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1954-10-27 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十七日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長代理理事 岡田 五郎君    理事 關谷 勝利君 理事 山口丈太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       西村 英一君    臼井 莊一君       並木 芳雄君    楯 兼次郎君       正木  清君    田中幾三郎君       中居英太郎君    吉川 兼光君       館  俊三君  委員外出席者         運輸事務官         (大臣官房観光         部長)     間島大治郎君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運輸事務官         (船員局長)  武田  元君         運輸事務官         (自動車局長) 眞田  登君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君         海上保安庁長官 山口  傳君         運輸事務官         (中央気象台総         務部長)    北村 純一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 静夫君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         専  門  員 堤  正威君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 十月二十七日  委員伊東岩男君辞任につき、その補欠として本  名武君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  大型バス及びトラック交通制限等に関する件  昭和三十年度運輸省基本政策等に関する件     —————————————
  2. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それではこれより会議を開きます。  委員長病気のため、理事の私が委員長の職務を行います。  ではこれから昭和三十年度運輸省基本政策について調査進めます。当局より説明を求めます。甘利船舶局長
  3. 甘利昂一

    甘利説明員 それでは私から船舶局関係昭和三十年度基本政策を簡単にお話申し上げます。  御承知のようにわが国の造船能力は、現在の雇用量ベースにいたしますと約六十万総トンといわれております。施設能力から考えればおそらく百万トンを越えるのだろうと思われますが、現在その雇用量ベースの六十万トンを一応造船能力といつております。一方それだけの能力がありながら、需要の方は、毎年大体政府資金によつてつておりますところの外航船の建造が従来三十万トンでありましたが、本年度ははいろいろな関係で十五万六千トンと最近ようやくきまつたわけでありますが、来年度以降は年間約二十万トンとして、五箇年間外航船を大体四百万トン整備するということでありますので、今後の外航船需要は約二十万トンと一応見ます。そのほかに保安庁の船であるとか、あるいは大型漁船鋼製漁船であるとか、そういう雑船が二、三万トン例年ございます。  われわれが今後最も重点を置いて行きたいと思いますのは輸出船でありまして、これは過去の実績から見ましても、非常に多い年には三十万トン近くもありましたし、金頭にして約七千万ドル、少いときでも金額で約三千万ドルと非常に大きな輸出を占めておりまし、現在も機械輸出のうちの約七〇%は船で占めております。全体のプラント輸出にしましても、約五〇%程度船舶でありますし、しかもその仕向先欧米各国至るところに行つておりますので、それから見ましても、日本造船技術とか能力というものは、世界の水準に近づいておるというふうな点からいたしまして、今後も輸出の増進ということが船舶について最も大きく望まれ、また希望を持ち得るものだ、こういうふうに考えております。従つて年度も、そこの資料にございますように、船舶輸出の目標を約二十万総トンといたしまして、この目的達成のためにあらゆる努力をしたい、こういうふうに考えております。現在ことしもすで、に総トン数で二十万トンを突破しておりますし、今契約がまとまりつつあるものを入れますと、おそらく三十万トンを越えるのじやないか、こういうふうに考えられます。  それで輸出の最も隘路になつておりますものは、日本造船に使いますいろいろな材料あるいは製品が、国際的に比べて非常に高いいということでございますが、特に造船用鋼材が諸外国に比べて非常に高いということが、最も隘路になつております。これは船価の中の約三〇%を鋼材が占めておりますので、それが高いということが非常に船価の上に響きますので、これについてわれわれは昨年度別口外貨金利引下げによりまして、トン当り七千五百円の助成をしてもらいましたが、本年度以降はやめになつております。幸いにして砂糖リンクがありますので、先ほど申しましたように、現在非常に輸出が伸びておりますが、これが将来なくなるとすれば、やはりこういう国際的に高い資材、特に造船用鋼材について、国際価格国内価格との差額のトン当り七千五百円を、何らかの形で助成してもらいたいということでございます。  それから税の面で助成措置を講じてもらいたいと思います。その次に書いてありますように、現在輸出所得控除制を行つておりますが、これは輸出所得の五〇%もしくは売上の五%、いずれかのうちの低いものということになつておりますが、現在の造船所経理状況から見ますと、いろいろな面で制約を受けておりますので、どうしても所得が少くなつて参ります。輸出所得の五十%という方で押えられますから、できればこの輸出所得の五〇%の制限を撤廃してもらつて、売上げの五%というふうにしてもらえれば、それによつて税の面において相当大きなプラスがありますので、輸出の促進になるのじやないか、こういうように考えております。  それからその次に造船所固定資産税でありますが、御承知のように造船所資産は大部分が船台であるとかドックであるとかいうような固定資産でありまして、この費用が非常に大きいものですから、これをできるだけ減免してもらいたいということでございます。  また一方、市場の開拓として、現在すでに先ほど申しましたように欧米各国から引合いがありますが、大部分がやはり日本造船技術なりあるいは能力というものを認識せず、欧米でなかなか注文ができないような二流あるいは三流の船主が来る場合もありますので、日本から在外公館あたり工務官を駐在せしめるとか、あるいはその他によつて日本造船技術あるいはその内容をよく宣伝せしめ、いい船主か来るようにしたいということも一つありますし、同時に、日本から造船使節団を派遣してその実情を示す。単なる使節団でなくて、あるいは日本でつくりました船が諸外国に寄港いたします際に、そういう船を利用しまして実物を見せながら、そこでいろいろ宣伝するということも有効じやないか、こういうように考えております。また反対に、現在も非常に大きな引合いのありますのは、南米のチリーとかアルルゼンチン、ブラジル、それからトルコ、ユーゴスラビア、インド、パキスタン等東南アジア諸国でありますが、こういう地域から向うの権威者あるいは関係者を招待して、日本造船所を視察せしめる。現にブラジルあたりからは、昨年からそういう要望が非常に強くありますので、こういうものを実現して、日本造船所実情を認識してもらうということも一つじやないか、こういうように考えております。  それから、たとえば今申し上げましたように相当引合いもあるし、また船価の点においても造船所は非常な努力を払つておりますが、最近では船価の点で一部出血のものもありますので、砂糖リンクによつて補つておりますが、むしろ船価の点より支払い条件が非常に問題になつております。たとえば先般トルコで行いました約三千万ドル程度一括入札におきましても、船価においては日本が落札したのでありますが、その後支払い条件をいろいろ検討しました結果、結局二番札のドイツに、これは欧州決済同盟により決済ができ、日本より有利であるということで落ちましたが、そういう例もありますので、この支払い条件について格段の措置をとつていただきたい。その一つとしましては、輸出入銀行船舶に対する融資わくを広めてもらいたい。最近は幾分楽になつたかと思いますが、非常に引合いがあつた今年の七、八月ごろは、輸出入銀行融資わくがないということで、ふいになつたものが相当ございますので、まず融資わく広めてもらいたいということが一つであります。同時に、貸付金利引下げ貸付期間延長、現在四分五厘でやつておりますが、諸外国はもつと安くやつておりますので、詣外国並にしてもらいたい。貸付期間は十年以内ということになつておりますが、実際は五年以内ということでやつております。フランス、ドイツの例を見ましても、七年とか八年という例もありますので、これも国際並延長してもらいたいということであります。  次に輸出保険料率、これも現在相当低いのでありますが、諸外国並引下げてもらいたいということであります。  その次に書いてありますのは、先ほど申しあげましたように、注文を持つて来る国はいずれも資金的に非常に困つているとことが多いのでありまして、でぎれば多角決済実施等を要望したいということであります。  次は対共産圏輸出円滑化でありまます。これも相当活発な引合いがありますが、いろいろな事情制限されておりますので、これもさしつかえない範囲で諸外国並に許してもらいたいということであります。  なお一方、造船所自体としましても合理化すべき事がありますし、また現在の過剰能力を円滑に整理いたしまして、不当な競争を起さないようにというようなことも、われわれとしてこれは当然やらなければなぬらことじやないかと思つておりしますので、こういう点さらに努力してもらいたいと考えております。  なおこれは予算の問題になりますが、来年度予算として、造船技術向上なり国際競争力を増強するために、いろいろな艤装品とか補機類貸付研究制度をやつてもらいたいということでありますが、これは現在輸出船について、主として外国船主から、無線機であるとかあるいは補機の一部を自国製のものによつて補つてもらいたいということで、船主から支給されるものが相当あるのです。われわれ決して内地品がそれについて劣るとは考とえておりませんが、船主いろいろ使つた経験あるいは評判等によつて、やはり自国製品の方がよいということで、やむを得ず船主に支給してもらつているものがあります。これを輸入する金額年間約十七、八億ありますが、これらは造船主努力によつて内地においても十分できるものではないか、こういうように考えますので、予算措置を講じまして、そのうち特に必要なものを一部見本輸入として政府輸入して、それを業者に貸し付けて研究させて、そうしてそのあと船につけるというような制度をとつてもらえば、年間十七、八億に上るこれらの艤装品輸入防止できるではないかと考えております。  以上申し上げましたことか造船輸出を中心にしました来年度造船其本政策でございます。     —————————————
  4. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 山口丈太郎君より緊急質問が出ておりますので、これを許します。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 お許しをいただきまして、昨日一般行政の中で当委員会に報告があつたと思いますが、それと同時に、本日の新聞紙上に報せられております大型バス交通制限に関する政令についての建設省考え、及び運輸省自動車部考えについてお尋ねをいたしたいと存じます。  まず第一に、私がこの緊急質問をなぜいたすかと申しますと、この新聞紙上に報ぜられておりますようなことが実際に行われるといたしますと、これは自動車業そのものの死活問題はもちろんのこと、それに従事いたします従業員の死活問題というだけではなく、それが地方産業開発あるいは交通に及ぼします影響はきわめて甚大でございまして、あまりにも私は現在の日本道路事情輸送状況等にそぐわない措置ではないかと考えるわけでございます。それでお許し願つて緊急質問をお願いしたのでありまして、もしこれが新聞紙上に報ぜられておる通りといたしますと、私は建設省に対しても深くこれらの点については考え直していただく必要があると思うのであります。  まず第一にお尋ねいたしまする点は、現在の日本道路はほとんど、ここに掲げておりますような車両トラックの幅員の二倍の道路幅を持つておる、あるいはそれにさらに五十センチを加えた実際の効用路面を持つておる道路は、日本にはほとんど皆無といつてもいいくらいな道路状況にあると思つておるのでありますが、建設省はまず道路について一体現在どういうお考えをお持ちになつておるか、御説明いただきたいと思います。
  6. 富樫凱一

