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1954-03-27 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十七日(土曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 關谷 勝利君 理事 松井 豊吉君    理事 山崎 岩男君 理事 岡部 得三君    理事 山口丈太郎君       天野 公義君    岡田 五郎君       岡本 忠雄君    高橋圓三郎君       徳安 實藏君    有田 喜一君       臼井 莊一君    青野 武一君       楯 兼次郎君    中居英太郎君       吉川 兼光君    館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         水産庁次長   岡井 正男君         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         海上保安庁次長 島居辰次郎君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         事         (総裁室法務課         長)      鵜澤 勝義君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐澤  勲君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  勝間田清一君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  楯兼次郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十五日  船舶職員法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一一九号) 同日  戦傷病者国鉄無賃乗車復活に関する請願外一  件(岡田五郎紹介)(第三九二三号)  同(永田亮一紹介)(第三九二四号)  同(有田喜一紹介)(第三九二五号)  同(中島茂喜紹介)(第三九二六号)  同(喜多莊一郎紹介)(第三九二七号)  同(竹尾弌君紹介)(第三九二八号)  同(吉田重延君外一名紹介)(第三九二九号)  同(中村時雄紹介)(第三九三〇号)  同(大橋武夫紹介)(第三九三一号)  同(首藤新八紹介)(第三九三二号)  同(迫水久常紹介)(第三九三三号)  国鉄出目拡張等に関する請願井谷正吉君外  二名紹介)(第四〇三二号)  国鉄張碓駅移転に関する請願横路節雄君紹  介)(第四〇三三号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十六日  地下鉄池袋西口開設並びに地下公道建設に関  する陳情書  (第二四四七号)  岩国、日原間鉄道敷設工事促進に関する陳情書  (第二四四八号)  定点観測存置に関する陳情書  (第二四四九号)  同(第二四五〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  船舶職員法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一一九号)  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  船舶職員法等の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。石井運輸大臣。     ―――――――――――――
  3. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま提案になりました船舶職員法等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  現行船舶職員法は第十回国会において画期的な大改正を加えられましたが、その際できる限り円滑に、法の完全実施をはかるため、経過規定を設け、船舶職員資格についての緩和措置等を講じた次第であります。その後水産業界の発展に伴う新情勢に適応するため、遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶についての船舶職員法臨時特例に関する法律が今般国会を通過制定され、遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶における船舶職員充足難は、一応解決されることとなつたのでありますが、なお遠洋かつおまぐろ漁業以外につきましても、法の特例適用期間内に、法定資格船舶職員充足が困難な面がありますので、船舶職員として船舶に乗り組ますべき者の資格及び海技従事者がなることができる船舶職員についての特例その他の経過措置を、昭和三十一年三月二十二日まで延期するとともに、その間に船舶職員充足をはかることにいたしたいと考えております。  簡単でありますが、以上が本法案提案理由であのます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  4. 關内正一

    關内委員長 法案に対する質疑は次会合より行います。     ―――――――――――――
  5. 關内正一

    關内委員長 次に、乗車券類委託販売代金徴収に関し調査を進めます。  ます当局より販売代金性格について説明を求めます。石井説明員
  6. 石井昭正

    石井説明員 交通公社乗車券売上げ代金公金ではないかというお尋ねがございました。国鉄交通公社との契約内容は、一箇月分の売上げをとりまとめて精算の上、国鉄に納入するということになつておりまして、法律的に申しますと、売上げ代金はひとまず交通公社所有となり、交通公社はこれを精算の土、国鉄に支払うべき債務負担をしておるという内容になつておると思います。これは金銭の代替制から見ましてそういうものであると存じますし、またかような解釈で両者間において長年にわたる慣行となつておるものでございます。しかしながら先般の委員会におきまして、皆様からいろいろ御注意のありましたことは、まことにごもつともなところもございますので、できる限り交通公社における売上げ代金管理及び国鉄収入の確保に努力をいたしまして、今後契約面におきましては、この点を明瞭ならしめるようにいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  7. 關内正一

  8. 中居英太郎

    中居委員 ただいま交通公社国鉄乗車券販売代金は、国鉄に納入するまでは、契約に基いて期間までに納入する間は、交通公社のいわゆる社金である、こういうような御説明があつたのでありますが、しかしながら私はそのような説明についてとうてい了解することができないのであります。御承知のように、国鉄交通公社との間に結ばれております契約書によつて見ますと、明らかに国鉄交通公社に対して業務の一部を委託する、代行せしめる、こういうことが契約書に書いてあるのであります。すなわち国鉄交通公社に対し摂して、国鉄乗車券販売委託しておる、こういうことになつておるのであります。ところがただいまの説明によりますと、あたかも交通公社国鉄との間のこのような乗車券契約関係が、売買であるかのごとき答弁をいたしておるのであります。民法上の売買でありますならば、当然国鉄交通公社に対しまして、乗車券を手渡しましたそのときに売買契約が成立いたします。しかして契約に基きまして、一箇月間なら一箇月間の後納制度を認めておるのでありますが、納期に至るまでのその一箇月間というものは、当然売買であるならば、あなたの言われるように債務でありましよう。しかしながら契約書によると、あくまでも委託販売であります。業務の一部を委託販売をいたすのでありまして、売買ではなくて、明らかに民法上の委託行為であると私は考えておるのであります。国鉄交通公社に対して切符を寄託しておる寄託者であります。交通公社国鉄から切符を得託されておる受託者であると私は考えておるのでありますが、この点についてあらためてお伺いいたしたいと思うのであります。
  9. 石井昭正

    石井説明員 私は交通公社国鉄との契約売買契約であるという意味で申し上げたのではございませんが、民法上の委託契約にはつきり該当するかどうかは別といたしまして、かりにそういう委託契約であるといたしましても、私どもとしては契約でもつて代金の納入についてそういうとりきめをいたしたことは、さしつかえないことではなかろうか。もちろん御趣旨を体しまして今後十分注意をいたすことは、先ほど申し上げた通りであります。御了承を願います。
  10. 中居英太郎

    中居委員 私は交通公社国鉄との間に結ばれております切符委託契約書と申しますか、その契約書に基いて交通公社が納入すべきところの金額国鉄に対して納入しているとかいないとか、そういう法的な問題を申し上げておるのではないのであります。従いまして国鉄といたしましても、納期まで契約書に書かれておる、その納期までに交通公社国鉄に対して委託切符代金というものを納入すれば、それは国鉄交通公社との間におきましては何ら問題はないと私は考えておるのであります。しかし私がお尋ねしておるのはその問題ではないのでありまして、交通公社国鉄から切符売買委託を受けておるのであります。従いましてこれが委託である限り、売り上げました代金というものはやはり管理業務の制約を受けると考えておるのでありまして、問題は交通公社自体切符売上げ代金処理性格にかかつておると考えておるのであります。その点を私はお尋ねしておるわけであります。ところが交通公社ではこの売り上げました切符代金というものを、平均しまして四十五日間延納、後納制度というものを認められておるわけでありますが、この金額は大体十億から十二、三億という金額に相なつておると考えておるのでありますが、この切符売上げ代金四十五日間の十数億というものは、国鉄から委託せられた売上げ代金として、交通公社は常に最善保全を考えておかなければならないということは、これまた当然の義務であろうと考えておるのであります。ところが交通公社経理を見ますと、この委託せられました乗車券販売代金十数億円の金額については、必ずしも最善保管が講ぜられていない。最善保管と申しますのは、常にその金が現金となりまして、あるいは銀行預金となりまして保管せられておることを、最も賢明な最善保管であると考えておるのでありますが、交通公社ではこの金を自己の資産に名儀をかえております。あるいは営利会社に対して出資しております。あるいはこのお金の中から雑誌ロマンスあるいは旺文社、こういうようなところに数億円の浮貸しをいたしまして、その金がすでに焦げついておる。回収不能の状態に立ち至つておる。これは決して委託物件売買による代金最善方法保管しておる姿ではないと私は考えるのでありますが、それらの点につきましての国鉄当局見解をお伺いしたいと思うのであります。
  11. 石井昭正

    石井説明員 御質問の点、私どもよく了解いたしましたが、たびたび当委員会で申し上げました通り、過去におきまして、御指摘のようにその金の保管と申しますか、そういうものにつきまして遺憾の点のあつたことは事実でございます。これはただいまから四、五年前のことになつております。その後私どもの方もこの点改めまして、また公社の方も経営内容を改善いたして参りまして、ただいまかような不始末の処理については誠心誠意努力いたしておるのであります。今後におきましても、契約面におきましても十分そういう保全方法について、できるだけ明瞭にいたして参りたい、かように考えておりますので御了承願います。
  12. 中居英太郎

    中居委員 この切符売上げ代金社金であるか公金であるか、あるいは交通公社国鉄との間に結ばれておる契約売買契約に基いてのものであるか、あるいは契約書に書いてあるような民法上の委託代行契約に基いておるものであるか、このことについてこの交通公社経理の実態というものは、大きなものになると私は考えておるのであります。今あなたが言われるように交通公社切符売上げ代金が、納期に至るまでは礼金の性格を持つておるものであるというのでありますならば、あなたの言われたような解釈、道義上の今後の監督ということで、この問題は解決できると思うのでありますが、私どもは決してこの切符売上げ代金というものは、売買契約に基くところの単なる債務ではないと考えておるのであります。これは委託行為によるところのあくまでも公金性格を持つておるものであると考えておるのでありますが、この公金であるか社金であるかという点につきまして、もう一度、あなた方のはつきりとした法的な見解を伺いたいと思うのであります。
  13. 石井昭正

    石井説明員 公金と申しますか、国鉄所有に属する金額であるかということにつきましては、先ほど申し上げました通りどものただいままでの考え方、またずつとやつて参りました慣行と申しますのは、一旦交通公社所有に帰しまして、これを一定の期間に引渡す債務を負つておるのだ、こういう内容契約ができておると申しておつたのであります。
  14. 中居英太郎

