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1954-06-02 第19回国会 衆議院 決算委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月二日(水曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       越智  茂君    徳安 實藏君       村瀬 宣親君    片島  港君       山田 長司君    吉田 賢一君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         外務事務官         (経済局次長) 永井三樹三君         厚 生 技 官         (公衆衛生局防         疫課長)    尾崎 嘉篤君         農林事務官         (農地局建設部         災害復旧課長) 大塚 常治君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入蔵出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会一計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  まず本日の理事会におきまして協議決定いたしました案件につき御報告申し上げます、すなわち、閉会中における継続審議の日程につきまして、まず今月二十四日から五日間連日開会し、七月な追つて協議の上決定処理すること、かように決定いたしたから、各位におかれましてはそれぞれ御事情はありましようが、これに御協力願う次第であります。     —————————————
  3. 田中彰治

    田中委員長 それでは前会に引続きまして農林省所管事項について審議を進めます。ではただちに質疑を許します。
  4. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行について。ただいまの理事会協議事項で、二十四日から五日間の連続審議をするということになつておりますが、私は本日ここに黄変米が五万六千九百五十六トンあるということを知つたのでありますが、これに対して閉会中にこの実情を調査するの必要があると思いますからひとつこれのお諮を願いたい。と同時に、食糧庁に対してこの黄変米に関する契約書昭和二十八年十二月二十八日、昭和二十九年二月一日、昭和二十九年一月八日、昭和二十八年十二月二十一日、昭和二十八年二月十二日、昭和二十九年二月一日、昭和二十九年二月十二日、昭和二十九年一月二十六  日、昭和二十九年三月五日、昭和二十九年三月三十一日、昭和二十八年十一月二十日、昭和二十九年二月二十六日、昭和二十九年三月何日ですか、これはちよつとわかりません。昭和二十八年十一月三日、この期間に日本の港の名古屋、関門長崎、四日市、横浜、これにそれぞれ入港した黄変米買付契約書食糧庁長官から提出させていただきたいと思います。  それから先ほど申しましたように、これの調査を、この休会中に現状について調べる、これをひとつ諮つていただきたい。  あわせてこの調査には関門がありますから、この往復に最も関係のある山口におけるところのあの補助金不正関係をやはり往復の途次調べたらよろしいと思いますが、それもひとつお諮りをいただきたいと思います。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 現地調査の件はあとでひとつ理事会にお諮り願いまして御決定願いたいと思います。資料の点はそのままでけつこうです。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中彰治

    田中委員長 それではあとで今の杉村君の動議に対して理事会決定することにいたします。
  7. 柴田義男

    柴田委員 会期末で最後状態になりましたが、まだ大分山積している状況であります。たとえば食糧問題、そのほか建設省関係、三公社等も全然審議が進んでおりませんので、この際皆さんにお諮り願いたいと思いますが、発言時間を今までは三十分ということに規定しておつたわけでありますが、これではなかなか進行しないと思いますので一人の発言時間を十分とし、これが終了しません場合にはもう一度繰り返す、こういうことで審議を進めていただきたいと思います。
  8. 杉村沖治郎

    杉村委員 今の柴田さんの言われる十分というのは質問する時間ですね。その点につきましては、私はこう思うのです。時間を十分と制限するようなことでほんとうに審議できるかどうか疑問なので、それよりも審査する番号をこれこれやるということにきめて各党が何時から何時までというようにした方が能率が上るのじやないかと思う。それでその党でだれが聞くとかきめればいいと思いますが、いかがですか。
  9. 田中彰治

    田中委員長 この決算委員会はほとんどあなた方に全部質疑さしてまつたく自由党の人たちは黙つてがまんしているようなわけでございますから、まああなた方の委員会みたいにしてあるのだからそこはまあうまくやつてくださいよ。少し長いときは適宜に委員長からかえますから、それでとめるようにしてやつていただけばそれでいいのじやないかと思います。まあそこは委員長におまかせください。  それでは質疑を許します。吉田賢一君。
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前会に引続きまして、いわゆる病変米というか黄変菌のある米の問題につきましてお尋ねしたいと思います。きようは厚生省が大臣以下関係当局お見えの予定でありますけれども、前の食品課長でありますか、当該お係りの事務官に伺いますが、厚生省におきまして昭和二十八会計年度輸入外米につき病変米といたしましてもしくは付着菌のある米といたしまして、不適格指定を相当数量しておられる様子でありますが、この大体の数量とか状況についての御説明を願いたいと思います。
  11. 楠本正康

    楠本政府委員 お答えを申し上げます。現在まで私ども検査をいたしまして、その結果若干問題がありとしてチェックいたしました数量はつきりいたしておりませんが、昭和二十七年度で約六千トン程度、二十八年に約一万トン程度、それから二十九年度に約五万トン程度かと存じますが、しかしなぜ二十九年にこうふえたかと申しますと、私ども全品検査を漏れなくできませんので、一応検査をいたしまして、その結果疑いのあるものを指摘いたしまして、それをあと仕訳と称しましていろいろさらに精密に仕訳をして参ります。さようにいたしまして最後にその結果が判明するわけでありますが、ただはなはだ申訳ございませんが、現在まで仕訳が済みませんで、現在約五万六千トン程度がまだ仕訳未済として農林省倉庫にございます。これを逐次農林省にお願いをいたしまして仕訳をいたしまして、その配分を実施するわけでございます。従いましてこれらの数量はこの仕訳が完成いたしませんと、最近の分についてはまだ確たる点を申し上げられないのでございます。
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最初の御説明のうちに検査の結果若干問題がありということでありますが、その若干の問題の内容を、大体具体的にどういうものをさしてこの程度数量のものをお出しになつておるのか、その辺のことを相当詳細に伺いたい。
  13. 楠本正康

    楠本政府委員 この点に関しましては、一応私ども病変米として黄変米疑いのあるものを選び出しております。しかしこれは港に入りましたものの全品検査をできませんので、やむなく一部の抜取りによりまして検査をしておるわけであります。この検査方法といたしましては、もちろん外見上の検査のほかさらに精密に内容その他を調べて決定をいたす次第でございます。しかしあくまでこれは抜取り検査でございまして、全部の品物のよしあしをきめるものではございません。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつごろお始めになつてその指摘せられた数量は片がついたのかどうか、いずれ船ごとにおやりになつたと思いますが、その船の分は片がついたかどうかというふうな点をひとつはつきりしていただきたい。当初から現在に至りますまで、もう少し時間の点から数量指摘していただきまして、ある時間の分は仕訳が済んだとか、ある時間の分は病変米指摘を受けたけれども、その結果はそうでなかつたとか、その辺のことが知りたいので、ひとつ御説明をしていただきたい。
  15. 楠本正康

    楠本政府委員 仕訳につきましては先ほども申し上げましたように、私の方でかような方法はいかがでありますかという、国民保健衛生の立場からさような一つ基準にのつとりまして農林省に申し上げ、農林省の方において実際の仕訳の操作を実施していただくわけになつております。そこで現在農林省の方で仕分をすべきものが、現在なお倉庫に五万数千トンたまつておる。そこでこれらのうちさらに仕訳の結果はどれだけのものがどのように処分されるかということは、これはまたおのずから別な問題でございます。
  16. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して……。ただいまの厚生省で不適格品として指定されたものは、大体においてどういう基準に基いて不適格品として指定されたか、その基準を聞きたい。
  17. 楠本正康

    楠本政府委員 不適格品というものは、これはその程度にもよりますので必ずしもこの場合は当らぬのでありますが、一応私ども黄変米疑いのあるというもののうちどういう処理基準でするかという点を申し上げた方がいいかと存じますが、たとえますれば、一例をとつて申し上げますと病変米のうちにタイ国黄変米という一つ種類があるのでございますが、このタイ国黄変米について申しますと米の全体のうち一%以下の分は飯米として一向さしつかえないと考えております。また一〇%以下のものはみそその他の加工食品原料とする分には一向さしつかえない、かように基準を立てております。ただこの一〇%以上を越えるものは工業用原料となる、こういうことが一般基準でございます。しかし全部の米に対して私どもはなかなかこれを振りわけできませんから、これらの方針従つて農林省の方におかれましては——方針従つて言つてははなはだ言葉が穏当でございませんが、お互いに相談いたしまして、この程度でひとつ仕訳をしようじやなかろうかという話合いで進めておるわけでございます。そこでかりに私どもの方はこの病変米タイ国黄変米について見ますると、一%以下のものであつてもこれは一応はあつたということでチェックはいたします。しかしながらそれがただちに配給にならぬというものではございません。従つてこの五万数千トンというものはそういう意味でまだ仕訳が済んでおらぬということを申し上げておるわけでございます。
  18. 杉村沖治郎

