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1954-04-10 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十日(土曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長代理 理事 加藤 宗平君    理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君    理事 松原喜之次君       岸  信介君    迫水 久常君       西村 久之君    根本龍太郎君       平野 三郎君    南  好雄君       楠美 省吾君    杉村沖治郎君       山下 榮二君  出席政府委員         経済審議政務次         官       深水 六郎君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君  委員外出席者         専  門  員 圓地興四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 四月八日  委員武田信之助辞任につき、その補欠として  小西寅松君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員小西寅松辞任につき、その補欠として武  田信之助君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員伊藤好道辞任につき、その補欠として安  平鹿一君が議長指名委員に選任された。 四月九日  離島振興法による予算に関する陳情書  (第二七  四〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国土総合開発経過及び計画に関する件     ―――――――――――――
  2. 加藤宗平

    加藤委員長代理 これより会議を開きます。  国土総合開発経過及び計画に関する件について調査を進めます。本件についてまず政府当局より説明を聴取いたしたいと存じますが、その前に去る七日電源開発調整審議会より、本年度電源開発計画が発表されましたので、政府当局より本計画について説明を聴取することといたします。経済審議庁計画部長佐々木義武君。
  3. 佐々木義武

    佐々木政府委員 お手元資料を差上げてありますので、その資料に基きまして、初めただいま委員長から御指摘がありましたように、電源開発基本計画説明をいたしまして、それが済みましてから、引続き国土総合開発計画の御説明を申し上げたいと思います。  四月七日、今週の木曜日でございますが、第十四回の電源開発調整審議会を開きまして、二十九年度電源開発計画をきめていただいた次第でございます。従来二十七年からこの審議会が開催されたわけでございますが、御承知のように、促進法が成立いたしましたのが二十七年の七月の末でありまして、いろいろの準備の関係基本計画はつきりきまりましたのは、たしか九月か十月ごろだつたというふうに考えておりますが、二十八年度におきましても、皆さん承知のように予算の成立が延びまして、実際にきまつたのは七月くらいだつたと思いますので、これもやはり九月くらいにきまつたわけです。それで委員方たちから非常に要望がありますし、実際また委員要望通り運営するのが至当だと考えられましたので、今年度はそういう年度の途中で基本計画をきめるというような行き方をやめまして、年度の初頭に基本計画を定めまして、そして継続分並びに新規着手になりますものは着手するという態勢をとるのが、本筋だと思いまして、そういうふうに本来の姿に返つたわけでございます。ただ予算の中で、国家予算の分は、大体了算通りましたわけですから、そのまま計上できるわけでございますけれども、特に社債とかあるいは増資等の九電力分といたしましては、現在の経済の諸情勢からいたしまして、なかなか見通しが困難な情勢でございます。これは、一つにはまた料金等も関連する問題でもございまするし、すぐ現在の状態で、一年間これでやれというふうに、はつきりきめるわけにも参らぬような状況でありますので、実はそういうものがはつきりいたしましてから、特に新規地点等を定めたいというふうに考えておりましたが、そういたしますと、この計画を定めるのが、また昨年、一昨年のようにだんだん遅れてしまうということでは、また弊害も起つて参りますので、若干の未確定の分があつても、全体をスムーズに進める上からいたしまして、とりあえずこの基本計画大綱だけをまず定めてもらいまして、そうして年度の途中におきまして変更等が生じますれば、それに応じて審議会を開催して修正するというふうな建前にしたらどうだろうということで、この基本計画を定めたわけであります。  