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1953-12-15 第19回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十五日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 福田 篤泰君 理事 並木 芳雄君    理事 穗積 七郎君 理事 戸叶 里子君       北 れい吉君    中山 マサ君       宮原幸三郎君    増田甲子七君       須磨彌吉郎君    神近 市子君       加藤 勘十君    前田榮之助君  出席政府委員         法務政務次官  三浦寅之助君         外務政務次官  小滝  彬君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視長         (刑事部長)  中川 董治君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         検     事         (刑事局総務課         長)      津田  実君         外務省参事   三宅喜二郎君         参  考  人         (呉市長)   鈴木  術君         参  考  人         (呉市会議長) 奥原 義人君         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 十二月十一日  委員佐々木盛雄辞任につき、その補欠として  星島二郎君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員帆足計辞任につき、その補欠として武藤  運十郎君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員林讓治君及び西尾末廣君辞任につき、その  補欠として宮原幸三郎君及び前田榮之助君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  在日国連軍に関する件について参考人より意見  聴取の件     ―――――――――――――
  2. 上塚司

    上塚委員長 ただいまより会議を開きます。  本日は、在日国連軍に関する件を調査するため、参考人より意見を聴取することといたします。本日参考人として出席を求めましたのは、呉市長鈴木術君及び同市会議長奥原義人君であります。  議事に入るにあたりまして、参考人両君に対しごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ遠路わざわざ御出席をいただき、厚く御礼を申し上げます。当委員会といたしましては、国政調査一つとして在日国連軍に関する諸問題について調査をいたすこととなりましたが、今回現地の意向をも伺う必要を生じましたので、特に参考人各位の御出席をお願いいたした次第であります。本日の議事の順序について申し上げますと、まず参考人の方々よりおのおの御意見を開陳していただき、その後において委員より質疑がある予定でございます。なお御意見の開陳は一人十五分ないし二十分程度にまとめていただきたいと存じます。念のため申し上げておきますが、衆議院規則の定めるところにより、発言委員長の許可を受けることになつております。また発言の内容は、意見を聞こうとする案件の範囲を越えてはならないことになつております。なお参考人委員に対し質疑をすることはできませんから、さよう御了承をお願いいたします。それではこれより参考人から御意見を聴取いたします。呉市長鈴木術君。
  3. 鈴木術

    鈴木参考人 まずもちまして、国会当局におかれまして国連軍に関する問題に非常に御関心をお持ちくださいまして、また外務委員会におかれまして、われわれ呉市長並びに議長をお呼びになりまして親しく意見を開陳するの機会を与えられましたにつきまして、厚く御礼を申し上げます。あいにく私鈴木、上京いたしまするとかぜを引きまして、咽喉を痛めておりますので、さぞかしお聞き苦しいことと存じ上げますが、どうぞ御寛容のほどをお願い申し上げます。  御案内通り、わが呉市は明治二十三年に第二海軍鎮守府の開設以前はまことに寥々たる内海の一寒村でございました。第二海軍鎮守府の開設とともに海軍の伸長と運命をともにいたしまして、次第に近代都市を形成いたしまして、去る太平洋戦争当時におきましては、最も市街の繁栄を来しました当時の人口は、在籍人口四十三万、動員部隊を加えますと人口七十五万を算しまして、当時わが国における第八位の都市であつたのでございます。しかるに、あの終戦と同時に、唯一の生命線でありました海軍の壊滅と同時に、全市は一挙にして壊滅いたしました。戦災をこうむつた上に水害までこうむりまして、まつたく市民はいわゆる全部が失業したわけでございます。一時は人口十万内外に激減いたしまして、もはや都市としての維持は困難であるというふうなはめになつたのでございますが、続いて米軍、さらに交代いたしまして英濠軍の進駐となりまして、漸次その雑務に従事する職場ができまするや、次第にまた治まつて参りますとともに帰つて参りまして、昭和二十一年におきましては人口十五万というところで大体のおちつきを見たわけでございます。しかしながらこれという健全なる意味職場を持たざる非常に脆弱なる土地でございましたがゆえに、何とかしてこの町を維持したいというようなことからいたしまして、市政の根本方針を、従来の軍港を切りかえて商港とする、またこれまでの軍工廠の跡を、かなり壊滅しておりましたが、これを転換利用いたしまして産業都市に改造する、かようなことによりまして町を復興しようということに相なつた次第でございます。爾来この線に沿つて努力して参りました。幸いに国会また政府当局の御支援によりまして、昭和二十五年に旧軍海転換法なる特別法を御制定を賜わりました。これによりまして市は平和産業港湾都市に改造ないし転換する責任を持つてその再建計画転換計画を定めまして、市民つて一丸となつて自力更生を誓い、政府の御支援によりまして着着とその地歩を固めて参つた次第でございます。  しかるに御案内通り、同時にこの呉市に進駐しております英濠軍の存在と転換計画とが、矛盾と申しますか、相剋すると申しますか、さようなぶつかる面が生れて参りまして、いろいろ今日まで悩んでおる次第でございますが、国有財産ではありまけれども、その駐留軍接収ぶりを見ますと、いろいろと見方はございましようけれども、どう見ましてもかなりいわゆる余裕があり過ぎる使用方をなされるやに私どもは看取する次第であります。そこで、何とかして駐留軍の方におかれましては使用方についてあるいは編成がえとかあるいは模様がえとかいたしまして、これをできるだけ御圧縮願つて、われわれ呉市民の持つております転換計画実現をさせていただきたいというのが、われわれの念願でございます。と申しますのは、ただいま申し上げたことは、これは産業面からの表現でございますけれども、これを労務面から申しますると、これは広い意味のいわゆる失業対策でございます。従いまして、一方におきまして、産業誘致によりまして堅実なる職場をつくる、また一方におきまして、これと同時に並行いたしまして失業救済専業を興す。一時的にこの失業救済事業で救済しながら、堅実な職場をつくりましてこれに送り込む、こういう施策をとつておる次第でございますが、さような意味合いから見まして、今日呉市は、終戦後いわゆる日本一のモデル失業都市として、ただいまでも一万数千の失業者をかかえております上に、駐留軍関係労務者諸君一万余りおられますが、これといえどもまた堅実なる職場ではございません。そこでかような方策によつて堅実な永久性のある職場をつくつて市民生活の安定を期したい、こういう念願であるのでございます。かような観点からいたしまして、ここ数年来いろいろと政府当局にお願いいたしまして、このわれわれの願望の実現を進めて参りましたが、残念なことに今までこれという成果が一つも上つておりません。最近国連協定が締結せられるやに拝聞しまするので、少くともこの機会に、一つのチヤンスとしてわれわれの念願最小限度の分だけでもお譲り願つて、この堅実なる産業面転換するということを実現したいというのが、われわれ願いの第一点でございます。  次にまた先ほど申し上げましたように、呉市を中心といたしまして、国連軍、すなわちこれは英濠軍でございますが、これらに使用せられるところの労務者諸君が一万余りおりまして、そのうちの七千名が純粋の呉市民でございますけれども、これが講和条約成立と同時にいわゆる直接雇用に相なりました。米軍関係労務者諸君は、従来通り間接雇用、すなわち一旦政府雇用になりまして、この労務を向うに提供するという関係であるのにかかわらず、英濠軍の方は、直接英濠軍の方で雇用契約を結ばれる、かような状態になつて参つたのであります。そもそもこの駐留軍使用せられるという地位そのものが脆弱であります上に、直接雇用に相なりますと、あるいは言語、風俗その他の相違からいたしまして、意思の疏通の面において欠くる点もありますほか、労働三法も厳重に守られておらないというふうなうらみもございますし、またその地位もきわめて不安定なものであるというふうなことに相なりますので、ぜひともこれは対米軍の場合同様に間接雇用にしていただきたいというのが労務者諸君願いであり、また市民諸君全体もその立場同情いたしまして、その実現を祈念しておる次第でございます。ぜひともこれまたできればこの機会にさようなぐあいにしてもらいたいというのが願いの第二点でございます。  次は財政問題でございますが、ただいま英濠軍の方からは市は何らの税金をちようだいしておりません。一例を申しますならば、電気ガス税、この徴収を見まするに、自治庁あたり解釈におきましては、これはもらえる、当然支払うべきであるという解釈であるにかかわりませず、先方においては支払つてくれないのでございます。この数字が年間約千四百万円に達するのでございます。またもし国連軍使用中の国有財産を市が注文通りお返し願つて、ここに産業を誘致しますならば、これから上るところの固定資産税は、年間大体一億八千万円に達する次第でございます。なおこれは明白な露出面でありますけれども、かようなことになりますと、関連産業海運業、そのほかいろいろ興つて参りますので、いろいろまた言うに言えない財政面の余沢もふえるわけでございますので、何とかしてこの面についての御配慮を煩わしたいと、かように思う次第でございます。と申しますのは、もともと呉市は海軍によつて生れた町でありまして、従来といえども非常に財政面は困難でございます。わずかに海軍助成金と称するものをちようだいいたして今日までに来たわけでございます。今日におきましては、その当時よりもより一層財政は困難をきわめております。さようなわけでございますので、何とかしてこの点につきましても御配慮を煩わしたい、こういうのがわれわれの願いの第三点でございます。  以上三点は、われわれ市民願いでありますと同時に、ぜひともこの機会に何らか実現してもらいたい、ないし実現の萌芽をはつきりと把握さしていただきたいというのが、市長鈴木意見でございます。
  4. 上塚司

    上塚委員長 ありがとうございました。  次に呉市会議長奥原義人君。
  5. 奥原義人

    奥原参考人 本日は呉市市民重大関心を持つておりますところの国連軍との協定がまさに締結せられようとするときにあたりまして、本委員会にお呼び出しいただきまして、その意思を表明する機会をいただきましたことは、まことに感謝のほかございません。厚く御礼を申し上げます。  ただいま市長さんから、呉市が要望いたしておりますところの三項目につきまして具体的に説明がありましたので、私は議会人といたしまして、市民気持と申しますか、市民感情を卒直に披瀝いたしたいと存ずるものでございます。私が特に強調いたしたいと思いますことは、呉市立市の基盤であるる産業港湾都市として生きるためには、何と申しましても港湾施設を持つことであり、旧軍施設の適切なる活用以外にはないのであります。しかるに呉市は講和発効後一箇年余を経過する今日に至るも、なおそののど首ともいうべき臨港地帯はもちろん、その心臓部ともいうべき最も重要な地域の大部分が未返還であるということであります。特殊な事情でありまして、このためせつかくの立市計画は何ら遂行することもできないのであります。従いまして徴税の道もまつたくないのであります。まつたく不安定きわまる現状にあるのでありまして、全国数百に上る軍基地苦しみと、呉市のこの未返還によりこうむる苦しみとは、まつたく根本的に比較にならないものがあるのであります。そこで市民感情といたしましては、一日も早くこの不安定なる状態を解消して、恒久安定性のある立市計画のもとに生活したいという意味におきまして、施設全面返還をしていただきたいというのが二十万市民念願であります。かような次第で昨年七月、呉市民の熱望は期せずして盛り上りまして、五万数千名に上る市民の著名した要望書ができ上りまして、関係当局に提出いたしまして今日まで引続き陳情して参つておるのであります。  ただいま呉市が陳情いたしております三項目の要求は、呉市が生きるための最小限度のものでありまして、この国連協定がいかに締結せられるかを、呉市二十万市民はかたずをのんで見守つておる次第であります。よろしく御支援賜わるようお願いいたします。
  6. 上塚司

    上塚委員長 これにて参考人陳述は終了いたしました。これより質疑を行うことといたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。
  7. 並木芳雄

    並木委員 議事進行について。三宅さんしか政府委員が出ておらないのですけれども外務大臣が出られないならば政務次官、それから国際協力局長か次長の国際協力関係、できればまた大蔵省関係政府委員を呼んでもらうようにお願いいたします。
  8. 上塚司

    上塚委員長 外務省国際協力局長は、目下関係者全部で会議出席中でありまして、そのため出席ができないということであります。それから戦犯関係については、戦犯室長が今出張中であります。法務関係は間もなく出席せられると思います。外務政務次官出席する予定になつております。
  9. 並木芳雄

