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1954-03-04 第19回国会 衆議院 議院運営委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月四日(木曜日)     午後零時十三分開議  出席委員    委員長 菅家 喜六君    理事 荒舩清十郎君 理事 坪川 信三君    理事 渡邊 良夫君 理事 椎熊 三郎君    理事 山本 幸一君       生田 宏一君    鍛冶 良作君       助川 良平君    田中 角榮君       中川 俊思君   山口喜久一郎君       山田 彌一君    山中 貞則君       山本 友一君    小泉 純也君       園田  直君    高橋 禎一君       長谷川四郎君    青野 武一君       井手 以誠君    辻原 弘市君       山田 長司君    池田 禎治君       春日 一幸君    長  正路君       土井 直作君    中村 英男君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         法務政務次官  三浦寅之助君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君  委員外出席者         議     長 堤 康次郎君         副  議  長 原   彪君         法務事務次官  清原 邦一君         事 務 総 長 大池  真君     ————————————— 三月四日  委員山崎岩男君及び三和精一君辞任につき、そ  の補欠として田中角榮君及び鍛冶良作君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  本日の本会議議事に関する件  議員有田二郎逮捕許諾議決に関  連して犬養法務大臣及び政府当局見解聴取     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長 これより議院運営委員会を開会いたします。  まず第一に、本日の議事について御協議願いたいと思います。事務総長より御説明いたします。
  3. 大池真

    大池事務総長 本日の議事日程は、先例によりまして予算案が一番先にかかりますので、一から三までの予算案三案をお願いいたしまして、それが済んで時間がありましたならば、四、五の日程、これは昨日議事日程に載つておりまして、昨日は本会議を開くに至らなかつたということで延期されておる件でございます。それをここに載せてございます。従いまして予算案採決に至るまでの順序等について、まずおきめを願いたいと思います。  大体お手元に、予算案議事順序を、先例によりましてこしらえたものを配付してございますが、予算三案を一括議題といたしました際に、まず第一に、予算委員長報告を承りまして、そのあと社会党から編成がえを求めるの動議が出ておりますので、これが趣旨弁明川島金次君がいたされます。従いまして、委員長報告に次いで編成がえの動議趣旨弁明があり、それが済みますれば討論に入ります。討論は、編成がえの動議の説明がありますので、それに反対な、つまり委員長報告賛成の方から入りまして、第一に小林絹治君、次が反対佐藤觀次郎君、次が賛成小山倉之助君、次が反対小平忠君、次が賛成安藤覺君の通告がございます。それが終りますれば、採決に入ります。採決方法は、編成がえを求めるの動議をまず採決いたしまして、それが万が一否決になりますれば、委員長報告を一括いたしまして採決をする、こういう順序に相なると思います。
  4. 菅家喜六

    菅家委員長 ただいま事務総長より御説明申し上げましたのですが、討論の時間のことをひとつおきめ願いたいと思います。従来の慣例は三十分、小会派の場合は十五分ということですが、この先例通りでいかがでしようか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅家喜六

    菅家委員長 御異議がなければ、先例通りの時間に決定をいたします。  採決方法は、ただいま事務総長が御説明申し上げましたが……。
  6. 椎熊三郎

    椎熊委員 最後委員長報告に対する採決は、記名投票で願いたい。
  7. 土井直作

    土井委員 これは記名投票ですね。
  8. 菅家喜六

    菅家委員長 これは先例記名投票で、編成がえの動議採決起立採決です。  それでは採決方法はさよう決定いたします。
  9. 山本幸一

    山本(幸)委員 最後委員長一括報告に対する採決記名投票で、編成がえの採決起立採決ですね。
  10. 菅家喜六

    菅家委員長 そうです。
  11. 山本幸一

    山本(幸)委員 予算委員長報告はどのくらいですか。
  12. 菅家喜六

    菅家委員長 予算委員長報告は、大体三十分だと思います。
  13. 椎熊三郎

    椎熊委員 川島君の編成がえの趣旨弁明はどのくらいですか。
  14. 土井直作

    土井委員 川島君のも大体三十分程度です。——自由党は何分くらいですか。
  15. 坪川信三

    坪川委員 三十分くらいです。
  16. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは、採決その他事務総長報告ように取運ぶことにお願いいたします。  その他まだ未決定になつておりました案件は、次の委員会において御協議することとしたいと思います。     —————————————
  17. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは、一昨日来要求がありました法務大臣に対する質疑を行いたいと思います。事務の方で法務大臣の方に出席方の連絡をとつてください。——大体の予定は、本日は重要な予算案の審議がございますから、本会議はおそくとも一時半には開きたいという予定のもとに質疑をお進め願いたいと思います。かようにお願い申し上げておきます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは、法務大臣が出席されるまで暫時休憩をいたします。    午後零時十八分休憩      ————◇—————    午後零時二十二分開議
  19. 菅家喜六

    菅家委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  これよる犬養国務大臣に対する質疑を行うことにいたします。椎熊三郎君。
  20. 椎熊三郎

