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1954-05-28 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十八日(金曜日)     午後零時三十四分開議  出席委員    委員長代理理事 加藤 宗平君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君    理事 菊川 忠雄君       木村 俊夫君    西村 久之君       平野 三郎君    前田 正男君       南  好雄君    神戸  眞君       楠美 省吾君    園田  直君       水谷長三郎君  出席政府委員         内閣官房副長官 江口登留君         経済審議政務次         官       深水 六郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君  委員外出席者         議     員 竹谷源太郎君         総理府技官         (経済審議庁計         画部調査官)  佐藤 清見君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁業調整第二課         長)      諏訪 光一君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    佐藤 寛政君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 五月二十五日  電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例  法制定に関する請願福田一紹介)(第四九  八八号)  同(只野直三郎紹介)(第五〇四二号)  国土開発中央道建設促進に関する請願古屋貞  雄君紹介)(第五〇一一号)  ダム建設に伴う政府統合機関設置に関する請願  (久野忠治君外十一名紹介)(第五〇八四号)  ダム建設に伴う税等特例措置に関する請願(  庄司一郎君外十二名紹介)(第五〇八五号)  ダム建設に伴う国有林野払下げ等に関する請願  (庄司一郎君外十名紹介)(第五〇八六号)  ダム建設に伴う漁業権附与に関する請願庄司  一郎君外十名紹介)(第五〇八七号) 同月二十七日  電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例  法制定に関する請願福田一紹介)(第五一  〇三号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十五日  特定地域総合開発事業強力推進に関する陳情  書(第三一六五  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中の審査申出に関する件  委員派遣に関する件  国土開発中央道事業法案竹谷源太郎君外二十  五名提出衆法第三二号)   請 願  一 離島航路整備に関する請願成田知巳君紹    介)(第七九八号)  二 沼島を離島振興対策実施地域指定請願    (富田健治紹介)(第一三一一号)  三 離島振興法による予算措置に関する請願(    熊谷憲一紹介)(第一九〇二号)  四 蘆品郡特殊土じよう地帯指定請願(    高橋禎一紹介)(第二五二号)  五 同(高橋禎一紹介)(第二四八一号)  六 電源開発及び多目的ダム建設促進のための    特例法制定に関する請願外一件(福田一君    紹介)(第四八六三号)  七 電源開発工事に伴う立法措置に関する請願    (福田一紹介)(第四八六四号)  八 昭和二十九年度離島振興予算確保に関する    請願岩川與助紹介)(第四九五八号)  九 電源開発及び多目的ダム建設促進のための    特例法制定に関する請願福田一紹介)    (第四九八八号) 一〇 同(只野直三郎紹介)(第五〇四二号) 一一 国土開発中央道建設促進に関する請願(古    屋貞雄紹介)(第五〇一一号) 一二 ダム建設に伴う政府統合機関設置に関する    請願久野忠治君外十一名紹介)(第五〇    八四号) 一三 ダム建設に伴う税等特例措置に関する請    願(庄司一郎君外十二名紹介)(第五〇八    五号) 一四 ダム建設に伴う国有林野払下げ等に関する    請願庄司一郎君外十名紹介)(第五〇八    六号) 一五 ダム建設に伴う漁業権附与に関する請願(    庄司一郎君外十名紹介)(第五〇八七号) 一六 電源開発及び多目的ダム建設促進のための    特例法制定に関する請願福田一紹介)    (第五一〇三号)   陳情書  一 離島振興法に基く実施地域指定に関する陳    情書(第三〇〇    号)  二 国土総合開発促進に関する陳情書    (第五〇〇号)  三 国土総合開発法による大山出雲特定地域の    開発事業促進陳情書    (第一〇〇二号)  四 離島振興法による予算に関する陳情書    (第一    五七三号)  五 国土総合開発促進に関する陳情書    (第一九七五    号)  六 兵庫県灘村を離島振興対策実施地域指定    の陳情書    (第二一二五号)  七 吉野川地域総合開発事業促進に関する陳    情書(第二一    二六号)  八 瀬戸内海地域国土総合開発特定地域編入    に関する陳情書    (第二一二七号)  九 離島振興法による予算に関する陳情書    (第二七    四〇号) 一〇 国土総合開発促進に関する陳情書    (第二八三六号) 一一 経済緊急政策に関する陳情書    (第三〇〇七号) 一二 特定地域総合開発事業強力推進に関する    陳情書(第    三一六五号)     ―――――――――――――
  2. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 これより会議を開きます。  国土開発中央道事業法案を議題といたしまして、前会に引続き質疑を続行いたします。この際本案に関しまして菊川委員より発言を求められておりますのでこれを許します。菊川君。
  3. 菊川忠雄

    菊川委員 中央道事業法案のことについて二、三お尋ねしたいと思いますが、きようは道路局長はお見えですか。
  4. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 まだ見えておりません。
  5. 菊川忠雄

    菊川委員 じやあと道路局長にお尋ねいたします。これはけさの新聞に載つておるのですが、政府では二十七日の次官会議で、国土開発中央道事業法案取扱いを協議した結果、この法案資金、技術などに問題が多いので反対するとの態度をきめた、こういうことが載つておるのですが、これについて次官会議でこの問題を取扱われたいきさつと、何らかの結論がありましたならば直接お伺いをしてみたいと思います。
  6. 江口見登留

    江口政府委員 昨日の次官会議におきまして大蔵省からこの法案に対しましては反対である旨の意見提出がなされたのでございます。その前の次官会議にも経済審議庁から非常にむずかしいという意味意見提出がございました。昨日は大蔵省から出されたものでございます。この次官会議については別に各種の議案について決定権を持つておるというような、そういうような会議ではございませんので、ただ各省からの案件について話合いをするというだけでございますので、この法案に対しまして、それでは政府としてどういう態度をきめておるかというような点につきましては、まだ関係各省次官会議にそういう意見が提出されたという程度のことだけでございまして、これを取上げて政府で一本にまとめたというような意見はまだないような状況でございます。
  7. 菊川忠雄

    菊川委員 次官会議性質から申しまして反対する態度をきめたということは、確かに記事の書き過ぎではないかというふうに了承はしておるのであります。そうしますと、次官会議において今までこの問題を扱われたことは二回あつた。一回は経審庁の方からの意見発表、そして昨日は大蔵当局からの意見発表というふうに伺つたわけですが、前回経審庁の方からの意見というものはどういう内容でございましたでしようか、それから昨日の大蔵当局からの意見発表はどういう内容でございましたでしようか。これは大蔵省の方からお見えでございますから、大蔵省の方から伺いたいと思います。
  8. 原純夫

    原政府委員 大蔵省がこの法案反対意見を出しました理由は数点にわかれるわけでありますが、まず第一にこの計画自体につきまして所要資金、資材、技術的な問題等多くの検討すべき問題が残つております。しかるに法案の形で出ましてこれが通れば、次に事業具体的着手ということになるわけでありますが、仕事の進みぐあいと申しますか、ただいま申しましたような、非常に検討すべき問題が多くあるということから考えまして、この法案を今成立させるということは、いかにも飛躍し過ぎるという段階的な理由、これが第一でございます。  第二はこの東京神戸道路は一方で御存じ通り海岸方面通ります道路プランがあるわけでありますが、それでも非常に多額工費を要し、有料道路としてもなお採算が合うかどうかという点についてはいろいろの議論がある状態であります。そういうような意味で、この法案による計画というものは、そういう面で非常に疑問が多い。なお開発のための道路ということであるならば、率直に申しますと、東京神戸をつなぐという必要が不可欠なものであろうかどうか。開発ならば開発でそれぞれ適当な地と連絡する道路をつくり、整備するということでよろしくはないか。これは逆に言いますれば、せつかく道路整備五箇年計画あたり中心にして、相当な財源を特に揮発油税の収入からさいてやろうという計画、これにもちろん国土開発という目的は非常に大きな重要目的一つとして入つておるのでありますから、そういう点をもあわせて考えていただかなければならないという実態論が第二であります。  第三に資金需要費用の問題からでありますが、財政を緊縮しなければならないのに財政需要が非常に多いということで、予算の編成に苦しんでおりますことは御存じ通りであります。この財政状況から見まして、毎年二百億円をこの道路事業に出資するということはとうてい不可能だと考えられるわけであります。かたがた一方では、ただいま申しました通りその苦しい中に、議員立法によりまして道路に関しましては非常に多額経費をつぎ込むということにおきめになり、それで動いておるわけでありますので、いわばこの上に追加して道路多額の金を出すということは、困難さが自乗の形で出て参るというようなことになるわけであります。主としてそんなようなことがわれわれの意見重点になつておるわけであります。
  9. 菊川忠雄

