○
青野委員 私は
結論として
最後の
質問を申し上げて、他の
委員諸君にお譲り申し上げたいと思います。なお石井運輸大臣の御
答弁に対しましては、できるだけ御努力をより一層続けていただきたいことを熱望してやみません。結局今
国鉄側からの御
答弁を伺
つておりますと、
洞爺丸は明らかに
青森に向けて、
青森に行く
目的で出た。出てみたけれ
ども、やはり
台風の
関係でこういう遭難をしたということになれば、その点を御承認していただくということになれば、やはり
国鉄の
責任がそこにあ
つたということになります。私は大体
台風による
事故の
防衛態勢というものが、
結論から言えば
調査団と同
意見で十分でなか
つた。それから、今申しました
青森行きの
目的で出航したことは
はつきりいたしました。これは確かにあやまちである。いくら
経験の深い
船長であ
つても、青函局長でありましても、この点については、やはり見通しを誤
つたという点は、これを否定することはできません。そうな
つたときに乗客を下船せしめなか
つたということは、そういう
目的で出港した場合はやむを得ないかもわかりませんが、大体坐礁して船が転覆をしてからも、この救済処置というものが十分に講じられておらない。あれが
船内におる人を自由に
——あれだけの犠牲を出す結果になれば、当然これを開放して、極力生命の安全をはか
つてもらう
ような処置を講ずればよいが、転覆をする直前からこれを
船内にとじ込めたとい
つたような、いわゆる臨時措置が十分でなか
つたために、一割の犠牲で済んだらとにかくも、九割近くの
犠牲者を出したという点についても、私は
国鉄当局側がやはりその措置に対して十分でなか
つたと考える。第一、過去において
風速二十五メートル、三十メートルの場合でも、また南風三十二メートルの
台風が吹いておるのに、大丈夫であるという認識のもとに船を出した。それが普通の
船体であれば別ですが、これは
貨車を積んでおるから、普通の船とは違いまして、転覆をする可能性が非常に大きい。危険性があることを十分知
つておりながら、常にそういう
ように出港をしてお
つたという点等を考慮いたしますと、どうしても、申し上げにくいことではあ
つても、これは
国鉄当局の
責任がそこに所在するのではないか、
気象台の業務の欠陥ももとよりであります。結局、問題は不可抗力と
思つておるのは、これは
海難審判庁の
結論が出る前でございますから、私は
はつきりとは言いにくいかもしれないが、不可抗力ではない。佐賀の嬉野のバスの転覆の場合、長崎
総裁みずから立
つて委員の
質問に
答弁した
ように、明らかに運転士の
責任でございましたと言い得るかどうか。
国鉄の
責任か、あるいは
台風による不可抗力で、できるだけの、人事を尽したけれ
どもだめであ
つたという
ような考えでおられるのか、その点について
最後に私は当局の御
意見を聞いておきたい。
それからもら
一つ重ねて申し上げますが、十月二十二日に第十
委員室で
運輸委員会が開かれておりました。ち
ようどその日の毎日
新聞に記載されてお
つたのですが、「
洞爺丸事件に
結論」、これはあるいは中間的な
結論かもしれません。「
船長、青函局に重過失、
気象台にも業務上の欠陥」という見出しのもとに、第一、「
死亡した近藤
船長の重過失はもちろんだが、青函局幹部の業務上の重過失も見逃せない」、第二に、「
気象台の天気
予報も不備なもので重大な業務上の欠陥がある」。当時南風三十二メートルの風が吹いておることは
——なくな
つてお気の毒でございますが近藤
船長は、もとよりそれを承知の上で船を出したはずであります。以上四点と二十二日の毎日
新聞の
函館海難審判
理事所が一応出した
結論と照し合せてみましても、これは
国鉄当局に
責任のある問題であるということは、私はこれはいなむことができないと思う。そうすると今の応急的な五十万円は、増額訂正されなければなりません。
こういうことは今回の
事件だけではございません。昭和二十四年六月二十一日に、四国の高松から今治を経由して九州の門司に行く青葉丸の
