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1954-04-07 第19回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月七日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 大上  司君    理事 天野 公義君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       徳安 實藏君    村瀬 宣親君       片島  港君    山田 長司君       横路 節雄君    吉田 賢一君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      北島 武雄君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (印刷局長)  吉田 晴二君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      池田 修藏君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 四月七日  委員山田長司君及び横路節雄君辞任につき、そ  の補欠として片島港君及び阿部五郎君が議長の  指名で委員に選任された。 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計歳入蔵出決算  昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続き理事の私が委員長の委嘱を受けまして、その職務を代行いたしますから、御了承願います。本日は昭和二十六、七両年度決算検査報告中、大蔵省所管について審議いたすのでありますが、件数が非常に多いため、きよう一日で審議いたしかねると考えられますので、その所管のうち、国税庁を次会に割愛いたすこととし、本日はまず昭和二十六年度検査報告書六十九ページから九十二ページに至る報告番号五六ないし一一七、九七ページ番号一二九ないし一三二、百十九ぺジ番号四五六、四五七及び昭和二十七年度検査報告書八十ページから九十七ページに至る報告番号六〇ないし九七、百ページ、番号一〇七番、一〇八番、百三十五ページ番号五〇五、五〇六を一括議題とし、そのうち昭和二十六年度番号五六、六〇、六七、六八、一一二、一一七、昭和二十七年度番号六〇ないし六七、六八ないし七八、七九ないし八五及び五九に重点を置いてそれぞれ説明を求めることにいたします。
  3. 柴田義男

    柴田委員 関連して……。大体私ども手元に持つておる決算報告書によつて説明は省略してもらつたらどうですか。これは皆さんにお諮り願いたいと思います。これによつて大体わかるので、随時質問いたしまして、その質問によるお答え等によつて説明にかえてもらうということでいかがですか。
  4. 大上司

    大上委員長代理 ただいま柴田委員からの御発言ですが、委員の諸君はいかがでありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大上司

    大上委員長代理 御異議なしと認め、そのように扱います。会計検査院検査第一局長池田説明員
  6. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 国有財産管理処分の件は、売払い等の問題で、値段が安過ぎたというふうな問題、それから管理そのものが悪いという問題、それからやはり管理の一端ではございますが、貸付料等の徴収が遅れておる。それから売払いのことにつきましては、売払いの価格が安いばかりでなく、代金の取立て方が遅れておるというふうな問題が主として批難事項となつておるわけでございます。総体に国有財産の売払い等につきましては、終戦後非常に国有財産がふえましたのと、その売払い等について相当事務の煩雑を来したという点もあるかもしれませんが国民の血税をもつてまかなつた貴重な財産でございますので、こういう財産の売払い及び管理については、特に財政を保護する見地から、まん収入を確保する見地から、細心の注意を要するという私ども立場から批難事項が上つておるわけでございます。個々の事項につきまして特に申し上げれば全般になりますので、やはり質問に応じて御説明申し上げた方がよろしいかと思います。
  7. 大上司

    大上委員長代理 これより質疑を許します。質疑通告順によつて許します。柴田義男君。
  8. 柴田義男

    柴田委員 二十六年度の五六の問題ございますが、こうしたように海岸地帯には国有地と称せられるものが各地に大分あることをわれわれは知つておるのですが、この例にございますような、たとえば宮城県の渡波町におきまして不当に所有権保存登記をされるというようなことが随所にございましようか。今批難事項指摘せられておりますのはこれ一件でございますが、こういう例がほかにないかどうか。これは管財局長に承りたいと思いす。
  9. 窪谷直光

    窪谷政府委員 保存登記公共団体方国有地についていたしたいという件につきましては、承知いたしておりますのは、この会計検査院から指摘せられました事項だけであります。
  10. 柴田義男

    柴田委員 こういうことは、たとえば法律的に特定の人が十箇年以上それを占拠しておつたような場合は、そのもの所有に帰するというようなことはあり得ないのでございましようか、その点を承りたいと思います。
  11. 窪谷直光

    窪谷政府委員 そういうことはございません。
  12. 柴田義男

    柴田委員 そういたしますると、この問題は、こういう経過を経て参りまして、最後東北財務局連絡をおつけになつた上で、これをどういうように処置をなされたのでございましようか。その処置の結果を承りたいと思います。
  13. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは説明書にも簡単にその後の状況を御報告いたしておるのでありますが、渡波町の当局に対しまして、再三にわたり国に登記がえをするようにという折衝をいたしたのでありますが、町の方ではなかなかその要求に応じなかつた状況でございます。両者の見解が対立をいたしておるような状況でございまして、従いましてこの上は裁判によつて問題を解決する以外になかろうということで目下訴訟提起準備をいたしておるわけでございます、
  14. 柴田義男

    柴田委員 どうもこれは最後訴訟以外にないというように大蔵当局はお考えのようですが、このように海岸地帯国有地であるということは厳然たる事実であると思うのですが、それに対しまして、こういう保存登記を強引にされるまでなぜそれをそのままほつて置いたのでございましようか。その点を承りたいと思います。
  15. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは当初石巻税務署から保存登記をしようという話があるが財財務局見解はどうかという照会があつたのであります。それに対しまして東北財務局渡波町の地積誤謬訂正申請書は却下するようにというように回答いたしたのであります。ところがたまたま二十五年の八月に土地台帳事務法務局に移管することに相なりまして、その間の両官庁間の事務連絡が十分でなかつたということから起きた事柄のようであります。
  16. 杉村沖治郎

    杉村委員 関連して……。石巻税務署地積誤謬訂正申請があつたというのですが、その地積誤謬訂正というのは、どういう誤謬訂正であつたのでしようか。それと同署では疑義があるということで東北財務局連絡して来たということですが、その疑義はどんな疑義であつたのか。それと事情検討したというのですが、検討の結果はどうであつたが。これを承りたいと思います。
  17. 窪谷直光

    窪谷政府委員 石巻税務署から照会をいたして参つたのであります。それに対しまして東北財務局では、これは国有地であるという認定をいたしまして、その申請を却下するように回答いたしたのであります。渡波町から出ました地積誤謬訂正申請書と申しますのはその隣接の地に渡波町有地があつたのでありますが、その町有地面積が事実と違つておるから、それを正当な面積訂正をしてほしいというのでございます。その申請書調査いたしまして、これは地積誤謬があるというのではなく、国有地であるという回答を東北財務局からいたしたわけであります。
  18. 杉村沖治郎

    杉村委員 それから事情検討の上適当な処置を講ずべく連絡があつたというのですが、検討した結果どうなつたのですか。
  19. 窪谷直光

    窪谷政府委員 検討いたしまして、国有地であるということから、渡波町及び宮城県に対しましても折衝をいたしたのであります。すなわち、国有地であるということだから登記訂正してもらい、それに同意をしてくれという折衝をいたしたのでありますが、公共団体の方では初めの主張を変更いたしませんで、見解が対立して来たということは相なつたわけでございます。
  20. 杉村沖治郎

    杉村委員 現在どうなつているんですか。検討の結果あなた方では正しいというふうに考えておるのでしようし、町の方では、町の見解が正しいということになつているのでしよう。だからそれが今日まで何ら手続をせずに、町との話合いができずにそのままになつておるのか、その結果はどうですか。
  21. 窪谷直光

    窪谷政府委員 先ほど申しましたように、見解が対立いたしまして両当事者間の折衝では解決いたしませんので、裁判によつて解決する以外にないということから、訴訟提起準備を今いたしておる状況でございます。
  22. 杉村沖治郎

    杉村委員 それはあまりにも長過ぎるじやないですか。検討の結果国有地であるということが明確になつたのであれば、今きようになつて、まだ準備をしておるというようなことは、私に聞かれたからそう答えておけば間違いはないのです。訴訟によつてこれを直す、そういう答弁は間違いはないけれども、これはいつのことですか。町の方から言つて来たのは昭和二十四年三月のことではありませんか。昭和二十四年の三月に町の方から言つて来たことを、検討の結果どうなつたか、こう言つたら、国の方では、それは国の財産であることが確実である、こうなつて、今私に問われれば、訴訟によつて解決するほかに道はないから準備をしておる。そういう答えはたしか間違いのない答えですよ。けれども昭和二十四年三月にそういうことを言つて来られて、国の財産であることが確実になつてつたらば、訴訟準備といつても、そんなものは何でもない。なぜ今日までやらなかつたのですか。今までそういうことはわからなかつたのですか。そういうことはいつわかつたのですか。
  23. 窪谷直光

    窪谷政府委員 こういう事実がわかりましたのは昭和二十六年の三、四月のころでございまして、それがわかりましたので町当局折衝をいたしましたが、相手が公共団体でございますので、いきなり訴訟に訴えるのもどうかということで、実は折衝をいたして参つたのでありますが、見解が対立して解決いたしませんから、昨年の十二月二十四日付をもつて東北財務局から仙台の法務局訴訟提起依頼をいたしたのでございます。
  24. 柴田義男

    柴田委員 今のは適切な処理を急いでやつていただかなければならぬと思いますが、そのほか批難事項六〇の問題であります。北海道財務局で、西野某という者に大湊の海軍警備府所属の飛行機救難艇を六百万円で売り払つたものであるが、会計検査院指摘されますように、これに千五百万円の根抵当を設定しており、また二十六年三月債務額千四百四十三万一千四百五十円の弁済に充当している。これだけの価格のものを六百万円で売払つたということが一つ批難されておりますし、本日たくさんの問題があつたので特に指摘はしておりませんが、次の六一も、物品は相違しておりますけれども、非常に高額なものを安く売り払つた問題であります。こういうように不当な処分をやつておりますのに、今度関係者処分の面を拝見いたしますと、単に厳重に注意をしておるというだけで、非常になまぬるい感じをわれわれ抱くのであります。たとえば千五百万円の価値のあるものを六百万に払下げ、あるいは六一の七十万円で売り払つたものが、幾らもたたぬうちに百九十万円で他に転売されている。こういうように実際価格と売払い価格との相違があり過ぎるという感じを抱くのでありますが、こういう問題は処分にあたりまして係の者におまかせになつておるわけはないと思うのです。財務局一つ財産を払い下げます場合には、そこの財務局の係の人あるいは財務部の部長を経、あるいはその地方局長決裁を経、あるいは金額によつて本省決裁を経るというような順序だとわれわれは考えておるのですが、この六〇、六一の問題に関しまして、当時どういう処置をした結果こういう間違いが生じたものでございましようか、承りたいと思います。
  25. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず六〇の問題でございますが、これは北海道財務局において所轄をいたしておりました財産で、処分をいたすべき船舶であつたのであります。北海道部内におきましてはなかなか適当な買受者もなかろうということから、東京の方に照会が来たのでありまして、こういう船を利用し得るようなものはないだろうかということで、運輸省の方にもこういう船を希望しておるものはないだろうかと調査いたしたのでありますが、どうも買受けの希望者がないというところから、北海道において売払い契約をいたしたのであります。その金額と、今度その船を買受けました者が根抵当として提供いたしました金額との間に非常な相違があるという問題でございますが、これを買受けました者は、その後その船に対しまして修繕及び改造を加えておる状況でございまして、まず最初に小修理を五十万円かけてやつておるのであります。その次に二十六年の二月になりまして四百四十五万三千円という改造をいたしております。さらに四月になりまして水産庁用船に出しましたところ、水産庁の方で用船をいたしますためには条件に合わないということから、さらに二百万円の修理費をかけておるのであります。最後に二十六年の五、六月の候に二百万円の修繕を加えまして、合計八百九十五万三千円の船に対して有益費を加えておるのであります。それに買上げ価格の六百万円を加えますと千四百九十五万円、大体この債権の根抵当に設定をいたしました金額と合うのでありまして、不当に安く売り払つたというふうに考えることは実情に沿わないのではないかというふうに考えておる次第であります。  次に六一の問題でございますがこれは当初その付近に自作農創設に伴います開拓地があつたのでありまして、その開拓地に入植をいたしました農家の方々払下げをいたしたのであります。これはほつておきますと、どうも専断で濫伐をされるというふうな心配もございましたので、はつきりとこれは売り払つて処置をした方が適当であるということから、その開拓地代表者に対しまして薪炭用材として売払いをいたしたのであります。ところがその後代表者であります高畑某という人間でございますが、開拓部落民を欺きまして、本立木を他に転売をいたしたのであります。転売をいたしましたあとの状況調査をいたしてみますと、転売を受けました者が、これを製材として利用しようという部分と、それから薪炭林以外には利用のできない部分というふうにあると判定をいたしましていろいろと買手を探したようでありますが、結局そのさらに買受けました者がこれを搬出をいたしまして相当の損失をこうむつたというふうな事情があるようであります。これも非常に安い価格であつたというふうに考えるような実情にはないというふうに考えておる次第であります。
  26. 柴田義男

    柴田委員 植木次官がお見えでございますが、私どもこの決算委員会では、大蔵省だけは一番正確でこういう批難される事項が最も少いということを期待しておるのです。だけれども、昨年度も今年度も、大蔵省が非常に多い件数指摘されております。こういうことは、大蔵省の末端の官吏の方々に何か根本的な間違いの原因があるのではないでしようか。そういう点をまず一つ承りたいのです。  もう一つは、われわれは国の一切の財産というものは、大蔵省が中心となつて保管の任に当つておられると思うのだが、その国の財産を保管されておる大蔵省にこういうような莫大な件数に上る批難事項があるということは、まつたく安心ができないと思いますが、今後こういう問題に対する根本的な御方針がございましたならば、次官から承つておきたいと思います。
  27. 植木庚子郎

    植木政府委員 大蔵省所管会計検査院批難事項相当多いということにつきましては、あるいは御指摘通りかもしれません。私この点につきまして正確なる知識を持つておりませんが、大体の私の推定といたしましては大蔵省所管は御承知の通り非常にたくさんの財産処分に当つております。あるいは管理に当つております。従いまして、その間におきましてこうした間違いがたまに起つている。ですから、おそらく私の考えますところでは、処理件数批難を受けた件数との割合を見れば決して他の省に比較して特に多いというようなことはないのじやないかしら、かように存ずる次第であります。しかしこれは単なる推定でございまして、正確に統計をとつてみなければわからぬことであると存じます。もつとも批難を受けました事項につきましても、ただいま窪谷政府委員が御答弁申し上げましたように、中には、当該事務処理担当者といたしましては、十二分の注意をもちしかも研究をした上で処理したことが、たまたま見解相違等の点から御批難を受けておる場合もあるやに私考えるのであります。しかしこれは、いずれにいたしましても、最も公正な立場におられる検査院当局方々の御指摘でございますから、われわれといたしましては、なお一層こういう点に注意を加えて参らなければならないと存じます。今後の方針といたしては、従来通り、こういう管理処分等の際になお一層注意を加えて参りたいと存じますが、適時財務局長会議その他関係官会議等を催しまして常に本省から注意を与えて、なるべくこういう間違いがないように、でき得るならば絶無を期しようというつもりでいつも打合せをしましたり、お互いに自戒をし合つておる次第でございますから、この点御了承を願いたいと存じます。
  28. 柴田義男

