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並木委員 言葉じりになるのですが、この
協定からすぐに義務づけられるということが出て来るということはない、これは私もさつきから言
つておるわけ次のです。これが将来そこへ行く人口ではないか、第一歩になるのではないかということで、
大臣もほんとうにその心配があるというたら、あるようにわれわれの前に示していただきたいと思うのです。
政府の方針として、集団安全保障とりきめを結んで、海外出兵をしなければいけないということを認める
政府が出れば、それは何も禁止すべきことではないのですから、これが第一歩ではないでしようか。たとえば今度の
協定の第八条にあげられておる義務を見ましても、「
国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること」、そういうような文字が入
つております。また同じく第八条の中に「自由
世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、」と書いてあるのです。これは自国の防衛力の発展及び維持だけではございません。ここに新たに自由諸国の防衛力の発展及び維持に寄与しということまで出て来ておるので、こういう条項が抽象的であればあるほど、具体的に出て来る義務というものが、案外拡大されて来るのではないかという疑問を持
つておるわけなのです。だからそういう背景というものは全然ないのかどうか。この
MSAというものは、全然そういうものではないのだという説、明がつく自信がおありになるかどうかという点なのであります。特にこの際指摘したいのは、平和
条約第五条(C)の一番しまいのところへ持
つてい
つて、
日本は集団安全保障とりきめをすることができる、こういうことが
承認されております。これはか
つての六月二十四日、二十六日の岡崎・アリソン
交換公文においては触れておらないのです。あの文章は、
日本には固有の自衛権、集団的な自衛権があるというところで切
つております。そのあとに集団安全保障とりきめができるということがついておるのです。あるいは私はあれを故意に切り捨てたのではないかとさえ今臆測しております。つまり
MSAによ
つて第八条による義務を負い、やがては平和
条約第五条(C)の一番終りに書いてあるところの集団安全保障とりきめへも進んで行く道がここに開けて来たのではないかと思う。平和
条約のころは、まだ
日本に自衛権があるかないかというような議論が行われておつたときですから、いわばその中から頭をもたげる権利があるのだということの確認が
目的でございました。
従つてそれはいわば非常に消極的な場面で、われわれむしろそういう権利があるということを獲得することに汲々たるときであつたと思うのです。今日は逆にそういう権利を認められて、その裏が來て、義務づけられて、その義務づけが
MSAによ
つて第一渉となり第二歩とな
つて行くのではないか。そうすると、あらためてこの五条(C)項の末端の、集団安全保障とりきめと
はつきり言
つていることなどがいろいろに具体化されて来るのではないか、その点について
大臣にお尋ねしておきたいのでございます。