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三宅説明員
国連軍協定は、御承知のように昨年七月から
交渉が始められたのでございますが、その間裁判権の問題につきましては、御承知の
通り先般
解決いたしたのでございます。ところが他の重要な懸案であります
大蔵省関係の問題、具体的に申しますれば、
国有財産の
使用料をとるかとらないかという問題、それから関税、消費税の免税の範囲をどうするかという問題、それから先ほど御指摘の
地方税であります
電気ガス税を免税するかどうかという問題、それから
政府の職員や
財産が
国連軍の公務中の行為によ
つてこうむつた人的、物的損害に対するクレームをどの程度放棄するかというような問題につきまして、先方は
行政協定下の
米軍と同様の待遇を強く要望して参り、わが方は若干そこに差異を設けたいということで長らく折衝して参
つたのでありますが、どうしても先方は
米軍との均等待遇という主張を譲らないのでございます。そこで問題は、これらの懸案について日本側が譲歩して、そして
協定をまとめるか、それともあくまでわが方の主張をつつぱ
つて、
国連軍協定は結ばれなくともよいという
方針をとるか、そのいずれか二つという段階に差迫
つて参つたのでございます。
外務省といたしましては、日本が国連に対する協力を平和条約及び吉田・アチソン交換公文で約しておる。また日本は国連への加盟を強く希望しておる。それから
国連軍の主体をなしております。英連邦諸国は、世界にいまなお偉大なる勢力範囲を持
つてお
つて、わが方が経済的に進出するためには、どうしても英国との
関係というものは円満にしなければならない。それから国際間の均等待遇、均等主義というものは、日本が明治以来強く主張して来たところであり、今後といえ
どもこれを主張しなければならない場面があるに相違ないというこれらの大きい政治的な観点から、この際はこれらの
財政経済問題につきまして若干の譲歩はしても、
協定を早くまとめることが国策上適当であり、また有利である。こういう考えに立ちまして
関係省、具体的に申しますれば
大蔵省と折衝をして来たのであります。事務
当局といたしましては、
大蔵省といたしましても譲れない。この上は
政府の最高部におきまして政治的な決定をしてもらうほかはない。政治的決定があれば自分たちもそれに従うものである。こういうところに来ておるのでございます。そこで
施設と
労務の問題でございますが、この
施設、
労務の問題も条約的と申しますか、法的に申しますれば、条文については
意見が一致しているのであります。具体的にどの
施設を英連邦軍に使わすかということは、
協定ができてから
合同委員会で本来ならばきめることでございます。
労務の調達につきましても、条文はすでに
米軍との間の
行政協定と同じように定ま
つておるのでございます。ただその具体化といたしまして、実際に
労務の調達方法を直接にするか、間接にするか、また賃金その他に関する労働者の待遇を
米軍と均等にするかどうかという問題があるのでありまして、これも本年ならば
合同委員会で定めるべき問題であるのでありますが、
外務省といたしましては、呉市の強い御要望は、数次の熱心な御陳情によ
つてよくわか
つておりますので、できればこの際この二つの問題についても、呉市の要望がいれられるように、少くともその手がかりがそこにできているようにしたいと存じまして、最近熱心にかつ強く先方に対して
交渉いたしたのであります。先方におきましても、英連邦軍のみならず、
国連軍を統轄する
地位にあります米側におきましてもこの問題を非常に重要視いたしまして、まじめに真剣にわが方の提出いたしました資料、また私が親しく呉を視察いたしまして先方と折衝いたしましたところを基礎にして、できるだけ日本側の要望をいれるように、目下
現地軍及び本国
政府と連絡をとりまして好意的に研究いたしております。そうして、先方から得ております最近の情報では、その二つの問題につきまして、日本側の要望が全部いれられるかどうか、これはなお疑問でございますが、相当有望にな
つて来ているように私
どもは観測いたしております。ことに
施設の問題で、呉市が最もその
産業及び貿易、海運の発展上必要とせられます海に面した
地域につきましては、その有望な
項目の中に入
つているように私は内報を受けておるのでございます。また先方といたしましては、この
施設を移すとなれば、移すべき場所を見つけなければならぬ。移すべき場所は空襲その他でなお屋根が飛んだり、ガラスがこわれたりしておりまして、修理をしなければならぬ。その修理の費用がどのくらいになるか。また修理した場合の費用をどういうふうにして処置するか、つまり、どちらがどういうふうに負担するのかというような問題がありまして、そういう切実な
財政上の問題について今研究しているところでございます。
労務の問題につきましても、間接にすることは、先方としても原則としてはけつこうだ、いろいろな労働争議もなくなりますし、その他のめんどうもないから、それに越したことはないのでありますが、ただ間接にした場合に、
労務の管理費が一年に五千万円ほ
ども違うということで、これは英連邦としては非常に痛い点であります。それをどういうふうに処置するかという問題がございまして、なおまだ最終的確定的な回答はない次第でございます。しかしそう遠くないうちに、先方の意向も判明することと存じております。