    柴田委員 財産といつても、おもに問題になりまするのは、六〇は船でございますが、そのほかの批難事項を見ますると、大体不動産の問題が非常に多いようでありますけれども、この不動産等処分なさいます場合に、どういう基準評価されているのか。地方税によつて非常に相違がございましようが、そういう評価をなさる場合に、金額等によつてその地方財務部でやる場合と財務局がそれに当る場合があるのかどうか、こういう点を承りたいと思います。
  29. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず取扱いの点でございますが、売払い金額が二千万円を越えるものにつきましては財務局で一応の評価をいたしまして、その意見を付して本省に伺いを立てるということに相なつておるのであります。本省の承認を待つて処理をいたすことに相なつております。二千万円を下りますものにつきましては財務局長の権限に属しておりまして、財務局長が適正な判断をしてやる建前になつておるのであります。その評価基準につきましては、たとえば土地につきましては賃貸価格、それから富裕税課税標準固定資産税課税標準等に対しまして倍率をかけた数字、それからさらに、近傍におきまして売買の実例がございますと、これを参酌いたし、なお精通者意見といたしまして、不動産業務経験知識を持つておりますところの、たとえば勧業銀行の支店でございますとか、さらに公共団体土地事務をやつておりますような人たち意見を考えまして、適正な判断をすべく努力をいたしておる次第でございます。  建物につきましては、これは今日建てれば幾らかかるであろうかという複製価格的なものをまず見まして、それから償却年限を考慮し、さらに、それが木造であります場合と鉄骨であります場合等によつて償却年限が違いますので、もちろんその点は考慮いたすのでありますが、そういうふうにいたしまして、大体一定の算定の方式というものに従つて処理をいたす建前に相なつておる次第でございます。
  30. 柴田義男

    柴田委員 そういういろいろな条件がそろつておりましようけれども、たとえば二千万円以上は本省決裁されると申しましても、二千万円に評価されるのか三千万円に評価されるのかという、その評価の問題が一番問題が起きる原因だと思うのであります。たとえば批難事項の六七の問題を、私ども場所等を全然見ないで、ただ目をつむつて考えてみましても、一万二千百八十九坪を百三十一万九千四百十三円で売払いをやつておる、こういう一つ批難がここに現われておりますが、こういうような問題を、単に土地価格に対する一般的な知識を持たない者が考えましても、非常に不当に安く払い下げておるということがうなずかれるのであります。これは百三十一万九千四百十三円であるから、関東財務局局長の責任において処分されたであろうと思いますが、こういう評価自体が根本になると思います。なるほど賃貸価根算定基礎といたしまして土地評価する、こう申しましても、今の賃貸価格というものを基準とだけされないのであります。こういう具体的な問題になりますると、ここには財団法人明朗会というものに払い下げておりますけれども、この財団法人明朗会というのは、何か大蔵当局関係を持つた人ではないかというような疑いすらも持たざるを得ないのであります。こういうようなもの一つ一つ検討して参りますると、財産の売払いに至つて、どうもわれわれから考えましても納得の行かないものが随所に見受けられます。こういう点で大蔵省が何か将来土地を売り払う場合にはもう少し広い範囲において、評価員あるいは調査員というようなものを設置される御意向がないでございましようか、その点を承りたいと思います。
  31. 窪谷直光

    窪谷政府委員 事例として六七番の明朗会の問題を御指摘に相なつたのでありますが、結論といたしましてこの事件は私ども実に遺憾なことに存じております。当時のこれを売払いをいたしました状況調査いたしてみますと、あるいはやむを得なかつたというふうな事情もあるようでありますが、結論におきまして、それが売払いをいたしました目的通り使われないで転売をされておるというふうな事件でございます。まことに遺憾に存じております。  なお評価の適正を期するために調査員等の組織を利用してみたらという御意見でございますが、私どもまことにごもつともな御意見と存じます。これは柴田先生がただいまお話になります前にどこかでもそういう御意見が出まして、まことにごもつともな御意見だと存じますが、全国にちらばつております多数のものを一々その評価委員会にかけるということも不可能でございますので、まず評価基準的なものを的確に一つきめたい。今までこれは内規としてわれわれが仕事の指針として持つてつたのでありますが、これを部外の方にも御批評を願つて、こういう基準でやつておけばまず間違いはなかろうというふうな基準につくり上げたいという考え方と、さらに相当大きな財産処分いたします場合には、単純なその基準だけでなしに、その財産自体についてもひとつ評価をお願いしたらどうかというふうなことから、昨年の暮れ以来、そういうことに関しまして知識なり経験なりを持つておられる方々をもつて国有財産評価協議会をつくつて参りたいという私ども希望から、大蔵省内にもはかりまして、非常に適切な措置であろうということで——これは法律に基くもので、はございませんので、ただ事実上、行政上の御援助を願うという趣旨の協議会ではございますけれども、その人選をいたしまして、四月一日にそれらの方々に御依頼をいたしまして、さつそくにもそれらのことに関しまして御意見なりお知恵なりを拝借して適正なものに仕上げて行きたいというふうに考えておる次第であります。
  32. 杉村沖治郎

    杉村委員 議事進行について。先ほど委員長批難事項番号を申されたのですが、この番号をある質問者が順順に最後まで質問をして行くことになつて行くと、それが非常に長くなつてしまつて、審議の能率を私はあまり上げることができないと思うのです。それでこの番号ごと質問者質問をされたら、それについて関連事項質問をする、こうやつてつたらいいのじやないか、こう思うのです。それを委員長からもとつお諮りを願いたい。それで私が先ほど関連といつたのは、六○を質問されたから六〇について関連質問をしたい、こう思つてつた。ところが今六七に行きましたから……。私はそういう意味で進めた方が、今始まつたばかりで、これからたくさんあるのですから……。ちよつとお諮り願いたいと思つております。
  33. 大上司

    大上委員長代理 お諮り申し上げます。ただいま本審議の運び順といいますか、方法について杉村委員からお話がありましたが……。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今のですが、ある番号についてある委員質疑をしてその番号の案件に各委員の関連質問が集中する、そういうこともよいと思いますけれども、その取上げた案件もさることながら、さらにほかにも重要な案件があるというふうに考えておる委員もあるわけであります。そうしますと、一つ番号事件について各委員から関連質問をずつとやつてしまいましたら、その事件相当時間をとつてしまうと思います。それで私はやはりそこはお互いに適当に、一つのその事件にさらに関連質問をもつて集中的にやる方が適当だという意見を持つておるところは、そういうふうにその委員がし、またそれもそうだが、他にも重要な案件があると考えておるものはさらにその他の問題について質疑をする、こういうふうに適宜やつてみたらいいだろうと思います。  もう一つは、ある委員がある番号の案件の質疑を逐次全部なさるということはとても時間がないことでありますから、ただいま委員長が重点を指摘されたごとくに、重点的におやりになるだろうと思います。そういうふうに適当に時間と質疑をあんばいして行つて、なるべくきよう予定の進行を終える、こういうふうに私はなし得るのじやないかと思いますから、そういう趣旨を申し上げます。
  35. 杉村沖治郎

    杉村委員 そうすると、私はきようここへ掲げられたこれだけやるのでも相当時間がかかると思いますが、吉田委員の言うことはこの以外のことでも質問をするという意味でありましようか。そうなつて来ると、私もほかにたくさん質問することがあるのでありまして、それではお互いが質問しても、ほかの委員にはその質問したことがわからないで終つてしまうというようなことになると、その人だけが満足するということになると思う。そういう意味合いにおいて、委員長がこれを重点的にやろうということで従来の慣例によつて書いて出されたものでないかと思うのですが、それはどうですか。それは私はかまわないのですが、この委員長の出した以外のことでも聞くということになつて来て、われわれもそれを聞くということになるとどうかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つまり私の申し上げておるのは、今委員長指摘せられました重点事項のその他の事項をあらかじめ用意して聞くというそういう趣旨ではないのであります。重点事項でもやはり全部行きましたら、相当な数になるわけであります。そこで一つ事項には、たとえば今の五六と六〇と六一、これも大事でありますが、さらに重点事項としてあげられたもののうちにも相当大事なものもあるわけであります。たとえて申しますると、二十七年の五九のごときも非常に重要でありまするので、そういう意味におきまして、だれも知らない問題をあらかじめ用意して来るという趣旨ではないのであります。だから今柴田委員が他の委員会のためにお急ぎになつておりまするから、われわれはできるだけ柴田委員の御質疑はおやり願つたらいいという趣旨で、そのつもりでじつと聞いておるのでありますから、お互い考えておるところはあまり大差ないと思うのです。従つて能率的にあげて重点的なものをできるだけ審査しようという考え方はあまりかわりないと思いますので、そこは委員長に適当に運営をしてもらうことを私は希望しておきたいのです。
  37. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は柴田さんがずつとこの番号を追つて聞いて行くものだと思つてつた。そうでなかつたら、委員長が適当な時間でされたらいい。決して発言を制限するという意味ではないのです。むしろそうやつてつたらどうかと思つただけでありまして、柴田君の質問が終つたのだとすれば、それで私はそれ以上言いません。
  38. 大上司

    大上委員長代理 柴田君、もういいのですか。
  39. 柴田義男

    柴田委員 いいです。
  40. 大上司

    大上委員長代理 ただいまの杉村、吉田委員の御意見等をよくしんしやくいたしまして、運営いたします。  次に杉村沖治郎君。
  41. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は前のはけつこうですから、六〇のこの船の問題ですが、この飛行機の救難艇を昭和二十五年八月に売り払つたのですが、昭和二十四年から、造船会社に対して見返り資金や復興金融金庫の金を貸して船をつくつてつたことは事実なんであります。私は、この当時これを運輸省か何かへ保管がえをするか何かしたならば、ここに書いてあるように、批難事項では非常に安い価格つたのですが、こういう安い価格で売り払わなくてもよかつたのじやなかつたかと思われるのですが、そういう点はいかがでありますか。昭和二十四年当時から今日まで造船会社へ貸した金は九百九十二億一千九百万円もあるわけです。それほど船の必要性を痛感して船をつくつておるにもかかわらず、しかもアメリカ軍が必要性を感じて、こういう船を使用させることを命令したということが書いてある、それほどのものであるとするなれば、私はこの船を昭和二十五年の八月に売つてしまわなくてもよかつたのではないかと思われる。それに対してどういうお考えであつたかということが一点。  それからこの船はどこでつくらせて、幾らの価格で買つたのか。それともほかから保管がえをして持つてつたのか、あるいはまたアメリカ軍からでももらつたのであるかどうか、そういう点を伺いたのです。
  42. 窪谷直光

    窪谷政府委員 運輸省に所管がえをする道はなかつたかという第一点でありますが、運輸省におきましては、船舶の運行業務はやつておらないのは御承知の通りでございます。
  43. 杉村沖治郎

    杉村委員 発言中ですが、運輸省に限つたことではない。自由党の政策から行けばいわゆる防衛漸増計画というようなことを盛んに唱えておつて船が日本に必要であることははつきりした事実である。昭和二十四年からああいうふうに国民に血税を課して、船をつくつてつたのだから、これは運輸省に限らずそのほかの関係においても船の必要性があるのじやないかと私は思う。だからそういう意味で、運輸省に保管がえをしなかつたのはどういうわけかということでなく、要するに、現在までの自由党の政策として海上保安庁あたりで船のいるということはもうはつきりしている。しかも国民の血税を昭和二十四年から造船会社へ貸して船をつくつている。それにもかかわらずこの船をこうして払い下げてしまうというようなことは、はたして適当であつたかどうか、国の船としての必要性がなかつたかどうか、こういうことです。  それからいま一つは、この船はどこでつくらして、幾らで買つたのか、あるいはアメリカからもらつたのかどうか、そういうことをお伺いします。
  44. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは二十五年一月に初めに使用させておりましたものから返還を受けたのであります。返還を受けましてすぐ海上保安庁に管理を委託いたしまして、横須賀に繋留いたしておつたのであります。従いまして海上保安庁の方で必要であるということでありますれば、もちろん当時所管がえをいたしまして、海上保安庁の用途に役立たせることは考えられたのでありますが、海上保安庁の方でもさしあたりいらないということでありましたので、歳入を上げますために、これを売り払つて、さらにまた経済的にも有用な用途に使うのが適当であろうということから、売渡しをしたのでございます。  それからこれは飛行機の海没いたした場合の救難艇でございます。速力は相当早いのでありますが、油を非常に多く食うディーゼル・エンジンの船であります。  なおこの船をどこでつくつたかということにつきましては、ただいま手元に資料がございませんので、至急調査をいたしまして、御報告をいたしたいと思います。
  45. 杉村沖治郎

    杉村委員 これは船の評価の問題、それから私があなたに申し上げたような保管がえの必要があるのではないかということも批難事項になつておりますが、この船はいつころ建造されたのでありますか。それもわかりませんか。少くともこの船を売り払うのには、何年生れの船であるか、どれくらいの価格で建造されたものかということはきわめて必要な事項ではなかつたかと思いますが、どういうことを基準にしてこの船の価格を定めたか。ここには六百万円と書いてありますが、あなたは価格はわからないというようなことですが、何を資料として評価をされましたか。
  46. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは旧海軍がつくりました船であることは間違いないのでございます。これをいつ建造したかということにつきましては、ただいま私手元に資料がないのでわかりませんが、建造はこれははつきりはわからぬのでありますが、大体昭和十八年の初めごろに建造されたものと推定をされておりますが、どうも時間をとりまして恐縮でございますが、これの建造価格は四十二万四千三百八十二円ということに相なつております。
  47. 杉村沖治郎

    杉村委員 それは私が今尋ねたからあなた方がそういうことを調べたのだが、そうすると船の見積り、競売予定価格を六百万円と定めたのは、そういうことは一つの資料について何も調べておらないようなふうなんだすね。今あなた方のお答えによると、この船がいつの生れであつて、幾らの価格で建造されたものだというようなことをほ‘とんどあなた方は調べておられないようなんだが、この最低競売価格を六百万円としたのは何を基準にして六百万円という評価をいたしましたか、それを伺いたい。
  48. 窪谷直光

    窪谷政府委員 予定価格をつくります場合には、当然これは当時の書類でございまして、調査官の氏名、それから調査の年月日も入つている書類を今御披露申し上げたのであります。私がこの内容につきまして十分に承知をしておらなかつたことをおわび申し上げる次第でございますが、それで当時のこの評価をいたしましたのは建造価格が四十三万四千円、これは先ほど申し上げた数字であります。昭和十八年に建造をいたしましたので、経過年数は五年、従つて残存比率といたしましては八七・五%に相なつております。それをさらに物価の上昇を考慮いたしまして十四倍いたしたのであります。そういたしますと五百三十万円という数字が出て参るわけでありまして、この数字を基礎にいたしまして六百万円という価格を決定いたしたのでございます。
  49. 杉村沖治郎

    杉村委員 会計検査院に伺いますが、先ほど同僚委員からの質問に対するお答えに、この船を千四百四十三万一千四百五十円という価格根抵当に提供しているにかかわらず、競売価格六百万円とは非常に開きがある、これについて会計検査院批難をしたでしよう。そこで政府委員答えに、それはなるほど開きがあつて千四百万もする船をわずかに六百万円で売つたということは、不要のように考えられるけれども、それはこうこうであるという説明の中に、売つた後に買つた方の人がすぐに五十万円の小修理をし、それから次いで三月には四百五万五千円というところの改造修理を行つた、そうしてさうにその後には二百万円を修理費に使つている、いわゆる買受け代金とこれとを合せると千四百幾らぐらいになるのだから、それは開きがあつても、この千四百幾らという価格相当だ。こういうふうに政府委員が答弁をしている。だからそういうような小修理を五十万円で云々とか今のようなことを会計検査院がその当時聞いておつたならば、会計検査院といえども、千四百万円で売つたという価格は、根抵当に入れているからああなるほどそうか、大蔵省が六百万円で払い下げてこれが千四百万円で根抵当に入つているけれども、そういうようなあれがあるというのであれば妥当ではないというような考えが起るのじやないかと思うけれども検査院がこれを検査した当時、当局からそういうことを聞かされたかどうかということを伺いたい。
  50. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 その当時聞いておりましたのは二十六年の四月から二十七年の四月までに五百万円で処理をしたということは聞いておりましたわけですが、今の金額を総計しますと八百九十万円ばかりになりますが、その金額のことは聞いていなかつたように伺います。
  51. 杉村沖治郎

