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1954-04-20 第19回国会 衆議院 外務委員会 第37号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十九年四月二十日(火曜日) 午前十時五十六分
開議
出席委員
委員長
上塚
司君
理事
富田 健治君
理事
福田
篤泰君
理事
野田 卯一君
理事
並木 芳雄君
理事
穗積
七郎君
麻生太賀吉
君 北
れい吉
君
佐々木盛雄
君
宮原幸三郎
君
上林與市郎
君
福田
昌子君
細迫
兼光君 河野 密君
出席政府委員
調達庁次長
堀井
啓治
君
外務事務官
(
条約局長
)
下田
武三君
外務事務官
(
国際協力局
長)
伊関佑二郎
君
外務事務官
(
経済局長心
得)
永井三樹
三君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
調達庁不動産
部企画課長
) 鈴木 昇君
総理府事務官
(
調達庁労務部
労務管理課長
) 近藤 浩君 専 門 員 佐藤 敏人君 専 門 員 村瀬 忠夫君 ――
―――――――――――
四月十九日
委員須磨
彌吉郎君
辞任
につき、その
補欠
として 早
稻田柳右エ門
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任さ れた。 同月二十日
委員三浦寅之助
君
辞任
につき、その
補欠
として
宮原幸三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任され た。 ――
―――――――――――
四月十七日 第五
福龍丸事件関係者
の
利益擁護
に関する
陳情
書(第二七九八 号) 岩国市沖合における
外国軍隊
の
砲爆撃演習停止
に関する
陳情書
(第二八一三号)
太平洋水域
における
原爆等
の
実験反対
に関する
陳情書
(第二八一 八号)
沖縄在住奄美同胞
の
居住権
の自由並びに
既得権
益の
保護等
に関する
陳情書
(第二八一九号)
北海道十勝
郡
大津
村の
米駐留軍演習地接収反対
に関する
陳情書
(第二八三七号)
日米相互防衛援助協定等
に伴う
秘密保護法案
に 関する
陳情書
(第二八四二号)
北海道十勝
郡
大津
村の
米駐留軍演習地接収反対
に関する
陳情書
(第二八七一号)
沖繩在住奄美同胞
の
居住権
の自由並びに
既得権
益の
保護等
に関する
陳情書
(第二八七六号)
沖繩及び小笠原諸島
の復帰に関する
陳情書
(第二 八七七号)
太平洋水域
における
原爆等
の
実験反対
に関する
陳情書
(第二八 七八号) 同(第二八七九号) 同(第二八八〇 号)
在外資産
の返遅促進に関する
陳情書
(第二八八一 号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
参考人招致
に関する件 通商に関する
日本国
とカナダとの間の
協定
の批 准について
承認
を求めるの件(
条約
第一五号)
日本国
における
国際連合
の
軍隊
の
地位
に関する
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第 一六号)
日本国
における
合衆国軍隊
及び
国際連合
の
軍隊
の
共同
の
作為
又は不
作為
から生する
請求権
に関 する
議定書
の
締結
について
承認
を求めるの件 (
条約
第一七号) ――
―――――――――――
上塚司
1
○上
塚委員長
これより
会議
を開きます。
日本国
における
国際連合
の
軍隊
の
地位
に関する
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
日本国
における
合衆国軍隊
及び
国際連合
の
軍隊
の
共同
の
作為
又は下
作為
から生ずる
請求権
に関する
議定番
の
締結
について
承認
を求めるの件を一括して議題といたします。
質疑
を許します。
宮原幸三郎
君。
宮原幸三郎
2
○
宮原委員
国際協力局長
はお
見え
に
なつ
ておりますか。
——
お
見え
に
なつ
ておらなければ、
調達庁
なり
条約局長
なりから御
答弁
をいただいてもよろしゆうございます。
国連
の
行政協定
の
提案理由
の御
説明
にもありましたし、また
協定
の
説明書
という配付になりました書類の中にもあるのですが、呉、広
地区
における
施設
の
返還
が
相当数
あつたかのごとき
表現
があるように思うのですが、ただいままでに
返還
になりました呉、広
地区
における
施設
の
内容
、
土地
がどれくらい、
建物
がどれくらいということがおわかりに
なつ
ておりましたら、これは根本の問題ですから一言これをお伺いしまして、それから
質疑
に移ります。
堀井啓治
3
○
堀井政府委員
解除
につきまして、具体的に、積極的に
合同委員会
に
相当
する
機関
を
現地
に設けまして、
現地
におきまして
施設等
の
提供
につきまして
折衝
する
考え
でございますが、現在具体的に
解除
の通告を受けておりますものは、
東洋パルプ
四千坪、
原村演習地
二万四十坪でございます。その他につきましては、まだ今後の
折衝
にまつべきものと
考え
ております。
宮原幸三郎
4
○
宮原委員
ただいまの御
答弁
にもございますように、
相当数施設
の
返還
というのは、まだにおいのしている
程度
であ
つて
、一向具体化したものではございませんし、相手は何分手ごわい
英連邦
のことでありますから、この
国連行政協定
の
調印
後の交渉では、ことにまた批准後になりますと、
施設
の
返還
に大きな期待が持てないのではないかと、
基地住民
及び
基地
に
関係
ございますわれわれ国会の
同僚一同
がまことに痛心いたしておるところでございます。
国連側
の
返還施設
の
内容
は私ども多少仄聞いたしておりますが、それは
政府
が誇示せられるような
意味
の
相当数
にわたるものではなくて、まことに僅少な部分であり、ほとんど軽微なものにのみ限られ、しかも代地の
提供
や
移転費用
の
負担
または
共同使用
というような条件がつけられておるのであ
つて
、
相当数
というのは、
施設
の不返環を
意味
するというならわかるけれども、
返還
される
施設
に
相当数
という
表現
を用いられることは、これは
羊頭狗肉
と申し上げては少し過言であるかもしれませんが、われわれとしてはまことに不満足に感じておるところでございます。
講和発効
一年有半の
折衝
がほとんど何ら効果を上げなかつたのを、
協定調印直前
に
外務省当局
が
相当
の努力を尽されまして、ようやくにして、ともかくも多少の
施設返還
の譲歩をさせ得たことの
成果
を認めるにもとよりやぶさかなものではありませんけれども、伝えられるがごとき
程度
の
返還
では、とうてい満足し得ないどころではございません、
地元
においては
不平不満
が欝然としておるのでありまして、
市民
の間においては直接
行動
に出て、
市民大会
を開いて
政府
を、
言葉
は適当でないかもしれませんが、鞭撻して
成果
を上げたいという情勢まで出ておるのが事実であります。そこで、九年間の
供与施設
はまことに過大である
——
ただいま四千坪というような
東洋パルプ
の一部
返還
の例があがりましたが、現在
英連邦
が呉、広
地区
で
使用
いたしております
土地
は一百万坪、及び
建物
は十五万坪に達し、
償却資産
三十億円であります。しかもただに
厖大
な
施設
というだけでなく、最も重要なる
地域
を
提供
させられている
実情
であります。私
ども同僚
とともに昨年の
秋現地
を視察いたしました。その際に
大蔵省
の
出先機関
から
説明
を聴取したところによりますれば、旧
海兵団地区
は僅々二、三万坪でありますが、
戦前日本軍
が
使用
いたしておりましたときには一万名を収容していたということであります。しかるに
英連邦
は、僅々三、四千名の
兵員
でもって、実に百万坪という
厖大
な
土地
、十五万坪というような
建屋
を
使用
いたしておる。これは
兵員
の割に対してまことに過大な
使用
、
濫用ぶり
であると断定するのも当然であると私は現在
考え
ておるのであります。これらの
余剰施設
が現在なお
返還
にならないために、第一には
地元呉
市におきましては、旧軍港市
転換法
によりまする
平和産業
、
海湾都市
の計画が画餅に帰しつつある
実情
であります。第二には、
重要地域
の
供与等
によりまして、
代替施設
の
建設
が必要となることは当然であります。その結果
代替施設
として
基地
において計上せられます
予算
はおよそ三十八億円に
なつ
ているのでありまして、
普通土木
が十億円、
港湾
が二十七億円、
農業土木
が一千三百万円、
水産
が七千八百万円というような内訳に
なつ
ております。第三には、
農林水産業者
の損害は九千万円に達しておるのであります。それから、これは直接
施設そのもの
ではありません、
供与施設
に関連して来るのでありますが、
供与施設
と
地方税非課税
との
関係
であります。このたびの
協定
の第十二条では
地方税
が
非課税
と
なつ
て、
米軍
と
均等待遇
になされておりますために、
基地
は一億九千六百万円の
地方財源
を失う結果となるのであります、この
地方税
はもとより
固定資産税
、
市民税
及び
電気ガス税等
であります。そのうち
平衡交付金
によ
つて国庫負担
を受けることにきま
つて
おるものがありますから、それを差引きますと五十九百万円の
地方財源
を失うという計算に
なつ
ているのであります。こういうふうな
実情
である上に、このたびの
協定
を
承認
いたし、このまま
実施
することになりますれば、
基地
といたしましては、以上のほかに
駐留軍
のために
各種
の
財政需要
が起
つて参
ります。たとえば
警察消防費
、
保健衛生費
、
渉外道路橋梁費
、こういつたもので年間三十六百万円の
財政負担
がふえて来るのであるのであります。いささかくどくど申し上げましたが、このために
基地
は非常な
被害者
の立場に立
つて
おります。しかもこのたびの
国連協定
の対象となるのは呉、広
地区
が主であるが、呉、広
地区
以外も、
基地
の
被害補償
は全国的にどうも不徹底に終
つて
いるような感を受けるので特に申し上げたのであります。従いまして、
基地
への
補償
と
代替施設
の
建設
ということが当然必要と
なつ
ておるのでありますが、このまま
予算措置
もなく、
立法措置
もなく
協定
が
実施
になれば、
言葉
はまことに過激かもしれませんが、
基地
に対して一種の
切捨てごめん
になります。
国連軍
は過大なトラツクとか戦車とかいろいろなものを縦横無尽に駆使いたしまして、
道路
、
橋梁等
を損壊しているのでありますが、これをそのままにしておいて何らの
補償
もない、また
代替施設
の
建設
もないということになれば
切捨てごめん
になるのと同様の感を
基地
の
住民
が受けるのは、まことに同情に値することと思うのであります。それで
中央政府
とせられては
国連軍
の
特殊地位
にかんがみられまして、このたびの
協定
ではこの
防衛分担金
の
負担
をしていらつしやらない、そうしてその他の点においては
米軍
と
均等待遇
を与えていらつしやる。
中央政府
はただ
基地
の
国有財産
を無償で貸しつける、この
使用料
を免除するというこれくらいの
程度
の犠牲で、一面においては
防衛分担金
を
負担
せずに
間接防衛
の目的を達している、こういう
中央政府
としてはまことに
日米協定
以上に御
都合
がいいことに
なつ
ておるのでありますが、
地元
としましてはかかる
国連軍
というような、
米軍
のように直接
防衛
でない、
性格
の弱い、
日本
としては
米軍
ほど役に立
つて
くれないこの
国連軍
の
駐留
のために、
行政費
で三千六百万円、
地方税
の
かわり財源
の五千九百万円を失い、
農業水産等
においてはいかなる
立法措置
をなされるのかもまだあいまいだ、また
代替施設
を三十八億円も
建設
しなければならぬ、こういつたことになりますと、
政府
はまことに御
都合
がよろしかろうが、そのしわは
地元
に寄るという結果になるのでありまして、こういうことはこのままに放任せられるべきでない、だからこれに対する対策について
政府
にお伺いしたい。かかる
補償責任
というものは一種の
防衛行動
の
内容
として、
予算
は
国連軍
の
防衛費
の中から
国連軍
が
負担
するものであるか、あるいは
日本政府
において
負担
をせられようとするのであるか、
日米行政協定
の場合には
防衛道路
とかなんとか、あの
防衛分担金
の支出によりまして、ある
程度
道路
とかそのほかの
代替施設
を
地元
になされているようでありますが、この
国連軍
の場合においてはその点はいかがになるのでありますか。その
協定
の条文や
議事録
なんかを見てみましても、その点についてはあまり明確な
規定
の
申合せ
もなされておるように
見え
ないのであります。これをこのまま
地元
の
責任
に放任せられるということになれば、
中央政府
としてはまことにお気軽でありましようけれども、それは他人のふんどしで相撲をとるというか、
地元
の
負担
がまことに過重に
なつ
て来て、
地元
はとうてい立ち行かないということになろうと思うのであります。この
調印
前の
地元
の
陳情
に対しまして、当時
外務省
の
参与室
において主として
折衝
に当られたのでありますが、
参与
の間におかれてはこういう問題については、
実施面
において
善後措置
として
十分考慮
をし、むしろ
外務省
はイニシアチーヴをと
つて
地方自治庁
なり
大蔵省
なりに、あるいは必要あらば文書をも
つて
でもその間の
国内措置
はとりたい、こういうような強い言質を
地元
の
陳情
に対して与えられた事実があるようにわれわれは伺
つて
おるのでありますけれども、かかる問題について、この当時の
参与室
は解散に
なつ
たのかもしれませんが、ここに引続きその業務を御継承に
なつ
ております
国際協力局
なりあるいは御関連があれば
条約局長あたり
に、また
特調
におかれてただいま私が疑問といたしております
各種
の点につきまして、率直な御
答弁
をお願い申し上げたいと思います。
伊関佑二郎
5
○
伊関政府委員
御
質問
の途中から伺いましたので
ちよ
つとはつきりしない点がございましたが、
米軍
の場合と比べましてどこが違
つて
おるかという点を申し上げますと、たとえば
特別損失補償
と申しますか、
演習地
以外等に
被害
が及ぶ、呉の場合は
原村
に
演習場
があるわけであります。こういう場合に、
米軍
の場合は
特損法
というものによ
つて間接被害
を
補償
いたしておりますか、
国連軍
の場合にはこれがない、
考え方
といたしましては十八条三項、公務上に基いたものならば
