人はむろん栄養を保つには海産物によらなければならぬ、ことに日本のまぐろのごときは外国に対しても多量の輸出をし、日本国民もまたこれを好むのである、これを食えないようなこういう研究をしてアメリカは平気である。外国米というものは明治の初め、われわれの子供の時分から入つておつたのです、ところがこういうような毒が入つておるということはわれわれはいまだかつて聞かなかつた。そうするとこれはわれわれ容易ならないことであつて、アメリカが毒を食わせるという考えでやつたのじやあるまいけれども、加州米の中にこういう毒素が入つておるということになると、これはどういう策略が行われておらないとも限らない。そういうことについて外務大臣は少し考えたことがあるかどうか、これは非常に危険千万の話であります。それから保利農林大臣はジャガタラの中にも毒素がある、あるいはタバコの中にもニコチンがあるとかいうことを言いますけれども、これは主食であります、嗜好品ではないのです。毎日食うものです。そこで毒を食わせる考えで輸入したのじないと言うけれども、結論はすべてそうなるのです。結局厚生大臣は二・五パーセントであれば大丈夫だから配給するとか、農林大臣厚生省のそれに基いて配給するとか、こういうことを言つておりますけれども、今日のこの社会状態はどうです。こんな毒素が入らなくとも、金持なんかは外国米を食いはしない、あなた方はおそらく食わないでしよう。そうすれば、これがかりに一パーセントであつても、この外米払い下げられたならば、その払い下げられた米を食うのは一体だれです、みな貧乏人が食わなければならぬ。貧乏人が、一箇月に十五日分しか配給されないということから、その不足を補うためにはみなこの外米を買つて食うのです。そうすると貧乏人がみなこの毒米を食わせられるのだ。かつて池田君が貧乏人は麦を食えということを言つたけれども、今日では自由党は、貧乏人は毒米を食えと言わんばかりではありませんか。あなた方が、二・五パーセントならばいいとかあるいは三パーセントならばいいとか言うのは机の上の話です。社会の実情はどうですか。ここに思いが及ばないで、あなた方がただ机上の空論などでやつておつたのでは、これは解決しないのです。これに対して三大臣の所見はいかがです。それを伺つて私の質問を終ります。
  147. 保利茂

    保利國務大臣 私は昨年の凶作に際会して、いかにして国民食糧を確保して行くかということに、最善の工夫を払つたつもりでおります。私生活にわたつて御意見もございましたけれども、私は主食に関する限り、配給以外はいただいておりません。従いまして同様にいただいております。  それからじやがいもがどうだとかあるいはタバコがどうだとか、私はそれを言つているわけではありません。私が申しておりますのは、なるほど白い外国米にも黄変菌があると言われるならば、それは黄変菌がついている限りは絶対人体に有毒なりやいなや、その成果を早く出していただきたい。もしそれがたとい〇・一パーセントでも有毒であると言うならば、私は今日の実際問題として国民のために外国米を輸入することはできないと思います。その限界が一体どこにあるか。しかしそれは農林当局判断できません、国の研究判断の機関があるわけでございますから、その研究判断の成果によつて国民の保健を保ち、同時に食糧を確保して参るということに、最善努力払つて来ておるわけでございます。
  148. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 黄変米並びに白色の米についております黄変菌、これはともどもに主食の問題でございまして、お示しの通りまことに重要な問題であります。従いましてこれが限度をどこに置くかということが最も大事な点でございますから、これらの点につきましては、従来とも十分検討をいたして参りましたが、国民の納得するような方法をさらに研究をいたして参りたいと存じます。従いまして主食の問題でございますから、最も慎重に、しかもいろいろな実験等をいたしまして、これを取扱つて参りたいと存じます。
  149. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 先ほども申した通り、米を輸入しなくてもよろしいということになればこれは別問題であります。しかしながら急に食生活の改善ができないとすれば、これはどうしても相当量は輸入しなければならぬわけであります。そのときに、今の黄変米のないものをどの程度に輸入できるかということが、今後の問題になるわけであります。御指摘のような加州米のごときは分量が少いのですから、これはもうどつちにころんだつて大したことはない。しかしビルマとかタイとかいうところの米は非常に多量でありますから、こういう米を輸入するということになりますれば、この問題は非常に研究しなければならぬわけであります。
  150. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 ただ一点だけ……。アメリカの加州米の問題は、私はもつと大きな問題だと思うのです。あなたは量が少いから大した問題じやないと言うけれども、アメリカの米ですよ。アメリカ米の中に人間が食えば毒になるものが来ておるのです。これは重大問題です。答えていただかなくてもけつこうですが、私は不見識もはなはだしいと思う。アメリカは日本に対して今日毒米を食わせるなんということは重大問題であります。
  151. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ちよつとお断りしておきます。あなたは私の言うことを逆にとつておられる。私は、加州米なんかは分量が少いからこれを切つても何でもない、大したことはないと言つておる。しかしながらビルマタイの米を切るということは、日本人の食生活を改善しない限りはむずかしい問題があると言つておるのです。それをあなたは逆にとつておられる。
  152. 田中彰治

    田中委員長 片島君。
  153. 片島港

    ○片島委員 私は、もう時間がありませんし、最後ですから一つ一つだめを押して、二、三お尋ねしたいと思います。  いろいろと基準の問題が問題になり、さらにまた白色のものにも病変菌があるということが明確になりました以上これは非常に重大な問題であります。これから学者のいろいろな研究を仰ぐということも言つておられますけども、実際現在すでに数万トンの滞貨もあるようでございます。また今後も輸入されるという場合に、白色のものにも病変菌が混入されておるということが明確になつた以上は、家庭に配給せられる米を一つ一つあなたたちは検査をして、これは大文夫だという認定を下されることが実行上可能であるかどうか、その点を草葉大臣から承りたい。
  154. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 お話のように、これは実行不可能だと思います。従つて輸入します場合、輸入港においてこれを検査するということが根本になると思いますが、今とつておりまする態度はそういう点でございます。これを廃棄すべきか廃棄せぬでもいいか、その混入率はどうかということを輸入港において検査をする、こういうことをただいまはいたしております。
  155. 片島港

