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1954-09-28 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十八日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君       天野 公義君    岡田 五郎君       岡本 忠雄君    木村 俊夫君       徳安 實藏君    南條 徳男君       有田 喜一君    岡田 勢一君       齋藤 憲三君    青野 武一君       楯 兼次郎君    竹谷源太郎君  委員外出席者         運輸政務次官  岡田 信次君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    粟澤 一男君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         海上保安庁長官 山口  傳君         運輸事務官         (中央気象台総         務部長)    北村 純一君         運 輸 技 官         (中央気象台予         報部長)    肥沼 寛一君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         事         (営業局旅客課         長)      久田 富治君         日本国有鉄道参         事         (営業局配車課         長)      公文 廣嗣君         日本国有鉄道参         事         (営業局船舶課         長)      篠田寅太郎君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 五月二十九日  委員竹谷源太郎辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員片山哲辞任につき、その補欠として竹谷  源太郎君が議長指名委員に選任された。 六月二日  委員吉川兼光辞任につき、その補欠として小  平忠君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  山口丈太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員天野公義君及び臼井莊一君辞任につき、そ  の補欠として松岡俊三君及び堤康次郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員松岡俊三辞任につき、その補欠として天  野公義君が議長指名委員に選任された。 八月十七日  委員天野公義辞任につき、その補欠として三  和精一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和精一辞任につき、その補欠として天  野公義君が議長指名委員に選任された。 九月七日  委員天野公義辞任につき、その補欠として渡  邊良夫君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員石井光次郎辞任につき、その補欠として  木村俊夫君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員徳安貫藏辞任につき、その補欠として池  田勇人君が議長指名委員に選任された。 同日  委員木村俊夫辞任につき、その補欠として徳  安實藏君が議長指名委員に選任された。 同日二十八日  委員池田勇人君、渡邊良夫君、伊東岩男君及び  岡部得三辞任につき、その補欠として木村俊  吉君、天野公義君、岡田勢一君及び齋藤憲三君  か議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月三日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(参議  院提出、第十六回国会参法第七号)  陸運特に国鉄経営合理化に関する件  船舶港湾に関する件  観光に関する件  空運事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  台風第十五号による洞爺丸遭難事件等に関する  件     ―――――――――――――
  2. 關谷勝利

    關谷委員長代理 これより開会いたします。  委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職務を行います。  台風第十五号による洞爺丸遭難事件を議題といたします。   この多数の遭難者に対しまして哀悼の意を表しまして、黙祷を捧げます。     〔総員起立黙祷〕  昨日在京運輸委員方々には急遽お集まりを願いまして、当局側より事情を聴取をいたしたのでありまするが、的確にその事情を把握するに至らなかつたので、本日委員会を開会いたしましたのであります。昨日御出席にならなかつた方もあり、その後の経過も判明いたしたことと存じまするので、あらためて経過につき説明を求めます。
  3. 徳安實藏

    徳安委員 その説明の前に私は一言議事進行について当局にお願いいたしたいと思います。昨日三時から私ども報告を聞いたのですが、その報告されるずつと前にすでに新聞夕刊にすつかり書いてある。その書いておる後に委員会が開かれておるのに、新聞に書いてある以下のことしかわれわれには教えてくれない。私は三時に緊急の打合会がございましたから、少くも相当に材料を持たれて私ども報告があるものと考えていたのです。ところがあにはからんやまつたく予想に反して、ほとんど大した報告がない。一時か二時ころに締め切つた夕刊を見ますと、それ以上のことがすつかり書いてある。これでは委員会を開いたり、打合会をして当局に聞くまでもなく、新聞をごらんなさいということの方が早手まわしだろうと思う。かような誠意のないやり方は私ははなはだ遺憾である。どうか本日の報告も、ただ新聞に出ておる程度あるいはそれ以内のようななまはんかな報告ではなしに、ほんとうに私どもの納得の行くような御説明を聞きたい、こういうことをあらかじめお願いいたしたいと思います。それでなければ私どもはこの委員会でなくて、新聞を読んでおつた方がいいのです。またきのうの御報告以外にも、弔慰方法等についてもきのう国鉄で決定したことが新聞に出ておりますが、きのうは総裁からそうしたことについてわれわれには何らの報告もありません。新聞を見て初めて知つたのです。こういうようなことは委員会を開かれる以上は、もちろん新聞に発表なされることも当然でありますけれども、私どもの方にももつと詳細にほんとうの気持、ほんとう実情を話していただいて、そうして新聞より以上のことはあるいは困難かしれませんが、新聞より以下のことであるなら、もう委員会も開く必要はないのではないか、それを聞くたけなら……、かような感を深くするのであります。鉄道当局運輸当局ももつと正確な数字でなくても、大体これが妥当だと思われる情報がありますならば、それを私どもにも聞かしていただきたいと思います。
  4. 關谷勝利

    關谷委員長代理 総裁報告をせしむることにいたします。まず運輸省当局より御説明を願います。岡田政務次官
  5. 岡田信次

    岡田説明員 石井運輸大臣が目下現地におりますので、私がかわりまして御報告を申し上げます。  一昨夜第十五号台風によりまして、国鉄青函航路連絡船洞爺丸外四隻沈没大雪丸外一隻大破、計七隻の沈没大破を見たのでございます。特に旅客船洞爺丸沈没により、多数の船客の死亡または行方不明の事故を惹起いたしましたことは、まことに遺憾のことであり、申訳なく存じます。国有鉄道曽有の大きな事故でありまして、原因の詳細につきましては目下調査中でありまするが、すみやかに原因を究明するとともに、犠牲者弔慰方法につきましては万全を期したいと存じます。なおこの事故により、本州、北海道間の輸送力は大きな打撃を見ましたので、秋の繁忙期を迎えて大なる支障を来すわけでございまするが、国鉄当局として宗谷丸を使用するとか、一般貨物船を用船するとか、あらゆる方策を講じてできるだけの輸送力を確保いたしたいと考えております。  運輸省におきましては昨日早朝大臣以下関係幹部が参集いたしまして、国鉄気象台海上保安庁等情報を持ち寄り、緊急対策を協議いたしたのであります。さらに運輸省内に対策委員会を設置いたしまして、事故善後処置、今後の安全方策輸送力確保等について、強力に対策を推進することにいたしました。なお政府といたしましては、昨日午前十一時より関係閣僚の閣議を開き種々対策を協議いたしまして、石井運輸大臣政府を代表してただちに現地におもむくことと相なりまして、昨日午後四時には日航機で参り、今朝現地函館に到着、目下実情の視察、善後策樹立等全力を傾倒中でありますことを申し添えます。     〔關谷委員長代理退席委員長着席〕  なお事故の内容の詳細等につきましては、国鉄当局並びに関係の各部局等より御報告申し上げたいと存じます。  終りに私事にわたつて恐縮でありますが、私先般政務次官に任ぜられたのでございます。閉会中でございましたので皆様方にごあいさつする機会を得ませんでしたのでありまするが、はなはだ未熟、ふなれのものでございまするから、よろしく御鞭撻、御指導を賜わりたいとお願い申し上げます。
  6. 關谷勝利

  7. 長崎惣之助

    長崎説明員 洞爺丸その他青函連絡船遭難につきましては、ただいま政務次官から御報告申し上げた通りでございますが、私どもといたしましてはこの事件の報を受けると同時に、まず第一に遭難されました方々救護収容ということに全力を注いでおりましたような関係で、それに忙殺されまして情報収集等に十分ならざる点があつたことは率直に私は認めます。爾後われわれ国鉄におきまして情報収集、あるいは原因等の究明、善後策というようなことを取進めて参つたのでございます。  遭難いたしました舶船の数は、ただいま政務次官からお話がございましたように客貸船等五隻の沈没、二隻の大破ということになつておりまして、青函連絡に配船してありまする船舶半数を失つたようなことになつております。しかしながらこの大破の二隻は、その後調査の結果、割合に早く修理ができて使えるような見込みが立ちました。それから客船の方におきましても、ただいまは羊蹄丸一隻でございますけれども摩周丸が今ドツクに入つております。この修理も極力これを急ぎまして、来月の十日ごろには就航が可能な見込みが立ちました。それに下関にありまする徳寿丸を急速に回航いたしまして、これは来月の一日に青森に到着する予定でございます。かようにいたしまして船の方の見込みは大分立つて参つたのであります。  これをどう使うかについては後ほどまた御説明を申し上げますが、救護模様でございます。これは爾後調査いたしました結果を総括的に申しますと、旅客関係におきましては、乗船されておりました方は総数千百四十二名でございます。うち、なくなられたことを確認せられた方は二百十一体でございます。それから生存の確実なることが確認されましたお方々の数は百二十三名、結局目下なお不明の方々が八百七名ということになつております。乗船名薄もようやくにしてでき上りました、この乗船名簿によりますと、有名人といたされましては富吉さん、それから菊川さんが乗船名簿に乗つておりまして、このお二方は本日のところ、まだどうなつておるか不明のままでございます。生死のほどが確認いたされておりません。  なおこの遭難救護手配について少し申し上げますと、事件報告を得ると同時に鉄道病院、あるいは札幌の鉄道病院、あるいは嘱託医その他看護婦総数四十人に近い方々を動員して救護に当つております。生存されておられまする方々は、鉄道病院あるいは市内鉄道嘱託医主要病院八箇所に収答申し上げましております、軽傷の方々景福丸に収容いたしてございます。おなくなりになられました方々の御遺体は、函館市内慰霊堂、本願寺の西別院、七重浜国鉄職員養成所に安置申し上げましております、これらの御遺骸は全部白布をもつておおい、丁重にお扱いをいたしております。遭難者の御家族方々等宿舎等につきましても、国鉄の寮を提供いたしましたほか、市内の旅館十箇所を借り上げましておとまりを願うような手配をいたしております。経費はもちろん国鉄がこれを支弁いたす所存であります。二十七日の十時には、お乗りになつた方々の名前を乗船名簿によつて調べまして、御住所を調べ、わかりました情報を御遺族の方、あるいは傷病、生存方々家族全員に、一応電報を発してお知らせ申し上げております、  弔慰、お見舞等につきましては、青函管理局長名義のお見舞として一万円、私の総裁名義の御供物もささげてございます。またおなくなりになつた方たちに対しては、霊前に金五万円の御香奠を差上げることにいたしております。  輸送力の今後の措置につきましては、先ほども申し上げましたように、連絡船の約半数を失いました結果、非常にきゆうくつになりましたので、大体お客さんにつきましては、遭難されました御家族方々をお乗せするということに一応制限し、荷物につきましては、主食あるいはみそ、しようゆというような材料を運ぶという制限をいたしたのでございますが、爾後いろいろ計画を練りまして、その結果、二十八日からは取扱い制限緩和をいたしまして、青函航路経由お客さんの取扱い制限は全部解除する、手小荷物お客さん一人について一個に限り受託する、小荷物につきましては、新聞紙、新聞の原稿、救穫の材料映画用のフイルム、特に急送を要する物品につきましては、鉄道管理局長の承認を受けたものに限つて取扱いをするということに緩和するのでございます。爾後の対策といたしましては、先ほどもちよつと申し上げましたように、二十八日に下関に繋留中の徳寿丸青森に回航いたしまして、十月一日に先ほど申し上げたように青森に着きまして、これを使用してお客さんの輸送に当る。大雪丸は先ほど申し上げましたように破損があまりひどくないので、修理を急ぎ、現在入渠中の摩周丸の復帰と相まつて、二十九日以降逐次力輸送の増強に努めるつもりでございます。  荷物輸送制限緩和も漸次これをはかつて行く方針でございます。貨物につきましては相当の制限を免がれないのでございますが、宗谷丸を回航するとか、いろいろなことを考えまして、漸次制限を解き、輸送力を増大して参りたい。特にこの残りの貨物につきましては、北海道藤の物資の出荷最盛期に直面いたしまして、制限は免がれないかもしれませんが、できるだけこれは現地状況等考慮勘案の上、至急方針をきめるつもりであります。  船舶運航状況はしからば総括約にどういうことに相なるかと申しますと、九月二十八日からは、貨物便上りが九回、下りが七回、客便上りが二回、下りが二回、かようにいたしまして、お客さんは大体三千七百人から四千人程度お送りすることができると信じております。当面のお客さんの情勢から申しますと、大体この程度で、待合せの時間は延びますけれどもお送りできる、またそれで十分ではないかと考えておる次第であります。貨車につきましては、遺憾ながら十分なる処置は二十八日には講ぜられません。上りにおきましては、規定の最高の約一万トンの六〇%、下りは五〇%程度輸送力しかつかないのでございますが、二十九日以降におきましてはこれを七六%に上げるつもりであります。十月五日以降からになりますと八〇%にこれを上げて行くつもりでございます。ただこれらの処置はいわゆる臨時非常の措置といたしまして、乗務船員の差繰りその他に相当非常的な措置が講ぜられることになるのでますから、われわれといたしましては、そういう点をも勘案いたしまして、さらにこの輸送力を増強するために、あるいは用船等措置をも講じなくてはならないと考えております。ただ何分にも航送と違いまして、用船等によりますと沖荷役になりますので、非常に荷物が遅れるのではないかというようなことも苦慮しておるのでございまして、何らかいい方法がないものかということをいろいろ勘案し、今後におきましても運輸当局とも十分御相談の上、輸送の万全を期して行きたい。今まで貨車航送をやつておりましたものを、詰めかえによる船舶輸送ということになりますと、陸上の列車の輸送から形をかえて来なくてはならないのではないかということまで、つつ込んでいろいろ研究いたしております。早急に対策を講じまして、本土、北海道間の輸送の円滑について、万全を期して参りたいと存じておる次第であります。  終りに臨みまして、かくのごとき重大なる事故の発生を見ましたことは、返す返すも遺憾のきわみであり、遭難方々に対してはもちろんのこと、国民各位に対しても申訳のないことであつたと深く陳謝する次第でございます。
  8. 關内正一