    並木委員 外務大臣けさ閣議があるはずです。それが済んだらこつちへ来るように要求してもらいたい。
  10. 上塚司

    上塚委員長 さようとりはからいます。宮原幸三郎君。
  11. 宮原幸三郎

    宮原委員 ただいま御両君陳述を拝聴いたしまして、事の重大なるに認識を新たにいたす感じを受けました。国連協力義務を十二分に心得ておられるあの温厚な呉市長中心とする呉市民が、今日まで隠忍自重しておられるということは、ここに現実に暴露されているような感じを受けるのであります。市長言葉は穏当でありますけれども余裕施設を圧縮してほしいというその市長の結論的の言葉は、まことに切実なものがあるように感じられるのであります。われわれも旧軍港市議員連盟という立場から視察をいたしたこともあります。その際に、この席上であるがゆえに、市長は多少御遠慮に相なつておるかもしれませんが、基地における施設の濫用と申しますか、そういう状況を目のあたりしまするときに、この市長のただいまの言葉と照し合せまして、まことに感慨深いものがあります。そこで市長にお伺いしてみたいのですが、基地呉地区で七十万坪を国連軍使用いたしておるようですが、その国連軍兵員僅々四千人くらいの兵員であると想定せられるのであります。この一例として、現に旧海兵団地域ではわずかに六百名の兵員があるだけであるが、旧日本海軍時代には、海兵団地域に一万名を収容し得たのであるというようなことを、現地大蔵省出先管財支所長から聞いたのであります。これと照し合せますと僅々四千人の兵員でもつて七十万坪の厖大地域を継続使用いたしている、こういう現実であります。この私ども調査間違いがあるかどうか。それから港湾の最も重要地域でありますあの旧軍需部の付近は、鉄条網等を張りめぐらして、そうして宿舎同様の使用の仕方をしていて、本来の用途、目的、最も重要部面港湾として使用していないというような現実がある。それから繋船堀地域という区域がありますが、そこに税関倉庫の看板が上つておりますが、これは実は虚偽の標識であつて税関倉庫でも何でもない。これは英濠軍が一応そういう掲示をしておるだけであつて、しかもその倉庫はほとんど未利用で、予備のために、そういうものを保管しておるというだけの様子に見えるのであります。これは現地税関支署長から私は直話として直接聞いたことでありますが、そういうような事実を市の側においても認めていられるかどうか。それから旧軍需部倉庫の大部分は未利用のように見るが、その辺についての市の側の見方はどうであるか。こういつたようなことを、ここに例として申し上げたのは、やはりこういう問題について市長の御説明がなかなかいたしにくいであろうと思いますので、私の認識間違つているかどうかを一応ここで確認していただいて、そうして他のお尋ねをしてみたいと思いまして、ここにややくどいようでありましたが、お尋ねをいたす次第であります。  それから時間の都合で、引続きお尋ねすることを一括して申し上げてみようと思います。それは財政のことでありますが、駐留軍が撤退した場合において、市の財源固定資産税及び電気ガス税を想定いたしまして、一億九千二百万円の増収になるというような御説明でありましたが、一億九千二百万円というと、市の純自己財源が、この資料によりますと三億五千万円となつておりますから、それの実に五五%に当る厖大財源になると思うのであります。そこで市長の御説明にありましたように、呉市は元来担税力が低くて、しかも旧軍工廠時代から、課税の対象にならなかつた区域を包蔵いたしているまことに変態的都市であつて海軍助成金によつて辛ろうじて最低の行政的規模を維持したということであつたのですが、この終戦後、独立後も引続き英濠軍のために同様な状態が続いているように、御説明を承ると、感じるわけであります。つきましては国連軍使用が引続き継続する場合には、期待財源一億九千二百万円の穴が明きますが、これについて市長としては、政府側に対して国内措置としていかなる御交渉になつておるのであるか。提出貸料によりますと、海軍助成金というものが、昭和二十年に五百五十七万円とありますから、これを内輪に見て、百倍に計算して、五億五千七百万円になるわけです。この財源を一方で失つていながら、一面においては国連軍厖大区域を継続使用するということになれば、市の財政というものは、現在の苦境を引続き継続することになるのですが、政府に対し、この方面交渉はいかがなされておるのでありますか、こういう点を伺いたいのであります。  それから引続き議長お尋ねしたいのですが、この基地呉市から、先ほど市長の御要請にあつたような要請が、独立直後から継続的に数回というか、十数回というか、絶えず国会政府その他に要請せられておる事実があることを承知しているのでありますが、この要請がただいまのところではまだ未解決のままに、しかも国連行政協定というものの調印は、伝えられるところによれば、すでに第十八国会において批准を求めようかという段階まで来たということが伝えられたのであります。そのくらい調印が目睫に迫つて、未解決のまま、これらの要請がたな上げのまま、拒否同様の意味で、漫然とここに国連行政協定調印がされて、そしてそのまま合同委員会に持ち込まれるというようなことになつた場合、御承知の通りこれらの要請事項というものは、地方税の問題は別でありますが、余剰施設返還といい、労務間接雇用の問題といい、これらの行政協定の正文にはうたわれる性質のものでありません。従いましてこれは合同委員会に持ち込まれるわけでありましようが、ここに漫然とたな上げのまま持ち込まれた場合における市民感情はいかがでありますか。つまり一殺多生の方針によつて、呉市の問題はあとまわしにして、一応この協定調印をするということが起つた場合、今日まではその要請目的達成という多少前途の楽観があつたために、市民というものは温和な態度をとつていたのであるが、いよいよこれがたな上げされて、ほとんど絶望というような状態なつた場合に、市民感情はどうであるか。これはもちろん基地反対というような性質の問題ではないので、国連行政協定といい、国連協力義務といい、そういうものに対する認識鈴木市長を初めとし、市民一同に十分にあることでありましようから、世間に起りましたような、多少言葉は悪いかもしれませんが、やみくもに基地反対というようなことをなさるようなこともなかろうと思うのであります。しかし少くもこれに類似するような不安とか動揺というような予感はお持ちになつておりませんかどうか。以上の点を私の質疑といたしておきます。
  12. 鈴木術

    鈴木参考人 お答え申し上げます。お尋ねの第一項の、施設の軍に属するもの四項をおあげになりました。この四項とも御指摘になつたことが事実であるということを私はお答え申し上げます。  それから次に財政面についてお尋ねでございまして、かつて海軍助成金にかかわるようなものの獲得に努力をして来たかというお尋ねでございます。実は本件につきましては、一番なじみの多かつた海軍がなくなりましたので、どなたを相手に話していいかというよりも、どなたを相手に話しましても、昔の海軍のような直結した官庁がおありになりませんので、張合いのないことであるというのが率直な私の心情でございます。財産をそのまま受継いでおられますのは大蔵省当局でございますけれども、これまたはなはだ率直に言い過ぎるかもしれませんが、転換法につき、あるいは税務面に、あるいは財産の面にといろいろとお願いする筋が多いものですから、さらにその上にかような問題を持ち出してお願いするのもいかがやと遠慮がちな気持になつていることも事実でございます。自治庁方面におかれましていろいろ御同情は賜わりましたけれども、これも御同情だけでございまして、数字的にかくのごとく金一封増してやろうというような、交付金をちようだいしたような記憶もないのでございます。そこで四軍港におきましては、何とかして転換法の根拠によりまして一致協力してひとつこの問題について何らか実を結ばそうではないかというので、ここ二、三年来あれこれ考えて参りましたが、これまた一向実を結んでおりません。市民はそのおい立ち、発祥が、とにかく海軍の建設という国策に発しておりますがゆえに、日本政府に対しまして御無理をお願いするという習性は、実は非常に少いと申しますか、さようなことは恐れ多いというような六十年の歴史を持つておりますので、非常に遠慮がちでございますこともこれまた事実でございます。その点はまことにわれながら不憫に存じます。そこででき得る限りかような面につきましても、当然の帰結として駐留せらるる国の御負担において、御解決を願うように政府の御奮闘を祈つておる次第でありますけれども、しかしながらこの市民政府当局に対する念願もやはり限度があると考えますので、はなはだ申しにくいことではございますが、どうしても外交折衝の面からこれが実を結ばない場合におきましては、やむを得ざる意味におきまして、政府当局の御高配を煩わしたいというのが、ただいまの空気でございます。先般本件につきまして外務省へ陳情いたしました際に、外務当局におかれましても、この点についてはたいへん御同情を賜わりまして、何とかしてこのいわゆる外交面より起つて来た犠牲については、立法措置をしてでも救済しなければならぬという心境にあるというふうなお言葉がございましたが、願わくはそのようなことが外交面において解決できなければ、さようなことでも実現させていただきたい、かような気持でおります。以上でございます。
  13. 上塚司

  14. 奥原義人

    奥原参考人 今回陳情要望しております三項目は、先ほど私申し上げましたように、呉市二十万市民の、死活にかかる大きな問題であります。従いましてこの要望が全面的に取入れられないということになりますと、現在でも市民はその問題につきまして悲壮といいますか、何かかたい決意をしておりますので、まことに憂慮すべき事態が起りはせぬかと心配しております。
  15. 上塚司

    上塚委員長 宮原君よろしゆうございますか。――それでは並木芳雄君。
  16. 並木芳雄

    並木委員 私は小瀧次官、三宅参事官に質問をいたしたいと思います。ただいまの市長議長からのお話で御承知の通り、相当緊迫した状況でございます。そこで御両氏の要望をいれて国連軍との協定を進められておると思いますが、その内容はどういうふうになつておりますか。その協定の見通しなどについてこの際承つておきたいと思います。
  17. 三宅喜二郎

    三宅説明員 国連軍協定は、御承知のように昨年七月から交渉が始められたのでございますが、その間裁判権の問題につきましては、御承知の通り先般解決いたしたのでございます。ところが他の重要な懸案であります大蔵省関係の問題、具体的に申しますれば、国有財産使用料をとるかとらないかという問題、それから関税、消費税の免税の範囲をどうするかという問題、それから先ほど御指摘の地方税であります電気ガス税を免税するかどうかという問題、それから政府の職員や財産国連軍の公務中の行為によつてこうむつた人的、物的損害に対するクレームをどの程度放棄するかというような問題につきまして、先方は行政協定下の米軍と同様の待遇を強く要望して参り、わが方は若干そこに差異を設けたいということで長らく折衝して参つたのでありますが、どうしても先方は米軍との均等待遇という主張を譲らないのでございます。そこで問題は、これらの懸案について日本側が譲歩して、そして協定をまとめるか、それともあくまでわが方の主張をつつぱつて国連軍協定は結ばれなくともよいという方針をとるか、そのいずれか二つという段階に差迫つて参つたのでございます。外務省といたしましては、日本が国連に対する協力を平和条約及び吉田・アチソン交換公文で約しておる。また日本は国連への加盟を強く希望しておる。それから国連軍の主体をなしております。英連邦諸国は、世界にいまなお偉大なる勢力範囲を持つてつて、わが方が経済的に進出するためには、どうしても英国との関係というものは円満にしなければならない。それから国際間の均等待遇、均等主義というものは、日本が明治以来強く主張して来たところであり、今後といえどもこれを主張しなければならない場面があるに相違ないというこれらの大きい政治的な観点から、この際はこれらの財政経済問題につきまして若干の譲歩はしても、協定を早くまとめることが国策上適当であり、また有利である。こういう考えに立ちまして関係省、具体的に申しますれば大蔵省と折衝をして来たのであります。事務当局といたしましては、大蔵省といたしましても譲れない。この上は政府の最高部におきまして政治的な決定をしてもらうほかはない。政治的決定があれば自分たちもそれに従うものである。こういうところに来ておるのでございます。そこで施設労務の問題でございますが、この施設労務の問題も条約的と申しますか、法的に申しますれば、条文については意見が一致しているのであります。具体的にどの施設を英連邦軍に使わすかということは、協定ができてから合同委員会で本来ならばきめることでございます。労務の調達につきましても、条文はすでに米軍との間の行政協定と同じように定まつておるのでございます。ただその具体化といたしまして、実際に労務の調達方法を直接にするか、間接にするか、また賃金その他に関する労働者の待遇を米軍と均等にするかどうかという問題があるのでありまして、これも本年ならば合同委員会で定めるべき問題であるのでありますが、外務省といたしましては、呉市の強い御要望は、数次の熱心な御陳情によつてよくわかつておりますので、できればこの際この二つの問題についても、呉市の要望がいれられるように、少くともその手がかりがそこにできているようにしたいと存じまして、最近熱心にかつ強く先方に対して交渉いたしたのであります。先方におきましても、英連邦軍のみならず、国連軍を統轄する地位にあります米側におきましてもこの問題を非常に重要視いたしまして、まじめに真剣にわが方の提出いたしました資料、また私が親しく呉を視察いたしまして先方と折衝いたしましたところを基礎にして、できるだけ日本側の要望をいれるように、目下現地軍及び本国政府と連絡をとりまして好意的に研究いたしております。そうして、先方から得ております最近の情報では、その二つの問題につきまして、日本側の要望が全部いれられるかどうか、これはなお疑問でございますが、相当有望になつて来ているように私どもは観測いたしております。ことに施設の問題で、呉市が最もその産業及び貿易、海運の発展上必要とせられます海に面した地域につきましては、その有望な項目の中に入つているように私は内報を受けておるのでございます。また先方といたしましては、この施設を移すとなれば、移すべき場所を見つけなければならぬ。移すべき場所は空襲その他でなお屋根が飛んだり、ガラスがこわれたりしておりまして、修理をしなければならぬ。その修理の費用がどのくらいになるか。また修理した場合の費用をどういうふうにして処置するか、つまり、どちらがどういうふうに負担するのかというような問題がありまして、そういう切実な財政上の問題について今研究しているところでございます。労務の問題につきましても、間接にすることは、先方としても原則としてはけつこうだ、いろいろな労働争議もなくなりますし、その他のめんどうもないから、それに越したことはないのでありますが、ただ間接にした場合に、労務の管理費が一年に五千万円ほども違うということで、これは英連邦としては非常に痛い点であります。それをどういうふうに処置するかという問題がございまして、なおまだ最終的確定的な回答はない次第でございます。しかしそう遠くないうちに、先方の意向も判明することと存じております。
  18. 並木芳雄