国連軍側
に
負担
させる、しかしそれ以外のものでありましたならば、大体
特損法
と同様な
考え方
をもちまして、何らかの
予算的措置
によ
つて
適正な
補償
をしたいというふうな方針でも
つて
関係者
と
協議
をいたしております。 次にもう一つは、
弾薬庫
の周辺と一部の海面を制限いたしております。これは
米軍
の場合には
漁業補償
の
法律
があるわけでありますが、
国連軍
の場合にはこれがございません。この点はこうした
法律
がやはりいるのじやないかというふうに
考え
ております。但し
施設提供
に伴いましては
財政負担
は
日本側
はいたしませんので、まず
日本側
でこういう
法律
をつくりまして、
日本国民
に対しては
政府
から払いましても、あとでこれを
国連軍
からリフアンドといいますか、要するに
国連軍側
に払わすというような
考え方
でおるわけであります。 それから
代替施設
の
お話
がございましたが、これはただいままでのところ約十五
施設
を返すということに一応の話がつきまして、
地元
の
委員会
でも
つて
逐次それの推進をいたしておるわけであります。今後とも
施設
に
余裕
があるというふうに
考え
ますれば、
返還
を促進させて行く
考え
でおります。一瞬かなりあいておりましたが、
朝鮮休戦
に伴いましてかなりこちらに物資を置いておりますので、私がか
つて
見ましたときほどは最近は
余裕
がないというふうに、見て来た者は申しておりまます。 それから
行政協定
の場合には
安保諸費
というものがございまして、
道路等
のいたみますもの、あるいは
港湾等
につきまして、
米軍
が使うために
日本側
が足らなく
なつ
たというふうなものは、
安保諸費
でつく
つて参
つたわけであります。これにつきましては、こうした
費用
が
国連軍
の場合にはございません。
従つて
これをどうするかという問題があるわけでありますが、この点につきましてはまだ
研究
中であります。
宮原幸三郎
6
○
宮原委員
どうも一番かんじんな点が盲点に
なつ
ているようでまことに遺憾に思うのであります。
研究
中とおつしやられるその
表現
の
意味
を非常に重要視するのであります。必ずその御
研究
の
成果
あらしめるよう、お願いしたいと思うのであります。それでなおこの
米軍
の
日米行政協定
の場合においては、
法律
第二百四十三
号漁船
の
操業制限等
に関する
法律
、それから
法律
二百四十六号、
日本国
に
駐留
する
アメリカ合衆国軍隊
の行為による
特別損失
の
補償
に関する
法律
、こういつたような
特別損失
に伴う
農林漁業等
の方面の
補償
が
立法
化されておりますが、
国連行政協定
の場合には、当然、この
協定
の第何条でしたかにありましたが、ただいま言つたような
立法
は引続きお
考え
に
なつ
ておることでありますかどうでありますか、特にお伺いいたします。
伊関佑二郎
7
○
伊関政府委員
漁業補償
につきましては、目下のところ
関係省
間の意見は大体こうした
法律
をつくろうという方向にまとま
つて
来ております。
特別損失補償
につきましては、今のところこれと同様の
法律
をつくる
考え
は持
つて
おりません。何らかの
予算措置
を講じたい、こう
考え
ております。
宮原幸三郎
8
○
宮原委員
現地委員会
のことについてお尋ねしたいのですが、
現地委員会
というのがすでに発足いたしておるようであります。このたびの
行政協定
のまず唯一の
成果
とい
つて
いいかと思うのですが、ぜひこの
現地委員会
の活動を期待するものであります。ところがこの三十条に
合同委員会
ですかの
規定
が出ておるようですが、この中なりまた
会議録
を見ても
現地委員会
のことは何も
根拠
が示されているように
見え
ません。この
根拠
というものはどういうふうに
なつ
ているものであるか、またこの
現地委員会
の
性格
は
合同委員会
の
下部組織
に
なつ
ておるのか、それとどういう
関係
に
なつ
ているのか、そういつたような点についてお示しを願いたい。なお発足間もないことでありますが、
現地委員会
の
実情
から申しますと、
施設
の
利用状況
の調査というようなことが非常に重大な点にた
つて
来るのであります。こういつたようなことの
権限
は与えられているものでないようであ
つて
、このたびの
協定
の
公式議事録
には、
主要施設
に必要な
最小限度
に限るものとせられると書いてあり、必要な
最小限度
ということはまことに
表現
としては魅力のある
表現
でありますけれども、しかしその必要はあちらさんが一方的にきめ、そうして
現地委員会
というものがあ
つて
もそれは実力はない、こういつたようなことになりますと、ほとんど
有名無実
の
委員会
に終るのではないか。だからこの
現地委員会
の
権限
の強化ということについて、
政府
はどういうこれに対するお
考え
を持
つて
いられるか、この点をお伺いしたい。
伊関佑二郎
9
○
伊関政府委員
現地委員会
は何ら
法的根拠
には基いておりません。先方との
話合い
によ
つて
つくつたものでございます。
合同委員会
といたしましていろいろな
意味
の
補助機関
を持ち得るわけでありまして、
行政協定
の場合にいたしましてもいろいろとつく
つて
おります。たとえば各地に主として風紀問題のための
連絡協議会
というようなものをつく
つて
おりますが、これにつきましての
法制的根拠
は置いておりません。ただ今度できます
中央
における
合同会議
、この力でも
つて
こういうことは
現地
にまかせようということになりますれば、それは
現地
限りで処理し得るわけであります。ただ私たちが今
考え
ておりますのは、十五
施設
を
返還
するということに
なつ
ておりますから、それを中心に
現地
で今や
つて
もら
つて
おるわけでありますが、今後の問題といたしましては、いろいろとそれ以外に両君の
関係
が
現地
でうまく行きますように、この問題に限定せずに、何でも取上げてもらう、そうして
現地
で事実上の
話合い
で解決するものはそれで非常にけつこうである。しかし
現地
で解決しないもの、あるいはどうしても
中央
の
措置
を要するもの等については、それぞれの筋を通して
中央
に言
つて
来てもらうというふうに
考え
ておるわけであります。
現地
の
委員会
というものにはつきりした
権限
その他のものをきめておりませんが、むしろその方がどんな問題でも扱える、そして
現地
で話のつくものは
現地
でやる、
現地
で話のつかないものは、
中央
に言
つて
来てもら
つて
中央
でやるというふうに
考え
ております。また
施設等
の
利用状況
は
現地
が一番詳しいわけでありますから、
現地
から
お話
があれば、それを
中央
でも
つて
——現地
限りで話しがつけばよろしいのでございますが、つきません場合には
現地
の情報に基いて
中央
で話をする。こういう
考え
でおります。
宮原幸三郎
10
○
宮原委員
労務関係
のことですが、主として
調達庁
の
関係
になるかもしれません。
日米
の間においては
労務
の
基本契約
があるように伺
つて
おりますが、
国連
の場合においてこの
労務
の
基本契約
の
締結
をなさることにきま
つて
おりますか。この点はただいまのところどう
なつ
ておりましようか、
ちよ
つとお伺いをしておきます。
堀井啓治
11
○
堀井政府委員
労務契約
につきましては、
日米
間の
労務契約
と同様の
内容
をも
つて
協定
をすることにお
話合い
をいたしております。
宮原幸三郎
12
○
宮原委員
その
国連軍
の
労務者
のうちには、非
軍事的労務者
が約二千人
呉地区
にあるようであります。これは他の
労務者
と同様に
間接雇用
に切りかえられるものでありますか、それともこれはいかが取扱われるものでありますか。
堀井啓治
13
○
堀井政府委員
一応軍で雇用いたしますものは、全部一括いたしまして
契約
に入
つて
来ると思います。
宮原幸三郎
14
○
宮原委員
この
国連軍
の
撤退
の時期について
外務省
にお伺いしたいのですが、
国連軍
全体が
朝鮮
から
引揚げた
後九十日以内に
——
その九十日も次々に双方の
協定
で延期できるようなことがその第三十四条に示されておりますが、この
撤退
の問題について、
地元
との
関係
でもりますが、
中央政府
におかれては、
国連軍
の
駐留
によ
つて地元
が非常に
利益
を得て満足しているもののように誤解をされているような場面に、ときどき出会うのであります。この
国連軍
の
駐留
によ
つて利益
を得ている者も
市民
のうちには多数ありますが、それは
市民
全体から見れば一部分でありまして、
市民
の大多数というものは、
物価騰貴
といいますか、そういう
意味
の経済的な圧迫を非常に受けております。また風紀の上からも治安の上からも、あらゆる面から
国連軍駐留
によ
つて
迷惑をこうむ
つて
いる者の方が
受益者
よりもはるかに多いのであります。われわれは今ここで
撤退
を具体的にどうということを言うのではありませんが、この
撤退
の時期についてのおよそその
見込み等
な、ただいまのお
見通し
でわかるものならば、
朝鮮動乱
の
休戦等
の
関係
と照し合せて、
外務当局
としていかにお
考え
に
なつ
ておるかということをここで御表明願いたいと思うのであります。 この御
答弁
を得まして一応私の
質問
は終りたいと存じます。
下田武三
15
○
下田政府委員
中央
におきましては
地元
の
実情
がわからないという
お話
でございましたが、実は
宮原先生
初め
地元
の御熱心な御
啓発
によりまして、私ども非常に
実情
を教えていただきまして、この
協定
が曲りなりにも妥結いたしましたのは、
地元
の御熱心な御
協力
と御
啓発
のたまものでありまして、この点につきまして私ども深甚なる感謝の念を表したいと思います。 そこで
撤退
の問題でございますが、
協定
の方から御
説明
しますと、この二十四条に、
朝鮮
から
撤退
した日から九十日とは書いてございませんで、
朝鮮
から
撤退
すべきことに
なつ
た日から九十日と書いてあります。どういうときに
撤退
することになるかということを
考え
てみますと、第一に、あるいは
国際連合
で
撤退期日
について決議いたすかもしれません。そうしますと、その決議で何月何日に
撤退
するときめられた日からということになりますし、あるいは
派遣国同士
の
協議
で一定の
期日
をきめて
撤退
するということになるかもしれません。また第一に、これは足並のくずれたときでありますが、ある
派遣国
と韓国と話をして、
統一司令部
の了解のもとに
撤退
するということも理論的には
考え
られるわけであります。いずれにいたしましても、
撤退
することにきめられた日から九十日でございますから、現実にまた
朝鮮
に残
つて
おりましても、きめた日から九十日た
つて
しまえば
撤退
するというのが、第二十四条の
建前
であります。
規定
の
建前
がそうであるといたしまして、御指摘の
撤退
の
見通し
でございますが、この点は御承知のように
ジユネーヴ会議
でまた
朝鮮
問題が取上げられるかもしれません。しかしながら
ジユネーヴ会議
の
見通し
についてすら、現在
国際
間にはむしろ悲観的な
見通し
が強うございまして、おそらく
ジユネーヴ会議
でも大した
成果
には達しないであろうという
見通し
が、
会議
が開催される前から強いような状態でございます。これは
朝鮮
問題にいたしましても、仏印問題にいたしましても、世界全体の冷たい戦争の局地的な現われでございますから、この大きな両
陣営対立
の現勢が何らかの打開の
見通し
がつきますまでは、正直に申しまして、
朝鮮
問題だけ切り離して解決するということはなかなかむずかしいのではないかと思うのであります。でございますから、
地元
の方々に対しましては、ある
見通し
を申し上げられれば非常に幸いなのでありますが、かえ
つて地元
の方々に誤解を与えるようなことを申し上げまして、幻滅の悲哀をお感じさせることは悪いと存じますので、率直に
見通し
は暗いということを申し上げた力が正直であると存じます。
上塚司
16
○上
塚委員長
次は並木芳雄君。
並木芳雄
17
○並木
委員
私は
国連軍
がどうして
日本
に支持されなければならないかということについて常々疑問を持
つて
いるのでございます。どういうわけで、陸軍にしても、海軍にしても、空軍にしても、
日本
を選ぶのか。そこで最近
統一司令部
たる
国連軍
の本部というのか、司令部というのか、それが韓国に移転するという話がございます。私はそれがしかるべきだと思うのです。
日本
に
統一司令部
がある必要はないと思
つて
おつたのでありますが、その話はどういうふうに
なつ
ておりますか。
伊関佑二郎
18
○
伊関政府委員
国連軍
の司令部でもありますし、在日
米軍
の司令部でもあるこの一つのものが、両方の資格を持
つて
日本
におるわけでありまして、私どもの方がいろいろと
米軍
と話をしております限りについては、早急に
国連軍
の司令部が
朝鮮
あるいは沖繩に移るというふうなけはいは
見え
ません。もう一つ
考え
なければなりませんことは、在日
米軍
が減るということは、いろいろと
日本国民
との間において摩擦を起さないという
意味
においては減ることがけつこうなのでありますが、現在のように
日本側
の自衛力が整いまして逐次減
つて
行くというふうなことでなく、ただ
朝鮮
に移れとか沖繩に移れというふうに申しましても、経済的な面に及ぼす影響というものも
日本側
としてはかなり
考え
なければならぬ。貿易が非常に逆調でありますので、そういう際にドル収入というものがかなり大きいわけであります。こちらからそれほど強く要求するというような際には、そういうドル収入という面も考慮しなければならぬと
考え
ております。
並木芳雄
19
○並木
委員
ただいまドル収入の話が出ましたが、それじやお伺いしますけれども、どれくらいのドル収入が上
つて
いるのですか、実績について……。
伊関佑二郎
20
○
伊関政府委員
在日
米軍
としまして、昨年の実績は約八億足らず、七億五、六千万だと思いますが、それを
国連軍
と在日
米軍
とに分析いたしまして、どこまでが
国連軍
であり、どこまでが在日
米軍
であるという点ははつきりいたしません。しかしその中のある部分は
国連
関係
というふうに
考え
ております。
並木芳雄
21
○並木
委員
そういう理由から
国連軍
を支持することを合理づけるという話は、きよう初めて聞いたので、びつくりしたわけです。ずいぶん矛盾するわけです。一日も早く
撤退
してほしいというその気持が、ただいま伊関局長の話によりますと、
政府
としては最近かわ
つて
来た。むしろ
米軍
にしても、
国連軍
にしても、外貨の不足から、今日はなるべくならば長くいてほしいと言わんばかり発言でございますが、そういうふうにかわ
つて
来たという傾向は是認されるわけでございますか。
