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1954-03-23 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十三日(火曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       徳安 實藏君    南條 徳男君       臼井 莊一君    松浦周太郎君       楯 兼次郎君    正木  清君       中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (港湾局長)  黒田 靜夫君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 三月二十日  港湾法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇七号)(予) 同日  セトセ部落地内鉄道用地牧野払下げに関する請  願(椎熊三郎紹介)(第三六九三号)  戦傷病者国鉄無賃乗車復活に関する請願(今  村忠助紹介)(第三六九四号)  同(池田清志紹介)(第三六九五号)  国鉄関門トンネル通過による貨物運賃加算率廃  止に関する請願吉武惠市君外二名紹介)(第  三七六六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十九日  自動車賠償保障制度実施促進等に関する陳情書  (第二一一八号)  紀勢線全通工事促進に関する陳情書  (第二一一九号)  四国循環鉄道建設促進に関する陳情書  (第二一二〇号)  鹿児島県下の国鉄新線の建設費確保に関する陳  情書(第二一  二一号)  木造船事業保護育成に関する陳情書  (第二一二二号) 同月二十二日  西日本と東京をつなぐ国鉄特別急行列車の運行  に関する陳情書  (第二一八〇号)  国鉄貨車緊急増備に関する陳情書  (  第二一八一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸省設置法の一部を改正する等の法律案内閣提出第一〇二号)  航空法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇三号)  港湾法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇七号)(予)  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより開会いたします。  港湾法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。石井運輸大臣。     —————————————  港湾法の一部を改正する法律案   港湾法の一部を改正する法律  港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の一部を次のように改正する。  第二条第五項中「左に掲げる施設」を「第一号から第十一号までに掲げる施設並びに港湾の利用に必要な第十二号及び第十三号に掲げる施設」に改める。  第二条第五項第六号中「軌道走行式荷役機械」の下に「積荷さばき地」を加える。  第二条第五項第九号中「給炭施設」の下に「(港湾役務提供用船舶を除く。)」を加え、同項第十号を第十一号とし、同項第九号の次に次の一号を加える。  十 港湾厚生施設 船舶乗組員及び港湾労務者休泊所及び診療所  第二条第九項に次の二号を加える。  十二 移動式施設 移動式荷役機械及び移動式旅客乗降用施設  十三 港湾役務提供用船舶 船舶の離着岸を補助するための船舶並びに船舶のための給水、給油及び給炭の用に供する船舶  第二条第六項中「前項各号」を「前項第一号から第十一号まで」に改める。  第六条第一項第十一号の次に次の一号を加える。  十二 解散に関する事項  第十条を次のように改める。  (解散)  第十条 港務局の解散は、第四条第四項各号の区分により、運輸大臣又は都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。  第十二条第一項第一号中「港湾区域及び」を「港湾区域港湾区域に隣接する地域及び」に改め、同項第三号の次に次の一号を加える。   三の二 前号に掲げるものの外、港湾区域内又は臨港地区内における水面の埋立、盛土、整地等による土地の造成又は整備を行うこと。   第十二条第一項第四号の次に次の一号を加える。  四の二 水域施設の使用に関し必要な規制を行うこと。  第十三条第四項の次に次の一項を加える。  5 港湾局は、運輸省令で定めるところにより、その管理する海湾施設の概要を公示しなければならない。   第十三条の次に次の一条を加える。  (規程)  第十二条の二 港務局は、法令又は当該港務局を組織する地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規程を定めることができる。  第十八条第一項但書を削る。  第三十一条第一項を次のように改める。   委員会の議事は、全委員の過半数で決する。  第二十三条第二項中第十六条第三項」の下に「、第十七条」を加え、同項を同条第三項とし、一項の次に次の一項を加える。  2 監事は、委員を兼ねることができない。  第二十三条第一項を次のように改める。   委員長は、港務局を代表し、港務局の長としてその業務を総理するとともに、法令又は第四十五条の二の条例によりその権限に属せしめられた港湾の開発、利用及び管理に関する事務を行う。  第一十五条第二項の次に次の一項を加える。  3 港湾管理者としての地方公共団体は、第一項の委員会を設置したときは、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。   第三十七条第一項を次のように改める。   港湾区域内において又は港湾区域に隣接する地域であつて港湾管理者の長が指定する区域(以下「港湾隣接地域」という。)内において、左の各号の一に掲げる行為をしようとする者は、港湾管理者の長の許可を受けなければならない。但し、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条の規定による免許を受けた者が免許に係る水域についてこれらの行為をする場合は、この限りでない。  一 港湾区域内の水域(政令で定めるその上空及び水底の区域を含む。以下本条中同じ。)又は公共空地占用  二 港湾区域内の水域又は公共空地における土砂の採取  三 水域施設外かく施設けい留施設、運河、用水きよ又は排水きよの建設又は改良(第一号の占用を伴うものを除く。)  四 前各号に掲げるものを除き、港湾の開発、利用又は管理に著しく支障を与えるおそれのある政令で定める行為  第三十七条第二項中「建設若しくは工事占用又は採取」を「行為」に、「許可をしてはならない。」を「許可をしてはならず、また、政令で定める場合を除き、港湾管理者管理する水域施設について同項第一号の水域の占用又は同項第四号の行為の許可をしてはならない。」に改める。  第三十七条第三項中「又は日本電信電話公社」を「、日本電信電話公社又は地方公共団体」に、「建設若しくは工事占用又は採取」を「行為」に改め、同条第四項を次のように改める。  4 港湾管理者の長は、港湾区域内の水域又は公共空地に係る第一項第一号又は第二号の許可を受けた者から占用料又は土砂採取料徴収することができる。但し、前項規定する者の協議に係るものについては、この限りでない。  第三十七条第五項中「前項水域占用料又は土砂採取料」を「第四項の占用料土砂採取料又は前項過怠金」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。  5 港湾管理者の長は、規則又は港務局委員会委員長の定めるところにより、詐偽その他不正の行為により、前項占用料又は土砂採取料徴収を免かれた者からその徴収を免かれた金額の五倍に相当する金額以下の過怠金徴収することができる。  第三十七条の二を第三十七条の三とし、同条に見出しとして「(許可の取消等)」を加え、同条中「前条」を「第三十七条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。  2 港湾管理者の長は、第三十七条第一項の許可を受けなければならない行為を許可を受けないでした者に対し、その設置した施設の改築、移転若しくは撤去又は原状の回復を命ずることができる。  第三十七条の次に次の一条を加える。  (港湾隣接地域)  第三十七条の三  前条第一項の規定による港湾隣接地域の指定は、港湾区域外百メートル以内の地域内の区域について、当該港湾区域及び港湾区域に隣接する地域を保全するため必要な最小限度の範囲でしなければならない。  2 港湾管理者の長は、港湾隣接地域を指定しようとするときは、あらかじめ期日、場所及び指定しようとする地域を公告して、公聴会を開き、当該地域利害関係を有する者にその指定に関する意見を述べる機会を与えなければならない。港湾隣接地域を変更しようとするときも同様である。  3 港湾管理者の長は、港湾隣接地域の指定をしたときは、その旨を運輸大臣に報告しなければならない。  第四十条第一項中「建設してはならない。」を「建設してはならず、また、建築物その他の構築物を改築し、又はその用途を変更して当該条例で定める構築物としてはならない。」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。  3第一項の地方公共団体は、条例で、同項の規定に違反した者に対し、五万円以下の罰金を科する旨の規定を設けることができる。  第四十条の次に次の一条を加える。  (違反構築物に対する措置)  第四十条の二  港湾管理者の長は、前条第一項の規定に違反して建設され、又は改築若しくは用途の変更により同項の条例で定める構築物となつた建築物その他の構築物については、その所有者又は占有者に対し、当該構築物の撤去、移転若しくは改築又は用途の変更をすべきことを命ずることができる。  2 港湾管理者の長は、前項の命令をしようとするときは、その命令に係る者に対し、あらかじめ期日、場所及び命令をしようとする事項を通知して、聴聞をしなければならない。  3 聴聞に際しては、当該命令に係る者その他の利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。  第四十一条第一項中「前条」を「第四十条第一項」に改め、同条第二項を次のように改める。  2 前条第二項及び第三項の規定は、港湾管理者の長が前項の命令をしようとする場合に準用する。  第四十二条第五項中「第十七条第一項」を「第十七条」に改め、同項の次に次の四項を加える。  6 港湾管理者が第一項から第三項までの規定により国の負担金の交付を受けて港湾工事をする場合には、これらの規定に定める工事に要する費用は、政令で定めるところにより、港湾管理者当該工事のために支出した金額とする。  7 運輸大臣は、第一項から第三項までの規定により国が港湾管理者の行う工事に要する費用を負担する場合において、その負担金に千円未満の端数を生じたときは、政令で定めるところにより、その端数を切り捨てた額又はこれを切り上げて千円とした額を国の負担金とすることができる。  8第一項から第三項までの規定により国の負担金の交付を受けて港湾管理者がした工事が完了した場合において、材料その他の物件が残存するときは、港湾管理は、当該物件を第一項から第三項までの規定によりその工事に要する費用を国が負担することができる他の工事及び政令で定める工事以外の目的に使用してはならない。  