運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-08-12 第19回国会 衆議院 決算委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十二日(木曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 安井 大吉君 理事 藤田 義光君    理事 柴田 義男君 理事 杉村沖治郎君       越智  茂君    徳安 實藏君       三和 精一君    片島  港君       山田 長司君    池田 禎治君       大矢 省三君    吉田 賢一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 小原  直君         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君         農 林 大 臣 保利  茂君  委員外出席者         検     事         (刑事局長)  井本 豪吉君         外務政務次官  秋山俊一郎君         外務事務官         (経済局長)  朝海浩一郎君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         食糧庁長官   前谷 重夫君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新沢  寧君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部長)    桑原 信雄君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 八月十二日  委員大矢省三君辞任につき、その補欠として池  田禎治君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開きます。  昨日に引続き昭和二十六年、七年度の決算中、農林省所管食糧庁、特に黄変米問題について審議を進めます。すでに事務的な面につきましては過去三日間かなり深く検討されて来ておりますので、本日は本問題をどう結末づけるかという意味におきまして、政治的にあらゆる角度からそれぞれ主管大臣の御所見を伺うことにいたしたいと思います。委員各位の御発言につきましては従前の定めに従いましておおよそ三十分以内を限度とし、時間を有効に利用するよう御協力を願う次第であります。それではこれより質疑を許します。山田長司君。
  3. 山田長司

    山田(長)委員 今黄変米の問題についていろいろ論議がされているわけですが、そのことについて一応法務大臣に伺いたいと思いますことは、実は御承知のように黄変米の問題がこんなに論議をされておるわけでありますけれども、この黄変米の問題がいくら論議をされておりましても、これがもしも前に行われましたように、黄変米を払い下げる糧穀会社というのがあつて、それを払い下げてこれをまたやみからやみに、この前の事件のようにやみ流しをされてしまつたとするならば、せつかく黄変米の問題が論議をされて、国民に重大な影響を及ぼす食糧問題というものの結末がつかずにしまうということになると思います。そこで法務大臣にお伺いしたいと思いますことは、実はことしの一月二十八日の日にわが党の高津正道という議員が本会議法務大臣質問したわけです。実は主食の問題について東京地検木村治という検事がこれを調べておつたが、それが九月になつたならば富田という検事にかわり、そのあとまた十一月に検事がかわつたということで、一体そんなにちよいちよいかわつたのではこの黄変米事件というものが結末がつかずにしまうのではないかというので、高津正道という議員質問したのです。ところが当時の法務大臣つた犬養さんは、検事の更迭は一昨年のメーデー事件取調べのために忙しくて更迭されたので、全然黄変米などには関係ないのだ、こういうことで答弁なされてそれきりになつてしまつたのです。実はこの問題では私も木村治という検事をたずねて行つて、どうもこれはたいへんな事件であるが、東京地検としてはどういうふうにこの結末をつけるつもりかということで、去年の八月十二日の日に私たち黄変米調査行つたのですが、それに行く前に木村治という検事会つているわけです。そのときに木村さんも何とかして早くこの結末をつけたい、こういうふうな答弁をされているわけなのですけれども、一体その後どうなつているか全然音さたなしなのです。それで一応法務当局にこの結論はどうなつているかお伺いしたいと思います。どうぞ御答弁願います。
  4. 小原直

    小原国務大臣 お答えいたします。ただいま御質問黄変米のことでありますが、東京地検木村検事調べたその後のいきさつがわからないというお話です。実は私も就任後最近にこの黄変米の問題が出まして承知いたしました。当時木村検事調べ、その後の成行きがどうなつたかについては私よく承知いたしておりません。刑事局長がその点をよく承知しておりまするから刑事局長から説明いたさせます。
  5. 井本豪吉

    井本説明員 お答えいたします。東京地検で扱つておりました黄変米に関する事件は、おそらく有働一夫に関する横領事件であると思います。それは御承知通り東洋醸造が約三千トンの黄変米を払い下げるにあたりまして、有働一夫がその関係保証金を使い込んだという事件なのであります。その点につきましては検事がたびたびかわりまして、事件結末が大分遅れておりますが、二百四十万円の横領については、必ずしも有働一夫横領としては明確になつておりませんので、この金を相当元の金の所有者であります東洋醸造の方に使つているという事情もあつて、この件については示談進行中であります。おそらく近く示談ができるように私は報告を受けております。黄変米関係事件ではございますが、この事件は直接黄変米をどうかしたというような事件ではございません。なお検事がたびたび更送いたしましたのは、メーデー事件の公判その他による部内の配置転換の問題があつて更迭いたしましたので、特にこの事件に関連があるからという理由で更迭したものではございません。
  6. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの刑事局長お話ですと、これに全然関係がないというような御答弁のようでありますが、実は私が調べ範囲では、有働一夫日本販売農業協同組合農林部長をしており、同時に東洋醸造嘱託をしておつて、それで農業協同組合から金を出させると同時に、東洋醸造からも金を出させて、農林省保証金として積んでいる金が一千万円というのであります。その一千万円はそのあと黄変米を払い下げると同時にその金を有働一夫が着服してしまつた。それでその黄変米は全部関西やみ流ししているわけです。その関西やみ流ししている黄変米和歌山だけがわかつて、大防、京都神戸広島愛媛の一府四県の分はいまだに明確になつておりません。こういう黄変米の問題で大騒ぎをやつてつて、それが結局払い下げられて主食となつてしまうならば、これはわれわれが論議するということは、一面から考えると糧穀会社に安く払い下げる基礎をわれわれがつくつているようなことになると考えられるのです。そういう点で関西やみ流しをした事件和歌山だけがわかつて、ほかの一府四県がわからずにいるということは、どう考えてもわれわれとしては了解できないのです。その点について取調べ当局大阪京都神戸広島愛媛、これらの府県に流された分はどう追究の手を伸ばされたのか、和歌山だけで終つたということはどう考えても考えつかないのです。この点についても当局に御答弁が願いたいと思います。同時にこのことについては黄変菌が相当あることによつて払い下げられているわけですが、一体国民の被害があつたのかないのか、これは当然わからなければならぬと思うのですが、その点もつけ加えて御答弁をお願いいたします。
  7. 井本豪吉

    井本説明員 こまかい事務的な問題でございますから私から一応御答弁申し上げます。東洋醸造に払い下げました米のうちで五百十二トン余り和歌山県に横流しされまして一般食糧として販売されたという事件につきましては、前に詳しく申し上げたのであります。ただ東洋醸造払下げを受けたお米がそのまま売られて、東洋醸造がどうして責任を負わないかという点について御疑問があると思いますので、その事情を一応簡単に申し上げたいと思います。  この東洋醸造黄変米払下げを受けましたのは昭和二十七年五月のことでありまして、当時の社長は臼井皎二でございます。これが保証金を借りて払下げを受けておるのでありまして、保証金の返還ができないために、社員の土屋薫に命じまして、有働を通じてその先の日本橋蠣殻町全糧商事株式会社業務係佐藤芳治に交渉し、さらに佐藤芳治和歌山葛城醸造場というところに売つたのであります。葛城醸造場責任者谷口幾喜でございまして、谷口幾喜がこの黄変米を買い入れたのでございますけれども、この谷口幾喜の名前使つたのが問題になりました神前親子でございます。谷口はごく少量の黄変米買つただけで、大部分は谷口名前神前が買い入れて横流しをしたということになつております。お米をかつてに売つたということになりますと、当然これは食管法違反になるわけでありますが、食糧管理法施行規則第三十九条に、食糧管理法また同法に基く命令の規定により定める場合及び農林大臣の指定する場合を除いて何人も米穀政府以外の者に売り渡してはならないとなつておるのでありますが、さらに食管法施行に関する件の九の規則第三十九条の農林大臣の指定する場合という(ニ)に「農林大臣の定める販売又は消費の目的をもつて政府又は販売業者から買い入れた米穀をその者が当該目的に従い又は農林大臣の指示に従い、売り渡す場合」という規定がありまして同じ醸造のために売るという場合には食管法には当らないという規定になつております。東洋醸造アルコール醸造用買つて来ましたものを葛城醸造醸造用に売つたということになりますと、これは東洋醸造が一応犯罪にはならないという形になつております。しからばこれは神前がだまして買つて来たのか、その間の事情はつきりは出ていないのでありますが、検察当局といたしましては、その点の東洋醸造側食管法違反を認めるだけの証拠がありませんので、この神前だけが問題になつたのでございます。その他お話大阪神戸京都広島等事件については食管法違反報告が全然参つておりません。ある程度疑問を持つて調べたとは思うのでございますけれども、私ども手元においては、さような県において黄変米事件が起つたということは聞いておりません。なお黄変米事件は、全国的に申し上げますと、そのほか宇都宮に一件ございます。これは直接東洋醸造には関係がございませんが、やはり黄変米を詐欺して持つて来まして、それを販売したという事件があります。この和歌山事件宇都宮事件だけが私ども手元報告されておる次第でございます。
  8. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまのお話を同うと、たいへんふに落ちない点があるわけです。それはなぜかというと、実はこの有働一夫農林省保証金として積むときに、日本販売農業協同組合から金を持ち出して行つて保証金に積んでいるわけです。そのときに一応こういう筋で各地へ売れば、農業協同組合連合会には損害をかけないのだからというので、有働一夫なる者は農林省から払下げを受けるときに、もうこの米をやみ流しする計画があつたように聞いている。それで、農業協同組合人たちにいわせると、まあろくに給料も払つておらないのだし、農林部長のいすで農協には迷惑をかけないだろうから、まあ見て見ないふりをしておこうじやないかというところまで農協の幹部の中では話があつたようです。それは私は農協人たちにも会つて実は聞いているのです。ですから、有働一夫農林省が中に入つて保証金を積んで払い下げるとき自体に、もうこ黄変米やみ流しする意図があつたのです。そのやみ流しする意図のある有働一夫なる者が神前という人に一応どういう意図で渡したのか、渡し方並びにその取引内容について、どう考えても当局においては調べが少し足りないと思うのです。問題は、なぜ私がそれを強く追究するかというと、黄変米東洋醸造へ払い下げられてしようちゆうをつくる分たけが――関東の埼玉、栃木、茨城、千葉、神奈川、この五県の人たちからさつまいも買つて、その分だけ東洋醸造はしようちゆうをこしらえて、それでそのしようちゆうをこしらえるといつて払い下げを受けた分だけが全部やみ流しされているのですから、東洋醸造ではこの米はちつともしようちゆうにつくられていない。ですから、有働一夫神前との取引においては黄変米で食えない米としてでなく、完全に食管法違反として取調べられなければならない筋のものなんです。それが、神前だけが取調べられて有働一夫がいまだに何ともなつておらない、三回も検事がかわつたということについて、うやむやにされてしまつたのじやないかという疑念農協人たちが持つのも無理はないのです。同時に、これによつて東洋醸造さつまいもを売つた数万戸の農家の人たちはいまだに金がもらえずにいるわけです。これは金額にして当時の金で約三千万といわれる。ですから何としても、東洋醸造やみ流しをするときには、もうすでにそのことによつてこの米代金をとつて、それでその金が保証金ないしそれ以外の金として農業協同組合にももどるのだという立場に立つて有働一夫という人間が動いたと思われるのですが、その点について、検察当局が呼び出せば有働一夫はどこからか姿を現わすが、吉祥寺にどう連絡をとつて農業協同組合人たちは会えない。これは検察当局がぐるになつてつて会わせないのじやないか、こういうことまでいわれておるわけです。このことについて、当局はどうしてこの事件をただ詐欺事件としてだけ取調べるのか、有働一夫は一体食管法違反としてどういう点がひつかからずにおるのか、御答弁願います。
  9. 井本豪吉

    井本説明員 有働一夫東京地検に係属しております事件のごく概略を申し上げますと、これは日本販売農業協同組合連合会代表者大塚峻蔵という人からの告訴事件でございます。その告訴内容は、昭和二十七年五月当時日本販売農業協同組合連合会農林部長の地位にあつた有働が、日販連取引関係のあつた東洋醸造の委託を受けて黄変米三千トンの払下げ申請手続行つたのでありますが、その際東洋醸造政府へ納入すべき予約金の一部二百四十万円を日販連で立てかえておつたところ、三千トンの払下げを受けた東洋醸造に対し返還せられたこの予納金中の二百四十万円が有働の手に入り、これはそのまま日販連にもどるべき性質のものであつたのに、この二百四十万円を有働日販連に入れず使用したという点が業務横領である、こういう事実のようであります。お話を承つておりますと、何か初めから食糧として横流しをするために払下げを受けて、その初めからの目的通り横流しをしたのではないかということでございますが、もしその通りだとすればこれははなはだけしからぬことで、厳重に追究しなければならないと考えるのでございます。ただ残念ながら、証拠上認められますのは、先ほど申し上げたような事実だけでございます。
  10. 山田長司

    山田(長)委員 当局では一応結論が出たようなお話でありますが、実はこのことについては、私は有働一夫に対する取調べが非常に欠けておるのじやないかと思います。なぜかと申しますと、大体関西で今わかつておる和歌山事件は、数量に非常に差があるということが一点。もう一つは、有働一夫なる者が大阪にも、神戸にも、京都にも、広島にも、愛媛にも流したということ。これらの地域に流したということは、有働一夫なる者がはつきり言つておるのです。その有働一夫が言つておるのに、当局では有働一夫のことについて、そういう流し方の取調べが全然なされていないと思うのです。和歌山だけは、これは現地で配給している途上、配給を受けた人たちからこの米の色は変じやないかということで、その人たちからだんだん事情がわかつて来たということがいわれておるのです。ですから和歌山であがつた事件というのは、これは食べた人たちから話が出て来ているようなんです。ところがほかの土地の場合は全部食べてしまつているのです。問題はこれだと思うのです。黄変米というものが、これでどういう結論が本日のこの委員会によつて出るかわかりませんけれども、こんなに真剣になつて論議をされてこれが有毒であるという結論が出ていながら、この数量いかんによつてはあるいは配給されるのじやないかというような疑念が持たれておるわけですが、一体これほど論議をされておつても、トン七万円も八万円もで買い入れて来た米が、二万円か三万円で払い下げられてしまう、しかもその払い下げられた用途について、それがどう使われたという追究が昨日までの質問では農林省においても厚生省においてもちつともされていないのです。そうすると、払い下げられたあとでどこへどう行くかわからぬということになれば、これほど食糧の不足している今日ですから、結局知らず知らずのうちに――安く払い下げて一会社はもうけさせたけれども、結果においてその米を国民が食べているんだという結論が出て来ると思うのです。ですからこういう前の黄変米事件というのは、ただ単に漠然と取締りをされて食管法でひつかかつたの神前だけだ、しかも和歌山では食べた人たちから事件が発覚しているのに、それを配給した配給所にいかにも不正があつたように、これが有罪判決まで受けた事件になつたわけですが、これらのほかの府県についての問題は一体どういうふうにされているのか全然わからないのですが、この点一応伺います。
  11. 井本豪吉

    井本説明員 先ほど申し上げましたように、和歌山につきましては報告がこちらに参つております。そのほかの府県につきましては、何らまだ報告が来ていないのであります。本日のお話もありましたので、私帰りましてからさらにお話のような点に対して詳細な照会をいたしまして、その点を確かめてみたいと思つております。なお有働何がしという男につきましては、前回も申し上げましたように、各地に妙な事件がときどきあるのでありまして、この和歌山事件の捜査もまだ徹底していなかつたきらいもないことはありません。この点についてはさらに督励をして行きたいと考えている次第でございます。なお和歌山県におきまして、黄変米の結果であるかどうかわかりませんが、当時約十一名ほどの肝臓硬変症の患者がおつたということも、この前に御報告申し上げましたが、これがはたして黄変米によるものであるかどうかという点は、はつきり断定はできなかつたのであります。  以上のような状況でございます。
  12. 山田長司

    山田(長)委員 もう一度伺いますが、和歌山事件はどうしてその発覚の端緒がつかめたのか、和歌山事件をもう少し詳しくお願いします。
  13. 井本豪吉

    井本説明員 報告書手元に参つておりませんが、これは土地の警察官が検挙いたしまして検察庁の方に送つて来た事件でございます。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 刑事局長のただいまの答弁では、向うから書類を送つて来て、それでわかつた事件と言われるが、この事件のそもそもの始まりは、実はこれに関係している人たちから私は耳にしているのですから、参考にぜひあなたも聞いてもらつて調べる資料にしてもらいたいと思うのです。実は米が変だというので、配給を受けた人たちから妙なものを配給したと駐在巡査に届け出て、おまわりがどうもこれはおかしな米だということで、だんだんこの端緒ができたんだということを、これに関係ある人が言つているのですが、一体どこからこの端緒が発見されたのか。たばいまの刑事局長の話では、その端緒が非常に不明確だと思うのですが、もう一ぺん明確に説明していただきたいと思うのです。
  15. 井本豪吉

    井本説明員 私の手元に来ている報告書には、昭和二十七年十月二十四日、和歌山市の警察署から送致を受けて起訴したという簡単な報告書が来ているだけで、ただいまのお話のような、ほんとうの事件の発端が書いてございませんので、あるいは調べてみますればお話のようなことがあつたのではないかと考える次第でございます。
  16. 田中彰治

    田中委員長 山田君、どうです、あなたが刑事局長にお会いになつて、いもの金で三千万円も百姓が引つかかつているんだから、そういうことをお話しして、それを一回調べさせたらどうですか。
  17. 小原直

    小原国務大臣 ただいま山田さんからお話になりましたこと、実は当局調べもなるほど足りない点があつたろうと思います。そういう点についてはお話も承つて、なお検察当局に問い合せて、調べが足りないということでありますればなお十分に調べさせたい、こういうように考えております。
  18. 山田長司

    山田(長)委員 いま一つだけ、法務大臣に私の方から要望として申し上げるのですが、実はあなたが今私の質問でお聞きになつているように、中に入つている有働一夫というのは明らかに食管法違反です。当局が今までどう取調べをされたかわかりませんけれども、実は私は有働一夫なる者が横領事件だけ取調べをされておるということが不可解なんです。保証金横領したということだけで、一千万円の保証金だけを本人東洋醸造日本販売農業協同組合に返しさえすれば、それで本人が済むということがどうもおかしいのです。このことについて神前という人を調べると同時に、もう一ぺん――これは有働一夫なるものが実は流したということをはつきり言つているし、それからこの米はこういうふうにもうかるんだからというので、金を引出しているという事実もあるのですから、有働一夫追究してもらいたいと思うのです。そうでなければ、これは農林省に食い込んでおる人なんで、糧穀会社嘱託もしておるという人ですから、また米を払い下げて、こういう事態が発生しないということが言えないのです。そういう点について重ねて私は要望しておきます。  私の質問はこれで終ります。
  19. 田中彰治

  20. 杉村沖治郎

    杉村委員 まずただいまの点について関連して質問したいことがあります。それから伺いたいと思うのですがただいまの刑事局長お話を伺つておると、食管法違反だけのようです。もちろんそれは調査範囲に関するので、あるいはそういうお答えをなさるのかもしれませんが、東洋醸造が取得した米は、東洋醸造が直接食糧庁から払い下げた米だけでありましようか。それとも日本糧穀株式会社から払い下げた米でありましようか。どちらでありますか。日本糧穀の手を通じて東洋醸造が手に入れた米でありましようか。東洋醸造が直接食糧庁から払い下げた米でありましようか。
  21. 井本豪吉

    井本説明員 正確なお答えにならぬかもしれませんが、私ども報告書では直接食糧庁から払い下げた米であるというように聞いております。
  22. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは調査が十分でないのでしよう。これは日本糧穀株式会社が五千六百四十九トン払い下げておるのですよ。東洋醸造外会社で払い下げたのはごくわずかなんですから、東洋醸造だけのものじやないでしよう。先ほどあなにがおつしやつたように、五千百二十五トンというものが和歌山県に流れたとするならば、五千百二十五トンを東洋醸造だけで直接払い下げたとしておれば、それだけ行つておるはずがないのですから、どうしても日本糧穀の手を経た米がそれに入つておるということは、数字の上でまことに明らかなのでありますが、今お答えができないということは、あるいは検察庁取調べがその点まで及んでおらないのじやないかと私は思うのですが、いかがでありますか。
  23. 井本豪吉

    井本説明員 和歌山行つた米の正確な数量は、五一二・五八四トンとなつております。私ども直接の関係は、この約五百十二トン余りの米でありますから、これだけは正確に調べておりますが、この米が、東洋醸造払下げを受けた三千二トンでございますか、そのうちの米であるという点だけは正確に申し上げられますが、その先のことにつきましては、正確な調べではないので、あるいは間違つておるかもしれません。
  24. 杉村沖治郎

    杉村委員 食管法違反というだけであつたのでしようか。食品衛生法によりますと、第四条で、ああいう毒物の入つたものを売買したり何かしましたならば、三年以下の懲役刑を科せられることになつておるのです。もとよりこれをアルコールのために醸造会社に売つたとすれば、その点はさしつかえないでしようが、それ以外には少しも流れておらなかつたのでありましようか。
  25. 井本豪吉

    井本説明員 黄変米でございますから、おそらく食品衛生法の有毒な食糧になると思いますが、私ども和歌山で取扱いましたのは、食糧管理法違反として扱つたのでございます。この扱いました理由は、食品衛生法の方は刑の幅が非常に狭くて、安い、確か三千円以下と思いますが、食管法では十年以下の懲役になつておりますし、その方がずつと重い刑になりますので、その方で扱つたものと思います。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 次は日本糧穀株式会社食糧庁との関係でありますが、昭和二十七年の黄変米のトン当りの価格は九万一千二百五十二円であります。それを二万九千七百円で随意契約で払い下げておるのであります。ところが指名競争入札によつて払い下げた価格は三万二千三百十五円であります。これらのものを払い下げたり何かする場合においては、これはよろしく競争入札にしなければならないのでありますが、随意契約で、競争入札よりもこういうふうに非常に低い価格で売り渡しておるのであります。しかもこの日本糧穀株式会社の社長という者は食糧庁長官をやめてなかつた人で、後任食糧庁長官との間の話合いで、こういう安い随意契約で払下げを受けて、えらい金もうけをしておるのであります。この点については非常にきたない、いわゆる刑事上の汚職問題もあるとわれわれには思われる節があるのであります。かりに汚職がないとしても、こういうような国の財産を払い下げるのに随意契約で、しかも前長官と現長官とで随意契約をやつて、競争入札の価格より安く払い下げるということは、明らかに汚職行為であると私どもは思うのでありますが、検察当局はこういうことについてどういうふうなお考えでおられるか、法務大臣の御答弁が伺いたい。
  27. 小原直

    小原国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は当時のことをよく承知いたしておりません。どういうことでさように払い下げたかという点は、検察庁調べておるかどうか承知いたしておりません。井本刑事局長が当時のことを知つておりますから、同人からお聞き願いたいと思います。
  28. 杉村沖治郎