    並木委員 次官にお尋ねしますが、政府部内の調整ということはもうできたのですか。ただいまの三宅参事官のお話では、首脳部の政治折衝にまつ以外にしかたがないというところまで来ておりますので、お伺いしておきます。そう遠からず妥結になるという見通しですからけつこうですが、大体年内に行けるかどうか。
  19. 小滝彬

    ○小滝政府委員 先ほど三宅参事官が説明いたしました通り、最近に至りまして交渉も非常に進捗したため、私どもの期待といたしましては、実質上の問題はほぼ年内に片づくのではないかというように存じます。しかし調印とかいろいろ形式を整えるということになりますと、来年一月にならなければならない。それから政府部内の調整はできているかというお尋ねでございますが、これは交渉ともにらみ合せて最終的な決定をいたすべきものでございますからして、そうした交渉の進捗につれまして、できるだけ早くこの協定が結ばれるように、部内の意見の調整をすることになつております。ということは、たとえば今労務の管理費の問題が出ましたが、これに対して向うはどういう態度をとつて来るか、そういう他の項目に関連してまた財政的措置もしなければならないので、今かつきりと筋をきめて置くことが、はたして交渉上有利であるかどうかということは考えなければなりません。こうした交渉がだんだん最終段階に至りましたら、もちろんそうした面は調整し得るものと確信いたしております。
  20. 並木芳雄

    並木委員 念のためお伺いしますが、今国連軍と称するものは、アメリカ軍を除いてどのくらいいるのでしようか。クリスマスを控えて相当帰国しているのじやないかと思いますし、また朝鮮の休戦会談とも関係がありますので、お伺いいたしたいと思います。それとともに、今まで日本の政府国連軍としてどのくらい分担金が支払われているか、その額がわかつておりましたらお知らせ願いたい。
  21. 小滝彬

    ○小滝政府委員 詳細は三宅参事官がよく知つておりますが、国連軍に加わつているのは大体五、六千名、米国を除いて十八箇国、そのうち軍隊として来ているものはイギリス、濠州、ニユージーランド、カナダであります。クリスマスにつれて多少の移動はあるかもしれませんが、御承知のように政治会談の見通しもつかないのでありますので、大きな移動はないもののように承知いたしております。なお分担金につきましては、これまで国連軍の方は支払つておりません。
  22. 並木芳雄

    並木委員 もう一つ念のために聞きたいのですが、アメリカの海軍というものをわれわれはあまり知らないのです。一体アメリカの海軍は今どことどこにいてどのくらいですか。実際はあまりいないのじやないですか。
  23. 三宅喜二郎

    三宅説明員 私はアメリカ関係の方は直接担当いたしておりませんので、正確なお答えはできないかと思うのでありますが、横須賀とそれから呉もやはりある程度米海軍は使つております。それから佐世保も使つております。人数は私存じません。
  24. 並木芳雄

    並木委員 そこでこれは大きな問題ですが、結局朝鮮の休戦会談いかんということに関連して来ると思います。これが成立すれば、やがては国連軍も日本から撤退いたしますので、もろもろの問題が解消して行くわけなのです。今度の協定には、休戦会談が成立した場合にどういうふうにして引揚げるか、国連軍との協定がどういうふうにして終了するかという条項は、いかように取結ばれる予定ですか。
  25. 三宅喜二郎

    三宅説明員 御承知のように停戦あるいは休戦の協定はすでにできたわけで、最終的な決定のための会議が問題となつている次第でございます。国連活動の基礎になりました国連の決議には、単に共産側の武力侵略を排撃するのみならず、朝鮮において平和と安定を回復するためにこういう措置をとるということが書いてございますから、戦闘が終りましても、共産側の侵略が絶対にないという安心の行くところまで行つておらないために、国連活動がなお続くということは、不合理ではないと存ずるのでございます。そこで朝鮮における平和と安全が回復する、つまり民主的な自由選挙のもとに統一朝鮮ができたそのときに、国連軍が朝鮮から撤退するものと私どもは存じておるのでございます。もし幸いにしてそういう事態になりまして、国連軍が朝鮮から全部撤退すれば、一定の期間内に国連軍は日本から撤退しなければならない。国連軍が撤退すればこの国連軍協定は終了する。たといある国の軍隊が、たとえば朝鮮との安全保障条約のようなものに基いて、国連の決議以外の目的のために駐留するような場合にも、この協定の終了を害しない、こういうきめ方になることと存じますが、そういう方針で先方との間に案を調整しつつある次第であります。
  26. 上塚司

    上塚委員長 時間も参つておりますから簡単に……。
  27. 並木芳雄

    並木委員 そうすると具体的にいつて米韓条約によつて、アメリカは朝鮮の休戦ができても韓国を保護するためにとどまるだろうと思うのです。そのとどまる米軍が日本の基地使用することがあり得る、こういうふうに今承つたのですが、それを想定しておるのですか。
  28. 三宅喜二郎

    三宅説明員 米韓協定につきましては、まだこれは効力も発生しておりませんので、どういうことになるかわからないということを米側は言つております。そうして日本におけるアメリカ軍の駐留は二つ目的があり得るのであります。日本の防衛に直接任ずるということ、それから極東の平和と安全を維持するために必要であるという場合でございます。そのいずれかの必要がある場合には日本に米軍は駐留し得るわけであります。そのいずれにも合致しない場合には、たとい米韓協定があつても駐留の根拠はなくなる次第でございます。
  29. 並木芳雄

    並木委員 時間も迫られておりますから次に移ります。政務次官お尋ねいたします。休戦会談の成行きがすこぶる悪くなくなつておるという情報がありますが、この点についての見通しはどうなつておりますか。それとともに私は、日本が国連軍との協定を有利に展開するためにも、この際日本から朝鮮の休戦政治会議に代表を送るべきだと思うのです。ソ連が中立国として送るとか送らないとか言つておるけれども、あれはどういう根拠で政治会議出席するのかはつきりわからない。わかつたらその点伺いたいし、今度の朝鮮動乱に一番関係ある国連協力国といえば、アメリカ、英国に次いで日本だと思うのです。兵こそ送つておりませんけれども基地の提供やらその他で実際日本は犠牲を忍んでいるのですから、日本こそ代表を送る資格があると思う。送つて堂々と、今の呉だとか横須賀、そういうところでいかに日本が犠牲を払つておるかということを発言して、有利に展開して行く必要があると思うのですけれども、それらの点について御所見を承りたい。
  30. 小滝彬

    ○小滝政府委員 予備会談の見通しが一体どうなるかということにつきましては、皆様いろいろな角度から、見方によつて違うので、私何とも申し上げられません。しいて私の考え方を言えとおつしやるのでしたならば、結局は戦争はしないけれども一つのステールメートのようなかつこうで、停頓状態のようなものがまだしばらく続くのじやないかというように考えております。それからソ連の方が会議に参加するというような問題があるのに、日本が入らないのはよろしくない、お考え一応ごもつともかもしれませんが、今の日本が協力しておる国連側の建前としては、直接戦闘に参加した国がこれに加わるという建前をとつておりますので、日本といたしましては、もちろんこれに関する情報はできるだけ連絡をとつて、詳細に通報してもらう。こちらの考え方も関係国に通報するというような措置をとるものはもちろんでありますが、今参加を申し出る段階にはないのではなかろうかと思います。  なおソ連はなぜ入る問題が起つておるかということについても意見を求められているようでありますが、ソ連の方は事実上今度の紛争に非常に関係がある国で、先方側の一国、国連と戦つた側の一国として今度の協定のようなものができて、それによつてそれを縛るということができるならば、それはかえつてソ連側にも有効ではないかという考え方に出ておるものと私は想像します。
  31. 中山マサ

    ○中山委員 議事進行。今日は呉の問題を中心としてやつていただかなければならないのでありますから、今のような質問はまた国際問題のときに取上げていただきたい。せつかくの呉の問題が脱線してしまつた感じがありますので、この辺で並木さんに打切つてもらいたいと思います。
  32. 上塚司

    上塚委員長 並木君、なるべく今の中山君の発言のように、今日は呉市の関係中心としておりますから、これに関連することに重点を置いていただきたい。
  33. 並木芳雄

    並木委員 非常にこれは関連している問題ですし、きうは呉の問題だけに限定しておりません。行政協定一般の問題で、私の聞いていることなんか、一番呉の人たちは原則論として知りたいところです。ですけれどもほかの方方からも質問があると思いますから、もう一問だけにいたします。  私は今の次官の答弁ではかなり不満を抱くものです。ああいうところに行つて大いに主張しないから、呉の問題にしても横須賀の問題にしても、当面われわれが苦しんでおる困難を打開するチヤンスがない、こう思うのです。国連にも入つていない。しかもその国連協力をやつている。そして大事な休戦会談には出席もできなければ、発言権もない、表決権もないのでは、これはあまりに国連に従属し過ぎると思うのです。そういう意味におきましては、政治会議にもぜひ代表を送るようにがんばつていただきたいし、それと国連それ自体に加盟する問題にもがんばつていただかなければ困ると思うのです。最近国連憲章を改正する話も出ております。またニクソン大統領はネール首相に会つて、場合によつては中共の承認をも辞せずということを語つたということも伝えられておる。あるいは日本の国連加盟などを考慮して、何らかのここに加盟実現の道が開かれるのではないか、こんなふうにも感ずるわけです。それでかりに中共承認という問題が出た場合に、日本の加盟は容易になると思いますが、その点どうお考えになりますか。それとともに国民政府と中共との二つの独立国ができる場合、日本としてはこれとそれぞれ対等の立場において、今後友好関係を続けて行くつもりであるかどうか、その点をお伺いして私の賛同を終ります。
  34. 小滝彬

