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1954-03-08 第19回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月八日(月曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 大上  司君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       越智  茂君    高橋 英吉君       徳安 實藏君    牧野 寛索君       藤田 義光君    村瀬 宣親君       片島  港君    山田 長司君       吉田 賢一君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳沢 英藏君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         海上保安庁次長 島居辰次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  木村 三男君         会計検査院事務         総長      池田  直君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 三月八日  委員山崎岩男君辞任につき、その補欠として岡  本忠雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和二十七年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和二十八年度一般会計予備費使用調書(そ  の一)  昭和二十八年度一般会計災害対策予備費使用総  調書(その一)  昭和二十八年度特別会計予備費使用調書(そ  の一)  昭和二十八年度特別会計予算総則第九条に基く  使用調書(その一)(承諾を求める件)     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会開会いたします。  審議に入るに先だち、去る二月二十四日開会されました本委員会において私が発言いたしました中に、「行政監察委員会が何か人のボロを摘発して喜ぶような委員会と間違えられては」、と発言いたしました点を取消しますから、さよう御了承願います。  それでは前回に引続いて国有財産二件、予備費四件を一括議題として質疑を続行いたします。まず前回質疑を保留されております吉田賢一君に発言を許します。
  3. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵大臣にお尋ね申し上げたいのであります。予備費使用に間しましてまず伺いたいのですが、予備費は申すまでもなく予算例外でございまして、国会におきまして使途をあらかじめ審議を受け議決するというので、白紙政府にまかしてあるわけであります。ところが白紙でまかしてありますのだからというので、数額において巨額に組み、あるいは使い道におきまして財政法二十四条に規定しております、また憲法八十七条一項に規定しております条件に、適合しないようなことは厳に戒めねばならぬと思うのであります。そこで予備費を設定いたしますについて、政府といたしましては、どれほどの割合を予備費として設定することが適当であるかということについて根本的にお考えがあるのかどうか、この点をまず伺つておきたい。
  4. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 別に標準というものはありません。ただ最近の実績を見まして、その実績に基いて予備費を計上いたしておる次第でございます。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところで一般会計特別会計を通じまして政府の御説明によりますと、二十八年度における予備費といたしまして総計五百八十五億八千九百万円を組んでおります。ところが現実におきまして支出したものが二十八年末までに百七十億三千百五十万円でありまして、四百十五億五千七百余万円というものが残つておる。五百八十五億円の予備費がすでに会計年度大半を過しまして四百十五億円も残つておるというようなことは、これはやはり当初から組み方がずさんではなかつたか。日本の今日の財政状態からかんがみまして、予算はいずれも血税をもつて予定されておるのでありますから、このような莫大なものが残るというのであれば、最初から組まねばよいじやないか、こういうふうに考えるのですが、大臣の御所見を伺いたい。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 特別会計の、たとえば印刷とか造幣とか、そういつた分については、私はつきり記憶いたしませんが、その他の分につきましては、大体ただいま申し上げる通り実情に基いてやつたのでありまして、昨年のごときは災害が非常に大きかつたものですから、予備費がはるかに足らなかつたことは吉田さんの御承知通りであります。一般会計の方におきましては、予備費だから経費の節減は十分注意いたしまするが、しかし大体当該年度に入り用な分だけを計上いたしておる次第でございます。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 従来一般会計に重きを置いて特別会計がいささか審査をおろそかにされるということは、ドツジ使節も指摘した一点でございます。今大臣特別会計のことをよく御承知でないというようなお話でありますが、これはもつてのほかでございます。必要なだけといいましても、それがあらかじめ予定されていないので、予備費が設けられることは申し上げるまでもないのでございます。従つてこれはあらかじめ財政とにらみ合せまして、相当使うだろうという前提に立たねばならぬと思うのであります。ところがそういうものが全然予定がはずれまして莫大に残るということでは、必要なだけ組んだというお考え方が裏切られておる。これは大蔵大臣といたしまして、相当責任をもつて答弁願いませんと、予備費は四百億円残つてもいいんだというのでは国民を愚弄したことになりますが、この点いかがでしようか。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 お話通り特別会計は、たとえば食糧管理とか、国有林野事業とか、労働者災害補償保険とか、失業保険とかいうようなものでありまして、所管省ともそれぞれ打合せをいたして、ただいま申し上げた方針でやつておるのでありますが、なお今後とも十分吉田さんの御趣意を体して注意いたしたいと存じます。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ことに特別会計においては、予備費が全然使われておらないところのものもずいぶんあるのであります。これは今質疑趣旨を十分に御了解くださるということであれば、今後の問題としてひとつ御注意を願いたいと思います。今のようなこういう使い方の予備費でありましたならば、実に予備費制度濫用ではないだろうか。予備費白紙政府にまかされておつて政府がかつて使つてよいのであつて、しかも後日国会における予備費使い残りについて、また使つたことについての調査は、あまり綿密にされないという傾向もありまして、まつた国会審議権を無視した結果を招来する危険があるわけであります。予備費制度濫用あるいは予備費の濫費とかいうことは、国会予算審議権を無視したことになると思うのであります。そこでいろいろ御注意くださるならばひとつ承つておきます。特にこの特別会計においては、ほとんどどこでも使つておらない予備費が莫大に組まれておるので、大臣としては、この予備費について今後どういうふうなお考えで対処して行こうとするのであるか、それをひとつ明確に承つておきたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 予備費使用につきましては、大体ただいま申し上げた通り、過去の実績、等に基いてやつておるのでありますが、今吉田さん御指摘のような事実もあるように承知しておりまして、今後ともこの点については十分注意を払い、一般会計同様特別会計についても今後のことは善処いたしたいと考えております。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予備費使用につきましては、かつて昭和二十七年四月五日の閣議決定の第二項におきまして、国会開会中は特殊なものを除いては予備費は使わないというようなとりきめができております。ところが昨年八月十四日の閣議におきましては、国会開会中は特殊なものを除いては使わないというこの項目は削つてしまつてある。言いかえますと、予備費使用につきまして、この承諾を求めておられるところの二十八年度予備費につきましては、国会開会中、従つて予算を組んで国会議決を求め得られるにもかかわらず予備費使い得るという特殊な状態に置くことを閣議できめておられる。なぜこういうことをされたのであろうか。国会開会中であるならば、当然予算を組んで国会議決を求められるのが、憲法に規定する予算審議権を尊重するゆえんであります。しばしば別の機会に申し上げるがごとく、この内閣はとかく国会軽視する傾向なしとしないのであります。こういうように一旦会期中は、予備費は特殊なもの以外は使わないというようなことをきめておれば、それを一貫すべきであるのに、なぜごれをおはずしになつたか、はつきりした御答弁を願いたい。
  12. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私の在任中でございませんが、しかし事柄はよくわかります。しかし事務的のことですから政府委員をして答弁いたさせます。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いや、それは閣議決定趣旨を伺うのです。あなたの在任中でなかつたら読み上げてもいいのです、二十七年の四月五月の閣議決定では、第二項におきまして、国会開会中は前項の経費——別表のものでありますが、その他次に掲げるものを除いては予備費使つてはならぬ。ところが二十八年の八月十四日の閣議決定におきまして、また予備費使用につきましていろいろな決定ができておる。その中から前に申し述べました第二項の会期中は予備費を使わないという原則を削除してしまつているのであります。こういうようなことは、内閣としまして予備費使用についての重大な原則の変更になりますので、やはりこれは大臣から御答弁願うのが筋じやないかと思うのです。
  14. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御承知のごとく予備費支出については、一々閣議決定を経るのでありますから、特にこういうことをきめなくとも、全部が閣議決定を経て慎重に取扱われておるのであるから、私は何らさしつかえないと考えております。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の質疑趣旨は、閣議決定を経るということは財政法第三十五条によつて規定されてあることも存じておりますが、国会開会中は予算国会に出して決議をして行くということが憲法国会中心財政行政趣旨でありますから、従つて会期中は予備費使つてはならぬというのが昭和二十七年の四月五日の閣議決定趣旨なんです。これはまことにごもつともなんです。ところがこの原則が二十八年の八月十四日に放棄されてしまつておる。そうして会期中といえどもどんどんと予備費が使われておる。現にここに出しておりまする予備費は、一々読み上げることは煩瑣だからやめますけれども、私もあつち、こつちチエツクいたしましたが、ほとんど会期中であります。会期中にたとえて申しますならば、裁判所経費のごとく一億七千五百三十五万三千円に上るような莫大なものが、会期中昭和二十八年の十二月十八日大蔵大臣予備費使用をきめておられる。会期中であります。一億七千万円以上のものが、白紙予備費として使われて行くということは、予備費制度濫用でないかと私は思うのです。今期中であれば、国会尊重の態度に出るという根本原則を、なぜもつと堅持して行かなかつたか、こういうふうにお尋ねしておるのであります。
  16. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今吉田さんが言われた裁判所経費は、吉田さん御承知のように事務的な費用ですから、特にお断りせぬでもいいと思いますが、そのほかにつきましても、一々閣議決定を経ておるし、方針としてはこういうことをきめるのも、またその都度やるのも大差ないと私は思うのですが、しかし大体の考え方として、今お話趣意はよくわかりますから、その趣意は尊重することにいたしたいと思います。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 くどいようでありますけれども、第一点の裁判所の事務的の経費とおつしやるのは、これまた少し認識の問題でどうかと思います。これは大蔵大臣決定をまかされておる事項であることは認めるのでありますけれども予備費使用であるという点については何らかわりがない。それからやはり根本におきまして閣議決定で使うということは、財政法三十四条によりまして、当然内閣責任において支出するのでありますから、当然のことでありまするが、私が申し上げるのは、国会開会中はごく軽微なもの、もしくは特に緊急を要するもの、そういつたもの以外はやはり当然国会予算として組んで議決を求めるということが、国会を尊重し、憲法に従い財政行政の筋といたしまして最も大事なかなめであろうと思うので、その趣旨を尋ねるのであります。ことにたとえばこの調書の第十三ページによりますと、サンパウロ市四百年祭参加に必要な経費といたしまして、外務省は千四百九十一万円の予備費使用しております。ところがきよういただいた資料によりますと、まだ一文使つておらぬ。しかしこれも昨年の十二月二十二日に閣議できめておるのであります。しかもまだ一文も使わずに三月になつておる。こういうようなものにまで外務省予備費使つて内閣予備費使用閣議決定して、国会承認を求めるというようなことは、いささか予備費制度濫用しておるのじやないかと思われますので、私はお尋ねしたのであります。
  18. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今吉田さんの言われたことは、実はブラジル国サンパウロ四百年祭の記念式典の分で、先方の準備の都合がありましてやむを得ず取急いで決定した次第であります。私どもといたしましては、いわば予算と同じように行政上の予算をつくるというぐあいに解しておりますので、従つて内閣がその使用決定して行政上の予算をきめました以上は、支出が終らないものでも国会に出してその審議を願うのが当然だ、こういう考え方から御審議をお願いしておる次第であります。従つて今のサンパウロの分も含まれておるのであります。言いかえますると、これはちよつと吉田さんの言葉をお返しするようですが、国会を尊重するからこういうものを早く出したんだ、実はこう申してもいいのじやないかと思います。     〔委員長退席安井委員長代理着席
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは問答の焦点が大臣と少し食い違つたのであります。私は、まず根本には国会開会中は予備費支出しないことを原則として守つてもらわねばならぬ、すでに内閣閣議決定をしたことがあるので、それを放棄するということは慎んでもらわねばならぬ、でなければ予備費制度濫用になるということが一つ。それから現に国会開会中で予備費支出しながら、先方都合かどうか存じませんが、とにかく三月になりましてまだ一銭も使つておらぬという事態があるじやありませんかというのであります。あと大臣がお述べになりました、まだ使つておらぬけれども国会を尊重するがゆえに承諾を求めるのだということは、また法律解釈の別の議論になるのであります。これはひとつ事務当局なり、あるいは法制局の長官も来てもらつて問答して解明しなければならぬという点があるのでありますが、これは別にしたい。そういう趣旨におきまして、予算審議さすということが国会を尊重することで、予備費事後承諾ということは例外例外だ、こういう建前に立つて議論であります。あくまでも使途を明確にいたしました予算審議を経て、しかる後に金を使うということが国の財政建前でなければならぬ。使つてしまつてあと承諾をしろということはやはり憲法原則例外になるので、例外をしよつちゆうやるということはもつてのほかだという建前なのであります。これはひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。  もう一、二点よろしゆうございますか。
  20. 安井大吉