    杉村委員 私がただいま申しましたことは、それを調査したか、しないかということではなく、これは会計検査院から摘発事項として明らかにされておる事実であります。ただ問題はいわゆる法規の解釈上の問題、取扱いの問題でありますから、今の事実に基いてこの事実が曲つておるというなら、そのことについて事実を明らかにするために他の方法によることもよろしいのでありますが、今のその事実についての法相の御所感はどうですか。前長官と現長官との間において随意契約で政府所有米を一般競争入札よりもトン当り一万円も単価を安く払下げをして、そうしてこれを全国に売り渡して金もうけをしておる。こういうようなことははなはだよくない、すでに規則を侵しておるのであります。しかもその結果が国にこういうふうな損失を与えておるのであります。そういうことに対してよいか、悪いかの御所感を伺いたい。
  29. 小原直

    小原国務大臣 現食糧庁長官と前食糧庁長官会社の社長とが取引をしたが、その取引価格が不当に安いというお話、なるほど安いかもしれませんが、どうしてそれが安くなつたかということは調べてみないとわからぬと思います。ただちにそこに汚職があると断定もしかねますし、元の長官と今の長官との間に結局知合いの間で、そういうようなことができ得る立場にあつたのじやないかと思いますが、それ以上ここでこういうわけであるからそれは不正であろうということをお答え申し上げかねるのであります。
  30. 杉村沖治郎

    杉村委員 それでは井本刑事局長でもけつこうでありますが少くとも国の法規に違反しておる。随意契約で払下げを受けるということそれ自体が法規違反である。そういうことについて、しかも昨年あれだけ黄変米の問題につきまして当決算委員会において当決算委員会において論議されたのでありますが、この事実について検察当局政府当局は別に何ら不審とは思いませんか。食糧庁長官のやつた行為が一向さしつかえないという御所見でありますか、どうでありますか、お伺いいたします。
  31. 井本豪吉

    井本説明員 会計検査法上その他の法規でどういう根拠からかような随意契約をしたかという点についての検討はいまだ十分なされておりません。お話通りだとすれば何か非常に不都合な感じがするのでございます。但しいろいろな事情があることでございましようし、法規の研究ができておりませんので、その結論的な点は研究の上でお答えしたいと思います。
  32. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は次にやはり小原法相に伺いたいのでありますが、われわれ決算委員会は、この黄変米の問題に限らず、すべて国費を消費することについて正しく政府が予算の執行を行つているかどうかということをわれわれは探求するのでございます。本黄変米事件につきましても、その毒はどのくらいの程度であるか。あるいは人体に影響するかしないかというようなことは、実際われわれしろうとでありまして、ことに決算委員会の使命としては、少くともそれは毒であるという前提のもとに、毒物を国の予算で買つて来て国民配給するということはよくないという観点から、いわゆる国費の点からわれわれは深く入つて行くのであります。そこでいろいろな角度から検察庁の方針について伺いたいのでありますが、先ほど委員長も、本日は小原法相に対していろいろな角度から検討をしたいという意味において御出席を願つておるのでありまするが、実は昨年の当決算委員会に犬養法相が造船汚職の問題で来られたのであります。そのときに、犬養法相は、当決算委員会におきまして、この問題は国家にとつて非常な重大問題であるから、いましばらくどうか静観してもらいたいということを懇請されたのであります。それで決算委員会もそのままで静観をいたしておつたのでありますが、その後犬養大臣は指揮権を発動して辞職をせられたのであります。それまではよろしいとして、とにかく造船汚職について日本国民はあげて大騒ぎをしておつたのでありますが、一昨日突如として吉田総理は、ああいう汚職などということは流言飛語である。新聞等がでたらめに報道をしたのであるということを自由党の支部長会議で堂々と述べられたのであります。これは重大問題でありまして、われわれ決算委員会においては、検察庁の予備費も本年承認をいたしておるのであります。そうすると政府検察庁はこの流言飛語、でたらめなことにあの厖大な予備費を使つてつたく無意味なことをやつたのであるか。その点を私ははつきりと小原法相に答えてもらいたい。
  33. 小原直

    小原国務大臣 一昨日自由党の支部長会議に吉田総理でなく総裁の資格で臨まれたものと思うのでありますが、この吉田総裁が支部長会議で言われたことのうちで造船汚職に関する事柄は、私も初めて聞いていささか何と申しますか、焦点が合わぬといいますか、ピントにはずれた妙なことを言われたので、どういうことでああいう話が出たのか、実はふしぎに思つておるわけなんです。趣旨はおそらくは自由党の支部長会議という内部の集まりであるから、心やすだてに自分の腹にある一部のことを言われたのではないか。法律的にこれを解釈するといろいろ問題があると思うのであります。そういう意味であるいは言われたものだと思つて、もし機会でもあれば一応お尋ねしてみようかと考えておる次第であります。
  34. 杉村沖治郎

    杉村委員 今小原さんのおつしやられたお話はどうもそんなことは言葉じりで大したことはないが、総理大臣でなく、自由党の総裁だということを言われるのは、これは私は言葉をひとつ改めてもらいたいと思う。いやしくも吉田さんが国政に関することについて、しかも全国の有力者でありましよう、自由党の支部長を集めた会議で堂々と発表しておるのが、総理大臣ではなく、自由党の総裁だなどということを小原法相ともあろう人がおつしやられるということは、なはだ不可解千万であります。まあ、そんなことはよろしいとしまして、少くとも小原法相は流言飛語、でたらめのことに国家の予備費を使用したかどうか、その点なんです。でたらめであつたのか、流言飛語であつたのか、その流言飛語のためにあれだけの捜査陣を張つて検察当局がやつたのかどうか、この点を明確に答えていただきたい。
  35. 小原直

    小原国務大臣 吉田さんが流言飛語ということを言われたのは、一体どういう考えで言われたのか、私もふかしぎに思つておるのであります。検察庁がいわゆる造船汚職等を調べたのは真剣に調べたのでありまして、決して流言飛語をつくるがために調べをして国費をむだに使つたということはあろうはずがないと思います。
  36. 杉村沖治郎

    杉村委員 この際当時の関係者である最もその点についてはよくお調べになつております井本刑事局長が出ておられるので、今私が質問いたした点についてお答え願いたい。
  37. 井本豪吉

    井本説明員 とにかく国会議員を含めて数十名が起訴されておる事実でもおわかりと思いますし、決して流言飛語でやつた事件であつたということはないのでありまして、相当根拠があつて調べたことは明らかであります。
  38. 杉村沖治郎

    杉村委員 われわれがただいまここに、黄変米の問題を調べておるのは、すでにこの問題についても先ほども山田委員質問したように、刑事事犯が起つておるのであります。特にこのたびの黄変米の価格は実に七十億にもなんなんとしておるところの莫大な価格であります。これが実際に国民食糧に供することができないということになりますれば、これをいかにするかということになる。あるいはこれはわれわれから考えれば、われわれは全然のしろうとでありますが、考えようによつてはあるいはほんとうに人身に毒になるものであるかどうかということはわからない。しかしながら少くとも学者あるいは国立衛生試験所等の研究員のそれをわれわれは尊重して、毒であると考えておる。しかし、それが今までいい加減に流されておつても病気になつた人がないということであるから、昨年あたり黄変米として日本醸造あるいは東洋醸造等に払下げておるのがほんとうの黄変米であつたかどうか疑われる。これも黄変米、あれも黄変米と臨機応変に払下げられたのではないかと思うのであります。このたびも黄変米が病変米とかわりまして、黄色でなくても白色のうちにもあるということになると、輸入米を全部病変米として払下げられてもわれわれしろうとでは全然わからない。そうするとこの問題をめぐつてどれだけの不正事件が起らないとも限らない。そういう意味で造船汚職というあれだけの日本に政治が始まつて以来の大きな汚職事件が起つたのに、それが指揮権発動のためにうやむやにされてしまつた。そして国費を検察庁がむだに使つたということを総理大臣が言つておる。そうすると今日黄変米について、これだけ心配して騒いでおつても、また検察庁がいい加減に国費を使つてうやむやになつてしまつたのではわれわれ困りますので、造船疑獄の問題についてまで質問しておるのですが、将来黄変米の問題について小原法相はどんなお考えでおられるか、ひとつ伺いたい。
  39. 小原直

    小原国務大臣 外米の中に黄変米が相当混入しておるという事実が今日やかましい問題になつて国民としては困つておるのであります。どういう米の中に黄変米が入つておるかということを厚生省及び農林省が協力し、調べた上で輸入するほか方法がないんじやないかと思います。そういうことが実際にできるものかということは、私今ちよつと当局でないからわかりません。よく厚生、農林の当局と相談いたしまして、今後輸入米にさような毒の入つておるものをなるべく入れないようにせなければいかぬ、こういうことを考えております。もしまたあつたならば、これが配給については十分の取締りをして、人体に害のないようにはかつて行かなければならぬ、こういうことを考えております。
  40. 杉村沖治郎

    杉村委員 もちろん配給について人体に影響がないように考えていただくことは当然ですが、それよりも検察庁の仕事としては、この米をめぐつて、どうしてやつたならば去年の――二十六、七年の輸入米についてでもわずかあれだけの米についてもあれほどの問題が起つておるのですが、この十一万トンの黄変米、これは十一万トンどころでないかもしれない、もつとたくさんあるのかもしれません。そういうことについてどういうふうな処置をしたなれば国に損害を与えないで済むか、また国民に毒を食わせるようなことがなくて済むかということについての御所見はいかがでありますか、これだけ伺つて私の質問を終ります。
  41. 小原直

    小原国務大臣 法務省ひとりでこれは処理できません。主として米を扱つておりまする農林省、その栄養その他について調べるところの厚生省とよく連絡をとつて、協議の上で適当な方法を考える以外ないと考えております。
  42. 田中彰治

    田中委員長 藤田君。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま同僚杉村委員からいろいろ質問がありましたが、どうも私納得行きませんから、関連しつつ私独自の質問を展開したいと思います。  当委員会で審議中の黄変米の問題に関連しましては、先月二十四日厚生、農林両省の次官メモランダムが出ております。その末尾に、横流しに対して強力な申合せができておる。ただいま杉村委員の御質問に対しまして、法務大臣からどうも全国民に納得の行くような強い発言がない。私あらためてお伺いしたい。どういう措置をとられるつもりであるか。おととい会計検査院の第三局長より、われわれの段階はもう大体完璧にやつておる。しかし検察庁の段階においてまだ十分でないというような意味の発言もあつたのであります。せつかく国民の血税をもつてあがないました外米、その中に黄変米が出た。会計検査院が調査したところによれば、トン当り八万円を二万円で払い下げた。こういうことでは国民の納税意欲もなくなつてしまうわけでありますが、法務大臣の御所見をもう一度お伺いしておきたい。
  44. 小原直

    小原国務大臣 黄変米が入つて来ないようにすることが第一でありますが、もし入つて来た後においては、それがいろいろな道に流れて国民食糧にならないようにすることを考えなければならぬと思います。その間に何か法律違反のことがあつて、法務省所管に関するものであつたならば、これは厳重に取締りをいたして、横流れその他の方法で黄変米の毒素が人体に及ばないようにする、こういうことをやるほかにないと思つております。それには強力な措置をとりまして、検察庁が力を尽して不正のないように努めさせたいと思つております。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 国民の一人として私は検察庁の公平あるいは信憑性を疑うものであります。幸いに法務大臣も更迭いたしておりますので、この際検察行政に対する国民の信憑性をとりもどす必要があろうかと存じております。その観点からお伺いしたいのでありますが、先ほど同僚杉村委員質問に対しまして、刑事局長から、かつての疑獄は数字でわかるというようなきわめて簡単な、しかも関係者を侮辱するような答弁があつたのであります。小原さんはどういう御意見でありますか。数によつて疑獄が徹底的に追究されたなんというごまかしな答弁では国民は納得しない。現に連日、新聞、ラジオがあの指揮権発動によつてうやむやにした検察庁の態度に対しまして徹底的に糾弾の手をあげている。しかも先々月の文芸春秋には、それを調べました検事がおもしろ半分に疑獄の問答の内容を発表しておる。けしからぬ言動と思いますが、文芸春秋という雑誌をお読みになりましたかどうかお伺いしておきます。
  46. 小原直

    小原国務大臣 ただいまお尋ねの、まず第一に文芸春秋に関したことでありますが、私はざつと見ましたけれども、まだ詳しいことは見ておりません。しかしああいうふうなことは書かない方がよろしいじやないか、こういう考え方を持つております。また今の黄変米取調べ等に対して検事の捜査が足りない、こういうお話であります。あるいはそういうことが当時においてあつたかもしれませんが、これはやはりそのときどきにおいて厳重に監督、取締りを密にして行くより方法がない。過去のことについてなお足りない点がありますれば、これらからでもよろしゆうございますから、私の手において取調べを進めて参らせます。その他今後出て来る問題については十分検察官を督励して遺漏なきようにやらしたいと思つております。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 私はこの際新法務大臣の忌憚ない心境を伺いたいのであります。それは、先般疑獄問題に関しまして検察庁法十四条を発動している。黄変米の問題に関しても再びさような不詳事を起しはしないか。ここはだれでも心配するところであります。一度あつたことは二度、三度ある。犬養というのは鼻持ちならぬ政治家であつたからああいうことをしたといえばそれまででありますが、大臣はかわつても同じ内閣であります。従いまして、かくも大問題を起している黄変米に関しましても、横流し事件等が発生した場合において、再びこういう措置をとりはしないかということを考えるのであります。犬養法務大臣のなしました検察庁法十四条の発動は適正なりやいなや、今後こういう問題に関しまして再び十四条の発動の用意ありやいなや、仮定の事実でありまするが、われわれは安心ができぬからお伺いしておきたい。
  48. 小原直

    小原国務大臣 お答えいたします。造船疑獄に関して当時の犬養大臣が出された検察庁法十四条の発動が正しいかどうかということは、私は批判することをいたしません。差控えます。但し今後黄変米等についてさようなことをやるかというお話でありますが、私を御信頼くださるならばさようなことはいたさぬつもりであります。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 かつて司法大臣をされておつたころの小原さんを知つておるものはただいまの答弁を正直に受取りたいのであります。しかしながら、一昨日の自由党の支部長会議におけるような発言がありますと、国民の国家に対する信頼、法律の公平の原則というものは破壊されてしまうのであります。そういう観点からして、私はこの際吉田内閣総理大臣兼自由党総裁――これはかつての昭電疑獄の問題のときもそういう使いわけがあつたように思います。こういう問題に関しまして何かひとつこの際――ああいう発言は国民の反撃を買つております。誤解を受けております。その総裁たる吉田茂総理大臣のもとに法務大臣をされている小原さんとしまして、何か声明でも出しまして、率直にあなたの気持を満天下に発表する御用意はありませんかどうですか。この点をお伺いいたしておきたいと思うのであります。犬養さんが出された検察庁法十四条の発動に対しては批判しないと言われながら、ついせんだつてあなたが決裁をされてあの跡始末をされておるじやありませんか。あなたに責任が全部継承されておるわけであります。そういう点はどうも法律解釈上も法の番人たるあなたが間違つてはおらぬかと私は思いますが、犬養さんのしたことは全部あなたが跡始末されておる。従つて犬養さんのなしたことはあなたが全部責任を負わなければならぬというようにわれわれは考えます。これは法務省設置法を見るまでもなく、検察庁法四条、六条に関する一般指揮権の、いわゆる十四条の問題を取上げるまでもなく、当然の常識であります。犬養さんのやつたことは――全面的に同じ内閣のことである。しかも跡始末の判こをあなたが押しておられる、こういう観点から男らしく全面的に自分が責任を負つて、十四条も正しかつたなら正しかつたと率直に意見を述べていただきまして、黄変米の跡始末に関連した国民の大きな疑問、これに対する解明としてもらいたいと思いますが、いかがでございましようか。
  50. 小原直

    小原国務大臣 重ねてのお尋ねでありまするが、犬養法務大臣が出した十四条の発動は、私が任官する前にすでにすべて決定しておるのであります。私はこれに対しては責任がないと思つております。従つてこのことについて私が責任を帯びるかというお尋ねは、私は責任を帯びないつもりでおります。但し今後の問題については、私は十分検察庁と連絡をとりまして世の中に誤解のないように努めて行きたいということを念願しております。  なお吉田総理あるいは総裁でありますか、どちらでもよろしゆうございますが、その言われたことについて何か声明でも出すかというお話でありますが、私今日さようなことは考えておりません。しかしその誤解を解いて国民に安心して検察庁及び法務省の仕事を信頼してもらえるようにやつて行きたいということを考えております。
  51. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して。小原法相のただいまの答弁は、内閣の閣員としてきわめて聞き捨てならない言葉だと私は思う。あなたは責任がないということをきつぱりとおつしやられるが、そういう無責任なことを答弁されて閣僚の一員としていいであろうか。なるほど憲法改正前の閣員と憲法改正後の閣員とは身分上においては大いに差はありますけれども、閣員としたならば一蓮托生でありましよう。しかもその一蓮托生の総理大臣によつて任命せられて、そのあとを承継して、しかも造船汚職の結末が発表せられたのは、あなたが就任せられてからであります。それについてあなたが責任がないというのは、私はただ指揮権発動についてそのことの是非をあなたに対して追究しようとはいたしません。いたしませんけれども、それについては私は責任を負わないということを、いやしくも閣僚の一員たるあなたがこの国会においてそういうことを述べられるということは、いささかあなたの責任上妥当ではないと私は思うが、いかがでありますか。
  52. 小原直

    小原国務大臣 造船汚職の跡始末について先般最終的の決定があつたことについては、これはもちろん私のもとにおいてやつたのでありますから、全部私の責任であります。ただお尋ねになりました十四条発動が正しいかどうか、こういうことを言われまするから、それはすでに犬養法務大臣が決定されて出されたことなんでありまするから、それについて私が責任を負えとおつしやつても困る、こういう考えで申し上げたのであります。
  53. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますると、先般の結末はあなたが責任を持たれるのはただいまの御答弁からはつきりいたしました。しからば佐藤検事総長が結末をつけた日に発表された談話その他に関しましても、一々法務大臣として当然了解を与えておられるとわれわれは了解しておりますが、間違いありませんか。
  54. 小原直

    小原国務大臣 佐藤検事総長の談話についてはもちろん私責任を負います。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますると、この談話が問題であります。実にいいかげんな、奥歯に物の挾まつたような言い方をしております。指揮権発動があつたためにやれなかつたような印象を全国民が受けておる。これは顧みて他を言う、卑劣な態度であります。検事総長としては何ゆえに指揮権発動が正しくなかつたならばなかつたということを結論において表明しなかつたか。あなたは十四条発動には責任を持たぬ、しかし結末には責任を持つと言われる。しからば結末において何ゆえに指揮権発動に関する所見をはつきり天下に表明されなかつたか、その点が国民の一人としてどうしても納得が行かぬ点でありますが、重ねてお伺いいたします。
  56. 小原直

    小原国務大臣 すでに犬養法務大臣によつて出された発動を、事が済んでおる今日において私がとやかく批評するということは困るのであります。(藤田委員「国会ですよ、真相をはつきりしなさい、東条内閣とは違いますよ」と呼ぶ)いや、それは承知いたしておりまするが、そういうすでにきまつたことについて私はこれは変更ができないのでありますから、それはしかたがない。そういう意味において私は申し上げておるのであります。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 きまつたことに対して変更を加えよというのではありません。あのきめたときのあなたの心境を聞きたい。きめるについては十四条発動ということが非常に重要な資料になるのは当然であります。あれがあつたために、あなたの意図するような良識的な判断を下せなかつたかどうかということであります。非常に不可解なる結論を下さざるを得なかつたかどうかということであります。この点は一昨日の総理の発言と非常に関連しておりまするから、重ねてお伺いします。われわれは黄変米の最後の段階をあなたにまかせるにいたしましても、この点がはつきりしないとわれわれはどうも安心ができないのであります。
  58. 小原直

    小原国務大臣 十四条の発動が後の私が最後に決裁したことに影響があるであろう、従つてそれについての批判、正しいか悪かつたかということを言つてもいいじやないかというお尋ねであるように思うのであります。それでよろしゆうございますか。――でありまするから、そのことについては、当時すでに法務大臣がきめたことを、私が、それはよかつた悪かつたということは差控えたいのであります。これはお尋ねになりましても、私はそれの是非を今日申し上げません。しかし最後の決裁をしたことについては私はもちろん責任を負う、これは疑いないことであります。
  59. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたがただいま最後の決裁については責任を負う、こういうことなんですが、一昨日のあの吉田総理の、流言飛語である、こういうような言葉について、あなたは検察陣の最高指揮者であります。検事総長以下に対してあなたが最高の地位にあるのですが、吉田総理のあの発言についてあなたは将来検事総長以下をどういうふうにして――検事総長以下はどんな考えでおるか、あなたはこれに対していささかそのままではおれないのじやないかと私は思う。あなたは少くとも犬養法相のあの指揮権発動が適当であるかどうかということの批判は差控えたいというのでありますけれども、少くとも私の知つておる範囲においては、将来信じてもらいたい、そういうことはしたくない、こういうことをあなたが先ほど述べられておる以上は、先ほどの言葉は、あの十四条の指揮権の発動は適当ではない、自分としたなればやりませんという言葉でありましよう。それほどの気持を持つておるあなたが、しかも吉田総理から法務大臣に任命させてもらつて、今度はあの暴言を吐かれて、それであなたがそのまま黙つて法務大臣の地位にすわつておるということは、私は検事総長以下に対してもいささかどうかと思う、一言なかるべからずでありましようと思いますが、あなたの御所見はいかがでありますか。
  60. 小原直

    小原国務大臣 先ほどどなたかのお尋ねに対してお答えをしておきましたように、あの言葉はおもしろくない言葉でありまするから、一応お話をしようという考えでおるのであります。
  61. 片島港

    ○片島委員 大臣にこの問題はやはり私はこの際態度をはつきりしていただきたいと思う。新聞でも大きく取上げておるのは御承知通りであります。法務大臣が無官の大夫であれば、あの暴言を聞いて、ふしぎだとかおもしろいとかおもしろくないとか、そう言つておればいいかもしれない。しかしあなたは、全司法権、検察権の長として、今後司法権、検察権を監督統括して行かなければならぬ立場にある。その検察権、司法権を今後発動して行く上において、あなたたちの部下が行動する上において、これは重大なる問題を投げかけたのです。だから国民はそれに対して非常な心配をしておる。非常な疑惑を持つておる。あなたがそれを解明しなければならぬ。あなたがはつきりと、ああいうことを言うことはけしからぬことだ、吉田自由党総裁が――総理大臣とおつしやらなくてもけつこうであります。自由党総裁が支部長会議、しかも相当有力な人の集まつておるところでああいうことを言うということは、国民に対して非常な疑惑を持たせることであるからよろしくないことだ、自由党総裁がこういうことを言うたにかかわらず、あくまで今後は司法権を擁護し、また検察権の行動に何らの制限を受けるものでないということを、堂々と、声明書を出されなくても、ここではつきりとあなたが発言していただきたい。うやむやのうちに、自分も閣僚であり、吉田総理から任命せられているのだから、奥歯にもののはさまつたような答弁をされることは、国民としては承服できない。この点を明確にしていただきたい。
  62. 田中彰治

