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1954-03-30 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       木村 俊夫君    徳安 實藏君       南條 徳男君    伊東 岩男君       臼井 莊一君    楯 兼次郎君       正木  清君    中居英太郎君       館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         与         (厚生局長)  吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道参         事         (資材局燃料課         長)      山崎  武君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐澤  勲君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  佐藤 輝雄君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 三月二十九日  戦傷病者国鉄無賃乗車復活に関する請願(中  村三之丞君紹介)(第四〇五三号)  同(細野三千雄紹介)(第四〇九〇号)  同(辻政信紹介)(第四〇九一号)  同(富田健治紹介)(第四〇九二号)  同(田子一民紹介)(第四〇九三号)  同外一件(堀川恭平紹介)(第四〇九四号)  同(熊谷憲一紹介)(第四〇九五号)  同(櫻内義雄紹介)(第四〇九六号)  同(逢澤寛君紹介)(第四〇九七号)  同(橋本龍伍紹介)(第四〇九八号)  同(大西正道紹介)(第四〇九九号)  同(寺島隆太郎紹介)(第四一〇〇号)  同(園田直紹介)(第四一五一号)  同(山下榮二紹介)(第四一五二号)  同(船越弘紹介)(第四一五三号)  海上定点観測再開に関する請願鈴木正文君紹  介)(第四〇八八号)  神奈川県西部地区国鉄輸送力増強に関する請  願(小金義照紹介)(第四〇八九号)  の審査を本委員会に付託された。 同月二十七日  国鉄山川枕崎線並びに古江、国分線の建設  早期実施に関する陳情書  (第二五二六号)  定点観測存置に関する陳情書  (第二五二七号)  牟岐線延長急速実現陳情書  (第二五七九号)  定点観測存置に関する陳情書  (第二五八〇号)  同  (第二五八一号)  を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国鉄運営に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより開会いたします。  国鉄運営に関する質疑を続けます。天野公義君。
  3. 天野公義

    天野委員 先日いろいろお伺いしたのでありますが、そのときに私鉄並びに通運会社延滞のところで時間か来たので一応切れておるわけです。そこでもう少しこの点をお伺いしたいのでありますが、連絡運賃交互計算国鉄本庁で行い、直接私鉄に対して納入命令が発せられていない例が多いように見受けられるのです。各管理局においては機械的に収納事務を行つているだけで、各管内の私鉄について延納の検討、督促について、拝見するところ積極的な努力が見られていないと思われるのですか、この点はいかがでしようか。
  4. 石井昭正

    石井説明員 連絡社線精算じりの徴収につきましては、これは、私ども非常に努力をいたしていろいろやつておるのでございます。しかしなから何と申しましても最近におきまする、私鉄、これは大都市付近電鉄等はきわめて好況なところもございまするが、地方のことに貨物輸送を主体としておりますよう私鉄につきましては、非常に経営困難な状態になつておりましてこれで結局根本的に申しますと、その当該会社営業を休止するか、あるいは私の方といたしまして最後手段である連絡運輸の停止をしなければならないというようなこと、そういう根本的な解決策によらなければなかなかできにくい点もあるのでございます。そこでそういうことは結局一般のその地方の地元の公衆の利害と非常な関係がございますので、運輸省の方にもいろいろご相談申し上げておりますが、強硬策をとるということは、これは最後最後手段ではなかろうか、こういうふうに考えております。従いまして私どもとしましては、できるだけ各会社につきまして経営状況説明を求めまして、今まで滞納をいたしております分につきましての弁済計画を、若干長期にわたりましてもやむを得ませんが、事実可能な範囲におきまして長期的な計画を立てさせまして、それに基いて逐次完済を進めて参つておりまして、昨年度の上半期におきましては、ややその軌道に乗りかけたのでございますが、昨年また九州地方あるいは近畿地方災害によりまして、比較的経営状態の悪い会社がまたその災害影響を受けまして、せつかく計画もまた若干逆もどりしたというような結果になつておりますが、これらの点につきましても私どもといたしましては、今後会社経営内容等について十分調査をいたしまして、確実な弁済を求めるということにいたしてやつておる次第でございます。
  5. 天野公義

    天野委員 非常に抽象的な御答弁ですが、それならば契約書によると国鉄返納金は、一般会社の金と区別して別途預金とすることが明記してあるはずでありますが、この間申し上げた十五社においては、別途預金しておるものが認められない、一般のこれらの会社と混同流用されておるのでありますが、こういう点については一体どういうお考えを持つておられますか。
  6. 石井昭正

    石井説明員 ただいまお話のありました通り国鉄に対しまして返納いたす金を別途に預金するという契約になつておるというお話でございますが、ただいま申し上げましたよう会社は、実際問題といたしましてその種の貸金繰りに非常に困難いたしておるわけでございまして、そのために延納をいたしておるわけでございます。従つてこの契約通り履行いたしますことは、結局先ほど申し上げましたよう会社自体が存在を続けて行くことができないという状況にあるのでございまして、その結果として先ほど申し上げましたよう状況になつておるのでございます。
  7. 天野公義

    天野委員 そうすると、経理内容の悪い会社ならば、国鉄との契約が破棄まれてもかまわないというのですか。こういう点に根本的な欠陥があるのじやないですか。契約契約として契約通りつて行くのが、国鉄としてのあり方じやないかと思いますが、そういう点はどうですか。
  8. 石井昭正

    石井説明員 お説はごもつともでありますが、事実問題としまして契約通りやりますと、たとえば連帯運輸の廃棄という手段に出るのが、私どもとしては債権確保の最も万金の手段だと思うのであります。そういうことも、やはり会社自体営業できなくなるという問題が、地方利便というような点から考えまして、なかなか実施できないというような実際上の観点もあることを、御了承願いたいと思うのでございます。
  9. 天野公義

    天野委員 そうすると、さらに契約書によれば、債務履行保証として、国鉄の請求したときは担保を提供することになつておるわけですが、これらの会社においては担保を提供しているものはないわけです。従つて担保もない、契約履行されておらないそして督促する場合には口頭で言うほかはないというよう状況ように見受けられるのですが、そういうよう監督方法でいいのですか。
  10. 石井昭正

    石井説明員 私どももそういう方法で万全の担保が得られる、保証ができているという考え方は決してとつておりません。しかしながら実情といたしまして現在、担保徴収するといたしましても、事実経営困難な会社につきましては担保の提供をせしめようがないのでございます。従つて本来から申しますれば、かかる会社につきましてすべき連絡運輸廃止をするという以外に、当面契約条項その他から見まして、ただ文字通りと申しますか、あるいは契約通りの事柄をいたしますと、そういう結果に相なるわけでございます。その点私どもといたしまして一番悩みといたすところでございます。事実問題といたしまして、そういう強硬手段をとることは、結局その会社がつぶれることであり、同時にその地方の方々の利便というものが失われるわけでございまして、従いましてこれにかわる方法といたしまして私どもとしては目下のところ確実な弁済計画を立てさせて、それに基いて実際の効果が上つて行くということを確実に見て参るということでございます。どうにも回復の見込みがないというよう会社につきましては、運輸省の方へ御相談申し上げてしかるべき措置をとるほかはないのが現状ではなかろうかと考えておるわけでございます。ですか。そうして契約履行できるものはどの程度ありますか。
  11. 石井昭正

    石井説明員 その他の会社につきましては、まずただいまのところ延納ということもございませんし、また連帯運輸会社につきましては、むしろ取立る方でなくて、国鉄から払い分になる会社もございます。大体ここに上つております、ただいま御指摘があつたと私ども思いますよう会社が、いわゆる経営内容の悪い会社でございます。これらの点につきましての回収方法について、いろいろと苦心をいたしておる次第でございます。
  12. 天野公義

    天野委員 そうすると契約書というものは、経営のいいときには履行されて、経営の悪いときには履行されない、こういうふうに了解できるのですが、国鉄総裁としてこういう点について一体どういうふうにお考えですか。契約書というものは、お互にかわした契約ですから、それを履行して行てのが当然であるし、それを監督して行くのが国鉄総裁としての重大な責任だと思う。こういうようなことがなされておらないということは、国鉄の重人なる怠慢であると言わざるを得ないと思うのですか、そういう点について所見を承ります。
  13. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど来石井経理局長から申し上げました通りでございます。仰せ通り契約でございますから、契約当事者は相互信義誠実の原則によりまして、その契約誠美履行して行くということが本義でございます。これはもう仰せ通りでございますが、私ども監督機関とか何とかいうことではなくて、私鉄と同じ立場に立つて運輸の業務に従事しておるつもりでございます。従いまして契約当事者としては対等でございます。こういう鉄道をどうするかという一般的な大きな運輸政策につきましては私も関心を持ちますが、いかんともすることのできない問題でございます。申し上げましたように今の実情に対しまして厳重なる催告をし、契約履行を迫ると言う結果に至りますと、結局はこれらの会社がつぶれざるを得ないのじやないかと私は考えます。現在の情勢等においても同じであろうと思いますが、過去においてもそういう例がございました。そういう場合においてこの会社をつぶすか、それとも地方一般利害考えるか、国有鉄道公共性から考えますと、みだりにそういう挙に出すべきものではない。契約履行が非常に不完全ではありますが、何とかして地方利害をも尊重し、同時にこの会社が立ち行くというふうに持つて行きたいというのが私の考え方であります。
  14. 天野公義