    安井委員長代理 時間がないから、なるべく早く願います。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 承知いたしました。  大臣に伺つておきまするが、これはあとで詳細の問答はしたいと思いますが、私ども予備費制度につきまして、国会承認を求めなさるその段階等について相当疑問を持つております。といいますのは、今ちよつと大臣もお触れになりましたが、予備費使用のゆえに国会承諾を求めなさるということは、財政法第三十六条の三項によつて明らかになつております。ところでこれによりますと、この内容はただ単に閣議決定を経たというて承諾を求めておられる、決定したというて大蔵大臣承諾を求めておられる。そうするとこの中にはたして使用済みがあるのやら、今のサンパウロの祭に行く経費のように使用せざるものがあるのやら、また所管大臣支出官等に対して示達をした段階にあるものやら、日銀の小切手を切つて支払いをしたものがあるのやらないのやら全然わからぬ、こういうものが一括して予備費使用として国会承諾を求めておるのであります。こういうようなことは予算的性格を多分に持つておる。しからば使途が明確にせられて、使つたのか使わなかつたのか、使用済みかどうかということをもつと明確にして、国会承認を求めるということが、あなたのおつしやる国会尊重趣旨に沿うておると思うのだがこれはどういうものでしようか。予備費というもの使いぱなしにしてあと簡単に承諾してくれるのだという従来の慣例を踏襲して行かれるような感じがしてしかたがないのです。これについて大臣にはつきりと御答弁つておきたいと思います。
  22. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 予備費だから簡単に出すという考え方は毛頭持つておりません。閣議等でも相当厳重に検討しまして、閣議決定を経て出しておる次第であります。ただ、今吉田さんの仰せになつたように、予備費という名目でここで承認を求めておる分は、みな使つておるかというお話でございますと、大体使つておる分が多いのでございますが、まだいわゆる使つていない部分も相当あるのであります。この点につきましては、私ども考え方としては、先ほど申し上げました通り、この予備費支出というのはいわば行政上の予算をつくると同様な意味に解しておるので、従つてどもがその決定をしたらば、すみやかに、これはその支出が終らないものにつきましても、やはり御承認を経ておくことが必要だ、こういうふうに考えておつて、御承認を経ておる次第であります。それではもしその分が承認されなかつたらどうか。それは未使用分残つておれば使わないのがあたりまえでございます。そういうふうで私ども出しておるのでありますが、なおこの内訳については、これから何しますが、この分はどれだけ使つておる、この分はまだ使つていない、これを参考資料としてお出しすることにしましよう。そうすればなおおわかりが願えると思います。
  23. 安井大吉

    安井委員長代理 吉田君、ほかにもありますからなるべく簡明に願います。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは一つだけ聞いて終ります。大臣に伺いますが、予備費がずいぶんたくさんに残るということになりましたら、来年度予算、つまり今年度予算でありますが、二十九年度予算におきましても、これをしんしやくしまして、まだ参議院に予算があるのですが、修正するというような御意思もないでしようか。予備費の削減をそこまでやりまして、私は前に別の委員会であなたと問答しましたごとく、財政監督というものはもつと厳重にしなければいけませんので、画期的に予備費に対して厳格なわくをさらに加えるというような、そういうふうにでもお考えになりませんか。
  25. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 本年度予備費は相当節約額を計上してございまして、ただいまのところみなこれを使用し得る見込みであります。従いましてこの予備費修正等は、正直に申し上げておきますが、私の方が困ります。
  26. 安井大吉

  27. 柴田義男

    柴田委員 大蔵大臣予備費に関しまして伺います。たとえば説明書にもございます五百五十五億八千九百万円のうちから、今私どもの手元に提案されております百七十四億二千九百五十万円をお使いになつたのかならないのか。これは判然としていないのであります。こういうことを見ました場合に伺いたいことの大きな問題は、たとえば今年度、二十九年度予算状況から緊縮予算を組まなければならぬ、こういたしまして一兆円を割つた九千九百九十五億の予算を組んでおられる、こういうことでございますが、一面五百八十五億八千九百万円という予備費をとつておかれながら、実際に使用された金額を合計してみますとただいま申し上げましたような百七十四億二千九百五十万より使用されない、こういたしますと、約四百億というものが余つてしまうような勘定になるわけです。こういうような現実状況を見ました場合に、本年度予算を計上されます場合に、こういうものにも相当考慮払つた予算の計上をやられたのかどうか、こういう点をひとつ伺いたいのであります。  もう一つの問題は、たとえば二十八年度予算におきまして、千百八十九億九千四百万円余の使い残しの金が繰越されておるのであり事ます。緊縮予算緊縮予算と表面は盛んに鳴りもの入り政府当局は宣伝していながら、一面千百八十九億余万円というものを残されておる。こういう現実大蔵大臣は御承知の上で、二十九年度予算編成に当つたのかどうか、この二点を承りたいと思います。
  28. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 一般会計の分につきましては、先ほど御説明申し上げました通り、これはもうほとんどございません。足りないくらいでありますが、今残つておるのは主として特別会計の分であります。それも十二月十五日までの分を出しておるのであつて、その後において相当使われておると思うのでありますが、たとえばその大きいものでいいますと、印刷局のものが三億四千百万円、それから食糧管理会計が九十九億六千五百万というようなぐあいに相つておる。あるいは家畜の関係が十一億四千四百万とか、大きなものはそういうものでございまして、従つてこれは米などは相当時期の関係もありますのでこういうふうになつておるかと存じますが、三月末までにこうなるということではないと思います。
  29. 柴田義男

    柴田委員 ただいま私は二つにわけて伺つたわけなんですが、予備費からも四百億残る、それから二十八年度予算の中からも千百八十九億円以上の使い残しの繰越しが出ておる。二つ状況をごらんになつた上で二十九年度予算編成をされたのかどうか、こう伺つておるのでありますから、もう一度明確な御答弁を伺いたい。
  30. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと誤解しておりました。繰越しの分につきましては、これは今後それらの点も十分考慮しましてやつておりまして、今年繰越し明許としてある分以外には、あまり繰越しは起らないつもりであります。二十九年度予算編成に当つては十分考慮してございます。
  31. 柴田義男

    柴田委員 もう一つ具体的に伺います。たとえば繰越分防衛費が九百億余残されておつた。そういたしまして本年度の残の防衛費というものに対しても漠大予算を組んでおるが、この残された九百億というものがどういうような形で本年度に繰越されてこれをお使いになるのか、こういうことであります。
  32. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは二十七年度からの繰越しをも含んでおるのでありますが、主として保安庁関係に属するものが多いと思いますが、保安庁関係の分は、船の関係が比較的多くあとへ繰越されておる。これは繰越し明許最初からそうなつておりますが、実は日本海軍等がなくなつてしまつて従つて艦船を当初予定してつくりますときも、船の形といいますか、それが容易にできないのです。さればといつて急いでそれをやることは非常に得策でもないので、もうほぼ二月末までにはでき上ると予定しておるのですが——でき上つておると思いますが、そんなこと等が遅れておる主たる原因だと存じます。今後の繰越しは今までのようなぐあいにあることはないと私は信じております。
  33. 柴田義男

    柴田委員 私はそこを伺いたかつたのでございます。もう一点。そういう船の問題に対する予算が余つておるということを、造船会社はすでに十分われわれ以上に知つておる。私ども聞くところによりますと、りつぱな船をつくつておる。そして保安庁に何年度にどういう方法で納めるんだといつて、すでにつくられておる船が相当あると聞いておるのですが、そういうことは現実大蔵大臣は御承知でございましようか、その点を承りたいと思います。
  34. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私は全然耳にしておりませんが、先ほど申し上げたように、艦船のことでございまして、従来日本にはそういうような専門家が一人もいなかつたので、その後いろいろ集めて、設計等に大分手間どつておるようでございますので、私が予算を組むときに聞いたのは、二月末までには設計が完了する、そうして公入札に付してやるということを言つておりましたので、急いで国費を一銭でも濫費してくれるなということを、特に保安庁に注文しておいたのですが、そういう船をつくつておるということは全然知りません。
  35. 柴田義男