    ○片島委員 いや、問題は黄色い色をしたもの必ずしも毒でないものもあるのじやないかということです。白いものにも有毒のものがあるということが明確になつたわけです。その場合に、白い外米にも有毒なものがあるということになれば、国民はみんな心配をするわけなんです。それで基準をつくつても実際に検査の実行が不可能であると厚生大臣がおつしやるならば、国民の不安は解消いたさぬのであります。あなたたちはただ機械的に学問的に、これだけ混入のものは大丈夫だと言つても、この米は検査してあるかしていないか国民がわからないということになれば、自分の家に配給せられるものの病変菌の混入度というものがわからないということになれば、また実行できぬということになれば、安心が行かぬと思うのですが、安心させようとすればどうするのですか。
  156. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これはお話のように、白い米はいわゆる黄変菌がありましても全部動物実験の結果を見ないとわかりません。そこでこれらを動物実験をいたしまして、この米は配給してもさしつかえないというものだけを農林省と協議をしてお示しをする。これはいけないということになると他の用途に用いる。従つて市販に供しまする場合にはこれは安心して可なるものが市販に供せられ、倉庫から出荷される、こういう段取りになつております。
  157. 片島港

    ○片島委員 そうすると配給にまわされる米は全部動物実験をした米だけということになるのでありますか。実際上それは不可能じやありませんか。
  158. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 この検査の問題は従来ともいろいろ問題なつおりまして、事務上の点は局長からお答えいたしますが、どこの国の米がいつどの船によつて来て、それを統計学的にこういうような検査をすれば全体の検査ができるという最小限度の方法によつての検査を今後全部に対していたしたい。従つてその検査の十全を期したいと申し上げたのがさきの態度であります。その実際の検査につきましては局長、部長からお答えいたします。
  159. 片島港

    ○片島委員 局長、部長はいつでもお尋ねできます。私はやはりこういう政治的な問題は大臣からお伺いする方がよろしいと存じます。  それでは次にお尋ねいたしますが、加州米は全然毒性がないと言うて四千七百余トン入れたもののうち三千四百余トンが都内の下町あたりに配給になつておる。現実にしろうとがそれを発見して、ねずみが死んだということは先ほど同僚議員の言われた通りである。加州米について一パーセント以下の検査をやつておられるかどうかということが一つ。  次にただいま申し上げましたように、白い米にも毒性があるということになれば、今までイエロー・グレーンだけで一パーセント以下という検査をやつておつたものは無意味になるわけであります。でありまするから一パーセント以下という原産地における買付の場合の基準というものは当然かえられるべき性質のものでありますが、輸入の場合に一パーセント以下というのをさらに再検討して、これを変更するというお考えでありますかどうか。
  160. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 第一の点だけは私からお答えを申し上げたいと思います。第一点の現実のねずみが死んだという問題につきましては、実は私どもの方でも調査をいたしております。これも従来の立場から一パーセント以下の配給の品物であるはずでございます。ただいろいろ巷間にはさようなこともございまするが、これはおそらくいろいろ検討いたしましても、今後研究の結果でないとにわかにはお答えできませんが、しかしその米を食べてただちにねずみが死ぬという場合におきましては、毒性がそこに集中しておる。いわゆる現在でも集中した純毒性のものだけがさような現象を来すことがございまするが、普通の立場からはかようなことはちよつと考えられないのじやないかと思います。
  161. 片島港

    ○片島委員 加州米についてもビルマタイあたりと同じように現地において一パーセント以下という検査法をやつておられますかどうかということを最初にお尋ねしたわけです。
  162. 前谷重夫

    前谷説明員 お答え申し上げます。政府間の取引におきましては先ほど申し上げましたタイビルマでございますが、輸入の場合におきまするイエロー・グレーン一パーセントというのは買入れの場合に条件としてやつております。
  163. 片島港

    ○片島委員 この問題は国際的な問題であります。向うで買付の場合に今一パーセントまではよろしいというので、外務大臣もそういう線に浴つて交渉をせられておるわけでありますが、こういう基準は役に立たないようになつたのであります。白いものにも病源菌があるということになれば、黄色いものだけの一パーセントという基準は役に立たないようになつたのであるから、買付の場合にはこういう基準はとれない。基準をあらためて再検討する、これを大臣の方から言つていただかなければ困る。部長さんや課長さんがまたそういうのをつくられても、大臣がそれをやる腹がないとできないんです。
  164. 保利茂

    保利国務大臣 つまりこれは申し上げるまでもございませんが、なるほど一パーセント以下という取引の黄色いものについては、これは大体その通りに実行されていると見ていただいてさしつかえないだろうと思います。この間相当関係者の努力が払われているということも、私は十分認めざるを得ないところであります。しからば今度の白い米をかりに一パーセントでもあるいは〇・五パーセントでもあるいは二パーセントでももうけたとして、それに対してどういうふうに実際運用するか、そこが非常に問題になつて来るのじやないかと思います。とにかく白い米に菌がついておる。それはいかぬ。こう言つて、それじやそれを取引する場合にどこで見るか。現在はいわゆる厚生省の培養実験課というようなところで、百日も百五十日もやつてやつと探し出して来るというような検査方法で、これは実際取引になつて成立するであろうが、しかしこのまま放置しておくことが許されるかどうかという点に非常に問題があるわけでございます。問題は、ただいま私が思つておりますのは、厚生省から示されている基準によつて消費者の方々が御納得行くものであるならば、実際問題としては処理し得るのではないかと考えますけれども、しかしこれは食べものですから押しつけるわけには行かないので、押しつけてまでも配給しようという考えはございません。しかしどつちにしてもまだそこのところが不安だから、とにかく当分白くても外米は食べぬ、こういうことであれば、外米はいらぬということであるから、ほかの処置をとつて食糧を確保して行くよりほかないと思つております。とにかく相当研究、実験を経て、そうして国民の保健をつかさどつておられる厚生当局において、これであれば心配ないということで結論を出されている。今後も研究は積まれるでしようけれども、それにはやはり消費者大衆も不安なく、御納得いただけるようにあつてもらいたい。そうすることが結局外米を入れるとか何とか言いますけれども、これは外交のためでも何でもない。国民食糧をどうして保つかということに目的があるわけでございますから、その点は消費者の方も冷静に、厚生当局研究判断を見ていただくことが私としては心から希望をいたしておるところであります。
  165. 片島港

    ○片島委員 それでは今買付の場合の基準となつておる一パーセントまでというこの基準は無意味にはなつたけれども、ほかに方法がないからこれを再検討はしないで、今後もやはり基準によつて買付の場合にはやる、こういうふうなお考えでございますか。
  166. 保利茂