    ○小滝政府委員 先ほども申し上げましたように、国連側の諸国とは常に緊密な連絡をとつておる次第でありますから、もし将来正式の政治会談というものが開かれて、極東全般に関する問題が討議せられるようになれば、あるいは日本もそれに参加の意向を表明して、そうしたことの実現をはかるような事態も起るかもしれませんが、現在はそうした段階にないので、十分情報を交換し、日本の意向を関係国に知悉せしめる措置をとつておるというのが現状であります。  また国連加盟について何か措置を考えていないかという趣旨の質問だつたと思いますが、これは御承知のように、準加入と申しますか、仮加入とかいうような問題も取上げまして研究し、また国連の関係国とも話し合つたこともございます。しかしまた考え方によりましては、こういう仮加入のようなものであつては、かえつて正式の加入をおそくするおそれもあるというような考えもありますし、今御指摘のように、憲章を改正するというような問題もあるわけでございますが、但しこれもいろいろ手続上などで、はたしていつ行われるかもしれませんから何とも申し上げかねますけれども、そうした問題もありますので、政府としては常に注意を怠らず、一日も早く日本が正式に国連に加入できるように、措置いたしたいとせつかく努力いたしておる次第であります。  なおニクソンがインドにおいて、ネール首相とどうこう話したというようなことも、新聞では報道せられておりますが、その真否は私どもも存じませんので、これに対していろいろな想像を加えてもいかがかと思いますし、これは御指摘のように台湾の中国政府との関係もありますので、実際問題としては相当困難な問題ではなかろうかと考えます。おそらくもしそういうことを言つたとすれば、ニクソンの方は、中共側、国連側との話がついて、ほんとうに極東に平和が招来せられるというようになつたならば、中共の承認というものについて、十分考え得る余地が生じて来るであろうという趣旨を述べたものではなかろうかというように、私は想像いたす次第であります。
  35. 上塚司

    上塚委員長 穗積七郎君。
  36. 穗積七郎

    穗積委員 最初に簡単に鈴木市長さんにお尋ねいたしますが、きようは特に施設並びに財政雇用問題についての御陳情でございましたが、他の基地において問題になつておりますような、兵隊の生活を通じて、特に性生活を通じましてのトラブル、または市民としての迷惑な事実、特に社会教育上の点からの事実の有無を、ひとつお尋ねいたしたいと思います。  それから第二点は、地方税は、ここに示されておりますように、大体希望されているのは電気ガス税だけでございますか、そのほかにございましようか。  それから第三点は、その課税が可能であるという自治庁の解釈であつたようでありますが、それはどういう根拠によつてそれを主張されたのか、その三点を簡単に最初にお尋ねいたします。
  37. 鈴木術

    鈴木参考人 お答え申し上げます。社会教育面から見たいわゆる基地問題、ことに婦人を中心にした問題でございますが、この点につきましては、御多分に漏れず、他都市とともにかなりにぎやかな話題を投じた時代もございました。そこで今年の夏から、日英共同で委員会を設けまして、さようなことのないように、これが郭清と申しますか、粛正と申しますか、協力するということで、すでに三回会議を開いております。問題が問題でございますので、はつきりどうというふうな現象は現われませんけれども、漸次改善されていることは事実と私は拝承いたしております。  それから課税について、これまで具体的にこの運動をしましたのは、電気ガス税だけでございます。それはお説の通りでございます。またそれが徴税し得るというのは、これは公文書で照会いたしたのに対しまして、本年五月自治庁の税務部から書面での回答に接しました。
  38. 穗積七郎

    穗積委員 外務次官または三宅参事官にお尋ねいたします。呉市の要望の第一点でございますが、余剰施設の急速な返還要求でございます。これは先ほどのお話では、そういう意思を体して向うと交渉しているということですが、向うの人数並びに軍の活動等から見まして、先ほど来非常な余分なものを使わせているということですが、その原則はわかりましたけれども、具体的に、現在の兵力数を大体の土台といたしまして、どことどこを縮小するというような、大体のこちらの要望のリストが向うへ提出されておりますか。それがありますならば、市当局にそれがすでに内示されているかどうか。それから市の要求している余剰施設の中身と、政府国連軍交渉している返還のその物件と合つているかどうか。それを具体的にお尋ねいたしたいと思います。
  39. 三宅喜二郎

    三宅説明員 外務省が先方に提出いたしました施設のリストは、かねがね呉の方からも返還方を要望されました通りのものでございます。従いまして呉市におきましてはもちろん御承知でございます。ただ呉が返還を要求しておられます施設の総数は非常に多いのでございます。これも今ただちに全部先方に、返せということは、これは私が現地を視察しましたところから見ましても無理でございまして、そのうち呉が最も早く返してもらいたいと言つておられる十五箇所を表といたしまして、これは逐次返してもらいたい。それから他の四十箇所につきましては、やはり呉市及び日本としてはできるだけ早い返還が必要だから、好意的にそれを取上げてもらいたいという趣旨で要求いたしております。
  40. 穗積七郎

    穗積委員 それに関連してちよつとお尋ねいたします。これはあとで外務当局国連軍との協定の元条約のことについて一言だけ最後にお尋ねしたいと思つておりますが、今の問題についてその協定との関連においてお尋ねいたします。今の兵力数を大体土台として、これを遊休施設として返還を要求しておる。それを呉市または進出企業体に譲渡して使用または払下げをする、その場合に不幸にいたしまして朝鮮戦線がまた再び拡大する、またはアジアの他の地域において冷戦が拡大いたしましたときに、この国連軍との元条約を、そういう場合には向うの要求に従つて、またこちらへ駐留することを向うの意思表示で許すのかどうか、それはまたあとでお尋ねいたしますが、そういうような場合に、もう一ぺん呉市のかつて施設を使うというような場合が生じて参りましたときに、払下げまたは貸下げの場合の条件で、すぐまたそれをとりもどすということになりますと、市当局といたしましても業者といたしましても非常に困難であります。そのような状況を想定されて――条約上のことは別として、あとでお尋ねいたしますが、市並びに業者に対する契約はその場合はどういうふうになさるつもりであるか、そのときの補償はどういうふうにお考えになつておるか、その点をあらかじめちよつとお尋ねいたしたいと思います。
  41. 三宅喜二郎

    三宅説明員 ただいまお尋ねの払い下げた場合の条件はどうかという問題でございますが、国有財産は御承知の通り大蔵省で管理いたしておりまして、そういうものを払い下げる場合の契約条件等は、大蔵省が直接つける次第でございます。私どもは、直接にはそれはタツチいたしておりません。ただ今おつしやつたように、朝鮮の事態がまだはつきりいたしませんので、何どきまたそういう再侵略が起るかもしれない。それに朝鮮の会議が御承知の通り状態でありますから、そういうことも考慮いたして考えまして、向う側も今ゆとりがあるから全部返してしまうということはできない。そこは若干のゆとりを見ておいてもらわなくては困る。一旦返してからまた必要となれば、それは合同委員会を経まして日本側に提供を要求することはできるように協定上は、それはもちろんなつておりますけれども、そういうことのないように、もう少し事態のはつきりするまでは日本側の要望を全部聞くことはこれは不可能だ、こういうふうに申しておるのでございます。そこは若干のゆとりは置いてやらなければならぬかと思います。
  42. 穗積七郎

    穗積委員 ちよつと私の質問の焦点がぼけておりますが、最初はこちらにどの範囲の返還を要求するかという弾力性について今お話があつたわけであります。返還したものを払下げまたは貸下げするときに、あともう一ぺんこれを再徴用する場合の補償条項、これは大蔵省がなさるべきが当然でありますが、その場合には国際情勢に関連がございますし、条約上との関連がございますから、外務省としても当然そのことについては大蔵省にアドヴアイスをし、また当然の責任が出て来ると思うのですが、そのことをお尋ねしておるのです。どういう補償をなさるつもりですか。
  43. 三宅喜二郎

    三宅説明員 そういう点の考慮は、もちろん大蔵省に対しまして、払い下げる場合にはそういうような要素も考慮に入れて契約してもらいたいということを申すつもりでおります。  ただ国連軍の場合は、米軍の場合と違いまして、私有財産を強制的に徴収するような立法はしないつもりで、できるだけ国有財産でまかなつてもらいたいという方針で進んでおります。
  44. 穗積七郎

    穗積委員 その点についてもう一点お尋ねいたしますが、今の交渉中に国連軍の場合は米軍と違いまして、不動産の使用料をこちらが要求している。この場合はどうなるかわかりませんが、それが徴収されましたときには、その中の全部または一部を呉市に、かつて海軍助成金でございますか、それにかわるという意味は毛頭ないわけですが、今申しましたような特殊な事情で呉市に迷惑をかけているので、国連軍が払いました使用料の全部または一部を呉市の民生安定のために政府は確保されるつもりであるかどうか、その点御討議がありましたら、御意見を承りたい。
  45. 三宅喜二郎

    三宅説明員 これは財政問題になりますので、私から責任ある答弁はできないのでございますが、現在地方への平衡交付金がございまして、その額を決定する場合には、そういつたいろいろの事情を考慮に入れて決定しているということを聞いております。なお使用料でございますが、先ほど申しましたように、協定をつくらなくともいいというならば、使用料をとりたいというのでいつまでもがんばつているのも一つの方法でございますが、私どもとしては協定を早く成立せしめることが日本として適当であると考えておりますので、使用料を徴収しなければ協定はまとまるので、しない方がいいというふうに方針を考えている次第でございます。
  46. 穗積七郎

    穗積委員 第二の点についてお尋ねいたしますが、労務雇用関係について、米軍の場合と違つて直接雇用の制度をいつまでも許しておるということはどういう理由によるのか、その間の御方針を御説明願いたいと思います。
  47. 三宅喜二郎

    三宅説明員 労務の調達方法は、この点をひとつ御了解願いたいのでございますが、米軍の場合も、それから国連軍について予想されます条文におきましても、労務の調達方法は軍の選択するところによるようになつておるのでございます。米軍間接雇用が便利だと思つて米軍の選択で間接雇用になつております。国連軍の場合は、現在までのところ直用をやつておりまして、費用さえ同じならば、国連軍も間接にしてもいい、自分の方でそういうふうに選択すると言つているのであります。ところが年に数千万円も違うのでございまして、御承知のように、英連邦諸国は戦後特に経済的に困つておりまして、わずかの金でも節約しなければならないという立場に追い込まれておりまして、その点で間接雇用実現が今までせず、また現在の交渉におきましても、それが最大の難点になつておる次第でございます。条約から申しますれば、先方に選択権がある次第でございます。
  48. 穗積七郎

    穗積委員 ついでに交渉の見通しをお願いいたします。
  49. 三宅喜二郎

    三宅説明員 労務の問題でございますか。
  50. 穗積七郎

    穗積委員 そうです。
  51. 三宅喜二郎

    三宅説明員 その点は先ほど申したように、先方としては他の懸案について、財政問題について日本が米軍同様の待遇を与えてくれるならば考える余地がある、それからなおもう一つ条件がありまして、労務管理費が増加する点をどう解決するか、この問題はやはり本国の関係当局とも相談しなければ、まだはつきりと回答するわけには行かない、こういうことを言つておる次第でございます。
  52. 穗積七郎

    穗積委員 その間接雇用に制度そのものを切りかえるということは、ぜひ御努力願いたいと思つております。ところがそれがなくて、その理由は結局向うは金が惜しいから、数千万円の費用を節約するために直接雇用だといつておりますが、金のことは別としまして、それにしましてもいろいろな労働条件でございますね。ここにも陳情が出ておりますが、これらによりますと非常に近代的な、民主主義の先輩である英国が、労務問題について非常に不合理な、まるで近代的な労働条件を無視したような要求を事実行つておるようでございますが、これらについて、額のことは別としまして、それ以外の労務者に対する取扱い条件はやはりもう少し強硬に、個々の労働者が要求するのではなしに、少くとも政府が強い態度でもつて要求すべきだと思うのです。その点については事実もうすでに非常に不合理な、非近代的な労働条件をもとにおいて行われておるということでございますから、時間がありませんから多く申しませんが、ぜひこの点よく事情を査察されまして、向うの支出する額は同じであつても、他の条件が非常に悪いことが事実陳情されておりますので、その点ひとつ強く御要望なすつて、労働者の生活を守つていただくようにお願い申しておきます。  最後に自治庁の方にお尋ねいたしますが、深刻な呉市の財政状態からいたしまして、千四百万円という地方税が入るか入らないかということは大事な問題で、自治庁の御解釈によりますと、これは当然徴収し得るものだという解釈のようでございますが、それを阻害して事実は徴収されていないようですが、それは一体どこに原因があるのか、御意見をこの際伺つておきたいと思います。
  53. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 御承知のようにアメリカ軍の関係に対しましては、地方税の一部の適用を除外するという立法がなされております。英濠軍に対しましてはそういう立法がございませんので、全面的に地方税法が適用になつて行くわけでございます。英濠軍関係の人たちは、アメリカ軍と英濠軍との取扱いが、日本の独立機会に異なつて来るという点に、若干疑問を持つているのじやないかと思つております。これにつきましては外務省でいろいろ話合いをしていただいておりますので、好転することを期待いたしておるわけでございます。法律的に申し上げますと、電力会社が料金を徴収します際に同時に電気ガス税を徴収すべきなのでございます。相手から電気ガス税をもらつたかもらわないかは別にいたしまして、もし電力会社が呉市に電気ガス税相当分を納入いたしませんと、呉市が電力会社を差押えする、こういう形になつて参るわけでございます。しかし何分国際的なむずかしい問題でございますので、なお穏便に解決したいということで努力をしておるところでございます。
  54. 穗積七郎

