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1954-02-24 第19回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十四日(水曜日)     午前十一時四十六分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 大上  司君 理事 高橋 英吉君    理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君    理事 河野 金昇君 理事 柴田 義男君    理事 杉村沖治郎君       天野 公義君    越智  茂君       田中 角榮君    田渕 光一君       徳安 實藏君    牧野 寛索君       藤田 義光君    村瀬 宣親君       片島  港君    山田 長司君       吉田 賢一君    池田正之輔君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務次官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月十九日  委員田中角榮辞任につき、その補欠として山  崎岩男君が議長指名委員選任された。 同月二十日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として山  口喜久一郎君が議長指名委員選任された。 同月二十二日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て尾崎末吉君が議長指名委員選任された。 同月二十三日  委員尾崎末吉君及び山崎岩男辞任につき、そ  の補欠として安井大吉君及び田中角榮君が議長  の指名委員選任された。 同月二十四日  委員高橋英吉君、竹山祐太郎君及び阿部五郎君  辞任につき、その補欠として田渕光一君、村瀬  宣親君及び片島港君が議長指名委員選任  された。 同日  理事有田二郎君の補欠として安井大吉君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  政府関係機関収支日本開発銀行造船融  資)に関する件     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。去る二月十五日、理事有田二郎君が委員辞任いたされましたので、その補欠選任を行わなければなりません。先例により、委員長から指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中彰治

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつて安井大吉君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 田中彰治

    田中委員長 本日は前会に引続き、政府機関関係収支等に関する件のうち造船融資の問題を議題として調査を進めます。  つきましては、昨日の理事会におきまして、緒方総理出席を求めることにきめたのでありますが、緒方総理の御都合が悪いので、石井運輸大臣出席していただくことにいたしました。そのほか犬養法務大臣出席を求め、さらに検討いたすことに協議決定いたしたのでありますが、両大臣とも先約により他の委員会等出席される関係上、本委員会における在席時間が自然制限されることになります。従つて委員各位もその点御了承の上、それぞれ十分程度の持ち時間で、有効適切に御発言を願いたいのであります。
  5. 天野公義

    天野委員 議事進行について。昨日の理事会で、緒方総理犬養法務大臣出席の件については、決定を見たわけでありますが、本日になりますと、緒方総理が御都合が悪い、従つて急に委員長のはからいで石井運輸大臣出席を求められたということになつているようでありますが、委員長委員会運営については、ぜひとも理事会決定通りお運びを願いたい。それから変更する場合にもなるべくならば、もしくは絶対的に理事にはかつて、そうして委員会運営を円滑にやつていただきたい。この点を強く希望申し上げておきます。
  6. 田中彰治

    田中委員長 天野委員にお答えいたします。実は委員長もそういう趣旨のもとに運営するつもりでありましたが、緒方総理が、けさお会いしたときに、出られるからという通告でありましたので、今迎えに参りますと、ちよつと佐藤幹事長と急な打合せができたので出られない、そこで石井運輸大臣が私よりもむしろそういう方面に明るいのだから、何とかひとつ石井運輸大臣に出ていただくように頼んでくれ、こういうことで石井運輸大臣にお会いしたら、副総理がそう言われるならというので、御出席になつたのでありますから、まあこれはこの程度で了承していただくことにお願いいたします。  それでは質疑を許します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 石井運輸大臣お尋ねいたします。去る二月二十日の都下各新聞等によりますと、代議士佐竹晴記君の発表といたしまして、昨年の七月十日赤坂料亭中川におきまして、山縣石井保利、一万田氏等々が会食をせられ、芸者がはべつたという趣旨が記載されてあるのであります。つきましては、あなたにおいてはさようなことがないとも考えますけれども、しかし目下いわゆる造船疑獄ととなえられて、融資割当等をめぐりまして幾多の刑事事件が頻発いたしておるのであります。かつあなたは当時外航船建造割当については、政府責任者としてきわめて重要なお立場にあられたのでありますので、当日、中川なる赤坂の待合ですか、料亭ですか、そこにあなたは今申し述べましたような人々と同席ないし宴会に出られた事実があるのですか、ないのですか。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは先ほど予算委員会でもどなたかからのお尋ねを受けたのでありまして、そのときもお答え申し上げたのでありますが、日はいつであつた承知いたしませんが、そういう顔ぶれの人たち一緒なつたことがあるように記憶いたしております。この間もそのことで話をいたしておつたのでありますが、保利農林大臣の名前が出ておるという話から、君、覚えておるかと私が聞きましたら、君と一緒つたかなということで、君と一緒つた、君は何かおそくやつて来て、それから君とちよつと話をしてすぐ帰つたということを覚えておる、そう言えばそういうこともあつたようだなということを話し合つたのであります。確かに行つた覚えがあります。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 同日の席は俣野の席ということに新聞発表になつております。俣野といいますのは、これは飯野海運社長俣野氏であろうかと思うのでありますが、さようなことであるのかどうか、もしそうでありといたしまするならば、大臣承知通りに、飯野海運は数十億円の財政資金、すなわち開発銀行からの外航船舶融資を受けておる船会社であり、かつこのあとの九次後期における割当も受けた船会社でございます。それで数十億円の国家資金を借り入れておる、また借りようとするような、さよう船会社幹部人たちと会席し、会食するということは、政治的に考えましてもきわめて遺憾なことであると思うのであります。はたしてそうであれば、あなたはどういうお考えでおられるのか、この点を確めておきたい。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は招待を確かに受けたのでございます。それは俣野君と書いてありますが、俣野君であつた思います。(「もつと大きな声で」と呼ぶ者あり)これも何も隠してはおりません。同時に私はこれが政治上とかあるいは経済上の商売上の問題というような意味での招待とは思つておりません。ただ単純な友だちの交際として呼ばれたと思つて行つて、それだけでその気持で私どもは帰つて来ております。今もそう思つております。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらこの融資をめぐりまして激烈なる割当の競争があつたことは、これは天下周知の事実であり、続々とその真相が目下発表されつつあるときでありますが、現職大臣、しかもその当の責任者である主管庁大臣がこれらの会合に出ることは——話はどういう内容であつたか存じませんけれども、少くともこれは慎まなければならぬことであることは間違いないと思うのであります。会食するということは小さいようでありますけれども、ここで相当な金が使われておるのではないかと思うのであります。それでそれに対するあなたのお考えを聞いておきたいことと、もう一つ現職大臣船会社幹部重役である場合、その船会社に開銀の外航船建造融資をするということは、これは政治的に考えてみましても——厳格な法律解釈からすれば、これは問題が残りますけれども政治的に考えてもまつたくなすべからざる行為であると思うのであります。現職大臣船会社幹部であるというものにはたくさんあります。たとえば新日本海運大野伴睦氏、これは二十四年二月以来この一月八日まで取締役でありました。また小笠原大蔵大臣におきましては太平洋海運の取締役としまして二千六年二月から二十九年二月十一日まで、向井元大蔵大臣協立汽船監査役といたしまして二十四年十二月以降現在なお就任しております。あるいは山縣元厚生大臣は現在なお新日本汽船社長であります。こういつた会社最高幹部を当時国務大臣現職国務大臣が占めている、これらの会社融資するということは、きわめて政治の紊乱のもとであり、あるいはこういつたところに疑獄が発生する危険があり、大臣会社へ金を貸すくらいだからというので秩序が乱れてしまうもとにもなるわけであります。これがため対策は今後講じなければならぬのでありますが、こういう方面に対して莫大な融資が行われているということは、あなたはこれでかまわなかつたとお思いになるのだろうか。実にこれは吉田内閣の最も大きなミス一つであると思うのですが、いかがにお考えになりますか。
  12. 石井光次郎

    石井国務大臣 閣僚が、また元閣僚であつた人船会社重役をしているところに融資するのはおかしいではないこということございますが、これは閣僚閣僚である間において、どういう仕事には関係していいかということは内閣相談をいたしまして、すでに許されておるのであります。そしてそのままその任にあります船会社社長もいるわけでございますが、私どもこの船舶融資をする場合において、こういう人たちがあるがゆえに利益を与えたということはもちろん絶対ありません。これは国の考慮すべき理由は一つもないのであります。船会社資産状態その他の基準に従いましてやつております。あるいは逆にそういう重役であつたがために、その船会社はどちらをするかという場合に不利な判定をされるくらいのことがあつたとさえ思うのであります。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらやはり融資につきましても、国家財政の方針を決定するのは閣議であります。閣議発言をなさるのは閣僚であります。その現閣僚がみずから借主側船会社重役にまわつてそうして数億円、数十億円の金を借り出すということは、これはどこから考えましても政治的に最も大きな汚職であろうと考える。それでもなおあなたは今のようなそういう御趣旨を強弁なさるのでしようか。これに対して何ら反省すべき必要がないとおつしやるのだろうか。現にここにおきまして小笠原大蔵大臣も、あなたにはこの借りた船会社重役を現在しているじやないかといつたら、すぐに、それではやめますといつておやめになつている。あなたの説によるならば何らやめる必要がないというが、しかしこういつた点から考えましても、政府といたしましても、最も大きな過去のミスといたしまして反省しなければならぬ材料であつた、こう思うのでありますが、どうお思いになりますか。
  14. 石井光次郎

    石井国務大臣 筋は私が今申した通りだと思います。但しその重役である人たち自身心持におきまして、あなたの今おつしやつたようなことを——自分たちはそれによつて何ら特別の利益を受けるのではないが、そういう疑いを受けてはならないという心持を持たれる人たちもありまして、そういう人たちのしりぞかれるのはたいへんけつこうだと私も思います。それでちようど小笠原大蔵大臣がやめた、また大野国務大臣もやめたということは、あなたのお話の線に沿つてみんなやめたのでありまして、私もこれに対してたいへん賛意を表しております。
  15. 河野金昇

    河野(金)委員 議事進行について田中委員長お尋ねするが、この決算委員会運営はどうもよその委員会と違うようです。一体発言順序はどういうふうにやつておられますか。何か通告順とかおつしやるようですが、どの委員会でも与党の方は与党なるがゆえになるべく発言は遠慮しておられます。その他は大体において野党の第一党から順序にやつてつているのがよその委員会運営の仕方であります。何かこの委員会は聞くところによると通告順とかいうのでありまして、事務局か何かが朝お聞きになるそうですが、私はおやりになりますかというお尋ねを受けたことはありません。理事会があるから出てくれということはおつしやるけれども質問なさるかどうかということはきようあたりでもちつとも承らないのであります。そうしてここへ出て来ると、もう朝すでに通告してあるといつて、たいていいつも同じような方が何回もく繰返されるのでありまして、こういう運営の仕方は私は委員長として公平を欠いておると思いますが、どういう気持でやつておられますか。
  16. 田中彰治