  9. 山口傳

    山口説明員 このたびの台風第十五号に対しまする海上保安庁としての処置並びに被害状況につきまして御説明申し上げます。  函館の大さな事故がございました前日、すなわち九月二十五日の午前中に、台風第十五号が台湾の東方約百マイルのところにおきまして、進路を北東にかえたという情報を確認いたしましたので、海上保安庁全国管区に対しまして、これに対する注意を喚起するとともに、被害未然防止方を指令したのであります。これに従いまして、日本の南都の各管区におきましては、ただちに非常態勢に入り、洋上船舶の動静の把握、早期避難勧告等措置を強力に推進したのであります、一方台風速度を増し、二十六日の午前二時に至りましては、すでに鹿児島に上陸し、近来にない速度で山陰に抜けまして、さらに北東近いたしまして、同日夕刻には北海道の西岸に達したのであります。北海道を受持つところの第一管区といたしましては、当日すなわち二十六日の午前八時ごろ、船主あるいは漁業組合等に対し、この台風警戒方を、すなわち出航するものは見合せるなり、あるいはすでに出航しておるものは避難するなり、そういつた注意をいたしております。管区それ自体態勢としましては、当日の十一時に非常配備を完了いたしております。その後当庁初め関係機関の懸命の努力にもかかわりませず、非常な予想外被害を生じたのであります。  本日すなわち二十八日の午前八時までに、海上保宏庁に対する要救助船舶の数は、総計百八隻に上つております。そのうちすでに自力で入港いたしたものが三十一隻、当庁巡視船によりすでに救助いたしましたものが三十一隻であります。目下救助継続中のものが四十六隻であります。なお函館付近遭難しました青函連絡船等救助の概要は、二十六日の午後十時三十九分ごろ、函館港におきまして青函連絡船洞爺丸が、多数の乗客を乗せたまま七重浜に座礁し、SOSを発した後、横転遭難したのを初めといたしまして、付近におきましてその他四隻、合計五隻の沈没、二隻の大破ということが出ました。さらにそのほかの船といたしましては、葛登支燈台付近LST隻、それから第六真盛丸というほかの貨物船が、同じく七重浜付近で座礁いたしております。  これらの情報が入りましたので、当時他の遭難船救助のため出動しておりました津軽海峡にあつた当庁巡視船しり、おくしり、いずれも四百五十トンの中型巡視船でありますが、これらをこの方の事故にただちに振り向けまして、救助に当らせたのであります。なおその後第一管区小樽から巡視船のだいおう、だいとう、おきなみ救助艇のあかし、ふたみ、計五隻を出動させておりますし、第二管区、これは塩釜でございますが、これから巡視船のちふり、みくら、くま、とね、みおちどり、救助艇のあすか、計六隻、それから横浜の第三管区から巡視船のむろと、これは七百三十トンでございますが、この一隻、合計十三隻を手配をし、さらに当庁ヘリコプター一機を館山より現場に急行せしめたのであります。  函館港の悲惨な事故の当時の模様は、台風によつて風浪が高く、風は南西三十メートルないし四十メートルに達し、しかも暗夜で浅瀬に近いものでありますので、非常に救助の仕方に困難を感じたのであります。一番最初に現場に到達しました先ほど申し上げたちふり、おくしりの二隻のほか、函館におりました他の二隻は、その間で救助に大わらわになつたのでありますが、事故の当時は非常に風浪が高くて、ほとんど手の施しようがなかつたのでありますが、その後幾分か天候の回復とともに、ちふり等以下四隻、それとヘリコプターとで全力を上げて救助に当つたのであります。なおこれらのほかに救援といたしまして手を打ちましたことは、米軍側からは飛行艇二機、B26三機が出てもらうことになりましたし、また海上自衛隊の方のヘリコプター三機の出動も要請をいたしたのであります。  今日まで判明した乗客救助状況ですが、当庁に参つておりますものは救助されたもの百六十九名、死体収容、これは当庁のみならず陸上と両方合せたものでありますが、四百八十八体、かようになつているわけであります。  なおその間に当庁青森保安部所属の港内艇うらなみが、当日の午後三時ごろ下北半島の西海岸で第三明神丸という漁船がSOSを出しましたので、波浪を冒してこれの救助に参り、一たび曳航索曳航を開始したのでありますが、風浪のためにうらなみのエンジン二つある中の一つが故障いたしまして、救助を中絶して一旦離れたのでありますが、さられにその後残つておりました片舷も故障いたしまして、うらなみ自体からもSOSが出たわけであります。当日の夜に入りましたが、その後消息を絶つたのであります。これは幸い昨日の夕刻五時半ごろ現場付近の海岸に船体は大破模様乗組員は岩の上に残つているようでありまして、これを救助に来ましたみくらとの間の信号がやつと通じまして、乗組員九名のうち、セーラーの一名が足に負傷した程度で、その他は無事ということを確認いたしました。  以上海上保安庁処置並びに目下現場救助作業中のものは、手配いたしましたのは十二隻でありますが、十隻が到達して、活躍いたしております、
  10. 關内正一

    關内委員長 次に中央気象台予報部長より、当日の警報発令前後の状況説明を求めます、
  11. 肥沼寛一

    肥沼説明員 この台風につきましては、ただいま経路につきましては海上保安庁からの御説明がありましたので省略いたします。特徴といたしましては、非常に速度が早かつたということ、それから北の方に上つて行きなから多少強まつて来たということ、その強さは大体五月十日に北海道の近海で非常な遭難がありました、あのときの低気圧と同程度でございます。函館につきまして風の状況を申しますと、午後四時東の十八メートルでございます。五時南東十八メートル、午後六時南々東十三メートルでございます。午後七時南の十八メートルでございます。八時南の二十四メートルでございます。九時に南の二十六メートルでございます。あとは省略させていただきます。それから最大風速は、ただいま申しました九時の南の二十六メートルでございます。これは十分間の平均をふだん使つておりますその値でございますが、瞬間の最大風速は八時五十五分に四十一メートルというのが出ております。これは海洋気象台で観測いたしましたもので、海上ではこれの何割増しかになつていることが推定されます。  これに対しまして中央気象台としまて、とりました処置は、中央気象台では全国気象台測候所に指示をしてやる義務を打つておりますので、日本海を北上中毎時間台風の強さ、位置、進行速度、方向、そういうものを情報として流しております。各地区におきまする警戒状況は、そこを担当しております気象台測候所警報を出しますので、これは函館で出したはずでございます。これについて一応お断りしておきたいことは、二十六日の午後八時以後、私ども気象専用線不通なつてしまいました。多分函館市内状況だと思いますが、不通でございまして、詳しい状況がつかめませんので、電々公社の線にまわしていろいろの資料をとつておりますが、何分にも私ども資料が非常にたくさんの数字でございますので、思うような資料が入つておりません。それでただいま函館へ人を一人派遣しております。そういう状況のもとに私どもつかんでおります函館状況は、二十六日の午前七時に風雨注意報というのを出してございます。これは台風が広島県あたりを通過しておりますときでございます。午前十一時に暴風雨警報というのを出しました。これは能登半島の北方を通過している時期に相当いたします。その後の青函局と海洋気象台との連絡状況は、これはお互いに情報の交換をやつていたと思うのでありますが、そのこまかいところは私ども残念ながらまだつかめていない状況でございます。
  12. 關内正一

    關内委員長 質問の通告があります。これを許します。岡田五郎君。
  13. 岡田五郎

    岡田(五)委員 簡単に二、三前置き的に御質問を申し上げておきたいと思いますが、その前に駄弁でありますが、元鉄道省の船でありました興安丸で中国からわれわれ同胞が数百名帰つて参る、その前日に国鉄の船で千数百名のわが同胞が生命を失われたということは、非常に因縁的にまた非常に感慨を深くするのであります。かようなことはともかくといたしまして、まず第一に国鉄のこれに対する、また運輸省のこれに対する態勢といいますか、気持というものにつきまして、まだ私個人でございましようが、しつくりしない点があるのであります。一つはこれはお尋ね申し上げたいのでありますが、国鉄で今度の事故に当りまして、何か対策本部というものをおつくりになつておるようでありますが、大体まず第一に本部長にはだれがおなりになつておるのか、これをひとつお尋ね申し上げたいのであります。簡単でけつこうでございますから、長崎さんからちよつとお話を承りたいのであります。
  14. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど御説明を落しましたが、おつしやるようにこの情報、通報が参りますと同時に、私どもさつそく本庁へ参りまして、ただちに対策本部をつくり、本部長には副総裁が当つております。
  15. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私はこの対策本部の仕事というのはよくわかりませんが、平常の各局長の所管事項にかかわらず、この事故に関して対策本部が臨時的に権限を把握し、実行いたすものだ、かように心得ておるのであります。かような臨時的非常態勢としての権限を持つた対策本部であると考えるのでありますが、その対策本郷長に副総裁が当られるという考え方も非常にけつこうでありますが、これは変な言いまわしでありますが、体よく心を表わす、こういうことわざもあるようであります。このたびの事故は昨日も申し上げたのでありますが、普通の国内における鉄道の事故や、青函間の船舶事故と違う大規模な、世界的な人類史上見ましたら最大の不幸事である、かように考えるのであります。かような事故に対処するにあたつて、これは国鉄のワンマンと言つては言葉がはなはだ失礼でありますが、なぜ最高の責任者である総裁が第一線に立つて、この対策を非常的に緊急に、果敢に講ぜられぬか、この点について私は疑問に思うのであります。これは国際的に世界的に大きな問題であります。普通の暴風雨対策についての対案ならば、あるいは副総裁がなられてもよいが、事業官庁である国鉄総裁が、むしろ事業の第一線に立つて対策本部長として至上の大権といいますか、経営の大権を振われる方がむしろ適正な態勢であり、心構えである、かように考えるのでありますが、これに対する総裁のお気持はどうか。おそらく長崎総裁は、かような形にとらわれず、実態に備えた心組みでやつておられると思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、体よく心を表わすということわざが真なりとするならば、多少かようなひがみでもつて見るならば、あまりにも消極的な態勢ではないか、かように思うのでありますが、かような面についての総裁の御決意はどこにあるか。また何がゆえに平常的な考え方で、何がゆえに今までの考え方にとらわれて、安易と言つては言葉が失礼でございますが、そういう気持で対策本部をこしらえておられるか。しかも対策本部長は北海道へ出かけておられるのたから、おのずから総裁がここにおられて、政治的にあるいは国鉄の内部の事業経営の面において、第一線に当然立たれなければならぬ、また当然対策については総裁の決裁を受けられなければならぬ。それが何がゆえに、言葉は失礼でありますが、表面から隠れられるか、この点について総裁の心構えをお開き申し上げたいのであります。
  16. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答え申し上げます。岡田委員のお説まことにごもつともでございます。しかし私は総裁は当然の責任者でありまして、これが対策本部長であるとかないとかということではないのでありまして、もとより非常の措置として、あらゆる対策を講じて行くという決意においてはちつともかわりございません。しかもこの事故が非常に重大であるということの認識も、ふつつかながら持つておるつもりであります。従いまして従来の慣例でありますとか、行きがかりでありますとかいうようなことは一切とらわれることなく、先ほども申し上げましたように、当面遭難者救助救護ということに専心当らなければならぬと思つております。なおさらにその次には爾後の対策、あるいは進んではこの対策本部を置いてやることがいいか悪いかは別といたしまして、今回起きましたような事故を再びなからしめるような、もつともつと深いいろいろの研究調査、実行ということに移つて行かなければならぬということについては、決していわゆる裏に隠れて云々というようなつもりはございません。これは当然必然の私の責任でございますので、形はいかようであれ、責任は総裁が背負わなければならぬとはつきり私は考えております。
  17. 岡田五郎

    岡田(五)委員 かような問題につきまして、私は何も長崎総裁のこの事故に処するに当つての誠意と熱意とやり方について、不満を持つわけではありません。要するに今回の事故がいかに異例であり、いかに世界的な事故であるかということに対しては、異例な措置として総裁がみずから陣頭に立つて、やられることは同じであつても、これは気の毒な遺族であり、気の毒な問題を処理しなければならない問題であるから、私は形を問題にいたしておるのであります。かように冷静に平瀞に、普通の事故においても私は総裁は、たとい一人なくなられた事故においても、数人なくなられた事故に対しても、総裁は同じような気持で、爾後対策を講ぜられることと信ずるのでああります。ただ数が多いからどうのこうのということで、総裁の態度に軽重があるとは考えておりません。私は今回の事故が異例の事故であり、また日本の国家的な悲惨事で、国家がみな力を合せて喜後措置をしなければならない異例な事故であればこそ、慣例にとらわれないで、異例の措置を講ぜられるこそ、私は当然総裁のとられるよりよき形ではないか、かように考えまするがゆえに、だからこれを質問申し上げたのであります。かような意味合いでひとつ情味を含めた形を考えられることが、また私は大国鉄総裁としてのあるべき姿ではないか、かように考えられればこそ申し上げたのであります。  もう一つ私がお尋ね申し上げたいのは、大体今度の事故に対して運輸省対策本部というものがあるのかど一)か、これを一つお尋ね申し上げたいのであります。
  18. 岡田信次