    杉村委員 政府委員は、今会計検査院答え通り、ここで先ほど柴田委員から言われると、たいへん開きがあるというので、われわれがここでそれではその修理の代金は幾らだということをこれから調査に行くわけにもいかぬし、そういう証拠を提出しろと言つてもひまがかかることだから、それまでわれわれはしようとは思いませんが、ここで政府委員がわれわれに答えをするようなことを、当時どうして会計検査院に話をしなかつたか。話をしたならば会計検査院からこういう批難事項も起らなかつたのじやないかと思う。あなた方は今日われわれから聞かれたから、その開きはこういうようなことがあつたからで、これだけの修理代を加えればわれわれが六百万円で売つた価格というものは相当である、こういうふうにおつしやられるのだけれども、そのことをなぜきようのようにこの検査をした批難事項として出された会計検査院に言われなかつたのか。今会計検査院答えによればそういうことを言わぬと言う。その点いかがですか。     〔大上委員長代理退席、天野委員長代理着席〕
  52. 窪谷直光

    窪谷政府委員 検査院から御照会になりました当時には、実は私どもも承知をしなかつたのであります。その後の調査によつてそういう改造費を加えたということが判明をいたしたのであります。私ども調査がもう少し早く行われておりますれば、検査院の方に私ども調査の結果を御連絡いたすことができたのでありますが、その検査院からの照会の当時におきましては、そのような事情を承知をいたしませんでしたので、こういうことに相なつた次第であります。
  53. 杉村沖治郎

    杉村委員 それだからそうするとわれわれが今想像していることが当るのです。あなた方の払い下げた価格は確かに安かつたのじやないだろうかということをわれわれは考える。会計検査院検査した結果、あなた方が照会して、あなた方とこの船を買い受けた人と相談したのでもありますまいけれども、それを何とか千四百四十三万一千四百五十円の根抵当に入れたということは隠すことはできないのだ。いわゆる根抵当権を設定すれば隠すことができない。隠すことができないとすると、あなた方が六百万円で払い下げた船が千四万百幾らの根抵当にまで入つておるということになつたら、いかにも大蔵省払下げ価格というものがいいかげんのものであつたという批難を受ける。そこで会計検査院批難を受けた後において、これはその船を買つた人がこういうことを言つたのをあなた方は聞いた、調べたというけれども、それがほんとうであるかどうかということはきわめて疑わしい。  それからもう一つは、会計検査院は先ほど、これは全額のことは言わないけれども、八百万円ほど修理費がかかつたということを聞いたというけれどもほんとうに聞いたのですか。政府委員はそういうことをあなた方が照会したときはわからなかつたというのだが、それはどうなんですか。
  54. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 私がただいま申し上げましたのは、二十六年四月から二十七年の四月までに修理費五百万円を使つてつたということは聞いておつたのでございますが、先ほど政府委員が申されましたのを集計いたしますと八百九十五万円になります、その金額のことは聞かなかつたという意味でございます。五百万円のことは知つております。
  55. 杉村沖治郎

    杉村委員 その点はそれくらいでもうしかたがない。うそみたいな気がしますし、われわれがこう言つてあなた方とやつて行くとどうもおかしいですが、まあこれくらいでいいでしよう。  その次は六一の立木の払下げの問題です。これは一万石の材木だが、この価格は一石幾らぐらいしましたか伺いたい。——答えができなければ、私はほかへ行かなくちやならぬから、それはあとでほかの委員答えてもらいたいが、これは実にでたらめです。いやしくもその一万石のうちには松の用材が三千石も入つているのですよ。それをたつた七十万ぽつちで売つてこれは一体どうなんです。これはまあどろぼうと取引しているようなものです。だれが聞いたつてばかばかしくて話にならぬ。これは一万石ですぞ、そのうちに松の用材が三千石も入つておるのをたつた七十万円とは何事です。これはひとつ次官に伺いましよう。次官どうです、これはいかにもひどいじやありませんか。ひとつあなたのお考えを伺いましよう。
  56. 植木庚子郎

    植木政府委員 この具体的な問題についての基礎資料を知りませんので、具体的なお答えはいたしかねますが、私自身といたしましては、おそらくこの払下げ価格の決定に際しましても一般の用材の値段あるいは立木として薪炭林の値段その他のものは十分研究しておると思うのであります。ところがその研究に用いた材料がはたして十二分であつたがどうか、あるいはそういう点に落度があつたのではないかと私も想像はいたします。しかしこの物件の売払いにあたりまして、現地調査を十分やつたかどうかという問題も、これは考えてみますと、もちろんやつていなければならぬと思うのでありますが、あるいはそういう点において欠くるところがありはしなかつたか、あるいはこの問題は、開拓者に対して薪炭林として売り払つたように書いてありますが、開拓者に対する同情の念というか、何かそういう点から比較的有利な材料でも総合して、そうした石当り七十円という値段が出たのか、どうもその辺のところは私もう少し具体的に内容を調べてみませんと、はたしてこの担当官が非常に不当なことをやつたかどうかには疑問があると思います。しかし今顧みて、結果的にこういうように会計検査院から指摘せられ、またただいま話題にいたしてみますと、何だか少しおかしい、どうもあまりに非常識じやないかというような感じは確かに持ちます。しかし私かつて多年官界におりました者として、こうした場合における官界の取扱いというものは相当用心に用心を重ねております。決してその役人がいいかげんに人に上手に頼み込まれて安くするというようなことはやるものではないのです。この点は私官界におつた経験からしますと、何かこれにはこういう安くする理由があつたのではないかしらん、これは善意過ぎるかもしれませんけれども、そんな感じがいたしてならないのであります。
  57. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は、あなたがここで官界の弁護をするに至つては、片腹痛いのです。今日の汚職はいかがです。この中にどれだけの腐敗があるか。今日の官界の腐敗は、私はおそらく日本に憲法施行以来いまだかつてないほどであろうと思う。あなたが官界に腐敗がない、間違いがないなどと言うことは、過ぎた言葉じやないかと思うのです。ただ、あなたのおつしやられた言葉の中に、その払下げをしてやつたところの相手方がこういう団体であるからということであれば、私もそれは肯定します。それは開拓団あたりに対して払下げをするので必要であるとか、こういうことであるなれば、私は決してそれをとやこう言いません。とにかく開拓のためには、非常に困つた人が行くのですから、家をつくるにしてもあるいは薪炭を買うのにいたしましても経済上困難であろうからそういうことについてであるなれば多くは申しません。しかしながらこれは、この材木の価格、立木の価格という上からいえば、今日あなたが何も現地へ行つて調べる必要はありません。一万石の中に松の用材三千石が入つてつて、これが七十万円で売つたなんて、こんなことは調べも何もいりませんよ。これはてんで問題にならぬ価格であります。でありまするから、あなたが現地を調べなければどうとかこうとか、官界においてはどうとかこうとかいうようなことは、そんなことをあなたがおつしやられてもむしろ私どもは片腹痛い。ただ先ほど申しましたような、開拓団等に払い下げるという事情で、これは大いに見てやらなければならぬということであれば一応はうなずけるのです。官界がどうというようなことはむしろ私は撤回してもらいたい。そうでなかつたら、これからあなたに大蔵省関係はその都度出て来てもらつて、これでもかこれでもかと——この次もすぐにありますけれども、いかがですか。これは今日の審議課題とはなつておりませんけれども、第七〇から一一 ○まで、あなたちよつと会計検査院批難事項を見てください。たいへんなものじやありませんか。この金を政府に納めないで、その納めない人たちというのはいずれも財閥あるいは資本家の経営しておるところの大会社、こういうところから取上げるべきところの税金あるいは賃料をとらないで置いておくということは、われわれから見れば、やはり役人がこういうところからいわゆるコミッシヨンをもらつているからこんなことをしているのではないか。墨田の税務署の管内で、たつた百十円じやなかつたかと思いますが、税金が納められないところへ税務署がやつて来て、家の中に入つたというのでブリキ屋の職人が押問答したために公務執行妨害だといつて拘留されたじやありませんか。町の人が気の毒だというので、これをぜひ下げてもらいたいといつてもらい下げに行つてもなかなか下げなかつた。それにもかかわらず、これをごらんなさい。この税金の滞納が、昭和二十五年度でも五百億近い税金の滞納があります。しかもその滞納者というのは百万円以上、二百万、三百万、みんなそういうのです。船舶会社が納めていないじやありませんか。その納めていないのは、みなリベートか何かで官界が悪いことをしているからです。あなたが、私はかつて官界にいたからとおつしやられて、今日のこの日本の腐つた官界を弁護されるに至つては、はなはだどうも不可解であります。私は御答弁はいただかなくてもけつこうでありますが、どうか会計検査院批難事項をひとつ次官見てください。それだけ申し上げておきます。
  58. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの杉村委員のお言葉に対しまして、お答えはいらぬというお話でございましたが、私やはりどうしても一言申さしていただきます。私が先ほど申しましたのは、こうした財産評価等の場合におきましての官庁の態度というものについて、かつて自分が古い時代に役人をしておつたその時分の経験から申し上げた次第でございます。しからばその当時における官界には、間違いは全然なかつたかというと、それはもちろんその当時でもときどき間違いはございました。それから最近の問題につきましても、私はおそらく公務員の諸君は国家のためにほんとうに忠実に働こうという熱意に燃えてやつてつてくれる。しかしながら時あつてか、多数の役人のことでありますから故意の間違いを犯す人がないとは申しません。あるいは過失の上で間違いを犯している人があるかもしれません。その結果が、御指摘通り多数の件数が出ておるのでございまして、私もはなはだ遺憾に存じます。その点同感でございます。しかし多数の役人がみな不正を考えているとか、あるいは間違いがあつてもどうでもいいといういいかげんな考え方で仕事をしているというふうに御非難を受けるということは、これは私は公務員のためにどうしても一席その点のしからざるゆえんを申し上げたい、かように存ずる次第でございます。
  59. 柴田義男

    柴田委員 先ほど六一の問題を私からも伺つたのでございます。その場合に、管財局長の御答弁は伺つてつたのでありますけれども、こういう問題は、たとえば東北財務局処理された大きなミスの場合は、やはり東北財務局局長に御出席を願つて警告を発しておかなければ、われわれはただ大蔵省管財局長とだけ議論しておつてもピンと来ないというおそれがあるのですが、管財局長はそうお考えになりませんか。
  60. 窪谷直光

    窪谷政府委員 どうも直接の当事者でないと不満足だというお考えだと思いますが、各財務局長も誠意をもつて仕事をいたしております。それぞれ多忙な仕事をやつておりますので皆様から御意見は逐一十分に各財務局長に通達をいたしておりまして、将来を戒めております。その辺ひとつ御了承を賜わりたいと思います。
  61. 柴田義男

    柴田委員 今の六一の問題なんかは、杉村委員指摘されました通り、だれから見ましてもあまりに不当な処分であるということは、一目瞭然としております。たとえばこれには理由といたしまして、雑木でしかも木炭の市場価格から算定いたしまして、製炭費、運搬費等を控除して石当り七十円と評定した、こういうように説明しておりますけれども、一石当り木炭というものは三俵以上なんです。そういたしますと、木炭の価格が現在四百円以上している。生産地でも駅に持つて参りますと三百円以上している。そういたしますと、製炭費あるいは包装費、運搬費等を控除いたしましても、一俵に対する原木価格というものは七十円から百円ぐらい、東北地方でそういう相場が現在しているのです。昭和二十六年というと一昨年でございますから、今の相場からいいますと、多少安いかもしれません。そういうようなことに算定の基礎を置きましても、二百万円以上に評価されなければならぬ物件なんです。それを七十万円と評価しているということは、やはりこれを買い付けた高島某という者と、その衝に当つた者とに何か暗い影があつたであろうというようにわれわれ想像せざるを得ない。本省局長さんやその他の課長さん方が机の上で御計算なさるとは全然違うのです。こういうものはまつたくインチキそのものだ、こう思うのですから、そういう点に対しましては、どうか厳重な御警告を願いたいつと思います。
  62. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私ども説明がなお不十分でございまして、十分御了解が願えないのでございますが、売払いをいたしました代表者との間に、とかくの情実その他の関係が全然なかつたということは断言できる次第でございます。そういうような情実関係から特別に安く売り払つたということは絶対にありません。当時の価格を計算をいたしましたのは、全体を一応薪炭林として評価しているのでありますが、個々に見ますと、かりに三千石程度の松の用材があるといたしましても、この松の用材のありますところは上北郡野辺地町から約三里の山奥でございまして、山の様相が非常に峻嶮でありまして風当りが非常に強い、しかも適当にはえている松ではございませんで、非常な疎林でございます。風当りが非常に強いために、用材としては非常に不適切な状況にあつたのであります。あとの大部分薪炭林として利用する以外にはない山でございます。当時薪炭林として、まきの市場における相場が三百十二円、それから用材といたしまして、この程度のものでありますと石当り五百十七円程度になつてつたのであります。それから逆算をいたしまして、山から出します木の運搬費、それから炭にいたします場合にはかまどをつくる費用の償却というふうなものを、立木の価格を計算する場合の一定方式がございますが、それに従つて建をいたしますと、この売払い価格度のものに相なるのであります。ただ開拓者に売り払うということで若干大目に見たと申しますが、差があるとたしますならば、その薪炭林というは、自分たちの営農のために使うわでありまして、町に運び出すわけではございませんので、その運搬費等をあるいは考慮しなくてもいいのじやないか、現場で利用するものであるからというふうなことは考えられるのでありますが、そう不当に安い値段で売り払つたというようなつもりは全然なかたのでございます。なお繰返すようございますが、当事者間にそういううな情実的な関係はまつたくございせんでしたので、御了承を賜わりたと思います。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと今のに補足的に伺つておきたいのですけれども、立木の問題ですが、大蔵省から出した説明書によりますれば——高畑某とあのは高島某の誤植かもわかりませんが、これは詐欺容疑で指名手配中だということである。しかも開拓農民を欺いて立木を他に転売した。検査院の報告書によると、六一号の末段に、二十六年五月に随意契約で高島某は買い受けて、同年九月、四箇月後に立木のまま百九十万で売つておるのであります。だから現に詐欺被告として手配中で開拓部落民が欺かれたという御説明があることと、七十万円で売つたものが四箇月の後に百九十万円で転売されておるという事実これだけをもつていたしましても、これはやはりまつたく不当な措置がされておつたということを常識的に判断できると思うのであります。事実についてこまかく検討とをしない問題じやないかと思うのであります。でありますので、今柴田委員が懸念されました点がかりにないといたしましても、高島某か高畑某かに、開拓部落民がだまされたということになつております。でありますから、こういうときは相手の代表者と称る買手方の事前の調査相当厳重にとれなければならぬと思うのであります。これを十分せられなかつたところに、この問題の原因があると思います。でありますから、単に価格が適当であつたかなかつたかの問題というようなところに重点があるのではないのです。そういう人間を相手にし、さような調査が十分できておらなんだというようなところに原因があつて、かかる不当事項になつて現われたというように私は判断しておりますが、いかがでありますか。
  64. 窪谷直光