    田中委員長 河野委員にお答え申し上げます。ここに発言表というのがございまして、そうしてここへおいでになるときようはぼくがしたいからという通告をされ、その通告順に許すということを今まで委員長がとりはからつて来たのでありますが、しかし委員決議によつてそういうことがいけないのだ、こういうぐあいにしてくれとおつしやれば委員長はそれをするのに何もやぶさかでありません。
  17. 河野金昇

    河野(金)委員 きようのところはそういうふうにおやりになつているから途中から変更ようとは思いませんけれども、この次からはやはりよその委員会なんかと同じよう形式——ここへ来るのが一分早かつたか二分早かつたかということによつて、そういう方々がおやりになつて自由党の方やわれわれの方がいつも御遠慮申し上げるということでは困るのでありまして、きようのことはとやかく言いませんけれども、この次からはひとつ委員会を開くときに各党の希望を聞いて大体の順序をきめて、そうしてよその委員会と同じよう形式においておやりくださることを希望しておきます。
  18. 田中彰治

    田中委員長 よその委員会と同じくするかしないかは別にいたしまして、河野君の議事進行に対しては理事会で今後協議して決定いたしたいと考えております。左派の方はどなたですか、——片島君。
  19. 片島港

    片島委員 石井運輸大臣お尋ねしたいのですが、海運造船合理化審議会は、会長は石川一郎氏で、三十九人をもつて構成され、これが造船割当についての大臣諮問機関となつておるようであります。聞くところによりますと、この船主選考基準と申しますか、それを決定するのはこの三十九人の審議会ではなくして、別に小委員会を設けてそこで審議をせられる。また小委員会はいつも秘密に会合せられておつて、小委員会できまつた通りに大体審議会としての意思が発表せられるというのでありますが、一々これをお尋ねするのもたいへんでありまするけれども、第九次後期の場合の割当におきまして、この小委員会が開催せられた日時、あるいは場所、それからこの三十九人のうちのどなたがその小委員会構成メンバーとして参加をせられたかを、御存じでありますならばお伺いいたしたい。
  20. 石井光次郎

    石井国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  21. 田中彰治

    田中委員長 政府委員から説明されるようですが、大臣は時間がないようですから、大臣に対する質問があつたらどうぞ……。
  22. 柴田義男

    柴田委員 運輸大臣大分お忙しいようでありますので、一つだけ伺つておきます。新造船舶建造審査会規定というのが昭和二十四年八月二十八日付で当時の大屋運輸大臣から公布されております。こういたしまして新造船舶建造審査会規定ができ上つて、この規定がいつの間にかなくなつたということが表面的にはわからぬ。第八次の建造船の時代に至りましてから新造船主詮衡諮問審査会、こういうように名称が変更になつております。どういう関係でこういうよう変更になつたのか。もう一つ新造船舶建造審査会委員任期というものはこの規定の上にはどこの項を探してもございません。これが任期がないにもかかわらず運輸大臣がかつてにこの委員の入れかえができるのかどうか、この点を承りたいと思います。
  23. 石井光次郎

    石井国務大臣 これもいろいろ規定変更したのがここにございまして、その順序等がありまして、これも正確を期するために政府委員からお答えいたさせたいと思います。
  24. 河野金昇

    河野(金)委員 運輸大臣お尋ねいたしますが、造船疑獄問題の被疑者として有田君の逮捕状許諾が十六日政府に持つて来られ、そしてきのうようやくそれの解決を見たわけでありますが、その間約一週間、しかも裁判所が要求して来たのは条件も何もつけてない逮捕要求であつたにもかかわらず、きのうああいうよう条件付逮捕許諾動議が成立をしてしまつたのであります。有田君の問題に関してはあなたもうわさを立てられておる一人であります。これは徹底的に検察庁で調べて、あなたの身の潔白を表明してもらうことが、あなたとしても望んでおられるところであろうと存じます。三月三日まで逮捕できる、その背後には小澤国会対策委員長自由党代議士会で言つておることは、予算案の衆議院本会議上程前に釈放するという条件付許諾すると党議をまとめておられるようであります。そうすると、きのうは四日以後は釈放しなければならぬという決議をしたわけであります。もしも有田君がこの三日まで一言も語らずに疑惑に包まれたままであつたとしたならば、私は運輸大臣のためにも不幸なことだと思います。私は議員の一人として同僚が疑いをかけられ、ましてや大臣の一人が疑いをかけられたということは、私も非常に残念に思うし、大臣もこれは身の潔白をつけなければならぬと思いますが、きのうのよう条件付逮捕というようなことによつて検察庁捜査というものが妨げられるようなことになつて、あなたの問題なんかも疑惑のままで葬り去られるというようなことがあつたら、あなたのために私はお気の毒だと思う。あなたは大臣の一人として、無条件有田君を逮捕するという相談を受けられて、だれでも異議がなかつたようでありますから、それがそのまま国会に回付されて来ておるのです。しかるに疑いに包まれておるその一人のあなたが、きのう堂々と有田君の動議投票なさつて、いかにも裁判所の、検察庁捜査の妨害の一役をになわれたということは、一体どういう御心境でありますか。犬養さんはさすがにきのうは投票しておられません。私はあなたのために、せめてうわさに出たあなたも投票を遠慮するなり何かして、そして公平な立場をとつていただきたかつた一人でありますが、閣議に参画しながら、また大臣石井光次郎としてきのう別の行動をおとりになつたあなたの心境、並びに国会裁判所司法権に対して、いかにもあの決議で干渉するような問題に対して、国務大臣石井光次郎としてどういう考えを持つておるかを承りたいと思います。
  25. 石井光次郎

    石井国務大臣 有田君を召喚するという問題について閣議においてサインした私も一員であります。これは内閣に対しまして、有田君の逮捕国会に要求する書類が来ました。これは手続の問題でありまして、私どもは、国会においてこれが決定せられる、それの申出がありましたものをそのまま国会にお引継ぎするというのが、内閣の使命であると考えております。そうして私がきのう投票いたしました問題は、これは自由党党議決定いたしたものでございますから、私は自由党一員として、党の決定通りに動いたわけでございます。
  26. 河野金昇

    河野(金)委員 きのうあの決議がなされてから、法務大臣佐藤検事総長清原事務次官井本刑事局長等と深更まであの問題を審議しておられるのであります。そして検事総長の談話として、この条件をつけたことに対して非常に不満を持つておられるようであります。三権分立の立場から、国務大臣の一人が司法権に非常に干渉をされたというようなことを検事総長が言つている。そういう事実にお加わわりになつたこと、特にあなたがこのうわさの中心の一人であるだけに、非常に残念に思うのであります。(発言する者多し)
  27. 田中彰治

    田中委員長 静粛に願います。
  28. 河野金昇

    河野(金)委員 この問題は、自由党にわずかの多数で押し切つただけでありますが、きようの各社なんかの論調、あるいは国民の輿論を見たら、良心のある人なら黙つておるだろうと思う。今までこの委員会においても、がちやがちやしやべつた人——有田君の問題にいたしましても、がちやがちやした者はたいていひつぱられてつておるわけであります。(発言する者多し)お互いに許された時間の間は、他の発言は私は慎むべきであると思うのであります。(発言する者多し)
  29. 田中彰治

    田中委員長 静粛に願います。
  30. 河野金昇

    河野(金)委員 従つて、私はいずれこれは予算委員会等におきましてもつと徹底的に追究をいたしますけれども石井運輸大臣は、とにもかくにも有田君は造船疑獄で相当はつきりした事実によつて逮捕されている、それをある程度かばうよう行動に出られたということは、非常に遺憾であるということを私は申し述べまして、いずれ他の機会に譲ります。
  31. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は有田君の名のもとに、予算委員会における中曽根君の発言において、非常な迷惑を感じている一人でございますから、有田君が徹底的に取調べを受けまして、私自身潔白になることを念願する一人であることは、今も、どんな場合でもかわりはないのでございます。ただ、この間の決議によつて法動きを妨害するというような性質のものではない、ほかの点から来ているものだと思つて、私はそれに従つたわけでございます。誤解のないようにお願いいたします。
  32. 田中彰治

  33. 藤田義光

    藤田委員 時間がございませんから、簡単な御答弁願い、質問も端的にいたしたいと思います。  まず第一点にお伺いしたいのは、これは決算委員として非常に重大関心がありますからお伺いしますが、運輸省が今回の疑獄に関連して検察当局捜査を受けました規模は徹底的なものでありまして、日本官庁史に前例のない醜態といわれます。従いまして、海運局の重要な書類等検察庁にとられておりまして、第十次造船を前にいたしまして、非常な支障を来しているということであります。これに対しまして、まず運輸大臣はどういう手を打たれておりますか、この機会にお伺いいたしたいと思います。
  34. 石井光次郎

    石井国務大臣 検察当局調査資料として持つて行かれました書類が非常にたくさんあることは御承知通りでございます。これを、私ども捜査にさしつかえなく、調べが済んだ書類は順次返してもらうようにお願いをいたしているのでございます。そういたしまして、十次造船——そうでなくても十次造船は相当大きく遅れるおそれがあると私は思うので、それが遅れないように、どうしてもいろいろな準備にかからなければならないと思つて、今からその心組みでおります。
  35. 藤田義光

    藤田委員 この問題に関連しまして私が一番けしからぬと思うのは、イギリス大使館動きであります。海運局長もおられますが、この造船疑獄が表面に出ますと、イギリス大使館商務官は、連日のよう運輸省あるいはその関係を洗いまして本国にるる報告いたしていることは、ロンドンタイムス等の報ずるところであります。しかも、日本の不幸を非常に喜びまして、この機会に南方諸地域の貿易の非常に重大な脅威になつておりました日本海運界を潰滅させるべく、日本海運界疑獄イギリス海運界が利用しようといたしておりますが、そういう事実に対しまして運輸大臣としましてはは何か外交的な手を考えておられますか、どうですか。このままでは日本海運界の国際的な信用というものは非常に暴落してしまい、取返しのつかぬような問題になることをおそれるのであります。この点に関しまして、運輸大臣の御見解を伺つておきます。
  36. 石井光次郎