基本計画概略の方針といたしましては、根本的な態度は今の通りでございます。ただ基本計画内容といたしましては三つございまして、これは政令できまつているわけでございますが、一つは、毎年長期電源開発目標というものを発表することになつております。それから二番目は、その当該年度開発する資金量工事量等をそれぞれ発表することになつております。第三番目は、電源開発株式会社新規地点名あるいは規模様式という、細部の点にわたりましても、これは基本計画を定めるという三つの問題が、基本計画の主たる内容でございます。  第一点の将来の開発目標に関しましては、ただいまのところ、前にいつか御説明申し上げたと覚えておりますが、岡野構想当時に定めました三十二年度の大体の日本経済規模、従いまして産業の規模というものから想定いたしました電力需用基礎にしております。それではその後この問題はまだ改訂していないのかという御質問があろうかと思います。実はしばしばその改訂を企図したのではありますが、ちようど緊縮財政という時期に逢着いたしまして、まず経済の安定ということが経済政策の主目標に出て参りましたので、もう少し財政政策なり、金融政策なり、貿易の趨勢なり、諸般の政策の推移を見まして、実際の効果がどういうふうに出て来るかという点を見定めた上で将来の傾向を、定めた方が、しばしば将来の目標をかえるよりは、かえつてベターじやなかろうかというふうにも考えられます。従つてただいまのところは、将来の目標をかえないで、とりあえず今まで持つておりました三十二年度目標をそのまま採用して、その目標中心開発を進めるということにいたしてございます。もう少し経済安定点と申しますか、こういう点が明確になつて参りますれば、当然この改訂の要はあろうかと思いますが、ただいまのところは、従来の計画をかえないで、その計画をそのまま遂行するという建前で進んでございます。  それから二番目の二十九年度そのもの開発規模なり所要資金等に関しましては、先ほど御説明いたしましたように、一応定めておりますけれども、これもこの年度の途中で社債あるいは増資等、いろいろ変化があろうと思いますので、こういうものがかわつて参りますれば、ある程度変更を要するということで、大綱のみを定めた次第でございます。そのねらいといたしましては、継続工事重点を置きまして、これはどんどん推進して行く。継続工事の中でも、特に二十九年度に完成するもの、あるいは三十年の初頭に完成するといつたようなものは、特別に力を入れまして、これだけは予定通り完成してしまうという建前をとつてございます。従つて新規のものはどうしても資金が非常に圧縮されるような次第でございますので、きゆうくつなつて参るわけでございますが、今まで継続工事でやつておりました工事の完成を見たときに、その発電力が最も有効に活用できるためには、今からそれにマッチする、調整のとれた新規地点開発の必要が、どうしても起つて来るわけでございます。たとえば水力地点でございますれば、水力ができたあかつきにおきましても、水力がフルに活用できるためには、それに附帯しまして火力も同時に完成して行きますと、その継続事業の完成した設備が非常に効果的に動くというような点もございましよう。あるいは本来のダムを完成しまして、それに附帯した逆調整池というものをつくつておきませんと、その本体ばかりではなく、国土総合開発その他にも非常に影響が多い、こういうものは、やはりそれと並行して開発をして行かねばなりません。従つて形式新規ではありまするが、実態的にはむしろその継続であるとみなしてもさしつかえないものを最小限度にやりまして、これを新規地点として、若干地点だけ計画されております。その他送変電配電あるいはロス軽減のための改良工事等に関しましては、従来より以上に力を入れるように考えてございます。大体の考えといたしましては以上の通りであります。  以下お手元に差上げました表の数字によりまして御説明申し上げたいと思います。一番初めに、二十九年度企業者別電源開発資金見込みというのがございます。二十九年度所要資金の総額が千五百九十三億、二十八年度は千六百七十九億で、大体千六百億台で五箇年計画を遂行したいというのが従来からの主張でございましたが、先ほど御説明申し上げましたように、緊縮財政の結果あるいは金融引締めの結果、開発資金そのものが非常にきゆうくつなつて参りまして、こういうような結果になつた次第でございます。この中で特にきゆうくつになりましたのは、九つ電力会社の面であります。開発会社は昨年の二百五十億から本年は三百億というように、むしろ増加してございます。公営はほぼ同じ、自家用は非常に減つたようにここでは見えますが、これに関しましては、今までの継続のみを取上げております。