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1954-05-14 第19回国会 衆議院 決算委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十四日(金曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 大上  司君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君    理事 柴田 義男君 理事 杉村沖治郎君       徳安 實藏君    片島  港君       吉田 賢一君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         林野庁長官   柴田  栄君         水産庁長官   清井  正君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保栄君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 五月十四日  委員古井喜實君辞任につき、その補欠として藤  田義光君が議長の指名で委員に選任された。 同日  松山義雄君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。去る五月六日理事松山義雄君が委員を辞任いたされましたので、その補欠選任をいたさなければなりません。先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議ないものと認めます。よつて委員に再選されました松山義雄君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 それでは前回に引続きまして、昭和二十六、七両年度決算検査報告中、農林省所管事項のうち、林野庁及び水産庁関係事項中心として審議いたします。質疑におきましては、かねて本委員会においてとりきめました通り、その持時間を約三十分以内に制限されますよう、委員各位の御協力を一倣う次第であります。  それではただちに質疑を許します。——杉村沖治郎君。
  5. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行について。委員長が不在中に、私から資料取寄せをお願いしておいたんですが、せんだつてのこの委員会に、私は母が死亡したために、遂に欠席せざるを得ないので欠席いたしました。当日私がおらないために、その問題は私が出たときにということで延びたそうでありますが、その資料と申しますのは、造船関係につきまして開発銀行から各船舶会社に対して、昭和二十四年以降の貸付金額及び償還期が来ておるもので償還をしない金額、その区分、会社名、そういうようなことを調べて出すように、なお担保はどういうふうについておるかと私が聞いたら、松田理事は、担保力もないということを当決算委員会で答えておる。担保力がないということになると、さらにまた今後造船関係におきまして、政府はどういうふうな処置をとるか知りませんが、われわれはこれについて十分関心を持つて見なければならない。このことについて過般当委員会で私が聞いたときに、その資料大蔵省に出してある、こういう話であつた大蔵省に出してあるんだつたならば、大蔵省は当委員会に出してもらいたい、こういうことを言つたところが、銀行局長は、どうかそいつは公のところで発表されては困るから、こういうようなことを言うたのです。実はその点につきましては、公のところでどうということについては、銀行局長ばかりではなくて、現に開発銀行理事らがそういうことを言うた。当時委員長が不在中で、大上委員委員長代理をしておるときであつたが、そのことを委員会に諮つてもらいたい、こういうようなことで、開発銀行からも申出があつたので、委員会へ諮つたところが、委員会は、それは秘密の必要がない、秘密の必要がないから出せ、こういうことにきまつてつたのですが、それが今日に至るも出されないのであります。そうして銀行局長は依然として、私どもと外で行き合つても、何とかひとつごかんべんにあずかりたい。こういうようなことを言つておる。私は非常にふかしぎきわまると思うのであります。いやしくも国民の血税を開発銀行船会社に貸してある、しかもこうした疑獄が起つておるこの際、その貸してある金の償還関係がどうなつておるか、貸付をしたところのいわゆる保証のための担保がどうなつておるかというようなことを、当然にわれわれは検討しなければならない。しかも開発銀行法、並びに開発銀行の定款によりますなら、その償還見通しが確実である場合に、これを貸し付けるということになつておるのであります。それでありますから、はたしてその貸付償還可能性のあるところに貸付しておるのかどうかということを、やはりわれわれは検討しなければならぬ。いいかげんの貸付をしておるということになれば、はなはだそれはよろしくないのでありますから、これらをわれわれは検討しなければならないのであります。特にその関係は大きな疑獄となつて現われておるのでありますし、そういうことをわれわれははつきり知りたいと思いますから、どうか本日あらためてここに当委員会で再確認をしていただいて、その資料提出方をお諮り願いたいと思う次第であります。
  6. 田中彰治

    田中委員長 杉村委員に申し上げますが、実はあなたがお休みになつておるときに、この資料要求について理事会を一回開いたのであります。先ほど言われたように、秘密にするかしないか、あるいはちよつと向うの方からも、それを公表されては造船会社が非常に金融ができなくなるし、内容があれしてぐあいが悪いということがあつたので、そのときはあなたがおいでにならないから、一応理事会であなたの意見を聞いてやろうじやないかということになりまして、私ども書類要求するようにはつつてあるのであります。そういう状態でありますから、どうですか、理事諸君にお諮りいたしまして、理事会でこれをきめて、委員会要求するなら要求する、しないならしないというようにきめたらどうでしようか。
  7. 杉村沖治郎

    杉村委員 その問題は、あなたはなるほど理事会でということをおつしやられるけれども、当委員会で実ははつきりとそういうふうに秘密の必要なしという決議があるのでしよう、そういう決議をまたここで翻すということは、それは私は一事不再議でできないことだろうと思います。そこが私どもは非常にふかしぎきわまると思う。いやしくもそういう書類が出せない、何とか秘密にしてもらいたい、こういうようなことを言うことは、われわれから考えまするなれば、この疑獄についてあるいは大蔵省役人、あるいは開発銀行役人たちにも関係があるのではないかという疑惑さえ、われわれは抱かざるを得ない。そうでなかつたならば、そんなことを何もひた隠しにする必要は毫末もないのであります。私は経済安定委員会において日本経済の安定をいかにすべきかという問題についての研究におきまして、いわゆる金融関係あるいは電源開発関係調査したそのときに、金融業者代表者経済安定委員会に呼んで、いわゆる金融状態調査したときに、銀行から船会社に融資しておる額がどのくらいであるかということを私が聞いたら、七百億貸しておるということを銀行代表が答えた。もう私どもはこれ以上お貸しすることはできない、利息すらもらつておりません、こういうことを経済安定委員会はつきりと銀行代表が私に答えておる。銀行としても、国家の外航船舶をつくるのだから必要なことではあるけれども、どうも利息ももらえないようなところにこれ以上貸すことはできないということを、銀行代表経済安定委員会はつきり答えております。そのようなことになつておるにもかかわらず、なお大蔵省役人開発銀行役人がその資料を出さないというに至つては、私はこれらの諸君までが悪いことに連座しておるのではないかということを想像するようなことになつてしまうのです。拒めば拒むほど、そういうような感じを持つのでありますから、本委員会におきましては、それが一般に公表されて困るというのであれば、私は決して公表をしようと、ものずきにやつておるのではありません。われわれは決算書としてその事実を確かめればいいのでありますから、その資料を出されて、そうしてこれはこういう関係だからひとつ社会に発表してもらいたくないというのであれば、われわれもそれを見て何も社会に発表しないで済むものであれば、それでいいじやありませんか。それをわれわれに与えずして、それではわれわれは何を決算をするか。しかもこれが問題が何も起つてないのならよろしいのですけれども、大問題です。いわゆる空前の大疑獄とまでいわれておる造船疑獄でございますから、これについてはわが決算委員会がそれをいいかげんに済ますということは、そうでなくてすらも、いわゆる鉄道会館問題についてとかくの風説を受けておる、少くともわれわれ決算委員会としては、そんなことで痛くもない腹を探られるようなことが起るのでは、はなはだおもしろくないのでありますから、どうしても私はこれを出してもらいたい。何のわけで大蔵省銀行局開発銀行はこの決算委員会に、かんべんしてもらいたいの、秘密にしてもらいたいと言うのか。私はその真意がわからない。委員長の従来のこの決算委員会審議方針の御精神によつて、これはひとつぜひとも提出さしていただきたいと思う。しかし私は先ほども申しますように、何でもかでもこれを公表するとか何とか、そういうために私は言うておるのじやないですから、その点誤解のないようにしていただきたい。
  8. 柴田栄