    窪谷政府委員 転売の時期が非常に近いためにそういう御疑問を持たれることは、まことにごもつともな感じがいたすのであります。簡単に当時の状況をお話いたしますと、この土地は、元陸軍の軍馬補充部の三本木支部倉内出張所属の財産であります。昭和二十二年二月、自作農創設に伴いまして、開拓地として農林省にその土地所管がえをいたしたのでざいます。ところがその所管がえ後におきまして、その土地に入りました入植者の皆さんが専断で土地の立木を濫伐され、正当な権限に基かないで切つて利用されるというような状況でありましたので——入植者の方々からも陳情がありますし、また青森県の開拓課の当局とも数次にわたり打合せをいたしまして、この土地は農林省に所管がえをいたしたのでありますが、立木の所管がえはいたしておりませんでしたので、その立木は大蔵省において処理をすることにいたしたのであります。その数量、地域等につきましては青森県の開拓課の職員財務部の職員等が立会いの上で調査をして決定をいたしたのであります。当時の調査につきまして今日から振り返つてみますと、まだ十分に行届かなかつた点があつたのではないかというふうに考えられる点は、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は大したことではありませんけれども、やはりその経緯から申しますと、農林省にも一半の責任はあると思います。それから青森県も一半の責任を負わなければならぬと思います。農林省に所管がえをしここに農林省がいないと欠席裁判みたいになつてえらくかつこうがつかないのでありますが、青森県にいたしましても、やはりこの場合には青森県としばしば折衝したということになつておりますから、おそらく現地の事情をいろいろとつぶさに大蔵省の方に申出をしたのだろうと思いますが、やはり一半の責任は青森県にもあるものと思います。ここには青森県の代表者はおられませんが、結論的に申しまして、私がさきに指摘したようなことはどうしてもいなみがたいと思うのでありますが、今局長のお述べになりました点もあわせてひとつこの問題については考えたい、こういうように思うのであります。  他の問題に少し移りたいのでありますが、ちよつと方面をかえて、二十七年の番号五九、七十九ページについて伺います。これは「関税の課税価格の決定当を得ないもの」というようになつております。関税の不当事項は二十六年中にはなく、二十七年もこれ一件であります。こういう意味において若干注口に値するのでございます。そこで伺いたいのでありますが、占領中外国、主としてアメリカでしようが、アメリカの軍人等が自動車を持つて来て、それが日本人の自動車の希望者との間にいろいろと不正なこと行われたというようなことが世上伝わつておるのであります。また刑事裁判にもなつたような例すら私ども耳にしたことがあるのであります。そういうような幾多の経緯のあつた過去の外国自動車の内地における販売問題の一環としてこれをわれわれは見てみたいのであります。一応この問題につきまして検査院の方から要点だけを御説明願つて、そうしてこれは主税局が主管庁でありますから、これに対する御説明も願いたいと思うのであります。
  66. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 本件は、事前に、昭和二十五年の七月以降に、一般外国人いわゆるシヴイリアンが輸入しました自動車をさらに日本の内地の者その他の者が譲り受けた、これがみなす輸入としましてさらに関税がかかるというものをとつたわけでございますが、そのときの関税の課税価格のきめ方が安かつた。従つて関税の徴収が不足になつておるという問題でございまして、みなす輸入をしましたときの課税価格は、当局の通達等によりますと、レツドブツクとここに書いてございますが、それに記載してあるリストの価格を課税価格とするという通牒も出ております。また一般に各局ともそれでやつておる取扱いでありますが、本件は特にそれによりませんで、その前に外国人が最初輸入したときの物品税の価格と同じものを課税価格としまして関税をかけたわけでございます。というのは、その前の物品税をとつたときの価格よりもこのレツドブツクによる価格が高くなるから、それはどうも不自然だというようなお考えだつたと思いますが、ほかの税関では一般にこのレツドブツクの方針でやつておられるのに、本件だけ特にこういうふうにやつておられるのがどうも手落ちではなかつたか、こういうふうに考えておる次第であります。
  67. 北島武雄

    ○北島政府委員 私どもこれらの自動車につきましては、俗に転売自動車といつておりますが、これに対する課税の沿革からちよつと御説明申し上げてみたいと思います。昭和二十五年の六月末までは、単に自動車だけでなく進駐軍の軍人、軍属及びその家族、その他一般外人が輸入いたすものにつきましては、すべて関税はかけることができなかつたのでございます。昭和二十五年七月一日に、総司令部の経済科学局長マーカツト氏のメモランダムによりまして、七月一日以降は、一般外人につきましては、輸入するものについて関税は免税、物品税だけはとつてよろしい、こういう対象に相なりましてそれから以後は、一般外人が輸入いたしまする自動車を初めといたしまして、その他の物品につきましても物品税だけ納めて参つたのであります。それが昭和二十六年五月一日に関税定率法の附則別表輸入税表が全面的に改正になりました際に、マーカツト書簡が自然に消滅いたしましたかつこうになりまして、それ以後は一般外人が輸入いたすものにつきましては、自動車のみならず、すべての物品について関税を徴収することに相なつたのであります。そこで日米行政協定が締結されました際に、日米行政協定の実施に伴うところの関税法等の臨時特例法というのを御制定願いまして、そこにおきまして、駐留軍の軍人軍属が免税でもつて輸入した自動車を免税特権のない者に譲り渡す場合におきましては、そのときにまた新しく輸入があつたものとみなしまして、譲受人から関税等を徴収する、こういうかつこうになつたわけでございます。その際に、この特例法の附則におきまして、従来連合国総司令部の覚書等によりまして、関税、物品税の免除を受けて輸入した自動車については、他の法律によつてすでに関税及び内国消費税の免除を受けたものを除くほか、この法律施行後は、第六条の適用を受けて輸入した物品とみなしまして、講和条約発効の前におきまして、一般外人がマーカツト・レターによつて関税の免除を受けて物品税だけを納めて輸入いたしました自動車につきましても講和条約発効後それを免税特権のない者に譲り渡した場合においては、それを新しく輸入とみなしまして、譲受人から関税、物品税等を徴収する、こういうふう法的な仕組みをこしらえたわけであります。そこで、先ほど申し上げましたように、昭和二十五年七月一日以降一般外国人が自動車を輸入いたしました際におきましては、自動車に対する関税は免除されておりまして、物品税だけが課されておつたのでありますが、それがその後行政協定の発効後に、免税特権のない日本人に譲り渡されたときにおきましては、この特例法の附則によりまして、新たに輸入があつたものとみなして、その譲り受けの際に譲受人から税金を徴収する、こういう仕組みにいたしたわけであります。そこでさきに物品税の課税を受けて一般外人が入れました自動車を、この特例法発効後日本人が譲り受けたという場合に、どういうふうに課税するかということが問題になるのでありますが、その前に、実は転売自動車につきましては、課税標準をいかにするかということにつきまして、私の方といたしましても原則を立てるのがなかなかむずかしかつたのでありまして、この問題になりました当初、一般外国人が輸入いたしました当時にきおましては、外国人間の売買価格を一応調べまして、それから逆算いたして関税の課税価格を出すというやり方をいたしておつたのであります。ところがこのやり方をずつといたしておりますと、税関によりまして課税の権衡をとれない点が多々見受けられたのであります。これは中央における指導も十分でなかつたことと私どもは今日において痛感するのでございますが、ある税関に行けば関税が安い、あるいは物品税が安いというので、安い税関の方を目がけて自動車が流れるというような傾向がございましたので、昭和二十七年の三月十三日、これは行政協定の発効前でありますが、三月十三日に、いわゆるレツドブツクによりまして課税価格を算出する——レツドブツクと申しますと、アメリカにおきまするところの中古自動車の一般の卸売価格がリストになつておりまして、何年の何型は何百ドル、何千ドルというふうに標準があるわけでありますが、そのレツドブツクを使いまして、各税関の課税に不均衡のないようにいたしたわけであります。そこで問題になりました自動車につきましては、たまたましツドブツクによる算定方法を本省において指示いたしましてから、比較的間もない時期に起つた問題でありますが、これらの八十五台の自動車に対しましては、すでに過去において税関が物品税を課税いたしまして、その課税いたしましたときは、その当時の外国人間の売買価格を一応調べまして、それから逆算してやつてつたわけであります。それとこのレツドブツクによる価格とを比較してみますると、大体におきましてレツドブツクによる価格の方がその後年次を経ておりますから多少安いのでありますが、中にはレツドブツクによる価格が、さきに物品税をきめました際に算定いたしました課税価格よりも高ぐなるのがあつたわけであります。そこで東京税関といたしましてはいろいろ、迷つたようでありますがさきに物品税を課税したときの鑑定価格が一応あるわけであります。その鑑定価格も、必ずしもそれが間違つていたとは言えないわけでありますので、それをさきに課税いたしました後一年もたちまして自動車が消耗をして参るわけであります。それにもかかわらず、一年もたつたあとの鑑定価格が高くなるのはどうも実行上おかしいというようなことを窓口で考えたわけであります。そこで、これらの自動車につきましてレツドブツクによる算定価格が、一年前に課税いたしました物品税の鑑定価格よりも高いような場合には先に課税いたしました物品税の鑑定価格にとどめたわけであります。そこでこういう会計検査院の御批難の的になつたわけでありますが、その当時いろいろ問題もありまして、ある一定の時期からレツドブツク価格でやれときめたらすべてそれでやるというのももちろん一つの形式でございます。ところが具体的にいろいろ適用するとなりますと、同じ税関がさきに物品税をかける際に評価したその評価額も必ずしも間違つたとは税関で考えておらないので、今度本省から来た通牒によつてやると高くなることがある。それでは自動車で一年もたつているのに、前の鑑定価格が高いというのはおかしい、こういう気分で、さきに物品税を課税いたしました際の鑑定価格にとどめたのでありまして、その当時のいろいろな混乱した状態におきましては、東京税関の措置も行政の実施面といたしましてはやむを得なかつたものがあるのではなかろうか、こう私ども考えておるのであります。もしかりに同じ自動車が、一年も使われた後にさらに鑑定を受けて、それが前よりも高いということになりますと、さてそれでは前の物品税の課税価格がよかつたかどうか、その方も是正しなければならないのじやないか、そういうふうな問題も起つて参りますので税関といたしましては、一般納税者の協力を得る意味におきましても、前の鑑定価格にとどめた、こういうのが実情でございます。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この問題は、主税局から二十七年の三月に、レツドブツクによつて課税価格算定することを、全国的に一率にそれに従わねばならぬという通牒を出したのではなくして、あちこちの税関において任意に選択して課税価格を決定してよい、こういうことになつてつたので、こういうような誤差が生じておるというように了解すべきなんでしようか、その点どうなんですか。
  69. 北島武雄

    ○北島政府委員 実はレツドブツクによる場合におきましても、本省におきましては、算定方法は通知をいたしたのでございますが、その算定方法も、レツドブツクにおけるがごとく何年何式は幾らというまでには説明しなかつたのでございます。たとえば先ほど御説明いたしましたように、外国人間の売買価格をその土地で調べて、それから逆算しろ、あるいはまた新車の輸入当時のCIF価格基準といたしまして、使用による減耗率を考慮して決定するという一定の通牒はあつたのでございますが、その実施面におきましては、必ずしもそれがバランスがとれておらなかつたのであります。そこで二十七年の三月に、今後はレツドブツクによるようにいたしたのでございますが、実はその際私ども本省といたしましても確かに手落ちがあつたと思いますのは、通知の際にこのような事例が生じた場合においては、昔決定いたした物品税の課税価格が妥当であるかどうかよく検討してみて、もしその当時の状況において妥当であつたならば、その程度まで下げてよろしいというような通牒をつけ加えるべきであつたかと私ども考えておるのでありますが、その点行政協定の実施等において忙殺されておりまして、そこまでのこまかい注意が行き届かなかつたというのは、私どもの手落ちだと考えております。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは税金の一種であろうと思いますが、税金の一種であるとするならば、各関税を扱う役所におきましてそれぞれの主観なり、それぞれの従来の実例によつて判断が二三になるということを認めるというようなことは、混乱の種を本省がまいて行つたのではないかとも実は考える。今の御説明によつてもどこがそうであるということははつきりいたしませんけれども、安いところへ車が流れて行くということになるわけです。税金というものが税関の場所によつて二、三になるということは、租税一般の原理から考えまして、まつたく筋の通らないことはなはだしいといわざるを得ないのであります。今従来の例もあるので、やむを得ざりしものであつたかのような御説明もありますけれども、ただいま私の指摘しましたように、課税の原則に反してかえつてあちらこちらで任意の行動を許したかのような結果になります。従つてこの課税価格算定を一定にし得るような方針でこれに 臨むということをしなかつたことは何と言つてもこの問題が批難されることになつ一つ原因であろうと考えるのであります。その後改まつたかのような御説明を聞かされておりますが、少くともこの案件自体はさようなことが一つの重要な原因になつておると私は考えまするが、御所見いかがでしようか。
  71. 北島武雄

    ○北島政府委員 関税の課税価格につきましては関税定率法の第二条にございます。簡単に申しますと、「輸出国ニ於テ通常ノ卸取引ノ量及方法ニ依リ販売セラルル価格」を元にして積み上げたところの本邦輸入港に到着した場合のCIF価格による。それに対していろいろな算定方法が設けられております。たとえば輸入申告書に添付されたところの仕入書その他の書類によつてそれを判断する場合には、原則としてインボイス等をとるというように書いてあるのであります。従いまして一般の貨物につきましてはおおむね各税関において均衡がとれた取扱いになつておるものと私は思つております。ただ転売自動車というものは独特な課税方法でありまして、転売自動車についてはいかなる方法によつて価格算定するかということは、実は向うの法律でもつて一応凝制いたしましたものであります。実際は一ぺん日本に輸入して関税が免除されて入つたものが、その後譲渡行為が起つたときに、それを新しく輸入したものとみなして課税するというようなことにしたのであります。その課税価格算定につきましては、実は他の貨物と異なるところがあつたわけであります。その点はその当時の混乱した状態においては統一がなかなかむずかしかつたということを御了解願いたいのであります。私どもももちろん税関によりまして課税の均衡を失するというようなことは最も忌むべきところと考えております。転売自動車につきまして、各税関がいかに本省の通牒を取扱うかということを一応各税関をまわつて見ました結果、統一がとれてない点がありましたので、これではいかぬというので、新しい方法をもちまして、レツドブツクによる算定方法をとることになつたわけであります。これ以後におきましては、転売自動車に対する算定価格の問題につきましてはとかくの御非難等もないようでございます。全国的にこの転売自動車については現在は均衡のとれた課税をいたしておるものと信じております。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今レツドブツクによりまして均衡課税が厳正に行われておるということであれば、私どもたいへんけつこうと思います。  そこで関連いたしまして少し伺つておきたいのですが、外国製の自動車を輸入するためにあらゆる手段を用いまして、二世であるとか、あるいは占領軍人であるとか、いろいろな者との連絡のもとに日本の商社が活躍いたしまして、巨利を博して無用の奢侈欲を誘発するようなこともずいぶんあつたというふうにわれわれは考えるのですが、それが一つ。  それからこの機会に密輸出入の状況につきまして——いずれにいたしましても国の大きな方針のもとに輸出及び輸入が計画をせられ、財政との関係におきまして相当厳格に行わなければならない。結局において国家、国民が大きな損失を負担しつつあるわけでありますが、この密輸出入の状況等につきまして、何か御説明願うことがあつたらこの際伺つておきたい、こう思うのであります。但し本来の批難事項がたくさんありまするので、これは簡明でよろしいからさようにお願いいたしたい。
  73. 北島武雄