今までやりました中で、どんどんやつておるのはもう完成しておりますので、残つた事業のみを遂行するわけでございますから、これは別にさしつかえないと思います。従いまして特に問題の点は、九つ電力会社にあろうかと思います。今の自家発のところの二十九年度のところに十億あるいは二十億、四十億あるいは三十億とありますのはどういう意味かと申しますと、実は自家発の方は開発銀行資金の中で——本年度開発銀行の金の出し方は九電力会社並びに船会社の分だけは明確にきめまして、それ以外の鉄とか石炭といつたようなものは、全部まとめてたしか九十億だつたと記憶いたします。あるいは数字ちよつと違うかもしれませんが、そういうふうにきめておりまして、その内訳はまだ明確にきめてございません。そこで電気の方といたしましては、その中に自家発部分が入つておりますので、十億から二十億くらいはどうしてもほしい、できれば二十億ほしいというのに対して、まあ十億くらいが限度ではなかろうかという議論もございますので、十億——二十億というふうに幅をもたせて、そのいずれかにきめるということでこう書いてございます。  二番目に公表事項というのがございます。これは基本計画が定まりますれば、それを公表するわけでございまするが、この公表意味皆さんも御承知のように、新規地点等でありますれば、公表後一箇月以内に関係の第三者がこれに対して異議申立てをする。異議がございますれば、それに対して主務官庁がそれぞれ解決する。主務官庁解決がつかなければ、審議会調整をとつてきめるというふうになつております。特に公表というものは、法律で定められた事項でありますので、現在までやつておるわけでございますが、公表事項内容は、長期目標と、二十九年度水火力別あるいは新規継続の別、あるいは最大出力あるいは所要資金、二十九年度にどれほど金を出すかという点を各担当社別に掲げまして公表することになつております。  それから三ページに添付事項がございまして、この添付事項の中には、新規事業でありまして今まで大体これでやつてよろしいというふうにきまつたものは、添付事項で掲げるわけであります。なぜ添付事項にするのかと申しますと、電源開発株式会社新規地点に対しましては、これは成文によつて公表することにいたしてございますが、それ以外の地点あるいは九電力あるいは県営とかいう分は、具体的な地点に関しましては審議会そのもの地点まできめるというのじやございませんが、これはむしろ参考資料として公表いたしまして、そうして異見の申出を受けるというための資料でございまして、審議会直接の決定事項にはなつてございません。ここで新規事業として四つございますが、実はこのほかにもう一つあるのでございまして、それは東北の法量という青森の地点でございます。ところがこの添付事項等公表するのは大体出力一万キロ以上のものに限るということになつておりますので、法量は実は六千キロぐらいで、一万キロに満たないものですから、この公表事項から省いてあるわけですが、実際は着手することになります。従いまして水力地点三箇地点火力では二箇地点というふうなぐあいになつてございます。  それから次の表で総括表というのがございますので、その表をお開き願いたいと思いますが、第一ページは継続新規別所要資金表でありまして、ここで御注意を願いたいのは、送変電の部門でございまして、新規のものが非常にふえてございます。これはなぜかと申しますと、去年がたしか百三十万キロ、その前の年が百万キロ近くでございますが、厖大な開発を現在進めておるわけでございまして、その開発変電送電配電で結びませんと、実際の効果がないわけでございますので、開が発進むにつれましてだんだん送配電業務の方がふえて参るわけでございます。従いまして新規の中でもさつき申し上げましたような新規地点は、去年はたしか三十箇地点ぐらいあつたわけでありますが、今年度は非常に減退しております。けれども、反対に送電の方は非常に増加して参るというふうな結果になつております。  それから第二表は企業形態別所要資金でありまして、たとえば電力会社はさつき申し上げたような千八十一億の金を本年度所要するわけでございますが、それが工事内容として、継続新規あるいは改良工事あるいは送配電等にどれだけ金を使うかという点を詳細に記してございます。開発会社等も同様でありまして、公営事業自家用はこの表を見ていただけばわかると思います。  それから四ページ、第三表資金内訳がございますが、千五百九十三億の中で政府資金が七百四十四億、それから七百五十四億と二つありますが、これはさつき申しました開発銀行自家発分関係でそういうことになつておりますが、約半分が政府資金、それから民間資金が七百九十億から七百八十億というようになつております。