    柴田委員 最後に大蔵大臣にお願いしておきますが、もしも業者がそういうものを用意しまして、保安庁予算をねらうような悪徳業者があるといたしまするならば、そういう船ができておつたと仮定いたしましても、保安庁では断じてそういう船をとらないように御確認を願いたいと思います。
  36. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 それは私は当然のことと存じ上げます。従いまして、そういうふうに保安庁にもよく申しておきます。
  37. 安井大吉

  38. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 実は農林大臣がおいでになればたいへん都合がいいのですが、私は予備費の問題で伺いたいのです。農林省の予算になつておりますが、昨年の凍霜害対策、これの予備金支出については、大蔵省と農林省で大いに問題になつたのですが、これがまだ一億ほど残つておる。これはどういうわけで一億残つておるのか。これは残るどころではなくて、実際において農村では足らないので、もう少しと言つておる。われわれはそのときに社会党としては十億の組みかえ要求をしたわけなんですが、これがはねられたのです。これはほんとうは農林大臣に伺いたいのですけれども、農村の方で必要がないということで残つておるのか、これはどういうわけなんですか、それを伺いたい。
  39. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 必要はあると思うのですが、実ははなはだ失礼ながら、そういうこまかいことは私は承知しておりません。従つて農林大臣にお尋ね願いとうございます。
  40. 安井大吉

    安井委員長代理 杉村委員、簡単に願います。
  41. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それでは造船問題のときに大蔵大臣に来ていただくことをお約束申し上げて、私は質問をやめておきましよう。
  42. 安井大吉

    安井委員長代理 ちよつと申し上げますが、ただいま正示政府委員から先ごろの発言について訂正いたしたいということでありますから、発言を許します。正示政府委員
  43. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 恐縮でございますが、過般の当決算委員会におきまする吉田委員の御質問に対しまして、予備費使用承諾に関しまして、私の発言であいまいな点がございましたので、ちよつと訂正させていただきたいと思います。その中で私は、予備費支出という言葉を使つたのでございますが、これは誤解を解くために予備費使用というふうに訂正をさせていただきたいと存じます。  それから杉村委員の御指摘になりました凍霜害対策に必要な経費が、なお九千六百万円余り支出済になつておるが、これはどういうわけかということでございますが、この経費は、御承知通りに凍霜害の関係のいろいろな経費でございますが、ただいまなお支出未済になつておりますのは、技術指導の強化費の補助金が五千三百四十万円くらいになつております。それから凍霜害農家営農資金利子補給補助金というのが四千三百四十万円ほどになつておりますが、これはいずれも一応実績を見まして出すような考え方をとつておりまして、その実績等につきまして、多少調査に手間どつておるようでございます。先ほど来大臣も申されましたように、予備費はいずれも災害その他緊急やむを得ない急ぐ経費でございますが、しかしながら支出にあたりましては、現実にどの程度に、ただいま申し上げたような措置が講ぜられたか、あるいは利子補給が行われたかというようなことを見まして、出すこともございますので、そういう関係から多少遅れておるように承知をいたしておりますが、なお詳細の資料が必要でございましたら、農林省からこちらへ係官が来るとか、あるいは資料としてお出しいたしたいと存じます。
  44. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 実はこれが昨年の五月三十日に決定されておるのですが、実際において昨年の凍霜害の補助金が、昨年の暮れになつてもまだ農民の手に入つておらないという状態なんです。こういうことでは凍霜害の対策費としての意味をなさない。百姓がまつたく困つておるので、ああいうふうな臨機の予備費使つて、これを救済するというためにやつたことなんですが、それがわれわれの国会に出て来る帳簿の上では、五月三十日に決定されて、すぐにでも百姓の手に渡つたように見えますけれども、事実は渡つておらない。これは農林省の役人が来ておらなければ、詳細のことはわかりませんから、これ以上聞きませんけれどもそういつたようなことについてわれわれはこまかく聞きたかつたのですが、これはこの程度で、別に答えをしていだかなくてもけつこうです。あとで農林省の役人が来たときに伺います。
  45. 柴田義男

    柴田委員 予備費の問題は、別に同僚吉田委員からもう少し詳細に伺うようでございますの下、私は国有財産の問題で、これは実際問題といたしましては、評価の仕方もございましようし、いろいろな角度から検討を要するのでございますけれども、概括的に伺いたいことは、たとえば林野庁所管の立木であるとか、あるいは国有林の土地の問題というようなことに対しまして、何年ごろに評価をされたものであるかを伺いたいと思います。
  46. 木村三男

    ○木村説明員 林野庁の関係でございますが、これは政府の中でも企業会計としまして、毎年計画を立てまして、国有財産台帳の方には変更はないといいますか、切つただけ植えて行くという建前をとります。造林計画等によりまして、当該年度当初に計画を立てまして、そして資産は、切つただけは新しく植えて行くということになりますので、その都度評価がえはいたしておりません。但し払下げにあたりましては、時価をもとにしまして売払いをするという方式をとつております。
  47. 柴田義男

    柴田委員 小学校の一年生でもないから、そんなことを聞いておるのではない。少くとも大蔵省の国有財産第一課長であるならば、もう少し具体的にわれわれに説明する親切さがなければならぬはずである。われわれはそんなたやすいことを聞いておるのではなくて、いつの時代にあれを評価したのかということを伺つておる。われわれは地方におつてよく知つておる。営林署の署長やあるいは営林局の局長等が、たとえば具体的に申しまするならば、何々パルプ会社、何々業者というものといろいろな関係を結んでおる。そうして不当な随意契約をいたして払下げを行つておることを現実にわれわれは知つておる。ですからこういう問題に対しまして大蔵当局は財産保全に対してどういうような監督をされておるのか。もう一つは、このわれわれに提示しておるところの国有財産の評価というものは、いつの時代にやつたものを評価として出しておるのか、こういう点を伺つておるのであります。もう少ししつかりしてお返事願いたいと思います。
  48. 窪谷直光

    窪谷政府委員 国有財産の評価の時点のお尋ねでございますが、国有財産の台帳に計上いたしておりますのは、その当時の取得価格を計上いたしております。従いまして古い時代に取得いたしましたものはそのままの価格で載つておるわけであります。二十六年度末に参考的に評価がえをいたしておるのでありますが、これは別途再評価調書として、これはもちろん法律に基く書類でございますが、前の国会に御参考までに御提出をいたしてあるのでございますが、それは評価がえの数字だけをやつております。しかしながら台帳の訂正はやらないという建前に相なつております。従いまして、現在のところでは台帳価格は取得価格で計上されているということに相なつております。
  49. 柴田義男

    柴田委員 だんだんに見通しがついて来ましたが、そういたしますと、取得価格と申しますと、たとえば現在持つておる林野庁の所管に係る厖大な山林というものは、どこからか買つたものはほとんどないはずだ。明治の、いわれる土地改革の時代から国有林野として持つてつたはずでありますが、そういう状態のものは明治の昔からのままの評価でございましようか。重ねて伺います。
  50. 窪谷直光

    窪谷政府委員 ちよつと記憶がはつきりいたしませんで恐縮いたしましたが、若干私の説明が不十分でございまして、台帳に計上いたしますのは、取得をいたしましたときに取得価格を計上いたしまして、旧国有財産法におきましては、五年に一回評価がえをいたすことに相なつておるのであります。新国有財産法になりましてからは、二十六年度末に一応参考的に評価がえをいたしたのであります。従いまして新国有財産法のもとにおきましては、台帳価格を評価がえをして計上したものはないのでございますが、旧国有財産法の時代には、御承知のように五年に一回評価がえをいたすことに相なつておりました。そのときに新しい価格に評価がえされております。従いましてお話のような、明治の初年と申しますか、ずつと昔からありましたようなものにつきましても、現在におきましては昭和二十二年度末の評価ということに相なつております。その後におきましては、評価がえは台帳の上では計上されておられないということに相なります。
  51. 柴田義男

    柴田委員 大分だんだんにわかつて参りますが、ただ私どもが懸念いたしますることは——大蔵省の当局を非難しようという考え方は持つていない。そういうけちくさい考えは持つておらぬが、心配いたしますることは、営林署は一箇年の方針があつて、その方針のわく内であつたならば、たとえば何々営林署——今何という言葉を使つておりますかわりませんが、収入の一つの目標を立てて、そうして営林署の経営に当つておる。一局ごとでございまするか、あるいは一営林署ごとにそういう計画を立てておるということを聞いておるのでありますが、たとえば大きな山林を、非常に安い価格で業者とのトラブルが行われて払下げをやつておるというようなことは随所で聞いておるのであります。こういう点に対しまして、これは一切の財産の管理は大蔵省にあるんだから、農林省あるいは林野庁等に対しましても、もう少し監督を厳重にしてもらいたい。これは会計検査院の池田さんもここに御列席でございまするから、この場合そういう点を特に申し上げておきたいと思います。
  52. 山田長司

    ○山田(長)委員 管財局長がお見えになつておるのでちよつと伺いたいのですが、実は日本銀行の地下室に戦争中の金だの銀だのダイヤモンドだのいろいろな物資がたくさんあります。実は行監でその問題を去年私たちが行つて調べたのですが、そのときあなたの部下は、時価どんなに見積つても四、五千億のものがあるだろう、こう言つておられた。ところが最近の新聞紙上などを見ますと、一千四、五百億のものだろうということで、まるで私らはきつねにつままれたような話です。戦争中貧しい人たちが、勝つために、なべだの、かまだの、火ばち、あるいはお寺のつり鐘まで供出しておいて、今日本銀行の地下室にあるものを一千四、五百億のものだ、こういう最近の新聞を見まして、どうしてそんな開きがあるのか、しかも専門家がわれわれを日銀の地下室に案内してくれて、四、五千億あるだろうと言つてつたものが、どうしてそういう金の開きができたものか、こういう疑念を抱いておるわけです。その点についてどうしてそんな開きが出たものか一応伺いたいと思います。
  53. 窪谷直光