    中居委員 そういうことでありますと、この契約書はあくまでも売買性質を持つていなければ、そういう解釈は出ないと思うのであります。民法上の売買性格を持つた契約でないと、そういう解釈は出ないと思うのであります。ところがこの契約書によりますと、明らかに業務の一部を代行せしむる、こういうことになつているのです。従いまして、この契約書には、もしも交通公社国鉄から売買委託を受けておる切符が紛失した場合には、国鉄自体損失になるということが明示されておるのであります。これが売買でありますならば、交通公社の損害であります。ところが委託売買でありますから国鉄損失になる、こういうふうに明らかに読みとれるのであります。従いまして委託売買である限り、当然納期に至るまでの問もこれは国鉄の金である、こういう解釈を私どもつておるのでありまして、しかる場合には民法委任法律によりまして、委託金としての当然の保管義務が生ずる、こう考えておるわけであります。重ねてこの点についての見解を承ります
  15. 石井昭正

    石井説明員 私どもいわゆる民事上の契約は、契約内容によつてきまるのではなかろうかと思つております。従いまして売買あるいは、委託というふうにはつきりした定型的な契約でございまして、そこに別段の契約内容によつて民法規定と異なつた契約にすることも可能かと思つております。ただ現在の契約につきましては、定型的な民法契約にそのまま該当するかどうかという点も一つの問題でございますし、またこの売上げ代金引渡し方につきましては、契約内容につきまして先ほど申し上げましたようにきめられておる、こういうふうに解釈いたしておるわけでございます。
  16. 中居英太郎

    中居委員 そうすると、物件所有権の移動というものは、売買、入質、委託以外に何があるのでありますか。
  17. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 今のお尋ねは、売買だから売りました金は国有鉄道の金ではないだろうか、こういうお尋ねでございますけれども、これと同じような例はたくさん他の法律にございまして、たとえば所得税法で、支払い者給料を払うときに、給料をもらう人から源泉課税としてそれをとつておけ、あるいは通行税を払う場合に、運輸業者通行税を通行する人からとつておけ、こういう税法上の規定かございまして、今お尋ねの御趣旨でしたならば、それは国家の金、国庫の金だ、こういうお考えが出るべきはずなんでございますけれども所得税法では四十三条に、国税徴収の例によつて支払者から徴収する、国税徴収法第三条では他の債権に先立つて徴収する、他の債権というのは、ほかの債権と同じような国の債権である、こういうふうになつております。それから通行税でも、第十一条に、八条の例により徴収して納入すべき通行税を納付せざるときは徴収法の例により、その徴収義務者より徴収する、こういうふうになつておりまして、国税徴収法と同じように他の債権に先立つて、他の債権と同じ順位で、普通の債権であるけれども順位だけは先にとる、こういう規定になつておりまして、売買でありましても、あるいは委託でありましても、その契約内容によつて、その金が相手方の所有に属し、あるいは委託者所有に属する。これはきめ方いかんによつてきまるものでありまして、決して国有鉄道交通公社にございました切符か、委託業務であるからといつて、それがただちに国有鉄道の金になる、こういう結論には相ならないだろうと思うのであります。
  18. 中居英太郎

    中居委員 今の乗車券委託代金関連いたしまして、あなたは源泉徴収の金を引合いに出しましたが、あれは国家所有であつたものが、民間人に寄託されたものではないのです。民間人が納入すべき税金納期至つて民間人支払い義務国家に対して生じておるのです。その時期に至つて国家民間人から徴収する権利を生じておる。権利義務債務債権だけの関係です。これは所得税源泉徴収にしましても、あるいは入場税にしましても、もろもろの問題はそうです。ところが交通公社国鉄の問題は、切符代売代金というものは国鉄所有ですよ。券そのもの国鉄所有なんですよ。国鉄所有物件代売委託しておるだけなんです。われわれが納めるところの、いわゆる源泉徴収というものは、われわれの所有なんですよ。そうして納期にわれわれは支払い義務を生じておる。納期至つて国家はわれわれからとる権利を生じておる。権利義務債務債権だけの関係なのでありまして、これと同一立場でこの乗車券委託販売代金というものを見てもらつては当らない、私はこう思うわけであります。
  19. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 国税徴収法の例によるというのは、支払者国家にかわつて給料をもらう人から税金をとるのであつて税金をとられた給料所得者は、そこでもう国家税金を納めたと同一の効果を発生するのでございます。給料支払者は、それを本来ならば国家の金として、国家に対する保管義務を負うておるのが理論でございますけれども法律はそういうふうになつていなくて、給料をもらう人から税金をとつても、その関係においては国家払つた同一の効力を発生いたしますけれども、その給料支払者国家に対しては普通の債権を負う。こういうふうになつておるという御説明を申し上げたのでして、源泉課税を払う人と負う者との関係でなくて、そのまん中にある人のことをお話申し上げたのです。  それから売買だからといつて、ただちにその金が売主の金になるということは考え得られないので、問屋の場合も、問屋に物を売ることを頼んだ人は、問屋が売つた金がただちに自分のものだ、こういうことには相ならないと考えるのでございます。
  20. 中居英太郎

    中居委員 契約内容によるのだ。
  21. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 契約内容は、ごらんくださればおわかりになりますように、乗車券類委託販売、こういう契約になつております。
  22. 天野公義

    天野委員 関連して一点お伺いいたします。切符性格は一体どういう性質有価証券ですか。
  23. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 それは学説といたしまして、有価証券だという説と、そうでなくて運賃支払いの証書だという説と二つございます。われわれは有価証券だというふうに考えておりますけれども、多数の学者有価証券ではないという説で、たとえば東大の石井教授のごときは、それは有価証券ではないという説をとつております。われわれの方としては一応有価証券、ただ刑法上は、切符を改竄偽造した場合には有価証券偽造行使詐欺罪、こういうふうになつておりまして、民法上につきましては、学者間に相当議論がございます。
  24. 天野公義

    天野委員 そうすると、切符の有効となるのは一体どこで有効になるのですか。たとえば販売したときですか。それとも使用するときですか。それから金は入つていなくても、実際使用する場合には、その切符国鉄に乗れるわけですから、そういう関連性格を御説明願いたい。
  25. 鵜澤勝義

    鵜澤説明員 これも学者のうちに学説が三つございまして、乗車券を売つて日付を入れたときに運送契約が成立するという説と、改札をするときに運送契約が成立するという説と、それから乗車するときに運送契約が成立するという説になつております。判例は、市電の回数券につきましては乗車のとき、こういうふうになつておりまして、国有鉄道のように切符を売つて改札乗車、こういう段階を経ますものについては判例はございませんけれども国有鉄道といたしましては、切符を売つて日付を入れたときに運送契約が成立する、こういう説をとつております。
  26. 中居英太郎

    中居委員 どうも水かけ論になつたようでありますが、この契約書を読んでみますと、民法の十節に「委任」という節がありますが、この節をいろいろ国鉄の名称にかえまして、委任の節を契約書に書きかえた、こういうふうな内容であると私は読んでおります。従いまして、委任行為である限り、当然管理義務というものが交通公社には生じておる。先ほども申し上げましたように本数億円の切符売上げ代金というものは、常に最善方法において管理義務交通公社は背負わされておる、こういうふうに私は解釈しておるのであります。ところがこの十数億円の金というものが、どういう形によつて交通公社管理されておるか。これは私が申し上げるまでもなく、交通公社貸借対照表あるいは損益計算書、こういうものを見るとおわかりになると思うのでありますが、これらはほとんどすべて交通公社の名義の財産に肩がわりされておる。これは決して賢明な管理交通公社が行つていない、こういう証左になると私は思うのでありまして、この点につきましては今後とも私どもも大いに検討を加え、あるいは研究をして結論を出したいと思つておるのでありまするが、もう一点私は重ねて国鉄当局にお伺いしたいのであります。交通公社財団法人でしよう。この点につきまして伺いたい。
  27. 石井昭正

  28. 中居英太郎

    中居委員 財団法人であるといたしますると、交通公社というものは常利行為はできないと私は思うのであります。ところが先ほど申したような国鉄切符売上げ代金の十数億円という金額のうちから、交通公社日本観光株式会社であるとか何々ホテルであるとか、こういう営利目的とする商事会社、こういつたものに七千二百万円も出資しておる、こういうことは財団法人としての交通公社性格にもとるものではないか、こう考えるわけであります。私が調査いたしましたところによりますと、この七千二百万円の商事会社に対する出資金に対しまして約四百万円、あるいは多いときは六百五十万円程度のいわゆる配当金というものを受けておる。この事実は一体財団法人としての交通公社の存立の性格に、はたして合致しておるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
  29. 植田純一

    植田政府委員 公益法人としての監督しておる立場から申し上げます。確かにお話の通り財団法人でありまして、公益目的とする法人でございますが、その目的遂行のために事業を営むということに、公益目的とする本質に反しないというふうに解釈いたしておるわけであります。もちろんその営みます事業の種類や方法につきまして、法人の主たる目的、根本的な目的である公益事業遂行に支障を生ずるものであつてはならないと思いまするが、その主たる根本的な目的を達成するために必要な事業経営の資金を獲得するために事業を営むということは許されておるところである、かように解釈しておる次第でございます。
  30. 中居英太郎

    中居委員 私は交通公社そのものホテル経営するとか、そういつたことがいかぬと言うておるのではないのであります。その点につきましても問題はありますが、財団法人である交通公社自己財産相当部分を、営利目的として設立せられておる商事会社に出資して配当を受ける行為が、はたして財団法人としての性格を持つ交通公社のとるべき処置であるかどうかという点をお伺いしておるのであります。あなたの言われるように、大きな意味合いから日本観光事業あるいは交通公社の定めておる定款というものを広く解釈いたして、その他一般これに関連のある業務、こういうふうに抽象的な解釈を進めましてやるならば、際限ない話だと思うのであります。それは財団法人として、政府からあるいは法的に保護せられておる財団法人として性格に、必ずしも合致する方法ではない、こう考えておるわけでありますが、この点について重ねて伺います。
  31. 植田純一

    植田政府委員 財団法人はその法人目的を達成するために、事業経営の資金獲得の方法といたしまして、投資または融資の行為をいたすことについての問題でありますが、法人目的を阻害しない、つまり公益を害しない程度におきましては、この行為は許されるというふうに解釈いたしておる次第でございます。
  32. 中居英太郎