    田中委員長 法務大臣、あなたはちよつと誤解しておられるが、黄変米問題について造船疑獄のことを許しているのは、今後何十万トンというものが払い下げられる。それが今まで横流しされているから、はたしてあなたの監督されている検察庁がそれを厳重に取締れるかいなかという問題、ああいう大きな問題の払下げには政治的なものが動くからそれを心配しているのと、もう一つは、あなたにここでよく了解してもらわなければならぬことは、吉田さんの言われたことはいいのです。放言であろうと私には関係ありません。ここは検察庁の予算費の承認をしている。予備費の承認は決算委員会で許しているのでありますから、予備費をあれだけ使つて、あれだけ代議士を刑務所に送り、有田君でも藤田君でもみんなやられた。一方では入れられない。しかもそれは流言飛語であるというなら、起訴した者もみんな許しなさい。国民がそれで済みますか。あなたの給料でも私の給料でも、みんな国民の血税ですよ。刑務所に入れた者も全部許しなさい。さもなければ声明書を出しなさい。そんなことは決算委員会は許しません。
  63. 小原直

    小原国務大臣 ただいまお尋ねがありましたように、私がいやしくも法務大臣に任命された以上は、法務大臣として適正なことをやる。たといほかの人たちの考えがどうあろうとも、検察としてはこういうことをやらなければならぬ、これが正しいことである、こういうことを思つて、それに専心精進する、こういう考えで今後もやつて行くつもりでおります。この点は皆さんが御信頼くださるかどうか、これはどうも保証できないかもしれませんが、しかし私はいやしくも正しいことである限りは、何人の制肘も受けずにやつて参ります。それができなければ、それが私が進退を決するときであります。
  64. 山田長司

    山田(長)委員 関連して法務大臣にちよつと尋ねます。実は佐藤検事総長の談話の新聞発表は、奥歯にもののはさまつたような言い方で、われわれはあのあとで何か出るかと思つたら、その後依然としてその談話発表だけです。法務大臣としてはあの談話発表だけで国民が納得していると思つておるかというかということです。私はぜひ大臣に明らかに声明書を出していただきたいと思う。あんな奥歯にもののはさまつたようなことで、国民は佐藤検事総長の談話を納得するわけには行かないのです。その点についてどう考えておるか、一言あなたの答弁を伺います。
  65. 小原直

    小原国務大臣 佐藤検事総長の談話は、内容が仰せの通り具体的になつておりません。これは検察当局がいろいろ評議をした結果、起訴された分についてはこれはさしつかえありませんが、起訴猶予あるいは不起訴になつたものについては、事実の内容、声明等を出すことは、それはその人の名誉を汚すおそれがあるから今のときにおいてあれは出さない、こういうことでありました。私はその報告を受けてそれをもつともだと思つておりましたから、それを承認したのであります。
  66. 山田長司

    山田(長)委員 私たち調べ範囲でも、あの事件にひつかかつた人たちは新聞発表では百五名といつておりますが、私は全部名前をあげたけれども、百九名もあるのです。大体贈つた方の人たちは一応全部警視庁やあるいは小菅の刑務所にぶち込まれておる。しかしもらつた方の人たちは何も問題にならずに、しかもその談話発表で問題にならない。あなたがそれを承認したというのは実に私は不可解です。なぜ不可解かといえば、一体贈つた方の人たちは一応曲りなりにもぶち込んで取調べたが、もらつた方の人は一つ調べていない。もらつた方の人たちをなぜ発表できずにおるのか、それをもう一ぺん具体的に答弁願いたい。
  67. 小原直

    小原国務大臣 検察庁が全部相談の上できめた事柄でありますから、私はそれを正しいとして承認しておるのでありますが、もしこれを私の方でなおかれこれ言うならば、なおやはり検察当局に対するある圧迫を加えるというような問題も出ますので。そういうことをこの際避けた方がいいということで承認いたしたのであります。
  68. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁によりますと、あなたは法務省設置法第二条による検察に関する最高責任者であるということを回避される、検事がみんなきめたことであるから、自分はそれを正しいと思つたので承認したということになりますと、あなたは傀儡にすぎない、盲判を押したということでありますかどうですか。
  69. 小原直

    小原国務大臣 そんな考えは持つておりません。私は私の権能においてやつたのでありまして、決して検察庁の言うところに盲従してやつておるのではありません。
  70. 田中彰治

    田中委員長 法務大臣、ちよつとお聞きしますが、そうすると許された人と今度有罪になつた人とをお比べになつて、これは公平な処置だと一体お考えになりますか、不公平があるとお考えになりますか。それによつて予備費を承認した私ども決算委員会として考えなければなりません。それをよく御答弁願います。
  71. 小原直

    小原国務大臣 検察庁調べたところによつて検察庁は起訴、不起訴をきめたのであります。証拠の上でこういうふうにやるほかないということでありますならば、これはやはりそう決定するよりほかに方法がないと思つております。
  72. 田中彰治

    田中委員長 今起訴されておる人たちの処置も起訴されない人と比べてあなたは公平だと信じられますか。流言飛語だつたらどうして起訴したのですか。
  73. 小原直

    小原国務大臣 流言飛語だということはもつてのほかです。
  74. 田中彰治

    田中委員長 それじや声明書を出しなさい。さもなければ予備費を返しなさい。
  75. 小原直

    小原国務大臣 流言飛語で起訴したのではないということを申しておるのであります。
  76. 田中彰治

    田中委員長 声明書を出しなさい。国民の税金を使つておるじやありませんか。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 法務大臣に伺いますが、あなたは誤解にあらずんば詭弁を弄しておられる。今問題になつておるのは、吉田総理が自由党の支部長会議におきまして、造船疑獄の捜査の事実は流言飛語である、こういうふうな発言があつた事実、それに対する法務大臣の所見及び処置を求めるというのが質疑の趣旨なんです。従つてあなたは将来私の人格を信頼してほしい、検察庁法十四条の発動をするようなことをしないとか、将来のことを聞くのではない。またあなたの抽象的な人柄を聞くのではない。具体的に政治家、行政の総理大臣としての立場にある吉田総理の言葉自体の政治的影響が非常に大きい。そのもとにあるあなたは法務大臣として――将来何十億円の黄変米がどう処分されようかという段階に来ておるのであります。こういう事態にあるのですから、あなたは吉田総理の流言飛語なる具体的なその言葉について、法務大臣としましてのはつきりとした見解をお述べにならなければならぬ。吉田総理大臣に一ぺん聞いてみよう、どういう趣旨であつたか、感違いであつたか、ピントはずれであつたかというような、そういう人事、そら事ではないのであります。いやしくもあなたも閣僚の一人でありますから、ただちにその発言に対する見解なるものはきめなければならぬ。またきめることが当国会に対する答弁責任でもある。これからきめますというのでは、あなたは今後閣僚として仕事をやつて行ける人かどうかすらも疑わざるを得ない、こういうことにもなつて来ますので、具体的なその事実に対するあなたの所信を法務大臣としてはつきりしなければならぬ、こういうことなのであります。だから、続いて、藤田君もおつしやつたごとく、適当な措置に出なければならぬじやないかというふうに、この二段にわかつたのであります。それをひとつはつきりと答弁していただきたい。
  78. 小原直

    小原国務大臣 重ねてお尋ねでありまするが、流言蜚語なんという言葉をどうして出されたのか私ははなはだふかしぎに思つてつたのであります。従つてどういう事実に基いてこう言つておるのか、それをやはり一応聞かなければならぬ、こういう立場に私は今立つておるのであります。
  79. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで、その問題に関連してお伺いしたいのでありますが、吉田総理の総裁としての発言中に、政治資金規正法を否定したような言動があつたことは御存じだろうと思います。ラジオ放送もやつております、新聞にも出ております。いわゆる届出をしないということは当然のことであるような発言がある。あなたはこの混乱期に吉田内閣の法務大臣を引受けられた。相当悲壮な決意で出ておられるとわれわれは想像しておる。むしろ御同情申し上げる。しからばこの吉田内閣の首班たる吉田茂が公開の席上において、日本の第一党の支部長会議の公開の席上において、法律を否定するような言動を発した。そういう吉田総理大臣のもとにおいてあなたは法務大臣として今後任を全うし得る自信がありますかどうですか、重ねてお伺いしておきます。
  80. 小原直

    小原国務大臣 私は法務大臣として正しいことをやつて行く、こういう決心でおりまするから、あの言葉は不都合であります。またああいうことはあるべきことじやない。それゆえに私は、私の立場においてはああいうことはあり得ないように否定したいと思つております。
  81. 藤田義光

    ○藤田委員 あなたはどうも孤立内閣制度的な論議をされる。新しい憲法をあるいは御存じないかもしれない。新しい憲法の六十六条をひもとけば、ちやんとはつきり規定してあります。各大臣をもつて内閣を組織する。内閣は国会に対して連帯して責任を負うというはつきりした連帯責任規定が新しい憲法にあるのであります。あなたは吉田内閣の一閣僚であります。その首班たる吉田茂があのような暴言を吐く。これは暴言であるか真意であるかわかりませんが、そういう発言をする総理大臣のもとにおいて、先ほど来良心的な発言をされておりまするが、法務大臣の職務を完璧に遂行し得る自信があるかどうかということであります。この問題が黄変米に関する当委員会の決議等に重大な影響がある。われわれは検察庁当局あるいは裁判所当局の立ち上りを期待するがゆえに、あなたの忌憚ない心境をお伺いしておかなければ、次の質問に入れない。重ねて御所見を伺いたい。
  82. 小原直

    小原国務大臣 吉田総理のあの言葉は、何か大きな誤解があるのじやないかと思つております。従つてよく話をして、そういうことを将来ないようにして行きたい、こういうことであります。  それからなお、内閣全体の責任としてお示しになつたことはよく了解しております。
  83. 藤田義光

    ○藤田委員 もし誤解であつた場合はどうされるつもりであるか、誤解でなかつた場合はどうされるつもりであるか、率直なところをお伺いしておきます。
  84. 小原直

    小原国務大臣 それはそのときによつてきめなければなりませんから、私はあらかじめその場合を想定して申し上げられません。
  85. 藤田義光

    ○藤田委員 吉田総裁の発言という事実はもう具体化しています。教日前の問題である。あの発言を聞いたとたんに法の番人たるあなたは何か期するところがなくてはならぬのである。そういうふうふうな、いまだにあの発言をよく本人に確かめなければ腹がきまらぬような法務大臣では、再び指揮権発動を繰返すというようなことを国民は危惧するのである。現在のところ何ら考えがないのかどうか。誤解であると思うということだけは考えが固まつているようであります。誤解だつたらどうするか、それだけを、あなたの発言があつたからお聞きしておきましよう。誤解でなかつた場合は仮定の事実としてあなたの答弁はいりません。誤解であつた場合はどうするつもりかお伺いいたします。
  86. 小原直

    小原国務大臣 とにかく確かめなければわからぬことでありますから、私はここではそのことは申し上げません。
  87. 田中彰治

    田中委員長 委員各位に申し上げます。いろいろ都合もありますからこれで休憩して、一時半からやることにいたしましよう。それで、どうか法務大臣も一時半から出てください。  それではこれで暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時七分開議
  88. 田中彰治

    田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  ただちに質疑を許します。外務大臣が選挙区へお帰りになつて病気で連絡がとれぬそうです。政務次官がかわりにおいでになつております。それから局長もおいでになつております。政務次官が就任されたばかりですから……。
  89. 藤田義光

    ○藤田委員 ちよつと議事進行について。午前中黄変米の跡始末に関する重大な質疑応答中でありまして、法務大臣に対する質疑を中断するということは、当委員会として非常に不自然である。私はあくまで暫時休憩せられまして、法務大臣の出席があるまで待つというふうに委員会を運営していただきたいと思います。
  90. 田中彰治

    田中委員長 外務政務次官に大臣が来られない理由を述べてもらつて、そうしてあいさつだけしてもらいましよう。
  91. 秋山俊一郎

    ○秋山説明員 私今回はからずも外務政務次官を命ぜられまして、先日就任して今せつかく勉強をいたしておる次第であります。本来まことに浅学菲才の上に全然畑違いの面を担当することになりました。今後皆様の一層の御指導と御支援をいただくことに相なるかと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。  今日外務大臣が出るはずでありましたところ、他出いたしておりまして、からだの調子が悪くなりまして今日は出て参つておりません。はなはだ相済みませんが、私はまだ就任早々で内部の問題もわかつておりませんので、担当の局長も参つておりますから、かわつてやらしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  92. 田中彰治

    田中委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  93. 田中彰治

    田中委員長 それでは速記を始めてください。  それでは質疑を許します。
  94. 藤田義光

    ○藤田委員 半前中に引続きまして質疑を続行します。非常にくどいようでございますが、問題の重点がまだ半前中はぼやけておりましたからお伺いしたいと思います。犬養前法務大臣小原法務大臣は大臣としての事務引継ぎはやられたでありましようか、どうでありましようか。
  95. 小原直

    小原国務大臣 犬養大臣とは引継ぎをいたしません。
  96. 藤田義光

    ○藤田委員 加藤前大臣とは引継ぎをされたわけでございますか。
  97. 小原直

    小原国務大臣 さようでございます。
  98. 藤田義光

    ○藤田委員 事務引継ぎということは常識的にも法律的にも、前任者の権利義務、責任一切を引継ぐということが永年の政治慣習上の常識である。従つて同一吉田内閣のもとにおける前加藤法務大臣は犬養元法務大臣から引継ぎを受ける。小原法務大臣はそれをまた引継ぎを受けるということは常識上当然のことであります。しかりとすれば当然指揮権発動ということは同一内閣のもとにおいて実施されておりますので、小原さんはこれに対して責任がないという半前中の答弁はお取消しになつた方がよろしいのではないか。法律専門家に釈迦に説法ではありますが、いかがでございますか伺つておきます。
  99. 小原直

    小原国務大臣 同一内閣においてはすべての国務大臣はその系列においてかわつても、やはり責任がある、こう私は思つております。従つて先ほど申し上げたことは言葉が足りぬので、私はそれ自体を事実しかれこれ申し上げたくない、こういう意味で申し上げたのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  100. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁からしましてややはつきりいたしたのでございますが、そうすれば四月の指揮権発動というものは当然犬養氏から加藤氏に至り、さらに現法務大臣小原直氏に引継がれている。従つて検察庁法十四条の発動に伴う一切の責任はあなたが引継いでいるというようにもう一度率直にひとつ御答弁つておきたいと思います。
  101. 小原直

    小原国務大臣 やはり同一内閣においては政治的には責任がある、こう思います。
  102. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと指揮権発動の責任は全部小原さんに転嫁されて参つている。従つて指揮権を発動したという前提のもとに先般の結論は出た、こういうふうに解釈してよろしゆうございますかお伺いします。
  103. 小原直

    小原国務大臣 検察庁の決定はやはりそのもとにおいて行われたと思います。私はそれをやはり了承しております。
  104. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、御存じのごとく昨年度におきましては屡次の災害が全国を非常に苦しめております。従いまして一銭一厘の国家財政すらむだに使わらいように非常に政府当局でも苦労いたしまして災害復旧費を捻出したのであります。その中には予備費も当然含まれておつたのでございます。ところがこのような予備費、それと同じような血の出るような予備費が先般の疑獄捜査には出ているのであります。ところがその結果に関しましては、国民が納得しないような非常に不明朗な、不公平な、法治国にあり得ないような醜態を演じておる。これは見解の相違と言われればそれまででありますが、私は率直にかように考えておる、あなたはまだ就任前でありますが予備費まで使つて捜査をやる、こういうことが過去においてあなたの司法大臣在任中にあつたかどうか。今回予備費まで放出させて捜査したということは正しかつたかどうかということを、当決算委員会の性格上率直に述べていただきたいと思います。
  105. 小原直

    小原国務大臣 昔の私の在任中には覚えておりません。今回の事件について予備費が支出されたということでありますが、やはりそれは正しい意味において使われておつたものと思つております。
  106. 藤田義光

    ○藤田委員 この問題に関しましてはいずれ会計検査院当局も出ていただきまして、ゆつくりお尋ねしたい。使途についてわれわれはいろいろなことを聞いておりますから、その点を究明する機会を与えてもらいたい。委員長にお願いいたしておきます。  この際私は先ほど刑事局長答弁がありましたが、敷衍していただきたい。今回の疑獄事件に関連して何人自由を拘束されたか、そのうち政界と財界を区別してどういうふうな起訴、不起訴がなされたか、大まかな数字をお示し願いたい。
  107. 井本豪吉

    井本説明員 資材をここに持つて来ておりませんので、正確なお答えができかねるのでありますが、ちよつとお待ち願えればただちに取寄せます。
  108. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して……。先ほど小原法相は、午前の責任問題を言葉をかえられて責任のあることをお認めになつたのであります。そうなりますと、犬養法相のいわゆる当委員会において供述せられたことについては、やはり同一の政治上の責任を負われておるものだと思うのであります。犬養法相は当決算委員会におきまして、疑獄事件については事重大であるから、どうかこれが一段落するまで待つてほしい、こういうことを述べられたのであります。しからば小原法相が責任を負われて今法相の地位にあるのでありまして、ことにあなたがこの結末をつけられたのでありますから、この造船疑獄がどういう形態であつたかということ、並びにくどいようでありまするが、先ほど吉田総理が流言飛語だと言われたが、あなたが法相としてその事実に対してどうであつたかということを具体的にひとつお答えが願いたい。それは犬養法相が在任でありまするなれば、当然われわれ決算委員は当決算委員会に出てもらつて、事は解決したのだから、さあ、答えてもらいたいということを要求するのであります。ところが犬養さんは辞職せられてしまつておる。あとを承継されたのは加藤法相、次いでこれを承継されたのはあなたでありますから、先ほどあなたが政治上の責任があるということをおつしやられた以上は――犬養法相は待つてもらいたいという延期をわが決算委員会に申し入れたのであります。ところが当のあなたが結末をつけられたのでありますから、どういう事情でこういう結末をつけたか、その結末をつけたことがまつたく吉田総理の言うごとく流言飛語であるからああいう結末をつけたのであるか、ひとつそれをお答え願いたい。
  109. 小原直

    小原国務大臣 犬養先の法務大臣がこの席でどういうことを言われたか、私は承知いたしません。従つてそれは速記録等を調べた上でお答えいたします。それに関連して今の流言飛語云々ということを吉田総理が言われた、それをどうするかというお話のようでございますが、これは先ほど申した通りであります。聞いてみなければ何とも断言できないということを、こういうことは前にも申した通りであります。
  110. 田中彰治

  111. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私はこの際お許しを得まして、二、三の点につき法務大臣並びに刑事局長質問をいたしたいと思つております。午前中私は本委員会を傍聴いたしまして、あまりにもあなた方の申しておることが無責任きわまることに驚いた。私も国民の代表として、国会議員の一人として、かくのごとき暴言をあなた方が検察に籍を置き、政府に籍を置き、許さるべきであろうかと私は非常に憤りを感じたのであります。法務大臣はそのときに任にあられなかつたので、私はあなたにはこの点はこういうことをあなたは検察の常識として考えられるかどうかということをお尋ねしたい。刑事局長については、あなたが従来議院運営委員会において逮捕許諾の請求をなすつたときに陳述せられた事実と相反するところの結論が出ておるが、それに対してあなたはいかなる責任をおとりになるか、この点を伺いたい。それは造船疑獄につきまして衆議院議員有田二郎君は収賄をし、贈賄幇助をしたという事実に基いて逮捕許諾の請求が内閣総理大臣の名前をもつて衆議院議長に発せられたのであります。以下ここにおられる藤田義光君もその嫌疑をこうむつた一人である。岡田五郎君あり、關谷勝利君相次いで逮捕された荒木萬壽夫君もまた逮捕状が請求された。そのときにあなた方が述べたことは、こういう人人の収賄の事実が明らかであるからこれを逮捕し、隔離し、証拠隠滅のおそれを防ぎ、逮捕して取調べをいたしたいというのがあなた方の逮捕状請求の趣旨であつたと私は承知しておる。本日私は一記録部長のもとにおいて秘密会の速記を再び見ましたけれども、私の記憶が間違いなかつたことを私は知つておる。しかるに今日承るところによれば、総理大臣は自由党の支部長会議においてあれは新聞のでたらめだ、流言飛語だ、捏造だ、指揮権発動が何が悪い、検察当局は人権を擁護するというのが新しき憲法の建前である、人権を蹂躙して逮捕監禁して調べなければならぬというのは何と無能であろう、私の知る限りにおいてはこういうことはない、こういうことを言われた。それでは刑事局長は、あなたはあれほど議院運営委員会で説明し、これほど国会議員の憲法によつて積極的に保障された身分をも蹂躙して逮捕する、しかもかつては司法政務次官をやつた田中角榮君あるいは芦田均君、あるいはもう一人あつたかと思いますが、それらの人々は相次いで無罪になつておる。そういうことを数人の検事が共謀してやつた場合には検察フアツシヨンのおそれなきやということをただしたところが、法務大臣並びにあなた方は、とんでもない、検察はそういうことはできない、すべてが寄つて協議して、まつたく意見が一致しなければこういうことはできないのだ、もしその検事に誤りがあればどうするか、それは必ず多年の検察の習慣によつて、その検事は首切りはしないけれどもいろいろな方法によつてその扱い方については厳重にこれを行つておる、相次いであなた方はそういう説明をされた。しかるに今日総理大臣は、あれは検事の無能なり。逮捕して監禁して調べなければならぬということは検事の無能であるということを言つておるが、一言の説明がない。何事だ。これは刑事局長。  法務大臣に向つてお伺いするが、流言飛語である、とんでもないと総理大臣が言われれておる。それならば、内閣総理大臣が衆議院議長にあてて議員何のたれがしに逮捕状を請求した。この事実は明白な事実です。この職権に基いて私どもは審議をいたしたのであります。しかりとするならば、あなたは事実を確かめたいと言うが、ごじようだんを言つてはいけません。事実は明々白々である。録音にとつてある。日本の今日のおそるべきものは検察の威信が地を払つておる。国民の声の中には、えらい人が悪いことをしたならば何にもならない。貧乏人、貧しき者がするならば、たとい五百円の金をとつても、やみ米をしても監獄や警察の中にぶち込まれる。今や裁判所も検察当局も信頼ならぬということが、今日国民の大半の声であります。この検察の威信地を払うという事実について、かつては身をもつて検察幾十年の生活を持つてつたあなたはどういうことをもつて擁護されようとするか、この点をまずお伺いいたしたい。法務大臣刑事局長よりそれぞれお答えを願いたい。
  112. 井本豪吉

    井本説明員 お答えいたします。犯罪の捜査について一言申し上げますと、元来犯罪の捜査というものはこれは任意にやるのが原則でございます。しかしながらものによつてはあるいは逮捕、押収、捜索等の強制手段を用いなければならぬものもございます。検察官といたしまして当然逮捕しあるいは押収、捜索等の強制手段を用いてやらなければならぬ事件を任意捜査でやるということは、職務の怠慢でございます。簡単な例を申し上げますれば、最近大津ギャング事件のようなものも起きておりますが、あれをもし任意捜査でやるということになりますれば、これは国民の常識はもちろん、法律常識といたしましても、その検事はおそらく職務の怠慢であると言われるであろうと私は思うのでございます。汚職捜査におきましては、これまた私議院運営委員会におきまして何回も申し上げました通り、特殊の犯罪でありまして、交通を遮断しなければ調べができないというのか一応の原則でございます。もちろんそれは個々の立場があると思いますけれども、さような犯罪の性質上、あの当時におきまして交通を遮断して取調べるのが相当であると考え、現在もその考えは少しもかわつておりません。吉田自由党総裁が発言されました内容につきましては、私その前提がよくわかりませんので、捜査についてよく調べた上での言明であるかどうか今ここで結論は出ませんから批判は差控えますが、私の考えは当時とは毛頭かわつておりません。当然のことを当然と御説明申し上げ、その通りつたと考えております。
  113. 小原直

