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1954-02-17 第19回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十七日(水曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 大上  司君 理事 松山 義雄君    理事 河野 金昇君 理事 杉村沖治郎君       田中 角榮君    徳安 實藏君       藤田 義光君    阿部 五郎君       山田 長司君    吉田 賢一君         出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君  委員外出席者         会計検査院長  佐藤  基君         会計検査院事務         官         (事務総局次長山名酒喜男君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 ただいまから決算委員会を開会いたします。  一昨日の理事会で協議決定いたしました事項を御報告いたします。造船融資の問題でありますが、これはただいまのところ資料収集整備が不完全なため調査に完璧を期することができないので、適当期間この面に全力を尽し、その間審議を中止し、日程を変更して、今週はさき報告を受けました算委員昭和二十七年度決算審議を行うことといたしましたから、さよう御了承を願います。  従いまして本日は、先般大蔵大臣並びに会計検査院長から報告並びに説明を聴取いたしました昭和二十七年度決算を議題として審議を行うことといたします。それでは発言の通告順に従い質疑を願います。吉田賢一君。
  3. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は質疑に入りまする前に、特に一つお諮りを騒いだい件があるのです。それは十六国会以来当委員会におきまして調査をいたしました例の鉄道会館の問題の跡始末と申しまするか、あれによつて発見いたしました外郭団体整理縮小といつたようなことが、当委員会におきまして各委員の一致した意見なつたわけでありまして、この外郭団体については委員長において適当に処理していただくべき手はずになつてつたと記憶しております。そこで最近いわゆる造船疑獄なるものが世上伝えられ、目下問題になり、当委員会におきましてもそれぞれ国政調査立場から調査を進めておるわけでありますが、このうち、たとえば日本通運の関係を見ますると、紙上伝うるところによれば、九千万円ほどの融資が、浮貸しのような性質を持つたものもあり、ひいてこれが造船疑獄との関係相当深刻にあるようにも伝えられておるのであります。よつてよう事情にかんがみまして、先般の鉄道会館跡始末としての外郭団体整理縮小といつたようなものがその後どういうふうに処理されておるかについて、適当な機会に報告を求めるような方法を御配慮願いたいのが一つであります。  なおもう一点。この間まで当委員会委員でありました有田二郎君に対する逮捕状が請求されておるやに紙上伝えられておりますので、こういうようなことは、実質的に造船に関する融資各般の問題の性質的な変化の様相が具体的に露呈しておる一端かとも考えられますので、おとといの理事会の御決議はあつたのでありますけれども、できるだけすみやかに造船に関する融資についての各般調査を進めるように準備その他の促進方をお願いし、あるいは理事会におきましてまたいろいろと御協議願つて促進方の結論を得たいと思いますので、この二つをお諮り願つておきたいと思います。質疑の前にぜひともよろしくお願いしたいと思います。
  4. 田中彰治