    岡田説明員 先ほど私のお話申し上げた中に申し上げたのでありまするが、運輸省対策本部をつくつております。
  19. 岡田五郎

    岡田(五)委員 その運輸省対策本部長には、まだ新聞にも出ておりせまんから私は存じ申し上げておりませんが、またつくられたことは、きようつくられたとすれば、おそらく事務次官がおなりになつたとであろうと思うのであります。この運輸省対策本部と国鉄対策本部とどういう連繋をとつておるのか。むしろこの際非常の態勢については、国鉄対策本部とか運輸省対策本部とかいうことを考えないで、あまり機構的の形式的なことにとらわれないで、むしろ私は強力なる系統別な対策本部というものをつくられて、各省に働きかける。閣内においても、国鉄がもつと大きな目で、これが対策措置を講ずるよりにせられる必要へがあるのではないか。ややともいたしますと、私もやはり国鉄出身でありますが、どうもひがんで見ますると、国鉄モンロー主義といつては言葉が過ぎますが、国鉄がかような事故の処理になれておられるせいでございますか、また電信電話の設備が完備いたしておりますせいでごいますか、小成に甘んじて、あまりにモンロー主義的な行き方をせられておるがごとき雰囲気といいまするか、感じをいたすのであります。これは先ほども申しますように、私のひがみであるかもしれぬと申しておきましたから、あるいは間違つておりましたら訂正もいたしまするし、また間違つておれば間違つておるとお考えくださつてもよろしいのでありますが、もつともつといわゆる国鉄一体となつて、国鉄総裁が第一線に立つて、その下に次官もつき、国鉄総裁もついて、表裏一体になつてこの全国的な措置を講ぜられるこそ、私は形の上において、この遺族に対して誠意を披瀝し、また遺体に対しまして敬意を表し、弔意を表するゆえんではないか、かように考えるのでありますが、今度の行き方は非常に冷淡な行き方のように私は考えるのであります。もつともつと情をを持つて、この問題に対処せられんことを切望いたすのであります。なるほど病院の死体の収容、あるいはお医者のさんの派遣、あるいは情報収集、これは普通の事故のありきたりのことであります。もつともつと私は情味を持つて臨まれるならば、もつともつとあたたかい手がとうとい犠牲者に対しまして一日も早く注がれ、また行方不明の方々に対してもあたたかき救いの手が延べられるように、かように考えるのであります。かような点につきまして、何とぞ私は深甚なる再反省と再考慮を、なくなられたところの数百名の遺霊のために、またこれを取巻かれたる数方の遺族なり縁者なり友人のために、あえて、国鉄出身ではございまするが、直言をいたす次第でございます。  なおこの事故につきまして、いろいろ過去にも多少青函連絡船が沈んだにきの責任者であるという過去の私の経経からいたしましても、詳細に質問申し上げたいと思うでありますが、特に船長が暴風雨中出港いたしまして、沈没いたしますまでの経過については、海難審判庁の技術的な科学的な調査に基きまして、その責任の有無、あるいは過失の有無、あるいは指導の適否ということについては、おそらくお調べになることだろと思うのでありますが、私はこの暴風雨のまつたた中に、千数百人の人間を乗せるに至つた業務通営について過失がなかつたか、注意が足りないことはなかつたかということに重点を置いてお尋ね申し上げて、さらにその曲直を明らかにいたしたい、かように考えるのであります。私としても元同僚であり、もと職場を同じくいたしました者がほとんどなくなりましたので、私情においては彼らの責務の過失云々を問いたくありませんが、日本の、また世界的の一大事故を再び繰返さないために、またかような事故にあたりまして不幸を見られた方に対する責務を明なかにいたしまするために、実はかような点につい質問申し上げたいのでございます。  まず第一にお尋ね申し上げたいと思うのでありますが、この日は日曜日でございます。また先ほどもお聞き申し上げますると、海上保宏庁からも注意が出ておる。また気象台の方からも暴風雨警報が出ておる。かような場合に鉄道におきまして暴風雨警報の通達が、函館の青函鉄道管理局内において出ておつたかどうかという点が一点であります。  また日曜日でありまして、今は函館駅でございますか、函館桟橋駅か知りませんが、係官がおそらく日曜日で出勤しておられぬのかと考えるのでありますが、おられたのかおられぬのか。  もう一点は、これは駅長の独断で乗船させるのか、船長の独断で乗船させるのか、駅長あるいは桟橋長かもしれませんが、桟橋長と船長と会議の上で乗船させるのかどうか、この三点をまずお尋ね申し上げたいのでございます、関係の方から、運輸省でもけつこうでございますし、国鉄からでもけつこうでございますから、御答弁を願いたいと思うのであります。
  20. 篠田寅太郎

    ○篠田説明員 この暴風雨当日はちようど休日であつたから、岡田委員のお話では、出ておらなかつたのではないかというお話がございましたが、当日は暴風雨の警報も出ておりましたので、青函鉄道管理局の運航を担当しております海務課長という役目がおりますが、海務課長が直接局へ出ております。  それから乗船させる場合にどうするかというお話がございましたが、もちろんこれは乗船させる前に船長と駅長の方と相談いたしまして、乗せるか乗せないかという判断を下して乗せているわけでざいます。
  21. 岡田五郎

    岡田(五)委員 私は何も出ていなかつたのではないかという、ひがんだ質問を申し上げているわけではございません。非常に好意的に聞いたわけでございまして、どうかさようなひがんだ御答弁をくださらぬようにお願いを申し上げますが、私の聞いておるのは、その現場の最高責任者である駅長だとか、桟橋長だとかいうような者が日勤で、しかも日曜日で休みだ、しかも無風警報について、これは誤りかもしれしぬが、甘い情報をつかんでおつたというようなことを参考にいたしまして、出勤をしていたかどうかということを確かめておるのであります。どうか、きよう御返事ができなければ、あすでもけつこうでございますが、かような最高責任者が出勤をしておつたかどうかということと、もう一つは、たとえば桟橋にたくさんお客を待たせますと、お客の方からは一日も旅を急ぐという気持で、早く乗せろ乗せろといつて駅長が圧迫を受ける。これが駅長の立場です。かような旅客、公衆の圧迫といいますか、乗船したい、早く旅を急ぎたいという気持に駅長自身がせき立てられたかどうかという問題、またかような荒天を前にして、船長と駅長というものは十二分に打合せをして乗船をさせるのかどうかというような点につきまして、ひとつお尋ね申し上げたいのであります。と申しますのは、私は出港後における船長の責任については、おのずから海難審判庁がいろいろと技術的、科学的にお調べになりますから、私たちあまりそういう方面の専門家でない、また国有鉄道の運営の良否ということにつきましてしよつちゆう関心を持ち、また協力をいたしておりまする立場からいたしまして、かような面のお聞合せをいたしておるのであります。私どもといたしましては、もしお客が乗つてなければ貨物船と同じように、旅客汽船が沈没しただけ、いわゆる物的損害のみで終つたであろう。もし乗らなかつたならばという原因の中に、もし駅長が躊躇しておつたならばという原因もありましよう。あるいは暴風警報その他の関係があつたならば、なかつたかもしれぬ。その注意を怠つたがために船に乗つた、乗つたこの船を船長は、とにかく日ごろの経験にかんがみて沖へ出さざるを得なかつた。もしそういう原因なつたならば、旅客が死ななかつただろうという一点をつきたいのであります。かようた意味において、何とぞ個々の答弁の良否はともかくといたしまして、私どもの求めておることは、答弁の正確を求めておるのでありますから、その点いつときを急ぎませんから、十分にお知らせを願いたい、かように思うのであります。その点ひとつ船舶課長は、青函間の貨車運行について御責任をお持ちになつておる。もちろん旅客を船に乗せる乗せないということについても責任をお持ちになつているだろうと思いますが、おそらく私は、むしろ駅長の方にも大きな責任を持つておると、かようにも考えますので、先ほど船の方の警報は出ておるというお話でございましたが、陸の方の警報はどうなつておるか、陸上勤務者のこれに対する関心はどうであつたかということが重要な要因である、かようにも考えますので、その点ひとつ十二分にお調べを願いまして、私たちとして確信ある信念といいますか、頭ができますように御答弁をいただきますならばけつこうだと考えるのであります。
  22. 篠田寅太郎

    ○篠田説明員 御趣旨はよくわかりました。これは非常に現在、救助並びに遺家族等の弔意その他に追われておりまして、なかなかまだそこのそういう仕事に直接携わつておる人たちをよく調査いたしませんと、この問題は正確に御返答できません。現在函館には国鉄からも人も派遣しおりますので、よく連絡をとりまして調査し、もちろん今後この問題以外も多々われわれとして反省し、またわれわれとして徹底的に調査をして、今後再びこういうことが起らないというような事態に、われわれの人間の力でできるだけのことをやらなければならぬと私は考えておりますので、十分この点を私として調査をいたしたいと考えておる次第でございます。
  23. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つお尋ね申し上げたいと思います。これは私から申し上げるのは釈迦に説法という形になりまして、私自身といたしましては非常に恐縮に考えるのでありますが、私から申し上げるまでもなく、大体青函間は九月以降、翌年の四、五月ごろだつたと思うのでありますが、風雪、これには吹雪も加わりますが、風雪がはげしくなりまして、激浪の時期になるわけであります。今まで過去を顧みますと、青函間はかような暴風雪のために相当事故を起し、沈没した経験済みです。おそらくエンジンの故障のために沈没したという例より、暴風雪のために沈没した例が大部分だと、私は浅い経験でございますが、考えているのであります。おそらく、この九月以降の航行につきましては、駅におきましても船長におきましても、最善の注意と最善の――と言つては言葉が悪いのでありますが、相当の経験を積まれているはずでございます。かような経験者があえてかような事故に遭遇されたという一点には、おそらく不可抗力という原因があつたのだろうと私は御推察申し上げるのでありますが、ただ聞きただしたいことは、この暴風のまつただ中に――と言えば言葉は大げさでございますが、千数百名の旅客を乗せて出たという一点にあるのであります。この点につきまして、十二分に御経験を生かされたと思うのでありますが、船舶課長としてこの良否について今返答しろということは御無理だろうと思いますし、胸中おのずから所感はあるだろうと思いまして、あえてここで船舶課長の所信のほどを聞きただしませんが、私の申し上げたいのはその一点であります。どうかこの点につきまして私たちに満足の行くような情報を正確に、また迅速に知らせていただきたい。これが私たちのみならず、一般国民が実は待つていることであろうと思う。昨日の夕刊から今朝の朝刊あたりを見ますと、各方面の方々がいろいろな目で、いろいろ適切な批判を下されております。これはしろうとの批判だといつてあえてばかにする必要もない。ばかにしてはいけない適切な批判が各方面から下されているのでありますが、われわれはわれわれとして、彼らのこういうような批判をも参考にしながら、皆様方の正確な資料に基きまして、国民のために適正な判断を下して、その責任の曲直を明らかにし、もつて再びかような海難事故日本歴史上、世界歴史上、再びかような歴史を繰返さないようにこいねがう一人でございます。その点、くれぐれもかような意気込みとかような信念を持つて事故調査に当つていただきたい、かように考えるのであります。  それからもう一つ海上保安庁にお聞き申し上げたいのでありますが、あの当時、画餅海内におきまする国鉄連絡船以外の船で、沈没または大破した船がどのくらいあるか、また十勝丸とか日高丸とかという貨物船が沈んでおりますが、あの付近に船がおつたか、おらなかつたか、おつた船は沈んだか沈まなかつたか、こういう問題をお聞き申し上げたいのであります。かような点からいたしまして、日高丸なり十勝丸なり、あるいは洞爺丸沈没についての技術的巧拙について、私たちのしろうとの批判の一つの根拠になるわけでございます。先ほど何百隻とか、いろいろ出ましたが、ちつとも函館内の一般船の模様はお話しくださらなかつた。かような点をぜひ参考にお聞かせ願いたいと思います。
  24. 山口傳