    穗積委員 その問題について外務省の御説明をお願いいたします。
  55. 三宅喜二郎

    三宅説明員 先ほど来申し上げておりますように、財政上の懸案につきましては米軍と均等待遇をしなければこの協定ができないという客観的な情勢にあるのでございます。電気ガス税もその一つでございます。従いまして電気ガス税はどうしても払わなければならないという主張を固執いたしますれば、この協定はできないのでございます。協定を早く成立せしめますためには、電気ガス税の免税も米軍同様にやるほかはない、こういう見通しになつております。従いまして呉市の財政問題につきましては、平衡交付金その他の国内的な措置によつて善後策を講じていただかなければならないというふうに外務省は考えまして、従来からも大蔵省やその他にもお願いしておる次第でございます。
  56. 穗積七郎

    穗積委員 しかしその問題は、条約ができて――米軍同様の待遇を要求する条約を要求している、それができる、できないは別といたしまして、できたといたしますれば、当然それは国連軍の正当な要求として認められるべきですが、今は無条約状態ですから、向うがそういうことを要求するところの国際法上の権限はどこにもない。従つて、無条約状態でありますならば、条約のできているアメリカと差別待遇をするのは、少くとも無条約状態の期間中は当然です。にもかかわらず一体何を根拠としてそういうものを遠慮しておられるのか、その間の事情がさつぱりわからない。言いかえれば向うが強ければ道理も引込むというようなことになつておるように思います。そのために呉市自身といたしましても、先ほどからこのデータによつてうかがいましても、非常な財政的危機に至つておる。千四百万円でもつてこれを救うということではございませんが、その窮乏した財政から見ますならば、千四百万円も大きな財源であるということでございますから、それに対してまるでほおかむりされているという理由がわからない。われわれは法律的にも国際法上の合理的な立場を主張すべき国連軍が、そういう無条約状態においてない権利を主張するというようなことはおかしいと思うのですが、その間の御見解を承つておきたいと思います。
  57. 三宅喜二郎

    三宅説明員 法律的に申しますればお説の通りでございます。特に免税の協定ができなければ、先方は納税義務はあるのであります。ところがこの電気ガス税は、今申しました通り国連軍協定の懸案の一つでございまして、これがどうきまるかということはまだわからないのでございます。一度協定ができますれば、それは平和条約発効の際までさかのぼることになります。ですからもし免税ということになればさかのぼつて免税することになるのでありまして、一旦払つてそれを払いもどすというのはいろいろ技術上困難もある、こういうことからペンデイングの状態に置いておる次第でございます。なお、法律的にいえば払う義務があるのでありますが、払わないからといつて外国軍隊の財産等の差押えができないものでございますから、なかなか実行上の困難もございまして、協定がもうじききまるのだし、それの決定をまつていずれとも措置をとろう、こういうことで今宙ぶらりんの状態にある次第でございます。これはやむを得ないことでございます。
  58. 穗積七郎

    穗積委員 それに対しまして自治庁は、非常にお気の毒な呉市の財政に対して、何かそれにかわる特別な対策をお考えになつておられるかどうか、一言お聞きいたしたいと思います。
  59. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 外務省英濠軍にも電気ガス税を免除すべきであるという考え方を持つておられるということは、実は私はここで初めて承知したのであります。私は現行法の解釈通り英濠軍電気ガス税を納付すべきである、こういう考え方を持つておりましたし、自治庁におきましても今日もなおそれだけの金額は納入されるものだと考えております。しかしただいま外務省の見解もございました通り、かりに免除すべきものであれば立法措置を講ずべきものだと思つております。これがいいか悪いかという問題もいろいろあろうかと思います。従いまして今後なおよく研究いたしました上で処置して参りたいというふうに思います。
  60. 中山マサ

    ○中山委員 関連してちよつと伺いますが、外務省はこの協定ができればさかのぼるから、それでその間の電気ガスの税金は払わないでもいいというようにおつしやつたように私は伺いましたが、さかのぼつて払わないでもいいという考え方は、どこから割出してあるのでございましようか。  また大蔵省お尋ねをいたしますが、もし国民が払わない場合には、いつでも差押えをなさる。それなのにこういうふうな大国に向つては、差押えということは全然考えられないというようなお考えでございますか。これはちよつと受取りかげんによりますが、財産がないからとおつしやるんですけれども、押えようと思えば私はないことはないと思うのでございます。そこまで強硬な態度をおとりになれば、向うも何とかするんでしようが、こちらの弱腰を見越して、そういうふうなものを払わぬのじやないかというような気もいたしますが、どういうお考えでございましようか。さかのぼつてこれを解消するという法律的の根拠は、どこにあるのでございましようか。外務省がただそうなるであろうとお考えになるのですか。それとも必ずさかのぼつてここへ持つて行かなければならぬという、はつきりした根拠があるのでございましようか。これを伺いたい。
  61. 三宅喜二郎

    三宅説明員 私は現在国連軍が払わなくてもいいということは決して申していないのでございます。ただ協定の今までの交渉によりまして定まつた案文では、いろいろの問題につきまして、刑事の裁判権の問題を除いては、講和条約発効のときまでさかのぼらすのがお互いに便利であるという見地から、そういう遡及項の規定が設けられたのであります。従いまして協定が発効すれば遡及項の条項が発効いたしますから、そこで免税についても平和条約発効のときまでさかのぼつてずつと免税させる、こういう見解でございます。根本はまた免税されるかどうかが問題なので、それが懸案でございますから、税務当局としては、もし今とれば、あとでさかのぼつて免税される場合に、返還その他の手続もあつて不便であり、めんどうである、こういうことから徴税を強行されない一つの理由になつていると存ずるのでございます。なお外国軍隊の差押えできるできないの問題は、差押える財産が多いから少いからではありませんで、国際法上外国政府、軍隊の財産は差押えができないということになつておりますから、そう申し上げたのであります。
  62. 奧野誠亮

    ○奧野説明員 私は外交関係のことについては知識がございませんで、国内法に基いて判断いたしております。英濠軍電気ガス税の納付の問題につきましても、呉市その他から、外務省が骨を折つていただいていると聞いておりましたので、納入させるように骨を折つていただいている、かように考えておつたわけであります。何分独立して日が浅いわけでございますし、アメリカ軍と取扱いが異なつたばかりでございますので、その間に多少時日を置かなければならないのじやないだろうか、こういうふうに考えておつたのであります。英濠軍だから差押えができないというふうな考え方は毛頭持つておりません。ただ先ほど申し上げましたように、差押えは電力会社が行うのであります。電力会社はそれだけの金を英濠軍からもらうわけでございますが、くれなければ送電を停止する、こういうような形になつて参るのではないかというふうに思つております。
  63. 中山マサ

    ○中山委員 今それだけの金をとつておいたならば、さかのぼつて返すのがめんどうだというお話でございますが、私の考えますには、それだけの多額の――一年でも今のようなお話の多額の金であります。これを数年間に見積れば、その利子としても私は相当なものがあると思いますのに、そういうようなお考えは少し甘いのじやないかと私は思いますが、そのほか生れて参ります利子のことについてはお考えになつたことはないですか。
  64. 三宅喜二郎

    三宅説明員 私が先ほど来るる申し上げておりますように、免税の協定ができませんから、現在は国連軍は法的には払う義務がある。それを実際上どう措置するか、とるかとらないかという問題は、税務当局の決定せらるべき問題たと存じております。私どもとしてはとらなくていいというようなことは決して申したことはない。英連邦に対してはどれくらい払つているか、まだ協定で免税がきまつていないのだから、早く払つてもらいたいということは申しているのであります。
  65. 穗積七郎

    穗積委員 今の問題は、法律的にない権利を向うが主張しているのを許しているので、まつたく政治的でございます。自治庁のお考えが国民の正当な意見であると思います。従つて問題は非常に政治的な含みでのみこれが無理を通されているわけですから、先ほどの税務の問題については政務次官からあとでお答えをいただきたい。続いてもう一点政務次官お尋ねいたしますが、国連軍との協定そのものについては、やがて別の機会に根本的にお尋ねをいたしたいと思いますが、呉市との関連について一点だけお尋ねいたしたいと思います。しかも交渉の段階が重要ですから、お尋ねいたしますが、国連軍が日本に駐屯することを許す場合、先ほど言われましたように朝鮮の統一政権ができるときまで――そのときが期限だ、こういうことなのです。ところがわれわれの観測では、朝鮮の戦争がやまりましても、朝鮮の統一政権の樹立までは非常に困難であるし、しかも長い時間がかかる、こういうふうに見ておるわけです。そうなりますと、国連軍の日本駐留の必要というものが、実は事実上は消滅いたしましても、なおかつ向うが欲するならば日本に駐留を継続するというようなことになろうと思う。その点について次官のお考えをお尋ねいたしたい。  もう一点は、協定の問題についてでありますが、この協定をどういうふうにおきめになるか知りませんが、国連軍が駐留を撤退し、または兵数を減らす、そういう弾力性のある状態は、まさにアジアにおける国際情勢に関連する協定になると思うのですが、その場合の判断が問題です。そうして新たなる事態がまた生じましたときに、国連軍側が日本にもつと多くの地域に駐屯する必要を認めた場合には、国連側の一方的意思によつて日本がこれを了承するのか、あるいはそこで合意が成立しなければ、これを拒否することができないのか、たとえばアメリカとの関係におきましては、日本がアメリカの駐留軍の駐留を必要としないということを認めましても、一方的な廃棄はできない協定になつております。すなわち合意が成立しなければできないということになつておる。そこで今度は国連軍が駐留を継続し、または駐留を増強する必要を認めたときに、日本の一方的意思によつてこれを拒否することができるようにするのかしないのか。言いかえれば合意が成立しなければこれを拒否することができないということになりますと、向うが必要だと認めたということによつて、こちらは駐留を継続することを認め、または増強するということを認めなければならないことになるわけですが、安保条約との比較におきまして、国連軍の駐留の継続並びに増強等についての規定はどういうふうにされるつもりであるか、その点を第三点としてお尋ねいたします。  以上三点について政治的な問題でございますから、次官からお答えを願いたい。これで私の質問を終ります。
  66. 小滝彬