    田中委員長 吉田君にお答えいたします。御承知のごとく鉄道会館問題をこの決算委員会で取上げた当時は、私が鳩山自由党におりましたので、非常に数が少いために一方的な議員諸君の妨害を受けて、なかなか問題が困難でありました。しかし鉄道会館問題だけはどうやら解決したのでありますが、外郭団体に対するところまで行かなかつた。しかしそれは決して委員会が能力がなくてやらなかつたのではないのであります。弁護士協会から出ました告発状その他を見ますと、これならば検事局さえ正しければそういう問題に手がつくと一応私が自身を持ちましたので、そのとき私におまかせ願いたい、こういうふうにお願いして、そのとき外郭団体取調べをそのままにし薫つたの薫呈す。われわれも参考人及び証人を呼びましたが、今ようやくそれが取上げられまして、交通公柱が夜中に家宅捜索を受ける。社長も右喚される。あるいは重役の一部が留直される。通運会社にしましても、うまいことを言つておりますが、検察庁は裁判において通運会社の約五十九億はかりに対するからくりを知つており与から、これも検察庁がおいおいと手をつけて行くというように私は考え、おりますので、これはまず決算委員云がねらつた的が決してはずれておらばかつた決算委員会が非常な熱意を付つて調べかけて、いろいろ妨害されたが、しかしやはり決算委員会のねらりたことが確実であつたのだというここがはつきりして参りました。そこでこの問題は検察当局取調べを今やつしおりまして、これをまだ留置しておりますので、いま少しこれの行方をよ、見て、その上でもとつ皆さんと御相映したいと考えております。造船疑獄』御承知のごとく世上大分うるさくなつて参りましたが、資料がそろつておりません。これは特にわれわれがこれを調べるのに、相手が銀行家でござい出して、いろいろ金を借りに行つたり、あるいは借金の言訳に行つたりし、あらゆる知識銀行家に与えていますから、あらゆる面において銀行家鉄道会館の役人などより知識がある。造船業者実業家でありますかり、なかなか海千山千でありますので、うつかりここで取調べるよりも、むしろ確実な資料を握つて、それで数子的に調べた方がいいというので今資材を集めておりますが、大分重要な資材も今朝あたりからぼつぼつ私の見たこころでは集まつております。もう二、四日たちますと、証人の呼出しとがいうものに対しても、決算委員会が世間から非難されないような、笑わればいようりつぱな資料が集まりますから、その上で理事会にお諮りして、そういうものをきめて行きたいと考えしおりますので御了承願います。)吉田(賢)委員 了承いたしました。それでは二十七年度決算の御報告に対しまして、検査院当局に二、三伺つてみたいと思います。この報告書によりますと、二十八年度に繰越しました総額は千百八十九億余円に上つておるのであります。そこでさらにこの内訳を検討してみますと、流用費目といたしまして防衛支出金が九十一億円余り安全保障諸費が五百三十一億円余り保安庁関係経費1これは警察備隊等になつておりますけれども年度末近く保安庁になりましたので、小安庁経費が二百七十四億円余り平面復善後処理費が五十八億円余りとうのがおもな費目になつておるよう、あります。そこで私ども考えるので万ますが、二十七年度も一兆円に近い予算が組まれて、一兆円という厖大予算ではあるけれども、この歳入の大半が税金によつてまかなわれているということを考えますときに、理由のいかんを問わず、千百八十九億円が翌年度に繰越されることは、やはり予算使い方執行の面から検討いたしまして容易ならざる事態であると私は考えるのであります。もちろん財政法十四条の三でありますか、繰越し明許等によりましての金額が大部分を占めているようでございますけれども、いずれにいたしましても、一旦予算を組むということになれば、歳入の引当てを確実にしておかなければならぬ。歳入欠陥が生ずると困るので、従つて徴税も厳重に励行して行くということになる。それで結果はどうかといえば、千億円以上金が余つていたということになるので、これは考え方によりますればまことに不健全な予算執行状況と申さねばならぬのでございます。かように思うのですが、検査院当局のこれに対するお考えはどういうものでありますかひとつ伺いたいのであります。
  5. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 この繰越の問題は成立した予算当該年度に使われなかつたということに基いて起るのでありまして、検査院といたしましては、支出された経費が適法であるかあるいは適当であるかということを中心にして検査するわけでございます。従つて繰越しされた額については、主たる検査対象とに実はならぬのであります。ことに先ほども言われました通り、二十七年度の繰越しが千百八十九億、しかもそのうちの大部分である千百七十一億というのは国会において繰越すことを承認された経費なんであります。しかしてその承認された経費等も、本来は使えればよかつたのでありましようが、先般の大蔵大臣説明によりますと、安全保障諸費防衛支出金においては事業計画作成、現地の調査資材調達等相当期間を要したために年度内支出を終らなかつたという説明があり、また警察予備隊費警察予備隊施設費平和回復善後処理費等、繰越し明許費用についても一々説明がありました。それから千百八十九億の繰越しのうちで、いわゆる事故繰越し、避けがたい事故のために当該年度に使えないで翌年度へ繰越したのが十七億円余りあります。これらについても、大蔵大臣説明によりますと、国際通貨基金支出金終戦処理事業費等においては、相手方との連絡協議等に予想以上の時日を要したため、相手方請求書類の提出が遅れたことなどの事故により、年度内支出を終らなかつた。あるいはまた公共事業費等においては、天候の不順、電力事情の悪化、敷地の選定難等関係工事が遅延し、年度内支出が終らなかつた、こういうふうに述べているわけであります。そこでこの繰越しの関係におきましては、私の方で従来主として検査しておりましたのは、実質上は仕事をしないで繰越したのだけれども支出だけしている。いわゆる年度違いの問題として検査報告に過去しばしば取扱つたのであります。そういう見地においては検査いたしますが、この繰越し自身については、ちよつと私ども検査としてどうしていいかわかりません。ただこういうふうにたくさん繰越されると、翌年度において濫費されはしないかという心配があるので、その点については支出のあつた際十分検査いたしております。
  6. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明はごもつとものようでございます。なるほど国会で承認しているんだから繰越してもかまわぬではないかという一面、また支出した予算が当、不当ということが検査対象になるのだという御説明、ごもつとものようでありますけれども、しかしながら広い意味におきまして財政あり方を監督するという立場検査院にあるべきだと思いますので、国会がこれを許したか許さないかは別といたしまして、当然いるべきものが予算として組まれ、大蔵大臣の御説明もいろいろありましたけれども、これはいろいろな手違いもあつたのだろうと思います。     〔委員長退席河野(金)委員長代理着席予定通りものが進捗しなかつたということもいろいろあろうかと思うのでありますが、いずれにしても他の経費と比べて、主としてこの防衛とか保安庁とか安全保障費とかいう方面が特に目立つている。やはりこれは予算全体の編成予算執行、同時にそれは歳入という国民としてのつぴきならぬ納入をしなくちやならぬ義務を伴つているのでありますから、でき得る限りこういうものの理由は厳密に検討を与え、はたしてほんとうにやむを得ざりしかどうかということが常に検討されて行くことが、私は振り返つて日本予算あり方執行状況を見る立場としては大事な眼目であるのではないかと思いますので、今のお説ごもつとものようでありますけれども、過般大蔵大臣説明があつたので、ただちにさようでございますか、それではやむを得ませんというべきではない問題だと思います。やはり進んでそういうことについても、しかるべき意見くらいは検査院としてお出しになるくらいな構えが必要でないかと私は思うのですが、重ねて御意見を聞いておきたいと思います。