この外資と申しますのは、今までの電力会社の例の三箇地点の去年成立した外資というものが主でございまして、開発会社の中にも外資は若干ございますが、これは佐久間の開発に伴いましてアメリカから借用いたしました短期の工事用機械借款分でございます。  第四表、五ページでございますが、毎年々々の出力が各企業体制によつてどういうふうにふえて行くだろうかという表でございまして、この表でごらんのように出力の増加のテンポは二十九年、三十年——今年、来年が山でございまして、今の計画では三十一年、三十二年から逐次減つて行くというようなかつこうになつております。もちろんこれは今二十九年度までに着手する分までの計算でございまして、三十年度等に着手するものを加えますと、さらに三十一年、三十二年というものはだんだんふえて参るのでありますが、ただいまのところでは、来年、再来年にどれだけ着手し得るかということは資金等の面からまだつまびらかでありませんので、そういうふうな表にしてございます。  次は開発地点別表でございまして、これの第一ページには新規地点がございます。これは先ほど申しました五箇地点を明瞭に出してございまして、東北電力法量もその中に入れてございます。  それから第二表の一は今までの電力会社がやつておる工事名を全部出しておりまして、これをごらん願えれば継続分に関しましては全部詳細な内容がわかるようになつてございます。  九ページは電源開発会社の現在やつております開発地点が載つておりまして、ただいまのところはこういう予定で大体開発を進めることになつております。  それから第十ページは県営の分でありまして、これは毎年電気計画の中では一番ごてる問題でありまして、ことしも非常に苦しかつたのでありますが、主として多目的のダム中心としました。従つて治水あるは農業利水電力といつたものをかみ合せた発電様式をとつた開発でございます。県が主になつてやつておるのでありますが、これは公共事業費と、それから地方起債と両方で事業を遂行するわけでございますが、その間の調整問題が非常に困難であるということばかりでなしに、地方起債の分は、先ほども申しましたように最近の情勢からいいますと非常に困難の度を加えて参りましたので、今年度着手にあたりましては非常に苦しいような状況なつて来ました。この中で県営の分に関しましては、新規のものはまだ実はきめていないのでありまして、各省から、それぞれ予定地点を取上げまして再三検討を重ねたのでありますが、まだ最終的な話合いがついておりません。従いまして今回の決定には新規地点は抜かしまして各省話合いの上、あるいはもう少し研究した上で新規地点がきまれば、またそれを追加発表したらいかがなものかというふうに考えております。新規と申しましても、実際は公共事業費でもつてダムそのもの工事はやつておるのでありますが、電気の方の地方起債の分が新規だ、こういう意味でございます。  それから最後の分は自家発電の現在の状況でございます。  以上で大体二十九年度電源開発基本計画に関しまして説明を終えたいと思いますが、引続きまして総合開発の御説明を申し上げたいと思います。  これもお手元に詳しい資料が参つておりますので、その資料に従いまして御説明を申し上げたいと思いますが、まず一番初めの資料国土総合開発審議会委員名簿というのがありまして、委員の名前が載つてございます。この委員会は他の委員会と非常に違いまして、特色のありまするのは、衆議院、参議院の議員方たち委員が非常に多うございまして、会議の実際の運用も一番活発にこの会議を指導してくださるのはこの議員の方でございまして、非常に熱心に会議にも御出席くださいますし、実際の計画の作成にもみずから当つてくださいます。その委員名簿最後審議会部会の構成がございますが、これをごらん願いますと、大体やつている仕事の内容がわかりますので、これを基礎にして御説明申し上げたいと思いますが、一番上に総合部会というのがありまして、ここで大体の大きい検討の点はつくるわけでございます。分科会地域設定分科会開発目標分科会経済効果分科会等三つにわかれておりますが、一番上の地域設定分科会というのは、主として特定地帯設定分科会でございまして、今までは大体この地域設定部会の任務はある程度分科会として終つて現実にはその下の三番目にあります特定地域部会というところに重点が置かれております。それから開発目標とか、経済効果の問題は全部の問題にも関連いたしますので、これはあとで詳しく申し上げたいと思います。  それから資金部会というのがございますが、これは文字通り所要資金の量あるいは調達方式等をやるわけでございますが、この中で一番問題になるのは、何と申しましても、地方財政と申しますか、地方財政総合開発に一体耐え得るものかどうか、地方開発計画でありますから、どうすれば一体国分野あるいは地方開発分野財政的な負担区分等が合理的に行くだろうかといつたような問題が非常に大きい問題になろうかと思います。  