    小原国務大臣 なお私にお尋ねがありましたのでその点にお答えいたします。検察のやり方についてどういう信念を持つてこれをやつて行くかというお話であります。私は従来の経験に基き、自分の常識の命ずるところによつてできるだけ検察事務を公正に行い得るように監督をして行きたいと思います。検察事務にはそれぞれ監督系統がありまして、その系統によつて監督いたしておりますが、その上になお法務大臣があります。私はその地位において先ほど申し上げたような方法で監督を行つて行きたいと思つております。
  114. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 刑事局長答弁は、今日なお当時の態度といささかの狂いもないと言われまするならば、それでは法務大臣にお尋ねする。やはり逮捕し、その疑惑を解くためにこれらの人人の収賄の事実を明らかにしておる。それが疑獄にあらずと言うならば、これはあらずと言う方が間違い、それとも疑獄にあらずということが認識され、立証されるならばそれは検事の間違い、そのいずれかをあなたは決しなければならない。法務大臣として、検察の最高の責任者としてあなたはこれをやらなければならない。そうするとまず議会に議員の逮捕状を総理大臣が請求なされた。その疑獄を捏造であるということを総理大臣は言つておる。法を守る人はだれか。あなたは自己の信念と言うが、その信念とは何か。すなわちもう一ぺん厳格に言つて総理大臣は違つておるかおらぬか、刑事局長は私からははばかると言うが、それはあなたは官吏としてそうかもしれません。しかし法務大臣として、検察の最高の責任者としてあなたは総理大臣の言を訂正させるか、それともこれをうのみにする以上は、これらのものを扱つた検事並びに検察首脳陣に対して処罰する意思があるかどうか、この点も私は聞きたい。吉田さんの言うことが正しければ、検察官首脳部並びに係検事を処罰することが当然であると思う。しこうして検事のとつた捜査方式は遺漏なきものなりと言われるならば、総理大臣のこの暴言にあなたは検察の最高の責任者としていかなる態度をもつて臨まれるのか。その点、ただ私を信じてくださいというような抽象論は、今日の新しい憲法ではこれを認めておらない。これは蛇足のようでありますがあらかじめあなたに申し上げておいて、その具体的な所信のほどを表明していただきたいと思います。
  115. 小原直

    小原国務大臣 午前中にも同様のお尋ねに対してお答えしましたが、吉田さんの言われた意味がはつきりせぬ以上は、これに対して何らの批判を加えるわけに参りません。私の今の立場はそうであります。
  116. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 法務大臣に私は申し上げます。意見とか批評ではないのです。これは具体的事実に基き、あなたの職務鞅掌、職務に基くところの責任をどういうふうにされるかということを私は聞いておる。あなたに批評や分析を求めておるのではないのであります。われわれ国会議員としていやしくも憲法に保障され、国会法に保障されておる議員の身分をなおかつ拘束し、逮捕しなければならぬという積極的なものが現われておる。それに基いて検察当局は逮捕請求をいたし、それを総理大臣みずからがまた認証いたしまして国会に請求して参つた。その事実は、私は仮空の事実を言つておるのではない。それを総理大臣がそれは捏造だとか、新聞がかつてに書いたのだとか、検事が無能だとか、そういうことを言われてあなたは黙つておろうとする。これはあなたがどういうふうにお感じになるかは御自由です。しかし私は日本の三権分立の精神はここにおいて破壊されるという恐るべきものを心配する。失礼なことを申し上げますが、あなたは総理大臣の所見を伺つてみなければと言われるが、これは今日まで二日も三日もたつてあなたが伺うということではなかろうと思う。進んであなたは取調べをしなければならない、そうしてその人のためにもその心境をあなたは国会に表明なさるべきだと思う。従つて私は決してあなたに対する責任を言つておるのではない。こういうふうに地に払われた検察の威信をあなたはどうして回復されようとするか、その所信を伺いたい。その点を私はお願いする次第であります。
  117. 小原直

    小原国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておる通りであります。
  118. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 あなたにこれ以上お尋ねしてもむだかもしれませんが、そうするとあなたの今の所信といいますのは、自分の部下のとつた検察首脳陣の行動を認めつつなおかつ総理大臣の発言もあなたはこれを認めておる、これがおかしいではないか。その点をどうするか。私はもう一歩進んで言いましよう。もし総理大臣の発言が調査した上において事実伝えられるがごときものであるとするならば、あなたはこの総理大臣の言葉と検察の態度というものの調和をどういうふうにはかろうとなさるのであるか。たとえばあなたは身を挺してでも検察の威信を守ろうとするかしないか。しかしそれはそうでない、やはり一国の総理の言うことであるから、私はその部下に属するから総理大臣の言うことに従うというのか、この点をあなたは御答弁を願いたい。
  119. 小原直

    小原国務大臣 御不満足でありましようが、私がさつきから申し上げておることでただいまお尋ねになりましたことはよくわかつておることと存じますから、これ以上は申し上げられません。
  120. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 先ほどから申し上げると申しますが、私は午後初めて委員になつてあなたに質問しておるのです。もしあなたがどうしても言いにくいというのなら、私は今言つたように調べてみた結果はどうかということを聞いておるのでありますが、たとえば総理大臣の言つたことがもし事実であるとするならば、間違つておるといつてそれは総理に訂正を求めるという御発言ができますかできませんか、いかがてすか。
  121. 小原直

    小原国務大臣 午前に同様のお尋ねがありまして、私は総理に会つて聞いてみなければ事実はわからぬ。従つてわからない以上はこれ以上申し上げられませんということを御答弁申し上げておるのであります。
  122. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 わかつたならばどうなさるかということを聞いておるのであります。もしそうであつたならば、あなたはそのときには総理にそれは違う、訂正してくださいということをお求めになりますかなりませんか、そのことを伺つておるのです。
  123. 小原直

    小原国務大臣 わかつたならばどうするかとおつしやるが、それは今日私は申し上げられません。
  124. 杉村沖治郎

    杉村委員 同志池田委員が先ほどからあなたにたいへんこまかく聞いておるのでありますが、あの吉田総理の言つたことはあなたが今聞いてみなければわからないということは、これはいささかあなたの逃げ言葉ではあるまいかと私は思つている。今朝の新聞でも小野清一郎君があの通りの批判を加えているではありませんか。もう今日各新聞が報道しているところのあの記事を、あなたが今吉田総理に聞いてみなければわからぬというようなことであるとすると、われわれはあなたが検察陣の最高首脳者としてそれで検察事務をやつて行けるかどうかということを疑わざるを得ない。今日の新聞、ラジオの報道で、あれをさらに吉田さんに聞いて見なかつたなればその真意がわからぬなどということを今日おつしやられていることは、いかにもあなたはそれは答弁が苦しいかしれません。苦しいかしれませんが、しかしここは国会でありますからそういう遁辞を述べられないで、私は率直にお答えになつたらどうかと思う。そうして私はあなたがほんとうに検察陣の最高責任者であつたなれば、むしろあなたはこの吉田内閣にとどまるべきじやないのじやないか。ほんとうに検事総長以下のいわゆる諸君の心情を考えたら、あの通り実際神経衰弱になるほど検察陣営の人が骨を折つて捜査したのだ。それにもかかわらずそれが流言飛語であるというようなことのために葬られたらあの検事総長以下の諸君の労はどうなるのか。これをあなたが最高責任者として考えたときに、こんな内閣に一日としてとどまつておることができないというのがほんとうだと思うのです。どうかあなたのほんとうの率直な意見をひとつ述べてもらいたい。
  125. 小原直

    小原国務大臣 ただいまの御忠告を承りましたが、これについて別段私は申し上げることはありません。
  126. 藤田義光

    ○藤田委員 あとがありますから、あと二、三点で終ります。法務大臣が午前の答弁を翻されまして指揮権発動に関しての責任を認められたということで問題がだんだんはつきりして来たのであります。この点に関する限りにおいては一昨日の自由党総裁の談話にはまつたく同調されているということが結論づけられるわけであります。私は小原さんが法務大臣になられたとき法曹界の大長老として相当の決意を持ち、また国民の心配を除去されるということを確信しておつたのでございますが、午前中来の御答弁でどうもまだはつきりしないのであります。ただいま委員部で調べさせたところによりますると、ことしの二月二十日に捜査費として四千七百万円予備費から出ておる。これは三月三十一日の年度末まで使う予備費であります。その内訳は庁費二千八百七十万円、検察官の旅費が一千六百三十万円、そのほかに謝礼金というのが二百万円ある。ああいうでたらめな捜査をし、うやむやな結論を出しながら何の謝礼金であるか、大臣に伺いたい。
  127. 小原直

    小原国務大臣 今お尋ねのことは私よく承知しませんですが、今尋ねますと、それは計理士等に払つた謝礼金だそうであります。
  128. 藤田義光

    ○藤田委員 あなたも大臣でありますが、大臣がいわゆる接待費として使う金が各省で組んでおるのが、会計検査院の局長もおりますが、大体年間三百万円食糧費という名目で組んでおります。あなたの一年間の食糧費、接待費に近い数字がわずか四十日間の謝礼金として出されておる。これはどういう理由でありますか。全国の会計士の試験を通つたのは八百名ぐらいしかおりません。全員を動員してこういう捜査に協力させたのかどうか。ただいまの御答弁では数字が合いません。疑獄の捜査でどうも検察庁に疑獄があるのではないかという疑念があります。はつきりしてください。
  129. 小原直

    小原国務大臣 詳細の計数はわかりませんから、刑事局長から御答弁いたします。
  130. 井本豪吉

    井本説明員 これは今資料を持つて来ておりませんので、正確なお答えはできませんが、計理士その他さような専門家に支払つた、あるいは支払われる金であつたと存じます。  なお先ほどお尋ねの身柄の拘束の関係を今返事がありましたので、簡単にお答え申し上げます。身柄を拘束いたしました者が今回の事件で二百九十四名でございます。そのうち公判請求をいたしました者が四十四名、起訴処分になつた者が二百八十三名ということになつております。
  131. 藤田義光

    ○藤田委員 大まかな御発表でありますが、先ほど同僚池田委員からも質問になつております政界人、特に国会法で身柄を保障されている国会議員で逮捕されました者は百パーセント起訴されておる。しかるに財界人等の起訴が非常に少い。身柄を拘束した者と起訴した者の数の比率というものが圧倒的に少い。小原さんどうですか、これは常識的に法理論はとにかくとして非常に不公平じやありませんか。あなたの率直な意見を聞きたい。これで完璧な結論が出たと言われますか、どうですか。
  132. 小原直

    小原国務大臣 検察庁取調べた結果さような数字が出ておるのであります。それが公平であるか不公平であるかということを、私は今ここで申し上げられません。
  133. 藤田義光

    ○藤田委員 往年の司法大臣の面影はまつたくなくなつていることを非常に残念に思いますが、これはしようがありません。あなたは終戦後できた規則でありますが、刑事訴訟規則というのを御存じでございますか。
  134. 小原直

    小原国務大臣 知つております。
  135. 藤田義光

    ○藤田委員 この刑事訴訟規則の九十三条には押収及び捜索についての秘密と名誉の保持についての厳然たる規定があり、これは憲法第三十八条と関連した侵すべからざる国民の基本的人権に関連した非常に重要な規定であります。しかるにある政界人の逮捕に当りましては、その許諾請求数日前に検事総長、あるいは検事正が新聞記者に対してあれは逮捕するよということをはつきり言明しておる。こういう秘密漏洩をやつて、憲法で保障された国民の在本的権利が守れるかどうか、けしからぬと思う。そういう事実が耳に入つているかどうか、入つていなければいずれ機会をあらためて検事総長等の出頭を求めるが、あなたの知つておられる範囲内において今回の疑獄捜査にあたつては秘密漏洩のおそれはなかつたかどうか、でたらめな発表を競争で検事がしておらぬかどうかということに関して何か情報を持つておられたら聞きたい。
  136. 小原直

    小原国務大臣 私の聞いておるところによりますと、さような事実はないと存じます。
  137. 藤田義光

    ○藤田委員 もしそういう事実があつた場合はどうされるつもりかはつきり聞きたい。
  138. 小原直

    小原国務大臣 私はないと聞いておりますから、それ以上は申し上げられません。
  139. 藤田義光

    ○藤田委員 ない場合を前提にして質問をしておりません。現実に幾多の事実があるから、そんな場合にはどうするか、国会は国民の代表が集つておるのでありますから、はつきり申していただきい。
  140. 小原直

    小原国務大臣 あつたらばという御仮定についてのお答えは困ります。
  141. 藤田義光

    ○藤田委員 あとに柴田委員、吉田委員等の非常にりつぱな方の質問がまだ残つておりますから、この辺で打切りたいと思いますが、先ほどの委員長委員会以外の発言を信用いたしまして、いずれ機会をあらためてこの問題は黄変米結論を出しますのに、どうしても確信を持つためにこの問題をはつきりさせなくてはならぬ前提である、かように考えておりますので、私の質問はこれで終りたいと思います。  最後に資料として今回の事件に関する予備費の使途及び一般予算の使途に関して詳細な資料をなるべく早く出していただきたいということを委員長にお願いいたしまして、私の質問を打切ります。
  142. 田中彰治

    田中委員長 法務大臣に申し上げますが、資料を出していただくのと、それからきようは黄変米のこともありましてほかの大臣も来ますから、これはある程度打切りますが、この問題は一応予備費も使つておりますし、犬養法相の問題もありますから……(「理事会に諮るべきだ」と呼び、その他発言する者あり)委員長が話をしているんだから、黙つておれ。(「黙つておれとは何だ」と呼び、その他発言する者多し)柴田義男君発言を許します。(「議事進行」と呼び、その他発言する者多し)柴田君に発言を許しております。柴田君。
  143. 柴田義男

    ○柴田委員 法務大臣にお尋ねいたしますが、私が伺いたいことは、われわれ決算委員会におきまして、昨年以来会計検査院の批難事項を中心といたしまして、いろいろ調査を進めて参つたのでありますが、その場合に常にふしぎに思いますることは、会計検査院では指摘をし、私どもはその問題をとらえて、あらゆる角度から究明をいたしまして問題を堀り下げるのでございますが、結論といたしましては、どうもはつきりした結論が生れて来ない場合がたくさんあるのであります。一例をあげますると、長崎大学におきまして、昭和二十六年八月かに、才川某という者と、九十九トン余の小さな船、しかも三千八百余万円の負債がついておる船と覚えつつ、これを千何百万かで購入の約束をいたしまして、そうして大学当局から八百万円の金を交付した。そういたしましてその船の受渡しに当ります場合に、船はどこかに拿捕されてしまつた、こういう事件がございまして、われわれ決算委員会がこのたび国政調査に参りまして、長崎大学の当局者も大いに調査をいたしましたけれども、三年たちました今日に至つても明らかに刑事問題が伏在しておる、明らかに横領界が伏在しておるということが判然としておりまするけれども、この結論がまだ生れておりません。あるいはまた国鉄問題にいたしましても、あの国鉄が持つておる東京都のどまん中の土地を無償で貸しておつたという問題が、昨年国会で論議されました。これを根本的に掘つて参りますと、国鉄当局が、前の国鉄総裁であつた加賀山之雄氏に対しまして、加賀山之雄氏が社長をやつておる株式会社鉄道会館に無償で、しかも単なる私信の往復のような形において貸与されておつたという事実であつたのであります。こういうように一つ一つの問題をとらえて参りました場合に、われわれ決算委員会ではその究明は徹底的にいたしまするけれども、それと並行いたしまして、検察庁が公明無私な立場でこれらの問題をとらえていただかなければ、国民の財産というものは断じて保護ができないという現実であります。昭和二十六年度の批難事項は千百九十八件に及んでおりますし、二十七年度の批難事項は千八百十三件に上つておるのであります。こういう状態で、これらのものを集計いたしまするならば、おそらく何百億を越えます。そうしてたまには責任を負わされておる場合がございますが、末端の小官吏だけが少数の責任者を出しておるにすぎない。最高の責任者がだれ一人この責任を負つておる事実がいまだかつてないのであります。十九国会におきましても、千葉県の手賀沼やあるいは印旛沼等における不正工事の状況というものも暴露されております。それで建設業者が九名もこれらの問題に連座をしております。しかるに農地局長あるいは農林大臣等にはさらに責任の何ものも伸びておりません。現実にこうした問題がどこの省を一つとらえてみましてもどしどしとあるのであります。今われわれは、この黄変米問題を中心として論議をいたしております。この黄変米問題が国民の衛生上悪い、八万余トンに上る在庫を持つておりますが、これは国民保健上主食としてはいけないということでやつて来ております。しかし今度はこれを払下げしなければならないという問題が当然ついて来るのであります。払下げをいたします場合に、かつて昭和二十七、八年度における、たとえば東洋醸造の問題あるいは日本糧穀の問題のような問題が再び起きてはいけないというので、本日は法務大臣の御出席を煩わした次第であります。今度主食にいけないということでこの黄変米を別途な用途に払い下げます場合には、少くとも農林省、厚生省両省の責任において末端に至るまで国民保健上間違いのないような払下げの方途を講じてもらいたい、その監督の任に当つていただきたいということが、本日法務大臣に御出席をいただいてわれわれお願いをしたい主目的であつたのであります。今日今まで議論いたしております問題は、こういう過去のあらゆる実例があるから、法務大臣にもつと国民がまつたく安心をするような監督をしてもらいたい、これがわれわれのお願いするところなんです。補助の問題を一つとらえてみましても、山口県には十三億の補助が流れておつた。その十三億の補助をもつて、その補助の非常な乱暴な査定をいたしました岡山地方の農地事務局長は、参議院に立候補して圧倒的多数の得票をもつて堂々と当選しておるという現実をわれわれは知つておるのであります。そうして農地局がまつたく放漫な査定をやつて自分の政治の足場を築いておつたという現実が完全に暴露されておるにもかかわらず、その参議院議員は得々として参議院議員のいすにすわつておる。こういうことであつて国民大衆はどうしても納得はできない。だから、われわれ決算委員会はまつたく何ものにも屈しないでこの調査に当つておるものでありますけれども、これらの諸問題に対しまして法務大臣はほんとうに今後徹底的な監視の目をもつて当られるのかどうか、その御決意はあられるのかどうか、それに関連いたしまして、たとえば一昨日か吉田総理大臣があの支部長会議におけるああいう暴言を吐かれておるということをわれわれは考えざるを得ない。ああいう暴言を吐かれるような総理大臣がおつても、そういうものには絶対に屈しないでまつしぐらにいわゆる司法権の独立のためにやられるのかどうか、その御決意のほどを承りたいと思います。
  144. 小原直

    小原国務大臣 ただいまの御趣旨はよく了承いたしました。黄変米の処置につきましては、農林、厚生両当局法務当局と密に連絡をとりまして十分善処いたしたいと考えております。
  145. 柴田義男

    ○柴田委員 善処されていただくことは非常にけつこうでございますが、今までのいろいろな例が、たとえば検察庁の方々がもうちよつと決算委員会の批難事項の面に目を触れていただきますならば、簡単に随所にほんとうの犯罪人をひつぱり出すことができる、こう思う節が幾らもあるのであります。これに対して、さらに連絡がないためでありましようか、やはり事件というものは告訴を待つてやらなければならぬ事件もありましようし、あるいは自動的に検察庁が動く場合もありましようが、今までわれわれの調査いたしましたあらゆる資料から見ますならば、必ずしも告訴を待つてやらなければならぬというものではないと思うのであります。疑いの起きる事件がこの批難事項の中にたくさん盛られておる。その一つの実例としては、今長崎大学の例を申したのですが、もしもこの長崎大学の問題が刑事局長のお手元でおわかりでございましたならば、今までの経過をお尋ねいたしたいと思います。
  146. 井本豪吉

    井本説明員 資料が今手元にありませんので帰りまして至急に調べます。
  147. 柴田義男

    ○柴田委員 長崎大学の問題は、今小原法務大臣も御出席でございますから参考に申し上げたいのですが、才川という一人のものが――先ほど申しましたように第六豊洋丸という九十九トン三十七の鉄船であります。それは三千八百七十六万五千円の負債つきのものです。この三千八百七十六万五千円の抵当権の設定されたものを長崎大学に売りつけた。そして八百万の金をすでにとつたのです。そして残金を持つてその船の受渡しに行つたならば、その船がどこかに拿捕されてなくなつた。影も形もなくなつて、今日では船そのものがないのであります。だけれども八百万円現実に長崎大学が詐取されておることは現然として残されておる。しかし才川某というものは詐欺罪で起訴もされておりませんし、そのままになつておるという状況なのです。これは実例なんですが、こういうような問題が、たとえば農林省関係にもあり、国鉄関係にもあり、補助関係にもある、こういうことなのですが、これに対しまして今後検察当局はあらためて調査をなさる御意思があるのかどうか、これを承りたいと思います。
  148. 小原直

    小原国務大臣 ただいまお話のようなことは十分調査いたします。
  149. 天野公義

    ○天野委員 ただいま議事進行について発言を求めておいたわけでありますが、委員長の発言との間に食い違いがあることはまことに遺憾であります。実は、本委員会の運営につきましては、いつも理事会を開きまして、円満に議事を運営して参つて来ているわけであります。従つて、今後の委員会の運営におきましても、委員長の非常な御卓見のあることはわれわれ理事も了承しておるのでありますが、理事会に諮つて円満な議事の運営をしていただきたいと思うので、明日以後の議題の問題につきましても、理事会を開きまして善処されんことをお願い申し上げます。
  150. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。  それでは吉田賢一君。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 法務大臣刑事局長に伺いますが、お答えは都合で法務大臣からのみでいいのです。  ただいま当委員会において主題に扱つておりますのは、いわゆる黄変米の実相の検討等であります。そしてその次に来るものは、この黄変米をめぐりまして――またこの黄変米が白米の黄変米と、実にやつかいなもので、肉眼で一見してわからないのです。そこで世の中の悪人どもは、まちかまえて、おそらくはこれをめぐりまして百鬼夜行のいろいろな法秩序撹乱の事実が発生することを予見するのであります。  そこで、第一に、ひとつ注文しまして確答を求めておきたい点は、先国会来山田君がしきりに御追究になつている例の東洋醸造横流し事件について、これは食管問題並びに食品衛生法両見地をかねまして、あらためて新しい決意をもつてこれの結末法務大臣の御責任で、最も近い機会に国会で御報告を願うようにぜひしていただきたい。これについて御確答を求めたいと思います。
  152. 小原直