9 港湾管理者は、前項規定に違反して当該物件を使用したとき、又は当該物件を処分したときは、当該物件運輸省令で定める方法によつて金銭に換算した価額(当該物件を処分した場合において処分金額当該価額をこえるときはその処分金額)に第一項から第三項までに規定する国の負担率を乗じた金額を国庫に納付しなければならない。  第四十三条に次の一項を加える。  2 前条第六項、第八項及び第九項の規定は、前項規定により国の補助金の交付を受けて港湾管理者がした港湾工事の費用及び工事が完了した場合における残存物件の処理に関して準用する。この場合において、同条第六項及び第八項中「第一項から第三項まで」とあるのは「前項」と、同条第九項中「第一項から第三項までに規定する国の負担率」とあるのは「前項規定により国が補助した率」と読み替えるものとする。  第四十三条の三を次のように改める。  (原因者の負担)  第四十三条の三 港湾管理者は、港湾管理者以外の者の行う工事又は行為により必要を生じた港湾工事の費用については、その必要を生じさせた限度において、その必要を生じさせた者に費用の全部又は一部を負担させることができる。  2 前項の場合において、負担金徴収を受ける者の範囲及びその徴収の方法については、港湾管理者としての地方公共団体港湾管理者港務局である場合には港務局を組織する地方公共団体のうち定款で定めるもの)の条例で定める。  3 地方自治法第二百十七条第三項及び第四項の規定は、前項の条例について準用する。  第四十三条の四に次の一項を加える。  2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。第四十四条第一項中「料金」の下に又次条第一項の入港料を除く。)」を加え、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項中「違反すると認めるときはこの下に「その施行の日までに、」を加え、同項を第三項とし、同条第三項を第四項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。  2 港湾管理者は、水域施設(泊地を除く。)又は外かく施設の利用に対し、前項の料金を徴収することができない。  第四十四条に次の一項を加える。  5 港務局は、第十二条の二の規程の定めるところにより、詐偽その他不正の行為により第一項の料金の徴収を免かれた者からその徴収を免かれた金額の五倍に相当する金額以下の過怠金徴収することができる。  第四十四条の次に次の二条を加える。  (入港料)  第四十四条の二 港湾管理者は、当該港湾に入港する船舶から、当該港湾の利用につき入港料徴収することができる。但し、警備救難に従事する船舶、鉄道連絡船、海象又は気象の観測に従事する船舶、漁業監視船その他政令で定める船舶については、入港料徴収することができない。  2 政令で定める重要港湾港湾管理者は、前項入港料徴収しようとするときは、料率を定めて、運輸大臣の認可を受けなければならない。その料率を変更しようとするときも同様である。  3 前条第一項、第三項及び第四項の規定は、前項港湾管理者以外の港湾管理者徴収する入港料に、前条第五項の規定は、港務局徴収する入港料に関して準用する。  (滞納処分)  第四十四条の三 地方自治法第二百二十五条第一項、第三項及び第四項の規定は、入港料その他の料金、過怠金その他港務局の収入に関して準用する。この場合において、同条第三項中「条例」とあるのは「港湾法第十二条の二の規程」と読み替えるものとする。  2 前項の収入並びに同項において準用する地方自治法第二百二十五条第三項の規定による手数料及び延滞金は、国及び地方公共団体徴収金に次いで先取特権を有し、その時効については地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十四条の規定を、その取扱については同法第十七条及び第十八条の規定を準用する。  3 第一項において準用する地方自治法第二百二十五条第三項の規程は、港湾局を組織する地方公共団体の議会の承認を受けなければ、その効力を生じない。  第四十五条の次に次の一条を加える。  (事務の委任)  第四十五条の二 港務局を組織する地方公共団体は、条例で定めるところにより、港湾の利用及び管理に関する事務当該地方公共団体公共事務及び法律又は政令により当該地方公共団体に属する事務を除く。)を港湾局委員会委員長に委任することができる。  第四十六条第一項中「この法律により」を「港湾管理者は、」に、「若しくは貸し付けようとする者は、」を「又は貸し付けようとするときは、」に改める。  第五十二条第二項を次のように改める。  2 第四十二条第一項から第三項まで及び第五項から第七項までの規定は、前項規定により運輸大臣がする港湾工事の費用及びその負担について準用する。この場合において、同条第五項中「第十七条及び第十九条第一項」とあるのは「第十七条の二第一項及び第十九条第二項」と、第四十二条第六項中「港湾管理者」とあるのは「国」と、「第一項から第三項までの規定により国の負担金の交付を受けて」とあるのは「前項規定により」と、同条第七項中「国」とあるのは「港湾管理者」と、「港湾管理者」とあるのは「国」と読み替えるものとする。  第五十五条第二項に後段として次のように加える。  この場合において、第五十三条後段中「港湾管理者」とあるのは「港湾管理者としての地方公共団体当該地方公共団体地方自治法第二百八十四条第一項の地方公共団体である場合には当該地方公共団体を組織する地方公共団体)又は港務局を組織する地方公共団体」と読み替えるものとする。  第五十五条の次に次の四条を加える。  (他人の土地への立入)  第五十五条の二 運輸大臣又は港湾管理者は、港湾工事のための調査又は測量を行うためやむを得ない必要があるときは、その業務に従事する職員を他人の土地に立ち入らせることができる。  2 運輸大臣又は港湾管理者は、前項規定によりその職員を他人の土地に立ち入らせようとするときは、その五日前までに、その土地所有者又は占有者にその旨を通知しなければならない。但し、これらの考に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。  3 第一項の立入は、所有者又は占有者の承諾があつた場合を除き、日出前及び日没後においては、してはならない。  4 第一項の職員は、同項の規定により他人の土地に立ち入る場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。   (非常災害の場合における土地の一時使用等)  第五十五条の三 港湾管理者は、非常災害による港湾施設に対する緊急の危険を防止するためやむを得ない必要があるときは、その現場に居る者若しくはその附近に居住する者に対し防ぎよに従事すべきことを命じ、又はその現場において、他人の土地を一時使用し、若しくは土石、竹木その他の物件を使用し、収用し、若しくは処分することができる。  (損失の補償)  第五十五条の四 国又は港湾管理者は、前二条の規定による行為より損失を受けた者に対し、その損失を補償しなければならない。  2 第四十一条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。(港湾工事に伴う工事の費用の補償)  第五十五条の五 運輸大臣又は港湾管理者の行う港湾工事の結果、港湾管理者以外の者に工事の必要を生じさせた場合においては、国又は港湾管理者は、政令で定めるところにより、その必要を生じさせた限度において、その費用の全部又は一部を補償しなければならない。  2 第四十一条第四項の規定は、前項の場合に準用する。  第五十八条第二項中「(大正十年法律第五十七号)」を削る。  第五十九条を次のように改める。  (行政事件訴訟特例法等の適用)  第五十九条 港務局管理する一般公衆の利用に供する港湾施設に関する公共団体管理する公共用土地物件の使用に関する法律(大正三年法律第三十七号)の適用については、港湾局委員会委員長は、行政庁とみなす。  2 第三十七条の三、第四十条の二第一項及び第四十一条第一項の命令、前条第二項の規定に基く公有水面埋立法による職権の行使並びに公共団体管理する公共用土地物件の使用に関する法律第一条の命令に関する行政代執行法(昭和三十三年法律第四十三号)の適用については、港湾局委員会委員長は、行政庁とみなす。  3 第三十七条第一項の許可、同条第四項の占用料及び土砂採取料徴収、同条第五項の過怠金徴収、第三十七条の三、第四十条の二第二項及び第四十一条第一項の命令、第四十二条の三第二項及び第四十三条の四第一項の負担金徴収、第四十四条第一項の料金の徴収、同条第五項(第四十四条の二第三項において、準用する場合を含む。)の過怠金徴収、第四十四条の二第一項の入港料徴収、第四十四条の三第一項の規定により準用する地方自治法第二百二十五条第一項、第三項及び第四項の規定による滞納処分、第四十五条の二の規定による委任に基いて行う事務の執行、前条第二項の規定に基く公有水面埋立法による職権の行使、公共団体管理する公共用土地物件の使用に関する法律第一条の命令並びに行政代執行法の適用に関する訴に関する行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)の適用については、港務局委員会委員長は、行政庁とみなす。  第六十条第二号の次に次の一号を加える。  二の二 第十条の規定による港務局の解散の認可(重要港湾に係るものに限る。)  第六十条第四号の次に次の一号を加える。  四の二 第四十四条の二の規定による入港料についての認可    附則  この法律は、公布の日から施行する。     —————————————
  3. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 港湾法の一部を改正する法律案につきまして提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  港湾法が制定されて以来二回にわたつて部分的な改正を加えたのでありますが、制定の当時においては予想されなかつた法律運用上の不備、欠陥がその施行に伴て表面に現われて来ましたので、港湾法規定不備を補うため所要の改正を施すことが必要となつたのであります。  改正の第一の点は、港務局業務についてであります。港務局関係地方公共団体によつて組織される港湾共同管理形態でありますが、業務実施に関する規定不備なために、港務局業務遂行に円滑を欠く結果を招いているのであります。従つて港務局業務遂行を十全ならしめには、港湾内の行政事務執行し得る権限と、港務局料金徴収を免れた者に対して過怠金を賦課し得る権限料金等未納者に対し強制徴収し得る権限等港務局に付与することとしたのであります。  改正の第二の点は、港湾区域等において港湾管理者規制をする施設建設水面占用等行為範囲であります。現行法におきまして港湾管理者許可を必要とする行為範囲は、はなはだ広くかつ漠然としておりますので、規制を受ける行為の種類を明確にいたし、その対象を港湾開発利用または管理上著しく支障を来すおそれのある行為に限定することといたしたものであります。  改正の第三の点は、港湾工事費用精算簡素化であります。国の負担金または補助金を受けて港湾管理者行つた港湾工事は、その工事に実際に要した費用精算して初めて完了するのでありますが、この費用の請算の方法ははなはだ煩雑であり、莫大な事務量と時日を必要といたします。従つて港湾工事費用精算方法簡素化し、精算に費される厖大な事務量と労力を節約して事務能率化をはかるとともに、造成された港湾施設公共利用を早める措置を講ずることといたしたのであります。  その他港湾工事の必要がある場合の他人土地への立入り、非常災害時にける土地の一時使用入港料徴収等港湾開発及び管理のため望ましい事項についての規法を新たに設けましたほか、港務局委員会議事、その監事資格等につきまして現行法不備な点を是正する措置を講じまして、港湾法の円滑な施行を期した次第であります。  以上がこの法律案を提案いたします理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。     —————————————