    菊川委員 前回経審庁の方からの大体困難だという意見内容を伺えますか。
  10. 佐藤清見

    佐藤(清)説明員 経審の方の意見を申し上げます。この法案は、道路中心といたしました総合開発的の考えを持つておられるようなのですが、現在経審といたしましては、このことにつきましては何ら資料を持ち合せておりません。それで技術的にはどうか、あるいは経済効果の面はどうなるかというふうな面には現在何ら判断資料はございませんので、現在は何とも申し上げかねるような段階でございます。
  11. 菊川忠雄

    菊川委員 江口さんがあとをお急ぎのようでございますから、先ほど御答弁をいただいた点についてもう一点をお伺いしておきます。そうしますと中央道路の問題については、前回経審庁、今度は大蔵省というふうに関係当局の御意見次官会議で出たわけでありますけれども、この法案がこの国会で、ただ一、二回のこの委員会において会期末を控えたこの際にすぐ通るというふうな御心配があつて次官会議でこういうことを御相談なすつておるのか、あるいはこういう問題については、これは重大な問題ですから、いずれ将来われわれとしてもゆつくりと国会の各方面意見を聞き、また政府のいろいろな御意見を聞き、さらに民間の意見を聞いてきめるべき大事業だと考えておりまするが、そういうことを今からやる必要もない、幸いに国会に出たこの機会に、一気にこういうことをすべきではないという政府意思表示を何らかする必要があるということで次官会議でお取上げになつているのか、それとも第三の点として考えられるのは、たまたま各省の当面するようないろいろな問題、たまたま国会に出ておる問題、これについて報告しようという程度で出た問題が、たまたま新聞にはこういうふうに出たのだというふうに考えてよろしいのですか、この点を伺いたいと思います。どうも私どもから見ると、この法案会期末に急に出ておる、何かこの法案が通つちやたいへんだというふうなことで、いかにも水鳥の羽音に驚いた平家の軍勢というようなかつこうです。今の吉田内閣はそういうことになつておりますが、しかも少数の社会党の出した案でなかなかできるという性質のものでもないのでありますから、この点は一体どういうふうに考えておられますか、これを伺つておきたいと思います。
  12. 江口見登留

    江口政府委員 次官会議でこういう問題を取上げますのは、特にこの法案についてのみ重点を置いたというわけではございませんので、議員提出法律案が提出されますと、それがどこかの委員会にかけられる、その委員会関係を持つておりまする関係省から、実は自分のところの関係委員会議員提出法律案としてこういうものが出されたということを次官会議に報告し、それからさらにそれが閣議に報告されるのでございます。この法案だけでございません、すべての議員提出案についてそういう措置をとつておるのでございます。その際関係各省から、この法案についての意見というものを同時に出して来ることになつております。ただいまいろいろ御疑念の点があるようでありますが、この法案に対して最も関心を持つべき省は建設省だろうと思つておりますが、御承知の通り建設省からはこちらの会議にまだ意見は出ておらないという程度でございまして、急速驚いて各省が寄り集まつて何か措置を講じたというものでは決してございませんから、その点は誤解のないように願います。
  13. 菊川忠雄

    菊川委員 原主計局次長にお伺いしますが、この中央道計画に限らす、従来すでに弾丸道路といわれる海岸寄り東海道道路計画があるわけです。そうしますと海岸線のいわゆる弾丸道路の方の計画とこの中央道路の方に提起されておる計画と、こういうものを二つわれわれが並べて考える場合に、一方はすでに前々から調査着手しておられるということでありますが、しかしこれも別にまだ国会には提案されている問題ではございませんし、政府においてもまたやるともやらぬとも、はつきりと方針はきまつてないと考えておるのであります。吉田さん外遊されるかされぬか知りませんが、された際に向うから金をひつぽり出す一つ手品師の種に使つておるという程度のものであつて、金が来なければまた立消えになるというものであろうと思いますが、その程度のものでも計画として政府はすでに調査を進めておられる。そうしますとこの海岸線寄り弾丸道路にしましても、今中央道路についての困難性の点を三点ばかり要約してお述べになつて伺つたのでありますけれども、たとえば具体的な着手という問題については検討もされていない。この法案は提案されたばかりでありまして、この法案の趣旨に従つてわれわれも今後各方面協方を得て、これから具体的の調査に入るという段階でございます。一方弾丸道路にいたしましても、これは相当調査をされておるのでありましようが、まだまだわれわれから見れば五十歩百歩という程度の問題であろうと思う。  それから第二の点のいわゆる道路整備五箇年計画などで多額費用をこれから必要とずる。しかもこういう財政困難の際において、これをやらなければならぬというような重大な問題に当面しておる際に、こういう新しい中央道路計画というものを持ち込まれていることはどうかというのでありますが、これまた東海道海岸寄り弾丸道路の場合においても、同じ問題に直面するわけであります。また第三の資金需要という問題になれば、やはり両方ともいつやるかということにつきましては、同様の問題を控えておる。こういたしますと、大蔵当局としてはさいふのひもを締めるのが仕事でございましようから、当然でございましようが、しかし弾丸道路の方は五十歩百歩程度で、やはり具体的な検討はまだ完了しておりませんし、また一方、財政的その他の面においても多くの困難を持つておる。それはそれとして、一方では肯定をしてかかつておる際に、一方では、中央道路計画については、その理由をもつて否定してかかるということには、何か矛盾があるような気がしますが、それはどういうふうに考えておられますか。この点について当局は、中央道路の問題で特にこの際に反対をされ、一方の弾丸道路の方は、これを必ずしも否定はされないということは、一体どういう理由によるのか、この点を伺いたいのであります。
  14. 原純夫

    原政府委員 まず海岸寄り弾丸道路につきましての最近の取扱い状況であります。肯定をしておるというふうな形でおつしやつたわけでありますが、事柄は外資導入とからんでおりまして、他のいろいろな代替的な案と並んで出ておるということであり、それらの案各個につきまして、ただいま中央道路について申しましたようないろいろな問題がございます。そういうような形でただいま扱われておるわけであります。従いましていろいろ問題があるという点においてはおつしやる通り、同様であると申しますか、五十歩百歩であるということはその通りであります。まあしいてと申しますか、若干違うところと思われますのは、有料道路としての採算性あたりになりますと、海岸道路中央道路はかなり違うのではないかという感じもいたします。これは中央道路の方の計画の詳細、海岸道路の実際の見込みをなお丹念に当つてみないと言えないことでありますが、感じとしてそういうような点はあろうかというふうに考えております。大きく申しますれば、外資が幾ら入るといいます場合に、そのわくの幾らを道路に充てるという判断があり、そしてその道路に充てる場合に、どの道路に充てるというような判断系列があるものだと考えますが、そういう判断系列にこれが入るか入らぬかというのは、いろいろな工費の総額なり、あるいはその効用なり、それのいわば償還の能力なりというもので決定せられるものでありますが、借款という見地からしますと、償還性、つまり有料による回収性ということは相当問題になるというような意味で、先ほど申し上げた差あたりは、その面ではかなり重要になつて来はしまいかというような感じがいたしております。
  15. 菊川忠雄