    椎熊委員 私はこの運営委員会の性質を自分並に了解しておりますから、ここで犬養法務大臣を呼んで法理論などについて意見を聞こうとは思つておりません。ただ、先般当委員会に出席せられました法務大臣並びに次官、刑事局長等がこの委員会言明された問題がございます。それらの言明が今もかわつておらないのか、事態は一体どうなつておるかという形式上の問題でございますから、率直に、しかも信念的にお答えをちようだいできればけつこうでございます。  問題は、同僚有田君に対する逮捕許諾の際の院議決定に関する問題でございます。私は、あのよう院議決定せられた直後に、立法府としては行き過ぎな院議ではなかろうか、検察当局要求したる逮捕請求に対する答えは、それを承諾するか、拒否するか、この二つ以外に残つていなかつたということを申し上げた。それにわれわれから言うと、適正ではないよう院議決定したそのこと自体は本院の問題ですから、裁判所検察当局のかかわり知るところではないのでございますが、その際当委員会犬養さんは、自分院議尊重すべきものだと思う、こういうことを言明せられました。刑事局長もまた、院議尊重せらるべきであろうということを言明せられた。もしそれ、司法当局院議尊重するということが言明通りであるならば、私は形の上にそれが現われることと信じておりました。すなわち、われわれから言うと、不当なる院議ではあつたでございましようが、少くとも三月三日まで逮捕することを許すというこの院議従つて同僚有田二郎君は三月三日以後、すなわち本日以後は逮捕されてはならぬよう院議であつたと思う。しかるに本日登院してみましても、有田君はいまだ登院しておりません。午後、これから行われるかもわからぬが、情報によると、検察当局並びに裁判所では、院議などはどうあつても、法律規定通り彼を検束して、今日の段階ではこれを解放しないということを新聞記者等言明しておると聞いております。そこで私お尋ねするのは、有田君の身柄は現在どうなつておるのか。検察当局裁判所見解がどうであつたのか、犬養先生並びに刑事局長院議尊重すべしと言明せられたのだが、その言明は今でもかわらないのか。しかもそのあなたの確信と、今日の司法部の行動と、それらの関連性について、あなたの御見解お尋ねしたいのであります。
  21. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。この前当委員会にお呼び立てを受けまして、ここで御答弁を申し上げましたその内容は、ただいま御指摘のありましたように、当局としては、院議はもちろん尊重の念を持つけれども、その尊重をいかに表わすかは、来る二月二十六日のおそらく夕方ごろに発せられるべき勾留状内容を見——勾留状内容わくになることでありますから、勾留状内容を拝見して、そのわくの中でできるだけ尊重の念を具現いたしたいと存じます、こうお答えを申し上げた次第でございます。その後、御承知のごとく二月二十六日夕方に裁判所から勾留状が発せられました。その勾留状は普通の勾留状でございまして、法律的には、言いかえますならば刑事訴訟法の上では、三月七日まで有効であると解せられるに至つたのでございます。しかしながらその中でも、院議のことでございますから、いかにしてこれを尊重すべきか、それを表わすべきか、連日努力をして参つた次第でございます。検察当局におきましても、個々に意見はありましたが、最終の省議としては、勾留状内容に沿つて善処するということをきめまして、その線で守つて来た次第であります。いろいろ二、三の院議尊重の一端にもなり得ると考えられることを連日協議いたしました。昨日も午前、午後、夜と、三回にわたつて検察庁側協議をいたしましたが、ちようどそのころ、午前十一時ごろに、裁判所におきまして有田議員の代理人である弁護人から、勾留執行停止請求がありましたのに対しまして、勾留執行停止はしないとの発表がございましたので、問題はまつた裁判所に移つたものと解して、検察庁としてはその解釈のもとに、まことに残念でございますが、最後まで努力いたしましたことが具現できなかつた次第でございます。この点は院に対してまことに遺憾に存じております。
  22. 椎熊三郎