    ○小滝政府委員 まず第一の点は、なぜ電気ガス税を払つていないのにそれを放任しておいたかということでございます。これはもちろん御承知のように国連軍がおりますのは、吉田・アチソンの交換公文に基礎を置いておる。そうしてあれにはこれまでの条件または新しく協定せらるる条件において、日本に駐留を認めるというようになつておるのです。しかしそれは課税の問題は別個であるという議論にもなるでありましよう。しかりとすればこれはかつてに連合軍が税を払わないでけしからぬという議論も出るので、そうした法律論も成り立つであろうと考えますが、しかししもともと国連軍との協定というものは一日も早く決定しよう、決定した条件でやろうというのでやつておりましたところ、非常にわれわれが想像しておつたよりも難航いたしまして今日に至つたために、それがはつきり解決しておらないのは遺憾でありますけれども、しかしながらこれは必ずしも絶対に払わないということを向うががんばつたわけではなくて、でき上るべき協定の命ずるところによつてこれを決定しようというやり方で来ておつたのでありますからして、われわれは国際間の親善関係を維持するという見地からもいたしまして、早く協定をきめてそれによつて払わせるとか、あるいはやむを得ない場合は免税を認めようという方針で進んでおつたものでありまして、先ほどから御議論のあつたように、ただ脱税しておつたとか税を払うのを拒否したというように見るのは、多少苛酷に過ぎるのではないかと思います。またそういう場合には法的措置――今国内法でいえば電気会社が差押えなどの対象だそうでありますけれども、かりに国連軍の方に対してそういう措置をとることが正当であるといたしましても、何といつても国際間のことでありますから、国際法の原則によらなければならない、しかりとすれば外国に駐留するところの軍隊でありますから、その軍隊の地位というものは認めなければならないのではないか、こういうことになりますと、そうした措置も国際法上とることが困難であるということと、もう一つは政治的に考えまして、友好関係つまり協力しようという国連軍との関係でありますから、そうした措置をとらなかつたというように考えていただきたいと思います。  その次に、この国連軍は韓国に統一政権ができるまでとどまるであろうというようなことをあるいは三宅参事官から申したかもしれませんが、私聞き落しましたけれども、結局この問題は、いつまで駐留するかということは、現在の国連軍の朝鮮における活動の目的というものが解消したならば、そういう事態がなくなつたならば、そうして国連軍の方でこれを撤退しようという決議ができましたならば、当然撤退すべきものであり、あの吉田・アチソン交換公文によつて日本の負うた義務というものは解消するわけでありまして、それは必ずしもあの朝鮮半島の統一政権ができるかできないかということにはかかつておらぬ。これはあるいはそういう見方をする人もあるかもしれませんが、統一政権ができなくてもそうした軍隊を行動させる必要がなくなつて、国連の方の決議でこれを撤退さすということになれば、残るものは安保条約の関係によるところの米軍だけでありますから、国連軍としての地位というものは解消してしまうという関係になるものと存じております。  それからもう一つの極東の情勢によつては今後減員することもあるであろうし、あるいは場合によつてはもつと増員するということもあり得るであろうというお話でございますが、まことにその通りであります。しかしそのときに一方的に向うが日本側へこれを強制することができるかと申しますと、それはやはり施設とか区域とかいうようなものに関します限り、これは合同委員会で日本側の同意を得なければならない、あるいはその人数について今五千人が六千人になつてはいかぬというような規定は設けられないのでありますが、少くともそういう日本側の提供すべきものについては、合同委員会において審議して、日本側の同意を得てからやることになりますので、その意味において決して日本の意思を無視してそうした施設が強制的にとられるということはあり得ない次第であります。
  67. 上塚司

    上塚委員長 前田榮之助君。――ちよつとこの際申し上げておきますが、小瀧外務政務次官は通産委員会から出席を要求しておりますので、先に小瀧次官に対する質問をやつていただきたいと思います。
  68. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 それでは政務次官お尋ねいたします。国連軍が日本に駐留しておる。言いかえれば呉に駐留しておると言つていいほどに中心は呉であるのであります。その駐留しておるのは条約というものに基かないで、アチソン・吉田交換公文によるもの、あるいはまた平和条約による日本の国連に協力しなければならないという条項等が含まれて日本に駐留いたしておると存じておるのであります。そういたしますならば、日本がいたずらに犠牲を多くして、そういう簡単な交換公文等による駐留を一年半もなぜ日本政府はほうつておいたか、これは政府の重大な責任ではないかと思うのであるが、この点どう考えておるかという点が一つ。  第二点は、駐留軍労務者の間接雇用の点であるが、これは日本人が外国人に雇われる関係であります。ことに外国の軍隊へ雇われる関係である。日本の政府は日本人を保護し、そうして日本人の生活を守ることが、日本政府の責任でなければならぬ。それを国際的な条約によつて強い制約を受けなければならぬ、国連軍に対して日本の政府は、日本人を使用しないなりあるいは人権を尊重しないなりそれはかつてにしろというようなかつこうをとつておるのではないか、日本政府は断じてそういうことは許すべきものではないと思う。早く国連軍との協定を正式に結んで、一年半もほうつておかないで、日本政府は責任を持つていわゆる間接雇用の形において積極的に進むべきものではなかつたかと思うのであります。これは日本政府の重大な責任ではないかと思う。一年半もこのままほうつておいたということについての外務省の見解、責任、こういうものをいかに考えるか。しかも今回結ばれようとするところの国連軍との協定に際してはたして自信があるか、いわゆる間接雇用にする自信があるかどうか。こういう点ともう一つは、国連軍との協定、いわゆる条約文というものの中にはそういうものはおそらく入つて来ないのではないか、それはいろいろなあとの打合せ事項等において行われるのではないかと思うけれども、その条約文を交換し調印を行う以前にこの点を明確にしなければ条約の締結をしないという強い決意があるかどうか。この点をまず第一にお尋ねいたします。
  69. 小滝彬

    ○小滝政府委員 先ほどのお話では条約に基かないのに呉に国連軍を置いておるというような御発言だつたように私聞き取りましたが、この吉田・アチソン交換公文というものは議会の御承認も得てできましたものであつて、形式は交換公文でありましても、りつぱに国際法上の条約であります。その条約に基いて国連軍は日本におつたわけであります。そこで一年半もそれを、条約のないままにほうつておいたのではない。条約上の根拠があり、しかも国連軍の極東における活動の必要があつて、そして極東で活動しております以上、この原因が解消しない。でありますから現在もこちらに駐留しておる次第であります。次に、間接雇用にしなければならないというのは私どもも同様に考えておるのでありまして、ぜひこの話合いをつけたいというので、せつかくこれまでも努力して参つております。先ほど三宅参事官が申しました通り英濠軍側も本国政府に向つてこの点について訓令を仰いでおるというのが実情であります。この新しい国連軍協定ができましたならば、もちろん労働三法の保障も当然とりつけ得るようになる次第であります。これまで呉における国連軍の被用者が米軍に雇われておる人に比して不利な立場にあつたのは遺憾であります。こうした状態を解消しようと思えばこそ、これまで長く国連軍との協定に関する交渉を続けたわけであります。刑事裁判権の問題、いろいろな問題がございまして非常に長引いたのは遺憾でありますが、一日も早くこれをつくり上げまして、労働者の地位も保護したいというのが、私どもの熱望しておるところであります。  なお間接雇用の話がつく自信があるかどうかというお尋ねでありますが、先ほど申しましたように、先方は今本国政府と打合せておる段階でありますけれども、これまでの交渉の経緯から考えますと、大体十中八、九まではそういうかつこうに持つて行けることを私どもは信じておるものであります。なおこうした問題は条約文に入らなくとも、前もつて片づけておかなければならぬものじやないかとおつしやいますのは、まことにその通りでありまして、現に日米行政協定の十二条におきましてもその第四項を見ますと、労務に対する需要は、日本国の当局の援助を得て満たされるというように書いてあります。でありますから大体これと同じ協定ができるとすれば、仰せの通り、前もつてそうした点の話合いをつけておくのが有利でありますので、先ほどから三宅参事官も説明しておりました通り施設返還とかあるいは労務者の問題というものは、最終的に調印いたします前に先方の了解をとりつけて、できるだけ――もちろん詳細につきましては合同委員会にまかせなければならないでありましようが、根本については大体の話合いをつけて行こうという努力をいたしておる次第でございます。
  70. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 無条約状態と言つたのは――日本にいる駐留軍そのものは、アチソン交換公文という一つの条約に基いておるという点は私も了承いたしますが、いろいろな事項、裁判権の問題等も最近ようやく条約文ができ上つたということであつて、いろいろな条件を伴う条約はほとんど無条約のままでおつたという点なのであります。この点は政務次官を責めたところでしようがないから、私は別の機会に譲ることにいたしますが、ただわれわれが今の外務省の態度に不安を持つておる点は、たとえば電気ガス税その他の使用料等をあまり強く押せば、協定が不成立に終つて、なお一層この状態が続くおそれがある。従つて痛いところへさわるような気持をもつて折衝に当つておる、外交交渉に当つておる、こういう感じがするのであります。これを称して私は軟弱外交だと思うのでありますが、米軍の駐留については平和条約その他の有力な力、有力な条件によつて、日本人の中には歓迎しないものがありましても日本に駐留いたしております。ところが国連軍については、直接日本を保護する立場にはないと私は思うのであります。向うの駐留軍当局はそんなことを言つておるそうでありますが、問題は直接的には朝鮮の南北の紛議の問題なのでありまして、それがために日本が犠牲になることは、国際道義上その他の関係があるだけであります。従つてこれは強く日本政府が押さなければならぬと思うのでありますが、その点今の電気ガス税その他の点や、それから労働条件等を強く押せば条約が成立しないおそれがあるというので、はれものにさわるような気持交渉されているような気持のように感ずるのであります。それでは、日本人は非常に不安心、その犠牲のしわ寄せが呉市に来るに至つては、呉市の市民は承知できないということに相なろうと思いますが、そういうことに対して明確な、自信のある態度をこの際示していただきたい。
  71. 小滝彬

    ○小滝政府委員 向うの言いなりになるのでありましたならば、協定はもつともつと早くできておるはずであります。刑事裁判権の問題、また施設の問題、いろいろがんばつておりましたればこそ長引いたのでありまして、決してただ向うの言うのをそのまま聞いておるのでないことは、先ほどからるる御説明申し上げたことで御了解くださるだろうと存じます。ただ実際問題として相手のあることで、一方的な申分だけをいつまでもがんばつておることは交渉者としては一番楽なことであります。松岡外交と言えば語弊があるかもしれませんが、ただ脱退してもいい、できなくてもいいというのであれば、それも一つの行き方でありますけれども、なるべくなら互譲妥協の精神でこの問題を片づけた方が、先方に都合がいいばかりでなく、むしろ日本にとつて都合がいい。先ほどから話もありましたように、今まではすべてが確定してないので不便不利きわまりない状態でありましたので、これを早く確定するという考え方から、三宅参事官も先ほど御指摘のような表現を使つたことと存じます。しかしまた振り返つて考えてみますと、日本の受ける利益は直接的でない、それにもかかわらず日本は犠牲を払つておるという考え方でありますが、しかしながら日米の安保条約を見ましても、軍隊がいるのは極東における平和と安全の維持に寄与することがまず第一の目的である、しかりとすれば、この国連軍が日本に一番近い一衣帯水の関係にある韓国において自由国家群のために戦つたということは、地理的に言つても日本が一番影響を受ける立場になるということも考えられ得るわけであります。このような軍隊が日本にアメリカ軍と両々相まつて一緒におる場合に、平等の待遇を与えるということは、ただ単に交渉をすみやかに結末づける目的のためのみならず、公平の立場から見ましても、また日本の受けておる利益というような面から考えましても、また軍隊の士気を高揚するという意味から考えましても、必ずしも不合理なことではないのじやないかという考えを私どもつておるわけであります。但し、先ほど並木委員の御質問にでしたか、あるいはほかの委員の方でありましたか、答えましたように、これが最終的に政府としてきまつた意向ではなくして、向うの出方もあるので、政府首脳部ではつきりどの線できめたということになつているわけではありません。ただ外務省側の見解としては、先ほど三宅参事官が申しましたように、この電気ガス税についてもそうしたとりはからいをすることが、いろいろな角度から考えたときに妥当ではなかろうかということにすぎない次第であります。これは近く最終的にきめなければなりませんが、それは他の条件ともにらみ合せて最終的に決定いたしたいと考えておる次第でございます。
  72. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 相当時間もたちましたので、次官に対する質問はこの程度にして、ただ最後に希望を申し上げておきますが、昨年の七月ころから交渉を開始されまして、本年はもうすでに年末であります。相手が相当むずかしいものであつただろうと思いますが、ひとつ十分がんばつて、日本国家のために、国民の利益を擁護しながら対等な協定を結ばれるように最大の努力を払つていただくことをお願いしておきます。  次に市長さんと議長さんに、簡単な条項でありますが、お尋ねを申し上げておきます。  今お聞きのような質疑応答の中において、電気ガス税は、自治省庁の方では当然差押えをしてやつてもよいというお言葉で、外務省は、国内法はそれにしても、やはり一般協定を結ぶ点においていろいろなことを考えなければならぬ条項ではないかということで、市長としてはどちらがほんとうかわけのわからぬようなことになつただろうと思う。従つて、この電気ガス税について、今まで地方においてこれをとるべく市の条例に基いて何か手を打たれたことがあるかどうか、こういう点を第一にお尋ねいたします。  それから接収地の解除の問題については、現地駐留軍司令部の連中と外務省を通じてやることではありますけれども現地の司令官の意向等を十分知る必要から、多少交渉をしてみられたことがあるのじやないかと思う。現地駐留軍司令部の方ではこんなことを言つておるということがありましたならば、お開かせ願いたいと思います。  それから議長さんにお尋ねしておきたいのは、議長さんのお話の中に、市民は重大なるところの段階に来ておるというようなお言葉があつたようであります。このことは、今の駐留軍が直接雇用になつておることから起るところの多くの被害、それから市民の不安、こういうものが重大に取扱われておるという点とあわせて、その当事者であるところの労働組合として、重大な決意をいたしておるのではないかと思うのであります。その労働組合の重大な決意には、スト等を含むところの決意が含まれておるのじやないかと思うのであります。そういうことが市会において何か問題になり、それから市民の中にもそういう意味を含んだ重大な段階だと私は解釈したのでありますが、この私の解釈がよろしいかどうか。そうじやない、ほかのことだ、こう思われるならば、その点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  73. 鈴木術