    石井国務大臣 私の一番心配しておりますことは、十次造船の遅れることと並んで、今の問題でございます。日本政府が案を立て、またそれに昨年三派協定によりまして、利子補給率等が増加されました等のことは何のためであるかといえば、世界の海運界における日本の地位を少しずつでも早く回復させたいというためにやつたものであります。昨年から損失補償をし、利子補給をするというようなことが発表されましてからの——まあはつきり名前を言うてもいいと思いますが、イギリス等の先進国の日本海運界に対する態度はずつとよくなつて来たのでございます。というのは、日本海運界の発達を押えよう押さえうと講和条約のときからしておつたことは御承知通りでありまするが、もうここまでどんどん伸びて来ると、何とかしてこの伸びを押えようとしている際に、逆に日本政府が力を入れて、国会の協賛を経て、いろいろ世界競争に耐えるような状態に持つて来たということで、あちらでもこちらでも航路の問題その他についての話が好転しつつある状態にあつたわけでございます。御承知のごとく、最近においては、濠洲の航路が戦後において日本に来る品物の運送が、わずか二割しか日本の船で運べないというような約束をしなくちやならなかつたということを聞きまして、私びつくりしまして、これはどうしてこんなことになつておるのか、どうしても日本の海運の腰が弱いからこういうことになつておるのだ、それがようやく四割くらいまで回復して進行しつつあつたのが、ただいまこういうような状態で停頓いたしておるような状態であります。これを何とかして早くこの海運界の問題が片づいて、おちつきまして、十次造船もし、利子補給も今度の予算に提出した程度でやつてもらう、それから造船融資の金額は少くなるけれども、二十万トンまではこしらえて、依然として今日の海運界に押し出して行くんだということになりますれば、外からのそういうふうな見えざる圧迫がまた非常に払拭されるのではないかということを考えておるのでございます。ただ私どもは、この動きに対しまして日本海運界はどうだという問題につきましては、十次造船は依然としてやる、それから利子補給損失補償の点も、これは汚職問題とはおのずから別問題である、国策の線に沿うてやるんだということを、私どもはいろいろな場合にこれを吹聴をし、またそういうふうなことを吹聴してもらうように、岡崎君とも私的には話をしておる次第でございます。
  37. 藤田義光

    藤田委員 あと一点。時間がありませんからまとめて御質問したいと思いますが、これは運輸大臣として耳痛いことかもしれませんが、風聞として有力な方面から拝聴しておりますからお伺いしておきたい。先日同僚中曽根委員からいろいろ運輸大臣の一身上に関しまして質問があつたのであります。そして、これは仮定ではありますが、もし運輸大臣の元の官房長として枢機にあずかつてつたような人が、運輸大臣の一身上に関しまして何らかの自供をいたしておるというような事実が判明いたしました場合の運輸大臣政治的責任の問題、どういうふうな責任を——これは仮定の問題であるから答弁の必要はないということを言われるかもしれませんが、事は重大でありまして、この問題に関しまして、もしさようなことがあつた場合は運輸大臣はどういう措置をとられる予定でありますか、すでに官房長はやめておるようでありますが、前官房長として運輸大臣の重大な枢機に参画しておつた人から、大臣の一身上の問題等が出た場合の措置をお伺いしておきたいと思います。  これに関連してお伺いいたしたいことは、かつて決算委員会委員でありました有田君が本日逮捕されたのでありますが、この有田委員田中委員長に対しまして不信任案を出すといういろいろ思い出のある委員でありましたが、昨年の第九次後期造船割当に際しまして、有田決算委員重役をいたしておりました名村関係その他一、二社が追加で発表になつております。先ほど来社会党の諸君の質問の中に、審議会の本質、運用の質問がありましたが、この追加が発表ということは、審議会の建前上非常におかしいと思うのであります。当時の新聞報道によれば、まず発表がされまして、後に名村等は追加で発表されたのでありますが、その辺のいきさつをこの機会運輸大臣からお伺いしておきたいと思います。  以上二点であります。
  38. 石井光次郎

    石井国務大臣 官房長がどういうことを発言するか知りませんが、私は、造船関係において不正またはおかしなことをやつたというようなことは、私自身ないのでございますから、どういう発言があるかは存じません。あればあつたで承りたいと思います。何かあなたがお聞きになつていることでこういうことがあるということが証拠があればおつしやつていただきたい。私自身は何らもそういうことはありません。  それから名村造船のことでございますが、これは何がゆえに名村造船が入つたかということは、予算委員会にもこの間申し上げました通りでございまして、これは追加でなぞ入つているものはございません。一ぺんにきめまして、一ぺんに発表いたしております。追加発表というものは絶対ございません。
  39. 藤田義光

    藤田委員 二点のうち前の点に関しましては、いずれ正確な資料を入手しましたらあらためてお伺いいたします。  それから第二点の、追加決定の事実は全然ないということでありますが、当時の新聞には数日遅れて発表された記憶があります。これは新聞社の都合でそういうふうになつておりますか、その点までは大臣は御存じないかもしれませんけれども、記憶がありましたらひとつお伺いしておきたい。
  40. 石井光次郎

    石井国務大臣 おそらく初めの発表というのが私ども決定前の予想発表たろうと思います。新聞をお調べ願いたいと思いますが、私ども発表したときは一緒にしか発表しておりません。
  41. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私は疑獄の問題でもないか、先ほど藤田委員質問した、すなわち外航船の建造についてあなたがての必要性を述べられており、われわれもその必要のあることは認めておるりでありますが、今日まで造船のために補給せられた額は一千億を突破いたしておるのであります。しかるにもかかわらず、これが還元されたものはわずかに百億にすぎないのであります。このような状態のことをしておいて、あなたがおつしやられるようなことで、はたして健全なるところの日本の外航船の建造ができるかどうか、私はこのような問題が起つたということも、かくのごときいいかげんそうな全社に対してこれほど重要なるところの外航船の建造をまかしておつたということはきわめてずさんであつたと思うのでありますが、あなたは外航船の建造の必要性を説かれておりますが、今までのかくのごときいいかげんそうな会社に莫大なる金を補給しておつたということに対して、いかにその責任をお感じになつておられましようか。ただそれだけを伺つておきます。
  42. 石井光次郎

    石井国務大臣 船の必要は認めるとおつしやるのでありますから、その点においては私も同感で、あなたと同じわけでございます。もし船をこしらえなかつたならば体どうなるかという逆の場合をぺん考えるとすぐわかろと思うのであります。本年の外貨獲得は、おそらく外貨払いにかわるべきものも含めて二億ドルになるだろうと用います。そうすると、七百億の金が日本に入つて来るか、払わぬでもいいわけであります。こういうことが何がゆえに船をこしらえるのが必要かということの前提でありまして、そういうものをこしらえる場合に、それではどういうところの船会社にするかというのは、私どもの今までの第次から第九次まで運輸省がやつて参りましたのは、さまざまに変革はいたしておりますが、今年度の第九次船をこしらえる前の場合におきましては、運輸省でいろいろな調査事項によつて調べまして、約倍の船会社を選びまして、開銀の方へ提出いたしました。開銀が実際に政府融資をするのでありまするし、その方が、また担保力その他の関係でよく調べる必要があるので、そこで調べて参りまして、その中から、実際に出しました半分にしるしをつけて持つて参りました。それでその通りに私どもは承認をいたしたのでございます。  後期の場合は私はそれの……。
  43. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 そんなことは聞いておりません。
  44. 石井光次郎

    石井国務大臣 いや、それは何がゆえに不正をやるかという問題になります。それではどういうことが必要なんですか。
  45. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 責任を感じているかどうかと聞いているのです。
  46. 石井光次郎

    石井国務大臣 いや、私は責任は、こういうふうにしておるから、この行き方そのものは私は正しかつた思つておるということであります。それではそれだけお答えしておきます。
  47. 山田長司

    ○山田(長)委員 実は過日開銀の小林総裁にこの席に参考人として来ていただきましたときに、小林さんはこういうことを申しておるのです。石井運輸大臣と小林さんのおつしやつていることに齟齬があるかどうかをまず最初にお伺いするわけですが、開銀の小林総裁は、今度の割当決定するに当つて開発銀行の審査部で詳細な調査をして、その審査部で結論が出たものを、開発銀行の総裁が運輸大臣と話合つて、結論を出したものであるということが言われておるわけであります。この点に間違いがあるかどうかということが第一点。  それから第二点にお伺いしたいことは、私の調査でありますから間違いがあるかどうかわかりませんけれども、去年の九次の二回とも造船割当についてはほとんど運輸大臣が独裁的に許可を与えているということが言われております。この点に間違いがあるかどうかということが第二点であります。  それから第三点に伺いたいということは、運輸省の中にありまする審議会でありまするが、審議会からあなたのところへ割当についての答申を出しておるわけですが、先ほど同僚片島委員からもこの点については、質問があつたわけですけれども、この答申についていつどこでやられて、どういう結論が出たかということを、これは国民の血税によるたくさんの金額に上る金でありますから、その結論が出た内容を、どういう方法でその答申にあなたはおこたえになつて結論を出しておるのかということを聞きたいのです。なぜ私がこれを聞きたいかと申し上げると、この間開発銀行の総裁は、今度の結論を出すにあたつては、その会社の堅実性、それから担保の力、あるいは経営者の能力、こういう三点が置かれて、それで運輸大臣と話合つて結論を出したということを申しておるのでありますが、実際は私には何としても理解ができないのですが、それほどしつかり調査をしたものであるならば、なぜ日本海重工業などが去年整理会社に入つているかということでございます。これは運輸大臣はわかるはずであります。こういうような整理会社に入つている会社などに日本の海運の将来をになうものとして金を出しているということはまことに私たちとしてはふに落ちないし、けしからぬことだと思う。さらに私はあなたに伺いたいことは一体開発銀行の審査部というのがそんなに権限のあるものかどうか。まず実際を申し上げると、開発銀行の内部には営業課がございまして、この営業課がじかにその会社の営業状態、資産内容などを詳細に調べて、その営業課の報告が骨子にならなければならないにかかわらず、営業課で落しているものが敢然と審査部の中に載つている会社があるわけであります。一体これが政治的圧力でなくして何であるかということを、営業調査に当つている人たちが言われているのであります。私は特にその名前をここで申し上げることは差控えますけれども、そういうことが言われているわけであります。とにかくこういう事態が現実にある以上、この審査部の権限というものが私たちには何としても、この間開発銀行の総裁が言つた言葉によつて了解できないのです。営業の調査というものは、重要資料の収集に当られた開発銀行に置かれるのに、営業課で調査も何もしてだめだといつているところへ、審査部で何がゆえに貸しているのか。こういう点についてあなたがもしわからなければ開発銀行の人に新たに聞くことにしまして、まず最初に伺つた数点の問題に関してあなたに伺いたいと思います。
  48. 石井光次郎