    菊川委員 それだけではどうも私納得行かないのですが、結局そうすると、外資が入るということを前提として、この外資が入ればそれをどういうふうに使うかということの一つ系列があるということから考えて、弾丸道路の方に重点を置く可能性を多く認めておられるというだけのことなんです。たとえば採算性がどうであるとか、あるいは有料道路としてこれを利用する場合の回収性がどうであるかとかいつても、はなはだ失礼ですが、それではどれだけ中央道路の問題について検討を加えられて、そしてこういう結論をお持ちになつておるのか、これは私は疑問だと思うのです。もしそういう点について調査をなれた上で比較検討されたというならば、その御説明を伺いたいと思いますが、おそらくこれは私はそこまでのことにはなつていないと思います。そうしますと、われわれから見ると今の政府のいわゆる外資導入という一つプランにつながる、そうして外資が入つて来た場合に国内に流すところの一つ系列、こういうものが頭に入つて、それを動かすべからざるものと考えた場合に、その系列にはまらないからいけないということだげである。外資は入らない、吉田内閣は倒れた、あなた方はお役人であるから、まさかその系列内閣政策をやろうというのではないでしよう。そんなものは国民の意見によつてかわるものである。そこに何か官僚独善的な考え方がある。そこはひとつここでしばらくおいてもらわないといけないと思う。  そこでお尋ねいたしますが、弾丸道路にいたしましても、新聞の伝えるところによりますれば、弾丸道路経費は千百四十五億円を要し、相当の通行料金をとつて償還に二十箇年を要する状況にある。こういうふうに新聞では簡単に書いております。私どもは今まで寡聞にして、十分こ弔いう資料について検討したものを伺つておりませんから、判断する準備はない。しかしどう考えてみたところで、総工費千百四十五億円というものにいたしましたところが、これが的確なものだとは考えられない。そうしますと、たとえばこれをやるとなりましたならば、だれでも考えなければならぬことは、なかなか机の上で考えた以上の補償経費その他のものが多額にいるということは、最近のダム計画についても明瞭であると思うのであります。そういう点からいつて、一体一方の弾丸道路の方についてはどれだげの的確な調査をしておられるのか。それからこの裏打ちになるところの資金需要については、どれだけの的確の見通しを持つておられるのか。もしそういう点について、資金需要の容易さと、入つて来た場合の系列ということを頭に置いて、両方比較しておるという私どもり方の考え方に誤りがないとすれば、その点、詳しいことはよろしゆうございますから、伺つてみたいと思うわけであります。その点を伺いたい。
  16. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 菊川委員に申し上げます。建設省から佐藤道路企画課長見えておりますから、佐藤説明員からお聞きになつたらどうでしようか。
  17. 菊川忠雄

    菊川委員 どなたでもけつこうです。
  18. 加藤宗平

  19. 佐藤寛政

    佐藤(寛)説明員 たいへん参りますのが遅れまして申訳ございません。ただいま参りましたところで、御質問のお話まだ十分お聞取りいたしておるかどうか、ちよつと不十分かもしれませんが、ただいま伺いましたところによりますと、建設省で考えておる東海道高速自動車道路はどの程度調査をしておるかということを最後におつしやつたのを伺いましたので、まずそれについて申し上げます。  大体東海道に沿いまして東京から神戸までの間に、高速自動車道路をつくろうというものでございまして、この起りは昭和十二年ごろからいろいろ調査しております。そうして国の調査費をいただいて調査をいたしましたのは、たしか昭和十七、八年であつたかと思います。年次ははつきういたしませんが、あるいは一年くらい狂つておるか存じませんが、約二箇年調査費をいただきまして、一応想定路線につきまして簡単な測量調査をいたしました。その後ああいう戦時の深刻な状態になりましたので、中止の状態に至つておりましたが、終戦後昭和二十三年ごろから再びこの話が持ち上りまして、ただいま実施いたしておりますものは、昭和二十六年から調査を開始いたしまして最初はペーパー・ロケーシヨン、ごく簡単な調査から始めまして、逐次現場の実際測量をいたしまして、実は本年度も約二千万円をいただいて調査中でございますが、本年度をもちまして一応第一予定線につきましては実測を終るというところまで行つております。今後いろいろ、比較線その他でもう少しやはり調査をしなければならぬと存じますが、このたびの調査にいたしましても、昭和二十六年から今年でちようど四年目になりますか、調査いたしております。その結果によつて計画書をつくつて行くということでございます。
  20. 菊川忠雄

    菊川委員 今の弾丸道路の問題につきましては、私はまたもう少しこの問題が進みましてから別の機会にお尋ねすることになるかと思いますが、先日道路局長さんの本委員会における中央道の問題についての見解を伺つたのでありますが、その際中央道は非常に技術的に工事が困難であるということ、山岳地帯を通つておるので、たとえば赤石山脈の一部などの場合においては、相当海抜の高いところを通る。従つて一年を通じて積雪の時期であれば道路が不通になろ可能性が非常に多いというようなことにおいて非常に実施上困難ではないかというようなことを言われたのであります。そこで私ぎよう道路局長さんにその点をもう一ぺん確かめたいと思つたのでありますが、建設省当局としては中央道の問題につきましては、そういう技術的な専門的なことまで言い得るだけの今まで何らかの調査をされておるのかどうかという点をお伺いいたします。ついででありますからあなたの御見解でもけつこうでございますが、一体赤石山脈のある地点においては、雪のためにこの道路をつくつてみても交通が杜絶するということをここに明確に言い得るだけの自信をお持ちかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
  21. 佐藤寛政

    佐藤(寛)説明員 きようは局長がちよつと所用がございまして参れませんでしたが、今回御提案になりました法案の御趣旨の中央道路につきましては、約三年ほど前からいろいろそういう御案があることを承つておりました。私どもといたしましてはこれは非常に大事な問題でございますので、当時この案を御発表になつておられた方からいろいろ御事情を承り、できるだけその調査はいたしておつたわけでございます。しかしながら調査と申しましても、何分にも簡単に行つて見ることができるところではございませんので、まず第一番目にいろいろ資料によりまして可能性その他経済的の事情などを調査しておつたわけでございます。ただいまの御質問で、前回委員会におきまして局長がいろいろ御答弁になつたようでございますが、その考え方はさだめしただいま申しました資料調査による御判定だろうと私は考えます。しからばほんとうにしつかり自信をもつて言えるだけの調査をしておるかという問題でございますが、これは昨年度建設省におきまして、これは総合開発調査費でございますが、四百五十万円の調査費ちようだいいたしまして、ただいまの中央線につきまして調査実施中でございます。一応現場関係調査を終つたわけでございますが、経済効果その他内容がまだまとまるに至りませんで、従いましてはつきり申し上げることは困難かと存じます。いろいろ意見を申し上げおりますのは、資料によつて、従来ある五万分の一の図面その他従来あります資料によつて申し上げておることと御了承願いたいと思います。
  22. 菊川忠雄