伊関佑二郎
22
○
伊関政府委員
私が申しておりますのは、政治的に見れば、なるべく早い方がいいということはよくわか
つて
いるのでありますが、特に無理をしてまで急がすというほど積極的にやらなければならぬかどうかという面でありまして、自然に逐次減
つて
行くものなのでありますが、それを特に強く要請して急激に減らさなければならぬかどうかという点になりますと、そういう経済面もありますから、これはプラス、マイナス両方あ
つて
、自然に減
つて
行く点は、これは当然のことと
考え
ております。また減るべきものと
考え
ます。しかし特に急速に減らすべきかどうかということになりますと、そういう面も考慮しなければならぬ、こう申し上げているのであります。
並木芳雄
23
○並木
委員
現在おります
国連軍
の数を知りたいのであります。これは第三条によ
つて
も、向うから通告することになっておりますから、
政府
はわか
つて
いると思います。兵種別、
地域
別、駐屯別の数をなるべく詳しく……。
伊関佑二郎
24
○
伊関政府委員
出入国の際には通報することに
なつ
ております。現在は大体
——
従来ともでありますが、約五、六千のものが、呉と広
地区
におるわけでもありまして、これは英濠軍でありますが、その他のものは
朝鮮
におるわけでありまして、これは毎月報告が参
つて
おります。どこのどういう
軍隊
が
朝鮮
におるかということは報告が参
つて
おります。それからそれ以外に休暇で
日本
に来ておりますものがございますが、これは毎日のように参りまして、四、五日お
つて
帰
つて
おりますから、そこまでの移動は私どもははつきりしたことはつかんでおりません。
並木芳雄
25
○並木
委員
朝鮮
におる者の数はわかりませんか。
伊関佑二郎
26
○
伊関政府委員
表を持
つて参
りませんでしたので、後ほど差上げてもいいのですが、大体英濠軍が一個師団、そのほかの各国軍、大体大きいところは連隊、小さいところで大隊というものを派遣しております。これは各国別にはつきり出ております。
ちよ
つと表を持
つて
来たつもりでおりまして忘れておりましたので、御要望がありますれば提出いたします。
並木芳雄
27
○並木
委員
先ほど沖繩の話が出ましたけれども、私も
日本
における
国連軍
は、韓国の南の方とか沖繩あるいはハワイのようなところで待機しておればいいのじやないかという
考え
を持
つて
おるのです。そういう話は全然出ておらないのですか、それとも計画はあるのですか、
日本
から駐屯を韓国自体に移すとかあるいは沖繩とかハワイとかいうところへ持
つて
行くという話はいかがですか。
伊関佑二郎
28
○
伊関政府委員
日本
を視察いたしました米国の国会
関係
の人たちあるいは米側の評論家とかいうところあたりから、現在における
日本
の反米思想というふうなものを憂慮いたしまして、動いたらどうか。
日本
からこうした司令部を動かしたらどうかという意見は米本国では一部にあるようでありますが、東京におります司令部としましては、そうした計画は今のところ全然持
つて
おらぬと私は見ております。と申しますのは、
施設等
につきましていろいろと話をしておりますので、もし司令部がよそへ移るということになりますれば、
施設等
の計画に変更が来るわけでありますから、そういう点は今のところ全然ございません。
並木芳雄
29
○並木
委員
施設
などについて、今後拡張とか新設とかいう
お話
があるのですか、今の
答弁
ですと目下進行中のものもあるやに承りましたが、もしありとすればどういうようなことが計画せられていますか。
伊関佑二郎
30
○
伊関政府委員
施設
につきましては、
演習場
とかというふうな場合はまた懸案のものがございますが、いわゆる兵舎とか司令部の
建物
等につきましては、拡張するというふうな
考え
は全然ございません。私が申しておりますのは、ただいま建築中のものとか今後建築に着手するもの、計画はできておりまして、建築の設計もできておりますが、まだ現実に建築に着手していないというふうなものが
相当
ございます。もし移るのであれば、そうしたものの建築をとりやめるということもできるわけでございます。あるいは保安隊の拡充に伴いまして、
米軍
施設
の一部
返還
を今交渉いたしております。そういう際に
米軍
が移るとなれば、保安隊か期待する以上のものが明き得るというふうな点もわか
つて
来るわけであります。そういうふうな交渉を通じまして、移るという点は全然見られないということでありまして、今以上にふやすというのではございません。
並木芳雄
31
○並木
委員
その計画中のものをもう少し具体的にお示し願います。
伊関佑二郎
32
○
伊関政府委員
資料を持
つて
おりませんが、大体の計画は大都市の都心部から郊外に移るという計画でありまして、東京で申しますれば、空軍、司令部その他が明治ビルその他におります、それから独身宿舎等が
相当
ございます、こういうものを空軍は主として立川、陸軍の場合には座間並びに朝霞というようなところに移す、それから横浜の市内に
相当
まだおりますが、これが座間に移る、名古屋におります空軍が小牧並びに守山というところに移る、こういうのがおもな計画であります。
並木芳雄
33
○並木
委員
私がかねがね心配しておるもう一つのことは、もし
国連軍
に対して攻撃が行われるようなことはないであろうか。
日本
で支持されておる
国連軍
に対して反撃をして来るようなことがありとすれば、
日本
としては危険にさらされるわけでございます。そういう心配があるかないか。もしそういうことがあった場合に、この攻撃は
日本
の国に対する侵略とみなすのかどうか。もし
日本
に対する攻撃であり、
日本
に対する侵略であるとみなされるならば、その場合には
国連軍
がこれを迎え撃つのみならず、
駐留
米軍
も出動すべきでありましようし、今度できる自衛隊もぶつつか
つて
行かなければならぬ、こういう問題も出て来るのであります。いかがでありましよう。
下田武三
34
○
下田政府委員
日本
におります
国連軍
を目当として攻撃をしかけて来るということは想像できないことだと存じます。
日本
を攻めるならば
国連軍
目当でなしに、
日本
自体を制圧することが目的であることだろうと思います。
日本
自体を制圧することを目的として侵略が万一起つた場合に、在日
米軍
は
日本
を守る任務を持
つて
おりますから当然自衛隊とともに戦
つて
くるでありましよう。しかし
国連軍
は直接
日本
を守る任務を有していないからとい
つて
そつぽを向いておるかどうかということは私は問題であろうと思います。なるほど吉田・アチソン交換公文の
国連軍
協定
には、在日
国連軍
が
日本
防備のために戦うという
規定
はどこにもございません。しかし全然これとかけ離れまして御承知のアンザス
協定
、アメリカ、オーストラリア、ニユージランドの三国間に
締結
されております相互
防衛
援助
協定
によりますと、濠軍、ニユージーランド軍に対する攻撃は、濠州、ニユージーランドの本国において、攻撃されたときだけでなく、太平洋の他の
地域
において攻撃されても援助の発動原因になるわけでありまして、そちらの方からやはり
日本
におる濠兵、ニユージーランド兵が攻撃されれば、三国間の相互援助義務が発生することになると
考え
るのであります。でございますから、結果におきまして間接的にやはり
日本
におる
国連軍
も戦うことがあり得るという結果に相なるわけでございます。
並木芳雄
35
○並木
委員
日本
で支持されておる
国連軍
を目当に攻撃することはない。もしありとするならば、
日本国
に対する侵略であり、攻撃である。こういうのであるならば、私が先ほど心配した点はないと見ていいわけですが、もしそうだといたしますれば、その
根拠
はどこに置かれますか。
相当
優秀な飛行場あるいは海軍
基地
というようなものを擁しておる
国連軍
の心臓とまでいわなくても、手足の一部を爆砕するために反撃がないということが、ただいまの局長のようにしつかり言える
根拠
はどこにございますか。
下田武三
36
○
下田政府委員
それは
法律
的
根拠
は何もないのでありますが、
国際
間の常識といたしまして、すでに
朝鮮動乱
が勃発いたしましたときに、目的は
朝鮮
でなくて
日本
だ、
日本
に行く橋渡しとして
朝鮮
に渡
つて
いるにすぎないというのが
国際
間の常識でございます。
国連軍
が憎いから、
朝鮮
におる
国連軍
をおつぱらつた余勢で
日本
を攻めるというのじやなくて、共産陣営の最後のねらいは
日本
なのであります。あくまで
日本
が目的である。その
日本
に、
米軍
と並んで
国連軍
が飛行場その他の
施設
を持
つて
おるとすれば、この
日本
の
防衛
力を減殺する
意味
で、その
国連軍
の
施設
を爆撃することも
考え
られますけれども、これは
国連
が憎いからやるのじやなくて、あくまで
日本
がねらいであると思うのであります。
並木芳雄
37
○並木
委員
そういたしますと、今
日本
が
国連
協力
の線でこの
協定
を結ぶことは、やはり
国連
憲章にいう一種の集団安全保障機構に入ることになるのだというふうに言えるのではないですか。
日本
自身も危険の中に含まれておる、よ
つて
一種の集団安全保障体制に入るのではないかと思われますが、この点はいかがでしようか。なぜ私がお尋ねするかと申しますと、最近伝えられております太平洋同盟
——
PATOですか、そういうものの
性格
と今度の
性格
とがやはり似ているのではないかと思うのです。太平洋同盟のような場合に、
日本
の安全を守るためであるという見地から集団安全保障機構に入
つて
、もし他国に加えられた攻撃が
日本
に加えられた攻撃とみなし得るものであるということになりますと、NATOと同じような形式のものが生れて来ると思うのです。その場合に、
日本
が派兵をして軍事
行動
に出る義務を負うかどうかということは別問題といたしましても、今のような
基地
を
提供
する、駐屯を許す、
労務
を
提供
するという点から、集団安全保障体制に入り得るという一つの結論が出て参りますので、お尋ねをする次第です。
下田武三
38
○
下田政府委員
国際連合
との
関係
から見ますと、在日
米軍
の問題と
国連軍
の問題とは非常にはつきり区別することができるのでございます。在日
米軍
の
駐留
することを許しました安保
条約
は、確かに
国連
憲章の五十二条に申します
国際
の平和及び安全を維持するための
地域
的とりきめの一種にほかなりません。なるほど
日本
は非常に消極的な義務しか負
つて
おりませんが、これもやはり一種の集団安全保障の
考え
に出する
地域
的とりきめにほかならないのであります。しかし
国連軍
の
行動
を容易ならしめ、これを支持することを許しました吉田・アチソン交換公文と申しますのは、これは
地域
的とりきめではございません。これは
国連
憲章の五十二条ではなくして、第二条の、いわゆる
国連
の精神に反する
行動
をする、侵略
行動
をとるものに対して防ぐための
共同
行為に参加しておる国を
日本
が援助するという問題でございます。この
国連
憲章二条の原則は、平和
条約
の第五条で、
日本
が独立いたしました際に義務として引受けておるわけであります。あらゆる援助を与えなければならないという義務を引受けておるわけでございます。でございますから、安保
条約
のように
日米
間の相互の合意でも
つて
安全を保つという
考え方
ではございませんで、
日本
と
関係
なく、
国連
という
機関
が、その決議に基いて、
朝鮮
に起しておる
行動
を
日本
において援助するという
考え方
でございます。でございますから、安保
条約
と
国連軍
協定
というものは全然異質の
協定
でございます。 そこで
お話
の仏印の情勢に関連いたしまして、PATOとかSEATOとかいう機構が新聞に出ておりますが、これはアメリカはもちろん
関係
国で正式に
考え
ておるものは今のところ認められません。推測であると思うのでありますが、かりにそういうものができましても
——
朝鮮
の場合には、ソ連がたまたま安保
理事
会を欠席いたしました間隙を縫
つて
一連の決議ができまして、それに基いて
朝鮮
における
行動
がとられたのでありますが、今度はソ連は二度とそういう愚は犯すまい、安保
理事
会を欠席して留守の間にそういう
協定
ができるのを避けるために、必ずがんば
つて
ヴイトーを行使するでありましよう。そうであるといたしますと、決議によ
つて
共同
行動
を仏印に対してとることは不可能になるであろう。
従つて
そうであるとすれば、どうしてもNATO
条約
式の
国際
間のとりきめで、
共同
行動
をスタートするほかないのではないかというところから出た推測であると私は思うのであります。かりにそういう安全保障とりきめが仏印を対象としてできたといたしましても、
日本
といたしましては、現在の状況においてこれにアクテイヴな
行動
をすべく参加することはとうていできない話でありまして、しいて
考え
られますことは、
朝鮮
で
行動
をする
国連軍
に対して後方で援助を与えたと同じように、仏印において
国連
と申しますか、そういう
国際
間の安全保障とりきめに基いて
行動
する
軍隊
に対して、後方の
日本
で援助を与えることを認めるかどうかという問題が、
日本
にと
つて
決定を迫られる問題になることがあり得るかと存ずるのであります。しかし現実の
見通し
では、また差迫つた問題として
日本
に決定を迫
つて
おるわけではございません。
並木芳雄
39
○並木
委員
それに関連してお尋ねしたいのですけれども、NATOの第五条に、他国に加えられた攻撃は自国に加えられた攻撃とみなす、こういう条項がありますが、これはあまり無制限にそういう条項を入れることができないのではないかと思うのです。
地域
的集団安全保障というものが広が
つて
行
つて
、かなり広い
地域
にわたる国々が参加した場合に、他国に加えられた攻撃を自国に加えられた攻撃とみなして自衛権に基いて出動するということになりますと、いわゆる集団自衛権の出動範囲が加減的に広ま
つて
来るわけであります。そこで今も
お話
のございました、かりに太平洋同盟というようなものができたときに、仏印に加えられた攻撃を
日本
に加えられたものとみなすということが妥当であるかどうかということは、どういうところで判断すべきであるか、それをお尋ねしたいのです。あるいは私の聞いておることがおわかりになりにくいかもしれませんけれども、
地域
的集団安全保障のとりきめに限度があるのではないかということになりましよう。さらに言いかえれば、自衛権発動の限界がそこへ出て来なければならないのではないか。かなり遠くの方の国に加えられた攻撃をすら自分の方に加えられた攻撃とみなすという
根拠
は、どこから出て来るのであるか。
国連
憲章の第何条によ
つて
そういう義務が課されておるのか、それを知りたいのであります。
下田武三
40
○
下田政府委員
国連
憲章にはその問題について何も
規定