    天野委員 あるときには契約履行され、あるときには契約履行されないという点は、まことに納得ができない。こういうよう考えがあるから、結局交通公社に対する莫大な延滞金が出て来て、そうしてその利子で交通交社を救済するというようなばかなことにも発展して来る。これは同じ考え方ではないか。大なり小なり国鉄を通ずる一つの今までの考え方というものは、契約なり規則なりをそのまま実行しておらないというところに、重大な欠陥かあるのじやないかと思う。従つて先日私がお伺いしたところの用地使用にいたしましても、国鉄用地の末承認使用というものは、莫大な数が全国各地にわたつてつておる。また目的外使用土地というものもこれまた非常な数に上つておる。それに対して国鉄当局としては、ほとんど手をつけることなくして今日に至つておる。さらにそればかりではない。とるべき金も、徴収の方に対しては今日までほとんど努力をされておらないというようなぐあいになつて出て来ておる。そういうような一連の考え方並びに措置というものは、最も国鉄を誤るものである。このようにわれわれは考えておるのですが、こういう点についてもう一ぺん総裁の御意見を承りたいと思います。
  15. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの仰せもつともでございますが、しかしながら私設鉄道——鉄道という公共性の非常に濃厚なものに対する考え方、あるいは交通公社というものに対する考え方、これらにつきましては元来、るる申し上げておる通りでございまして、当時の運輸政策から非常に大きな変化がありまして、交通公社収入の大宗でありましたところの手数料の廃止ということが大きな原因であつたと私は聞いておるのでありますが、そういう点から人員の整理その他を行わなければならぬというふうな窮地に追い込まれまして、なおまた交通公社の事業のほとんどを占める観光、外客の誘致あるいはその他の点におきまして、特殊な機能を持つているものを失うということの苦しさから、非常な窮地に追い込まれまして、いろいろな手段でその結果生ずる失業を防止するとか、いろいろなことを行つたように私は聞いておるのであります。そういう問題と、この用地その他の建物等他人使用、これは御指摘通り厳重なる催告をし、区別をしなければならぬものと私に思います。しかしながら公共性を多分に持ちましたものにつきましては、でき得る限りこれを存続させまして、そうして地方人たちの願い、利益の擁護というものも、国鉄としてはどうしてもやらなければならないないこと思います。その場合において遺憾ながら契約が完全に履行されないということもございますけれども、しかしながらそういう場合でもこれを存続させて行くという方に、むしろ重点を置かなければならぬものではないかと私は考えております。繰返して申し上げますが、土地建物等使用料未納あるいは未承認ということにつきましては、今後におきましても厳重なる手段処置に出たいと私は考えております。
  16. 楯兼次郎

    楯委員 先ほど天野委員から連帯運輸についての御質問がありましたが、私もこの点に関して二、三お伺いしたいと思います。本年度決算期におきまして、連帯運輸としての延納金額はどのくらいになる予定であるか、まず最初にお伺いしたいと思うのです。
  17. 石井昭正

    石井説明員 正確な数字は、調査の上でなければお答えできないと思いますが、大体四億円ないし五億円かと思つております。
  18. 楯兼次郎

    楯委員 先ほどの質疑応答では、これらに対する当局回答というものは非常にあいまいである。現在契約はつきりしておる以上、私はその契約に基いて何らかの措置をしなければならないと考えますが、この四億から五億に及ぶところの延滞金についての処置は、いかなる方法処置をされようとするのか。この点をお伺いしたいと思います。
  19. 石井昭正

    石井説明員 御説の通りでございまして、ただいま私どももいろいろ研究をいたしておりますが、根本的には連絡運輸契約の解除というような、会社を苦しめるよりは、非常に地方利用者を苦しめるというような結果に立ち至る場合もございますので、私どもといたしましては各会社ごと整理計画その他を検討いたしまして、そういう確実に施行される見込みのあるものに策を別途定めまして、それを履行していただく。しかしはしにも棒にもかからないようなどうにもならないものにつきましては、監督官庁である運輸省と御相談申し上げまして、そうして地方利便公共利便というものとの見合いにおきまして、どういう措置とつたがいいかということにつきまして、御研究を願うつもりでおるわけであります。
  20. 楯兼次郎

    楯委員 それでは私は行政監督官庁としての運輸省にお飼いしたいのでありますが、交通公社の問題といい、この連帯運輸収入金に対する取扱いといい、きわめてあいまいである。契約を取結んでおる以上、この契約はつきり履行しない場合にはどうするか。そういう場合に、ただいままでの回答では、あつてなきがごとき回答をされておるのでありますが、運輸省としては、監督官庁としてどういうよう取扱いをされようとするのか、この点をお伺いしたい。
  21. 植田純一

    植田政府委員 御指摘交通公社の問題、あるいはまたこの私鉄連帯運賃精算の問題につきまして、国鉄公社または私鉄の間にかわされておりますところの契約、これの獲行につきましていろいろと御指摘がございましたが、確かに国鉄確保すべき債権と申しますか、これについての措置につにつきましても、もう少し的確に処置しなければならぬ点も確かにあつたように思われます。従いまして今後の問題といたしましては、その契約につきましても十分ひとつ再検討すべき点があるのじやないか。また的確に処置しなければならぬ点があると思いますので、そういう点につきましては国鉄当局を督励いたしまして、遺憾のないよう措置いたしたい、かよう考えておるわけてあります。ただ、従来できてしまいました事実につきましては、これはやはり同じような方針で当然措置すべきでありますが、交通公社あるいは私鉄、いずれにいたしましても、この措置につきましてはやはり具体的に個々の問題を逐次措置して行かなければ、ただちに右から左へ措置するということも非常に困難な点もあろうかと思われますが、根本的な考え方といたしましては、あくまでも契約面におきましての不備を是正し、またその措置の的確をさらに期して参るように督励して参りたい、かよう考えておるような次第でございます。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 それでは私に対する回答にはならないし、この私鉄連帯運輸関係を是正する回答にもならないと思います。相かわらずあなたの答弁では、ただ程度現状より少し工作によつて薄くなるというわけで、根本的解決にならない、今現行法でこういう点を改正をし、是正をする意味一つしかないと私は思う。それは過日の国会で通過いたしましたいわゆる私鉄補助法であります。あなた方が公共性を維持するために、ただちに取立ててはこれらの私鉄はつぶれてしまう、そういうことならば、私鉄補助法によつて公共性を維持するために、何とか補助をして行かなくてはならない、そういう回答が当面としては出て来なければならないと思う。ところが私は補助金委員会に出ておるわけで、ありまするが、本年度政府が提案をして参りました補助金金額は、たしか二千五百万円、このよう承知をいたしております。先ほどの答弁では四億から五億、それに三千五百万円見合せましても、道が当然あるにもかかわらずこれは救済をされない、あなた方の答弁は相かわらずあいまいである、こういうふうに私は考えますが、こうした関連についてせつかく法律があるのでありますが、これらの活用という面についてはどういうに考えておられるか、運輸省のただいまの補助金委員会で問題になつております私鉄補助法等関係についても、あまり積極なあなた方の運動というものが行われておらない、こういうふうに私は察知をいたしておりますが、この関連はどういうふうに考えられたか、回答願いたいと思います。
  23. 植田純一

    植田政府委員 私鉄整備法につきましては、実は戦前におきましては、一般的な補助法がございまして、私鉄につきましては、全般的に育成助成して行くという建前から、全般的な補助法があつたわけでございます。ところが今度できました私鉄補助法につきましては御承知通りこの補助対象といたしまして幾つかの種別がございますが、いわゆる赤字補助について申し上げますると、あらゆる鉄道私鉄につきまして、経営が成り立たぬから補助をするという建前にできておらないわけでございまして、その鉄道のどうしても存続をはかつて行かなければならないといえ、きわめて限られた範囲におきますところの赤字補助ということを目的として、私鉄補助法ができておるわけでございます。実は同じ趣旨でございましても、私どもはできるだけその趣旨に沿うことはもちろんでございますが、なるべく広く解釈いたしたい、かよう考えていろいろと折衝して参つたのでありますが、御承知ような今日の状況下におきまして、なかなか財政状況も許しませんので、かなりきゆうくつに解釈いたしまして、この予算も僅少になつたわけでございますが、趣旨といたしましては、あくまであらゆる鉄道赤字だから補助するというものではなくして、この法律にもございますように、どうしてもこの鉄道がなければ他に民生の上におきまして非常に大きな影響がある、どうしても存続をはからなければならないという意味におきまして、いわゆる制限的な対象ということになつておりますので、あらゆる会社対象にいたしておりまする戦前のいわゆる補助法とは、その点におきまして趣旨が異なつておるわけでございます。従いまして趣旨から申しまして、また今日の財政状態から申しまして、この私鉄補助法をもちまして、必ずしも解決するというふうには考えてはおらないわけでございます。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 あなた方の答弁を聞いておると、一体何をされようとするのかわからない。契約書がちやんとあつて契約不履行をやつておるわけです。私は必ずしも補助金云々という政府には賛成するものではないわけでございますが、正常なる運営といいますか、経理はつきり片をつけて行くことを思えば、今あなたかいくらそこで筋弁をされても、これらの私鉄の金を回収をして、公共性を維持しながら運営をするためには、今唯一の打開策としては、私鉄補助法以外にはないわけです。ところが、いくら今後適切な措置をとりますといつたところで、そう奇想天外な解決策というものは出て来ないと私は思う。だからあいまいにしておけば契約違反であり、それを漫然とほおつておけば、あなた方の監督不行届きです。いずれこれは次期国会あたりで問題となると思う。そういうことになれば、これは私鉄補助法を大幅に生かして、ちやんと筋道を立てて、片をつけて進んで行くのでなくてはならない。その補助法については予算関係云々ということを言われますが、一体そのほかに解決策はないのじやないですか。こんなことを私はあなたと論争を繰返そうとは思わないのだが、やることが私はきわめてあいまいであると思う。  いま一つ私は具体的な事実について指摘をいたしたいのは、たくさんありますが、この九州山鹿温泉鉄道というのがあるわけです。これは昭和二十七年の五月から累積して千九百四十三万円、概略これだけが昭和三十七年の五月から少しも納入をされておらない、こういう状態である。きのうきよう始まつた問題ではない。当然監督官庁としては、これらの実態を検討し、すでに今まで私は手をつけて何らかの解決策が出ておらなくてはならないと思う。二年も三年もほおつておいて、各委員指摘をされて、しかもそれに対する解決策というものが——きわめて委員会が愚弄とはいいませんけれども、ばかにしたような、につきりした解決策を示されない、ここにいろいろな問題が起きる原因があると私は思う。一体こういう事態をどういうふうにお考えになつておりますか、はつきりと筋弁をしていただきたいと思います。
  25. 植田純一

    植田政府委員 山鹿温泉鉄道の事例が出ましたが、たしか山鹿温泉鉄道につきましては、いろいろとこの再建ということにつきまして、十分いろいろと研究もし、またいろいろと指導もいたしておりますことは事実でございます。ただいわゆる連帯精算国鉄納入金確保ということにつきましては、これは国鉄会社とのいわゆる契約に基くものでございまして、一般的な会社の育成と申しますか、業績の向上ということにつきましては、始終運輸省といたしましては、個々の会社の実態によりまして、それぞれの方策を講じておるところでございます。山鹿温泉鉄道につきましても、たとえばデイーセル・カーを入れるとか、またその業績のいろいろのがんになりました点も実は検討いたしております。そういう点につきまして、逐次解決をはかつて行きたい、かよう考えておる次第でございます。
  26. 楯兼次郎