  4. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 運輸大臣緊急質問をいたしたいと思います。  去る三月一日に、ビキニにおけるアメリカ合衆国の水素爆弾の実験によりまして、御案内のようにわが国の漁船が、世界で日本人だけが第三番目の被害を受けたのであります。聞くところによると、それはビキニ環礁の東方約二百キロのところであつたのであります。しかもピカトンが聞えてから一時間ばかりして灰が降つて来たので、漁船は一生懸命東に向つて逃けたにもかかわらず、六時間も死の、灰の洗礼を浴びて、その結果原子病にかかつた船員が、二週間後に焼津に帰つて来て、生命の危険な者も多いような現状であります。ところがこの危険水域が拡大されなければならぬというので、これをウエーキ島にまで及ぼそうということでありますが、日本航空株式会社のアメリカ航路や、その他外国のパンアメリカ、ノース・ウェスタンの飛行機等も、このウエーキ島を通過して飛んで参るとなりますと、——しかも成層圏に飛び散つた放射能を含んだ死の灰は、日本あたりまでは微量ではあるが風に吹かれて数時間のうちに飛んで来る。いわゆる上空では一時間千百キロぐらいの速度で気流が飛びまわつているそうであります。そういう危険な状態におきまして、太平洋にある日本の船舶の航行の安全の立場から、あるいは国際航空の空中交通の安全の立場から非常に憂慮すべき事態であると思うのであります。これらの船舶並びに航空機が、水素爆弾実験による放射能をいかように感受しておるか。またどのような危験性があるものか。この点について交通行政をつかさどる運輸省としては十分御検討のことと思うが、放射能を含んでおるような状態で飛行機が飛んで来てないか。船舶についてはどうであるか。その点ひとつお尋ねをいたしたいのであります。
  5. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題につきまして、きようも閣議の席上で外務大臣からいろいろ報告があり、また農林大臣からもいろいろこれに対するお話があつたのでございます。私どもの方の問題といたしましては船の問題だとか、今おつしやつたようなところが問題になるのでございますが、指定されました区域から離れますれば、一体それは安全であるかどうかという問題につきましていろいろ尋ねてみたのでございますが、日本までも灰が降つてあぶなくはないかというような問題等までも、話がもちろん出たわけでございます。あの実態がどれだけの力があつて、どれだけの影響を及ぼすかということは、はつきりしたことはまだ私どもには何も聞かされていないのでございます。今度指定区域が広まりまして、きのうかおととい通告を出したのであります。これから離れれば離れるに従つて大気の中に入る灰の分量というか、デンシテイが薄くなるわけでございます。今度広げられた程度の範囲に広がれば、それの外であればまず大丈夫だという意味に私どもは承つております。ただそれから離れると、そこをぜひ通つて来なければならないような船のルートがありますと、それだけ遠くをまわらなくちやならぬという問題が起ります。これは漁船等には現実に起り得る問題でございます。今のところは主として南の方の海でまぐろ漁業はやられているそうでございますから、そこへ行くためには往復三百海里くらい遠まわりをしなくちやならぬという問題があるように承つたのであります、私どもといたしましてはただいまこれがあそこで実験されて、一般の船の航海並びに航空という問題において、すぐかえなくちやならぬほどのものではないように承知いたしております。
  6. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 水素爆弾爆発のときに、京都大学のガイガー計数管にががつという音がしたそうであります。その後間もなく日本航空株式会社の太平洋航路の飛行機を初め、サンフランシスコやロスアンゼルスから飛んで来るパンアメリカ航空会社の飛行機は、危険なところを飛んで来たと思うのでありますが、これらについてガイガー計数管のようなもので放射能を含んだ状況を検査したり、その他の措置を講じているかどうか。それをお尋ねしたい。
  7. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 それについて私はまだ何も報告を受けておりませんので、一ペン調べてみたいと思います。
  8. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 これは非常に事務怠慢だと思うのです。人類の安全のために至急お取調べ願いたいと思います。  先般計画造船の問題について私は政府の所信をただしたのでございますが、運輸大臣の答弁は曖昧模糊とした抽象論で、至急にやらなければならぬというだけで、その構想の片鱗さえも答弁がなかつたのを非常に残念に思つているのであります。海員組合、造船工業労働組合等と話し合つたそうであり、新聞の伝えるところによれば、小林日本開発銀行総裁とも話し合つているようであります。なお新聞の説明では経済閣僚とも懇談をしているようでありますが、先般の委員会運輸大臣から、日本経済の立場からどうしても計画造船は継続してやつて行かなくちやならぬという答弁があつたのであります。むろん政府の経済閣僚等とは十分な懇談を遂げて、そうした話合いの上に立つて日本経済の全般的な立場から、計画造船問題を遂行しなければならぬという意見が出て来たものと考えるのでありますが、まだ経済閣僚とも十分懇談がなされていないとすれば、運輸省単独で計画造船はどうしてもやらなければならぬと思う。これだけでははなはだ政府の施策の決定としては不満足なのであります。この計画造船に関する今の点に関しては、政府がどこまでもやるという経済閣僚全体の懇談の結果であつたかどうか。またこれを遂行する具体的な方策について、その後いかなる構想ができ上つたか、この際御答弁を願いたいのであります。
  9. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 第十次の計画造船は、政府の資金の額がおよそきまつているということ、それからこれに伴う政府の補助の関係の予算がすでに衆議院を通過いたし、参議院にまわつておりますこと等からお考え願いまして、政府として方針がきまつていることは明かであります。ただこれらを実際どういうふうにやるかという問題につきまして、私どもは昨年の暮れごろにおいてだんだん考えてみました問題は、まず一方には船舶所有者、いわゆる海運業者、それから造船所、両方ともできるだけの統合と申しますが、小くも海運業においてはオペレーターの線において、どんな方法かで今まで非常に広くまた多くの会社が関係して——日本人同士だけじやありませんが、競争がはげしい状態にある、こういうものをどうしたら直せるかという整理統合の面から、こういうことも考えて話を進めておつたのでございます。十次造船にはそれが前提としてできればたいへんけつこうである。できないならば、できないままでそれの方向だけでもここで確立しておいて、十次造船にかかりたいというふうに思つておりましたが、不幸にして造船疑獄等いろいろな問題が起りまして、どこもここもしり込み状態になつて、一向に造船についての話等が、船会社、造船所等からも積極的に出て来ない実情でございます。それで先ごろから私どもは何とかして各方面の意見を聞き、今までよりもさらにいい方法で第十次造船にもかかれるようにいたしたいと思つて、船の先輩、また船の持主、それから銀行、造船所、またその造船所の労務者というような人たち、開銀の総裁、また日銀の総裁にもこの際会つて話したのであります。こういう人たちの話をいろいろ聞きますと、この前のときと違うと感ずるのは、この前の造船の時分は、ほんど全体が一体となつて船をつくる方に勢いが向いておりましたが、今度はいろいろ話をしてみますと、造船所と造船所の職員の人たちはぜひ早く多くつくつてくれという声でございますが、オーナーとオペレーター——海運業者の方は、それほど積極的でありません。つくるはつくるとしても、もう少しいろいろ研究したらというように何となく積極的でない。銀行業者について言いますと、昨年の暮れごろと今日とはまた違つております。昨年の暮れごろでは、担保力を少しわれわれの方に増すようにしてくれ、開銀の方から担保力を市銀の方に少しまわすようにしてもらえぬかということと、それからもう一つは、市中の融資を少し減らしてもらえぬかというような希望的の申出があつたのでありますが、先ころ私どもが会つてみますと、もう二十九年度はいろいろなことでなかなか引締めも強くなりそれたから、金の手持が非常に苦しい、また担保力の面から見ても、なかなか困難であるし、できればことしは、自分たちの方はひとつかんべんしてもらえるならかんべんしてもらいたいというような空気でございます。そういうふうな状態で今日までずつとヒヤリングをやつて来たわけであります。私どもといたしまして言えることは、十次造船はせひやりたい、そしてその時期をできればなるべく早くしてやらなければ、造船所がもう五月末ころになりますと、非常にアイドルになるという状態でありますから、なるべく早くしたいというような気持だけは今もかわらないのであります。ただそれではどんな方法でやるかというと、それとにらみ合せて、きのう閣僚懇談会に云々というようなことはいまさらおかしいのじやないかというお話がありましたが、もう来年度の予算を組む去年の秋ごろからの見通しは、二十九年度は今まで通りの造船の方法で、担保力もまだ何とかあるという運輸省の見込みでございます。それで何とかやつて行ける。三十年度になつたならば担保力もほとんどなくなるか、そのときには何か別な方法で造船をやつて行かなくちやならぬのじやないか、造船をやるかやらぬかという問題がありますが、これは私どもが昨年四箇年計画百二十万トンの外航船をふやしたいというねらいのことを申し上げました通、これは本年は今度つくつております二十九年度の予算では、どうしても二十万トンを切るという状態でありますから、これは年限は延びるだろうけれども、日本としてもこの量だけはどうしても最低量としてやりたいということは同じことでございます。これを私どもは来年の、三十年度になりましての状態等を考えますると、ここで今度の予算にどうということはございませんが、一体日本の海運そのもののあり方をどういうふうな形に持つて行くか、そうしてそれには政府はどういう態度で、援助するなら援助する方法はどんな方法が望ましいか、今の利子の補給の問題につきましても、いろいろな声もありますし、一方業者の中にも一部声があるのでありますが、一番海運業者が打撃を受けておるものはどこかと申しますと、海運業では御承知のように戦時補償が打切られたということが第一番でありまするが、現在の問題とすると、為替の三百六十円という比率によつて、これはもう外貨収入が主でありまするから、この点で支出は国内でそれよりも割高なものが支出されるというところからみまして、非常に海運が為替の打撃を受けておる、だから特別の補償制度を設けてもらえぬか、そうすれば利子補給などは打切られても、もちろんその補償も出す度合いによると思うのでありますが、利子補給なんかなくてもいいような状態になるのではないだろうかというような声等もあるのであります。こういうふうな根本のいろいろな問題がありますので、こういうものを私はひとつ経済閣僚の間で一ぺんとくと話し合つて、今度のものが間に合わないでも、この次の見通しについてでもはつきりしたものを持つており、そういう考えがそこに何か一つ出て参りますれば、これを頭に入れながら、今度の予算の範囲においてどういうふうにやつて行こうという、造船の行き方にも方法が出て来るのではないか、そういうふうなことで、あす為替問題で経済閣僚懇談会があるのでありますが、あしたの話ですぐ簡単に十分、二十分話して話のつくものではありませんが、とくと何日か話合いをそういう問題にもいたしてみたいと思つているのでございます。