    ○北島政府委員 前段の御質問の駐留軍軍人等と結託して日本人が不正に自動車を輸入するというような御質問でございますが、この点については私は確かにあることと思つております。現に名古屋におきましてこういう事例があつたのであります。駐留軍の内部におきましては、軍人軍属は免税で自動車を入れられることになつておりますが、自動車を入れても六箇月たたなければ転売をしてはならないことに相なつておるわけであります。ところが六箇月という期間が比較的短かいものでありますから、日本の業者が駐留軍の軍人に、おそらくやみドルでございましよう、やみドルを渡しまして、その者の名において自動車を免税で輸入させまして、免税で入りましたら、あらかじめ約束をしておきまして、六箇月たつたら自分に譲り渡してくれ、こういう契約のもとに入れた例がございます。この問題につきましては、駐留軍の憲兵方面におきましても非常に遺憾とされまして、責任者等の処罰を厳重にいたしたのでございます。私どもとしましては、そういう事例がまだ他にあるのじやなかろうか、こういう気もいたしますので目下探査中であります。  なお密貿易の状況についてのお尋ねでございますが、概況を申し上げますと、終戦後一時経済秩序が混乱いたしました際においては、大ぴらに機帆船等を専用の密輸船に仕立てまして、開港、不開港を問わず、南西諸島方面あるいは朝鮮、中国方面と密貿易いたしておつたの実情でございます。その後だんだん経済秩序が回復いたしまして、通常の民間貿易も行われるようになりましたので、そういつたきわめて大胆不敵な機帆船の専用密輸船によつてやる密輸というような事例がだんだん少くなつた。そのかわり正規の外国貿易船に密輸貨物を積みまして、途中で海上に投げ込みまして、それを海岸から船をもつてとりに行くというような事例が、今から四、五年前に相当つた。そういうような事例も最近はだんだんなくなりまして、現在もつぱら行われおりますのは、正規の外国貿易船によりまして日本の港へ着いたときに、税関官吏等の目をくらまして密輸入をした事件、あるいは航空機を利用いたしまして香港方面と羽田との間に大胆不敵な連絡をとつて——実はこれは一年半くらい前のことでありましたが、税関の手薄に乗じて密輸をした例もございます。しかしだんだん密輸の取締りが厳格になるに従いまして、密輸業者の方も手段が非常に巧妙になつて、あるいは故意に低い価格で申告する。そうしてその差額を免れる。私の方の言葉で低価申告と申しておりますが、納税告知を受けまして、銀行へ正規に納めるわけでありますが、それを納めないで銀行の領収書を偽造して、その偽造した領収書をもつて保税倉庫に蔵収されておる外国貨物を税関官吏の承諾を得てとるという事例もございます。私どもにおきましてはこの密貿易ということが、単に財政確保に支障を生ずるばかりでなく、経済秩序の上に大きな破壊力をもたらすものでありますので、税関の現場職員を督励いたしまして、密輸の検挙に当つておるわけであります。ところで最近の密貿易の検挙件数をごく簡単に申し上げますが、昭和二十七年におきます検挙件数は、千百四十五件、それに対しまして昨年、昭和二十八年中におきましては千四百七件、搬出物件の価額は、昭和二十七年五億三千五百万円でありましたが、昭和二十八年において五億九千八百万円、これらの検挙件数のうち約七〇%は税関で検挙しております。残り三〇%を国警、自治警あるいは海上保安庁等で検挙しておるのであります。密輸出入される貨物につきましては、昭和二十七年においては密輸出については工具類、繊維品、機械類、文房具、日用品こういつたものがおもなものになつております。それから二十八年におきましては、金属及び銅製品、衣類、機械器具類、繊維製品等でございます。密輸入の品目につきましては、昭和二十七年は砂糖、食料品、時計、薬品、スクラツプ、昭和二十八年におきましては、時計、その部分品、金属類、衣類、繊維製品、こういつたものに相なつております。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の点に関連しますが、今、日本から外国へ旅行します場合に、例の為替管理法ですか、あれによりますドル資金の所持の違反が相当あるように聞いておりますが、これはいろいろお述べいただくと長くなると思いますので、こういうものがあればそれについて資料で出していただいたらと思います——資料で出してもらえましようか。ドル資金を用意して外国 へ旅行する場合の為替管理法違反事件、たとえば保全経済会の伊藤何がしが事件を起しておりましたごとく、いろいろと不正が奪われておるやに巷間伝えられております。例外なく行われておるとさえいわれておる。そうであるとすれば非常に重大な問題でありますので、時間の関係もありますから、何か資料で当委員会へ出すように委願長においておはからいを願いたいと思います。
  75. 北島武雄

    ○北島政府委員 日本人が出国いたします際に、やみドルを持つて出るというような事例でございますが、実はこれは税関ではなかなかつかまえにくいのでございます。言葉に語弊があるかもしれませんが、税関におきましては原則といたしまして旅客が出る場合におきましては、できるだけ寛大にいたしております。ただ入国する場合におきましては、輸入禁制品等が入つてはぐあいが悪いし、あるいは国家の財政権を侵害してはぐあいが悪いというので、輸入につきましては割合に厳格にいたしておりますが、携帯品で持つて出る分につきましては、一々身体検査もいたしておりませんので、出国の際に不正なドルを所持して出国しようとする者を税関において逮捕した実例は私の記憶ではございません。ただ、韓国人等が入国いたします際に不正なドルあるいは軍票を所持して入つて来る場合、これは羽田税関支署等におきましても、昨年あたり相当検挙いたした事例がございます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その点は今税関におきましては内容を見つけておらぬようでありますから、あらためて資料は出さぬでもいいと思います。また別の機会にこの問題は取上げてみたいと思います。  それでは次に国有財産処理の問題に少し入つて行きたいと存じます。まず二十六年及び二十七年の両年にまたがつておりますのが一件ございます。これは二十六年の番号六七、七十八ページ、二十七年の番号八四、九十三ページ、財団法人明朗会と称するものが用途を指定せられて厖大な土地払下げを受けてただちに他へ転売してしまつておる、こういうのでありまして、明朗会とは言いながら実に不明朗なことをやつておるのでありますが、これはどういうわけなんでございましようか、ひとつその問題につきまして大蔵省の方からでも端的に御説明願いたいと思います。
  77. 窪谷直光

    窪谷政府委員 結論から申しますと私どもまことに遺憾なことと存じております。当初の事情を申し上げますと、まず東京の方面、駒場の付近の土地でございますが、これは終戦直後旧軍の残務整理部の許可を受けまして、そこで農耕と申しますか、畑を耕すということを始めたわけであります。その後軍の手から財産大蔵省の方に移管に相なつたわけでありますが、そのときに二十一年の六月に、従来からすでにもうそこでそういう農耕の仕事をやつておりましたのでやむを得ないということで一時使用の許可をいたしております。     〔天野委員長代理退席、大上委員長代理着席〕 その後二十四年の五月から十二月までに売渡しをいたしておるのでありますが、この売渡しの相手方は財団法人の明朗会というものでありまして、この前身は、大日本明朗会というのがございまして、昭和十七年ごろからできておるものでございます。終戦前におきましては農林省の食糧増産の仕事を民間の団体としてやつてつたのであります。その後終戦後におきまして、二十一年の二月の二十三日に財団法人に切りかえをいたしまして、大日本という字をとりまして、単に明朗会という会が設立せられたのであります。この会の目的といたしますところは、食糧増産及び粉食技術の研究と普及をはかることをもつて目的とする、こういうのであります。なお、事業の内容といたしましては、指導要員の養成をいたしますとか、あるいは技術指導の講演会をいたしますとか、さらに模範農場の経営をするというふうな事業内容に相なつておるのであります。当初からこの土地を事実上耕して来ておりまして、さらに二十一年の六月に一時使用の許可をし、その後売払いの申請が出て参つたのでありまして、この件につきましては、農林省、東京都等からも、適切な事業であるからひとつできるだけの配慮をしてもらいたいというふうな要望がございました。なお占領軍の総司令部の天然資源局の農業関係の担当官から、この会の目的は日本の食糧事情にかんがみてきわめて有益な事業であるから、その事業を助けるようにというふうな意味の文書が出て参りました。この文書は司令部の正式の指令というものではございませんで、今日から見ますと、単純な見解の表示ということであつたようでありますがなにさま占領下にありましたために、相当日本側では重視をいたしてこの処置をいたしたようであります。各方面から要望もございますので。この土地払下げをいたしたのでありますが、その中で千六百五十八坪は宅地として評価をして売払いをいたしました。さらに千五百六十一坪というものは、宅地にはならないけれども、農地として評価するのも適当でないというので、宅地より若干の値段を下げて評価をして売払いをいたしました。残りの土地、これが大部分土地で一万坪近い土地に相なるわけでありますが、これが模範農場の経営に充てられるということから、当時の農地価格評価方法に準じて土地払下げいたしたのであります。このためにこの土地が非常に安い値段で払い下げられることに相なつたのでございます。ところがその後財団法人の方でこの土地を住宅敷地あるいは学校の敷地に転売をいたしておるのでありますが、さらに、この財団法人がこの東京の土地で農業と申しますか、模範農場を経営することは、将来行く行く住宅地として利用すべき土地であるから適当でないというふうな意見が、これまた連合軍の司令部の方から出ておつたようであります。それでこの財団法人がそれのかえ地を物色いたしておりましたが、名古屋の東海財務局の管轄内にある国有地払下げ申請いたして参つたのであります。この申請につきましてもまた当時の天然資源局の担当官から、きわめて有益な事業であるから云々という趣旨の文書が、東海財務局長あてに出て参りました。司令部の希望であるというので、また東海財務局ではこの土地の売払いをいたしたのであります。その東海財務局土地の売払いをいたします際に、東京の方ですでにそういうことがあつたということを承知いたしておりますれば、少くとも東海財務局の方といたしましては、いくら司令部からそういうことを言つて来ましても、慎重な措置ができたと思うのでありますが、不幸にいたしまして東海財務局の方ではその事情を承知いたしませんので、この売払いをいたしてしまつたというふうなことに相なつてしまつたのであります。当時占領下でありまして、総司令部の担当官の文書というものが相当影響力を持つたというふうに考えられるのでありますが、いくら占領下と申しましても、この処置につきましては、もうちよつとと申しますか、さらに慎重を期すべきものであつたのじやないかというふうに考えられますので、まことに遺憾に存じておる次第でございます。検査院の御指摘通りであります。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題はこの検査院の報告書によつて見ましても実に奇怪な内容でございます。今御説明になりましたごとく、報告書によりますれば東京の目黒区元駒場陸軍練兵場でありまするので何町何番地になつておるかよく存じませんけれども、東京都内の中心からほど遠からぬ場所であろうと存じます。敷地が一万二千百八十九坪、しかも十年間を試験農場の付属施設として使用することに限定されております。このような条件のもとに随意契約で、百三十一万九千何がしで二十四年五月から十二月までに買い取つた明朗会が、翌年の二十五年四月にはや売つております。二十六年十月までの間に樺太共同住宅組合外二名に売つておるわけであります。この売上げ価格が九百二十三万、百三十万円に買うて九百二十万円に間もなく売つてしまつておる、こういうことになつております。のみならず、この七年度の批難事項によりますると、これまた土地が一万六千二百坪、建物が千何がし、立木もある。これを五百四十五万七千余円で買つて——大部分となつておりますが大部分か一部かわかりません、全部ではなしに、約五百万円で葵紡織会社に転売しております。これも同様限定された用途が条件になつておるわけであります。そこでこういうふうな場合に、この樺太共同住宅外二名というものはその土地に住まつてつたものであろうかどうか、この種の明朗会が買い受ける条件を知つてつたのではないかどうか、そういうことについての御調査があつたのではないであろうか。それから東海財務局の方は五百万円でありまするから、あちらの局で単独処分ができるものかとも存じまするけれども、このような事実が行われますると、明朗会は人間でいえば要注意人物でありまするので、全国的に大きな衝撃を与えるくらいに国として扱わねばならぬ案件ではなかつたかと私は思います。まずこれらの点について御説明を聞きたいと思います。
  79. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず第一点の転売を受けた者がそういうふうな条件付の土地であつたかどうかということについては、まつたく承知をしていなかつたということでございます。それからなおこの明朗会国有地を対象にいたしまして、しかも二箇所で不始末と申しますか同時にこれは私どもの不始末でもございますが、そういうことに相なつておるが、その予防的な措置をどういうふうに講じたかという趣旨の御質問かと存じます。当時におきましてははなはだどうも手落ちでありまして、東京都においてそういうことをやつておるものが名古屋の方にかわつて来るのだというようなことについて、十分の調査をいたさなかつたことは非常に遺憾に存じております。当時の状況では、先ほど申し上げましたように司令部の文書があるからというようなことがどうも先に立つたのではないか、そのためにどうも調査が十分に行き届かなかつたというように考えられるのでありまして、まことに残念に存じておる次第であります。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この転売をいたしました第三者がもし事情を了知しておりましたならば、この土地はやはり国にもどつて来るべき性質を持つておるのではないだろうか、私はこうも推測せられるのであります。現在どれほどの値打ちのある土地なのでしようか。土地価格相当高くなつておると聞くのでありますが、東京及び浜松——二十七年度分は浜松になつておりますが、現在の価格はどれほどなのでしようか。
  81. 窪谷直光

    窪谷政府委員 東京都の分は終戦後の住宅復興等の事情から、あの一帯の地価は非常に値上りを来しておりまして、今日で評価いたしますと坪四、五千円程度には相なるような土地ではないかと思います。状況が非常にかわつて参りまして、急激に地価の上昇を来しております。  それから浜松の方は、これは必ずしもそうひどい土地の値上りはないのではなかろうか。私は現地を詳細に存じませんので的確に申し上げることができませんことを遺憾に存じますが、土地でございますので、当時から見ますと若干の値上りはいたしておりますが、東京都ほどの急激な値上りはないのではないかというふうに推定いたします。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この案件は、よつて来りましたいろいろな事情につきましても十分御検討を願わねばならぬ案件であると思いますが、それとともにやはり爾後の対策といたしましても、私が今申しましたごとくに樺太住宅組合外二名は——御説明があるかとも存じますけれども、どういうものか今ちよつとわかりませんが、これらのものが真に善良な、善意の第三者であつたかどうかということは御検討になつたのでしようか。今御説明によりますとまつた条件付の物件であることを知らずして転売したようなお話でしたが、これはやはり十分検討いたしまして、明朗会から損害賠償等をなさしめることができないのであれば——できるのであればこれは問題はありませんができないのであればそういうことも十分に検討すべき案件ではないだろうか。よしんば総司令部のお声がかりとかいう文書が出されたといたしましても、そういうことにかかわらず、日本の政府でありますから、やはり政府の責任において、その原因とか経過とか、結果、対策というものについてしかるべき措置が必要と思いまするが、これらの点についてはいかがでしようか。
  83. 窪谷直光