    山口説明員 函館港内におりました船全般についての詳細な情報は得ておらないのでありますが、今日までわかつておりますことは、先ほどちよつと触れましたように、国鉄連絡船以外には葛登支燈台の沖にLST一ぱいが座礁しております。なお七重浜付近に第六真盛丸、これは原商船の所属船、二千トンはかりの船であります。この船が大型として座礁しております。港内における漁船の沈没は、ただいまのところ八隻でございます。当時どういう船がどの程度おつてどういう状況であつたかという詳細につきましては、今のところわかつておりません。
  25. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一問お尋ねいたしまして、また後日質問を続けさしていただきたいと思いますが、ひとつぜひ海上保安庁の長官にお願いいたしますが、その当時函館海内に連絡船以外の一般船がどの程度に碇泊しておつたかというこき、いろいろお手数もございましようが、ぜひお調べをいただきたいと考えるのでございます。それからもう一つ、国鉄総裁にお尋ね申し上げますが、私はきのうは十二時までラジオにかじりつきまして、刻刻各放送の洞爺丸に対する詳報、また現地の高見君だとかあるいは現場長の談話をいろいろ拝聴いたしておりまして、この談話の適否につきましては私ここで批判することをやめますし、また批判するだけの材料をつかんでおりませんので申し上げませんが、実は私非常に期待にはずれましたことは、なるほどNHKだとかいろいろニユースを報告しておられますが、行方不明は何名、死亡の方は町名というようなことだけ報告されまして、生存者の名前はこれこれであるとい放送が聞かれないのです。おそらく私は遺族の方方のお待ちになつておる気持は――生存者が同名ということもこれは非常に重大でございます。われわれもまたこれは非常に重点を置いて考えておるのでございますが、個々の個人の身を心配しておられる方は、おれの知合いが生きておるか、死んでおるかということが一番大事なのです。私がきのう申し上げましたのもそこにある。ところが生存者の姓名は――あるいは私がNHKだけしか聞いておりませんので、ほかの放送局の放送で名前が出ておつたかもしれませんが、私の聞いたところではこれは放送されておりません。かような点についてひとつ対策本部で、こまかな人情の機微に触れて対策を講ぜられることが必要だということを私は先ほど来一貫した信念で申し上げておる。ただ、いや死体をどうするとか、こうするとか、事務的な問題はどなたがおやりになつてもおのずからできることだ、私は長崎総裁に期待することは、この人情の機微に触れた対策を講ぜられ、処置を講ぜられるところに長町総裁の人格を信じ、またわれわれが長崎総裁に敬意を表しているのもそこにある、かように考えるのであります。かような点につきましても、どうか長崎総裁は――陰にひそむと言えば言葉が失礼でありますが、あまり重々しくされないで、もつと身軽に第一線に立つて、人情の機微に触れた処置を講ぜられることこそ、私は愛せられる国鉄であり、また愛せられる交通機関になると思う。また今度の事故に対して情をもつてこの不幸に報いるというところに、一貴した信念を打たなければならない、私はかように考えるのでございますが、このラジオ放送の生存者の氏名の発表はどうなつておるか。青森地区で発表しておる、函館地区で発表しておる、こうおつしやつておりますが、あの乗客名簿を見ましたならば、全国の人が青函連絡船に乗つておるのです。数は青森県と北海道の人が多いのでありますが、人命は数の多寡によつて軽重されてはたまりません。一人といえども生命に対しては同じように価値あつてこそ、価値づけることこそ、私は人類愛であり、人情味ではないかと考えるのでありますが、そういう点についてどういう処置を講ぜられたか。きのう私は少し鉄面皮に声を大にして申し上げたのを、馬耳東風としてお聞き流しになつたものか、あるいは反省されたものか、おそらく私は未熟君で反省する材料が提供できなかつたかもしれませんが、一考に値されたかどうかという点をお尋ね申し上げたい。この点につきまして簡単でもけつこうでございますが、この処置につきましてやつたかやらないかということを御答弁願いたいのであります。
  26. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほどもちよつと御報告申し上げましたが、生存の確認のついた力並びにおなくなりになつたということが確認された方の御家族、御遺族には、それぞれ乗船名簿によりまして住所を調べまして電報で御通知をしております。それから一般に対する放送も順次やつております。但しそれについてなお不十分な点がございますれば、今後これを改めて十分なる周知方と申しますか、に努力するようにいたします。
  27. 岡田五郎

    岡田(五)委員 やつておられまして非常に御同慶であり、また非常に適切な処置だと敬意を表するのでありますが、何放送で放送しておられますか、また何分間隔で放送しておられますか、この点を簡単でけつこうでございますがお尋ねいたします。
  28. 久田富治

    ○久田説明員 事故の起りましたのが日曜日の二十三時前後でございまして、それ以来約十二時間を経ました月曜日の昼前後から、NHKの全国中継を通じて生存者の名前が放送されております。そして一時間ごとに――私の記憶いたしますところでは一番最初に生残者の氏名が放送されたというように考えております。
  29. 岡田五郎

    岡田(五)委員 非常にこまかいことをお尋ね申し上げまして――この議席でそういうことをお尋ね申し上げるということはどうかと思いますが、これは国鉄から御依願なすつたのですか、放送局みずからが放送局の自主性に基いておやりになつたのでございますか。またNHK以外の放送も利用されるつもりでいらつしやるのでございますが、いらつしやらないのでございますか、その辺のところを――先ほども申し上げますようにお尋ね申し上げるほどのことでないかもしれませんが、その辺の気持がどういう形で出ておるかということについて、私独自の判断をさしていただきたい、こういう意味においてお尋ね申し上げますが、どういう方法をおとりになつたか、この点も参考のためにお聞かせをいただきたいのであります。
  30. 久田富治

    ○久田説明員 私ども国鉄本庁の方からは、生残者の氏名をNHKに対して放送してほしいという申出はいたしませんでした。但し現地の方でどういうふうにいたしましたかは、ただいまのところ存じておりません。  それからもう一つ、私ども民間放送ラジオ東京のCタイムの時間を買つておりますが、その時間を通じまして、国鉄現場長、駅長に情報がわかる限り与えてあるから、家族の方でお問合せの向きはできる限り駅長の方に連絡してもらいたいということを申し出てございます。
  31. 岡田五郎

    岡田(五)委員 どうもお答えを聞きまして、実は非常に落胆をいたしたのであります。NHKにも頼まないで、NHKが自主的にやつたのだ、かような心のあり方というものにつきまして、少し反省をしていただきたい。またラジオ東京の国鉄板、これは国鉄が御広告なすつたりいろいろしておられるときでありまして、私たち国鉄に関心のある君でも聞く場合もあるが、聞かぬ場合もありますから、国鉄のラジオ版は、全国の聴取者が耳を傾けて聞く時間ではないから、おそらく効果はなさそうだ思う。もつともつと大衆に接しておるラジオの時間を、なぜ積極的に利用されて報告されないのか。なるほど遺族に電報を打たれる、これは当然である。家族はもちろんのこと、友人親戚が首を長くして待つておる人情というものはおわかりになつておると思う。なぜもつと多く広く情的にこの事故に対しての処置というものを考えられないか、こういう意味合いで実は聞いたのです。私はおそらく国鉄からこういうように頼んだという、積極的な御返事があると思つて暗に期待しておりましたところ、逆にむしろNHKの方から積極的に好意持つて、この事態の重大性を認識され、また遺族の心中を推察されて放送された、このNHKこそほめらるべきで、国鉄はほめられぬという御返事をいただいたので、まことに落胆をいたしました一人であるということをここに申し上げまして、ひとまず私の質問を打切らせていただきます。
  32. 關内正一

    關内委員長 有田喜一君
  33. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私の聞かんとするところは、同僚岡田君の質問がありまして大体わかつたのでありますから、重複を避けまして簡単に質問したいと思います。  どうも先ほど来長崎総裁並びに運輸省政府委員の御説明を聞きますと、何だが一国鉄にこもつた、あるいは一運輸省にこもつたような対策を立てておられる感を強くするのであります。一体この事件はわが国未曽有の大事件であり、また世界的にも非常な大事件であります。これに対して内閣自体は一体どういうような対策を講じたか。内閣に対策本部とかそういうものを設けて、国全体として政府全体としていかなる措置をやろうとしておるか、そのことについて一体どうなつておるかということを、まず運輸政務次官からお聞きしたいと思います。
  34. 岡田信次

    岡田説明員 ただいま有田さんのお尋ねの点でございますが、内閣といたしまして対策本部は今のところございません。先ほど申し上げましたように、昨日午前十一瞬に関係閣僚の会議を開きまして、石井運輸大臣が忍涙現地に行つておるということは申し上げた通りでございますが、本日また関係閣僚の会議を開きまして、その後の情報等を検討中でございます。なお運輸大臣はおそらく明日帰京いたしますので、その上で内閣全体としての対策を立てたい。その前にまず運輸省なり、国鉄としての対策を確立して参りたいという所存でございます。
  35. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 運輸省なり国鉄が、その対策をすみやかに講ぜられることは当然のことです。しかし私から思うなれば、この事件は単に一つの鉄道事故といつて見のがすわけにいかない。これは渉外的にも非常に関係が深い問題である。賠償の問題一つ考えましても、ただちに外国人に対する影響はどうかという問題が起つて参ります。これは一運輸省やあるいは国鉄のみで措置すべき問題ではなく、内閣全体としてこれに対していかなる対策を講ずるか、これは当然対策本部を設けるべきであつて、単なる関係閣僚の集まりでどうのこうのというような、そんななまぬるい行き方では、私は断じていかぬと思う。運輸省として、内閣に対策水都を設けさして、政府としていかなる措置を講じなくてはならぬかという、国家的なことを当然考えなくてはならぬのに、どうして、あなたたちはそういうことを進言しないのか。
  36. 岡田信次

    岡田説明員 先ほど私が申し上げました本日の関係閣僚会談というのは、間違いでございまして、本日はちようど閣議に相当いたしておりますので、昨日来の情報を閣議に提供いたしまして、目下閣議においてこれを検討中でございます。この点を訂正いたしま  なお有田委員のお勧めのございました内閣全体としての強力なる対策機関をつくれということにつきましては、すみやかに考慮いたして実行に移したい、かように考えます。
  37. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私から言わしめるならば、そういう点について運輸省のやり方というものは、非常になまぬるくて、むしろ怠慢だ。しかしも済んだことはしかたがありませんが、今からでもおそくはない。すみやかに内閣に対策本部を設けられまして、そうして外国に対する考慮だとか、あるいは国内人心に対する考慮だとか、あらゆる何度からすみやかに対策を講ぜられて、万全を期せられることを私は切望してやまないのであります。どうかこれに対する決意のほどを承りたいと思う。
  38. 岡田信次

    岡田説明員 有田委員の仰せの通り、今回の問題は渉外的の関係もございますし、また船舶の復旧あるいは犠牲者弔慰等につきましても、相当に急を要することは明らかでございますので、強力な国家的と申しますか、政府としての対策機関を樹立するということは、まことに当然のことでございます。運輸省といたしましても、御趣旨に沿うて全力を尽くす所存でございます。
  39. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 それではすみやかにさような見解のもとに政府として対策本部を設けられて、万全を期せられることを切望し、かつ岡田政務次官の言葉を信じて、この点の質は打切ります。  次にお伺いしたいことは、一体気象台は今日の現状でいいのかどうか。今回の措置につきましても、私は気象台の抽置がはたして万全であつたかどうかということに対して、相当の危惧の念持つのであります。気象台を主管されるところの運輸省の立場として、はたして今日の気象台のあれは完全に行つておるかどうか、その見解をお聞きしたいと思います。
  40. 岡田信次

    岡田説明員 非常にむずかし問題でございまして、現在のあれといたしましては、気象台があらゆる能力を発揮して全力を尽しておるということは間違いない、かように考えるのであります。設備の点あるいは人員の点、その他において欠けるとこるがあるかないかという点につきましては、私といたしましても疑問なきを得ないところでありますが、今日の状態においては全力を尽しておるということだけは間違いないと思います。
  41. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私は今回の事件に対して、気象台当局を責めようとかなんとかいう考えはない。ことにこれからのいわゆる海事審判その他の権威ある審判によつて、いろいろなことが探求されるのでありますから、私はそういうことを責めようとは思わないのですが、気象台を主管する運輸省の最高幹部として、予算の問題につきましても、気象台に対する平素の感覚というものが、非常になおざりにされておるのではないかという感じを強く持つのであります。災いを転じて福となすよう、こういう際にこそ火映台の重要性を一層はつきりと確認されまして、平素より気象台の運営あるいはその設備の完璧のために、全力を尽していただきたいと思うのであります。これに対する――きようは政務次官大臣の代理だと思いますが、運輸省の最高幹部としての御決点、お考えのほどを承りたいと思います。
  42. 岡田信次

    岡田説明員 まことに仰せの通りでございまして、気象観測その他の充実ということにつきましては、最近の情勢にかんがみ痛感いたしておるのであります。来年度の計画におきましても、時に気象関係の充足に力を注ぎまして、これを充実し、もつて国民の期待に沿いたいというかたい決心を大臣以下いたしておりますことを申し上げます。
  43. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 次にお伺いしたいのですが、これは海上保安庁長官に聞きたいのです。現在海上保安庁には巡視船とかいろいろありますが、ああいう程度のものではたして海難救助といいますか、今回のような、ああいうものに間に合うと思つておるかどうか。私から言うならば、あまりにも子供のたわむれをやつておるような程度にすぎないような気がするのであります。子供のたわむれといつては少し極言でありますが、せつかく今回もSOSが発せられて救助を求めておるが、現在のような巡視船では、それを開いても助けに行く力もなければ能力もないと思う。そういうことに対する保安庁長官の見解はどうでありますか。
  44. 山口傳

    山口説明員 まず巡視船の性能であしりますが、私どもは平素痛感いたしておりますのは、遠距離の大型船の海難救助のためには現在持つておる船では心もとない、少くとも航続力をもつとふやして、現在以上の大型船をぜひほしいと思つております。しかしこのたびのような沿岸で起りました海難につきましては、若干考えがかわつて参るわけでありますが、現在の中型巡視船以下の性能は、今日の海難救助用の船舶としては一流だと考えております。ただ惜しいことには数が少いことと、もう一つこのたびの事故のために欲を申せば、小型のいわゆるライフ・セーヴイング・ボート、小型でどんな波にあいましても沈没しないという救助艇を、沿岸用のためにはもう少し整備してもらいたいということを、これはかねがねそのことは考えておるわけでおりますが、今日までその点につきましては心もとない感じを持ち続けて、今後の予算においては救命ボートという式のものをさらに整備してもらいたいとし考えております。つまり結局大型の巡視船若干と、ある程度数の多い救命艇というものを整備していただければ、今日の制度としてはその程度でいいのではないか、かように考えおります。
  45. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 あの洞爺丸SOSを出したとき、第一管区巡視船は一体どこにおつたのですか。
  46. 山口傳