  10. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 先刻運輸大臣に、ウェーキ島で休養して南太平洋を飛んで日本へやつて来る日本航空株式会社なり、その他の諸外国の国際航空の飛行機が、着陸をして休養をしておるウェーキ島が危険区域指定をされた、そうなると三月一日以降多くの飛行機が死の灰の中を飛んで来たはずである、それに対して放射能を含んでいるやいなや、人命その他に有害ではないかという検査をしたことがあるかというお尋ねをしたのでありますが、知れぬということであつたのであります。航空局長は日本航空会社その他に航空安全についてどんなふうな処置をとつておられるか、それを航空局長から伺いたいと思います。
  11. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 あのルートはウエーキに寄ります会社はずいぶんたくさんあるわけでありますが、今までの区域から申しますと離れておりますので、別に何らのお話も伺つておりませんし、日本側もまだ調査いたしておりません。
  12. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 これは先ほども要望したのですが、至急御検査を願つて、交通の安全をはかつてもらいたいと思うのであります。  それから日本航空株式会社が、政府から千億の出資を受けて太平洋航路を始めたはずでありますが、新聞等の報道では有料の乗客が少くて、なかなか経理が困難なような報道がなされておるのでありますが、現在までの国際航路に関する日本航空会社の経理の状態はどうなつておりますか、お尋ねいたします。
  13. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 これはいろいろの準備が遅れましたために、十分なる集客ができないでスタートしたわけでございますが。二月一ぱいの統計を見ますと、こつちから行くのが大体七人程度で、向うから来るのが少し多くて十人くらいかと思います。それから三月に入りましてからは、大体その数が各便とも倍に相なつております。御存じのように来月から二割五分ばかり安くなつて、四百八十ハドルのツーリスト・クラスができまして、座席もふえますし、また旅行シーズンでもございますので、来月分につきましては相当満員の便があるようでございます。特にホノルル・東京間が非常に多いので、あるいはホノルルを切つても臨時便を出さなければならないのではないかというような状況であります。四月、五月ごろとなりますとシーズンでもございますし、逐次事情もわかつて参りますし、お客がふえると考えております。しかし航空事業全般といたしまして、各国とも始めた一、二年間は黒字が出るというところには参りかねるわけでありますけれども、極力努力いたしまして、日航としては一番有望な航路であるアメリカ・ルートには早く黒字を出すということに努力をいたしておる次第であります。     —————————————
  14. 關内正一

    ○關内委員長 港湾法の一部を正改する法律案概要説明を求めます。黒田政府委員
  15. 黒田靜夫

    ○黒田政府委員 港湾法の一部を改正する法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  今回改正いたします第一の点は、港湾施設範囲を拡大したことであります。港湾施設とは、港湾の成立上または港湾の機能を発揮する上に必要な人為的な工作物を申しますが、港湾法におきましては、第二条第五項に具体的に列挙された施設に限定いたしております。これらは、固定したもののみでありますが、近来移動式の機械の発達は著しいものがあり、役務を提供する船舶もまた港湾利用に大きな役割を果しており、これらに港湾法適用を受けさせないことは適当とはいえないのであります。このたび第二条第五項を改正いたしまして、これらの施設港湾施設に追加し、港湾工事、起債、施設の譲渡等の規定適用を受けられるようにいたしたのでございます。  改正の第二の点は、港務局規定を整備したことであります。港務局は、港湾管理の一形態として地方公共団体によつて設立される公法上の法人であります。港務局は、特別地方公共団体に類似した業務を行うものでありますが、地方公共団体そのものではないために、権限は弱く、ために港湾管理を実質的に行いがたい状態になつております。港務局は昨年新居浜港において設立され、さらに北九州各地において近々のうちに発足する予定でありますが、その運営を円滑にして港湾管理の実績を上げるため、権限を強化し、運営機構を整備することが要望されておるのでございます。  このたび、その業務につき、港湾管理、運営、開発という港務局本来の目的を最もよく達成し得るように、第十二条を改正いたしまして、航路のごとく基本的な施設使用規制し、あるいは港湾の発展のため土地を造成することを業務に追加するとともに、第四十五条の二の新設により組織母体の委任を受けて港湾管理利用に関する行政事務を行い得ることにいたしたのでございます。  また第三十七条第五項、第四十四条第五項、第四十四条の三、第四十五条の二、第五十九条等の規定により過怠金徴収し得る権限料金等を払わぬものから強制徴収し得る権限、代執行等をし得る権限港務局に与えまして、港湾管理の実を上げ得るようにいたしたのでございます。  このように港務局権限を強化いたしました反面、第十八条、第二十一条、第二十二条の改正により、その運営に当る委員会委員及び監事規定を整備し、港務局の運営の円滑を期し、港務局解散運輸大臣認可にかからしめて、随意に解散されることを防ぐことにいたしたのでございます。  改正の第三の点は、港湾区域港湾隣接地域及び臨港地区内における工事構築物建設等の規制簡素化いたしたことであります。港湾区域及び港湾隣接地域内におきまして港湾管理者許可を要すべき行為範囲はきわめて広く、明確さを欠いておりまして、不必要な行為まで許可を要するという好ましくない結果を生むおそれがございました。この点を是正するため今回第三十七条を改正して、許可を要する区域水域公共空地に限定し、許可を要する行為占用土砂採取、一定の施設建設改良に限ることにいたしたのであります。さらに港湾隣接地域指定を民主的に行うことにいたしまして、港湾管理者規制の及ぶ範囲が恣意にわたらぬように配慮いたしたのでございます。  臨港地区内の構築物の制限については、従来も条例によつて一定の制限を加えることは可能ではありましたが、この条例に違反して建設されたものに対しましては、何等の規制をも加えられず、港湾管理者規制はまつたく名目的なものとなつたいたのであります。  このたび第四十条の二を新設いたしましては条例に違反して建設された構築物に対し移転改築命令をなし得ることといたしたのであります。  改正の第四の点は、港湾工事費用精算簡素化したことであります。現在港湾工事費用精算は、いわゆる原価主義によつて行つておりますので、請算事務はきわめて複雑であり、そのため少からぬ時日を要しているのであります。しかし港湾工事費用精算については、相手が地方公共団体でありますので、残余物件についてのみ院分監督いたしましたならば、原価主義による必要はなく、支出主義で足りるものと思われます。支出主義によりますと工事費用の請算事務は、非常に簡素化され、手数が省略されます。そのためこのたびの改正では第四十三条に第六項、第七項、第八項及び第九項の四項を加え、工事費用の請算を支出主義によることとし、その反面、工事の結果生じた残余物件については、その使用規制することにいたしましん。またこれに関連して千円以下の端数についてに、これを切上げ、または切拾てることにいたしました。このような工事費用精算方法は、港湾管理者が国から費用負担を受けて行う工事だけではなく、第四十三条第二項によつて国から費用の補助を受けて港湾管理者かする工事及び第五十二条第二項によつて国が行う工事についても採用することにいたしております。  改正の第五の点は、港湾管理者入港料徴収する場合の手続に関する規定を設けたことであります。港湾管理者はその提供する施設または役務の利用に対し料金徴収することができますが、そのたび第四十四条の二により航路等の水城施設及び防波堤等の外、郭施設に対して料金徴収する場合には、これを入港料として徴収すべきことにし、特定の港湾につきましては、入港料徴収につき運輸大臣認可を必要とすることにいたしました。これは特定の港湾におきましては入港料が、国際的にも大きな影響を持ち、国の利害に関係を持つと考えられるからであります。  改正の第六の点は、公用負担規定を整備いたしたことであります。従来は公用負担につきましては、損傷者及び受益者に負担金を課することのみが規定されておりましたが、その手続については規定が設けられていなかつたため、衡平の観念に反する負担を課することもできる反面、負担金を払わぬものには、強制することができない実情でごさいました。この点につきましては、今回第四十三条の及び第四十三条の四を改正いたしまして、その手続を慎重にし、その徴収を容易にするとともに、不当な負担を課することを防ぐことにいたしました。さらに第九十五条の二から第五十五条の五までの規定により、港湾管理者港湾工事の調査、測量のため他人土地に立ち入り、非常災害時に土地使用しあるいは住民を防禦に従事させるという、人的、物的の公用負担を課する権限を与えましたか、これは港湾開発、保全に支障ならしめることを目的とするもので、このため住民の受ける損失につきましては正当な補償を与えることにいたしたのとあります。以上がこの法律案概要でございます。
  16. 關内正一

    ○關内委員長 本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。     —————————————
  17. 關内正一

    ○關内委員長 次に運輸省設置法の一部を改正する等の法律案及び航空法の一部を改正する法律案を一括議題とし、まず航空法の一部を改正する法律案概要説明を求めます。荒木政府委員