  7. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまのお話でありますが、とにかく予算に対して約一割一分、これだけの大きな金が使われずに翌年度へ繰越されるということは、言いかえればそれに該当する、あるいはそれに近い租税をとる必要はなかつたじやないか、こういう御意見ようにも聞えるのでありますが、そういう点はごもつともであります。ただ繰返し自体についてどういう事情があつたかということは、実は私どもの方で検査しておりませんが、御意見趣旨もよくわかりましたので、なお研究したいと思います。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵大臣が今日は見えておらず、それから次官も見えておりませんので、事務的な御答弁になるらしいのでございまして遺憾でありますが、検査報告に対する根本政府方針を聞き、また検査院根本方針を聞くというのがきようの任務なのであります。個々のことにつきましては、各論的に今後いろいろと聞くことがたくさんあります。きようは総括的な問題を、根本方針がどうなのか、政府の腹はどうなのかということを聞こうとするのであるので、もし答弁がそういう趣旨に沿わなければ、なまじつか聞いたところがむだなことであります。そのおつもりでお答えを願いたいのであります。  ただいまの問題であります。当然必要ないというのであれば、私は組む必要がないと思います。あるいは繰越さなければならぬかもしれぬということであるならば、できるだけ使うようにせねばならぬと思います。使わぬでもいいことが当初からわかつていて、とても間に合わぬというのであれば、これまた組まない方がいいのであります。さきにだんだん申しましたように、これは国民税金であります。一旦組んだ以上は責任をもつて全額を使う。但しむだは使わない。さりとて年度末になつていらぬ旅行をやつて使い果すとか、いらざる物を買うて使い果すというような乱暴なことをやられたらなお困りますけれども、しかし次に繰越すという場合には、繰越しの原因相当検討いたしまして、もしそこに相当手落ちがあり、あやまちがあり、もしくは当初の計画翻齢があつたりあるいは仕事の運営上のあやまちに原因するということであるならば、今後の予算編成においても厳に考えてもらわなければいかぬと思います。いかに考えておられましようか、伺います。
  9. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。吉田委員の御趣旨は、こういう厖大な繰越しを出すようであれば、当然予算編成において厳重に査定をして繰越しを生じないようにするのが大蔵省としての務めではないか、こういう御趣旨ように拝承いたしました。私どももそのように存じます。毎年度相当額の繰越しが出ておりますことは、予算編成にあたりまして、見積りその他になお十分念査余地があるものと考えております。ただ御指摘ように、この安全保障その他の経費につきましては、すでに大蔵大臣から当委員会におきまして御説明を申し上げました通りに、その経費の点その他の関係から非常に時間がかかつたというような特殊の事情がございましたために、こういう厖大な繰越しを出しておるわけであります。従いまして、こういう事実が出て来ました以上は、この事実を基礎にいたしまして、新しい年度予算編成に厳重な査定を加えるということを私どもは念願いたしておるわけであります。ただいま国会に出しました二十九年度予算等におきましても、御承知ように、均衡予算ということで全体として相当規模圧縮をいたしておりますとともに、これらの経費につきましては、年度内の要支出額あるいは要契約額というものをよく調べまして、できるだけ全体の経費圧縮をはかつておるのであります。特に御承知ように、安全保障はこれは駐留軍関係等で非常な特殊の事情がございましたが、当時の警察予備隊、今日の保安庁経費につきましては、二十八年度以来、吉田委員も御承知ように、予算外契約というものを新しく設けまして、当該年度内経費支出をしないもので、単に契約をするだけで目的を達するようなものにつきましては、その契約の権限を国会からお認めをいただきまして、それによつて所要施設整備をする、こういうことを始めておることは御承知通りでございます。それからただ予算を見積りまして、国会に出しますときに、厳重にその点は査定を加えなければならぬのでありますが、一たび国会でお認めいただきました予算でございますれば、これはどんどん使つてよいというふうに、今吉田委員もおつしやいましたが、年度末の出張その他についてルーズにやるということは毛頭考えておらないのでございまして、実はこの点につきましては、先般も二十八年度すなわちただいまの年度予算につきましては、特に閣議におきまして、年度経費の使用の適正化に関しまして、閣議決定をお願いいたしております。その趣旨といたしますところは、二十九年度予算がかくのごとく超均衡予算で、日本経済の再建のために思い切つた引締めをやる以上は、二十八年度予算についても同じような心構えでなければならぬということ着果に垂訓されまして、すでに国会におきましても、再三にわたる節約その他が行われておるのでありますが、なお予算の実行上節約をする余地のあるものは十分節約をしなければならぬのであります。こういうことで特に先般閣議決定を経ておるような次第であります。予算執行の総括的な監督の立場にある大蔵省といたしましては、編成のときに十分査定を厳重に加えますとともに、執行にあたりましては、ただいま申し上げましたよう趣旨で、厘毛の微に至るまでもむだな使い方をしないようにという心がけをいたしておるのであります。また繰越しの承認にあたりましてもそのような気持をもちまして、いやしくも不要とすべきものにつきましては、これを不要にしていただくように各省にもよく御協力を願うようにいたしておる次第でございます。
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが、たとえば保安庁関係についての二百七十四億円で、この繰越しの説明を読んでみると、事業に関して土地選定とか、工事計画作成について不測日数を要したというようなことが書いてある。ところが土地選定とか計画作成不測日数を要したというようなこととは、こたは一体大蔵省ではたして不測原因に基くものであつたかどうか、やむを得ざりしものであつたかどうか、御研究になりましたかどうですか。
  11. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。この国会におきまして、先ほど検査院長からお話のございましたように、いわゆる繰越しを明許されております経費につきましても、私どもといたしましては当該省庁担当者からどういう理由でこれだけの支出が未済になつたかということを一々伺うのであります。そうしますと、当時の予備隊のことでございますから、相当計画は広汎にわたり、また相当の額に上つておるのでございますが、やはり拙速主義でやるわけにも参りませんのでございます。国会の御審議におきましても、これだけの大きな金を使う以上は、その支出については十分、先ほど申し上げましたように、注意をしてやれということをたびたび伺つておるのでございまして、当時の予備隊当局におきましても、そういう趣旨をもちましていろいろと慎重を期した点もございます。そういう関係からなかなか当初計画いたしましたように進まなかつた点も多かつたのでございます。そういう点でここに申し上げましたように、土地選定あるいは工事計画作成その他やはり慎重を期したとともに最初の予算におきまして見積りました通りには参らなかつたというふうな事由がございましたので、これはわれわれとしましては会計法令の規定に該当するものといたしまして、一応繰越しを明許理由に該当するものとして、お認めをいたしましたような次第であります。
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺つておるのはつまり予算執行について、これを厳格にあるいはむだのないように適正に行えというような、一般的方針伺つておるのではないのであります。これはもとよりしかるべきことであります。そうじやなしに、やはりこういうよう保安庁関係予算執行は、ずいぶん莫大な金額についてやはりいろいろな批難事項も出ておるのであります。また不正事件も続出しておるのであります。われわれはやはり保安庁関係経費については、相当委員会において究明しなければならぬという意見も持つておるのであります。こういうよう事情も反面にあるのでありますので、この二百七十四億円という厖大な繰越しをしておるというその理由に、具体的に記載してある工事計画作成について不測日数を要したとかそういうことが書かれてあるので、私の聞いておるのはそういうよう事情について大蔵当局は十分お調べになつたのかどうか、こういうことを聞くのであります。  それでこれは何もあなたの最終的なお調べの結果をここで求めようとは思いません。しかしながらこれも根本のこういうものは、漫然と口では七百七十億円だけれども厖大なものじやないかと思います。こんなものが残つたのは、土地選定について日数を要したとか、工事計画作成について不測日数を要した、そんなことで漠然と許しておくことはたいへんだと思います。具体的にお調べなつたかどうかを聞いて、そうしてもしそういう点についてきよう答弁ができなければ、ひとつ書面ででも実際の事例についてお調べなつたことを当委員会報告してもらいたい。
  13. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。一般的には、私ども保安庁当局から資料をいただきまして、それに基きまして調査をいたしたのでございますが、特別のものにつきましては、吉田委員承知ように、大蔵省は各府県に財務部というものを持つております。それらの機関を使つて調べような場合もございます。御趣旨は二百七十億というふうな厖なものについて一々調べたかというお話でございますか、大体におきまして、当該責任のある保安庁当局説明を文書その他によつて受けまして、それによつて認定をいたしておるのでございますが、特に疑わしいような場合には、ただいま申し上げた特別な調査もいたしておるのでございます。ただ今指摘の点についは、なお一層念査をいたしまして、吉田委員の御趣旨ように、私ども調べているかどうかというふうなこと7御了解いただくような、何か資料をわ出しいたしたいと存じます。
  14. 杉村沖治郎