    柴田委員 関連して。今の杉村委員の御発議は、この前の委員会でも申し上げておつたのですが、そのときは委員長出席がございませんでしたが、たしか大上理事委員長代理をおやりになつたときに、たとえば私どもの考えておるところは、あの資料予算委員会には提出してある、わが党の横路君はちやんと持つておるのです、私ども単に横路君の資料を借りて見れば簡単なのでありますけれども決算委員会の権威のために、他の委員会には提供しておつて決算委員会には出せぬということはあり得ないと思います。そういうことが一つと、もう一つはたとえば大蔵省民間金融機関調査いたします場合は、相当大きな力をもつて銀行検査に臨んでおる。ひとり政府機関のような開発銀行に対してはあまりにも甘過ぎる、その甘過ぎた結果として具体的に出て来た問題は、返済期至つても莫大な金額返済になつておらぬ、利息すら払つていない。その利息に対しましては、今度また延期の方途を講じておる。これは日本造船関係を考えました場合に、やむを得ない措置であつたではありましようけれども、しかし一応われわれは、こういう関係でやむを得なかつたのだということを国民とともに納得しなければならぬと思うのです。そういう角度からやはりこの資料というものは、少くとも率直に提示しなければならぬはずである。当委員会においてとつくに決定しておることでもございますから、むし返さぬで、率直に資料を提供させるように、委員長においておとりはからい願いたいと思います。
  9. 田中彰治

    田中委員長 柴田委員杉村委員に申し上げますが、それは開発銀行が出すのをしぶつても、職権で出せと言えば出させられますし、そういうことを考えておるのじやなかつたのですが、ただ私委員長として聞いたところによりますと、そういうものを出して、それがどんどん世間に知れると、金を借りてるが利息も払えないような造船会社でも何とかものにしようと努力してるのに、株はますます下る、ほかから金融はできなくなる、非常に信用を失つてしまつて、そういうことが外部に知れるとつぶれてしまうというような意見があつたために、そういうことも考えなければならぬところもいろいろあると思つたのですが、しかし予算委員会に出ておるということでありますれば、よく調べまして決算委員会としても書類を取寄せましよう。
  10. 杉村沖治郎

    杉村委員 それがほかの委員会に出ておることは私も知つておる。現にそれは横路君がここに来たときも見ておりますから知つておりますが、それがはたして正しいか正しくないかということを私は疑うのです。そこで決算委員会に今度出すときにはいいかげんなものを出すわけに行かぬだろうと思う。しかしあるいはそうでなく他の委員会に出ておるものが正しいのだけれども、この決算委員会には出したくないのだとすれば、これは実におかしな話なんだが、実は私が他の委員会で、これはほかのことですが、資料を求めた。ところがその資料が、杉村さんが納得するようにそろばんが合うようにこれをやつたらどうだろう、こういうことで持つて来たのかもしれぬが、その委員会の職員が、杉村さんのところにはそんないいかげんなものを持つてつたつてだめだ、これはやり直しだということではねられて、あらためて出せと言つたら、もう二十日ばかり過ぎてるが出て来ない。最初いいかげんなものを持つて来たらしい。それだから予算委員会に出しておるところの資料運輸委員会に出しておるところの資料が、はたして正しいか正しくないかということは、私どもには納得ができない。ということは、ここへ先だつて横路君が持つて来た資料と、私の調べた資料とは幾分食い違いがある。横路君の持つて来たというのは、大蔵省から出した資料でありましよう。そうでなかつたら何でこんなに出さないのですか。決算委員会こそどうしても出さなくてはならぬ資料じやありませんか。だからこれは厳重にひとつやつてもらいたい。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの杉村君の御発言のお扱いにつきまして、予算委員会資料が出ておるということでありましたら、さつそくお調べになりましてお取寄せになつて、そうして収拾していただきた、すみやかにやつていただきたい。それだけ申し上げておきます。そうして時間もだんだん進みますから、本論に入つていただきたい。
  12. 田中彰治

    田中委員長 それではたとえば違つた資料が出るか、正直なものが出るかどうか、でたらめなものを出せば出したで決算委員長として処置いたします。そんなことまで決算委員長は何も開発銀行の肩を持つ必要も何もないのでありますから、その点は……。
  13. 杉村沖治郎

    杉村委員 結論はどうなんですか、出すのですか出さぬのですか。
  14. 田中彰治

    田中委員長 出します。
  15. 柴田栄

    柴田委員 きようは林野庁関係に入るわけでございますが、その前に資料要求をお願いしたいと思います。これはかつて再三当委員会国庫補助の問題が論議されまして、たとえば山口県の出雲村というところには予想外補助が行われておる、こういうことに関係いたしまして、資料をお願いいたしたいのは、今決算委員会で指摘されておる山口県の出雲村、八坂村、それから山口県ばかりではございませんで、大阪府の東鳥取村、愛知県の福地村、三和村、これらの指摘されておる町村が、補助関係によつて補助をどういう形において受けたのか。たとえば災害の被害状況の当時の町村調査表、あるいは農林省へ提示しておりました補助金申請書添付書類等、あるいは知事が副申書を添えておると思いますが、当該知事の副申書状況農地事務局決議書の写し、補助金支出に関する一切の書類、それから当該町村とその当該府県の当時の予算決算状況、これを一応資料として提示方をお諮り願いたいと思います。  なおもう一つは、今調査過程にありまする印旛沼の問題でありますが、その場合に今指摘されておる問題は、請負との関係が非常にわれわれ疑問としておりますので、三幸建設株式会社というものは、だれが社長で、資本金は幾らか、それから穂積建設株式会社というものも、資本金は幾らで、年間どれだけの仕事をしておるのか、それから三幸建設というものは、現在でも印旛沼手賀沼等請負をやつておるかどうか、こういう問題の資料をひとつおとり願いたいと思います。資料要求は私の分は大体そんなところでございます。
  16. 田中彰治

    田中委員長 先ほど杉村委員から要求があつた開発銀行書類は、予算委員会で出たということがわかりますれば、こちらで厳重に言つて、必ずりつぱなものを取寄せます。
  17. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は予算委員会に出たと同一のものを要求しておるのではなくて決算委員会として、先ほど申し上げましたように、各融資した船会社融資金額、並びに償還金額償還期が来て償還しない金額、それから延期したならば延期した金額共同担保共同債権者がある場合においては、その担保の順位、これらを明らかにして取寄せてもらいたい。
  18. 田中彰治

    田中委員長 みんな書き抜いてありますから、それはやります。柴田委員に申し上げますが、実は山口県、それから愛知県、それは荻野君を今調査にやりまして、今あなたが要求せられたような資料を全部集めて、現地調査をやつておりますから、その点はどうぞ御心配なく。今の謄本とかなんとか、私もその点にちよつと疑問を持つておるのですから、さつそく今こつちへとつてもいいし、現地でとつてもいいから、手続をとらせることにいたします。  委員に申し上げますが、柴田委員から言われたので、聞いていたのですが、印旛沼調査に対しては、同僚議員なんかもいろいろ心配して、あんまり手荒くやらぬようにということで、誠意をもつてつて来たことが広がつてしまつて、大分あそこには不正があつて、いろいろな方面とつながりがあるというように見ておるようですから、あれはひとつ無理しても現地視察に行くように協力してください。あれは今やめたりなんかしますと、非常に大きな疑惑の問題が起きて来ます。どうもそういういうように感じられている点がありますから、どうぞひとつそういうようにしていただきたいと思います。
  19. 柴田栄