    楯委員 もう一つお伺いします。あなた方が検討調査されるのはけつこうだと思います。ところが山鹿温泉鉄道を例にとると、昭和二十七年から二年も三年も調査研究を続けられて何ら結論が出ないということでは、実際あなた方の怠慢であると言わざるを得ない。私は今この現状において、この委員会解決策を出せ、こう言つても無理であろうと思いますので、早急にあなた方のこの連帯運輸の未収金に対する各委員の納得の行く解決策を、この委員会に提示してもらいたいと思います。委員長とつお願いいたします。それから、また質疑応答をいたします。
  27. 天野公義

    天野委員 今私鉄の問題にからんでいるのですが、国鉄私鉄並びに通運というようなところに延滞金として、財源として残つておるものは大体どれくらいあるのですか。
  28. 石井昭正

    石井説明員 正確な数字はごかんべん願いたいと思いますが、通運関係で納期が参つて納めておらないのは、新しく免許されましたいわゆる新免業者のうちでございます。これらのもので、ただいままで滞つておりますものは、やはりこれも私鉄関係と同様に四億円前後ではなかろうかと考えております。
  29. 天野公義

    天野委員 新免の経営内容が悪い、通運で四億残つておるというふうにお伺いしたわけですか、そういうようなものに対する取立ての可能性はどうなんですか。
  30. 石井昭正

    石井説明員 これはさまざまでございまして、経営内容を検討いたしてみますると、非常に業績が改善されて参つておるのもございます。ただ何分にも当初の滞納額が比較的多くなりましたので、即座にいたそうというわけには参りかねますが、着実に毎月若干ずつこれを返済して参るというような見当のつくものもあります。しかし中にはそうでないものもございます。そういうものに対しましては、いわゆる現払いに切りかえる処置を講じておりまして、最近におきましても二、三社に対しましては現払いに切りかえの処置を講じております。この場合におきましては、その会社といたしましては、一ぺん滞りました債務がある意味では焦げつきになりますので、できればそういうことではなくして、元本まで完全に回収し得る方法並びに荷主の迷惑にならない方法を第一義的に考える。しかしながらしからざる場合にそれも不可能という場合には、現払いの切りかえを実施いたしております。
  31. 天野公義

    天野委員 私鉄並びに通運を通ずる延滞金の問題は、国鉄経営に重大な影響を及ぼすものでありますので、これはまた別の機会にこれだけを取上げて質問したいと思います。  まだたくさんお伺いしたいことがあるので、先に進みます。大体国鉄というものは自分の財産をある程度私物視しているような感がする。というのは、先ほどの総裁の御答弁の中にも、そういうような口吻が入つておつたよう考えられるのです。大体昭和二十七年度における土地、物件貸付料の収入は三億一千一百万円になつているわけですが、いろいろと検討してみますると、現在の物価その他に引当てますると、大体三倍ないし四倍くらいの収入確保は十分できる、このようにわれわれは推定しているのですが、それならば昭和二十八年度は、一体どれくらいこの土地、物件貸付料の収入があるのでありますか、これをひとつお伺いたいと思います。
  32. 石井昭正

    石井説明員 土地、物件貸付料でございますが、二十八年度においての実績はまだ全部わかつておりませんが、大体の予定は四億三千万円程度でありまして、二十九年度における予算といたしましては約十億円を計上いたしております。
  33. 天野公義

    天野委員 二十九年度に十億予定というのは、一体どういうふうにして予定されておりますか。
  34. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 従来土地、建物の使用料でございますが、統制令の関係国鉄として十分な使用料をとつておりません。その後この統制令ははずれましたので、順次上つて参つたわけでございますが、昨年行政管理庁その他から不当に安いということが指摘されまして、私たちの方といたしましては、現地を督励いたしましてこれを適当な価格に上げる、それには周囲の地代その他と比較いたしまして、適当な価格に上げるという措置をとつております。おそらく二十九年度は初頭からそういうものが適正な価格になることになつております。
  35. 天野公義

    天野委員 土地、建物の正しい評価に基く正しい収入確保することは、国鉄公共性を発揮する上において重大な問題だと考えますので、この上とも大いに調査し、研究していただきたいところであります。  次の問題といたしましては、国鉄の構内営業料の算定及び徴収状況が、非常に悪いように見受けられるわけであります。特に国鉄の方に対する売上げの過小の報告は、各所に行われておる事例があるのであります。これによつて減収を生じておる部面が非常に多いと思われるのでありますが、こういう点については、一体どういう監督をされ、どういう方法収入確保をはかろうとされておりますか。またこのごろは民衆駅というようなものもどんどんできておるが、そういうようなところに対する構内営業料の算定並びに徴収方法は、きわめて複雑性を帯びて来ておると思いますが、こういう点についての所見を承りたいと、思います。
  36. 唐澤勲

    唐澤説明員 構内営業料につきましては、土地、建物を使用しておりますれば、土地、建物使用料、それに構内において営業する売上額の何パーセントというようなことでとつておるわけでございますが、その売上金額が幾らであるかという問題は、算定が事実において困難な場合もあるわけであります。この構内営業料の売上額による歩合というようなものは、一応目安をつけまして前金でとつておるのでございますが、それがあとになりまして、その次のものを算定するときに前のものを検討いたしまして、少ければもつとふやす、多過ぎればもどしてやるという建前になつておりますが、その算定は、実際の売上げが過小報告があつたということを指摘されております。なかなか一々レジスターをもつてこれをつかまえるわけには行きませんので、一応報告を求めるか、あとは税務署の査定というようなものを参考にいたしましてやつておるわけでございます。従いましてそう大きな狂いはないのが一般だろうと思いますが、間々そういつた過小報告があり、なおこちらの監督不行届きというのか、手不足等の点がありまして、そういうことができなかつたという事例はあるわけであります。今後はこれらにつきましては十分に警告を発するとともに、それらのものについての営業停止というようなことまでもして、厳重に監督をして行きたいと考えておるわけであります。なおこの民衆駅等における営業等はなかなか複雑でありますので、相当大規模なものになつて来れば、一般土地建物の使用料金一つでやつて、売上高による算定等についてはあまり重点を置かない方がいいのじやないかというふうな御意見もございましたし、こういうような問題につきましても、過日来申し上げましたような民衆駅等運営委員会において、目下いろいろ検討していただいておるような次第でございます。
  37. 天野公義

    天野委員 非常にあいまいな御答弁でありますが、私の資料によりますと、全国の抽出調査によるものでありますが、弘済会を除いて全国で約十二億六千八百余万円の過小報告があるように見受けられるのであります。実際の売上高は二十二億九千百三十万円、国鉄への報告高十三億八千七百四十万円、過小報告高九億三十七万円、大体過小報告率が三九・四%ということになつておるわけであります、これによる減収額が大体九千七十五万円と推定されておるわけでありますが、こういう巨額な減収額をこうむるよう監督方法というものは、きわめてずさんな監督であると言わなければならないと思うのであります。こういうことについて国鉄は一体どういう考えをお持ちですか。
  38. 唐澤勲

    唐澤説明員 非常に数の多い、またたくさんいろいろ複雑な売店その他をやつておりますので、一つ一つについて厳重にその売上げ料金を算定することが、なかなか困難であることは事実でございまして、この商売をしております者もいろいろ実際の商売のことや、税金の支払いなどでいわゆるごまかしといいますか、そういうようなことをついしがちだろうと思います。それに対して厳格にそれをキヤツチするということが、人手の関係その他でなかなか困難な点もあることは事実でございます。従いましてこれらの点につきましては、やはり税務署などとも提携しまして、ほんとうに正しいところをキヤッチするという方法をとる以外にないのでございます。もちろんこれには人手も増しまして、常時その状況監督するとか、いろいろな手を使わなければならぬと思います。そういうなわけで、つい今までも過小報告を認めてしまつたということになつたのだろうと思いますが、今後といたしましては、こういつたような各方面からの御指摘等のこともよく見まして、絶対にそういう過小報告のないように、またかりにそういうことがありますれば、断固として営業中止をせしめるというよう強硬手段にまで行きまして、絶対にその確保をはからなければならない、かよう考えておるわけでございます。
  39. 天野公義

    天野委員 こういう過小報告というものについては、脱税という面も十分考えられると思うのです。従つてこういう面については、厳重な監督をしていただきたい。また特にお伺いしたい点は、タバコであるとか郵券であるとか、こういうものについては利潤が少いという理由で、営業料の科目外になつておるということでありますが、そうすると鉄道弘済会だけの分を見ましても、二十七年度のタバコ売上高でも、四十二億もタバコだけで売上げをやつておる。これは弘済会の関係だけで、弘済会の料率だけで見たとしても三千万円以上の収入がはかれるわけであります。どうしてこういう点をはずしておくのでありますか。
  40. 唐澤勲

    唐澤説明員 タバコや郵券につきましては、販売者の手数料といいますか、歩合といいますか、そういうものが過去においては大分少かつた。このごろ少し改善されて来たようでありますか、非常に少いというよう関係どもありまして、今の専売公社からの話などもありまして、従来から販売をいたされましても、その売上げの何パーセントを構内営業料としてとるというようなことは実はしないで来ているのでございますが、最近その歩合も若干向上して来ているようでもありますので、今後はこれについてはある程度の構内営業料を徴収した方かいいのじやないかと考えて、今検討しておるわけでございます。
  41. 天野公義

    天野委員 手数料が少いとか、若干の改善とかいう問題ではなくて、今申し上げたように、弘済会だけでも四十三億という莫大な売上高をやつておる。そうして弘済会だけの料率でやつても、二千万円以上の収入があるならば、全国でやるとするとおそらく億以上収入があることは、もう火を見るよりも明らかな事実であります。そうすると、タバコを構内営業料の中に入れることだけで一億以上の収入がはかれるし、また過小報告というものを是正するだけでも、億以上の収入が当然はかれるわけであります。こういう点に対して国鉄は非常に怠慢であると言わなければならないと思うのですが、総裁のお考えはどうですか。
  42. 長崎惣之助

    長崎説明員 タバコ、郵便切手等の売上げに対してどういうふうに措置するかということは、先ほど唐澤営業局長からお答えした通りでありまして、従来は売上げ手数料というものを非常に少くいただいておりたわけであります。だからただで営業させておつたというわけではないのでありまして、土地等の使用料、建物等使用料はとつておつたわけで、ただそういう少い手数料、しかも郵政省なりあるいは専売公社において手数料として適当なりと考えたものをやつておつたと考えます。過大なものを手数料としてとつておつたものではないと思います。それらも考え合せてとつておつたと思いますけれども、それがだんだん値上げになり、そこに相当の利潤があるということに相なりますれば、ほかのものと同じ料率でいいかどうかは問題でございますが、売上げ代金に対する一定の料率をとるということも考えなくちやならぬのじやないか、かよう考えております。
  43. 天野公義