それから特定地域部会というのは、これもあとで御説明申し上げますが、十九の特定地帯審議をしておるわけでございます。  それから河域部会というのは、これは前の河川総合開発協議会というものが安本時代にありまして、それをそのまま受けておるわけでございますが、ただいまではそれほど活発に動いてはおりません。  その次の水制度部会というのは、これは非常に今中心でありまして、この前もこの会長をやつていただいております蝋山先生に来ていただきまして、部会の今までの経過なりあるいは、ただいま審議しているものの内容をごひろう願つたわけでございますが、毎週一回ずつ開きまして、非常に活発にやつております。  それからその下は国土調査部会とありまして、これは測量とかあるいは水調査土地分類、こういうものが主でありまして、現在の主力は地籍調査の問題、基準点設定問題等が実際の事業としては中心問題でございます。ただ非常に要望の強うございますのは、水調査の問題でございまして、これは日本で非常にバラバラでありますので、これに大いに力を入れてやつてもらいたいというので、この前の予算分科会等でも非常に要望か強うございましたので、予算の許す限り力を入れてみたいと思います。特に水のみでなしに、雪の問題等も積極的にやつてもらいたいという希望が多いようでございます。  あと幹事会でございますが、大体そういうものが中心でございまして、このほかに特別委員会と申しますのは、北上利根木曽三つが、この特別委員会内容なつておりますが、特定地域部会の中から特に重要なものを選んで掲げてございます。  これが大体全貌でございますが、このほかにさらに二つこの審議会には加わつておりまして、それは何かと申しますと、例の議員立法で定められました特殊土壌地帯対策の問題と離島振興の問題でありまして、同時にこれの方は国土総合開発審議会と並行いたしまして審議しておりますので、これもお手元に差上げました資料につきまして御説明申し上げたいと思います。大体の概略を申し上げますと以上の通りでありますが、その内容に関しまして逐次詳しく申し上げたいと思います。  まず一番初めは国土総合開発計画でありますが、国土総合開発関係法令というのがございまして、これは関係した基本法を掲げてございますのでごらん願えればけつこうだと思います。国土総合開発計画経過及び概況というのがございまして、これが先ほど申しました各部会等でやつておりますものの事業の概要でございます。これを御説明申し上げたいと思います。  まず特定地帯の問題でありますが、十九の特定地帯を二十六年の十二月に定めまして、そうしてそれを各関係府県で一県あるいは数府県が協同いたしまして、それぞれ計画を作成して建設省を通しまして審議庁の方へ出て来ることになつておりますが、大部分計画は目下できつつありまして、ただいままで審議会でも決定し、そうしてはつきり閣議で決定いたしまして計画として最終的にきまつたものは北上阿仁田沢、最上の三箇地点でございます。それ以外の地点でただいま計画の出ておりますのは、対馬天竜東三河利根出雲大山、錦川、南九州北九州阿蘇木曽、飛越、能登、四国西南、芸北の十六地域でありまして、あと三箇地点はまだ出ておりません。この十六地点の中で大体申込順と申しますか、出て来た順に調査審議を進めたわけでございますが、ただいま問題になつておりますのは、天竜東三河出雲大山南九州三箇地点地域部会通りまして、三月の末に審議会を開きまして、実はその審議会で御決定願おうかと思つておりましたが、非常に議論が沸騰いたしまして、もう少し問題を練つてもらいたい、と申しますのは各行政官庁等現実の問題としてまた解決のつかぬような問題も若干その中に含まれておりますので、その問題を解決の上できめたらどうだろうという御意見もございまして、この次の審議会でやることにして延ばしてございます。これも近く今月中にはおきめ願いたいと思つております。それから北九州阿蘇二箇地点に関しましては、特定地域部会目下審議中でありまして、第一回の地域部会ではこれもいろいろ問題が出まして、もう一ぺん再調査と申しますか再研究しようということで、これもそのまま問題点を整理中でございます。それ以外の地点に関しましては、目下資料を受付けまして研究中でございます。ただこの中で対馬の問題に関しましては、離島振興法との関連もございますので、それとあわせて研究中でございます。それから利根に関しましては、これは非常に問題が複雑でございまして、私も実際やつてみてびつくりしたのでありますが、むしろ只見の問題の解決よりも、ああいう問題が各箇所にあるくらい、非常に錯綜した諾権利の解決を要する問題のみでございますので、これは特別部会を開催いたしまして、しよつちゆうと申しますか、特別に審議をしてございますが、なかなか困難な問題でございます。