    柴田委員 本論に入りたいと思います。きようは国有林野事業特別会計の問題が提案されておりますが、この問題で、林野庁長官もお見えになつておりますので、大体総括的に伺いたいと思いますことは、林野庁で今までおやりになつた方針といたしまして、たとえば素材の払下げにあたりましては、一般原則としては公入札でございましようが、特売というものも相当われわれ聞いておるのです。その特売における量と、公売をいたしました場合の量と、量的な比率が、ございましたならば、たとえば昭和二十七年度は特売何パーセント、それから公売何パーセント、昭和二十六年度はどう、昭和二十八年度まで御存じでございましたら、昭和二十八年度までこれを比率によつて承りたいと思います。
  20. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 お話の通り国有林の産物の売払いは、原則といたしましては公売ということになつておりますが、一つには、地元産業維持培養、あるいは特殊の重点産業に対する計画性というような点からいたしまする特売、あるいは地元の生業、たとえば農業との関連における製炭資材等の慣行によりまする特売等を含めておりますのと、最近におきましては、国有林材の中で特に新しい用途開発をいたさなければならない、具体的に申し上げますと、ぶな材の利用開発のため等に特に考慮をいたさなければならぬものについては、随意契約によりまして、決定した方針に基いて用途新規開発をいたす、こういうようなのを含めておりますので……、     〔委員長退席安井委員長代理着席原則公売よりも、現状におきましては、総計では随意契約が多くなつております。二十五年度におきましては立木につきましては数量で六四%、それから二十六年には六二%、二十七年度には六六%、大体六〇%前後というものが随意契約で処分いたしております。製品すなわち丸太につきましては、統制時代に割当でやつておりましたものが、一応自由取引に移りましたが、御承知通り、木材については二十五年一月一日から統制撤廃になつておりますので、これをただちに公入札による競争に移すということは非常に業界を混乱に陥れるという危険もあるということで二十五年はやや随意契約が多くなつております。順次法律に従いまして原則にもどしつつあるということでありまして、二十五年度は随意契約が七七%一ございましたのを二十六年度には六一%二まで下げております。二十七年度におきまして六三%一、やや上つたように見えますが、これは一般の材、すなわち針葉樹を主体といたしまする材につきましては率を下げておりまするが、先ほど申し上げましたぶな材につきましては御承知だと思いますが、二十七年度のものはきわめて売れ行きが不振でございまして、しかも東北地方中心といたしまして非常にぶなの未利用蓄積が多く、これが開発を促進いたさなければならぬ建前から、ぶな材については新規用途開発を目途として随意契約を増加して指導して参るという手段をとりましたために合計いたしましてふえておりますが、一般材といたしましては原則に順次近づけつつあるというのが現状でございます。
  21. 柴田栄

    柴田委員 今概略を伺つたのでございますが、柴田長官は二十七年の何月ごろからが御就任のようでございますが、私どもは古い時代から営林署のやつておる実際の状況を知つておるのです。たとえば公入札をいたすといたしましても、やはり公入札の場合も一般公示をしないで特定の業者にだけするという公入札の制度をとつておる。これは御承知だと思うのですが、そうして公入札をいたしまする場合でも、たとえば非常に大きな業者が集まつて非常に高い価格で取るのだが、その反面今度は特売を非常な安い価格でその営林署からもらつておる。すなわち特売でもらつた最小限度の安い価格入札でほかの業者が絶対競争できないような高い価格入札をとる。そうしてバランスをとつて平均価格というものが単価が非常にいつでも低いものを営林署からもらつておるという業者が各地に見受けられるのです。これは北海道等に参りますとそういう例が枚挙にいとまないほどあるのです。林野庁長官はあるいはそういうお考えはないかもしれないが、末端の局や署に参りますと、そういうことはあたりまえのような気持でやつておるということを御存じでございましようか。これをひとつ責任を持つた御答弁を願いたい。
  22. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 御説明の通り、実はただいま申し上げましたように、随意契約によりまして、たとえば地元製材工場等の安定のために、時価基礎といたしまして、また利用合理性基礎として予定価格を算出いたしまして、これによつて随意契約をいたしておる数量が相当ございますので、その場合に公入札をいたした場合の価格が特に価格上昇傾向のときには業者の将来の見通し思惑等が非常に入りまして予定価格から予想以上に大きく上まわつて入札される場合が相当あるのでございまして、特に最近二十六年度以降の上げ傾向時代には三割、四割、ひどいときには予定価格の倍近いような入札もあつたわけでございます。この点私実はこれを時価と比較して非常に安く売り出しているのじやないかという御批判も相当いただいておるわけでございますが、はたしてそれでは購買価格をもつてただちにその取引ができるかということになりますると、実は思惑が入つておりますので実際の取引にはならない。その場合に予定価格との差が非常に大きいために随意契約によつて処分を受けたものとならして比較的安いものをとつてつておるのだというような外部からの御批判も出て来るわけでございまして、私どももその点で非常に苦慮いたしておりますが、上げ傾向のときにはいかに時価を精細に調査いたしましても、とうてい将来の見通しを入れたような予定価格は立ち得ないというところに御指摘のような事態が起つて参つてつたのでございます。もちろん公入札価格予定価格一つの見込みの因子になることは事実でございますが、これをそのままとるということは非常にむずかしいということで、さような事実の現われた場合には、それを参酌して次の予定価格見通しながら修正するという手段をとつて参つておりましたが、これはどうも役所の価格の確定ということは、どうしても市場からは多少遅れて参るということで、何だか申訳をいたしておるようで相済まないのですが、下げ傾向になりますと、逆に予定価格を下まわりまして不落が相当に出て参る。最近のような情勢でありますと、ただいま先生のお話のような疑はなくなつて参るのではないかと思つております。事実外部からごらんいただきますと、何か非常に安く売り過ぎておるのではないかというような御批判があることは承知いたしておりまして、実はたいへん調整に苦慮いたしておる実情でございます。
  23. 柴田栄