    窪谷政府委員 大蔵省当局から接収されまして日本銀行その他に保管されておりまするものの価格は、四、五千億になるというふうなことを言つたことはないと存じますが、おそらく何かの間違いではなかろうかと想像いたされます。それからなお現在保管しておりますものがどれだけの金額になるかという評価は、評価としてはつきりやつたものは実はまだございません。それでどれくらいなものになるだろうかということでいろいろお尋ねがございますので、それはこういうようなことで一応私どもはお答えしておるのであります。一番問題は禁制品等のものであります。これは昔——昔と申しますか、昭和十二年支那事変が起りましてあとに、売りもどし条件付で日本銀行に売り渡した禁制品がございます。これは金のいろいろな細工物があるわけであります。中には金の茶がまその他等もございまするが、そういうものは美術と申しますか、骨董的な価値が相当あるだろうと思います。これはどうも私どものようなしろうとではその評価はなかなかできないのでありまして、まだその評価をするような段階には至つておらないのでありますが、かりにそういうものを金の純分の価格で計算してみると、どのくらいになるであろうかというふうなことはやつてみたことがあるのであります。なおその場合に金の純分といたしましても、国内の小売相場で見るか、あるいは政府の買入れ価格で見るかあるいは国際市場における金の価格で見るかということによつて若干の相違が出て参るのであります。一応金の地金につきましては、国際市場価格と申しますか、一オンス三十五ドルというアメリカにおける政府の買入れ価格がございますが、これが世界市場の基準になつております。かりにそういうもので見るといたしますと、ちようど一グラム四百五円ということに相なつております。この四百五円という数字は、貴金属特別会計が新産金を買い上げます場合の価格が、同様に四百五円であります。それでかりに金の評価をいたし、さらに銀につきましても、銀貨であるとかそういうものがございますが、これも同様に銀の純分の価格で見る、それを国際市場におきます価格で見ますと、一キロが約千円程度に相なります。そういうふうにいたしまして金、銀、白金等については、地金の価絡で見るということにいたしました。それからダイヤモンドにつきましては、占領中に連合国軍の最高司令部がアメリカから専門家を呼びまして、さらに日本の専門家もそれに参加をいたしまして、一応の評価をいたしたものがございます。そういうものを土台にして計算いたしますと、約七百億程度に相なるということでございまして、私どもといたしましては、この数字以外には申し上げたことはないというふうに考えておりのであります。従いまして四千億とか五千億とかいう数字は全然記憶がございませんし、また千四、五百億というような数字を発表と申しますか、申し上げたこともないと存ずるのであります。
  54. 山田長司

    ○山田(長)委員 責任者が申されることですから、大体正確なものと思われるのですが、実は私は日銀の地下室に行つた当時、係の人からそういう話を伺つた記憶があるわけです。それで私の記憶が、もう二年ほど前になるから、はたして正しいかどうかということで今伺つたわけですが、しかし新聞などに発表されている数字から推してみると、管財局の発表だと私は思うのですが、その点は管財局の発表でなかつたように今おつしやられますけれども、どうも私にはその点ふに落ちないところがあるわけです。  そこでもう一つ伺いたいのですが、骨董的価値のあるものだから、買いもどし契約をして戦争に勝つために納入させたものだというけれども、何のためにやつたか私にはどうしても理解できないのです。聞くところによると、金杯とか金の茶がまとかそういう非常に金目のある品物を返させるために法規をつくらせる運動をしている人があるといううわさが飛んでいるのです。それはそうでしよう。一つの茶がまが二千万も三千万もするというのですから、全然無一物に近い、焼け出された人が中にはあるかもしれないけれども、その人たちがその茶がま一つつて来ることによつて一応財産家になれるのだということで、そういう法規をつくろうという動きがあるのですが、こういうことは管財局がほとんど国民に知らせていないと思うのです。今ジイヤンドだけで七百億と言われていますが。その七百億のダイヤモンドだけじやなく、金の延棒とか銀の延棒とか、そういう貴金属を全部入れて何とか有効に使う。今日本中に困つておる人がたくさんおるのですから、一部の人だけに返すというのじやなく、また買いもどし契約書があつても十年以上もたつていて、これは無効だと思いますから、そういう点で管財局としても戦後における日本の国民の実情を十分考えてもらいたい。契約書が張つてあるからこの金杯と金の茶がまは返すのだということで、いかにもごもつともらしく昔のものを法律的にやつて——もう何年もたつておることなんですから、買いもどし契約書に従つてこれだけは全部返すのだというふうに、後生大事にいつまでも主張する必要はないと思う。家は焼かれ、親兄弟をなくし、親戚縁者をなくした者が日本中にうようよしておるときに、これを社会施設にどんどん使つてもよいと思う。この買いもどし契約などというものが、一部の日本の特権階級だけに許されておるということを国民が知つておれば怒ると思う。後生大事にしまつておいて、そしてそつと返してやろうということにしかわれわれには考えられない。そういう点について管財局は何か法規をつくつてもどそうとしておる意図があるようですが、この点について何とかもつと強く主張できなかつたものかどうか、一応伺いたいと思う。
  55. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず第一点のダイヤモンドだけで七百億というふうにお聞取りになつたようですが、ダイヤモンドを含めて金、銀、白金その他の貴金属類の総額でございます。もちろん評価の方は地金の純分で計算しておりますから、その辺はいろいろ見方があろうかと思いますが、ダイヤモンドだけで七百億ということではございませんから誤解のないように願いたいと思います。  なおこれをどういうふうに処理するかというお尋ねでございますが、これは私どもといたしましては国会で立法をしていただきまして、その処理の方法をきめていただくというふうに考えております。今事務的にそれの法案と申しますか、その処理についての研究をいたしておるわけであります。別にまだ返すのだというふうに決定はいたしておりません。これには今仰せになりましたような問題もございますし、また憲法上の問題もございますので、その辺を十分に考慮して、立案をいたしまして、国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えておるのでありまして、その立法をする以前にそつと返すというふうなことはまつた考えておりませんので、その立法のときに十分御審議をいただけるものというふうに考えておる次第でございます。
  56. 山田長司

    ○山田(長)委員 実は管財局長に参考までに申し上げておるのですが、町の貴金属商人は、法規をつくるにあたつて、安く払下げを受けようというので、実は貴金属商人自体が、これを非常にねらつておるといううわさがあるのです。これはもちろんあなた方が言われるように、骨董をつぶし値段で処理しようと考えておられるのでありますから、貴金属商人というものは、どういうねらいを持つておるか知りませんけれども、とにかく日本中に困つておる人がたくさんおられるときに、これがもちろん法案として審議をされるにしても、やはり法をつくる最初の精神として、あくまで私は一部の限られた貴金属を出した人にだけ買いもどしをさせるという考え方で、この法をつくらせないように、あなた方も法の立案者に対して相当な意見を申し立ててただきたいと思います。  それからもう一つは、これは行監で問題になつたことなんですが、アメリカにマレー大佐が上陸するときに、ポヶツトからころがり出たダイヤは相当大きなものです。そういう点で行監で調査が不十分だつたんじやないかと一応考えられるのですが、各地に分散されたこのダイヤの中に、まだまだ国内へもどして来てもいいものがあると思われる。サンフランシスコに上陸するときに、マレー大佐のポケツトからダイヤがころがり出て、それをサンフランシスコから持ち帰つて日本銀行の地下室に現在入れてあるのですから、こういう一つの例をもつてしても、アメリカ当局に向けて、こういう状態になつておるときに、まだほかにもありはしないかという強い主張をしてもいいと思うのですが、こういう点、大蔵省としてなされたかどうか、一応これも伺つておきます。
  57. 窪谷直光

    窪谷政府委員 平和条約が発効いたしますまでに、米軍当局でそういう不正を発見いたしましたものは、処理をいたしておるように私は聞いております。今お話になりましたのは、まさにこの例でございまして、これはまさに不正に持つて帰ろうといたしましたのが発見されて処理をいたしたのであります。従いまして大体平和条約の発効までに、連合軍としては誠意を持つてそういう問題は処理をしておるというふうに考えて参つておりますので、講和条約が発効いたしましてからは、連合軍最高司令部というものが解体になつておるという関係もございまして、米国政府にこのほかにそういうものはないかというふうな特別な念押しは、今のところはいたしておりません。返さないような立法、——返さないと申しますか、立法について、元の所有者に返すというふうなことでなしに、やれというふうな御意見のように拝承いたしたのでありますが、この点につきましては憲法上の問題もありますので、私どもといたしましては、憲法の許す限り公共の利益に合致するようにということを考えて、目下研究をいたしておるような状況でございます。
  58. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それに関連して伺いたいのですが、これは非常に重要な問題ですが、このいわゆる供出物件については大蔵省管財局では、全部物件目録ができておるのかどうか。その点が一点。それから今までに寺のつり鐘などですでに返されておるのがあるのですね。それともう一つは、これは公知の事実ですが、三越の入口にあるでしよう、あの銅でできているしし、あれは戦時中に供出されたのです。供出されたのにもかかわらず、その後いつのまにかあそこに返つて来て飾られておる。こういうことになつておるのですが、今あなたの答えを聞いておると、買いもどし契約付のものもあるとかないとかいうようなことなんですが、これは今までに返したものもあるのではないかと思うのですが、そういう事実はあるかないか。それからそこに保管されておる物件は、非常に多額の金額に上る。今の問答で七百億か、五百億か私どもにはわからないが、少くとも何百億というような莫大な価格のものを保管しておるとするならば、この保管方法として、当然に物件目録が何かできていなくちやならないと思うが、それらはいかがでありますか、その二点についてお伺いいたします。
  59. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これの物件目録といたしましては、連合軍最高司令部時代に一応できておるのがございます。それを引継ぎましたあとで現物と照合いたしまして、今日におきましては完全な物件目録が調整されまして、保存をいたしております。なお物件そのものは日本銀行の東京、大阪の店、それから造幣局の東京の事務所と大阪の事務所にあります金庫に、それぞれ厳重に保管をいたしてございます。それらの保管の状況につきましては、御心配のない状況であろうと存じます。それからなお、返したものがあるかというお尋ねでございますが。日本政府にこれの保管及び管理の責任が、総司令部から移されましたあとは全然ございません。これは私どもといたしましては、立法をお願いいたしまして、その立法によりまして、どういうふうに処理するかを明確に定めていただいて処理をすべきものというふうに考えまして、中には今お話に出ましたように条件付で売つたものについては、所有者もはつきりしておるから返して、くれというような陳情もままあることはございますけれども、これはすべて立法によつて処理をきめるということにいたしておりまして、一件も返還をいたしたものはないのでございます。ただ講和条約が発効いたしますまで、すなわち連合軍総司令部がこの貴金属類について処理の権限を持つておりますうちに返したものはございます。これも向うから接収をして返したという記録が日本政府に渡されておりまして、そういうものはございますが、日本政府責任が移りましてからは一つもないような状況でございます。  それからなお今私どもが保管をいたしておりますのは、連合軍の権力と申しますか、権利によりまして、向うの権限ある軍人、軍属が接収をして行つたものであつて日本政府に返つて来たものだけでありまして、今お話になりますような三越の銅でできましたししの像というものは、どういうふうになつておりますかということは、私どもとしては全然関与をいたしておりません。私どもが関与をいたしておりますのは、戦争後に連合軍が接収をして行つたものを今日保管をいたしておるという状況に相なつております。
  60. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は自分がその衝に当つておるのではないから、あなた方から話を聞けば、それを聞いておるよりしかたがないのですが、われわれは当時金火ばちまで真鍮でできておるものは出し、やかんのようなものまで出しておるのに、三越のあれだけは隠されたというのか、あるいは連合軍があそこへ返したのか、その点について御調査になつたことが、ございませんか。  それからなお、私どもはこの際その保管の物件目録を、委員長に出してもらいたいと思う。ということは、実際においてどれだけのものを管財局で管理しておるのかわからない。やみからやみに葬られて行くということになると、これはたいへんなことになる。それといま一つは、いわゆる返り所のない物件は国庫に帰属しておるものと思うが、それは国有財産に組み入れられておるのかないのか、その点を伺いたい。
  61. 窪谷直光