ただいまの特定地域部会に関する進捗状況は、以上の通りでございます。  それから次は全国計画でございますが、この全国計画に関しましては、どういうぐあいになつておるかと申しますと、次の四ページ以下に若干触れてございますが、これはまた確定したわけではございません。事務当局案でございまして、審議会にも何らかけてございませんし、委員の意見もまだ聞いてございません。初めての資料でございまして、委員の皆様にお見せするのには、はなはだはずかしいのでございますし、あるいは決定したように誤解されますと、審議会委員方たちにもおしかりをちようだいしますので、むしろほんとうの原案の原案というふうに御理解願いましてお読み願いたい、と思います。  ただいままで進んでいる状況を申し上げますと、全国総合開発計画に関しましては、やはり将来の一定の目標を想定いたしませんと考えがまとまりませんので、昭和四十年を目標にいたしまして、人口の伸び等を勘案し、それに従つて主要なものの生産あるいは貿易等、あるいは国民所得等を一応想定したわけです。これはあくまでも想定でございます。こういうふうに一応数字を想定いたしましてここにまとめてあるわけでございます。その中から国土の総合開発面から考えると、どういう主要な面が出て来るのかという問題点を拾うわけです。たとえばこの下に問題点がございますが、総合食糧対策、これは昭和四十年を目標にした場合には食糧対策というものを総合的にどうしたらいいかという点を、広い視野から、あるいは資源的な面、あるいは技術的な面から深めて行きたいというので、総合食糧対策という意味で掲げてございます。そういう問題を大きく拾いますと、森林資源の培養と合理的利用、あるいは国土保全事業規模と配置の問題、あるいは産業立地適正化の問題あるいは総合エネルギー対策の問題、あるいは輸送力の総合的増加対策、あるいは都市計画及び住宅建設の問題、技術の進歩と基礎産業の将来の問題等が主たる問題になろうかと思います。これはまだこれからの問題でありまして、今こういうテーマに従いまして、さつき申しました目標中心に考えると、どういう問題が一体その中から生れ出て来るのかという点の資料を整備中であります。たとえば総合エネルギー対策の面を申し上げますと、上にもありますが、電力が約八百億キロワットアワーで、約一千万キロワットアワーぐらいさらに今後開発しなければならぬことになつております。ところが一千万キロの電力と申しますと、日本ではそういう余裕はありません。水力でもほとんど大きい水力開発し尽されまして、それ以上開発するということになりますと、非常に困難な事態にもなりますし、あるいは水そのものが足らないという状態になりますので、水力面では問題にならぬのであります。そうなりますと、火力でありますが、これは石炭なりあるいはその他の燃料資源で制約を受けますので、今後十何年先におけるエネルギーのベースというものを何に置いたらいいかを考えますと、また新しいエネルギーに対して今からどういうふうな順序で問題を進めて行かざるを得ないのかという点が出て来るのじやなかろうかと思います。これは当面のみを考えますと、こういう問題は問題にならないのでありますが、長い間を考えますと、はつきりこの点は出て参りまして、少くとも現在では地熱とか、あるいは長い話でありましようが、原子力の電力化の問題等が非常に大きい問題になつて来るのじやなかろうかという考え方でございます。  四の産業立地適正化の問題にいたしましても、皆さんも御承知かと思いますが、たとえば工業用水等は今のように無秩序のままの開発をいたしておりますと、非常に足らなくなつて参ります。たとえば千葉の川崎製鉄の問題がしかりでございますが、あるいは大阪地区にいたしましても、名古屋地区にいたしましても、あるいは北九州地区にいたしましても、東京地区にいたしましても、どこまでも工業用水は現在もきゆうくつなつておりますが、将来になりますとたいへんな問題になります。そこでそういう点を兼ね合せまして、将来の産業の立地というものはいろいろな資源面から考えてどうあるべきかといつたようなことも根本的に考えてみようじやないかというのがねらいでありまして、ただいまのところは先ほど申し上げましたように、事務局として非常にわがままな、単に思いつきのようなことをやつておるわけでございますが、近くある程度固まつて参りますれば、審議会に出しまして、委員皆さんから指導を受けながら、順次問題を深めたいという考えでございます。  それからもう一つ総合開発の面で、この表には載つておりませんが、主として企図しておりますのは、経済効果の面でありまして、日本経済は各国と非常に違いまして、財政投資の面のウエートが大きうございます。