    菊川委員 これは提案者である竹谷議員に逆にお尋ねしてみたいと思つておつた点なんですが、たとえば今お話の建設省が二十八年度予算で計上された調査費一千万円の中で、ほんの一部をさいて中央道の路線の調査を行つたということですが、その路線は今ここに法案として出されておる路線ではなかつたと思いますが、その点はどうですか。われわれの聞くところによれば、それは各県に調査をさせた結果でありましようけれども建設省計画局と道路局とがその立場から選定して、それに基いて各県に調査をされておる。そうしますとこれは今の中央道路法案にいうところの路線とは必ずしも一致しておらない。のみならず問題の赤石山系の通過地点について見ると、先般本法案説明によつて伺つたものとは大分違つておるわけで、通過地点の標高が千メートルから千三百メートルというのが当時の政府側の御説明になつておる標高でありますし、それから崩壊の危険性の多い地点を選んでおる。思い切りむずかしい点を調査されるのも一つの方法ですが、実現不可能の問題について調査するのはやぼであつて、こういう調査は何らか他の者のためにする調査で、あるいはわれわれから見ると故意に難点を探すという一つ調査ともとられる。そういう点から見て、積雪期においては利用度が薄くなるという結論になるのはあたりまえです。従つて今お話の建設省がお調べになつておるところの路線並びにその地点は、今の中央道とは違つておるということを御認識になつておるか、この点をお尋ねしておきます。
  23. 佐藤寛政

    佐藤(寛)説明員 建設省中央道路調査しておりますのは主管が計画局でありまして、計画局のどなたかから御説明なつた方がよろしいかと存じますが、むろん建設省の内部のことでございますので、道路局と計画局と常に連絡をとつておりますので、私立ちましたから便宜上御説明申し上げますと、昨年この路線を調査いたします際には、当時といたしましてはまだこの中央道路のはつきりした路線というのは伺つてはおらなかつたのでございますが、中央道路を御提案になつておられる方からいろいろお話を伺つて、御提案になつているものにできるだけ近いものを選んで調査してみようというつもりで選定したわけでございます。さてこの法案が提出になりまして、それでは路線が非常に狂つているのじやないかしら、こう思いまして、一応法案と対照してみたのでございますが、たしか経過地、村などはほとんど狂つてはおらないのではないかと存じております。ただ一本の路線が通るところでございますから山の向うを通る、こつちを通るというようなことでは、あるいは必ずしも同じくないかもしれません。私どもはそこまではつきり伺つておりませんでしたので、大体の地点を御提案の趣旨に応ずるように、そしてあとは地図の上で最も可能性のありそうなところをとりまして、調査を進めておるというように私は承知しております。
  24. 菊川忠雄

    菊川委員 今まで大蔵当局並びに建設当局の方から、いろいろと中央道路に関連して見解を私伺つたのですが、これについて竹谷議員の方にまた御意見があろうと思いますから、参考までに伺いたいと思うのであります。  第一点は弾丸道路の問題と中央道路の問題、この二つはそれぞれ道路としての性質が違いますし、また用途も違い、目的も違うわけでありますから、これを比較検討することはなかなか困難だと思いますが、その弾丸道路の場合における困難性というものと、中央道路をこれから建設しようという困難性というものをわれわれが考えた場合に、特に中央道路なるがゆえに、弾丸道路よりは多くの困難性があるということはどうも了承できないのであります。しかしながらややもすれば非常に技術的に困難があるとか、あるいは資金需要の面において非常に困難が点るとか、できた後の維持経営において非常に困難があるとかいうふうな問題が今出ておるわけであります。これについ提案者としての御見解があれば伺いたいと思います。これが第一点でございます。  それから第二の点は、主として技術的なものでございますが、今建設省の方でお述べになつたように、二十八年度建設省予算の一部をもつて調べられたものは、大体中央道路法案において盛られるところの路線と思われるものを推定してやつたので、あまり違つていない、こう言われたのでありますが、そういうふうにわれわれは理解してよろしいかどうか。ことに先般道路局長がお請になつた赤石山系通過地点の問題について、先般伺つたところでは、標高だけでも大分違つておりますし、また積雪期の杜絶の危険は絶対にないというところの説明からみても重大な相違がある。こういう点について御見解をもう一ぺんちよつと伺いたい。それからもう一つは、先般道路局長が隧道工事が非常に困難であるということに触れておられたので、きよう局長にその点を確かめてみたいと思つたのですが、おられないのでできませんから、こういう点について提案者としてどういう御見解か、これだけ伺つておきたいと思います。  それから第三の点は、私最初指摘しましたように、われわれ本法案をいろいろと審議するにあたつては、こういう問題を提案してわずか一週間が二週間では、これが通る可能性があつたとしても通すべきでないので、従つてもつと慎重に構えて行かなければならぬところの性質のものであると思います。まだ一刻を争うべき性質法案でもないのであります。そういうことで臨んでいるのであります。しかも一方には、政府の方では何かこういうものが早く運ばれてはたいへんなことだという御心配があつて次官会議などで扱おれたのじやないか、そうではないとおつしやいますけれども、その後の新聞記事その他を見てもそういう感じがするのであります。こういう点について提案者としてはどういうようにこの法案の運び方についてお考えですか。これを第三点として伺いたいと思います。
  25. 竹谷源太郎