    窪谷政府委員 ししの像につきましては全然私どもとして調査をいたしたものはございません。これはもう少し事情を調査してみないとわかりませんが、連合軍が、あの像を接収したというふうなことはちよつと考えられないのであります。大体金、銀、白金、ダイヤモンドというものを中心にして接収をいたしたのでありまして、中には銅貨あたりがごくわずかでございますが、接収されておりますが、それはある収集家等が銀貨あるいは金貨と一緒に混在しておつたのをそのままやられた程度でありまして、ししの像を連合軍が接収したというようなことはおそらくないと存じます。それからなお物件の目録を国会に出せというお話でございますが、まことにごもつともなことではございますが、何分にも厖大なものでございますので、必要がございますれば、その原本をこちらに持つて参りますので、それをごらんくださいますことで御了承賜りますれば非常に仕合せに存ずる次第でございます。
  62. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 もう一点返り所のないものについて……。
  63. 窪谷直光

    窪谷政府委員 なおお答えを一つ漏らしましたが、現在政府が保管しておりますものは、もちろん昔の——昔と申しますか、現在の貴金属特別会計でございますとか、あるいは造幣局特別会計でありますとか、あるいはまた軍が持つておりましたのを接収いたしましたのがございます。これは国の財産ではございますが、これらも一括して混合して保管をされておる状況でございまして、これをふるいわけをいたしまして、処理をいたす必要があるのでございまして、今保管をいたしておりますもので、これはおそらく国有に帰属するであろうというふうに考えられるのはございます。しかしながらそのものに何ら表示がない、たとえば地金等におきまして占領中鋳つぶされたりなんかしておりますので、それらのものにつきましては、これから立法をいただきまして、その法律に基いてその処理をいたすということに相なろうかと存じます。
  64. 柴田義男

    柴田委員 今、昨年度の十六国会かと記憶しておりますが、ダイヤモンドその他の問題で、同僚山田委員も質問しておりましたが、大分明らかになつて参りましたけれども、たとえば何百億というような計算の基礎がなければならぬと思います。たとえばダイヤモンドの場合、われわれは行政監察委員会で盛んに研究されました速記録等を見まして、非常な関心を払つておるものでございますが、あのダイヤモンドが十六万カラットあつたように記憶しております。そうすると、十六万カラットのダイヤの評価ということに当りました場合に、将来これの払下げを業者等がねらつております場合に、一カラット四万円そこそこで計算をしておる、こう聞いております。あるいは実際の国際市場の価格から申しますならば、ダイヤでももちろん種類がございましようけれども、今日銀の地下室にあるような種類のダイヤであつたならば、大体一カラット十数万円することは、国際価格としての常識なんです。こういうことに対しまして、どういう評価から、あの物資が全体で七百億前後あるのであろうということを御計算になつたのか。参考に一カラット幾らの計算でそういう金額ができて来たのかを承つてきたいと思います。
  65. 窪谷直光

    窪谷政府委員 仰せのように、どの価格をもつて基準に考えるかということによつて、これは相当開きが出て参ると思います。仰せの通りだと思います。一応私どもが今試算的に見ておりますものは、占領軍が当時評価をいたしましたもので考えておるのでありますが、その評価の基準は、卸売相場で見ておるようであります。従いまして、小売相場で見ますと、その間に相当の開きが出て参りますのと、それからなお、今保管をしておりますダイヤモンドにつきましては、品質が非常にいいものもありますし、またそうでないものもございます。従いまして、それはそれぞれ色合いなりあるいは品質なりというもので格付をいたしまして、それと当時のニューヨークにおきます相場等を参照して——これも卸売相場のようでありますが、それを参照いたしましてつくつておるのであります。これを全体的に平均いたしてみますと、たしか今お話に出ましたように、一カラット四万五千円程度に相なつております。この評価が卸売相場の評価として不当なものであろうかどうかというので、私どもそういうような個々に当りましての知識はございませんものですから、大観的な資料はないかというので、先般来アメリカが欧州から輸入をいたしました装飾用ダイヤモンドの輸入価格の平均というようなものをいろいろ調べてみたのであります。これはあるいは御参考にならないかと思いますけれども、その数字を御参考までに申し上げてみますと、一九五一年でございますから、両三年前でございますが、そのときのアメリカにおきます輸入装飾加工ダイヤモンドでございます。これの一カラット当り輸入価格の平均が、百二十八ドル八十二セントということに相なつております。これを三百六十円の円で換算いたしますと、四万六千三百七十五円二十銭ということに相なります。なおその翌年の一九五二年に米国が輸入いたしましたのが、一カラット当り百十七ドル八十二セント、ごくわずか下つておりますが、これを同様に三百六十円で換算いたしますと、四万二千四百十五円ということに相なつております。もちろん、このアメリカにおきます輸入ダイヤモンドの品質の総平均的なものと、今保管をいたしておりますダイヤモンドの総平均的な規格でありますとか、品種というようなものは、比較はちよつと不可能でございますが、何らかの御参考にはなろうかと思います。そう不当な価格でもないのではなかろうかというように考えておる次第であります。
  66. 柴田義男

    柴田委員 今平均価格を承りましたが、現在アメリカの輸入ダイヤと、現在日本が持つているダイヤの品質は、われわれしろうとでわかりません。ただ一般の市場価格は、大体われわれの記憶では、現在十六万円前後だと記憶しているのです。ことにデパート等に行つて小売価格を見まするならば、一カラット二十数万円しておることは事実なのです。こういう点も大蔵当局が十分御認識の上に立つて考えを願いたい。これだけ申し上げて、私の質問を留保しておきます。
  67. 安井大吉

    安井委員長代理 大上君。
  68. 大上司

    ○大上委員 私は本日付記になりました二法案の基礎的な観念を固めたいと思いまして、会計検査院に二、三お尋ねいたします。昭和二十五・六年度批難事項がそれぞれ出ておるのですが、特に昭和二十七年度の批難事項は一千八百十三件で、これのたとえば不当事項及び是正事項としての総合計金額、もつと詳しく言うならば、不適格品又は不用の物件の購入のごとき、すなわち死に金を使つたと思われるような金が百二億円余り出ております。そこでまずその基礎となつております昭和二十六年度の決算報告の中の第一章の第四節には、第一からずつとございますが、その中に、いわゆる収納未済とか、契約の締結とかあるいは不急不用又は不経済な経費使用とか、物品の経理とか、公共事業費、補助金あるいは架空の名義による支払その他不法の経理、職員の不正行為等項目がずつとわけられております。特にあなたは現在は事務総長でございますが、当時は検査院の第一局長で、特に税を扱つておられました。ところが昭和二十七年の決算報告の第一章の第四節の中には、租税という問題が取上げられております。すなわちその項目のわけ方が、新しいものが出て来ておるのであります。あるいは用語の使い方で言うならば、予算の効率的使用という言葉がある。あるいは予算の不当経理という熟語を使つておられます。そこでその税に入るまでに千八百十三件の批難事項として書出しているものについては、いわゆる会計検査院に検査官会議があるが、どの基準を持つたものを批難事項としておあげになるか、その基礎条件を承りたい。農林省にもたくさん批難事項が出ております。その中で昭和二十七年度分についてはこれからやつて行きますが、特に今度の国有財産等の問題につきましても、その批難事項の基準がわからないと、われわれは審議上非常に困るので、でき得るならば批難事項の基準を詳細にお知らせ願いたいと思います。
  69. 池田直