公共事業費といわず、あるいは公営事業、たとえば鉄道とか、通信とか、専売とかというもののみならず、主要基礎産業のほとんどが国の投資が三でありますが、そういうものの経済効果というものが一体どうなつておるのか、最近非常に新しい問題としてアメリカの方でやつておるわけでありますが、共同使用の振りわけの問題もございまして、たとえば一つの多目的ダムをつくる際には、そのダムにかかつた費用を治水の部分で幾ら負担し、農業利水部分で幾ら負担し、あるいは電気部分でどのくらい負担するといつた問題が起きて来るわけです。そうしますと、自然各分野における経済効果が明瞭でありませんと、その計算が出て参らぬわけであります。そういう意味合いからいたしますと、最近のいわゆるサービスという公共事業的な部面におきましても、これを経済的に考えてみました場合にはどういうふうな経済効果を生むであろうかという点が非常に問題になつて来つつございます。それこれ兼ね合いまして、少くとも国の財政投資全般の中でどういうふうな経済効果なつており、また将来そういう点を考えてどうしたらいいのかという点も大きい問題であろうかと思いますので、経済効果の測定と申しますか、そういう点を主として取上げて行きたいという考えでございます。これは先ほど申しました資金分科会の主たる任務になると思いますが、全国総合開発計画の問題に関しましては、そういう面が大きい柱になろうかと思います。  それから特定地帯の概要はその次にそれぞれありますのでごらん願えればけつこうかと思います。なお詳しくは別表に「特定地域総合開発計画概要」というのがありますので、それをごらん願えれば、さらに詳しく今きまつたもの、あるいは目下審議中のものの内容が出てございます。それから今まで御説明しました中で、十六ページに調査地域というのがございますが、これは全国で十箇地点ばかり今選びまして、その地点の今後の発展のための基礎調査をしてございます。その調査の概要に関しましては、調査地域の概要というのがありますので、これをごらん願えばけつこうかと存じます。  それから次は離島振興法と特殊土壤地帯対策事業概要に関しまして御説明申し上げたいのでありますが、離島振興の方は、大体今までの審議会の開催で、対象になる島々の指定を一応終りまして、目下その事業計画検討中でございます。さらに今まで指定しましたもの、あるいは追加分等に関しまして、改訂の問題も起きてはございますが、そういうものをあわせまして目下検討中でございます。  それから特殊土壤地帯は、御承知のように火山灰地帯の土壤の改良の問題でありまして、どうして審議庁でこういうものをやつたかと申しますと、特殊土壤の災害防除、あるいは振興の問題は、主として砂防の問題あるいは土地改良の問題あるいは河川の改修の問題等が主になつておりますので、各省に非常に関連が深い問題でありますので、単独省で持たないで便宜審議庁の方で持つべきだというので、経済審議庁の方でこれを主になつてやつたのでございます。この方も対象になる地点は指定を終えました地帯は主として南九州、それから四国の西南方面、あるいは山口県等が主でありますが、その概要に関しましては十三ページに事業経過概要がございますので、ごらんになればけつこうかと存じますが、大体主たる事業は治山、砂防、農地保全、防災、耕地培養というのが主になつてございます。九州の方であればもちろん御承知通りでございまして、しらすとかぼらといつたような特殊な工火山灰地帯でございます。このほかに水制度の問題もございますが、これはこの前も御説明いたしましたのできようは省略させていただくことにいたします。  以上で大体総合開発説明を終えたいと思いますが、この予算の今年度関係等に関しましては、概略さつきの北上阿仁田沢、最上が特殊地帯でははつきり指定されまして、目下予算がついておるわけでございますが、これはさつきの国土総合開発計画経過及び概要の三ページに載つておりまして、北上の方は去年よりも今年は減つておるのはどういうわけかというのでたびたび御質問がございまして、よく説明申し上げるのでございますが、実は北上に関しましては、今までやつておりました胆沢、猿ケ石等大きい事業が完成いたしまして、今度新規のものに着手するという段階になつておりますので、若干時間的のずれがあるわけであります。それから阿仁田沢、最上等に関しましては、大体前年度よりも若干ふえ、あるいは少し減つたということもありますが、これは今までの事業関係上でありまして、ある程度事業の一部は進行中だと御理解願つてけつこうだと思います。  それから離島に関しましては、離島振興対策概要の中で、一ページにございますが、二十八年度には三億九千万円の予算が組んでありまして、二十九年度には四億五千九百万円ですから約四億六千万円の予算がついております。それから特殊土壤に関しましては大体二十八年度と大差はありません。  以上概要を申し上げました。