    山口説明員 りしり、おくしり、中型の四百五十トン型、これは函館におつたと思います。その他に私の方の港内艇としては二隻、これは函館の張りつけたものであります。そのほかに七百トンのだいおうという船が、これは函館の船でとざいますが、たまたま当時小樽の方に行つておりました。これは急遽もどりまして、翌日のきのうには函館にもどつて来て、たまたま直属のだいおうはおりません。これが今日で大型の巡視船としては代表的なものであります。それでたまたま洞爺丸事故がありました一昨日の晩の十時三十何分かのころは、まつさきにりしり、おくしりが行つたわけでありますが、非常な波浪の最盛期で、率直に申しまして手の打ちようがない。それで波が若干静まつてから生存者を救助いたししております。また港内艇もその活動をいたしております。その活動した模様を申し上げますと、巡視船のおくりりが海中におられたれ者を救助いたしました。おくしり生存者七名を拾い上げております。死体収容が十。りしりが、これは生存者を救助いたしておりませんが、死体収容が八。先ほど申したあとの二隻、こすもすという港内艇が一人生存者を助けております。死体が八体。たまぎくが死体を一体、計生存者を八名、死体を三十七体というものが、この4隻であの波浪の中でやりました成績であります。なおつけ加えておきますが、当時海上自衛体の操海隊の船が出まして、生存者一名、死体三十三体、これだけを函館の港内において波浪中で助けたのでございます。
  47. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 波浪中に出て行つて助けたとおつしやるが、おそらく風速が相当ゆるまつてから行かれたと思う。私は、今の巡視船のあの状態では、せつかくSOSを発してもただちにとんで行つてそれを救助する機能がないと思う、少くとも巡視船を置く以上は、もう少ししつかりした性能を持たせて、せつかく函館の港内におるのだから、ああいう信号があればただちに飛んで行つて助けるだけの機能を持つように、保安庁といたしましては、予算問題もあるし、財政問題等非常にむずかしい問題もあろうが、そういうことをしつかりとおやりになる必要があると思う。おそらく船が沈んで死体が流れ出す、その流れ出された死体を拾つて行く程度の役割より、今の巡視船はやれない。巡視船がもつてしつかりしておつて、まつ先にあの風波の高い中を飛んで行つて、それを救助するだけの性能と機能を持つておるならば、おそらくもつとああいう悲惨なことを冒さずに済んだだろと思う。そういう点を私はもつと真剣に御検討願いたいと思います。  最後に国鉄総裁にお伺いしたい。発ほど岡田君が言われますように、あの台風の予報中に船が出帆したことにお客さんを乗せて出帆したということについては、私も非常に疑問を持ちます。しかしこれらは海難審判その他によつて明らかにされることでありますから、今ただちにこの問題を追及しようとは思いませんが、私の勘としては、岡田君も指摘しましたように、あの日は日曜日、何らか鉄の志気が弛緩しておつたのではないか。これは単にあの洞爺丸関係はかりではありません。今日の国鉄全体を見たときに、昔のような国鉄の精神というものが非常に弛緩しておる。何だかだらけ切つているような感を強くするの、であります。その国鉄全体の精神の弛緩していることが、今回のような不祥事を起した一つの大きな原因をなして、いるように私は考えるのであります。こういうことに対して国鉄総裁はいかような見解を持つていらしやるか、それをまずお伺いしたいのであります。
  48. 長崎惣之助

    長崎説明員 有田委員の御質疑に対してお答えすることは、非常に何といいますか、むずかしいという言葉でも当りませんが、弛緩しているというような見解は御意見でございますからいかようにも見られるのでありますが、私は逆に御指摘のようなことがあつてはならぬのでありますから、もしこれが弛緩しているとすれば、またいたしていなくても一層緊張させ、一層の緊張をもつて業務に当る、こういう方向に持つて打かなければならぬと思います。今ここで申し上げるのもいささかどうかと思いますが、先ほどちよつと輸送量のことで申しましたが、あの事故以来ほとんど船舶が半減したというのを、とにかく二十九日というと明日になりますが、大体八〇%近くも輸送力を発揮しようということを、現業の第一線におる人々がどうしてもやろうと言つてきかないのでございます。そのくらい張切つてやつておるつもりでありますけれども、しかしお説のように見られる点があつてはならぬのでありますから、今後一層緊張した態勢で私は仕事をして参りたい。先ほどもちよつと篠田船舶課長から申し上げましたが、あ日曜日にも管理局の船舶運航の衝に当る海務課長は出動をいたしております。決してなまけて出て行かなかつたというようなことはないのであります。しかしながら私どもといたしましては層一層緊張して、りつぱな仕事をしなければならぬ、かように考えております。
  49. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 国鉄総裁としては、そういう御答弁をせざるを得ないと思います。もちろん全部が全部国鉄は今けしからぬとは私は申しません。しかし昨年来この運輸委員会におきましても、いろいろと問題を提供いたしまして、今後の国鉄の運営につきまして万全を期していただきたいという決議までして、大いに国鉄をわれわれは激励したこともあるのであります。もちろんその線に沿つて、国鉄総裁を初め国鉄従業員はやつていらしやるとは思いまするけれども、まだ公平に見て国鉄は完璧であるとはわれわれは考えられない。ここが非常は大事なことであつて、かような問題が起きたのは、これが一つの具体的にこうだとは今日まだそこを指摘しないにしても、どうも世間一般から見るならば国鉄の緊張味が欠けておる、これが今日の世評であります。どうか国鉄総裁は今日の国民が、国鉄に対してどう考えおるかということを静かに御判断されまして、一層国鉄従業員の志気を鞭撻して、大いに国鉄精神を発揮されて、国民の前にりつぱな国鉄の運営ぶりを発揮されんことを切望いたします。  きようは時間もありませんのでこの程度終りますが、まだ引続いて具体的問題について他日は質問を残したいと思いますが、このことを特に切望して今日の質問を終ることにいたします
  50. 岡田勢一

    岡田(勢)委員 関連して……。今回の海難事故日本といたしたましても、海運を始めてから以来の実に未層有の大惨事でありまして、まことに千数百の犠牲者に対してお気の毒な次第であり、断腸の思いにたえないところでございますし、一面またわが日本が海運をもつて国を立てるという建前から申しましても、世界に対しまして一のつ恥辱と考えなければならぬのではないか。その意味からいたしまして、今回の事件を微頭徹尾科学的にまた技術的に、また人為的にも欠陥はなかつたかを十分に官民が協力いたしまして、検討追及いたしまして、再びかような事故が、かような惨事が起らないようにしなければならぬということは、前前かから御発言の通りでありまして、私もこれに熱望するところでありますそこで有田委員の質問イ関連いたしまして、国鉄当局におかれましては、仕事の範囲と申しましようか、関係上、この船舶国鉄事業のごく一小部でありますがゆえに、日ごろから若干陸連に比して船舶の方が軽視されておるのではないかという疑問は、私も常から持つておるのであります。もちろん船舶の方にも有能の士がたくさんおられることは私もよく知つております。でありますが、ややもすれは鉄道に付随した地紙船だけの仕事であるからというお考えのもとに日ごろから、軽視をされておりはしなかつたか、あるいはまたその船長以下現場員の任免におきましても、ほんとううの船員という考えでなしに朝、函館を出港したらお昼に着く、あるいは青森をお昼に出港したら夕方に着くというような関係もありましようが、陸運と海運との中間的のような気持ちがあるのではないか、そういうような気持があり、また一面におきまして、職員の方々、責任者の人々にたいしましても、新進有為の人たちを抜擢して、どんどん積極的に運営がなされて行くというようなことがあるいは忘れらておりまして、老朽の職員が責任の重い地位に残つておるというようなことがあるのではないかというようなことが、一応心配されるのであります。そこでそれらの間の問題につきまして、これは船舶課長もお見えになつておりますが、しかし私は責任者である長崎総裁から、その間の国鉄における船舶に対する根本的のお考え方を一応承りたいのであります。
  51. 長崎惣之助

    長崎説明員 お答えを申し上げます。船舶の面は国鉄全体の仕事の上からいうと付随的なものであるから、それを軽視しているのではないかという御質疑のように拝聴しました、私どもは決しそういうことを考えておりません。おそらくこれはよく調べてみるとわかると思いますが、戦後におきましても、船舶の改善あるいは船舶に付随したいろいろな施設の改善というようなことについても、相当の割合で金をかけていると私は思います。施設としましてはそういうふうに相当な金をかけております。青函の連絡船は御承知のように、終戦まぎわにほとんど全滅になつたものを、とにかくあそこまで回復したということは、やはり北海道並びに本州との連絡輸送という面から重要性を認識しまして、これが回復したと私は考えます。その当時私はおりませんでしたが、これはもう伝統的にそういうふうに考えておる次第でありまして、決して船舶ということは考えずに、輸送という面から見ますと鉄道の延長である、あるいは動くところの鉄橋であるというふうな考え方で仕事をして参つております。むろんこの運営あるいは操作の技術というものは、これは必ずしも国鉄の鉄道あるいは汽車、電車を動かすようなものではないのでありまして、これはおのずから別個の技術を要することは申し上げるまでもありません。従いまして、船舶従業員諸君を国鉄自体のいわゆる鉄道の仕事に使うということは、これはほとんど相互融通のできないような点がございますので、そこに人の操作の面といいますか、待遇の面――待遇という言葉はおかしいのですが、いわゆる抜擢とかなんとかというところにおいて、やはり場面が狭いのでありますから、鉄道の力に比べますと、行く先が割合に局限されるというような面がなきにしも刈らずだと思いますけれども、これらについても十分なる留意をいたしておりまして、できる限り船員の処遇というようなもの、あるいは経験の尊重、さらに進んでまた岡田委員がおしやるように、毎日同じ場所を四六時中年が年中何回となく行つたり来たりしておる。そこに有田委員の言われました弛緩というものも生じてはいけべいというような意味合において、私どもとしは十分な昭意をいたして、そういういうことのないように始終気をつけて、おるつもりであります。
  52. 岡田勢一

    岡田(勢)委員 総裁はいろいろ詳しくお述べになりましたが、まだ私は疑いを抱きます。今総裁はたまたま鉄道の付随の仕事、あるいは鉄道輸送に対する陸橋の役目を勤める仕事のようにということをいみじくお漏らしになりましたが、そういう考え方を根本的に直されないと、海運――しいて私は海運と申したいのでございますが、かような特殊性のある海運の仕事の任務というものは勤まらぬと思われるのであります。鉄道の方におきましては、あるいはまた鉄道以外の陸運におきましては、汽車あるいは機関車、客車、自動車等を身をもつて守るというようなことはないのでございます。御承知の通り海運の、船舶の従業員は、命を賭して自分の乗り組んでおります船舶を守るのでありまして、その守るということが第一義となりまして、それができて初めて輸送の任務が勤まるということになつて参ります。この海上における船舶をするという仕事は、ほかの工場あるいは自動車の中、汽車の中で勤務をするという考え方とは、根本的に考えが違つて参ります。でありますから、常に海上船舶に勤務しております者の非常にお気の毒な点は、家庭を顧みることができず、あるいは遠洋航路など、これは鉄道の船舶とは少し趣が違います。けれども、数箇月あるいは、一箇年とか異境に、単純な波の上で雲をともにしつつ生活をするというようなことが根本的に仕込まれて参りまして、それが精神上の土台となつて、身命を賭して船舶を守るのであるという鍛錬が十分に行き渡りまして、初めて任務が勤まると思うのであります。そういうことでありますので、総裁がたまたまおつしやつたのでありますが、決して総裁はそうお考えになつておるのでありますまい。一部の輸送路上における陸橋の役目、そういうお考えではないと思いますけれども、そのお考え方が多くの鉄道の部内における船舶に勤務しておる人たちの間にもしありといたしましたなら、これは根本的に任務は勤まらないと思われます。でありますから、私は常にそれを考えておるのでございまして、国鉄部分における船舶の仕事は、その特殊性から考え、また技術の両から、危険性から考えまして、別な考えから、そのスタツフをほかのスタツフと切り離してやつて行かなければいけない。たとえばこれを一局に直しますことは、あまり機構として大きくなるということであれば、部でもよい、課でもよいけれども、一応営業局の一部の課として行くということに、間違いがあるのではないかというふうな考えを、よほと前から持つておるのであります。この機会に十分に御研究になりまして、特殊勤務であり、全然違つた考え方、違つた自覚、覚悟のもとに勤めなければならぬ船舶勤務に対しましては、截然とほかの部局とわけた機構になさつてでなければ、私は十分な任務は勤まらないのではないかと考えられますので、今後におきましてそういう方面を御研究なさいまして、そういうふうな方向にお向けなさいますお考えがあるかどうかをお伺いしたいのであります。
  53. 長崎惣之助

    長崎説明員 私の言葉が足らなかつたかと存じますが、輸送全体として輸送の面だけから見ますと、動く橋というふうな考え方をしておると申し上げたのでありまして、船舶それ自体の本質的なものから参りますお説のような点は、全然同感でございます。しかし鉄道であるからといつても、鉄橋を守り、あるいは線路を守り、あるいは機関車を守るということについては、やはり同じような精神で行かなければならぬものだと思いますが、その勤務の態様なり労苦の点等については、これはおそらく比較すべからざるものを比較するということになるのであります。従いまして機構等についても、御説のような考え方はあり得ると思います。現に今は違つておりますが、かつて函館管理部というものを設けたことがございますが、これはほんとうに船員のための管理部でありまして、第一線におきましては少くもそういう考えをとつていたこともあるのであります。従いまして今後船舶運営の重要性にかんがみますと、御説のようなことも十分に研究しなければならないというふうに私は考えております。
  54. 岡田勢一