    富樫説明員 道路との関係における車両制限に関する政令案建設省でつくりまして、ただいま関係省と御協議を願つておるところございます。この政令案の出ましたのは、道路法の第四十七条によるものでございますが、この四十七条に基きまして交通の安全を保持するためにこの政令考えておるわけでございます。政令のできます前には、これは政令ではございませんが、通路規格というものがございまして、その規格に基きましてバス路線トラック路線を免許しておつたわけでございますが、今回のこの政令でその規格をきめたいという考えでございます。最近自動車事故が多くなりまして、そのうちのあるものは、幅の狭い道路に大きな自動車がが入るということによつて起るものも少くないのでございまして、しかも最近自動車の幅がだんだんに大きくなつてきておりますので、特にその必要を感じて来たのでございます。そこでただいまお尋ね日本道路は、この規格に合うものかないではないかというお話でございます。日本道路は非常に劣悪でございまして、今後大幅の改良を要するものでございますが、二車線以上を持つておるという道路は、府県道以上にいたしましても全体の約五〇%ほどしかないわけでございます。しかしこの政令できめようと考えておりますのは、そういう二車線の幅を持たない道路、すなわち一車線幅道路におきましては、待避所を設けることによつて自動車を通したいという考えでありますので、これらを考えて行きますと、日本道路におきましても、バスを通し得る道路というものは相当延長になるわけでございます。そういうことから、この道路管理者立場からいいますと、この程度にいたしませんと、自動車道路関係によつて起る事故防止できないというふうに考えておるわけでございます。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今御答弁をいただいた範囲では、道路管理者として建設省は、その免許について今までいろいろ苦心をされていたようでありますが、しかし現在の実情では、あまりにも無制限バスあるいはトラックの形を大きくして行くということは、まず足元を整備した後に、その実情に沿うよう行うべきものであることば私も認めるのでありますが、しかし一方において現在の交通事情は、そのような旧来のいわゆる小型のものを許さない事情にあることも、これまた現在の実情だと思うのであります。そういう場合に、いたずらに時代に逆行するバストラック小型化を要請いたしましてもそれはとうてい望むことのできないことでありますし、同時にそれは現在の近代輸送力増強の面から考えますと、時代逆行もはなはだしい問題をそこに持つと私は思うのであります。そういたしますと、まず日本道路網整備に関しては、建設省はこのような現行の動く機関制限するよりも、むしろ道路管理者としての立場から、道路本来の姿を改善するように努力することが、私は建設省本来の仕事ではないかと考えるわけであります。それを単に、いたずらに事故が起きるからというようなことで、交通制限だけをもつて事故が未然に防げるというような考えは、これはまたあまりにも建建設省はその事情を知らないものではないか、こういうふうに考えるのでありますが、一体これをどういうふうに根本的にお考えになつて折るか、私は重要な問題でありますから御説明をいただきた路いと思うのであります。
  8. 富樫凱一

    富樫説明員 ただいまのお話はごもつともでございまして、私どももそう考えております。道路整備いたしまして、かような制限のない道路にいたしたいということは根本の対策でございますので、私どもといたしましては道路整備に極力努力しておるわけでございます。ただいま道路整備実情お話申し上げましたならば、この間の消息をご理解いただけるのではないかと思いますので、若干御説明申し上げたいと存じますが、日本道路のうち府県道以上にいたしましても十四万キロございます。このうち全然自動車の通らないという道路は二十五%ほどございまして、また残りの大半は未改良、すなわち自動車二台がすれ違いできないという幅でございます。これらを改良いたしますのに、全体でただいま一兆八千億ほどの経費がいるわけでございますが、これを改良するためにただいま道路整備五箇年計画というものを立てまして、それによつて実行いたしておりますが、この五箇年計画が二千六百億とい事業費でございまして、これが全体り道路整備に対しましては、約十五パーセントほどの事業量にしかならないわけでございます。従いまして全体を整備いたしますのには、七、八十年かかるという勘定になつて来るのでございまして、いかに努力いたしましても、現在通つておりますバス路線あるいは定期トラック路線整備いたしますのには、ここ数十年ではなかなか望みがたいのでございます。むろん現在通つておる路線につきましては、極力整備努力はいたします。待避所を設け、また幅を広げるということはいたすわけでございますが、全体についてはなかなか長年月を要しますので、やむを得ず交通制限をせざるを得ないという状態であるわけでございます。
  9. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 この制限については、私はやはり事故防止というのがその主たる目的で、それ以外には考えられないのじやないかと思うのです。そこでこの発表されておりますものを見ても、すべてそのようなことを主眼に置く。聞くところによりますと、これが急速に具体化いたしましたのは、先日事故を起しました三重交通バス転落事件、こういうものからたまたま急速に政令の問題が表面化したというでありますが、問題は、この事故原因は、ただその自動車大型ということで、型にのみ限定されるとは考えられないのでありますが、建設省はその自動車交通の全体についてどういうふうに考えられておるか。ただそういう単純な考えで、事務的に政令さえ出せば、少くとも事故は半減できるとでも考えられておるか、そういうことであれば私は非常な誤りだと思うのでありますが、ひとつそれらの点について詳細のお答えをいただきたいと思います。
  10. 富樫凱一

    富樫説明員 自動車声紋原因はいろいろございますが、道幅が狭いために起る事故というものは割合少なかつたのであります。しかし道幅の狭いところでほかによけるところもない、たとえば橋梁のようなところでは、自動車のために人が死んだという例もあるわけでございます。なお沿道自動車のために非常な迷惑をすることも多いわけでございまして、たとえば屋根の瓦がこわされる、あるいは電柱が倒れるというようなことで、こういう事故が再々あるわけでございます。最近起りました大きな事故は、道幅が狭いために起つた事故ではないわけでありまして、こういう事故がきつかけとなつて、この政令案が促進されるような機運になつたことはその通りでございますけれども、そのために今回起りましたような事故がなくなるというふうには考えられないわけでございます。ただ道幅が狭いところへ大きなトラックバスが通るために、沿道の者がこうむる被害、また狭いところで人が死ぬというような事故はなくしたいというふうに考えておるわけでございます。この考え方で参りますと、一車線道路は、その道路幅から一メートル半引いた部分自動車の幅でなければならない。特に必要のある場合には一メートルまでこれを緩和することができることにしておるのでございますが、これだけの余裕がないと、自動車が一台通れば人も歩けないということになりますので、この限度はぜひ道路の幅として必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  11. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の方の実情から見ましても、現在の日本道路は、全体的に見れば明治維新前の交通に適するような道路であつて、およそ日本道路ぐらい近代交通にふさわしくない道路はないのであります。しかしながら日本自動車操縦技術といいますか、日本人くらい器用な操縦技術を持つておる者はおそらくなかろう、このくらい悪い道路で、このくらい事故を起さないで運行しているところは珍しいと言つていいくらい、その従事者は非常な努力をしておると思うのであります。しかるに政令を公布されてしまうということになりますと、今の説明から行けば、あまりにも事務的な措置によりまして、交通の確保ということがそれによつて百パーセント行われるのなくて、その影響するところは、事業者従業員沿道交通に対して、いたずらなる制限を加えるにすぎない結果にどうしてもなることは、火を見るよりも明らかだと思う。このような事務的なことでこのような重大なことをやられることは、私は非常な誤りを犯す結果になるのではないかということが懸念されてならないことであります。建設省はほんとうにこんなことをそのまま政令にしておいて、次には法制化しようと考えられるのか、それならば私は事きわめて重大だと思います。今日新聞紙上に報ぜられておることがそのまま政令として行われるのかどうか、ひとつ承りたいと思います。
  12. 富樫凱一

    富樫説明員 この政令は、前にも申し上げましたが、道路法四十七条に基くものでございまして、この政令をまた法律にするというふうなことは考えておらないわけでございます。それからこれは建設省のこの政令のただいまの案でございまして、ただいま運輸省その他関係各省協議中でございます。それで運輸省の方にもいろいろ御意見がございます。それらの御意見を承りまして、調整された政令を出したいと考えておるわけでございます。
  13. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はこの政令については、今運輸省建設省の間において相当意見の食い違いもあるように聞くのであります。なるほど建設省としては、道路管理上の責任の見地からする交通事故防止考えられるのは当然でありますが、しかし一方、運輸省の面からすれば、私はこういうことが事故防止の最大のものになるのではないかと思うのであります。その第一は、さなきだに狭い道路でありますから、これは私は前々から主張しておるのでありますが、ただ一時的な便宜や一時的な利益を追求するために、その競争をいたずらに激化させるような政策をとるところに、あらゆる交通事故の重大な原因がひそんでおると思うのであります。私はその原因について専門的に言えば、いただらに弱小業者を免許競願させることは、それだけ事業体が弱小化いたしまして、そうしてまずその会社の経理を不安に陥れる。そうすれば車両整備従業員労働条件等、あらゆる交通に必要な条件がだんだんと低下して参るわけであります。これは非常に重大な事故原因でありまして、このようなことになりますならば、われわれは安心して自動車事業あるいは鉄道事業機関に生命を託することができないのであります。これがまず事故防止の第一の要件でなければなりません。第二の点は、従業員の質の向上はもちろんのことでありますが、それと同時に今までの自動車事故の主たる原因は、タクシーあるいはトラツク、バスにいたしましても、その従業員の過労による事故、たとえば居眠りでありますとか、あるいは泥酔運転等も重要な原因一つでありますが、とにかくも疲労を回復し得ないような労働条件において、そして従業員を酷使しているというようなことも、きわめて重大な事故原因であります。これは私二十年の実際の交通に従事しました経験からいたしましても、それは判然とするわけであります。こういうところをやはり防止して行く指導方法をとることば、運輸省の責任として私は当然だと思うのであります。ですからこの交通事故原因を総合的に究明いたしますと、かえつて皮肉にも、現在では道路の狭いところの方が事故が少くて、そうして道路の広いところの方が事故が多いのであります。これは統計的に明らかになると私は思うのであります。それはなぜかと言えば、今申したような従業員に対する労働の諸条件等がきわめて重要な原因をなしておるのであつて、いたずらにこのような建設省考えられているようなことが、事故の最大原因とは考え得られないのであります。そういたしますと、これは人為的に改良をすれば済む問題であるということも言えるのでありますが、これについて運輸省及び建設省はどういう考えを持つておられましすか、ひとつ承りたい。
  14. 眞田登