事件、これなどは
はつきりしております。今治を出て、豊後水道を抜けて来るあの二十五メートルの
台風に、どうしてさから
つて行けまし
ようか。門司に向けて行くのだから当然中国に流されて行くと
思つたが、二十五メートルの
台風にさから
つて行つて、東国東半島の姫島まで行
つて沈没したという
ような
海難審判庁の
結論が出ておる。しかも
全員死亡しておる。そういう問題でもだれが
責任を持
つて調査したのか。
潜水夫を入れて
調べてみてもわかるが、それは当然宇部の沖に沈んでおるものを、
死体を乗せたまま、
死体を収容しないままに沈んでおる船を、
死体捜査もせずにダイナマイトで爆発させて、
死体もろともこつぱみじんに破壊し、二束三文にその船を払い下げておるという
ような問題が、民間の会社間に公々然とやられておるという事実を私は知
つております。私は行政監察
委員会に正式に取上げて、その真相と今回の
事件とを一緒に掘り下げてみるつもりでおるのでございますが、こういうことは今後の
運輸委員会に正式に持ち出して御
意見を聞きますが、こういう
ように常識的に考えても、
風速二十五メートルの
台風にさから
つては行かれない。ずつと流されておるのに、方角違いの姫島の沖に沈没した船がたくさんございました。これは軍部が船を操作をしたものが沈んだもので、結局それを青葉丸であると言わしたという
ようなことも聞いております。ここにはその当時の毎日
新聞の記事がございますが、この一番下の船が青葉丸です。こういう
ように、いろいろな事情があ
つて死体を出さないのはやむを得ないけれ
ども、努力をせずに九十何名の
死体を乗せたまま、一部のインチキな潜水
関係の事業者と手を握
つて、
死体もろとも爆発してしま
つて、金もうけのためには人道を無視してもいいという
ようなことが、過去においてたびたび行われた。
台風によるところの
沈没船の問題には、いつも何か暗い影がつきまと
つておると私は考えておる。だからこれはまた別に扱いますが、今回の
事件につきましても、これは明らかに
青森向けの
目的でさん橋から
洞爺丸は離れた、乗客を下船せしめなか
つた、坐礁して転覆してからの善後措置が十分でなか
つた、
台風に対する
事故の
防衛態勢が十分でなか
つた、
気象台の業務上の欠陥も
相当ある、ここに
函館海難審判
理事所が出しておるものと私の
意見とを照し合せてみますと、当然私は
国鉄の
責任であると断定せざるを得ない、あらゆる資料を中心にしてそう思います。
そこで先ほど石井運輸大臣にもお願いしておいた。これが
国鉄でまかなわれない場合は、国家が補償の形式をと
つて財政的の措置をとる、
弔慰金が出る
ようにする、あるいは遺家族の、貧窮な
諸君に対しては、恒久的援護対策部という
ようなものを設けて、これにあたたかい救済の手を差延べるとい
つたようなことにつきまして、当然そういう機関を設置すべきであるということを申し上げたのでございますが、
最後に
国鉄当局が、私
どもの
責任でございます、嬉野の
ように運転士の過失、業務上の失態、
責任は
はつきりいたしますということを、私は言
つてくれとは申しませんが、あなた方がお考えにな
つて、高等
海難審判庁の最終判決、判定が下る前に、被告は被告の立場で
調査をした内容を中心にして御言明が願いたい。その前に、われわれ二十五名の
委員に
調査の
報告書を出してくれという要求を、今日まで実行されないから、私はやむを得ずにこれだけの御
質問を申し上げたわけです。書類にな
つて来ておれば、非公式に尋ねてもよか
つたのですが、そういうことを実行されておらないから、勢い私の
質問に対してき
ようは
結論をつけるために、以上の
質問を申し上げたわけでございますが、こういう点について、
国鉄側の態度を明瞭にしておいてもらいたい。その
発言の
模様によ
つてはもう一ぺん御
質問するかわかりませんが、これは長崎
国鉄総裁からひとつ態度を表明してもらいたいと思います。