がございません。五十一条の自衛権に関する
規定
があるのみでございます。 そこで御指摘のNATO
協定
の、他国に対する武力攻撃は自国に加えられた武力攻撃とみなすという条項でありますが、これは同盟
条約
や相互安全保障
条約
の常套文句でございます。これは一九三三年の侵略の定義に関する協約で非常に明確に
なつ
たのでありますが、
軍隊
のみならず軍艦、船に対する攻撃まで侵略と認めるということに
なつ
ております。そうして自分の
軍隊
や船でなくても、他の締約国の
軍隊
や船に対する攻撃も侵略とみなす。そういたしませんことには、同盟なり相互援助の目的が達成せられないわけであります。アンザス
条約
も、アメリカ、濠州、ニユージーランドの
軍隊
が、そのいずれか一国の
軍隊
がどこにお
つて
も、攻撃されれば、三国がみんな自分に対する攻撃を受けたとみなすというところから、相互援助の
考え
が発足しておるわけであります。ただ仏印の場合にNATO
条約
式なものができるかどうか、これは全然仮定の問題になりますが、北大西洋ではまだ侵略が起
つて
おるのでないわけでございます。侵略を防止せんがために、もし侵略者がNATO
条約
当事国のどの
軍隊
、島まで書いてありますが、どの島を繋
つて
も、NATO参加国は
共同
歩調をと
つて
対抗するぞということで侵略を防止しているわけであります。ところが仏印の場合には、すでに侵略が起
つて
おるわけでありますから、いまさらそういうことをきめても始まりませんので、どういう形でできるか、全然私どもには見当がつかないのであります。仏印の侵略の事実を度外視して、十箇国なら十箇国で、それぞれの締約国の
軍隊
なり領域なり軍艦なりに対する攻撃は、すべて自国のそれらに対する攻撃と認めると言
つて
、相互援助の発動を許すような
条約
ということが一番高度の安全保障でありましようが、そこまで行き得るかどうかという点につきましては、まだ全然
見通し
がつきません。これはアジア
地域
各国あるいはこれに参加しようとする欧米の国々の立場や意見がまだ一致の段階に達しておりませんので、NATO
条約
式なものが仏印に関連してあるいは太平洋方面にできるかどうかということは、これはなかなか容易にはできないのではないかという感じを私は持
つて
おります。
上塚司
41
○上
塚委員長
並木君、時間が経過いたしましたから……。
並木芳雄
42
○並木
委員
それでは最後にお伺いいたします。なおまたあとで
質問
者がなかつた場合には、時間をいただきたいと思います。
政府
は仏印に対する攻撃について、危険性をどういうふうに感じておられますか。アメリカ方面では、極東の平和はますます悪くなる、挑戦から舞台が移つただけの話で、質はもつと悪く
なつ
ている、共産主義の脅威というものは
日本
に対して重圧を加えて来つつある、こう言
つて
おります。
政府
としてはこれに対してどういうふうにお
考え
に
なつ
ていますか。
朝鮮動乱
と同じような
程度
に
日本
にも危険がある、
日本
としても大いに警戒すべきものである、こういうふうにお感じに
なつ
ていますかどうか。
下田武三
43
○
下田政府委員
これは私どもから御
答弁
すべき問題ではないと思いますが、アメリカその他の国の
考え
を御紹介するにとどめたいと思うのでございます。アメリカ人は、太平洋戦争で
日本
軍で仏印まで制圧して来たときに、非常な危険を感じて、逐に立つたということをよく申しております。同様に、仏印の資源、それから地理的にあの出ばつたところに共産勢力に攻めて来られるということは、東南アジア諸国を制圧する道を開くものであり、それが完成した場合には、東南アジア諸国に対する貿易をし、資源の供給を受けておる
日本
としては、非常にあぶない苦しい
地位
に立つということを心配している意見がたくさん見られるわけであります。 そこで
日本
はどうかという点でございますが、これは
朝鮮
とは違いまして、確かに地理的の距離もあるのでありますが、しかし資源の供給源を絶たれ、貿易の相手国をなくすという点は、万一そういうような場面が起りましたら、脅威であることは、確かに違いないと存じます。しかし
法律
的に現在の事態を見ますれば、
朝鮮
の場合には、
国連
がはつきり侵略であると定義づけたわけでありますが、仏印におきましては、二つの政権が相闘
つて
おるのであ
つて
、まだホー・チミン側が侵略者なりとして
国連
等の
機関
で定義づけられたわけではないのであります。でございますから、侵略者の烙印を押された
朝鮮
の侵略勢力と、仏印におけるホー・チミン軍とは、
法律
的にはまだ区別すべき段階であると存ずるのであります。
上塚司
44
○上
塚委員長
次は
穗積
七郎君。
穗積七郎
45
○
穗積
委員
私は簡単に政治目的の問題に関連してお尋ねをしたいと思います。われわれは、昨年十月でございましたか、
国連軍
との裁判権の問題の
協定
について論じましたように、
日本
における
国連軍
の駐屯を実は迷惑に思
つて
いるわけです。
朝鮮
戦争は、言うまでもなく、その後世界の人々の認めるところは、これはむだな失敗であつたということが明瞭に
なつ
て来ているし、あと残る問題はアメリカの面子だけだと思うのです。先ほど局長は、ジユネーヴ会談においても、
朝鮮
問題の平和的解決は、
見通し
としては困難ではないかということを言
つて
おられますが、それは欧州諸国もこれを希望している、アジアの人々はももちろんございます。にもかかわらずその困難な原因というものは、アメリカの武力政策といいますか、アジアにおける作戦計画の無理じいによるものだとわれわれには認められるわけであります。 そこでそういう観点に立
つて
第一にお尋ねいたしたいのは、
国連軍
の駐屯するかしないかということ。これはもしこの
協定
を結べば、
日本側
に拒否権はなかろうと思うのです。 そこで第三に問題になりますのは、その兵数、その
地域
、その
使用
せんとする
施設
、これらに対しまして
日本側
に拒否権がどの
程度
あるか。拒否権という
言葉
は
ちよ
つと不適当であるかもしれませんが、第五条によりますと、
合同会議
の合意によると
なつ
ておりますが、その合意の交渉をいたします場合に、現在の戦局からながめまして、
国連軍
の駐屯を必要としないという判断をした場合、向うが言
つて参
りました兵数について、少くとも今決定されている
朝鮮
における援助活動をするための兵数としては不適当であると思う、さらに要求する
地域
については
日本
の立場としては困る、またその範囲あるいは
使用
せんとする
施設等
について一括して
日本側
は拒否する、つまり
日本
の自主的意思を通す必要が生じて来ると思うのですが、外交上あるいは国内の経済上その他民心から
考え
まして、理由はいろいろあろうと思いますが、それは一体どういうことになりますか。最初にそのことをお尋ねいたしておきたいと思う。
下田武三
46
○
下田政府委員
日本
の
国連軍
が
駐留
することをこの
協定
によ
つて
認めるわけではございません。
穗積
さんのお
言葉
で言いますと、
日本
の拒否権がなくなるということは、この
協定
によ
つて
ではございませんで、平和
条約
と同時に交換されました吉田・アチソン交換公文におきまして、
朝鮮
における
行動
に従事する
国連軍
を
日本国
及びその近傍において支持することを容易にするということを認めておりますので、すでに
駐留
すること自体は
国連軍側
は権利として持
つて
いるわけでございます。そこで次に兵数や
施設
を無制限に向うの要求に応じて認めなければならないのかどうかという点でございますが、これは純粋の
法律
論といたしますと、兵数の方は第三条の一項で入国は
日本
が許可するということに
なつ
ておりまして、許可を与えなければ入れないのでありますから人間もふえない。それから
施設
の点は第五条第一項で
合同会議
で
協議
して
使用
させるということに
なつ
ております。でございますから、
合同会議
でがんば
つて
協議
を成立させなければ
使用
できなくなるわけであります。これはしかし純
法律
論でありまして、実際問題といたしましては、吉田・アソチンの
協力
の
建前
からい
つて
、
日本
が許可権を持
つて
いるが、しかし許可権を持
つて
いるからとい
つて
、それをヴイトーのように行使することは、吉田・アチソン交換公文の大精神及び平和
条約
第五条の大精神からいたしまして、政治的にできない問題であると存じます。
穗積七郎
47
○
穗積
委員
ですから実は私はお尋ねしたわけです。たとえばこの間のビキニ環礁の水爆実験に対しましても、友好国であるアメリカが自由主義諸国の
防衛
のために
日本
を含む実験をするということであるならば、これに
協力
しなければならないというようなことを岡崎さんは
政府
の方針として言われた。基本方針でこれは動かすべからざるものだということで言われたわけです。そして一方その必要をどう
日本
が認定するか、そのことに伴います
被害
をどこまで忍ぶかということでございますが、こうなりますと無制限になる。ですから私は伺
つて
いるわけですが、吉田・アチソン交換公文というものは
国連側
が一方的に決定したものの、しかもそれは客観的にながめまして、または
日本
の主観的判断からいたしまして、非常に不合理な要求であるということまで、われわれはその向うの要求に
協力
しなければならぬ義務を打つたものでないと思うのです。合理的な範囲内においてのみわれわれはそれに
協力
する義務を負
つて
いる、こう見なければならぬと思うのであります。そのことについて私はお尋ねしているわけです。先ほど言いましたようにアジアにおける情勢からながめて、
日本
の安全あるいは経済的な観点からながめまして、これ以上継続してこのような多数の兵力を
日本
に駐屯せしめて、しかも期限を切らずに、その判断は向うの一方的な判断によるというようなことでは、これは私ははなはだしく吉田・アチソン交換公文というものは、少くともこれを認める認めないは別といたしまして、
締結
されました吉田さん自身にされましても、そういう趣旨でこの無制限なる要求を受諾するという
意味
で交換公文をかわされたわけではなかろうかと思います。そういう場合のことを私は伺
つて
いるわけです。そうなりますと、
日本
の方はいろいろな
負担
や義務を負わなければならないが、相手に対しましてはそれに対して何らそういう
行動
またはその範囲等について何らの発言権がないということでありますか。
下田武三
48
○
下田政府委員
吉田・アチソン交換公文で
国連軍
の
駐留
を認めておりますが、これは決して無制限と申しますか、兵数においても、またその
軍隊
の
行動
範囲においても、無制限というわけではございません。彼らの
行動
は
国連
の決議で発足するものでありますから、
国連
の決議を逸脱するような
行動
はできないことは当然でございますが、しかし兵数の問題につきましても、
施設
の問題につきましても、その
行動
の問題につきましても、これは
日本
と十分に
協議
してや
つて
いるのでありまして、この
協定
ができますれば、
合同会議
も正式に発足いたしまして、むしろ
国連側
から言わせれば非常に
日本側
の渋い態度に参
つて
いるくらいでありまして、決して無制限に
日本
の
負担
を多くするような
協力
をする意思もまた義務もないわけでございます。
穗積七郎
49
○
穗積
委員
ですから伺
つて
いるわけです。そういう場合は一体どういう方法でその意思を表明されるのか。
国連
そのものに対して吉田・アチソンの交換公文というものがある。そういたしますと、このことによ
つて
同時に
国連
そのものに対して一つの義務を負
つて
いる。
国連
もそれを了承していると解釈していいと思うのですが、そうでありますならば、アメリカだけでなくて
国連軍
そのものに対して、
国連
の軍事
行動
に対して
協力
するということですから、相手はすでに
国連
にも同時に移
つて
いるわけです。
従つて
国連軍
そのものの
日本
に対する駐屯またはその兵数あるいは
行動
の
内容
について、
日本
がこれは不適当なものである、あるいはまた適当以上に範囲を逸脱するものである、これは期間についても言
つて
いいと思うのですが、そういう場合には
国連
に対してそのことを意見を述べて交渉する道が開けているかどうかということを伺
つて
いるわけです。その判断は別ですよ。それが適当であるか適当でないかは別として、適当でないと認めた場合のことを伺
つて
いるわけです。
下田武三
50
○
下田政府委員
この
協定
の二十四条に、先ほど申しましたように
朝鮮
から
撤退
することにきめられたその日から九十日ということで、つまり
朝鮮
にいる目的がなくなれば、
日本
近傍でこれに支持を与えるという必要もないわけでありますから、まず期間の点でその目的の消滅と関連して
日本
の
駐留
期限を……。
穗積七郎
51
○
穗積
委員
いや、期間決定に対して
日本
の意思は表明できるかということを聞いているわけです。期間決定したものを自動的に九十日以後に
撤退
するということでなくして、ここで
朝鮮
を
撤退
するということを決定するその意思の決定に、
日本
の意思が加わり得るかということを聞いているわけです。
下田武三
52
○
下田政府委員
その点につきましては、
日本
は
国連
の加盟国ではございませんが、
国連
との直接交渉で
国連軍
の問題を処理しているのではございませんで、
国連
の決議に基きまして設置されました
統一司令部
と
日本側
は
折衝
いたしているのであります。この
統一司令部
を通じて
日本側
の希望なり要請なりは十分に達し得るわけであります。その具体的の現われはこの
合同会議
でございまして、
合同会議
でこの
協定
の
実施
に関するあらゆる問題につきまして
協議
いたすことができるわけであります。
穗積七郎
53
○
穗積
委員
統一司令部
なるものはアメリカ
軍隊
とは違い、アメリカ
政府
とは違うわけですね。アメリカが有力なる参加国として加わ
つて
おりますが、そうではないと思う。
従つて
この場合におきます権利義務は
国連
が相手ではございませんか。
下田武三
54
○
下田政府委員
国連
自体が
朝鮮
における
行動
に関する限りの一切の指揮権を
統一司令部
というものに授けているのでございますから、
国連
からその
権限
を授けられました
統一司令部
と
日本政府
は
折衝
いたせばよろしいわけです。
穗積七郎
55
○
穗積
委員
私の申しますのはそうじゃないので、進駐いたしました
軍隊
の
行動
来たはそれに対する権利義務、これは
統一司令部
と交渉すればいいのですが、
統一司令部
そのものの成立する以前である
国連軍
そのものの駐屯そのもの、またはその兵数等についてのことを私は言
つて
いるわけです。そうなりますと、何もアメリカに対して義務を負つたことが
国連軍
に対する義務ではないのであ
つて
、そんなことは
契約
上成り立たぬことだと思うのです。
従つて
国連軍