    ○眞田説明員 ただいま事故防止方策として、その大きな原因ななしておるものは通路ではなくて、むしろ事業の形態その他から来るのではないかというお話でございましたが、お説まことにごもつともでございまして、最近非常に自動車が発達して参りまして、事業者の数もかなりふえて参りました。先ほどお話のございましたような不当競争を起すような免許は、できるだけやらないという方針で進んでおります。また従業員の労務管理と申しますか、これが事故防止に非常に重要であるということもよくわかつておるのでございまして、個々の免許事案につきましても、われわれが事業計画の内容を見ますときに、その要員あるいは給与等についてもし不当な計画がございました場合には、その事業計画を直さすなり、あるいはその面でこの免許はできないというふうな指導をいたしておりますので、その点につきましても十分注意して参つておりますが、ただ現実に東京都内等でやつておりますタクシー等の給与制は非非常にまちまちでございまして、これについてもでるきだけ合理的な制度に持つて行くように指導はいたしておりますが、歩合制度が非常に大きなウエートを占めておりますと、どうしても無理な動かし方をするというふうに考えますので、固定給制度をできるだけ割合を多くして、歩合について漸次減少させて行くといつたような方向にしないと、無理してもかせぐというような状態がございますので、そういつた点についても十分注意して参りたいと思つております。
  15. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 建設省は御意見ございますか。
  16. 富樫凱一

    富樫説明員 別にございません。
  17. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 建設省は別に意見はないそうです。
  18. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それではさらに建設省お尋ねいたしますが、私ども運輸委員といたしましては、現在の日本の通路状態は、建設省もお認めになつておるように、近代交通にそぐわないものである。従つてこれの改良を促進して行くために、いわゆるガソリン税その他の税を、道路改良目的税に変更をいたしまして、そうして道路改良のために私どもも協力をいたしておるのでありますが、聞くところによりますと、これらの目的税がその本来の目的を果していないやに聞くのでありますが、現在のガソリン税は情断の硬附する目的税としてどういうふうに使用されておるか、建設省は今これについてどういう計画を立てて実行に移されておるか、これを承りたいと思います。
  19. 富樫凱一

    富樫説明員 道路整備は、道路整備費の財源等に関する臨時措置法に基きまして、五箇年計画を立てて、それによつて通路の整備を実施いたしております。この臨時措置法では、この五箇年計画を実施するめたに、当該年度のガソリン税相当額を充てることになつておるわけでございます。このほかに一般の財源からも多少の金が入りまして、この五箇年計画が実施されることになつておるわけでございます。この五箇年計画の総額は二千六百億でごいまして、先ほども申し上げましたが、たとえば国道につきましても、国道全体の改良なする金に対しまして一五%しかこの五箇年間で実施できないわけでございます。この五箇年計画ではまず道路改良、これは幅を広げる、それから勾配のきついところを緩和するというふうな仕事と、すでに改良されております分を鋪装するという仕事と、それから橋梁——日本の橋梁は木橋が非常に多いわけでございます。半分は木橋でございますが、この木橋を永久橋にかけかえることに使われるわけでございます。その他鋪装の修繕でありますとか、永久橋の補強でありますとかいうものにも若干充てられておりますが、大半はこの改良、鋪装、橋梁というものに充てられておるわけでございます。
  20. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の計画は、この道の五箇年整備計画に基づいて実行されて行くということでありますが、私はこの中で、これは政令としてそのまま適用されるのかどうかわかりませんが、お尋ねしたい点は、道路上における事故は、たとえば私の方の県道にいたしましても、あるいは全国をまわりましても、水害等で橋梁が落ちてそのままになつているところ、あるいは海岸にある道路で、海水に路面をさらわれてくずれたままに放置されて、いまなお修復していないところ、こういつたところが非常に多い。こういううよなところを自動車が通過して、そうして広い通路へ参りますと、運転手の気がゆるむといいますか、そこでそのような道路を通過するために、心身ともに非常に疲労をする。そうして運転手の労働条件というものは、他の生産工場の労働条件に比べて、請負制度その他の制度によつて、非常に労働条件が悪い。従つて平生からの過労もある。こういうような点が、むしろ広いところで事故を起しすおもな原因じやないか。広いところに参りますと、あり得べからざる事故を起しておるという結果になつておるのであります。これが実際の自動車事故の実態であります。そういたしますと、ただ幅員をどうこうというのじやなく、むしろこういうような災害等によつて障害を起している道路を一刻も早く修復して、そうして従業員の精神的あるいは肉体的かな過労負担というものを軽減してやるように建設省努力をしてやるということが事故防止する最大の道だ、私はこういうふうに考えるのであります。ところが現在では、さなきだに悪いとお認めになつている道路がこのような状態で放置されていて、そしてただ一片の政令を出して、それでおれの方は事故に対しては万全の措置をとつておるのだというならば、建設省はあまりにも無責任過ぎる。無責任のそしりを免れない。そしてこれはただ業者従業員だけじやない。その沿線の人々から非常な非難の声が起こつて来ることは、私は間違いないと思うのでありますが、一体この災害等による復旧計画、これに基いて建設省は重点的に何をしようとしておられるのか、また実行されておるのか、ひとつ承りたいと思うのであります。
  21. 富樫凱一

    富樫説明員 ただいま災害を受けた道路お尋ねがございましたが、先ほど御説明申し上げました五箇年計画には、この災害復旧は入れてございません。災害復旧に伴つて起る改良の事業については計画に入つておりますけれども、災害復旧そのものは入つておらないのでございます。この災害復旧につきましては、建設省では河川局が主管いたしておりまして、災害復旧費をもつて復旧いたすわけでございますが、これはお話にありましたように、いまだに災害を受けた橋梁が復旧されないとか、あるいは海岸に沿う道路で復旧されておらぬとかいうものがあるわけでございますが、これは災害復旧費の金がそれほどまわつていないということじやないかと私は考えておるのでございます。ただ道路整備の観点から行きますと、災害に合せてやる改良は、できるだけ優先してやるように考えております。またお話にございましたように、この事故の根本的な絶滅ということは、道路をその交通物体に合うようにつくらなければならないのでございまして、これはその通り考えまして、改良につきましてはその線で努力をいたしておるわけでございますが、何分にも非常に改良の事業費が多くて、いただける命が少いというような関係で、たいへん迷惑なことと存じますけれども、かような政令も用意いたさなければならないわけでございます。これは道路がえんえん数千キロに及んでいるのでございましてこれを一箇所だけ広げましても、その効用は発揮できないわけでございますが、自動車の方は大型のものを何台でもこしらえ得るというような関係もございまして、そのために通路の整備が非常に立ち遅れているわけでございます。ただいまやつております道路改良も、これ以上自動車が大きくなればまた役に立たなくなるわけでございまして、この辺にある限度を、これは相談して設けなければならないと考えているのでございます。この政令を用意いたしましたのも、安全な交通を目ざしてのことでございますが、また一方には、道路の構造を保全するという意味があるわけでございます。と申しますのは、道路の両側の幅は、これは交通のためにあるのではなくて、道路を保全するためにある幅でございます。そういう幅を交通のために使われますと通路がいたみますので、またそれが事故原因にもなるというようなことがございますので、その面からもこの政令を用意いたしているわけでございます。災害復旧のことにつきましては、これは私が申し上げる筋ではございませんけれども建設省といたしましては、この復旧には余力を上げているのでございますが、お話のような点がちよいちよい見られるのでございましてこれについては、帰りましてよく上司にも申し上げたいと存じます。
  22. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 この災害復旧も、昨年制定せられた特別立法等に該当しない地域等もあつて、いまなお放置されているところは、ちよいちよいどこじやない。そこへ持つて来て国道なんかでも、私に兵庫県ですが、各地をまわつてみますと、道幅はあつても、鋪装がしてあつても、その鋪装がくずれてあばたづらになるというようなことで、自動車は満足に通れない。こういうようなことのために起る事故は枚挙にいとまがないくらいあるのでありまして、そういう点を十分に考えて、そしてすべての管理行政をやつてもらいたいと私は思う。ただこういうような政令だけで、その政令だけにたよるというようなことは、実情にそぐわないことであると思うので、これについては再考を願いたいと私は思うのであります、同時にもう一点伺いたいのは今までの自動車の営業免許、バス路線の免許等については、これは運輸省の所管であるからというので、道路状況その他いろいろ運輸省運輸省の見解から検討を加えておられると思うのでありますけれども、これはその独自の立場で免許されて、何ら建設省等と相互間の連絡はなしにやられているのかどうか。そういうことなら、非常に無計画きわまるものだと思うのでありますが、これについて今までどういう措置をとられて来たのか、お伺いしたいと思います。
  23. 眞田登