  18. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 航空法の一部を改正する法律案概要につきまして御説明いたします。  航空法は、昭和二十七年七月に制定公布されました航空に関する基本法でありまして、航空機の安全性を確保し、航空事業の秩序を確立することによつて、航空の発達をはかることを目的とする法律であります。何分この法律が制定されました当時は、戦後七年有余にわたる空白期間の直後でありまして、わが国の航空界はほとんど活動らしい活動をいたしておらず、また世界各国の航空事情の調査がいまだ十分ではなかつたのでありますが、その後過去一箇年有半の間における航空法運用の実績にかんがみ、また情勢の推移に応じてそれぞれ実態に適合するよう所要の改正をいたす必要が生じたのでありまして、ここにその一部を改正する法律案を提出した次第であります。  まず第十条の二は、このたび新たに追加した規定であり、運輸大臣が行う航空機の耐空証明を、運輸省令で定める滑空機に限つて、耐空検査員にも行わせることといたしたのでありまして、この滑空機は、運輸省令におきまして、プライマリーと定めたいと考えております。三月一日現在登録された航空機は、飛行機九十六機、ヘリコプター二十四機、滑空機八十四機、計二百四機でありまして、滑空機八十四機のうち七十一機は初級滑空機俗にいうプライマリーであります。これらの航空機の検査事務は、相当な事務量なつておりますので、このうち初級滑空機の耐空検査及びあとに述べます修理改造検査を耐空検査員にも行わせることにより、検査事務簡素化をはかることといたしました。  次に第十四条の改正は、現行では一率に一年間とされている耐空証明の有効期間を、航空運送事業の用に供する航空機に限つて、運輸大臣がその都度定める期間といたしたのであります。これと同様のことは、国際民間航空条約の付属書におきましても採択され、またアメリカ、イギリスその他の諸外国におきましては、すでに実施されているのでありまして、その理由は一定の連続整備方式によつて整備される航空機につきましては、必ずしも年一度の耐空証明を行わなくても十分に安全性が確保できると考えられるからであります。この連続整備方式によつて整備される航空機とは、航空法におきましては、航空運送事業の用に供する航空機ということになるのであります。と申しますのは、航空運送事業の用に供する航空機につきましては、第百四条及び第百二十二条の規定によりまして、運輸大臣認可を受けた整備規程に従つてこれを整備しなければならず、この整備規程の中には、当該航空機の連続整備方式が定められることとなつているからであります。従つてかかる航空機の耐空証明の有効期間は、通常の場合におきましては、当該連続整備方式により整備される期間ということになるかと思いますが、これは個個の航空機について新旧の差、使用方法等を考慮して、その都度運輸大臣が定めることといたしたのであります。  次に第十四条の二の規定でありますが、これは現行第十四条第二項に規定いたしております耐空証明の有効期間の短縮だけでは、航空の安全の見地から必ずしも十分とは申せませんので、新たに一条を起し、耐空検査のみならず、修理改造検査又は立入り検査の結果におきましても、当該航空機が第十条第四項の耐空検査の技術上の基準に適合しなくなるおそれがあるとき、その他航空機の安全性が確保されないと認めるときには、当該航空機だけでなく、当該型式の航空機全部について耐空証明の有効期間の短縮のほか、効力の停止、指定事項変更措置をとり得ることといたしまして、航空機の安全性の確保に万全を期することといたしたのであります。先般、英国海外航空会社(BOAC)のコメット機が再三事故を惹起いたしましたが、あのような場合にも、この規定によりまして、当該型式全部の航空機の耐空証明の効力を停止することになるものと存じます。  次に第十六条の改正について申し上げますと、すでに御説明した通り、耐空検査員は初級滑空機の耐空証明を行うことができるものといたしましたので、その修理改造検査も当然行い得るようにする必要があるわけでありまして、この点についての改正をいたしたものであります。  次に、第二十八条第二項の改正は、次の第二十九条の二の追加規程と密接な関連があるので、御説明の都合上第二十九条の二について先に申し上げたいと存じます。  第二十九条の二は、航空従事者技能証明の限定の変更に関する規定であります。技能証明の限定と申しますのは、第二十五条第一項から第三項までに規定されております通り、定期運送用操縦士、一等航空整備士等の航空従事者の資格別に行う技能証明につきまして、航空機の種類、等級、型式或は従事することができる業務の種類について限定をすることでありまして、航空機の種類については必ず限定し、その他については限定をすることができるものとされているのであります。限定の効果といたしましては、たとえて申しますと、飛行機について限定をされた事業用操縦士の技能証明を有する者は、ヘリコプターの操縦をすることは許されないのであります。しかしてこの限定は、技能証明書の所定の欄に記入されることになつておりますので、限定の変更を認めない限り、理論的には同一資格の技能証明書を航空機の種類、型式等のかわるごとに幾冊も持たねばならぬこととなり、取扱い上、非常な不便を感ずることとなつていたわけであります。これをこのたび限定の変更規定を新たに設けることによりまして、実態に即応せしめんこととした次第であります。  第二十八条の改正は、限定の変更に対して、当初の限定と同じ効力を与えるために、規定の表現を改めたのであります。  次に第三十四条第三項に、操縦教育証明を航空機の種類別に行うことに改正したものであります。  第三十八条に第四項を追加いたしましたのは、運輸大臣が飛行場の設置を許可するに際して、飛行場の管理運営上の種々の条件を付する必要があるからでありまして、また第三十九条第一項に第五号を追加いたしましたのは、飛行場設置の申請を審査するにあたりまして、申請者が当該飛行場の敷地について使用権を有するかいなかということは、審査の重要な基準と考えられるからであります。なお第三十八条の改正に伴いまして、第四十三条第二項を改正いたしました。  次に第四十八条の改正は、たとえば飛行場の施設の一部の管理が第四十七条の技術上の基準に従つて行われていないような場合には、当該一部の施設のみについての供用停止を命じることができることとして、飛行場の機能の保持と航空の安全性確保をはかつたのであります。なお許可の取消し、または供用停止命令をなし得る場合として、現行の四号のほかに新たに二号を追加いたしました。  次に第五十四条の改正は、飛行場の使用料金についての従来の届出制を認可制に改めて、使用料金の適正化をはかることとしたものであり、第五十六条第一項の改正は、第三十九条の改正に伴い、準用規定を整理いたしたのであります。  次に第五十六条第二項の改正は、運輸大臣が飛行場を設置する場合において、当該飛行場の敷地が従前、適法に航空機の離陸又は着陸の用に供せられており、かつ当該飛行場の進入表面または転移表面の上に出る高さの建造物、植物その他の物件がないときは、公聴会を開催しなくてもよいこととして、飛行場設置手続の簡易化をはかることにいたしたものであります。  次に第五十六条の二の規定は、運輸大臣は、公衆の利便を増進するため必要があるときは、保安庁の設置する飛行場について、着陸帯その他の施設を公共の用に供すべき施設として指定することがでぎることとしたのであります。現在民間航行にとつて、飛行場の確保は最大の眼目となつておりますが、国家財政の現状におきましては、民間航空専用の飛行場を十分に設置することはきわめて困難な事情にありますので、将来保安庁が設置する飛行場につきまして、着陸帯、エプロン、誘導路等の施設を公共の用に供すべき施設として指定し、一般民間航空機がこれを利用できる道を開いたのであります。  次に第五十七条と第五十八条の改正は、同一の趣旨によるものでありまして、航空機の国籍等の表示の義務及び航空日誌の備えつけあるいは記載の義務は、第十一条但書の試験飛行等の許可を受けた場合にはこれを必要としないことにいたしました。  次に第九十二条に後段を追加することにいたしましたのは、技能証明について限定されている航空機の種類以外の種類の航空機の操縦の練習をする場合には、操縦教育証明を有する者の監督のもとに練習をしなければならないことといたしまして、第三十四条第二項の改正と相まつて、操縦練習の安全を期することにいたしたのであります。  次に第九十七条の改正について御説明いたします。改正文はいささかめんどうな表現をいたしておりますが、これは要するに航空機が飛行計画を運輸大臣に通報しなければならない場合を広めたのでありまして、現行の規定におきましては、航空機は計器飛行状態において、航空交通管制区ないしは航空交通管制圏を飛行する場合には、運輸大臣に飛行計画を通報し、その承認を受けなければならないものとされているのでありますが、これを場周経路飛行その他特定の空域における飛行以外につきましては、有視界飛行状態における飛行の場合にもすべて飛行計画を通報するように改めまして、航空機の事故を未然に防止し、万一事故が起きた場合におきましても、その捜索、救難が容易になるようにいたしたのであります。なお国際民間航空条約の付属書におきましても、飛行計画の通報につきましては、当初は現在の第九十七条と同様な限定をいたしておりましたが、昨秋右と同趣旨に改められました。  第九十八条は、飛行計画で定めた飛行終了後の運輸大臣に対する通知義務を定めたものでありまして、これは第九十七条の改正に伴う当然の改正であります。  次に第百二十二条及び第百二十四条の改正について申し上げます。これは不定期航空運送事業あるいは航空機使用事業の免許を受けた者が、正当な理由がないのに、当該免許にかかわる事業をいつまでも実施しない場合には、その免許を取り消すことができるものといたしたのでありまして、現在すでにこの種の事例も一、二発生しております。なお、定期航空運送事業につきましては、現行の第百十九条第一号の規定によりまして免許を取消し得るものとされております。  次の第百二十六条以下の外国航空機の章に関する規定改正は、この法案における最も重要な改正点であります。航空法制定当時におきましては、何分戦後七年有余の空白時代の直後でもあり、世界の航空事情を的確に把握し得なかつたために、外国人国際航空運送事業に対する法規制が十分でないうらみがあるのでありますが、米英その他主要国とも航空協定を締結し、かつ世界の航空事情が明確になつた今日、相互主義の原則に従つて、これに対し適正かつ十分な規制をする必要があるのであります。この趣旨に基いて、外国航空機に関する規定を相当大幅に改正いたしたのでありまして、まず第百二十六条につきましては、第一に、規制の対象となる外国航空機を当該航空機の使用者の国籍によらず、当該航空機の登録国によつて、国際民間航空条約の締約国、非締約国の区別をすることに改め、第二に、外国航空機は、天候その他やむを得ない事由がある場合以外は、所定の飛行場において離着陸しなければならない旨を新たに追加いたしたのであります。その理由といたしましてはまず第一点は、現行第百二十六条の根拠となつている国際民間航空条約第五条の規定についてICAO理事会の公定解釈が明らかとなつたので、これに従つて、締約国の航空機と非締約国の航空機との区別を当該航空幾の国籍によつてすることに改めたものであり、第一点は、同じく国際民間航空条約に、空港の指定についての規定がありますので、これに従つて新たに規定を設けることにいたしたのであります。  次に第百二十七条の改正も、第百二十六条の改正と同様、条約第五条の公定解釈に従つて、規定の対象を外国人の使用する航空機から外国の国籍を有する航空機に改めたものであります。  次に第百二十九条の改正は、外国人国際航空事業に対し、必要な範囲で国内航空運送事業に対すると同様な規制をするという建前から、第百条第二項、第三項に相当する許可申請手続を法律規定することにしたのでありまして、これと同様の趣旨からこの規定の次に、新しく四条を追加いたしました。すなわち第百二十九条の二から第百二十九条の五までがそれでありまして、これによつて外国人国際航空運送事業者の運賃料金及び事業計画の変更は、国内航空運送事業の場合と同様、運輸大臣認可を受けなければならないことにするとともに、運輸大臣は、必要な場合には外国人国際航空事業者に対して、運賃料金または事業計画を変更すべきことを命じ、あるいは所定の場合において事業の停止または許可の取消しをすることができるものといたしたのであります。  次に第百三十条は、同条の次に第百三十条の二を加えたためにこれに伴う所要の改正をしたものであります。この第百三十条の二について申し上げますと、現行の航空法におきましては、外国航空機が、旅客あるいは貨物を有償で運送して本邦へ出入する場合も、これが反復継続して運送事業とみなされない限り、先ほど御説明した第百三十六条の適用があるだけで、他のプライヴェートの航空機の出入と同一に取扱うほかはないのであります。この種の運送行為を無統制に認めるときは、定期航空運送業務が撹乱される危険がありますので、国際民間航空条約におきましても、その第五条第二項但書で、締約国がこの種の飛行に対して適当な規制を加えることを是認いたしておりますので、この種の運送行為につきましては事前許可制を採用することにいたしたのであります。  なお以上の外国航空機に関する規定につきましては、諸外国におきましてもそれぞれ類似の規定をいたしております。  次に第百三十一条の二は、第八章外国航空機中の各規定による許可または認可には条件、期限をつけ、あるいはこれを変更し、さらに許可または認可の後に新たにこれをつけることができる旨を定めたのであります。  最後に第百三十五条の改正は、技能証明の限定の変更を申請する場合の手数料を規定いたしたものであり、また第百四十三条以下の改正は、以上の改正に伴いまして罰則の規定を整備いたしたものであります。  なお附則において、この法律は公布の日から施行することといたしております。  以上航空法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条御説明いたしました。何とぞよろしくお願いいたします。