そのもののに対しても、
国連軍
そのものの進駐または兵量、期間、その
行動
の範囲、これらについて
話合い
をする。駐屯しました後の
軍隊
の
行動
や範囲や
施設等
については、これは
統一司令部
と交渉するということになりましよう、それは
合同会議
を通じてということになるでしようが、そうなりますと、われわれはか
つて
に一方的に
国連
に対して義務だけ負
つて
いるということに
なつ
て、その義務に対する反対的なものとして、われわれの要求の意思を表明できないというのは、これは独立外交としてはおかしなことではないかと思いますが、その間は一体どう
なつ
ているかということです。もう一歩前のことでありますから、
ちよ
つと、誤解のないようにはつきりしておいていただきたい。
下田武三
56
○
下田政府委員
これはもう実は歴史的事実に御
説明
させるほかないのでございますが、
朝鮮
の動乱が起りましたのがまだ
日本
の占領中のことでございまして、その動乱に対処するために
国連
で
共同
行動
をとろうということをきめましたのもまだ
日本
の占領中のことであります。
従つて
日本
は独立国としてこの決定には参加し得なかつたことは、これは時期的に見て何ともいたし方がないことであります。そこで平和
条約
の第五条で、例の
国連
の
行動
に対してあらゆる援助を与えなければならぬという
国連
憲章第二条の義務を
日本
が受諾いたしておるのでありますから、その当然の帰結といたしまして、
国連
が始めました
朝鮮
における
行動
に対して
協力
するという吉田・アチソン交換公文が生れ、その交換公文によ
つて
駐留
を認められました
国連軍
の
地位
なり、待遇なりをきめようというのが今度の
協定
でございます。
穗積七郎
57
○
穗積
委員
ちよ
つと問題の焦点をはずされて御
答弁
になりますので、はなはだ遺憾でございます。しかしきようは
申合せ
によ
つて
時間も制限がありますので、はなはだ残念です。私ども吉田・アチソンの交換公文とか、本
協定
そのものの根本について疑問を持
つて
おるわけですから、そこでお尋ねしているわけです。ですから時間を節約するために一問一答でお尋ねいたしますが、もし
日本
が現在
朝鮮
の戦局、並びにアジアの情勢を
日本
の
利益
から判断をいたしまして、
国連軍
の
日本
に対する駐屯に対して必要を認めないという判断をいたしました場合に、
日本政府
は
国連
またはアメリカに対して
国連軍
の進駐をやめてもらう、
撤退
してもらうことを要求することができますかどうですか、それをまずお答えいただきたい。
下田武三
58
○
下田政府委員
その点につきましては、
日本
の一国の
政府
の
考え方
よりも、
国連
の意思が尊重されるということを前提として平和
条約
第五条の
規定
ができておりますので、
日本
がいくら
朝鮮
に
駐留
することがもはや不必要であると言
つて
おりましても、それはむろんほんとうにそう認めるならば、そういう意思を述べることは
ちよ
つともさしつかえないのでございますが、現実の問題としましては、これは
国連
というものに何が侵略であり、危険な事態であり、これに対処するために何をするかということの決定をまかしておるのでございますから、やはり
国連
の意思がプリヴエイルすることになると思います。
穗積七郎
59
○
穗積
委員
今の話は明確にしておきたいと思いますが、意思は合法的に述べられる。しかしその決定は
国連
の多数決によ
つて
きめる、こういうことだと思うのです。 次にお尋ねしますが、
日本
に駐屯いたします英国、濠州その他の
政府
に対して個別に
撤退
を交渉することができますかどうか。
下田武三
60
○
下田政府委員
これも政治的にはできないことはないかもしれませんが、そういうことを言
つて
みましても、これらの国々は
国連
の決議を受諾してそれに縛られておるのでございますから、
日本
からそういうことを個別的に言
つて
みましても、無効であろうと存じます。
穗積七郎
61
○
穗積
委員
私の聞いておるのは、そういう
撤退
を求めるような個別交捗をすることは、吉田・アチソン交換公文の違反になるかどうかということを聞いておるのです。政治的効果を聞いておるのではない。
下田武三
62
○
下田政府委員
違反にはならないと思います。吉田・アチソン交換公文の出ます、つまり前提の問題になるわけであります。
穗積七郎
63
○
穗積
委員
次にお尋ねいたしますが、
国連軍
が
日本
に駐屯いたしまして、
日本側
は多くの
負担
と義務を負
つて
おるわけですが、
国連側
は
日本側
に対してどういう
負担
と義務を負
つて
おることになりますか。
下田武三
64
○
下田政府委員
これは
米軍
と違いましで、
国連軍
はそれぞれ貧乏国の代表でありまして、地球の反対側から莫大な経費を国民の血税からわざわざと
つて
来ておるのでありまして、これはもう私どもヨーロツパにおりましてもよく見ておりますが、非常な
負担
であります。オランダのごとき小国が泣く泣く高い飛行機賃を出して兵隊を出しておるのでありまして、この
負担
はとうてい
日本
から想像できない大きな
負担
だろうと思います。
穗積七郎
65
○
穗積
委員
いや、
日本
に対する義務はどうなりますか。
下田武三
66
○
下田政府委員
日本
に対する直接の義務はございません。それは彼らは
国連
に対する、
国連
憲章からの義務に基いて
行動
しておるのでありまして、
日本
はこの
国連
憲章に基く
行動
によ
つて
間接の安全と平和の維持という大きな効果を得ておるわけであります。
穗積七郎
67
○
穗積
委員
そうしますと、やはり
日本
と
国連軍
の
関係
は、われわれの方が一方的な
負担
であり、
協力
の義務を負
つて
いるだけであ
つて
、向うは
日本
に対する直接の
負担
ではございません。アメリカ、英国の兵隊が来ていることは非常に
負担
だと言
つて
おきますが、それは
日本
のためではなく、
国連
に対する英国側、アメリカ側の
負担
である。そんなことはわれわれが関知する必要はないし、そんなものでありがたがることはない。それによ
つて
相殺されるということを宣伝されるのは、われわれありがた迷惑です。言い変れば
日本
に対する経済的な何らの
負担
も、または義務もないということだと思います。 次にお尋ねいたしますが、先ほど並木
委員
の御
質問
がありましたが、実は私もお尋ねしたいと思
つて
おつたので、途中で大分不明確に
なつ
たように思いますので、念のためにもう一回お尋ねしております。
国連軍
の
基地
、たとえば呉市に対しまして、北鮮軍または北鮮軍に対する義勇軍が、アジアにおける
国連軍
の
行動
を封殺するためには、その後方
基地
である呉の
国連軍
基地
を爆撃しなければならないという作戦判断に立ちましてその
行動
に出ましたときに、その場合に
日本
の
政府
としてはその
行動
を
——
あなたはないとおつしやいましたが、それは
日本
に対する攻撃だという判断ですべて判断して、その後いろいろなことをお
考え
になろうとしておりますが、そういうこともあるかもしれませんが、そういうことでない場合、
日本
を対象としないで、
国連軍
基地
なるがゆえにこれを爆撃する、攻撃するということがあり得ると思うのです。その場合の
関係
を先ほどの並木
委員
の
質問
に関連いたしまして、もう少しはつきりしておいていただきたいのです。私はそのことはあり得ると思うのです。
下田武三
68
○
下田政府委員
ソ連のハバロフスクの放送や、中共の北京放送はまさに
日本国民
にそういう宣伝をいたしております。決して
日本国民
が敵ではないのだ、
日本
意
米軍
の
基地
や、
国連軍
の
基地
を置かせていることがいけないのだということを言
つて
、
日本
は敵でなくて、そこにおるやつがいかぬのだ、外国がいかぬのだ(「その通り」と呼ぶ者あり)という宣伝をや
つて
おりますが、しかしこれは非常な欺瞞でありまして、過去の歴史がその虚偽であることを証明しております。 〔「その通り」と呼ぶ者あり〕
穗積七郎
69
○
穗積
委員
いや、そういう政治的判断を聞いておるのではない。そういうことでなく、そういうことがあつた場合を聞いておる。
下田武三
70
○
下田政府委員
法律
的な問題としてお答えいたします。沖繩は行政、司法、
立法
の三権を
米軍
が行使しておりますから、潜在的主権が
日本
にありといたしましても、沖繩に対する攻撃に対しては、
日本
はこれは無関心と申しますか、
法律
的にはどうということはただちに起らないと思います。しかし
日本
の意思に基いて発した
日本
におる
米軍
なり、
国連軍
の
基地
に対する攻撃は、これはやはり
日本
の主権下にある一つの場所に対する攻撃でありまして、当然
日本
としては無関心たり得ない問題であると思います。
穗積七郎
71
○
穗積
委員
無関心たり得ないというような漠然たる話でなく、先刻並木
委員
も
質問
された通り、それは
日本
に対する領土侵略と認められるのか、その
防衛行動
に対して
日本
は
国連軍
に対して
協力
の軍事的義務を負うのかどうかというかとをお尋ねしておるのです。
下田武三
72
○
下田政府委員
そこがいわゆる
基地
と租界の違う点でございまして、外国に与えてしまいました租界であるとしましたならば、それはおれの領分ではないから、そこに何が起ろうと知つたことじやないと言うことができますけれども、
基地
はあくまで租界ではないのでありまして、れつきとした
日本
の領土であります。でありますから、これに対する攻撃は、やはり
日本
に対する攻撃とみなさざるを得ません。
穗積七郎
73
○
穗積
委員
すべて向う側がその目的、方針を明らかにして、
国連軍
基地
なるがゆえに遺憾ながら攻撃するということを宣明し、事実客観的にもそういう判断がなされる場合におきましても、
政府
はそれはすべて
日本
に対する
——
それもあるかもしれぬが、その行為は同時に
日本
に対する領土侵略だ、直接侵略だとお認めになるのでございますか、もう一ぺんはつきりしておいていただきたい。
下田武三
74
○
下田政府委員
米軍
や
国連軍
に貸しておる
基地
は、
米軍
は面接に、
国連軍
は間接にやはり
日本
を含む極東の平和と安全の保持のために貸しておるのでありまして、むしろその点からいいますと、
日本
にと
つて
の重要性は、
日本
自身の
基地
とかわりないと少くとも私は思います。従いまして外国軍に貸しておる
基地
に対する攻撃は、やはりひとしく
日本
自身の領土に対する攻撃と同一視すべきものだと思います。
穗積七郎
75
○
穗積
委員
そういう解釈はどこを
根拠
にしてなされるのか知りませんが、われわれはか
つて
な解釈だと思うのです。
日本
は憲法によりまして無防備であり、平和主義でございますから、いわば中立で、一方の側に立ちて戦闘に参加するということはあり得ない、ソ連に対しても敵ではないとともにアメリカに対しても敵ではない、こういうことだと思うのです。
従つて
向う側も
日本
に対する攻撃ではないと言
つて
いる。そうなりますと、
日本
がそういうカムフラージユをしながら、実際はどんどん一方の側の軍事
行動
に
協力
しておる、そしてその戦力を増強させておるということになれば、やる方はや
つて
おいて、攻撃力はこつちはどんどん増しておいて、そうしてこちら側はおれは戦争をしない、向う側からは宣戦布告はあり得ないということになるとどういうことになりますか。その間のことが
国際
法的に少しおかしくなりますが、憲法との
関係
でどういう解釈でそういうことをおつしやるのか、その間を
ちよ
つと
説明
していただきたい。
下田武三
76
○
下田政府委員
一国の領土に対する直接の攻撃は最も明白な侵略でありまして、そのような侵略に対して自衛権を行使することは当然でございまして、憲法は国家の基本的権利としてそれを認めておると思います。
穗積七郎
77
○
穗積
委員
攻撃するとは向うは言
つて
おらぬのです。
下田武三
78
○
下田政府委員
言わなくてもそれは詭弁でございまして、そういう詭弁をまともに受けて、自国の領土をまざまざ攻撃にさらすということはとうていできないことであります。
穗積七郎
79
○
穗積
委員
はなはだどうもでたらめな解釈で、か
つて
にけんかを売
つて
おるような感じを持つので、私はいずれまたこの
協定
の審議のときに外務大臣もお
見え
でありましようから、その間のことはあらためてお尋ねしたいと思います。その趣旨はひとつ局長から大臣にもお伝えください。 時間がありませんから、あと
ちよ
つとお尋ねいたします。これは
調達庁
にお尋ねすべきことだと思いますが、従来の
国連軍
と
日本
の
労務者
との
労務関係
でございます。これが今度この
協定
によりまして
間接雇用
になる。それで
日本
の
労務者
が
日本
の
政府
と
労務契約
を結くようなかっこうになるわけですが、従来のやつが雇用、解雇並びに労働条件等につきまして非常に無
協定
状態であり、しかも一方的に
日本
の労働者が泣寝入りさせられており、しかも
契約
の性質から行きましても、当然いろいろな
請求権
もまた未解決のものがあるやに伺
つて
おります。今度これを
米軍
の場合と同じように切りかえて、基本的な
契約
を結ばれる御方針だということですが、そうなりますと従来の未解決の問題、不合理な問題に対しては、どういう御処理をなさるおつもりでございますか、この際お尋ねいたしておきたいと思います。
堀井啓治
80
○
堀井政府委員
日米
間の
基本契約
と同様の
契約
を
国連軍
関係
につきましてもいたしますと同時に、すべての取扱い、たとえば給与その他につきましても、一切を
日米
間の
労務者
と同じようにいたして行きたいと
考え
ております。
穗積七郎
81
○
穗積
委員
従来のものはどういうふうにされるか、つまり大体の予定は六月一日からというふうに漏れ承
つて
おりますが、それ以前の非常に不合理な、あるいは不当な
日本
労務者
側のいろいろな
被害
、これを一体どういうふうに処理されるつもりか、または当然のあれとして
契約
上認められておつた
請求権
すら必ずしもその通り実行されていない、そういう未解決の問題があろうと思いますが、その未解決の問題はどうされるおつもりか、あるいは遡及して新しくできた
協定
と同様にお取扱いになるつもりなのかどうされるのか。勤続期間あるいは
請求権
等も遡及してやるか、あるいはそれは別にしてとにかく合理的に処理されるつもりなのか、
政府
の御方針を伺
つて
おきたい。
堀井啓治
82
○
堀井政府委員
国連軍
から切りかえました以後の事案につきましては、ただいま申し上げました通りでございますが、それ以前の事案につきましては、これは時代が直接雇用の状態にあつたのでありまして、
政府
といたしまして援助はいたしますが、切りかえられた後と同様に扱うということは困難かと
考え
ます。
上塚司
83
○上
塚委員長
穗積
君、もう時間が来ましたから……。
穗積七郎
84
○