    小原国務大臣 お尋ねのことは承知いたしました。
  153. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次には輸入の問題であります。これは、おそらくは法曹界におきましても、最も大きな問題として取上げられて検討せられておると思います。といいまするのは、大体今の食管法の取締りのいろいろな規定を通覧いたしまして、また食品衛生法の規定などを通覧いたしましても、今のような何千億円、つまり二十八会計年度は米麦合せますと、支払いが千八百億円を越えるのであります。そのような厖大なもののうちの大部分を占めておりまする米、その米のうちの多量、しかもこのたび問題になりましたのは、十一万四千トンが昨年十一月三日から本年の五月末日まで、七月三十日まででいいのですが、ここに黄変米が厚生省において検定せられておるのであります。そういうようなことであります。この代金は、詳細はわれわれ今のところわかりませんけれども、おそらく七十億円に達しておると思う。昨日トン当り六万三千円というような証言があつたのであります。でありますから、国費の使い方に見ましても、またこれをめぐりまして、法秩序が撹乱されるという予想からいたしましても、これはきわめて重大な問題として取上げられなくちやならぬと思います。  そこであなたは専門家ですから詳細なことは御研究になりませんでも、御専門の立場からかねて問題になつておる――今国論が沸騰しております際でありますが、毒米がタイ、ビルマなどから輸入され、しかも関係政府当局は、厚生大臣あり、農林大臣ありなのです。しかもまた外貨については通産大臣あり、入関手続については法務省も責任があるわけなのです。こういうような各般の政府機関が現存している中を、国民が食うことができない、食えば、多量に入れるならば数時間にして死ぬというような大学教授の証言も昨日あつたのであります。それほど恐るべき毒素を持つた米が入れられておるという事実なのでありますけれども、これは一体食糧を輸入するという面から見て、毒物を混入しておるものは、輸入できないとわれわれは考えるのであります。毒物を混入しておるものは買付できないと考えます。そういうものの売買というものはできないと考えます。これは法常識だと思う。でありますから法の不備は別にいたしまして、法を守る行政最高責任者といたしまして、あなたはこれに対して、どうお考えになつておりましよう。どこに法律上の欠陥があつたのだろうか、どこに一体法の盲点があつただろうか、どこに法を抜けて行つてつたのだろうか、そういう点につきまして、まず大所高所からの御見解を聞いておきたい、こう思うのであります。
  154. 小原直

    小原国務大臣 タイ、ビルマ等からの輸入の手続その他は農林省がおもに扱つております。その間にどうして不正の米が入つて来るか、これが結局の問題だと思うのであります。今日までその輸入等について、十分の取調べがついていないのではないかと思つております。これをよく究明して、さようなことが将来出ないように処置をつけたいと考えております。これは法務省ひとりではできません。やはり農林、厚生その他の機関を通じて、かような不正が将来起きないように、その道々においてその取締りを厳にして行くよりほかないと思います。
  155. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかし去る七月三十日でありましたか、閣議の席上、閣議であつたかなかつたかは議論がありますけれども農林大臣は説明をしたという言明が当委員会でされておるのであります。でありますので、農林、厚生両大臣などから、この黄変米の概要につきましては各閣員に対しまして相当御説明があつたはずであります。説明したということであります。しからば法をあずかるあなた方の立場といたしましては、ただちに食管法なり、あるいは食品衛生法並びにその他関係法規につきまして。ピンと来なくちやならぬ。ことに鋭いことをもつてうたわれておるあなたでありますので、これはやはり将来どうしますとか、私の方だけでは行けませんとか、そういうような漠然としたことじやなしに、やはり端的に、この問題は法律上こうだ、こういつた点に欠点があつたとか、また今これを取締るとか、これをこういうふうにして行くとか何かそこにもつと具体的な明白なものがあるだろうと思うのですが、その点はいかがでしよう。
  156. 小原直

    小原国務大臣 はなはだ不敏でありますが、まだそこを十分にきわめてこれならばいいという方法を考えておりません。いずれ研究をいたしまして、できるだけ早く善処するようにいたしたいと思います。
  157. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点局長からひとつ……。
  158. 井本豪吉

    井本説明員 ただいま大臣の御答弁通りでございまして、毒米が国民の腹に入らぬように方法を十分考えたいと思つております。
  159. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 研究なさるということであれば、これ以上あなたに求めることは無理かもわかりませんけれども、しかし物は動いておるのです。現に十一万何千トンのものがどんどん動いておる。今在庫品八万一千トンになつておるのです。そうして十一万四千トンは、食品衛生の主管庁で黄変米なり、毒米なりという判定をしておる。しこうして在庫品は八万一千トンに減つておるのです。なくなつておるのです。一体こういうことは、毒米がその含有量のいかんにかかわらず、これは食物ですから、毒物を含有しておる食物が売買をされたりすることは、法律の禁じでいるところなのであります。ところが、現実におきまして約三万三千トンはもう売買されておるのであります。こういう事実があるのです。その事実はあなたもお聞きになつたろうと思う。でありますから、入ることをこれから防ぎますとか、なんとかそういうゆうちよな問題じやないのです。ことに一箇月におそらくは二、三千万円の倉敷料も払つておるはずです。こういうように財政経済、食糧、各般から考えましても、たいへな事態です。そういうようなどさくさの中にあるのですから、法務大臣は、将来入ることを防ぎますというふうな、そんなゆうちよなことを言つている段階ではないのです。いかぬものならば、即刻繩をもつてつて行く、あるいはまたとめるならとめる、法律上そういうことをのていかぬならば、してはいかぬと指図をする、何かの処置がなければならぬと思う。もしあなたの方になければ、またあとの弁解に実は終つてしまうという危険があるのです。これは実に遺憾です。幸いにもわが委員会におきましてはずんずん究明して行つておりまして、生きた資料をこうして出しているのですから、打てば響く、即刻ノー、イエスをはつきりいたしまして、政府の最高のこれに処する法的方針というものを明示してもらわなければいかぬと思います。何とか法典調査会でも何でもない。現実に生きた法律行政をやつておられるのですから、刑事行政の元締めなんですから――現に穀物が動いているのです。動いているのはいずれも犯罪性がある危険があるのです。いかかでしよう。
  160. 小原直

    小原国務大臣 現に動きつつある分については、検事総長を通じて当局検事にそれぞれの手配をいたさせます。
  161. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでその点についてひとつきまりをつけておきたいと思うのですが、これは今朝来の空気と若干かわりますけれども、私どもあと一つの対策といたしまして、この黄変米横流しについては完璧を期する措置が講ぜられなければならぬと考えておりますので、この点につきましては食品衛生法も食管法もあり、相当厳格な法律も処罰規定もありますけれども、元来立法目的が違うのですから、この際の、あるいは限時法でもよいと思いますけれども、特定しました厳重な単独立法でもするというような用意をもつて臨みたいと思うのであります。これもあなたの方で具体的な前提になる事実の関係を十分にまだ御調査になつておらぬようなことでありますから、答弁はいかがかと思いますけれども、少くともここに急速に持つて行くということが必要だと思います。この点について御所見があれば伺つておきたい。
  162. 小原直

    小原国務大臣 現行の食管法なり食品衛生法で取締りを厳重にして行けば、刑罰を重くして行けば、相当防げると思います。ただいまお話のようにここに単独立法をこしらえてそれを取締るということについては、ただいまのところは考えておりません。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 港に入りましてそこで入庫をして配給の段階になる、あるいはまたそこに中間検査もありますが、いろいろありますので、そういつたものの取締りということについては、これは黄変米という特殊な大きな問題が出まして以来、ただいまのいわゆる食品衛生法によりましては全然わくにあてはまらぬのであります。これはあまりに大きいのです。でありますので、それは今議論するつもりはありませんけれども、あれの運用によりましてはとてもこの問題は処理できません。また食管法自身もこれは予徒しておらなかつた。私も若干調べておりますが、食管法も予想しておりません。現地の関係もありますし、これは一歩進めまして――と言うよりも、飛躍いたしまして、新しい立法措置にどうしても出なければいかぬと思います。これは御研究願いたいと思います。  私は法務大臣に対してはこれでよろしゆうございます。
  164. 田中彰治

    田中委員長 法務大臣に質疑ありませんか。――それじや法務大臣、御苦労さんでした。  吉田賢一君。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 外務省当局に伺いますが、次官及び局長いずれからもお願いしたいと思います。  この黄変米の問題が発生いたしましてすでに国会におきましても論議すること数年――数年と言うと少し漠然としておりますが、去年もずいぶん論議した。そこであなたの方の文書によりますと、一九五三年の四月十日、ビルマ総領事の小長谷という方――これは一つしか資料がないのですが、ほかの資料も来ておつたのですけれども、これらの人によりまして、人間の食うことに不適格な米を買わないように、向うは売らないようにするといつて、相当外交折衝があつたように聞く。ところが、その後依然としてこれは成果を結ぶことなくして、今お聞き及びの通り、本年だけですでに十一万トン以上の、人間の食うことができないものが入つて来ている。聞くところによれば、出先におきましては外務省と食糧庁とは犬猿の仲だといううわさもある。協力しないのでしようか。また外務省といたしましては、相手のビルマ等に対して遠慮いたしまして外交手段の手を打てないのだろうか。他の条約とか、その他の賠償とはまつたく別問題でありますが、これは日本の食糧の問題でありますので、これは最善の措置をとらなければならぬと思う。どういう手をお打ちになりましたか、聞かしてもらいたい。
  166. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 外務省といたしましては、ただいま御質問がございました毒性の点につきましては、私どもは何分しろうとでございますので、そういうどの程度が毒性であるかということにつきましては存じておらないのであります。  それから農林省関係の人との協力でございますが、これはもちろん私どもはしろうとでございますから、そういう問題について十分協力しますし、また専門家の御意見も聞いてるわけでございます。  それから外交交渉について御質問がございましたが、もちろん私どもといたしましてそういう毒であるものにつきまして、ことに最近米が御存じの通りの市場の状況でもございますので、輸入の立場にあります外務省といたしまして、そういう毒性であるものを外交関係からあまり強く向うに言えないで輸入するというふうなことは絶対にございません。また今後の問題につきましても一々研究をいたしまして、所管の官庁で出ました結論につきましては、十分出先に連絡をいたしまして、タイまたはビルマにおける米の売手との協力につきまして遺憾なきを期したいと思つております。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 毒米の入らないことに協力するというのは当然のことであります。聞きたいことは、どういう措置をおとりになつたかということであります。長い間懸案になつております。この一月、二月におきましては農林大臣も、もう全然入れないようにするということまで極言するような口吻があつた、約束があつた。文書も公にされた。それでもやはりどんどん入つておるのです。一向外務省が活躍した跡が見えない。どういう措置をおとりになつたか。これの国損は数十億に上るらしい。ビルマには総領事もいるはずだ。具体的に何をおやりになつたか。抽象的に、極力努力するとか協力するとか、そういうことはいりません。何をおやりになりましたか、聞きたい。
  168. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 外務省といたしましては、現地にこの米の検査をいたします責任のある国際機関もございますので、その国際機関を通じまして検査の妥当であることを確かめて輸入されているわけであります。ただいま御質問のように毒物を輸入しておるということにつきましては、これは検査の結果からいたしましても、そういうことのないように交渉いたしておるわけであります。
  169. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうのを交渉しておるというのは、どこへ交渉しておるか。検定人の検定の書類によりまして、それで一切責任がないということになるのですか。どこでどういう交渉をしておる、それを聞きたい。あなたのおつしやる抽象論は、この間からここで十分論議してある。外務省としてはこういう手をいつ打つたということを聞きたい。それとも傍観しておられるのか。国民の聞きたいのは、ですから検定人云々というのは、みんなここで聞いて常識で知つております。ですからそういうものにたよつただけでこの問題は解決されないのであります。にもかかわらず、あなたの方で十分手を打たれた事情が明らかになつて来ぬのであります。それで聞きたいのです。あなたは知らぬですか。知らないで答えられないなら、大臣に出てもらうよりしようがない。
  170. 田中彰治

    田中委員長 説明員、どうです、もう少し親切に説明してやりなさいよ、みんな困つておる問題ですから……。
  171. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 私どもといたしましては、肉眼によつて一パーセントまでは黄変米が混入できるという契約に基いて買つておるわけでありまして、そういう状況でありまする限り、生産国の政府に対してそれ以上の要求ということはいたしておらないわけであります。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ですから肉眼というのかどうか存じませんけれども、契約面には一パーセント以上は拒否できるということになつておりましても、事実におきましてはひどいのは三百粒に八十八粒もあるという話も出ておるくらいであります。そういう毒物が今入つて来ております。それにもかかわらず契約通りで、文句言つて行く先がないという。外交手段をとらぬなら、外務省はいらぬ。外務省というのは、それこそ臨機応変に交渉しなくちやならぬ。国民の権益も、一切の利益も、健康も守らなくちやいかぬ。何もしなかつたのですか、ちよつとそれだけ述べてください。
  173. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 この問題は非常に技術的な問題でありまして、外務省といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、外務省が主たる関心を持ちますのは、そういう点に関しまして関係の省において一致した見解を先方の政府に交渉する、それにまたどの方面から米を買う、あるいはまた米を買つた方が外交上いいかどうか、そういう点に重点が置かれておりますので、その詳細な技術的な点につきましては、外務省いたしましてはこまかい説明はいたしかねる次第であります。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは方面を転じまして伺いますが、本月六日付の読売新聞の朝刊によれば、フイリピンから昨年末二万トンの米を輸入する契約をした、外務省は相当努力をなさつたあとがある。フイリピンから米を買うというようなことは私ども実に未聞なんです。こういうような事実があるか。しかもこの中には三パーセントの黄変米が入つてつたというものもあり、しかも入つて来たものはほとんど砕米がおもでそれを丸米の値段で買つておる。新聞によれば食糧庁の第二業務部の某、通産省の某事務官も憤慨しておる、しかもこの中にはあるいは国会議員も入つてるかもしれぬというような推測もせられておるような事実ですが、あなたはそんなことを知つておりますか。知つておりませんか。おそらく知つておるだろうと思う。
  175. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 それは関係の官庁から、ぜひフィリピンからそれだけの米を買つてくれという御注文がございましたので、外務省といたしましては単にお取次をいたした次第であります。
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 内容の要点を述べてください。どういう趣旨の、数量幾らの、どこの官庁からどこに来ているということを述べてください。
  177. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいまの御質問は私どもより農林省の方がよくお答えできるかと思います。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたにお聞きしてるのです。外務省のやつたことを聞いてるんです。
  179. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいまのところ二万トン前後と了解しております。
  180. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 年月日とか、だれがやつたとか、代金は幾ら、受渡しは政府かどうか、くず米であるかどうか、黄変米であるかどうか、その辺は重大なことです。外務省といつたら個人的におやりになつたのじやないでしよう、やはり国家の行政事務としておやりになつたわけでしよう。
  181. 田中彰治

    田中委員長 ただいまわかりませんか。
  182. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 ただいまわかりません。
  183. 田中彰治

    田中委員長 いやしくも国会の決算委員会に呼ばれて、多少の資料もお持ちにならぬで、ただのこのこ出て来るというのはおかしいじやないですか。これは重大問題ですよ、黄変米の問題は。
  184. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 今の御質問の点につきまして資料を持合わせていなかつたわけでありまして、その他の点につきましては御答弁できるつもりで参つております。
  185. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしどこからそういう依頼を受けたというくらいのことはわかるでしよう。どこに対して依頼を持ち込んだかわかるでしよう。どういう議員が介在したかわかるでしよう。そんなことがわからずして二万トンという数字を言つてるが、二万トンといつたら金額にしたらたいへんですよ。
  186. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 今の御質問議員が介在してるというようなお話は存じておりません。私どもが取次ぎます場合には、農林省なり責任のある官庁から申入れを受けまして、それを生産国の政府に取次ぐだけのことでありまして、個人が介在いたしておりましたり、あるいはまた個人の取次ぎをいたしたりするようなことは外務省としていたしておりません。ですから、農林省から申入れがありましたから外務省は正式に取次ぎました。その問題に限ぎりましては、正式に政府政府を通じて向うに取次ぎをいたしております。
  187. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 正式の政府政府関係だからなおさらあなたはそれを申し述べる義務がある。資料によるほどのこまかい問題ではいなのです。あなた、否定することだけはつきり否定する人ではいけない。どこから頼まれて、どこからどこへということくらいはわかつているはずです。もつとはつきりしなさいよ。
  188. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 そういうこまかい点は資料にまつよりほか御答弁いたしかねますが、その他の点については今申し上げました通りであります。外務省といたしましては、農林省から御依頼がありまして、それを生産国政府に取次いだ、そういう方法により、そのほか個人的な人が介在するというようなことにつきましては、外務省として取次ぐいわれはないと思います。
  189. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、農林省から依頼を受けてフイリピンに取次いで、フイリピンから依頼を受けて農林省に取次いだのではないのですか。つまり売手から依頼を受けたのではなしに、買手から依頼を受けたのですか。売手の方のフイリピンの某政党の某議員ということまで言われているのですが、あなたの方は日本政府から依頼を受けた、こういうことになるのですか。
  190. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 その点は、こまかくなりますので御答弁いたしかねます。資料を見ましてからお答えいたします。
  191. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この政府委員は発言をことさらに拒否するのです。そういうことはこまかいことじやありません。売手から依頼を受けたのか、買手から依頼を受けたのか、これが何がこまかいのですか。もつと常識をもつて判断なさい。
  192. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 いや、常識より、正確にお答えいたしたいと思いますので、資料に基いて御返事申し上げたいと思うのであります。
  193. 田中彰治

    田中委員長 あなたは大臣の代理なんですから、おそくなつてもよいから資料をとりにやりなさい。それではとりに行つて来てから質問してください。  あと農林大臣と厚生大臣がおいでになつておりますから……。片島さんから先に申出がありますが……。
  194. 山田長司

    山田(長)委員 片島委員がやるはずなんですが、片島委員の了解を得まして二問だけ伺つておきます。  昨日だと思うのですが、厚生省の方から伺つたのですが、有毒米の処分については行つた先の追究が全然なされてないというのです。そこで私は厚生大臣と農林大臣がおるから伺うのです。従来黄変米が払い下げられていて、それが先ほどから問題になつておるのですが、その払い下げられた有毒米が、どたへどう使われているのか。これについては農林省の場合においても、厚生省の場合においても、全然追究されてないというふうに聞いているのです。一体農林省としては、有毒米の払下げについてどういうふうに払い下げられたあとの監督をされているか伺いたい。
  195. 保利茂

    ○保利国務大臣 前年来黄変米払下げを受けた者が不正を働いたということで、すでに刑事事件として取上げられているものもあるわけであります。しかし農林省としましては、その払下げた人が明らかでございます以上は、その先それをどうするかといつて別に見張りをつけて監督するというようなことは、これは正直に申して現実にはやつていないと思います。そこまでやる必要があれば、これは今後の問題として考えなければならぬと思いますけれども、国の機関としてそこまでのことをやり得ますかどうか。問題によつてはむろんやらなければならぬ面もあろうかと思いますけれども、現実にはやつておらぬのであります。
  196. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 厚生省といたしましては、含有量によりまして使途を明示するわけであります。含有量が、たとえば一〇パーセント以上はアルコールというふうにして明示いたします。それによつて払下げるように農林省にお願いしております。
  197. 山田長司

    山田(長)委員 かつて刑事事件を起したような事態があるわけでありますから、これについては将来払下げた個所からどういう方法で使われたかという報告書をとる必要があると思うのですが、このことについてはどう考えますか、一応伺います。
  198. 保利茂

    ○保利国務大臣 ともあれ、国家の上に大きい損失を来している、しかも主食として輸入したものが主食の用に供されない、それを処分して、それがまた再び主食にまわりまわつて不正売却をされるというようなことがあればゆゆしきことでありますから、その点につきましては、御趣旨のような線に沿うて私も手配をいたしたいと考えております。
  199. 山田長司

    山田(長)委員 農林省で認めている前の食糧庁長官をやつた片柳さんの日本糧穀株式会社の重役のメンバーの中には入つていないが、その会社の大株主である高橋龍太郎及び藤山愛一郎――どうも聞くところによると、外米を輸入して来る期間中に、船の中で海の水を米の中へ入れたり、あるいはまたこの米を粗雑な取扱いをしているために黄変米が非常に多く出て、これにより業者が巨額な利益を得ているのだということが言われておるのですが、一体糧穀会社だけにそういう特別な随意契約によつて農林省で米の配給を許しているという理由が理解できないのです。これについて農林省ではどういうふうにお考えですか伺つておきます。
  200. 保利茂

    ○保利国務大臣 これは前国会でも御審議をいただきました点でございますが、当時の弁明としましては、通産省のアルコール工場に――分散して払下げをせぬ、通産省の要請によつて、その糧穀会社を一手に相手として、売る方から言えば一括の方が楽でございますからそういうふうな手段をとつた承知をいたし、また皆さんもそう了解されていると思います。しかしともかくもそこにいろいろの疑惑を生むというような形は、いずれにいたしましても避けなければならぬことでございます。爾後実需者と申しますか、直接その処分米を加工する人にしか処分をしないということでやつており、その点は、全然その会社を相手にしないという方針でやつておるわけであります。
  201. 山田長司

    山田(長)委員 前国会で、問題にしましたことは、確かに問題にしたのですが、今私が財界の大物をあげたのは、前国会ではあげていないのです。私がなぜ今度財界の大物、高橋龍太郎なんという人、あるいは藤山愛一郎なんというようなメンバーをその中に入れたかということを、午前中私は詰問をしているのですが、これらの人たちが暗躍をして、とにかく有働一夫検察当局取調べ中の検事は、半年のうちに三回もかわつておるということは、この事件に非常に関連があるといわれておるのです。これらの疑義がありまするので、私は今これらの名前をあげてあなたに質問したわけなんですが、これについて私は大臣の答弁を求める必要はないのですけれども、一応私は委員長にお願いしたいことは、この糧穀会社の今までやつて来ている会社の実績が知りたいわけです。この前の委員会会社の重役メンバーだけを出したことではなくて、一応この会社の業績表を全部出してもらいたいと思うのですが、どうぞこのことをひとつおとりはからい願います。
  202. 田中彰治

    田中委員長 承知いたしました。
  203. 山田長司

    山田(長)委員 これで私は終ります。
  204. 田中彰治

    田中委員長 片島君。
  205. 片島港

    ○片島委員 農林大臣にお伺いしたいと思います。この病変米がところどころで配給になりましてから、その病変米であるということが発見せられた。こういうようなことが新聞に載つておるわけであります。本日の新聞にもやはり病変米発見ということになつておりますが、これは配給にまわされるときには、いわゆる混入率というものを明示して配給しておられるのでありますか。それとも明示されないでおるから、発見というような言葉が使われておるのでありますか。
  206. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほど山田さんのお話に、糧穀会社に高橋龍太郎とかあるいは藤山愛一郎さんというような世間知名の士が、株主としておられる、それが利得を得んがために、黄変米でないものを黄変化するような処置を講じたというように聞えるようなお話がございました。ちよつとこれは容易でないと思うわけであります。私は両氏の名誉のためにもさようなことは絶対にあり得べきはずもないし、また事実ないと思つております。また糧穀会社に対しましては先ほど申し上げましたように、爾後実需をされるならばしらず、単なる仲介としての糧穀会社を相手にしないという方針をとつておりますから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。ただいまのお話は操作上の問題でございますから、私が命じておるわけではございませんので、事務当局から御答弁いたさせます。
  207. 新沢寧