    ○池田会計検査院説明員 お答えいたします。ただいま大上委員からの御質問でございますが、検査報告に不当事項あるいは是正させた事項として整理いたしました基準が、どういうようなものであろうかという御質問でございます。会計検査院といたしましては、検査報告に掲示します事項につきましては、まず検査院法にこういうふうなものを検査報告に掲示すべしという院法の規定がございます。なお、院法及び院法の施行のために必要であります規則、これによつて大きな検査報告にどういうような事柄を記載すべしということをきめております。これの検査官会議の議決を経たものを、検査報告の不当事項あるいは是正させた事項として整理しておりますが、その大きなことは、私から御説明申し上げないでも、法律の規定によりまして御承知通りと存じますので、これは省略させていただきます。ただいまの御質問の御趣旨は、個々の具体的の案件をどういうふうに拾い上げるかという具体的の基準の問題ではなかろうか、こう考えております。かりに検査報告に掲記します事項が法令に違背する、あるいは予算の執行が予算の定める規定に基いていない、こうした事柄は検査報告に掲げなければならないことになつておりますが、私から申し上げるまでもなく、一銭一厘の小さい金から大きい金に至るまで、色とりどり違法の事項あるいは不当の事項がございます。しかしこれを際限なく掲げますことは検査報告があまりにも厖大になりますし、一つには会計検査院といたしましては、不当事項、違法事項を指摘しまして、将来大いに会計監督上国の経理の是正、改善をはかるために、すべての事項を掲げることもこれまた非常に必要なことではありますが、事柄が至つて軽微なこと、またほんとうのケアレスで法令に違背した事項を、検査報告にわざわざ指摘して国会の御審議を仰ぐことは、検査報告あるいは決算の御審議の重点的なお取扱いの上からもかえつて煩瑣になりはしないか、そうした考え方からして、かりにただいまお示しの予算の効率的の使用——物を高く買つたというようなことは、一つ支出事項で一定の金額を大体標準として、何十万以上の国に損害を与えたとか、あるいは違法な処置があつた、そういうような一定の金額をきめまして検査報告の掲記の基準をつくつておりまして、そして検査報告があまりにもアトランダムにならないようにいたしております。今こまかい内輪の基準の条項は、書いたものは持つて来ておりませんが、事実今御質問の通りに、一定の基準をもちまして公正に厳正に処理するように心がけておる次第でございます。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は過日の委員会におきまして、政府予備費支出につきまして国会承諾を求めておる件につき憲法上及び財政法上の疑義がありますので、この際その点につきまして質疑を続けたいと存じます。大蔵当局に伺いますが、過日の委員会におきまして、予備費支出なるものは、要するにこの総調書並びに調書等によつて明らかに記載されておるごとく、閣議決定を経た、あるいは大蔵大臣決定を経た、こういう事実によつて予備費支出がありしもの、こういうふうに解釈になり、そういうように御答弁になつたのでありますが、この点はさらに確認をしておきたいと思うのであります。字句の訂正がありましたから、重ねてお伺いしておきます。
  71. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。予備費使用につきましての使用調書、これにつきましてこの間うちいろいろお尋ねをこうむりましてお答え申し上げましたが、先般も申し上げました通り予備費支出の解釈につきましては、従来からこれによりまして新しい項の金額をつくつたり、または既定の項の予算金額を増加するというのがこの予備費使用支出という意味にわれわれは解釈しておるのであります。新しい項ができる、あるいは既存の項に対して予算金額を増加する。その手続を終りますと、これが予備費使用をした、その場合が、あるときは閣議決定により、あるものにつきましては大蔵大臣決定によつて、さように相なることにいたしております。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さきに主計次長から、本日の委員会おにきまして、前会の答弁のうち予備費支出と言つたの予備費使用趣旨に訂正したい、こういうふうな申出がありましたが、それはさように聞いてよいのでありますか。
  73. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。先般の当委員会におきまして、吉田委員からの御質問に対しまして、私の言葉が使用と申したりあるいは支出と申したり一定をいたしておらないのでございますが、御承知のように財政法第三十五条には予備費使用という言葉を使つておるのであります。また三十六条には支弁した云々という言葉を使つておるのでありますが、前回委員会におきまして吉田委員が御指摘になりました支出済みが幾らであるか、また支出未済が幾らであるかというような御趣旨に対しましての答えの言葉といたしましては、われわれの出しております案件は使用調書であるというふうに申し上げることが妥当である、こういうことで先ほど発言をいたした次第でございます。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもそれだけでは私どもはつきりと納得はできぬのであります。使用調書であるという御説明でありますけれども、要するにそれは憲法の八十七条の二項によります支出に該当するのかどうか、こういうことが私のお尋ねする趣旨であつたのであります。そこで支出である、同時にそれは財政法三十五条に記載されたごとくに使用である、だから使用支出も同じである、というふうにこの際はお述べになつておるのかどうか、こういうふうにも確かめておきませんと、これは前提がはつきりしませんので、ひとつはつきりとさしてもらいたいと思います。
  75. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 前回委員会におきましても、この法律上の解釈につきましては、専門の柳澤説明員から申し上ぐべきところがお答えの機会がなかつたのでありますが、本日は特に専門の方々にもおいでいただいておるわけでありますけれども、私の申し上げました趣旨は、当決算委員会に御承諾をお願いいたしておりますところの使用調書、この使用という意味におきまして一応御承諾を得たいということでお願いをいたしておる、こういうことを申し上げたのであります。なおこの点につきましては先ほど大蔵大臣が参られまして、使用ということで御承諾をお願いいたしておるのであるが、その御承諾に関連しまして現実にどの程度のものが支出済みになつておるか、また支出未済であるかということは、私どもの方から参考資料として出すようにというお話がございましたことは、御承知通りであります。私どもは、この案件について、御承諾を得るために必要な限度におきましては、支出現実状況等につきましてもできる限り資料を整備いたしまして、提出をいたしたいとかように考えております。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 問題が少し焦点をはずれて御説明になつておるようでありますが、これはひとつ法制局との間に質疑応答をしてみたいと思います。法制局におきまして、憲法第八十七条第二項に「すべて予備費支出については、内閣は、事後に国会承諾を得なければならない。」とありますが、この予備費支出というのはどういう趣意に解しておられるのですか、御答弁を願いたい。
  77. 林修三

    ○林政府委員 この憲法八十七条二項の予備費支出についての国会承諾でございますが、この規定を受けまして、財政法では第三十五条第三十六条に予備費使用の手続あるいは使用調書の作成手続等を規定いたしておるのであります。従いまして憲法八十七条で申しております予備費事後承諾についての対象となる支出ということは、財政法におきましては第三十五条、第三十六条を受けておるものとかように考えておるわけでございます。財政法では第二条で支出とは現金の支払いを言う云々と書いてありますが、必ずしも憲法に書いてあります支出の意味がただちに財政法支出の意味と同じだということにはならないかと思うのであります。この財政法憲法八十七条の手続をかようにきめてあります以上、やはりここにおきます支出は、いわゆる予備費使用についての御承諾、こういうふうに法律的に手続がきめられておるものだ、かように考えるわけであります。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこをもうちよつとおちついて答弁をしてもらいたい。何も私ども財政法の解釈をあなたに聞いているのではない。憲法支出というものを承りたいのです。憲法八十七条二項の支出とは一体何をさすのか、それをはつきりしてもらいたい。きようは長官が参議院に出ていて来られないというのだから、あなたが法制局を代表して責任をもつて答弁するとおつしやるのだから、その支出とは何を言うのかはつきりしてもらいたい。財政法説明あとにしましよう。
  79. 林修三

    ○林政府委員 この憲法支出という意味ですが、今財政法あとにせよというお話がありましたけれども、やはり財政法は、実は憲法に付属いたしまして、憲法財政に関する章の実施の手続をきめております法律でございます。従いましてこの財政法は、やはり憲法趣旨を受けてあります。そういう意味におきまして……。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとあなの発言の途中ですけれども、ここは財政法のいろいろな解釈、見解を通して、憲法支出を解釈するという御趣旨ならわかりますが、財政法国会承諾を求めんとする手続の規定の趣旨の解釈は、第二段に置きたいのです。憲法上の解釈はどういうふうにお考えになるのかを端的に申し述べてもらいたい。その両者の関連、いわゆる憲法財政法との関連の御説明は一応お互いにわかつておるものとして省略いたしまして、憲法上の解釈を法制局として責任のある御答弁を聞きたい、こういうのが私の趣意なんです。
  81. 林修三

    ○林政府委員 ただ支出という言葉それ自身では、実は憲法というのは御承知のように割に漠然とした規定でございますので、この支出の意味いかんということにつきましては、憲法だけから言えばはつきりしたきめては——きめてと申しますか、ないわけであります。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 じようだんじやありませんよ。憲法は独立して解釈ができないという、そんなことはあなたの独断ですよ。憲法憲法ですから、ぐだぐだとあつちこつちまわらずに、なるべく——私は制限しませんよ、制限しませんけれども、何とかここのきちんとした解釈をあなたの方で出していただきたい、そうして疑義を明らかにしたいという趣意なんですからどうぞそのおつもりで……。
  83. 林修三

    ○林政府委員 いろいろおしかりをこうむつたわけでありますが、憲法の解釈は付属法令としての財政法との関連において——憲法の制定されましたあとの議会で付随して判定せられました財政法と関連して、財政法がどういう趣旨でできておるか、これはもちろん憲法を施行するためにできておる法律でございます。従いまして財政法は、憲法と同時に解釈しなければならぬ、こういう意味で申し上げておるのでありまして、その点は御了解をお願いしたいと思いますが、やはり財政法を引合いに出すことは、これは憲法を実施するための法律としてできておる、そういう意味で実は先ほどから申し上げておるわけであります。財政法におきまして、この予備費支出の手続をきめておるということ、その支出の手続として国会承諾を経る対象として使用という言葉をきめておるということ、こういうことは憲法を御制定になりました議会に引続きまして財政法を御制定になつたものと考えるわけであります。当然支出というものはそういう意味であるという解釈のもとにこの財政法も御制定になつておるものと考えるのであります。ここで言つております予備費支出は旧憲法時代からの——旧憲法時代では支出という言葉は使つておりませんけれども、大体旧憲法時代の予備費事後承諾と同様な趣意ということで、これはできておるものとわれわれは解釋いたします。従いまして使用ということは、今の財政法できめております使用という意味、こういうふうに解釈するわけであります。
  84. 安井大吉

    安井委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、管財局長を参議院の決算委員会から要求して参りましたが、よろしゆうございますか。——ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  85. 安井大吉

    安井委員長代理 速記を始めてください。  ちよつとお諮りいたしますが、管財局長もお忙しいのでありますが、さつき財産目録を出せということについて多量であつて原本はお見せするが、写しだけはかんべんしてもらいたい、こういうお話があつたのですが……。
  86. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 その点は先ほど各派の了解を得て、大量のもの全部を出さなくていいことになつているのです。要するにダイヤモンド、金の延棒、銀の延棒など重要な物件だけでいいのです。今船の問題で大騒ぎしているが、そんな百億や二百億の問題ではないのだから。そこらへんのなべやかままで出せというのではありません。ダイヤモンド・金の延棒、銀の延棒、それだけでいいのだから、それをひとつ提出していただきたいと思います。
  87. 山田長司

    ○山田(長)委員 関連して、今話されたことでちよつと落ちているから追加して申し上げておきます。実は私ふに落ちない点がある、というのはあなたの部下がこの中に金の延棒が入つているからと言うので、その箱をあけてみたら、中には金の延棒でなく、銀の延棒が入つていたのです。そういう点で、今の資料の中には、入れ物の中にちやんと、これは金が入つているものであるとか、これは白金の延棒が入つているのだとかいう説明がなければならぬと思う。物件目録で延棒が幾らというのと、箱に入つているものとの間に非常に差があつたということなんです。
  88. 窪谷直光