    天野委員 特にタバコなどは非常に回転率が早い。一箇月の収益率は一番低いところで約三〇%、最高の鉄道弘済会の新宿業務所のごときは六七・七%というぐあいになつて一般の商品よりずつと利益率は上まわつておる。そういうものを見逃しておるということは、非常な怠慢だと思うのですが、どうですか。
  44. 唐澤勲

    唐澤説明員 タバコにつきましては、おそらく場所によつて非常に違うと思います。今の御指摘ように、場所によりましては非常に回転率のいいところもあると思います。従いましてそういう点からも考え、また最近の専売公社からもらう歩合というようなものも考え合せまして、構内営業料としてもある程度これを徴収した方がいいのじやないかという線で、ただいま研究しておる次第であります。これは研究ばかりでなくて、近く実施したいと考えております。
  45. 天野公義

    天野委員 こういうようなものを監督するだけでも、すでに数億の増収がはかれるわけであります。こういう点について国鉄当局として、今後十分なる監督研究をやつていただきたいと思います。  それでは次の項目に移ります。国鉄宿舎、特に第三種宿舎の貸付状態についてお伺いいたします。大体資料によりますと、国鉄宿舎の使用料金というものは一平米当り四円五十二銭、このように了解しておるわけでありますが、一般の公務員宿舎使用料金は、大都市では十八円十八銭、中都市で十四円五十三銭、町村で十円六十二銭、ところが国鉄は全国平均四円五十三銭となつて、非常に低廉であります。こういうような点は一体どういうわけですか。
  46. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄の職員の宿舎のうち、ただいまお話のございました、第三種宿舎の宿舎料金が、公務員の宿舎料金に比較いたしまして安いということは、御指摘通りでございます。ただこれにはいろいろ歴史的な事情もございまして、昔から国鉄は従業員に対して、宿舎を多数提供いたしておりますが、それらの宿舎は現在の公務員の宿舎に比較いたしますと、実質的に見まして非常にいたんでおる程度のはなはだしいものが多うございます。そういうような点も料金の上で、公務員の宿舎よりも安くせざるを得ない一つの理由になつておると思うのでございます。しかしながらそれにいたしましても、現在では確かに権衡を失しておりますので、これを公務員の宿舎料金とつり合いのとれるように直して行く考えで仕事を進めております。ただ実際問題といたしまして、労働組合等の了解なしに一方的に宿舎料金を引上げるということは困難な事情にございますので、実は先般労働組合の方と話をいたしまして、本年の三月から一応倍額に引上げるようにいたしまして、これはすでに実施しております。なお来年度において組合側とも折衝いたしまして、公務員とつり合いのとれるような線まで引上げるようにいたしたい、そういうふうに考えております。
  47. 天野公義

    天野委員 倍に引上げたということは、一歩前進だと思うのであります。大体国鉄の宿舎料金を公務員宿舎並に算定すれば、年間約一億の増収がはかれる計算になると思うので、あります。従つてこういうような部内の問題におきましても、他の公務員と均衡のとれるよう措置をぜひしていただきたい。他の公務員と均衡のとれるようなことにして、組合側が不服を言うとするならば、これは国鉄の職員たる特権を主張するものだと言わなければならないと思うので、他の公務員と均衡のとれるよう措置をとるように組合側にもお話を願い、また国鉄側としても誠意のほどを示していただきたいと思います。この点もう一度御答弁を承りたいと思います。
  48. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 お話のございました通りやりたいと考えておりますが、なかなか一方的にやれませんので、今後さらに組合側ともよく話合いをいたしたいと思つております。
  49. 天野公義

    天野委員 今まで簡単に要点だけを御質問したのでありますが、それによりましても、国鉄当局が雑収入というような面について、今まで企業努力が非常に足りなかつたということは明瞭な事実であります。またそれと同時に、土地建物等使用その他については非常にずさんきわまるものだつたということも、これまた事実であります。そうするとこういうものは、一体どういう場面に具体的に現われて来ているかといいますれば、大体その大半は、言うまでもなく国鉄をめぐるところの外郭団体に関連しておる問題が非常に大きいわけであります。今まで本委員会並びに決算委員会等で問題になりました外郭団体は、言うまでもなく鉄道会館なり、弘済会なり、交通公社というような大きなものがその俎上に上つたのでありますが、これはもう氷山の一番頂点に達しておるものでありまして、問題はそればかりではない、その下にたくさんあるところの外郭団体が非常に問題になる点だろうと思うのであります。三、四具体的な例をあげて御質問をしたいと思います。  大きなところに対しても、またこれはと思うような小さなところに対しても、これは外郭団体の例といたしまして、元国鉄職員が必ず横流れをしておる、また中には共済組合の金が出資されておる、こういうような点が非常に多いのでありますが、この一つの例といたしまして日本海陸運輸株式会社というものがあるわけであります。これは昭和十七年に設立をされておるものでありますが、資本金五千万円のうち、国鉄共済組合が二千万を出資をなして、役員十五名中七名は国鉄の高級職員であり、従業員六百五十名中五百三十名が国鉄関係者によつて占められておるわけであります。そこでこの会社は一体どういうことをやつておるかといいますと、戦争中からのしきたりもあるかもしれませんが、国鉄用炭の荷役の独占ということをやつておるわけであります。資財局においては毎年二回、国鉄用炭荷役の六箇月の見込量によつて、公開入札をやつておるのでありますが、この際に請負契約に基いて、国鉄は十八項にわたり調査、配船その他計画を委託する条件を出しておるために、一般の者は入札に参加できないというような事態がここに生じておるのでありまして、国鉄用炭の荷役というものはこの会社が一手に引受けておるわけであります。従つて一手に引受けておるということは、全国各地において下請をやつておるトンネル会社であるという性格を多分に持つておる。こういうよう一つ会社に対して独占的なことをさせ、そうしてその会社がほとんどトンネル会社的な、さやとり会社である。さやとりによつて存立をしておる。こういう事態に対して国鉄は一体どういうお考えをお持ちですか。
  50. 山崎武

    山崎説明員 ただいまお話の海陸運輸の問題でございますが、御説のように現在においては一社独占の形になつておりますけれども、実はずつと以前に設立の趣旨としまして、例の戦争中の船舶運航一元化の措置によつて船舶運営会が誕生したときに、海陸合せまして現在の荷役として独立してやつたわけであります。しかし終戦直後今まで随意契約をやつておりましたものを入札に改めたのでありますが、入札の公募をいたしましても、やはり先ほどお話ように一社だけが入札に参加しております関係上、形式上は独占的関係になつております。しかしただいまお話の十八項目の条件、これあるがゆえに、ほかのものを排除して、海陸運輸一社だけしか入札できないということはございません。これは私の方の人手の関係がございまして、公告のときには全然こういう条件はつけておりません。あとでもし地域的にこちらでもつてお願いいたすときには、ひとつつていただくということをお願いする趣旨でもつて、この広告をつけてあるわけでありまして、入札に参加する者はおそらくこれは心得て参加しておるものと思います。
  51. 天野公義

    天野委員 その十八項目にわたる条件というのが、一般のものが参加できない一つの壁になつておる。読み上げれば、一、揚地港貯炭状況及び荷役調査、二、入港予定船の動静調査、三、配船の要求、四、配船の受付、五、炭種別、行先別積荷計画、六、適正炭積荷車の収集編成、押上げ計画、七、炭種別、ハッチ別積込計画、八、船舶積荷状況計画、九、水作業の計画、十、積揚場協定、十一、出帆案内、十二、貯炭場の炭種別調査、十三、機関区別貯炭状況調査、十四、炭種別、行先別貨車発送計画、十五、貨車の要求、十六、貨車積み数量の査定及び確認、十七、連絡船との連絡、十八、焚料炭積み貨車整備計画、こういうような非常にむずかしい条件ができておる。ところがこれらのものがはたして行われておるかどうかというと、さにあらすで、横浜あたりでは委託業務の内容等を調査したところによれば、十八項目の内十二項目を国鉄が自分でやつておる。そして会社はこれについて何らの業務も行つておらないということがはつきりしておる。こういうことは、こういうような条件を前に立てておいて、その会社に独占的な利益を与えて、ほかの一般の善良な業者はこれに入ることができないという、一つの壁をここにつくつておるものだと思うのですが、そういう点はどうですか。
  52. 山崎武

    山崎説明員 ただいまの御説ですが、私の先はどの御説明かちよつと十分でなかつたと思われる点もあると思われますが、これは国鉄の要員上の関係で港々で私の方ができない場合に、あるいは御協力を願つてこういう業務をやつていただくかもしれないというために、公告の条件には付しませんけれども、あとでお願いするということを契約書にうたつてあるわけでございまして、公告のときにはこの点は全然条件とはなつておらないのでございます。それからただいまお話の、全国では実際的には国鉄がほとんどやつていて、この点を荷役会社にやらしていないというお説は、私の方で全国を調べましても、ほとんど全然やつておらないのでございます。やはり国鉄が行つておるのです。ですからこういう点が公告にも載つておりませんし、あるいは実際的には国鉄がやつておるのでございますから、入札のときにこれが条件になつて阻害をして、海陸運輸以外は入札に参加できないということはなかろうと私の方は存じます。なおこの点につきまして、これが条件になつて、海陸運輸以外は参加できないのだというお話が別の方からありましたので、実はそういう意思でこれをつけたわけではない要員の不足のために、あるいは御協力わ願うためにやつたものであると申しましたが、その趣旨と非常に反しておリますので、以後の契約においては、かりに広告条件には載つておりませんけれども、これを削除いたしまして国鉄の手でやつて行きたい、また実際は国鉄がやつておるのでありますから、実情に合致したい、こういうつもりでおります。
  53. 天野公義

    天野委員 何か逃げ口上ばかりを言つておるようですが、この会社は全国に二十一の下請業者を持つておる。それで二十一の下請業者のところからまた下請でもうけておる会社もある。こういうようなことは結局独占形態を維持させて、中間利潤を得させる一つの方便にすぎない。それを国鉄自体が実際にやつていて、会社にはあまりやらしていないというから、これはなおさらばかげた項目ではないですか。こんなばかげた項目というものは、もつ実情に会うようにひとつ大いに再検討して、そして中間利潤なとというものはあまり得られないで、国鉄が損しないで、それで全国の業者が喜ぶような具体的な方途を、もう一ぺん立てていだきたいと思うのですが、こういう点はどうですか。
  54. 山崎武