    ○新沢説明員 お答え申し上げます。新しい基準ができます前までの基準以内のものにつきましては、従来それ以内のものは人体に支障がないということで、毎日配給してもいいということでありましたので、従来の分につきましては混入率は特に明示しておりません。厚生省から配給を適当と認定されたものはそのまま配給にまわしております。新しい基準ができましてからの問題は、まだ具体的に配給には着手しておりません。
  208. 片島港

    ○片島委員 それでは今現在配給を辞退するとか、あるいは黄変米が発見せられたとかいうのは、新しい基準による前のものであつて、それはもうからだには何ら障害がないと認められておる分だけでありますか。
  209. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいまおつしやつたことがどういうものか存じませんが、今まで配給にまわされておりますものは、厚生省から認定を受けましたものについて配給にまわしております。
  210. 片島港

    ○片島委員 それじや農林大臣にお伺いしておきますが、今各地黄変米配給をあるいは県知事も反対をし、県会あたりにおいても反対決議をしておるところがあります。こういうふうにして配給を辞退して来たものをどういうふうに処置されるつもりでありますか。
  211. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいま世上を騒がしております黄変米の扱い方でございますが、食糧当局としましては、食品衛生法の見地から指示を受けております。その限界を越えて配給をいたすというようなことは絶対にございません。ただしかし、幾らこれ以下は心配がないのだと申しましても、やはり大事な食べ物でございますから、そこにいろいろ事情から不安があり、心配があれば、お話のように配給を受けないという方が出て来られると思います。これは私は食べ物のことでございますから、どうも押しつけて参るべきものではないかと思います。従いましてこうまで研究をして、ここまでは心配がないのだということをよく消費者に御納得をいただかなければ、どうにもこうにもなる問題ではないと私は思つております。しかしだからと申しまして、それでは外米ではどうも心配だから受けられない、心配のない内地米でも出せ、こう言われましても、それは御承知のような事情でございますから、それにかわつてそれではその方は引取りましよう、内地米をかえて配給しましようというぐあいには実は行かないのです、その点に私としては心配をしておりますけれども、実際問題といたしましては、これは何もかも心配はありませんといつて押しつけるわけには行かないと思います。そこでどうしても専門的にそれは心配がないということを消費者にも早く納得させる措置を講じなければならぬと考えております。
  212. 片島港

    ○片島委員 それはそういうふうに努力せられることはけつこうでありますが、各地において配給を辞退したならば、その代替配給をやるわけには行かないからやらない、代替配給はもらわなくてもいい、こういうことになつた場合に、その辞退された黄変米をどういうふうに処置をせられるつもりであるか、何とかして希望の地域を募つて、その方にまわそうとおつしやるのか、しかしそういうことでも、だんだん配給辞退が出て来た場合には、私どもやむを得ぬことだと思います。その辞退を受けた米をどういうふうに処置せられるつもりであるかと私は尋ねておるのです。
  213. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたします。その点はこの間も申し上げましたが、片島さんはおいでになりませんでした。ただいま厚生省で新しい基準をつくつていただいておりますものによりますれば、はたしてつき直し等の手数をかけて、それでもなおかつ心配になるというものがどのくらいの量になるかは、これはやつてみなければわからない。それでとにかく厚生省の基準は最高二・五パーセントとなつておりますけれども、私の方としてはできるだけひとつそれにも手を加えまして、それよりも引下げて御心配のないようにして、配給をできればいたしたいと考えておりますけれども、これは私どもの考えで、受ける方の側にその気持がなければ、これはもうどうにもしようがないところへ来るのじやないかというように考えますので、できるだけひとつこの実態を正しく理解していただくことに、私としてはお願いせざるを得ないわけであります。
  214. 片島港

    ○片島委員 この混入率の問題でありますが、総務部長でもけつこうですけれども、これからの新基準で配給せられるとすれば、二・五パーセントの場合は月に一日、それから一・五だつたならば二日とか、そういうふうに一月のうちに何日間しか食べてはいかぬ、こういうふうに基準がきまつておるわけです。それをだまつて配給にまわされると、わからぬものですから、一ぺんに食つてしまうおそれがあるわけです。それからいま一つは、貧乏人はどうしても外米で不足の分を実は補つておるわけです。二・五であろうと一・五であろうと、足らない分は米屋から――実際を言うと、米屋に買いに行けば配給以外にも売つてくれます。そういうふうにして、外米を混入したものを食うわけですから、よほど明確にしておかないと――混入率その米の一つ一つに表示しておかなければたいへんなことになると思う。いくら厚生省が保証してくれましても、実際にはそういうことは通用いたしません。今の基準で大丈夫だと信じておられるあなたの方では、こういう配給について一体具体的にどういう心配のないような方法を考えておられるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  215. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいまお話のありました通り、確かに基準ができましても一日限り食つてはいけないという基準がまじつておりますために、いろいろ配給上考慮しなければならない問題が出て来ると思います。実は私ども厚生省から新しい基準を受けて、これを実際に実行に移しまするにはどういう方法をとつてつたらいいかという点につきましては、ちようど新しい配給計画を立てる際でもあり、あわせて考慮を加えている最中でございまして、確かにお話のような点がございますので、慎重に配給方途を考えなければならぬものと考えております。現在のところまだ具体的な配給計画に入つておりませんし、入ります場合にお話の点を十分考慮して定めよう、こう考えております。
  216. 片島港

    ○片島委員 農林大臣にお伺いしておきたいのですが、二・五以上のものは新基準においてすら入つておらないわけでありまして、それももちろん現在の保有米の中にはあると思うのであります。これだけ世論が沸騰いたして参りますと、当然政治的な考慮を加えて、この問題についても相当研究を深めて行かなければならぬと思うのでありますが、その場合私たちが非常に心配をいたしておりますのは、国会でいろいろと私たとが非難をする、因縁をつける、だからというので国会に責任をなすりつけて、大丈夫なものをお前たちが反対をするから実は払下げをする、こういうような結果になつたといたします。そうすると農林大臣は、一人一人番を立ててこれを見守つて行くことはできない。売先がはつきりして用途が示してあるから、それから先民間に落ちてしまつた以上はどうも一々監視はできない、こういう仰せでありますが、食品衛生上の立場からも重大な問題だ。みんなが主食として配給できないからこそ、また国民が非難したからこそこれが払下げになるのであります。私たちがここで非難をして、しかも民間会社に金もうけをやらせるようなことをやるということはとんでもないことです。食管特別会計に赤字が出ます。それは当然払下げの場合に用途を明示し、そうして最終末端の用途がはつきりするまでは監視すべきだと思う。それは食糧管理法の立場からも、同時をまた食品衛生上の立場からも、これを末端の消費せられる用途まで当然監視せらるべきものだと思うのでありますが、両大臣の御所見を伺いたいと思います。
  217. 保利茂

    ○保利国務大臣 御趣意は、かりに厚生省指示の限界以上のものがどうしても避けられないという場合に、それが主食等に横流れをしないように十分の監視の責任をとれということだと思いますが、おそらくそうであろうと存じます。これは当然のことと存じますけれども、実際またこれはやりますと申しましても、今日食糧管理法というものが厳然とあつて、とうとうたるといつては少し大げさ過ぎるかもしれませんが、それじややみ米の監視を農林省でやるか警察でやるか知りませんけれども、とにかく一々そこまでやれと言われましても、しかしこの問題はとにかくこれほど世上の関心を呼んでいる問題でございますから、かりにそういう処分をいたします場合に、処分を受けた人、引取つた人が、これだけの世上の関心を無視してそれを不当に犯罪的にまわすことは私はあり得ないと存じます。しかし私どもとしましては、御趣意の線はできるだけ注意をしてやるつもりでございます。
  218. 田中彰治

    田中委員長 農林大臣にちよつとお尋ねしますが、きのうの学者の話を聞きますと、配給のできないようなものが大半です。そこであなたの方から、輸出問題なんかにも関係するのでそれは通産省に相談することにして、パンとかうどんとか、米がないわけですからそういう代食になるようなもの、たとえば人造米とかいうようなもののこともお考えになつておらないと、配給に大きな問題を起しますから、そういう点あなたはどんなお考えを持つておりますか。
  219. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいま委員長の御注意につきましては私も真剣に心配をいたしている点でございます。今日の穀物取引の実際からいたしますと、先日も申しましたように、手を尽せば、理論的には一粒も入らないような処置は講ぜられると存じますけれども、実際問題としてはなかなかそう行かぬのじやないか。かりに黄変菌の入つた米は一粒もいかぬ、こうなれば全部入れないという方針をとるほかはないことになるわけでございます。しかし問題が非常に大きゆうございますから、もう少し根本的に検討をさせていただきたいと存ずるわけであります。しかしただいま委員長の御注意の点は、こういう点からのみならず、外貨の面からいたしましても、今後過去一年間に輸入いたしましたような外米の輸入ということは絶対にできないことと私は考えているわけでございます。従いまして、国内の作、不作によつてどもは非常な心配もいたしますけれども、ただいまお話のような線を国民全体の方々と強く打出して行くという決心がなければとうてい国民的に解決し得る手段はない、かように私は考えます。
  220. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御心配の点はごもつともともだと存じます。ただ私ども厚生省の方といたしましては、御承知のように基準を定めて、その基準によつて農林省食糧配給機構に乗つてそれぞれの処置をやる、あるいはまた他の用途に変更いたしましたものはその農林省の指示を十分尊重されるような方向に持つて行かなければなりませんが、しかしたまたまこれが食糧にまわつたような場合は、これはまことに大きい問題でございまして、ただいま農林大臣からのお話のように、そういうことのないことを十分信じておりまするが、厚生省といたしましてこれを末端まで一々検査するということはとうてい可能なことではないと思いますので、農林省の方でおやりをいただくことを私どもは十分信じて参りたいと存じます。
  221. 片島港

    ○片島委員 米が一旦やみ米にまわるということは、食糧管理法が厳然とあつてもなかなか守れないことです。これは内地米あたりの場合には、守れないでもたれかの口に入ることであり、また毒性のないものはかまわないと思いますが、こういう有毒なもので二・五以上のものを払い下げる、またこの比率で基準を下げておりますから、この国会等の空気も勘案して払下げをやられるということになつた場合に、業者が世論を十分にそんたくして、横流しをするとかいうようなことはないであろう、こういうことをおつしやいますけれども、私はこういう甘い考えを持つことはできません。一般民間の営利会社でございますから、そういうところでは、たれも何とも言わないならばこれは当然金もうけになる方にまわすことは常識であります。そういうふうな場合に、これが相当の毒物であるというからには、しかもこれをいくら競争入札でやつたとしても、日本国中の業者を集めて競争入札をやるわけでもないだろうし、二、三の業者というものに払下げをした場合にはその最終の用途というものがはつきりしているわけであります。従つて払下げを受ける場合に、その条件として契約の中にもちやんとこれ以上ほかにはまわさない、これはこういうふうにしてやるということで、いつでも監査をしてよろしいとか、あるいはこの食品衛生上の立場から厚生当局としては末端の消費せられるところまで目をつけるのが当然であつて、一ぺん払い下げたならばその業者の良心にまかすというようなことではこれまた非常に不安な状態が出て来る。せつかく危いからといつて主食配給農林省がやめたが、さらに民間から危険なことが出て来るということは困る。この点についてはもう少し私ははつきりと保障をしておいていただかなければ困る。
  222. 保利茂

    ○保利国務大臣 私が前段の点はそういうふうに当然あるべきだと申しましたけれども、しかし後段において十分監視をいたす所存でございます。
  223. 田中彰治

  224. 徳安實藏

    徳安委員 農林大臣にちよつと伺います。それは輸入の関係でありますが、この際ある程度再検討される必要があるのではないかということであります。それは一昨日以来各方面からこの委員会で話を聞きますと、どうも私どもに納得の行かないことがあるようでございます。一例をあげて申しますと、ビルマ米は三商社が関係がある。ビルマの米は政府政府とで売買の契約が成立をする。その輸送にあたりまして、その三社が競争入札で請負うのだと私思つておりましたところが、事実を聞いてみますとそうでない。形式は何か競争入札のような形ですが、三社とも大体公平な配分をいたして、そして食糧庁の方からおまえはこれだけやれ、お前はこれだけやれというようなぐあいで三つわけぐらいにわけてもらつているのだ、こういう話でございます。しかもはしけ料から運賃は大体食糧庁で船会社と約束をする。その約束したものを書き出して、商社の方がもらう。その保険料ももちろん食糧庁が払うのだ。そういうものを全部入れて、そうしてその五分というのですか、〇・五の手数料をもらうのだ、こういう話のようでありますが、こういう行き方は私はどうも誤つているのではなかろうか。もしやらせるなら競争入札で三者とも札を入れさせて、そして安い方にやらせるとか、信用のあるものにやらせるとか、何とかそこにけじめがつくならばいいのですけれども、三つにわけてやるんだというような行き方についてはどうも少し合点が行かない点がある。それからまたイタリアから輸入している問題について聞きましたが、これも四社あるそうですが、この四社が共同でやつているんだ。私どもは初めのうちは四社があつてそして米を買い付けて幾らで政府に納めるかということに競争入札で札を入れるのだ、こう考えておりましたら、昨日の商社の説明を聞きますと、なるほど四社はあるが、競争しないで四社が話合つてそして共同でやつているんだこういうようなことでまるで一社のような形でやつているようであります。運賃だけの問題なら別でありますが、買付から一切のことまでも四社なり五社が談合といいますかあるいはなれ合うといいますか、一つでやつているんだ。ただ形式だけは整えるんだというようなやり方についてはこの際再検討をされる必要があるのではないか、こう考えますが、農林大臣の御意見はいかがでございますか。
  225. 保利茂

    ○保利国務大臣 お答えいたしますが、徳安さんもおそらく御存じでございましようけれども政府間の協定で値段がきまつているものもございます。自由に買い付けているものもございます。そこでビルマの方はもうほとんど全部が政府間の協定のものでございます。従つて買付代行を三社がいたしているわけであります。代行機関になつているわけであります。そういうわけでございますから、向うで入札をしてそうしていいものを安く落して来るというような買い方ではビルマはないわけでございますから、その点は自由買付のところと違うわけであります。しかし商社の検討をしろということはこの間もお話がございましたし、ただいま貿易商社の強化ということが通商の面から強く要請され、それぞれ着々進んでいるようでございますから、それらとあわせまして十分検討をいたして参りたいと思います。
  226. 徳安實藏

    徳安委員 きのうの商社の話を聞きますと、ただいま大臣からの説明はありましたが、運賃のごときはやはり会社によつて船賃が違うそうです。それで安いのからとつて行くのだということを言つております。ですからただ委託でやつているんだというだけならば今の大臣のお話はごもつともだと思いますけれども、やはり幾つかの船会社があつてそうして安いものから安いものからとつて行くのだということでありますならば、これもやはり一つの競争だと思います。ですから入札等についてもなれ合いみたいな形でなくして、やはり勉強するものは船会社から安い船を借りるのだ。そして取扱い等についてもはしけ料であるとかあるいは積込み料だとかについてもやはり各商社で勉強するものを使つて安くやるという行き方もいいのじやなかろうか。こう考えるのです。また今のビルマ米はもちろん政府当事者間の売買であるというお話でありますから買付に対して問題はないと思います。しかしそのほかの国につきましてはやはり買付まで商社がやつています。これがなれ合いになつてつたり談合みたいになつてつて、五つ会社があつてもそれが一つでやるのだというような行き方は、たとえそれがほんとうに実情に即するものといえども国民から見ると何だかその商社を利益さしているようにしか見えない。そこにやはり不正でもあるのじやないかという疑点もないではないかと思うのです。この点について重ねてもう一ぺん大臣から御所信を伺いたいと思います。
  227. 保利茂

    ○保利国務大臣 考えなければならぬことは私も考えますから、ひとつ実際の取引の実情を専門の責任者からお聞きとりをいただきたい。特にタイやビルマの取引が主でございますから、どうぞそういうふうにお願いいたします。
  228. 徳安實藏

    徳安委員 どうでしよう、これはまた私はどうせ食糧庁関係決算委員会があると思いますから、そういうときに事務的のことはお話を聞きまして、この程度にいたしておきたいと思います。  そこで大体この委員会におきましても結論を出さなければならぬような事態になつてつております。ほかの各委員会でもそれ相当に論議されて来ておりますから、大臣の腹もだんだんできて来ていると思いますから、先ほど委員長から御注意もありそれに対する大臣の御答弁もありましたが、結局現在のところでは目に見えるものは防ぎようがあるが、目で見えないものは防ぎようがないのだということが結論、しかもその目に見えない有毒の米は現地においては現在のところでは鑑別は不可能だということに何べん議論をしてもこれに落着くと思うのです。そこで大臣は一体それでは買わなくていいのかといえば買わなくちやならぬのだし、どういうぐあいにして日本の食糧政策から考えて結論をお出しになる考えでありますか。私どももここ数日のうちに結論を見出さなければならぬことになると思いますが、そうした点についてもう大体お腹ができていると思いますから農林大臣の御所信を承ればけつこうだと思います。
  229. 保利茂

    ○保利国務大臣 先ほど委員長お答えいたしたところで、私の腹づもりは申し上げたつもりでございます。結局実際問題としては黄変菌のついている米を入れないという保証は、外米は全部入れないということ以外には、実際問題としては考えられないのじやないか。むろん今後の取引改善、買付の改善の余地があれば、これはもうできるだけそれに力を注ぎますけれども、ただそれだからといつて、それじや日本は一つも買わないという場合を考えますと、なかなか日本の通商も成り立つて行かないのじやないかという感じもいたします。従つてまた食糧政策それ自体をもう一ぺん検討し直してみなければならぬという非常に大きな問題にかかつております。しかしながら当面いたしまして、どうして行くかということにつきましては、とにかく私どもとしては有害だ、無害だということについて皆さんに申し上げる資格もございませんし、知識もございません。ただしかしよるべきところは、厚生省の指示が要するに私どものよるべきところである。従いまして厚生省の指示が決して人体に有害なものではない、無害なものだということで、消費者の方に御納得が行き、御安心が行くといたしますれば、その基準の範囲内において十分改善して行き得る余地があるのではないか。しかしこれにはきようそう申したからといつて、それじや国民の方がみな安心されるわけのものでもございませんし、できるだけひとつその新しい基準なり厚生省の示される基準が、消費者のために保健衛生の上から見て、あるいは健康、栄養の上からいつて心配がないのだということを御納得いただけるかいただけないかというところが非常に大きい要点だと私は思つております。でございますからその間――むろん幸いに差迫つて問題の米をきようあす配給しなければ、きようあすの米に困るというような実情にございませんので、できるだけそういう消費者に御納得行つてもらう手段を尽すとともに、さらに研究を重ねてもらう。私どもとしてはその間に問題の米について再搗精をするというような処置を講じて、そして最善を尽して、問題の解決に努力いたしたい。しかし基本的には先ほど委員長お答えいたした通りの考えで行くつもりでおります。
  230. 徳安實藏

    徳安委員 厚生省から不適格の米として、すでに指定されている二・五パーセント以上のものが、すでに四万トンからあるわけであります。これは当然他の方に転用されると思いますが、かつて行われたような心配の残るような方面には、もちろん払下げされるとは思いません。しかしきわめて国民注視の的にあるものでありますから、今度はガラス張りの中で払下げをされるようにしていただきたい。その払下げの方針等について、ただいま農林大臣から、その御構想なりを承ることができれば仕合せだと思います。
  231. 保利茂

    ○保利国務大臣 二・五パーセント以上の含有米が相当たくさんあつたということは、まことに申訳ないと思つております。しかしながら全体につきまして、とにかくまずそれを他の用途に払い下げるよりも、つき直し等の処置を講じて、もしそれが防ぎ得るものならば、一粒でもやはり合格米にしなければならぬと思つておりますから、その辺のところは経費が多少かかりましても、やらしていただきたい。それでもなおかつどうも主食にまわし得ないものも出て来ると思います。それにつきましては、これはもう仰せの通り、まつたくガラス箱でやらなければならない。責任のがれで行けば、処分せぬで、しばらく見送るというようなこともできるだろうと思いますけれども、しかしすでに前の黄変米の騒ぎのときからで、非常に長く金利倉敷等の問題になるわけでございます。しかしこれはただ責任がこわいからということで躊躇しておるべきものでもなかろうと思います。できるだけひとつ一片の曇なき形でやらなければならぬ、そういうような方針でおります。
  232. 徳安實藏

    徳安委員 ただいまの大臣の御答弁を聞いて満足するわけでありますが、すでに黄変米の発見せられて、保管せられておる期間というものは、九州あたりを見ましても相当長い期間である。そうして倉敷料も相当たくさん払つておるわけでありますから、私どもから考えると、農林当局、特に食糧庁ではもつと早く対策として、再搗精してみるというようなことは考えられてよかつたのじやなかつたか。先般私どもが六月に参りましたときにも、すでに委員長初め私どもはそういうことを話をして、それではさつそくやつてみようという話だつたのですが、それが今日もなおそうした問題がぶら下つておるということは、少し仕事の運び方がおそ過ぎるのではないか、こう思うのです。すでに六月に私どもが視察に行きましたときもそういう話をしたのですから、もつと早く、――ついてみるくらいのことは十日か十五日すればできることなんですから、今回のこうした大きな問題が社会的に取上げられる前に、こうしますということが言い切れるくらい迅速な処置がとれなかつたのだろうか、こう思うのですが、至急にそうした手段を講じられて、そうしてどうせ払い下げなければならぬ米を、高い倉敷料を払つて、半年も一年もほうつておくというようなことでなしに、早く処置せられますよう、特に大臣にお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  233. 保利茂

    ○保利国務大臣 そういう処置は講じますが、ただ長い時間倉に置いておるじやないかという、金利、倉敷料の問題でございますが、これは不適品として払い下げなさなければならないというように、最終的にきまつた問題ではないので、金利、倉敷料は主食として配給いたしましても、いることはいるのですただ長い時間置いておつて、不合格米をいつまでも抱き込んで金利、倉敷料を払つておるのはばからしいことじやないか、こういうことで再搗精するものはして、配給できるものはする、処分すべきものは処分するということの御指示を決算委員会でも受けておる点であります。その線には沿いますけれども、全体が長くなつておるから損をしておると頭から言うのは少し無理じやないかと思います。御趣旨はよくわかりました。
  234. 田中彰治