    椎熊委員 有田君の現在扱われております状態については、詳細に御言明くださいまして、よくわかりました。そこで私ども犬養先生に承りたいのですが、われわれの国会がきめた院議は、もとよりわれわれあれは反対したのでありますけれども、多数によつて決定した院議であります。国会責任意思表示であると私は思います。しかもその決定は、不可分内容である一本のものである。しかるに検事総長新聞記者発表した談話の中には、あの院議逮捕許諾を与えたものであつて、三月三日というものは単に希望である。従つて、そういうものは考慮の余地がないというので、この一本の不可分院議を、可分なりとして二分しておる。そうして都合のいい方だけをとつて都合の悪い方は顧みないで捨ててしまう、こういうやり方というものがあるでしようか。私は、院議不可分であるという私の主張がもし正しいものであるとするならば、その半分に同意できない点があれば、院議そのものには同意できない。裁判所はこれを見て、こういうことでは捜査もできないし、そんなことでは法律上にも困る問題だからいけないという解釈なら、これは院議が不当な院議だということで御解釈になつて、それなら院議がなかつたという状態なんですから、院議によつて逮捕を承諾したということにならぬ。ですから、逮捕するわけに行かぬのじやないか。ただ一つ院議を無理に二つにわけて、半分はいいが、半分は悪いという解釈の仕方には、私は同意できないのです。そういう点について、法務当局としてはどういう解釈をとられておりますか。あなたは院議尊重せられると言われるが、尊重せられるあなたとして、まさか半分は不適当なもの、半分はいいという解釈は私はありようがないと思うのですが、どういうことでございましようか。
  23. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。私も二、三の新聞に断片的な談話が出ておることを承知いたしました。ここに列席していただいております法務事務次官立会いのもとに、二月二十六日以前のことでありますが、一切は二月二十六日夕方に発せらるべき勾留状内容に沿う、これ以外に公式見解はないということをきめまして、記者団発表をした次第でございます。あとのことは、先ほど申し上げた通りであります。
  24. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は今日の段階では、裁判所によつて院議が蹂躙せられておる状態だと思います。しかも本院の決定は、憲法に基く権利の発動であつたと私は思う。その院議がいかにだらしない院議であり、あるいは不適正な院議であつたにしても、院議たることにかわりはない。しかもそれは憲法に明記せられた条章によつて判断せられたる権利であり、従つて私は、憲法権利一般法律よりも優先するものだと考えております。その点を犬養さんはどう思つておられるか、それが一つ。そこで院議尊重せられるというのだが、実はあの際、あなたは院議に加わつていない。どういう都合であつたか、登院はされておつたが、そこに御出席なさつておらず、従つて投票もしておらぬのです。そこで私は、ああいう院議のきめ方は、だれが考えたか知りませんけれども、そこに国会が抜き差しならぬような、汚辱を受けるような今日の結果を招いた原因がここにあることは実に残念に思い、従つて討論の際も、反対意思表示をして私ども反対したのですけれども国会は何といつても多数が勝つところですから、多数に押しまくられてあのような不体裁な院議決定してしまつた。そこで、おそらくこんな院議は軽蔑せられるであろう、きつと裁判所はそんなものに拘束せられないだろう、そうして、あんなことによつて有田君に対する疑惑が解消せられるわけではなしに、さらに疑惑を深めて、国会の威信はあの院議によつて傷つけられておると思う。従つてあなたの腹は、あの院議尊重したくない、あなたの立場からいえば、あなたはあの院議に参画していない人だから、口では院議尊重すると言われるが、信念的には院議を批判しておられるものではないか、ほんとうのところを聞かしてもらいたい。
  25. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。院議を受取るのは、御承知ように、直接には裁判所でございます。裁判所が私どもの方に向つて勾留状内容によつて意思表示をするわけでございます。先ほど申し上げましたように、裁判所通常勾留状を二月二十六日に発しましたので、私どもとしましては、法律的にいえば、言いかえれば刑事訴訟法上でいえば、三月七日まで有効な勾留状であると解せられるに至つたわけでございます。直接院議を受取る官庁でございませんので、これはいかんともしかたがないことだと存じます。  次に、お尋ねもつともでございますが、実情を申し上げますと、三月三日まで許諾を許すという院の許諾は前例がございませんので、私としましては即座判断ができません。すぐさまもどりまして、いろいろな部屋に散つております法務当局の、ことに法律に詳しい者に集まつてもらいましていろいろ質疑をし、研究をいたしましたが、御承知ように、いまなおこれはいろいろ人によつて説がございますくらいでございますから、あの一時間かそこらで私が信念を得て、法務大臣として確定意見を得るまでに至りません。私ふつつかでありますし、突然のことでありましたので、議を凝らしておりました。しかしながら、ただいま幾たびか椎熊さんが御質問ように、いかなる事情があるにせよ、院議というものは院議であつて尊重しなければならぬが、その尊重の仕方は、ただいま申しましたよう裁判所勾留状の発出内容によつてわれわれはわくを与えられるよう官庁の関係になつております。通常形式において出たときの勾留状わく中で最善を尽す、こういう態度で私は努力を続けて参つた次第でございます。
  26. 椎熊三郎

    椎熊委員 これ以上は議論にわたることになりますから、本議院運営委員会でなすべき範囲でないと心得ます。そこで私は、不満足ではありますけれども、本日はこの程度にとどめておきます。しかし私は、なお了解しがたいたくさんの点を持つておりますので、本日当院に向つて緊急質問を提出してございます。それが許されるならば、本会議の席上において総理大臣並びに法務大臣、あなたの明確なる御答弁を得たいのでございます。本日は、ここは議院運営委員会でございますから、これ以上つつ込んだ質疑はいたしません。私の質問はこれだけであります。
  27. 山本幸一

    山本(幸)委員 犬養さんに一、二点お尋ねしたいと思います。実はこれは御承知ように、自由党から出された動議に対して、私どもはそういう不見識なものはいけない、衆議院規則に反する、こういう建前をとつてこの委員会反対したわけです。ところが多数によつて本会華はわれわれは惨敗した、こういう形でございます。そこで院議決案を、あなたはたびたび尊重すると言われるが、しかし今後の態度については、裁判所側態度決定をまたなければ何ともいたし方がない、同時に裁判所態度決定によつて、あるいはわれわれの態度の変化があるかもしれない、こういうことをおつしやつておられるわけです。私どもに言わせますと、この院議決定検察当局によつて無視せられたということは、これはこの院議が単なる陳情に終つたことだと思うのです。これは陳情としか見られないと思うのです。国権最高機関決定したものが無視せられるならば、陳情に終つたことになると思う。そこで、こういうような無視せられた院議に対して、これは当然動議を出された自由党にも一つの大きな責任があると思うのです。また犬養さんは、たびたび院議尊重すると言われ、努力するとたびたび言明していらつしやるのですが、私をして率直に言わせますと、なるほど犬養さんは法務大臣であられるわけですが、自由党党員であり、しかも自由党出身法務大臣なんです。従つて自由党皆さんがお出しになろうとされたあの動議については、これは常識上、私ども判断から行けば、事前にそういうことがあなたに相談があつたことと私どもは考えられるわけです。事前相談があつたとするならば、あなたは自分が指揮できる佐藤検事総長にもその旨を伝え、当然あなたから協議をせられておると私ども常識上考えるわけです。そういう建前に立つて、万一自由党が出された動議が幸いに院議決定なつた場合には、相当の確信を持つてその院議決定通り行えるというような腹が当初あつて、しかる後あなたは尊重するという態度に出られたとしか私たちはこの経過から見て考えられない。その点について、その当時の考え方をこの機会にお尋ねいたしたいと思います。
  28. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。まことに自由党員としてはふつつかなることでありますけれども、三月三日まで許諾を与えるという期限のついた許諾は、ここにおります刑事局長から本会議場に入場する直前、一ぺん書類大臣席の机に置きましてから聞きまして、私としては即座判断ができない内容でございますから、机の上に書類を置いたまま退場いたしまして、散らばつておる法務省の要員を集めまして、これをどう解釈すべきか協議しましたが、なかなか御承知ようにむずかしい問題でございまして、実はその晩の十一時に至つて決定的意見がまとまりません。翌日もなかなかまとまらなかつたようなわけでございます。まことに御批判はごもつともと思いますが、判断ができないままに投票の時刻になつてしまつた次第でございます。これが実情でございます。
  29. 山本幸一