    柴田委員 ただ私どもが一番心配いたしますのは、国有林を払下げまする場合も、たとえば町村なら町村という自治体において、非常な適正な経営をする。そしてその町村なら町村の財政に対しましても非常な大きな力を持たしてやらなければならない。こういう建前からおやりになつておるということは、その精神はわかるのです。わかりますけれども、ややもすると、たとえば国有林野整備臨時措置法の精神を没却しまして、たとえば払下げをしてもらつて、ただちに転売しておるという実例も随所に見受けられるのですが、こういうことに対しまして、今後林野庁ではどういうお考えをお持ちになるのか、これを長官からこの機会に承つておきたいと思います。
  24. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 国有林野整備臨時措置法に基きまする国有林の売払いにつきましては、ただいま先生のお話の通り、整備法に規定いたしておりまするように国有林野の経営には支障がない。但し地元で御経営を願うということになれば、集約的かつ有利に御経営が願えるという場合に売り払う。その売払いには第一順位といたしまして、地方自治体、公共団体ということにいたしておりますので、目標といたしましては、基本財産の維持増成ということに大いに役立てていただきたいということで、売払いの際には当然りつぱに森林計画を守つていただかなければならないということを条件として、実は売払いを進めておるわけであります。ただいま先生の御指摘のように、実際問題といたしますると、最近の地方公共団体の財政状態が非常に悪化いたしておりまする際に、特に売り払いました立木等が木材価格の高騰によりまして、非常に高い値で処分できるという見通しの場合には契約を無視されまして、一時に売り払つてしまうというような例が多くて、私どもが林野整備で実際に売り払う目的とたいへん違つた取扱いに相なるということで、この点の処置には非常に苦労いたしておるのであります。売り払いましたものの維持管理、その行方につきましては、監督を厳重にするように十分注意はいたしておりまするが、手のまわりかねておりまする際に、他の監督権がないという現状におきまして、ただちに処分せられてしまつた例が間々ございます。実は私ども目的に反して非常に弱つておりまするが、極端な例等もあるようでございまして、せつかく地元のために払い下げましたものをたちまち伐採してしまう、しかも土地まで所有権を移すというような例もございまするので、これらの済んでしまつたことに対する監督の不行届きに対しましては、私ども非常に責任を感ずるわけであります。これらの点に対しましては、地元ののつぴきならない事情があるかとも存じまするので、それらを精査いたしまして、かりにも不都合な考えを持つてさようなことがなされておるということになりますれば、私どもは契約を正面から解釈いたしまして、何らかの措置を講じなければならない、かように考えておりまするが、お説の通り、実はさような傾向に近いような問題がまだ二、三起つておりまして、非常に苦慮いたしております。  いま一つついでに申し上げさしていただきたいのは、実は林野整備と町村合併の問題に関連いたしまして、町村合併による基本財産をつくるということに協力しようという問題が、逆に町村合併に持つて行かないように、早く処分して換貨しようという傾向が強くて、これの監視、監督に非常に弱つておるという実情も申し上げさしていただきたいと思います。
  25. 柴田栄

    柴田委員 非常に御親切な御答弁でありまするが、ただ私どもは会計検査院に望んでおきたい。今長官の御説明を承りましても、随意契約による売却が、比率にいたしまして低下していない、さらに圧縮をしていない、こういう現状を見ました場合、営林署、ことに国有林野の特別会計に対しまして、検査院はもう少し熱情を持つて調査願いたい。われわれは例をあげろといえば幾らでもある。私の地元の盛岡にできた例のごときは、一課長が一業者に対して簡単に特売してしまつた。しかもこの特売の場合に、受領書まで改竄いたしまして、そこの地元営林署の受領書を発行して、実質的に三十数万円で特売したのにもかかわらず、営林署の署長の判を盗印して、八十数万円で売却したようにつくつてつた。もちろんこれは監獄に入つてしまいましたが、現にこういう問題が一昨年あつた。しかも三十数万円のものを高い受領書を発行せしめて、その業者が八十何万で買つたのだが、営林署から特売を受けたものだからまだ安いのだといつて、これをまた百万円以上で売つている、こういつた実情もあつたのであります。これらはもちろん指摘されておりませんが、こういうことが随所にあるのです。そういうことをわれわれは十分知つておる。幸い林野庁に関する限り指摘されている事項はここにはまつたく少く出ておるのです。いかにも国有林野の特別会計は批難事項が少いように見受けられまするけれども、現実はこれと逆の状態なんです。だから会計検査院は実際に人員等も足りないでございましようか、もう少し見てもらいたい。そうでなければ国有林野というものが、営林署の属僚によつて自分のもののごとき観念を持たれて、かつて随意契約により売買の行われるおそれが非常にあるのであります。こういう点に関しまして、この指摘された問題は別といたしまして、概括的に会計検査院は大体何パーセントくらい調査されたものでございましようか、承りたいと思います。
  26. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 国有林関係検査でございますが、先ほど随意契約が多い、こういうお話がございましたが、数年前から私どもの方でも随意契約が多いという点林野庁に御注意をしておるのでありまして、数年前に比べますと随意契約比率は相当減つております。素材の関係検査報告に毎年書いてございまして、二十七年度は六三%、二十六年度は六一%、二%ほどふえておりますが、これは特殊な事情があつたのであります。二十五年度は七七%くらいになつているのであります。七七%から六一%あるいは六三%という程度に減つて来ておるのであります。国会でもこの随意契約の多いという点が数年前から論議の対象になつておりますので、私どもとしてもこの点できるだけのことはしているのであります。それから、随意契約で売りましたものにつきましては特に気をつけて見ておるつもりであります。何分にもたくさんございますので、行き届かない面もあると思いますが、私どもとしては林野をあまく見ておるというようなことは毫もないのであります。  それから営林局、営林署が三百四十九——これは二十六年度の実績でありますが、このうち、二十六年度で申しますと七十六ほど検査しております。営林局、営林署三百四十九のうち七十六でありますから、大体五分の一くらいしか見られなかつた、こういうことになるわけであります。それも、営林局、営林署へおじやましましても、何分にも仕事の範囲が広うございますから、実地検査したところは必ず全部見たというふうな口はばつたいことは実際言えないのでございますが、全体の検査の概況と申しますか、今のように約三百五十のうち七十六、こういうことになつているのでありまして、私どもとしてはできるだけたくさんのところを見たいと思つておりますが、現在ではこの程度になつております。
  27. 柴田栄

    柴田委員 なお進んで具体的に入ります。二十七年度の批難事項の一五〇九号でございますが、名古屋営林局で、昭和二十七年十一月、愛知県北設楽郡三輪村にある国有林六百六町一反のうち、百三十九町四反を地上立木九万四千六百八十一石とともに千九百二十万円で売渡している、こういう事項なんです。これは地価が六十万円低い金額ということで指摘されておりますが、どういう角度からごらんになつてこの六十万円が低価だと御判断になつたのでございましようか。私ども一般常識で、九万四千石の立木があつたものが千九百二十万円で売却されたという事態をそのまま簡単に考えても、とても六十万や百万の話ではない、ちよつと木材に関心を持つ者が見たならば、この指摘されていること事態おかしな話なんだが、会計検査院はどういう角度でごらんになつて六十万円低い、こういうのでございましようか承りたい。
  28. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 一五〇九号でありますが、この案の重点は、今の六十万円安いということではないのであります。その二、三行前の下の方をごらん願いたいのでありますが、「整備事由に該当しない林地であるばかりでなく」、これが実は重点なのでありまして六十万円の方はつけたりに書いたわけであります。この裏の方をごらん願いたいのであります。「しかして本件林地は農業水利用宇連川ダム建設に伴い、たん水地域となるため失われる」云々とありますが、山林の代替として売つたものであります。これがいかぬ、こういう批難でありまして金額の方は実は重点を置いていないのであります。これはダムをつくりますのに水没地が出るわけでありますが、そのかわりにこの国有林を、林野整備臨時措置法の規定を濫用と申しますか、広く考えて売つてしまつたわけであります。こういうことをやりますと将来困るので、私どもとしてはこれをテスト・ケースのつもりで出したのであります。
  29. 柴田栄