    窪谷政府委員 現物と登載物件とを御照合していただくというのであればよくわかりますが、資料として出すということになりますと、どういうふうな資料として出しますか。たとえば金の地金が何トンあるとか、そういう総括表は当然できるわけであります。それを御提出することはちつともさしつかえありません。
  89. 安井大吉

    安井委員長代理 ダイヤモンドが何カラットあるとか、金が幾らあるとか要するに在庫品の量がわかる目録でけつこうです。
  90. 窪谷直光

    窪谷政府委員 たとえば金の地金が何トンどこそこに保管してあるという総括表でよろしゆうございましようか。(「それでけつこう」と呼ぶ者あり)それ以上詳しいことは必要に応じて原本を持つて参りますので、そういうことで……。
  91. 安井大吉

    安井委員長代理 それでは右材料を御提出願います。
  92. 柴田義男

    柴田委員 管財局長はお急ぎのようですから、すこぶる簡単に申します。二十七年度国有財産増減及び現在額報告書をわれわれは急いで上げたいと思つて熱心に伺つているのですが、農林省の所管で、国有林野事業会計の所属の企業用財産の一つの例をとりますと、北海道の北見の営林局の例で、二十六年末現在において立木竹が二億九千三百八十一万五千六百六十六石、これの評価が二億六千九百三十五万五千四百二十一円五十一銭となつている。立木竹一石一円です。こういう評価が現在この表に載つている。そして北見の営林局というものを私は知りませんけれども、一石の範囲は内地の二県下か三県下の広さであるのです。内地でございましたならば、たとえば青森の営林局は、青森県、岩手県等が含まれており、秋田の営林局は秋田、山形等が含まれているはずです。こういうような厖大な広さを占めている国有林野がたつた二億六千九百三十五万五千円。もし私にこれを三億で買わぬかと言われたら喜んで買いたい。こうい非う常に安い評価をやつている。国有財産であるから、この安い範囲において営林局当局がかつてな処分を行うということであつたならば、国民はまつたく泣かざるを得ない。こういう状況を十分御承知願いたい。しからばどれが正確な価格であるかは、今ここで報告書を見ただけではとうてい判断がつきません。大蔵当局を信頼するわけじやありませんが、やむを得ないからきようこれをあげたいと思つていますが、こういう現実状況を大蔵当局でも十分御承知の上で、今後監着の任に当つてもらいたいということを申し上げておく次第であります。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると一次計画、二次計画の造船の問題について、それが国有財産として登録せられておらぬことがこの間の質疑の要点でありました。その数量とか、会社、船の名前、トン、こういう詳しいことは資料で出すということがそのままになつてあとでということになつている。あとでということになると、われわれは知らぬままにきよう上げてしまわなければならぬことになるのであります。上げるという意味は、議決する段階まで持つて行くというのであれば、それに沿うように、あなたの方でしてもらわぬと、われわれの立場も困るのです。詳細な説明でなくてもよろしいから、後刻説明してもらえればけつこうでありますが、できるやいなや、それをひとつ確かめておきたい。
  94. 窪谷直光

    窪谷政府委員 若干手違いがございまして明日になるかと思いますが、今やつているものの要領を御報告申し上げるということで御了承願えましようか。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 要領にもよりますから……。
  96. 安井大吉

    安井委員長代理 材料のために延びることは困るから、できたやつだけでも提出するとか、材料を持つて来て説明するとかしてもらわないと、こつちを遅らかすことになる。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あとにしましよう。  質疑を続けます。法制局次長の今の御答弁によりますと、憲法八十七条二項の支出というのは、財政法三十五条に書いてある使用書ですか、その使用というような御見解らしい。それならば財政法三十六条の支弁というのと使用というのと憲法支出というのとはいずれも同義と解していいのかいなや。その点どうですか。
  98. 林修三

    ○林政府委員 先ほどお答えしたことにもう少しつけ加えて申し上げます。八十七条で申しております予備費支出というのは、いわゆる予備費支出でございまして、予備費という予算の科目がございます。この予備費使用することが予備費支出だ、こういう意味で申し上げたわけであります。財政法の三十五条もそういう意味で、これを受けているものとさつき申し上げたのであります。ただいま支弁のことを仰せになりました。支弁は三十六条で「予備費を以て支弁した金額」、これは予備費を財源として、その予備費使用決定した金額、そういう意味と考えるわけであります。予備費を財源として一定の財政需要に充てることをきめた。その予備費を財源としてと、むしろそういう意味に解釈すべきであろう、かように考えるわけでございます。予備費を財源として予算使用する、そういう意味だと解釈いたします。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ですからあなたの御説明では、憲法支出というのは、財政法三十五条の予備費使用である、そういう御説明でありました。それならばその使用というのは、予備費の支弁というのと同義ですかと聞いている。
  100. 林修三

    ○林政府委員 その言葉が多少違つておりますが、予備費支出といい、予備費使用と申しますのは、予備費という予算科目を実際に使う、別に項を立て、あるいは項を増額するのに使うことでございます。そういう意味で使用といい、憲法では支出といつているものと考えます。従いまして財政法三十六条の支弁という言葉は、そういう予備費支出決定によつて、ある費用か予備費の財源として使われる。そういうことを現わす意味でこの支弁という言葉を使つているものと考えるわけであります。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたのお説によりますと、使用よりも支弁というのは、予算執行上はさらに次の段階に進展しておる、御説明がこういう趣旨になると思うのですが、あなたの説は少くとも同義じやないのですね。同義じやなくして、予算執行の経過といたしましては、さらに次の段階へ進展しておるのでありますか。
  102. 林修三

    ○林政府委員 その同義とおつしやる意味、私ちよつとはつきりいたしませんが、考えようによつては同義ということになるかもわかりません。その言葉の使い方が要するに予備費使つて、それを財源として予算の項をきめるということと解釈するわけでございます。それを別の言葉で言えば、支弁も使用も同じになりますが、多少そこの言い方の強調している面が違いますので、違つた言葉を使つてありますが、多少そこに意味の違いがございますが、今おつしやる意味で行けば、同じ段階のものを表わしたもの、かように考えます。
  103. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 関連して……。あなたの今のお答えで、支弁だとか使用だとかいうことを言つてつて財政法だとか、会計法というものを引合いに出しておりますけれども財政法にしましても、会計法にしましても、いずれも憲法の精神をくんで出ておるのであつて財政法会計法から憲法の解釈をするということは転倒しておるので、これは誤りであります。ここに憲法支出ということについては二通り意見があるのですよ。すなわちいずれも予算を執行したことをも含んでおるのだという説と、そうではないんだ、この憲法支出ということは、普通であればこれは予備費でありますから、予算を組んだときにはほかの予算はすべて款項目にわかれておるのです。たとえば昭和二十八年度予算というものはすべて款項目にわかれて国会承認を得ておる。ところが予備費はただ予備費としてとつてあるのだから、これの款項目というものは何も承認を受けておらない、であるからここにいわゆる憲法に言うところのこの支出というのは、すなわち昭和二十八年度予算を組んだごときものをつくつたなれば、これを事後の承認を得ろ、こういうふうに今までは解釈されておるのが通説なんです。だからそこのところをいま少し——会計法や財政法のことを引合いに出さずに、ここには二説あるのだから、そのうちどちらをとられるかということをあなたがはつきりおつしやられればいいのです。ただそこにいささか疑問があるのは、本日出された資料のうちに、凍霜害に関する予備費が四億八千万と一千万の二口になつていますが、これは昨年の臨時国会で多分国会承認を得ていると思う。だからこういうのがちやんぽんに出て来ておるというと、今のような説ではちよつとはつきりして来なくなるけれども、通常憲法の八十何条の支出というのは、すなわち二十八年度予算に組んでない予備費だから、予算のごとく款項が定まれば、それを国会承認を求めろ、こういうふうに今までは解釈されておつたが、あなたの方の解釈はどうなのかというのです。それをあなたは会計法だとか、財政法というのを引合いに出して、さかさに憲法を解釈するということはいけない、そんなことでは納得できない。だから両者いずれをとるかということです。
  104. 林修三

    ○林政府委員 私の申し上げようが非常にまずくてはなはだ恐縮でございます。ただいまおつしやいました通りあとでおつしやいました説でございます。予備費支出と読むのでございまして、予備費支出でございますから、当然あとの御説になると思います。
  105. 大上司

    ○大上委員 議事進行について……。吉田委員の御熱心なる御質問は非常にわれわれも了解し、傾聴に値するのですが、あらかじめ質問の時間というものは理事会等にはかつてもおりませんが、なろうことなら吉田君の御意見をなるべく早くまとめていただくように特に吉田委員にお願いいたします。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 承知いたしました。大上委員の御発議の御趣旨を尊重いたしまして、できるだけ簡明に御質問しますから、どうぞひとつなるべくそれに沿うように御答弁願います。今伺いましたある場合には予備金の使用は支弁と同義にもなるような御説明でございました。ところが財政法三十六条によりますと、「予備費を以て支弁した金額については、各省各庁の長は、その調書を作製して、次の国会の常会の開会後直ちに、これを大蔵大臣に送付しなければならない。」その調書がここに出て来たわけであります。ここには閣議決定になつておる。その調書に基いて大蔵大臣は総調書を作製しなければならぬ、第三十六条の二項です。これがここに出て来ている総調書であります。そういたしますと、憲法の予備金の支出というものは、要するにこれになつた、こういうことですね。だから同義なんです。あなたのお説の予備金の支出というその憲法の字句は、予備金の支出じやなしに使用であります。こういうような御説明はしからば同時にそれは予備金の支弁、こういうことになります。ところがこの三十六条によりますと、支弁した金額ということになつておる。それからまた財政法の二条は支出というものは現金の支出ということを大体うたつております。  それからまた会計法の十五条、これは現金支出日本銀行の小切手振り出しということになつておりますが、予算決算及び会計令の五十一条以下現金の支出の規定であります。会計法の十四条、これも予算支出の規定であります。支出という字句を予算決算及び会計令の四十一条の一項には支出という言葉につきましては、これも相当明確に使つております。しかし予算決算及び会計令の四十一条一項によりますと、各省の長官から配賦予算支出官に示達するということが大体前提になつた規定であります。こういうふうなことを通覧してみますと、やはり支出という字句は支弁した金額ですね、こういうことに法律は大体予定していたように考えます。しからばここに支出と支弁というものに統一を欠いているきらいも私はあると思います。  そこであなたはしいてこじつけて従来の慣例や解釈にとらわれることなく、やはりこういう字句が相当乱雑になつているということは率直にお認めになつて、そうしてこれらを統一するという方向へ努力願うということにするべきではないかと私は考えるのであります。それでひとつ考えを述べておいてもらいたい。
  107. 林修三