    竹谷源太郎君 菊川委員の御質問にお答えいたします。  第一の技術、資金あるいはできたあとの維持経営等の問題についていろいろ困難を予想せられるが、そのことに関する見解を問いたいということであります。技術といいますか、この事業執行上の手続その他も加えて申しますならば、第一に弾丸道路の方も中央道路の方も、特に土地をたくさんつぶさなければならぬのでありますので、この図面から言いますと、弾丸道路の方は千七、八百町歩の土地をつぶさなければならない。その中には千二百町歩の田畑があり、特に八百町歩はすばらしい美田である。そのほかに宅地、工場敷地、そういうものも相当つぶさなければならぬ。日本で最も文化の発達し、経済力のすぐれた東海道地方のその大切な土地を千七百町歩も買収をして、土地を収用しなければならぬということは、この弾丸道路事業執行上非常な困難が伴うということを考えなければなりません。これをたとえば五箇年間に執行するとしましても、最近電源開発のために只見川の方では一部落で十五億円も要求しているという事実がございます。金の問題ばかるでなくて、祖先伝来住みなれた愛する土地を去つて、その土地がつぶざれるということは、これは人間として忍びないことであります。感情あるいは経済上の問題等から、この土地買収をして行くだけでもこの弾丸道路の場合は非常な困難性が伴うのではないか。しかるに中央道の場合は大部分国有地であり、あるいは民有地でありましても山の中でございますから、そうしたりつぱな美田をつぶしたう、あるいは泣く泣く祖先伝来の宅地を手放さなければならぬというような悲劇、混乱等を起さずに、楽々と現在使つておらない土地を利用することができる。これは弾丸道路に比べまして中央道路の方が、技術的に見ましてもあるいは経済的に見ましても、事業執行上の点から見ましても非常にまさつているのではないかと思うのでございます。ただ中央道路の方は山岳重畳たる南アルプスの山腹地帯を縦断するのでありますから、技術的に非常に困難である、これはだれもが予想できるところでございます。まずその技術的な困難は長大トンネルをたくさんつくらなければならぬという問題であろうと思います。しかしながら東海道は、これで山が少いように見えますけれども、実際は三十三キロの隧道を掘らなければならない。ところが中央道の場合は百何十キロも必要じやないか。現に建設省道路局ですか計画局かの人が「建設月報」かに書いておる。その記事を見ますると弾丸道路は隧道が三十三キロであるけれども中央道は百二十二キロである、四倍くらいに書いておるのでございます。これは事実とまつたく違り。中央道の方は五十二キロでございます。従つて弾丸道路に比べて十九キロ隧道が長いにすぎない、しかもこの隧道というものは最近非常に技術が発達して参りまして、佐久間ダムを今建設しておりまするが、あそこの例に徹してみますると、従来鉄道なうあるいは建設省が隧道を掘ります場合、一日にニメートルかニメートル半くらいしか掘れなかつたのが、佐久間ダムのあの技術をもうつてしますと一日十メートル以上の掘盤ができる。そういうことになりますと、われわれが計画しておるこの赤石山系の九キロという長大トンネルがございますが、これも二年か三年で完成ができる、昔なら十年もかかつたわけでございます。こういうふうに土木建築事業の躍進的進歩に伴いまして、こうした問題は難なく解決ができるのであつて、技術的困難、隧道の長大ということはこれは克服ができるのであります。現に日本国有鉄道等はなかなかこの点隧道工事には技術が進歩しておるのでございますが、その上にアメリカの機械技術等を十分輸入してやりますると、今後の日本の公共事業の伸展にも役立つのでございまして、決して技術的に困難性はないので、中央通は隧道がわずか十九キロ長いにすぎないのでございまいすが、あべこべに河川は山の方は狭く、海岸側になると御承知のように川の幅が広くなりますから、むしろ橋梁の長さは弾丸道路の方が中央道より長い。しかるに建設省が従来建設しておりまする鉄筋の橋梁の経費を見ますと、大体幅十六—二十メートルくらいで一キロ十億くらいかかるようでございます。ところが隧道の方は一キロ三億四千万円でできる。三分の一で隧道は掘盤ができるということになりますので、経費の方から申しましても弾丸道路の方は橋梁が長くなる、中央道は短かくなる、そうしてその橋梁は経費が多くかかるのでありますから、むしろ橋梁の点から見れば弾丸道路の方が資金をたくさん要する、中央道資金が少くて済む、あべこべに隧道の方は十九キロだけ、すなわち弾丸道路は三十三キロであり、中央道は三十二キロでありますから、十九キロ長いのでありますが、この十九キロ長い隧道は幸いにして経費が安くて、橋梁の三分の一で済む、こういうことになりますから、そういう点から見ましても、技術的の経費の面から見ましても、決して中央道弾丸道路よりも困難が多いというふうな判断はただちに下せないと思うのであります。東海道通りましても五キロくらいの長さの隧道を二、三掘らなければなりません。むろん中央道の方は九キロのが一本、七キロのが一本、六キロ一本、五キロ二本、五キロ以上の長大トンネル五本を掘盤しなければなりませんから、隧道工事には技術、機械を要するのでございますけれども、しかしその経費が案外安く、その技術が進歩した今日、隧道を掘ることをそう心配する必要はないと私どもは考えておる次第でございます。  資金の面でございますが、先ほど菊川委員新聞の記事によつて見たところによると千百四十五億ということでございますが、私の仄聞するところによりますれば、アメリカの技術者が日本に来ましてこの東海道弾丸道路調査した結果によると、千四百八十億円という、千五百億円に近い経費が要されるという計算がなされておるやに聞いておる。これは真偽のほどはわかりませんが、一千五百億かかると言われおる。われわれの計画では、大体一キロ二億という計算で、八百億でありますが、これは誤差を見まして一千億を要する、こう見ております。従いまして経費の面から見ましても、弾丸道路に比べて中央道が高いということは決して言えない。ただかつて中央道は四千億円の巨費を要する、少くとも弾丸道路の三倍以上要する、こういう建設省のある公務員の発表がございました。しかしこれはその後その人かいろいろ研究した結果、自分の説は誤りであつたということを自覚いたしまして、そうして中央道の最初の構想者である田中氏のところへ手紙をもつて、自分の説を訂正して来ておるのでございます。この点は建設省が一応この線を通るであろうと予定して想定した路線と、われわれの考えておる路線が違うために、経費の点についていろいろ差異が生じた点もございましようが、現実に当つてみますると、隧道の掘盤費なりあるいは橋梁の費用なり鋪装費なり、そうした万般のことは、建設省が最近において工事執行の際に要しておる経費を基本として、それに多少余裕を見て、その基礎の上に中央道経費を算出しておるのであつて、決してわれわれは過小に見積つておるものとは考えられない。現在の物価をもつてするならば、一千億をもつて、四百九十キロの東京神戸間の直線コースのいわゆる中央弾丸道路ともいいますか、東海道弾丸道路よりも数十キロ距離が短かく、大体五時間で四百九十キロの中央道を突破できる、東海道弾丸道路以上にすばらしい高速度の弾丸道路ができることを確信しておるのでございまして、資金の面においても決して弾丸道路より多くかかるものではない、こう考えるのでございます。しかして一箇年に二百億円ずつの資金を投入しなければならぬということは、財政上日本の現状をもつてしては困難であるという主計局長の話もございました。これはものは考えようでございまして、われわれは保安隊の経費をやめればこんなものは一年に何十本もできてしまうと思うのでございます。保安隊の経費を全然削除しないまでも、これを節約することによつて、二百億くらいはただちに出て来る。ニクソン副大統領が日本に見えたとき、日本の農村青年が、何とか自分らの食えるように話してもらいたいと言つたところが、保安隊に行つて失業を救済してもらえと言つたそうであります。保安隊に失業救済をしてもらうようは、この中央道の建設に使つた方がいい。大体五年間一日七万人ずつの実人員を使う予定でございますから、そういう意味で、道路工事のために七万人の失業者救済がでるばかりでなく、これに伴いまして弾丸道路にはないところの農耕地の開拓あるいは電源の開発、あるいは高原地帯の精密工業都市の建設というような、新たな産業が勃興いたしまするから、それによりましてどんどん再生産が行われ、そうして一年に二百億くらいずつの金を投入することによつて、はるかに厖大なる再生産が行われまして、日本の財政を、経済を、国民生活の向上を期することができるという面におきまして、国家の財政、経済上、これは革命的な発展、躍進だと確信をいたすものでございます。  維持経営の問題でございまするが、これにつきましては、たとえば長大トンネルについては換気をしなければならぬという問題が起つて、非常に経費がかかる、こういうことを申します。しかしながら東海道弾丸道路についても五キロ程度のトンネルを掘らなければならぬので、これは同じことである。トンネルを掘るのにダイナマイトで粉砕してやつて行くのでありまして、そんな換気処理の問題で、長大トンネルは困難だということは、これは古い時代のことであつて、現在では維持経営の換気というような問題は、経費の上からいつても、また技術的にも問題はないので、ただこれが山岳部道路であるがために、雪が降つて冬二箇月も交通が杜絶するのでは何ら交通機関としての意味をなさないのではないかということを道路局長からも先般の委員会でお話がありました。これは非常な誤解に基くのであろうと私は思う。私の調査したところによりますると、赤石山系は一番山が深くて、標高九百四十メートルの高いところを通るのでございますが、この九百四十メートルの地点にありましては、冬の最大積雪の場合の深さが二十センチ、七寸足らずのとき、北陸山系では二百センチ、七尺も降つておる。また北陸山系で五百センチくらいのときにこちらでは五十センチというふうに、北側斜面、北陸の斜面に比べて、南斜面の赤石山系の同じ九百四十メートルの地点にありましては、十分の一くらいしか雪が降らないのでございます。六寸や七寸の雪ならば東京にもしよつちゆう降るのでございまして、しかもこれは南斜面のすぐ目を受けるところでありまして、日本の普通の道路において五寸や六寸の雪が積つたからといつて、ただちに道路交通の杜絶するような心配はない。このことは私趣旨弁明のときも、この地点の標高は九百四十メートルにすぎないゆえに、その緯度も東京より南寄りで、この地点を通過する限り、さして雪害の心配もないという天与の地形をなしている、こう御説明申し上げたのでございます。そこでこういう観点からも、維持管理の上で心配はない、こう確信をいたしておるのでございます、  それから二十八年度に一千万円の予算でもつて、これを各県に配当して調査をさせたのでございますが、これはやはりわれわれの計画と違つたところなどを調査したのでありまして、非常に山が崩壊して一キロ三十億円も金がかかつてできないというような報告をしておる静岡県のような報告もございます。この点はなはだ遺憾であつて、これにつきましては、われわれの計画をよく示しまして、今後正しい調査をしていただかなければならぬ。この意味合いにおいて、私の希望といたしましては、建設省においてわれわれの計画調査の上、もつと精密な正しい御調査をぜひ願いたいと希望しておる次第でございます。  そこでこの路線がどこを通るかという問題ですが、ここに五万分の一の地図がありますが、青く塗つたまん中の場所、これが赤石山系のいまだかつて斧の入らない大森林のあるところで、一年に二百万石、二十億円相当の木が切り出されるという山系がこの青い横線を引いた地域であります。大井川の上流で、この部分だけ静岡県が長野県に深く入り込んでおる。この地点を横断するわけでございまするが、この場合富士川の上流の早川をずつと上つて行くのですが、黄色い線が建設省調査した線でござい手。われわれの計画は赤い線のところで、ここの赤石山系に入る東側の山梨県のところで、八百四十メートルの標高のところから七キロの隧道を掘つて、この大井川の流れのすぐそばの九百四十メートルのところへ抜け出て、そしてここのところが道路になりまして、そしてまた九百四十メートルの同じ標高のところから今度は赤石山系をぶち抜いて、九キロの長大トンネルをもつて同じ九百四十メートルのこの地点へ出る。そして赤い線を走つて行く。ところが建設省の方は、黄色い線をずつと通りまして、標高の高いところからトンネルになうまして、千三百メートルの標高の、このわれわれの計画よりも大井川をずつと上流に上つたところに出るのです。それから道路でずつと来て、また千三百メートルのところに上つて、そして今度は七キロの隧道で出る。そして黄色い線をこういうふうに行くのです。われわれの計画は最高九百四十メートルの高さでありますが、建設省調査したのは千三百メートルまで上る。そしてトンネルの長さを両方とも五キロの短かいものにして工費を安くするという計画のようでございますが、そうしますると、隧道は短かいが、標高が高くなつて雪害が大きくなるし、それから山の中をうねりくねつて通らなければならぬので、これは工費の点からいつても、今後の維持管理の上からいつても、かえつてうまくない。むしろこの際思い切つて長大トンネルを掘つて、標高の低いところを通り、そうして大井川ぶちを歩くところの困難を少くする、こういう計画で三百五十メートルも低いところを通るために、われわれの計画は雪害もぐんと減る。そして将来の維持管理もうまく行く。こういう観点に立つて、最初工費は高くついても、今後の利用価値からいいましても、あるいは今後の維持管理もいいようにという案でありまして、実は路線か大分違うようでございます、建設省が一千万円かけて昨年度各府県に調査させた路線とわれわれの計画とを——あとでこの図面をごらんいただきたいのでございますが、黄色い線と赤い線で区別してございまするが、できるだけ直線コースをとり、また山もあまり高いところには上らないという計画で進んでおるのでございまして、この点雪害も少いし、あるいは山くずれ——ことに著しいのは、建設省案ではこの黄色い線がこの地点を通ります。ここには現に地図にも決裂をしたようなところが書いてありまするが、崩壊してここは交通が困難だということを静岡県は報告しております。われわれはそこは通らないで隧道で行つてしまうのですから、その点は全然心配ない。こういうふうにいたしまして隧道工事は可能であります。困難も少いし、できたあとの雪害の心配もない、かように考えておる次第でございます。  それからこの法案は、法案としてもきわめて厖大なものであり、内容に至りましては、技術的に、あるいは財政的に、資金的に、あるいはこの事業を執行さすところの中央道事業公社というものの性格なり運営なりの問題、あるいはこの道路有料にして、ちようど弾丸道路のように一キロ当り十銭ずつとつて十五箇年で償還するというような行き方で行くか。それとも国家がつくる道路であるから、全部無料にはいたす。しかしながらバス、トラックによる旅客、貨物の定期輸送は、全部この中央道事業公社をして取扱わせるということにいたしましたならば、しかも人間ならば五、六時間、貨物でも八、九時間でもつて、貨物を包装しないで、包装費や積みおろしあるいは小運送というような荷役等の不便も経費もいらずに、東京から神戸べ短時間に直送のできる定期運送の事業をこの中央道事業公社をしてやらしめますならば財政的にどうなるかというような問題を検討したり、なかなか慎重な審議を要するわけでございまして、これにつきましてはひとつ十分御検討を願いたいのでありますが、私の希望といたしましては、今国会会期あと数日に迫つた今日、この会期中に十分な御審議を願うことは困難と思いますので、どうかひとつ継続審議をしていただきまして、願わくば委員の皆さんに、この休会中を利用されてぜひ現地を御視察願いたい。四日間くらいで重要なところは大体見ることができると思いますので、実地の見聞もお願いいたしまして、慎重御審議をいただき、ひとつ適当な御決定あられんことをお願い申し上げる次第でございます。
  26. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 ほかに御発言はありませんか。——ほかに御発言がなければ次に進みます。     —————————————
  27. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会におきましては、今会期当初、日本経済の総合的基本施策に関する事項について、議長より国政調査の承認を得て、爾来半歳にわたり本件に関しまして各般の調査を鋭意進めて参つた次第であります。また国土開発中央道事業法案につきましても、これが審査を進めておる次第でありますが、いまだ審査または調査を終了いたしておりませんので、閉会中も継続して審査または調査を進めたいと存じます。これがため、国会法第四十七条第二項の規定によりまして、議院の議決による付託を要しますので、従つて委員会といたしましては、閉会中の審査事件をあらかじめ議長に申し出なければならないのでありますが、これにつきましては、一、国土開発中央道事業法案、一、日本経済の総合調整に関する件、一、国土総合開発に関する件、一、電源開発に関する件、以上四件を閉会中の審査事件として、議長にその旨申出をいたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  なおこの閉会中審査事件が院議により本委員会に付託になりましたならば、その調査の方法として委員を派遣して現地の実情を調査する必要も起ると予想されますので、これにつきましても委員長に御一任願い、議長にその承認申請をいたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 それではさよう決定いたします。     —————————————
  30. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に請願及び陳情書の審査に入ります。  まず請願より審査いたします。本委員会に付託されました請願は、本日の日程に掲げてあります通り十六件であります。審査の方法といたしましては、まず紹介議員の説明を聴取いたし、次に政府当局の所見を求め、議決につきましては最後に一括してこれを行うことといたします。なお審査の便宜上同趣旨の請願については日程の順序にかかわらず、これを一括議題として審査することといたします。  まず離島振興法関係請願、日程第一、離島航路整備に関する請願、日程第二、沼島を離島振興対策実施地域指定請願、日程第三、離島振興法による予算措置に関する請願及び日程第八、昭和二十九年度離島振興予算確保に関する請願の各請願を一括議題といたしまして、まずそれぞれ紹介議員より説明を聴取いたします。小笠公韶君
  31. 小笠公韶