    杉村委員 二十六年、二十七年にも黄変米ぶありまして、これを食べれば人命に関するとかいうようなことのためにその大部分食糧配給にしないで、ほかの用途に使用した。それによるところの損害というものは非常に大きかつたのですが、ところが、何%あつたのか知りませんが、やはり黄変米として人間食糧に供することはいけないということの決定をせられたのは厚生省だろうと思うのです。それにもかかわらず日本中に黄変米を食つて死んだという者もなければ、病気なつたという者も聞かないのですが、これはどの程度毒素があるのですか、非常に疑問なんです。これも黄変、あれも黄変というようなことで、ろくに毒素もないようなものを随意契約や何かで安く売つてしまつて、そうしてはなはだしいのはこれが和歌山県でやみに流されておつた、こういうことまであるのですが、先ほど申しましたようにこれを食つて病気なつたという者を聞いたことはないのですか、どういうような毒素を持つておるのですか、それをひとつ聞かしてください。
  19. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 お答えいたします。黄変米といいましても実はいろいろ種類があるのでありまして、ただいま毒性があるとかいうことがはつきりいたしておりますのが、有毒黄変米と申しますか、真性黄変米イスランデイア黄変米タイ国黄変米、この三種類があると聞いております。まだこれ以外に疑わしいものがあろうと思いますが、現在研究中でございまして、まだその点はつきり申し上げかねますが、この二つは聞いております。まず有毒黄変米というものの御説明を申し上げますと、これはペニシリンをつくりますかびと同じような種類のペニシリウムトクシカリウムというものが米について黄色な斑点を生じて、一種特別なにおいをつける、また紫外線を当てますと螢光を発する、こういうことになつております。これの毒成分中枢神経に対しまして麻痺を起こさせる、それから肝臓の萎縮を起こさせる、こういうようなことであります。但しこれは百パーセントと申しますか、人工的にこの菌を培養しまして、また米に付着させましてやつたものの実験であります。それで何パーセントくらいから変化が起らなくなるかという実験を現在やつておりまして、限度ははつきりわかつておりませんが、とにかく事実は別物実験で明らかです。しかしこれは現在のところ、輸入米としては問題になつていない種類であります。輸入米として問題になつておりますのは、イランデイア黄変米タイ国黄変米です。イスランデイア黄変米と申しますのは、肝硬変黄変米とも申しますが、ペ二シリウム・イスランデイクムによるものでありまして、米粒の全部が一中が黄色くなつたり、黄褐色になつて外米臭を発する。しかし紫外線を当てましても螢光は発しません。この有毒物腎臓とかあるいは肝臓を冒します。タイ国黄変米はペニシリウム・チーリヌムというものによるものですが、これの毒成分はチトリニンというもので、純粋結晶がとれているのですから相当はつきりいたしております。このことがわかりましたのは、例の抗性物質をやつている人たちが、毒成分がついて抗菌性物質をつくるのに使えぬということで調べましてその毒性を出したものであります。それが一諸のものだということがわかつたのですが、これもやはり米が黄色くなるのが大部分であります。これは螢光を発します。有毒性物腎臓を冒します。タイ国黄変米関係は、どの辺から毒性を示すかということをいろいろやつのですが、一〇〇%、五〇%、一〇%程度までのものは動物に数週間で変化を起させております。これは学者すべが認めておるところです。一%のところから大体起さない。起さないと申しますよりも変化が今のところ見つかりません。それで怪しいという学者もないことはございませんが、一般の通説といたしましては、タイ国黄変米では、一%混入ならば、動物実験におきまして変化を認めていない、こういうことであります。それからイスランデイア黄変米の方は、学者によつて有毒性を現わして来る程度が違つて来ることがありますが、最近学者意見も大体一致いたしまして、今のタイ国黄変米と大体同じ程度、一〇%程度までは変化を及ぼすが、一%くらいからは起さなくなる、こういうような動物実験を得たのであります。それから人間に対しましては、これは私の方でやつた実験ではございませんが、農林省の方で京都大学の方にお願いして、人間についているく実験していただいたデーターも、一〇%の下のところから一%の間の辺で変化が起つておるということを私は漏れ承つておりますが、これは私も正式に報告を受けたわけでなく、その点で私はこれははつきりいたしません。そういうふうに聞いております。
  20. 杉村沖治郎

    杉村委員 あなたの講義はいろいろ各国の米についての毒素の御説明であつたのですが、私が今伺つてつたのは、昨年まで現実に日本に入つて来ましたところの黄変米が、先ほど申し上げましたように、食糧に供されないでほかの用途に使用されて、判明した国損だけでも十億にも達しておる、それほど莫大なるところの黄変米、すなわち食糧に供しないということを厚生省指定して、これを農林省配給しないでほかのところへやつて十億の損をしていたのでありますが、しかしそれによつて一つも死んだということもなければ黄変米のために病気なつたということも、今までわれわれは黄変米の問題をこの決算委員会で処理していますけれども一つもそういう問題が出て来ておらない。これはどうもあなた方の科学的な御説明ではそうなつておるのでしようけれども、今まで実際において黄変米として他に使用された米は、あなた方が言われるような黄変米が入つているのではなくて、私どもが想像するように、これも黄変米、あれも黄変米ということでいい米を適当に処分したのではないか、こういうふうに私ども——これははなはだ邪推的なことであるかしりませんけれども、事実上一つもそういう病人も何も出て来ておらないし、しかも和歌山県ではやみ取引をしておいて検察庁に告訴されて裁判になつているのですから、こういうことはいかがかと思うのです。農林省は、人間については農林省であるというような意味お話ですから長官に伺いますが、農林省はそういうことについて、これまで十億も国損を与えておるところのこの黄変米が国内に流れておつて、それがどのくらいの影響があつたかということお調べになつたことがあつたかなかつたか、あつたとすればどういうような影響があつたか、それを伺いたい。  それからさらに、これまで決算委員会で非常にこの問題についてやかましく審議して来たにもかかわらず、本年また昭和二十九年二月入港した船、それから昭和二十八年十二月以降、こういうたくさんのものが厚生省適格指定数量として出て来ておる。これは五万六千九百五十六トンですが、こういうような米を何ゆえに食糧庁では買い入れたか、これを買い入れたその経緯をひとつ承りたい。
  21. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの杉村委員の御質問の被害程度でございますが、被害程度につきましては先ほど厚生省からお話ございましたように、一応不適格品としてみそ用なりアルコール用配給いたしております。ただ御指摘のように、それが和歌山県でやみ流しをした、こういう事実でございますが、その場合におきまする被害というものは、われわれは正確に承知いたしておりません。ただ、われわれといたしましてはこういう事実がございますので、京都大学その他の大学試験を依頼いたしておるわけでございます。最終的の報告は参りませんが、人体実験につきましては京都大学で今試験を実施中でございますが、中間的にはある程度嘔吐感を催す……。
  22. 杉村沖治郎

    杉村委員 発言中ですが、私は昨年までの黄変米毒素人体にどのような影響を及ぼすか及ぼさないかについて大学試験を頼んでおるかどうかということを伺つておるのじやないのです。先ほども申しますように、判明した額でも十億というような莫大なる国損を与えておるところの黄変米を全国に流しておいて、しかもそれは人間が食えば毒であるといわれておるにもかかわらず、それが和歌山県あたりでやみに流されておつて検挙されておる者もある。だから人間食糧として食つておることは明らかなんです。ですから、それについていかなる影響があつたかということを御調査なさつたことがあるかどうか、調査したとするならばその昨年までの黄変米を食べたために人間にどういう反応があつたかということを知らしてもらいたい、こういうのです。
  23. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。和歌山県の横流し事件につきましては、具体的な消費者状態につきまして、これはなかなか消費者がだれが食つたかということが明確でございませんし、調べる手がかりがございませんので、調べておりません。  第二の点でございますが、この黄変が起りましてから、われわれといたしましてはビルマ政府とも交渉いたしまして、外見的な形におきましての黄変粒混入は一%以内という規格のとりきめができまして、それによりまして買付をいたしておるわけであります。ビルマ米タイ米は大体二十八年度は十二月末から一月初めにかけて買入れをする、これは米の出まわり関係でございますが、そういう事情でございますので、一月以降買入れたわけでございますが、この場合におきましてはつきり肉眼をもつて黄変しておるというものは少量でございまして、大体肉眼では鑑別できませんが、細菌培養の結果、それに黄変菌がついておる、こういう状態でございます。
  24. 杉村沖治郎

    杉村委員 どうも私は食糧庁長官お答えに満足できないのですが、いやしくも厚生省が、人間が食えば毒になるということで、食糧として配給してはいけないという米を配給したとしたならば、農林省はこれは少くとも警察なり何なりと連絡をとつて、その米がどこへ入つてどういうふうに流れたということを調査すべきではなかろうかと思います。この間の新聞に出ておりましたが、納豆屋がたつた一本の納豆を売つても、放送局に頼み、警察に頼んであれだけの放送をし、あれだけの騒ぎをし、新聞にも載せて、遂にわかつて何事もなくて済んだようですが、一商人が一本の納豆を売つたことについてすらもそれだけの責任を負つて、あれだけ大騒動をし、東京の五大新聞に掲げておるのです。いやしくも厚生省国民食糧として買い入れた米だが、人間に毒になるということで、食糧にしないで、ほかに配給した、その配給した米がやみに流されたり何かしておることがわかつておるにかかわらず、それを調査しないということは、私は農林省食糧についてどういう考えを持つておるのか、きわめて無責任だと思います。ことにこれは検察庁に検挙されて、事件となつておるのでしよう。事件となつておれば、被告人がどこにどうやつて売つたということはすぐわかることではありませんか。あなた方はそういうことがわかるはずです。警察に尋ねましても、その米はどことどこにどういうふうに流したということになれば、流した地方をさらに調べたらいいじやありませんか。そういうことも調べないで、どういう反応があつたかもさらにおかまいなしで、続いてまたこのような五万何事トンといういまだかつてないほど大きな数量まだその内容がどうであるかはわれわれこれから調査してみなければわかりませんけれども、こういうようなことを毎年々々年を重ねてやられるということは、これは非常に重大問題じやなかろうかと思うのです。国民食糧であります。でありますからこの前の黄変米のときも、われわれは買入れをするときに、向う行つて船積みをしない前に、その米を検査してから船積みをしたらいいじやないかということまでも申し上げて、長官もそういうことをやると答えております。それが速記録に載つております。それにもかかわらずまたこういうことになつた。しかし黄変ということが船積み後において熱度の関係か何かで起るということなら別ですけれども、少くとも買入れ国、向うの国から買うときに黄変しておるものであつたならば、船積み前において調べて、黄変しておつたらこれはいけないと言つて返品するなり何なり処置すべきだと思います。それを関門である、長崎である、四日市である、横浜であるというように船に積んで来てしまつてから黄変であるということで、厚生省が行つて見てどうだ、こうだと言つておる。これはどうもあなた方が、国民に対して、国民保健上からいつても、国民の食生活からいつてもきわめて無責任きわまることだと思うのですが、いかなるわけでこんな米を買い入れたか。私がこの前決算委員会のときに、長官に御注意申し上げたように、買入れをするについて処置されたかどうか、向う船積みをする前に御検査されたかどうか、その点はいかがですか。
  25. 前谷重夫