    保利国務大臣 いや今のところ具体的に名案は持ちませんけれども、黄色い米を除くような処置が容易にとり得るかどうかということについては、十分検討いたしたいと考えております。
  167. 片島港

    ○片島委員 私は厚生大臣に結論としてこの際はつきりと示しておいていただかなければならぬのは、今各地において配給拒否、配給辞退の状態が起きておるわけであります。この前農林大臣は、それを拒否したからといつておかわりのものを配給するわけには行かぬというお話でありましたが、前谷長官からのお話を聞きますと、実は現在何とかして差繰りをして穴埋めはやつておるというお話でございます。そうするとだんだん滞貨が多くなると、困つて来るのは当然でございますから、厚生大臣も非常に頭を悩ませておられるわけですけれども、当分はほかの方法でこれが穴埋めはできるということになれば、現在あなたたちがおきめになつた二・五とか一・五とか一・〇という基準は再検討する、こういうふうなお考えでおられるならば、国民もまた安心すると思うのであります。先ほどからのお答えはそういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  168. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 これは先月の下旬に、領事館の覚書によりまして一応基準をきめまして、だんだん先ほどから申し上げておる通りの順序を経まして、結局結論がそこになつたのが先月末の基準でございます。しかしこの基準の発表にあたりまして各層において相当不安がある。従つてこの不安を除去する方法をとつて行く。真にその不安通りであるか、またさらにこれが不都合かどうかという点を先ほど申し上げたようなことで検討を続けて参りたいと思います。幸い農林省も当分は手持ちによつてこれらの米に手をつけぬでもいいという状態でありますから、これは私どもの方でも学者なり研究所で急いでこれらの検討に当らせたいと存じております。その結果あるいはこれでいいということが出ます。あるいはこれを変更しなければならぬという情勢がありますならば、これを変更することにやぶさかではないと存じております。
  169. 片島港

    ○片島委員 最後農林大臣にお伺いしたいのでありますが、中国から米が輸入せられておるということを聞いておるわけであります。しかも第一次分は入つた。それから第二次にどういう計画でおられますか。中共から入つている米は非常に優秀だということを聞いておるのでありますが、その石数、それから値段、そういう点をお聞かせ願いたい。
  170. 保利茂

    保利国務大臣 中共と言いましても中支、何支方面は、昔の南京米といいますか、あの品種系統がある。それは先ほどちよつと出ましたセイロンの好意による輸入切りかえで二万数千トン入つております。それはやはり南方米と同じで、黄変菌も発見されている。おそらく片島さんの言われるのは北支米のことでありましよう。北支米は事変中に日本の技術者が日本の内地の品種をあそこへ移植した。それがおそらく今日も続いて栽培されているのだと思う。三品種ぐらい入つておるそうでありますから、おそらく今混合しているのじやないかと思う。これはまつたく純内地米として品質も非常にいい。それが約五千トンあまり第一次の取引が行われており、すでに食膳に供してあるわけであります。しかしその中国の特に北支の米の状況は私どもの方には的確にわかりません。一体どれだけの輸出余力があるのか、ないのか、いろいろ説はありますけれども、二万トンくらいまだ何か話があるのじやないか。それには硫安とバーターするというような話が出ております。私どもはその情報の正確なところをつかむことに努力いたしておりますけれども、まだ的確な話はないわけであります。いずれにいたしましても、あるいは非常に大きいかもしれませんけれども、大体今問題になり得るのは多くて二、三万トンじやないか。もしこれが有利に輸入せられ得るということであれば私どもとしては喜んで輸入努力払いたいと考えております。
  171. 片島港

    ○片島委員 そこで私は大臣にお願いし、また言明を得ておきたいことは、私も二万トンないし三万トンの余裕があるということを向うから帰つた同志諸君から聞いておるわけであります。ところがバーターで肥料の硫安をあそこに輸出する場合に、台湾政府との間に外交上非常に微妙な点があつて、もし中国の方にそういうものをどしどし輸出するということになれば、台湾の方じや買わぬといつたおどかしをやつたといううわささえ私は聞いておるわけでありますが、そういうことは絶対ないものかどうか。そうしてそういうものがないとすれば、そういう優秀なる米で、しかも値段も非常に安いと私は承つておるのでありますが、毒米でないそういう米の輸入努力を今後続けられるかかどう、その点を最後にお聞きしたい。
  172. 保利茂

    保利国務大臣 米とのバターに使われます硫安でございますが、御承知のように、硫安需給安定法という法律ができ、この八月から実施をしておるわけであります。それによりますと、とにかく百八十七、八万トンの内需を優先的に確保しなければならぬ。そしてそれの一割に相当する内需調整用の十七、八万トンの硫安を国内に確保しなければならぬ。そうしまして今日の硫安の生産供給力の差額がどのくらいあるかと言いますと、四十七、八万トンしかない。その四十七、八万トンが結局輸出にむけられるわけで、いろいろ今日までに商談の成立しておるものもあります。台湾のごとき最も大きい部分を占めておるわけであります。その台湾からはやはり八万トン以上の台湾米を輸入しておるわけであります。台湾の方をやめて、中共の方から買えるから中共の方へその硫安を持つてつて、中共から買つて来ればいいじやないかというと、そう簡単には行かない。そして硫安とのバーターの関係につきましては、とにかく硫安というものは何を申しましても国内優先でございますから、その余りをどれだけ輸出して行くか。そうしてその貿易をどういうふうに推進して行くかということになるわけです。私どもとしては中共米を入れないように、その硫安の輸出方針を立てて行こうという考えは毛頭ないわけでありまして、できれば何とか一万トンでも二万トンでも、中共とのバーターができれば仕合せだ、そういう方向へ努力をして行きたいと思つております。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事進行についてお諮りいたします。過日黄変米の処理について、日本の現在及び将来の法秩序維持のこめに、法務大臣に対し各般の質問がありました。その中で吉田首相の暴言に関連いたしまして、今後適当な機会に検事総長を呼ぶということになつておつたと思います。そこでいろいろ考えてみたのでありますが、検事総長の仕事及び検事の仕事は刑事訴訟法の捜査でありますので、捜査は密行ということが原則になつておりますから、単純な参考人としての供述では十分なことが言えぬのじやないかと思いますので、やはり衆議院規則五十三条によりまして、証人として検事総長並びに東京地検の馬場検事正を当委員会に喚問いたしまして、その間に関する流言飛語であつたのか、それとも真実な事実があつたのか、これはいわゆる吉田暴言が法秩序破壊、社会秩序否定、司法機関の否定、刑事訴訟法否定、こういつたような思想もあるというような評論すら出ておる際でありますので、やはり今後におきましても、相当重視すべき観点ですから、証人として御喚問を願うようなおとりはからいをひとつ適当に御配慮願いたいと思います。
  174. 安井大吉