    ○林政府委員 立法論として多少言葉の使い方があいまいではないかとおつしやる点はよく私も研究いたしまして、検討の機会があれば検討してみたいと思います。またこの解釈といたしましては、先ほど申し上げました通りに、憲法予備費支出といつておりますので、予備費というその予算の科目を使つて、別のあらかじめ国会の御決議を得てない項をつくる、あるいは項の金額をふやす、こういうことを支出と言つております。これを予備金の支出という言葉を使いますと、財政法上はいわゆる現金の支出とまぎらわしいので使用という言葉を使つたのだと思います。ここで予備金の支出あるいは予備金の支弁という言葉をもつて表わしたものと考えるのであります。今おつしやいましたように、使用支出はまぎらわしい言葉であるので、この点考えたらよかろうとおつしやる点は、十分将来の問題として考えなければならぬと思います。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ひとつ結論を出します。これはなかなか重要なことであります。なぜ私がしつこく尋ねるかと申しますと、大体あなた方がこういうあいまいな解釈をしているために、この予備費使用調書等を本委員会に対して承諾を求めて調査に付議されておりますが、そういうあいまいな解釈をしているばかりに、ほとんどこれは何に使つたのやら、使わないのやら、あるいはまた単に閣議決定したのにとどまつているのやら、決定した後にそれぞれ支出官に対して示達があつたのやら、なかつたのやら、こういうことが全然明らかにされないままに、予備金の使用、予備金の支出として委員会へ付議されておるのであります。委員会といたしましてはまつたくわかりません。そこで支出とは何ぞや。一体支弁した金額とは何をさしておるか。閣議決定とは何をさしておるのか。閣議決定支出とはどんな関係があるのか。この点を明らかにしておくことなしに、それでずつと長年経過しておつたばかりに、この持つて来たものはその内容がわかぬ。閣議決定閣議決定ということでずつと通つて来ている。そこで閣議決定したというので、またほかの新しい資料をとつてみたら、現に国会開会中に閣議決定して、予算も組まずに——大体予算を組んでそれから国会議決を求めるというのが原則です。それを政府白紙委任状をもらつているというのでこれをかつてに何に使つたのやら、また使わなかつたのやら、どういう実情になつているのかわからない。そこでわれわれは何を支出としておるのかということをはつきりしたい、こう思つたのがこの疑問を起したゆえんであります。ところがこれの資料がない。だからなぜ資料をお出しにならないのかという趣旨のことを問うておるのであります。けれどもこれはあなたと問答しても、議論が並行したようなかつこうになつておりますので、これ以上はしようがない。—要するに予備費支出とは、あなた方の見解によれば、予備費の具体的使途の確定にすぎない。よろしゆうございますね、具体的使途の確定、それを称して三十五条第三項のことをおつしやつておる。そしてまた第三十六条の承諾を求めるということにしておるとおつしやるのだが、それだけでは国民が求めるほんとうの支出という内容に適合する表現ではないと思う。でありますから、これはあなた方もひとつ十分に研究してください。機会があつたらというのではなしに、この重大問題をほつたらかしておいたら、来年は問題ですよ。決算委員会はずつと継続しておりますから、必要があつたらまた聞きます。  それから大蔵省に、今のこの点につきまして、そういうふうな疑義がありますので、従来の解釈は解釈といたしまして、慣例は慣例として——慣例が悪ければ改めたらいいのです。だからこの点はほんとうに明確にして、使つたものか、使わなかつたものか、また示達のないものか、閣議決定だけのものか、また国会開会中になぜそういうことをしたかということの資料は、十分この中につけて来なければならぬはずです。それがこういうふうになるのは、かくのごとく疑義のあるままに経過しておつたからだと思う。それで十分に資料をおつけになるかどうか、またそれでおさしつかえないという御意見かどうか、その辺についてひとつ両方から御答弁を願つておきたいと思います。
  109. 林修三

    ○林政府委員 ただいまの御質問ですが、この予備費支出の意味は、先ほど申し上げましたように、予算において予備費という一つ白紙委任的な科目の御承認を得ておる。それをさらに特別の必要があつた場合に、予算としてある項に追加し、またある項を新設する、そういう意味でございます。それで予備費支出ということはやはり予算に準ずる手続であろうと思うのです。従いましてあとの、現実支出がどうなつているか、つまり現金をどう使われておるかということは決算で御検討願うことであろうと思います。この御審議の途中において、一応どういう支出があつたかをごらんになることは、これは別問題でありますが、建前といたしましてはそういうものであろう。つまりこれは予算にかわる一つの別途の白紙委任的な予備費を、ある科目に移したということの御承認であろう、決算を御承認つておることではない、かように考えるわけであります。その意味において多少この資料は違うということはやむを得ないことであろうと思うのであります。かように御了解を願いたいと思います。
  110. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 予備費支出調書に対するさらに詳細なる資料でございますが、われわれ当局といたしましては、従来の慣例に従いまして、ただいま法制局政府委員からも述べましたような意味におきまして、こういう科目に使うことになりました、あるいはこういう科目に増加して使うことになりましたということを国会に報告いたしまして、そうしてその御承認を求める、かような従来の慣例に従つておるのであります。従いましてそれぞれの事項、また科目が、はたしてもう支出済みになつておるのか、あるいはまだ配賦されたばかりであるかというような区分の問題につきましは、御審議の際にでき得ますならば、それぞれ御質問によつてお答えして行く、かようにさせていただきたいと思います。
  111. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はそういう御答弁を求めるような趣旨で問うたのではないのであります。支出とか支弁とかいうものについて疑義があります。それをそのままに慣例とか称して一本に使われて参りまして、あなたの今のお言葉もやはり予備費支出済み——こういうお言葉を使つておられるのです。やはり法律の字句というものは、厳格に解釈しなければものが間違つて参ります。従つてそういうようなことから混雑して参りますから、統一をすることと、趣旨を明確にすることと、そしてそれに沿うような資料を十分に出すべきではなかつたか。慣例といたしまして、閣議決定でもいいのだが、説明説明というのでは、何らそこに疑義に対する大きな反省の何が現われておらぬと思います。現に大蔵大臣も私のこの質疑に対しましては、相当同意をなされるような趣旨の御答弁があつたのであります。それでありますから、こういう趣旨を十分に御了解になつて予備費支出資料を整えるということをあらかじめなさるべきがほんとうではなかろうか、こういうことをお尋ねしたのであります。
  112. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 私の今の御答弁支出済みと申しましたのは、その金が現実に支払いになる——支払いというのは、財政法上の普通の場合の支出でありますが、支出済みになつておるか、あるいは各省所管の長に配賦になつておるかという区分等につきましては、必要に応じてお答え申し上げます、かように申し上げたのでありまして、予備費支出済みという意味に使つたのではございませんから、念のために申し上げておきます。
  113. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 この問題は、私が聞いておりますと、要するに政府委員の言葉が少し足りないのではないかと思う。あなた方はこうなんでしよう。きわめて簡単じやないですか。憲法にいうところの支出というのは、たとえば昭和二十八年度予算では、昭和二十八年度予算の款項目でちやんと国会承認を得ておるけれども予備費というものはいかなる款項目に使うかということの承認を得てないから、そこで予備費予算を出して、それの承認を得て、そうしてこれを執行した場合においては、各省の長が使用調書というものを大蔵大臣に出すでしよう。それで大蔵大臣は二十八年度の執行予算とともに翌年度の十一月までにこれを当決算委員会に出す、こういうことになるでしよう、だからあなた方が、そこの説明は、今までのやり方はそうだけれども吉田委員の問うておるのは、すなわち憲法にいう支出というのは使用、支弁すなわち予算の執行が包含されておるのかどうか、こういうことを聞いておられるのだと思う。だから吉田委員の言うように、憲法支出というものが予算の執行を含んでおるとすれば、具体的に使つたところの支出をなぜここへ資料を出さないのか、こういうことなんです。よろしいか。憲法にいわゆる支出というのは、すなわち予算を組む、組んだ予算承認してもらう。それで使つたものは使用調書というものを各省の長が大蔵大臣に出す、大蔵大臣はそれをまとめて、昭和二十八年度の執行予算とともに翌年度の十一月までにこれを国会に提出する、こういうことに会計法、財政法上はなつておるでしよう。そういうふうに説明すればあなた方の意図のあるところははつきりするのだけれども、どうもあなた方の説明はわからない。あなたの言わんとするところはそうなんじやないですか。
  114. 林修三

    ○林政府委員 私の言い方が非常にまずくて、疑義が生じましたことをはなはだ恐縮に存じます。今おつしやつた趣旨通りでございます。
  115. 柴田義男

    柴田委員 今の予備費の問題は別といたしまして、ただいま議題となつております昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書ほか一件につきましては、この際討論を省略してただちに採決されんことを動議として提出いたします。
  116. 安井大吉

    安井委員長代理 ただいま柴田君より動議が提出されました。(発言する者多し)御異議ございませんか。     〔発言する者多し〕  ちよつと速記をとめて。     〔速一記中止〕
  117. 安井大吉

    安井委員長代理 速記を始めて。  この際暫時休憩いたします。     午後三時五十九分休憩      ————◇—————     午後四時九分開議
  118. 安井大吉

    安井委員長代理 休憩前に引続いて再開いたします。柴田君。
  119. 柴田義男

    柴田委員 先ほど動議として提出いたしましたものを、予備費の問題もございますので、撤回いたしますから、さよう御了承願います。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次会にはぜひ総理もしくは副総理の御出席を願いまして、そうして十分に予備費等につきまして、その実情を内閣責任者に聞かしておく必要があろうと思いますので、ぜひおはからいを願いたいと思います。それだけ申し上げておきます。
  121. 安井大吉

    安井委員長代理 それでは本日はこの程度とし、理事会を開いて、あとの期日は追つて御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十一分散会