    ○小笠委員 請願紹介議員がおりませんので、私がかわつて説明申し上げます。  まず離島航路整備に関する請願、第七九八号であります。本請願の趣旨は、香川県小豆郡豊島村は、瀬戸内海に浮ぶ離島で、天然資源に恵まれておりまするが、海上交通がきわめて不便であるため、本島の産業経済、文化、教育等あらゆる面にわたつて不利となり、島民は極度に貧困いたしておるのであります。従いましてこの豊島村の産業、文化その他の面の振興をはかる意味におきまして、離島振興法の活用によつて、国費による船舶を建造して交通の便をはかつていただきたいということであります。要するに豊島村へ本島からのかけ橋としての船を国費でつくつていただきたい、こういうことであります。何分よろしくお願い申し上げます。  第二は、沼島を離島振興対策実施地域指定請願でありまして、兵庫県三原郡沼島は、県の最南端に位する孤島で、外洋すなわち太平洋に直面して瀬戸内海の島々より風波を強く受け、港湾設備も不備であるため、著しく海上交通が制約され、文化、産業、通信等、あらゆる面において遅れておるわけであります。ついては沼島を離島振興対策実施地域指定していただきたい、離島振興対策実施地域として指定していただいてこの振興をはかつて参りたい、こういうのが請願の趣旨であります。何分ともよろしくお願い申し上げます。     〔加藤(宗)委員長代理退席、武田委員長代理着席〕  その次は離島振興法による予算措置に関する請願でありますが、これは請願の趣旨に書いてある通りでございまして、ぜひ予算を計上してほしいということであります。御審議を煩わしたいと存ずるのであります。  その次は請願第四九五八号の、昭和二十九年度離島振興予算確保に関する請願であります。これは鹿児島県の屋久島の問題でありまして、屋久島の振興上、本年度の離島振興予算の中から適当な額を確保されたい、こういうのが請願の趣旨であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  32. 武田信之助