    ○安井委員 ただいま吉田さんのお話はかつて話題となり議題となつて、わが理事会にかかつたことである。従つてこの取扱いは、委員長理事会にかけてやるのが従来の慣例であり、また適当な措置であると思います。そいうふうに委員会は取り扱われるようにお願いいたします。
  175. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は理事会に諮る必要はないと思う。こういう問題はよろしくこの委員会決定すべきだと思うのです。ことに今吉田君が言われた検事総長と馬場検事正、こういうことですが、私は当の主任検事であつた河合検事並びに井本刑事局長、この四名を証人として呼び出す必要があると思うのでありまして、理事会を開かなくてもここでやつた方が私はいいと思うのです。はつきりきめてもらいたい。
  176. 藤田義光

    ○藤田委員 議事進行に関しましてただいま自由党と社会党から両論出ております。委員会できめるかあるいは理事会でやるかということを、午前中の委員会が済みましたら午後も委員会は続行されることでありますから、理事は……。
  177. 田中彰治

    田中委員長 それでは午後から理事会を開きますから、理事会においてその決定を行うようにいたします。
  178. 柴田義男

    柴田委員 黄変米問題についてお伺いいたしたいと思います。大分この問題はいろいろな角度から各大臣の御所見を承つたのでありますが、本日も同僚各委員からの質問に対しまして、たとえば外務大臣は外交上の問題の一小部分だけは外務大臣責任において処理をされておられる。農林大臣日本食糧問題の立場からこの問題をお考えになつておられる。厚生大臣は食品衛生の立場から責任をもつてこの問題をお考えになつおる。そもそも日本食糧問題を考えますと、足りないこその後に至つて白色の米の中からも黄変粒が発見された。しかもイスランデイア黄変米であるとかタイ黄変米といつて毒素の非常な高度のものが発見されておるのだ、こういう現実と各大臣のお答えを承りますと、足りないから輸入にまつ以外にはないのだ、しかも検査が厳重になつたのだから黄変粒というものが新たな角度から発見されるということはやむを得ないことではないか。国民も騒ぐことはけしからぬ。われわれは二・五パーセントまで許容率だとして発表しておるのだからこれを黙つて食べれば何ら心配がないのだ、こういうように一切をあげて国民大衆にその責任を転嫁するようなお答え以外に何ものもわれわれは本日まで承ることは残念ながらなかつた。しかし少くも政治というものはそういうものじやないと私は考えておるのであります。なるほど今までの研究の結果では黄色されたものの一パーセントは問題になつたけれども、いわゆる検査あるいは衛生食品の立場から白色のものの中にも黄変粒があるということが現実にわかりました場合には、ただちにこういう米を入れぬ方途を講じなければならぬのが政治である。外務大臣の、日本が米が足りないのだからあるところの米であつたならば、売るといつて来るものがある場合にはどこの米でも、どういうものでも、ともかくお取次をすればいいのだという無責任なことについては、どうしても黙つてお聞きするわけには参りません。少くも政治というものは、やはり国民大衆の食生活をほんとうに守る政治でなければならないし、餓死するものは一人もできないような政治でなければほんとうの政治であるとは言えないと私どもは考えるのであります。そういう立場からたとえばフイリピンで一九五二年のビルマ米を買つてもてあましておつたものを日本に持つて来たのだが、それでも何らそれに検討を加えずして外務省農林省にこの旨を通じてそれを買わしめた。農林省食糧の状況あるいは品質の状況を見ることは農林省責任であるのだから、おれの方でどんなものを紹介したつて責任は何らないのだということは断じて許されない。また国民も承知しないと私は存ずるのであります。  また草葉厚生大臣に承りたいことは、この問題とは直接関係ございませんが、十九国会において現在の諸物価の状況から、現在の国民保険医はまつたく困つておるのだ。一点単価価格というものは、いわゆる終戦前あるいは昭和十一年、十二年当時の諸物価の状況から考えれば安くて困る、食えないと言つて叫んでおるのだ。だから何とかして一点単価を上げてやらなければならぬということを大蔵委員会でしばしばわれわれは要求いたしました。その場合に草葉厚生大臣は、日本の財政の状況がどうにもしようがない。日本の財政はみんな知つておる。だけれども実際諸物価の指数から割出して合わない、いわゆる一点単価を強要しておりますると、全国の国民保険医はあげて診療を拒否するような場合が、面前に来ておるということをわれわれは主張しておりました。現にもう三箇月か四箇月ならずして、保険医が厚生省に対して居すわりをやつたり、あるいは患者の診療を拒否しておる現実の姿が現われておるではないか。これを何と考えられるか。二・五パーセントまでは大丈夫だと厚生大臣が言つても世の中の人々はもちろん承知しませんし、また多くの学者の諸君は非常にこれに対して反対を表明しております。こういうような場合に、政治ということを考えないで、単に足りない食糧だからやむを得ないといつて配給するという考え方は、根本的に間違つておりませんか、重ねて私は伺いたい。  それから具体的な問題といたしましては、たとえばフイリピンの二万トンの契約に対しまして六千六百トン入つたとわれわれは外部か聞いております。この六千六百トンという数字は間違いないのか、もう一つは六千六百トンの中に黄変米が三パーセント以上あつた、またそのほかに砕米が三〇パーセントから四〇パーセントあると聞いておりますが、こういう状態は違わないのかどうか、これを農林大臣にお尋ねをしたいと思います。
  179. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 私に対する御質問にお答えしますが、一体外務省には米の良否を検査するような専門家もいなければ、そういう機構はないのであります。われわれのすることは、今、昨年の不作で国内の食糧が不足しておるから、世界のあらゆる方面から米を売りたいというところがあればこれを農林省に紹介して、農林省なりあるいは厚生省でもつて適当な検査をして、買う買わないはこつちのかつてなんであります。価格の点、品質の点、用途の点、その他を調べて適当なものは買う。不適当なものは買わない。外務省には検査の機構もなければ、専門家もいないのですから、かつてにこれがいいとか悪いとかいうことをきめるべきものではないと私は確信しております。
  180. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御引例になりました保険医の一点単価の問題ですが、これは実は臨時保険医療審議会に付託いたしまして、その結果をまちまして措置をいたしたいと思います。その次の問題は先ほどお答え申し上げました通りに、現在の基準をきめておりますが、さらに不安がありまするので、これらについては十分さらに検討を続けて参りたいと思つております。
  181. 保利茂