    柴田委員 その点は了解いたしましたが、ただつけたしのことであるならば、むしろこの金額を入れぬ方がいい。要するに批難事項の目的としては、この価格が低価だということではなく、国有林野整備措置法に照して適当じやなかつたということを指摘されておると今了承したわけですが、こういう問題につきましては、実際私どもがこれを一つ一つ検討いたしましたならば相当時間がかかりますので、省略いたしたいと思います。  長官に承るのですが、こういう適地でないものをどういう経緯で国有林野の整備として払い下げたのであるか、これを承りたい。この一五〇九の問題です。
  30. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 実はこの問題は林野整備臨時措置法からいいますと、いかにも少し適法でないことになりまして、申訳ないのでございますが、水利用のダム建設のために地元の林野が水没する、その代替は国有林からもらうのだということをお話合いになつて、ダム工事が進んだわけであります。ところが実は私どもの方には何も話がなかつたわけでございます。ほとんど話が確定してしまつてから、そういうふうに話してあるからぜひとも国有林野で代替地をほしいということでございまして、その林野整備法もちようど実施されておりますので、それで何とか処分してもらいたいということであつたのですが、なかなか適用ができないというので、いろいろ論議いたしました結果、特別のケースとして中央森林審議会にもお諮りいたしまして、やむを得ないだろうというお認めの御意見をいただいたので、実は処理した次第でございますが、いかにも御指摘の通り適正ではなかつたということを十分反省いたしておりますし、今後は法律の適用としては絶対に違法いたさないように、厳重に注意をいたしております。
  31. 柴田栄

    柴田委員 それはわかりますが、ただこういうものは、適正でないとはつきりと確認された場合、その後の処理はどうなさるのですか。たとえばこの三輪村に払い下げましたこの問題は、適正でなかつた、そしてただこの決算委員会で、遺憾でございまして将来注意する、こういう長官のお答えだけでは私どもは納得が行かない。たとえばこういう間違つたことをやつたならば、この村から取返しておるのですか。その後の処理をどうなさつたか、承りたい。
  32. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 実は中央森林審議会の御審議を願つて、一応やむを得ないであろうという諮問の回答をいただいておりますので、一応さしつかえないということで、三輪村に対しましてはまつたく善意の、妥当な契約をいたしておりまして、三輪村に不当があつて契約を廃棄するというわけには参らぬ案件になつておりますので、今後似たようなことを絶対に繰返さないように厳戒するということで、やむを得ない事情にあることを御了承願いたいと思います。
  33. 柴田栄

    柴田委員 どうも長官のそういう御態度は私どもちよつと了解に苦しむのですが、これを現実に行つた責任者というのは、当該営林署長か営林局長と思うのであります。そういたしまして、今度は最後に問題が起きて、検査院から指摘を受けて、実際にこの問題が間違いであつたということがわかつた場合に、中央実議会と何か相談をされて、その審議会から適当な答申を受けて、そしてそれを不問に付すというような御態度は、私どもは断じて了承できぬ。少くとも行つたの林野庁の責任においてやつたことなんであります。そうしますと、審議会の答申を受けて、やむを得ないからそのままにしておくということではわれわれは承知できない。間違いは、間違いということがはつきりわかつたならば、徹底的に国の財産という立場を堅持してもらわなければわれわれは承知できません。どの批難事項を見ても最後はそういう形において処理されることであつては、ここで議論いたしましても何の価値もないことなんであります。これらに関しましては将来もそういう御態度で臨まれるかどうか、これをひとつ承つておきたい。
  34. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 実は私の説明がまずくて、少し了解していただけなかつたような感じがいたしますが、私どもも当初におきましては、林野整備臨時措置法の適切な適用はなかなか困難だということで、いろいろ代替地という問題にも、難色を示しておつたわけでありますが、事情やむを得ないということで、かような場合に整備法を適用してもいいかどうかということを、実は事前に中央森林審議会に諮問いたしまして御意見を拝聴した結果が、まあやむを得ないであろうという結論で処置したわけでございますが、その後御指摘をいただきまして、不当であるということで、考えてみますといかにもこの処理が万全ではなかつたということを痛切に感ずるわけでございます。何も言訳のために中央森林審議会にかけたわけではなくて、私ども非常に迷いました結果、森林審議会にお諮りいたしましたが、これは全体としてやむを得ないであろうということであつたので、実は処理したわけでありまして、その後やはり御指摘をいただいてみると、この法律の適用としては不当であるということをわれわれも十分認識いたしましたので、今後はかような法律の適用を絶対にしないようにわれわれ自身も十分反省し、かつ管下にも徹底させるということをいたしておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  35. 柴田栄

    柴田委員 私の誤解でもあつたように考えられますので、その点は了解いたしました。私は、その問題を指摘されたあとに中央審議会から答申をおとりになつたというふうに誤解をしておつたのですが、今の御答弁では、その前に中央審議会の答申をとられた、そのあとに検査院から指摘されたということでございますので、その点は了承いたします。私は何も柴田長官をひとついじめたいという感じは毛頭持つていないのです。ただ実際に国有林というものは、たとえば地元のボスやあるいはまた林野庁に出入りをしておる特定の業者、ボス等がそういう国の財産を左右していはしまいか、こういう懸念が非常にございましたので、くどくどと承つておるのでありますから、その点はこの問題としては了承いたしました。ただこの批難事項を一つ一つ議論をいたしましてもどうかと思いますので、私はこの辺で質問を終りますが、結局国有林の整備がほんとうに法律の精神のごとく行かれることをわれわれは望んでおるものであります。もともと今の国有林の全部というものは、昔は部落のものもあつたし、あるいは個人のものもあつたでありましようが、それが国有林に編入されておるという形のものも、地方に参りますとあるのだが、そういう関係から地方の自治体を中心として払下げをする、こういうことであつたらわれわれは大いに賛成なんです。あるいは無償でくれてやることも賛成なのです。ただそれによつてただちにこれを中心として非常に莫大な利益をとる者が地方のボス等に見受けられるのだ、そういう点を十分御警戒をいたされまするならば、われわれはもう何と申しましても異議はないのですが、そういう今までの実態を十分把握されて御善処を願いたい、こう思うのです。
  36. 安井大吉

  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はきようは前会の水産庁関係漁港施設の問題の残余について質疑を行い、それから林野その他に入つて行きたいと思います。委員長水産庁長官は見えておりますか。
  38. 安井大吉