    山本(幸)委員 それでは、さらに率直にお尋ねいたしますが、今度の院議無視の結果は、国会の運営上非常な悪例を残したと思うのです。あなたも政党出身大臣であられるわけですが、私どもはこれは非常な悪例だと思うのです。少くとも今後院議決定があつても、司法当局なり、裁判所当局なりが、自己の判断によつて院議を無視することができるのだという例を残したと思うのです。そうだといたしますならば、あなたは国会議員であり、政党出身大臣であり、特に院議尊重しなければならぬ立場にあるあなたは、こうしたことは、あなた自身悪例と思われるかどうか、その点を伺つておきたい。
  30. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。政治論としては別でございますが、法務省事務の方から申しますと、たびたび申し上げて恐縮でございますが、二月二十六日夕方に発せられた勾留状内容によつてわくがはまりました。そのわくの中で院議尊重最善を尽す、こういう解釈でございます。それから昨日も申し上げましたように、終日——正確に言えば今暁まで会議をやつたのですが、その内容は、どうやつてか、どこの場所にか、院議尊重することを具現したいということで死力を尽したわけでございます。しかるに一方、昨日午前十一時に同じ裁判所から、有田議員勾留執行停止は行わないとの発表がございましたので、問題はまつた裁判所に移つた次第でございますから、この点御了承をお願いいたしたいと思います。
  31. 山本幸一

    山本(幸)委員 大臣努力は先ほどからたびたび承つておりますから、私どもも十分わかつております。問題は一段階を過ぎて、裁判所の方に移つておるわけですから、今あなたの方では何ともいたし方ないことも、これも私どもよく了解いたします。ただ私お伺いいたしたいことは、私はきわめて率直にお尋ねしたわけですが、あなたも政党出身大臣で、しかも国会議員であられる立場からいつて、こういう院議決定が無視せられたということは、私どもは大きな悪例を残したと思つておる。だとするなら、あなたもその点について、これは悪例を残したかどうか、こういう点を私はお尋ねするわけです。その点をひとつ率直に御披瀝いただきたいと思います。
  32. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。国権最高機関たる院の院議が無視せられたことはきわめて遺憾でございまして、よい例か悪例かという率直なお尋ねがございますならば、これは悪例でございまして、こういう悪例を残さないために不眠不休、寝食を忘れて今暁まで努力をいたした次第でございます。
  33. 山本幸一

    山本(幸)委員 大体私のお尋ねしよりとする点は明らかになつたのですが、これは法務大臣が言われたように、悪例だということを言明されたのです。従つて私は、別に意見がましいことを申し上げるわけではございませが、自由党皆さんも、ああいう動議についてはひとつ反省を願わなければならぬということが明らかになつたと思うのです。そこで最後に一点だけ申し上げたいと思うのです。実はこの前私ども刑事局長お尋ねしたのですが、少くとも議員身分に関する問題でありますので、逮捕許諾要求等は、きわめて慎重に扱わなければならない、こういうことを強く私どもから申し上げた記憶がございます。そこであなたの方から出されたあの要求書の被疑事実は、五十万円という問題が中心になつておりまして、その他は結局取調べの過程に出て来た問題である、その事実を参考として申し上げた次第である、こういうことになつております。そのときに、私どもの聞くところでは、特に刑事局長に、議員身分上の問題であるから、あの五十万円であなた方は有用代議士を起訴できる確信があるかどうかということを二度もお尋ねしたのです。ところがあなたは、できます、できる確信があります、こういう御回答をなすつたと私は記憶しております。その点について、今でも心境がかわつておらぬかどうか、そういう考え方についてかわつておらぬかどうか、これをひとつお尋ねいたします。
  34. 井本台吉