    保利国務大臣 私の考え方は、先ほどから繰返して申し上げておりますように、いかにして国民の台所を守るかということから出ておるわけでありますから、いわんや消費者のいやがるものを押しつけて行こうというような考えは毛頭持たない。しかし同時に消費者におかれても国が長い間研究をして、これならば大丈夫でありますからといつてつてくれておることに対しては、一応御納得をいただきたいものだと心から私は念ずるわけであります。もしそうでないと、これはあなたが言われるようなことでずつと推移して行きますと、結局外国米は一つも入れないという新たなる消費者の大決意がいるのではないか。政府は決してこれを押しつけようとか何とかという考えは毛頭持つていない。今日は国民の実生活からしまして、今日の内地米の供給だけで消費者が満足されるかどうか、その点に私は深い思いをいたしおるわけであります。消費者の方でそうじやないのだ、米は内地米だけでいいのだという新たなる決意がここに盛り上つて参りますならば、これはまた新政策の立て方もおのずから出て来ると思うわけであります。むろん政府責任でございますけれども、その点を私どもは考えて対処したいと思つております。なおフィリピンからの米の問題は、食糧庁長官が詳しく知つておりますから、その方からお答えいたさせます。
  182. 前谷重夫

    前谷説明員 簡潔に申しますと、二万トンと申しますのは、先方に二万トンのものがあるというのでありまして、契約は六千六百トンの買上げをいたしました。それから黄変粒の問題につきましては、厚生省が現地で調査し、またこちらで調査して〇・三以下であります。それから砕米につきましては三〇パーセントということになつておりますが、厳密には二七・八パーセント程度になつております。この際申し上げておきたいことは、実はその当時といたしましては、凶作に基きまして、例年九十万トン程度の輸入を百五十万トンということにいたさなければならないということになつたのであります。その当時におきまして、タイ関係におきましては五十万トンの予定をいたしておりましたが、その中に砕米も含めてございまして、われわれとしてはできるだけ砕米は買わないでまる米を買いたい、かように考えておりまするが、一方におきまして当時といたしましては、たとえば酒造米の減少によりましてビールに砕米を出さなければいかぬ、こういう点もございましたし、また当時人造米等につきましても砕米を配給いたしたいということも考えておつたわけでございまして、砕米の需要は当時計画いたしておりましたよりも相当の、約十五万トン程度の需要があるということに考えておつたわけであります。従いまして食糧輸入からいたしまして、エスクロによりまして外貨を要しないで、しかも外貨で計画いたしましたより以上にプラスとして入りました場合におきましては、本来主食用として配給し得る米の量もふえまするし、外貨を要さないで砕米を入れ得る、こういう場合におきましてはこのケースにつきまして必要であるというふうに考えておるのでございますが、ただ価格につきましては、当時の一般価格よりも砕米の価格としてこの交渉をいたしたわけでございます。
  183. 柴田義男

    柴田委員 今の問題は長官あとで承りたいと思いますが、農林大臣はわれわれが考えておること、しかも私の申し上げていることをどういうようにお考えかわかりませんが、そういうような状態で進んで参れば国民の食生活を根本的にかえなければならぬ、それから外米輸入に対してはもうできなくなる、こういうお考えのようでありまするが、私どもはそれとは全然立場を異にした考え方を持つておる。たとえば黄変粒がたくさん発見されるということも、水分が非常に含まれた米に多いということは、もうだれしもわかつていることであります。この水分が非常に少くして乾燥度を高める方途を外地に対して強力にする、こういう態度はお考えにならぬのかどうか。現在十一万余トン入れて実際は三万何千トンはすでに配給されてしまつて、残された八万トン内外の米の処理の問題は別といたしまして、日本の現在の情勢から申しますならば、あらゆる方途、土地改革もやらなければならぬでありましようし、干拓事業もやらなければならぬでありましよう、これらに対してもあらゆるところに不正があるが、これは再検討いたしまして別個に土地制度の改革にまで及ぼさなければならぬことはもちろんでありますけれども、そのほかにやはり輸入にまたなければならぬという現実の状態において、どうしなければならぬかというお考えを根本的にお持ちになつているのかどうか。ただもうないからしかたがない買つて来たんだ、買つて来たのだが、しかも肉眼ではわからなかつたのだが、今度培養検査をしたらわかつたのだからやむを得ないじやないか、こういうことだけでは国民は納得できない。農林大臣は言葉は丁寧に、しかも一生県命お答えになりますけれども、どうも根本的には納得できない。だからたとえばビルマなりタイなりに対しまして、倉庫の建設も日本賠償の一つとしてやはり考えなければならぬ、あるいは外地におきましても検査制度の確立をはかる、そうして今後はこういう米はどうしても入れないように努力する、こういうほんとうの努力のほどがまだみじんも見受けられない。足らないからやむを得ないということだけしか承つていない。これに対する農林大臣の今後のお考えを承りたいと思うのであります。
  184. 保利茂

    保利国務大臣 ただいまの点につきましても、もうお答えを申し上げておりますから繰返して申し上げることはいたしませんが、とにかくビルマにいたしましても、タイにいたしましてもりつぱな独立国でありますし、われわれがそう考えたからといつて、すぐそれができるわけのものではないと思います。しかしながら、関係国との経済提携を深めて参ります上から行きましても、お話のことは当然のことだと考えておりますから、そういう点については十分検討をいたし、努力をいたして参りたいと考えております。
  185. 柴田義男

    柴田委員 時間がありませんので最後にいたしたいと思いますが、われわれは今日までのこの審査の状況から判断いたしまして、たとえば二・五パーセント一日の許容率が許されます。だけれども、実際の配給の具体的な問題になりました場合には、多い比率の、いわゆる最高度の二・五パーセントと〇・三パーセントとがあつたと仮定いたします。実際の配給の操作に参りました場合に、これを平均して均等の配給というものは絶対にできません。だから、このいわゆる黄変粒の発見されたものは、今度われわれに資料として提供されました〇・三パーセント以上二・五パーセントまでは配給を絶対、しない、そうやつて食糧のいわゆる操作を考えられる御意思があるかどうか、この点を最後農林大臣厚生大臣から承つておきたいと思います。
  186. 保利茂