    鈴木参考人 電気ガス税につきまして、先ほど来外務当局と自治庁側の御見解をいろいろ承りまして、実は御指摘のように、ああそうであつたかということを初めて知つたわけでございますが、市といたしましては、さようなことは存じませんので、ただいま御質問のように現地の軍とは折衝いたしましたが、現地の軍では、中央の方からのさしずを仰いでおるのだというふうなことで、これまで荏苒日を送つて来たのが実相でございます。ありのままをお答え申し上げます。
  74. 奥原義人

    奥原参考人 ただいまの御質問でございますが、市民大会も開催する、労組もストを決行するというふうな点を、できるだけ今日まで抑えて参つた状態でございまして、ただいまここに呉市内の各団体の代表者から決議文が参つております。かような状態でございますので、不慮の事態が起るのではないかと心配したことを申し上げたのであります。
  75. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 きわめて重大な段階に来ておるということを考えますと、外務省は特にひとつ力こぶを入れてもらわなければならぬことだと思うのであります。  それで三宅参事官にお尋ねいたしますが、呉市が具体的な条件を付して要望されておるところの接収地の解除の中で、特に十五点については、呉市の将来の盛衰に関係があるというので強く要望をされておりますが、その点について外務省も多大の努力を払われておる点を明らかにされたのであります。ただ相手方があることでありますから、なかなかそう思うように行かない点もあろうと思うのでありますが、最近非常に好転したときよう答弁されておるのであります。こういうところでどの点まで好転したかというようなことを質問することはやぼな考えかもしれませんが、少くとも呉市の重大な関係については、元の海兵団の、つまり呉市の中心心臓部がどうなるか、それから商港としての岸壁等は、いかに呉市が新しい港湾都市として発展しようといたしましても、岸壁のない港湾都市というものは成り立たないことは御承知の通りであります。そこでひとつ三宅参事官にお尋ね申し上げるのは、大体あなたの好転されたという感覚は、十五点の中で少くともわれわれが考えてみて半数以上は解除できなければならぬと考えるのであるが、少くとも三分の二くらい解除があるならば好転だと外務省の方から言われてもいいけれども外務省みずから好転だというふうに言われるならば、相当広汎なる解除が行われるとわれわれは考えがちなのです。その点は具体的なところまで進んでおるのではないかと思いますが、説明できる範囲内においてこの点を明確にいたしていただけるならば幸いだと思うのであります。
  76. 三宅喜二郎

    三宅説明員 呉市の代表の方もお見えになつておりますので、先方の係官が個人的に好意的に内報してくれたところまでもぶちあけた次第でございます。数が十五のうち幾つくらいということになりますと、先方は先ほど申し上げましたように、まだ最終的な正式決定をいたしておりません。その決定は今週末ごろか来週初めごろになる見込みでございますが、それまでは数字の点を言うことはお許しを願いたいと存ずるのでございます。好転と申しましたのは、従来御承知のように施設の決定について予備作業班なるものが設けられておりまして、そこでいろいろと折衝しておつたのであります。その折衝の結果三、四箇所は解除されたものもあるのでありますが、呉市が最も強く要望される十五項目につきましては、全然その決定を見なかつたのであります。今度最後的な折衝の結果、それの相当の部分が解除されそうだ、解除する目的をもつて向うが真剣に考えておる、こういう意味で私は好転と申し上げた次第でございます。
  77. 上塚司

    上塚委員長 前田君には相当の時間を提供したつもりですから、この際きわめて簡潔に質問の要旨をおつしやつてください。
  78. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 それでは最後に一点だけ。電気ガス税の問題で市が強制執行等を行うことは、電気会社、ガス会社がその料金とともどもにとるべきだという自治庁のお話であつたが、外務省はそういうことを呉市でとつてよいと考えられるか。それは今十分明確でないから、研究の上答弁すると言われるなら、それでもよろしゆうございますが、この点明確にしておいてもらわなければ、いかなる法律に根拠を置いて、呉市がこれをとるかとらないかを決定するかということを――幸いに当局が来ておられるので、この点をこの際明確にしておいていただきたいと思います。  あとは労務者の関係、それから接収地解除の関係に十分なる御努力をお願い申し上げて、私の質問を終ることにいたします。
  79. 三宅喜二郎

    三宅説明員 先ほど来申し上げておりますように、法的にいえば、先方は協定で免除が規定されるまでは支払う義務がございます。しかし先方が払わないからといつて送電をとめたり、先方の持つている財産を差押えるというようなことは、日本が国連に対してあらゆる便宜を供与することを約しました平和条約及び吉田・アチソン交換公文の精神から見て、政治的におもしろくないし、ことに先方の財産を差押えるがごときは、法的に申しましても不可能であるという見解でございます。ですから先方が自発的に――先方も払う義務があることは認めておるのであります。協定ができるまで払う義務がある。しかしこの問題が協定交渉で懸案になつてつて、免除になるかもしれない。なつた場合にはいろいろめんどうが起るからぺンデイングにしておこうという態度をとつているのでありまして、また日本側の徴税当局においてもそういう見解で、今まで手荒なことはやつておられないのだと私は聞いておりますので、法的な問題と実際的な措置とは若干そこに考え方をかえて、ひとつ穏便にやつていただきたいというような外務省の見解であります。
  80. 上塚司

    上塚委員長 これにて各党一人ずつ質問を終りました。なお再質問の要求がありますが、本日は本会議がありますので、きわめて短時間五分間くらいずつ本問題に関連してのみ順次質問を許します。宮原幸三郎君。
  81. 宮原幸三郎

    宮原委員 本日の質疑応答によりまして明らかになつたことでありますが、外務省と自治庁との連絡がきわめて不十分に受取れるのであります。呉市長立場からはあるいは地方で、ことに電気ガス税の歳入欠陥は外務省側の御協力を得て、自治庁から交付金またはその他の名義によつて呉市の方に交付せられるのであろうと期待せられていたのではなかろうかと思うのであります。この点についても呉市長の御意見も伺いたいし、なお外務省におかれてもイニシアチーヴをとられて自治庁との関係を調整せられまして、万一地方税免除というふうに行政協定調印せられたような場合においては、呉市の側に歳入の欠陥を生じないようなはつきりした措置をとるという御決定を御表明願いたいと考えるのであります。  それから簡単にもう一点だけお尋ねしておきますが、先ほど来外務省当局の御努力によりまして、国連軍も従来の態度を豹変して、相当交渉が有望になつたということが明らかになりましたことは、外務省当局の御労苦に対して敬意を表するのであります。しかしそれはまだ決定的のものでないことは先ほど来あわせて御言明がありまして、まだにわかに楽観を許さないわけであります。そこでこの際合同委員会に持ち込むというような安易な考えは毛頭お持ちでないと思いますけれども、この際ぜひともある程度の成果を上げていただきたい。合同委員会へ持ち込まれた結果について私は非常に不安を持つ。この際に解決されないようなことがあつては、前途まことに悲観すべきものではないかと思う。その例に日米合同委員会では、昨年の四月にあつた土地建物施設、これが二十八年十月末現在で一軒も一坪も弁償されていない。民有財産は別でありますが、国有財産の部面については一軒も一坪も弁償していない。日米合委員会は何をしていたのかと一応われわれがちよつと言いたくなるくらいなところであります。また国連軍との御交渉は、独立後日本代表として大蔵省の二代の管財局長が折衝せられて、九回も会談をなされているけれども、土地、建物、施設においてほとんど返還はされていないのであります。こういうような交渉が成功していないところを見ましても、合同委員会なるものに対する期待は非常に薄いのでありますが、この際輿論の高まつておるときでありますから、大いに御労苦の上にまことにお気の毒ではありますが、成果の現われるように期待をいたし、これについての御所見を伺いまして本日の質疑を打切ります。
  82. 三宅喜二郎

    三宅説明員 第一に電気ガス税の問題につきましては、従来からもこの税金を免除しなければ協定は成立しないから、そのつもりで呉市に対する補給金、平衡交付金等は考えてもらいたいということは、大蔵省や自治庁に対して申したのであります。これは私自身が出向いて申したのでありますから間違いはないのであります。なおこのことが最終的に協定で免税ということにきまりますれば、なお、さらに十分あつせんの労はとるつもりでございます。  なお施設の問題につきましての宮原委員呉市長、市会議長さんの御意見なり御希望はこの上とも体しまして、目鼻がつくまでは多少協定の成立が遅れても御希望にできるだけ沿うようにいたします。
  83. 上塚司

    上塚委員長 並木芳雄君。
  84. 並木芳雄

    並木委員 法務政務次官三浦さんと呉市長と市会議長、国警から刑事部長の中川さんの御出席ですから、私これに関連した問題をお尋ねしたいと思います。  今日呉から市長議長もお見えになつていろいろ陳情も受けたのでございますが、私は刑事裁判管轄権が日本に移つてからの犯罪の発生と、その取締まりの状況を伺いたいのです。これはなかなか必ずしも円滑に行つておらないようであります。たとえば収容施設が足りないとか、あるいは通訳がいないとか、あるいは英語の話せる弁護士がいないとか、なかなか弱点が多いのであります。こういう点をどういうふうに改善して行くつもりであるか、予算などはどうなつておるか、犯罪の状態が昨年の同期と比較してどういうふうになつておるか、また刑事裁判管轄権が日本に移る前と比較して、どんなふうになつているか、そんな点を比較していただければなおはつきりすると思いますが、どなたでもけつこうですから、一番適切な方から逐次御答弁をいただきたい。私が聞くところによりますと、やはり警察制度の改正なども、刑事裁判管轄権が移つて来てから一層必要になつたのではないか、国警と自治警との関係が特に必要を生んでおるのではないかと思われます。そこで警察制度の改正については、政府もいろいろ考案されておるようですが、いよいよ今度の休会明けの通常国会に出す段取りになつておるかどうか、そういうような点について伺いたい。  それから第二の点は、私たちはあまり気がつかなかつたのですけれども、実は羽田空港とか、その他呉のような海軍基地、そういうものを通じて意外に国際犯罪と称せられるものが多いということなのです。これはたいへんなことであつて、たとえば米ドルの密輸とか麻薬の取引とかその他いろいろ犯罪が多いようであります。これはどうしても厳重に取締りをしていただかなければ因ると私ども思うのですけれども、何らか立法的に欠陥でもあるのか、あるいは立法的に欠陥はなくても行政措置に欠陥があるのか、そういう点を実際の犯罪の状況、取締りの状況などと照し合せて御説明願いたいと思います。  最後にやはり外人などに対する問題も含めて、日本が保安庁法の改正などをして行く上においては、スパイの取締り法案、あるいは機密保持法案というものなども必要になつて来るのではないかという観点から、政府は着々この準備を進めておるやに聞いておりますが、これはどういうふうになつておりますか。ことに外人に対する、また外国の軍人、軍属、家族に対する関係などはどういうふうに措置される方針でありますか、これらの点について逐次答弁をしていただきたいと思います。
  85. 三浦寅之助