    井本政府委員 確信はかわつておりません。
  35. 土井直作

    土井委員 この際二、三ご質問を申し上げてみたいと思うのであります。同僚議員から先ほど来いろいろな形で質問が行われたのでありまするが、今回の制限付院議の問題につきましては、これの内容的な点についてはいろいろ議論があるでありましよう。しかし、いずれにいたしましても、院議決定いたしておるのであります。この院議を無視せられましたことによつて生ずるところの将来の事態というものは、非常に大きい問題になるのではないか、たとえば、ただいま山本委員からも言われましたように、院議決定されましたものが検察当局あるいは裁判所によつて無視せられたということになりますならば、将来院で議決される事柄が、それがほんとう国権最高機関としての権威を発揚することにならないのであります。従つてこれによつて起るいろいろな事態に対しまして、法務大臣はどういうお考えを持つておるか、この点をまずお伺いしたいのであります。
  36. 犬養健

    犬養国務大臣 御質問お答え申し上げます。ただいま申し上げましたように、院議尊重の念を常々抱いて参り、このたびも院議尊重すべしという考えにかわりはもちろんなかつたのでありますが、今申し上げましたように、院議を受取る裁判所においてどういう勾留状が発せられるか、これについては、神聖な裁判所の独立権を持つておる現在でございますから、検察庁として、こういう勾留状にしてもらいたいというような希望条項とか連絡というものは、厳として慎むべきでございまして、一切はこの前申し上げましたように、裁判所から発出せらるべき勾留状内容にまつておるという形をとつてつた次第でございます。その結果裁判所においては、普通の勾留状が二月二十六日に発せられまして、これは刑事訴訟法上のもとでは三月七日まで有効であることに解釈せられるに至つたのでございますが、三月七日までフルに使つて捜査をする必要が絶対あるというのではないのであります。連日捜査を促進し、何かの結論を得たいと存じましたが、このよう事態になりましたと同時に、昨日午前十一時、さらに裁判所において有田議員勾留執行停止は受入れないという発表がございましたので、問題はまつた裁判所に移つた、こう解しておりまして、院議尊重の念も十分に表わす事態になりませんでした。この点は心から遺憾に存じております。
  37. 土井直作

    土井委員 法務大臣といたしましては、院議決定されました事柄につきまして、先ほどからしばしば院議尊重と言われておるのであります。従つて院議決定されましてから後、いろいろ御苦心をされておつたこともよく承知して参つておるのであります。しかしながら、少くとも国権最高機関でありまする国会決定されました事項を尊重することによつて、抽象的な意味ではなくて、具体的にこれをどういうふうに尊重するかということについての適切な指揮をどういうふうにとられたか、もしおさしつかえなければ、その具体的な指揮、命令と申しますか、あるいは御努力された事実をひとつ発表願えればけつこうだと思います。
  38. 犬養健

    犬養国務大臣 先ほど申しましたように、二月二十六日に勾留状裁判所から発せられます前には、御承知ように、個人々々の意見新聞にたまたま出たことがございます。従つて私は、ここにおります事務次官、刑事局長とともに、ばらばらな意見発表は慎むべきだと考えまして、法務省の統一した意見をつくつたわけでございます。それは事柄の性質上、裁判所がいかなる勾留状を発するか、それまでは裁判所の発し方を静かに待つ、これ以外はない。発せられた内容に沿つて、そのわくの中でもつて全力をあげて、院議をいかに尊重すべきか、それに努力よう、こういうことになりました。その後御承知ように、ただいま申し上げましたように二月二十六日に刑事訴訟法上、普通の勾留状が発せられましたので、これは三月七日まで有効であると解せられるに至つたのでございます。ここに一つ大きなわくができたのでございますが、その中においても連日会議を開きまして、二、三の点で具体的に、これならば院議が多少なりとも尊重できるのではないかということを、終日研究を続け、実現方に努力いたしたのでございます。昨日も午前十時から検察庁会議を開くように要請しましたのは、やはり院議尊重具体的な内容をひつさげて、会議検察庁の者が臨んだわけであります。その会議の最中に、裁判所から、さらに有田議員勾留執行停止はできないという発表がありましたので、ここにまつたく問題は裁判所に移つたと解せられるに至つた次第でございます。御質問の御趣旨のごとく、それまでいろいろな具体的な案が出たわけでございます。昨日も最後の具体的案が出ました。昨夜も最後の具体的案が出ましたが、問題は、午前十一時に有田議員勾留執行停止裁判所によつて認められなかつたということで、問題は峠を過ぎたという言葉がよいかどうかわかりませんが、事実上は、これで検察庁としてはなすすべがなくなつたわけでございます。
  39. 土井直作