    前谷政府委員 杉村委員の御意見ごもつともと存じます。和歌山県に対します横流しの問題は、われわれは正規のルートに流れておるものと考えておりましたので発見が非常に遅れまして、確実な調査が完全にできなかつたことは申訳ないと思つております。ただこれは県の衛生部方面におきましては、ある程度調査をされたそうでありますが、その点につきましては厚生省から御報告があると思います。  第二の点の黄変米の点につきましては、御指摘の点がございましたので、われわれとしても細心の注意をもつて規格にも入れますし、また向うで相当はねております。従いまして検査の場合に肉眼黄変を呈しておるものは規定の数量内ということになつておるわけであります。着地におきます検査、さらに精密な分析、細菌培養検査等によりまして、こういう事実が発見せられましたので一われわれとしてもこの新しい事実に対しましては、これをどういうふうにして防止するかということについて、技術的検討を厚生省と協議して、あらかじめ細菌培養をするとか、その施設をどういうふうにやつたらよいかというような問題を、いろいろ検討いたしておる次第であります。
  26. 杉村沖治郎

    杉村委員 結局これは食糧配給するか、あるいはその他にやるか知りませんが、私はここで長官に念を押しておきますが、今までのように随意契約で、あんな安い価格で、これも黄変米、あれも黄変と売つてしまつて、国に損を与える、そういうことのないように、十分な御注意を願いたいと思います。
  27. 田中彰治

    田中委員長 私の体験から申し上げるのですが、厚生省の方もよく聞いていただきたい。私は今鶏を一万羽、その他動物もいろいろ飼つておるが、今から二十年前、白米を鶏に食べさせては毒だということを、高橋広治氏だつた思いますが、養鶏家から発表された。そこで私は一間四方の部屋を百つくりまして、この部屋のとりには白米だけ一週間、ここのとりには大麦だけ一週間、このとりにはふすまだけ一週間、このとりには菜つぱだけ一週間、このとりには野草だけ一週間というふうにわけて試験したが、全部とさかが縮み、肝臓が肥大になつて倒れてしまつた。そこで鶏に白米は毒であるということは一応通つたのですが、しかし今度はそれに米ぬかをちよつと入れると、死ぬ率が三分の一になつてしまつた。それにふすまを入れたら死ななくなつてしまつた。それに士をくれたら非常に強くなつて、胸肉がついて来た。そこに魚のあらをくれたら卵を産むようになつた。こういう試験をしたのですが、あなた方が動物実験といつて、ねずみならねずみに黄変米を三日、それだけ食わせたら、黄変米でなくても、やはり変化は来るのですよ。人間でもそうです。小麦なら小麦だけ食わしても変化が来る。だからたとえば黄変米をどれだけの熱度で沸騰したらどういう変化がある、なま煮えにしたらどうなる、米ぬかのようなものをまぜたらどうなる、菜つぱのようなものをまぜたらどうなる、大根のようなものをまぜたらどうなるということを試験しないで、ただあれだけを食わして、医者がモルモットに試験するようなことをやつたら、私の鶏の体験からしても、百からの部屋をつくつて、全部失敗に帰したようなことになる。高橋広治君が言うように、鶏には白米は毒であります。白米だけ食わせればにわとりはほんとうに倒れる。実際に肝臓が大きくなり、とさかは縮んでしまつてにわとりはだめになる。つまりそれだけ食わせるから栄養が偏重となつて毒になるということですから、そういう点をよく御研究されてみる必要があると思う。私が申し上げるまでもなく国民の税金を出してこの米を買つて、それを国民の税金で補給金を出して安く配給しているのですから、高く買つたものを安い値段どんどん工業用なんかに売られてしまつては、農村がたまらない。自分たちがつくつた日本米は石八千幾らしかとれない。そして土地改良の金はとられ、肥料費はとられて騒いでいる。ところが外米は石一万二、三千円で買つて来て、それを補給金で安くしているでしよう。それがまた今度工業用にどんどん四千円か三千八百円で売られたのでは、国費もたまらなければ、農業をまじめにやる人もなくなる。黄変米が毒であるかどうかということは、国民の税金の面からいつても、食糧の面からいつても、あるいは食生活の面からいつても重大な問題ですから、厚生省はそういうものに対する研究をもう少しされてみたらいいと思う。黄変米だけなら毒であつても、大根を刻んで入れて沸騰させたら毒でないかもしれない。もし黄変米が毒ならみそにしても毒です。お菓子に使つても毒です。御飯もたくのです。生で食うのではない。そういう研究をされないで、ただ厚生省黄変米だといつて、それを農林省がおつかぶつてこれをどんどんやられたのでは、太る者はそういうものを取扱う商人、みそ屋、しようゆ屋、役所と連絡のある者のみが太るだけで、迷惑するのは国民です。農民です。よく考えてやつてください。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 厚生省に伺いますが、前々回の国会におきまして、当委員会が二十六年の末から七年へかけまして、また八年へわたりましての黄変米を扱つたのは三万トン足らずであります。ところがあなたの方では黄変米疑いがありとして、今五万六千トンを不適格食品として指摘せられておる。これはきわめて重大な御判定なのであります。そこでお伺いいたしまするが、入港する船全部船ごとに抜取り検査をなさつたのでございましようか、どうでありましようか。それからもう一つあなたの方は食品衛生の主管庁でありまするが、大体食糧の、ことに外米についての管理は農林省でありまするが、それはどういう立場でおやりになるのか。食品衛生の主管庁であるから当然かと思いまするが、しからば全部の船について抜取り検査をなさつたのかどうか。しないのならなぜしないのか、これをはつきりしておいてもらいたい。
  29. 楠本正康

    楠本政府委員 大部分抜取り検査ができております。なおこれらのこまかい数字につきましては後ほど資料にしてお答え申し上げたいと存じます。  なおどういう根拠でやるかということでありますが、これはもちろん国民の食生活の安全と申しましようか、衛生上の保持を担当いたしておりますのが厚生省でございます。従いまして厚生省農林省と相談をいたして実施をいたしております。ただ農林省が、同じ政府がやることを一方の官庁が法律でもつて締めるということはどうかとも考えられますので、一応大体食品衛生法の精神あるいは基準等に従いまして、それにのつとりまして農林省とよく相談をいたしまして実施いたしておる次第であります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 資料によつて説明もでありますけれども、すでに大体の数量を御説明になつたのでありますから、全部でないとなればどのくらいの割合で、あるいは三隻に対する一ぱいでもなさるのかどうか、そういう割合を、なぜ一体そういうふうになさるのだろうか、それが知りたいのであります。その点ひとつはつきりしておいてもらいたい。
  31. 楠本正康

    楠本政府委員 もちろん私どもは抜取り検査は全部の船について実施をいたす建前でおりますが、時たま人手の関係あるいは船腹の関係等によりまして、まれにできないことがあり得るわけでございます。そこでさようなお答えをいたしたわけであります。しかし方針といたしましては、全部についてやる方針であります。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、人手の関係とかおつしやいますが、人手がなければ定員をふやすとか適当になさればいいと思います。たとえば五万六千トンが配給さしとめということになりましたら、仕訳検査等が完了いたしますまで食膳には上らぬわけでありますから、やはり国の食糧政策といたしましては、一つの障害になると思います。手がないから全部にやれない。それならば、全部にやる必要をお感じになつておるのであれば、なぜ手をふやさなかつたか、その方の処置をどうしてしなかつたか。  それからことにさきに御説明になりましたが、前の国会におきまして、昭和二十八年六月十六日付で公衆衛生局長から食糧庁長官にあてた病変米処理基準というものが明確になつておりますが、すでにこのような処理基準を打出して、そうしてタイ国黄変米については一%以上、イスランデイアの黄変米については一〇%以上でありますか、タイ国米については一%以下は飯米でよろしい、イスランデイア米については一%以下はもち、お菓子などということに基準をきめておられるのですが、こういうような基準を打出している以上は、やはりこの食糧の売買、受取り、配給等について一つ決定的な権威のあるさしとめ、中止の措置をするのと同じ結果になつておりますので、そうである以上は、食生活の面から見ても、公衆衛生の面から見ても、財政の面から見ても、食糧政策の面から見ても、きわめて重大な措置であります。こういう措置をせらるる限りは、全部の船に疑いがあればなぜ合部しないのです。そして手が足りなければどうして定員をふやさないのです。全部やればもつと黄変米が出て来るだろうと言うことはもつてのほかです。どうしてそういうふうに公衆衛生の面を無視なさるのですか、御答弁を願います。
  33. 楠本正康

    楠本政府委員 私どもはあくまで御指摘のように全品について抜取り検査をやるのを建前といたしております。ただまれにやむを得ずできないことがあるという実情を申し上げたのでございまして、かような点は今後他の仕事をセーヴいたしましても、すべてについて抜取り検査を実施するようにいたします。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう答弁では納得ができないのであります。もしあなたの方で黄変米として、イスランデイアならば一%以下でも普通の飯米として配給できないのであります。だから何も全部が黄変粒でなくても、一%入つておればそれで御飯にはならぬのです。そうすると九九は無害であつてもそれはお菓子に使つてしまい、一〇%以上であれば工業用というふうにしてしまうのであります。だから絶対量からいうならば、何ら自体に害のないことが明白なものまでも、工業用に流してしまうのであります。それほど重大な結果をもたらすのでありますから、国損がたいへんです。御承知の通り、トン八万円以上出しているものが多いのですが、売却しているのは一トン二万八千円、そうすると五万円損するのですよ。それを何方トンも配給してはいかぬといつてとめてしまうところの重大な決定をあなたはしているのですよ。むだに国は、国会は予算を組んでおりませんぞ。国民の血税といたしまして、一銭一厘といえども有効適切に使われることを欲して国家は組んでおるのであります。手がないけれども今後は全部やります。そんなばかばかしい話はありません。今後の問題ではないのであります。全部についてそれをなさるということであるなら、なさる方針をなぜ省の方針として閣議で打出して内閣の方針として決定なさらぬのですか。帰するところ国損の面から考えましても、財政の見地から行きましても、まことに重大な結果を来すのであります。その責任がどうかということはこれは別問題であります。あなた方のお仕事の領域において私は責任を追究しておるのです。もつとはつきりと答弁してもらいたい。
  35. 楠本正康

    楠本政府委員 かねて全部につきまして抜き取り検査を実施いたします方針であつたにもかかわらず、きわめて一部とは言いながら、あるいは他にいかなる理由があつたにせよ、一部未検査のまま処理せられたことにつきましてははなはだ遺憾でございますので、今後かようなことのないように十分な注意をいたしたいと存じます。
  36. 大上司