穗積
委員
もうこれで終りますが、四十分まで私の時間があるのですよ。
ちよ
つとお尋ねしますが、その新しくできる
基本契約
は遡及はしない、遡及せしめないで
締結
後に効力を発するようにしたい。そこでお尋ねしたいのは遡及しないなら前に残
つて
おります未解決のもの、また不当な
被害
がありますが、それはこの際
政府
があつせんをされて
——
契約
上は
政府
は
関係
ありませんが、
日本
人民の
利益
でございますから
政府
がその
利益
を代表し、またはあつせんをされる、どちらの形でもけつこうだが、
国連軍側
にそういうことをちやんと請求して正当に処理されるおつもりかどうか、あるいはあとはか
つて
に処理しろと捨子にされるつもりか、あるいは第三の場合はそうでなくて、向うと交渉してらちが明がなかつた、向うが応じないということに
なつ
た場合に、
日本政府
が肩がわりしてそれを
補償
してやるのか、その三つのうちのどれで行かれるのか。遡及しないならしないで、その三つの方法があとに残ると思いますが、それはどういう方法で処理されるおつもりか伺
つて
おきたいと思います。
堀井啓治
85
○
堀井政府委員
政府
が肩がわりする等の
措置
でなくて、やはりあつせんをする限界におらざるを得ないと
考え
ております。
上塚司
86
○上
塚委員長
次は河野密君。
河野密
87
○河野(密)
委員
私はごく簡単に二、三の点で伺いたいと思いますが、主として
労務関係
の問題をお尋ねするのです。その前に先ほど来問題に
なつ
ておりましたが、念のためにお尋ねいたします。先ほど来
質疑
応答を承
つて
おりまして、非常に疑問が出るのであります。それと申しますのは、
国連軍
協定
の正確の問題に関することであります。私の理解するところによれば、外国に
軍隊
を
駐留
するかということは、今度の大戦以来起つた新しい事実であ
つて
、その新しい
国際
法の傾向に応じて、外国に
駐留
する
軍隊
の
地位
の問題を定めるというのが
日米行政協定
であり、
国連協定
であると存ずるのであります。そこでたとえばNATOの場合におきましては、基本
条約
があり、その
条約
に基いて他国の
軍隊
が
駐留
をするその
地位
を定める、こういうのでありますが、わが国の
国連軍
の場合においては、これは基本の
条約
というものがきわめて不明確であり、吉田・アチソン交換公文というようなものになるのであります。根本的なものを定めるものがそういう吉田・アチソン交換公文というようなものであ
つて
、
軍隊
の
地位
を定める、言いかえるならば、普通治外法権とかい
つて
おりますそういう問題だけを定めるための
協定
を国会の
承認
を求めるということ自体が、私は非常な矛盾であろうと思うのであります。何ゆえに
国連軍
が
日本
に
駐留
するのであるか、何の目的で
駐留
するのであるか、この基本的な問題はまず国会の
承認
を求めて定むべきものである、こういうふうに私は
考え
るのでありますが、この点についての見解を承りたいと思います。これは先ほど来問題に
なつ
ておる
国連軍
の
基地
に対する爆撃とかいうような問題と関連して、この
基地
に対する攻撃がかりにあつた場合において、国民は、知らざる間に、
日本
の国に対する侵略なりと
規定
されるということを甘受しなければならない。
国連軍
を
駐留
せしめた基本は一体どこにあるのか。それは何ら国会の
承認
を求めておらぬじやないかということになると私は思うのであります。これは非常に重大な矛盾であると思いますが、これを
外務当局
はどう
考え
ておられるか、私はこの点はきわめて重大だと思うので御
説明
願いたいと思います。
下田武三
88
○
下田政府委員
御指摘の点につきましてはこういうように
考え
ておるのでございます。仰せのように外国に
軍隊
がずいぶん出るように
なつ
たのは、第二次大戦後の一つの特徴でございます。従いまして
国際
法にもいろいろな問題を
提供
いたしましたが、これは結局いかなる国も一国では自国の安全を保持し得ないということが、第二次大戦の経験で明らかになりましたためにとられました
国連
憲章を中心とする集団安全保障によ
つて
自国の安全を維持しようという
考え
から、すべてが発足いたしておると思うのでございます。 そこで
日本
の場合はどうかと申しますと、先ほど申し上げましたように、平和
条約
におきまして
国連
憲章の集団安全保障の根本
規定
の一つである第二条の原則を、
日本
は引受けておるわけであります。つまり侵略者側に対してはいかなる援助も与えないとともに、侵略者側に対抗する勢力にはあらゆる援助を与えるという
国連
憲章二条の原則を平和
条約
第五条で引受けておるわけであります。この平和
条約
につきましては、国会の御
承認
を経ておりますし、平和
条約
と同時に行いました吉田・アチソン交換公文につきましても、国会の御
承認
を得ております。でございますから、今度の
国連軍
協定
の基本
条約
は何かという御
質問
に対しましては、平和
条約
及び吉田・アチソン交換公文が基本
条約
であるとお答えいたすほかないのであります。
河野密
89
○河野(密)
委員
今の
お話
で平和
条約
第五条というものがそこまでのことを言
つて
おるとするならば、これは憲法との
関係
においてさらに検討しなければならない問題じなやいかと私は思うのであります。しかし私はそうは
考え
ないのであります。
国連
憲章の第二条を
承認
するということは一般的な問題であ
つて
、それに基いてどこの国の
軍隊
あるいは
国連軍
がいかなる
行動
をとるときに、その
軍隊
に対してどういう支持を与えるかということは、個々の
条約
なり
協定
なりによ
つて
締結
されるべきものであると思うのであります。それなしにただ
駐留
することを前提として、その
軍隊
の
地位
だけをきめるという
協定
を国会の
承認
を求めるということ自身に、私は非常な矛盾があると思うのであります。これは言いかえるならば、すでに
国連軍
というものがその占領当時におけるいわゆる進駐軍の変形であるということを、ずるずるべつたりにや
つて
来たことが非常な誤りじやないか。けじめをつけなかつたことが誤りじやなかつたか。
日本
の占領下と独立後とのけじめをつけなかつたことが一つの大きな点に
なつ
ておる。こういうふうに
考え
られるのであります。この点はさらに私はもう少し検討をしなければ、今の
外務省
の御
説明
では納得することができないのであります。 次にお尋ねを申したいのは、もし
外務省
の解釈するように、平和
条約
第五条によ
つて
国連
憲章第二条の義務を負うのである、それに応じて
国連軍
を
日本
に駐屯せしめ、あらゆる支持を与える、こういうことが
外務省
の御
説明
通りであるとするならば、私はこの二十六日から開かれるジユネーヴの
国際
会議
に、
日本
は当然出席を要求する権利がある。しかるに
日本政府
はこれに対して、アジアの平和を論議する
国際
会議
に出席する権利はないとい
つて
頭からきめてかかる、この態度にも非常な矛盾があると思います。これは
条約局長
にお尋ねするのは無理かもしれませんけれども、なぜ
日本政府
はジユネーヴの
国際
会議
にせめてオブザーヴアーとしてなりとも出席する権利を要求しないのか、これは
日本政府
の屈辱的な態度であると思いますが、いかがでありますか。
下田武三
90
○
下田政府委員
この点につきましては、
ジユネーヴ会議
は御承知のように、
朝鮮休戦
会議
の延長でございまして、もともと休戦
会議
の当時国というのは、
朝鮮
における敵対
行動
に従事した双方の当事国が参加するということで、
日本
はなるほどうしろで支持を与えることを許してはおりますが、直接の敵対
行動
の当事国でないので、
ジユネーヴ会議
の前身である休戦
会議
に、すでに
法律
上参加し得る
地位
になかつたわけであります。その継続の
ジユネーヴ会議
にも
従つて
法律
上の権利として参加する
地位
にはないわけであります。しかし
日本政府
としては、もちろん非常な重要な関心を持
つて
おるのでありまして、その成行きにつきましては、
現地
に
出先機関
もおりますので、適宜な方法で
会議
をフオローすることに相なるであろうと思います。
河野密
91
○河野(密)
委員
私はその点についても
外務省
の態度というものがきわめて屈辱的と申しましようか、また卑屈であ
つて
、とうてい納得することができないのであります。これはなお別の機会にお尋ねしたいと思います。 次に少し事務的なことになりますが、この
協定
の当時国のことについては第一条に書いてございますが、相手国というのはこれに署名をした国のみに限られると解釈してよろしいのですか。それともその相手国というものは、自動的に
朝鮮
に対する
国連
行動
に参加した国というものは、なおこの
協定
に参加し得る資格を持つものでありますか。
下田武三
92
○
下田政府委員
現在
朝鮮
の軍事
行動
に参加している国はたくさんございますが、この
協定
に署名して、署名だけで効力を発生し得る国は署名、また受諾を条件として署名しました国につきましては、その受諾のあつたときに効力を発生するわけでありますが、いずれにしましてもこの
協定
に参加した国だけしかこの
協定
上の権利、特典、
地位
に均霑し得ないわけでございます。
河野密
93
○河野(密)
委員
そこで今度はこまかいことを少しお尋ねします。
労務関係
ですが、現在の
国連軍
に雇用されておる
日本側
労務者
の数はどのくらいに
なつ
ておりますか。
近藤浩
94
○近藤
説明
員 約一万二千名であります。
河野密
95
○河野(密)
委員
どことどこですか。
近藤浩
96
○近藤
説明
員 現在は呉、広
地区
、それから山口県の岩国に約九百名、東京の目黒エビス・キヤンプに干名おります。それを全部合せまして約一万二千名おります。
河野密
97
○河野(密)
委員
この
労務関係
の人々は、大体において当分の間この数はずつと増減なしに行く見込みでありますか、それとも急速に減るというような
関係
に立つのでございますか。
堀井啓治
98
○
堀井政府委員
今まで予備交渉的な段階にございますが、
国連側
として現在私どものキヤツチしておる範囲では、減少するようには聞いておりません。但し
日米
の
労務
基本契約
と同様な
契約
によりまして、事態がわが方から申しますれば改善されますれば、
予算
的に
相当
従来よりも大きくなることが予想されますので、わが方から推測するのはいかがかと思いますが、私どもの交渉の態度といたしましては、できるだけ減少をされないで事態の改善されることを希望いたしております。
河野密
99
○河野(密)
委員
たいへん苦しそうな御
答弁
ですけれども、率直に申しますと、現在の
国連軍
に従事しておる
労務者
の待遇が、在日
米軍
に雇用されておる
労務者
よりも悪い。その待遇が
日米
労務
基本契約
に基くような線で改善されると
予算
が非常に膨脹するから、その膨脹した
予算
に応じて、あるいは人員が減るかもしれない、こういうふうに
考え
ておられるのですが、それらの点は、待遇が改善されても、現在の人員は減らさないという線において
調達庁
では交渉に
なつ
ておられるのであるか、その点を明確にひとつ御
答弁
願いたいと思います。
堀井啓治
100
○
堀井政府委員
まだその辺のところは、もちろん私どもキヤツチいたしておりませんか、いろいろの場合といたしまして、そういうことも
考え
られるということを申し上げたのです。
河野密
101
○河野(密)
委員
私は
調達庁
に希望しておくのですが、そこらのところは十分
考え
ていただかないと、いろいろな問題が起ると思います。 ついでにお尋ねいたしますが、現在在日
米軍
に雇用されておる
労務者
はどういう数字に
なつ
ておりますか。同時にその在日
米軍
に雇用されておる
労務者
の趨勢であります。至るところで今解雇のことで問題を起しておりますが、それらの
見通し
はどう
なつ
ておりますか。これが急速にそういう変動を生ずるということになりますと、非常な不安動揺を起すと思うのですが、それらについて調連庁としての
見通し
並びにそれに対処する方針をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
堀井啓治
102
○
堀井政府委員
ただいま
米軍
に雇用されております
労務者
数は約十七万五千人でございます。御指摘のように
予算
上等の問題から人員を減少せしめる傾向が多少看取されるところがあります。それらに対しましては、できるだけ配置転換あるいは軍との摩擦を起さないような
措置
をとることによりまして、
労務者
諸君をカバーするよう適宜処置をと
つて
おる現状であります。
河野密
103
○河野(密)
委員
私の承るところによりますと、アメリカの
予算
は七月一日から一九五五年度の
予算
が
実施
になると思うのですが、そういうことになりましたら、一九五五年度の
予算
がどうなるかということは、しばらくおくといたしましても、少くとも新しい
予算
が決定に至るまでは現状には何らの変更がないものである、現在の
予算
の実行される範囲内においては、かりに
労務
基本契約
が
実施
されても、また
日本側
に移管された結果、待遇が改善されたことに
なつ
たとしても、人数その他において大いなる変動はないものである、こういうふうに
調達庁
は十分
見通し
ておられると思うのですが、そこらのところについての
見通し
と、それから
調達庁
のそれに対処する方針をひとつ承
つて
おきたい。
堀井啓治
104
○
堀井政府委員
御指摘の点につきましては、私どもが従来心配をいたしておるところでございまして、自然減もございますし、
従つて
かりに減らすといたしましても、きわめて摩擦の起らないように、出先はもちろん、
中央
におきましてもできるだけ摩擦の起らないような方途を講ずることを、常に交渉の基本的な
考え方
といたしております。
河野密
105
○河野(密)
委員
重ねて希望も一緒に申し上げますが、少くとも六月三十日までは現状を動かさないものである、こういうことは私は
日本側
としても主張してよろしいのじやないかと思う。年度がかわれば新しい
予算
の
関係
が生ずることも十分
考え
られますけれども、しかし年度の改まらざる限りにおいては、現状を動かさないものである、
日本側
としてもそういう線でアメリカと交渉し得るのだ、これだけの線は
調達庁
として確約されるべき十分の
根拠
があると思うのであります。またそういう線で交渉なさ
つて
おるとは思いますけれども、その点をもう少し明確にしておいていただきたいと思います。
堀井啓治
106
○
堀井政府委員
現在私どもの
見通し
では、大した異動はないというふうに見込んでおります。また御指摘のような点は、申し上げるまでもなく私も交渉の際の基本的態度でございます。また一方
見通し
から申しましても、おそらく異動はないものと推測いたしております。
河野密
107
○河野(密)
委員