  19. 關内正一

    ○關内委員長 これより両案に対する質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。山口丈太郎君。
  20. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 まずこの両案の改正にあたりまして、二、三重要な点を運輸大臣に御質問申し上げたいと存じます。まず航空法改正であります。ただいま説明をいただきましたように、日本の空港に外国の航空機が定期的にあるいは不定期的に非常に多くの出入りをいたしておるのであります。もちろんこの国際航空の熾烈化して参りますことは、だれもが承知をしておるところでありまして、これらの外国航空機の発着、あるいは日本国内への旅客あるいは貨物の運送について規制する権利をわが政府が持つのは当然でありまして、それについては私は賛成をいたすものであります。今運航を開始いたしております日航機についても、聞くところによると、この日航が運航を開始いたしましてから、この航路に当る日航の出先機関と申しますか、それらの設備が海外にないために、この日航機を使用して帰るような希望を持つていても、あるいは競争がはげしいためか、座席がないというようなことで日航機に乗れない。ところが実際には日航機はがらあきで、パン・アメリカンだとか、ノース・ウエストだとか、こういう外国会社は座席が満員だ、そうして常に旅客をとられるということで、正常でないような競争が行われておるというようなことも聞くのであります。そういたしますとやはりこれらの航空機、特に日 との運航に関しては、もう少しこの航路に当ります出先に対する整備を必要とするのではないかというふうに考えるわけであります。これについて運輸省はどういう指導をされておるのか、一応お尋ねしたい。
  21. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 日航がアメリカ航路を始めましてまだ日は浅いのでありますが、最近二月から三月へとだんだんふえて、四月になりますともつと予約もたくさんあるようであります。大体片道に二十七、八人くらいの人が乗れば、プライマリー・コストを補えるということであります。それは郵便物とか貨物の数にもよるわけであります。そのくらいでありますから、三月は十六、七人程度で二十人に満たないくらいでありますが、二月から始めたとして二月はほとんど五割、六割という状態になつております。ちようど時期が三月ごろからだんだんよくなつて参りますので、観光客その他のために四月は大分いい状態になるということでありますが、しかし今お話のように空席もたくさんある。しかも日本から出て行く人が非常に多い割に、日航を使つているのは割合少い。それで少しずつは増しておりますけれども、どういうところでそういうことになるか。日も浅いものでありますから、日本航空というものが何となくまだ幼稚なような心持がするのだろうと思うのであります。日本の相当の知識階級の人たちがパンの飛行機に乗つて、日航の飛行機から相談に行つても、おれの方はアメリカの飛行機で行つた方が安全のようだというようなことを言つて乗る人の方が多い。実際から申しますと、別に外国の飛行機をけなす必要はないのでありますが、現在の太平洋の運航状態から見ますと、DC6を使つております日本航空機の方が安全度はいいのではないかといわれております。運航に当つておる者は、まだ残念ながらアメリカ人でありますが、優秀なるアメリカ人がそれを運航しております。私はこれをやめてアメリカ側の飛行機に乗るという理由は一つも考えられないのでありますけれども、乗らないのは今あなたの言われたように、よく周知せしめる方法が足りないと思う。宣伝力が弱いということが一つあるだろうと思います。国内におきましても扱い店がたくさん各地にありますが、上の方の人たちは日本の飛行機をなるべく使つたらという心持はだれも持つておるようでありますが、窓口では必ずしもそうでないような扱いをしておるということも、うわさ話としては聞く状態であります。アメリカの方の側からこちらに来る場合、さつきのようなのは非常に特殊な例でありましようが、アメリカの方の努力、特にパン・アメリカンの努力というものはたいへんなものでありまして、客をとるために非常な費用と努力を傾けておるようであります。かつ一ぺん日本から向うに着く、あるいは向うから日本に着くと、その晩は無事に着いたということで、御飯に招待する会をやるとかいうようなことは、みなアメリカの連中の方はやつておるようでありまして、そういうふうなこと等でまだまだ少しかゆいところに手が届くような状態に日航そのものが行つてないと私は思います。この間から何度もこの問題につきまして話をし、閣議のあとでも閣僚に対しまして、日本の政府の旅行する者は表向きやかましくする。それでなければいかぬということは言わないが、日本の飛行機のあることをちやんと頭に入れてやつてくれということを懇談したこともございます。これはもう少し努力をいたさなければならぬ。実はけさも日航の社長と専務と参りましたので、その問題を特にいろいろな面から聞いておるところを伝えまして、努力するように申しておきました。
  22. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 非常な努力を講じておられますので、それについては私感謝するわけでありますが、昨年航空株式会社法を提案されたとき、私の質問に対して、御答弁をいただきましたのは、アメリカ太平洋航路だけでなく、南はフイリピンからインド、カラチを経て欧州への航路の整備をいたす考えである、そのためには所要の航空機の整備と乗組員の整理をいたさなければならない、急ぎその準備にとりかかると同時に、日本人自身の操縦というものも実現するように、努力したいという、きわめて心強い御答弁をいただいておつたのでありますが、本年度この民間航空機の拡充計画について、どういう御計画をお持ちでありますか、一応承りたいと思います。
  23. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 来年度二十九年度におきましては、計画としましてはサンフランシスコまで行きましたアメリカ・ルートを南米まで延ばしたい。それから西の方はバンコックくらいまで行きたい、こういうことで飛行機の手当その他をいたしております。人員の点につきましては、非常に高い給料を払つておるわけでありまして、一刻も早くこれを日本人に置きかえたいということで努力いたしておりますが、何しろ長い間の空白と大型の飛行機、それから航法がすつかりかわつておりますので、一挙に持つて行くことができない。特に一番困りますのは、パイロットは世界中どこに行きましても、大体目よりも耳で飛ぶ場合が多いわけでありますが、耳から入つて来ますのは英語でありまして、そこで腕前と英語の方とがマッチいたしませんので、思うように進まないで悩みを感じている。特に語学が日本人にとりましては絶大な障害になつておるわけであります。しかし逐次養成をいたしまして、現在国内線におきましては、チーフ・パイロットとコ・パイロットがおるわけでありますが、コ・パイロツトは全部日本人に直して飛んでおります。今年秋ごろまでにチーフ・パイロツトも日本人に置きかえたいということで今準備を進めております。国際線につきましては遺憾ながらパイロツトは全部アメリカ人でありますが、乗つておりますナビゲーターと申しますか、航空士、それからフライト・エンジニア、機関士というのでありましようか、この二つの職種につきましては相当に日本人を使つております。なおスチユワード、スチユワデスが日本人であることは申すまでもありません。クルーの中にはそういつたものも乗つておりますが、まず国内線を全部日本人にして、そうして国内線のチーフ・パイロツトを国際線のコ・パイロットにして行こう、それから逐次国際線のチーフ・パイロットに持つて行く計画を立てておるわけであります。
  24. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 航空機の整備関係について、これはたしか運輸大臣が参議院かどつかで御答弁になつたのではないか、何かそういう関係で見たと思うのですが、聞くところによりますと、この国際線に航空機を整備するために、英国のジエツト旅客機ですか、それを買い入れて国際線に使用したいという意向で、もうすでにその交渉がなされておるというように聞いておるのでありますが、これは事実であるかどうか。それから今の説明を聞きますと、長年空白状態に置かれましたために、日本の航空航法についても非常な立ち遅れがあつて、外国人の操縦士を雇い入れてわざわざ高価な操縦料を払わなければ、日本の航空機というものは飛べない。また航空機自体も日本ではただいまではまだまだ生産するには至らない、こういうような事態にあるときでありますから、私はこういう航空機のうちでも最もこれは高度な先端を行く航空機でありますから、一気にそういう計画を立てられることは多少実情に沿わないうらみがあるのではないか、もしこういう高度なものを一気に取入れて、はたして日本人がこの空白を克服するために今行つておりますいろいろの訓練、あるいは国内航空技術の実情から見まして、非常に高度に科学化されております航空機を、日本人自身が使用し得るような技術を修得することができるものであるか。また今申しましたように、それらの点から見まして実情に即するものであるか、こういつたところの大臣の見解をひとつお尋ねいたしたいと思うのであります。
  25. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 コメット機を二機購入することについて、注文がすでに出されておるのでございます。コメット機が出まして、これについては非常に優秀であるという声と、同時にまた何回か事故を起しておる、まだ未完成のものではないかというようなこと等についての論議がいろいろされておるのでありますが、コメット機が優秀であることは、英国はもちろん、アメリカのその道においてもみな認めておるところでございまして、この間から数回事故を起したものは、これは操縦上の事故であつたということが大体報告されておるようでございます。日本がこれを使つて、はたしてそんな優秀なものに一足飛びに行つてどうかという問題でございますが、まだ二年後にこの飛行機が入つて来ることになつております。年で申しますと三十年に入つて来ることになつておるのでございます。これは今いわゆる一番機と申しますか、A型と申しますか、それを土台といたしましてつくられる次の飛行機が入つて来ることに大体なつておるわけであります。飛行機そのものはまず安心だと思えるのでございますが、これに対する訓練、これはやはり初めは外国の航空士にやつてもらわなくてはならぬでありましようが、これは今日本人の飛行士をアメリカ航路でだんだんならしておるのと同じような意味において、訓練をして行くということによつて、飛行機は飛ばすことができるたろうと思つております。なお詳しくは航空局長から申し上げます。