    ○大上委員 関連して。厚生省の方にお尋ねしますが、ただいま吉田委員の質問に対するお答えはまつたく本委員会を愚弄したものと思います。なぜならば今日われわれが決算委員の使命に基いて審議しておるあなた方のいわゆる抜き取り検査対象の米は相当厳重です。そこで単なるおざなりな言葉で爾後はそういうことはないようにしますというならば、さすればお尋ねしますが、現在の定員をどれだけふやして、予算をどれだけふやさなければできないということが出て来ます。われわれも当然本委員会として、税関あるいはその他についていろいろな抜き取り検査をしなければならぬものを扱つて参りましたが、常識上判断いたしましてただいまのようなお言葉で解決すべきものではないのですよ。だから政府当局において、特にあなたにおいてはどれだけの定員を増して、どれだけの人件費を必要とするのかという計画をお示し願いたい。さすれば今の言葉が裏づけできる、私はそう考えます。それをまずお尋ねします。
  37. 楠本正康

    楠本政府委員 私どもといたしましては、厚生省の立場では年々予算の都度財務当局に対しても従来増員を要求して参つて来ております。しかし十分に増員の措置が講じられない。特に人員整理の関係等もございまして、かようなことができずに今日に至つておる現状でございます。しかしながら主食の問題はきわめて重大なのでございますので、他の仕事を差繰つてもこの仕事をやらなければならぬということを今お答え申し上げた次第でございます。
  38. 大上司

    ○大上委員 そういうことをわれわれは聞いておるのではないのですよ。実際しただいま吉田委員から閣議に持出してというお言葉があつたと思いますが、あなた一人の所管事項でそういう常識的なことをわれわれがやつおるのではなくして、実際必要とする重大な国民の食生活から見ていわゆる現状をどういうふうに持つて行くのか、行政費はどこまで増加しなければならないかということをお尋ねしたい。計数的にどこまでも本委員会はやつておりますから、計数的にお尋ねをしておるのです。——できなければよろしいです。
  39. 柴田義男

    柴田委員 黄変米の問題はまだ大分議論が残つており、伺いたいことがまだあるのでありますが、今までの食糧庁の問題でいろいろな点から一つの結論をつけてもらいたい点が残つておるのであります。それはこの前の委員会でいろいろな角度から論議されました集荷促進奨励会の問題なんですが、この資料を見ますと、たとえば宮城県の六十九万一千余俵、それから福島の五十五万七千余俵、新潟の八十九万六千余俵、熊本の五十五万二千三百余俵、この要綱に示されております五十万一俵以上の奨励金は三十五円でございますが、この三十五円の最高の奨励金のほかに五月の加算金というものが出されておるのかどうか、この点をまず承りたいと思います。
  40. 前谷重夫

    前谷政府委員 集荷奨励金につきましては、御指摘のように五十万一俵以上三十五円という標準でやつているわけであります。先般も申し上げましたように、さらにこれに対しまして全敗連から県連に対して県連と協議の結果プラスして配当いたしているわけであります。これは御承知のように県内全体といたしましても、県内のでこぼこが組合間にございます。その調整のために全販連が交付したわけであります。
  41. 柴田義男

    柴田委員 この資料で拝見いたしますと、たとえば最小限度の東京都が三千九百八十一俵出ております。これに対しましては要綱に示される一万俵以下で十五円だと思うのですが、こういう場合でも五円の加算金で、八十万俵を供出される新潟のような穀倉地帯においてもやはり五円といの一律の加算率でございましようか、その点を承つておきたいと思います。
  42. 前谷重夫

    前谷政府委員 御指摘のように、この表以外の追加のものは全販連におきまして県連と相談をいたしまして一俵幾らという形で追加したわけでございます。それは五円でございます。
  43. 柴田義男

    柴田委員 その点は全販連と所属の県連との話合いということで、一応われわれはその点は了承いたしますが、ただ私どもはあまりにもこれは不公平ではないかと考えるのであります。もう一つはこの前も全販連の会長以下御出席でございまして、いろいろ論議されましたが、結局集荷奨励費というものは末端の農協団体がまつたく昼夜をわかたず農村を督励いたしまして集荷をしておる。いうことのが現実なんです。そうして現実にそういう仕事をやつた農協に対しまして全販連が四千数百万円を残し、あるいは一億数千万円を県連が残して、半分だけ末端に届いているという状態、これはどうしてもわれわれは納得できませんので、本委員会の総意でこういう金は少くも末端の農協団体に全部をやるべきである、こういうことに意見をまとめていただきたいと思うのでありますが、委員長においておとりはからいを願いたいと思います。これは議論の余地がないと思います。
  44. 田中彰治

    田中委員長 お諮りいたしますが、今の柴田委員発言に対してどういたしましようか。——それでは決算委員会としてそうとりはからいます。
  45. 柴田義男

    柴田委員 食生活を守つてくれる末端の農協団体は、決算委員会に対して非常に感謝することであろうと思いますので、ありがとうございました。  次に伺いたいと思いますことは、この黄変米の問題はいろいろ論議されておりますが、総括的に伺いたいと思いますことは、昨年以降の黄変米によつて食管特別会計にどれだけの損失がございましようか、二十六、七、八、九年度の概算でよろしゆうございますから、損失の状況をお知らせ願いたいと思います。
  46. 前谷重夫

    前谷政府委員 二十六、七年は先般申し上げましたように、十億でございますが、二十八年度につきましては先ほども申しましたように、まだ仕分中で売却をしておりません。損額の見込みはまだはつきりいたしません。ただ、ただいま委員長及び杉村委員からのお話もございましたし、委員会の御指摘もございますので、随意契約にはいたさないつもりでございます。そこでできるだけ欠損を来さないように、有利な処分をいたしたいということで努力をいたしております。
  47. 柴田義男

    柴田委員 本日御配付願つた資料によりましても、五万六千九百五十六トンの黄変米がある、こういうことで、この数字から見ますると、たとえば昨年度の整理状況から判断いたしまして、トン当り六万円から九万円くらいだ。こういたしますると、大体最近の外米輸入というものは平均トン当りどのくらいで御購入ですか、その点を承りたいと思います。
  48. 前谷重夫

    前谷政府委員 最近の外米輸入につきましては、大体百七十ドル見当になつております。ただこれは御承知のように一〇%以内のものはみそ、しようゆ用に配給できるわけでございまして、みそ、しようゆの場合におきましては、原料用といたしまして、配給価格以上で売れる場合があるわけでございます。できるだけ仕訳けをいたしまして、さらに再搗精をして可能なものは配給にまわし、みそ、しようゆにまわしすことによつて欠損を少なくいたしたいというふうに考えております。今の百七十ドルは邦貨にして六万一千二百円くらいになります。
  49. 柴田義男

    柴田委員 百七十ドルというドル計算でもけつこうでございますが、これがはたして現在の為替レートそのままで、三百六十円という換算で実際買い入れられるでしようか。その点を承つておきたい。
  50. 前谷重夫

    前谷政府委員 これはタイ、ビルマとのオープン・アカウントでございますが、この公定レートで百七十ドル前後、これはタイとビルマとは異なるのでございますが、大体その見当で買えます。
  51. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、たとえば五万六千九百余トンの黄変米ができますると、半分損と仮定いたしましても、この分だけでも二十億円くらいの損だと思いますが、そういう損失は出ましようか。
  52. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは先ほど厚生省からもお話がございましたように、一〇%以内のものでございますと、みそ、しようゆに参ります。みそ、しようゆに参りますと、現在みそ、しようゆ用に対する売却価格は、原料用といたしまして一般配給よりも高くいたしております。従いましてみそ、しようゆ用にこれが充当できまする場合においては、大きな損失にはならないと思います。ただこれは仕訳けをいたしまして、一〇%以上のものがどれだけあるかということによつて異なつて参りますが、その場合におきましても、できるだけ再搗精その他の手段を講じまして一〇%以内に食いとめるように努力いたしたいと思つております。
  53. 柴田義男

    柴田委員 一〇%以上の黄変米がありました場合には、今までの買付の契約によつて先の方に責任があると聞いておつたのですが、そういう責任を負わせる方法はないのですか。
  54. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは先般も当委員会の御指摘もございましたので昨年の十月から黄変の黄色くなつた粒が一%以上ありまする場合にはクレムをつけております。ただ発地におきまして一%以内でありまして、そうして着地におきまして、黄変しておらないけれども実際上菌があるといテ場合は、これは相手国政府に対するクレームの原因にはならない形になります。
  55. 柴田義男

    柴田委員 昨年の黄変米の場合に、これもしばしば伺つて、しかも農林大臣もそういうお答えであつたのですが、商社を経由しない、国と国との取引というものに重点を置いて、商社は割かた介入せしめないというお答えが熱田のですが、今ここに配布していただいた資料を見ますると、黄変米の大部分というものは商社を経由しておるようでございますが、御方針をいつそういう商社を経由しなければならぬというようにおかえになつたのか。おかえになつたとすれば、なぜ商社を経由しなければならぬのか、この点を承つておきたいと思います。
  56. 前谷重夫

    前谷政府委員 従来からの方針はえておらないわけでありますが、商社に引取り代行という点で、輸送面の代行をいたさせておるわけであります。政府と政府との間におきましてFOBで買つておるわけであります。金額品質等は政府間で全部きめております。ただ政府が直接輸送しておらないわけでございます。
  57. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、きよう私どもが拝見しておる取扱い商社というので東西交易、第一物産外たくさんございますが、これは単に輸送に関する取扱いでございますか。
  58. 前谷重夫

    前谷政府委員 現在事実についてそうなつております。
  59. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、今まで昭和二十六年、二十七年度の決算検査報告において、たとえばパキスタンの米の輸入の問題その他イラクの大麦の問題にいたしましても、すべてが指摘されておる。たとえば日綿実業株式会社外七会社からイラクの大麦を八万五千四百六十六トン購入した、あるいはパキスタンの米の輸入の場合にも、日綿実業場七会社から買つた、とこういうように指摘されておりますが、これらの一切が単に輸送だけの関係でございましようか。
  60. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいま御指摘の例で、ビルマにつきましては長期契約をいたして政府間でやつております。タイも年間の契約によりまして政府間でやつておりますが、大麦につきましては普通の星置の買付をいたしております。ただパキスタンの米と小麦との交換については、政府間でやつております国によつて品物によつて、民貴の場合もあり、あるいは政府間の貿易の場合もあります。
  61. 柴田義男