私はこれで終ります。
上塚司
108
○上
塚委員長
午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時一分休憩
——
——
◇—
——
——
午後二時五十分
開議
上塚司
109
○上
塚委員長
休憩前に引続き
会議
を開きます。 この際
参考人招致
の件についてお諮りいたします。目下本
委員会
において審議いたしております
秘密保護法案
について、来る四月二十四日に新聞界その他の各界より参考人を招致いたし、その意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
上塚司
110
○上
塚委員長
御異議がなければさよう決定いたします。 なお参考人の選定については、
委員長
及び
理事
に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
上塚司
111
○上
塚委員長
御異議がなければさよう決定いたします。 —
——
——
——
——
——
——
上塚司
112
○上
塚委員長
次に通商に関する
日本国
とカナダとの間の
協定
の批准について
承認
を求めるの件を議題といたします。
質疑
を許します。並木芳雄君。
並木芳雄
113
○並木
委員
日米
友好通商航海
条約
と、このカナダとの
協定
との間の相違について、おもなる点をあげていただきたいのであります。
日米
の方には投資とか、事業活動などの点にまで触れて
相当
広範囲にわた
つて
おると思いますが、カナダの場合には比較的簡単な
協定
に
なつ
ておるようであります。まずお尋ねいたします。 〔
委員長
退席、野田
委員長
代理着 席〕
永井三樹三
114
○永井
政府
委員
お答えいたします。
日米
友好通商航海
条約
は、広い
意味
の通商航海
関係
を全部規律するものでありまして、
従つて
入国、事業活動から貿易、航海全般にわた
つて
規定
を設けております。このたびの
日本
とカナダとの
条約
は、そのうちの貿易、特に関税に関する点だけを抜き出して
協定
したものであります。その点がまず第一の相違であります。これは関税上は
日本
とカナダとの間に一番問題がありましたために、その問題だけを取上げて、アメリカとの間に行いましたような航海、入国、事業活動その他を含めたものを将来
締結
することがあれば、これを含めて同様な形の通商航海
条約
ができると私どもは
考え
ております。従いまして
日本
とアメリカとの通商航海
条約
は、パーマネントな
日本
とアメリカとの経済
関係
を規律したものでありますが、そのために有効期限も十箇年、その後もさらに延長されることに
なつ
ております。
日本
とカナダのこのたびの
条約
は、有効期限一箇年として非常に短期の
条約
に
なつ
ております。これはこの
条約
の
内容
をごらんくださればわかります通り、貿易、特に輸出入制限というような具体的な点をきめておりますので、時々刻々変動して行く貿易状況に応ずるためにこういう短期の
協定
に
なつ
ておるわけであります。おもな相違はそういうところにあると
考え
ております。
並木芳雄
115
○並木
委員
最恵国待遇に関する
規定
の中で、「カナダが
英連邦
の構成国及びアイルランド共和国に与える排他的
利益
については、適用しない。」ということに
なつ
ております。これはどういうわけですか。
永井三樹三
116
○永井
政府
委員
お答えいたします。これは
英連邦
諸国はお互いに特恵関税を持
つて
おります。すなわちカナダで申しますと、
条約
のない国に適用する関税が一般関税と申しますか、そういうのと、それからさらに外国に対して最恵国待遇を持
つて
いる国に適用する最恵国税、それよりさらに物品によ
つて
は区々きめてありますのは、
英連邦
特恵関税であります。こういう三本建に
なつ
ております。この
英連邦
特恵関税というのは、ガツトでも
承認
されましたように、一般最恵国待遇の例外としてその相互間だけに適用されるということに
なつ
ておりますので、今度の
日本
とカナダとの
協定
におきましても最恵国待遇が適用され、
従つて
特恵関税は適用されないということを明らかにしたわけであります。
並木芳雄
117
○並木
委員
将来の問題として
英連邦
の構成国やアイルランドと同じように扱われる
見通し
はございませんか。
永井三樹三
118
○永井
政府
委員
目下のところ、ガツトにおいても
英連邦
の特恵関税は将来増加するということは、現在のガツトでもとめられておりますので、特恵が広くなるということはないのでありますが、これが近い将来において全部廃止されるということはなかろうとわれわれは
考え
ております。
並木芳雄
119
○並木
委員
説明書
によりますと、カナダはこのたびこの
協定
を結ぶことに賛成をしましたけれども、他の
英連邦
諸国とは態度を異にしておるという
説明
がついております。そこで他の
英連邦
諸国との間の通商
協定
についての
見通し
はどういうふうに
なつ
ておりますか、それとともに今後続いてそれらの国々と通商
協定
を結んで行く予定についてこの際承
つて
おきたいと思います。
永井三樹三
120
○永井
政府
委員
私どもは平和
条約
が
実施
されまして、同時にすぐにでも各国と通商航海
条約
を結びたいという希望を持
つて
おりまして、今日まで努力して参
つて
おるのでありますが、現在までのところ、
英連邦
の諸国はすべて英国初め、ただちに
日本
とそういう恒久的な経済
関係
を規律するような通商航海
条約
を結ぶという意向を示すまでに至
つて
おりません。ただその中でカナダだけが
日本
とこういう
条約
を結ぶことに同意をしたわけであります。この点が
説明書
は書いてありますように、カナダとの
条約
は
英連邦
諸国との間に行われた最初の
条約
でありますために、他の
英連邦
諸国と態度を異にしておる。こういうふうに書いてある次第でございます。 御
質問
の第二の今後の予定の問題でございますが、私どもといたしましては、イギリスを初め、できるだけ早く
日本
と通商航海
条約
を結びたいと
考え
ております。そうしてイギリス以外、あるいは
英連邦
諸国でこれに応ずる国があればいつでも交渉を開始する
考え
でありますが、どの国から交渉するという予定はまだ立
つて
おりません。
並木芳雄
121
○並木
委員
カナダが特に
日本
に対して
関係
がよろしいということについては何か特別の理由がありますか。
永井三樹三
122
○永井
政府
委員
これは想像でございますが、カナダと
日本
との貿易
関係
を見ますと、
日本
はカナダにと
つて
は第三番目の顧客でございまして、カナダが
日本
との貿易
関係
を重視するという点において、特に態度が他の
英連邦
諸国と違
つて
おるのじやないか。第二に、
英連邦
諸国の内部におきましてカナダはいわゆるスターリングの
地域
に入
つて
おりませんので、むしろアメリカ・ドルと近い
関係
にありますので、そういうカナダの経済の特質から、他の
英連邦
諸国とおのずからかわつた
考え方
をして、今日の
協定
に応じたのではないかと想像いたしております。
並木芳雄
123
○並木
委員
貿易
関係
で、
日本
が第三のお得意であるということでありますが、この
協定
が結ばれて、これからも貿易はさらに伸びると思います。また伸びなければ
協定
を結ぶ
意味
もないわけでありますが、今後の貿易の伸びぐあいについて、
外務省
としても
政府
としても大体の見込みはついておるのではないかと思います。この際それを明らかにしていただきたいと思います。
永井三樹三
124
○永井
政府
委員
お答えいたします。カナダからわが国が輸入しておりますのは、小麦を初めといたしまして、大麦それからパルプその他の欠くことのできない食糧または原料でございますまして、現在までの
日本
とカナダとの貿易
関係
を、昨年を例にと
つて
見ますと、輸入が約一億ドルに対し、輸出が千五百万ドル
程度
にとどま
つて
おります。輸入につきましては、この
協定
によ
つて
特に目立
つて
ふえるということは必ずしも予想されません。それは現在まですでに必要なだけカナダから買
つて
いるわけであります。もちろんある品目について無差別待遇を与えておりますますので、
国際
的に見て非常にカナダの産物が安い、良質であるということでありますれば、
日本
に輸入が増加する余地もあります。一方輸出でございますが、これは私どもの今度の
協定
を急いだ、一番重要視した理由でございます。現在まで
日本
の輸出が千五百万ドル
程度
にしか達しなかつたのは、主として
日本
の輸出する物が製造品でございまして綿布並びに雑貨、あるいは若干の鉄鋼産品でありますが、今まで
条約
がありませんために、カナダにおいて最高関税がかけられておつたという点が非常に輸出の障害と
なつ
ておつたと思うのでありますが、このたびの
条約
によりまして、これが一般最恵国関税をかけられ、すなわちガツト税率がかけられることになりまして、カナダの市場においてわが国の産品が他の諸外国と競争し得る状況になりますので、その結果輸出の増進はかなり見るべきものがあろうと想像いたしております。もつとも今後の予想を数字で表わすということは、
日本
の今後の輸出品の価格その他に関連いたしまして、必ずしも容易じやありませんけれども、現在のところ輸出品の価格があまりに割高とならないといたしますれば、今の千五百万ドルの輸出が三千五百万ドルになることは、おそらく容易であろうと私どもは
考え
ております。
並木芳雄
125
○並木
委員
交換公文についてお尋ねいたします。三つの交換公文がありますが、そのうちの第二の関税評価に関する交換公文、これは「事情の予見されない発展と前記の
協定
に基いてカナダが負う義務の効果とにより、いずれかの産品が、カナダの領域における同様の産品又は直接の競争
関係
にある産品の国内生産者に重大な損害を与えるような又は与える虞があるような増加した数量及びそのような条件で、カナダの領域に輸入されるときは、カナダは、その産品については、その損害を防止し、又は救済するため必要な限度で及び必要な期間、普通の及び特別の関税上の価額を定めることができる。」こういうのと、あと2、3とあります。この趣旨を
説明
していだきたい。そしてこれはどのように
日本
の商品について影響を及ぼして来るか。これがあるためにただいま局長からの
答弁
にあつた明るい
見通し
についても、暗い影がさすのではないかと心配もされますので、お尋ねをいたします。
永井三樹三
126
○永井
政府
委員
お答えいたします。これはカナダの関税法に
規定
がございまして、一種のダンピングを防遏する
規定
から出て来た交換公文であります。カナダにおきましては、外国品の輸入が激増した結果、カナダの産品に損害を与えるというような場合には、その外国品の価格の査定を高くいたしまして、それに税金をかける、すなわち間接の方法によ
つて
関税が引上げられるようなダンピング防遏の法規があるのであります。これは一般の最恵国待遇に対する一種の例外的
規定
として、これは、どこまでも自由にそういうものが課せられるような
——
自由と申しますと語弊がございますが、ある特定の条件のもとにおいては、そういう法規を発動することが例に
なつ
ているわけであります。この点につきましては、本
条約
の本文におきまして最恵国待遇が定めてありますが、念のためにカナダのダンピング課税の法規を発動し得ることを明らかにしたいというカナダの希望から出て来たわけであります。そこでこの交換公文におきましては、どうせ何ら言及しないでおいてもそういう法規が発動されるという事態でありますので、それをさらに条件を明確にいたしまして、「事情の予見されない発展と前記の
協定
に基いてカナダが負う義務の効果とにより、」という、すなわち現在予見されない事情ができて来た場合に、次のような条件のときに発動してよろしいというふうな条件が一種加つたわけであります。これはガツトの第十九条にありますエスケープ・クローズと申しますか、関税を下げた結果予見されない事態が生じて、当該国の産業が重大な損害を与えられるような場合には、関税を下げたのを撤回するという
規定
がガツトの第十九条にあります。それの条件、文句をここに取上げて、そこで第二、第三項におきましては、その場合に関税の評価をかえるような場合にも、カナダとしては
日本
から入る物の価格ばかりではなくて、第三国から入る同様な産品の価格も考慮に入れてきめるということ、それからさらにこういう
措置
をとる場合には
日本側
と早目に
協議
をする、これは第三項でありますが、こういう第二、第三の条項をつけまして交換公文ができました結果、カナダが自由に、自分の恣意をも
つて
この
規定
を発動するという可能性を減少いたしまして、わが国と
協議
のできるような
建前
にいたして本
協定
をいたしたのであります。
並木芳雄
127
○並木
委員
これと同様のことを
日本
でもやり得るという一筆を入れる必要はなかつたのですか。形からいうと何ですか対等でなく、不平等のようにも思われるのですが、その必要はなかつたかどうか。
永井三樹三
128
○永井
政府
委員
日本
の関税定率法におきましては、こういう制度がとられておらないのであります。
日本
では端的に、一般的の場合に自由に関税をかけてよろしいということに
なつ
ておりますから、その点におきましては、この文面においてはカナダの法規だけが適用があるようでございますが、このバツク・グラウンドにおきましては、お互いにダンピング法規を発動することは、最恵国待遇とは関連ないのだということがあります。
従つて
この交換公文では、むしろカナダのダンピング法規発動を一種の条件をつけて縛つたかっこうに
なつ
ております。
日本
についてここに入れなかつたのは、
日本
のダンピング法規をもし発動する場合には、こういう束縛を受けない方が有利であるという見地からであつたわけであります。
並木芳雄
129
○並木
委員
日本
の商品がはたしてダンピングされているかどうかという判定をするのは、どういうふうにしてなされるでしようか。
永井三樹三
130
○永井
政府
委員
この場合には重要な指標になるのが、ガツトの第十九条の前文をとりました結果、ガツトの十九条のように、予想されない輸入が行われ、輸入の増加がはげしくあり、かつそれに競争するところのカナダの国内生産に重大な損害を与える、または与えるおそれがあるというところが、ダンピング法規の発動の条件に
なつ
ております。これの判断は、何もなければもちろんカナダ
政府
が自由に判断し発動するわけでありますが、これによ
つて
わが国と
協議
をするということに
なつ
ておりますので、個々別々の場合にわが国としては発言する機会があるわけでございます。
並木芳雄
131
○並木
委員
それではもう一つの交換公文についてお尋ねをいたします。それは、「本日署名された通商に関する
日本国
とカナダとの間の
協定
に関し、一時的に第三条1及び2の
規定
によらないことを認める同条3の