    杉村委員 私は会計検査院長ちよりと伺いたいのですが、それは昨年の恨査報告、本年の検査報告を見るにつけ、また最近におきましては造船汚職り問題がやかましく言われ、また十六十会における鉄道会館の問題、あるい仏鉄道財産関係等、非常に遺憾千万はことが多いのであります。会計検査院はたいへん御努力をなさつて検査しておるようですが、私はこの会計検査院機構に何かもの足りないものがあるのではないかというふうに思われるのであります。いま少し会計検査院機構を拡充するとか何とかして一この報告書を読みますと、検査したものは十三万五千余冊、四千二百余万枚というようなことが掲げられてある。これは御努力なさつたことをここに掲げられたのでありましようが、こんなことではなく、私はいま少し会計検査院の制度を強化しますならば、こんなに毎年々々——こんなことで国民税金がどれだけむだに消費されておるか私はわからないと思うのです。そこで会計検査院がもう少し手があつて、これをもう少し厳重に調査することができれば、会計検査院拡充強化くらいの費用は何でもないことになるだろうし、もつとく不正、違法、余分の費用を使わないで済ませるようになると思うのですが、会計検査院長は、こういうことについて今まで政府に向つて意見を述べられたことがあるのかないのか、あるいは意見を述べても政府は考えないのか、またそれは過去のことでありますが。会計検査院長は将来に向つてどういうふうにしたならば、この国の財政国民の血税がもう少しきれいに、ほんとうに国の仕事にむだなく使われるかというようなことについて、会計検査院長ほんとうに忌憚のないところの御所見を伺いたい。
  15. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの御質問は、われわれが常に考えておるところで、たいへん御同情、御鞭撻いただいたようなわけでありますが、実は憲法が改正になりまして、会計検査院の重要性が、これはアメリカの示唆と思いますけれども、非常に強調されて、急に人員が三倍ないし四倍になつたのであります。そこでわれわれとしては従来の旧憲法時代の会計検査院とは頭を切りかえて、国民のための検査院である、国民の血税がどう使われておるか、いやしくもそれがむだに使われておるようなことがあつて国民に対して相済まぬ、そういう見地から、国民のために検査をするのだという頭でみんなにやつてもらつておるのであります。ところが検査院の増員が三倍も四倍もということになりますと、何と申してもこの検査というものは非常なエキスパートといいますか、熟練を要するものであります。会計関係なり、あるいはそれの基礎となる法規関係等、いろいろな点を知らなければならない。そこで急に人をふやしたからといつて、能率が上るものではないので、私といたしましては、どうすれば各人の検査能力が上るか。量は一応きまつておるから、質をいかにして上げるかということを、実は今まで一生懸命やつて来たつもりであります。そのためにいろいろ講習会を開き、必要によつて会計学等の権威者にも来てもらうし、また関係の役所からエキスパートに来てもらうということと同時に、検査院の課長以上の熟練者にも新しい職員に講義をさせる、あるいはまた再訓練するということによつて、私たちとしてはどうやら量は得たけれども、質もある程度上つて来た。これは過去数年の検査報告を詳細に御点検になればわかると思いますが、そういう状況が大分続いたわけであります。ところが、幸いにいたしまして、最近においては職員の質も、もちろん十分とは言えませんけれども相当満足すべき状態にまで上つて来ております。そうすれば検査院としては、その能力を発揮するには、さらに新たな人を入れて、新たな職員をもつて検査能力を充実するということが考えられる段階になつて来たのであります。そういう見地から予算大蔵省の方へ要求しておるのであります。しかしながら残念なことに、予算の非常な緊縮時代でありますので、諸般の事情でなかなかむずかしいのでありますが、若干は認められたのであります。来年度予算で申しますと、一般の行政整理に伴いまして、会計検査院も若干の行政整理を受けることになりました。しかしながら、私としましては、庶務、会計というような一般の役所に共通な部門についてはこれはやむを得ない。しかし検査部局について人を減らすということは、検査院の今までの検査状況、不当事項の数がふえておるということから、これは何とかして残してもらいたいということで、大蔵省の主計当局におきましても、検査院検査の実績にかんがみまして、管理部門ではある程度の減員でありますけれども検査部門では減員しないで、むしろ管理部門で減員すべき一部分を、検査部門にまわしてその強化をはかつてくれたとか、あるいは実地検査——書面検査と実地検査がありますが、実地検査の必要性が非常にあるので、この問題は旅費の問題でありますが、旅費につきましても、財政の苦しい中から大蔵当局が非常な同情をしてくれまして、一割余りの増額を——検査院当局としては満足すべき額ではありませんけれども、しかし少くともこういう一般に経費節約のやかましく叫ばれておるときにかかわらず、検査旅費は増額する、検査部門の人も若干ふやす——この多い少いはもちろん問題はありますけれども、そういう方向に向つておるので、何とかしてさらに各人の質の向上をはかつて検査をやつて行きたいと思つております。
  16. 杉村沖治郎