    安井委員長代理 長官は見えております。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官に対しては、この間漁港施設の補助金をめぐりまして、各般の不当工事がありまするので、これを中心といたしましていろいろ質疑を申し上げた次第でございます。そこで私は、この間は会計検査院が代表的事項として指摘しておられる二十七年度二百五十八ページ、二百五十九ページの愛媛県と福岡県と佐賀県における三港の工事について種々問答をしておつたのであります。ところでこういうような補助金を下まわるそれ以下の経費をもつて工事を完了したような例、余剰金が生じたような例はまことに遺憾であるという私の意見に対しまして、その原因として御指摘になりましたのは、これは主として監督上の不行届にあるというような御意見であつたのであります。そのときにこの事業主体におきまして、財政上の負担能力が不足しておるようなことが一つの重要な原因でないだろうかという私の問に対しまして、あなたは財政上の負担能力は十分にある、こういうような御意見に終始しておつたようであります。そこで私はいろいろと考えをめぐらしまして——実は私自身が現地に足を運んで実情調査をいたしておりませんので、その点について十分に的確に財政力を私が示して、そうしてさらに掘り下げた議論をすることは困難でありまするので、一応あなたがごらんになるように、これらのたくさんな漁港の不当と批難される工事が財政力貧弱という理由に基かないということを私も認めるほかないのであります。それならばあなたのいわゆる監督上の事情が原因をなしておるということを中心質疑を続けるのはしかたがないのであります。  そこで伺いたいのですが、漁港の施設工事の監督者は府県知事であるといつたような場合に、府県知事の監督が十分でなかつたということが、こういう不当事項を引起すに至つたというのは、もつと具体的に言うならば、それは府県知事が無能であるのか、あるいは制度が悪いのであるか、あるいはその他の行政的な頽廃事情でもあるのかどうか、こういうことすらも想像をたくましゆうするのであります。そこで監督上の原因があるという前会のあなたの御答弁をいま少し掘り下げていただきまして、どういうことにわれわれは納得すればいいのであろうか、次にどうすればいいのかという対策のこともいろいろと考えまするので、あなたのおつしやる原因をもつと掘り下げて究明せねばならぬ、こう思いますのでひとつ御答弁を煩したい。
  40. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま吉田委員からの御指摘があつたのでございますが、前会の吉田委員のあげられました三例につきまして、当該村におきます具体的な財政事情等につきまして数字的に御説明を申しげしたのでございますが、その他の例につきましても、大体において当該村が財政的に困るということではないというふうなお答えを申し上げたのでございます。なおそれに伴つてかかる事態が起りますことについて、当水産庁としての責任はもとよりでございますが、直接監督をいたしております当該県においても、監督上の不行届の点があるということを、私といたしましては一応恐縮ではございますが、認めざるを得ないのでございます。     〔安井委員長代理退席、大上委員長代理着席〕 そこでなぜ一体そういうことが起るかということでございますが、その点は一言に申しますると、仕事に不注意であつたということを申し上げざるを得ないことになるのでございますが、御承知通り、漁港の問題を実際取扱つて仕事をいたしておりますのは、各県におきまして、漁港の専門の部課もありますが、主として港湾と一緒にやつているところもあるということでございまして、港湾の仕事と同一の部課において漁港の仕事もするというところがはとんど大部分を占めておるのでございます。であるからと申しまして決して漁港の方の仕事の注意が行届かなかつたと言い訳を申し上げるわけではございませんが、そういうような施設になつており、かたがた私どもといたしましても、何とか地方におきまする漁港の仕事に従事する職員等の増員、あるいは仕事の仕方等につきまして、かねがね本庁といたしましても努力をいたし、また関係者といたしましても十分努力をいたして参つて来ておるのでございますが、この点におきまして十分まだ意を尽さない点もあるのであります。これは言い訳を申し上げるようで恐縮でございますが、要するに原因を申し上げますれば、率直に申し上げまして、仕事の監督、実施等について十分の意を尽さなかつたために、検査院より御指摘を受けるような事態を生じたということについては、まことに遺憾に存じておる次第でありますが、われわれといたしましては、もつと今後の仕事に従事する職員の充実あるいは仕事のやり方等、これをさらに研究検討いたしまして、今後こういう事態のないように努力いたさなければならぬ、こういうように実は考えておるのでございます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はもつと具体的に率直にお述べを願いたいのであります。まず漁港の施設の計画をせんとします場合には、府県庁のそれぞれ各担当職員が指導するものであろうと考えるのであります。そこで事業の実行になりましたら府県知事がこれの監督の責に任じておるものと思う。法制上そうなつておると思います。  そこでもつと具体的に、どこに盲点といいますか原因があるのだろうか。あるいはあなたが今お述べになりましたように監督不行届きとか不注意とかいうようなことは、それはそうかもわかりませんが、そういつたことでは問題は解明できないと私は思います。やはり私どもは毎年こういう同じような問答を繰返すのでありまして、この政府説明書に書いてありますように、いろいろと絞切型の文句が並べてありますが、このようなことを繰返したくないのであります。やはり本年、本国会におきましてこの多数の漁港——といえども会計検査院の能力には限度がありますので、おそらくは何十分の一しか調査しておらぬのであります。でありますからもつと多くの被害事実があると思います。それでこの種の問答を繰返さないつもりで、原因を厳格に探究してみたいと思いますので、ひとつこの質問に対してお答え願いたい。不注意だつたとか、監督不行届きであつたろうというようなことではなしに、一体どこに原因があるのであろうか、あるいは事業主体みずからには大きな原因はないのであろうか、これを指導する県庁の職員にそういうような監督指導上のいろいろな原因があるとすれば、一体どういうことなのであるか、あるいは水産庁みずからにおきまして、こういう問題に対してはどういうふうに考えるべき点があるのであろうか、あるいはいずれもではなくして、また別の要因がここに数えられるのであろうか、こういうようなこともいろいろと実は考えるのでありますが、そこをあなたの方でお考えになつております事実をひとつずばりとお答え願いたいというのが私の希望なのでありますが、これについてはいかがでございましようか。
  42. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問でございますが、同じようなお答えを申し上げることになりますのであるいは御趣旨に沿わないかと思いますが、私どもといたしましては監督不行届きの問題もございますし、同時にまた実際問題といたしまして、経営者と申しますか、事業主体の側においても、この仕事をする上において十分の注意なり、その他指導上に不行届きの点があつたということは認めざるを得ないと思うのであります。従つて事業経営者のこれに対する不注意なり、監督の任に当ります当該県庁の不行届きということが結局この問題の原因になつておる、ひいては私どもの方の監督指導が十分でなかつたということをいわざるを得ない、こう考える次第でございます。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは伺いたいのですが、たとえば二十七年度の、番号一三九七、愛知県福江町の疎漏工事、一三九九の京都府与謝郡養老村の疎漏工事、その次はさつきも問題になりました一四一二号、その次が高知県安芸郡西分村、それから福岡県糸島郡北崎村、それからさつき問題になりました一四三〇号及び一四三五号、これらが工事費としまして計上されておりますが、いずれも架空の工事費であつたということは、これはどの段階で見つかつたのでしようか。それとも農林省といたしましては、会計検査院が指摘した後に初めて知つたのでしようか。この工事費なるものはことごとく架空のものでございますので、これはたとえば県庁の事業監督の知事も知らなかつたのでしようか。すべて問題が検査院によつて指摘せられた後にわかつたということになるのでしようか。その点はいかがでしようか。
  44. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問の諸般の事項について架空な工事費ではなかつたかという御質問でございますが……。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺いましたのは、架空の工事費ではなかつたかというのではないのであります。もうちよつと詳しく言いますれば、たとえば福江町におきましては、工事費は二百二十八万三千全円、ところが実際の工事費は百五十八万九千余円、養老村のごときは、工事費は八百八十六万円、実際の工事費は六十一万円、高山村は五百五十万円、実際の経費は百五十五万円、西分村は百五万七千円、実際の経費は七十一万五千余円、北崎村は五百七十万九千円、実際の経費は四百九十万九千全円、小川島は四百三十六万一千円、実際の経費は二百八十七万二千余円というのでありますから、水ぶくれと申しますか、架空の工事であつた、こう私は申し上げるのであります。この架空の工事費が莫大に含まれておるという事実は一体どういう段階で水産庁はお調べになつたのか、これを伺つておるのであります。
  46. 清井正

    ○清井政府委員 御指摘をいただきました点につきましては、まだ事業を継続いたしておりますので、私どもは事業認定をいたしておらない段階のものでございますので、実際問題といたしましては会計検査院が実地においでになりまして、検査の結果において御指摘を受けたということによつて判明いたしたような次第であります。
  47. 安井大吉