    窪谷政府委員 お尋ねの点まことにごもつともだと存じます。この東京都の土地を現在利用いたしておりますのは、利用者といたしまして数件に上つておるのでありますが、ここに書いてありまする樺太共同住宅組合のほか天主公教聖ドミニコ修道会というのが一部を使用いたしております。それから個人で住宅に利用しておる者が四人ばかりございます。さらに郵政省の研究所がこの地域に設置をされておるのであります。まずこれらの買受人が、そういうふうな条件付の土地であるかどうかということを承知しておつたかどうかという調査もあわせていたしたのでありますが、いずれも承知をしておらなかつたということでございます。従いましてこういうふうな転売を受けた者から何ほどかのものを、回収と申しますか、するということは不可能な状況に相なつてるのであります。  それから財団法人そのものでございますが、これも非常に遺憾なことでございます。調査をいたしましたところ財団法人の登記は抹消されておらないのであります。まつたく無財産の状態でありますので、この善後措置といたしましては、まず契約を解除いたしまして、損害を賠償することに相なると思うのであります。その賠償を要求いたしましても、実現がきわめて困難であるという状況に相なつておりまして、重ね重ね遺憾に存じております。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 食糧増産は国家の要請であることは申し上げるまでもあるませんが、さきの御説明によりますると、農林省の積極的な口添えもあつたかのようでありますので、こういう事態になつておるということは、農林省でも適当に申入れをせらるべき筋合いであつたと思うがいかん。  それから明朗会と称するものが、一年やそこらの間に九百万円も——八百万円ほどですか、極端に言えば国をだまして取込んだことになりますが、いろいろな損失があつて、そんなものに穴埋めをしたのか存じませんが、いずれにしましてもこれは実にけしからぬ措置であつて、あちらこちらをだましまわつたのじやないかとさえわれわれは想像をたくましゆうするのであります。そういうことについて何か聞き及んでおられることはないか。  それから転じまして、同じような問題が東京都の東京中央青果株式会社、これは二十七年の報告番号八〇、ページ九十三、これに出ております。これは元の内閣統計局、土地が九百七十二坪、場所はどこでありますか、いずれ東京都の中心地帯と思います。これが二十六年の三月に中央青果が四百七十九万二千円で買い取つて転売は翌年の七月に千代田経済株式会社というものに九百五十万円でしております。これも条件付の用途指定の売渡し物件でありますから、前に問題にしましたと同種の条件がこれに付着しておることと思います。これも何としたことであろうか。類似の案件が大分載つておりますけれども、そのことごとくあげることなく、私はこの二点にとどめたわけであります。ことに番号七九、九十二ページの分のごときは、石野某という者が介入して、株式会社大同洋紙店というものに、同じく条件付で用途を限定いたしました売買にかかわらず、売り渡してしまつて、買い受けた人間は行方不明、そういう報告書を私は読んだのでありますが、この中央青果のごときものはまだあるのじやないかと思うのであります。まつたく類似の不詳な出来事と思いますので、この点も何とか御説明を聞いておきたい。
  85. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず明朗会の問題でございます。これについて農林省に申入れをしたかという点でございますが、農林省にまだ十分なる申入れをしておるということではございません。その点はなはだ遺憾に存じますので、至急に連絡をとつて農林省でも尽せるだけの手は講じてもらいたいというふうに考えます。  それから明朗会がいろいろな人をだましてやつたというふうなことを聞かないかというお話でございますが、私どもに関する事件以外には聞き及んでおりません。これもまだ明朗会調査を十分にやつたということを言い切れるような段階でございませんので、はつきりしたことは申し上げられませんが、現在までに承知いたしておりますところでは、ほかの人たちをだましてまわつたというふうな話は聞いておりません。  それから中央青果の問題でございますけれども、これも同様の事件でございまして、用途指定をいたしまして払い下げたものを転売いたしたのであります。これもはなはだ遺憾なことでございます。これは当初北海道からばれいしよを持つて来まして、ここで澱粉の製造をするという目的から申請が出まして、売払いをいたしたのであります。ところが実際に仕事を始めてみますと、北海道からの輸送の途中で、いもが予想以上に腐敗をして非常に損害をこうむつたというようなことから、損害の穴埋め等の関係もあつて転売したやに聞いておるのであります。これも用途指定という売払い条件の違反のものでございます。なおこの会社は現在まだある会社でございます。従つてこの事件につきましては契約を解除いたしまして、損害の賠償をして処置をすべきものというふうに考えておる次第でございます。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこの種の問題の措置といたしまして、これは国のものでありますから、かなりいろいろ手続等が、たとえば賠償措置請求等に出るといたしましても、手続準備等が御存じのように簡単に行かぬと思いますけれどもこういうような案件が発生いたしましたら、機を逸せず適切な措置に出るということが、最も大事なことじやないかと思うのであります。たとえば前件の財団法人明朗会の浜松市の問題にいたしましても、検査院の報告によれば二十八年の四月ですから、去年転売しておる、そうしてまだ残つておるものが相当あるのであります。でありますから検査院のこういう調査という段階におきまして、大蔵省が事態を知つた以上は、間髪を入れず機宜の措置に出るということが私は必要じやないかと思うのです。そういうことについて、相当緩慢じやないかという感じを、各問題を通じて受けるのであります。  そこで今の中央青果の問題でありますけれども、これは現にある会社で、北海道からじやがいもを入れて、その損害の穴埋めに転売をした、不届きな話であります。これもまた転売は二十七年の七月でありますから、約二箇年前であります。でありましたらやはり緊急の対策とでもいうか、ただちに臨機の措置に出るというくらいの敏捷な行政措置がなければいかぬ。政府は金を使つたりするときは、急な場合には予備費もお使いになる、あるいは暫定予算もお組みになるというようなことをなさるのですけれども、こういうものの跡始末というものはめんどうでありますが、とかく緩漫で、その措置はとかく悠長な感じがいたすのであります。それにはあるいは費用がいりましよう。あるいは手数がいりましよう。手続等何かとありましようけれども、やはり国に対して違約をして損害を加えたのでありますから、ただちに何らかの措置に出るということがせられねばならぬ。今日の行政の組織等から、そういうことが困難であるとするならば、改めればよいのであります。いずれにいたしましても結論を早く出して、国の損害をできるだけ未然に防いで、こういう案件についての処分を最も敏活に、すみやかになすということが、こういうことの起ることを防ぐ一つの間接の手であるとさえ私は考えるのであります。こういう点はいかがでしよう。
  87. 窪谷直光

    窪谷政府委員 吉田先生のお話一々ごもつとものようであります。私どもといたしましても、敏捷にこういう事件処理をさるべきものというふうに考えております。従来ともその心構えでおつたのでありますが、今先生がおつしやいますようないろいろなことから今日まで事務が渋滞しておりますことは、まことに遺憾に存じます。私ども一同力を合せまして、今後におきましてはさらにこれらの事務の促進をはかりますように、努力をいたして参りたいと思います。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は、国有財産に関しては管財局が主管なさる、それからまた同種の類似の案件といたしまして、いろいろな問題が各省にも生じているんじやないかと私は思うのであります。契約を違反させられたり、あるいはだまされたり等々、農林省にしましても、また通産省にいたしましても、建設省にいたしましても、それぞれ厖大な国家予算を使つて行く途上におきまして、この種の問題が別の形で、類似の案件として現われて来ると思うのであります。こういうものはあなたの方にお聞きする筋ではないかもしれませんけれども検査院の御意見でもいいと思いますが、国が全体として、もつと有機的に、統一的に、すみやかに処理するという機関でも持つたらどうだろうか。私ども前々から感じるところでありますが、こういうことによりまして国がいたずらに財源とかあるいはその他の財産があるかないかわからぬ状態にある。どれほど損害が回復せられたかわからぬ姿にある。いろいろな手を各省で打つおられるのじやないかと思われる。そういうことの帰着帰属がどうなるかというと、一覧して登録してわかるようなこともできないが、国有財産であれば一覧してわかりますけれども、債権関係であればまつたく不明、こういうことでありますので、これは前々から問題にもなりながら、まだすつきりとしたものが出ないのであります。この際あなたの御答弁——あなたが御答弁ができなければ、ほかのどなたでもいいのでありますが、こういう案件を各主管官庁におきましてそれぞれの問題を持つておられる場合に、統一的に、有機的に、すみやかに処理するという方途に出る方法はないものであろうか。機関設置のことはいかがであろうか、あるいはまた国会に対しましては一覧してこれがわかるというような、たとえば決算の場合にも一覧してわかる、予算の場合にも一覧してわかるというようなことも、必要なことでないだろうか。われわれは大蔵省に、管財局に、農林省に、ただあちらこちらへ尋ねてそしてそれをじつと持つておるということになりますので、国会の立場から考えましても、また国の財政監督の上からみましても、非常に形が整つておらぬようにも考えられるのでありますが、この点についてはどういうふうな御所見をお持ちでしようか。検査院の御意見でも、大蔵省の他の方面の御意見でもいいのありますが、一応管財局長の御意見を伺います。
  89. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これらの事件につきましての善後処置の、何か統一的な機関を設けたらどうかというような御趣旨かと存じます。こういうふうな行政実務になりますと、そういう機関を設けますと、かえつて事務連絡等のために渋滞をいたして参るという点もございますので、こういうふうな善後措置につきましては、むしろそれぞれのところで迅速にやつた方がいいのではないかというふうに考えております。それは現実に私どものところで考えてみましても、どうも財務部財務局、大蔵本省というものの連絡を緊密にするようにということをお互いに心がけておるのでありますが、なかなかそれが思うように行かないというような面から、この事件についての善後処理が遅れる一つ原因かと考えられる面もあるのであります。これらのことにつきましては同じ部内のことでありますから、連絡を緊密にし迅速に処理するようにさらにくふうをこらしたいというふうに考えております。これらの全体を通じました一つ処理機関というようなものを設けますのはどうも不適当ではないか。これがさらに行政上の問題でいろいろ相手方と折衝をいたしましてなかなか解決がつかないというものにつきましては、昔でございますとそれぞれ各省が訴訟に持つてつたのでありますが、この点だけは、終戦後におきまして政府に関する訴訟は、法務省において統一的に行つて行くということに相なつておりまして、この訴訟の段階になりますと、これは非常に訴訟上の専門的知識を必要といたしますので、各省でやりますことは不適当だと考えられまして、今日の制度がいいのじやないかと思うのでありますが、行政の範囲でやり得ることをそれぞれのところでやる、しかも迅速にやるという建前で行く方がいいのじやないかといふうに私は考えております。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は会計検査院の第一局長に伺うのもよいと思いますけれども、もしあなたにおいて総括的に御説明が願えませんようでありましたら、やはりこの種の問題につきましては、私は訴訟の段階においては法務省が統括してやつておられるということも存じておりますが訴訟の段階以前においてもう少し、やはりその全体の会計の処理上の問題といたしまして、何らかの積極的な対策を、それがよしんば統一機関をつくらなくても、何かの方法によりましてもう少し統一して処理されて行くというふうに、そうしてお互いに連絡し合うということだけでも、私は不十分であると思いますので、何か検査院の方面においてこれを総括した御意見も当委員会に対しましてお出しを願いたい。こう思うのであります、池田さん、いかがでしようか。
  91. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 ただいまの吉田委員のお考えは私も非常に卓見だと思つております。実はそういうような機関を設けまして、片一方に国が債権を持つており、片一方に国が債務を持つておるというような場合に、片一方の債務の支払いはどんどんやつておりますが、しかるに片一方に債権を持つておるというような場合に、債権がなかなか履行されぬ場合は、国が債務を相殺しますならば、相手方のとれない債務も、片一方の国の方からのそれで相殺すればよいのじやないかというような考え方がかねてあるのであります。そこでそういうもの、各省の債権、相手方からとるべき債権がどういうものがるか、支払うべき債券はどういうものがあるかということを調べまして、それで相殺する。そうするとこげつきは若干その中から減るのじやないかという考えは、私ども考えとしてはまつたく同じ考えを持つております。しかしそれを実際やるときにどういう機関にやらせるかというと、その事務が非常に困難なめんどうな時間のかかることになりやしないかというような、実行上の困難がありますので、まだ私たちがほんの夢のように思つて考えておることでありますが、十分考えておる構想ではありません。ただそれを具体的にどういう機関にやらせるか、各省のほかに一つの独立の総理府所管なり、どつかにそういうような特別の機関を置くかということでやるかどうかということは、これはまだ数年かかつて研究をしませんと、今すぐという具体的な案は出て来ないのじやないかと思いますが、検査院でも十分考えるつもりでおります。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではひとつ窪谷管財局長に申し上げておきますが、やはり私どもはひとり国有財産の問題だけではございませず、国のこの種の出来事もしくはこの処理につきましては、これは公団の不始末なんかに見るごとく、やはり相当な、ひつついて片づかぬというものがあると思いますから、年々起つて行くのじやないかと思いまするので、何か適当な機関でなくても、適当にこういうものがすみやかになくなつて行くということについて、ひとつ御研究を願いたいと思います。これはあなたの方だけではなしに、ほかの関連におきましても私は重要であろうと思いますので、これは希望として申し上げておきます。また時間がありましたら……。
  93. 大上司