    ○武田委員長代理 それでは次はただいまの請願に対して政府当局の所見を求めることにいたします。深水政務次官。
  33. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいまの請願について一括してお答え申し上げたいと思います。この離島振興対策審議会の昭和二十八年十月八日、九日に開かれた第一回の会議で、離島振興対策実施地域指定基準に関する答申案というのを決定したのでございますが、その基準の第一項に、外海に面する島であるということを具体的解釈としてきめたのであります。そういたしますと、瀬戸内海の中の島は大体入らないことになるのであります。本請願の瀬戸内海にある——これは紀伊水道のどこからどこというふうに詳しくしてありますが、大体審議会で外海に面する島という基準をきめましたので、その基準を審議会でまた変更しない限りは、離島振興法上の問題としてはちよつと取扱いができないのではないか、かように考えておる次第でございます。  なおこの予算の問題につきましても、私たち、できる限り二十九年度におきましても努力をいたすつもりでございますが、大体各省の御協力によりまして、二十八年度実施期までは確保する見込みをつけておりますけれども、今後ともなお御趣旨を体しまして、できるだけの努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  34. 武田信之助

    ○武田委員長代理 それでは次に日程第四、蘆品郡特殊土じよう地帯指定請願及び同趣旨の日程第五の請願を一括議題として、まず紹介議員の説明を聴取いたします。
  35. 菊川忠雄

    菊川委員 私がかわつて説明を申し上げます。  第一の蘆品郡特殊土じよう地帯指定請願でございますが、本請願の要旨は、広島県盧品郡は花嵐岩地帯で、これが風化分解せる砂土よりなり、表土はほとんどないのであります。従つて植物の生育にきわめて悪く、荒廃地は年々増大し、農耕産業全般に重大なる影響を与えているのでありまして、つきましては、蘆品郡特殊土地帯指定されたいというのであります。これが要旨であります。  次の請願も同趣旨でございます。どうか御審議をお願いいたします。
  36. 武田信之助

    ○武田委員長代理 では次に本請願に対する政府の所見を求めます。
  37. 深水六郎

    ○深水政府委員 この両件につきましては、さきに指定の際、これは昭和二十七年十月二十七日の総理府告示第二百四十二号でございますが、それに花嵩岩風化主の郡内分布が、過半数なければならないという指定基準があるのでございますが、その指定基準である過半数に足りぬために、一応除外されましたが、その後地元の要望が強うございましたので、いろいろ事務当局検討してみました結果、その花樹岩風化土の分布状況にも精密を欠いているのではないかというようなことが認められましたので、近く現地調査を行いまして、その結論を審議会に提出した上で決定したいと考えております。     〔武田委員長代理退席、加藤(宗)委員長代理着席〕
  38. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に、日程第六、電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例法制定に関する請願外一件、同じく同種の請願、日程第九、第一 ○、第二ハ、及び日程第七、電源開発工事に伴う立法措置に関する請願の六件を一括議題といたしまして、まず紹介議員の紹介説明を求めます。
  39. 菊川忠雄

    菊川委員 これも、私紹介議員にかわつて説明申し上げます。  第一の請願、第四八六三号、すなわち、電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例法制定に関する請願外一件でございますが、これは私が申し上げるまでもなく、電源開発及び多目的ダムの建設促進をはかることは、わが国自主経済達成上欠くべからざる緊急の国家的要請でありまして、これに関連する損失補償問題等を公正かつ迅速に解決する制度の確立が当面の課題となつております。ついては、電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例法を制定されたいというのであります。  次の四八六四号の請願、すなわち電源開発工事に伴う立法措置に関する請願についてでありますが、これも大体今申しました請願と同趣旨でございまして、近時の電源開発はダム式大規模のものが多く、その関係するところも多方面にわたつており、工事に伴う用地その他に関する補償問題の早期かつ公正なる解決を著しく困難ならしめておりますが、これが解決をはかるための法令としての現行土地収用法は手続が煩瑣であつて、問題の解決に長時日を要するのみならず、政令による補償基準を欠いておりますので、協議または裁定が遅延し、緊急を要する電源開発工事促進に適合しないうらみがあります。ついては、土地収用法の改正、公益事業開発工事促進のための特例に関する特別法の制定、政令による補償基準の制定を行い、補償問題の解決を促進されたいというのでございます。  次の第四九八八号、すなわち電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例法制定に関する請願でありまするが、これは最初に申し述べました請願第四八六三号と同じ趣旨でございますから、説明を省略いたします。  次の請願第五〇四二号、すなわち電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例法制定に関する請願、これもただいまのものと同趣旨に基くものでございます。  最後の請願第五一〇三号、すなわち電源開発及び多目的ダム建設促進のための特例法制定に関する請願、これも最初に申し述べました請願第四八六三号と同じ趣旨でございます。  以上御審議をお願い申し上げます。
  40. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に各請願に対する政府当局の所見を求めます。深水政府委員。
  41. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいまの請願の御趣旨は、事業をなさる方あるいは住民の方々の各方面からいたしましても、非常に重要な問題でございますが、御承知のようにこの電源開発実施促進いたしますために、水没その他によつて生ずる損失の補償ということを早く解決することの必要は申すまでもないことでありますが、従来そういうものの適正な基準が定められていなかつたのでありますが、昭和二十八年の四月十四日の閣議の了解事項として、電源開発に伴こ水没その他による損失補償要綱を立案しまして、電源開発調整審議会の審議を経まして、さきに申しました二十八年四月十四日閣議了解事項としてこれを定めたのであります。しかしこの要綱は、ただ客観的に公正妥当と思われる補償基準を明確にいたしましたもので、具体的な事例については、この基準を中心としてそれぞれの特殊性を考慮して、双方が協議の上補償問題が解決される、こういうことになるのでありますが、もちろんこの要綱は法的な拘束力を持つておるものではないのでありまして、実施面においては、必ずしも今要望されました早期の解決が見られるという現況ではないのでございます。政府といたしましても、補償問題を早期に、しかも公正妥当に解決して、開発工事を早く実施されるよよ、な基本的な方策を至急に樹立したい、樹立する必要があるということは当然考えておることでございまするけれども、何といたしましても、これには経済、社会、文化等あらゆる方面から考えなければなりませんし、また各行政機関の総合調整ということも必要でございます。また土地収用法その他の法令との関連もございますので、こういう方向に一日も早く進んで、国家の要請である電源開発というものが、それとともに一日も早く促進できるようにしたいということで、目下いろいろと慎重に研究中でございます。
  42. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に日程第一一、国土開発中央道建設促進に関する請願を議題として、紹介説明を求めます。菊川君。
  43. 菊川忠雄