    柴田委員 どうも私ども伺いますと、長官の答弁がなかなかうまいのだが、われわれがごまかされておるのだか、見当がつかなくなる。なぜかと申しますと、たとえび五万六千九百五十六トンというたくさんの黄変米ができた。こういう問題の場合に、取扱い商社が全部ここに名前を並べておるのだが、これはどうかと伺いますと、これはもう国と国との取引で、単に輸送だけの関係だ、こうおつしやる。そうして今度は現にパキスタンの米の問題あるいはイラクの麦というような問題で、明らかにここに日綿実業外七会社がやつたのだということを指摘しておるのだけども、どこの国とどこと国は国と国との取引である、どこの国は民貿だというふうに別々なお答えなんでございますが、現実にここに指摘されておる一四九八のイラクの大麦購入というものは、確かに日綿実業のいわゆる民貿でございましよう。それからパキスタンの場合も民貿でございますか。今のお答えでは、パキスタン等は国と国との取引が大部分だ、こうおつしやつておりますが、指摘されたこの問題だけがしからば民貿ですか。
  62. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまも申し上げましたように、大体麦の場合におきましては、全部民貿でございます。ただ米の場合におきましては、タイ、ビルマの場合におきまする政府間の取引がございます。それから御指摘のイラクの大麦の場合は、これはこの前申し上げたように民貿でございます。ただパキスタンとの交換の場合は、これは政府間で交換契約をきめまして、値段、数量、受渡し場所等をきめたわけでございます。この場合米と麦との交換契約が政府間にできまして、その代行を商社にやらせておるのでありまして、この場合は形態が違います。
  63. 柴田義男

    柴田委員 それでは集約いたしましてこのパキスタンの問題だけを伺いたいと思いますが、これはたとえばここに指摘されておりますように、カナダの小麦を買われてパキスタンへその小麦をやつた、そのかわりとしてパキスタンから米を五万三千百八トンをパキスタンのカラチ港で受取ることになつてつたのを、東洋棉花株式会社ほか二会社に運賃等はまかして、東京ほか三港に運送させた、こういうように詳細な説明書がございますが、たとえばこういうようにカナダの小麦をパキスタンへ持つて参りまして、パキスタンから米をとつて参ります場合に、その米にだれも立ち会いませんか。そのままで、ただカラチ港で渡されるものをそのままおとりになつておられるのでしようか。その点を承りたいと思います。
  64. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは現在食糧庁といたしましてはパキスタンに対する人員の派遣をいたしておりませんから、政府としては立会いをいたしておりません。ただ先般申しましたように検定書によりまして、その検定書に合つておるかどうかという点につきましては、輸送を代行いたしました商社にその立合いを代行せしめておるという形になつております。
  65. 柴田義男

    柴田委員 この金額は、たとえば二十八年度の分で五億二千四百五万一千五百八十七円でございますが、五億の米をおとりになる場合に、政府から一人も派遣しないで取引をなさるのでございましようか、その点を重ねて承りたいと思います。
  66. 前谷重夫

    前谷政府委員 御指摘のように、この政府間の取引につきまして、われわれといたしましてもその際に臨時的にしろできるだけ派遣をいたしたいというふうに考えておりまして、できるだけそういう方向をとつておるわけでございますが、この場合におきましては現地の出先の外交機関にお願いいたしまして、契約その他の条項をとりきめたのでございまして、その場合にわれわれの方からの派遣はいたさなかつたわけでございます。
  67. 柴田義男

    柴田委員 そういう問題は、結局大きな国の損失となつて現われるわけでございまするが、こういう物々交換をやるというような場合には、農林省だけではなく、外務省がこれに対しまして何か関係があるのではないかとわれわれには想像されますが、そういうことはありましようか。
  68. 前谷重夫

    前谷政府委員 この交換の問題につきましては、食糧需要の建前から交換を実施いたしたわけでありますが、もちろん契約なりいろいろな折衝につきましては出先の外交機関を通じて折衝するわけでございます。
  69. 柴田義男

    柴田委員 外務省関係どなたかお見えになつておりますね。ちよつと伺いたいのですが、こういうようなものをバーターいたします場合に、外務省にだれか品質なら品質を見られるような専門家が、外地の至るところにおられましようか、それを承りたいと思います。
  70. 永井三樹三

    ○永井説明員 外務省としてはそういう専門家は持つておりません。もちろんこういう交換をいたします場合には食糧庁と密接に連絡をいたしまして、品質の点なども契約ではつきりきまります。そうして食糧庁の専門家のおられない場合には、国際的に食糧検査を担当しております検査会社に検査をさせまして、それとのつき合せをする、現地の大使館あるいは商社を監督いたしましてそれとのつき合せをする、こういうことになるわけでございます。
  71. 柴田義男

    柴田委員 国際的な検査制度等があると今初めて承つたことであります。今のパキスタンの米が非常に品質の不良なものが入つたということでございますが、この場合にはやはりその国際機関であるところの何か検査証でもございましたろうか、その点を食糧長官から承りたいと思います。
  72. 前谷重夫

    前谷政府委員 これにつきましては契約の面におきまして、それぞれの品種につきまして砕米、夾雑物等につきましての規格を定めておるわけでございまして、この場合の検査機関はスーパー・インテンダンス・カンパニーに依嘱いたしたのでありまして、これは交換契約の内容としてお手元に資料として届いておると思います。
  73. 柴田義男

    柴田委員 その資料を不勉強でまだ拝見いたしませんが、そういう契約がございまする場合に、現実のこういう問題が起きましたあとの処理はどうなさつておられましたか、その処理方法を承りたいと思います。
  74. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは検査いたしました場合において砕米それから赤米、來雑物等につきまして検査をいたしまして、これがその検査と許容限界との範囲内であるということになりましたので、それを受取つたわけでございますが、実はこのパキスタン米につきましてはこのほかにいわゆるにおいの問題が非常にありまして、においが非常に強いために日本側の一般の商品に適しなかつたという点があるわけでございます。
  75. 柴田義男

    柴田委員 カナダから買いました小麦粉の十万六千二百十九トンというものは、どれだけでこれを買い入れたもので、しかもこの小麦粉の買入れ価格とパキスタンで交換いたしました米の価格というものは、どういう算定の基礎でございましたろうか、ここの説明では運賃が二億五千八百三十二万三千百十六円それから麻袋代を合せると四十二億七千八百五十六万二千二百三十九円という合計額だけ現わしておりますが、この場合のパキスタンの米の価格が幾ら、それから小麦の価格が向うのカラチまで持つて参りましたろうから、カラチまで持つてつて幾らにこれが計算されたのでしようか、その基礎を承りたいと思います。
  76. 前谷重夫

    前谷政府委員 小麦の価格はカナダの小麦局が毎日々々価格をきめて売り出しておるわけでございまして、その当時の価格は、ソフト系は八十ハドル十八セント、それからハード系は八十九ドル六十五セントということになつておるのでありまして、運賃を加えましてソフト系は九十ハドル五十一セント、ハード系は九十九ドル九十八セント、こういうことになつておるわけでございます。
  77. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますと、先ほどの最終的な問題のいわゆるパキスタンに対しまして何か外交折衝等をおやりでございましたろうか、その点を承りたい思います。
  78. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは交換公文によりまして交換の政府間の契約をいたしたわけでございます。この間現地におきまして、パキスタン当局と現地の出先機関とが交渉いたしております。
  79. 柴田義男

    柴田委員 そういう場合の交渉過程というものはむしろ外務当局の方はこの問題を主としておやりになると思いますが、この経過はどういうことになつておりましようか、承りたいと思います。
  80. 永井三樹三

    ○永井説明員 本件の交渉の際は、私実は本省におりませんが事情を存じませんので、私からはちよつとお答えしかねるのでございますが。
  81. 柴田義男

    柴田委員 どなたかほかにいらつしやいませんか、この問題を御承知の方は。
  82. 永井三樹三

    ○永井説明員 ちよつと食糧庁長官から当時の事情を……。
  83. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは交換公文としてのほかに、その経緯といたしまして、二十七年の八月に前田臨時大使から外務大臣あてに電報が参つております。さらに山形大使からも外務大臣に電報がございます。大体パキスタン米の輸入につきましては、パキスタンにおきましてドル不足のために麦の入手が困難である、われわれといたしましては、その当時米の入手が必要でございましたので、この交渉をいたしたわけでございますが、その第一の交換公文を見ますと、パキスタン米輸入及び対パキスタン小麦輸出については、すでに多数の国からの各種の申出が殺到している状況であるが、ハスニー食糧次官は日パ双方の利益に合する本件成立を強く希望しているので、わが方としても小麦粉輸出を固執することなく、すみやかに具体的折衝にまで進み得るように特段の御配慮を願いたい、こういうことが来まして、それから累次いろいろの電報の往復がございます。そうして現地におきまして交換契約ができたわけでございます。
  84. 柴田義男

    柴田委員 どうもそういう程度の交渉で、はつきりした切りがついておらぬようにわれわれは見受ける。この問題のそもそもの起りは、パキスタンでドルが不足だから小麦をくれという向うの政府の提案のように、この説明では承るのです。向うの政府の提案によつてわざわざ日本が小麦粉を買い付けて向うへ十万トンも持つてつた、そうしてその十万トン持つて参りましたものの半分だけ米をもらおうというお約束のように見受けるのです。ところが来た米を見ますと、約半分というものは非常に不良なものである、しかも砕米の混入度も非常に多い、こういうことをあとになつて会計検査院が指摘しておるのですが、このくらいの問題は現実に会計検査院から指摘されるまでは農林省でわからなかつたのでしようか、その点を承りたいと思います。
  85. 前谷重夫