    安井委員 関連して。農林省の漁港の工事についてただいま柴田委員からだんだんの御質問がありました。その内容を見ると、工事の査定を農林省が直接やつておる。その補助の指令は県を通過せずして直接にやつておる。その工事を引受ける主体はきわめて弱体である。そこに非常な原因があると思う。私はこれはただ監督不行届きである——その監督者の氏名を見ると、きわめて軽微な懲戒、注意というようなことであつて農林省は他の省に比べてこれらの不正、不当な責任者に対する処罰が軽過ぎはしないか、こういうことをも考えさせられるのであります。  そこで伺いたいのは、なぜその地方の漁業組合なりあるいは小さな村に工事をさせるのに、県を通して、県が身を入れて監督するような制度をとらないか、そういう制度をなぜとらずに、直接に指令を発して行くか、ここに私は非常な県の監督が疎漏になる、緩漫になる一つの原因があると思う。ただ監督々々と言うけれども、制度の上から監督せられるような態勢を法規の上でつくつて行かなければならぬ。これに対して長官はどうお考えになるか、これをまず伺つて、なおお伺いしたいと思います。
  48. 清井正

    ○清井政府委員 御指摘の点でありますが、確かに実際問題として県庁が事業の設計には指導をする。しかもその申請等は本庁を通じて来る。ところが実際問題として補助金を交付するときには事業主体に直接交付して来るというようなことに問題がありはせぬかという御指摘でございますが、確かにその点は問題があることと、私どもも率直に考えるのであります。そこでこの公共事業費につきましては、二種類の法律があることは御承知通りでございます。一般の公共事業費と協同組合関係の公共事業費と両方に法律がわかれておるわけでありまして、協同組合関係に関する災害復旧の事業につきましては、先般いわゆる従前の直接補助から間接補助にいたしまして、県庁に補助して、県庁から実際事業者補助するということで、実際において地元において監督が十分行き届き、また日ごろたびたび行つて、しよつちゆう仕事を見ておられるという、実際上の監督のできる人に補助金をやる。そして補助金を交付する者と事業の監督のできる者とが同じだという形をとることによつて、かかる問題を将来一掃したいという意味で、この法律ができたものと私は考えておるのであります。ところが残りの問題、すなわち協同組合以外の府県、市町村の施工する漁港に対する補助金の問題は、御承知通り公共事業の災害復旧の法律によつて実施いたしております。これは漁港のみならず一般の全部の事業と関連をいたしておるのであります。この点は、ただいまは直接の補助ということになつておるのであります。この問題につきましては、われわれといたしましても、どういうふうにすれば、将来制度的に御指摘のような点をなくすことができるかという点については、関係の省とも十分相談をいたしまして、もし必要あれば、協同組合の災害の補助に対して立法を行つたと同じようにする方がいいのかという問題は、十分検討したいと思います。私だけでもつてここではつきり申し上げることはできないのでありますが、御質問の趣旨は十分了承いたしております。
  49. 安井大吉

    安井委員 会計検査院に伺います。会計検査院が検査なさつた結果では、農林省の不当事項、監督不行届きが非常に多い。こういうような点について、制度の上からこうした方がいいというようなお考えを、会計検査院は農林省に対して特に持つておられますかどうか伺いたい。
  50. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 農林省関係が、ことに補助におきまして最近非常に問題がたくさん見つかつているわけであります。昨年、一昨年から全国的な——全国的と申しましても、何べんもここでお話が出ましたように、工事数にいたしますと、一割見当しか見ていないのでありますが、ともかく全国を一まわりする検査をいたしまして、昨年が二年目でございます。そこで大体の全貌と申しますか、氷山の頭になるかもしれませんが、一応事実を相当詳細につかみました。そして、たまたま昭和二十八年の大きな水害がありました、その補助をつけます直前に、一年半ほどの検査結果によりまして、原因はどこにあるか、対策としてはどうしたらいいかという点で、私どもとして気がつきました事実は、農林省あるいは建設省もございますが、詳細に照会をお出ししておるわけであります。その要点は二十七年度の検査報告の百六十六ページに項目だけ全部書いてございます。これは最初に御説明いたしましたときに、ざつと申し上げておきましたが、百六十六ページの中ほどからのパラグラフでありますが、「このように多数発見される不当工事の発生原因およびその防止対策については既に関係各省に意見を表示した。」とあり、ここに項目が全部並べてございます。私どもとしては、今でもここに書いてあることだけでもおやりくだされば、相当程度補助工事の不当事項というのは消えてしまうのじやないだろうか、こういうふうに考えているわけであります。
  51. 安井大吉

    安井委員 会計検査院は御調査になつた事項をそれぞれの省へ通達する。通達したあとはその返事をとつて、どういう処置をなさつておるか、ただ通知をしてお前の省にはこういうものがあるということだけを注意して、その後はどうしておるか、それを伺いたい。
  52. 小峰保栄

    ○小峰会計検査院説明員 ただいま安井委員の仰せのように、こういう事実があるということだけを注意するのが普通でありますが、この補助につきましては、それだけでは不十分である、こういうことで一々工事の累計と申しますか、千も二千も工事は出ますが、分類いたしますと、結局そうたくさん種類はございません。七つか八つになつてしまうわけでありますが、各種類ごとにつきましてその原因がどこにあるか、それに対する対策はどうしたらいいかということを照会したわけであります。それに対しまして各省からそれぞれ回答をいただいておるのでありますが、ただ現在のところではまだ回答をいただいてからそう日もたつておりませんので、これが一々具体的に実行されているという段階になつていないのであります。私どもといたしましてはここに書きましたこと、たとえば先ほど来お話が出ております監督機能の不十分なこと、これも一つの大きな原因なのでありますが、そういう面の充実というようなことも何とかお願いしたい。これは私どもとしてはできることではないのでございまして、やはり各省なり各府県なりのお力にまたなければいけない事項でありまして、私どもとしては注意を喚起して成行きを見るというのが現在の状態であります。
  53. 安井大吉

    安井委員 御承知のように議員がある会社から三十万円もらつても逮捕許諾の請求を受けて逮捕されようとしておる。この国費支出の不当はただちにわれわれの税金に影響しておる。それがなかなか三十万や四十万の問題ではない。非常に過大な補助をとり、中には非常に不正な意思でやつている者があるのにこれの処置がきわめて緩漫である。しかも農林省において最も大きな額に達しておるということはまことに私どもは遺憾に思います。二十六年度における決算関係事項の調書を見ると、ほとんどどれもが厳重な注意、訓告というように注意々々で終始しておる。こういつたような国費——われわれの血税を浪費しておる者、不当にとつておる者に対するその責任者の監督が厳重な注意、戒告で終つておる。これでは私どもは百年河清をまつの類だと思う。これらの責任者に対して農林省としてはもう少し厳重にやらなければ跡を絶たないと考えるのでありますが、他の省に比べてあまりに麻痺しておる——麻痺しておると言うとおかしいかもしれませんが、なれ過ぎておる。そのくらいのことはどこにもあつたここにもあつた、去年もあつたことしもあつたというようなことで、遂にそういう不正になれて処分が緩漫であるというきらいがあるのではないかと思う。こういう点について、特にこれは長官のすることだろうと思いますが、水産庁長官はこの工事の不正不当の責任者について一体どうお考えになつておるか、それを伺いたい。
  54. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまいろいろおしかりを受けたのでありますが、確かに年々こういうような問題を起しまして検査院の御指摘を受けまして、われわれといたしまして非常に恐縮に存ずるのであります。この補助金の事項につきましては、直接は水産庁あとは当該関係の県並びに事業執行者というのがそれぞれの立場において責任を持つておるのでございまして、私どもといたしましては誠心誠意努力をいたしたつもりでございますが、かかる御指摘を受けるような事態に至つたのであります。ここに起りました具体的な問題につきましては、先ほどもお話がありました出来高が足らないとか、あるいは補助金だけであつて自分の負担分を負担していないとかいうような個々の問題につきましては、それぞれその後当該者と話をいたしまして、それぞれ当初の設計通り現在事業を執行させつつあるのであります。そういうような状況でありまして、現実においては当初予定の設計通り執行さしておるということであります。かかる問題の起りましたことにつきましては、将来こういうことのないように、関係者と十分話合いをしなければならぬと存じておりますも
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さつき途中でやめましたので水産長官に伺います。成功認定は、事業が竣功したときにするんであろうと思いますが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の第九条は、主務大臣の事業監督権の規定であります。これは同時に施行令の八条によりまして、府県知事に権限がまかされておりますので、たとえば三年継続事業であれば、初年度に幾らの補助金を渡し、二年度に幾らの補助金を渡すということにおそらくなると思いますが、そういう場合に、竣功の上で成功認定がないから、事業費の実際と架空の関係を知る機会がないというような今の御答弁はちよつとふに落ちぬのですが、この点はいかがでしよう。
  56. 清井正