    岡田(勢)委員 何とかそういうふうな趣旨のもとに、私は国鉄部内における船舶の運営の基本的な考え方を確立していただきたいということを希望いたします。  次に、今度の大惨事につきまして、むずかしい法理論あるいは技術論はさておきまして、まず今お気の毒な数千の犠牲者方々、この痛恨事、悲惨事に対して国民全体が考えておりますことは、なぜ台風が来つつあるという予報もされておるのに、岸壁を離して出港したか――これはまことに通俗的のことでございます。少し技術的に申せばもつと言い方があることを私も知つておりますが、一般に通俗的に考えられますことは、大衆は、台風の中心が津軽海峡ないしは渡島半島に向けて時速七十キロ程度で急速に接近しつつある、その警報が出されておるのになぜ出帆したのか、こういうところに非常なる疑いを持つておると思うのであります。きのう、きようの新聞論調から申しましてもそうであろうと思うのであります。ただ私たちも多少三十年あるいは四十年近くの海の経験を持つており、私自身も幾たびか死にそこなうような海難にあつたのでありますけれども、一応考えられますことは、函館連絡船桟橋に、荒天の場合あるいは台風が来ました場合に大波の場合につけておりますことは、これは船体と岸壁の衝突によつて船体を損傷させるということから、今までの慣習は、大荒天になりました場合は、一応船は岸壁を離して防波堤の外に退避をして、十分なアンカーをして船を守るということをおやりになつておつたように聞いておるのでありますが、今回の台風襲来の場合に、はたしてそれが適当であつたかどうか。しかしてまた渉外に船の安全をはかるために単なる退避をして船を守るということであるならば、なぜ乗客をおろさなかつたかということが、大きな疑問になつておると思うのであります。そこで出帆をいたしましたならば、船は御承知の通り船長の命令一下で、すべてが船長の全責任において動かされるのはもちろんのことでございます。さつき岡田五郎委員からもお尋ねがありましたが、出帆をさせるということは一体どこから出たのか、そして乗客をおろすかおろさぬかということはどういうところによつて定められたか、船長並びに陸上勤務の出帆に関係の責任者の方々が、乗客を積んだまま出帆させることにきめたということは、一体どういう事情であつたか、もう一つは新聞に出ておりますことで、私はまだ詳しくはよう研究をいたしておりませんが、当日の午後五時半ころから六時ころ、台風の目がちようど函館に参つていて、一応風がないで青空を一部にながめるような状態になつたというところから、あるいはゆだんをいたしまして、その台風の目が過ぎ去つたあと、大きな風が来るであろうことを計算に入れなかつたのかどうか。気象台におきましても、あるいは気象情報官におかれましても、あるいは船長においても、神様とは違う人であるから、万一のあやまちなしとはだれも言われません。しかしこのような大事件が起りました場合は、万一のあやまちであつたでは済まされないことは御承知の通りてある。でありますから、第一の問題は、どうして、あの暴風の中を出帆したのであるかということ、また乗客をおろさないで出帆したことは、青森へ向けて航行する決心のもとに出帆したのであるか、防波堤の外に出て、一応アンカーをして船を守るための退避的出帆であつたのかどうか、その間の事情でございます。その出帆をするについての協議はどういうスタツフでなされて、気象の観測についてどういう判断のもとに、その協議会あるいは責任君たちの判断が下されて出帆したのであるかというようなことをお尋ねいたしたい。こういう大事件が起きまして、くつがえすような大混乱の中において、貴重な時間をさきましてかようなことを私は当局に対してして追究しようということでは決してございません。一応今日避難者の方々並びに家族、国民がそのことを問わんとしておりますので、でき得ればそれに対する納得の行かれるような御答弁をここで与えていただいたら非常に幸いではないか。また一面そのことは非常に困難なことである。ことに近藤船長も行方不明になつておられてわからず、今まで遭難直後早々の場合であつて、それが十分にわからないということであるならば、しいてこの際に私はあくまでも追究しようとは申しません。時間を適当に延ばしてそのことを明らかにしていただきたいと思うのでありますが、それらの三点について一応できれば明確なる御答弁をお願いいたしたい。
  55. 長崎惣之助

    長崎説明員 岡田さんからのただいまの三点の御質問、他の委員の方からもそれに近い御質問がございました。私どもといたしましても、その点を明かにしなくてはならぬと考えておりますが、お話にもありましたように、目下の情勢におきましては、遭難者救護ということにあらゆる努力が奪われまして、まだその点についてはつきりした情報も申し上げられないようなありさまでございます。  しかしながらいずれにいたしましても早い時期にお話のありましたような点をはつきりさせなければならないと考えておる次第でございます。
  56. 岡田勢一

    岡田(勢)委員 ごもつともでございます。それでその問題はその程度にいたしまして、最後に私は海上保安庁長官にちよつとお尋ねいたしたい。今回の海難は先ほど有田君からも質問なさつて、あなたが御答弁になつた通りで、狭域の港湾内における突発的の海難事故、しかも先ほど質問いたしました港外退避であつたか、青森航行の決心であつたかどちらか知りませんが、一応防波堤外にアンカーをいたしまして、船長はその船体並びに人命の安全をはかろうとして努力されたであろうことは疑う余地はない。先ほど有田君はSOSを発した場合の状況はどうであつたかという質問をあなたにいたしておりましたが、私はおそらく港外に退避いたしまして、日が暮れてからますます暴風がつのりまして、午後八時前後になつて来ていかりが引け出した。おそらく初め私はいかりが引け出したのではないかと想像しております。その前にSOSがはたして発せられたのであります。そのSOSを傍受されたのでありますか。それによつてあなたの部下の救助艇は出動されたというのでありますが、その点ちよつと明らかにしていただきたい。
  57. 山口傳

    山口説明員 洞爺丸が湾内で坐礁してSOSを発信したのをキヤツチしておるのは、当日の夜二十二時三十九分ころであります。それでもともと函館の保安部に所属いたしておりまする巡視船は七百トンのだいおう、りしり、おくしり、港内艇ほかに二隻ということでありますが、先ほど御説明申し上げましたように、だいおうはたまたま小樽の方に行つており、りしり、おくしりは当日の午後三時から津軽海狭の方の遭難船救助に出ておつた。ところがこの情報がありましたので、夜半函館に帰つて来て連絡船の方の救助に、差向けたわけであります。小型の港内艇二隻は、SOSが出た直後にはほとんど出られないような状況であつたというふうに考えております。
  58. 岡田勢一

    岡田(勢)委員 今お聞きしますと、二十二時過ぎにSOSが発せられた。新聞の報道などによりますと、船の転覆いたしましたのはそれから一時間前後のことではないかと想像されます。船長がSOSを発せられました二十二時三十九分ころには情勢が急変しまして、いわゆる伝えられております瞬間風速五十三メートルというような大きなことになつて来て、いわゆる造船規程による船体の風圧面積に対する係数から計算されたいかり、チエーンそれによつては持ち切れない状態が来たことと察せられます。それでそのいわゆる瞬間風速を食らつて、大波に船体が持ち上げられて、どんどんとこの七重浜に向つて急速度に流され出すということになつて、SOSが発せられたことと思うのであります。これまたその時期に至るまでの措置として、なかつたかどうかということを私は実は問いたいのであります。その十時三十九分SOSを発しますときは、すでにいかりが切断するか引かれるかいたしまして、相当な時速で、たとえて申しますと一時間に二十ノツトあるいは二十三ノツトというような速度で、船体が七重浜へ向つて疾走するという状態になつてからではないか。ここに私は専門家としますと相当な疑問がわいて来る。それまでにとるべき措置はなかつたかということをお聞きしたいのでありますが、これまた今お答えになれないと思いますから、この後に当局からお答えを願いたいと思います。そういたしまして七重浜にいかりを引きずつて行つたかどういたしましたか知りませんが、まずともが先に当つたことに違いないと思います。洞爺丸はたださえ上甲板が高いところにあり、その上に客室が二重であり、その上にボート・デツキがあり、ブリツジもあるのですから、風圧面積が非常に大でありますから、見ている間に波に真横になりまして、海岸に並行することは明らかであります。そうして瞬間に傾斜をいたしまして転覆したものと考えられるのでありますが、そうなつたらこれは及びがつかぬのでありまして、海上保安庁がさつき言われました救難艇を出そうかどうしようか、もう手のつけようがないのであります。ところが私の問わんとするところは、SOSが発せられる十時三十九分までにとるべき措置がなかつたかどうかということをお問いしたいために山口さんを煩わしたので、これはこの後の一番早い機会に御説明を願いたいと思います。私の質問はこれで終わります。
  59. 關内正一

    關内委員長 青野武一君。
  60. 青野武一

    ○青野委員 私はきのうの懇談会で関係者に御質問したいと思いましたが、緊急に在京の運輸委員会諸君のいわば懇談会でございまして、正式の答弁が得られないと思つて実は遠慮しておりましたが、ぜひ二、三点だけはお伺いしておきたいと思います。私のしろうと考えでは、あの悲惨なできごとがあつてから今問題になるのは、この関係者並びに遺族あるいは親戚、知人という人たちとの、言論機関を通じて密接な連絡をとつて具体的なことを知らせるということ、それと収容した死体をどう処理して行くかということ、それに対するはたして万全の対策が立つておるのか。その次に行方不明者が相当数ございますので、これをどうして完全に捜査をして、そうして遺族の手に引渡して行くか、こういうことが第一段。そうしてその次には葬儀とか、特にやかましい問題になると思いますが、五、六十名の外人の方がなくなつておりますので、これはビキニの補償に準じてといつたような在外日本人の意見もあるというようなことが新聞に出ておりますが、そういうようなことを含めて、弔慰金はどうするか、はたして国鉄だけでまかない得るか、特別に国家補償の形式をとるか、そういうことが第三点。その次に運輸委員会としては、いかなる理由で今回のたくさんの犠牲者を出したか、それをかなり具体的に検討し結論を出して、国鉄当局、海難審判庁だけにおまかせせずに、広く全国民の疑惑を解き、どういう理由であつたか、そして不幸にしてそれがあやまちによつてこういう犠牲者を出したとすれば、将来船体の構造をどうかえて行くか、あるいは法律を無視しているようなことがあれば、厳重に法の規定を守つて行くというように、大体今の段階では、こういう五段階を経過して行かなければならぬと思う。  それで、お尋ねしたいと思いますのは、大体気象台の発表もそうでありますが、そのとき三等船客の下側、右と左の舷側に何両の貨車入れたか。一両の貨車のトン数はドれくらいか。これは普通の船ではありません。相当の灘浪にあつて傾けば、レールにくつつけた重量のある貨車が転覆する危険性のあることはしろうとが考えてもわかる。それから乗組員を除いて乗客の定員数以上に乗せたのかどうか。それから今岡田さんも御百問になつておりましたが、先ほど向う側の岡田さんの質問に対して、駅長と船長とが相談をして出航をきめたといつたような御答弁がありましたが、完全に乗船名簿ができ上つてつたのか。こういう気象台の発表にもかかわらず、大体習慣的になつておるかどうか知りませんが、それを無理に押して行つたのかどうか。私もやはり船に多少関係がありますのでわかりますが、岸壁に横づけをして少くとも風速三十五メートルの台風に出食わせば、船体の危険を感ずるから、定のところに遭難する。そうしてスローでエンジンをかけて投錨する。そうして風にさからいながら方向をきめてエンジンをかけて沈没を免れて行くということは、大体常識なんです。そのときにはたしてチエーンが切れたのか。転覆の動機は、激浪によつて貨車の傾いたことによつて生じたのか。これだけ一番最初にお聞きしておきたいと思います。
  61. 篠田寅太郎

    ○篠田説明員 原因の詳細についての探究は、先ほど両岡田委員からお話がありましたが、相当今後調査を進めて行かなければならぬのであります。定員の問題につきましては、法律で定められました定員数よりは下まわつた数字でございました。それから貨車の問題でございますが、当時洞爺丸に乗つておりました貨車の数量は十二両であります。貨車が八両と寝台車が一両であります。貨物車が二両、郵便車が一両、それだけ載つておつたのでございますが、このときの荷物の量が幾らあるかということはまだ調べておりませんので、トータルの重量が幾らになり、またこの船にどういう配置にこれを載せたかというような点は、まだ詳細にわかつておりませんので、今後調査をして今後の研究の資料にいたしたいと思いますが、ここで今わからないで答弁できませんので、後ほど調べてお話をいたしたいと思つております。
  62. 青野武一