    前谷政府委員 この点につきましては、ただいまお話のように、パキスタンの政府側といたしましては小麦の入手が必要でございますし、われわれといたしましては、当時まだ米の国際的な割当制度がございまして、その関係上米の入手はその割当以上に取得できない、こういう事情がございましたので、二対一の割合で交換したわけでございます。この場合におきます取引といたしましては、小麦の価格からいたしますと、先ほど申し上げましたように、約百ドルでございますが、パキスタン側から、当時のタイの市価大体二百十七ドル、ビルマの市価二百三十ドル、こういうふうな対外的な市価ともにらみ合せまして、その数量、価格等をきめたわけでございます。もちろんわれわれといたしましては、これの品質につきまして十分注意をいたしたわけでございますが、においが相当強くて配給に向かなかつたということになりました結果といたしまして、こういうふうな非常に不利な交換になつたことは申訳ないと考えておるわけであります。
  86. 柴田義男

    柴田委員 大体わかつて参りましたけれども、ただこの問題はパキスタンの要請によつて小麦を持つてつた——これはもちろん小麦代を支払うのは当然でございましようが、たとえば相互取引契約における混入限度よりも非常に多かつた、しかも着地で検査をしましたところが、平均五〇%の砕米が混入されておる、あるいは一等品に対しても、三千六百七十一トンについて見ますと、混入率が非常に多い、こういうことを会計検査院が指摘しておるのですが、こういう問題の場合でも、運賃も莫大に支払い、あるいはまた麻袋の代金はもちろんでありましようし、その他一切合財簡単に金だけは支払うのですね。これはどこの責任でこういう支払いを行うのか。要するに、食糧庁の係の方があつてこういう処理をおとりになるのでしようが、この場合に、しかも四十二億七千八百五十六万二千余円というような金を簡単にお払いになつてあとに残された問題は外交上の折衝だ、こうして残されるわけなんですが、こういう重大な取引をいたしますにも、長官もお知りにならぬ間に払われるのかどうか、この点を承りたい。
  87. 前谷重夫

    前谷政府委員 この問題は、もちろん契約ができない前におきまして支払うというわけではないのでありまして、交換公文ができまして、そしてパキスタン政府と日本政府との間において契約ができ、それで米が積み出され、それが到着いたしましてこれを支払うという形になるわけであります。われわれとして、この交換の契約をいたします場合に、さらに詳細な注意をすべきではなかつたかと考えておるわけであります。
  88. 田中彰治

    田中委員長 私しろうとでよくわからぬのだが、御飯にすると食べられないという黄変米が、お菓子とかみそとかいうものにすると、どうしてそれは毒でないのだろう、この点ちよつとお聞きしたい。
  89. 楠本正康

    楠本政府委員 菓子等にいたしますものはさらによくつくというような関係で、表面についておりますものがそれだけ減るということもございますし、またみそ等は非常に加熱が強い関係等もあり、あるいは長期間の加熱というようなこととか、さらに口にします量も少いというような関係で大分違つて参ります。従つて、私ども人体に支障ありという観点に立つておりますので、もちろん普通白米としてたいて食べることができないものであつても、いろいろな関集がありまして、菓子あるいはみそとしては適当である、おのずからそこに区別がつくわけでございます。
  90. 田中彰治

    田中委員長 たとえば御飯にした場合にはかまで沸騰させてむす、みその場合には、こうじのかわりに使うのですか何のかわりに使うのですか。
  91. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 こうじをつくる場合とか、みその中の一割以内なら入れてよろしい、こういう指示をしております。加熱というよりもパーセント——量の問題です。
  92. 田中彰治

    田中委員長 みそなんか生で食いますからね。生でなめるところがあるのだから、なお加熱なんということは影響しないわけです。
  93. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 先ほど私、毒性の問題について御説明申し上げますときに、途中でやめておいたのですが、黄変米毒素の熱の問題でございますが、百度程度ではこわれないのでございます。種類はちよつて覚えておりませんが、あるものは百七、八十度まで行かなければこわれない、これは実験に出ております。また人体関係の問題は、農林省関係ではなくて——農林省関係も、自分の方へ頼まれて、大分前からいろいろ実験もやつております。それから動物実験をやります場合には、黄変米だけをしておるわけじやありません。御指摘の通りのいろいろな栄養に必要な要素も全部入れましてやつておりまして、また同時にそれで普通の黄変菌のついておりません米を入れたものを対照いたしまして、比べるようにちやんとやつておりまして、その点に御指摘のように十分考慮に入れて実験をやつております。その実験は顕微鏡検査その他でできておりますから、もし必要がありましたら持つて参ります。
  94. 田中彰治

    田中委員長 それをひとつ資料にして委員に出してくださいませんか。  それから温度の百七十度というと、御飯をたく温度はどれくらいですか。
  95. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 御飯をたく温度の方が低いのです。
  96. 田中彰治

    田中委員長 ちよつとぼくはふしぎに思うんだが、日本が六十年外米を輸入した体験上、やはり私も苦学しておつて、黄色い米を食つた経験がありますが、このごろになつて黄変米を問題にして、それは衛生的に研究が進歩したのかもしれませんが、もう少し決算委員会が納得するように、どこでどんな事故があつた、どこでどういう博士が何の実験をした、そういうような資料をひとつ決算委員会に出してくださいませんか。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 厚生省説明員に伺いますが、あなたの方の輸入黄変米処理基準によると、一〇%以内のものは、さきにはみそ、しようゆとおつしやつておりましたが、お菓子、特にあわおこしというのが括弧して入れてあつたのですが、あわおこしなどは、やはり御飯にするのと大差ない加工方法じやないかと思うのですが、こういう点もひとつ十分に納得するように説明をされておいていただきたいと思うのであります。  それからなおあなたに伺つてみたいんだが、二十八会計年度の米の輸入総量は、百四十五万三千トンという実績になつておりますが、この五万六千トンの黄変米疑いありといつて、不適格品指定いたしましたのは、一体どこの国から入つたものか。それから百四十万トン以上のものが入つておるのでありますから、ごく一部だけこれは抜取り検査をやつたのが実情じやないかと思うのですが、この点ひとつはつきりしておいていただきたい。
  98. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 あわおこしにつきましての問題は、まず先ほど申し上げておりましたように、タイ国黄変米イスランデイア黄変米との比率が違つておるということを申し上げます。それはタイ国黄変米イスランデイア黄変米とは、現在の試験の結果によりますれば、大体一〇%では毒性が出るのでありますが、一%程度では毒性が出ないというように申し上げたのでありますが、その中間はまだ十分わかつておりません。それで一〇%辺のところを考えまして、動物実験でございますから、それを人間に適用します場合には……。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一〇%以下は人間には毒性がないのですか。
  100. 尾崎嘉篤

    尾崎説明員 一〇%では毒性がありますが、一%では毒性が発見せられなかつたというのであります。それでその中間の関係は、まだ実験を十分やつていないのであります。それで一%でいいとなりますと、それに対して、普通は動物実験人間のからだに応用しますには、人間動物とは違いますから、相当の安全率をかけてやらなければならない。それでいろいろ学者意見もあり、ことに変質粒と黄変米の菌が出た場合との差、また実験的に毒素を十分に出させた黄変米というものを考えて、それで実験をやつておるということを考えますと、普通の場合は実験でやつておるものほど毒素は少いのではないかということを考えました。いろいろ学者意見を考えまして、タイ国黄変米につきましては、さような結論を出したのであります。イスランデイア黄変米につきましては、実は毒素のパーセンテージについて今まで学者意見が一致しておりませんでしたために、その重きに従いまして処置をいたしておつたのでありますが、最近はそういうふうに学者のデータも一致して参りまして、この基準はかえなければならないと思いまして、つい一週間ほど前に学者の方々にお集まりを願いまして、イスランデイア黄変米につきましては基準の再検討をやつております。この点は農林省の方にもお願いして、今再検討をしておるということを申し上げておきます。  それからタイ国黄変米毒素イスランデイア黄変米毒素とはいろいう性質が違つておりまして、イスランデイア黄変米につきましては、ありがたいことにはその毒素というものが水に溶けるのであります。そういうことがわかりましたので、あわおこしをつくりますのに——私その技術的なことは十分には存じておりませんが、大阪府の知事の証明のつきました書類によりますと、これは水洗を十分にやる。私の記憶ではたしか三日間たつたと思つておりますが、そういうふうに水洗を十分にやつて、しかもそれは水を数回かえる。そうして再搗精をやるというようなことで、とにかくこのイスランデイア黄変米につきましては、そういうようなはつきりした知事の証明があるものならば、水溶性の点を利用して、毒性を少しでものはるようにいたしましたならば、食べる量が御飯等に比べて少い点を考えて、みそ、しようゆと同じようなものを考えたらいいのではないかということを考えまして、あわおこしというようなものがそこに出たのであります。今申しましたイスランデイア黄変米毒素についての学者の数字が必ずしも一致していなかつたという程度のことに御了承願いたいと思います。この基準は、タイ国黄変米とある程度一致させるように考え直したいと思いまして、現在なお検討いたしております。  それから穀物の抜取り検査の問題についてのお話がありましたが、ちよつとここにデータを持つておりませんので、これはあとからひとつ出させていただきたいと思います。  ただ先ほどから一つ問題になつております点で、相当食べておるが事故が起らぬのじやないかというようなお話でございましたが、こういうふうな毒物は、必ずしもそのまま死んでしまうとか寝込んでしまうとかいうような症状が現われて来るものではなくて、先ほども申しましたように、肝臓とか腎臓とかに変化が出るのではないかという、その関係は必ずしも明確には行くものではありませんので、今のねこいらずなんかの問題とは大分性質が違つておりますことをお考え願いたいと思います。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、昨年あなたの方から食糧庁長官あてに出された黄変米処理基準にあるところの、イスランデイア黄変米については一%以下をみそ、しようゆ、菓子にするという処理の仕方、これは一%以下はタイ国黄変米と同じように一変に御飯にして支障なしということにかわつたわけですか。そういうふうに御説明なつたと思うのですが、そうしますと、こういうふうに非常に重大な基準というものがかわつて参るのですが、一体厚生省におきまして今日現在これらの基準を維持すること、従つてこの毒性の有無とか、それがどのくらいの割合でどうとかいうことについてまだ確信のある結論を持つておらぬ、また厚生省自体が学者の研究に依存をしておつて確信を持つておらぬということに実際はなつておるのではないでしようか、その点いかかでしようか。
  102. 楠本正康