    ○眞田説明員 ただいま路線免許と道路状況についての御質問がございましたが免許につきましては、そのたびに道路管理者意見を聞きまして、この通路はこういつたバスが通つてもよろしいかということを聞きまして、その遁路管理者から、さしつかえないという返事をいただいてから免許するようにいたしております。なおその後の事業計画変更等につきましても、御相談申し上げるように指示しております。
  24. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういうことで緊密に連絡がとれているとすれば、あらかじめこのような大型バスあるいはトラツクが通るということは、これは建設省においてもすでに承知の上でなされていることだと思うのでありますが、それにもかかわらず、この政令の案を見ますと、この制限を実行する政令は、昭和二十七年の十二月に免許を受けたものの車両路線までさかのぼるように書いてあるのですが、そういたしますと、二十七年十一月以降の新規免許のものについては、現行のものは一切停止するという結果になると私は思うのですが、これについては運輸省建設省それぞれこの見解は重要なことですから、ひとつどういう見解であるか承りたい。
  25. 眞田登

    ○眞田説明員 私の方で協会の方にお願いして調べた数字でございますので、多少相違があるかもしれませんが、現在のバス路線のうちこの政令の要綱の第三のイの最小の六メートル半と見ましたものについてみますと、八〇%くらいが六メートル半以下ということになつておりますので、後に出て来ますいろいろの緩和規定その他によつて、その八〇%全部がだめだとは思いませんが、相当数の路線がこれに触れるというふうに考えますので、すでにあります路線につきましてはこれを適用しないように、すなわち道路法施行の際までさかのぼることはお許し願いたい、今後についてこれを適用することには大いに御協力いたしましよう、こういう考え方を持つております。なお現状は必ずしもこの政令に合うようないい道路ではございませんが、バス路線を設けてほしいという申請はたくさん出ておりまして、それが地方の人たちの強い要望でありますために、これを余部押えることができるかどうか、はなはだ疑問でありまして、そういう面ではこの政令についてもある程度の緩和規定を設けていただきたいということを、建設省の方にお願いしているわけでありまして、これについて建設省お話合い中でございます。
  26. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 建設省はこれについてどういうお考えでありますか。
  27. 富樫凱一

    富樫説明員 私ども考えでは、この政令は進路法に基いて出されるものでありますし、できれば広い範囲にわたつてやりたいという考え方があつたわけでございます。それでこのように政令案ではきめたのでございますが、ただいま運輸省の方の御意見もございますのでこの辺はよく相談いたしましてきめたいと考えております。
  28. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私一人でやりまして時間もたちましたので、質問はこの程度にしたいと思いますが、希望として私は、今自動車局長の申されるように、沿線の要望等で免許を非常に迫られて、道路の状況等、あらゆる条件考えないで、ただ沿線住民としては目先の利益のみを主眼にして、いろいろの免許が請求されるという実情にあることも承知をいたしますが、しかしだからといつて少くともこのような状態の中で、たとえばラツシユ・アワーでは一時間なり二時間が非常に込む、それだからこれを緩和するためにというようなことで競争免許をするということになれば、そのわずかな時間の一現象だけをもつてして交通の全体を論ずるということは、日本の現在の実情でば不適当であります。そういうことでいたずらに競争を激化させて複数制をとられますと、ますます大きな事故を発生する原因になるのでありますから、そういう点はとくと御考慮を願いたい。  それから建設省にお願いしたい点は、いたずらに形式等にとらわれた事務的な制限を加えられることによつて事故防止されるということは決してございません。時代はますます大型化によりまする輸送力の増大を要請されておるわけでございます。これをもし事務的に、いたずらに小型を強制いたしますことは、それだけ今度は交通回数を増すことになりまして、たとえば五十人乗りのバスを二十五人乗りのバスに変更するといたしましても、少くとも今のような交通事情におきましては、一回に五十人も運ぶものを二台にすれば、りくつ上から言えばなるほど割切れるのでありますけれども、実際には、そのことはいたずらに小さな車に定員過剰の人員を乗せて輸送することになる。あるいは小型のトラツクに無理に過剰な超過貨物を乗せて運行することは、自動車交通の面からいたしますと、事故発生の非常に重要な原因であります。のみならずそれでは需要が満たされませんから、ますますその道路に交遊回数をふやすことになるわけであります。言いかえますと、車両が輻湊する結果になります。そうすれば随所に衝突あるいは追突等の事故を起しまして、さらに事故を増大する結果になる。従つてこういう見地からいたしますと、いたずらに制限するといつても、現在のこの交通運輸の実情から行けば、実際にはできない相談だと思うのであります。ですから通路を広くするということに一番の問題の解決があるわけであります。ところがそれは現在の国家財政の面からいたしますれば、だれがやりましても、それを一気にできないことは先ほどの御説明によつても、またよらずとも明らかであります。しかしながらこういうような交通事情等の点から考えて、建設省の行政としてはあまりにも機械的に過ぎると思うのであります。一方において道路の改善等についても、総花式に過ぎているのではないか。もう少し重点的に道路の改善等も考えられてしかるべきではないかということを私は強く考えるのであります。従つてこういうような政令なお出しになることもいいでありましようが、その場合においては、本日発表せられているような内容は、運輸省と十分に御検討をいただいて、このようなきびしい状態にわたらないように、今後において免許される向き等については、もう少し秩序を立てて運輸省当局と建設省当局が、これから後に起る免許の問題等については、一層連携を密にして、道路管理の現状あるいは交通の量の問題等、あらゆる状態を御調査の上で、しかるべく統制を加えてもらいたい、今までのものについてはあまりにも画一的にわたらないよう配慮を願いたい、こう考えるのであります。そうでなければ毎日運行いたしますものとしましては、このような事務的なことで混乱を起しますことは、その瞬間におきましてもさらに大きな事故を増大する原因となると考えますので、どうかそういう点について十分御注意願いたいと思います。以上で私の質問を終ります。     —————————————
  29. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それでは運輸省説明を継続いたします。説明員にお願いいたしますか、簡潔に要領よく御説明を願います。間島観光部長
  30. 間島大治郎

    ○間島説明員 観光事業関係昭和三十年度基本政策要綱を簡単に御説明申し上げます。  わが国に参ります外客は逐年増加いたしまして、昨年はその数が八方に及びました。またその推定消費額も約三千三百万ドル、円貨にいたしまして約百十九億円に達しております。この傾向は今年になりましてからもますます顕著でございまして、私どもといたしましては、今後五筒年間に大体これを倍額にするというふうな点に目標をおきまして、授業の振興をはかつておりますが、観光授業の振興のために当面必要なことは、この政策要鋼にございます外客受入れ体制の整備と海外観光宣伝の拡充強化でございます。  受入れ体制の整備につきましては、まず宿泊施設の問題でございます。これがまだ各地にかなり不足でございます。またその近代化も非常に遅れておりますので、こういつた宿泊設備の整備、近代化をはかることが非常に必要でございます。従来ともこの点につきましては開発銀行あるいは中小企業金融公庫等からの融資あつせんをいたしておりますが、この点をさらに積極的に行う必要があると思うのであります。それから間際観光事業助成に関する法律によりまして、現在助成対象といたしまして日本交通公社と全日本観光連盟という二社がございますが、地方におきまして外客のレストハウス、あるいは広場、あるいは各種の標識というふうなものの施設が非常に必要であるということが、地方から強い要望が出ておりますので、でき得ればこの法律を改正いたしまして、地方公共団体に対しましても国庫補助ができる道を開きたい、かように考えまして大蔵省と折衝いたしおります。  次に外客の来訪を容易にいたしますために、各種の手続を簡易化するという問題がございます。これにつきましては、去る五月から六月にかけまして、ニユーヨークの国際連合主義で国際会議が開かれまして、二つの条約が決定いたしました。一つは観光客の手まわり品の通関手続を簡易化する条約、もう一つは観光客が持つて参ります自家用車の一時輸入の通関手続を簡易化するという、この二つの条約が締結されまして、わが国からも代表が出席いたしました。目下関係省でこの点を協議いたしておりますが、日本といたしましては、正式にこれに加盟して調印するように運びたい、かように考えております。この十二月までが調印の期間に相なつておりますので、それまでに調印いたしたい、かように考えております。なお外客の来訪を容易にいたしますために、査証手続の簡易化というふうな問題、あるいは通関手続の簡易化というふうな問題がございますが、これと大蔵省あるいは法務省等と現在折衝を続けておるような次第でございます。それから外客が買いますみやげ品の物品税の免除につきましては、現在一定の店舗を限り、品物を限りまして、物品税の免除を輸出手続等と同じようにいたしまして、物品税の免除をいたしておりますが、この点につきましても、その物品の範囲の拡大というような問題、あるいは手続の簡易化というような問題につきましても、大蔵省とさらに折衝いたしたい、かように考えております。  それから観光宣伝の問題でございますが、これは御承知のごとく法律に基きまして、財団法人日本交通公社に補助金を交付いたしまして実施せしめておるのでありますが、本年に補助金の削減の方針によりまして、相当減額をいたされたのであります。そのために相当宣伝の規模も縮小せざるを得なかつたのでございますが、さらに外客来訪を誘致いたしますために、明年度には相当宣伝資料を増加するとともに、現在サンフランシスコとニユーヨークに日本の観光宣伝事務所を設置いたしておりますが、これをさらにホノルルとカナダのトロントに置きたいということで、折衝をいたしております。また戦前は世界の各地に宣伝嘱託員というものを置きまして、日系の邦人あるいは親日外人、あるいは名誉領事というふうな方に、観光宣伝を委嘱いたしておりましたが、かような制度も来年度におきしては復活いたしたい、かよりに存じておるような次第でございます。  それから最後に、今申し上げました通り日本交通公社が政府の補助金を受けまして、海外観光宣伝を実施いたしておりますが、これとは別に海外におきまする博覧会、日本市等の場合に、海外宣伝をいたしますために、海外観光宣伝協議会といつたものができておりまして、各府県あるいは各主要な交通機関、それから観光関係機関が参加いたしまして、相当予算をもつて実施いたしておるのであります。こういうふうに二本建になつておりますので、この際観光宣伝の拡充をはかり、また総合的な宣伝をいたしますために、かような機関を統合いたしまして、もつと総合的に能率を上げて宣伝をする必要もあると存じまして、現在関係機関協議をいたしまして、でき得ればそういつたものを統合いたしました新機関で、まとまつた統一のある宣伝ができるように来年度からいたしたい、かように現在打合せいたしております。以上簡単でございますが御報告申し上げます。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それでは説明を継続いたします。栗澤運輸局長。
  32. 粟澤一男