    中居委員 それではさらにもう一点つつ込んでお伺いしますが、財団法人法律の定めによりまして税金の課税対象になつていないこと、御承知でしようね。ところが交通公社は七千二百万円商事会社に出資いたしまして、多いときは六百万円、少いときで四百五十万円の利益配当を受けております。本来なら当然四百五十万ないし六百万円という利益配当に対しましては、所得税が課せられなければならない。法人税が課せられなければならない。ところが四百万ないし六百万という利益配当金も一緒にして、損益計算書をつくつておる。貸借対照表をつくつておる。そうして一銭も課税の対象にたつていない。こういうことは明らかに税法上の違法行為であると私は考えておるわけでありまするが、この点についてお伺いしたいと思います。
  33. 植田純一

    植田政府委員 税法上の問題につきまして、確かに所得税はとられないと思いますが、そのほか全般的な税法上の監督につきましては、十分所管の方面におきまして監督を受けておるわけでございまして、そういう点につき幸してはその筋におきまして十分監督を受けておる、かように信じております。
  34. 中居英太郎

    中居委員 所得税をとられないというよりは、財団法人はそういう行為を、やるべきものではないということが前提になつて財団法人というものをつくつておるわけであります。従つて税金の対象にならないわけであります。その財団法人営利会社に出資して配当金を受けておるということ自体が、すでに財団法人としての資格を喪失しておるものであろうと私は考えておるわけであります。この点につきまして、運輸省におきましても、国鉄当局におきましても、さらにこの交通公社内容、あるいは出資の状況、あるいは利益配当を受けて、それがどういうふうに損益計算書処理されておるか、こういうような問題、あるいは税金とそれから財団法人交通公社との関係、こういう点につきまして、さらに研究、検討を加えまして結論を出しておいていただきたい。この問題につきましては、後刻またあらためて皆様方から御回答を願いたいと思います。本日はこれにて私の質問を終ります。
  35. 關内正一

    關内委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  36. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。  次に、ビキ二環礁付近における爆発実験による日本漁船の被害事件につき質疑の通告かありますので、これを許します。青野武一君。
  37. 青野武一

    ○青野委員 私はこの前の運輸委員会で、ビキニ環礁付近におけるいわゆる爆発実験によつて、第五福竜丸の二十三名の乗員が、船体もろとも大きな被害を受けたことにつき、アメリカの申出、それから政府の基本的な対策、それらの点を御質問いたしましたが、そのときは、まだ公式な通告に接していないから御答弁できないということで、実は本日まで延び延びになつたのでありますが、私はちようど議運に関係を持つておりますが、二十五日以来議運におきましても、この爆発実験についての緊急質問が各党の代表者から通告があります。あるいは運輸委員会、予算委員会、その他法務委員会等でも取上げられているので、近く自由党から左右社会党に至るまで一人の代表者を送つて、この問題について、原子力の国際管理に関する決議案というものを各党一致でもつて、衆議院の本会議に出すことになつております。そういう関係で、これは国際的な非常に重要問題でございますので、ただいま申しましたように、アメリカ側の公式な通告、それから船あるいは被害を受けた二十三名の諸君のその後の病状の経過、聞くところによれば、二十三名のうちのある程度の人は、生命に非常な危険を感ずるような状態であるということも聞いております。その点、それから政府の基本的対策等について、外務省のアジア局長、厚生省の医務局長、その他水産庁、海上保安庁の関係の方がおいででございますから、一応それらの点に対しての政府の御答弁を願いたいと思うのであります。御答弁によりましては、二、三重要な点について御質問申し上げたいと思いますので、一応私の要求に基いて御答弁願いたいと思います。
  38. 中川融

    ○中川政府委員 第五福竜丸被災事件につきましては、政府といたしまして報告を受けましてすぐに、アメリカ大使館と連絡いたしまして、アメリカ側がどういう考えを持つておるか、つまりこれについてはこのようなことが今後起らないようにということと、なお被災者に対しまする補償の問題というようなことにつきまして申入れをしたのであります。アメリカ側におきましてもさつそく調査いたしまして、なお詳細な調査は日本側の、正式報告を待ち、またアメリカ側におきましても、この日本側の調査に関連いたしまして、さらに調査をした上でなければ問題は正式にはきまらぬわけでありますが、しかしアメリカといたしましてはさつそく去る十七日、アメリカ大使館において今回の災害につきましては十分の補償をする用意があるということを発表したのであります。なおその際はアメリカ政府の責任ということがはつきりすれば補償をするという発表でありましたが、その後その点につきましてアメリカ側はさらに一歩を進めまして、問題の第五福竜丸がいわゆる危険区域にあつたといなとを問わず、船員の損掛またその家族の人の生活保障ということにつきましては、中間的にでも補償を考慮する用意があることを重ねて声明しておるのであります。アメリカとの関係は大体このようでございますが、日本政府側といたしましては急遽罹災者の保護ということを講じまして、この方は主管官庁であります厚生省、あるいは研究という意味におきましては文部省、あるいは船という点からいいますれば農林省、水産庁という各関係当局が、それぞれ善後措置に目下尽力をしておるところでございます。問題といたしましては罹災者の治療という問題、また船をどうするかという問題、またアメリカに対して要求すべき補償額の算定という問題、今後の善後措置というような問題等があるわけでございます。これらいろいろの方面にわたる問題がありまして、主管官庁も多岐にわたりますので、この問題の処理を統一的に処理する必要があるという見地から、内閣に臨時に第五福竜丸事件善後措置に関する打合会というものを設けまして、国務大臣を長といたしまして、関係各省の事務次官がそれぞれ委員となり、対策を協議する態勢を整えておるのであります。  なお本件に関しましての米国側の基本的な考え方をごひろういたしますと、米国側といたしましては、本件につきましては深甚な遺憾の意を表しておるわけでございます。この患者の治療と、あるいはどうやつて治療するかということに関連するいろいろの調査というものは、日本側が行うものであるということは十分認識しております。しかしながらアメリカとしては、自分の方でも従来いろいろ研究調査した結果がありますから、これらの研究調査の結果につきましては、日本側が希望するならばいつでもこれを提供し、協力する用意があるという態勢をとつておるのであります。またその点にかんがみまして、アメリカ側から原子力委員会の専門権威でありますアイゼンバツド博士を派遣し、日本側に協力せしめるという態勢をとつておるのであります。以上概括的なことにつきまして、外務省から御報告いたす次第であります。
  39. 楠本正康

    ○楠本政府委員 厚生省の本事件に関してとりました処置の概要を申し上げまして、お答えにかえたいと存じます。  乗組員の治療の問題でございますが、すでに船内で発病いたしまして、十四日に焼津に参りましてただちに病院にかけつけたわけでございますが、当時は医者の方もとういうものか原因が突きとめられず、そのために若干の期間を遷延いたしましたが、その後一部の患者を東大に送つて精密な検査をした結果、原爆症であるということがはつきりいたしまして、ただちにその手当にかかつたわけであります。現在は二名が東大において治療を受けておりますほか、他の二十一名は現地の焼津の病院において治療を受けております。しかし何分にもこの疾患は総合的な診断、治療をいたす必要がありますので、近くこれら現地におります二十一名の患者もそれぞれ東京に来ていただきまして、完全な医療を実施する計画でございます。  なおこれらの患者の医療に要する経費の問題でありますが、とりあえずこれらの罹災者がたまたますべて船員保険の被保険者であつた関係で、すべて船員保険で給付をいたしております。なお船員保険がしばしば制限治療あるいは十分なることができないうらみがありますので、今回に限つてこれを大幅に解釈をいたしまして、できるだけの措置をとりたい所存でございます。なお東大等におきましては、研究費等の名におきましてその足らざるところを補う方法をとつております。  なお罹災者の家族の援護の問題でありますが、これも現在のところは四箇月間は俸給の全額が船員保険によつて支給されますので、さしたる不便もあるまいと考えております。但しこれらの問題につきましては、目下外務省ともいろいろ相談をいたしまして、しかるべき形においてアメリカ側から手厚い措置を私どもは期待をいたしておる次第でありまして、ただいま申しました経費の措置は、とりあえずのつなぎ的な意味に御解釈をいただきたいと存じます。  次にこれらの患者の予後の見通しでありますが、新聞等によりますれば、学者によつてもいろいろ意見が違つております。そこで一層国民に対していろいろな不安を与えておりますが、これは正直なところを申し上げまして、必ずしも治療の見通しが立たないということが事実であります。しかしながらこれらの医療の方法につきましては、たまたま厚生省に長崎及び広島の原爆事件以来、原爆症の調査研究協議会をを設けて、各学者の総合研究を実施いたしておりました関係で、今回の事件にかんがみましても、この協議会の組織を一瞬拡充いたしまして、治療方針の万全を期したい所存でございます。  次にもう一言申し上げたい点は、この漁獲の魚類の問題でありますが、福竜丸には約二千三百貫が漁獲されておりました。ところが発見が若干遅れ、私どもの出動が多少遷延いたしました結果、これがすでに各地に発送されたあとでありましたので、ただちにこれらの問題を迅速に各地に連絡をいたしまして、それらのうちおおむね大部分を荷受け機関あるいは問屋筋等にある間にこれを突きとめ得まして、幸いにも国民の品に入らずに済ますことができました。但しそのうちのきわめて一部、私どもは五十貫程度と考えておりますが、これがあるいは食膳に供されたのではなかろうかと心配をいたしております。  次に、その後なお続々とマーシャル諸地域からまぐろ船が国内に入つて参りますので、とりあえずこれを塩釜、築地、三崎、清水、焼津の五港に帰還を、農林省と相談をいたしてお願いをいたしまして、それぞれの港に国の検査官を派遣いたしまして、逐次帰還いたします船の乗組員の健康状態、被告の状況、あるいは漁獲魚類の安全度等について、精密な検査を実施し今日に至つております。現在まで百万貫余りの漁獲品及び百そうに近い船を検査いたしております。かようにいたしまして検査いたしました結果、漁獲品につきましては、それぞれ安全と思われるものにつきましては、国の検印をしまして、市販に供して、国民の不安の除去に努めておる次第であります。それから一方輸出まぐろにつきましては、今回の事件が外国に響きまして、キャンセルあるいはクレーム等の話も伝わつておりますので、特にアメリカからの申入れもありました関係で、急遽厚生省におきまして、輸出まぐろ及びカン詰の検査をして、現在まで計画通り輸出の出荷をいたしておる次第であります。以上お答えいたします。
  40. 岡井正男