    楠本政府委員 この点は私から特にお答え申し上げます。私どもかような基準を作成いたします場合には、きわめて重要な問題でありますので、多数の学者意見、あるいは従来の成績、あるいは私どもが自分たちの手元の研究機関において研究させました成績等を総合いたしまして、しかも多数意見によつてこれを決定して参る仕組みになつております。従いまして先般出ております一応の基準というものも、さような方法によつて政府の方針として取上げてあるわけでございます。ただしかしこれらの点に関しましては、もちろん研究というようなものはこれで十分という時期はございません。常に研究を続けております。従いましてその後また新しい研究あるいは新しい事実が発見されましたときには、率直に従来の基準というようなものを、その研究の実績に徴して改めて行くこともやむを得ないことと存じます。その場合に従来より重くなる場合もありましようし、あるいは軽くなる場合もありましよう。しかしこれらの点に関しましては、従来の行政実施の方式から考えましてやむを得ないことと存じております。しかしかような点はなるべく慎まなければなりませんので、私どもはさように基準がかわつて行きますことは極力ないことを望みますが、何分にも黄変米のごときものは戦後問題になりました問題であるだけに、ここに非常なむずかしさがあるわけでございます。  なお先ほど私五万数千トンという中につきまして、なおはなはだ煮え切らぬ、数がわからぬというようなことを申しましたが、それらの基準先ほど主管課長から申し上げましたように、近日若干かわりますれば、その数字がまた動いて来るし、かような点からこれらの数字はまだ確定的なものでないということを申し上げた次第でございます。
  103. 田中彰治

    田中委員長 資料を出されるときは、何と何をまぜて何にあれしたかということを書いてください。私の方も一応研究しておるのですから。
  104. 柴田義男

    柴田委員 せつかくおいでになつていて、私が資料を要求しておつて忘れておつたのですが、農地局の関係の方がお見えでございますから、それでちよつと承つておきたいのです。災害復旧に対しまする国庫補助の各県のいわゆる補助率をパーセンテージで一通り承つたのでございますが、たとえば一番代表的なものといたしまして私ども山口県の出雲村と八坂村を指摘していろいろと論議を重ねて参りました。これを今度は各県別に拝見いたしましても、昭和二十六年度の災害復旧に対する国庫補助の配賦状況でございますが、たとえば北海道から鹿児島に至るまでの状況を見ますると、どこの県でも零点零々幾らというような比率なのです。だがひとり山口県だけは〇・五〇五九という比率で五〇%以上、二十六年度の災害に関しまして、ことに農地局関係だけでこれだけの莫大な比率による補助が交付されておる。全国の災害の半分が特に山口県だけであつた、この補助率から見まするとそういう状態が現われておりますが、そういう状態でありましたろうか、承りたいと思います。
  105. 大塚常治

    ○大塚説明員 二十六年度は、具体的に申しますと山口県に四億五千四百余万円補助金を交付しております。それに対するその年度の補助金総額は十七億四千九百余万円でございますから、五〇%にはならないと思います。なお二十六年から二十八年までの三箇年の計は、山口県が二十二億五千五百万円、全体の計が八十七億二千九百万円でございまして、これは二五%強になつております。
  106. 柴田義男

    柴田委員 この資料は、私どもあなたの方からいただいたのですから同じ資料なのです。これでは農業施設に対する比率は二五八四、それから農地に対する比率は五〇五九です。こういうことで、片方の農業施設に対しましては二五%余、それから農地に対するあれは五〇%余、こういうことなのです。
  107. 大塚常治

    ○大塚説明員 失礼いたしました。施設については二五%、農地については五〇・五九でございます。しかしながら二十六年に発生いたしました災害の査定の総額が、全国で農地は五十億二千四百万円、山口県だけで二十五億八千三百万円、計五一・四%、つまり二十六年度発生のうちの半分以上を山口県が占めておる、こういうことになつております。なお施設につきましては、全国の総額が三百一億、そのうち山口県が八十八億で二九・三%を占めております。従いましてその率よりも多少下まわつておりますが、大体これと同じような率で府県へ配分されたと考えております。
  108. 柴田義男

    柴田委員 だからそれが妥当な配分でございましようかと伺つておるのです。私どもは全国の災害の状況調査して資料を持りております。それから流失埋没された農地あるいは農業施設の状況も資料で通りわれわれは持つておるのだが、今補助率の交付状況を拝見すると、たとえば農業施設で二五%強、農地関係で五〇%強、これだけを山口県だけに交付されておるのは妥当であるかどうか、あなたが純真な良心からお考えになつて、妥当でございましたかどうかということを承りたい。
  109. 大塚常治

    ○大塚説明員 災害復旧事業は当該年度の査定額の比で大部分わけるのが慣例でございますから、妥当と考えております。
  110. 柴田義男

    柴田委員 それは無責任だと思う。しからば全国で流失埋没されました農地関係が何万町歩あつて、山口県がどれくらいあつて五〇%の災害復旧補助費が交付されたのだから妥当だというその裏づけを承りたいと思います。
  111. 大塚常治

    ○大塚説明員 流失埋没の差はわかりませんが、二十六年度に被害を受けまして補助の対象になりました総面積は一万九千六百町歩、そのうち山口県が五千六百町歩強ということになつておりまして、面積的には約三分の一を占めております。
  112. 柴田義男

    柴田委員 その五千六百町歩という調査がでたらめでしよう。それをあなたの方は妥当だとおつしやるのですか。この五千六百町歩の被害調査というものは何を基準とされたものですか。
  113. 大塚常治

    ○大塚説明員 これは当初、事業申請者が申請額を申請いたします。そのとき計画概要書というものを作成して申請をいたしまして、農地事務局の係官がこれを査定いたしましてこう判定いたしました。しかしながらこれはこの災害に限らずでございますが、災害の発生件数とそれに従事いたしまする定員の関係上現地は大体二〇%程度しか見ておりませんので、八〇%以上はいわゆる机上査定ということで査定しております。その面に会計検査院等から指摘されましたような不正不当事項等もございまして、現在はこれよりは減つておりますが、発生直後の調査におきましては、これが正しい数字だと考えております。
  114. 柴田義男

    柴田委員 たとえば被害発生の出雲村、八坂村、あるいは山口県知事、そういう末端の行政官庁、しかも補助申請の対象になる機関だけからの被害状況調査、それだけ一つを御信用になつた結果五千六百町歩という被害の申請を真に受けたか、実際はこんなことはないといつても、あるいは何か政治力に屈したが、これをでたらめに信用された結果こういう比率が出て来ておる。たとえば国警の被害状況調査は四千町歩ですよ。それからあなたの末端機関であるたとえば農林統計の調査等を見ますると、供出が行われております。前年度の四〇%、あるいは村によつては五〇%の供出が行われておる。全然流失埋没してしまつた田から米がとれて、農民諸君は一年の飯米をとつて、なおかつ四〇%ないし五〇%の供出が行われております。これが被害状況調査にあたつて、出先の農地局というものは実態を把握しないという大きな原因ではないでしようか。それでも妥当だとあなたがおつしやるなら、良心が麻痺しているのかどうか。妥当でないとお考えになるなら、妥当でないと今反省してしかるべきだと思いますが、責任のある御答弁を願います。
  115. 大塚常治

    ○大塚説明員 被害報告については、これは御指摘のように、県知事ないし市町村補助を受ける側の者だけの意思で出た数字であります。けれどもどもが、たといわずか二〇%程度の実査ではございますが査定いたしました後にきめた五千六百町歩というものは、その当時においては妥当だと考えております。  それからただいま供出等のお話がございましたが、山口県の水田の総耕地面積は、はつきりは覚えておりませんが六万町歩ぐらいあつたかと思います。それでこの補助対象になつた面積はその一割弱でありますので、ただいまの供出の関係においても、そう矛盾した数字ではないと考えております。
  116. 柴田義男

    柴田委員 今あなたとこれだけ専門に議論するわけでないのですが、ただ今の補助対象というもの、流失埋没しました耕地というものは、私の指摘しているのはおもに出雲村と八坂村なんです。この二箇村に集中して、私が今主張しているのです。この二箇村に対して十三億が行つていますね。その十三億という査定が大きな比重をもつて、こういう五〇%になり、農業施設には二五%になつておるのです。山口県全体を言えば、何万町歩のうちの五千六百町歩でございましようが、この出雲村と八坂村二箇村だけでも相当な補助の比重を占めている。そういう実態から把握しまして、この山口県の補助というものは、たとえば農地局の関係だけじやないのです。林野庁なんかごく少いのですけれども、建設省の関係を見ましても、その他のあらゆる諸官庁の統計を見て、どの統計を見ましても補助率は山口県が最高である。こういうところで指摘しているわけなんですが、今の供出という問題も、出雲村と八坂村なんかは、報告ではほとんど全体が流されている。それから山口県知事のその当時の副申書の文句なんかも、すこぶる名文で、住むに家なくまつたく茫然自失しておる、こういう名文句を使つておる。それまで見ましたが、そういう住むに家なくして茫然自失しておる農民から供出が行われておるのです。八坂村は五〇%、出雲村は四〇%の供出が行われておる。そういう実態を把握しないというのは、食糧庁の責任ではないかと私は言つているのです。いかがですか。
  117. 大塚常治

    ○大塚説明員 この二十六年度の災害で出雲村及八坂村は、出雲村が水田の全耕地面積四十八町歩のうち私どもの工事対象といたしましたのは二百五十町歩、約六〇%。八坂村は四百十三町歩の水田のうち、私どもの工事対象にしたのが百四十町歩、約四割程度でございます。従いまして、両村に当該年度に六〇%ないし四〇%程度の供出があることが推定されるわけであります。
  118. 田中彰治