    田中委員長 天野公義君。
  235. 天野公義

    ○天野委員 農林省並びに厚生省関係のことについて、二、三点お伺いいたします。ただいままでいろいろな点がはつきりして来たわけでございますが、特にこの際もう少しだめ押しといいますか、もう少しはつきりさせておきたい点があるので御質問いたします。  まず第一番に検査関係の問題でございますが、今までしばしば質問されたところでありますが、輸入港における厚生省の配置の人員は、横浜四名、小樽三名その他はわずか一、二名にすぎない現状であります。しかも輸入米の検査というものは非常に厖大なものであるにかかわらず、こういうような検査機構からいうと非常にずさんである。ずさんな検査で相当の黄変米が出て、国民に異常な不安を与え、国損を招来しておるようにも見受けられるわけであります。また農林省の方でもいろいろの検査をしておるようでありますし、また覚書によるいろいろな点も出ておるわけでありますが、農林省の方との共同作業も十分できておらないようであります。かつて国内の検査という面については農林省と厚生省相協力して、もつと強力にこれを実施しなければならぬと思うのでありますが、これはもう当然両省ともそういう方針で進んでおられると思いますが、しからば具体的に一体どの程度のものをどの程度の予算で行くという御構想ももうすでにある程度できておるのではないかと思うので、国内の検査機構の整備についての具体的な構想をひとつお伺いしたいと思います。  もう一つは病変米の問題で、現地に行つて検査をしない限りこの病変米についての処置は絶対にできないものだ、このように考えなければならないわけであります。従つて現地についての検査機構ということも当然考えなければならないわけでありますが、その際に国内的な見地における検査機構の整備に関する具体案と、もう一つは国際的な観点からするところの米の生産地当局に対する検査機構に対する了解の努力といいますか、そういう面と、それからもう一つは国際の検査機構があるわけでありますが、そういう方面に対する日本の学問的な研究の結果による日本の立場というものを十分了解してもらわなければならないと思つております。従つてこういうような検査機構についての国内的な問題、米の生産地の検査の問題並びに国際的検査機構に対する検査についての日本の了解の問題、この三つの問題が出て来ると思うのでありますが、これについての具体的なお考えをひとつ農林、厚生担当の方からお伺いしたいと思います。
  236. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実は従来は目に見えた一パーセントのいわゆる黄変しました米というのが検査の中心になつておりました。全部で九十八名おる。しかし今回はさらに実験し、御案内のように白色の米の中にも黄変菌があるとわかりましたので、ただいま検査能力ではなかなか日にちがかかり、また十分にこれをなしとげることが困難な状態になつております。従いましてこれを決定いたしましたのが先月の末でございます。この検査員の充実ということについてただいま外務当局と実は折衝を進め、急いでこれを充実いたしたいと考えております。なお外地においての買付のときの検査という点になりますると、これは買付関係といろいろな関係がありまするので、私どもの方でも研究をいたして参らなければならない問題がたくさんあると存じます。農林当局その他外務当局ともよく御相談をして参りたいと思います。
  237. 天野公義

    ○天野委員 国内の問題はこれは処理するのは簡単でありますが、国内の問題だけでは問題は解決しないので、対外的な買付の問題、それから船に乗せるまでのいろいろの検査機構というものを整備しなければとうていこの問題を未然に防ぐということはできないわけであります。従つていろいろのむずかしい点はあるかと思いますが、こういう点について政府一丸となつて外務当局ともよく御連絡をとつてこの検査機関の整備について格別の御尽力を願いたいと思うわけであります。つきましては今度病変米ができたということになつたわけでありますが、それについて農林当局なり、また農林当局を通じて外務省なり、こういう方面からビルマ米なりまたタイ国米の生産地の方面について御連絡をとられ、また了解工作をせられたことがありますかどうか、そういう点お伺いしておきます。
  238. 保利茂

    ○保利国務大臣 前年来問題になつておりました黄色に変色する米、いわゆる肉眼で見えます問題がやかましく言われました。昨年のビルマとの協定、タイとの協定でかなり外務当局は苦心をされまして、一パーセント以上のものは買わぬという納得をさせるには容易ならぬ努力があつたようであります。ただいま世上を騒がしております白い米の黄変菌の問題でも、これは当然今後の問題にしなければならないわけでございますけれども、今日までは何せ厚生省から食品衛生の上からこの米をどう処置すべきであるかという結論がなかなか出なかつたわけであります。出ましたのがやつと最近のことであります。その最近出ましたことがはたして今度は国民の各位に受入れられるかどうかというような状態に実際問題としてなつておるのであります。またこれ以外であれば日本は買わぬということの強い根拠――新基準でこれだということがございますれば、これによつて話もできます。しかしまだこの間からお聞き及びの通り相当研究の余地が残つているように聞きます。しかし国内の今回の世上の論議がタイあたりに敏感に波動を与えているような様子はいなめないのであります。これによりまして今後の新協定等につきましては対処して行かなければならないと思います。それまでには十分解決して行きたいと思います。
  239. 天野公義

    ○天野委員 タイ、ビルマについて今まで黄色い米は一パーセント以内という協定でやつて来たわけでありますが、新協定は今後当然問題となつて来ると思うのであります。そういう点朝海さんにお聞きしたいのですが、日本で病変米の問題が起きて、これが相当生産地に影響を与えておるという農林大臣のただいまのお話でありますが、そういう点と、今度は当然白い米についても協定を結ばなければならない段階が近い将来必ず来るわけであります。そういう点についての協定成立のための努力の面についての確信というか、努力目標というか、そういう点がありましたならば、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  240. 朝海浩一郎

    ○朝海説明員 先ほど吉田委員からも御質問がございましたし、その節御説明申し上げましたが、ビルマにつきましてはただいま農林大臣の御答弁のように、私ども非常に努力いたしまして、黄変米の率につきましてこれを日本の希望の率にまで下げるという交渉を苦心いたして参りました。また今後の交渉方針につきまして御質問がございましたが、これは目下関係の省におきまして慎重に御研究中でございますので、その研究の結果こういう結論が出たということになりますれば、外務省といたしましては米の買付に対しましていろいろむずかしい外交上の問題もございますが、でき得る限りこちらの決定の趣旨に沿いますように極力交渉いたす方針でございます。
  241. 天野公義

    ○天野委員 先ほど外地についての検査機構の問題にちよつと触れたのでありますが、今後白色病変米というものをよく検査するということになりますと、現在の商社の能力ではとうてい買付ができないという事態になると思うのです。というのは、黄色い米でありますと、目で見ただけで判断できまずから、商社で買付ができる。ところが現在の検査機構をもう一歩進めて海外にまで出すということになりますと、これは政府機関の検査機構を通過した米てないと買えなくなるという事態になると推定せざるを得ないのであります。そうした場合には、商社が政府の代行機関となつて買付をするということは、まつたくのナンセンスであつて、単に政府が商社に利益を保証してやる機関にすぎない状態になるというように考えられるわけであります。従つて検査機構の整備というものを通じて行きますと、商社貿易は、病変米ないし黄変米発生地においてはもうすでにむだなことであつて政府自体が政府責任において買付をする、こういう方向に進まなければならないのじやないか、私しろうとでありますが、そう考えざるを得ないのでありますが、農林大臣いかがでございましよう。
  242. 保利茂

    ○保利国務大臣 ただいまとにかく輸入米は荷物が着いてから買うということで買つております。それを全部政府が直轄でやるということは容易じやないだろうと思います。しかし実際問題として、ともかく今お話のような事態に相なりました場合には、相当考慮しなければならぬ事態になるだろうと考えます。決して給付のないところに反対給付のみがついて行くというような考えで商社を扱うものではございません。
  243. 天野公義

    ○天野委員 次に国内の問題についてお伺いいたしたいと思います。先ほど徳安委員も触れられておつたのでありますが、農林省提出の資料によりますと、二・五パーセント以上のものが四万トン滞貨しておるわけであります。一・五パーセントないし二・五パーセント未満のものが三万一千余トン滞貨しておる。その中において三万余トンがすでに配給をせられておるということでありますが、この配給せられたものの中に、たとえば二・五パーセント以上のもの、もしくは一・五パーセントないし二・五パーセントというような強度の黄変米が含まれておらないかどうかということについて、非常な心配を持たざるを得ないわけであります。従つてすでに配給せられた三万余トンのものは一体どの程度のパーセントを持つてつたものであるか、それがどの程度配給せられたのか。この点を事務当局でけつこうでございますから、おわかりになりましたらお示しを願いたい。
  244. 保利茂

    ○保利国務大臣 私からお答えいたします。さらにこまかくは事務当局からお答えいたさせますが、昨年十一月に厚生省からいわゆる黄変米の処理基準が出された。その基準が大体暫定基準になるわけでありますが、その暫定基準に従つてずつと配給をいたして来ておつた。それで先月七月に至つて新しい基準が出た。それは着色米だけでなしに、白色米にもそういう菌があるからということで、その白色米の有菌米の処理をどうするかというようなことで新しい基準が先月出た。それまでは従前の昨年十一月の指示を受けた基準でやつて来ておる。しかし、御質問の趣意はそこではないのでありまして、すでに、指摘せられておる黄変米は三万トン出ておるのであります、それがどのくらいの有菌米の含有度があるかということでありますが、一パーセントないし一・五パーセントという程度のもので、それは旧基準の中におきましても、新しい基準の中におきましても、私が報告を受けておるところではその範囲内に属しておる、こう報告を受けておりますけれども、事務当局がおりますから、事務当局からお答えいたさせます。
  245. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいまの御質問でございますが、在庫が相当分散いたしておりますので、今ただちに数字がつかみにくいのでございますが、調査してお答えいたしたいと存じます。
  246. 天野公義

    ○天野委員 さつそく調べ委員会報告を願いたいと思います。もう一つ厚生省当局の方にお伺いしたいのでありますが、これは私がしろうとであるという前提のもとにお伺いしたいと思います。それは、昨日の小林博士その他の方の御証言によりますと、実験上新しい事実が出たようにも聞かれるわけであります。またその黄変米の毒素の試験は、抽出した毒素を動物に注射して、その結果得た資料のようにも伺えたわけであります。また外見上白い米の病変米と黄色い米の病変米と性質上同じであるかどうかという点にもちよつと疑念があるものでありますから、この点、専門的な御意見を承らせていただきたいと思います。
  247. 楠本正康

    ○楠本説明員 御指摘の点はまことにごもつともでございまして、私どもは現在黄変米研究に従事していらつしやる各学者の新しい研究成績につきましては、まことに敬意を表して、教えられるところ多々あると存じております。しかしながら、この材料となりましたものはいずれも人工的に菌を植えつけた米でありまして、言うならばきわめて極端な黄変米といいましようか、かようなもので主として実験されております。わずか一、二例につきましてはつかめばぼろぼろになるようなほんとうの黄変米を使つております。そこで、これらの研究になお調査の余地あり、いまだ断定しがたいということは明らかに覚書にも書いてございますが、まつたく普通の米とかわりない白米において実験していただいてこそ結論が出る、要は私どもが毎日配給して食べる米、現在倉庫に滞貨となつておる米の影響をぜひ知りたいというのが技術的良心から参ります一つの気持でございます。従つてどもはもし現在の実験がさような現在滞貨となつております米を材料として研究いたした結果ならば、大いに敬意を表します。しかしながら、まつたく別な品物で調査をいたしておる限りにおきましては、私どもは先ほどお話の出ております覚書の程度の基準でありますれば、十分安全であるということを逆に推測いたしておるにすぎないのであります。つまり菌の毒を分泌するわけでありますが、その菌量というものは、変化の度合い、つまり黄変性があるかいなかによつて大分違つて来る、おそらく何倍かの相違がある、かように考えるのは公衆衛生当局としては常識であります。かような常識で私どもは従来も結核患者の黴菌を出す様子その他いろいろなものを比較いたしておるわけであります。  なおもう一つ御指摘の、昨日の肝硬変症を起し得たということは、私前段申しましたように、研究としてはきわめて貴重な研究であるとして大いに敬意を表します。しかしこれらはただいま御指摘のように、純粋培養をいたしました菌からあえて抽出した純粋の毒を動物体に連日注射してつくつたものであります。これらはかような研究方法によりますもので、ただちにわれわれの食べる現在倉庫に滞貨になつておる米の毒量がそれであるかということはこれは全然別な問題であります。この点は特に誤解があつてはいけませんので、また技術的な点について触れたいと思いますが、現在の、ばれいしよの中にもソラニンという毒素があるのであります。このソラニンを抽出いたしまして、これを注射いたしますと、小さなけもの、モルモットのごときものはわずか〇・一グラム程度でまたたく間に死んでしまいます。しかしそれかといつて、一体ばれいしよに毒があるか、これはまだ未知な問題で、何も私は現在の白米に決してさようなことなしといつて断言しているわけではございませんが、しかし少くも現在まだ未知な資料をもつてどもは何ともすることはできないというのが私の技術的の信念でございます。
  248. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいまの楠本さんの御答弁を伺つておると、当委員会におけるところの学者の発表は、まつたく現実問題を離れた議論のようにおつしやられておるのであつて、なるほどあなたのおつしやるように言えば、それはタバコの中にもニコチンが幾らかあるじやないか、酒の中にもメチールが幾らかあるじやないか、それだからいいじやないか、こういうような議論に似ておると思うのですが、それは私は大いなる誤りじやないかと思う。ことに今十一万トンのうち八万トンほど残つておるが、この八万トンの中にどれだけの毒素が包含されておるかということをお調べになられたのでありますか、なられないのでありますか。それに対して、はたしてあなたの言うように、毒素が二・五パーセント以上はないということが断言できるかどうか、その点いかがでございますか。
  249. 楠本正康

    ○楠本説明員 お答え申し上げます。もちろん学問研究の結果にわたることを今ここで研究を待たずしてとやかく言うことは私は差控えたいと存じます。ただ私が申し上げますのは、従来の研究成績も大いにわれわれの参考になり、大いに敬意を表しますが、しかし最後的には白米の試験によつて、つまり白米の毒量というものがあるかどうかをはつきりしていただかないと、これは私としては納得しかねる、かような趣旨でございます。従いまして白米を実験材料にして結果をお示しくださいますれば、私はその研究成果を率直に行政の上に大いに反映させることにやぶさかでございません。
  250. 杉村沖治郎

    杉村委員 私はここで議事進行についてですが、ひとつ委員長から農林大臣なりあるいは検査当局でもけつこうなんですが伝えていただきたいことがある。実は先ほど保利農林大臣がこの米の処理について、つき直しをしたならばどうかということをおつしやられた。これはまことにわれわれもそういうことが考えられるので、それを今ごろまでやらなかつたということが実際からいえば、きわめて怠慢と言つてははなはだ失礼かもしれませんが、この重大問題について研究しておらないのだからやはり怠慢である。だから私は、本委員会がこれについて結論を出すについても、われわれ委員会は毒素がどうとかこうとかいうのではないので、国費の問題なんですから、もしつき直しをしてほんとうにその毒素がはがれて、これが食用に供せられるということになれば、これほどけつこうなことはないと思う。だからこれくらいのことは今までにとうに農林当局は、口ばかりじやなくてやらなければならないのです。それで、米つきということは、われわれ百姓で知つていますが、三時間あれば一俵すぐつける、小さな発動機をかければすぐつけるのですから、どうぞこの委員会結論を出す前に、これがいわゆる病変であるというような米を、われわれの納得できるようにうすにかけてついて、すぐに国立衛生試験所で試験させる。私は試験をするのを、行つて見ておりましたが、無菌の部屋をつくつて、その中でやればすぐできるのです。一日あればいいのです。だから私はこれを委員長から農林当局に命じてもらいたい。
  251. 田中彰治

    田中委員長 杉村君にちよつと申し上げますが、私が九州に行つたときに私がそこに気がつきましたから、五種類ばかりつかせまして、ついたこぬかと米を各試験所に分散して調べさせております。
  252. 柴田義男

    ○柴田委員 農林大臣にちよつとお尋ねいたします。昨日われわれは各商社の代表者に出てもらいまして、現地の状況を詳細承つたのですが、その場合の手数料が〇・五パーセント、こういうことでございまして、この〇・五パーセントという手数料がどういうぐあいになるか、こういうことで少し調べてみたのです。これを一つビルマに例をとつてみますと、ビルマからは大体二十万トンばかり日本は買付を計画しておりますし、かつても二十万から三十万トン前後を買い入れておつた。それでビルマは商社は三社に限つて許されておる。三社が協定の上でおのおの同じくらいの量を扱つております。これを二十万トンと決定いたしましたと、仮定いたしますと、先ほど大体今までのデータを見せてもらいましたが、五十ポンドを基準といたしまして五十四ポンドまで買付をやつておる、こういたしますと、これを邦貨に算換して、運賃諸掛を多少多目に見ましても、邦貨五万七千円が一トン当りの価格でございます。そういたしますと二十万トン買い入れますと百十四億、これを一社、三分の一ずつ公平にやつたといたしますと、一社の取扱い料が三十八億、〇・五パーセントの手数料でございますと、一社当り千九百万円という数字がここに出て参ります。各商社が数名の商社の従業員を現地に派遣し、なおその下に現地人が相当数使用されておる。このビルマならビルマに対する一商社の手数料だけを計算して参りますと、どうもそろばんがとれないように表面は見受けるのです。けれども商社自体が、競争が激甚で、農林省食糧庁にお百度を踏んで、しかもあらゆる手段を講じてこの取扱いをやりたい、こう望んでおる。その裏には、何か別個にもうけがあるのじやないかということを疑わざるを得ない。あるいは巷間伝えられるところによりますと、商社が現地のいわゆる生産者、あるいは現地の政府の米に対する役人諸君とのいろいろなトラブルの問題をわれわれ聞いておる。こういうことが背後にあるといたしますと、商社の取扱いによつて黄変米が多量に入つて来てはいないだろうか。しかし表面的な契約を見ますと、政府政府の契約で、その定められた基準内における代行機関であるとしか見受けられないのであります。根本に触れた問題は別といたしましても、そろばんをとつてみましてましやくに合わぬようなことは商社はやるわけはございません。それでやはりどこかで何かの手段によつて大きな利益をとつているのではないかというような疑いがあるから、たとえば船賃にいたしましても、同僚徳安委員からもどうもふしぎだと言つて質問申し上げておるのはそこにあると思うのですが、これに対しまして食糧庁は商社に対する態度をもつと厳重にしてほしいと思う。  それからもう一つはどんなにパーセンテージが大きな黄変米が入つて来ても、今の表面的な、契約の表から見ますると、何ら商社には責任がない。単に古い契約と申しましようか肉眼で見て、黄変米が一パーセントを越えてはならぬという規格だけしか定められていない。それさえ守れば、あとは現在の新しい規格によつて検査して、五パーセントの黄変米が出ようと、一〇パーセントの黄変米が出ようと、商社には何らの責任がない。こういうことでは商社というものはまつたくいらない存在のように見受けられる。これは天野委員の指摘された通りでありますが、これに対しまして商社の選び方もございましようし、あるいはまたビルマに対して三社と規定しておるという状況、こういうのはどういうことで三社に限定されておるのであるか、限定されました場合には、たとえばビルマの場合は、第一物産と三菱商事と何かでありましたか、三社と限定したが、いわゆる限定の方法として、どういう角度でそういう商社をお選びになるのか、この点を承りたいと思います。
  253. 桑原信雄

    ○桑原説明員 私の存じておるところを申し上げます。順序が不同かも存じませんけれども、従来われわれの心配いたしておりましたものは黄変粒、色のかわつたものでございます。これにつきまして、今の最後のお尋ねでありますが、私たちといたしましては、商社に対して、ビルマとの交換文書の中に、黄変粒が一パーセント以上入つておるものは断るというふうに書いてあるから、これをよく実行いたすようにということを申しております。しかしながら商社といよしましては、逆に一パーセントまでのものであれば自由に認めてもらえるはずである、それ以上の努力をいたす必要はないというふうにやつておるかどうかという問題でありますけれども、これはたまたま数字的に申し上げたということではないわけでありますが、現実に昭和二十六会計年度におきましては、ビルマの例をとつて申し上げますと、十六万六千トンの米が入りまして、色のついたものとして忌避されましたのは、七千二百トンになつております。この年は四・三三パーセントであります。二十七会計年度にはいささかふえておるわけでございますが、十五万四千トン入りまして、一万三千トンのものが発生いたしております。これは八・四九パーセントになつております。なぜこの年にふえたかと申しますと、この年においてはビルマとしてはまだ売惜しみをいたしておつた時代でありまして、少しでも積出しといいますか、買入れに応ずることを拒否せば、高値に売れるということで、いささか控えた年であります。従いまして引取方といたしましては、時期が遅れた年であります。遅れましたけれども、ともかく米をあちらこちら買いあさつておる時代でありましたから、やむを得ず雨期に入つてまで引取つたという関係で、数字が逆にふえております。二十八会計年度になりましてからは、二十四万トン入つておりますが、黄変粒といたしましては、わずかに千五百トンというものが入つております。これは〇・六四パーセントということになつております。かようにいたしまして、二十九年度になつて、つまり昨年の米から少くとも一パーセント以上のものは忌避するということを明確にいたしたわけでありますが、今日におきましては、一つも入つておらぬということは、はなはだ申し上げにくいのでありますけれども、量的には現在問題を起しておるような事態にまで、いわゆる色のついたものとしては入つておらぬわけであります。従いまして私たちとしましては、現地において商社がどのようなことをやつておるかということについて、いわゆる積み取る最盛期におきましては、農林省から現地へ係官が行つて調査もいたし、監督もいたしております。それからビルマの領事館なりタイの方にも、農林省に籍のある者が外務省の方に籍を移しまして行つております。やがては農林省に帰つて来る約束もあつて行つておりますが、さようなことがあつて、かようなことになつておるわけであります。  それから船賃の問題がございます。一番最近の新しい例をとつて申し上げますが、ことしの一月の第一回のビルマからとります。船賃のきめ方であります私の方といたしましては、五月、六月、七月の三箇月間において日本に向けていろいろな食糧なり、塩なり、すべての外国船が入つてつておりますが、要するに船運賃としまして、五六、七、三箇月間の各月ごとの運賃を見ております。その三箇月の趨勢を調べてみましたところが、九十六・何パーセントで下る傾向にあるということで、その比率をとりまして、これに七月にきめました七ドルの運賃をかけて、六ドル八十というものをわれわれの予定価格といたして見ております。一方御指摘の三社が大部分異なつた会社から見積りをとりまして、その見積りをとつた結果を三社が持つてつております。これを見ますと、最高のものは七ドル、最低のものは六ドル七十セントというふうに出ております。従いまして私どもの方では、六ドル七十セントの入札値があつて、船の条件、年齢、その他においても十分なものがありますから、これでやれるはずである、従つてそれ以上の船賃でやるということは、われわれの方としては規定いたしかねる、それで六ドル七十でやれるものはやつてくれ、こういう仕組みにいたしております。  それから商社のきめ方でありますが、これは従来私の方といたしましては、大事な米を持つて来るわけでありますから、米に経験のある者というのが第一条件になります。こちらに着きました内地の港の操作の問題がありまして、ビルマに支店があるもの、あるいはわれわれの要求するような適当な人間がおるかどうかという問題、それから外国為替銀行の証明のあるものというような条件をつけて、その中から選んでおるわけなのであります。ビルマについてはほかにも希望する商社もございますけれども、また向うの方といたしましても従来からコネクシヨンのある三社ということになつてつております。しかし今後においていろいろ研究しなければならぬ点がありますが、今申したようなことでやつてつております。
  254. 柴田義男