    杉村委員 御答弁伺つて院長のお腹の中もわかつたのですが、私も実は会計検査を受けたことのある人間であります。私が軍隊におつて、何も上級者でもなければ何でもない、一兵卒で検査を受けたのだが、会計検査院検査に来るということになりましたときには、師団長以下大騒ぎをしたものです。いわゆる天皇陛下の命を受けてということで、実に封建制度でもあつたわけですが、それでもしも会計検査院検査の結果が悪かつたならば、連隊長の首などはすぐ飛んでしまう。師団長の首も飛ぶ。当時の会計検査院というものはそれくらいの権威を持つてつたのであります。それでありますから、私ども軍隊におりまして、会計検査院が来ますと、帳簿と現品と合せるために——私は騎兵隊におりましたが、こちらの方から検査院が来れば、土手を越えて向うの軸重隊の物を持つて来て並べて、帳簿と現品と合せて検査院検査を受ける。それは連隊長も軸重隊の大隊長も知つてつても、それをやらなければ自分の首が落ちる。そういうふうに物品の借り貸しまでして検査を受けた。それで検査院が来る前には徹夜で帳簿をひつくり返して調査をしたものですが、今日の会計検査院に対して、どうも私は検査を受ける方の側が当時の受ける方の側とは非常に違つて友だちみたいになつてしまつておるのじやないかと思うのです。それは往年の封建制度が大いに手伝つてつたかもしれませんが、会計検査院検査する役所をつくるようになつては困るのですが、実は昨年十六国会におきましても、あのニューエンパイヤモーター事件についても、会計検査院の役人が起訴されたというようなこともあつたのですが、私見ますと、税務署の関係でもたくさんある、あるいは工事関係においてたくさんあるのだが、こんなにいろいろな不正、違法が行われて、国民の血税がこういうふうに乱暴に使われたり、あるいはとるべきものをとらなかつたりしておつても、処罰を受けた者を見ると、きわめて少数なんです。これはこのごろ会計検査院の諸君が他の官庁の諸君と友だちみたいになつてしまつた点があるいはあるのじやないか、元のようにもう少し熱心に権威をもつてやられるというようにいたしますれば、こんなに毎年毎年こんな不正なことが起るはずもないと思うのです。たとえば収納未済につきましても、昭和二十七年度の収納未済額というのは五百四十五億になつておる。これは先ほど吉田委員も聞いたのですが、この五百四十五億というものは、その収納を見込んで支出予算に組んでおるわけです。ところが五百四十五億は未徴収でも剰余金が出ておる。われわれから考えて会すと、こんはなかなかしいことはない。現在の予算編成というものは、過去における決算の状態を少しも参考にせずに、ただあそこで大騒ぎをやつておるだけである。もう少し健全なる予算を組むためには、過去の決算を検討して組まなければ何もならない。昭和二十七年には五百四十五億の収納未済でも収支決算がついて余りが出ておる。いかにでたらめであるかがわかる。しかもこのうちの大きなものは租税であります。こうなつて来ると、ほんとうに必要があつて租税をかけたのかどうかわからない。租税収入が四百二十二億、これはとるべきものをとらないで済ましておる。それだけよけいな税金をかけておるのじやないか——あるいはどうかわからないが、こういうような点、あるいは不正の点につきましても、会計検査院批難事項については、いま少し行政官庁の役人たちが、会計検査院に批難されたのでたいへんなことになつてしまつたといつてぴりつとするくらいのほんとうの力が検査院にあるように——これは何も威張るとか何とかいうのじやないが、会計検査院の批難を受けたならば、これが司直の手に行くというくらいにやつてもらわなければ、ただ検査院があそこが悪かつた、ここが悪かつたと言うて出してみたところが、この決算委員会でどうも悪かつたと言つて頭を下げて政府委員がそれで済ましてしまうのでは、毎年々々いくら繰返してもだめです。ですから会計検査院長批難事項についてはもつと厳重にやつて職権をもつて司直にまでも告発なり何なりして、その責任を問うくらいに私はやつてもらいたいと思います。
  17. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 いろいろな点についてたいへんだめになると申しますか、また痛いところをつかれたと申しますか、御質問でございますが、陸軍あるいは海軍の問題でありますが、これは御承知通り憲法改正前におきましては、天皇の直隷機関であつた。たとえば陸、海軍と天皇の関係はほかの官庁と大分違うので、その点は陸軍あるいは海軍には検査院というものが光  つたというか、押えたというか、よい点があつたと思います。ところがそう  いう天皇直隷という制度がなくなり、また一方において民主的——民主的がよいか悪いか、あるいはほんとうの民主的でない、いわゆる民主的なのかもしれませんが、御指摘ような点が多少あると思います。甲のところを検査にいつて、甲のところに物が足らぬから乙から持つて来る、こういう今のお話、実は私もそういうことを陸軍関係では聞いたことがあるのです。そういうことをどうすれば防げるかということを考えまして、検査に行くことを予告して行くと準備するから、黙つて突然行く、そういう場合にはいくら何でも準備はできないので、物品がない、金がないということはすぐつかめると思いますので、そういう方法を若干やつております。  それから検査の結果、批難事項がちつとも減らぬじやないかということはお話通りでありまして、これは私も非常に遺憾に思つておるのであります。これはいろいろ理由がありますけれども、どつちかと申しますと、今までの検査というのは、予算執行のいわゆる末端と申しますか、下級官吏に対して強く当る。ところがその人は感ずるけれども上の人にはあまり通じない。だからどうすれば検査院のわずかの人間で経理の適正が期せるかということになると、責任者、ことに大臣とか次官とか局長とかいう上級者に対して警告を発するという方針を一昨年あたりから考えまして、そういう意味で、検査をして悪いところがあつたならば、どうして悪いのか、ことに責任者との関係はどうなつておるのか、そこのところをよく検査しろと言つておるわけです。それに基いて、いわゆる第一線の小物をいじめないで責任者を追究しろ、こういう方針で行つております。もちろんこれは方針でございましてその方針が徹底するまでには時間がかかると思いますが、そういうことになればだんだん御期待に沿えるようになると思つております。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま杉村委員かお尋ねしました点に関連しておりますから、一点検査院長に伺いたいのですが、そういう批難事項の結末といたしまして、適当なる警告などをなさつた場合、私どもは問題によりましては、当該省の大臣が責任を負うべき筋合いの案件も少からずあると認めております。そこで省の大臣というものは支出の最高の責任者であるけれども、何らかの形で責任を負うということがわが国では行われておらぬように見受けられます。つきましては、検査院といたしまして、当該省の大臣にその責任を問うというような措置はできないものか、またせられたことがあるのかないのか、そういうことについての今日及び今後のお考え方、検査院方針、こういうものを聞いておきたいと思います。
  19. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 現在責任を問う制度といたしましては、会計検査院法とか、予算執行職員等の責任に関する法律ですか、そういうふうな若干の法律がありまして、これによれば、はつきり責任者に対して懲戒の問題とかあるいは弁償の問題ということは規定されておるのであります。しかしながら今お話の上級者、ことに大臣ということになりますと、いわゆる会計経理上の責任ということは実は実は限界がなかなかむずかしいので、むしろ行政責任——国務執行責任ということだと私は思います。そこでそれに関連して、私の方からこういうふうにすべきじやないか、ああすべきじやないかということは言いますけれども、いわば責任追究としては申しておらぬのであります。これはわれわれの方でもこういうふうないろいろな意見もあります。そういうことをここでも局長あたりが言つておると思いますが、そういうふうな最高責任ということになると、これこそ国会の内閣に対する財政監督権の働きによるのが一番適当じやないかと思つおります。もちろんわれわれの多方では法律上の責任を忌避しておりませんけれども、法律上大臣の会計責任を問うということは、現行制度のもとにおきましてはちよつとむずかしいと思つております。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりました。その点は了承いたしましたが、続いてさきの質問にもどるわけであります。ところで二十七年度予算の使い残りではなくして、不用額というものが百三十七億円出ておるのであります。ところでまた不用額というようなものが百億円以上出るというところも、われわれといたしましてはいさか首をかしげねばならぬ問題だと思うのであります。一体予算が百億円以上も不用になるというのは、計画がずさんであつたのか。それこそまたいろいろと予算編成予算執行の途上の問題もあつたのではないか。そこで説明を読んでみると、保安庁関係経費において二十五億円の不用額が出ておるのであります。これもやはり何か人間の補充について予定が遅れたというようなことになつております。その他等々ありますけれども、一体不用額というようなものが百億円以上出るというのはどういうわけですか。こういうことについても相当厳格に大蔵省としてはお考えにならねばならぬのじやないか。ことにまた保安庁関係が出て来ておりまするので、ことさらまた保安庁についての不用の内容はどこにほんとう原因するのであろうかということを検討されなければならぬ、こう思うのでありますが、この点についての御答弁をひとつ伺いたい。
  21. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。まず最初の点は、百二十七億というふうな厖大な不用額が出る点について、これは予算編成がずさんではないか、こういう御趣旨かと存じますか、なるほど先ほど吉田委員からもお詰がございましたように、一兆というよう厖大な額でございまするが、しかしやはりこれは全部国民の血税によつてまかなわれるものでございますから、いやしくも不用となるよう経費ほ当初から予算に盛るべきではないという御趣旨はまことにその通りと心得ます。ただ私どもとしましても、吉田要員も御承知通り、主計局も予算編成のときは相当夜を日に継いで努力払いたしておるのでございますが、ながなか削り切れない。ことしもそのたのに血のにじむような非常な努力をいたしたのでありますが、やつと一兆予算ということで押えられたような点がございます。できるだけそういういわゆる不用になるよう経費を盛るべきではない、そのために一層今後とも大蔵当局は努力すべきであるという点につきましては、私どもように存じまして、今後ともなお努力をいたして参りたいと存じます。  次に第二の点で、百二十七億のうち保安庁警察予備隊費が特に二十五億が余りになつておりますが、これについてよく検討したかということでございますが、これは十分に検討を加えまして、単に欠員補充が時期的に遅れたための人件費等ばかりではなくて、その他の経費につきましても、節約上不用として出し得るものは一切含めまして、不用として出させたような次第でございます。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは今御説明はありましたけれども、不用として出させたというのは、不用として出すという手続上のお答えかもしれませんが、説明によれば、やむを得ず——やむを得ずというのか、欠員補充が予定より遅れた、つまりある種の作業が予定より時間的に遅れたというので不用になつた、こういうよう説明になつておるのであります。これは結局時間がずれたので繰越したという趣旨じやなしに、もう使わないことにきめてしまつた、こういう趣旨になるのでありましようか。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。これはたとえば十箇月間の俸給を見込んでおりましたのが、欠員の補充は、御承知ように全国から募集いたしまして補充をいたすのでありますので、時期的に遅れますと六箇月しかいらないということになり、四箇月分が不用になるわけであります。そういうふうに現実に何月何日に何人を補充したかということを取調べをいたしまして、そうして予算との開きだけを不用にいたしたわけでございます。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今保安庁関係について二、三点指摘して質疑いたしましたが、当会計報告によりましても、ページにして四十七ページないし五十一ページに至る一八から二五までずいぶんと予算執行の乱脈と見られるような事実があります。これは追つて調査することにいたしまして、結局保安庁予算というものは相当厳格に批判検討の対象にすべきでないか。不用額を多額に出した点、あるいはまた繰越しが厖大なものを出した点、多数の批難事項を出された点、世上伝えられる不正事件すらたくさん出ましたような点、こういう点から見ましても、われわれ上ろうとでありまするけれども、やはり数百億円の金が予算として組まれて、そうして相当多量な割合の金がだぶついて、使い道に困るといつたような雰囲気がかもされておるやに感ぜられますので、こういうところにやはり決算の観点からすればいろいろと欠陥が包蔵せられ、批難をせられ、不当が指摘せられ、いろいろと批判を受けるようなこういう数字が現われて来るに至つたのではないだろうか、こういうふうに思われまするので、他の省の予算と別に、特にかかる事情から見まして、保安庁予算なるものは厳格に検討を要すべき、批判をして行くべきものがあるのではないか、こういうふうに考えまするので、この点についてひとつ当局の御意見を聞いておきたいと思います。