    山崎説明員 お説の通りでございまして、私先ほどからるる申し述べましたように、この項目があるということか独占を可能ならしめるのだという一般誤解を解くために、現状においては国鉄自体が行つておるのでありますから次回からこれを削除いたしたい、こう思つております。
  55. 天野公義

    天野委員 削除するのもいいのですが独占形態にわたらないように、各業者が公正な競争で仕事ができるような、正しい指導方針をとつていただきたいと思います。
  56. 山崎武

    山崎説明員 まことにいろいろの点で誤解を皆さんに与えたのは、われわれの監督の点がまだ及ばない点があるのだと反省しております今お説のように、もう少し厳重に研究いたしまして、少しでも阻害する点がありましたら、これをためて行きたい、こう思つております。
  57. 天野公義

    天野委員 何かもやもやしてはつきりわかりませんけれども、とにかく公正なことができるように、十分研究していただきたいと思います。次にお伺いしたい点は、日本運輸倉庫株式会社の点であります。これは言うまでもなく三千万円の会社であつて、大口の出資者は国鉄共済組合の一千万円、日本通運の五百万円、通運産業の三百三十万円、鉄道弘済会の二百万円となつているわけです。もちろん同社の幹部は、国鉄及び目通弘済会等の関係者並びに前歴者かこれに入つている。そこでこの会社一つの大きな特徴というものは、国鉄から本支合せて九千七百三十八坪の倉庫及び高架下の使用承認されている点であります。それならば一体具体的にはどうなつているかというと、東京本社関係を見て参りますと、同社は秋葉原駅高架下元省営倉庫であつた第一号倉庫一千三百九十五坪を、坪当り月百九十円で借りている。そのうち五百四坪を、昭和二十七年一月東京都の神田青果市場に保管名目の契約によつて又貸しをやつている。これば又貸しの一番いい例である。そうしてその一固月の料金は七十五万四十三百七十六円八十銭、そうしてこの会社国鉄に対して納めている料金は、月九万五千七百六十円、これを差引くと月六十五万八千六再十六円八十銭をこの又貸しで得ておつて、そうして年額七百九十万三千四百二十五円六十銭の差益を得ているこういうような点は一体どうなんですか。
  58. 唐澤勲

    唐澤説明員 日本運輸倉庫は、国鉄の貨物の駅に発着します荷物を主としまして、その出し入れそれからそれ以外のものも一割くらい扱つていると思いますが、つまり国鉄を利用する貨物を駅において保管するという使命を持つてできている会社でございまして、以前は実はこれは直営であつたのでありますが、他の倉庫業界との関係とか、倉庫専門の人たちがこれをやらなければ能率が上らないというよう関係で、一つ会社にしてやつておるわけでございます。そこでただいま御指摘の料金の問題でございますが、月に百九十円の料金で貸庫をしているわけでございまして、この値段につきましてはもちろん検討を要する点もあると思うのであります。特に不当に安くするというつもりはないので、運輸省などで認めております他の倉庫においても大体この程度のよう考えておりますか先般から問題になつております土地建物等の料金の算定方針とにらみ合せまして、適当なところへかえるべきものがあればかえるというふうには考えておりますが、不当に安くするというようには実は考えておらぬのであります。また秋葉原において又貸しをしておるという問題につきましては、あそこは東京都の神田の青物市場が非常に狭隘でございまして、そこに出入りする貨物も非常に多く扱い、その運輸倉庫としても扱つておるのでありまし、て従つてその一部を特殊保管というかつこうで貸しておるというふうにも考えられるわけでございます。これらの問題につきましては、そういう特殊保管ということがいいか悪いかということは問題でありますので、そういう点は改めるように指導はしようと思つております。そういう関係になつております。この倉庫業として相当高額をとつておるかというような問題につきましては、倉庫の管理費なりあるいは、補修費なり、施設費なりから原価計算しまして、そう中間差益がべらぼうであるというふうに考えておりません。今後におきましてもその内容なりその他につきましては監督するとともに、料金等についても、この会社の料金につきましてもまた国鉄が貸します料金につきましても一層検討を加えて行きたい、かよう考えております。
  59. 天野公義

    天野委員 坪百九十円の料金があまり安過ぎないというような御答弁ようにお伺いしたのですが、どうもこれは納得が行かない。こういう点は非常に問題を含んでおる点だと思います。そこでこの会社は秋葉原駅の構内において、六百二十九平米を仮事務所敷地として使用承認を受けておる。その使用料は平米月九円八十銭、このまわりはそれではどのくらいしておるかというと、当駅構内で通路として使用しておる九天運送株式会社使用料金は平米月十七円七十銭、神田市場の荷さばき所の土地使用料は四十円、さらに秋葉原駅の中心は平均最低五万ないし数十万という値で売られておるわけであります。一番安い値をとつたと仮定しても、土地使用料にこれを引直しますと、大体八十八円ないし九十円、このように計算が出て来る、こういうような値の開きが非常にあるということは、どうも先ほどの倉庫の使用料と同時に納得の行かない点であります。一番安い時価から逆算して十分の一というような料率になります。こういうような点は、一体どういうわけでこんな安く貸しておるのですか。
  60. 唐澤勲

    唐澤説明員 用地使用料につきましては、先般からもいろいろと御批判を受けておるのでございますが、大体近傍の類似の賃貸価格というものを標準にしてきめるのを原典にしてあるのでございますが、これがどうも近傍といいましても、その土地の和用価値といいますかを見ますと、いろいろな場合がございまして、同じ条件の土地というものはないので、その基準がむずかしいのじやないかと思います。そういうよう関係と、またその契約を結んだときによりまして、ことに最近のよう土地の価格の移動がありますと、そのときによりましてまた相当差が出て来る。常にかわるたびに契約の方もすぐかえてしまうというようなわけにも行かない点があるのでありましてそんな事情でどうしても差ができておるのじやないかと思うのでございます。そこで私どもとしましては、こういうやり方はどうもうまくないと思いますので、根本的に考え方をかえまして、近傍というようなことでなくて、原価計算的にこれ積み上げて行つてその値段をきめる。また土地の根本になる評価につきましては、権威のある公平な機関によつてこれをきめてもらうということにしよう考えてまして、かねて申し上げましたよう土地建物等評価委員会におきまして大体評価の方はしてもらつて、それを基準にしまして必要な管理費なりというものを積み上げて行つて妥当なる値段を出したい、こういうふうに考えておりまして、近くその方針をとるごとにしておりますので、この辺の料金につきましてはどういうふうになりますか、全般的に最も妥当なものをきめることができるだろうと思つております。なおそういう措置を講ずるのにしましても、最近の土地の値段の変動などをにらみ合せまして、安いと思われるものは高いところまで持つて行くよう措置を、とりあえず契約の変更期にあたりましてとるように指示はいたしておるわけであります。
  61. 天野公義

    天野委員 この日本運輸倉庫株式会社の転貸の例は、名古屋支店にも見受けられるのであります。これは至るところで転貸で収入を得て、それが利益の大半をなしておるというようなぐあいになつておる。これは一つの外郭団体の一番いい例じやないかと思うのであります。こういう点については今後ひとつ大いに研究をしていただきたい。  時間がありませんから先に進みます。大阪鉄道荷物株式会社というのがあります。資本金七百五十万円で、金額弘済会関係の人々の出資で出ております。そして当社の社長は弘済会の大阪支店長が兼任いたしております。この会社はそれではどういうことをしているかというと、京阪地区における公認小荷物扱い業者はこの会社一社であつて、独占をしておるわけであります。ほかの業界から羨望の的になつておるところであります。そして二十六年度では七百九十九万九千円の純益、二十七年度では一千百七十五万円の純益金を上げておる。そしてそれならばその純益は一体どういうことをして上げておるかといえば、国鉄の自動車が赤字輸送をやつて荷物を運んでおるわけであります。国鉄自動車は一個当り三円五十八銭九厘の赤字輸送をしておる。二十七年度の実績計は百六十九万四千六十個でありますから、国鉄は六百八万五百九士三円の年間赤字輸送を行つておる。これだけの年間赤字輸送をこの会社のためにやつてつて会社の方では今言つたような純益金を上げておる。まことに納得しがたいことをやつておるのでありますが、こういう点は一体どういうわけでありますか。
  62. 唐澤勲

    唐澤説明員 鉄道荷物会社は、大きな都市などにおきまして——これは大阪の場合で大阪市内でございますが、駅まで小荷物を持つて来ずに、市内の目抜きの荷物のたくさん集まるところで、こちらの仕事を代行して、それを受付けて、それを駅へまとめて、一定の駅の方の輸送と手配とにらみ合せて持つて来てやるということで、輸送を緩和する手段としてやらしておるわけでございまして、これはその付近の出荷の模様とかいうものをにらみ合せて、適当に店を置くことを認めておるわけでございますが、この経営について国鉄の自動車の赤字を犠牲にして利益を上げさせているじやないかというお話でございますが、この点は私まだ十分調査しておりませんが、国鉄自動車としましても、実は前からいわゆる独立採算ということを揚げまして、自動車としても自分で採算がとれるようにということを建前にしておりますから、赤字まで出してそういう荷物会社に協力するということは万ないと私は確信しておりますが、あるいはそうかといつて一般の値段よりも非常に安い値段でやるということは、国鉄自動車としてはできませんので、結局それは国鉄自体の経営について改善すべき点があるのではないかというふうに考えますが、この点については検討いたしておりませんが、もし国鉄自動車の方が無理をして協力しているようなことがあれば、絶対に許せないことでありますので、断然それは取締るつもりであります。
  63. 天野公義

