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帆足委員 昨今の
日本の貿易がたいへん不振でありますことは、これは国際的にも一般に不景気の前兆が強くな
つておるような状況でありまして、国際連合の統計を見ますと、
日本の貿易は
戦前の三〇%、しかるに世界の水準は一三六というようなことで、輸出非常体制をしいてよいくらい、国際収支の問題は緊迫を告げておるのでございます。ただいまの
外交は、やはり
経済外交とい
つてよいくらい経済が重要でございますから、輸出振興に対して一段の御
努力を願いたいのでありますが、幸いにして貿易の
条件であります国際
情勢は、多少平和への曙光が強くな
つて参りまして、特に原爆から水爆に移り、最近は航空機は音響速度の二倍を越えまして、香港から
日本まで一時間で来られるくらいの発達を示しつつある状況でありまして、チヤーチルの言うこと、それから一昨日のアイゼンハウアー
大統領の声明などは、歴史的、画期的な声明として十分検討し、尊重に値するものでないかと
思つております。こういう状況でありますから、
日本はこの平和の中において、貧しくても簡素で、そして清潔な生活、清潔な自立経済について、ぜひ心を砕くときであると思いますが、内外とも、また労使双方にわた
つて、
国民の自覚を必要とする重要なときであると思いますが、
日本の貿易の一還として、どうしても東南アジア並びに北アジア、中国との貿易について一段と
努力せねばならぬと思います。先日中国で経済使節団が協定を結んで帰りましたにつきましては、
外務大臣からもこの実施については、大いに自由諸国との協調の範囲で協力するというお話がありまして、われわれは大いにこれを多とし期待しておるわけでありますが、さて西欧並ということになりますと、まだ
政府当局の施策御熱心の度合いにおいて多少隔たりがあるように思います。そこで輸出制限の品目につきまして、西欧並にいたしますために一段の御
努力を払われたいのです。たとえば今度自動車の輸出を認められましたが、しかし自動車の部品を輸出することは今差控えられております。部品を持
つて行かずに自動車を輸出するということは、修理ができませんために——機械工業ではすべてサービスを
条件にいたしておりますから、たいへん困
つておる次第でございまして、至急こういうことを通産省と御一緒に御研究願いたいのでございます。また硫安の輸出や苛性ソーダの輸出も認められまして、硫安等は需給逼迫の今、春肥を控えておりますので非常な操作が必要でございましようが、これらでもキヤンセルされてしまいまして、西ヨーロツパのものをすぐ買われるということになりますと、むざむざ国際収支の緊迫したときに、開らん炭や塩を買う
資金を失うわけでございますから、事情の許す範囲において、もう少し
外務省当局においても積極的に御推進を願いたいのでございます。また硫安が出ませんと塩を買うことができない。現在自転車だけでも四万台からの発注を引受けて、一月中に送
つてしまうことにな
つておるのでありますが、その見返りも塩でございます。硫安ができないばかりに塩の値段もきまらないというように、バーターでございますから相互に連関いたしておりますので、ひ
とつ経済局におきましては、西ヨーロツパ並ということでけつこうでございますから、積極的に御鞭撻、また
政府当局にできることは御協力のほど願いたいと思います。別に書きましたものも差上げておきました。また議員連盟等で研究いたしたものも
事務当局にお届けいたしておきましたから、
大臣並びに
関係官におきまして御善処方を要望いたしたいと存じます。
私
どもは今日の内外の状況のもとで、中共貿易だけで問題が解決するなどという安易なことを
考えておるのではございません。
日本は貿易国でございますから、
アメリカとも西ヨーロツパとも、東南アジアとも——そのために
外交というものがあるのでございますから、千々に心を砕かねばなりませんけれ
ども、水爆の時代、超音航空機の時代になりまして、平和は来るという確信がますます持てるときでありますから、
国内の生活を緊張さして、そうして倹約をして、そうして自立するための自覚を持たねばならぬ重要なときだと思います。その一環として、中国五億の民のおる市場から機械的に隔離されるということは忍びがたきことで、とうてい
日本経済の自立は不可能でございますから、国際
情勢が平和に向いましたのと相ま
つて格段の御
努力を願いたいというわけでございます。