  25. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。私ども事務当局といたしましては、やはり保安庁関係経費は今日も予算の上で非常な大きな比重を占めております。従いまして予算編成にあたりましても、執行にあたりましても、ただいま吉田委員も仰せられました通りに、厳重に査定をし、また執行の監査にあたり、いやしくも編成並びに執行がルーズにわたらないように、ただいま御指摘になりましたように、相当の繰越額、あるいは不用額、あるいは批難事項等が出ておる点につきましては、この二十七年度決算の実績を重要なる参考にいたしまして、将来ともに予算編成なり、執行を薮電ご戒めて参らなければならぬ点につきましては、まつたく同感でございます。ただ特殊の事情といたしましては、これは早々の間でもございましたために、こういうことになつておるのでありますが、こういう経験をを厳重にわれわれとしては参考にいたしまして、今後の編成にも遺憾なきを期して参りたいというふうに考えております。  それから先ほど申し上げましたように、この二十七年度当時におきましては、いわゆる予算外契約と申しますか、支出のほかに契約権をとつてやるという制度を開いておらなかつたのでありますが、そのためにすべて現金予算予算を組みましたために、多少ただいま御指摘ような点もあつたかと存じます。これは二十八年度以来いわゆる予算外契約の道を開いております。二十九年度、ただいま国会に出しました予算におきましても、その点は相当額を計上いたしておるのでございます。そこで今後におきましてはそれらの点は一層改善を加えて参りたいと思うのでありますが、その一助といたしまして、今日保安庁予算だけは特に大蔵省主計局におきまして、支出負担行為の実施計画というものについて事前に承認をいたしておるのであります。これはほかの各省との関係におきましてはそういうことをいたしておらないのでありまして、国会予算を御議決になる、内閣から予算が配付されますと、大体各省大臣の責任において予算執行をやつておられるのでありますが、保安庁予算はただいまも申し上げましたような非常に重要なものでございますので、特に予算の成立後におきましても、この支出負担行為を実施する前にその計画を主計局に提出をさせまして、こちらで一々検討を加えるというふうな慎重な方法を講じておるのであります。それがまた一面多少時間的に支出を遅らすというふうな面もあることは事実でございますので、場合によりますと、その結果繰越しが出るというふうなこともあるのでありますが、これはしかし私どもとしては、国民の血税を使う責任者といたしまして、やはりそれらの点につきましてはできる限り努力をいたしたいというふうな気持から現在支出負担行為の実施計画につきまして事前に主計局に協議をさせる、こういうやり方をやつておりますことを付言いたしまして、御了解を願いたいと存じます。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから二十八年度へ繰越した千百八十九億、これが現在何ほど使われたかいなや。二十八年度予算はもうあと一箇月ほどで年度終りになるのでありますが、この二十八年度予算は二十九年度へさらにまた千億円ほども繰越しがあるというような推定もせられまするが、その点についての数字と主要経費の内訳の御説明を願いたい。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 数字にわたるものでございますから、追つて資料として御提出申し上げます。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは書面でよこしてくださるのだつたならば、数字だけの羅列ではなしに、少しその内容も説明的に注釈をして出すようにしていただきたい。至急にお出し願いたい。そこでこれはしよつちういろいろと報告も受けておられると思うのだが、二十九年度予算は、一月の十五日ですか閣議決定で出たのでありますので、二十九年度予算編成に際しましては、二十八年度予算がはたして使われたかどうかということは、ままた二十七年から八年へ繰越した千億円からのものがどう消費されたかということは重要な参考にしなければ、私は二十九年度予算は確定せぬと思う。だからそうであれば、今こまかい記憶はなくても、あなたとしては主計局の責任者なんだから大体はつかんでおられなくちやいかぬ。それをつかまずして、去年の千百八十九億円が全部残つておるのか、もしくはまた今年何ぼ残るかわからぬというのでは予算編成がでざぬと思うのだが、それはいかがですか。おわかりの点は概数でよろしい。許しい正確なことは書面で提出をしていただくことにして、御説明が願いたい。
  29. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。二十九年度予算編成にあたりまして、二十七年度から二十八年度への繰越額のうち、どの程度のものが支出になるかを見当をつけずに予算を組むということは、適切じやないではないかという御趣旨に拝承いたしたのでありますが、私どもはその通りに考えましてできる限り判明いたしました資料で検討を加えておるのであります。和どもの大体の感じで申し上げますと、保安庁関係経費にいたしましても、年を追いまして改善の跡は見えておるのであります。特に先ほども申し上げましたように、二十八年度については、現実に支出しないでも目的を達するようなものは、契約だけにいたしたということは先ほど申した通りでありますが、いわゆる繰越しに二通りございまして、明許繰越しというのは、契約を正式にしていない。しかしながら繰越させるというようなものと、それから自己繰越しと申しまして、契約をして債務は発生しておるが、支出をしていないというものの二通りあることは、吉田委員承知通りであります。この二十七年度から繰越されて参りました経費等につきましては後の方のいわゆる自己繰越しというものがどのくらいになるかという点でありますが、これは先ほど指摘になりましたように、不用とすべきものを不用とした関係もございますので、残りのものにつきましてはこの自己繰越しになるものは非常に少くなつております。はつきりした数字は、やはり正確を期するために、追つて提出いたしたいと思いますが、大体の感じはそういうことを知りまして、それをもとにいたしまして二十九年度予算編成いたしたような次第であります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院当局ちよつと伺つておきたいのですが、検査対象の範囲の問題でございますが、検査院法二十三条の第三号によりますると、「国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計」会計経理の検査をすることができるということになつておるのでございます。そこで伺いたいのですが、たとえば今問題になつて、この委員会でも調査いたしておりまする外航船舶の建造費の利子補給及び損失補償の法律に基きまして利子の補給をなす対象である融資した銀行などは、まだ利息の補給はしておるにもかかわらず、これは前段の直接に補助金を補償する対象になるわけでありますし、また利子補給というのでありますから、補給の意味は、この中に入るものと私は考えるのでありますが、そこでその次のところに書いてあります船会社が、実質上の利益を受ける、船会社が元来払わなければならぬ利息を国が四分払つてやるというのでありますから、同時に船会社というのは、また造船所へ支払うものであります。そこで造船所は支払いを受ける立場ですから、四分を政府から補給してもらう、そうすると残りの三分半の利息を払えばいいということになるわけであります。そこで船会社でなしに、造船所は造船契約の船価だけをもらい、請負代金をもらえばいいというものの、そこは造船所も船会社も関係は同じよう立場にーー同じようなというのは正確な表現でないでしようけれども、裏表の立場にあつて、同趣旨において利益を受ける立場にある。そうすると、検査院造船所の会計経理についても、船価の支払い、あるいは利子補給の関係融資金額のそこへの流用、こういうものを調べることができるのじやないだろうか、私どもはこういうことも考えるのであります。もつともそれに関係ない部分造船所のその他の会計経理に至るまで  ということになるとこれはいかがかと思いますけれども、そこでそういう辺は実際においてどういうふうになるものでしようか。この際国政調査の上におきまして非常に重大な問題になつて委員会にかかつておりますので、その辺につきまして検査院の権限、範囲、対象、これの関連の御説明伺つておきたいと思うのであります。
  31. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの外航船舶の建造融資利子補給及び損失補償法の問題、これは世間でも非常に大きな問題になつておりますので、国民としてもぜひ十分検査すべきものだということ誓えられるので、われわれの方でもこの点については今準備しておる次第であります。今御指摘の二十三条の一項三号の問題でありますが、その解釈問題といたしましては、国が銀行に利子を補給する、これはすなわち直接に「補助金、奨励金、助成金等を交付し」というものに該当するものと考えております。しかしてその間接の利益は、船主が銀行から金を借りるのに、政府の補給だけ利子が安くなる。従つてそこには間接の財政援助があるものと考えております。そこまではいいと思うのでありますけれども、銀行から融資を受け、その融資に対する利子を実質的にまけてもらつた船主が、次の段階で造船会社に船を注文するという問題、これは普通の船主と、造船会社との間であつて、ここに言う間接の財政援助というところまで行けるかどうか私は非常に疑問に思つております、むしろむずかしいのじやないか、今そういうふうに考えております。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとその点について委員長にお諮り願いたいのです。しからば船会社までは的確に調査はできるというふうにも承りますので、船会社を指名いたしますから、検査院におきましているくと御調査になつておると思いますので、その船会社に関する御調査の結果を、適当な機会に当委員会に御報告願えるようにしていただきたいと思うのであります。それで適当な機会に委員長名義をもつてそちらへ申し入れますから、御報告を願えるようにお願いを申し上げたいと思います。それをお諮り願つておきたいと思います。
  33. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 今の点でちよつと申し上げますが、二十三条一項三号に該当する事実が発生したならば、もちろん検査をいたします。ところが今私の聞いておる範囲では、まだその該当する事実が発生しておらぬように聞いております。したらやります。
  34. 藤田義光