    保利国務大臣 絶対に配給しないと言われますけれども、配給してもさしつかえないという許容限度があります。しかし許容限度があるからといつて、他に操作のできるものがあるにもかかわらず、それをしやにむに配給するという考えは持ちません。それにつきましても再搗精等の手段を十分尽しまして、できるだけ不安のないような措置をさらに講じて参りたいということを申し上げておるわけであります。
  187. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 先ほど来だんだんお話がありましたように、当分はこれらのものを用いずにも配給操作ができるということでございますから、その間におきまして二・五パーセント程度以下の基準につきましては十分検討をしまして、国民の納得の行くように判定をし、あるいはさらに進みましてこれらを改訂する等の措置をたしたいと思います。
  188. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 議事進行について。もう二時になりますので、さらにこれから昼飯を食べて、理事会を開いてあと委員会を開くといつても時間がありません。そこで、私どもはきわめて重要なる問題でありますところの先ほどの検事総長及び井本刑事局長、馬場検事正、河井検事その他担当検事をこの際当決算委員会に証人として喚問することの緊急動議をここに提出いたしますから、御採決を願いたいと思います。
  189. 徳安實藏

    徳安委員 この問題はすでに安井君から動議を出しまして、委員長がこれを理事会で決定しますと宣告されておるのですから、すでにそれがはつきりしている以上は、理事会でやつてもらつた方がいいと思います。
  190. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 理事会を開いてまた委員会といえばいつの日かわからない。それよりもすみやかにここで決定しておいてもらえば、もう理事会を開いてさらに委員会を開かなくてもいいと私は思う。
  191. 柴田義男

    柴田委員 きようは時間が非常に迫つて参りまして、もうすでに二時でありますから、われわれは常にこの運営は理事会をもつてつて行くことが例ではございますけれども、実際緊急を要する問題でもございますので、杉村委員の動議に賛成をいたすものであります。
  192. 安井大吉

    ○安井委員 今の動議に対しては、先ほど委員長がすつかり採決してきまつたことだからこれをむし返す必要はない。委員長の宣言通り、決定通り——また委員会がきようになつてあわてて検事総長や検事正を呼ぶことをきめなければならぬ突如の理由はないと思う。すでに数日前からこの問題は理事会にかけてやろうということでありますから、委員長決定通り一事不再議で……。
  193. 山田長司

    ○山田(長)委員 非常に時間も切迫しているし、理事会で、この間も実は傍聴しておりまして結論が出たような出ないような状態であつたと思う。そこで、これはなかなかららちが明かないし、緊急を要する問題だと思いますので、この際ただいまの緊急動議に賛意を表します。
  194. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほど議事進行の発言で、今回動議として出されたような問題もあるようであります。私としましては杉村委員の動議の趣旨に賛成でありますので、ぜひとも至急採決の方法を考えてもらいたい。ただ呼ぶ時期等に対しては理事会で相談してもいいが、呼ぶという方針だけはきようきめてもさしつかえないと思います。
  195. 田中彰治

    田中委員長 それでは杉村沖次郎君の動議を採決いたします。ここで杉村君より発言されました証人を呼ぶことを一応決定して、あと時期とかその他については理事会でとりはからう、これに賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 田中彰治

    田中委員長 起立多数。よつて決定いたしました。(拍手)  藤田義光君。
  197. 藤田義光

    ○藤田委員 会計検査院長が見えておりますから簡単に数点お伺いしたいと思います。  この黄変米の問題は多額の国損に関連した非常に深刻な問題であります。この問題に関しましては国会各委員会、が非常な関心を持つて連日審議を続け、ある委員会はすでに結論を出しております。会計検査院の最高責任者として何か手を打たれたかどうかお伺いしたい。
  198. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 黄変米の問題につきましては、国会の関係委員会において熱心なる論議をされたことと存じております。私の方といたしましては、昨年くらいからこの問題にとつ組みました。従来日本食糧問題が非常に逼迫しておる。そこで外米輸入は必要であるが、その外米が今問題になつておるような黄変米を含むということは会計の立場からきわめて重大な問題であります。すなわち一定の値段で入れたものを、食糧に適しないというので非常に安い値段で売る、その値段が適正かどうか、しかして食糧に供しないとして売つたものがはたしてその通り行つているかどうかということは、国民負担としても十分考えなければならぬことで、この問題については十分研究しております。ことに最近の私の方の検査によりますと、外米輸入する関係契約が適正がどうか——もちろんわが国の輸入の必要性の多い関係で、いろいろ農林当局においてやりにくいことはあつたと思いますけれども、私の方といたしましては輸入に関する契約がいいか悪いか、目下いろいろ調査しておりまして、相当疑問の点もあるように思つております。但しまだ私のところへ詳しい報告は出ておりません。大体そういうふうに考えております。
  199. 藤田義光

    ○藤田委員 会計検査院長は先般都下の某有力新聞に「汚職と会計検査」という論文を書いておられる。これは新聞の性質上はつきり署名がしてありますが、これは院長の直筆であるということは間違いありませんか、お伺いいたします。
  200. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 あれは私が書いたものです。
  201. 藤田義光

    ○藤田委員 先般の農林委員会におきまして、三局長は会計検査院の調査と検査という言葉を区別されている。会計検査院に調査ということがありますかどうですか。会計検査院法、会計検査院規則、会計検査院審査規則等を見ましても、どうも調査という文字は見当らぬ、このことに関しまして何か報告を受けられておりますかどうですか。
  202. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 調査と検査の問題でありますが、検査につきましては検査院法第二章にその権限の規定があります。しかしながら調査についてはお話の通り直接の規定はないかと思いますが、検査を執行するために準備的ないろいろの調査研究をする。そういう意味において調査ということはあり得る、すなわち法律に文句が直接ないからといつて調査ができないとは考えておりません
  203. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの論文は、特に末尾の点は全国一万の地方自治体に対する重大な侮辱であります。御存じの通り昭和二十二年に新しい憲法ができてから、これに基いてマッカーサー元帥は新しい自治法をつくつたのである。かつて名誉職でありました市町村長は全部公選による数百千の得票を得て当選をして参つておる。ところが地方自治体というものに対する認識が全然なつておらぬ、どういう気持でこういう論文を書かれたのか、地方自治体に対する見解を簡単でけつこうでございますからお聞きしたい。
  204. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 御質問の要旨ちよつとわかりかねるのでありますが、私は少くとも憲法において地方自治の規定を設けておりますし、民主国として地方自治の重要なことは十分認識しております。そこで地方自治体に対する検査ということがたびたび問題になるのであります。内部において問題になり、また外部でもやはりそういうこどを言われますけれども、自治体に対する検査というものが一体地方自治の根本から考えていいか悪いか非常に疑問である。私はどつちかというと消極的な見解をとつておる、こういうわけであります。
  205. 藤田義光