    粟澤説明員 このたび運輸局長に就任いたしました栗澤でございます。あらためてごあいさつ申し上げます。  お手元に昭和三十年度海運基本政策資料と申します資料をお配りいたしございます。大体この資料について御説明申し上げたいと存じます。主として御説明申し上げたい点ば三点にわかれております。第一点は対外収支改善のための外航船舶の拡充計画、それに関連します若干の問題、第二点は海運基本合理化再編成といつたようなもの、第三点は離島航路の整備振興という三点について申し上げたいと思います。  第一点の外航船舶の拡充でございますが、資料にもございますように昭和三十三年度におきまして四百万総トンの船腹を確保したいという計画を昨年度樹立いたしまして、本年度は諸般の状況によりまして、十五万総トン程度の建造がいたされることになりました。来年度は二十二万総トンの建造をぜひ確保したい。この二十二万総トンのうち、六万総トンは油槽船でございます。本年度の海運によります外貨収入の実績は約一億九千万ドルでございます。昭和三十三年におきましては、これを約三億四百万ドルくらいまで上げたいという計画でございます。来年度におきまする計画造船の所要資金は百九十九億が財政資金、八十九億が市中資金という割振りの計画でございます。  この計画造船をいたしますについて、本年度承知のように十次造船が非常にもめまして、このまま行きますと、来年は市中資金が協調融資という形では得られないのではないかという問題がございます。この建造方式につきまして先般よりいろいろと検討いたしておるのでございますが、この資料にもございますように、その方式といたしましては大体三つの方式をただいま考えております。第一は海事公社の方式でございまして、これにも大体二つの考え方がございます。以前つくりました船舶公団のように、海事公社で船舶を海運会社と共有をして建造をするという方式と、もう一つは海事公社が船会社の優先株式を持ちまして、出資者として船会社に協力するという形をとる、この三つの考え方がございます。それから次には開銀によります現在の方式を若干修正いたしまして、開銀と市中との協調融資によるという方式でございます。これにも二通りございまして、ここにも書いてございますように開銀が船会社の所得社債を引受けるという方式、もう一つは開銀の融資に、現在の方法と違いましてたとえば担保でございますとか、あるいは金利元木の支払いにつきまして期限を延ばすとか、若干これを延伸するというふうな特例を設けるという方式と二つございます。それから最後に海事金融公庫、これは特殊の海事金融機関を置きまして、これによつて海事金融を円滑に進めたいという方式でございます。大体この三つの方式をただいま考えまして、関係各省とも折衝を始めております。  いずれもなかなかむずかしい問題がございまして、たとえば開銀の特例方式によりますと、はたして開銀というものは、銀行でありながら現在のような担保力も十分でなく、あるいは海運市場の悪いために、元本あるいは金利の支払いも円滑に行かないというような船会社に、今後融資を続けて行けるかどうかという問題がございます。また海事金融公庫にいたしましても、これは公庫債券を発行いたしまして、資金を市中から集める、その債券を銀行の支払保証にも認めてやるといふうな方式でございますが、はたして債券で市中から所要の二億円という資金が集められるかどうかというふうな点がございます。こういういろいろむずかしい問題がございまして、簡単にはなかなか参らないのでございます。ただいま鋭意折衝を続けております。いずれかの方式によつて年度ぜひともこの二十二万総トンの建造を確保いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお計画造船に関連いたしましては、この資料にも入れてございますが、客船の建造と移民船の建造という二つの問題がございます。まず移民船につきまましては、今年度相当希望がありましたから、大体外務省の移民計画に基きまして、今年度は一応見送るが、来年度はぜひこれを建造いたしたい、こう考えております。一隻十六億程度の経費を要しますが、できればこれを三隻つくりたいというのがわれわれの念願でございます。一隻一万総トン、大体十六ノツト程度の船を考えております。次に客船につきましては、総トン数一万九千五百総トンの客船で、速力二十二ノツトないし二十四ノツトくらいの船を考えております。ただいま太平洋航路はアメリカのAPLと郵船の氷川丸が輸送いたしておりますが、積み残し——客船だから積み残しとは申し上げませんが、旅客の希望がありながら、席がないために船で行かれないというふうな旅客もあるように聞いておりますし、相当この客船航路は見込みがあると思います。船価は五十億程度で、相当高価な建造費用になりますが、できればこれをぜひつくりまして、日本・アメリカ間の旅客輸送に日本船もぜひ出したい。これによりまして相当の外貨収入も得られる見込みでございます。ただいま計算いたしまたところでは、大体年間に五百二十万ドル程度の純収入があげられるという計算が出ております。なお客船につきましては、二十三年くらいで大体元利の償還ができるという計算も立ちまして、採算から見ましても必ずしも悪くないという見当がいたされております。  次に海迎合理化の問題でございますが、これは資料には出ておりませんけれども基本政策に出てございます。御承知のように大体グルーブ制につきましては、郵船と山下のグループ、あるいは最近新聞紙上に見えました三菱、飯野、日産の国際グルーブに対します新日本汽船の参加というような点で、除々に話が進められております。なお航路につきましても北米、印パあるいは濠州というような航路もだんだん安定して参つておりまして、欧州航路につきましては、御承知のように航路と同盟と三井の関係で、まだ相当ごたごたいたしております。これも早ければ来年くらいには何らかの手を打ちまして、これの安定をはかりたいと考えております。ただいまのところでは政府としましては、特に同盟問題に関まして、あるいは同盟船を保護する、そうして三井に対しては圧迫するという考えを持つておりません。なお経費の節減等につきましては、いずれも非常に努力いたしております。なお法規その他によりまして、船員の定数等につきまして、若干現在の日本の法令は行き過ぎではないかというような点もございますので、できますれば、次の国会にはこれの改正案をお願いいたしまして、定員の低減をはかりたいというふうに考えております。  なお合理化等につきましては、この基本政策には載つておりませんけれども、根本問題といたしまして、現在一千八百億というふうな厖大な債務をかかえて、自己資本はわずかに二割程度というふうな、海運企業がいくらかせいでも金利と元本の返済に追われておるというふうな現状では将来望みはももちろんのこと、現在の企業経営にそいては努力がうせるのではないかという心配が持たれるのであります。そこでこれにつきましては何とかして自分の力で立つ、働けば楽しみが持てるということか樹立されなければいけないのではないかと考えるのであります。この点につきましても格段の努力をいたしたいと思つておるわけであります。  最後に、離島航路の問題でございます。かねがねいろいろ御考慮をいただきました補助金あるいは船舶建造に対します利子補給等につきましては、現存実施いたしておるのであります。これは当然来年度も継続いたしますが、さらに船舶自身の建造につきまして私ども考えますのに、離島航路というものは国道あるいは県道と匹敵すべき必須の交通機関ではないかと思うのであります。現在政府道路相当の補助金を出し、あるいは経費の負担をいたしております。これらの船舶の建造につきましてただ単に私企業であるというだけで、船主に全部これを負担させておる、あるいは単に融資程度でこれをまかなわしておるということ自体が、根本的に考え方としてはいかがであろうかと考えるのであります。できれば国としても、あるいは地方、政府県としても、ぜひとも必要な航路につきましては、建造船舶にもある程度補助金というものは考えてしかるべきではないかというふうに考えるものでありまして、私ども予算要求といたしまして、この建造補助金を来年度お願いいたしたいと、ただいま大蔵省と折衝いたしております。簡単でございますが、海運関係は以上をもつて終わります。
  33. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 武田船員局長
  34. 武田元