    土井委員 私は、この議運の性格から行きまして、先ほど同僚議員椎熊君が言つておりましたように、法理的な解釈の問題について論議をしようとは思つておりません。要するに、院議尊重に対しまする法務大臣の終始とられた態度というものについては、かなり熱心なものがあることだけは承知しておるのでありますが、その間に、先ほど山本君に対する御答弁として、いわゆる法律的ないろいろな解釈の上において、まだ自分が最終的な結論に到達しないという御答弁があつたと思うのであります。私は、いわゆる新刑事訴訟法というものと、憲法第五十条から発するところの国会法第三十三条並びに逮捕許諾を求める手続上の国会法第三十四条第二号、こうういようなものについて、これは当然刑事訴訟法よりも優先すべきであるという、しろうとはしろうとなりの考えに立つて判断をいたしておるのであります。それから院議決定に対しまして、期限付の許諾を与えるということの問題の内容につきましては、これはまたいろいろ議論があります。われわれ当時としましては、これに反対しておりますので、こういう制限をつけるがごときことをすべきものでないということを主張したのでありますけれども、しかしながら院議として決定されたのであります。しかも院議決定の期限付の許諾を与える問題につきましては、いろいろ議論されておりますが、衆議院規則の第百五十条の中で、「議長が表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告しなければならない。」いわゆる表決に付する問題とは、すなわち期限をつけるということも問題の内容でありまして、百四十九条あるいはまたその他のことは、これと全然別の解釈でおるのでございます。国会法で制限をつけるということも、これは不可分院議である。ところが検事総長は、これに対して可分的な解釈の上に立つて院議逮捕許諾を与えたものである、従つて期限付ということは、単なる希望意見だということを発表しております。かよう発表の仕方に対しまして、法務大臣はどういう処置をとられたか。たとえば新聞にそういうことが出ておりますが、真偽の内容はわかりませんけれども、こういうようなことについて検察当局が一方的に解釈を下しておるごとに対して、法務大臣院議尊重という立場からどういうような処置をなさり、どういうようなこれに対する交渉をされたか、この点を伺いたいのであります。
  40. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。その点につきましては、ここにたまたま列席しております事務次官、刑事局長の二人をただちに呼びまして、個人々々の一問一答でつい深入りするのは社会に誤解を招くことであり、国会に対する礼節の問題もあるから、法務省としてはまとまつた態度をきめよう、それは二月二十六日以前においては、同日に発せられる勾留状内容を見るまでは一切鳴りを静めて、静かに待つ、これが法務省の統一的態度であり、見解である、こう定めた次第でございます。あとまた御質問によりましてお答えいたします。
  41. 土井直作

    土井委員 司法と立法と行政は、いわゆる三権分立の建前から、もとよりはつきりした独立権を持つておるのであります。ただこの場合お聞きしておきたいと思いますることは、司法権の独自の立場においていろいろ解釈されることは、最高裁において最終的決定を与えることになるだろうと思います。ただ問題は、院議が無視されたということによつて起る政治的責任、言いかえれば、法務省の行政的責任の地位にあられる犬養大臣といたしまして、特に院議尊重するという立場から、この院議を無視されたという事実の上に立つて、言いかえれば、その是非は最高裁で決定するのでしようが、いわゆる院議を無視されたこの事実に対しまして、法務大臣は政治的責任をどういうふうにお感じになつておるか、この点をお伺いしたいのであります。
  42. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。院議が決せられまして、その院議を直接受取りまして、いかにこれを解釈すべきかということは裁判所の仕事でございます。裁判所でわれわれに与えるのは、勾留状というものによつてその態度を表明されるわけでございます。二月二十六日に裁判所からわれわれが受取りました勾留状内容は、先ほど申し上げましたように、通常勾留状でございまして、従つて刑事訴訟法の上では、三月七日まで有効であると解せられるに至つたのでございます。しかしながら、そのわくの中で最善を尽すということがとるべき任務であると存じまして、今暁まで最善を尽した、これだけをお答え申し上げたいと思います。
  43. 土井直作

    土井委員 その答弁はしばしば聞くことでありまして、そのことを私が御質問申し上げておるのではないのであります。すでに院議では三月三日まで逮捕することの許諾を与えておるのであります。本日はすでに四日でございまして、院議は明らかに無視されておるのであります。従つて院議尊重されるところの法務大臣として、いわゆる法務省の行政長官としての立場において、院議尊重されるという法務大臣のしばしばの御言明に対しまして、法務大臣は政治的に責任を十分考えなければならぬのではないか、これに対するあなたの御心境を私はお伺いしておるのであります。いわゆる裁判所から勾留状を発せられたその内容、あるいはそれが七日になつておるので、その間において院議をどうするかというようなことを議論しておるのではないのです。要するに、有田君の身柄は三日までしか勾留することができない形になつておる。従つて四日の日には当然釈放しなければならないことです。ところが事実は、釈放されておらないということなんです。事実が釈放されておらないから、明らかに院議を無視されたということになる。そこで院議尊重すると言う法務大臣として、法務省の行政長官として、政治的責任をどういうふうにおとりになるお考えがあるのか、その考え方をお聞きしておるのでありまして、この点を明確にしていただかなければならないと私は思うのであります。
  44. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。たびたびのお尋ねでございますけれども院議を受取りましたのは裁判所でございまして、裁判所は、勾留状内容というわくにはめてわれわれに示しておるのであります。このわくに沿つて最善を尽すほかはやり方がないのでございます。その上、昨三日午前十一時には、さらに裁判所によつて有田議員の身柄は釈放しない旨の発表がありまして、問題は裁判所に移つておるのでございますから、私の方としては、そのわく最善を尽したことをもつて責任を果したと考えておる次第でございます。
  45. 土井直作

    土井委員 これ以上質問いたしましても、何ら結論を見出すわけに行きませんので、私はやめます。しかし、ただいま法務大臣の言われますことだけでは、われわれとしては十分了解できかねるのであります。他日適当な方法によつて、この問題について対処したいと考えます。
  46. 菅家喜六