    石井国務大臣 第一に、小林君の発言だという審査部の調査を元にして総裁と話を進めたということでございます。これは開銀として審査部でお調べになつたのだと思います。運輸省では海運局船舶局においていろいろな調査資料によつて調べました。そうしてこれを運輸省と開銀の事務当局で持ち寄つていろいろと質問もし、話合いもいたしましてだんだんとこれがいい、あれがいいということを資料によつて調べました。これを何回かいたしまして、大体意見の両方致いたしましたものをもつて開銀と運輸省の最後の決定をするために、私と小林君のところに出しまして、その通り決定いたしたわけであります。  それから第二の大臣の独裁ということでありますが、これは私には一向にわかりません。私自身がかつてにだれかに頼まれてそれで一ぱいやろうやというようなわけには参りませんので、私のところではそれぞれの機関によつて、それぞれ詳細な調べをして、私を中心に政務次官、事務次官、その他関係各局長、課長連中が集まりまして、いろいろ報告を聞いて運輸省案というものが一応できるのでございます。しかし、これは運輸省側の見方でございまして、資産問題その他に入りますと、運輸省はそれを調べる材料を持ちませんので、そういうものは開銀の方で調べて、それを持ち寄つてそうして最後にきめるわけであります。大臣が最後の決裁をすることはほかのところと同じわけであります。  それから審議会の答申のことでございますが、審議会は先ほども質問がありましたが、委員会から小委員会に付託されまして、小委員会から答申があつて、本委員会から出て来るわけでございまして、その答申の内容はつも何してはございません。あとでいろいろ海運局長から申し上げることにいたします。  それから第四の、日本海重工業のような整理会社になつているものになぜ金を貸すかということでありますが、日本海重工業は後期に入つておりませんが、何かの間違いではございませんか。
  49. 山田長司

    ○山田(長)委員 その前に出したでしよう
  50. 石井光次郎

    石井国務大臣 これはずつと前の分は私存じませんが、そのときは船を頼んだ会社の方にそれだけの力があつて、そうして認められたのだろうと思いますが、必要であればそれも調べてお答えいたします。  それから第五の問題は、開銀の内部の問題であります。開銀の営業課がどうしだこうしたということは、これは開銀のことでありまして、私は存じません。
  51. 田中彰治

    田中委員長 これは大臣が政務次官に相談しないでいろいろやるから、大臣が一人で責任を負わなければならぬので、今後はもう少し政務次官を重要視して、政務次官の判のないものに大臣の判を押さないように注意してください。
  52. 石井光次郎

    石井国務大臣 もちろんそうです。
  53. 田中彰治

    田中委員長 そうでないらしいから……。お帰りになつてけつこうです。岡田政府委員
  54. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 先ほど御質問のありました第九次後期造船に関する海運造船合理化審議会の小委員会でございますが、その小委員会は二十八年八月十五日に小委員を任命いたしております。その顔触れは北川禎一、これは興銀の頭取でございます。それから小林中、千金良宗三郎、これは千代田銀行の頭取で、銀行協会の会長をいたしております。それから原邦道、長期信用銀行の頭取であります。それから田中徳次郎、東京海上の社長で損害保険協会の会長でございます。それから一井保造、これは三井船舶社長俣野健輔、飯野海運社長田中卯三郎、これは甲南汽船という神戸の中流のオーナーの代表的な会社でございます。それから渡辺一良、日鉄汽船の社長、これはむしろトランパーを代表する船主と言つていいくらいであります。次は加藤五一、三井造船社長、丹羽周夫、これは三菱造船社長、それから渡辺二郎、これは函館ドックの社長、中流造船所の代表、それから村田省蔵、米田富士雄、これはずつと終戦前に運輸省の役人をして、現在どこの何にも関係のない人、それから石川一郎、こういう小委員で選考基準をきめていただいたわけでございます。会合いたしましたのは、運輸省会議室、八月十六日、あるいは十七日の二日ぐらいやつていただいたかと思います。
  55. 田中彰治

    田中委員長 山田委員、これはもう少し資料を出してからやつたらどうですか。
  56. 山田長司

    ○山田(長)委員 このことについては、今詳細に名前を発表していただいたのですが、これはどういうふうにしてきめたのか、その係の人の名前だけでなくて、詳細にきめられた経過を書いたものをひとつ資料として出してもらいたい。
  57. 片島港

    片島委員 それではその資料として私はこれに追加していただきたいのは、その場所とか日時とかいうのが発表されたからわかるのでありますが、そのときは新聞記者あたりもどこでやつておるかわからぬような状態であつた。何もそんな秘密に隠れてやる必要はないのでありますから、そのときの議事録をこの次の委員会発表していただきたいと存じます。  それから私は一つ海運局長に伺いますが、先ほど藤田委員からの追加割当の問題で大臣から答弁がありましたが、第九次の割当の後に、これが一ぺん発表になつたあとに変更になつておるのであります。広島の方に割当になつたものが長崎の方に変更になり、それから長崎と横浜とが一つずつとりかえをやつておるのであります。聞くところによると、これは海運局長が、口頭か何かの勧告のような形で、このとりかえをやつたということが、その当時いわれております。どうしてこれが発表された後に、こういうようなからくりを海運局長考えだけで、しかも大臣がそういうふうな決定権を持つておるのを、補助機関として、勧告というような形でこのとりかえはできるのか、またやつたのか、その点をあなたから御答弁願いたい。
  58. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 第一の広島造船でつくります船を一隻長崎の方へまわしましたのは、御承知通り、広島造船も長崎造船も同じ会社でございます。九次の船を決定いたしました場合に、ほかの造船所と比べた場合、長崎、広島を一緒にした一つ会社と見た場合は、十分バランスがとれるのですが、広島に二はい行つて、ほかの造船所とのバランスをとりました場合に、いかにもバランスがとれない。従つて広島、長崎を含めた株式会社三菱造船所と思いましたが、その会社としては、ほかの造船所とのバランスを考えて、広島でつくるべきものを長崎へまわそうじやないか、こういう話で最終の決定ができた。そこでその船主、造船所を呼びまして、審議の途中においてこういう意見が出た。そこでお前たちはどうかということを聞きましたところ、それではそういうふうにいたしましよう。こういう造船所、船主の同意でございましたので、そういうふうにいたした次第であります。従いまして、同一造船所の中で、そういうふうに工場が二つある場合に、こちらのものを別の工場に移すということは、これまでも例があつたことでございまして、その通りにしたわけでございます。
  59. 片島港

    片島委員 同じような系統の会社といいましても、割当が一ぺんきまつたものを変更するということになると、労務者の移動であるとか、その他において、非常なめんどうなことになつて来るのでありまして、会計もおそらく工場別になつておると思う。全部プールになつて、全国みな一本にやつておるということはないのであります。ことに海運局長考え一つでこれがきまるということは、私は非常にふしぎな考え方だと思う。特に聞くところによりますと、割当の一、二箇月前から見込み造船というものをやつておりまして、もう見込んでから、仕事はとりかかつてつておる。おそらく自分のところに割当があるのかないのかわかりもしないのに、見込み造船をやるわけはないのでありまして、割当の場合にもこの見込み造船がおそらく見込まれて割当の参考になつておると思う。おそらくまた見込み造船をやる場合には、あなたの方にも連絡があつて、多分この程度ならいいだろう。そうしてあとで決定が違つたために見込み造船がどうにもならぬようになつて、あちらこちらから苦情が来たものだから、とりかえをしなければならぬ、こういう結果になつたのではないかと思うのですが、この見込み造船ということについて岡田海運局長はどういうふうに考えておられるか。
  60. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 私どもはその見込み造船ということを全然認めておりません。それからその結果労務者の関係、工事の関係に手違いができたかどうか。これは三菱造船社長を呼んで確かめられたいのであります。その点に支障があるかどうかは三菱造船社長が十分知つておる。その三菱造船社長が承諾したのですから、われわれは大臣相談し、会議相談してそういう指令を出したのであります。
  61. 片島港

    片島委員 見込み造船ということは全然存じないと言われるけれども、見込み造船を担保にして実際金を借りておる。金も何も持たないでどんどん見込み造船をやつておる。だからそれを担保にして仕事はどんどんやつておるのです。これは決してこそこそと内輪で自分の商売気からやつておるのではなくて、当然公にわかつておることである。それを全然知らぬなどということはおかしいと私は思う。その点もう一回岡田海運局長から伺いたい。
  62. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 見込み造船をやつておるのをそのまま認めるということになりますと、見込み造船で先につくつておるものが得をするという結果になります。従いまして私は、見込み造船をやつておるものを認めるとかえつて弊害が起る、かよう考えております。
  63. 片島港

    片島委員 それはあなたの受取り方が違つているのだ。あなたの方に何も関係なくして見込み造船を全部の会社がやつてしまつておるので、それによつて決定するということになつたらこれはたいへんな問題だ。しかしながらこのくらいは大丈夫だろうというふうな形でつくつておるのだから、それが担保となつて金が出て来ておるのである。それをでたらめな見込み造船をやるはずはない。私はそういう点についても前もつておそらく連絡があり、どこでどのくらいの見込みをやつておるということはあなたはわかつておるはずだから、その点を伺いたい。
  64. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、見込み造船ということは私どもは認めないという考えで行つておりますので、その点はよく存じません。
  65. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 議事進行について——ただいままで各委員が論議されたこと及び昨日の本会議におけるところの問題、今のこの造船疑獄が国民注視の的になつておるのでありますが、去る十六日の本委員会におきまして森脇メモと称するものを委員長が手にせられておるように、委員長みずからがここで発表された。そうしてそのメモは、委員長としてではなく、田中彰治個人として受取つたのである、こういうようなことを申されて、今日までこれが発表せられないのでありますが、委員長みずからが、このメモはきわめて重大であつて、これを発表すれば内閣の命取りにもなるとまで申されたのであります。今日かくのごとく全国民の注視の的となつておりますところの造船疑獄につきまして、委員長の手元に、しかも委員長みずからが内閣の命取りとまで言われておるところの書類があるにもかかわらず、これを今日まで発表せられないということは、はなはだ私は遺憾とするのであります。ぜひ今日このたび、ここにおいてそれを発表していただきたい。私はこの動議を提出いたします。
  66. 柴田義男