    ○青野委員 きのうも大体同僚委員か。らの御質問がございまして、大体千四百九十二名ときようの新聞では御発表になつておりますが、千五百名からの遭難事件というものは海事問題では英国の汽船が沈没したそれより以上に上まわつた数字でありまして、今までの関係から行けばこれが世界で二番目の大きな犠牲を払つておる。こう新聞は報じておる。きのうも岡田議員からるる御質問がありましたが、この千五百からの死体を大体どう収容してどう処理するか。敬虔な気持ではたしてわずかな限られた関係省によつて十分これは収容なり、処置なりがとれるかどうか、その点について長崎総裁は第一線の陣頭指揮をして、ひとつ向こうに行つてはどうかというような意見も出たのでございますが、問題になるのは、まだ非常な精神的動揺と不安の中にあります遺族や関係車のことです。不幸にして数名の同僚議員も含まれておるということで、まことに私どもは気の毒にたえません。ある人も関係しておつた、きようの新聞はそれは関係がなかつたということ、それはよいとして、現に死体を確認された同僚議員もあることでございますから、これはほかの遭難者と何も差別をするという意味で申し上げておるわけではない。われわれにも密接な関係がある。そこでこの大量な死体に対して敬虔な気持で収容なり処置なりをつけて行くのに、はたして万全の対策なつておるかどうか。長崎総裁現地に出て行かなければ、天坊副総裁あたりが全責仕を持つて――しかも函館を中心にしし関係者人なお気の毒にも遭難されておる、そうすると中から以下の関係者だけではたして十分やり得るかどうか。これはやはり弔慰合成とか葬儀とかの問題とは切離して、相当国民的輿論によつて制約を受ける将来に残されておる問題ですから、この点については具体的に遺族との連絡はどうしておるか、それにはどのくらいの人数を割当にておるか、NHKを初め各新聞社、大きく言うと言論機関全体に対して協力を求めて、そつちの方の係りは何十人出ておるか、それか刻々として入つて来る情報あるいは具体的な発表を、時間なら一時間、三十分なら三十分、新聞社だけにあるいは放送局だけにまかせないで、緊密な連絡をとつて正確な数字を発表しなければいかぬ。死んだという発表をしてをの人が死んでおらないということは、これは日所に遺族にとつては喜びにたえないことで問題ではございませんが、生きているといつて報告し、発表しておいて、それが死んでおつた場合は関係者は非常に落胆をするのですから、それは慎重に扱つて行かれることは、もつともでありまして、議員の氏名を発表しろという御質問もありましたが、当局はその発表をきのうはなさつておりませんことは十分その態度に対しては私どもは了解することはできます。しかし残つておる大量の行方不明者をどのような処置、どのような対策を立てて、一人でも多くの死体を収容するということについて、はたしてその用意がありますかどうか、これが今一番大切な問題です。遺族の関係者との連絡、正確な発表、行力不明者の死体収答、そうしてその次に来るものがやはり葬儀とか弔慰金の問題になつて来るので、今さしあたりなされねばならぬ仕事が十分なされているかどうか、もちろん議会関係、は各党一致、挙党一致の態勢で、こういう問題は迅速に処理す為ためには、それはでき得る限りの応援も御協力もいたしますが、何といつても国鉄当局が中心になつて、やはり先頭に立つてこういう問題を処理して行かれるのが当然でありまするが、その点についてのお考え、それから少し先に行き過ぎるかわかりませんが、それは長崎総裁はどういうお考えを持つておるか知りませんが、国鉄の財政ではこういう弔慰金その他の費用は断じてまかなえません。かりに借金をしてまかなつたとしても、四十四、五万の国鉄従業員に将来このしわ寄せをされる。それはまた国鉄当局国鉄労組との間に無用な摩擦を引起す原因にもなる。福永官房長官がちらりと漏らしておりましたように、こういうめつたにない大きな悲惨事は、やはり国家が直接補償して行くという一つの例をつくるべきだ、またそうしなければ解決のできない問題です。外交問題でもうるさいことが起りましよう。ビキニの補償問題が解決していないときに、五十六名とかあるいは五十名とか外人の犠牲者を出しておる。特に米国との関係を考慮すると、かなり複雑な問題が将来に横たわつておるときですから、補償の点について長崎総裁はどのようなお考えを持つておるか、これをひとつお尋ねいたします。
  63. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほどもちよつと申し上げましたように、遭難されました方方の遺家族方々のお取扱い、これについては宿舎のお世話から全部丁重にいたしております。また不幸にしてなくなられました方々の御遺体の捜査ということについても、海上保安庁その地われわれの方としましても、漁船を頼むとか、いろいろな手を打ちまして、あらゆる努力を傾けておる次第であります。なお転覆いたしております船内に、遺体がまだあるのではないかというような疑いもございますから、きのうからもぐりを入れまして捜査に当らせるということにいつしております。きのうはまだ最初でございますので、準備的行動でございまして、大した効果は上つておりませんが、きようあたりからは、何か情報が参るだろうと考えております。かような事態にございまして、もとより万全を期する次第でありますが、必ずしも何らの欠点がないというふうには参らないと思いますが、われわれとしましては、われわれのでき得る限りの努力もし、また関係各方面の御協力をも得まして、そうしてお話のように、これを国鉄だけで処理するというふうな考えでなしに、やはりできないことはできないのでありますから、それはあつさりと御協力を求めるということにいたして参りたいと思います。補償等の問題につきましても、これはどういうことに相なりますか、まだ実はどのくらいになるかという見当もつきしませんが、お説のようなことをお願いしなければならぬ点は、十分に想像されると私は思います。
  64. 青野武一

    ○青野委員 先ほどの質問で、総裁の横の方から御答弁がありましたが、車両は十二両積んで、そのうち貨車が八両、それから四両は何か聞き漏しましたが、荷物を積んでおる貨車が二つ、郵便車が一つ、こう言つておりますが、大体普通波のない非常に天候のいいときは、これだけの重量を積んでおる。私は過去に五、六年造船所におつて経験を積み、私自身も鉄骨五千トン級の船をつくつたことがあるのです。それで座礁してどのくらいの形で、どのくらいの構造ならかえる、かえらないということは、五千トンの船を私みずから製図して、機械をすえつけた経験を持つておりますからわかります。私はこの船自身は見ておらないから知らないが、そう簡単に転覆するものではありません。それで結局きよう私の尋ねる一番大事なことは、かなり強い風で三十度の傾斜をするような場合は、普通の船と違つて貨車を積んでおる。普通の場合は右側に二十両、左の方に二十両、一台の貨車が十五トンとして六百トンというものが積んである。三十度の傾斜になるとそのままひつくり返つてしまう。貨車はレールにくつつけてある。そうすると重量が載つておるから、いやおうなしにひつくり返るようになつておる。そうすると少くとの風速二十メートル、三十メートルの場合は、お客を積んで出られないのが原則なんです。それをこの波では三十度の傾斜が起ると知りつつ、いつも出ておるのです。私が国鉄労働組合の諸君にすぐに連絡をとつて調べた範囲では、それを知りつつ出しておる。新聞は、それがうそかほんとうか知りませんよ。四十度、四十五度の傾斜で転覆したといつておる。三十度で出てはならぬ船ですよ。三十度というのは私は製図もやつたのですが、船の甲板がこういう傾斜になる。この傾斜になつたら貨車を積んでおつたら大体がひつくり返るのです。それでありますから、この角度でこれだけ船が傾いたらひとりでひつくり返る。それを四十五度というと、これだけの角度になる。甲板がこういう調子に斜めになる。そして返つているのです。そういう例は、みずから青函連絡船に従事しておる労働者が言つておるのです。いつも遵法々々と長崎総裁は言つているけれども、われわれには労働基準法や規約を無視して、そうして船を出さしておる。今度も多分にそういう原因がある。国鉄の諸君は、乗組員は、まくらを並べて死んでいる。東京へ中央委員会の代議員になつて来る人が二人も犠牲者なつている。代議士も犠牲者なつている。国鉄の札幌の総支配人も死んでいる。一等船客でありながら死んでいるのはどういうわけですか。しかも甲板に出ようとするときに、どういう意味か、甲板を閉鎖して出さなかつたという事実も上つているのです。これは今のところでは――そういう意見も持つておるのですが、甲板に上つた者はほとんど助かつているが、甲板に出さないでとにかく締め込んだという話もある。うわさであればけつこうです。だから言い訳をするための言い訳をせずに、いかなる理由でこの遭難が起つたか。将来再びこういうことを繰返さないために、どこまでも掘り下げてほんとうのことを検討して、そうして正確なる海難審判庁の判決を求める。全国民にはこの委員会が責任をもつて疑惑を解いてやる。実はこういう理由であつたといつて、最終の結論を出して当然国民に知らせるべきであると私は思う。ただ不可抗力である、あるいは船長が全責任を持つてやつたのだ、いや台風が悪かつたのだ、気象台の発表が悪かつたと、個々別々に識者と称する人たちが、調査もせずにかつてな熱を新聞に吹いている。問題はここにある。ふだんから三十度の傾斜をするような波風のときには出てはならぬという規程があるはずです。それをいつもかつも出ていたので、今度もあたりまえのような考えで出たのが間違いです。出るのであつたら、一定の防波堤の横なら横にいかりをおろして、スローのエンジンをかけて、風の方向に向つて、進まない程度に風の抵抗を受けて、そうして左に右にハンドルを握つて船の方向をきめるのが常識です。けれども人聞を乗せて風速四十メートルから四十五メートル、瞬間風速五十メートルというような気象台の発表にもかかわらず出ておるのは、ふだんが悪い。ふだんがいつもこの通りやつている。それがはしなくもこの大惨害を引起した原因なつておると私は思います。そういうことを率直に調べてごらんなさい。私どもも調べて、再びこういうことが起らないようにする。御存じの通り対馬の横には、当時の加藤鯛一という自由党の人が、関釜連絡船に乗つたまま六十ひろの下にそのまま沈んでいるではありませんか。揚げることができない。それは何か。機雷にかかつた。それはやむを得ない。アリゾナという戦艦は、日本の襲撃を受けて真珠湾の底に、二千五百名の乗組員が乗つたまま沈んでいる。上に行つてみれば旗を立てて一人も収容はされておらない。どうすることもできない。それとこれとは違うのです。浅瀬に乗り上げてひつくり返つたというけれども、実は三十度くらい傾斜したときには、貨車の重量でひとりで転覆することになるから、出てはいかぬというものを、いつもかつもそういう習慣で出ておる。それが今度の事故最大原因なつていると私は思う。それだから、とにかく一方においては法律を守れ、法律を守らない者は――二十一名国鉄の労組員を首切つてしまう。一方においては何千人の人を乗せて、法律無視でいつもかつもそういうことをやつているから、こういうことが起る。その点について、あなたたちはいつもどういうことを指示しておるか、こういうことについて御存じあるかどうか、お聞きしておきたい。
  65. 長崎惣之助

    長崎説明員 お話のようなことは私はないと思いますが、先ほど来繰返して申し上げておりますように、徹底的に今回の事故のよつて来りましたところを調査いたしまして、お話のように今後かかる事態を繰返さないように、運営の面、あるいは船舶の構造の面、あるいは風波と船の関係の面、あらゆる面について十分な研究をやらなければならぬ、これは私どもに課せられました一つの大きな任務であると考えております。
  66. 青野武一

    ○青野委員 私は今の点について詳細な報告を各委員に求めたいと思います。都合によつたら委員長に御相談をして、運輸委員会で真相究明のために現地から証人を喚問する、そういう手続をとる用意のあることも委員長にお含みを願つておきたい。それから問題の洞爺丸、それから沈没したのは化児丸、十勝丸、第十一青函丸と日高丸ですが、この五はいの船がそれぞれ沈没箇所も違うように、沈没の理由も一々違うと思います。洞爺丸とは違います。そういう点についても各党の運輸委員の大体納得の行くような報告を求めたい。私はこういう点はなるべく将来の参考料に残しておきたいので、報告は文書によつてやつてもらいたいと思います。  それから今申しましたように、今は大体行方不明の死体捜査に全力をあげ、それから関係遺族の力との連絡を緊密にとるということと、それから死体の収容とか処理、そういうことについてとにかくねこの手も借りたいように忙しいときでございますから、特に運輸委員会あたりであげ足とりなどをやるように思われてははなはだ迷惑です。こういうことを再び繰り返さないために、事件を隠さずに国民の前に一切をさらに出して、再びこういう事故は起しません、今度の転覆の理由はこういう理由でございました――しかも船長が死んでおるから、死んだ船長に一切をなすりつけてしまつて、それでいいというわけには行きません。私はそこしおのずから責任の所在があると思いますので、十分運輸委員の諸君に納得のくような方法で、適切な報告を私は求めたいということをつけ加えておきます、そうして私もまたなお十分調べてみたいと思います。問題はあげ足とりやいやがらせじやない。これは、労組の首を切つたからこの際ひとつやつてやれ、そんなこまかい問題ではないのです。こういう問題を繰返さないために、ひとつ真相をほんとうに掘り下げる、そういうことで未然に防いで再び悲惨事を繰返さないというのが、私の大体のねらいところであつたということを御了承願つて、そうして報告は、できる限り正確なものを文書によつて、各運輸委員の諸君に御配付を願いたいということを希望いたしまして、一応私の質問を終ります。
  67. 關内正一

  68. 竹谷源太郎

    竹谷委員 一昨二十六日の夜半に函館港において突発いたしました洞爺丸海難の事故は、もちろんわが国の海難史上未曽有のことであり、また新聞の伝うるところによれば、一九一二年に英国のタイタニツク号が大西洋において氷山に衝突をして、千数百名の犠牲者を出した以来の世界第二番目の悲惨な大事件であるといわれておるのでありますが、この生存者がいかほどあるか、まだ明確でない。行方不明者も多いのでありますが、おおよそ千人前後の方々があるいは不幸な犠牲者になられたのではないか、まことに哀悼にたえないのであります。その中にはわれわれの同僚であり、また社会党の有力な人格高潔な冨吉榮二君並びに菊川忠雄君が、当局の御発表によりますと、乗船名簿に載つておるということで、しかもまだ生存は確認されないという状況でございまして、まことに暗濃たる気持がいたすのでございます。私はきよう御両山家をお見舞したのでございますが、その悲嘆のほどは申し上げようもないのでございまして、これは全御関係の御家族も御同様であろうと思うのであります。これに対する弔慰救護の問題につきましては、昨日の常任委員会の打合せ会議で、鋭く各委員から政府並びに国鉄総裁に要請があつたことでございますが、その後状況を見ましても、新聞の報道の方がはるかに迅速、親切であつて、本日当局から承つた報告によりましても、まことにどうも隔靴掻痒で問題にならない。そこで長崎総裁に対しましても昨日十分の追究をし、また本日各委員からもお話がありましたが、なお私はこの際政府にお尋ねしておきたいのは、きのう急遽臨時閣議を開いて、運輸大臣現地に急行せしめたということは新聞に載つております。一体この事件政府の直営――日本国有鉄道という公共企業体でありますが、これは国有国営の事業である。そういう権威ある国有鉄道の経営する船舶、しかも函館の港の地先数百メートルのところで事件が起きておる、わが国は海運国として気象学においても、また造船の技術、あるいは航海の技術、それからまた関係軒の機に応じた適切なる迅速なる判断、これらにおいて世界にすぐれたことをみずから自負しておるところであろうと思う。その海運国の日本がこういうような状況においても、しかも政府の船が国民を千何百名もこのような悲惨な状況に陥れたというこの責任はきわめて重大であり、また世界的に、海運国民としてまことにはずかしいものがあると私は思うのでございます。こういうよりな事態に対処いたしまして、さしあたりむろん弔慰救護に万全を期さなければならないのでありますが、単に運輸大臣現地に派遣するという決定をしただけです。これに対しましては、むろん関係当局が非常に多く――もしこれが国鉄でなくて、普通の民間会会社の船舶にこういう事故が起きたならば、地元の函館市はむろんのこと、北海道庁も、あるいは海上保安庁も、あるいは厚生省も警察庁も、その他関係各庁こぞつて救護対策に当るはずである。それがたまたま国有鉄道であるからというので、政府か満を持して運輸大臣現地に派遣するというような程度で満足しておることは、われわれ国民として不審にたえない。医療の方面あるいは弔慰の面、あるいはことに先ほど来予算の面で国有鉄道の力をもつてしては困難であろうというお話がありましたが、大蔵当局も加わつて、あらゆる点から万全の措置を講じなければならぬと思うのです。この意味において政府はその措置において手抜かりが多いと思う。きようは政府を代表して政務次官しか出ておりませんが、政務次官から政府を代表して、これに対する所信とその責任をいかに感じるか、御答弁をお願いしたい。
  69. 岡田信次