    ○柴田委員 なるほど今の部長の御説明で表面的にはそれ以外に知り得ないのであります。ただ数字を合してみると、あまりに少額の手数料であるにかかわらず、商社が外米の取扱いをやろうとして努力しておる裏には何かあるのではないか、もつと厳重な監督をしてほしい、こういう希望なのであります。その点はその程度にいたしましよう。  もう一つ厚生大臣に伺いたいのでありますが、昨日東大の先生方のいろいろな角度からの御研究の結果を承つたのであります。現在一プロの黄変菌があつたけれども、日数がたつに従つて黄変粒というものは絶対に減りはしない、どの程度にこれがふえて行くかということもはつきりしたものが統計に現われていないが、日数がたつに従つてふえるであろう。こういうお説でありました。そういたしますると、一パーセントまではよい、こういつてだれしも納得いたしまして、本日決定いたしまするが、現実には倉庫に滞貨しておりますから、それが消費者の手元に行きますまでには一月なり二十日なりは必ず要しておる。その間に黄変粒というものは多くなつて参りましたならば、比率は高くなつて行く、こういうおそれがあるということをわれわれ考えざるを得ませんが、そういうことはあるのでしようかどうか、この点をお尋ねしたい。
  255. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 その点につきましては実はいろいろ調査もいたしたのであります。内地の倉庫の管理状態その他がたいへんよくできておるので、調査いたしましたところでは、増加はないという検査の結果の報告でございます。詳しいことは専門の部長からお答え申し上げます。
  256. 柴田義男

    ○柴田委員 それから先ほど楠本部長からの御説明によると、培養菌をもつて現在いろいろの試験の材料にしておるというお話でございましたが、あらゆる菌の検査の場合には、今の医学上では培養菌を中心としてやつておることはみなそうだと思います。しかしそれだからといつて否定できませんし、その培養菌によつてやはり試験をしなければならぬというのが現実の状況なのでありますから、これをやはり基準として、あらゆる角度から黄変米の問題が論議されておる。やはり厚生省自体もそれを基準とされて、二・五パーセントまで一日であるからよいではないかという許容限度というものを発表された。発表された結果、世論も非常に大きな反撃をもつてつて来た。これが今の問題になつておる根本であると思うのでありますが、まだ学界の決定的な研究の結果が発表されないといたしまするならば、やはり主食であるから配給をするという態度には、どうしても国民は納得はできないと思うのですが、これに対して厚生大臣の最後的な御意見と、もう一つ農林大臣に承りたいことは、保管料の問題であります。これもわれわれ決算委員といたしましては国の損失を何とかして少くしたいということからこまかにそろばんをとるのですが、現在百キロの包装で一期間に十二円三十五銭、甲、乙、丙、丁地区とございまして、最低の丁地区でも十円六銭、これは一箇月二期になつておりますからこの倍額なのですが、そういたしますると現在八万トンの黄変米が貯蔵されておりますが、一月の倉庫料二千万円前後でございます。昨年の十二月からこの問題が起きて八箇月間滞貨されておる。約二億の保管料というものは黄変米だけに支払つた倉庫料です。この倉庫料もわれわれ調査いたしますとどこの地区へ参りましても一流の倉庫業者である。しかもこれが決定されておるのは倉庫業者の協定か何かでございましようか、農林省自体がこういう全額を決定されておるのか。それが決定されておるといたしましてもこういう長期間の保管に対してはもつと経済的な契約の方法がないのか、この点を最後に承りたいと思います。
  257. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実はいろいろな厚生省におきまする動物実験その他におきます検査の結果を総合いたしまして、三パーセント程度で三十五日目程度に内臓に軽微なる障害を来す。一〇パーセント以上のものにおきましても十日以前に異変を来しておるものは今のような実験の結果ではございません。こういうのを総合して今基準を定めましたように、最高を二・五パーセント一日――安全率を相当高くとりまして動物実験は人体とはまたかわりまするから、老人、幼少あるいは内部疾患等の場合も考えて倍率をかけましていたしましたのが二・五パーセントの一日ということにいたしたのでございます。従いまして今まで私どもの方で実験いたしました総合の結果これなら安心というのが今度とりきめました基準の限度という次第であります。
  258. 保利茂

    ○保利国務大臣 保管料の問題は、計算すればそうなると思いますが、現在とにかく四十万トン以上の外米が倉庫にある。それはどれに限らず保管料がいる。倉敷金利がいる。これは当然のことでございます。ただそれをじつと寝かしておいたらいかにもむだじやないかということは仰せの通りでございますが、しかしそれをどういうふうに処置していいかというその基準が示されなかつたものでございますから、その処置がとれなかつたわけでございます。ここに一つの基準ができまして、それによつてできるだけすみやかにしたいと思つております。  また倉庫料の問題は高い安いはいろいろあるだろうと思うのでありますけれども、とにかく大事な国民食糧を保管するわけでございますから、農林省としてはそれの適当な倉庫、優秀な倉庫を指定しております。しかし料金は倉庫行政の関係は運輸省で監督をしておられる。その運輸省で定められている内規とかあるいはその他の規定あるいは運輸省が定められている公定料金よりも低くとりきめてやつていただいているというのが実情でございます。
  259. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は保利農林大臣に国損の防止という見地から伺いたいのですが、昨日第一物産の松井という人に対して、いろいろ政府との契約関係について聞いたのですが、政府はこの商社に対して委託買付け契約をいたしておるわけなんです。この委託買付け契約について、なるほど買付け先の国との間に大体の基準は定めてあるのでありますけれども、委託買付け契約をしておるものが、その基準に定められておる以外に毒素が入つておるというようなことになつた場合においては、それは日本の米の輸入ということにならない、日本で米を輸入するということは、日本人が食う米を輸入するということになるのであります。なるほど今まで黄変米と言つておりますけれども、黄色ということを非難しておるわけではなく、毒素を非難しておるわけなんです。それですから、少くとも一パーセント以下ということは、政府自体がその買付け契約の基準にしてあるわけです。ところが一パーセント以上のものが入つて来た場合においては、これは買付けを委託された商社に責任があると思うのです。この点について昨日私が第一物産の松井という人にあなたの方の責任はどうかと言つたら決して否定はしませんでした。否定はしないが、今ここで即時にその答えはできないと言われた。それはもつともであります。これは重大な問題でありまして、買付けを委託された商社としては、非常な問題でありますから、即時の答えはできないでしようけれども、私の考えでは正確な、さらにいま一般の法律上の研究をしなければわかりませんけれども政府はこの商社に向つて私は当然に損害賠償の請求ができると思うのだが、この点に対しての農林大臣の御所見はいかがでございましようか。
  260. 保利茂

    ○保利国務大臣 この問題は私はただいま深く立ち入つてお答えするだけの研究はついておりません。ただ申しますのは、白い米に菌がついておる。それは色のついておる黄変米とは全然識別を異にしておる。ただいま契約いたしておりますのは、いわゆる黄変米一パーセント以上のものは買わないという契約になつておるわけでございます。お話のように決して毒を買うのではない、米を買うわけですから。ところが別のまたそこに障害のあるものがついて来ておる。米を買う目的からそういうものがついて来ておる。しかしそれは通常の国際間の取引になつておるわけでございますから、国際間の取引関係からそういうものが一体責任追究を受くべきかどうかということは大きな問題であろうと思います。しかしこれは私が責任があるとかないとかいうことは申し上げてはならない問題であろう。それで法務当局の解釈を至急御研究を願いたいということで、食糧庁長官には命じておるわけであります。それによりまして私の方としては処置したいと思つております。
  261. 杉村沖治郎

    杉村委員 ただいま農林省としても即答ができないということはごもつともでしよう。私としてもそれがはたしてその通りできるというまだ法律上の確信は持つておりませんから、私も大いに研究はしますけれども、しかし通常の観念において、いわゆる常識的からいつて、黄変一パーセント以下ということは、黄色一パーセント以下ということを言つておるのではないでしよう。黄変は毒素を含んでおるということであるから、一パーセント以下であれば、それは毒素を含んでおつても大丈夫だということであつて、黄色ということが主ではない。毒素が主である。だからそれ以上の食糧にならないようなかびが目的物にあつた以上は、これは当然にこれに対して何らかの損害賠償の請求ができないという理由は毫末もないと考えられるのであります。で、この問題につきまして、毒素がどうとかこうとかいいましても、国損をいかにして防止するかということが、われわれ決算委員会の一番大きな仕事なんでありまして、どうかこの点につきましては農林大臣は十分ひとつすみやかに御研究を願いたい。こんな毒の、食えないものを買つて来ても、米ではありません。毒であります。これは十分お考えを願いたいと思う。答弁をしていただかなくてけつこうでありますが、どうか至急にこれは法務局なり何なりへ委託されて、すみやかに研究をしていただきたいと思います。なおいろいろ質問したいことがありますけれども、時間がたちましたので、きようは私の質問は留保して、これで終ります。
  262. 藤田義光

    ○藤田委員 午前午後にわたりまして、小原法務大臣を呼びましていろいろ質問したのであります。黄変米の問題に関しましていよいよ結論が近づいております。決議というような形式も考えられるのであります。この際私が動議として提出いたしたいのは、先般の疑獄問題に関しまして直接責任を持つておりました検事総長あるいは東京地検検事正、これを実際に調べました検事、これを呼びまして、一昨日の吉田総理の発言と照合いたしまして、われわれがかりに黄変米問題に関して決議をする、これが厳正に実施されるという保障を得るためには、本日の法務大臣の発言では絶対われわれは信頼できない。従いまして、これらの人々をぜひとも近い機会に当委員会に呼びまして、真相を糾明した上で結論に入るということを御採択願いたい。動議として提出いたします。
  263. 安井大吉

    ○安井委員 ただいまの藤田君の動議は、明日十時から理事会をやりますが、理事会ではかつて決定すべきものである、こう思います。
  264. 田中彰治

    田中委員長 それでは明日の理事会にはかつて、藤田君の動議を決定いたします。吉田君。
  265. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二、三農林、厚生両大臣に主として伺いますから、要点だけでよろしゆうございますので、簡明に御答弁願いたいと存じます。  ちよつとその前に、事実関係を確認する意味におきまして、検査院の第三局長に伺つてみたいのです。本委員会に提出せられました農林省の資料によりますと、昨年十一月三日から七月三十一日までに厚生省において検定いたしました黄変米というものは、十一万四千四百七十六トンであります。現在輸入港在庫が、県外在庫のものを合せて八万一千四百余トンになつております。従いまして、あなたのお調べのできておる範囲におきまして、これらの買付代金の総計、これのうちどの割合が――今の再搗精によつてさらに混入率を引下げ得るような、そういう問題は一応あるといたしましても、今報告によつて現われておりますものを標準といたしまして、当然現在きめられておる基準からはずすもの、はずさないもの、それからすでに売却したもの等があります。従つて関連して倉敷料もありますが、倉敷料はさきに大体お述べになつておりましたが、あなたの方でお調べがあれば、結着の数字だけをひとつお願いいたします。結局そういうふうにいたしまして、およそわれわれから見まして、どのくらい金員が総経費として出るのであろうか、こういう点につきまして、可能な範囲で要点を数字だけでけつこうですからお述べ願いたい。
  266. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 お答えいたします。今までに入りました黄変米は十一万四千トン、これは農林省から資料が出ております。この中の三万トン余りはすでに配給済みてあります。残りが八万一千トンばかりになりますが、これは大ざつぱな調べでありまして、詳細なことはちよつとわかりかねますが、これが五十六億円で、トン当り平均六万九千円余りになつております。この八万一千トンの処分がまだきまつておりませんので、これをこれから再搗精して含有のパーセントを減らすなり、あるいは配給にまわすなり、いろいろな方法が考えられるわけであります。再搗精は従来も黄変米についておるのでありまして、これによつて黄変粒の混入を減らして行くということをやつております。この問題の八万一千トンについても当然食糧庁ではおやりになることと思います。将来どういう方法で幾らが配給にまわり、幾らがたとえばアルコール用にまわるかというようなことはちよつと申しかねます。ただ従来二十六年度、二十七年度に入りました黄変米、これは御承知のように二万二千トン余りありますが、これで八億三千万円余り損したわけであります。かりにこれと同じ値段で売れたとして――これは今申しましたように、非常にラフな推定が入つておりますから、あるいは平均いたしますとそれよりよけいになるかもしれませんし、減るかもしれません。事態が非常に違いますから、一概にこういうことは申し上げない方がよいかもしれませんが、従来の黄変米は二万八千円くらいの平均になつております。これはトン当り六万円余り、ものによつては八万円というのもありますが、それが一番安いので一万六千円余り、高いので三万円ちよつとということで、平均いたしますと二万八千円くらいになるのであります。これは計算に非常に仮定が入つておりますから、ほんの御参考ですが、かりに二万八千円ということになると、この五十六億円が二十三億円くらいになるのじやないか。これは繰返して申しますが、ほんの仮の計算でありまして、差額が三十三億くらいになりますが、これは配給にまわすものがないという前提でやつております。一パーセント以下あるいは非常に微量になりまして、十分に食用に供せる、配給にまわせるものがふえて来れば、これは非常に減つて参ります。ですけれども、かりに最悪の場合で、しかも二万八千円というような安い値段になつたということになりますと、こういうように半分以上損ということになりますが、おそらくここまでは損は生じないだろう、どんなことがあつてもこれ以上にはなるまい、こういう計算であります。
  267. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは検査院の方におきまして、近い将来何か確実な数字が出ましたら、また参考までに御送付いただいたらけつこうだと思います。  それから農林大臣と厚生大臣に伺いたいのでありますが、まず厚生大臣に伺います。着色のない黄変米については、あなたの方の提出資料によりますと、昨年の八月二十九日、コロンビア白米において、あなたの方からの農林省への通告で、昭和二十八年九月二十五日、衛食一二二号、こういうものによりまして、有毒な黄変米が白色の米の中に含まれておるということをあなたの方で確認した事実を農林省へ御通知になつております。そういたしますと、私どもから考えれば、実は去年の九月にこういう事実が発見せられましたら、食糧衛生の主管庁といたしまして当然にやはり相当な措置が、たとえばそれを防ぐ措置、それから農林省に向つて適当な措置を要求する問題、あるいは研究上の措置、その他各般の措置がとられなければならなかつたと思うのであります。ところが実際におきましては、その後本年の七月二十四日の両省次官の覚書に至りますまで基準がきめられず、かつまた今の楠本部長の御説明によりますと、学者の幾つかの実験というものもほとんど歯牙にかけないような御説明になつておる。これは一体なぜもつと早く適当な、今のような措置をおとりにならなかつたのか、それをひとつ伺つてみたいと思います。     〔委員長退席、藤田委員長代理着席〕
  268. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 御指摘のように、去年のそのころ発見いたしました。しかし確たる実験とかそういうものがまだできておりません。ただ白い米の中にも危険性のあるものがある――いわゆる黄変菌というものが発見せられ、従つてその後年末になり、また本年になりましてから、十分動物実験その他をいたして、研究を重ねて参つたわけであります。その結果が今回の黄色のものであろうとも、白色のものであろうとも、実験の結果によつてのパーセントということに確定いたしておる次第でございます。
  269. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 厚生大臣に重ねて聞きますが、あなたの方では、白色の米に黄変米菌が発見されたという事実はお認めになつた、そしてその事実に基いていろいろ御研究になつたとおつしやつているが、白色の米に従来見なかつた黄変米菌を発見したという事実はかなり重大なできごとと私は思うのであります。でありますが、そういう事実に基いて、農林省との間に何らかの御交渉でもできたのでしようか。あるいはその辺についての手続はどういうふうになつたのでしようか。
  270. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 そういう次第でございましたので、農林省にも、ただいまお示しになりましたように通報いたしましてさらに動物実験等の研究の結果ということにいたした次第でございます。
  271. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうもその点がはつきりしないのですが、あなたも当時在官でなかつたらしいので、聞いたことをお述べになる程度らしいのですが、実は私どもが知りたいのは、こういう重大なことになつて来る予感でもあつたのだろうか、あるいは道ばたで拾つたような一つの材料をお互いに出し合つたりした程度であるのだろうか、その辺はどういう構えをもつてこの問題に対処せられたのかを知りたかつた。事務の末端を聞くというよりも、私がここにいろいろ伺いたい点は、あなたの方と農林省との間に、この重大な問題を中心にいたしまして、相当意見の交換なり協議なりが行われたのでなければならぬと思います。でありますので、そういうことに対する御方針及びそれに基く措置、こういうものを聞きたかつたのでありますが、おわかりでなければ楠本部長さんからでもよろしい。
  272. 楠本正康

    ○楠本説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の農林省への通報は、初めてさような白米中に怪しいものを見たというので、むしろ注意を喚起する意味で提出をいたしたものであります。その後研究の結果、昨年の暮れになつて初めて私どもがそれを確認いたしました。従つてそれから以後のものにつきましては一応滞貨していただくようにお願いをしたわけであります。なおこの間に両省がいろいろ相談をし合いましたことは申すまでもございません。
  273. 藤田義光

    ○藤田委員長代理 ちよつと吉田委員にお伺いしますが、すでに五時半になりますし、それから委員の方も非常に減つております。せつかくのいい質問ですが、まだ大分長くかかりますか。
  274. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 できるだけ簡潔にいたしますから……。  農林大臣に伺いますが、この黄変粒、イエロー・グレーンとかおつしやつておりました黄変粒が、一パーセント以上混入している場合には拒否するという契約の趣旨が、昨年の十月に初めて売手国との間に取結ばれております。契約書も拝見いたしました。ところがすでに衛生主管庁の厚生大臣の方からは、九月に白色の米に黄変米菌がついているという事実があなたの方に公式に通告されている。そんならばさように重大な外国との売買のとりきめにつきましては、すでにそのときにもつと広汎に、これはいろいろとこのような事実が起らないよらなとりきめをすべきであつたと思うのですが、この点いかがでしよう。あるいはそれも事務のことになりますから、あなたはどうかと思いますが。
  275. 保利茂

    ○保利国務大臣 この白い米の先ほど来のお話は、確かに楠本部長お話通り農林省に通告があります。ただ大量に輸入していたコロンビア米という、まつたくケースのないところにたまたま発見された。それで白い米であるからといつてゆだんはできないぞという警告的注意はいただいております。しかし現在大問題、大論議を起しております問題すら、先ほど来楠本部長の御説明の通りである。従つて当時のなんといたしましては、私は決して弁解ではないですけれども、白い米はまあ元の処理基準にいたしますれば――A、B、C、D、Eですか、あの基準に比べますと問題にしていなかつたという点は確かにあつたろうかと存じます。従いまして私も最近そのことは深くつつ込んで聞いておりますけれども、その当時は実は聞いていなかつた
  276. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、これはやはり当時の、去年の十月から契約を改訂いたしまして、黄変粒混入一パーセント以上ということを初めて記入したそうであります。そのときにほんとうは最善の注意をもつてするならば、やはりもう少し広い範囲におきまして、白色の黄変米というものも記入することの方がよかつたのではないか。まあ願わくはそういうように――願わくはというよりも、当然そこまでやるべきでなかつただろうか。もうすでにあなたの方が最も信頼されている厚生省から御注意を受けていなさるのだから、一方を説き伏せるためにも、もう少し広い範囲を挿入することができなかつたものだろうか。できないならば何かあとにさらにクレームのような、こちらも伏線を引くような条件でも決定するということをまた別にお考えになるべきでなかつたかと思いますが、その点いかがでしようか。
  277. 保利茂

    ○保利国務大臣 それはごもつともでありますが、実際問題といたしましては、それらは当時の状況といたしましては、契約協定というものはおそらく成立しなかつただろうと思います。しかしまたそこまで頭を用いていなかつたことも事実であります。
  278. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから厚生大臣に伺います。昨日当委員会におきまして小林教授などが、また厚生委員会でもいろいろとお述べになつていたらしいのですが、これは前から聞いておりましたが、例の摂氏三十二、三度の温度において相当強烈に働きますイスランデイアの黄変菌の発生事実、それからそれの肝硬変の変化の原因とせられたような事実、これは楠本部長ならば一学者の所見ということで捨てておられますけれども、私どもの考え方はやはり国民保健という観点からできるだけ厳格に解釈してほしいのです。刑事法律なんかは、疑わしきは罰せずなんですが、この種のものは疑わしきはやはり除外してほしい。この逆になるものだと思います。でありますから、そう厳格に解釈する立場からしますれば、以前伝えられておりました角田博士の御発見になりました事実はちよつと確認されたような形にも私どもはしろうとながら了解するのでありますが、そういうことになつて参りますと、やはり現実の行政面にも相当疑問符を付して臨まねばならぬと思うのです。私はこれからこの黄変米の毒素を中心にいたしました研究は、これだけ世論の沸騰したあとでありますから日々進歩すると思います。りつぱな成果がやがて上ると思います。そのときになつて、数日前に発見といいますか、確認せられました肝硬変の原因とせられましたあのときの事実を取入れまして、行政面にこれを現わして行くということになりましたら、もうすでに国民の肝臓はある程度までこわされておるということを私どもは心配するのであります。でありますので、この点からいたしまして、そういうような事実を発見せられましたならば、これは天文学の向うに何か発見したということではなしに、現実の非常に重大な発見といたしまして、刮目してこれをある程度まで取上げなければなりませんので、これを一笑に付したり、歯牙にかけないというような態度は絶対に禁止しなければなりません。そういう行政根性は抜き去らなくてはなりません。なぜならばあなたの方といたしましても、あなたなら以下の部下の行政事務官の言によつてこれを左右すべきものではなくして、農林省は厚生省を信頼しておられるのです。厚生省は同時にまた学者の研究の集積に信頼する以外に私は道はないと思う。よし培養実験であろうと、あるいは自然菌の利用であろうとにかかわらず――培養実験であるからといつてもこれはいろいろ複雑な自然条件をもとにするので、純粋ですから常識的なものにたよるという危険はないのです。そういうことについてもつと真剣に考えてもらわなくてはいかぬと思うのです。だからこれは真剣にお考えになる材料としてお取上げになるかどうか、この点をひとつ聞いておきたいのです。
  279. 草葉隆圓

    ○草葉国務大臣 実はその後もいろいろとこの問題が大きくなりましてから、ただいまお述べになりましたように、学者等の御意見もるる聞いて、これらの御意見は私ども傾聴いたしておる。従つてその後におきましても基準はきめましたが、相当不安もありますから、あらゆる方法でさらに研究を現在も続けております。大体今申し上げましたように、二・五パーセントまで一日というのは大体四十倍の安全率は持つていると現在までの実験の結果はいたしておりますから、あらゆる点を総合はいたしておりますが、今後十分研究をし、これらの点の学問の進歩とあわせて進んで行くことには私ども決してやぶさかではございませんし、また他の学者の意見も大いに傾聴いたしたいと存じております。
  280. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今聞いておるのは……。
  281. 藤田義光

    ○藤田委員長代理 吉田さん、ちよつと伺いますが、外務省関係質問ありますか。――吉田委員に申し上げます。明日午前十時から理事会を開きまして、まだ残質問もたくさんあります。重ねて委員会の開会について御相談しますから。本日は猛暑の折からでもありますし、この程度で吉田委員の質疑は一応保留していただきたいと思いますが、いかがでございましようか。
  282. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは私は保留しまして、あした最終結論を出すようにということでありますから、私はたくさん残つておりますが、そういうことならばきようは質問を保留しておきます。
  283. 藤田義光

    ○藤田委員長代理 それでは本日はこれにて質疑を終ります。吉田委員のお気持は十分に明日の理事会に反映させるようにいたします。明日の理事会は公報にも出ておりますが、午前十時から第九委員室て開会いたします。理事以外の方も努めて御参集を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十六分散会