    菊川委員 本件も私がかわつて説明を申し上げます。  請願第五〇一一号、すなわち国土開発中央道建設促進に関する請願でございまするが、本件につきましては、本委員会においてすでに審議中の問題でございまして、詳しく御説明をつけ加える必要もなかろうと思いまするが、請願の要旨は、多年にわたる調査研究の結果提案された国土開発中央道建設案は、わが国の森林、地下及び水力などの資源を総合的に開発し、沿道未開発地域の発展と新生産業の勃興を促すのみならず、文化観光などを助長して、窮迫せる国家経済を一転して飛躍的繁栄に導く大原動力であると思います。つきましてはすみやかに国土開発中央道を国家事業として推進をされたいというのがこの要旨でございます。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  44. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 ただいまの請願に対する政府当局の所見を求めます。
  45. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいまの請願につきましては、私たちといたしましては、いろいろまた関係当局調査しておることもございますし、また各関係省意見も徴さなければならぬのでございますが、そういう調査を待つといいますか、いろいろ調査研究をいたしまして、各関係官庁も寄つて、いろいろもつともつと詳細に研究いたしまして、非常に重要な問題でございますので、私たちもどう取上げて行くべきかということを考えて行きたいと思つておりますので、ただいまこれを政府として取上げるかどうかという問題につきましては、私として今答え得ないのでございますが、とにかくもうしばらく、事が重要でございますので、検討さしていただきたい、かように考える次第でございます。
  46. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に日程第一二、ダム建設に伴う政府統合機関設置  に関する請願を議題といたします。紹介説明を求めます。小笠公韶君
  47. 小笠公韶

    ○小笠委員 紹介議員がおりませんので、かわつて説明申し上げます。  本件は、ダム建設に関連いたしまして、被害を受ける被害者の立場からいつて、現在の行政機関が多岐にわたつておるということから、これの補償その他の問題がうまく参つておらぬ、基準が異なつておるというのでありまして、迷惑この上もないのでありまして、ぜひひとつ行政機関を統一して、タム建設たけはやつてほしいというので、よろしくお願いいたしたいのであります。
  48. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 右請願に対する政府当局の所見を求めます。
  49. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいまの御請願でございますが、これも御承知のように現在非常に各省でいろいろやつておる面が多いし、その地点におる人々の補償の問題その他についても、非常に御迷惑な点が多いと思いますが、これはいろいろな御承知のようなことから、各省にまたがつておる点もございますし、これを今早急にダム建設についての一つの統一した行政機構をつくるというようなことが、現在よりもいいかどうか等も考えてみなければなりませんし、またそうすることによつての利害というようなことも、現在の機構と比較して考えてみなければなりませんので、各関係の省ともいろいろ相談をして、私たち総合調整の立場にある審議庁として、もつと慎重に考えまして結論を得たい、かように考えておる次第でございます。
  50. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に日程第一三、ダム建設に伴う税等特例措置に関する請題を議題といたしまして、紹介説明を求めます。
  51. 小笠公韶

    ○小笠委員 これも私がかわりまして御説明申し上げます。  ダム建設によりまする被害を受けるものといたしましては、市町村と住民があるわけでありますが、この被害者たる町村に対しましては、固定資産税を課する権利がほしいとか、あるいは水没者に対しましては補償を完全にしてほしい、こういう趣旨であるのでありまして、ダム建設による犠牲者に対する税その他の特別の措置を講ずるようぜひ御配慮願いたい、こういう趣旨であります。
  52. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 ただいまの請願に対する政府当局の所見については、今大蔵省当局に連絡をいたしておりますが、まだ見えませんので次に移ります。  次に日程第一五、ダム建設に伴う漁業権附与に関する請願を議題といたしまして、紹介説明を求めます。
  53. 武田信之助

    ○武田委員 ただいまの請願問題は、ダム建設に伴う漁業権附与に関する請願、第五〇八七号でありますが、紹介議員がおりませんので、私がかわつて説明を申し上げることにいたします。  請願の趣旨は、国土総合開発の一環として建設されておりまするダムは、全国的に実施され、しかもこれらの諸計画はますます大規模に行われる趨勢にあります。これの関連地域の住民は、これがために著しく影響を受けておるのでありまして、水没犠牲者の生活の安定並びに更生については万全の施策を講ずる必要があるのであります。ついてはダム建設に伴う水没犠牲者及び市町村に対して漁業権を優先的に付与することとして、さらに養殖計画を樹立して、毎年適量を放流する等の将来の漁業確立を期せられたいというのがその趣意であります。どうかよろしくお願い申し上げます。
  54. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 本請願に対する政府の所見を求めます。
  55. 諏訪光一

    ○諏訪説明員 漁業権は、ただいまの漁業法によりますと漁業を営んでいる漁業協同組合に付与することになつておりまして、現在さように漁業の免許がされております。ただ実際問題といたしましては、河川の沿岸に住んで漁業に従事している者はほとんど漁業組合に入つて漁業権を享有しております。もし入つておらなければ、実際に河川のそばにおつて漁業を営んでいる者は、現在の漁業協同組合法によりまして漁業組合に加入できるのでございますから、漁業権につきましては問題ないことと存じております。ただ市町村は漁業権の享有主体に現在なれないことになつておりますので、漁業を営んでおる方々は、水没によつて犠牲となられる方はもちろんのこと、漁業協同組合に加入して漁業権を享有されたらば最も合理的に行くのではないか、ただいまさように思考いたしております。  それから養殖の施設につきましては、学者の方でも研究いたしておりまして、現在水産庁といたしまして相当の経費を計上いたしまして、ダム建設によつて冠水区域の形状が違いますと放つ魚の種類も違いますので、それぞれの形によりまして魚の種類をきめて放流させて、また県の水産試験場あるいは指導所において種苗を養成いたしまして、そうして現在放流する計画を立てて着々実行いたしております。
  56. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に日程第一四、ダム建設に伴う国有林野払下げ等に関する請願を議題として、紹介説明を求めます。
  57. 武田信之助

    ○武田委員 本請願ダム建設に伴う国有林野払下げ等に関する請願でありまして、第五〇八六号であります。この請願紹介議員がおりませんので私がかわつて説明申し上げることにいたします。  本請願の要旨は、国土総合開発の一環として洪水調節、電源、灌漑及び工業用水その他水資源の開発利用、保全等のため、全国的にダム建設実施されておるのでありますが、一方その犠牲となつて移住した住民は、適正なる補償等当面の諸問題に関する対策が確立せられていないために、非常に不安と焦慮にかられております。ついてはダム建設に伴う水没犠牲者更生のため、国有林野払下げ等措置を講ぜられたいというのであります。本件につきましてもよろしくお願い申し上げます。
  58. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に本請願及び日程第一三の請願もあわせて政府当局の所見を求めます。
  59. 深水六郎

    ○深水政府委員 ただいまの請願の二件でございますが、補償の問題につきましては、租税の減免あるいはそういう場合の国有林野の払下げというものは、確かに水没される方から見ますと非常に重要な問題であると存じますので、私どもといたしましては関係各省とも協議の上、慎重にこれを検討して、御趣旨を尊重しながら善処して行きたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 ではこれより日程第一ないし第一六の各請願を一括して採決いたします。  ただいま審査いたしました日程第一ないし第一六の各請願につきましては、すべてその趣旨は妥当と認められますので、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決定いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。  欠に右各請願に関する委員会報告書の作成並びに提出手続などにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  62. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 次に陳情書の審査に入ります。  本委員会に送付されております陳情書は十二件であります。右おのおの陳情書内容は、大体におい請願並びに本委員会の行つて参りました審査または調査内容と同趣旨でありますので、本委員会といたしましてはいずれもこれを了承することといたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 加藤宗平

    加藤(宗)委員長代理 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。  なお時間も大分経過いたしましたので、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十一分散会