    ○岡井政府委員 例の船は一応国で買い上げるということに相なりましたので、現在のところ焼津にあるあの船及び船の中にあるすべてのものにつきまして、漁具あるいは船員の使用物その他漏れなく一応水産庁といたしましては、従来のいろいろな慣習もございますので、関係業者に迷惑のかからないように十二分な検査をいたしまして、対策本部の方へ資料は提出しておるのでございます。なお出漁している現在の関係者などに対する十分の注意等は、各無電局を通じて行いましたし、国内の消費関係において、魚市場を中心にしてあるいは問屋、小売業者が非常な迷惑をこうむつたというような陳情もございましたが、ここ二、三日の模様ではずつとそれがおちつきまして、若干下まわつた値段ではありますが、取引はスムーズに行われているのが現状でございます。
  41. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 海上保安庁といたしましては、一番最初の遭難した地点がどこであつたかということが重要な問題であり卒したので、さつそく専門的な資料によりまして、いろいろ慎重に調査いたしましたところ、遭難の位置は北緯十一度五十三分四分の一、東経百六十六度三十五分四分の一というので、区域東方十九マイルというところにあつたということを当時発表したのであります。しかもこの検査いたしました男は非常に熟練の者でございますし、時計とかそのときの天候の状況、その他大体間違いないということで自信を持つて発表したわけでございます。その後のわれわれの方の関係といたしましては、現在焼津にあります船を、その後どうするかということで、これはきのうの委員会で大体研究の対象とするのに文部省で買い上げたらいいじやないかというふうに、まだ今研究しつつあるわけでありますが、そうなりますと、その後この船をどうするかということにつきましては、文部省中心で、なおわれわれの方も協力いたしまして、措置いたしたいと考えておるわけであります。
  42. 青野武一

    ○青野委員 二、三点大切な点をお伺いいたしますが、この前の前の運輸委員会で、私が外務政務次官に御質問いたしましたら、横田博士の学説によると、国際水路協定によつて、各国に原爆の実験をやるための危険区域を通告をした場合、その範囲内にあつたものは、どんな被害を受けてもとれは補償の必要ないといつたような学説があります。特に横田博士はそういうことを言つておりますということを、答弁の中で言われたのを私はここに控えてございますが、今の御説明を聞いてみますと、今回は危険区域内であろうと、外であろうと、それはアメリカの責任があれば、適当な補償をするというお話を今承りましたが、それで今回の点は臨時的な措置としてそれを了解することはできますが、では将来アメリカがこの水爆の実験をする場合、私どもがしろうと考えで聞いておるところによりますと、今までの原子爆弾に対して重水素を巻くことによつて、破裂力が大体五百倍から六百倍程度にふえる。今回の実験はアメリカ自身もどの程度の爆発力があるかということがわからないから、一つの水準をきめて、これだけの区画は危険区域といつて各国に通知をしたと思いますが、不幸にして日本の漁船が二十三名の乗組員を乗せながら危険区域外で遭難にあつている。そうすると将来こういつた原爆、水爆の実験が各所で行われる場合に、危険区域の中にあろうと、あるいは外にあろうと、大丈夫だという断定もできません。そういう際に、次から次にこういう原爆あるいは水爆の実験が行われるときに、日本のみでなく、そのほか外国の人々にも、そこを航行する、飛行機で飛ぶ、あるいは漁船、普通の船舶が航行する場合でも、被害を受けないということは保証できません。その点について今回は納得できますが、将来は一体どうするのか、これが日本の国民全体にとつて大きな一つの心配の種になつておると私は考えますが、区域内での被害は補償の義務はないというような学説もあるので、私自身もまだ迷つておるのですが、こういう点はどうするか。  それからもう一つ水産庁の代表者の御答弁によりますと、船は政府においてこれを買い上げる。なるほどいろいろな意味で買い上げることは適当な方法と思いますが、ではかわりの船をどうするか、船は買い上げる、買い上けた金で船をつくつたらよいじやないかということではなくして、最近まぐろやかつおが非常に売れなくたつたということ、それから第五福竜丸に積んでおつた二千三百貫のまぐろ、かつお等か、一部五十貫程度はさばけておつたけれども、あとは政府の機宜の処置によつて売ることをさしとめた。それで検査をしてみなければ十分とは言えないけれども、この点については、ある程度機宜の処置によつて食いとめて、五十貫程度は売つてしまつたあとでございますというお話でございました。この魚が売れなくなつた、その期間中こういう処分によつて相当の損害を受けた、それについての具体的な補償はアメリカがするのか、日本政府がするのか、たとえば被害者に対する医療費あるいは休んでおる間の給与手当、魚の値段の値下りあるいは売れなかつたことの補償、もし不幸にして死亡するというような場合がかりにあつたとすればどうするか、日本の基準法においては、大体給料の千日分ときまつております。しかしそれは基準法では千日分にきまつておりますけれども、もくせい号の避難の場合には、事実上一人の被害者が百三十万円もらつている。アメリカのトラックにひかれ、B29が墜落して家を焼かれ、人間が殺されたという場合は、やはり最高額百万円という標準がきまつている。こうした被害によつて死亡した場合には、その家族に対して一定の生活費あるいはその他、日本の労働基準法に匹敵するようか、どういう適当の処置が講ぜられるのであるか、また船は買い上げるだけでなく、代船としてどういう処置をとられるかということが、私は残された問題だと思いますので、今の四つ、五つの点についてのお答えを願いたいと思います。
  43. 中川融

    ○中川政府委員 第一の御質問でございますが、将来の実験の際に危険区域でないところに日本の船が行つた場合に、アメリカに補償の責任ありやなしやという御質問であつたのでございますが、アメリカは今回の被害状況にかんがみまして、危険区域を相当大きく広げたのであります。従つてその実験におきましては、今度広げました危険区域外では大丈夫という考えから広げたものであろうと思うのであります。従つて今度拡げました危険区域外におりますれば、一応安全と推定していいのであろうかと思います。政府としましては、今度広げます危険区域自体が、もう少し緩和できないであろうか、あるいはこれについて日本の漁業に支障を来した場合には、これを変更してくれないかというようなことをアメリカ側に交渉いたす考えでありますが、しかし一旦危険区域がきまりました上は、その危険区域内に入らないようにということを政府としては勧奨し、そういう措置をとりたいと思つております。危険区域に入りますれば、たとい補償をもらいましたところで、かけがえのない人命の損傷ということがあるわけでありまして、このような事態は発生せしめないようにしたいと考えております。そういう措置をとりながらも、なお危険区域に入つた船があつた場合に、被害があつたらどうするかということも、一応問題として考えられないことはないのでありますが、そのようなことにはしたくないと考えております。  第二の問題といたしまして、船の買上げの際に、それを代船建造に十分なだけの額で買い上げるか、あるいは現在の船の価値ということで買い上げるかという問題があるわけでありますが、この点は目下主務官庁として新しく指名されました文部省と大蔵省との間で相談することになつております。政府としましては、今の船主の方ができるだけ支障がなく、今後の操業ができるようにしたいという考えでおるわけでございます。  なおアメリカに要求する補償の金額、あるいはその限度をどのようにするかにつきましては、ただいまも御指摘のありました通り、損害額ということの最終的な算定はなかなかむずかしいのでありまして、たとえば今度の被害者の方が、一体何日間あるいは何箇月間入院しなければならないかということも、まだ実はわからないのでありまして、最終的な損害額の決定には、比較的時間がかかると思います。しかし、そのような最終的決定を待つておりましては困りますので、当座の補償ということを一応考えようということになつておるわけでありまして、この方はできるだけすみやかに一応の数字を出しまして、実施の運びにいたしたいと思つております。従つてその際の算定は、おそらく病院治療費は一日大体幾ら、あるいは留守家族の方の生計費一月幾らというようなことの算定から、今確定し得る分だけを確定してその補償を求める。それ以外の未確定の要素を含むものにつきましては、さらに引続いてその数字を確定いたしまして、アメリカと交渉することになるものと思います。なお直接の被害とは言えない、たとえば今度の事件によつて魚の市価が非常に下つたというようなことも、大きく言えば損害になるわけでありますが、これらのものが補償の対象になるかどうかということにつきましては、政府部内におきましても研究して、なおアメリカと交渉したいと思つております。直接な被害につきましての補償は明らかであります。これらの間接の被害が、はたしてどの程度まで認められるかいなやということ、は、今後折衝してみなければわからないところでございます。
  44. 青野武一