    菅家委員長 なおお願い申し上げておきますが、他にも御質問があるようであります。大体次に質問される方は、今までの質問にあつた点と重複しないように御質問を願いたいと思います。先ほど申合せをいたしておきました通り、本日は重要な予算案の上程日でございますから、一時半には本会議を開き得るようなことを勘案されて、なるべく要点を得た御質問を願いたい、こうお願いを申し上げます。
  47. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま山本委員の御質問に、犬養さんはこういうことを答えておられます。それは、有田君の逮捕許諾を求めたことに対する院議のことですが、これをあなたがお受取りになつて大臣室の机の上に置いた、しかしこれは、はたして合憲性がどうであるか、こうであるかということを自分判断することができなかつた。そこで専門家たちを呼んでいろいろと検討しておるうちに、院議決定してしまつた、こういうように述べられておると思うのであります。そこで私がお伺いをしたいことは、本日この院議がどういう形のものであるにしろ、とにかく蹂躙されまして、その蹂躙されたことが、すなわち司法、立法、行政の三権分立の秩序を根底からゆるがすような重大問題になつて来ておる。私は、あなたが政府を代表した法務行政の主管者であられる限りにおいては、そういう重要な問題が議せられるときに、いいか悪いか判断がつかないような状況下においてこの処理を推移するがままにゆだねられたというところに、重大な問題が残されておろうと思うのです。今日国会の権威が無視された、あるいは国会院議尊重するならば、やはり司法の権威が侵害される、こういうような、一つをとれば一つが死ぬというような重要な問題で、しかもそれが国政の根底をなすところの重要な問題が今ここに落ちておるというゆえんのものは、その当時あなたのとられた態度によつて、それがここへあとを引いておるのでございます。あなたの責任たるや、まことに重大であろうと思うわけであります。当然政党出身大臣といたしましては、党議がいかに行われておるかということは、あなたはおわかりにならないはずはないのであつて、そういうような立法上重大な疑義を後日かもし出すようなおそれのある決議案文がつくられたならば、あなたは少くとも職を賭して、これは後日重大な問題が起きるのだから、そういうような決議案文はどうかということで、職を賭して、責任感に徹したところの方途に出るいろいろなご相談があつてしかるべきであると思う。その問題の合憲性の限りにおいては、国会議員四百六十六名中、わずかに五名の差をもつてこれが決せられたわけで、従つてかなり多数の者が、これは重大な憲法上の疑義をもたらすものだという確信の上に立つて反対した。あなたはその判断ができないために、採決にも加わらないでうろうろと研究しおるうちに、中腰のままにおられだからこそ、今日こういう重大な問題が起きたと思われる。この点、私はあなたの重大な政治責任であろうと思われる。当時この案件が取扱われた場合に、当面されたあなたの行動を振りかえつてみられて、そこから大きな政治責任を感ぜられるべきだと思うが、御心境をひとつつておきたい。
  48. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。私が余分な説明をいたしましたために、かえつて誤解を招いたと存じます。大臣席に持つてつたのは、その書類ではないのでありまして、全然ほかの質問に対する答弁のとじ込みを持つてつたわけであります。それで、すわろうとしましたときに、刑事局長から、条件付の許諾にきまつたらしい、それはほんとうか、それじや、とにかく廊下へ出て聞こうと言つた。どうもほんとうらしいというので、この解釈をどう思うかという質問をしましたところが、専門家の刑事局長とつさのことで、前例もございませんし、とつさの判断がつきません。そこで法務大臣としては十分に解釈をつけなければならぬので、これは私はそういう努力によつて責任を果したと存じておる次第でございます。   〔「委員長委員長」と呼ぶ者あり〕
  49. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは、あとお二人だけの質疑をお願いいたすことにいたします。池田君。
  50. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 先ほどからいろいろ同僚議員によりましてすでに尋ねられたことでありますから、私は多くをお尋ねようとは思つておりません。ただ法務大臣は、有田君の逮捕に対する許諾を求める件の本委員会の秘密会におきまして、その期限付の動議を出されるときにも、あなたは繰返して院議尊重し、その趣旨に沿うということを述べておられる。しかるに、いかような御弁解をなさろうとも、いかなる努力の跡がありましようとも、結果としては、先ほど春日君も申し、他の同僚議員も申されましたごとく、明らかに院議は蹂躙されておるのであります。国権最高機関である国会ということを一番先に口に出しておる人々が、みずからの手によつて院議を蹂躙せられることが行われた。しかもわれわれは秘密会におきまして、明らかに、こういう動議を出しても、それが一判事、一検事によつて国権最高機関である院議が蹂躙せられるおそれがあるから、そういうことをしてはならないということで、われわれ野党の議員がひとしく述べた。しかるにもかかわらず、あなたは、院議は十分尊重いたしますと申された。しかしながら、結果として、院議が蹂躙せられておる。しかるにあらゆる努力をいたしましたというその一片の言葉をもつて、あなたの政治的責任を感じないかのごとき答弁は、私ははなはだ解しがたいことであります。この委員会は、これ以上あなたを追究することはできません。この委員会は、いかにすれば国会の運営を民主化し、かつまた軌道に乗せて円満に遂行することができるかということを考える委員会であり、かつ議長の諮問に答える委員会でありますが、少くとも、あなたがこの委員会において述べられたその責任、しかもあなたは、これは悪例なりと答弁せられておりながら、なおかつ政治的責任を感じないというなら、これは私はどうにもふに落ちない。ただ一点、私はその点を重ねてあなたにお伺いいたします。ただ、その答弁はいかようでありましようとも、私はそれ以上のことは他の機会において論ずることにいたします。
  51. 菅家喜六