    ○武田説明員 船員関係につきまして御説明申し上げます。  第一は、優秀船員の確保でございますが、外航船腹の拡充に伴いまして、素質のよい優秀な船員を確保することが必要でございます。この点につきましては、来年度におきましては、特に既成船員の再教育機関であります神戸の海技専門学院の施設を整備充実いたしたいと考えまして、必要な予算措置につきまして目下大蔵省と折衝中でございます。  次に船員の労働関係の改善でございますが、現在の海運界の危機打開のためには、労使の理解と信頼による協力態勢を確立いたしまして、労使の紛争を防止して、その勢力を海運の復興に集中することが、当面の海運界の危機打開の重要なファクターであると考えます。海上における労使関係は、戦前久しく海事協同会というシステムによりまして、労使関係の安定が維持されて来ておりました特殊の沿革、歴史を特つておりますし、私どもといたしましては、この点につきましては期待を持ち得るものと考えております。ただいま運輸省に、船員の重要問題につきまして、労使間相互の意思疏通をはかるため、海運懇談会というのを持つておりますが、この会合を利用いたしまして、これか具体策について懇談を進めて参りたいと考えております。  それから船員の雇用の問題でございますが、現在におきましても、失業船員は相当ございまして、なかなかさばき切れぬ状態でございます。先ほど海運局長から御説明申し上げましたように、今後海運の合理化ということが進んで参りますならは、この船員の失業問題があるいは表面化して参るのじやないかと思いますので、これが対策につきまして、ただいま申し上げました海運懇談会において問題点を取上げて、近く懇談を進めることにしております。問題点と申しますのは、たとえば労使の協力によりまする新規山出し船員の採用の抑制、あるいは船会社の予備員のプール制の実施、あるいは新造船に対します船員の配置転換といつたような問題につきまして、懇談をすることになつております。  最後に、船員の福利厚生の問題でございますが、この問題は船員の労働意欲の増進、またあるいは実質賃金の向上という観点からいたしましても、重要な問題でございますが、現在の船員の福利厚生施設につきましては、組織的にも財政的にもいろいろ問題がございます。特に組織の点におきまして、いろいろばらばらの組織において福利施設が維持運営されておりますために問題がございますので、これら各組織の相互の利解と協力をはかるために、必要な協議機関を近く持ちたい。そして総合調整をはかりたいと考えております。なお一言付け加えますが、船員の傷病、結核等が近来増加している傾向にございますので、健康の管理の徹底化その他必要な施設を講じたいと考えまして、必要な予算措置につきまして目下大蔵省と折衝中でございます。あわせて御説明申し上げます。
  35. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 黒田港湾局長
  36. 黒田静夫

    ○黒田説明員 港湾関係の概要をきわめて重点的に御説明申し上げたいと存じます。港湾関係におきましては、第一番は公共事業によります港湾施設の整備でございますが、このうち第一は最近船型が非常に大きくなりまして、戦前四千トン程度のものが、終戦後は六千トンないし八千トンになつておりますので、これに対する港湾施設を重要港湾、主用貿易港について整備をいたしたいと考えております。航路、泊地、あるいは繋船岸施設を船型の増大にマツチするように改良促進してやることでございます。それから同じく重要港湾あるいは外国貿易港湾におきまして、いろいろ基幹産業に必要な現在料が扱われていあるのでございますがこれらの施設を整備いたしまして、ポート・チヤージの軽減をはかつて行きたいと考えております。  それからその第二は地方の港湾でございますが、これは地方の発展にも、あるいは地方の旅客の輸送、民生物資の輸送等におきまして、最近非常にふえて参りました。人口がふえて参つた関係かと存じますが、旅客等におきましては、昭和九年——十一年に比較いたしますと、倍近くふえております。またそれらの地方港湾、特は離島とか僻地の間の交通につきましては、五割程度貨物がふえております。従いましてこれらの地方港湾に対して、整備を急いでやる必要がございます。この地方港湾につきましては、いろいろ魚湾戸の関係もあるでございますが、地方港湾自体が漁港物を相当たくさん扱つておりまして、農林省所管の漁獲物に対して二倍くらい扱つているのでございます。しかるにこれらの施設を整備する予算面から見ますと、運輸省所管の港湾は、地方港湾において非常に制約を受けているのでございまして、大体魚湾の施設の整備の平均半分程度しかない。一方漁獲高は二倍程度つている。こういつたような不均衡の是正について関係方面と折衡を進めておりまして、できるだけ地力港湾の整備を進めていきたい。一面地方港湾におきましても、機帆船、漁船の船型が大きくなりまして、水深の不足あるいは泊地の不足などがございまして、これらもあわせて促進して行きたいと考えております。  次に海難防止の点からでございますが、避難港とかあるいは離島港湾におきましては、安全な港が十分でないために、非常に海難事故なり小型船の稼行率が少いのでございます。目下運輸省におきましては、全体の避難港湾を九十港ほど考えまして、そのうち現在避難港として指定されているものは三十港ございますが、これらの港につきましても、避難港としての整備をやつて、これらが全部完成いたしますと、海難事故はおそらく四割程度は減るのじやないか。あるいは小型船の稼行率も冬季は五割、夏季は二割程度上るのではないかというふうに整備を急いでおる次第でございます。  それから港湾に対する災害でございますが、この災害の復旧は従来目標は三箇年でやつておりました。災害を受けました翌年において三、二年目に五、最終年度に二という割合で三年の復旧計画を立てて、各省とも一律に公共施設の復旧をやつておるのでございますが、ただいまのこの災害は早急に復旧する必要がありますので、これらもできるだけ早く完成するように関係方面と折衝いたしております。なお災害の復旧ばかりでなしに、これを未然に防止する面から防湾の事業すなわち海岸の決壊とか、あるいは高潮に対する防禦、あるいは地盤沈下に対する防禦のような防災の仕事につきましても、各港につきましてそれぞれ整備の対策を立てまして、これが折衝を開始しておるような事情でございます。  次にこれらの公共施設以外に、港湾機能を増進する意味で荷役機械とか、あるいは上屋、ひき船、埠頭用地の造成等につきましても、一般の地方債の方から財政措置をとつておるのでございますが、これもせつかくいろいろな基本施設ができましても、これを運営して行く陸上の施設がこれに適合しませんと、能率が非常に低下いたしますので、これらについても港湾整備促進法に基きまして、できるだけ多くの地方債をこれに導入して、でき得れば別わくをもつて港湾のために特にこれを充当いたしたいというつもりで、関係方面といろいろと折衝をいたしております。  それから港湾工事の施行でございますが、非常に特殊の技術を要しまして、一般の請負等も、港湾につきましては本格的な港湾工事をやる業者がほとんどないのでございまして、これらの港湾工事を能率的にかつ安価に実施するために、作業船の老朽化したものの整備とか、あるいは特別の工法の研究等のために、いろいろと改良をはかつて行きたいというふうには考えております。大体港湾公共事業費は、今年度予算は総額で五十八億でございますが、ただいまのところおおむね二百五十億程度を要求いたしておりますが、これは私ども港湾の施設の整備は大体五箇年計画を立てまして、五箇年計画は全国の港湾取扱い貨物量なり、あるいは今後の経済充実に伴う経済審議におきまする生産計画、あるいは運輸省に立つておりますところの輸送計画等に合わすためには、今後五簡年間にいろいろ港湾の整備をやるために、大体七百億くらいあればいい。その七百億のうち、二十八年度、二十九年度におきましておおむね百億の金が導入されておりますので、残りの六百億を五箇年計画の一環として今後三箇年でいたしますのに二百億かかるのでございまして、それを目標に整備をやつておるような実情でございます。なお五十億ば災害の復旧に充当するので別途に要求いたしておるような次第でございます。簡単でございますが、以上をもつて説明を終ります。
  37. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 荒木航空局長
  38. 荒木茂久二

    ○荒木説明員 航空につきましては、項目といたしましてはしばしば御説明申し上げておりますように、国際線の整備拡充、国内線の整備拡充、航空交通官制の日本側の自主的な運営、乗員の養成ということを中心として、いろいろな問題を進めて来ておるわけでございまして、御存じのように国際線は目下沖縄からサンフランシスコまで運営をいたしております。将来の計画といたしましては、ヨーロツパまでも参るし、南米までも回数の多い定期を開設するということを目途といたしておりまするけれども、御存じのように急速に発展いたしましたし、長い間のブランクのために、諸般の基礎条件が備わつておりませんので、まず第一段階といたしましては、近く香港まで路線を延ばすべく関係国と交渉しておりますが、十二月早々これを香港まで延ばすことになると思いますが、来年度におきましては、さらにそれがバンコツクまで延びるというくらいのところがせいぜいだと思いますが、第一段階としてはバンコツク・サンフランシスコ間というものに重点を置きまして足固めをする。そこで十分の地位を確立して、さらに西え、さらに東へと発展して行きたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  飛行機につきましては、全部外国から買つて来る、油も外国から輸入する、従つて日本の手に落ちる外貨というものの割合が非常に少いじやないかというふうに考えられますけれども、つれが全部日本人の乗組員になり、理想的状態になつたといたしますれば、八二%までが日本の純粋の手取りになる、こういう計算になるわけでございます。海運国として発展して来た北欧三国、あるいはオランダというようなところが、全部日本と同じような状態で飛行機を買い、油を外国から買つて来ておりながら、非常に優劣な成績を収めておるのであります。外貨取得上から考えましても、決してこの剛際航空事業というものが弱いものでなく、非常な貢献をすると考えておりますので、これに努力をいたしたいと考えておる次第でございますが、ところでこの日本航空が発足いたまして、その資本構成が、海運のときにお話がありましたように、現在三十三億円の資本金でございまして、借入金が七十億近くあるわけでございまして、こういつた比率を改めるという趣旨におきまして、ぜひ来年度はさらに政府出資十億を仰ぎたい、こういうふうに考えて目下大蔵省と折衝をいたしておるわけでござごいます。  次は航空路網の整備でございますが国内線につきましては、東京・新潟小松・大阪の路線、それから大阪・高松・大分・福岡の線・福岡・熊本・鹿児島の線・北松・大・海道・におきまして千歳・釧路・千歳・稚内の線を拡充いたしたいと考えまして、一昨年来予算の要求をいたしておるのでありますが、まだ実現いたしておりません。来年度はぜひこれを実現いたしたいと考えまして、予算の要求をいたしまして目下折術中でございます。ところでこの国内線、国際線ともに諸般の条件が整つておりませんために非常な不利があるわけでございまして、各航空会社とも相当の赤字を出しておるのであります。アメリカにおきましても相当の補助金を計上いたしておりますが、逐次改善されまして、本年度におきましてはアメリカの国内で言いますと、大航空会社九つは補助金なしに自営できる状態に進んでおります。国際線につきましては、非常に多くの補助金を出しておりまして、国際線全部に対しまして百八十億、太平洋線でパン・アメリカンが政府から受けております補助が二十八億、こういうふうな状態でございます。わが国としても、その初歩において予想しておりましたよりも、赤字が少し上まわつておる状態でございますので、これの補助を要求をいたしておるわけでございます。  次に自主運航態勢の確立でございます。これは現在飛行機が飛びまするには、一つの道を電波に乗つて歩きますために、おのずから道ができておりまして、その航空路を飛ぶことになつておりますが、その運営及び飛行場に発着いたします指示の関係が、全部米軍によつて行われておるわけでございます。従つて、その行われるのは英語によつて行われておる。日本の飛行機が日本の空を飛ぶのに、英語にたよらなければできないという状態でございますので、これを早急に解決すべく、現在百八十三人の定員をもらつて、要員を訓練しておるわけでございますが、その要員が英語と日本語と両方を使わなければならぬという状態でございますので、この訓練は非常に困難をいたしております。一年は最小限かかりますのでこれを進めておりますが、さらに二百人くらいの人を養成しまして、その養成が完成した後に、米軍側から日本側にコントロールの権能が移されることになつておりますので、これもぜひ来年度相当数の人員をもらいまして、日本側に引継ぐ態勢を早く整備したいと考えておる次第でございます。  次は乗員の養成でございますが、乗員の養成については、ようやく本年度予算に計上をすることができまして、十月一日から宮崎に航空大学校を開設したわけでございます。それも経費の関係からいたしまして、フレツシユマンの養成が十人、経験者を再訓練をいたしますものがパイロツトが八人、航空士が五人、機関士が八人、こういうわずかな数字でございますが、来年度はこの再訓練の方を六十名ばかりに増員する。それからフレツシユマンの方は二年で仕上げるということでございますので、来年度は学年進行があります。また来年度に採用人数十人を十六人にふやしたいということで、予算を要求いたしておるわけでございます。  なお特にわれわれがお願いしたいと思つておりますことは、航空事業には初期の段階におきましては、各国とも相当の力強い援助を与えておるわけでございます、わが国におきましては遺憾ながらその態勢がまだなつておらないわけでございますが、一例を申し上げますと、飛行機にのりますと、通行税が二割かかるわけでございまして、その二割というものが非常な影響をいたしております。運賃の賃上げにもおのずから限度があるし、またお客さんの方から言えば負担が大きいということでございます。国際線に乗れば通行税はかからない。にもかかわらず国内線に乗りますと、乗つただけで二割の税金を払わなければならないということでございます。この通行税は当分の間、民間航空の発達を助成する意味においてぜひ免除していただきたい、こう考えております。  次は、各国との航空協定の締結でございますが、各国との今相当航空協定締結をいたしておるわけでございます。ブラジルとの間には調印の寸前にヴアルガス大統領がなくなりまして、情勢がかわりまして、目下行き悩みの状態になつております。なおフィリピン、インドネシア、ベトナムあるいは朝鮮というような近まわりのところと航空協定を締結して、相互の交通ができるという態勢を持ち来したいと念願いたしておるわけでありますが、これら諸国との正常の国交が回復いたしませんので、その方に手がまわらないのはまことに遺憾に思つておる次第であります。しかし将来日本が参ろうと思いますヨーロッパ諸国その他とは逐次条約を結ぶべく、先方からの連絡もございますし、当方からも連絡をしておる次第でございます。以上簡単でございますが、御説明を終ります。
  39. 岡田五郎

