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石井国務
大臣 交通行政の立場から考えますと、私
どもは国内の空、陸、海、それからまた国際
関係のこれらのものというどちらに——もちろん一致した歩調でものが運ばれなければ、全体的な交通というものは完全にはでき上らないのでございます。国内だけ大事にして、国際間のものを無視するわけにはできず、国際間のものばかり考えて国内のものを無視しては、これはもちろんできないわけでございますが、今度の
予算におきまして、私
どもがとりました措置で、今海運の助成のま問題が問題にな
つておるのでございす。この海運の
利子補給は、昨年の春ころから初めて一部
実施され、昨年の八月から
政府資金が三分五厘、市中銀行の利子が五分という線まで補助することにな
つたのでございます。今度は平年並の計算になりましたから、三十数億の
金額が計上されることにな
つたのでございます。私
どもは緊縮の際でございまするし、
政府の支出がなるべく一方に偏しないように願うのは当然でございます。それで今度の
利子補給にいたしましても、
政府は昨年八月始めたばかりでございまして、まだ利子の手渡してないところもあるくらいな
状態でございますが、これの
財政資金の開発銀行に対しまする
政府の補助は、市中銀行の五分と同じ
程度までの金利に上げることにいたしております。その残りの一分五厘は開発銀行自身が利子を安くするというようなことにして、
政府の負担面を五分の線まで返して来るということになるような
状態でございます。船の方には非常に厚いように見えますが、私は
日本の海運が
戦争前までは行かないでも、私
どもが昨年からしきりに言
つておりまする百二十万トンをどうしても四箇年の間につくりたい、これによりまして
戦争前の七〇%の外航船舶を持つことができる、そこまで行かなければ、世界の海運界において発言権がないとさえ思えるくらい、ひ弱な
状態だと思うのでございます。
日本が
戦争前に非常に強か
つたというのは、国力の強さもありますが、その中に伸びて行きました船に対しましても、
利子補給もすれば、航路の補助もいたすということで、海運の発展ということには非常に大きな援助をや
つたからでありまして、世界の海運界にあれだけの地歩を占めることができたのでございましたが、残念なるかな、
戦争中めちやくちやに船がなくなりまして、そして船会社は戦時補償もとれないのでありますから、
自己資本というものを持たす、借金ばかりでやらなくちやならぬというわけで、や
つておるうちに今度は昨年からだんだん市況が悪くなりまして、昨年あたりはどうにも元金はおろか、利子も払えないという
状態にな
つたのでございます。それで世界的に競争するには、どうしても利子の補給をしなくちやならないということが今日に及んで来ておるわけでございまして、それによりまして外貨の画にもようやく貿易外収入としての外貨の収入も、少しずつかつこうがついて参りまして、今
年度は約二億ドルの収入を上げることができるだろうと思います。これは私
ども貿易外の収入として非常に喜んでおるわけでございますが、それでは国内はどうかといいますと、いろいろ
災害を受けまして、それの
復旧ということを
国鉄などにおいては第一歩の問題として取上げておるのでございます。港湾その他交通
関係のものすべてそうでございます。幸いにいたしまして、
国鉄も昨年から本年あたりにかけて、
戦争前に比べて鉄とかその他の資材、すなわちレールその他の購入がようやく
予算面においてかつこうをなすようになり、それを
実施することができるようにな
つておるわけでございます。そこで
鉄道といたしまして一番の悩みは、そろばんが合わないということの大もとは、御承知のように
物価の
騰貴に比例いたしまして、
運賃収入が半分にしかならないというところに悩みがあるのでございまして、これを多少でも
増加する。また中の経営の方も、今も
相当や
つてくれているように私
どもは思うのでありますが、さらに
客車とか貨車、
線路その他のものが増強されまして、収入の面もそれによ
つて上つて来る、合理化もできるということになることを期待しておるわけでございますが、今申しまするように来
年度の
予算の乏しい中でも、この修復の面だけは初めからわれわれが聞いておりました
通りの
予算を一つも
削減せずにや
つておりまして、だんだんとこれで
改善されて行くと思うのでございます。ただ
客車とか貨車の数を増すことがどうも今度の
予算でできないのが、一つの悩みでございます。そのほかの国内の私鉄につきましても、いろいろ国策的な
意味から、また民生の立場から、経営者からいえばやめたいというようなこともあるものの、どうしてもやめられない線等がありますので、それらに対しまして今後できるだけの援助を与えて、乏しいけれ
ども予算を組んでや
つて行くというようにしておるわけでございます。私
ども全体がバランスを得るような
政府をとることを頭に入れて考えながら、今のような
方法をと
つておるわけであります。