    ○青野委員 私のお尋ねについては大体御答弁ができたように思いますが、今交渉の過程にありましても、これは原爆の実験をしたことによつての損害、あるいは一つの現象として出て来た問題でございますので、これはむろんアメリカ側の日本国内におけるいろいろなあやまちによつて日本人を死亡させたとか、けがをさせたとかいう補償は、終戦処理費とかあるいは防衛分担金とかいうので今まで支払われて参りましたけれども、今度の問題は、日本政府が一時便宜上これらの被害者に対して生活上の関係から立てかえるということは認められるかもしれませんが、私は今入院しておる人とか、あるいは放射能をかぶつて治療しなければならないといつたような人々の病院における医療費、休業手当、あるいは魚が売れなかつたとか、魚の価格が非常に下つたとか、そういうものについての補償、その次に第二段階として、もし被害者が不幸にして死亡するような場合があれば、あとの家族の生活費をどうするかといつたようなことから、船の買上げ価格というようなものは、アメリカ政府がこれら一切のものを負担すべきであるという立場をとつて日本政府がしつかりした態度で交渉すべきであると私は思うのであります。私は専門家でもなく、学者でもございませんからわかりませんが、常識的に日本の国民が心配しておることは、世界で初めて広島と長崎に原子爆弾を落されて、一番悲惨な目にあつたのは日本民族であります。今度のは被害者の数が少くても、第三番目のものである。アメリカの原爆が生れてその実験台に上つたのも、この前の運輸委員会でも申しましたが、日本人だけである。ところで今度は新聞の報ずるところによれば、大体原子雲と申しますか、二十マイル程度の上空に上つたといつておりますが、広島の場合は非常に天気がよかつたので、成層圏に飛び込んで行つて被害がある程度食いとめられたという学説もあります。これがかりに天気の悪いところで三里か五里の上空の、たとえば五百メートルくらいの雲の中に放射能が飛び込んで、そのまま南方から日本に向つて風速五十メートルないしは二十メートルの風になつて日本の上空に飛んで来る場合には、一体日本民族は――その被害の程度はわかりませんが、どうなるのか。これが巷間至るところでうわさになつている中心であります。こういうものは、きようの議運でも大体話が出ると思いますが、衆議院の議院運営委員会では、すでに数日前からこの原爆実験に対する緊急質問ということが言われておるが、これは各委員会で言われておるから一応たな上げして、そのかわり自由党、改進党、社会党両派、その他の小会派も入れて、適当な代表者を立てて、原子力の国際管理に関する決議案を出して、日本の衆議院も参議院も一切含めて、国民の利益を守るために、そういう原子力は国際管理によるべきである。アメリカが自分かつてに南方方面で原爆の実験をすることによつて、よその国の国民に被害を与える。与えればわずかでも補償すればいい。幾らでも実験はするが、もし人に被害を与えたときには、適当な被害に対する補償をすればそれでいいのだという考え方では、原子爆弾などの実験はそう軽々にやるべきではないと思う。幸いに私どもは国際的にも主張し得る立場に立つておるのですから、こういう点についても将来のことを考え、これに対するはつきりした政府の基本的対策を立てて、その上に立つて強硬にアメリカ側と交渉していただかないと、国民の不安は決して一掃されないと思います。そういうような重要な問題を含んで、近く衆議院の本会議では各党の代表者によつて、その決議案がおそらく満場一致で決定せられる見通しでございます、そういうときにあたつて政府が弱腰でアメリカのごきげんを伺う程度で御無理ごもつともでは、この問題は片づいても将来に大きなしこりが残る。その点についてもう少し具体的に、補償の範囲は、これとこれとこれは当然アメリカ側が補償すべきものであるという立場に立つて政府は交渉しようと思いますという、もつと突き進んだ具体的なところをひとつお示しを願いたい。それからアメリカの将来における原爆の実験によつて、絶対に日本人に迷惑を及ぼさないというような確約を、この機会にとる必要があるのではないかと思いますが、これらの点についての政府側の御見解を承つておきたいと思います。
  45. 中川融

    ○中川政府委員 今回の実験によりまして日本のこうむりました被害につきましては、日本側として、原爆の実験に当りましたアメリカ政府に補償を要求することは当然と考えます。従いましてその被害と認むべきものの範囲ということが問題になるわけであります。これはでき得るだけ被害は補償してもらうという態度で進んで行くことはもちろんでございます。その際直接な被害と目すべきものは問題がないのでありますか、間接の被害、たとえば今度の事件によりまして魚の売行きが悪くなつて、魚の業者が損失をこうむつたというようなことを含み得るやいなやという点につきましては、たとえば先例であるとか、いろいろなものを研究しなければならぬと思いますので、ただいまのところまだ結論を出しておりません。しかしながらでき得るだけ実害は補償してもらうという方針で、これに当りたいということにはかわりはないのでございます。なお今後の実験にあたりまして、日本側に被害がないようにということを要求することは当然でありまして、この趣旨の交渉はすでにいたしております。政府といたしましても万全を期したいと思つております。  なお原子力を国際管理すべきであるというお説は、政府もまつたく同感でございまして、これには異存はないわけでございます。しかしながら国際管理と申しましても、世界に原子力を研究しておりますところはたくさんあるのでありまして、これらがみなそろつて国際管理に同意するというのでなければ、かえつて一方を利するのみということにもなるおそれがあるのであります。この問題はすでに御承知のように前戦争が終りまして以来、非常な重大な国際問題になつておりますが、いまだに両陣所がその点についての了解に到達していない状況でございます。しかしごく最近にも、またこの原子力管理の問題が世界の問題となりまして、そのための話合いもすでに開かれておるのでありまして、政府としてはできるだけこういう方向に進めるように努力をいたしたいと考えております。
  46. 青野武一

    ○青野委員 これは新聞に報ぜられておるところでございますから、正式に政府見解をこの運輸委員会を通じて承つておきたいと思いまするのは、日本学者が放射能の検査をやつておる場合に、大体一グラム見当の貴重な実験材料の灰を〇・五グラムずつわけて、非常に熱心に秘密裏に検査を進めておるということを聞いておりまするが、こういうことになると一番あわてるのはアメリカです。日本の優秀な学者の手によつて、詳細に分析をせられ、これが調べられて参りますと、勢いアメリカの原爆、それに重水素をまぜた水爆というものが、どういう性能でどういう程度のものであるかということが日本学者に握られるので、それを非常におそれておるのではないかと想像しております。そこで原子爆弾に関するところのアメリカ側の専門の学者日本に来て、共同の態勢でこれを調べようということになると思います。しかし被害を受けたのは日本人であるから、日本学者によつて、どの程度に被害を受けたか、ひどい病人は生命にどういう影響を持つておるか、こういうことを調べるには持つてこいの絶好の機会であると思うから、アメリカはもとより諸外国の干渉を絶対排して、日本の手によつて最後のとことんまでこれを検査し、調べ上げて行く態勢をとつても、とやかく言われる筋合いではないと思います。新聞の報ずるところでは、横須賀の方に福竜丸をまわしてくれ、アメリカの手によつて清掃するとか、検査するとか、消毒するとか言つております。今までの新聞の報ずるところでは、大体私どもは納得することができますが、はたしてどこまでそういう態度を堅持して行かれるか、非常に危惧するものであります。また原子兵器についてよだれを流しておるようなアメリカ以外の諸外国も、あらゆる手を尽してこの機密を握ろうとして暗躍しておるようなうわさもあるときですから、日本人が被害を受けたのだから、これは日本の学名によつて最後顧でこの研究を進めて行くというような態勢をとる必要があると思います。この点は、アメリカ側から公式にどういうふうな話合いが政府に申し入れられておるか。これは誤解があつてはなりませんから、この機会にひとつ公式の席上で政府側の見解を承つておきたいと思います。
  47. 中川融

    ○中川政府委員 今回の事件に関するアメリカ政府の基本的な態度ということは、先ほど御説明いたしたのでありますが、アメリカとしては、今回の災害に対する善後措置については日本側が当るということにはもとより異存はなく、当然なことと考えておるのであります。しかしながらその際に、日本としても今までこういう新しい原子力の問題についての研究は、あるいは最近はそういう機会があまりないというようなことで、アメリカ側の知識経験等を利用することが便利であるという事情もあろうかということで、そのような要求があればいつでも御用立てしたいということで、アメリカから学者等も呼んで来て、日本政府の要求があればいつでもこれに応ぜしめるという態勢をとつております。日本側においても、もちろんその好意的な申出を受けまして、すでに両国の学者の間での意見の交換ということは始まつておるわけであります。あくまでもこれは日本側の調査ないし治療というものに、アメリカ側が協力するという形になつておるのであります。なお日本学者がこの原子力の問題といいますか、こういう問題について調査することに対して、アメリカは決して反対も妨害もしていないのであります。アメリカのおそれておりますところは、これらの結果、あるいはこういう研究の材料というものが、現在の国際情勢におきまして、冷たい戦争といわれるものが行われておる際、反対の陣営の側にこれが流れるというようなことがないかという点は心配しておるところでありますが、日本自体はアメリカとの間に安全保障条約も結びまして、いわば共同防衛の体制をとつておりまして、さらに今回MSA協定等を結びまして、アメリカの最新式の兵器等も日本に貸与提供するということになつております。従つて日本について別段懸念はもちろん持つていないのでありますが、日本政府及び日本の国民がやはりこの国際情勢を考えて、反対の陣営の方に、そのような機密が出ることを防いでもらいたいということは希望として持つております。しかしいずれにせよ、正式の申出として来ておるものは一つもないのでありまして、新聞等にいろいろ伝えられておりまして、たとえば船を横須賀へ回航するというようなことも、これはもし日本側で希望すれば横須賀の軍事施設なり、あるいはさらにアメリカの病院施設なり、あるいはアメリカの飛行機なり、あらゆる施設を提供する用意があるということは非公式に申し出ておりますが、日本側が希望しなければそれまでのことでございます。以上御報告いたしておきます。
  48. 關内正一

    關内委員長 館俊三君。
  49. 館俊三

    ○館委員 さつき中川アジア局長の御答弁の中に、使用水面が非常に大きくなつたというお話がありましたが、どう考えてもこれは委任統治領の範囲を越えた広い海域をアメリカが専断に使うのでありますが、こういうことに対しては外務省としてはどういうふうにお考えになつておるか、これを簡単に承つておきたい。
  50. 中川融

    ○中川政府委員 アメリカ側が今回危険海域を非常に広げたことにつきましては、これがはたして国際法上許されることであるかどうかという議論が出て来ておるわけでございますが、公海をある国が何かの目的のために一時使用し、その際に危険を及ぼすことになる場合に、危険区域を指定するということは従来でもその例はあるわけでありまして、たとえば軍艦を使つて演習をするという際に、ほんとうに大砲のたまを撃つというようなことが従来もあるわけでありまして、その際はこれこれの区域はいつからいつまでは危険であるということの公示をして、その演習をするということは、日本におきましても戦前やつておつたことであります。また各国でもそういう例は非常に多いのでありまして、ただ今回の場合は非常に危険なる区域が広いということ、またその使用期間が相当長いという点に、従来と違つた要素があるわけでございますが、本質的にいいまして、これが国際法違反であると言い切れるかどうかは疑問があろうかと思います。この点につきましての法律解釈は今研究しておりますが、まだ結論に到達しておりません。しかしながら日本といたしましては、アメリカと防衛を共にするという態勢をとつております関係上、アメリカの軍事力の強化ということは、同時に日本の防衛力の強化ということになるわけでございますので、その目的のためにする軍事院の実験には、日本としてはできるだけ協力したい。支障を及ぼさないようにしたいということもまた日本として当えなければならないことでありまして、今回の防衛水域を広げたということにつきましては、ことに日本の漁船に対する支障をできるだけ少くするということによりまして、この間の調節をはかりたいというふうに考えております。
  51. 館俊三