  26. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 コメットにつきましてはいろいろ言われておるようでありますが、現在までにコメットが一九五二年に商業飛行に使われ出しましてから、七回の事故を起しております。二回は軽微な、事故というほどの事故ではございません。あとの五回でございますが、その中でこの間、一月の末でございましたか、エルバ島の沖で落ちました分については、まだはつきりしたイギリス政府からの発表は出ておりませんけれども、その前のものにつきましては、二回はパイロットの操縦が悪くて、非常に足の速い飛行機を急に頭を上げたために、プロペラでございませんので失速状態を起して事故を起した。それから去年の五月にカルカッタの付近で起きました事故は、これは当時の気象ではよくわかつておつたわけでありますが、当時あの場所であのころでございますと、三万五千フィートくらいの高さまで疾風の渦巻があるそうでありまして、このガスの中に突入すれば、戦闘機ですら耐えられないというような状態でございます。そういう中につつ込んで行つたという、気象状況のキャッチができなかつたためこういうことになつております。なお最近の事故によつて、今申しますコメットを全部アメリカに呼び寄せまして、厳重な調査をいたしたわけでありますが、それによりますと、構造上の誤りはなかつたということに政府は発表しておるのでありまして、それにつきましても万全を期するために、二十数箇所の改造を加えまして、その一番機はすでに新聞に出ておりましたが、四、五日前にパリからヨハネスブルグに飛行をして、飛行機自体におきましては欠陥はないものと考えております。なおパン・アメリカンその他外国航空会社九社ばかりが、すでにこのコメットを注文いたしておりますが、パン・アメリカの社長のごときは、こういう事故のためにますます完成されて行くのであつて、われわれは注文を取消すという意思はなくて、さらに一層の改善を企てることを述べておりますので、飛行機自体についての問題はない。特に日航が買いますのは、——今飛んでおりますのは一型でございますが、二型ということであつて大分改良された型でございます。なおこのジェットを使うと早過ぎるではないかという御意見でありますが、申し上げるまでもなく飛行機といたしまして、プロペラ・エンジンの飛行機というものが発達の限界に来て、次はターボ・ジエツト、ターボ・プロツプとかいうことで、これはもう定説でございます。イギリスは輸出をするという見地から国力をあげまして努力をいたして、アメリカに先んじまして、このターボ・ジエツトの飛行機を完成したということであります。アメリカもこれに劣らず、ダグラスにいたしましてもロッキードにいたしましてもボーイングにいたしましても、それぞれ商業航空としてのジェットをつくるべく非常な努力をいたしております。ダグラスと申しますれば、DC、ボーイングではB707ということで、今試作を急いでおります。しかしこういう大きい飛行機でありますと、設計をして、試験飛行をし、売りに出すまでには短かくても五年を要するのでありまして、相当アメリカの方は遅れることと考えております。そのイギリスの輝かしい成功には、アメリカといえども驚嘆しておるというような状態であります。なお余談になりますが、この商業航空機に関しましては、これが相当多量につくられませんと、値段が非常に高くなるわけであります。従いまして現在世界の、ロシア側を除きまして、国際民間航空の定期に使われております飛行機は約三千機あるわけでありますが、そのうち七五%はアメリカ製、一八%はイギリス製、現在日本でできております航空会社は十一社ございますけれども、イギリス製のものを使つておるのはイギリス、カンタスが一部使つておるだけでありまして、あとはアメリカの飛行機であります。アメリカ製の飛行機を買つて来て十分に採算をとつておるわけであります。特に日本のごときは、人件費が安くて、しかもなお乗組員としての優秀の素質を持つておるということが、すでに十分立証されておりますので、世界各国としても日本の発展に脅威を感じておるというようなことでございますので、遅れてスタートしました日本としましても、第二の段階としてすでに飛んでおりますコメットを用いるということは、必ずしも冒険的なことではない、こういうふうに考えております。
  27. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の説明を聞きまして、このコメット機の性能あるいはその優秀性というものについては、英国のような不撓不屈の精神で、非常な熱心さをもつて研究を持続して製造しておるものでありますから、またそれについては各国の信頼を得ておるのでありますから、私どもとしましてもそれに信頼を置かないというのではなくて、私の心配しますのは、あまりにも機が高度な性能を有しておりますために、空白がなくてずつと航空事業を継続していた国の操縦士においても、今まで事故を起しておりますのは、主として航空技術にあるように考えるのであります。そうすると日本は、現在使用しております飛行機でもなおかついろいろの点において、日本人自身で操縦することもまだ単独では不可能のような事態にあると考えますと、なおさらに国際戦において競争をいたします場合には、その飛行機とともに人の優秀といいますか、技術の優秀性が信頼されなければ、私は国際戦上では競争は不可能だと思いますが、そういう点で実情に即するとお考えになつてそういう計画を立てられるのかどうか、これをまず第一点として聞いておきたい。  それから第二点としましては、本年度の予算を見ますと、政府はさらに十億の出資を予定されておるのでありますが、しかしこの日航法によりますと、これは別に法の改正をしなくとも、予算に計上して行けばいいようになつておると思いますが、しかしこれも限度のある問題になると思いますし、そういう問題に政府としては、将来これに対してはどの限度に投資を行つて行かれる考えか、そういう計画もあればお示しを願いたいと思います。
  28. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 第一の問題でございますが、なるほど遅れてスタートしたのだから、そういうジエツト飛行機などに飛ひつかないで、ピストン・エンジンのありきたりのものから逐次やつて行つた方がいいじやないかというような考え方ももちろんあるわけであります。われわれの中におきましても、もちろんそういう考えはございます。日航の中にもそういう考えはございます。そこでその経済性の面、それから技術上の安全性の面というような点に関しまして、諸点を厳重に検討いたしました結果、これならやつて行けるということでこれが注文をいたしたわけでございまして、この点につきましてはさほど御心配はいらないのではなかろうか。そうかといつて、しよつぱなから日本人で全部やつてしまうというわけには参りませんけれども、ピストン・エンジンを運航すると同様程度においてはこなせるという考え方を持つてスタートしたわけであります。  第二の点でございますが、これは資金計画といたしまして、来年度計画、再来年度計画をにらみ合せまして、それからルートといたしましては、ひとまずの目標といたしましては、西はロンドンまで、東は南米のサンパウロまで、それからフイリピン、シンガポール、ジャカルタ、それから朝鮮というものを一応のめどといたしまして、これだけのルートをやるということを考えておるわけでございます。これはもちろん一挙にはできませんので、二、三年を要することと考えております。このための所要資金をいろいろ勘案いたしまして、飛行機その他の点を考えますと、大体資本金としては六十億円を必要とすることになるわけであります。そこで現在は二十億円でございますので、来年度におきましてはそれを倍額増資いたしまして、四十億円にして行くという計画でございます。その一応の目標といたします国際航空路網の拡充に即応する資本は六十億円を予定し、その半分半分をおのおの政府と民間で出資するという計画で進んでおるわけであります。
  29. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 民間航空の諸計画については私はなおただしたい点がありますが、それは保留いたしまして、今提案になつております航空法の一部を改正する法律案の中で、このグライダーの機種のきわめて限定したきめ方なんですが、私は飛行機のことについては、しろうとで全然わからぬのですが、プライマリーの一種にきめられているということは、やはりグライダーの研究について非常な限られた制限を受けることになるのではないか、そのことはやはり本式の飛行機の研究についても、勢い非常に基礎的な条件というものに制限を加えることになりまするから、その発展については、これが阻害になるのではないかというふうに考えるわけでありますが、これはどうですか。事務的にただ安全性ということだけを考えて、そういう発達の面についての考慮がちぐはぐになつて来るのではないかと思いますが、そういう憂いはありませんか。
  30. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 グライダーは御存じのようにソアラーとセコンダリーとプライマリーの三通りあるわけでございますが、そのプライマリーのグライダーについても飛行機と同じように、現在航空局の職員が耐空検査をいたしまして、耐空証明を出しておるわけでありますが、御存じのようにプライマリーは、空にそう高く上つているわけではございませんし、できればこの耐空検査ということ省略はして行つてもいいのじやなかろうか、こういう意見もあるわけでございます。しかしまだ初期の段階でもございますし、また各国でもこれを野放しにいたしておりませんので、まず中間の段階といたしまして、プライマリーについては役所が一々検査をしなくても、役所が整備士の資格のある人とか、プライマリーをある程度つくつたことのある人を耐空検査員に指定いたしまして、その人の検査でも飛ばしてよろしいということにいたしまして、検査の簡素化をはかると同時に、このプライマリーをつくつておりますところが方々にございますので、一々役所から出向いて検査をしなくてもいいというふうにしまして、実情に即した簡素化をはかつた次第でございます。しかしそうすることによつて危険が起るがという御心配もあると思いますが、まずプライマリーでございましたら、そういつた危険はなくて済むのじやなかろうか、こういうふうに考えております。
  31. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 次に航空法改正の具体的な面に行きますと、大体基礎は国際法に基く法の改正のようでありますので、私は当然日本の領内に外国の航空機が発着しまする場合にも、やはりその国の政府から着陸の場所指定されて、そこから発着することは当然だと思いますが、しかしこの民間航空で今改められまする重要な点は、自衛隊——自衛隊ということにはまだなつていないので、保安隊として御説明になつたのでありますが、この保安隊の飛行場に着陸する、その着陸施設を公共の用に供するために指定することができることになることはいいと思いますが、しかし現在日本の保安隊が独立して持つている飛行場は幾らくらいあるのか、あるいはまた保安隊として飛行場を使つておるものは、アメリカとの行政協定に基いて並用しておるのではないかと思いまするが、そういたしますると、この民間の飛行機にこれらの飛行場を使用させるということは、法律的にはできても、アメリカの意図によれば不可能ではないかと思いますが、そういう点について、これは支障のないものであるかどうか、あるいはそれらについては、この法律をそのまま適用して、法律上少しも支障のないものかどうか、私はそういう点に疑念を持ちますので、お伺いしたいと思います。