    ○藤田委員 本日は大蔵大臣の出席がありませんから、簡単に会計検査院長の御答弁を願いたいと思います。まず第一にお伺いしたいのは、先ほど吉田委員から御指摘がありましたが、会計検査の効果でございます。これに対して非常になまぬるいというような感じを持つております。先ほどは、国会がやるべきことであつて会計検査院としては今のところなかなかその点は困難な情勢にあるということを言われておるのでありますが、憲法上の保障もありますし、会計検査院法を見ましても、制度上はある程度のことを会計検査院として私はやれるのじやないかと思うのです。それでここでお伺いしたいのは、会計検査院法の二十条に「会計検査院は、常時会一計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」とあるが、具体的にはどういうことをされておりますかをひとつこの際簡単にお伺いしておきます。
  35. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 これは結局検査を受けるものが会計を経理する。その経理の結果帳簿書類、証拠書類を提出させまして、それによつて書面上の検査をする。それからまた必要によりまして——これは予算、人員の制約カありますけれども、なるべく広く実地検査をする。そしてその結果によりまして不当または違法、あるいはそこまで行かなくても、たとえば経費使い方が非常に不経済じやないかというような場合にその現場に検査に行つた者なり、あるいはまたものによりましては院長から所管大臣に対しまして意見を述べる、こういうふうな方法によりまして適正を期し、そしてまた間違つておるもので向うもわかつたものはその場で直すということで是正をはかることになつております。
  36. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、近時特に行政管理庁あるいは大蔵省等の現地検査が非常に頻繁かつ深刻になつて来ております。しかも監査の範囲というのが大体会計検査院とまつたく同一であります。国家財政が非常に苦しい今日におきまして、こういう幾多の国家機関が同じ対象をとらえまして検査を繰返すということは、非常に国家的に不経済であります。と同時にこれはほかり官庁の会計検査院に対する不信だと私は思うのです。そういう点に関しましての行政管理庁その他との話合いはどういうふうになつておりますか。これは特に全国の自治体等は一番音を上げておりまして、こういうことは即時是正しなければならぬ問題じやないか、会計検査院検査というものに権威があつて先ほど杉村委員が御指摘ような緊張した検査を今後峻厳にやつて行けば、こういうむだなことはただちに廃止できるのじやないか、かように考えておりますが、この際院長のお考えと、それからほかの官庁の監査状況との調整はどういうふうにされておるかをお伺いしておきます。
  37. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 検査院が憲法上の独立機関として厳正な検査をするという点におきまして、政府または政府機関政府の内部で検査するという問題との関連でありますが、これは私は俗に、検査院検査は外部検査である、それから政府のいろいろな機関のやる検査は内部検査であると言つております。そして外部検査がしつかりしておれば内部検査はいらぬ。内部検査をするということは会計検査院に対する不信であるというふうにお考えになるかもしれませんが、私はこういうふうに考えております。これは例で言うのはまずいかもしれませんが、市中銀行に対しまして大蔵省が銀行検査官というもので検査しております。と同時に市中銀行はやはりその内部に検査部門を置きまして自分で検査をしておる、こういうのでありまして、結局内部検査というものは、会計検査院関係で言うと、経理検査はもちろんのこと、いわゆる行政的な面からも検査する余地があるので、向うは自主的に検査をやる。私の方は外部から検査をするので、両方の検査があつても、私はさしつかえないじやないかと思います。ただ内部検査は、現状におきましては、いろいろ理由はあると思いますけれども大蔵省もやるし、ほかの役所もやる、三つも四つもやるということは、やり方によつては、政府内部のことでありますから、お互いに連携をとつて検査を受ける人の仕事を妨害しないような方法は考えられるのじやないかと考えております。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 一応りくつでありますが、私は国家財政の面におきまして、内部検査というものは、会計検査院検査、つまり外部検査がしつかりしておれは、必要ないと確信しております。特に行政庁においては、それぞれ所轄の責任者がちやんとポストを占めておりまして、これに対する信用がないから、従つて内部検査の必要が起るというような醜態を続けておるのじやないかと思います。これは次会に、塚田大臣や小笠原大臣の所見を伺いたいと思いますから、省略いたします。  それから、私の仄聞したところによれば、どうも会計検査院に対して政党の介入がある。特にある政党の古いボスが会計検査院の幹部の人事にも容喙したという、これは過去の話でありますが、不届きなうわさを耳にしております。いずれ事態を正確に把握いたしまして、院長の所見を伺う所存であります。この際二十七年度決算審議にあたりまして、この決算は日本の独立第一年の決算であります。ところが、仄聞するのに、会計検査院検査に際しまして、外国が非常に制約を加えた。従つて相当重要な項目にわたつて会計検査院検査が不可能であつて、今日に至るまでそのままになつているというようなことを聞いております。具体的資料を一部持つておりまするが、いずれ真相を発表したいと思いますけれども、院長におきましては、何か外国あるいは外国軍の干渉によつて検査に支障を来したという記憶はありませんか、どうですか。この際率直な御意見伺つておきます。
  39. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまのお話でありますが、実は私今聞いてびつくりしたのですが、少くともそういうことは私に対してはないし、部下にもあつたということを私は聞いておりません。それから人事に対する外部からの干渉と言われますが、それもちよつと私にはそういう記憶がありませんし、人事なんかももちろん、ごく下の方は事務総長にまかしてありますから知りませんが、ある程度以上のことは、検査官会議にかけておりますので、そういうことがあつたということは存じません。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 院長はたしか今年八月に任期が来ると思います。私は会計検査院の最高人事というものは、最も厳正でなくてはならぬ。従いまして近い将来の院長交代にあたりまして、世上、一部に流布されておるような風評があつてはたいへんだというところから、質問の形式で、院長の反省を促しておるようなわけであります。この検査院検査にあたりまして、外国の制肘を受けたことは、全然聞いた覚えがないというお話は、はつきり速記録に残つてしまつたわけであります。私は次会に重ねて具体的資料を持つて参りまして、お伺いしますが、速記録の訂正が必要でありませんか、どうですか。今一度念を押しておきます。全然聞いたことは、ございませんか、どうですか。これは大蔵省の主計局その他の責任にもなつて参ります。今一度院長の御所見を伺つて、本日は打切つておきます。
  41. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 二十七年度検査報告作成にあたりまして、そういう記憶は私は持つておりません。
  42. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁年度を限定されましたが、院長が就任されましてから今日に至るまでの検査報告作成ないしその前の段階において、干渉を受けた記憶がないという意味でありますか。どうでございますか。
  43. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 それは、外部の干渉と考えるかどうかは、検討の余地があると思いますけれども、終戦以来警察予備隊関係におきまして、いろいろ問題があつたのであります。その関係において、われわれの方といたしましては、違法不当の事項を摘発するのは、なし得べきことでなさない、違法不当のことをしておるという点でありましていわゆる不可抗力によつて発生した事項ついては問うておらぬのであります。その不可抗力という範囲に、進駐軍との関係の問題、こういう問題はあつたと思いますが、それが干渉というかどうかという点は、見方の問題でありますから、進駐軍が、たとえば警察予備隊の物を買う。そうしてそれが不当に高く買つてつた。私どもの方では不当に高く買つておるだろう、けしからぬじやないかというので、だんだん調べますと、結局関係者の努力によつては、それは防止できないというような事態があつたことはあります。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの問題は、国民の血税に重大影響のある問題でありまして、しかも外国の関係もありますので、正確を期するため、私は本日はこの程度で打切つておきます。いずれ次会にこれをお伺いいたしたいと思います。私はまだいろいろ質問したいこともございますが、本日はこの程度で打切らしてもらいたいと思います。
  45. 山田長司