    ○館委員 近く衆議院の各党がみな一致して原爆禁止の決議案を提出することになつて、これは当然決議されると思いますが、原爆禁止の決議案がきめられるという情勢のもとで、今四百五十マイルあるいは二百何十マイルにわたる水域をアメリカが専有して、また第二回目の水爆をやる。今の御意見では共同防衛をやつておる立場からは認めざるを得ないということをおつしやつたが、まだ決議案は出ておりませんけれども、禁止の決議をする本旨と、外務省の、そういう防衛協力態勢だから認めざるを得ないという立場が非常に齟齬するのですが、こういう考え方はどうですか。
  52. 中川融

    ○中川政府委員 近く衆議院で決議されます内容につきまして、われわれが承知しておりますところでは、原子力を国際管理にすべきであるということを聞いておるのでございますが、この点につきましては政府としてもとより異存はないのでありまして、国際管理という方向に進んで行くことは当然であります。またそういう決議がありますれば、これを関係国に伝達いたしまして、できるだけその実視に努力することもまた政府義務でございます。しかしながら国際管理というものはなかなか一朝にはできないものでございますので、それまでの間に、たとえば米国が原子力というものをなお研究し、さらに実験をするということを阻止すべきやいなやということは、慎重に考えなければならないところだろうと思います。国会の決議される内容を十分拝見いたしまして、さらに研究はいたしますけれども、やはり国際管理というものにはおのずからある程度の時間を要するものであるとわれわれは考えております。
  53. 館俊三

    ○館委員 さしあたつてまたこの五月か六月ごろに、三月一日の水爆よりももつと大きい実験をアメリカ側が行うことになつておるということを聞いておりますか、それはどういうことになりますか。実は三月一日の水爆被害さえも今のお話では判然としない。厳密に調査が行き届かない、腹が決定していないという状況のところへ、さらに、範囲を拡大してアメリカがもつと大きなものをやろうということについては、国民として非常な恐怖の感にとらわれる。三月一日の損害その他について、補償を請求するだけの範囲をどうしようということさえも嘱だきまつておらない。そういう際に引続きアメリカがもう一ぺんやるということになつておるのですが、それに対する外務省の措置はどうなつておるか。
  54. 中川融

    ○中川政府委員 アメリカがもう一回新兵器の実験をビキニの辺でやるということは、新聞報道として聞いておるのであります。正式にいつ、あるいはどういう実験をするというようなことの通報はございません。しかしながら危険区域を広げるという通告は正式に受けておるのでありまして、危険区域を広げ、六月三十日まで危険区域の期間を継続するということになつております。それから推察すれば、おそらくその間にさらに実験があるのではないかと考えるのであります。これにつきましては先ほど申し上げましたように、日本の主として漁船に対します支障をできるだけ少くするという方向で交渉いたしております。
  55. 館俊三

    ○館委員 外務省としては、この第二回の行われる水爆の実験に対して、アメリカに向つてこれを禁止しようという申入れをやつてしかるべきだと私は思うのです。被害の甚大なものを眼前に控えて、その跡始末もできていないで、なおかつ通知があつたら協力するという態度は、非常に私は弱腰だと思う。これは禁止すべきであつて、まず原爆そのものを禁止する。第二回目の水爆はさしあたつてアメリカをして禁止せしめるところの申入れをなすべきものであろうと思うが、そういう国民的な要請に対して、外務省はどうお考えになつておるか。
  56. 中川融

    ○中川政府委員 今後またするであろうところの実験を、少なくともしばらく延期したらどうかというお話もしばしば聞くのでありまして、これも理由は十分わかるのでございます。今回三月一日にありました実験のいろいろの結果、たとえばこれが水域にどのような影響を及ぼすか、あるいは中の魚類にどのような影響を及ぼすかというような調査は、なかなか急速に結論を出すのはむずかしいのではないかと考えております。と同時に、従来アメリカ側のすでに調査しました結果によりますれば、これは前からの実験の結果であろうと思いますが、いわゆる危険水城以外の水とか魚とかいうものには、危険な要素は発見されないということの通報は受けておるのでありまして、またこれらの日本の漁期は大体十月から三月までということになつております。従つてむしろ十月から三月までは実験はしないでもらいたいということは、われわれ申し入れたいと考えております。いろいろ考えますと、この際今日から、六月末までの間に予定されております実験を延期してくれということは、必ずしも適当ではないのじやないかと考えておりまして、今のところはそのような考えを持つておりません。しかしながら国会におきまして決議をされるということでありますれば、またその内容にかんがみまして、さらに検討はいたしたいと存じます。
  57. 館俊三

    ○館委員 国会が決議をすればそれに沿うてやるというような外務省の御意見ですけれども、国民の民意を察して外務省として立場をとるということを、もう少し積極的な立場でやつていただきたいと思います。  それからもう一つ聞いておきたいことは、初め政府はこの賠償を要求しないということを言つておつたのですが、今もその通りなんです。今お話を聞いておると、何か損害高が正確にわかつてから請求するという言葉を使つておるのですが、これはどういう言葉の使いわけなんですか。
  58. 中川融

    ○中川政府委員 損害の賠償を要求するということ、あるいは賠償というような形でなくて、補償するというようなこと、いろいろなやり方があるわけであります。今回の事件につきましては、アメリカ側かさつそく損害については補償する用意ありということを声明いたしておりますので、従つて賠償の要求という法律的な形をとらずに、補償という形で今回解決したいと考えて、そのような方向で進んでおります。     ―――――――――――――
  59. 關内正一

    關内委員長 次に国鉄の運営状況に関し、天野君より質疑の通告がありますが、質疑に入るに先立ちまして緊急を要する問題でありますので、この際委員長より当局にお尋ねしておきたいと存じます。  先日の本委員会におきまして、松浦委員より国鉄の貨物運賃割引に関する質問があつたのでありますが、国有鉄道よりこれに対する答弁がありましたが、この際委員長といたしまして重ねて政府並びに国有鉄道に対し、この問題の締めくくりの意味において質問をいたしたいと存じます。  国有鉄道の貨物運賃の割引は、沿革的にいろいろな理由に基いて行われておりまするが、この各種の割引のうち、三月末日をもつて一応の期限が来るものについて、国有鉄道において割引の中止、または割引率の引下げにつき、研究されているということであります。しかしながら運賃割引の中止または割引率の引下げは、とりもなおさずそれらの物資の運賃の値上げとなるわけでありまして、これは政府のとつておりまする緊縮政策なり、物価引下げ政策に反するものと言わなければなりません。従つてこの際はかかることは避けなければならぬと考えまするが、このことについて政府並びに国有鉄道の所見をお伺いしたいと存じます。
  60. 唐澤勲

    唐澤説明員 貨物運賃の割引の変更につきましては、先般の御質問等もあり、ただいまの委員長のお話もありまして、現在通り変更をいたさないことにいたすつもりでございます。
  61. 西村英一

    ○西村(英)政府委員 ただいま委員長から質問がありましたように、政府は低物価政策をとつておるのであります。貨物運賃の値上げはことに物価に影響がありますので、私たちもこの際は希望しておらないのであります。ただいまの問題点は総裁の権限内にありますことなので、直接運輸省といたしましてはどうこうということはありませんけれども、なるべく国有鉄道としては、貨物運賃の割引率につきましても、物価の影響のないように処置されることを指導いたしたい、かように考えております。
  62. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 過日来当委員会におきまして、貨物運賃の割引率の変更についていろいろな御意見がございました。ただいままた関内委員長から、いわゆる締めくくりの意味におきまして、政府の低物価政策の上からいいまして、そういうことを今やるという時期ではないのではないかという、まことにごもつともな御意見があつたのであります。私どもまつたく同感であります。従いまして、今ただちに貨物運賃の割引変更その他をいたすつもりはございません。現行通りに当分の間これをすえ置くつもりでございます。しかし経済の状態の変更に伴いまして、それらのことにつきましての研究は始終続けるつもりでございますが、現行のまま当分すえ置くつもりでございます。
  63. 天野公義

    天野委員 国鉄のいろいろな業務運営の中で、相当重大な部面を占めておるところの、財産管理の問題を主体といたしまして、総裁その他関係の方にお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、松井(豊)委員長代   理着席〕  国鉄財産というものは、これは国有財産に準ずるものである、このように考えられるのでありますが、国鉄の方では日本国有鉄道固定財産管理規程によつて管理されておると記憶いたすのであります。総裁はこの国鉄財産管理について、どういう方針で今日まで進まれて来たか、まずそれをお伺いしたいと存じます。
  64. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 日本国有鉄道財産がどういう法律的な性質のものであるかということにつきましては、その方の専門家をしてお答えさせます。しかしその財産管理についてどういう心持でやつておるのかという点だけ、私からお答え申し上げます。これはもとより国の財産でございまして、その国の財産の運営を日本国有鉄道という公法人にまかされておるものだろうと思うのであります。従いましてこれが管理につきましては、きわめて慎重なる見地から運営をしなくちやならぬということは論をまちません。ただこの財産管理について過日来いろいろ問題になりましたのは、財産の運営の本来の目的である運輸という面についても、もとより万全であるとは私は申し上げませんが、十分なる注意を払つて来たつもりでございますが、それをその主たる目的でない、いわゆる部外使用というような目的にも使わせた場合に、他人に使わせたという点についていろいろ手落ちのあつたことにつきまして、率直に私は皆さんの前に、この手落ちのあつたことを過日も申し上げたつもりでありますが、それを是正すべく、いわゆる民衆駅等に関する委員会、大阪、東京におきます土地その他物件に関する評価委員会、あるいは本庁内に臨時財産管理部という部を設けまして、専門にこれが整理に当らせておるというようなことでございまして、これが管理につきましては今後十分なる注意を払い、そしてでき得る限り正しい管理方法をとりたいということを考えておる次第であります。
  65. 天野公義

    天野委員 今臨時財産管理部とか民衆駅の何とやら、いろいろ総裁は言われましたけれども、そういう財産管理のいろいろな機関は、大体昨年の秋ごろ発足したと私ども了解しておりますが、どうでございましようか。
  66. 唐澤勲

    唐澤説明員 お話の通り去年の十一月であつたかと思います。
  67. 天野公義

    天野委員 財産管理というものが、国鉄の内部において非常にずさんであつた、過去において非常にずさんきわまるものでおつたということは、私の持つております資料によつて明瞭であります。すなわちどういう点にあるかといいますと、まず第一に、国鉄所有の土地建物の中で、国鉄の台帳になかつたものが相当あるわけであります。昨年の十一月ごろの調査によりますと、未承認の部分を除いて、土地において約五千七百六十五平米、建物において八百四十八平米もあるわけであります。どういうわけでこういう台帳の記載漏れというようなことが出て来るのでありましようか。
  68. 石井昭正