規定
にかかわらず、
日本国
政府
が、次の九商品に対しては、
日本国
政府
とカナダ
政府
との間で合意される例外を除く外、無条件の非差別的待遇を与えることを約束す旨るを述べる光栄を有します。」とあ
つて
、九品目についての非差別的待遇に関する交換公文が記載されてあります。その品物は、小麦、大麦、木材パルプ、亜麻仁種子、銅地金、鉛地金、亜鉛地金、合成樹脂、粉乳の九つが書いてあるのです。ここにこういう
規定
を設けましたのはどういうわけなのか
ちよ
つとわれわれにはわからないのですが、それで、まずどういうわけでこれが設けられたか
説明
してもらいたい。
永井三樹三
132
○永井
政府
委員
これは非常にまわりまわ
つて
書いてありますのでおわかりにくいかと思いますが、これは本文の第三条の第三項の例外であるということを明らかにしたわけであります。第三条は、初めに第一項、第二項におきまして、原則として輸出または輸入の制限をしないという一般の原則
規定
が書いてございます。これはガツトその他におけるのと同じ趣旨の
規定
でございますが、その例外として、
国際
収支上の困難がある場合、すなわち
国際
収支を擁護するために必要のある場合には、輸入制限において差別待遇をしてよろしいという
規定
が第三項であります。これも現行のガツトの
規定
の趣旨にのつとつた
規定
であります。この第三項の輸入制限における差別待遇をしてよろしいという
規定
に対する例外として、この交換公文におきまして、この九品目だけは差別待遇しない。すなわち、現在
日本
の貿易、為替管理から申しますと、ドル
地域
、ポンド
地域
、オープン・アカウント
地域
といふうに、三つに大さく区わけして、それぞれ輸入が規制されております。
従つて
、その
地域
相互の間では差別があるわけであります。あるいは、ドル
地域
から輸入が許されなくて、ポンド
地域
から輸入が許されるというような差別が行われておりますが、この九品目につきましては、今後各
地域
を通じて差別をしない、すなわち、価格、品質、その他の取引条件において最も有利なところから
日本
は買うという政策をこの交換公文において表わしたわけであります。
従つて
具体的には、この九品目につきましては、
政府
は、たとえばカナダから買わずにある別な国から買うというような指示をしないで、一切商業的考慮によ
つて
輸入するということをきめたわけであります。
並木芳雄
133
○並木
委員
今まではそういう他の考慮が払われて、輸入についてはこれらの品目にかなりでこぼこがあつたということが言えるのですか。どんなふうに行われて来たか、その
実情
について伺いたい。
永井三樹三
134
○永井
政府
委員
今申しました通り、原則として、
日本
の輸入制限の方法は、通貨の
地域
によ
つて
差異を設けておりました。
従つて
、たとえば昨年来、ドル
地域
からの輸入はやや制限して、これを累次オープン・アカウント
地域
の方からの輸入に振りかえる、輸入を認めるというようなことが行われておりました。一々の実例と申しますと、これは
日本
のすべての為替
予算
をごらんくださればわかると思いますが、今までの方式によりますと、かりにアメリカの産品が良質で安いといたしましても、為替
予算
がドルを幾らと制限しておりまして、それを食
つて
しまいますと、あとはいやでもオープン・アカウントまたはポンドから輸入しなければならぬというようなふうに数量的に制限されて来る、そのことをでこぼこがあるというふうに申し上げた次第であります。
並木芳雄
135
○並木
委員
実際問題として、しからばカナダはこれによ
つて
有利になるのですか、それとも、品物によ
つて
は不利になるものも具体的にはあるのですか。
永井三樹三
136
○永井
政府
委員
実際問題といたしますと、そのときどきの市況の変動によるわけでありまして、たとえば昨年来、大体の傾向といたしまして、小麦などはカナダがほかの
地域
に比べて比較的割安であつたという状況がございますが、現在はアメリカの小麦もカナダの小麦もほとんど差異がございません。そういうふうに一概に申せないのです。ただ、伝統的には、カナダの産物は世界的に見ても比較的割安であつたということだけは申せるかと思います。
従つて
、純粋に商業的な考慮に基けば、カナダ
政府
といたしましては、自分の国の産物が他の国に負けないという自信をおそらく持
つて
おると思います。もちろん、同じ小麦でありましても、カナダの小麦とその他の小麦と用途が違いますので、
日本
の小麦は全部カナダの輸入で行くというわけには行きません。これは価格並びに品質によ
つて
限度がありますのでそうは参りませんけれども、たとえば小麦についてはそういう事態であります。
並木芳雄
137
○並木
委員
これはカナダの申出でそういうものが入つたのですか。
永井三樹三
138
○永井
政府
委員
これはカナダが非常に希望したところであります。大体カナダの
考え
はアメリカとほぼ同じでございまして、世界の貿易を自由にして行くべきである、これはそれぞれアメリカと同様に通貨の
地位
が強いからそういう主張をするのでありますが、元来カナダもアメリカも輸入制限という方法はと
つて
おりません。単に関税で貿易を規制するという政策をと
つて
おります。その他の国々は現在のところむしろ貿易の規制を輸入制限によ
つて
や
つて
おるという
実情
でございます。カナダはアメリカとともに、世界の貿易を拡大するためには、輸入制限を少しずつ減らすべきであるという主張は、ガツトにおきましても従来からしておるのであります。そういうカナダの抱懐するプリンシブルからも、こういう点を
考え
なければならぬのであります。ただ
日本
といたしましても従来のように
日本
の貿易全部が、輸入先の規制を加えられて、たとえば高い物資を使
つて
高く売りつけるということを全部や
つて
おりましたならば、現在のようにだんだん貿易輸入の制限を減少しようという世界の態勢の中にあ
つて
、非常に遅れるのみならず、かえ
つて
日本
の輸出品のコストを高くするというような点から、そういうプリンシプルは
日本
で実行できる限り少しずつでも実行することが、この際望ましいという考慮もありまして、両国の意見が一致したわけであります。
並木芳雄
139
○並木
委員
それならば品目を特に九つに限定する
根拠
は薄弱なのじやないかと思うのです。一般論としてそういう
規定
を設けてもよかつたのではないかと思いますが、特に九品目に限つた理由をお聞きしたいのです。それからこの交換公文を設けることによ
つて
、他のカナダと競争の立場に立つ国々、
ちよ
つと
考え
るとアルゼンチンとか濠州、そういうような国でまずいことが起らないかどうかという点であります。
永井三樹三
140
○永井
政府
委員
通商政策としてはまさにお説の通りでありますが、実際問題として
日本
の外貨事情その他を見ますと、一挙にこういう理想的な政策を採用するということはあまりに危険が多いという点から、いわば少しずつならすと申しますか、少しずつ実験してみるという
考え
で品目を限ることに
なつ
たのであります。もちろんカナダも全部についてそういうことを向うがや
つて
くれればけつこうなのでありますけれども、
日本
の経済としてそういう試練に耐えることはおそらくできなかろうというので、特にカナダのインテレストのある品目で満足するという態度でございましたので、品目を限ることに
なつ
たわけでございます。この
程度
ならば
日本
の為替制度の崩壊の危険なくして実行し得るし、かつ
日本
経済のためにも有利であろうと
考え
た次第であります。 それから第二の、他の諸国についての御
説明
はまことにごもつともでありますが、ここに両国の間で合意される例外を除くほかというふうに書いてあります通り、現在どうしても輸出と組み合
つて
、多少高くても買うというようなコミツトメントを持
つて
おりますものにつきましては、カナダと合意いたしましてこれを適用しないという了解を遂げておりますので、現在そういう危険はないと確信しております。
並木芳雄
141
○並木
委員
カナダとの貿易は片貿易に
なつ
ております。そこでカナダの方はこれを多としておるのでありますから、
日本
が必要とする外貨を手に入れるために、
日本
に対してクレジツトを設定する、こういうふうな話は今まで出ておらないでしようか。要するにわれわれはアメリカのみならず、カナダから金な借りてもいいわけなのですが、いわゆる外資の導入についてカナダに関する限りどのように
なつ
ておりますか、今後の
見通し
とともにお尋ねをしておきたいと思います。
永井三樹三
142
○永井
政府
委員
現在までのところ、カナダからの外資導入という点があまり表面に出ませんので、問題に
なつ
たことがあるとは聞いておりません。ただ最近カナダも農産物の輸出について、従来とは違つたある
程度
のクレジツト・キヤパシテイを
考え
ておるというような情報はございますが、特に大規模な外資導入という案件は存在しておりません。ただ若干のカナダの事業と
日本
の事業との提携というようなものは、現在までごく小規模でございますが行われております。カナダの国籍を有する人のわが国に対する現在までの投資は、技術援助が十三件、株式投資が三件で、金額が七億四千五百万円、ただ市場で株を取得したものが約九万八千株、その他貸付金を受けておりますのが約六億円ございますが、この
程度
の非常に小規模な投資
関係
に
なつ
ておるにすぎないのであります。
並木芳雄
143
○並木
委員
将来は……。
永井三樹三
144
○永井
政府
委員
将来につきましては、今のところ、私も案件があるということは聞いておりませんので、何とも申し上げられません。
並木芳雄
145
○並木
委員
よろしゆうございます。
野田卯一
146
○野田
委員長
代理
穗積
七郎君。
穗積七郎
147
○
穗積
委員
実はきよう私は
国連軍
の
協定
だと思
つて
来たら
委員長
がこれをやれというから、あとまたこまかいことをお尋ねするかもわかりません。
ちよ
つと事前に
政府
委員
にお聞きしておきたいと思いますが、この
協定
前のカナダから
日本
に入ります輸入品に対するわが方の税率その他の取扱いはどういうふうにや
つて
おられたか、これを結べばどういう変化が生ずるか、その点をまずお聞きしたいと思います。
永井三樹三
148
○永井
政府
委員
御
質問
はカナダの輸入品に対する
日本
における関税ということだと存じますが、御承知の通り、
日本
の関税は一本の関税がきま
つて
おるだけでございまして、
従つて
カナダで
日本
の商品が最高税率をかけられておりましても、
日本
では同じ関税がかか
つて
おります。
従つて
この
条約
ができましても、カナダから入
つて
来るものにつきましては、関税については何らの変化はございません。
穗積七郎
149
○
穗積
委員
もう一点お尋ねいたします。この
協定
を結ぶことによ
つて
、対加輸出が非常に伸びることを期待しておられるようです。それは一般税率が最恵国待遇、ガツト並の税率にかわるということが主たる理由でございますが、輸出が非常に伸びることを期待しておられる商品は、一体どういうものを予定せられておるのか、その点お伺いします。
永井三樹三
150
○永井
政府
委員
日本
から現在輸出しておりますもの全般について関税が下るわけでございますので、今般についての希望が持てると存じますが、なかんずく私どもとして有望ではないかと思うものは綿織物、特に高級な加工綿織物でございます。たとえばこれは綿織物一種類をと
つて
みますと、普通の綿織物ですと、今まで関税が二五%のが今度は一五%になるというような結果に
なつ
ております。それから従来かなりな輸出を見ておるみかんだとか茶だとかそういう農産物、これも生のみかんは一立方フイート三十五セントの関税がかか
つて
おりましたが、これは今後無税になります。茶につきましては一ポンド八セントの税金がかか
つて
おりましたのが三セントになります。こういうわけで価格上対加輸出がかなり伸びるのではないかと思
つて
おります。それから最近カナダから、これも目下来朝しております実業家のミツシヨンの話などを総合しましても、カメラ、陶磁器、ミシン、手袋、 ハンカチ、造花、おもちや、ある種の鉄鋼製品というようなものは、いずれも関税上
相当
有利になりますので、見込みが有望であるというように
考え
ております。
穗積七郎
151
○
穗積
委員
それからもう一点、この
協定
には投資に対する特別の
規定
がないようでございますが、将来かの国からわが国、わが国からかの国に対する投資または合弁の計画等かあり得ると思うのですが、そういう場合はどういうふうになさるおつもりなのか、その取扱いの方法をお尋ねいたしたいと思います。
永井三樹三
152
○永井
政府
委員
先ほど並木
委員
に申し上げました通り、今度の
協定
は貿易、特に関税についてだけを
規定
いたしましたので、もつと広い経済
関係
に属しまする投資その他については将来に譲
つて
ございます。私どもとしては将来さらに広い通商航海
条約
というようなものを
締結
いたしたいと
考え
ております。それまで、現在のところではカナダの投資につきましては、
日本
の外資法によ
つて
取扱
つて
行くわけでございます。
条約
上の
規定
はございませんが、われわれとしては外資法によ
つて
公正な取扱いをして行くという
考え
でございます。
穗積七郎
153
○
穗積
委員
それに関連して
ちよ
つとお尋ねしておきますが、そういう向うからの
日本
に対する投資、または合弁の申入れの具体的に進んでおる、また近く進み得る可能性のものがございますかどうか、その点が一点。それからもう一つは、今投資その他に対してのもつと広汎な
協定
を結びたいという御趣旨でありますが、この
協定
を結ぶときにそういうものの予備的な
話合い
がございましたか、もしあつたとすればそれがいつごろまでに結ばれるのであるのであるか、その三点についてお答えを願いたいと思います。
永井三樹三
154
○永井
政府
委員
私寡聞にして具体的にどういうような案件があるかということは存じておりませんが、先ほど申しましたように、現在数件の株式取得その他の件がございます。たとえばカナダの大きなアルミ会社が
日本
のアルミの加工業者との間に提携をすでにいたしておると確かに記憶いたしておりますが、その他の具体的な案件については申し上げる材料を持
つて
おりません。 それから将来広汎な
協定
を結ぶにつきましては、とりあえず最も早く
措置
を要する貿易の問題についてカナダ側も
条約
を結ぼうという意向を表明して参りましたので、われわれとしては急ぐ問題から片づけるというつもりでございます。もつともさらに広汎なものを結ぶという点につきましては、今日までまだ
話合い
はしておりません。適当な機会を求めて、今後そういうふうに進みたいという
考え
でおります。
野田卯一
155
○野田
委員長
代理 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十六分散会