    ○三浦政府委員 第一の刑事裁判権がわが国に移つてからの犯罪状況、取締りの状況についてお答えいたします。刑事裁判権の条項が改正された十月二十九日から十一月の末までの外国兵犯罪事件の発生状況は、検察庁の受理件数において合衆国関係が四百十九人、国連軍関係が二十二人であります。昨年の同期間においては外国側において処理していたので統計が不完全でありますが、大体わが国の方で認知した刑法上の犯罪についての発生状況は、合衆国関係が二百六十七人、国連軍関係が十八人であります。なお刑法犯以外の犯罪を加えると犯罪の発生状況はほぼ大差がないと思われるわけであります。現在日本でも厳重な取締りを行つておりますし、また外国軍側も協力してくれますので、兇悪な犯罪がだんだん減少するように考えられています。  それからそういうような犯罪に伴うところの収容所の設備とか、通訳、弁護士というような問題でありますが、そういうふうな収容する刑務所のいろいろな設備というようなものについても、着々準備をしておるのでありまして、そうさしつかえはない状況になつておると考えております。また通訳等におきましても、これに対する養成のためにも予算等の措置を考慮しておるつもりであります。なお弁護士等につきましては、御承知の通り各地方におきましてもやはりそういう関係の担当の弁護士もおるわけでありますし、また御承知の通り国選の制度もあるのでありまして、裁判所において適当に国選の弁護士が選任ができるのでありますから、さしあたり支障はないはずであります。  それからそれに関連する警察制度の問題等につきましては、地方制度の調査会あたりでいろいろ答申もしておられますが、法務省といたしましては、この問題についてはどうするという意見がまだまとまつておらないのであります。  それから羽田空港における国際犯罪の問題でありますが、羽田空港において最近特に釜山から朝鮮人が米国軍票ないし米国ドルを携帯いたしまして密輸する犯罪が非常に目立つておるようであります。この種のものについて本年の十一月以降起訴した者が十一名、通告処分をした者が三名あります。また岩国空港においては、昭和二十六年六月ごろから同年末までの間、朝鮮人が岩国空港税関官吏に贈賄して、常習的に朝鮮・日本間で密輸しておる事件があつたのでありまして、現在まで収賄六名、贈賄十名、密貿易八名を起訴しておるような次第であります。密貿易品は、日本からは日用品、朝鮮からは米国軍票であります。  それから呉港においては、本年の九月ごろ、日本人若干を含む朝鮮人数名が、常習的に釜山・呉間の英国民間定期船を利用いたしまして米国軍票を密輸し、金、地金米国ドル等を密輸していた事件がありまして、現在までに起訴した者が四名であります。最近のこういう密貿易犯罪が終戦のときと違いまして、正規の交通機関を利用しまして、常習的なものが多く、その手段もきわめて悪質化しておるのであります。従つて捜査にも非常に困難な場合が多いのでありますけれども、最近これに対するために、税関官吏等の素質も非常に向上し、また徐々に検挙の実績を上げておるのでありますが、今後におきましてもこの種の犯罪につきましては、関係官庁と密接な協力をいたしまして、厳重に取締りをいたしたいというように考えておるわけでございます。  それから最後の、スパイの取締りとかあるいは機密の取締りというような問題につきましても、実はいまだ法務省といたしましてはこれに立案は策しておりません、関係しておらない次第であります。
  86. 中川董治

    ○中川説明員 外国人の、米軍及び国連軍等の犯罪関係が、行政協定の改訂等に伴いまして警察の留置場内に留置する、そういう問題がだんだん出て来たので、関係者と連絡を密にいたしまして準備をいたしております。現在のところ、たとえば警察職員の通訳の問題、あるいは留置場内におきまして、外国人の生活環境等に応じての処遇のことも考えて、著々実行しておりまして、たとえばベツトを留置場内に備えつけるというような方途を講じておりまして、現在のところこの問題につきまして特別に支障を来しておるような状況ではございません。そういつた施設その他をするにつきまして、今日の現行警察法におきましては、自治体の区域にかかる事項につきましては当該自治体警察の負担、従つて当該自治体の負担、国家地方警察の区域に関する事項につきましては国費の負担でありますので、国費からこれを支弁いたしまして実施いたすというような状況のようであります。  それからまた外国人の犯罪、ことに国際的に行われる密貿易、密輸等の事案につきましては、これは外国人が犯す場合もございましようし、日本人が被疑者の場合もあるのでありますが、こういつた点につきましては関係警察が連絡を緊密にいたしまして、その犯罪捜査、検挙等に手抜かりがないように、いろいろ打合せ等もいたしまして、緻密な処置をいたしております。これに関連いたしまして現行警察法上不便ではないかという御質問のようでございますが、この点につきましてはいろいろ犯罪捜査の方針という問題から考えられるべきでございますし、その他各般のことにつきまして総合的に政府として考えなければならぬ問題でございますので、いろいろな点を考慮して研究は進めておりますけれども、警察法改正の議につきましてまだ成案として決定したものはございませんので、ただいま政務次官からお答えになつ通りでございます。
  87. 上塚司

    上塚委員長 神近市子君。
  88. 神近市子

    ○神近委員 この資料をいただきまして、それから今各委員からの御質問で、呉市の実態というものが大体私どもにもわかつたような気がいたします。  ただ一つだけちよつと鈴木市長にお伺いいたしたいのは、われわれのところでは基地経済という問題が特殊の意味で今扱われているわけでございます。それで平生呉市は、あるいは横須賀、佐世保というようなところと比べまして、特殊な基地経済の面から考えられていたのでございますが、この税額のところを拝見いたしますと、総収入が十四億五千万円、それに純粋な自己財源による歳入が四億円となつております。それで年々約十億に近い欠損が出て来るはずでございますけれども、公債は割にふえていないところから考えまして、年額の十億に近い税収はどういうところから入つて来ておりますか。  それから大体において産業都市として更生しようというお考え、いわゆる基地経済というものにたよらないで、産業都市として発達したいというお考えは、たいへん健康な御計画で、私ども衷心から御協力しなくちやならぬというふうなことを感じましたけれども、実態として今その十億くらいの収入の中には、たとえば特殊飲食店の特殊飲食税とか、あるいはそういう商売をする人たちに課される事業税というようなものも相当額含まれているのではないかということを考えますが、その点ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  89. 鈴木術

    鈴木参考人 お答え申し上げます。二十八年度の市の財政面をざつと申し上げますと、予算総額が十四億五千万円でございます。そのうちで市民税が三億五千万円、それから使用料手数料、これが三千五百万円、合計三億八千五百万円が固有の市の収入でございまして、あとは平衡交付金とか補助金とか起債とかでまかなつております。つまり十四億五千万円と申しましても、わずかにその四分の一が固有の収入でございまして、あと四分の三はみないわゆる他力によつてまかなつているというふうなありさまでございまして、実は今日まで赤字財政を出さないで来たのがふしぎだと自治庁でも言つているくらいでございますが、この三億五千万円の市税の大部分市民税でございます。はつきりした数字をただいま記憶しておりませんけれども、巷間伝うるところによりますと、呉市の市民の総収入が七十億くらいある。また駐留軍労務者の収入が年収二十二億円ありまして、駐留軍兵士諸君の消費されますところの金が大体十億ないし七、八億ではないか。とにかく駐留軍関係から三十億円前後の収入があるというのが、一種の常識になつておるようでございます。従いまして呉市の現在が、駐留軍に相当依存しておることは事実でございます。けれどもまたすでに今日まで八つばかりの大工場が参なております。大体建設半ば過ぎまで行つておりまして、順次新しいしかも堅実な職場がふえております。いずれかの日には迎えなければならない総撤退の日、これはただいま市といたしましては、過去数年間にわたる市民の熱意、ことに自力更生に燃え上つておりますところのこの結集した熱意をもつて、克服できるという自信を持つております。
  90. 上塚司

    上塚委員長 次は戸叶里子君。
  91. 戸叶里子

    戸叶委員 簡単に三点だけ御質問申したいと思います。  まず第一点は、三宅さんにお願いしたいのですが、私どももきよう呉市からの参考人の方からいろいろ伺いまして、皆さん方のお考えになつていらつしやることが妥当だということを感じたのですが、外務省の方もおそらくそういう点一々なるほどとお感じになつて、その線に沿うて交渉をしてくださると思いますけれども、今日の御要望の中で、この点はどうもむずかしいのではないかというふうにお感じなつた点がございましたら、それを具体的にお話願いたいことが第一点でございます。  それから第二点は、呉市の市長さんにお伺いしたいのですが、今までの受けておりました損害賠償の点はどういうふうになつておりますか。その点に対しては、外務省の方では、ほかの米軍と同じような補償をしていられたかどうかという点を承りたいと思います。  第三点は、先ほどから犯罪の問題が出ておりましたが、国連軍が来てから呉市で受けた犯罪の件数は大体何件くらいで、それが年々ふえていたか減つていたか、その点について承りたいと思います。
  92. 三宅喜二郎

    三宅説明員 呉市の御要望は、施設返還と、労務の調達の方法と、電気ガス税の三点であると承知いたしておりますが、この電気ガス税の免税は、日本側が譲歩しなければ協定は成立しないということは、私ここで申し上げ得ると存ずるのでございます。  施設の問題につきましては、先ほど申しましたように、形勢は相当好転して参りました。しかしその返還の要求の中には十五項目ありまして、これの全部を実現することは不可能ではないかと存ずるのであります。これは私が現地施設を一々見まして、倉庫等を見ましたところでは、大体一ぱい入つておりました。何といいますか、倉庫のはりの上まで荷物が置いてありました。また倉庫外の露天に、カバーを着せて物が置いてあるような始末でございました。従つて倉庫を明けしめることは、私は相当困難かと思つております。しかし呉市として最も必要とされる港湾施設港湾に面したところ等の返還につきましては、日本側の意向も相当いれられるのじやないかというふうに考えております。  労務の問題につきましては、形式の問題、つまり直接にするか間接にするかという問題、米軍雇用労務者との均等待遇とういことがあるのであります。米軍労務者との均等待遇は、私はこれを先方に承諾せしめる可能性が多いと考えております。直接か間接かの方法の問題は、目下先方が経費の問題等で研究いたしておりますが、いずれになるということを早急に申し上げることは、不可能かと存じます。先方も真剣に、できればそうしたいというふうに考えていることは事実でございます。
  93. 鈴木術

    鈴木参考人 お答え申し上げます。講和発効前の損害補償と申しますか、につきましては、漁業の面におきましては二億円を要求いたしましたところが、これに対して見舞金として三百万円をちようだいいたしております。また農地補償につきましては、一億七千万円を要求いたしましたところが、これには二百五十万円を見舞金としてちようだいしたにとどまつております。講和発効後のものにつきましては、ただいま要求、折衝中でございます。次に犯罪の数の問題でございますが、ただいま正確な資料を持つておりませんけれども、昨年、一昨年あたりかなり紙面をにぎわせましたが、これが実は双方とも薬になりまして、だんだん減つて参りました。最近は一日に一件弱だと言つて、検察御当局ではたいへん喜んでおりました事実だけを申し上げておきます。
  94. 戸叶里子

    戸叶委員 今までの総件数はわかりませんか。大体全体でどのくらいあつたか……。
  95. 鈴木術

    鈴木参考人 ただいま覚えておりません。一日一件弱いうのは最近でございますが、よほど減つたと検察当局では喜んでおりました。
  96. 三宅喜二郎

    三宅説明員 その犯罪の件数につきまして、私ここに正確な数字は持つておりませんが、講和発効から国連軍に関する刑事裁判権の議定書ができますまでの一年半くらいの間に、四、五百件あつたと思います。それから議定書の調印ができましてから十一月末までの一箇月余の間に、二十六件ということになつておりますから、これを一年間に概算いたしましても、従来より減つていると存じます。
  97. 上塚司

    上塚委員長 これにて質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席をいただき、かつ長時間にわたつて有益なる御意見を開陳してくださいまして、まことにありがとうございました。委員長より厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十分散会