    大上委員長代理 村瀬君。
  94. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は二十六年度の八十七ページ、一一二号でございますが、これについて実は会計検査院関係の方へお尋ねいたしたいと思います。  これは実に小さい金額でありまして、大して問題とするに足らないものではありまするけれども、実はこういうことが一つの抜け道として、至るところに行われておるのではないかという心配がありますので、特に私はこの点をお尋ねをいたしたいのであります。これによりますると、予定価格を五十万円以内として、三回に分割をして、そうして予算決算及び会計令臨時特例第五条第一項第七号の規定を適用して随意契約によつたというのであります。こういうことを盛んにやりまするならば、五百万円でも千万円でも随意契約ができることになるのであります。これに対してここに書いてありますのは「右は、同日同一人に対し売り渡したもので一括競争に付するのが妥当と認められるのに、」云々とあるのですが、たまたま同日であつたからいかぬというのであるということは、私はこれは非常にゆるきに失すると思うのであります。同日でなければ、それは何回に分割してもよいのか、そういう御方針会計検査院はこの審査をなさつておられるのであるかどうか。一体すべてこういう規定の抜け道をしようというのに対して、どの程度それを押える御方針で会計検査をなさつておるのであるか、まず会計検査院からお話を承りたいと思います。
  95. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 ただいまの御質問の点はなるほどごもつともでございます。私どもはしいて同日であつたからいけないので、日が違つておればいいという意味で書いたわけではございませんが、現実にある一部は何日かにその人に売つた、それからその後また発見されて、さらに同一人に売つたというふうに、その機会が別と考えられるものであるならば、別箇のものであるというふうに考えられるものであるならば、これはいいのでありますが、たとい日が二、三日なり四、五日なりあるいは一週間違いましても、同一の機会に属すべきものが分割されたというものであれば、それはやはり一括契約にすべきであつたと考えておるのでありますが、ただここでそれが一週間離れているけれども、これは同一の継続の意思といいますか、同一の意思があつたということを判断することがむずかしい場合もありますが、同日に同一人に売払つたということは、これはもう同一の意思、継続の意思のあるものであるということが非常にはつきりしますので、特にここに表示したのでありますが、別に同日だから悪い、一週間隔つたならばいいという意味ではないわけであります。
  96. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 会計検査院がいろいろお調べになる途中におきまして、たまたまこれに類似のことは、二十六、二十七年を通じて一一二号が一件あがつておるだけでありますが、しかし私はこういうことがかなり行われておるのではなかろうかという心配を持つものであります。そこで会計検査院がお調べになつた途中において、同日というのはたまたまこれが一件であつたけれども、かなり日を置き、あるいはその他いろいろの工作によつて、当然一括して入札その他に付すべきものを随意契約で、ことさらにこの予算決算及び会計今臨時特例第五条第一項第七号の規定を濫用するというような傾向をお認めにはならなかつたかどうか、そういう点もあつたのであるが、あいまいであつたから、たまたま同日のものだけ一件あげたというのであるか、ほかには全然そういうことはなかつたというのであるか、お尋ねいたしたいのであります。
  97. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 これは二十六年度でございますが、二十六年度の国有財産の売払い関係については、同一の契約にすべきものがしいて分割されておつたという形跡のものはないように思います。しかしながらほかの省の案件にはあるいはあるかもしれませんが、もう少し調べなければ——私ちよつと所管外のことでありますから、もう少し調べればわかるかもしれませんが、二十六年に限らず、従来一括して競争に付すべきものが分割して随意にされておるという疑いのあるものは、ちよいちよい見受けておつたのでありまして、この点は特に契約等の随意にしておるか、一般競争にしておるか、その契約の期日及び相手方等については、すべての資料を相当詳細に調査しておるわけでございます。
  98. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は今度はこれを直接しでかした側の御意見を聞きたいのであります。ここ非常に長くいろいろ書いておるのでありますが、まことに会計検査院の言うのはもつともであります。これは一人でやるわけではないのでありますから、たびたび私ここで申し上げております通り、どこかで発見されるわけであります。これは一緒にやるべきじやないかということは、だれか判こをついて行く間のどこかで意見が出ねばならぬと思うのでありますが、実際どういうことでありましたか。
  99. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは埋設物件の売払いでございまして、埋設物件につきましては、まず調査をしたいという申請がありますと、適切なものであればその許可をいたすのであります。許可の結果、調査をいたしまして埋設物が発見をされましたものは、その調査に当つた者に随意契約でもつて売払いができるという規定が、また別の特例事項としてあるのでございます。従いまして本来ならば、この五十万円という少額の場合には随意契約ができるという規定を適用すべき事柄ではなくて、別の条項を適用して処理すべき事柄であつたのであります。ところがその状況調査について注意が十分でなかつたために、こういう結果に相なつたのでありまするが、事柄自体が、調査をさせて発見をしたものを、その者以外の者に売払うということが事実上できないというふうなことから、こういうふうな小細工と申しますか、こういうようなことをやつたのでありまして、当該の事項につきましては会計規則の適用の条項を誤つておる、一括いたしましても随意契約はできる性質のものであるわけであります。しかしながら、この事項を離れまして、こういうふうに分割すべからざるものを分割して取扱いをするということは、かたく戒めておるのでございます。こういうことのないようにということで十分の注意をいたしておつたのでありますが、こういう取扱いが出て参りましたことを、はなはだ遺憾に存じております。
  100. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 これは一つの流行病のようなものでございまして、こういう方法が各官庁に蔓延いたしますると、会計の運用は紊乱をいたしまするから、たつた一件であり、金額も小さいのでありまするが、特に私は重視したわけであります。  時間がありませんので、次に進みますが、昭和二十七年度の八十四ページの六八から七八に至る問題について、お尋ねをしたいのであります。私が具体的に個々についてお尋ねをする前に、この問題は、昭和二十七年度の初頭における平和条約の発効に伴つて、従来賠償物件に指定されていたものが自由処分ができることになつ一つの転換期であつたのでありまして、その間いろいろなことをわれわれは聞かされて参つておるのであります。ここに書いてあるのによりますと、全国各財務局で同年度内に売渡し処分をしたものが約五万ほどで、価額は二十三億八千八百余万円、大蔵省所管国有財産売払代の徴収決定済み額は五十四億六千九百余万円であつたというのでありまするが、この間について、私がお尋ねをいたしまする前にひとつ賠償物件に指定していたものの処分についての概括的な御説明を願いたいと思います。
  101. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず総体的にお話を申し上げますと、終戦後賠償指定をされました国有の機械が約三十六万三千台ございます。そのうちで、スクラツプにいたしますために、賠償指定解除に相なりましたのが、六万六千台あるわけでございます。さらに中間賠償といたしまして、中華民国、オランダ、フィリピン、英領関係の国々に持ち去りました台数が、約四万四千台ございます。それで講和条約が発効いたしましたときに残存をいたしておりましたものが、二十五万二千台あるわけでございます。その当時におきます状況は、駐留軍の使用に供しておりますものが約一万六千台、貸付をいたしておりますものが四万三千台、それから貸付、売払いの申請中のものが約二万台、それから各省所管に移すべきものこれは主として文部省の学校が多いのでございますが、これが約一万台それからさらに中小企業の機械の設備改善のための法律に基きまして留保いたしておりますのが、約四万八千台というふうなことに、主要なものは相なつておるわけであります。その残りが特定の用途がなしに保管をされておりまして、これが逐次処分をされて来ておるのでございます、なお貸付中のものが、売払いの申請が出て参りまして、それを売払い処分をいたしたものもあるのであります。大体そういうふうな状況に相なつております。
  102. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 そこでひとつ具体的にお尋ねをいたすのでありますが、小さいものは飛ばしまして、八十八ページの七六号の問題であります。これは随意契約によつて、三菱日本重工株式会社横浜造船所にデイーゼル機関つき発電機を四百九十二万余円で売り渡したというのでありますが、この報告書によりますと、四千七百二十万円もする新品を千八百五十万一千円でできるというような一つの断定を下しております。また一千四百五十万円も新品ならばかかるのを、九百十六万五千円で新品ができるという一つの断定の上に立つて、四百九十二万余円という金額をお出しになつたわけであります。ところが実際には今申しましたように、千八百五十万一千円でできるという新品は、実は四千七百二十万円もかかるのだということが明らかになつておるのでありまして、これで計算をいたしますと、一千百万円も安ぐ売り渡したという結果になるわけであります。こういうことは、これは別に何もむずかしいことではないのでありまして、ちよつと調査を綿密にするならば、四千七百万円かかるか、千八百万円でできるかということは、大体すぐわかることだと思うのであります。過失というか、思い違いにいたしましても、これはあまりに極端な例であると思うのでありましてそれがために千百万円も安く三菱日本重工業株式会社横浜造船所に売り渡したというようなことは、これは重大な責任だと思いますが、一体どういうことからこんなわかり切つた不都合が生じたのか、いきさつを伺つておきます。
  103. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは戦争中につくつた機械でございますが、当時、この価格を評定をいたします際に、三菱に、この機械をつくるについてのいろいろな要素があるわけでありますが、鉄が何トンかかつて、工数が幾らかかるというようなことを照会をいたしましてその照会の結果に基きまして適正価格財務局算定をいたしたのであります。その算定の際に使用いたしました新品価格がどうも低過ぎたということはいなめないようでございます。これはさらにこの価格を再検討をいたしまして、すでに売り払いの契約は成立しておりますので、相手の会社が承諾をしなければ処置の方法がないのでございますが、適正な価格をさらに検討いたしまして、その結果に基きまして、相手の会社と交渉をいたしまして、その価格の引上げと申しますか、契約の改訂をやるという努力をいたしたいというふうに考えております。
  104. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はもちろん事後の措置も、国に損害を与えないように、また社会通念として非常に不正もあつたのではないかと思われることのないような処理が一番大事なものであるということは重々承知をいたしております。が、今お尋ねをしておるのは、こういうことがまた再び起らないようにするためには、何がためにこんなわかりきつたことが間違つたのであるか、別に理由がなければ理由がなくてもいいのでありますが、実はこういうところで間違つたのだということが明らかになれば、もうそういう間違いは再び起さない方法がつくわけであります。その点を一つもしあれば承つておきたいと思います。
  105. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは検査院の方からも総括的に御指摘がある事項でございますが、財務局におきましてこの価格算定いたします際に使います工数の単価のとり方、これが現実に実際の単価に比べますと低過ぎたということに主たる原因があるようでございます。これは財務局のみならず、大蔵本省といたしましても責任をわかたなければならぬ問題でありまして、これらの点をどういうふうに将来改訂して行つたらいいかということにつきまして目下早急に検討をいたしております。その検討の結果を出しまして村瀬先生おいでになつたときでありますかはつきりいたしませんが、国有財産の売払いにつきましての評価審議会を設けまして、その協議会におきましてこういう基準が適当なものであるかどうかということの御審議をいただいて、将来こういうふうなあやまちのないようにやつて行きたいと考えている次第であります。
  106. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 特に賠償物件に指定されたものは、大体移動可能なものであると存じますが、そういたしますると、特に固定してあるものでありまするならば、それを解体して他の場所へ持つて行くというようなことが非常にむだな場合もあるでありましようから、そういう場合には、たとい賠償物資に指定されたものでありましても、その自由処分が可能となりまするならば、随意契約によるということも当然のことと思うのでありまするが、特にこういう五万個にも及ぶものでありますから、全部随意契約にせねばならぬというようなことも必要はないと思うのでありまして、そこらにも一応疑いの余地を生ずる原因もあつたと思うのでありますが、この五万個の処理については一体見積り、競売というような点はどの程度なすつたのでありますか、その。パーセンテージ、そういうものがわかりますならば事態を明らかにしていただきたいと思います。
  107. 窪谷直光

    窪谷政府委員 講和条約が発効いたしまして、まず処理をいたしましたのは、本来売払いして処分をいたすべきものを賠償指定になつておりますので、進駐軍の許可を得まして使用させておつたのでございます。これは本来売却処分をいたすための賠償指定になつておりますために貸し付けておつたものでございますために、まずこれの処理をいたしたわけでございます。従いまして二十七年度はこの処理件数相当多くあるのでございまして、従つて現在使用いたしておりますものに売払い処分をいたすことになりますので、おのずから随意契約になるのでございますが、こういうもの以外につきましては、原則としては一般入札または指名入札にいたしております。随意契約にいたしておりましたのは、国が政策として助長すべきような産業の場合にだけ限つておるわけでございます。最近におきましては、大部分のものが入札によつて処理されておるという状況でございますが、当該年度におきましては、先ほどのような状況から相当随意契約のものが多かつたであろうと考える次第であります。
  108. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私が特にこの問題について明らかにしておきたいと思いますのは、会計検査院の方から今使用をさせておつたとおつしやつておるのでありますが、その使用料等が徴収決定未済となつてつて会計検査院注意をしたので、十一月に漸く八十七万六千余円を収納したということも付記されておりますところから見ますと、どうもこういう賠償指定のものは、何かそこに特別な処分方法を業者が非常にやわらかく感じておつたのではないか。ほんとうの国有財産処分というものよりも何か特別なことをしてもらえるのだ、またやつてもいいのだというような感じのもとに出発しておつたのではないかというにおいを感ずるのであります。さればこそここに会計検査院から注意を受けるまで使用料八十七万円を払わないでおつた。こういうようなところから考えまして、これらの処置については、まだ何かほかにあるのではないかという感じさへ受ける状態であります。  続いて七七号も同様の問題でありまして、随意契約により、尼ヶ崎製鉄株式会社に呉市所在の軍需部の塔型起重機一基を二百八十五万円で売り渡しておるのでありますが、これも会計検査院の調書による正当な金額というものを一応出してみますと六百七十六万八千八百円も安い価格であるということが明らかになつておるのであります。三菱日本重工業の横浜造船所に対しては、今からでももつと値上げを要求して、国に損をかけないようにするのだということでありましたが、この尼ヶ崎製鉄株式会社との関係はどうなつておりますか。
  109. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これも財務局におきます算定の過程における間違いからこうことが出て参つたのであります。まことに遺憾に存じておりますが、これも同様に相手方の会社と交渉いたしまして、契約の改訂をいたしたいと考えております。     〔大上委員長代理退席、天野委員長代理着席〕
  110. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 両方とも改訂に努力したいと言つておるようでありますが、もう二十九年度に入つておるわけなんですが、その見通しはあるのでありますか。今の御答弁だけでははなはだよりどころがないのでありますが、どういう方法によつて、どういう交渉経過で、いつごろ結果は判明することになつておりますか。今少しく聞いておつてもわかるようにお答え願いたいと思います。
  111. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは会計検査院から御指摘を受けまして、こちら側におきましてもいろいろ調査をいたしおるわけでありますが、まだ価格を幾らにしたらいいか、検査院の言われる価格というのも少し高過ぎるのではないかというようにも考えられますので、その辺の価格検討をいたしておる段階でございます。従いましてまだ相手の会社の方には当つておりませんが、相手も相当大きな会社でありますので、私どもの誠意ある申入れについては十分考慮してくれるものというふうに期待いたしておる次第でございます。
  112. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 この点は私はなお完全に釈然とするまでに至らないのでありますが、非常に時間がおそくなりましたので、最後に一点だけ、これは先ほど吉田委員が詳しく肯綮をうがつたお尋ねがあつたのでありますが、なおはつきりしておきたいと思いますのは、二十六年の七十八ページの六七について、これは吉田委員から十分お尋ねがあつたわけでありまして、財団法人明朗会についてもいろいろ御答弁があつたのであります。これについてもなお明朗会というものの人的構成その他——今無財産という御答弁がありましたけれども、しかし百三十一万円で買うたものを九百二十三万円で売つておるのですから、これだけでも八百万円ほどちやんと金があるわけでありまして、それが無財産になつたのは一体何に使つたのか、そういう点お調べになればはつきりするが、私はそんなすぐに無財産になるというようなことはなかなか承服いたしかねるのであります。隠匿したのか、事業に失敗したのであるか、一体どういう人的構成で明朗会ができておるのか、これは今までの御答弁では決して明らかに了承はできないと思います。それが一つと、それからその次の六八号でありますが、これについては今までここで審議を本日はいたしておらないのでありますが、これも六七号と同様の案件でありまして、相手は吉田工業株式会社というものであります。百二十三万九千円で買つて、それに二百万円使つて整地をして、吉田工業株式会社は三百二十三万円ほど使つて、それを千百万円で売つた、こういうわけであります。従つてこれは条項に違反しておるのでありますから、契約を解除することもできる契約条項がちやんとある、こういうわけでありますが、これも一体無財産なのかどうか、財産のある限り、こういうことはひとつびしびしと几帳面に厳格に処理していただきたいのでありますが、これはどういうことになつておりますか。
  113. 窪谷直光