    天野委員 こういうふうに国鉄の自動車が赤字輸送をやつて、片方の会社に利益を上げさせるということは、まことに不穏当きわまりないものであると思うのであります。これはひとつ国鉄当局において厳重に調査をし、そうして責任者を処分し、責任の所在を明らかにし、国鉄経営をひとつ合理化する一助にしてもらいたいと思います。特にこの会社では、鉄道用地使用承認条項違反があるわけです。この会社は二十七年十二月大阪鉄道管理局より、小荷物取扱所及び従業員仮宿泊所設置の目的をもつて、大阪市東区横堀町所在鉄道用地二百三十三平米の使用承認を得ておるのでありますが、実際には同地には屋号静松という、代表者が井筒あいという名儀によつて、同人の自己資金建築費四百万円をもつて、会館内部構造を旅館もしくは料亭風の建物に建築され、八月十八日右建築の所有者として大阪法務局へ保存登記を行うとともに、現在旅館営業の許可方を大阪府へ申請中なのでありますが、これは一体どういうことでございましようか。
  64. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 この土地は大阪の市内にございまして、鉄道といたしましても将来使うのにはあまり重要でない土地であつたのでありまして、当時大阪の鉄道局といたしましては、この土地は処分したい、こういうふうに考えておつたわけであります。それで小荷物会社の方から寮をつくるということで、その建築の関係を井筒あいという名前で実は出した。この井筒あいというのは建築代行並びに経営委任ということをされております関係上、当時その現場にありました者が、一つにはこの土地が将来売却されるというようなことが頭にありまして、感違いいたしまして、この小荷物会社でない井筒あいの出して来たものを実は承認したわけであります。この点ははなはだ遺憾だつたのでありますが、この土地はそれですでに不要土地として、適当な土地と交換しましてこの問題は解決しました。
  65. 天野公義

    天野委員 土地の解決とか、了解とかは別の問題として、そういうよう鉄道用地目的外使用ということで、使用承認違反という事例は全国各地にあるのであります。また未承認使用ということで、国鉄承認を与えてない土地ですら、たくさんいろいろな人が入つて使用しておる例は全国各地にある、これは先日お伺いした通りであります。これは一つのよい例でありますから私が指摘しただけであつて、こういうよう目的外使用とか、使用承認違反とか、もしくは未承認使用とか、こういうような国有財産に類するところの国鉄所有土地のずさんな使用方法というものは、われわれ国民としては絶対に納得行かない点であります。こういう点についてひとつ厳重な監督をし、そうして目的外使刑として使用承認違反という場合には、断固たる処置をとる必要があると思いますが、総裁の御意見どうですか。
  66. 長崎惣之助

    長崎説明員 いろいろその問題については調べております。終戦後主として起きた問題ではないかと思いますが、非常な混乱に際しまして、不法占拠あるいは未承認使用といつたような幾多の事例があるやうに私も聞いております。これらの問題につきまして、今後におきまして早急に処理いたしまして、皆さんの御期待に沿いたいということは、元来たびたび私は自分の決心をして申し上げておるところでございます。今少しく時日をかしていただきまして、これらのものをりつぱに私は整理して参りたい、かよう考えております。
  67. 天野公義

    天野委員 こういう点はひとつ厳重に監督をしていただきたいと思い「ます。  次にお伺いしたい点は、鉄道室内工業株式会社というのが、資本金六百万円で設立をされております。そうして昭和三十七年度における利益金は一千五十五万円に達しております。ところでこの会社の特徴とするところは直営工場というものを一つも持つておらない、また常雇い職員が一人もおらない、そうして国鉄と請負契約を締結したものは、全部下請にまわしておるのであります。全部下請をやらして利潤を得ておる、これは一番典型的な例の会社であつて、特に鉄道電話まで無償で使用さしておるのであります。こういうような純中間利潤搾取会社が存在しておる、そうしてこれに対して一千万円以上の利益を上げさしておるということは、まことにこれは不穏当きわまりないものであると思うのでありますが、こういう点については、一体どういう監督をし、どういうお考えをお持ちでありますか。
  68. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 室内工業は大体室内の畳、そういうもののとりかえをやつておるのでございますが、この会社は大体こまかい仕事をやつておりまして、御存じのごとく政令できまつておりますのは、百万円未満の工事は指名、五十万円未満の工事は随意契約でやつておるのでありますが、特にこの会社を擁護するという強い線はあまり出していないつもりでございます。それで行政管理庁にも指摘されたのでございますが、たとこば新潟で九〇%の随意契約をやつておるという資料が出ておりますが、これは数字の間違いでございまして、七〇%程度でございます。なおこの会社のトンネル云々でございますが、この会社は戦時中にできたものでございまして、最初弱うございまして、確かに御指摘ようにトンネル的なところは多分にございました。これは現在極力直営態勢を強化しておりまして、大分最近は強くなつております。尚下請トンネル的とは申しますものの、その場合資材はほとんどこの会社が購入いたしまして、資材の提供をやつておりますし、また技術操作のような管理的なところは、この会社が担当してやつておる次第でございます。
  69. 天野公義

    天野委員 この会社は新潟局管内、釧路局管内、こういうところはほとんど独占的にいろいろやつておるわけであります。いろいろな発生の理由はあるかもしれませんけれども、こういうような中間的な会社に莫大な利益を得られておつて国鉄赤字できゆうきゆうしておるなんてこんなばかなことが世の中に存在していいわけがない。これはもう少しこういうような点について、国鉄もつ監督を厳重にしなくちやならない。特に資材局あたりは何をしているかと言わなければならないと思います。これは一体総裁はどうですか。
  70. 長崎惣之助

    長崎説明員 戦時中にできましたし、戦後において発生しました各種の会社、それらについての考え方また行政管理庁その他の御批判、当国会における皆様の御意見、これらは十分に私は考慮いたしまして、正すべきものは正し、保護すべきものは保護し、いろいろやつて参りまして、世間から指弾されるようなことかないようにして参りたい、そういう決心でございます。何しろたくさんいろいろのことがあるようでございまして、私自身もはなはだ不行届きでございますので、なかなかその一々に対して目を通して行くということにはまだ十分なことになつておりません。不十分な点がたくさんあるのでございます。先ほども申し上げましたように、かすに多少の時日をもつていたしまして、私はどういう方向にこれを持つて行くがということを厳重に御監督もいただき、また御指導もいただいて、でき得る限り早い時期にきれいなものにいたして参りたい、かように存じております。
  71. 天野公義

    天野委員 それではもう一つ具体的な例としてお伺いします。それは株式会社鉄友会、これについてお伺いします。これは御承知よう昭和二十五年十一月、資本金一千万円をもつて設立された会社でありますが、もちろん幹部は国鉄出身者であります。そしてこの会社は子会社に東京デパートというものを持つておる。それならばこれはどういうことをするかといえば、会社設立の経緯は、当時国鉄において新橋駅の混雑緩和をはかる措置として、当駅ホーム高架下にコンコース及び中央口設置の計画があることを知つた同社監査役の三浦義男、この人が鉄友会の代表となつて昭和三十五年二月、中央口を設置して、国鉄に寄付をするという交換条件のもとに、高架下一部使用承認されたき旨申し出た。そして承認の上は国鉄退職者を多数救済するという条件をつけたわけであります。これについて東鉄が同年七月正式に承認を与えたことから始まつたのでありますが、これはこの決算書によると、鉄友会は赤字を出しておりますが、この会社が又貸しをして、そうして東京デパートというものをここに設立をさせておるわけです。その東京デパートは今度は二千三百六十七万という莫大な利益をここに計上しておるわけです。そのコンコース及び中央口設置のために使用承認を申し出ておりながら、実際の内容は東京デパートというデパートをつくつて、少しも申請の目的に沿つていはい施設を、ここにたくさんつくつてしまつたという結論が出ておるのです。しかもなお一層乗客の混乱を増すよう措置がここにとられておる。こういうような点は、一体どうしてこんなばかなことになつたのですか、お伺いしたい。
  72. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 新橋駅のあの辺が混雑いたしますので、新橋の高架の下に東西に通ずる通路をつくつたわけでございます。それでつくるかわりに、そのまわりを貸すという条件でこのものが生れたのでございまして、それで貸しましたものが東京デパートでございます。これは確かに転貸でざざいまして、これについては今後検討いたしまして善処したい、こういうふうに考えております。なおコンコースを専用いたしまして、せつかくのコンコースが狭くなるという点につきましては、最近これを少さくするようにいたしました。
  73. 天野公義

    天野委員 コンコースで貸した目的のものが、今度は店ができてしまつたので幅が二メートル弱というような狭いものになつてしまつた。そればかりでなくて今度は東京デパートが店を締めるときはコンコースは閉鎖されてしまうのです。午前九時から午後九時まで、これは東京デパートの自由意思によつてやられておる。コンコースの目的は全然果されておらない。これは明らかに目的外使用というか、使用承認違反であります。こういう点は一体どうなんですか。
  74. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 今のコンコースを専用する面積的なことは、大体今まで六メートル五メートルくらいの土地をとつていたのでありますが、それを三メートル・三メートルくらいの小さなものに制限いたしました。そのコンコースの閉鎖につきましては、私実はよく承知しておりません。今後調べまして適当に善処いたしたいと思います。  なお先ほど来土地の不法占拠、未承認あるいは目的外使用、転貸ということにつきまして御指示を受けたのでありますが、私のところに持つております資料では、昨年行政官庁で指摘されましたのは四百十一件でありまして、一月三十日現在、私の方で処理いたしましたものが百八十六件、大体四五%処理いたしました。現在ではおそらく五〇%くらい処理できているのではないかと思います。なお今後御指摘趣旨をよく体しましてこの仕事を続けて行き、一日も早く百パーセントの解決をはかりたい、こう存じております。
  75. 天野公義

    天野委員 この鉄友会に対する使用承認は二十六年の四月であります。使用料を現実に徴収したのは二十八年の一月十二日でありまして、使用承認後一年九箇月もほつてある。使用料を一年も二年もあとからとるというのは、鉄道会館のときも国会で問題になつて、あわてて使用料金をきめて徴収するというような間の抜けたやり方をやつている。使用承認をしてから一年も、二年たつてから、使用料をとるという方式をたくさんやつておるのですが、こういう点はどうですか。
  76. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 今御摘指の料金の微収が遅れたのは、まことに申訳ないのでありますが、これは特にこの会社に申しまして、今後こういうことのないように現在ちやんととつております。
  77. 天野公義

    天野委員 次に外郭団体の鉄道電話の無料設置、無料使用の点についてでありますが、大体全国で私鉄と日本通運を除いて、わかつておるだけで五百くらいあるわけです。こういう鉄道電話の無料専用使用は一体どうなんですか。
  78. 石井昭正