  40. 山口傳

    山口説明員 海上保安庁関係につきましてご説明を申し上げます。  お手元に差し上げてある資料の運輸省基本政策要綱の中に、実はばらばらに入つておるわけでございますが、まず災害防止ならびに交通安全の確保に関する方策の中に若干載つておりますしまた最後の海上治安に関する方策というところに載つておりますが、説明の便宜上一括して申し上げたいと思います。  海上保安庁の現在の問題といたしましては、何と申しましても巡視艇の増強が必要だと考えるのであります。御承知のように一昨年の秋以来、東支那海、韓国水域、あるいは北方水域方面に、日本漁船の保護のために特別哨戒に出しております。そのために北方には三隻、韓国水域並びに東支那海水域に常時五隻、これだけのものを出すために大型巡視船かれこれ二十隻以上というものは、この方面の仕事に完全にとられておるわけであります。従つて現在ではほとんど全管区から大型巡視船艇を特別派遣して、この業務に当つておるといつてもよいのであります。そのために沿岸の警備救難の業務には、手薄になつておるということが言えるのであります。私どもといたしましては、せめてかような新たに加わりました特別哨戒にさかれております巡視船艇の勢力だけでも、さしあたり埋めてもらいたいと思いまして、これを三箇年間に埋める計画で、さしあたり来年度予算の中には、六百五十トン型の巡視船を二隻新造ということで出しておりますし、さらに三百五十トン型巡視船三隻、なお古い小型の巡視船をつぶしまして、そのかわりにつくる代替建造といたしまして三百五十トン型三隻、以上八隻の巡視船を予算として計止して、目下大蔵省と折衝いたしております。なおこれに付帯いたしまして、港内艇二十三メートル型あるいは十五メートル型というのがむろんあるわけであります。今日までの大蔵省の方針といたしましては、現在手持ちの巡視船総数九十六隻でございますが、従来の考え方はこの隻数はふやさぬ、せいぜい質を改善するための代替建造ということで、一両年は建造という方は全然見てもらつておらないのであります。どうしても昨今の情勢あるいは特別哨戒等にさかれている関係から 来年度は是非とも隻数だけは維持してもらいたい、従つて新造を実現することに最善の努力をいたしたいと思つております。これらの巡視船の船艇総計二十億ばかりを要求しておるわけでおります。  次に航空機の増強でございますが、これは二十七年度の補正予算で、ヘリコプターの基地が全国に五箇所できております。これに配属すべき航空機としましては、ヘリコプターが六機認られまして、これが配属になつておりますが、その航空機の増強は認められておりません。今日まで私どもは、基地の整備並びに六機の訓練ということに力を注いでおりましたが、最近の一年間は現にすべてが現地に配属されて、日常の警備、救難業務に実際に活動して、先般の九州の台風被害の場合にも、緊急輸送にヘリコプターが従事いたしましたし、またこの間の函館の事件のときも、けが人二人を応急に病院まで運ぶ作業もいたしました。なお機雷の捜索、発見等にも随時出動いたしておりまするし、また海難の捜索にも再々出ておりまして、実用上非常に効果があるということも実証されておるのでございまして、来年度におきましてはこれらの五つの基地に、せめて二機ずつはヘリコプターを置きたいと思いまして、四機増強法を計上いたしております。なおヘリコプターのみでは不十分でありまして、ピーチクラフト二機、KAL型軽飛行機二機、従つて飛行機は合計四機になりますが、これらをさしあたり二つの基地くらいは地上設備をそのままでも使える関係もございまして、飛行機をさしあたり四機要求いたしております。  なお船のことにつきまして、巡視船は先ほど申し上げた通りでありますが、お手元に特別資料として差し上げてあると思いますが、水路部の所属になります大型の巡視船を一隻ぜひつくつていただきたいというので出ております。これは水路部では、現在専用の観測船としましては、わずかに百五十トンとか二百トン、三百トンというようなものが三隻あるだけであります。あとはごく小さい四トンとか六トンとかいう測量艇になります。観測船あるいは測量船と名のつくものは、わずかに三百トン以下のものが現に三隻であつて、いずれも老朽船であります。ところがこの水路部の業務といたしましては、国際水路局の規約によりまして日本が担当している日本周辺の水路についての資料を、加盟各国に通報しなければならぬ義務を負つております。またユネスコ等の関係から、北太平洋の海区における共同海洋観測も実施するように強く要望されております。これらの国際的な協力を果たすためにはどうしても三百トンあたりの船ではとうてい用をたさないのであります。航続力あるいは耐波性の点からいたしまして、少くとも観測船用としての大型船は一ぱいなければ、処置に困る。なおさらにこのような船ができますると、最近非常に問題になつております海底資源の調査の基本資料が、あわせて得られるという強みもございますが、今日さような作業をするところもなし、する船もないというかつこうで、細々ながら三百トン以下の船で間に合わせてやつておるのが現状であります。これらの海底資源の科学的調査をするために、この大型船が役に立つわけであります。また沿岸の測量をいたします場合の測量艇が、現在ではちりありばらばらでやるわけでありますが、かような大型船が一ぱいありますと、これが母船となりまして数隻の測量艇を有効に、能率約に使えるといういろいろな点から、どうしても日本の水路部に測量船としての代表的な船が一ぱい少なくともいるという見地から、一隻九百トンでございますが、経費といたしましては一億九千四百万をこの際計上いたしております。なお水路部につきましては、三隻の老朽船のうち一ぱいだけ、来年代替建造をお願いする。それから測量艇はわずか四トンくらいの船でありますが、これに測量機械を積んで沿岸の測量をいたすわけであります。これが現在二十一隻ありますが、いずれもすでに半分は非常な老朽船でありまして、船齢も超過しておつて、ときどき現に測量に行つておりまして、浸水して途中でやめるというこも引起しておる関係もありますので、ぜひともこれに代替建造をいたしたいと考えております。これが来年度予算では、測量艇六隻建造の経費が千六百八十万円となつております。なお水路部全体のことにつきまして考えておりますことは、御承知のように水路部は非常に歴史も長くて、いろいろな器具類も非常にいたんでおりますので、これの交代をしなければならぬし、さらに新しい近代的な、主として電波関係でありますが、そういう最新式の器具をぜひとも入れて、今日の世間の要望に従つて行かなければならぬ。そういう関係でいろいろな器具類を数多く取入れる。これらの総経費が七千三百万円で、要するに水路業務の近代化、機械化をはかるための経費であります。  次に航路標識関係でございますが、航路標識につきましては現在千八百基を持つておりますが、世間の要望はますます熾烈でありますし、さらに電波による航路標識に対する必要性が非常に強まつております。電波標識関係につきましては、来年度九箇所につくりたい。燈台が九十箇所、燈浮標が五十五基、霧信号機が五基、以上百五十九基、合計いたしまして九億九千六百万円ほど要求しております。これらが新設でありますが、なお航路標識についきましては、明治二年以来の建設にかかつておるので、なかには非常にいたんでおるものもありますし、あるいは標識の改良、改修のものも相当ありますので、これらにつきましては二箇年ないし十箇年の計画で逐次改良、改修をいたして、さしあたり三十年度につきましては約三百基、二億五千万円を要求しております。なお航路標識につきましては、大体従来の管理方式が、大きな燈台は一箇所の管理をいたしておりましたが、なるべく人員を整理し、能率的、近代的にするために、いろいろ資材とか、ジープとか、オートバイとかいうものがいりますか、そういうものを与え、あるいはまた標識それ自体を自動化することによりまして、数多くの標識を管理するという形をとりました。このことが職員のためにも生活する基地を適当なところに持つて行ける関係もあります。さような関係で現在ある千八百基の航路標識について検討を加えて、集約管理をいたそう。そのことによるほか今後の発展の道はないという結論に達しましたので、逐次これはやりつつあつたわけでありますが、一層拍車をかけましてそのことをやるつもりであります。来年度では、そのための補強資材を若干要求しております。大体海上保安庁といたしましては、警備救難業務、水路、燈台の三つが大きな仕事でありますが、何と申しましても船をふやしていただくことが一歩の問題でありますので、よろしくお願いいたします。
  41. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 北村説明員。
  42. 北村純一