  4. 加藤宗平

    加藤委員長代理 質疑の通告がありますので、この際これを許します。小笠公韶君
  5. 小笠公韶

    ○小笠委員 私簡単に御説明だけ伺いたいのですが、一番最初の御説明の昭和二十九年度企業者別電源開発資金見込というのがありますが、電力会社の分で小計が七百三十億というのが出ておりまして、あと開銀三百五十億、国内資金千八十一億というのがありますが、この千八十一億というのはどういう形で調達することになつておりますか。
  6. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これは開発銀行の分と、上の小計の分との合計でありまして、それを国内資金というふうに見たのであります。
  7. 小笠公韶

    ○小笠委員 もう一つお伺いしたいのですが、開発地点別表というのがありますが、しまいから三枚目の公営事業のところで、公営事業の昭和二十九年度の高知物部川(四六七)、これは公共事業費を示すと書いてありますが、その下に十億というのがある。栃木鬼怒川川治第一というところには六億一千万円、この数字は何を意味しておりますか。
  8. 佐々木義武

    佐々木政府委員 上の括孤の中は公共事業費でありまして、下の方は地方起債分でございます。これは先ほど御説明いたしましたように、公共事業費で治水面からの負担分あるいは農業利水等からの負担分が出まして、それに電気で負担する分はまた負担するわけですが、これは先ほど申し上げましたように、多目的ダムの共同使用の負担の割合法則を去年閣議で決定いたしまして、その法則に従いましてわけましたのに従つて数字を出したわけでございます。その区分でございます。
  9. 小笠公韶

    ○小笠委員 そういたしますと、この高知物部川の十億のところから以下ずつとありますが、この総計が九十九億五千万円ということになつておるのです。これはわくが百億になつていることは御承知通りなんですが、これは大体政府として決定したものと考えてよろしいですか。
  10. 佐々木義武

    佐々木政府委員 百億というのは今まで指示を受けました内容でございまして、自治庁の方でも、地方起債の今後のわくというので、たしか自治庁の方の地方起債審議会決定したはずでございます。それでは百億というのがあるのにどうして九十九億で千万円か、五千万円はどこに行くのかという御質問かと思いますが、その五千万円は、先ほど申しましたように電気の方の工事は大体公共事業費でやつておりますが、今後なお電気としてのニュー・フェイスの方に予定がありますれば、各省と相談した上で、できますれば若干増していただくという意味でございます。
  11. 小笠公韶

    ○小笠委員 公党事業の点でもう一点伺いたい。公営事業資金配分の標準につきましては、先ほど、より近い機会に発電を見る部分重点を置くという御説明が全体についてありました。この部分についてもそうであろうと思うのですが、私も未完成工事が非常にできるおそれがあるのでもつともだと思うのであります。この百億の線が全体の要望に比べて低過ぎるということは御承知と思うのでありますが、これを広げるような努力を年度内においてもせられる意思があるかどうか。
  12. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これだけでは非常に説明が足らないのでありまして、初め百四十億か百五十億はどうしても必要だということで交渉したのですが、こういう結果になつておるのですが、今後とも公募債等に関しましてさらにわくのふえますように努力するつもりでございます。
  13. 小笠公韶

    ○小笠委員 ちようど公募債の話が出ましたから、ぜひお願い申し上げたいと思うのです。私は資金わくを広げる一つの方法として公募方式をとることはけつこうだと思います。その際に一つ問題になりますのは、公募の可能な現在の財政金融事情、特に起債市場の関係等から考えまして、その公募債を認める地点というものを十分考えていただかなければならぬ。いなかで公募のわくをいくら広げられても、全然これは描いたもちであります。その点を十分お考え願つて、公募債だけでなくて、いわゆる資金運用部資金との抱合せによつてわくを広げるということにぜひお願いいたしたい、これはお願いであります。
  14. 佐々木義武

    佐々木政府委員 できるだけ御要望に沿いたいと思います。
  15. 加藤宗平

    加藤委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。ほかに御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五分散会