    柴田委員 今同僚片島委員の問題も、この造船疑獄に関しましては重大な発言でございまして、私もそれらに関する関連質問を用意しておるのでありますが、ただいま同僚杉村委員から、この森脇メモに関する問題が提案されましたので、われわれは十五国会以来、田中委員長が非常に公平な、委員長としての責任を果して今日までやつて参りました経過から見ましも、今日自由党に籍を置かれたと仮定いたしましても、委員長が口ぐせのように言われる、われわれは国民の血税をもつてする国家財政をになう場合に、決算委員会がこれをおろそかにするようなことがあつては、国民大衆に申しわけがない。こういう良心的な発言を、しばしば承つておるのであります。こういう観点から考えてしみまても、森脇メモは単純なるメモではないのであります。私どもは国民とともに大きな疑惑を持つております。この問題を、もしも自由党に席を置かれたという観点から、委員長がそれをふところにあたためておるということは、断じて許されない。国民の代表であり、そしてまた最も重要である委員長の席におられる田中氏は、ただちにこのメモを公表しなければならない責任が、当然あるとわれわれは考えるのであります。少くも決算委員会がこの問題を糾明しなかつたならば、だれが徹底的な糾明をできるか。私どもは、先ほど以来運輸大臣の御答弁を承つておりましても、さらに良心の何ものも発見できなかつた。いろいろな観点から考えましても、このメモを公表してもらわなければ、断じて国民大衆が承知しない。かえつて疑惑を深めるゆえんであると私は思うのであります。こういう観点から、いかなる角度から考えましても、これをただちに発表されますることを、私も賛成するものであります。     〔発言する者多し〕
  67. 田中彰治

    田中委員長 それでは杉村委員柴田委員動議に対して、この際委員長として一言釈明いたして、委員各位の御了承を求めたいのであります。それは去る二月十九日、すなわち前回の本委員会におきまして問題となりました、いわゆる森脇メモに関してのことであります。すなわち該メモにつきましては、その際一応その経緯について御説明申し上げました通り、森脇将光君が一個人の私に、参考として渡されたものでありまして、公人としての決算委員田中彰治に提出されたものではないことは、同日参考人の供述した通りでありまして、これを公開の席で発表することは、かたく禁じられ、きわめて道義的に取扱わねばならない責任を感じておるのであります。もとよりこれを公表するにつきましては、必ず森脇君の承諾を求めるという、いわゆる両者間の紳士協約になつておるのであります。従いまして、同日委員会散会後の理事会におきましても、その公表の処置につき、一時公表を保留いたしたい旨実情を述べて理事各位の御了承を求め、本日に至つた次第であります。もちろん私といたしましては、事の重大性にかんがみまして、適当の時期に森脇君の承諾を得た上本委員会に公表し、資料として提出する考えでありますが、諸情勢、なかんずく検察庁捜査障害等を考慮いたしまして、ただいまのところ私の手元におきまして、森脇メモの内容に信憑性があるかないか等を、調査いたしておるのであります。その確実である見通しがつきました際公表いたしたい、かよう考えておる次第であります。決してこれを握りつぶしたり、他の圧力に支配されるというようなことはなく、私の責任において、かつ参考人であつた森脇君との約束を守るということと相まつて、きようとりはからいたいのであります。従いまして、ここに賢明なる委員各位の御了承を煩わす次第であります。     〔発言する者多し〕
  68. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。河野金昇君。
  69. 河野金昇

    河野(金)委員 委員長から発言を許されました。委員長の御意見として承つておくだけであります。森脇メモはさほど大したものであると私は思わない。田中君がしまつているところに、かえつて重大のごとく印象づけられているだけであると思う。大体十九日に森脇君が田中君個人に出したというのでありますが、いろいろ質問があつたのに対して、その具体的のことは田中委員長のところまで出してあると、こういうのであります。それから自由党の大上君のそれに関連した質問に対して、田中委員長は、君は自由党員として、そんなことを言つた内閣をつぶしてしまうことにもなるぞ、いろいろな連中の名前が出て来るがいいかということで、質問を中途にしてやめておるのでありまして、森脇君は田中君に渡したと言い、田中君はここにあるが相当重大なものだだと言つて、大上君の発言を、封じたというわけでないが、大上君の方で自発的にやめておるのであります。個人のものとは言うけれども、そういう審議の経過から言うと、もはやこれは公のものとなつていると思うのであります。あの十九日の委員会のあとにおきまして、森脇メモとひとしいように思われるような、いわゆる佐竹メモなるものが一部発表されておるのでありまして、これを委員長がいつまでも握つているということは、かえつてもやもやをいつまでも置いておくことになると思います。私はどうせそんな料亭にだれが行つて飲んだというようなメモは大したものでないと思いますから、あまりこれを大げさなものにしないで、あつさりとここでお出しになることの方がよろしい。杉村君の動議にそういう意味において賛成するものであります。
  70. 田中彰治

    田中委員長 杉村君の動議に反対の意見の発言を許します。
  71. 田中角榮

    田中(角)委員 私は森脇メモというような問題で申し上げるのではなく、いわゆる国会法に基く決算委員会審議の件について申し上げたい。今動議か提出せられたというのでありますか、この動議は明らかに違法であります、なぜかと申しますと、これは非常に重大な問題でありますから申し上げるりでありますが、この動議は採決をすべきものではありません。しかも採決しても、これをもつて委員長が個人的に受取つたメモの発表に対しては強制力はありません。なぜかと申しますと、議院の運営というものはお互いが規則及び法律に基いて運営をせられておるのでありまして、河野金昇君が言われたように、委員長はお出しになつたらどうですかという発言は筋が通るのでありますが、動議をもつて決するというのは、一体何を根拠にこの動議が提出せられるのでありましよう。私はこの問題に対しては議員お互いが深甚なる考慮を払わなければならない。この動議に対しては、根拠法がありません。委員長個人に提出せられたメモを、この内容について論ずるのではありませんが、動議をもつて委員長に提出を求めるというがごとき権限はありません。     〔「何を言うか」「君は経過を知らないじやないか」「黙つて聞け」と呼び、その他発言する者多し〕
  72. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。(「前後のことがよくわかつていない。」「知らないのに何を言う。」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然)だまつて聞きなさい。御静粛に願います。退場を命じますよ。(発言する者あり)御静粛にしないと退場を命じますよ。——御静粛に願います。御静粛に……(発言する者多し)御静粛に願います。——いいではないですか。田中角榮君の言うことを聞いてやりなさい。お互いです。全部発言を許します。たといその順番は間違つても、必ず発言を許します。だまつて聞きなさい、ちやんと……。田中君。
  73. 田中角榮

    田中(角)委員 委員長の個人的な意思を拘束できるのは、院議もしくは議会の決議によつて証人として喚問をし、委員長の意思をただすことはできます。しかし個人田中彰治君に提出せられたものを、この委員会動議によつて拘束する規則はありません。(「その通り」)私はその意味において、委員長が道義的に発表するとかしないとかの結論をお出しになるのは、これは個人の自由意思でありまして、少くともここで動議を提出をして、個人田中彰治君の自由意思を縛るがごときことは、根拠法がないのであります。(「その通り」)その意味において、お互いが感情を去つて、われわれが今この委員会において動議をもし採決したとしたならば、そして委員長がこの動議に拘束せられるとしたら明らかに違法であります。その意味において、個人田中彰治君にこの真実の経緯を求めんとする場合には、国会法の規定するところに基いて、証人として喚問をするほかに、この事実を究明する法律的な権限のないことを私は申し上げます。
  74. 田中彰治

    田中委員長 今、田中角榮君……(発言する者あり)お待ちください、発言させますから……。田中角榮君に申し上げます。たとい自由党委員長でありましても、重要な問題について幹部やその他からどんな圧力があつても、この委員長はそれに屈しません。同時にここで動議が可決されましても——どちらに可決されましても、このメモを出す出さないは、委員長個人として受取つたものでありますから、委員長はその意味において、委員長の腹できめますから、どうぞ御心配しないでください。
  75. 藤田義光

    藤田委員 私はただいまの田中角榮君の発言は、非常に当委員会の今後の審議に重大な発言でありますから、この機会に少しはつきりしておきたいと思うのであります。  私は先般の委員会における、田中委員長が森脇君から受けましたメモは、個人として受けたと強弁されますが、これは社会常識上、決算委員長たる田中彰治氏に渡したことは確実であります。その点からしましても、私は今の田中角榮君の発言に反対であります。  第二番目の反対の点は、先般の決算委員会の各党代表のラジオ東京における討論会におきまして、森脇メモは八割は正確であるということを本人が言明しております。従いまして私は、非常に信憑性のある、八割まで正確であるメモを委員長が持つておるとしたならば、従来政党を超越いたしまして当委員会運営して来た田中彰治氏としては、当然その政治的良識に基いて、これは発表すべきであります。(「その通り」)これが第二点であります。  次に申し上げたいことは、各常任委員会の常識としまして、委員長に対する陳情、請願その他あらゆる資料は、委員会に公表することがむしろ衆議院規則が前提とする政治常識であります。その三点から申しましても、もし田中委員長が個人で受取つたという名目のもとに、今後当委員会に提出される重大な資料を握りつぶされるということになれば、決算委員会の重要性は没却されます。かような観点から申しましても、私はせつかく同僚田中君の発言でありまするが、これはあくまで天下輿論の向うところに従いまして、委員長発表すべきであるということを反駁いたしまして私の発言を終ります。
  76. 田中彰治

    田中委員長 藤田委員にお答えいたします。このメモは国会の中で受取つたとか、この委員会の中で受取つたならば、森脇君がたとい田中彰治個人に渡したとしても、委員長はこれを公のものとして取扱います。しかしわざわざ夜私の私宅に来て、私宅で、これはあなたの参考にしていただきたい、発表していただいては困るという条件づきだつた。もし私が紳士協約を破つてこれを発表するというようなことがありますれば、今後決算委員会が重大な事件を調べて行かなければならない、そういう場合に決算委員長に資料を提供してくれる人がなくなりますから、今後の決算委員会の重要性にかんがみまして、紳士協約を破るわけに参りません。
  77. 柴田義男

    柴田委員 それは、何べんもその御意見をわれわれは承つた。しかし昨日の理事会におきましても、本日の委員会において多数の諸君がこれを要求するならば出さなければならぬ、こういうようなことまではつきりと委員長がおつしやつておる。しかもその場合にはもちろん森脇氏の了解を得なければならぬということまでつけ加えておられた。個人、個人というようなことでございますけれども、しからば何ゆえに——委員会において、こういうメモがあるのだ、こういうメモによつていろいろな問題が将来起るであろう、こういうことを委員長みずから発言されておる。こういう観点から見ましたならば、渡されましたその瞬間は個人という立場でお受取りになつたであろうが、今日の経過から見ましたならば、個人的なものではなくなつてしまつておる。まつた委員長としての権限の上に立つた重要な書類一つである、こういう考え方から私どもはせひこの発表を願いたい、こう思うのであります。     〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  78. 田中彰治