    石井説明員 これは一つには、戦争中から終戦にかけまして非常に仕事が粗雑に流れまして――戦争中は御承知のようにいろいろ被害もございますし、爆撃等もございます。あるいは人手の関係等においても、不熟練者が相当出て参つておるというようなこともございます。それから買収線―地方鉄道を戦争中に相当買収いたしましたが、これに伴う財産管理の手続等も、戦争中そのままになつてしまつたというようなものもあります。それからいま一つ、未承認という問題につきましては、農地法の関係がございまして、これを正式に承認いたしますと農地法の適用を受け、将来鉄道でただちにこの用地を使用しなければならぬという場合に紛議が起る。かえつて正式の手続をしない方がいいという当時の判断でやつておつたというようなものもあるようです。いろいろ原因がございます。非常に事務的な手不足、戦争中の整理がまだ完全に行き届かなかつたということも相当あつたと思います。
  69. 天野公義

    天野委員 去年は昭和二十八年、戦後八年間もそういうことの整理がされておらない、台帳の記載漏れがあるということは、国鉄の事務当局の怠慢を物語る何ものでもないと思います。さらに台帳と現場の面積が不つり合いであつたものが、千百三十八平米にも逃しておる。さらに施設部の台帳と経理部の台帳とが合つておらないというような点も相当にある。こういうような基本的な国鉄財産に対して帳簿が整理されておらなかつたということは、まことに怠慢といわざるを得ないわけです。総裁は総裁になつてから、こういうような基礎的なことをしつかり固めるように御指示なされたことがありますか。
  70. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私は追放中いろいろな角度からながめておりまして、そういう事情があるのではないかということを非常に懸念しておつた一人でございます。従いまして昨年私が就任いたし申したときからの機構改革の際に、そういうことを整理すべく、東京と大阪の局に特にそういう方面を担当する課を設けまして、そういう方向を十分に注意せなければならぬということを申したのでありますが、不幸にしてそれが十分実らない間にいろいろの問題が起きまして、当国会、当委員会等におきまして御注意を受けたような次第は、私ははなはだ遺憾に思います。今後におきましても、先ほど申しましたように臨時財産管理部というものをさらに本庁にも設けまして、これが十分なる整理をいたして行きたい考えでございます。
  71. 天野公義

    天野委員 それから未承認の土地でこれが使用されておる、いわゆる未承認使用の土地が非常に多いわけです。私の持つておる資料では三十四万二百八十七平米にも達しておる。これを非常に低廉な、現在の国鉄の年間使用料で計算しても大体五百五十万円。現在の物価に換算すれば二千万円ぐらいの収入は当然あると推定されるわけであります。こういう非常に厖大なる未承認使用の土地があるということは、一体どういうことを意味するのですか。
  72. 石井昭正

    石井説明員 これは先ほど申し上げましたように、一番大きな問題は結局農地法の関係でございまして、そういう観点で、新線の予定地等におきまして小作権が設定されますと、事実工事に着手いたしますときに不都合を生ずるというので、正式の契約を結ばなかつた。ところが実際土地がありますものですから、かつてに耕作などをいたす者ができて参つたというようなことが、大きな原因であろうと存じております。この点につきましては、まだ法的にもむずかしい問題もございますし、適当な解決方法はいろいろ研究しなければならぬだろうと思つております。
  73. 天野公義

    天野委員 そういう答弁でいいのですか。未承認の土地を端から端まで読み上げましようか。
  74. 石井昭正

    石井説明員 実は私担当でございませんので、はつきりしたお答えをいたしかねますが、担当の局長を呼んで参りますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  75. 天野公義

    天野委員 なるほど農地にひつかかつたものもございます。しかしながらそうでないところが大部分です。私の持つております資料では、一々書いたのがこれだけ細目にわたつてあるわけです。こういうようなことをお調べになつたことがありますか。
  76. 石井昭正

    石井説明員 ただいま担当の局長が参りますので……。
  77. 天野公義

    天野委員 それではこの問題は一応留保しておきます。  それから国鉄の用地ないし建物の転貸が非常に多いわけであります。こういうものについては一体どういう方針をとられておりますか。
  78. 唐澤勲

    唐澤説明員 土地や建物の転貸につきましては、いろいろな場合があると思いますが、原則としましては転貸をしてはいけないということになつておるのでございますが、たとえば当委員会でもよく問題になりました神戸付近のガード下の問題というような例について申し上げますと、当時戦争直後の混乱した時代でありまして、いわゆる不法占拠というようなものがあり、またそれらの関係からいろいろな人が入つて、転貸せられているといつたようなかつこうが起りましたり、それぞれいろいろな事情がございまして、そういう事実が起つておるのであります。私どもとしましては、今後それらの問題につきまして、正当なルートに乗るように努めておるわけでございます。
  79. 天野公義

    天野委員 この転貸に対して一体どういう具体的な措置をとつているか。一、二の例でもいいですから、ひとつ説明願いたい。
  80. 唐澤勲

    唐澤説明員 たとえば名義が甲に貸してあるのが乙になつておつたというふうな場合におきましては、甲を除いて乙と直接契約をする、こういうような措置を講じさせておるわけでございます。
  81. 天野公義

    天野委員 それではこの点はあとでお伺いするといたしまして、目的外使用に供せられている部分に対しては、どういう措置をとつておりますか。
  82. 唐澤勲

    唐澤説明員 この問題につきましても、私どもとしましては、戦争直後からのいろいろの混乱のため、あるいはこちらの人手の不足といいますか、いろいろな点で整理が十分行つてなかつたということについては、非常に遺憾であつたと思いまして、これを整理すべく鋭意努力しているわけでございますが、こういう問題は法律問題としましてはなかなかむずかしい問題でございますので、今後の問題につきましては、十分規程も整備し、その通り厳格にやるというかたい決意でおりますけれども、過去の問題につきましては、法律的にもたいへんむずかしい問題があると思います。それにつきましては、極力話合いでそこをどいてもらうとか、あるいは支障のない限りは、目的外使用でありましても、認めて行くという場合もあるかと思いますし、具体的な例について国鉄に損害のないように、また国鉄の上に支障のないように善処して行きたいと考えております。
  83. 天野公義

    天野委員 それならば一、二例を申し上げます。目的外使用の例として、栗橋駅における映画館の例でありますが、用地面積五百十三平米、埼玉県会議員の石井保外八名とともに、旧栗橋駅舎払下げ存置請願委員会というものをつくつて、静村の公民館を設置ずると称して、旧駅舎の払下げ及び用地使用承認を受けたわけでありますが、実際は承認後ただちに利根興業株式会社を設立して、常設映画館に改造して、現在営業いたしております。それから新宿駅構内では、鉄道弘済会が女子従業員の休憩室及び事務室というものをつくる目的で申請をして、認可を得たわけでございますが、現在はトンカツ屋とくつみがき屋とくだもの屋が営業しております。わずかな例でありますが、こういうのは一体どうするか。
  84. 唐澤勲

    唐澤説明員 そういう御指摘のような例があると思います。それも今言いましたような事情でございまして、極力整理すべく局にも申して、一つずつ片づけようとしておるわけでありますが、いわば既得権と申しますか、そういうことになつておりまして、法律上のいろいろの措置も構じなければならないかと思つております。一朝にはなかなか片づかないと思いますが、そういう問題につきましても、一つずつ折衝して片づけて行きたいと思います。
  85. 天野公義

    天野委員 目的外使用に供せられた場合には、行政権といいますか、そういうものは発動できないのですか。
  86. 唐澤勲

    唐澤説明員 契約内容その他具体的の場合でないとできないと思いますけれども、行政権を発動して、それを強制的にとりこわすなり、やめさせるということができるかどうか、まだ私たちは研究しておりません。
  87. 天野公義

    天野委員 非常にあいまいで、借りた者は借り得で、そんならば何に使つたつて国鉄から文句を言われないという結論のように考えますが、そのように考えていいですか。
  88. 唐澤勲

    唐澤説明員 借りたら借り得とか、そういつたような投げやりにするつもりは毛頭ございませんが、過去においてあまりにもそういう点が明確でなかつたので、今後におきましては指弾をされないような方向に持つて行きたい。また今後のものにつきましては、われわれの力の及ぶ限り、また法律を要するものは法律によりまして、これを軌道に乗せるように、最善の努力をしたいと思つております。
  89. 天野公義

    天野委員 そういうようなものがたくさんあるわけであります。そういうような土地ないしは旅物に対する使用料の算定方式は、一体どういうふうにされておりますか。
  90. 唐澤勲

    唐澤説明員 その前にちよつと先ほどの件を訂正いたします。民衆駅等運営委員会は十月一日、それから土地建物等評価委員会は十月一日から、臨時財産管理部の設置は十一月十九日でございますので、その点訂正いたします。  今の土地建物の評価につきましては、固定財産管理規程というものがございまして、これによりまして評価する方法をきめてあるのでございます。なおこれらが妥当であるかどうかということにつきましては、いろいろ先般来から問題にたり、国会におきましても御指摘を受けますし、また行政管理庁等のお話もございまして、今申し上げました土地建物等評価委員会において適正なる方法を講じてもらうようにしておるわけでございますが、原則としましては、近傍の正当なる価格ということを建前にしておるのでございまして、それらについて最近の実情に照して、妥当なものに改訂するようにというとりあえずの措置はそれぞれの機関に通達を出しまして、根本的の立て方がいかにあるべきかということにつきましては、今申しました土地建物等評価委員会において結論を出していただきたい、こういうふうに進めておるわけでございます。
  91. 天野公義