    窪谷政府委員 六七の明朗会財産状態でございますが、私ども調査をいたしましたところでは、ちつとも財産はないということであります。しかしながら先生がおつしやいました疑問は、私どもとしてはまだ残つております。これは至急に追究をいたしてみたいと思います。なおこれは私どものところだけでなくして、財団法人でありますから監督官庁があるはずでありますから、それらの協力を得まして、調査を進めて参りたいというふうに考えております。  それから六八の吉田工業の問題でありますが、これも同様に、六七と似通つた問題でございます。これは売払いをいたしましたあと、さらに相当高い価格転売をいたしておるのであります。これは今あります国技館の隣接の土地でございます。当初吉田工業は、今国技館が建つております土地を借り受けまして、製材工場をやつてつたのでございます。その製材工場の拡張のためにこの土地、建物を払下げをしてもらいたという申請が出て参つたのであります。関東財務局といたしましては、この建物が戦災のために相当の亀裂を生じておりまして、東京都の関係部局から、至急に改修なりあるいはまたとりこわしなりをするようにという注意を受けておつたのであります。なお当時住宅事情が非常に困難な状態にあつたために、事実上この中に居住をいたしておられる方々が若干名あつたのであります。従いまして、こういうふうな点を買受人は処理をするという条件でもつて売払いをいたしたのでありますから、当時関東財務局といたしましては、そういうふうな、国が予算を出して、売れるか売れないか、あるいはまた国が使うか使わないかわからぬような建物を補修するわけに参りません。そうかといつて建物が危険な状態にありましたので、とりこわすということになりますが、国がとりこわすよりは、だれかその建物を利用して補修して使う者があれば、それに売り払う方が適当であろうという判断をいたしまして、売払いをいたしたのでございます。たまたまちようどこの近くに同じような建物がございまして、それは入札をいたしまして落札をいたしたのでありますが、それはその建物を取払つてよその土地に移すという条件で入札いたしましてやつたのであります。その落札価格では、この建物を落札いたしました者がこれを取払つて向うへ持つて行くと非常な損失が出るというふうなことから、その権利を放棄した事例がございました。従いましてこの亀裂の生じた建物をそういうふうにして売払いをすることが、むしろ有利であるという判断を当時としてはいたしたのでございます。この買い受けました吉田工業は、その後この土地の整地でありますとか建物の改修でありますとか、それからさらにこの中に事実上居住をいたしておりました者の立ちのきの費用でありますとかというふうなものを支出をいたします。なお小さな建物でございますが、若干建物がふえているのでございまして、それらのものを含めてこの転売先に転売をいたしておるのであります。それからさらにこういう転売をいたすことになりました事情といたしましては、国技館の方からその吉田工業に貸している土地を返してもらいたいという話が出たのであります。吉田工業といたしましては、この買い受けました国有地だけで製材の仕事がやつて行けないというようなことから、転売をいたすことに相なつた模様であります。ここで操業いたしておりましたのができなくなりますために、その期間の営業の損失的なものまで含めてこの転売者と交渉をしたのではないかというふうに考えられるのであります。この国が売り払いました価格と、さらに転売をいたしました価格と非常に相違がございまして、本人はそういうふうな申立てをいたしておりますが、それの確認の方法でございますけれども吉田工業の別の工場が埼玉県の本庄町にございまして、そこでいろいろな帳簿書類等を備えつけておるのでございますが、たまたまそれが火災で焼けて、当時の記録がないということから、本人の申出でもつてこの千百万円は自分としては不当な利得を得ているわけでないのだという申立てを財務局にいたしておるのでありますが、私どもといたしましては、まだその申立てに納得はいたしません。なおその調査を続けておりまして、そこに不当な利得があるということでありますれば、やはり契約を解除してその損害の追究をいたすべきものというふうに考えている次第であります。なおこの会社はそう大きな会社でございませんが、本庄の町の方で現在製材工場をやつている会社でございます。
  114. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 買つた金が百二十三万円、それに整地費と建物を改造したのが二百万円、そういたしますと吉田工業の会計から直接出て行つた金というのは三百二十三万円ばかりでありまして、それを一千百万円で売つたのでありますから、別にもうけがないというわけのものでないと思うのであります。不当な差額は当然あると思うのでありまして、そんなことはいまさら私は議論する必要はないと思います。こういう問題は六七号の明朗会と同様なものでありますから、やはり支払い能力のあるものは仮借なく契約条項に基いて国が損失をこうむらないようにするという例を開きませんと、相手が国であるから何かいろいろ引延ばしておれば、そのうちにどうかなるのだという一つの先例を開きますると、すべての経理というものはその一角からもこわれてしまうわけでありますから、この点はひとつ厳重な処置をしていただきたいと思うのであります。  もう時間もございませんが、きようの議題になつておりまするから、同じ二十六年度の九十二ページ、一一七号についてお尋ねをいたします。これは八十二トンのくず化機械器具でありまするか、そういうものを株式会社原田鋳造所外一名が買つたわけでございます。財務局財務部で売つたわけであります。ところがそのほかに百三トンというそれに似たものがあつて、それを内訳価格で引続いて売つたというわけであります。これだけなら何でもないのでありますけれども、実はこれも先ほど私が申しました分割していろいろな規定に違反してやるのと同様な、一種の知能犯的なやり方であるとも曲解すれば曲解できないことはないのであります。たとえば工事など一部分を無理して請負つておきまして、続いてその延長だというので随意契約であとの工事でもうけるというのは、よくある例なのであります。これは八十二トンの分は少し高く買つておいて、その内訳価格を七千円と一万円にしておいて、安い方の分があとたくさん出て来ると思えば、それで百三トンの分は計算してもらう、こういうふうな方法によりますると、いわゆる正常な経理のやり方というものが非常に濁されるのでありまして、こういう方法が瀰漫いたしますると、国有財産その他の売払いにつきましては、非常に悪質なものが忍び込む余地がここに生ずると思うのでありますが、一体これの真相はどうであつたのでありまするか、ひとつできるだけ詳しく御答弁願いたいと思います。
  115. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは宇治の火薬製造所の跡でありますが、その中にありますくず化の機械器具類であります。これは当初入札をいたしましたときには正確な全体の数量がはつきりいたさなかつたのであります。これは積出しのときに実貫をして、その数量に応じて徴収するということに相なつておりまして、従つて入札は一トン当り幾らという入札をいたしたのであります。その実際の数量にその単価をかけて代金を徴収するわけでありますから、まず大体どれくらいな見込み数量であろうかというのでかけましたのが八十二トンということであつたのでありますが、これは十分な調査の結果に基くものではございませんで、そのときの競争入札の方法は単価入札、一トン当り幾らかという入札をやつたのであります。あとで売り払いました百三トンにつきましても同様に入札の単価で契約をいたしたとこういうでございまして、その辺別にこの事件につきまして故意に分割してやつたというふうな事柄ではないというのでございます。
  116. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はそういう意味のことをお尋ねしたのではないのであります。つまりトン当りの単価で入札を一応しておきまして、それを非常に少い数量に一応見ておく。実際はこれは超過分量として別に百三トンとありまするけれども、これは超過分量ではない。総数量として八十二トンが百三トンになつたという意味かとも思いますが、そうでないと金額が合わぬと思うのであります。あるいは八十二トンと思つてつたのが、超過分量が百三トンあつて、合計して百八十五トンあつたというふうな書き方でありますが、これはそうでないのでありましようか。ともかく八十二トンより十トンや十五トン多いというならばそれでいいのでありますが、もし八十二トンというのが百三トンもふえたということになりますると、それは最初から大体の見当が立つのでありまして、そういう払下げ方法をとるところにいろいろな問題が起つて参るわけなのであります。そうして品物によりましては、八十二トンでは役に立たないけれども、これが二百トンにもなればいろいろ利用方法があるという場合も生ずるのでありまして、契約の一角だけを獲得しておいて、あとはもうずるずると随意契約式にその金額で延ばして行くというようなことは、よく工事請負などに行われる例があるのでありますが、先ほど御答えなつただけのことでは何も批難事項として述べられる理由はなかつたわけであります。どういうことになつて特にここに一一七号として載せられて批難されたのか、その真相をもつと詳しく伺いたいと思います。それから私はお伺いしておきます。
  117. 窪谷直光

    窪谷政府委員 会計検査院の方の御指摘事件は、当初この土地に警察予備隊が創設をされまして、警察予備隊が協力して集めたものだから、その警察予備隊が協力した分だけはよく調査をして、減額と申しますか、清掃費等の費用の算定について考慮をすべきではないかという御指摘だと了承いたしておるのであります。これにつきましては、当初警察予備隊が創設されました当時におきましては、まだ占領下でございまして、いろいろなこういう営舎内の清掃等につきまして進駐軍の担当の軍人が相当乱暴なことをやるような状況でございました。この構内の清掃をいたしますために、そういうようなスクラツプ類をかき集めて、塵芥捨場でありますとか、若干ため池みたいなものがありますが、どんどんその中にはうり込めというような乱暴なことまで話が出たのであります。それで早急に売払いを決定して入札をいたしたのであります。この場合に、これは地上に出ているものもございまするし、若干埋設をいたしておつたものもございまして、その辺で当初数量の確認ができなかつたものというふうに考えられるのであります。なお警察予備隊が協力をいたしました分につきまして考慮をいたしませんでしたことは、若干の手落ちであつたというふうに考えられるのでありますが、そういう早々の際でありましたので、十分な調査をするいとまなしに売払いの処分をいたしたということについて遺憾な点があるように存ずる次第でございます。
  118. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 今の御答弁を聞いておると、若干の手落ちはあつたけれども、大したことはないのだというように聞えるのでありますが、これは一体この文章も変でありまするし、八十二トンを価格三百四万七百五十円で売り渡しその実貫の結果生じた超過数量分として別に百三トンというものが出たのならば、その代金百二万六千九百七十円というのはおかしいのであります。八十二トンが三百四万円なら、百三トンが百二万六千円だというのはおかしいのであります。ここには、警察予備隊を使つていろいろそれを集めたのだから、その分を差引かなければならないというのは、少しも書いてないのでありますが、これはどういうのでありますか。会計検査院と両方ではつきりとこの一一七号の意味を御説明願いたい。
  119. 池田修藏

    池田会計検査院説明員 この一一七号は二つのことをいつておるのでありまして、第一点は、第二のところにこれは大体契約の超過するものといつておるけれども、初め契約したときには山幾らということでいつたのであつて、ここにあるものはその一山の中にはなかつた。そこでその一山を実貫してみたところが、八十トンと思つてつたところが百トンあつたというのではなくて、その一山の全然ほかのものであつたから、この超過分というのはおかしいじやないかというのが第一の話であります。  それから第二の話は、そこで初めからそれが別個のものとしておればそのものの単価で契約がでできたんだけれども、これが超過分というたから、その超過分の価格はそこにいろいろな種類の鉄くずがありますから、そのうちのくず鉄ならくず鉄の総額の中のくず鉄の単価が内訳として書いてありますから、そのくず鉄がふえたんだから、そのくず鉄の単価でふえた分だけ追徴するという契約にしてあるけれども、もともと別個のものにしておればそういうものにこだわらぬでもよかつたはずだ。ところがかりにもとの契約の内訳でその数量の追加分というても、その内訳の価格がそもそも安いもので入れてあつたから、結局それが安くなつたのだという二つのことをいつておるのでありますが、もつとこれをひつくるめて言いますと、もともとこれは別の山であつたから、その契約の中の超過分としてすべきものじやない。それを一言言えばあとの問題は自然解決するとも言えるわけであります。
  120. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 だから私がこれは知能犯的なにおいがするというのはそこなんであります。先ほどの管財局の御答弁と違うわけであります。山が違つておるというのだつたら根本から話が違うわけであります。また今の御答弁を伺いましても、この八十二トン三百四万円というのは、一色のものではないらしい。いろいろな鉄くずなり、すずくずなりいろいろなものがあつて、それの単価がわかれておるらしい。次の百三トンというのは、これもまたいろいろな内訳があつて、そうして比較的単価の安いものが百三トンの中にたくさんあつたから代金は百二万円であつたらしい。そうでないと八十二トンが三百四万円するのに、百三トンが百二万円というわけはないわけであります。  だから知能犯的に最初から計画的に八十二トンのときにいろいろな内訳をつけておいて、その内訳でいろいろなことができるわけであります。一万円するものを三千円としておいて、次の山にはこの一万円のものがたくさんあるのだから、実際は一万円するのだけれども内訳は三千円と書いておこう、そして次の山に行つたときに一万円するのが三千円でとれるのだから、こういうふうなことがあつたのかないのか、この全体を読んでみて実にそういう知能犯的なにおいがするが、そういう点はあつたのかないのか、こういう点を私は最初から聞いておる。そうしてこれはただに一つだけこういう例が批難事項として上つたわけでありますが、その他の場合においてもとかくこういうことはうつり安い点であります。会計の経理にあたつては、そういうことを、よい知恵か悪い知恵か知らぬが、よく知恵を働かしてやり得ることでありますから、特にその点はどういうことであつたのか、そういうことについては将来どういう戒めをするのであるかという点を聞いておるのですから、もつと真相をはつきり御答弁願いたいのであります。
  121. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私どもが近畿財務局から報告を受けておりますのは、一山一山というふうに区分して競争入札すべきような状況にはなかつたというふうに報告を受けておるのでありますがこの点は会計検査院の方で、本来そうすべきものであるという認定をされておるようであります。この点はさらに当時の状況につきまして、もうすでに現場はかわつておりますけれども、記銀あるいは関係者状況等をさらに調査をいたしてみたいと存じます。  それからなお一般的にこういうふうな一種の脱法行為と申しますか、そういうふうなことについての戒めの点でございますが、これはそういうことのないようにというので機会あるごとに注意を喚起をいたしておるのであります。こういうふうな事件が出て参りましたことはまことに遺憾でありますから、これは将来ともにさらに戒めを厳重にいたしまして、こういうことが起りませんように努めて参りたいと思います。
  122. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 なおよく調べるというのでありまするから、これ以上追究はいたしませんが、ただ一点、八十二トンが三百四万七百五十円という一つの契約によつて、さらに再入札も何もしないでただちに百三トンを百二万六千九百七十円で売却をしたというのは、これはどういう移りかわりになるのでありますか、ずつと同じ単価でやるならばそれでもいいかしれませんが、八十二トンが三百四万円だが、それから再見積りも何もしないで、そのままで今度は百三トンが百二万円、これはどういう関係にあるのですか。
  123. 窪谷直光

    窪谷政府委員 当初の八十二トン分につきましては、先ほど村瀕先生からちよつとおつしやいましたように非鉄金属等も相当つたのであります。それらの価格が含まれておるためにこの金額に相なつておるのであります。百三トンにつきましては、そういうものはなくてばらばらになつております鉄くずでございまして、しかも非常に質の悪い鉄く、ずでありますために、八十二トンの価格と百三トンとの価格の比率がとれていないというお感じをお持ちになつたことと存ずるのであります。これらの内訳の詳細につきましても、あわせてもう一度調査をいたしてみたいと思います。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 資料要求じやなしに、そちらで御研究していただくことについて申し上げたいのであります。この二十六年度の八十三ページの番号七九、四日市市元第二海軍燃料廠の問題であります。これは東亜石油株式会社に対します貸付料の徴収の問題でありまして、三百三十八万九千余円が徴収決定未済、こういう案件でありまするが、私が明らかにしてもらいたいと思いまするのは、この四日市の第二海軍燃料廠の土地、設備全体の問題であります。これは十五国会でありましたかに資料を要求いたしまして、資料が出ておつたのでありますけれども、すでに相当な月日がたつておりまするのと、それからこの東亜石油株式会社というのは、当時の資料によりますると、やはり相当広汎な物件の借受けを申し入れておる石油会社というようにも考えられます。そこでその後——その後と言つたらはつきりしませんが、現在この四日市の元海軍燃料廠貸付とかあるいは売却とか、使用、不使用の状況全体につきまして、いずれ御調査になつておるものと思いまするけれども、なお念のためにそれを十分にまとめておいてもらいたいと思います。これはやはりいろいろと世上疑惑を生みまして、幾たびか新聞にも伝えられました物件でありまするのと、きわめて厖大な、数百億円に上りまする価格である、こういうふうに社会は見ておりますから、私は次の機会に質疑をしたいと思いますので、この番号のみならず、ただいま申しましたような全体につきまして、これの使用、管理全体を御質疑したいと思いますから、さようにおとりはからい願いたいと思います。
  125. 天野公義

    ○天野委員長代理 吉田君の御要望の点、よく調査していただくようにお願いしておきます。  本日はこの程度とし、次会は本日の残余の分並びに大蔵省所管国税庁につき審議を行う予定であります。期日は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会