    田中委員長 ちよつとお待ちください柴田委員にお答えいたします。私がここで重要なる問題の内容のあるものであるということを言いましたことは、わが党の大上委員が森脇氏にいろいろ詰問いたしましたために、まだこの委員会といたしましては、少くとも決算委員会は数字にものを言わして、決算委員会の調べたこと、決算委員会のやつたことは間違いないというところに、決算委員会が国民から信頼を受けるのであります。しかるに森脇メモなるものは、決算委員会を開く前の晩おそく私に渡されたものであつて、私は相当自分の調査したものと合わして見て、かなり信憑性があるなとは信じておりましたが、私の調査は一調査員を使つて調査させたわけで、森脇君は私は面識のない人でありますから、その人から受取つたメモの内容をここで公表して検察庁捜査に支障を来してはいけない、また決算委員会がそういうことを取上げて、後になつて事実と違つてつたということになりますと、今後——決算委員会は数字にものを言わして国民の血税の行方を調べる重要な委員会であります。しかも国民が信頼しなければ、この委員会運営して行かれません。そういう関係上大上君に、こういう重要なことが書いてめることであるから、よく調べないうちにそういう発言をして責任を持つかということを申し上げたので、それ以外に他意はございません。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま、委員長が所持しておられる森脇メモなるものを公表せられたいという動議につきまして、田中角榮君がそれは意味のない、無効の動議である、こういつた趣旨の議論をせられたのであります。私はそういう議論はまつたく筋の通らない議論であると断定いたします。なぜならば第一、われわれの決算委員会の任務は、申し上げるまでもなく、造船融資をめぐりまして国家財政投資をいたしております開発銀行融資のありさまが、適切であるか妥当を欠くかということに置かれております。従つてその真実性を明らかにせんがために、過日森脇氏がここへ現われて参りまして、造船疑獄なるものの発端ないしは経過について、だんだんと論議され、質疑応答をせられたのであります。そこでかかる根本的な委員会の権限がある建前であることと、第二に、森脇氏がここに出て参りまして、るる説明をし質疑応答がありました経緯から、はしなくも運輸大臣その他の現閣僚料亭におきまして借主の船主側と会合したということが質疑の一対象になつたのでございます。しこうして、その内容がある程度までは委員長に差出したメモの中に記載されてあるということであります。メモによつて一切が明らかになるということをわれわれは期待いたしておりません。あるいは信憑性の薄いものかもわかりません。しかしいずれにいたしましても数億、数十億円の融資なるものが、もし料亭の談合によりまして左右せられた形跡があるとしまするならば、その事実はやはり明らかにすることが当委員会の責任であります。また任務であります。その資料の一端としてわれわれは考えておるのであつて、かつ委員長は十九日の委員会におきまして、信憑性のいかんを自分も検討して行きたいと言われたのであります。けれども信憑性の終局的な確定は容易ならざることであつて、それはここにお出しになりましても、当委員会がどの程度信憑性を認めるかいなやは当委員会のなすところであります。従つてそういうような事情のもとに発展して来ておりまするので、委員会の権限の見地からみても、経緯から考えてみても、一種の法的性質を持つた質疑応答の渦中に現われた一文書になつているのでありますから、これはむしろ公にして、その信憑性の有無を当委員会に一任するということの方が、当委員会の職責を果す上におきまして忠実であると考えるのであります。もし国会法あるいは衆議院規則などによりまして無効説などをお唱えになりましても、これは何らの根拠のないものでありまして、われわれの国政調査権の発動によりまして、当然かかる決議をなし得るものであり、委員長が本委員会の意思を尊重せられるということによつて委員長の良識にわれわれはまつということも期待しておるのでございますから、この際すみやかにそういう無効論に目を向くることなく、われわれは本提案をすみやかに本委員会に出されんことを望んでやまないものであります。     〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  80. 田中彰治

    田中委員長 この問題に対しては、自由党の人が採決に反対しても採決はいたします。しかし、皆さんからもまだ反対の説明もしてありませんから、皆さんにゆつくり説明をしていただいて、委員長も隠さない心情を皆さんにお訴えして、それから採決いたします。  吉田委員にお答えいたします。実は信憑性の問題は、たとえこの書類が検事局から来たものとしても、その信憑性は先ほどあなたの言われた通りなかなかわかりません。いわんや田中彰治決算委員長の調査員に調べさせたもの、面識のないとこの森脇氏の持つて来たものにほんとうの信憑性があるかないかということは、今少しやはり検討する必要があると思う。それからこれを今出せとおつしやいましたが、これを今出しても、造船疑獄を取扱う上に何の効果もありません。それは何かと申しますと、これはまだ造船疑獄に対する断わられた方の船会社財政状態、それからそういう経緯も調べてありません。また借りた方の担保その他のことも調べておりません。それからこれに関連したところの審議会とか、そういうものに対する調査資料もまだよくとつてありません。そういうものを全部とりまして、そうしまするとここに相当な食い違いの問題が出て来る。そこでこういう不当なことを料理屋政策で行つたのではないかという質疑をして行つたのではないという場合に、それではこういうものがあるが、どうしたのかというように出して、初めてこれが効果があり、この造船疑獄を進めてほんとうに徹底的にこれを調査する上に必要である、こういうぐあいに考えておりますから、今は時期が早いと委員長考えております。
  81. 片島港

    片島委員 私はもうこの際討論を打切つて、採決に入られんことを希望いたします。その結果委員長がなおかつこの採決に負けてもそれを出さないということは、これは委員長の意思でありまして、私たちは暴力をもつてふところから引出すことはできません。それは委員長個人の問題であります。しかしもし田中彰治氏が決算委員長でもなく、決算委員会関係のなかつた人であるならば、当然森脇メモは田中氏の方にはまわつて来なかつたのでありまして私たちはこの動議が可決をするならば、必ずや田中委員長政治道義上、これは公表せられるであろうという期待を私たちはかけておるのであります。この際これ以上論議をすることはむだであります。杉村君の動議について採決せられんことを望みます。
  82. 田中彰治

    田中委員長 委員諸君に申し上げます。採決するかしないかを決定するために十五分間の休憩をいたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  83. 田中彰治

    田中委員長 休憩前に引続いて再開いたします。  委員長より申し上げます。先ほどから申し上げました通り、このメモは私の私有物であり、しかも条件つけた私有物であります。そういう関係上、動議を出されまして、その動議によつてこれを採決すると、これを公文書として認めたということになりますから、委員長としては私の私有物に対するそういう拘束はお断りいたします。
  84. 柴田義男

    柴田委員 ただいま委員長から奇怪の御発言がございました。この問題に対しましては、先ほど議論がもう尽きておるのであります。同僚杉村委員からこの公表を動議として提出され、われわれはあげてこの動議に賛成をいたしました。同僚片島委員からは討論打切りの発言があつてやはりあわせて賛成の討論があつたのであります。こういう経過を経まして、この問題はりつぱに討論を打切つて、すでに採決するだけが残された問題であつたのであります。少くもこの委員会の過程によつて、当然動議を採決してもらわなければならぬ、こういうことであります。採決を願いたいと思います。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は今の委員長の御発言は、すなわちこの森脇メモなるものは田中彰治君の私有物であるので、これを動議として採決をなすことができない、こういう御趣旨の御説明のように了解しました。そこでこの発言は今後の当委員会運営の上におきまして、ことに広汎な国政調査の仕事を進める上におきまして、相当重要な問題であると思いますので、一言私はやはりこれについて申し上げておかねばならぬと思うのであります。  それは森脇將光君から委員長に交付されたものでありますから、委員長御説明の通りにあなたの私有物であるということは、それはそれでいいかもわかりません。但しその場合に、一つはこれはあなた御自身が事の重大性にかんがみて、このメモの信憑性についてまだ調査をしなければならぬ、調査をすれば出すという趣旨の相当広汎なお言葉が十九日の委員会で公表されておる。従つてもし一歩譲りまして私有物といたしましても、すでにあなたは委員会に、ある状況のもとには出すということを発言しておられるので、かかるものは私有物なるがゆえに、何ら委員会がこれに対して公表すべしという決議をすることができないというような御説明は、それは当らぬと思います。それからもう一つは、前段から説明しましたけれども、さらに一言つけ加えて申し上げますると、やはり十九日の委員会からこの問題をめぐりまして、かなりに討議がされておるのであります。でありまするから、これは単なる通常のあなたの私有物というものとは相当性質が違うものと思います。やはり公の性質を持つ文書である、こう考えられまするので、この二つの理由から、やはりこれに対しまして当委員会が何らかの決議をすることは違法でない。違法でない限りは委員長といたしましては、当委員会の意向を尊重せられて、しかるべく表決に付せられるようにお取扱いになることが、国会法の精神に従うゆえんであると考えますので、これだけ申し上げます。
  86. 田中角榮

    田中(角)委員 私は先ほど非常に喧噪の中で私の意見を述べましたので、少しく申し上げてみたいと思うのでありますが、この問題はいわゆる森脇メモということに限定して私は先ほど申し上げたのではありません。少くとも議院内における委員会運営は、国会法及び衆議院規則に準拠して行うものでありまして、この準拠法がなくなつた場合には一分間といえども議事は進めちれないのが原則であります。その意味において少くともただいま森脇メモに対しては委員長個人のものであり、しかもこれが発表に対しては森脇証人との間に相当な約束があり、しかも今の段階においては発表をする段階でない、こういうふうに委員長が明らかに自由意思の宣言を行つておるものに対して、委員会動議をもつてこれが提出を迫ろうというのであります。ただいま社会党の委員諸君からのお話の通り、ただ委員長の道義的な立場を求めるための動議採決を迫られておるようでありますが、私はこういうよう国会法及び衆議院規則にないような事態において動議をもつて決するということは、将来国会内における委員会運営に悪例を残すものだという考え一つ。もう一つは、私が先ほど申し上げた通り動議を提出する前に、森脇証人が田中委員長に出したものは個人田中彩治君に出したのではなく、委員会の資料として決算委員長に提出をしたんだという明らかに委員長発言と違う上証言があつた場合に、それは当然動議をもつてこの責めを委員長に負わせることはできるのであるし、もう一つは、この委員長の自由意思をどうしてもこの委員会において押えても発表を迫らんとする場合には、もとより準拠法はあります。議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によつて、いわゆる宣誓をせしめて行うという、これ以外に準拠法はないのであります。しかし私はここで法律論を重大視し、お互いが委員会の将来の運営に対して悪例を残したくない、こう思いますので、野党委員の諸君にも申し上げたいのでありますが、百歩譲つて動議の採決を行つたとしても、委員長の個人意思を束縛することはできません。その意味において私は、委員長が自発的に発表をせられるということを前提に発言をせられておるのでありますから、その時期まで待つか、もしくはこの委員会運営をスムーズに行うという日ごろのあなた方の御意見がその通りであるならば、採決などということに問わないで、しかも違法性の認められる採決というような手段に訴えないで、あなた方の絶大なる政治力によつて委員長の個人的意思を束縛するとか、もしくは強く発表を要求すべきものだと考えております。その意味において先ほどの委員長発言は、国会法上の委員長として至当な発言であると考えております。だからでき得べくんば採決というようなことではなく、実質的に野党委員との間に話合いをされて、円満解決をせられることを望みます。
  87. 藤田義光