    菅家委員長 どうでしよう。池田君に御相談いたしますが、その点に対する法務大臣見解は、すでに答弁になつております。今お話になりました通り、この委員会責任追究のような形になることは思わしくないと思いますが……。
  52. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 重ねて心境を伺つたので、答弁ないなら、答弁ないでけつこうでございます。
  53. 犬養健

    犬養国務大臣 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、当委員会の秘密会におきましても、院議に対する尊重の念は少しもかわらないもので、その尊重の表わし方は、二十六日に発せられる勾留状内容わくに沿つて最善を尽すと申し上げた次第でございます。その後勾留状は、しばしば申し上げましたよう通常勾留状がわれわれに示されました。これは刑事訴訟法上三月七日まで有効なりと解せられるに至りました上に、昨三日午前十一時に、さらに裁判所によつて有田議員勾留執行停止はしないとの言明がございましたので、検察庁の仕事としては、もう何もないことになつた次第でございます。御承知ように、どういうふうに勾留すべきかは自発的にできませんので、裁判所が発する勾留状内容によつてやり、裁判所が発しました有田君は釈放できないよう、そのわくでするよりしかたがないのでございまして、そのわく内でもつて今暁まで最善を尽したということを御報告申し上げる次第でございます。   〔「委員長委員長」と呼ぶ者あり〕
  54. 菅家喜六

    菅家委員長 青野君にちよつとお願いするのですが、どうぞ重複しないようにお願いいたします。
  55. 青野武一

    ○青野委員 今の山本君の質問に対する井本刑事局長答弁は、有田二郎君は五十万円の問題だけで起訴ができる、こういうお話があつたが、今でもその、心境にかわりがないかという質問に対して、今でもかわつておりませんというお答えであつた犬養法務大臣は、裁判所側が、有田君は三月四日に釈放しないと言明した、同時に、この院議悪例であると思うというお言葉が今あつたのですが、そこで私は一点だけ大切な問題を聞いておきたいと思います。検察庁側の統一した一つ意見というものがまとまる前に、佐藤検事総長は、真実かどうかわかりませんが、新聞発表せられておるところでては、かくのごとき期限付という院議は希望にすぎないと、すでに検事総長から発表されておる。それは検事総長自身の意見か、検察庁全体の統一した意見か、この三月七日までの勾留期間中に、あらゆる面において院議尊重せられるよう犬養法務大臣努力した点は認めます。けれども、すでに検事総長談話として、期限付は単なる希望にすぎないということを言明せられておつて、どこに院議尊重のための努力がせられたか、その具体的内容は何もない。さいぜんまた犬養法務大臣は、皆さん承知ように、裁判所側は三月四日に有田二郎君を釈放しないと言明した、だからやむを得ないのだと言われた。同じグループの中で、検察庁の最高責任者がそういう言明をされたという点と、犬養法務大臣が今日まで努力を続けられた点については、大きな食い違いがある。結果においては、この院議悪例でありますと言明されておる。こういう点について、もつとこの点だけは明確にしておいてもらいませんと、幾多の疑問がここに残されておると思います。
  56. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えを申し上げます。まず検事総長談話でございますが、もちろん検察庁全体の意見ではございません。それにしても、個人々々の意見が一問一答でだんだんと多少誤り伝わつたにしても、やはり誤解を招くことでございますから、先ほどどなたかの御質問お答えいたしましたように、ただちにここにおります事務次官と刑事局長を呼びまして、省としての意見決定する、これ以外は公式意見ではない、それはただ勾留状内容を静かに待つ、これ以外に態度はない、こうきめたわけであります。悪例と申しましたのは、悪例悪例でないか、白か黒かお尋ねがありましたので、よい例か悪例かというお尋ねならば、悪例だと申し上げたのでございますが、精神といたすことは、再び院議に対してある官庁がそれに違反するようなことのないように、互いに今後努めたい、全力をあげたい、こういう意味と御解釈願えればたいへん幸甚でございます。
  57. 椎熊三郎

    椎熊委員 犬養さんの今の問題と関連しているような、関連していないようなことですが、法務省には政務次官がおります。政務次官は議会関係をやらなければならぬ。今日議会との関係であなたは御出席になつておるが、事務次官などを連れていらつしやるのはどういうわけですか。そのために政務次官を置いてあるのでしよう。政務次官がこの問題についてちつとも出て来ないのは、どういうわけですか。(「来ておる」と呼ぶ者あり)来ておるなら、席をかわつたらどうですか。事務次官は補助的に来ておるのですから、もう少し政務次官というものを尊重してもらわなければならぬ。政務次官も、またそんなに遠慮することはない。もう少し堂々とやつてください。私は、議会内に政務次官をつくることをきめておる精神は、そんなものじやないと思う。政務次官というものは、この際大臣を助けて、もつと働かなければならぬ。あなたは、先般来この問題に対して私ども質問ようと思つても、顔も見せない、居所もわからない、そんなことで職責を全うしていると言えますか。こんなときこそあなたが働くべきときじやないか。一個の事務次官に代弁してもらつて、何の面目があるか、あなた個人の責任があるのです。けしからぬ。一言注意しておきます。
  58. 菅家喜六

    菅家委員長 それでは質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。     —————————————
  59. 菅家喜六

    菅家委員長 本会議は一時四十分からで御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 菅家喜六

    菅家委員長 それではさように決します。  明日は、議院運営委員会理事会が午前十時、本委員会が十一時、明後日の本会議は定刻より開くことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十分散会