  32. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 御質問の点はもつともなわけでございまして、現在定期航空が飛んでおります北海道の千歳、東北の三沢、東京、小牧、伊丹、岩国、板付、この飛行場のうちで、日本側に返還されまして航空局が支配しておりますのは、わずかに羽田一つだけであります。他の飛行場は全部米軍の専用に供されておりますので、これに対しましては特に向うと話合いをつけまして、そこへ発着しております。従つて今度の改正によりまして、航空局が公共の用に供すべき飛行場として指定いたそうと思いますのは、そういつた種類のものではないわけであります。すなわち米軍が専用しておる飛行場がたくさんございますが、その米軍の専用しておる飛行場でなくて、たとえて申しますれば、問題になつております北海道の札幌のところの丘球とかあるいは小月とかいうようなところは、すでにこちらに返還になつておりまして、こういう飛行場は保安隊がこれを使いたいという希望を持つておる。本来申しますと、民間の飛行場と保安隊で使う飛行場とは全然別にいたしまして、関係のないことにして、シヴイルの飛行場をつくるということが望ましいのであります。特にアメリカ等の広いところにおきましては、軍用飛行場とシヴイルの飛行場とは区別しております。しかしわが国におきましては非常に狭い土地でございますので、保安隊の飛行場、それから民間航空の飛行場というふうに分立することは実情に合いませんので、保安隊が整備して飛行場を共用するということで、こういう話合いをつけた次第であります。今御指摘になりましたような飛行場、すなわち米軍の専用しておる飛行場は相当ございますが、そう近く返還される見込みもございませんので、そういつた飛行場につきましては、改正規定適用することができない。こういうことになつております。
  33. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はこの飛行場の問題について、これも昨年質問をした中で非常に力強いお答えをいただいたのでありますが、その後今アメリカが使用いたしておりまする飛行場で、以前純然たる民間飛行場として使つていたものは、返還されるように政府も努力をし、向うでも努力をしておるというようなことであつたと思うのであります。たとえてこれを大阪の近郊にとつてみますと、伊丹の飛行場は純然たる民間飛行場として発足いたしたものでありまして、昭和十六年の大東亜戦争が始まりまして以来、陸軍あるいは海軍があそこを使用することになり、その後終戦を迎えまして、アメリカがあそこに進駐して参つて、ほとんど民間航空飛行場としての機能を停止するような状態になり、今、日航機はあそこに着陸をいたしておるのでありますけれども、一向にその後施設の返還がない。返還を確約されるけはいがない。そこで飛行場は、またまたその地方においては飛行場誘致問題であるとか、非常な問題が派生しつつある、こういうような状況にあるのでございまするが、一体こういつた民間飛行場であつたものを軍用飛行場としてアメリカが専有いたしておるものは、どのように本年度は返還されるか、そういつた計画性あるいは見通しがあるかどうか、こういつたものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  34. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 行政協定によりまして、永久使用と申しますかのカテゴリーに入つております飛行場につきましては、この返還はきわめて困難だろうと考えます。しかしながらそうでないものにつきましては、返還して来るものもなきにしもあらずでございます。たとえば北九州の曽根というようなものは最近返還を期し、なおわれわれの方といたしまして非常に渇望する飛行場一、二につきまして返還を請求しまして、しばしば交渉をいたしておりますが、ごく若干はわれわれの希望に沿えるのではないかと思いますが、全体の大筋といたしましては明るい希望が持てないということであります。
  35. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今聞いてみると、去年私が質問をして答弁をいただいたのとは、非常にかわつて来たように実は思うのでありますが、去年の御答弁では、非常な意気込みで、民間空港であつたところはぜひとも早急に返還をしてもらうように、強力に駐留軍との間においても話合いを進めて行く、こういう答弁を私は受取つておるのであります。その後一向に返還されないのみか、私どもの地方の一飛行場を見ましても、大問題をかもしつつある。こういうことでは私は放置しておけない。従つてもう少し強力にこれを推し進められるべきではないかと思いますが、政府においてはその用意がないのか。また今言明されておるところによりますと、一、二の飛行場について返還してもらえるように努力中であるというような御答弁でありましたが、それでは一体その飛行場はどこどこか、支障がなければこの際明らかにしていただきたいと思います。
  36. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 向うの重要なるべースになつております飛行場につきまして、それの返還について希望があるかのごとく答弁をしたとおつしやるのですが、私に関する限りはさような答弁は申し上げた記憶がないわけであります。それから今交渉しておる場所について、さしつかえなかつたならば明らかにしろ、こういうお話でありますが、別に秘密にするわけでもございませんけれども、いろいろな問題、特に向うとの関係においてきわめてデリケートでございますので、どこどこだと申し上げることをお許しいただきたいと思います。
  37. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はまだこの航空に関する問題についても、いろいろ御質問を申し上げたいのでありますが、本日は本会議等の時間も迫つておることでありますしいたしますから、暫時質問を保留して、次会に譲りたいと存じます。
  38. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 局長さんにちよつとお尋ね申し上げたいと思いますが、国内就航の飛行機の機種は、ただいまどういう種類のものを使つておるか、ちよつとお知らせ願いたいと思います。
  39. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 現在定期航空に使つておりますのは、最近一機買つて七機でございますが、DC4型であります。
  40. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 札幌方面へ飛んでおる飛行機もその種類ですか。
  41. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 全部DC4型であります。
  42. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 DC4型の生命は一体どのくらいあるものですか。
  43. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 飛行機も使いようによりましては非常に寿命が長いのでありまして、正確には覚えていませんが、減価償却の点からいいますと、税法上では八年になつております。実際は十年も十四、五年くらいも使えると思います。
  44. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どうも北海道千歳方面へ行く飛行機は、かけがえがないために修理が不行届きで、どうも危険で乗れないという話があるのですが、そういう話を聞いたことはございませんか。
  45. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 そういううわさを耳にしまして、私は日航の諸君を呼びまして、もし危険であるならば欠航してもいいから、無理して定期に飛行してはいけないということを言つております。しかしその心配はございませんので、就航さしておるわけでございます。いろいろな風評が飛ぶわけでございますが、われわれは風評に支配されるわけではございませんけれども、十分な注意を払つておるわけでございます。飛行機については安全性を唯一の生命としなければなりません。また航空局の行政の中心も、何と申しましても航空の安全性ということを第一主眼としなければなりませんので、その点に関しましては、かつて検査の過程において電気まわりの悪いところがあつたときに、アメリカ人のパイロットは飛ばしてもよろしいと言つたときにも、航空局としては無理に押えて、厳重なる抗議を申し込んだことがありますが、さような場合には私の責任において、飛ばすことを許可しないわけでございます。その点につきましては、私は十分の注意を払い、責任を持つてやつておるわけでございます。
  46. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 局長の御確信のあるところのお話を承りまして安心したわけでございますが、どうか人命に直接関係があることですから、今後とも十分御監督のほどを願います。  次にグライダーを学校方面に普及させることについて、当局でお考えになつたことがありますか。何もまだ腹案はございませんでしようか。
  47. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 グライダーが航空思想の普及、青少年のスポーツといたしましてきわめて効果があるものである、りつぱなものであるということは、常々考えておるわけであります。学校方面におきましてこれを使おうという機運も大分ふえておりますが、文部省の方におきましても、非常に残念なことでございますが、これができないということになつております戦後の規定がそのままになつておりまして、一年くらい前かと思いますが、これをやめまして、学校でグライダーをやつてよろしいことになつております。そこでわれわれといたしましては、こういつた航空思想の普及という見地におきまして、予算をとりまして大々的にやりたいというふうにも考えますけれども、現在では遺憾ながら予算がとれません。そこで各新聞社あるいは航空協会等が力を入れて、また文部省の方でもこれを奨励するということでやつておりますので、さしあたりのところはそれで行くよりほかなかろうと考えております。
  48. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 先ほど局長さんの御答弁の中にもございました通りに、乗員養成ということはきわめて重要なことであつて、しかもその乗員たるや昔日の観はなくして、今日ではイングリツシユも、相当進んでいる者でなければ、乗員にすることができないというお話でございますから、学校等においてグライダーを大いに普及いたしまして、りつぱな航空者をつくるということが、躍進日本の前提だと思う。これを抜きにしてはどんなりつぱな飛行機を持つて来てもむただと思う。まず人間を養成するということが大切でございますので、その点当局は十分に御研究の上、すみやかにこういうところにも予算措置を講ぜられるようにお願いしておきます。  以上で私の質問を終ります。
  49. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 山崎委員の申されます通りに私も考えております。幸いにして来年度の予算に航空機乗員養成の機関として、航空大学を設置する予算を計上することができましたので、運輸省設置法にその規定を入れるべく、ただいまその審議を仰いでおるわけであります。十分努力をいたしまして、皆さんの御期待に沿いたいと考えておるわけであります。
  50. 關内正一

    ○關内委員長 残余の質疑は次会に譲ることといたします。  次会は明二十四日午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十一分散会