    石井説明員 鉄道の専用電話につきましては、こちらの業務上必要な箇所に国鉄の都合で設置するという建前にいたしておるわけであります。ただ戦時中非常に一般公衆通信の状態が悪くなりまして、いわゆる当時の戦時輸送力増強という観点で、関係箇所へ設置することも若干幅を広げるということもやむを得ないというように、当時の所管庁であります逓信省等も、正式の話ではございませんが、黙諾と申しますか、そういうよう関係もあつて幅が広がつて参つたことは事実でございます。その幅が、終戦後の一般公衆電話の不備に基きまして整備が遅れたたために、ややルーズになつて参つたことも御指摘通りでございます。これははなはだ申訳のないことでございますので、十分にその関係調査いたしまして、昨年鉄道関係電話の設置箇所につきまして整理をいたしました。ただいまのところでは、昨年の臨時国会で通過いたしました有線電気通信法によりまして、共同設置というようなものは郵政省の認可を得まして認められることになりましたので、その後郵政省の認可を得られるであろうという範囲にとどめておきまして、ただいま事務的にも認可の手続を進めております。これを正式に認可をいたしました以上は、私どもの方の事務上の必要で、まつたく国鉄の必要上から設置いたしましたものは別でありますが、いわゆる共同的な意味合いにおきまして設置いたしましたものにつきましては、相当の保守費、設備費を徴収いたしたいということで準備を進めております。なおその認可をいたす範囲につきましても、郵政省が認可をするからといつて必ずしもその範囲まで全面的に広げるということではございませんで、専用通信の指名を阻害しないように、また専用通信の使命に合致するものに限定いたして参りたい、こういう趣旨整理をしておりますので、御了承願いたい思います。
  79. 天野公義

    天野委員 何かもやもやしているのですが、とにかく不当な便宜を与えないで適当な料金をとつて国鉄収入増加に大いに寄与するよう方法をとつてもらいたいのです。  さらに進めまして、それならば外郭団体が一体どうかという結論に入る前に、今度は東京都内における概括的な問題について見てみますと、東京都内の営利外郭法人が大体三十社、これを調べてみますと、この三十社の資本総額は四億八千四百土五万円、このうち国鉄共済組合、鉄道弘済会、日本交通公社、日本通運及びその系統の会社の投資額は、全体の十五社に及んでおるわけであります。投資額は一億二千百二十四万円余、全資本額の二七%になる。そしてこれらの都内三十社の利益は一体どのくらい上つておるかというと、総計五億九百万円の利益を上げておるわけであります。外郭団体が五億九百万円の利益を上げておるにもかかわらず、国鉄は二十七年度においては十六億九千万円の赤字を計上しておるわけであります。これかどうも不当な便宜を供与し、そして国鉄が利用され、片方では五億も利益を上げておるのに、国鉄自体は十六億も赤字を出しておる。こういうような点はまことに納得の行かないところでありますが、こういう点について総裁はどういうお感じを持つでしようか。
  80. 長崎惣之助

    長崎説明員 先にど申し上げましたように、私就任以来、本業の方の運輸という面にのみ目を点じておりました関係で、また固定財産の管理等につきましては、私浪人中にいろいろ聞いてもおますので、それについてはすみやかに何とかしなくちやならぬということも考えておつた次第でございますが、また外郭団体、しかも非常に数の多い外郭団体等については詳しい調査をいたしておりません。しかし御指摘ようなことがかりにありといたしますれば、それが正しいものであるかないか、かりにそれが正常の常識から考えて不当ではないかというようなものがございますれば、もちろんこれは私厳重な処置というものに出まして、これまた先ほど来申し上げておりますように、きれいな、どこから見ても汚れのないようなものにいたして参りたいというつもりでございます。
  81. 天野公義

    天野委員 都内十八の公益法人があるわけですが、その中で国鉄が金を出しておる関係を見てみますと、二十七年度において研究費を受けておる団体は五団体で千七百十六万円、補助金の交付を受けておる団体が七団体で二千九十五万円、国鉄が会費として出している団体が四団体で千百六十三万円、総額四千九百七十三万円の金銭的援助が国鉄から出されておるのでありますが、こういうよう国鉄から金を出して援助を与えておるいろいろな団体についてどういう監査をされ、どういう指導をされておりますか。
  82. 唐澤勲

    唐澤説明員 国鉄自体から援助といいますか、金を出しているのもございますが、それはそれぞれの理由がございまして、国鉄の円滑な事業遂行に大いに役立つという見地から、あるいは会費として、あるいは補助金として出されておる例はございます。もちろんそういうものにつきましては、その事業計画の遂行なり結果について厳重な監督をしまして、所期の目的に反しないように、またこちらからそれでけの会費なり金を出しておるその趣旨が完全に履行されているように、厳重な監督、指導もいたしておるような次第であります。なおその会費等につきましても、二十九年度におきましては、内におけるところの異常な節約、緊縮の方針、あるいは積極的な増収対策というようなものとにらみ合せまして、これらの団体の経営内容におきましても同じように緊縮政策をとらせまして、われわれの方から出す会費等につきましても、できるだけこれを少くして行くというような方向に持つて行くよう考えております。
  83. 天野公義

    天野委員 私は今まで国鉄の雑収入監督延滞の問題並びに外郭団体の非常な便宜を受けておる点、まただらしのない点等をピックアップして御質問したわけであります。それによつても、国鉄と外郭団体というものがいかに利権がからみ、いかにだらしがないかという点は明瞭だろうと思うのであります。そこで昨年鉄道会館等の外郭団体の問題を国会調査をした場合にうしろ暗い外郭団体がたくさんありたわけです。うしろ暗い外郭団体がたくさんあつたからこそ、いわゆるもみけし運動というばかげたことも行われる。これは結局国鉄監督不行届であつた結果にほかならない。監督不行届きであつたからこそ、そういうようなもみ消し運動をせざるを得ないようなばかげた事態を引起しておるのだ。これは一々かなつて国鉄全体の重大な責任でと私は思うのであります。その結果、たくさんの国鉄の先輩になり、またわれわれの同僚にすらその犠牲者を出し、しかもまた有形無形のくだらない誹すを受け、疑いの目をもつてわれわれは見られている。まことに遺憾千万だ。これはかかつて国鉄監督不行届きにあると言つても過言ではない。ああいうような不祥事を出した責任は国鉄の今までの運営にあつた、私はそのよう考える。こうはうような点について総裁のお考え並びに総裁の責任は一体どういうふうに感じておるか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  84. 長崎惣之助

    長崎説明員 昨年来国鉄がいろいろ皆さんの御批判の的になり、いろいろの御意見が聞かれたのであります。その際に私が申し上げましたことは、先ほども申し上げたと同じことでございまして、遺憾ながらそういう財産の管理あるいは外郭団体の問題等については、手のまわらない点があつたことは率直に認めた次第でございます。これはひとえに本業の方さえも今日まだ十分でない、何とかして輸送サービスの攻善、国鉄の本来の仕事を一日も早くりつぱなものにし、少くとも皆さんの御満足を得るようにしたいという一心からでございまして、この点はなはだ申訳ないわけでございますが、ただいま御指摘の諸点等につきましても、一日も早くこれをきれいな、さつぱりとしたものにして行くということ、それ自体が私の責任ではないかと考えますことは、昨年の決算委員会においても申し上げた通りでございます。今日においても私はさよう考えておりますが、かすに時日をもつてされまして、といつて荏苒日をむなしゆうするつもりはございませんが、何分にも戦争中、終戦後この十年間の混乱、さらにはアメリカ軍占領時代のいろいろの経緯、それらを整理いたしまして、そうしてかつての姿にまでは少くとも持つて行きたいというのが私の念願でございます。何とぞ御了承の上御指導、御援助、御協力のほどを私はお願い申し上げる次第でございます。
  85. 天野公義

    天野委員 あれでけの問題を起し、あれでけの人が逆惑をこうむり、われわれにすら迷惑を及ぼしておるということは、これは重大な問題である。しかも国会の威信を傷つけるような事態すら起つておる。こういうことは今までの国鉄が非常にでらしかなかつたその結果であるといつても過言ではない。国鉄総裁が、首脳部が自分でけ清ければそれでいいのだ、自分でけひつかからなければそれでいいのだという考えをもし持つておつたとしたならば、これは重大問題であります。国鉄総裁としては十分責任を感じて、そうして国鉄並びに国鉄をめぐる外郭団体をきれいなものにして行くと通うことを同時に、先輩その他国会に対してまでも迷惑を及ぼしたところの責任の所在を明らかにする必要があると私は思うのでありますが、もう一度この点についての所信を承りたい。
  86. 長崎惣之助

    長崎説明員 まことにごもつともな御意見でございます。私は決して皆さんに御迷惑をかけた覚えはないとは申しません。おそらくいろいろな面で御迷惑になつたことと思つております。この問題につきましては目下司直の手においていろいろお取調べ中でありますから、その結果どういうことに相なりますか、それらの結果も見なければなりません。私といたしましては十分に責任を感じておる次第でありますので、その責任を感ずる方法におきましては、いろいろな道がございましよう。今日の心境といたしましては先ほど申し上げた通りであります。
  87. 天野公義

    天野委員 総裁の良心と責任感に期待を持つて一応質問を終ります。
  88. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して……。天野委員の御質問に対する総裁の御答弁でどうも納得のいかない点は、手がまわらない、あるいはまた輸送力増強のために献身していたので、そういう方面のことはないがしろであつた、こういうような御答輸でありました。そういうふうに努力されていたことはもちろんでございましようが、厖大な組織を持つている国鉄が、そういう方画に調査の手がまわらぬということはまことに私はおかしいと思う。総裁御自身が一々お調べになるのであればたいへんでございましようが、何のためにその組織があるか。しかもわれわれからここで指摘されるというと、これを一々是正するというよう方法をおとりのようであります。昨年の鉄道会館の問題でも、この問題が起つてからあわてて契約の内容も是正する方向に行き、また他の未収の問題もあわてて徴収するというよう状態、また輸送力増強のためにと言うけれども、これは輸送力増強のためにこういう外郭団体にもよほど監督も厳重にして不当に安い価格をもつて貸しているところとか、不当な便宜を与えているというところを是正して、そういう方面で国鉄の経費の節約をするとともに、増収をはかつていくということができて、初めて私は輸送力の増強ということができるだろうと思う。それをせずして、ただ輸送力増強といつても、結局落ちるところは予算がない、金がないということに結論は落ちるのであります。しかも新聞紙上伝えられておる、また今天野委員お話ように、外郭団体の人たちが動いて、決算委員会あるいは運輸委員の一部に対して調査の阻止運動というようなことをやつたというようなことが新聞に出ておりますことは、われわれも運輸委員を議会に出ましてからずつとやつておりました関係上、非常に肩身の狭い思いをするわけであります。この際に徹底的に司直において取調べるでありましようけれども、それにしても国会の品位——そういう運動があつたということ自体で疑惑を持つて見られるということは、われわれも非常に遺憾とするところであります。その議員みずからかそういう誘惑に陥つたということは、私は決して信じておりませんけれども、しかし少くとも今までの新聞紙上に報ぜられるところによると、外郭団体の入がそういう誘惑をせんとして相当に動いたということは、これはある程度司直によつてはつきり出ているようです。その裏を返すと、今の天野委員お話ように、相当にこれはいろいろの問題が伏在していて、それを調査をされることがつらいので、それを未然に防ぐべく動いたというふうに私たちは感ずるのであります。この機械に私たちは、会計検査院等の方面の分野もあるでありましようけれども、何らかの方法をもつて外郭団体をこの概会に徹底的に調査をして、そうして国民の財産である国鉄の運用を全つたからしめるようにしなければならないとともに、現在の国鉄関係の幹部の方、職員におかれても、これは今一番大きな使命だろうと思うのであります。そこで私は、どうもただいまの総裁お話を伺いもつてすると、やはり今後ともに国鉄の輸送力の増強ということも、それからまたお忙しいということもこれは引続くわけであります。そうすると、やはりこれは当分解決のつく方向に進んで行くことが、遅々とするのじやないかというふうに考えるのでありますが、将来に対してどういう御決心であるか、あらためてこの機会にお聞きしたいと思うわけであります。
  89. 長崎惣之助