    藤田委員 議事進行について。ただいま田中君の発言でありますが、私は先ほど田中君の発言に反駁しました立場を依然として堅持いたします。ただいまの発言に議事規則その他に違法のことであるという重大発言がありまして、当委員会としましてもこれは聞き捨てならぬと思いますので、私は申し上げます。  衆議院規則の百二十九条、これは本会議の議事造営を規定しておりますが、当然その規定によりまして委員会に適用されるのであります。それによれば、議事進行に直接関連のある事項についての発言をまず許可しなくてはならぬという規定があります。それでこの発言と修正と表決という規定を通覧いたしますと、当然先ほどの動議は合法的に成立すると私は解釈します。それは森脇メモというものは当委員会議事進行に絶対必要なものであります。従いまして議事進行に関する動議であります。私はこのメモそのものを適法違法というようなことでなしに、メモを公表することが当委員会議事進行に関する重大な問題でありまして、その中に直接関係あるもの、またはただちに処理する必要がありと認めるものという、この項に該当するものと認めますので、ただいまの田中委員発言でありますが、当然動議は合法的に成立しておりますので、合法的に処理していただきたい。すなわちただちに表決されるようにお願いする次第であります。
  88. 大上司

    ○大上委員 いろいろな問題について動議も出、それぞれの意見も出たようですが、問題は昨日の理事会をよく振り返つてもらいたい。なぜならば、特にただいまの動議の提案者は杉村君であつたが、きのうの理事会には出ておられなかつた。その代理の吉田君が出ておられた。われわれの党といたしましては、出て行つた理事委員諸君にそれぞれの議事内容を申して齟齬を来さない。きのうの模様といたしましては、本件については再三田中委員長がそれぞれのいきさつを説明し、なおかつまた本日は本委員会におきまして経過あるいは諸般の事情を皆さんに説明して了解を願つた。但し前提条件は、時期が来たならば公開しよう、あるいはそれを皆さん方に資料として提出しようじやないかという二つの原則でこれがきめられたものと私は思う。そこで本日出た動議それ自体を、田中君の発言通り、わが党の党議という大原則はあるが、そういう点でまず諸君に昨日の理事会を振り返つてもらいたい。  第二点といたしましては、ただいま田中委員が申しておられました通り、当然動議として取扱うが、特に扱つても、個人の意思を束縛することはできないではないか、だから出た動議は当然無効ではないかという疑義もあると思う。そこで一応本問題については、今までの本委員会運営上から見、あるいは田中決算委員長のいわゆる委員長としての運営ぶりから見まして、特に皆さんにお願いして、もう一応理事会に諮つてよく研究すればいいじやないか。この動議を提出します。
  89. 河野金昇

    河野(金)委員 田中委員長にむしろお願いしなければならぬのですが。こういうばかげた運営の仕方はないと思うのです。もしもそういう動議がいけないとかいいとかいうならば、動議が出たときすぐにこれは問題にすべきであつて動議が出されて討論まで行い、それから討論打切りの動議が出て、田中委員長は休憩前には、これはたといどういうことになつても採決はいたしますという宣言をして休憩をしておきながら、休憩をしたら今度は採決しないなんという、そういう議事の運営はないと思います。これはスムーズに議事の運営はやつてつた方がいいと思います。従いまして片島君から討論打切りの動議が出ておりますから、それをまず採決し、しかる後杉村君の動議を採決すべきであつて、その採決の結果については、それはまた別に善処すればいいことであつて、その運営の仕方をめちやくちやにして、あつちへ行つたりこつちへ行つたりしている、その運営能力を欠いたようなやり方というものは、私はけしからぬと思いますから、すなおにこの議事運営をしていただくようにお願いをいたします。
  90. 田中彰治

    田中委員長 委員に申し上げます。私はこの森脇メモを絶対に出さないとは前から言つておりません。委員長としていろいろな資料を集める関係上、人にも頼んだりいろいろお願いしなければならない。そういう場合に信義というものを守らなければ、人は書類を提出してくれません。あなた方にも鉄道会館問題以来、委員長として昼夜兼行でいろいろな資料を集めてお手元へめつたのも、私がそういうぐあいにどんなに皆さんから責められても、一旦発表しないとか、人に渡さないと言つたら、信義を守る男だから、人が安心して私にこういうものを与える。そこで私がこのメモを出さなければ決算委員会運営できないというならいつでも出しますが、今そんな時期ではありません。まだこの造船疑獄に関するところの、たとえば、けられた人の意見を聞いておりません。また借りた人たちの担保などまだ調べておりません。銀行の内容も調べておりません。そんな時期にこういうものを出したとするならば、相手に用意をさせ、相手に証拠を隠滅させる。しかもそれが政治の具に供される。この決算委員会というものは数字によつてものを調べる委員会で、やはりたまに決算委員会を理解しない人が言うように、行政監察委員会か何か人のボロを摘発して喜ぶよう委員会と間違えられては、委員長としてどうにもなりません。また私は本日常に帰りましたが、たとえば私は党などに行きましても、決して党の意見など聞きません。     〔「ばかなことを言うな、行政監察委員会を侮辱している」と呼ぶ者あり〕
  91. 田中彰治

    田中委員長 委員でないのに発言は許しません。出しなさい、守衛さん、出しなさい。     〔「何だ行政監察委員会を侮辱して」と呼ぶ者あり〕
  92. 田中彰治

    田中委員長 ひつぱり出してくれ。出してください。     〔「行政監察を侮辱したな、よく覚えておれ」と呼ぶ者あり〕
  93. 田中彰治

    田中委員長 よく覚えておる。     〔「貴様を証人に喚問してやるから」と呼ぶ者あり〕
  94. 田中彰治

    田中委員長 そういう委員会と間違えられてはいけませんから、決算委員会は数字でもつてやらなければならない。そういう関係上、今この書類を出すことは委員長としてできません。しかも私の私有物ですから。
  95. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいま発言を許されて私は発言をいたしますが、ただいまうしろで発言をされた改進党の中野議員が、実は今委員長の命令で出されましたが、ただいまの委員長発言には不穏当なものがあります。私はなぜそのことをはつきり申し上げられるかというと、私は行政監察委員会委員であります。行政監察委員会委員立場から、私としてはどうしてもただいまの発言はやはり不穏当な点があると思う。その点一応お取消し願います。
  96. 田中彰治

    田中委員長 山田委員に申し上げます。決算委員会は行政監察委員会と違います。行政監察委員会というものはいろいろなものを摘発したりあるいはそれを調べたり、道徳的なもの政治的なものを調べる委員会だから、それは何をしてもいいのです。決算委員会というものは数字でやるのであつて、そういうものをやるのではないから、行政監察委員会と間違えられてはいかぬと言つたのが何が悪いのですか。
  97. 山田長司

    ○山田(長)委員 喜んでいる委員会とは違うと言つたと思うのです。そのことは決して今あなたは忘れていないと思います。そういう委員会をやはり侮辱されたようなことを言われては困ると思う。私は中野委員がうしろでどなつたのはそういう点でどなつていると思うのです。
  98. 田中彰治

    田中委員長 その点申し上げます。それは道徳的なものを調べたり、そういうことを調べて喜んでいる。満足している。それは委員会の質です。決算委員会はそういうものではない。数字で、国民の納めた税金の使途が不当であつたかかどうかそれをただすものである、そういう意味で申し上げたのです。
  99. 田渕光一

    田渕委員 私はこの委員会審議を見まして、はなはだふに落ちないのであります。少くとも衆議院規則の百二十九条をとつて、先ほど同僚藤田議員から発言がありましたが、そもそも憲法を侵している。(「ばかなことを言うな」と呼び、その他発言する者あり)憲法を侵しているということを諸君が知らなければ聞かそう。憲法第三十五条には、何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、侵されないとはつきり出ている。特にこれは少くとも田中委員長個人に出した書類であります。私有物であります。それを決算委員会動議とかあるいは決議、採決等によつて、私有物を公文書化して、これに迫ろうとするような野党のそういう謀略はいけません。(「謀略とは何だ」と呼ぶ者あり)少くとも憲法第三十五条に違反している。     〔「謀略とは何だ、言葉を慎め」と呼び、その他発言する者多し〕
  100. 田中彰治

    田中委員長 静粛に願います。——柴田君静粛に願います。     〔「言葉を慎め」と呼びその他発言する者あり〕
  101. 田渕光一

    田渕委員 黙つて聞いておれ。これらのものを国会の議決あるいは採決をもつてようということは、少くとも憲法を侵害するものである。憲法のもとに国会がある。こういうような点において弁護士ともあろうものは、もう少し専門家として知つているはずだ。私有物をそこまで迫るということは、これは謀略としか見得ないということです。そういうことで委員長は出す必要はありません。憲法の侵犯だ。
  102. 田中彰治

    田中委員長 そこで委員長から申し上げますが……。     〔発言する者多し〕
  103. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと待つてください。委員長から申し上げます。  この動議にかけるということは、私有物を公のものにかけるということになりますから、それはできません。それは私のものですから、私の解釈です。そこで皆さんがこれを出せという意見が多いかあるいは出すなという意見が多いか、意見に対しての採決ならいたします。     〔「動議を撤回させろ」と呼ぶ者あり〕
  104. 田中彰治

    田中委員長 もちろん動議を撤回してもらいます。     〔「採決々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  105. 田中彰治

  106. 片島港

    片島委員 私は発言をもらいましたから発言いたします。実は委員長は、先ほどから私有物であるから出さぬと言つている。われわれはそういうことを言つておるのではなくして、この議事の運営を議事運営の方式に従つてつてつてもらいたいと言うのです。先ほど委員長の明言いたしました通り、ここでかりにこの動議が可決をいたしましても、今田淵君が言つたように家宅捜索をしたり、委員長のふところに入れてある書類まで取出す、そういうことをやるのではない。可決しようと否決しようと、出すか出さぬかかつてだということをあなたは先ほど明言しておられる。その通りだと私は思う。あなたをひつぱり出して、可決したからといつてふところから取り出すわけに行かぬ。ただ私たちは、これを出すべきであるか出さぬべきであるかという動議が出されて、私は討論打切り、採決という動議をまた出しておる。ちようどこの休憩前には、委員長河野君から言われた通りに、可決しても出すか出さぬかは私のかつてだ、必ず私は採決はいたします。そう言つた。ところが十五分間の休憩中にどういうものか気持がかわりまして、採決はしない、こういうことを言つている。しかしやはりこれは採決しなければならぬものである。私が討論打切り、採決、こういう動議を出しておるのだから、まず私の動議が成立するかしないか、するならばそれによつて杉村君の動議をどういうふうに取扱うか、これは議事の運び方を私たちは言つておるのであつて、あなたが出すか出さぬかということを私たちは追究しておるのではない。委員長は議事の運営さえやつて行けばいいのであつて、自分の心境を披瀝することは必要ありませんから、どうかそういう気持でやつていただきたい。
  107. 徳安實藏