    ○藤田委員 日本にアメリカの一流か末端かしらぬが、シヤウプといういいかげんな学者が来まして、地方自治体の新しい看板、みごとな看板を掲げたが、その裏づけたる財政措置がなかつた、従つて災害復旧の国庫負担という制度を考えろ、起債のわくをふやせ、地方税法をつくれ、平衡交付金制度を創設せよ、中央と地方に国の事務を再配分せよという五本の柱を立てた。これは日本の国情、風俗を無視した乱暴な勧告であつて、これにはわれわれは絶対反対でありますが、この一本の柱たる災害復旧の国庫負担ということを考えずして現在の地方財税政制度ができているために、自治体は財政的に非常に困つておる。それをあなたは、国にたより過ぎておるから地方自治はだめだ、これでは健全な地方自治体にはなれぬと言われておる。あなたは内閣から独立した機関の責任者である。どうもあまりに政治的発言が強過ぎるのではないかと思うのでありますが、どうですか。
  206. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 政治的発言とおつしやいますが、それは私の個人的な見解であります。それをあなたが政治的発言とお考えになるかどうかは御随意でありますけれども、私の気持はこういうことであります。これはちよつと検査院長として言うべきことかどうかわかりませんが、要するに日本国民は独立性がないのじやないか、何でもかんでも人にたよる、こういうことではいつまでたつて日本は自立できない、こういう根本観念を持つております、その現われかもしれませんが、別に政治的発言というつもりで申したのではないのであります。
  207. 藤田義光

    ○藤田委員 それではお伺いします。これは会計検査院長でなくて個人の見解ということを言われるが、ちやんと会計検査院長として書かれたということをはつきりと認めておられる。これは佐藤個人の論文であるということは言えません。現職中の院長が書いた以上は、これは何と言われても世間では納得しない。あなたは、どうも日本人はほかにたよるくせがあると言われる。しからば先年保安庁の問題等に関連しまして、あなたも進駐軍にたよつたという前例がありませんかどうですか。
  208. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 当時におきましては、ポツダム宣言におきまして日本の行政権、主権というものは向うの支配下に法律上立つたのであります。その法律関係を否認することはできません。私個人といたしましては、何でもかんでも人にたよとるいうのは非常に心外だ、こう思つております。保養庁関係は、要するに法律上そういうふうに国際関係がなつておるのでありますから、それを否認することは私としてはできない、こういう関係と御了承願いたいと思います。
  209. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、占領中に進駐軍関係等でやつたところの会計検査というものは当てにならぬというような結論が出るのじやないですか。
  210. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 占領中におきまして私のやつた会計検査は、占領法規に違反しない限り、すなわち向うから直接の指令と申しますか、そういうものがあつたものについてはこれは絶対てある、こういうように考えますけれども、その範囲内において、あるいはそれに関連なしに会計官吏がやつたことはその責任を追究いたしております。それ以外のものについて、物によりましては向うからの話で、これは自分の方で命令したのだ——実は私の方で文句を言つたことがあるのですが、これは目分の方で命令したのだから、責任を会計官吏に負わすのは気の毒だというような事情がありまして、そういうものについてはしようがないのでありますが、そういう事情がない、会計官吏が自己の責任でやるべきことであり、またやつたものについては十分責任を追究たいしております。
  211. 藤田義光

    ○藤田委員 昨年の災害に関連していろいろな問題が起きております。時間がありませんから要点だけを簡単に申し上げたいと思います。これはいずれ社会党の田中織之進君その他われわれ同憂の士が集まりまして、臨時国会、通常国会で徹底的に詳細に調べてみたい問題でありますが、院長の任期も近づいております関係もありまして、私は特に院長にお伺いいたしておきたいのであります。現在特にある特定の局だけが、自治体の検査にあたりまして市町村長に署名捺印させておる。一体どういう法令に基いてこういうことをされるのか、市町村長の意思に反して半強制的に判を押さしている。証人を出せといえば本日でも何十人でも出します。これはどういう権限に基いてやられたか、院長の御存じないことであるかどうか。
  212. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 市町村の検査につきましては、先般なりその前の年なりの検査報告にありますように、補助金関係のうちに不当事項が非常に多いのであります。それで実は私ども非常に心配しまして、地方等へ行きました場合になるべく町村長に集まつていただいて、われわれの方も検査を一生懸命やつておるのだが、あなた方も一生懸命やつているのだろう、しかしながら、とにかくそういうふうな不当事項が多いということは、お互いに非常に国のために遺憾であるから、なるべくわれわれの方としては徹底的検査をやるつもりだ、ついてはわれわれの方の検査のやり方のよしあしについて忌憚なき意見を述べてくれということをしばしば言つておるのであります。その会合におきまして、ところによりますと、検査に来る者が自分たちを被告人扱いをする、こういうことを言つている。それはいろいろな事情があると思いますけれども、たとえば検査院の検査に行つた者の弁護というような見地から申しますると……。
  213. 藤田義光

    ○藤田委員 署名捺印はどうするかという……。
  214. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 署名捺印の点については聞いておりません。私は権限のないことを無理にやらせるということはきらいなんです。やはり権限に基いてやりたい。だから町村長を被告人扱いするのはもつてのほかだとずいぶんやかましく言つているつもりでありますが、私の見解が十分徹底しないかもしれません。権限のないものを署名捺印させることはもつてのほかだと思います。もしもそういうことがありましたら、将来について十分戒めたいと思います。
  215. 田中彰治

    田中委員長 藤田君、会計検査院をあまり言うと、検査ができないようになると思います。あと理事会にでも呼んで院長から聞くことにして、簡単にしてください。
  216. 藤田義光

