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椎熊委員 司法部の当局の人に私は
意見を交えて聞いておきたい。これは非常に重大なことです。
自由党が三月三百まで
逮捕できるという
動議を突然出して、多数をも
つてこういうことを
決定した。その意図は、三月四日以後は
有田二郎君は自由の身にしておきたいという意図にほかならない。私
ども先般来あなたから聞くところによると、これは証拠隠滅をすでにや
つた形跡もある、これ以上放置しておいたのでは証拠隠滅のおそれがあるから、どうしてもこれ以外に方法はないのだ、
身柄を拘束しなければならぬのだ、そういう信念のもとにこういう
請求をして来られた。しかるに、
自由党は、
有田君を三日以後四日から自由なからだにしておきたい、あなた方の
捜査の感じとは違
つて、
有田君の自由を
国会の
決議によ
つて保証してやるという挙に出た。これは、初めてのことでもあるし、将来この種の問題に対する前例ともなるから、
従つてこの問題を、ほんとうに
日本の司法制度を守り立憲
政治を守るという上において、重大なる決意のもとにこれを処理せられないと、私は非常な混乱が起きるものだと思います。私は、
自由党の
諸君にして、ほんとうに、
国会を守り、
憲法を守
つて行くという熱意があ
つたならは、
捜査当局に対してこのような条件を付さずに、堂々
有田君みずから進んで出たいと本人も
言つておるくらいなんですから、このようなことをせずに、清純な状態において
事態を明らかにされた方が、
国会の名誉にと
つてもほんとうに救われることであ
つたと思うのです。それが、四日以後
有田君が自由の身となるに至
つては、国民はこれをどう思うか。法の前に平等でなければならぬわれわれ
日本人が、
国会議員たるのゆえをも
つて、
検察当局の手はほんの一部分、一定の限界までしか及ぶことができないということになれば、
司法部の
権威を守ると同時に、かくのごとき理不尽なる
動議を出したことが
国会の恥辱であると思うから、そう言うのです。そういうことをしてはならぬのです。世間一般に思われるであろう
有田君をほんとうにどこどこまでも調べさせるということに妨害を与えたというこの事実は、おおうことができない。それでいいのか。それで国民が承知するだろうか。(
発言する者あり)このことについては、疑いを受けておるのに、君らは多数をも
つて司法権の、検察権の発動にまで妨害加えるというむちやな
行動が現に行われておるのです。ここで私
どもまことに
考える。あなた方もほんとうに
司法当局としてこれは看過することのできない問題ですぞ。ほんとうにあなた自身は
日本の
憲法を守るという自信のもとにこれを処理せられなければならない。そういう
意味において、先ほど来からのあなたの
お話を聞くと、
国会がすでにこういう
決定をしたのだからこれを尊重する、
裁判所はしかしながらどれだけの
勾留状を出すかわからぬというので、
裁判所の
勾留状というものに自由があるということを言外に漏らしておられる。そうなると、
国会の
議決とは齟齬しておることになる。大問題が起りますぞ。
国会の
決議が蹂躙せられるか、あるいは
司法部の独立というものが蹂躙せられるか、非常に大きな問題だと思います。
犬養さんは非常な
責任を感じておられるでございましよう。ところが、あなたが最高
責任者であるあなたのこの時代において、このことがほんとうに後世にまで残るような前例をつくることになるから、その
意味で、あなた方には、ただ単に
国会の分野とか今の
内閣の
あり方がどうだとか、
自由党の力がどうだとか、そんな問題ではありません。ほんとうに
日本の
国会の真髄に触れる大事な問題でございますから、そういう
意味で、ほんとうに公平なる、ほんとうに愛国の信念を持
つてこの問題を処理していただきたい。私はそれを念願するのでございます。これが私の最後の念願であります。
質問ではないので、はなはだ失礼な言もございましようが、どうかお許しいただきたいと思います。これをも
つて終ります。