    徳安委員 ただいまの問題でいろいろ御議論があるようでありますが、委員長を拘束することもいけないし、やつてみたところで何にもならないよう動議をこの委員会にかけることそれ自体が、委員会の権威にかかわる。委員会にかけて効力があるもの、そういうものを初めて委員会で可決をし、あるいは審議するのであります。拘束力も何もないものをそういう動議として提出するその事柄がすでに間違つておるのであります。そこで私どもの方で田中委員から、その動議はかけるべきものではないということの意見を出しておいたわけでありますから、ただかつてに一人や二人で討論打切りがあつたからといつて、その前に田中委員から、かようなものまで動議にかくべきものとして取扱うべきでないという見解が表明されております以上は、さようなものはただちに討論終結によつて採決すべきものではないと思うのであります。
  108. 藤田義光

    藤田委員 これは決算委員であり、国会議員としての徳安君の発言であるかどうか私は耳を疑う。実は全国民の代表としてわれわれは論議しておる。全国民のほとんどの大部分がこの森脇メモの提出を非常に期待しておる。従いましてその国民の気持をこの議場で反映させようというのが、先ほど杉村委員動議を提出した最大の眼目です。それから田淵君が本日見えまして、突然として憲法三十五条を取上げられた。これはあたりまえのことでありまして、委員長の手元にその文書が出るまでは私物でありましよう。しかし国会で論議して、国会に提出した瞬間は公文書になります。たとえば山口喜久一郎君が関係しておつたというあのモーター会社のものでも、資料としてとるまでは私有物です。とつてしまつたら公有物です。そういう意味で、今田中委員長が持つているメモは全国民が非常な関心を持つているのですから、従つて半ば公有物であるからこの際内容を発表すべしというのでありまして、憲法三十五条に違反するというような皮相な観察には絶対反対です。それから徳安君の発言徳安君個人の発言でありまして、全国民を代表した発言ではない、こう考えます。     〔発言する者あり〕
  109. 田中彰治

    田中委員長 藤田君の御意見にお答えいたします。これは田中の私有物であり、条件つきのものであつて、しかもこういうものを公表して森脇君の条件——その条件の内容を言いますと、私は専門家でないから、調査したことに一点のあやまちでもあつて、相手からそれに対して抗議を言われたときに責任を負えないものであるからよく委員長は調べられて、そうして確かなものであるというなら私に知らせてもらいたい、そのときに、私の方も今調べておるから、それを合せてそうして時期を見て発表ようということになつておるのですから、そういう重大な責任のあるものを、あなた方が私有物を公有物というようなことにされるのは非常に迷惑なことである。それから私は、動議は出たのですが、動議にこれをかけるわけに行かないのです。私が採決するというのは意見です。田中のもつておるものを、個人の持つておるものを出せという意見が多いのか、出さぬでもいいという意見が多いのか、その意見の採決ならいたしますが、意見の採決ということになるならば動議を撤回してもらわなければなりません。
  110. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 それは委員長の言葉が、実にわれわれが聞いておるとおかしいのですね。動議ということは議事進行都合上の言葉であつて、お互いが意見を述べたことがいいか、悪いかを決するのですよ。ただその順序として、われわれのやり方を私は動議として出したのであります。     〔発言する者多し〕
  111. 田中彰治

    田中委員長 御静粛に願います。
  112. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 でありますから、あなたの先ほど言われておる——あなたの心境がわからぬではないが、あなたはいやであつたらいやであつたで反対すればいい。委員長つて反対できる。だから、それをここに討論をして来て、討論終結まで至つておるのにもかかわらず、あなたの心境を述べて、そうして議事の運営をやらないということかおかしいのだ。私は決して動議を撤回しません。私の言うておることは少しも間違つておりません。さつきから憲法論とかなんとか言われておりますが、われわれが見ておりますと、盲へびにおじずというような議論のように思われます(「懲罰だ」と呼ぶ者あり)
  113. 田中彰治

    田中委員長 杉村委員にお答えします。この際私は野党の諸君に少し申し上げたい。私は自由党でありますけれども、おそらく決算委員会というものは、どの人が見ても政党政派を超越して、むしろ委員長が野党でないかというくらい発言の許し方も、すべての取扱い方も、資料の調査の仕方も、相当私は一生懸命で公平にやつているつもりなのです。しかし私がそういう一生懸命でやる決算委員会で、皆さんからどんどんいい発言をしてもらうには資料がいります。その資料を集める関係上、こういうものが手に入つた。それを向うの人がとめておる場合、条件をつけておる場合、そういうものを出しては時期が早く人に迷惑をかける場合は、それはやめなければならぬ。皆さんがもしそういうことをおつしやるなら、今後私は資料を私費を使つて集められなくなる。
  114. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 委員長がこれまできわめて政党政派を超越してやられて来たので、私も非常に喜んでおつた。しかしながらあなたの言われることや、自由党の諸君の言われることは実にこつけい千万である。森脇君だつて一私人でしよう一私人でもわれわれの調査の必要があれば、これを多数決で証人として呼ぶことがきめられるのです。いわんやあなたの手元に森脇参考人の言うたものか入つておるのですから、これをあなたに出してもらいたいという意見を述べて、お互いにそれは反対である、賛成であるということになりますなれば、これは少しも不都合でないではありませんか。一私人でも呼ぶのですよ。一私人でも呼ぶことができるが、おれの持つておるものを出す、出さぬということを諸君が意見を闘わすことは間違いだと言うようなことは、われわれはとうてい納得することができない。
  115. 田中彰治

    田中委員長 意見ならば採決いたします。動議はだめです。
  116. 杉村沖治郎

    ○杉村委員 私のはあくまで動議です。
  117. 河野金昇

    河野(金)委員 ひとつ冷静にやりましよう。興奮する必要はないと思うのです。田中君ひとつ誤解をしないように……。先ほど杉村君から出しておるところの動議は、何もきのうの有田君の逮捕許諾よう条件をつけているものではない。いつ幾日までに出さなければならぬとかなんとかいう条件をつけておるものじやない。これはあなた自身もここで何度も時期が来れば公表すると言つておるのだから、この委員会決議において公表すべしということを要求するだけであり、あなたと森脇君との間にそれは祕密の話合いもありましようから、そういう決議があつたあと、あなたはまた森脇君と相談してあなたの態度をきめられることがいいのであつて、われわれは自主的にこの国会審議の必要上これをきめて行くのであつて、もう少し冷静にスムーズに、簡単に、出た問題を処理して行かれることを希望いたします。一々みんなで討論をやつておられるよう運営の仕方というものは、私はあまり感心したやり方であるとは思いません。従つて自由党員じやありませんが、動議が出ている以上、それの取扱いを委員長としてはきめて行かなければならぬのであります。だからそういう意見なら取扱うけれども動議なら取扱わばいという、そういうむずかしいことをおつしやらないで、あつさりあきめになつて、あとのことはあとでまた処理されることを私は希望いたします。
  118. 田中彰治

    田中委員長 河野委員の言われるこことはごもつともなんですが、動議というものに対して私はあなたと非常な見解の相違を持つております。私の持つているものは私有物で、条件つきのものです。私の了解しないものを採決にかけるのはいけません。しかし意見として、これがどんなに効果があろうがなかろうが、私は自信を持つておるものでありますから、出せという意見が多いか少いかの採決なら、だれが反対してもいたします。
  119. 田渕光一

    田渕委員 先ほど杉村委員からもお話がありましたが、少くともこれを田中委員長に求めようとするならば、昭和二十二年法律第二百二十五号により、宣誓をもつてからでなければできない。これを動議とし、採決で要求することは、当委員会の行き過ぎじやないかと思うのであります。かような意味で、こんなことは議論しても同じことです。私有物を動議によつて公文書化そう、そういうような醜いやり方をせずにどこまでもお互いに議院の品位を守つて、ほんとうに委員会の権威においても、こういうようなことは論議さるべきことじやないと思いますので、すみやかに御意見をお問いになつて決せられることがいい。動議を撤回させなさい。そういうのは動議でありません。
  120. 片島港

    片島委員 こういうことをいつまで言つてつたつてようがない。切りがない。委員長委員長としての職責をはつきりと議事運営上やつて行かなければいけない。動議でないからとあなたがかつてにきめるわけに行かぬですよ。先ほどの討論では、討論打切りまでやつておるんだが、それをみんなが賛成反対、賛成反対でやつて来ておる。この動議をあなたは意見とおつしやるが、動議というのは意見なんです。おのおのが考えておるところの意見を、言葉通り動議として出すんです。意見なんということは、国会法にも何にもありやしない。動議という名前で、そういう固有名詞で呼んでおるのでありますが、それをわれわれは動議として認めておるのであるから。これを採決するかしないか、もし採決するなら、いやだという人がおりますから、それならまず採決するか、しないかを諮つて、採決すべしということになつたら採決をする。それであなたの気持通り、いや、今ありますけれども、これは出しません。それはけつこうです。何でもよい。来年になつたら出しますでもよい。そのことはどうでもよいが、議事の運営は議事の運営として、普通の常識で運営してもらいたい。それでなければあすの朝までこんなことをやつてつたら切りがつきません。
  121. 田中彰治

    田中委員長 片島委員のおつしやることはごもつともであります。なるほど意見だとか、動議ということに対してあなたは常識とおつしやいますが、あなたの方も私が条件付で、ひもつきで持つている、まだ出す時期が早いと思つておる書類に、それに条件をつけて出せとおつしやるから、そういうことになる。  そこで採決いたします。これを意見として採決するに賛成の方の御起立を求めます。     〔「そんなことをやつた国会が笑われますよ」と呼び、その他発言する者多し〕
  122. 田中彰治

    田中委員長 それでは動議として採決するに反対の方の御起立を求めます。     〔反対者起立〕
  123. 田中彰治

    田中委員長 賛成の方の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  124. 田中彰治

    田中委員長 反対の方が九名、賛成の方が九名で、同数であります。そこで国会法第五十条によりまして委員長はこれを否と決します。よつてこれは否決されました。  本日はこの程度にて散会いたします。     午後二時三十五分散会