    ○清井政府委員 成功認定をいたすので、最後にならなければわからないというふうにあるいは申し上げたと思いますが、その点は私の答弁が不十分でございました。そうあるべきものじやないと私も思います。むろん成功認定でございますから、何かの継続事業でございますれば、当然継続事業を完了したときに成功認定をいたすのでございますけれども、単にそれまで荏苒として補助金だけを交付しつばなすという意味ではないのであります。むろん毎年度補助金を交付いたしておりますから、本来ならば、私どもといたしましても、一々全部実地に当つてその施行状況あるいは進行状況等査察すべきであるのでございますけれども、残念ながら多く見ることができないというような事情もあり、書類だけにたよつて毎年度の補助金交付をするということも、実際上はあり得るのであります。そういつたことからこういうようなことが起つて来たということも考えられるのであります。私どもといたしましては、そういうふうに事務上にも施行上にももつともつと努力すべき点があるのでございますけれども、それを十分やつて行かなかつたために、こういう事態が起つたということも率直に認めざるを得ないというように考えます。これは今後私どもといたしましても、できるだけそういうことがないようにいたして行かなければならないと考えます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで問題はあなたの方で手が足らぬというのですか、綱紀が弛緩しておるということになるんであろうか、あるいは制度が不十分であるから手が届かぬというのでありますか。ずいぶんたくさん批難事項として指摘せられておる。各工事がほとんど中間においてさような監督の事実がないとすれば、一体その原因はどこにあるんだろうか。手がまわりかねたというだけでは、私どもどうも納得しかねるのであります。もつとつつ込んで、どういうことによつてさようになるのであろうか、その点をひとつ明らかにしたいと思うのであります。たとえば農林省としましては、知事にまかしてあるのだから、知事の最終の報告があるまでは実際において制度上捨ててあるというのであるならば、こういうような事件の続出によつて、これは制度に反省も加えねばなるまいと考える。あるいはさきの安井委員の御質問によりまして、また前に農林大臣の御答弁によりまして、府県知事中心にある事業の一切が委譲されるような一つの傾向に今日見えますが、もしはたしてそういうことになるとすれば、重要な地方府県の知事における監督場面というものがまつたく用をなさぬということが実情であるとも私ども考えますので、そういうようなことであるならば、今後その方面に仕事を委譲すれば委譲するほど、いろいろなこういうふうなスキヤンダル的なことが続出するのではないだろうかということを実は憂慮するのであります。いかがですか。
  58. 清井正

    ○清井政府委員 つつ込んだ話をせよということでありましたが、ただいま吉田委員のお述べになりましたようなことは、いろいろな原因が重なつておると思います。綱紀が弛緩しておつたのではないかというおしかりを受けたのでありますが、私どもといたしましては、及ばずながら全力を尽してやつたつもりでありますけれども、かかる事態を起したのであります。むろん人手が足らぬという問題もございますが、これは私どもといたしましては理由にならないと思います。私どもといたしましては、法規にどう書いてありましても、とにかく実際問題として工事が計画通り厳格に執行できるように県も督励し、われわれも努力し、できるだけ工事の都合をつけて、工事の進行状況検査することをたびたび実施いたしまして、かかる問題の起ることのないようにいたさなければならぬのでありまして、この点はあるいは御質問の意に沿わないかもしれませんが、私どもといたしましては、関係者一同この問題につきまして将来大いに関心を持ちまして、かかることのないように努力して行かなければならぬと考えております。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういう点は、あなたは御答弁に困惑なさるかもしれませんが、それをあえて伺いたいと思います。これはひとりこの漁港のみの問題ではありませんが、補助金をもらつて工事をするという場合の一般の風潮として注目すべき事実は、補助金によつて仕事を完了しようというような潜在的な希望が普通になつておるのではないかということを実は非常に憂慮しておるのであります。そこでそうとするならば、よつて来たるところは何かということは、われわれは政治の角度から検討を要するのでありますけれども、あなたは、漁港施設のこの問題を通じまして、補助金によつてそれをまかなつてしまおうというような考え方、もしくはそういうように見えるような傾向が多分にあるというようなことをお考えになりませんでしようか。的確なそういう事実の証拠がないと言えないこともあろうかと存じますけれども、かねがねわれわれもいろいろな風聞くらいは存じておりますので、概して補助金によるこの種の仕事がさような状況に見えるのではないだろうか。こういうような点についてはどうお考えになりましようか。これはあなたの御認識のいかんは、将来の対策について重要なことであろうと考えますので、ひとつあえて伺いたいのであります。
  60. 清井正

    ○清井政府委員 検査院から御指摘を受けております漁港につきましては、補助金のみで仕事をして自分の負担はしないというようなことがあるようでありますが、われわれといたしましては、補助の実際の金額を決定する場合におきましては、事業費を検討し、地元の負担等を見まして、それに対して一定の割合で国庫補助をいたすわけであります。むろん地元が負担をするのが建前でありまして、そういう建前で私ども補助金の交付をいたしておるのであります。実際問題といたしまして、かかる検査院の御指摘を受ける事項について、こういうような問題がありますので、私どもとしても、その点はまことに遺憾だと考えておるのでありまして、率直に申しまして、そういうふうな傾向が絶対にないということは、私としても申し切れないと思うのであります。しかしそうかといつてあるということもはつきり言えないのでありまして、関係者しては、当該漁村の繁栄のために、何とかしてしつかりやりたいという熱意を持つてつておるわけであります。
  61. 柴田栄

    柴田委員 議事進行について。実はもう少しきようは農林省関係の問題の調査を進めたいのでございますけれども、御承知のように本会議がございまするし、いろいろな点も考慮いたしまして、本日はこの程度にしてはいかがですか。
  62. 大上司

    大上委員長代理 お諮り申し上げます。ただいまの柴田委員の動議に対して御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 大上司

    大上委員長代理 異議なしと認めます。  本日はこの程度とし、次会は公報をもつてお知らせいたします。これにて散会いたします。     午後三時四十一分散会