    天野委員 今まで簡単に要点をお伺いしただけでも、国鉄財産管理規程が忠実に実行されておらないという結論が明らかに出ておると思うが、こういう点について総裁はどう考えますか。
  92. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 まことにお説の通りであると思います。と申しますことは、私の感じておる点は、戦争中あるいは戦争後におきまする非常な混乱、それにかてて加えまして、日本国有鉄道の機構がまつたく前の姿とはかわりまして、いわゆる公共団体になつた。それからそれに付随しまして、各種の規則あるいは規程というようなものもかえられて来た。会計の取扱い方その他の点も非常な変革を来しておるように私は感ずるのであります。それらのものが非常に短日月の間に火急に行われ過ぎまして、その間にいろいろな混乱を生じたように感じます。いわばそういう新しい着物がまだ古い従業員諸君にぴつたりとしていないという点に、根本的に混乱の原因があろうかと私は存じております。従いまして、この公共企業体というまつたく新しいアメリカ流の着物を、どう着こなすかという点を、私は専心今後努めて行かなければならぬ重点であると考えます。御指摘のような問題は幾多あろうと存じますので、私としましては誠心誠意それらを片づけるべく、しかも新しい着物を着、新しいはき物をはきました姿でもつて片づけて行かなければならぬというところに、なかなか困難性があると思います。そういう着物でありましても、長年かかつて着こなしますと、たとえがいいか悪いか存じませんが、近ごろの日本の女の方の洋服の着方というものは非常にぴつたりして来た、これは一朝一夕ではなかつたと思います。私はちようどこれと同じようなものではないかというふうに考えておるのでありますが、なるべく早い時期にこれが着こなせるようにして行きたい、そういう感じであります。
  93. 天野公義

    天野委員 そんなのんびりしたことを言つては国民がたまらない。これはあとでゆつくりつつ込んで行きたいと思いますが、それでは土地建物等評価委員会が発足以来何回ぐらい会合して、いろいろな問題について議論されたのですか。
  94. 唐澤勲

    唐澤説明員 土地建物等評価委員会は、東京鉄道管理局と大阪の鉄道管理局の中に設けてございます。専門家を委嘱しまして熱心に研究していただいていると思います。回数その他ははつきりしておりませんが、近くいろいろな面の結論が出るやに聞いております。
  95. 天野公義

    天野委員 国鉄の土地建物を貸す場合に、非常に安過ぎるということが一番大きな問題なんです。それからもう一つは、使用料金に統一が見られない、非常に不統一である、こういう点にも問題があるわけであります。東京の例をとりますれば、上野の高架下になるわけでありますか、そこで住宅店舗の例をとれば、最高が一平米当り九百円、最低が三百十一円、工場、倉庫の場合には最高八百五十五円、最低二百四十二円、秋葉原の場合では、住宅、店舗の場合には最高二百五十四円、最低二百円、事務室の場合には最高五百八十一円、最低日七十円、また神田においては、十二百五円が住宅、店舗の最高で、最低は二百二十五円、事務室は千百二十三円が最高で、最低が二百十四円、東京駅では住宅、店舗の最高が千四百三十六円、最低が七十七円、事務室では千三百二十三円が最高で最低は二百十七円、こういうように非常に開きがあるわけです。こういうような同じところでこんな開きが出て来るのは、一体どういうわけでこんな開きが出るのですか。
  96. 唐澤勲

    唐澤説明員 この土地や建物の貸付に対しましては、あるいは工事事務所長がしている場合もあると思いますが、おもに管理局長かやつておるわけでございまして、その基準となりますのは、固定財産管理規程を基準にしてやつているわけでございます。これが先ほど申し上げましたように、原則として近傍の類似の難物なり場所なり、同じような条件のものに準じでやるというのが建前になつているわけでございます。そこで鉄道の貸付の建物なり場所なりは非常に複雑で、同じような条件ではない場合が多いのでございまして、それを近傍類似といいましても、なかなか的確なものさしがないじやないかというふうに考えられるわけでございます。また使用の目的とか事業性質等もあつたりいたしまして、なかなか一様に行かないというのが事実じやないかと思うのでございます。従つて今後の問題といたしましては、固定財産管理規程というものをはつきりいたしまして、すべて原価計算的にこれを計算しまして、そうまちまちにならない一つの基準をつくりたいということで、大体その案も、民衆駅等運営委員会に諮りましてできておるような次第であります。
  97. 天野公義

    天野委員 そういうようなわずかな金で貸しておきながら、この金の徴収状況が非常に悪いということは、資料によつても明瞭であります。その使用料の徴収について、どういう考え方で進もうという努力を国鉄としてされて参つたか、その点を一つお聞きしたい。
  98. 唐澤勲

    唐澤説明員 使用料につきましては、統制令などの関係もありまして、急に上らなかつたというような例もあるようでございますが、戦後におきましても、二度ほどは上げておるのでありますが、これらのものにつきましては、その場所が戦後急に繁昌したか、いろいろな周囲の事情で急に上つて、あるいは権利的に売買されるときには、非常に高値を呼ぶような場合もあるようでありますが、国鉄としましては、それに応じて急激にその通り動かすということが、はたして妥当であるかどうか、あるいはそこに入つて、そこが繁昌して来たというようにな弘ば、それによる土地なり建物というものの値上り分を、そのまますぐ国鉄の方でとるということもどうかというような問題もあつたりしまして、非常にむずかしい問題だろうと思うのでございます。いずれにしましても、先ほど言いましたように値段につきましては、土地建物等評価委員会で、一般の標準のみならず、おもなるところについては、具体的に検討してもらいたいということでお願いしているわけでございます。  それから徴収の問題につきましては、いろいろ手落ちがあつたりして、十分に行つておらなかつたところがあることは確かでございまして、これにつきましては再三局長等にも通知を出しまして、その徴収方について具体的に折衝させ、私の方の予算面においても相当の増収を期待しているわけでございます。実際問題としては、個々の交渉ということになると思いますが、それが実際事業の不振等によつて納められないというような場合でありましたならば、具体的に納入の計画を立てさせるとかの措置をとりまして、極力その徴収を確実ならしめるということに努力している次第であります。
  99. 天野公義

    天野委員 土地建物等評価委員会が、万能の委員会のように承れるのですが、この間発足したばかりの委員会で、これはこれからの問題を多く処理して行くので、今までの滞納その他については、それでは一体どういうふうにやつおられるのですか。
  100. 唐澤勲

    唐澤説明員 お説の通り、評価委員会等における問題はこれからの問題で、今後における契約等の標準をきめることが目的で、それによつて順次契約の改訂というようなことをして、妥当なものにするということでございます。過去の問題につきましては、これは実際非常にむずかしい権利、権限の関係等いろいろあると思うのでございますが、少くとも契約その他によつて当然納められるものが納まつていないという問題につきましては、当然話合いなり何なりによつてとるとか、あるいは適当な法の執行によつて回収するとかいう方法があると思う。あらゆる手段を尽して回収するようにしたいと思つております。
  101. 天野公義

    天野委員 土地建物に対する使用料金が非常に遅延していることは、資料によつても明瞭であります。今までの国鉄は、土地を借りてしまえば金はもういつでもいいのじやないか、建物も借りてしまえば期限なんかいつでもいいのじやないかという考え方が非常に強かつたのじやないか。そういうこまかいことを怠る考え方が大きくなれば、交通公社代売金の遅延ということにもなるし、また日通の金が遅れてもこれを知らぬ顔をしておる、こういう大きな面にすぐつながつて来ると考えられるのであります。日通なり交通公社の問題は先般から非常に問題になつておりますからこの際触れませんけれども、今度はもつと小さな、運賃その他のいろいろな面において遅れているものがたくさんあるわけであります。ここに例をあげますれば、岩手開発鉄道、南部鉄道、十和田鉄道、北陸鉄道、富山地方鉄道、加越鉄遊、京福電鉄、有田鉄道、御坊臨港鉄道、和歌山鉄道、出雲鉄道、島根鉄道、防石鉄道、南薩鉄道、島原鉄道、この十五社でわずか半年くらいの間に、一億三千百三十七万円も未収となつている。それから昭和二十七年度の会計検査院で調べたものにも、貨物後払運賃の徴収処置当を得ないものという項目で、日本運送株式会社、富士倉庫運輸、丸二運輸、名古屋通運、北陸通運、高岡通運、高知通運、牟岐線通運、こういうようなところで一億三千九十六万円滞納をしている。こういうような滞納が非常に多いということは、金を出してしまえばそれでいいのじやないかという考え方が非常に強い一つの現われじやないかと思うのですが、この点どうなんでございましようか。
  102. 唐澤勲

    唐澤説明員 私設鉄道との連絡運輸をいたしまして、その精算において国鉄が取り分になつているものが規程通りつておらないという問題、それから運送店の貨物運賃の後払いについて滞納したという問題でございますが、これにつきましてはどうしても、極力早くこれをとるようにということで努力はいたしておのますが、今のお話のようにとるべきものもどうでもいいしいうような、そんな気持は毛頭持つておるわけではございません。ことに私設鉄道の問題につきましては、お互いにこちらから払う分と、向うからもらう分といろいろありまして、その精算の結果、こちらで取り分はとるということになつておるのでござといますが、その計算の結果、こちらの分が多い取り分がある、それをそのままにしているうちにまたそういうものが来るということで、たまつて来たものが非常に多いわけでございます。これらにつきましては、一挙に弧制的な執行をするということは、まあいわば同じような交通運輸をし、公共の仕事をしている会社に、急激な打撃を与えるというような点もありまして、そうなかなか簡単にも行かないと思うのでありますが、しかし長きにわたつてしかもそういう滞納をしておるということは、私どもとしてきわめて遺憾でございますので、これにつきましては、はつきりした償還計画を立てさせるというようなことをいたしまして、個々に折衝し、漸次よい方に向つていると信じております。またこの貨物の後払いの関係につきましても、御承知のように、いわゆる複数制といいますか、新しい免許店ができまして以来、主としてその新しい免許店の方にそういう滞納のものが出て来ておるようなわけでありまして、これらにつきましてもやはり急激にそれを取り尽してしまうというようなことまで行くことがいいかどうか、再起の見込みがないものなら、それもやむを得ないけれども、できるだけその仕事を続けながら償還をさして行くという方法がいいというふうに感じまして、一つ一つにつきましてその償還計画を立てさせて納めさせているのでありますが、なお後払い制度全体につきまして、そういう事態が起らない制度を講ずべきであるということで、制度的な問題は今研究しているような次第でございます。
  103. 天野公義

    天野委員 次会に継続してもう少しゆつくりやりますから、保留して、きようはこの程度にしておきます。
  104. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員長代理 本日はこれにてとどめ、来週火曜日十時に開会いたします。きようはこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会