    岡田説明員 先ほど有田委員の御質問にお答え申し上げたのでありますが、とりあえず石井運輸大臣現地に急派いたしまして、実情をよく視察するということにいたしたわけで、これと同時に北海道開発庁の山本政務次官も同行いたしておりますし、また厚生省の関係官も同行いたしておりまして、現地におきまする諸般の救護その他の措置につきましては、単に運輸省のみならず、全部の力をあげてやつておる次第であります。また政府の責任につきましては、目下国鉄運輸省、または海難審判庁等におきまして真相を究明中でございますので、ちよつと私からこの際お答えは申し上げかねると存ずる次第であります。
  70. 竹谷源太郎

    竹谷委員 はなはだ不十分な答弁で意を得ないのでありますが、政府として全政府機関並びに公共的な機関もあげて結束をして、十分な対策をぜひ至急に立ててもらいたいと思う。なおこの事件は、今政務次官の答弁にもありましたが、あるいは海難事件として海難審判庁、あるいはもし刑事事件の疑いがあるならば、検察庁がこれを究明するというようなことに、むろん法律的にはなるであろうと思うのであります。しかしながらわれわれは国民の代表として、どうしてこのような事件が起きたか、そうして政府国鉄はいかように処置しているか、そういうような問題について今青野君から国民の疑惑を解けという質問がありましたが、これはごもつともだろうと思う。それでさしあたりとしては、むろん弔慰、慰問、救護に万全を期さなければならないのでありますが、同時に国民全般の疑惑を解き、そうして事態の真相をできるだけすみやかにはつきりさして、向うところを明確にするということが必要であろうと思う。これは法律上の責任のがれのような政府あるいは国鉄の態度ではいけない。これは最終的には法律的にきまるのであるが、政治的に良識的に問題をはつきりさせて、そうしてすみやかに国民のはつきりした判断にゆだねなければならない、私はこう思うのであります。しかるに先ほど来の政府並びに国鉄その他からの答弁はきわめて、不満足であつて、むしろわれわれは新聞の報道を見る方がはるかにいいくらいで、非常に不親切きわまる。その答弁は何のことはない、質問のがれの二点ばりであります。これは法律的には多少の間違いはあろうと思うが、海難審判庁なりあるいは検察庁なりが判断するに妨げになるものではない程度の、――こういう唐突な際であるので、最初から間違つた調査もあり、あるいは錯誤もあろうと思う、これはだれもが認めるところである。しかしながらできるだけ正確なところを迅速に、この委員会を通じて国民に知らせるということが必要であるのに、今日の委員会における政府の答弁は昨日の打合会と同様、われわれはこれに対して何ら判断のしようがないという状況でありまして、今後ともラジオや新聞ニユースのみにこれを依存しなければはならぬということは、まことに残念なことであります。そういういわゆる役人根性、官僚の責任のがれの態度でなしに、今からでもおそくはないから、何ゆえにこういうことが起きたか、大体のところをひとつ御説明を願つて、世の中の誤解をぜひ解いてもらいたい、  その第一点として気象台でありますが、これは少い予算、少い人員で非常な苦労をして気象予報をやつておることに対しましては、われわれ満腔の敬意を表するものでございます。それでこれにつきまして機構が不十分であり、予算が足らないために、十分なことがなし得ないということなのかどうか、その点をひとつ気象台の方から聞きたいし、また政務次官のお考えも承りたい。なおまたそういう予算あるいは人員の不足もあろうが、この第十二、第十三、第十四という台風の上陸前においては、非常に精密にして迅速なる報道がなされたけれども、それらがどうも思つたよりも軽微な被害で済んだ、それで第十五号についても発生当初は小さいから、大した被害もなかろうということでもつて、これな軽視するきらいが気象台としてなかつたかどうか。これは十二、十三、十四号台風について気象台が非常に警戒したものだから、大阪あたりでは一日仕事を休んでしまつて損をしたということで、気象台に抗議を申し込んで来たという話もありますが、それはとんでもない話でありまして、もしこれが来たならば、昭和九年の室戸台風以上の災害があつたかもしれない。そういう意味合いにおいて、これらの台風が上陸しなかつたというのはまことに幸福なことでありまして、そんな非難は少しも当らない、しかるに第十二、十三、十四号がこういうふうに比較的軽微な被害であつたので安堵してしまい、この十五号について日本に近づいたあとの気象通報が、万全でなかつた点がなかつたかどうか。上陸してからも、この台風の進路がどつちへ行くかまつたくわからないし、分烈騒ぎも起すのでどうなるかわからぬ、これはやはり北海道を通り抜けて樺太まで行つてしまうまで、気象台として十分親切に情報を提供すべきものではないか。そういうことについて中央と北海道あるいは九州の気象台が離れておつて、連絡が不十分である。そういうときにはそれぞれの地区に、最も完備した気象台の人的並びに物的のあらゆる設備がなければできないものであるかどうか、こういう点について運輸政務次官気象台当局の御意見を承りたい。
  71. 岡田信次

    岡田説明員 竹谷さんの御意見でございますが、私どもも今回の事故の真想をきわめるということが、われわれの一番大事な義務であろうと考えまして、法律的にはもちろん海難審判庁等の手によりますけれども、その他あらゆる手段を講じてせひ真相をきわめて、世間一般に発表いたしたいと考えておりますので、その点はどうぞ御了承願いたいと存じます。  なお気象台関係につきましては、先ほども申し上げましたように現在の気象台の機構あるいは設備等をもつてしましては、全力を尽したことは間違いないところでございます。ただ先ほども申し上げましたように現在の設備がはたして万全であるやいなや、また機構が十分であるかどうかという点につきましては、その域に達しておらない。これはぜひ今後皆様方のお力を拝借いたしまして、十分これを充実して参りたいと考えている次第でございます。
  72. 肥沼寛一

    肥沼説明員 気象台の予算のことにつきましては、ただいま政務次官から御説明がございましように、額面としてまだ十分ではありません。従つてその上の研究の問題と施設をもう少し充実していただきたい。これは予算的にお願いしてある問題でございます。  次に今回の処置のことでございますが、十二号台風と十四号台風に対しましては非常な警戒をとつたが、十五号については警戒が足らなかつたのではないかという御質問でございますが、十二号は九州の南方に参りましたときには非常に大きな台風でございました。九州は昨年もあのような水害もございましたので、関係の官庁あるいは団体、会社、そういうものを呼びまして説明会をいたしました。十四号につきましては、これはどうやら関東地方に向いて来ているというような予想のもとに、これも東京を中心にしました官庁、団体その他を呼びまして説明会をいたしました。この説明会の結果だと思いますが、新聞、放送局の方で非常な御協力をいただきまして、報道に万全を期したのでございます。これは私どもの方からお願いしたのではなくて、新聞、放送局の方から積極的におやりになつた問題でございます。今回の十五号につきましては、けさほどのある新聞を見ますと、気象台態勢がその前の二回に対して半数の職員しか出ていなかつたと書いてございましたが、この点について申しますと、気象台台風に対する警戒態勢は三段階になつております。  一番簡単なのが台風が出ましたときに警戒をしなくちやならないという段階でございます、その次のは気象台全国的に指示をしてやらなくちやならないという問題で、第一の段階よりは人を増しまして、資料を十分収集して地方の気象台、測候所の方へ資料を流してやる、この仕事であります。台風の通つて行きます現地では、その資料と自分の方で直接つくりました資料によつて警戒をしくのでございます。その次の一番の段階と申しますのは、中央気象台全国を十にわけた予報の区域がございますが、その一つを中央気象台自身が担当しておりますので、東京の方へ来ましたときには、中央気象台としてではなく、関東地方の責任の気象官署といたしましての態勢をとるので、そのための人員が増すのでございます、そういうわけで、今回のものに対して、警戒をゆるめたというようなことはないつもりでございます。以上でございます。
  73. 竹谷源太郎

    竹谷委員 先ほど海上保安庁から、函館港における二十六日の被害につきまして、民間の船が数千トンのものが二隻座礁し、漁船八隻がやられておる、その他はつきりしない、こういう答弁でありました。ところが国鉄の船は五隻が沈没し、二隻が大破して、ほとんど全滅、ところが函館のあの大きな港に数十トンの船が二隻しかおらなかつた、漁船が八隻しかおらなかつたというはずはありません。十そうか二十そうの船舶がおつたに違いない。また漁船は何千何万とおつたに違いない、それがこの程度被害であるのに、国鉄のが全滅したということは、一体とこに原因があるのか。あるいは船舶の構造が貨客船である、あるいは客船であるという点もありましようが、しかし一般の船舶もまた人も乗せるであろうし、貨客船もある。こういうことは私には解せない。詳報がないからこれ以上つつ込めませんが、これから判断しますと、国鉄だけが、どうもあれではやり方が全般的に非常にまずかつたのではないか。青函鉄道管理局というのは、鉄道という名前はついておるけれども、三十マイルか五十マイルしか陸路は管轄しておらないで、青函連絡船がはとんど大部分の職務で、これに集中すべきである。しかも交通はあらゆる交通みな安全が大事なのでございますが、船舶、航空機等は特にしかりであります、この大事な千名ないし何千名という人命を預かり、客船を預かつておる青函連絡船を管掌して、おるところの青函鉄道管理局というもの全体の志気弛緩というようなものが、七そう全部にこういう事態を引起したのではないか、これは先ほど岡田委員からも話がありましたが、どうも私もそんな気がしてならない。いろいろこまかい問題については判断の誤りや過失等があるのじやないかと思うのでありますが、この全体の大局から見ただけでも、どうも国鉄だけがかくのごとき甚大な被事を受けたということについては、青函鉄道管理局全体について何らかの欠陥があるのではないか。これは法律的な責任は別といたしまして、常識的に、また社会的に見まして、どうもこの点非常にに疑問を持つ。法律上の責任がいずれにあるにいたしましても、これは政府といたしましても、また国鉄といたしましても、かつてない重大な責任を感じなければならぬ問題であると思う。これに対しまして長崎国鉄総裁は、いかような信念を持つてこの事態に当面対処するか、また将来いかなる責任を自覚しようとしているのか、それを最後に承つておきたいと思うのであります。
  74. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど来この問題について私もお答えいたしたのでございますが、私の見るところでは、決して志気の弛緩というようなことはないと考えております。私は先年総裁になりまして早々北海道の地に渡りまして、冬のさ中、各地で北海道の従業員諸君にお目にかかり、幹部、駅長級の方々にいろいろお話を伺つたのでありますが、熱心に仕事をしておると見て参つたのであります。しかしながらこれは志気の緊張というようなことは、いやが上にもこれを促して行かなければならぬ問題であります。さような御見解なり御批判なりに対しましては、私どもは真摯な態度また謙虚な態度で、やはりもう一ぺん反省し直しまして、あくまでも志気の維持ということをはかつて行かなければならぬ、かように考えております。今回の事件につきましても、もとよりそういうふうな面からも十分な検討を遂げまして、決して今後かかることのないように、あらゆる面から施設をして行かなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  75. 竹谷源太郎

    竹谷委員 昼食も抜きにいたしまして御勉強をいただき、なお他の諸君からも御質問があるそうございますから、私は明日またいろいろ質問したいと思います。  ただ最後に、今回の洞爺丸海難事件に関する決議を本委員会としてしたらどうかという考えをもちまして、この問題を審議せられんことを動議として提出したい。その決議の趣旨は、本委員会洞爺丸遭難死亡者に対し衷心弔意を表し、生存者に対し深甚なお見舞を申し上げる。政府並びに日本国有鉄道は深くその責任を自覚し、当面弔慰救護に迅速万全にして遺漏のない措置を講ずべきことを要求する。右決議するというような趣旨の決議案を動議として提出する次第であります。
  76. 關内正一

    關内委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  77. 關内正一

    關内委員長 では速記を始めてください。  ただいまの件は明日の理事会で諮ることにして、保留させていただきます。  次会は明二十九日午後一時より開会するこことし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十三分散会