    ○北村説明員 運輸省政策中、中央気象台に関連いたします部分は各所にわかれて書かれておりますので、説明の便宜のために、お手元へお配りいたしました運輸省基本政策に基く具体計画大綱というものに基きまして、簡単な御説明を加えさせていただきます。  第一番に、航空気象業務の整備でございますが、国際及び国内航空の安全を確保いたしまして、かつ経済的運航に資するために、民間航空用の飛行場における気象サービスの充実をはかる必要があるのでございますが、この点につきましては大体三つの方面から計画を進めております。第一番は、先ほど航空局長から御御説明申上げました新航空路線の開設に伴いまして、所要の航空測候所を新設いたしたいということでございます。第二番は、現在あります国内路線に沿つた航空測候所でありますが、これは昭和二十五年度に開設されました当時の事情が非常に影響いたしまして、テレ・タイプの要員以外の要員は一切認められというふうな実情で、現在業務を開始しておるわけでございます。ところが実際問題といたしましては、国内路線に就航するのは日本人の乗る飛行機でございまして、これに対するサービスを米軍から完全に受取るということは、非常に困難な事情がございまして、やむを得ずなけなしの定員をよその方からやりくりいたしまして、予報のサービスをしておるような実情でございます。この点ぜひとも予報あるいは観測に必要なる要員を予算的にも確保いたしまして、もう少し完全なサービスを提供いたしたいという点でございます。三番目は、近ごろ小型の飛行機が頻繁に不定期に離着陸いたしますいわゆる補助飛行場というものが各所にできて参りまして、これらの飛行機が気象に非常に依存しておりますので、その依存の程度がきわめて重大なございますが、そこには何ら気象に対するサービスの提供機関がございませんので、そういう意味合いで昭和三十年度におきましては阪神以下の飛行場、これは航空管制等を持つておるという程度のところを標準にいたしまして、飛行場に対する航空測候所を整備いたしたい、こういうふうな大体三つの点に要約されます計画を、三本年度以降におきまして逐次実施して行きたいと思つております。  第二番目は、海上気象業務の整備でございますが、船舶の安全運航に資するためには、海上気象観測の充実をはかるとともに、海上気象予報業務の充実と船舶に対する予報、警報の周知徹底をはかる必要があるのでございます。この点におきまして中央気象台が考えております点は、現在そうい業務の中枢をなしております海洋気象台等におきます予報業務の刷新強化をはかりたいと思います。またそれと同時に、各海洋気象台に配置されております海洋観港船はきわめて小型で、かつ老朽なものでございまして、必要な担当海面に対する行動が実施できないというふりな状況にありますので、三十年以降におきまして長崎、函館、舞鶴の各海洋気象台に配属する三百トン一隻、七百トン二隻の船舶の新造を計画しております。なお海洋気象台と海上保安庁あるいは漁業無線局との間におきます専用電信電話回線が十分に完備しておりませんので、この点につきましても整備をはかりまして、海難予防に対すも気象業務の周知徹底をはかりたいというふうに考えております。別に海上におきます船舶に対しまして天気図を無線によりまして模写放送する、そういうふうな計画につきましても現在進めておるわけでございます。なお沿海地域における船舶に対します設備計画といたしましては、主用港湾におきます臨港の事務所であるとか、あるいは気象信号標識を整備する、あるいは離島、岬角におきます風向、風速、波浪等の観港施設を整備する、そういつた計画昭和三十年度以降におきまして予算化し、実行に移して行きたいと考えておる次第でございます。  次は災害防止のための気象業務の拡充の件でございますが、その第一番といたしまして水害緊急対策のための業務整備でございます。この点につきましては日本の水害が、特に山岳地帯における気象業務の整備が遅れておるというところに起因しておりますので、この点の観測設備を充実いたしまして、豪雨を早期に予知して豪雨の状況をしさいに把握いたしまして、洪水、山くずれ等に対する的確な予報、警報を行えるようにいたしたいと思つております。この点につきましてはすでに昭和二十八年の補正予算からこの実施を認められてきておるのでございますが、昭和三十年度におきましては前年度に引続きまして、日本の本州におきます二十五県の現在なお施設をやつておりませんところの県全体を対象にいたしまして、その施設を完備いたしたいと思います。昭和三十年度におきましては北海道とそれから技術的ないろいろな制約がありますために、前年度までにおきまして十分に施設が行われておりませんところの気象用レーダーの全国的な完成をはかりたい、こういうふうに考えております。  次は重要河川におきますところの水理気象業務の整備でございますが、これは利水と水害防除を目的としました予報、警報を行いまして、ダムの管理を円滑にして行きたいということでございます。この点につきましても昭和二十九年度予算に認められました北上川、利根川の業務計画が目下進行しておりますが、それに引続きまして三十年度は北上川、利根川、石狩川、天龍川、木曾川、最上川というふうに対象を広げまして、水理気象業務を実施したいと思います。その他爾後におきましては全国の主要水系におきますダムの完成あるいは事前湛水の開始に対する工事進捗の状況に応じまして、逐次この業務を開始して行きたい計画を持つております。  次に農業災害対策といたしましての気象業務の整備について申し上げます。天候不順によりまして冷害、早害等の農業災害を起すのでございますが、これを予防するために必要なる長期予報といたしまして、新たに平均天気図報というものを採用いたしたいと考えまして、これに必要な予算をもつて昭和三十年度以降三箇年間で全国的に実施いたしたい、こういうふうに考えております。まず最初の昭和三十年度は、北海道と東北地方を対象といたしました冷害を中心とする長期予報の完成を目途として、目下予算を要求しております。  次は地震観測について申し上げますが、現在わが国の構造物の設計というものは、厖大な地震荷重と称するものが加えられておるわけでございますが、この地震力は全荷重のうちで相当大きな部分を占めております。その値が大きいか小さいかということば、工事費に非常に大きな増減が起るわけでございます。現在一般に使つておりますところの数値は十分大きいものでありますので、安全設計はできると思うのでございますが、そのために工事費が非常にかさんでおるということも一応考えられまして、この工事費を節減するということを考えました場合に、その根拠になるところの系数を完全につかまえておりませんために、その点が不可能になつております。また新しい形態の構造物が逐次できて参りまして、ある一面で現在使つておる係数もなお十分ではないというふうなところもあるのでございまして、耐震建設というふうなものを普及させて行く上に重要な問題になつておるわけでございます。現在一般に使つておりますところの地震計は、比較的軽微な地震をはかるとを対象にしておりまして、建物を破壊するような大きな地震に対しましてはその作用を失う危険性がございますので、強震に耐え得る地震計を全国的に測候所に配置いたしまして、橋梁あるいは港湾、建築物といつたものに対する耐震用の基礎係数を与えるよういたしいと思つております。  次は放射能測定業務についてでございますが、気象台におきましては、大気中の放射能の常時観測を全国的に行いまして、放射能の状態を把握いたしますとともに、原爆実験等が行われました場合の人工放射能の影響を明らかにしまして、またこれらの研究、統計調査を行いまして、放射能災害の対策に資したいと考えておるのであります。本年度におきましてはすでに予算節約額の解除を受けまして、約千四百万円をもつてこれらの業務を開始いたしましたけれども、なおその観測点の数とか研究面におきましてすこぶる大きい不足をいたしておすりまので、約六千万円の経費を三十年度において計上要求いたしたいと考えております。これらの点につきましては、現在厚生省に設置されておりますところの原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会と、十分な連絡のもとに計画を立てた次第でございます。  次は北方定点でございますが、この点につきましては、たびたび本委員会におきましてもいろいろ御意見を承つておりますので、われわれとしましても北方定点の再開の絶対に必要なことを考えまして、昭和三十年度におきましては、総トン数約二千トンの観測船を三そう新造するという計画を持つておりまして、三十一年度早々から通年観測を開始いたしたいと考えておる次第でございます。  なお基本政策には盛られておりませんけれども、私ども、主として通信設備の無線化を中心といたしました通信の安定性の確保あるいは能率化ということにつきましては、別途に計画を進めておりますので、この際申し添えさしていただきます。簡単でございますが、これをもつて私の説明を終ります。
  43. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 それでは本日の委員会はこれで閉会といたします。なお次回の委員会は公報をもつて通知いたします。    午後一時十五分散会