    長崎説明員 全部後手々々というふうなことになつた形であります。しかしながら私は過般も当委員会でなかつたかと存じますが、昨年、一昨年でございますが、機構を多少改正したことがございます、その際にやはりこの土地物件の問題は非常に重要な問題であるということを主張いたしまして、実は大阪と東京の両管理局に特に事業課というものを設けまして、この問題に専心当つてくれ、そしてこれを整理をしてくれということで課をつくつたのであります。ところかそれがまだうまく動き出さないうちにいろいろと問題が起りまして、皆様の御批判を受けたわけでございます。そこで昨年の十月まず民衆駅等に関する委員を設けまして、専門の方々の御意見を拝聴して民衆駅のあり方、あるいはこれに対する考え方というものをどういうふうにして進めるか、また大阪と東京には土地物件の評価委員会をつくりまして、これまたわれわれだけでは十分でありませんから、専門の方々、関係官庁の方々の御意見を聞きまして、土地物件の評価をいたしておれまして、これはもはや大分結論が出ております。民衆駅等の委員会におきましても、ここ二、三日のうちに中間的なお答えが得られると思つております。また本庁には特に臨時財産管理部というものを設けまして、そこで専心にその問題ととつ組む、そしてこれが解決をはかつて行くということでございます。これも大いに活動いたしておりますが、何分にも非常に複雑な問題でございまして、ことに民衆駅等あるいは土地物件というようなものを、はたして従来のいわゆる官庁式のしやくし定規でやつて行けるかどうか、どうも私はそうは行かないのじやないか、やはりその土地なり物件なりの一つ一つに適当したる解決をしなければならぬということになりはせぬかと思いますが、しかし、といつて個々のものを個々に解決するというわけにも行きませんので、大きなわく、大きな原則と申しますか、規則と申しますか、そういうものもやはりあらかじめきめておかなければならぬが、それに縛られて、それにとらわれてはいけないのじやないかというふうに、今のところいろいろの御意見を承りますとそうではないかと考えております。さような次第でございまして、まことに新聞紙その他においていろいろなごとが言われ、さだめて皆さんにおかれても御不快であろうと存じます。この点私はきわめて遺憾に存じておりますが、以上のような経過で着々この問題を解決して参りたい。お説の通り輸送力だけが云々ではないので、やがてそういう問題についての国民各位の疑惑を一掃すること、またさらに収益を増すこと、これがやはりわれわれの仕事の重大な部分でございます。従つて今後におきましては私ども初め、みな上下一致してこの問題のさつきゆうな解決に努力して参りたい、かよう考えておる次第でございます。
  90. 臼井莊一

    ○臼井委員 もう一点お伺いしたいのでございますが、そういう方面の調査とか是正にはもちろん努力されてはおられるのでありましようが、そういう外郭団体に対するいろいろの調査には、国鉄内ではどういう課が当つておられるのでありますか。さらにまた運輸省の方では、ここに植田さんもいらつしやいますが、これはどういうところが責任を持つてつていらつしやいますか。これはどうもいろいろ外郭団体の様子を見ますと、大体運輸省とか国鉄あたりの出身の方がやつておられる。そういたしますと、悪く言えば一つの腐れ縁で、お互いに遠慮し合つて徹底的にメスが入れられないのじやないか。こういうふうに思いますが、従来のそういう点に対する調査監督の機関は、どういう方面でおやりになつておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  91. 石井昭正

    石井説明員 いろいろ関係する団体が多いのでございます。今までは主として施設の関係でありますれば施設局、あるいは営業関係でありますれば営業局というような主管局で調節調査をやつておると何時に、これに伴う監督をやつておるわけであります。しかし私どもはそれでは不十分だと存じますので、今後は私の経理局にあれます監査課を利用いたしまして、外郭団体の調査、これはただいまの組織規程上は若干疑義もございますが、その点を直すべきは直してやることにいたしたいと考えております。
  92. 臼井莊一

    ○臼井委員 またいろいろお伺いしたいことがありますが、関連質問であまり時間をとつてもいけないので、またいずれ機会を見て御質問いたすことにいたします。
  93. 關内正一

    ○關内委員長 正木君。
  94. 正木清

    ○正木委員 時聞がないそうですから、いずれ詳細なことは次会に譲るとして、一言だけ総裁にお伺いしておきたいと思うのですが、国鉄では五箇年計画を立てて、すでに四月一日に経営委員会にこれをかける。しかもこの五箇年計画案なるものは、政府からの指示によつて計画が進められておるということを私は承知をいたしておるわけです。この五箇年計画の基準年度を二十七年度におきまして、最終年度を三十二年度に置く。その内容の骨子は、輸送力を二十七年度を基準として、最終年度に一〇%を増加し、貨物においては一一%を増加する。しかもこの計画の骨子をなします輸送に対しては、旅客の乗車効率を平均一五%緩和して、そうして貨物、旅客の輸送を増強して行く。これに対する投資総額は、四千四百億と私は承知いたしておるわけでございます。しかも私はこの際お伺いしておかなければなりませんことは、この計画に基きますと、少くとも三十九年度からは旅各、貨物の運賃をさらに二割程度何としても値上げしなければならない。この二割の値上げが、全体のこの投資総額四千四百億の骨子をなすものである、こう私は承知をいたしておるわけです。はたして国鉄では私が今指摘したような骨子に基く国鉄再建五箇年計画をもつて、四月一日に経営委員会にかけることが決定されているのかいないのか、この点をまずお伺いいたします。  長崎説明員 長期計画の問題につきましては、去年の国会でありましたか、この前でありましたか、私ここでちよつと申し上げたことがございます。そういうような継続的な計画国鉄としては持つていなければならぬと考えております。ただしかしそれがまだ十分に検討いたされておりませんので、今日ここに申し上げるわけに行かないのは、非常に遺憾であるということを申し上げたことがあると思います。その火種は二十七年ごろからございましたので、それが二十七年から発足されたようなかつこうになつております。だんだん研究が積まれまして、できるだけ少い経費で有効な効果を上場げたいというようなことで案が練られまして、近ごろになりましてやや見るべき案が実はできたのであります。それがどこでどういうふうにして漏れましたのか、新聞に載つておるということでございますが、これははなはだ私は遺憾だと存じます。そういう大きな計画でございますので、これはやはり一応世間に発表する前に、むろん国鉄の意思決定機関であります経営委員会の御意見を聞かなければならぬことはもちろんでございます。これは日本国有鉄道法の根本的な問題であろうと考えております。まだ今のところこれはほんとうの試みの案という程度で臨まれたのでございますが、もはや経営委員会に御相談を申し上げてもいいのではないか、そしてそこでいろいろと御批判を願い、それを当委員会にもまたお見せをいたしまして、いろいろ御批判を願つた上で、これを公定版にすべきものではないかと考えております。なかなかしかしこの長期計画案というものは、実はそういうわけで二十七年から考えておつて、実にマンマンデーといわれればマンマンデーとも言えますが、非常にむずかしいのであります。ことには二十九年度財政計画なり予算というものの面を見ますと、さらに大きな修正を要するのではないかとも考えております。これはもう二十七年、二十八年から見ましたならば、経済界の非常な大きな変動でございますから、私どもが今つくつておる案というものを、そのままこれで持つて行くということは、はたしていいのか悪いのかという点などについて、非常にきびしい経営委員会の御批判があるのじやないかと思つております。それやこれやで経営委員会にはできるだけ早い機会に御相談を申し上げたい、かよう考えておる状態でございます。
  95. 正木清

    ○正木委員 重ねて総裁にお尋ねいたしますが、その内容が今日の段階で再修正をするような内容もあるではあろうけれども経営委員会にかけるということだけは、今の答弁はつきりいたしたわけですが、当委員会には一体いつごろななたのところで立てておるその計画案を発表になられますか、この点ひとつ……。
  96. 長崎惣之助

    長崎説明員 その点は経営委員会ともよく相談いたしまして、できるだけ早い時期に、これが未成案でございましても、そういうものが一応できましたら、御批判を仰ぐ意味におきましてお見せしたいと私は考えております。
  97. 正木清

    ○正木委員 私は重ねて強く要望しておきますが、当然国鉄当局としては、経営委員会に提出することは、これはもう議論の余地はないわけですが、経営委員会にかけると同時に当委員会にも提出をしてもらいたい、参考資料としてでけつこうですから——。それで私は重ねて総裁に強く委員長を通じて要望しておきますが、本日のこの委員会における天野君の発言というものは非常に重大であると私は思う。これは総裁を信頼しないわけではないけれども国鉄がどのように必死な努力を払つて内部刷新をはかろうとしても、今日までのいきさつから見ると、外部からの強い刺激なくしては、おそらく長崎君の手では刷新できないのではないか、そこに国鉄としても伝統の悪い面が露骨に出て来ておるのではないか、こういうように私は考えられてならない。一つのものを手をつけるというと、実に一箇月以上二箇月近くもかかる。幸い本日天野君が骨子だけを当委員会指摘されたのであつて、これら外郭団体の一切の資料をこの際国鉄当局から当委員会に提出するよう委員長を通じて私は要求をしておきます。これで質問を終ります。
  98. 關内正一

    ○關内委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会