○田付
政府委員 並木委員に
お答えいたします。一時にたくさんの質問がございましたので、あるいは
お答えがばらばらになるかもしれませんが、松方コレクシヨンにつきましては、御承知の
通り仏側では一度これを没収するというようなことを考えてお
つたようでありますが、今度の文化
協定の成立とい
つた方面から、
日本に返還することにフランス側としては原則的にきめたわけでございます。ただこのコレクシヨンを返します場合に、
日本側としてはこれを一つところにまとめて展示する、それからこれを十分完全に保管するということを条件として
日本側に返したいということを言
つて参りました。そこで
日本側といたしましては、松方コレクシヨンのような大きな美術品が
日本に返
つて来ることは、最も望ましいことでありますので、各
方面とも研究いたしまして受入れ態勢を整えて、最近は受入れ準備
委員会を文部省につくりまして、どういうふうにしてこれを受入れるかということを研究をしてお
つたわけであります。たまたまジヨルジュ・サールというルーヴル博物館長が
日本に見えました。これは実はルーヴル博物館の一部を
日本が展覧するという用務のために見えたのでありますが、ジヨルジュ・サールさんは美術界でも非常に有名な方でありますので、これを機会にわれわれとしても、フランス側で具体的にどういうふうに
日本側が受入れることを希望しておるかということについて、ジヨルジュ・サールさんの意見を聞いたわけであります。そこでジヨルジュ・サールさんの意見も、先ほど申しましたように
日本側として十分にこれを保管し、かつ展示する
方法を講じてもらいたい、そうすればフランス側ではこれを
国会にかけまして
国会の議決を経まして、
日本に返したいということをはつきり今度も申しております。ただ今度新聞にちよつと出ました件では、ジヨルジュ・サールさんは、
日本の予算を少し
誤解しておられましてたとえば五百万円という予算が今度文部省の中に出ておりますが、この五百万円のうちに
日本に返還するいわゆる運送賃まで入
つているというふうに考えられまして、それではとても松方コレクシヨンを
日本に返すことはできないというような話がございました。しかし事実は運送料あたりはまた別にとることにな
つておりますので、そういう点を御
説明いたしまして、大体博物館長の御了解を得ましてなるべく早く
日本側から、受入れ準備
委員会の方で
日本側の
方法が決定いたしましたならば、これをフランス側に知らせてもらいたい、それに
従つてフランスでは
国会の
手続を経まして、ただちに
日本側に返す準備をいたしたいということを言
つて帰られたわけであります。
従つてわれわれの方としましては、さらに予算的な
措置について大蔵省とも相談いたしまして、これが確定いたしましたならばフランス側に申し入れまして具体的に返還の時期等の
話合いをしたいと思
つております。
それから第二の点で日仏文化
協定のその後の効果はどうであるかというお話でございますが、これは昨年の十月三日に
効力を発生いたしたばかりでありましてその準備はまだ十分に整
つておりません。
従つて今その効果を申し上げるということになりますと、あまり大したものはないのであります。ただ最近、パリにギユメーという博物館があります。これは東洋美術を集めておりますかなり有名な美術館でありますが、これと国立博物館と
協定を結んで、
日本の古代文化を
向うに寄付すると同時に、ギユメー博物館からはフランス
方面の古代文化のものを、やはり
日本に寄贈するという
話合いをつけております。また最近十一月ごろでありましたか、
日本で例のフランス映画祭とい
つたようなものも行われたわけであります。元来文化
協定というものは、お互いに文化の交流を容易にするというのが
目的でありまして、
政府ばかりでなく、民間が文化の交流をする場合に、これを容易にすることが
目的なのであります。そのために文化
協定自身にも混合
委員会というものを設けまして、この混合
委員会で、たとえば絵が入
つて来る場合の関税率をどうするとか、通関
手続をどうする、あるいは荷物をどういうふうに運ぶというようなことを、容易にするように相談して行きたいと思
つております。これは大体本年度の終り、
従つて三月ごろに両方でこの混合
委員会ができ上ると思います。そういたしますれば、この文化
協定の実施面がさらに容易にな
つて来るのではないかと考えております。
もう一つ他の
国々との文化
協定でありますが一われわれとしましては今イタリアと、ま
つたくの草案ではありますけれ
ども交換し合
つて、ひとつ文化
協定をつくりたいという相談をや
つております。さらに
東南アジア方面とも文化
協定をつくりたいと考えておりますが、これも来年度にはだんだん具体化して来るのではないがというふうに見ております。さらに来年度の
計画といたしましては文化交流の一つとして、朝日新聞がルーヴルの展覧会をやるというようなこともありますし、さらに場合によ
つてはオランダからゴッホの絵が
日本にや
つて来るということも考えられております。大体外国から来るものが多いのでありますが、
わが国としてもヨーロツパあたりに
日本の美術品を展覧させるのに、今はちようどよい機会ではないかと思われるのでありまして、われわれとしてもそういう
計画を来年または再来年くらいに実現したいと、目下
努力しておるところであります。