    田中委員長 大塚説明員、あなたの言われている通りなら、何千億の不正もなければ、村から金をとつてもいいことになる。君が正しいというなら、村から金を取返すよ。そんなでたらめを委員会に来て言いなさんな。写真見せてやろうか。金とつていいね。君が正しいというなら取返そうじやないか、村がつぶれても君責任を負えよ。どうだね。でたらめ言うなよ。
  119. 柴田義男

    柴田委員 われわれは資料を十分持つているんだが、責任のがれのために正しいとか正しくないというのでなく、実際の問題として、現実に出雲村では二千万円の金を使えないで預金しております。そういうでたらめな国庫補助というものは、あなた方が正しい正しいという考え方でやつておられるから、そういう結果が生れて来る。会計検査院に指摘されて一億の金が余計だということが判明し、なおかつ現在二千万の金が使い切れないで預金されている。こういう現実を見ても、まだあなた方は正しいとおつしやるのですか。
  120. 田中彰治

    田中委員長 あなたも上から命令されているのだから、立場はわかつている。しかしそんなでたらめは言わないで、悪かつたなら悪かつたでいいじやないか。ぼくらは検察官でも何でもないから、あなたをひつぱりはせぬ。一ぱいひつかかつて悪かつた、これからはしないと言えば、それで済むのだ。ところが数字を合して言うと、われわれ決算委員として、その数字をうのみにして、さようでございますかといつて、君が帰つてから、どうも決算委員会なんていいかげんなものだ、うまくメモを出してやつたら本気にしておつたと言われては困る。それだから言うのです。別にあなたをいじめるのではないのです。
  121. 大塚常治

    ○大塚説明員 出雲村におきましては、当初の査定額から結果的に約一億以上の減額になつております。これはその内容を見ますと二回増加いたしまして五回減少したことになつております。増加したと申しますのは、二十六年に設計いたしました単価が、その後人夫賃の、あるいは諸材料の騰貴等によりまして単価増の結果増加いたしました。それから減少いたしましたのは、その後申請はいたしましたが、必要ないと思われるような地区をやめるという申出がありましたのと、実際に工事に当る前に実施設計をいたしまして減少したのでございます。その結果一億という……。
  122. 田中彰治

    田中委員長 だから一億も余るのだし、会計検査院から指摘されたから図面の変更をしたのです。それはあなたは説明なさらぬでもわかつている。それを責めるのでないが、あなたがりくつをおつしやると、私どもは書類を全部出して対抗しなければならぬということになる。会計検査院で指摘されたから、それは公文書偽造なり詐欺なりになるから、あなたの方は図面の変更をされて、これだけ余つたがこれだけ余分だということになつたのだ。それをみな決算委員が知つてつて質問しているのです。それを佐藤君の選挙区だからといつてそんなことを言つてつて、金をとられてしまつたら佐藤君はほんとうに落選してしまうよ。ひいきしたつもりでやつていることが、かえつてひいきでなくなるから、よく考えてください。
  123. 徳安實藏

    徳安委員 長官にお聞きしますが、輸入米で政府と政府の間で契約している国はどこどこ、それから商社にまかして商社から買い取つている国はどこどこ、これがすぐわかれば、ここで御説明願えませんか。
  124. 前谷重夫

    前谷政府委員 政府間で取引しておりますのはビルマ、タイ及び台湾でございます。現在、そのほかのアメリカ、中南米、イタリア等におきましては普通の民貿になつております。
  125. 徳安實藏

    徳安委員 この政府間の取引になつておるものに対しましては、どこからどこまでがこの取扱い商社の責任になつておりますか。
  126. 前谷重夫

    前谷政府委員 政府の所有権のいつ移転するかという問題は、原則としてFOBで買つておるわけでございます。輸送上のいろいろな点につきましては、商社の責任でやつておる、こういうふうになつております。
  127. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、運賃だけでやつているのですか。あるいは運賃のほかに手数料幾らというきめになつておりますか。
  128. 前谷重夫

    前谷政府委員 運賃と陸揚げ、積荷、積込みのチャージ、それに〇・五の手数量を入れたものになつております。
  129. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますとこれは商社を指定して随意契約になつておるのですか。公入札か何かで契約なさつておるのですか。
  130. 前谷重夫

    前谷政府委員 商社の指定制につきましては、ビルマとタイと台湾とアメリカ、これが商社の指定制になつております。その他の地域は指定制にいたしておりません。GGベース以外の場合におきましてはテンダーの形式をとつておりますが、GGベースの場合におきましては大体実績によりまして数量を割当てるという形におきまして取引をいたしておる次第であります。
  131. 徳安實藏

    徳安委員 この表を拝見いたしましても、船の中のある一部だけが不適格だというのならうなづけますが、積んで来た総トン数のすべてが不適格だという厚生省指定なのですが、これは積むときに六千トン積んだら六千トン全部が不適格だというので、そういうことは契約面からいいましても船に積むときにもうすでに発見されなくてはならぬと思うのですが、こういう点はいかがですか。
  132. 前谷重夫

    前谷政府委員 御指摘の通りそういう筋合いでございますが、最近の状態先ほど厚生省からお話がございましたように菌の性質によつて螢光燈でも菌が出て来ない、黄変をいたしておらない、しかし菌があるというケースが非常に多いのであります。検査の場合は外形上の検査と申しますか、黄変粒というものが何パーセントあるか、その場合の黄変内容は、従来黄変して黄色くなつておるということで取扱つてつたわけでございます。従いまして被害粒の問題あるいはブロークンの問題等穀物の検査は大体外形的な検査によりましてやつておるわけでございます。
  133. 徳安實藏

    徳安委員 政府と政府の売買の量、それから商社に買いつけさせる量、これらは年間を通じてどんな割合になつておりますか。
  134. 前谷重夫

    前谷政府委員 大体輸入の状態を申し上げますと、タイが五十五万トンでございます。これは全部政府間貿易でございます。それからビルマが三十万トンでございまして、これも政府間の貿易でございます。アメリカが大体四十万トンの程度でございまして、これは民間の貿易でございます。台湾は、われわれが予定いたしましたのは約十万トンでございまして、政府間の取引であります。その他のものにつきましては、中南米とかあるいは仏印、イタリア等でありますが、これは民貿の形をとつております。
  135. 徳安實藏

    徳安委員 先だつて私ちよつと伺つたのですが、こういう政府間の買付の場所におきましては、定員の関係で、外務省との関集いろいろむずかしいというお話でありましたが、これだけ大きな損害をこうむるような問題については、定員をふやしてもやはり農林省から専門家をやつて、そして船積みのときに適正な検査をされるというぐらいのことは私は当然だと思うのですが、そういう点に対しては努力を払つておられるのでしようか。
  136. 前谷重夫

    前谷政府委員 御指摘がございましたので、外務省の書記官として食糧庁におりました者を一名出しておりますと同時に、本年度から海外旅費の予算を要求いたしまして、重要な契約あるいは船積みの最盛期に派遣をいたすように手配をいたしております。そのほかタイにつきましてはいわゆるクレームの仲裁機関に対しまして、日本人を採用するように交渉いたしまして、それが食糧庁からの出張という形におきましてタイで駐在できるという形になつております。御指摘の点はさらにわれわれとしても今案力いたさなければならぬと思つております。
  137. 徳安實藏

    徳安委員 政府と政府の間で売買しているのは、今お話の三国くらいのところで、あとの国に対しましては商社で買わしているということですけれども、これは現在の方針としては、やはり商社にまかして買いつけて行かれる方針でありますか。ほかのタイやビルマと同様に、政府みずからが買つて、輸送その他の関係だけを商社に取扱わせるというような御方針でございましようか、承りたいと思います。
  138. 前谷重夫

    前谷政府委員 政府間の貿易をしておりますのは、通商協定がございますし、そういう面からいたしまして、通商上の関係等から政府との間の取引をしておるわけでございますが、そのほかの国では、大きいのはアメリカでございます。先方からは長期の契約の申込みもあるわけでございますが、為替の外貨予算からの問題もございますし、ドルを使うというふうな問題もございますので、長期的な契約をするということはいかがということで、長期的契約を結んでおりません。従いましてこれは本来の線として民貿で行くべきじやなかろうか、かように考えております。
  139. 徳安實藏

    徳安委員 米の輸入につきましては、昔からいろいろ問題が起きることですが、政府が統制して、政府の責任においてやつております以上は、やはり将来は政府の責任において売買されて輸入されるということが、こうした責任を政府がはつきり負われるという点においても当然だと思いますが、ほかの方の国においてもそうした方針で進まれることがいいじやないか、かように考えておるのであります。現在輸送関係において取扱い商社にお支払いになつておる総金額というものは、一体どれくらいの金額になつておりますか。
  140. 前谷重夫

    前谷政府委員 ちよつと今数字を手元に持つておりませんから、調べまして御報告いたしたいと思います。
  141. 田中彰治

    田中委員長 長官はなかなか答弁がうまいね。今わが党の徳安君に対しての答弁を聞いてぼくは感心したのだが、政府が取扱つたとしても、商社が積みおろし、それからチャーター料をもらつたり、いろいろなものをもらう、石に幾らもらうということになれば、全部商社に取扱わしたと同じなのです。積取りだけじやない、いろいろなものを全部もらつて、その間に石に幾らの手数料をもらうのだから、結局民間に取扱わしても、政府が取扱つたといつても、実際においては何も違いはない、それが指定商なんですからね。ここに不正があると思うのだが、長官は聞いてもなかなかそこを言わないのだからずるいね。先ほど柴田委員から提案されました全販連並びに各県連合会において、集荷促進奨励金の交付にあたり、それぞれ保有残余金の金額を単位農協に配分交付するを適切とするから、さよう勧告決議をされたいとのことでありましたので、すなわちその決議案を朗読いたします。   決議案 昭和二十七年産業の集荷奨励金は、現実に集荷に最も努力したと認められる単位集荷業者に対し、その数量に応じて交付するのが最も適切な処置と認められるから、現在集荷奨励金交付金のうち全国販売農業協同組合連合会及び各都道府県農業協同組合連合会に保有している残金はすみやかに単位農業協同組合に配分すべきものと認める。右決議する。右の通り決定し、農林大臣を通じそれぞれ勧告するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 田中彰治

    田中委員長 さよう決定いたしました。  暫時休憩いたします。     午後三時五十一分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた