○
田辺政府委員 御
説明いたします。昨年の八月一日現在で未
帰還者集計表というものを
政府が発表しております。それによりますと、
ソ連における
生存資料のある者は一万二千七百二十二名、千島、
樺太が千七百八十二名と相な
つております。この
数字は、統計表の
説明にも書いてありますように、
終戦後去年の八月一日現在に至るまでの間に
生存してお
つたという
資料のある人すべてを含んでおります。
ソ連地域は、御承知のようにわれわれ行
つて国内
調査をするわけに行きませんので、すべてカーテンを通して見ているわけであります。
従つて、一度でも入ソしたという
資料のある人は、その入ソしたという
資料のところで
生存に勘定せざるを得ないのであります。これで現在何名生きておるかということは、推定であり、解釈にすぎないわけであります。そこで、われわれの方は、その人の最後の
生存の
資料をとりまして、その時期にその人の
生存資料欄にあげておるわけであります。その
生存資料欄を一九四五年から五三年まで年度別にずつとあげておりますが、それはその年にその人の最後の
生存の
資料があ
つたという
資料であります。
従つて、その
資料を見ますれば、
終戦直後において入ソしたという
資料があ
つて、その後何とも
資料がない者から、きわめて最近において
帰還した人全部を含んでおるわけであります。ですから、これをたとえて申しますれば、まつ白に写
つておる人もありますと同時に、黒ずんで写
つている人もある。やや灰色に写
つている人もある。これが未
帰還者集計表の実態であると思います。実態は、
生存しておるか、あるいは
死亡しておるか、どつちかであると思いますが、これはわからないわけであります。カーテンを通して見るよりほかない
数字でございます。この中をよく読んでみますと、二十五年以降に
生存しているという数は少うございます。大
部分が
終戦時から
昭和二十四年までの
生存資料のある者が多うございまして、
昭和二十五年以降
生存資料がある者というのは少いのでございます。しかも、
昭和二十五年度の
生存資料ある者は、いわゆる中共渡しの
戦犯を含んでおるわけであります。これは
資料として現実にあが
つている
数字でございますから、これは集計表として
一つ別に持
つておるわけであります。われわれといたしましては、このほかに現在どのくらい
生存していると認められるか、こういうことも別途
調査を要することでございます。ことに、
留守家族の
方々に対しましては、この前第一次、第二次でお
帰りにな
つたわけでございますので、この方から得ました確実な
資料によ
つていろいろお知らせしなければならない。そこで、最も確実と思われますのは千四十七名でございます。この載
つている
方々が現在どうな
つておるかということを今調べているわけであります。次に、
通信は来ておるが
名簿に載
つていない、こういう方も確実なわけであります。これも
先ほどお話した
通りにな
つております。そのほか、ごく最近における
帰還者が、この人はどこどこで
生存しておるのを自分は確認したという
資料を集めておるわけであります。その場合でも、
名前を
はつきりつかんでおる場合と、
名前を
はつきりつかんでない場合とございます。
名前を
はつきりつかんでおる場合には、すぐ
留守家族に連絡がとれますので、これは一応調べておるわけであります。それから、
名前はわからないが、自分がお
つたところには大体このくらいの
日本人がお
つた、こういう
数字をあげております。この
数字を集計いたしましたものが、
先ほど申し上げた
数字でございます。従いまして、
先ほどの集計表から見ますと、
昭和二十七年以降における
生存資料のある者と考えていいと思いますが、それ以前におけるものは、
生存資料があ
つても、
生存の確実性という点から申しますといろいろ濃淡があるわけであります。
これらにつきましては、それをどうや
つて確かめて行くかという問題でありますが、これは今後帰
つた人の
合同調査なり、あるいは個人的にいろいろ調べて行くうちに、だんだんそのほかの
生存確実という人の
名前もつかんで行くことができるかもしれません。これは今後とも大いにやりたいと思います。それと並行いたしまして、
ソ連の
赤十字社に対しまして、
日赤から、いわゆる
安否調査というものをいたそう。これは、先般
島津社長が
モスクワに行
つた際に、
安否調査には応ずるということを言
つておられたそうでございますので、これをやろうじやないかということで、
政府で若干経費を援助いたしまして、
日赤が独自の立場で、もちろん厚生省といたしましても
外務省といたしましても、いろいろ
資料的な援助はいたしますが、
留守家族からのいろいろな
希望によりまして、一々
名前をあげまして
向うに
照会をするという段取りでおるわけであります。従いまして、その
数字の差は、大
部分が
状況不明の方であるということになるわけであります。この問題を今後どうして明らかにして行くかということが今後の未
帰還の問題の大事な点であると思うのであります。これは、いずれにいたしましても、国内
調査はもちろんできるだけやりますが、国内
調査によ
つてすべて明らかにするということはなかなかむずかしいのではないか。ことに古い
生存資料のものにつきましては、過去に帰
つた帰還者から聞く以外にないわけでありますから、これによ
つてしらみつぶしに
状況を明らかにするのには相当困難性があると推察されますので、結局は
相手国の協力を要する問題ではないかと考えておるわけであります。これにつきましては、
日赤にも援助いたしまして、
日赤の働きによ
つて問題の範囲をできるだけ狭めて参りたい、かように考えておるわけであります。