    ○藤田委員 院長の良心的な答弁、われわれは大体了承したのでありますが、私は不正不当事項、これは徹底的にやれという趣旨に立つてお尋ぬしておるわけです。院長の論文にあります通り、二十五年から七年にかけて、いわゆる国に損害を与えた事件なんか非常に減つて来ている。しかし一方、不当事項はどんどんふえてきている。これはけしからぬことであるから徹底的にやつてもらいたい。しかしやるについては法令に基いてフェア・プレーでやつていただきたい。そうしないとかえつて問題を複雑にしまして、正当なことを隠したりする。そういう危険が全国の府県、市町村に彌漫しつつある。山口あるいは福岡、熊本等の昨年の災害に対してこういう雰囲気が非常に濃厚であります。ただいま調べて善処すると言われました。私は院長の言明を信じたいのでありますが、確認の方法はほかに幾らもあろうかと思います。こういう事実がもしあつたとすれば、ひとつ至急お調べの上廃止していただきたい。全国八千の町村長、四百の市長を全然信頼しないということ、こういう行き方、市町村長を罪人扱いする——民主主義の基盤たる地方自治の首長であります。こういうことは今後是正してもらいたいと思いますが、いま一度この点に対する院長の率直な御答弁をお願いしたい。
  217. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 私は現在の仕事は——少くとも現憲法下におきましてはいわゆる民主国の検査院であつて国民のためにやるのだという根本に立つてつておるのでありまして、検査についてもどこまでも公正に民主的にやつて行きたい。従つて法令にないようなことを強制することは厳に戒めておるのであります。お話の趣旨よくわかりましたから、なお足らぬところは十分注意いたしたいと思います。
  218. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 関連して……。私はこの際院長に所見を伺いたい。私どもは会計検査院がほんとうに厳でなければ日本の財政経理の紊乱はどうすることもできないと思うのです。現在の批難事項あたりは全体のどれだけの率に当るか、これは実に微々たるものであろうと思う。会計検査院はいま少し国に予算を要求するなりあるいは人員を増加するなりして、このひどい日本の財政経理の紊乱をいま少し徹底的に追究してもらいたい。われわれから見れば非常に物足りない点がある。これに対して院長の、将来の会計検査院のあり方について、いま少し拡張してやる方がよいかどうか、御意見を伺いたい。
  219. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 ただいまの御質問の趣旨ごもつともでありまして、実は二十八年度の末ですが、一般の行政整理で人を減らしましたそのときにおきまして、数は小さいのですが、会計検査院としても一般の管理職員、人事とか会計とか、こういうものについては同じような減員をしておりますけれども、同時に検査の充実をはかるために、その減員の相当大きな部分をふりかえて実質的な増員をした、そういう関係で機構の充実ということは十分考えておるつもりであります。ただ御希望に十分沿い得るかどうかということは疑問もありましようか、その点、私ども努力いたしたいと存じます。
  220. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 いま一点だけ……。われわれが会計検査院の指摘事項を見まするなれば、もう明らかな刑事事件が数限りなくあるのであります。これについて私はいま少しく職務上知り得たるところの、いわゆる刑事事件でありまするから、これはどんどん検察庁に摘発すべきではないかと思う。またそれが義務ではあるまいかと思うけれども、この点においてはなはだ私どもから見て欠けておる点があるのでありますが、これをいま少しく厳重にやつていただきたいと思います。別に答弁していただかなくてけつこうであります。
  221. 藤田義光

    ○藤田委員 いずれ後日最高幹部に出席していただいて詳細お伺いしたいと思います。  最後にお伺いしたいのでありますが、現在会計検査院のほかにいわゆる検査院的な行政をやつている役所がたくさんある。たとえば行政管理庁あるいは大蔵省——大蔵省は予算を配分する元織めでありますから権限があるといえばありましようが、これによつてたとえば災害等の場合において非常に着工が遅れる、ただいま同僚杉村委員質問にもありましたが、検査院の充実ということは焦眉の急であります。特に行政管理庁等の統合というがごときは、会計検査院が声を大にしてただちに政府に呼びかけてもらいたい問題であります。こういうことに関しまして、私は先般の委員会でも発言しておりますが、何か院長のお言葉がありましたら、またそのほかいろいろな問題がありますが、いずれ後日に譲りましてこれで私の質問を終ります。
  222. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 検査機関の重複ということ、これを検査を受ける立場の方は皆言われるのであります。そこでそれに対しましては私といたしまして会計検査院の検査はいわゆる外部検査である、政府のやるのは広い意味の内部検査である。政府のやることをとやかくこちらから言うことはどうかと思いますけれども、内部検査をもう少し統一的にやつてもらえば検査を受ける方の人も行政事務の妨害をされないでやれる、能率的な検査がやれるのではないかというふうに考えております。
  223. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今年はもうすでに決算の締切りも済んでおるわけでありますから、二十八会計年度の決算はあなたの手もとでいろいろと御整理の段階かと存じます。私ども前年度の決算を顧みまして、たとえば翌年度への繰越しが去年は千百八十億円くらいあつたかと思います。もつとも繰越金とか、やむを得ざるものも相当あつたようでありますけれども、しかしながら重要な予算の編成に当りましては、たとえば歳入予算につきましては徴税とか、いろいろ国民生活に緊切な歳入措置が実行されているのであります。そこで現実の予算の執行が千億円以上も越える翌年に繰越しがあつて、そのうちさらに不用のものがやはり百億円を越えているようであります。こういう点はだんだん各省に対して当決算委員会もその原因及び責任等を追究しておるのでありますけれども、非常に憂慮すべき一つの財政傾向ではないかと思うのであります。もし明らかに翌年に繰越すならば、私どもに言わせるならば、あえて苦しい中から税金を取上げる必要がないじやないか、不用数百億円も出すようなそういつた歳入予算を組むことは、むしろ政治的に大きな罪悪であると考えるのであります。つきまして今年の二十八年度の締切つた決算の状況は、今申しましたようなそういう点、どういうふうになつておりましようか、ひとつこの際御説明つておきたいと思います。
  224. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 主計簿の締切りの話が出ましたが、その御質問にお答えいたすような資料が手元に参つておりません。もう少しお待ちにならないと困難かと存じます。
  225. 田中彰治

    田中委員長 本日は以上で一旦質疑を打切り、暫時休憩いたしまして、その間理事会を開き、問題の取扱いについて協議いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時二十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