○中道
説明員
お答えいたします。港湾事業の予算の問題でございますが、ただいまお話がございましたように、海湾事業を重要かつ緊急に整備を要するということにつきまして、私の方で
考えておりまする問題点は、最近の船型が非常に大型にな
つて参
つておりますのと、さらにそれが高速化されております。従
つて船の効率の上昇、さらに貿易市場が戦後変化をして参
つております。従
つて港湾出入の船舶及び取扱い貨物量の増加に対応し得るように、現在建設途上にあります港湾の諸施設を早急に整備したいということが一点でございます。戦後はしけ船が戦災等によりましてはげしい減少を受けております。従いまして港湾の荷役能力が不足しております。また非常に不経済な沖荷役からこれを接岸荷役への切りかえというようなことによりまして、港湾の荷役費を軽減いたしますとともに、荷役の確実、迅速化を期するということのために、特に接岸施設の増強をはかるということが第二点でございます。
次に従来接収されておりました横浜、神戸、
東京、門司の諸港におきまして、返還されつつあります港湾施設はすでに老朽化しております。
相当の復旧改造を必要とします。また
日本側で安全使用を開始するまでには、なお多くの時日を要します。さらに全体の施設が返還されましても、はしけ船の減少及び沖荷役の接岸荷役への移行、また取扱い貨物量の増大等に対応するには不十分でございまして、これら港湾施設の復旧改進を早急に実施するとともに、さらに岸壁施設等の充実をはかる等の必要があるというのが第三点であります。
次は地方港湾の問題でありますが、地方港湾におきましては、統計によりまして、乗降人員等におきまして、全国合計の五五%を占めておりまして、地方開発の基盤といたしまして、また離島、僻地の連絡港といたしまして、また主要港湾の衛星港として、国内海上
交通に重要な地位を占めておるのであります。しかしながら地方港湾の実情はいずれも未完成のものが多いのでございまして、これらを最小限度の
計画を目途として急速に整備する必要があると
考えるのであります。また年間百五十億円に達しまする海難
事故を
防止するにおきましても、効果のある避難港の建設を進めたい、こういうふうに
考えております。これが四点であります。
次には港湾地帯を高潮被害から防禦するための高潮対策
工事、及び港湾区域内におきまする海洋の決壊並びに中国、四国、近畿地方の地盤沈下等の地盤変動によります被害
防止対策
工事の、すみやかな完成をはかりたいということが第五であります。
次にジェーン、ルース台風のような惨禍がまだ全部回復しておりません。災害が回復しておりませんうちに、今回の十三号台風によります被害を受けまして、港湾災害の復旧ぐあいというものが、まだ六割にすぎないというふうな
状況でございますので、港湾の機能に及ぼしておる影響は非常に大きいというふうに
考えております。これが増破
防止という見地からも残
工事をすみやかに完成したいというふうに
考えております。
それから先ほどお話のありました港湾
工事の進捗
状況でありますが、港湾
工事といたしましては、
昭和三十二年度を目標にいたしまして、
昭和二十八年度から、五箇年
計画を樹立いたしております。その
計画に基きまして現在実施を進めておるわけでございますが、毎年予算の関係でこれが十分実施されるというふうな
状態にはな
つておりません。二十八年度予算までの
状況を申し上げますと、特定重要海湾におきましては、港の数が十二港ございますが、それが約5%の進捗率を示しております。それから重要港湾におきましては約一一%、避難港におきましては約九%、地方港湾におきましては約一〇%というふうな進捗
状況でございまして、われわれが
考えております港湾の整備に対しましては、まだ
相当の開きがあるのではないかというふうに
考えておる次第であります。
それから予算の
状況でございますが
昭和二十九年度の港湾関係の公共事業費といたしまして要求いたしております
状況を申し上げますと、港湾の事業費といたしましてこれを災害復旧事業費と港湾事業費とにわけて
考えますと、
昭和二十九年度におきましては総額が三十八億七千八百万円というふうに要求しております。災害復旧費におきましては十六億九千九百万円というふうに要求いたしております。それに港湾の附帯事業費を合せまして、二十九年度の港湾事業費の合計といたしまして五十六億四千七百万円というふうな数字にな
つております。なおそのほかに北海道開発庁の関係といたしまして、北海道の港湾事業費が六億四千八百九十万円というものが開発庁の方に計上されております。従
つてそれらを全部合せますと、
昭和二十九年度におきます港湾関係の要求額といたしましては、約六十二億九千六百万円というふうな数字にな
つております。