    ○山田(長)委員 先ほど吉田委員が、批難事項の中の十八から二十四までの項目をあげて話されましたが、この項目の中に、風聞として伝え聞く私の知つて事件一つあるのです。それは船の購入について保安庁契約をされておる中に、不穏当な購入の仕方があるということを聞いておるのです。どういうところから船を購入されて、随意契約をされておるのか、それを次の機会に資料として出してもらいたいと思います。
  46. 河野金昇

    河野(金)委員長代理 お聞きのようであります。答弁はいりませんが、資科をこの次までに出してください。
  47. 阿部五郎

    ○阿部委員 大蔵省に伺いたいのですか、防衛分担金六百数十億を毎年出ししおりますが、あの予算執行責任石はだれということになるのですか。
  48. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。これはアメリカ軍に交付する分と、それから国内で借料その他に払う刀とにわかれております。アメリカ軍に交付する分につきましては、大蔵省で直接やつております。国内での借料その他に払う分につきましては、特別調達庁あるいは建設省その他所管のところへ移しましてそれぞれの長官なり大臣の責任においてやつております。
  49. 阿部五郎

    ○阿部委員 調達庁その他の点についての検査報告も、われわれ報告を受けておるのです。アメリカ軍に渡すという方面は、大蔵省がやつておられるということですが、どの局でやつておられますか。     〔河野(金)委員長代理退席、委員長   着席〕
  50. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。大蔵省が交付する場合の支出につきましては、もとより検査院検査を受けるわけでございます。阿部委員のおつしやる御趣旨は、向うに渡つてからどういうふうに使つているかという問題についてたろうと思いますが、この点は今のところ検査院検査対象にはなつていないと承知いたしております。
  51. 阿部五郎

    ○阿部委員 先方に交付するにあたつて、その使途についての検討を終つて交付するのであろうと思うのですが、そうじやないのでございますか。
  52. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは関係者が集まりまして、先方の見積りを検討し、それが大体やむを得ないものだと認定いたしました上で交付いたしている次第でございます。
  53. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういう事務の執行責任大蔵省のどの局にあるのかということについて先ほど聞いたのですが、お答えがはつきりなかつたようです。どういうことになつておりますか。
  54. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。これは大蔵省主計局を中心にいたしまして、財務参事官がいて、それが向うとの折衝をいたしております。そのほかに外務省の国際協力局の方もおいてになりまして、検討いたしているよう承知いたしております。
  55. 阿部五郎

    ○阿部委員 会計検査院に伺います。ただいま私が伺つている部分費用でありますが、これは向うに交付してからの使い方ということまで検討することは、会計検査院に権限がないかもしれませんが、その交付までの間に、交付すべき費目が正当であるか、たとえばそれが物件であれば、その価格が正当か、あるいは人件費であれば、その基準が正しいかどうか、そういうふうな検討は会計検査院がなさるのでございますか、またなさる権限がないのでございますか。
  56. 佐藤基

    佐藤会計検査院長 ただいまの問題は日米両国間の協定に基く事項て凝りまして、その協定に認められた範囲を今私存じませんが、その範囲において検査をいたしております。
  57. 阿部五郎

    ○阿部委員 その検査の結果について、われわれに対して報告はなかつたように思つておりますが、それはいつごろどういうふうに報告くださるのですか。
  58. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 ただいまのお話でございますが、アメリカの方に渡します金は、毎年予算できまつた範囲内の一定の金額の限度内の金を入れまして、その入れられました金がどう使われるかということはアメリカの会計検査院検査いたしております。なおその中の費目一つ一つの問題については、外務省、大蔵省等で選定された日本の官吏が詳細に内容を点検するように聞いております。会計検査院といたしましては、政府支出官がその口座に振り込んで行くまでは私の方の権能になつておりまして、そこまでは調べておりますが、しかし一々の使途が高いとか安いとかいう問題には入つて参りませんで、口座に移して行くまでの点検は私どもの方でいたしております。移された内容がどう使われるかということは、アメリカの会計検査院の方で調べておりまして、またその内容の一つ一つは、日本の大蔵省と外務省との合同の委員会がありまして、その中で知らせを受けて調べようになつているはずでございます。
  59. 阿部五郎

    ○阿部委員 どうもはつきりいたしませんが、私が伺いたいと思う要点は、非常に莫大な金額に上るものであつて、しかもそれが日米安全保障条約に定められた範囲を越えて支出されることがはたしてないであろうかという心配が、国民全般にあるのであります。これはあるのが当然であろうかと思います。しかもその間には朝鮮事変という大事変があつたのであります。あの金はそういう方面にも使われたのではなかろうかという疑惑が、国民全般の中に大いにあるのであります。もうすでに事態は一応終つております。そこでその間の数年にわたつて支出される防衛分担金が、どう使われたのであるか、条約に基いて正しく使われたのであるかどうかということを、はつきり国民報告する機会は一体ないのであろうか、こういう点であります。
  60. 山名酒喜男

    ○山名会計検査院説明員 ただいま御質問になりましたアメリカ側の方の口座に移すことについての金額が、予算認められ及び協定に認められた金額を越えないか越えるかという点は、私どもの方でも検査しております。しかし一つ一つの使途の問題については、私どもの方では詳細な検査はできないことになつております。
  61. 阿部五郎

    ○阿部委員 これは大蔵省の方にお尋ねいたしますが、予算認められた金をアメリカ軍の方に渡すのは——もちろん渡すのでしようが、その金が全体予算に組まれているからというて無条件にそのまま渡してしまうのであるか、それともそれが条約に基いてどれどれの費用ですといつて内容を詳細にして渡すのであるか。当然それでなければならぬと思いますが、少くともその限度ぐらいの報告は当然国会に対してなさなければならぬ義務があるだろうと思います。それがどの方面からもわれわれの手元へは一向来ていないのであります。この点は一体どうなつておりますか。
  62. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいま検査院から申されました通りに、安全保障条約なり行政協定に基きまして、国会にまず予算として提出し、その提出した予算執行される段階に至りまして、先ほど申し上げました通りに、関係者の合同委員会で各費目について検討を加えまして、ただいま阿部委員がおつしやられました通り、はたしてそれが協定に定められた費目であるかどうかということを検討いたしました上で交付いたしております。国会に対する報告をどの程度までするかということは、検査院検査支出の段階まででございますが、それに関連をいたしまして資料等の御要求がございますれば、さしつかえのない限りはお出しすべきものかと心得ております。
  63. 阿部五郎

    ○阿部委員 それではこの支出に至るまでの費目なり、そのできるだけ詳細なる内訳を資料として提出されることを望んでおきます。
  64. 田中彰治

    田中委員長 資料を提出してください。
  65. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 合同委員会の方に御連絡申し上げまして、御要望の趣旨を伝えたいと存じます。
  66. 田中彰治

    田中委員長 次会は二月十九日午後一時から、昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書を議題とし審議を行う予定でありま与から御了承願います。  本日はこれで散会いたします。     午後三時三十一分散会