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1954-02-06 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月六日(土曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君       世耕 弘一君    高橋圓三郎君       徳安 寛蔵君    南條 徳男君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       青野 武一君    中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局)  中村  豊君  委員外出席者        日本国有鉄道総裁 長崎惣之助君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 二月六日  委員小平忠君辞任につき、その補欠として吉川  兼光君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月五日  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請  願(小林かなえ紹介)(第七四九号)  同(徳安寛蔵紹介)(第八二五号)  同(平野三郎紹介)(第八二六号)  長崎、佐世保間に鉄道施設請願本多市郎君  紹介)(第七五六号)  塩釜港に一万トン岩壁工事施工に関する請願(  竹谷源太郎紹介)(第七五七号)  宇都宮駅南方東北本線ガード改築に関する請願  (佐藤親弘君外一名紹介)(第七九六号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関する質疑を続行いたします。山口丈太郎
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 まず総括的に私は昨年の質疑に引続いて、続行の意味で御質問申し上げたいと思います。  大体本年度予算関係を見ますと、これは昨年も同じことでありますが、海運関係予算陸運関係予算との均衡がどうもとれていないうらみがあると思います。言いかえますと、あまりにも海運偏重予算ではないかと考えますが、運輸大臣はこの予算編成にあたつてどのように陸運行政をお考えになつてこういう予算を御承認になつたか、ひとつその所見を承りたいと思います。
  4. 石井光次郎

    石井国務大臣 運輸省といたしましては、陸海空ともに一体となつて日本交通網というものがりつぱに運営されることが望しく、またそういうことを絶しず今頭に置いておかなければならぬと考えております。それでどの点につきましても同様な注意と熱意とをもつてこの仕事に当つておりますが、船の問題で融資関係――外航船関係でありますが、融資の面とか、あるいは昨年から始まりました利子補給とかいうものが、来年度は平年化するものでありますから、利子補給も多くなり、それから融資は、本年よりは来年は全般の比布が下つたのでございますが、きのうもいろいろ申し上げましたように海運の、特にこれは世界競争という面、それによつて外貨獲得ということのためには、ある点まではどうしても力を入れて、なるべく早く回復させなければ、日本海運というものがますます立ち遅れになる。戦争のために戦前の状態に帰つていないのは日本ドイツだけでございますが、ドイツなどは非常にいろいろな点において国家が援助いたして回復に努力いたしておりますし、それがひいては、造船業の方にもいろいろな援助がありまして、日本よりも有利な条件のもとに非常な造船をやつている。日本では去年から今年の初めごろまでにかけまして相当な船の注文が来ておつたのでありますが、これは値段は高いけれども仕上りが早いというところで船の注文がたくさん参つたおりました。ところが本年になりますと、世界運賃マーケットがずつと低くおちついてしまつたものでありますから、急ぐことはないということになり、日本のような高いところに頼む必要はないという状態で、ことしの年度の初めごろなどは、ほとんど注文日本に来ないような状態でありました。これは何とかしなければ造船業界も参つてしまうであろう。少くも大体一割ぐらい下げられるようにするにはどうしたらいいか。そうすると大体競争できるのではないかということを考えておりました。それはいつかも申し上げましたが、日本造船に使います特殊な鉄鋼が――ドイツとかイタリアとかはほとんどこのために特別な費用をとらないでやつてくれているのですが、日本では技術がそこまで行かないのか、造船用に使う特殊の規格にするのには一万円強割高になる。この点を利子の面でいろいろやつてくれまして――これは日銀とかその他でございますが、やつてくれまして、約七千円から八千円ぐらい下つたと思います。これが非常に大きな力になりまして、この二十八年度は十万トンの外船注文を受けたいと思う。大体それに近いものをこのごろになつて注文を受けることができるような状態になりました。そういうふうなこと等で、造船の面からもそうであり、それから海運の面でも、きのうもいろいろ申し上げましたように、どうしても一番ひつかかる問題は、外国競争して負けるのは金利の点であるのです。それでできるだけ下げるようにということで下げてもらつたわけであります。しかし同時に、きのうは申し上げなかつたのでありますが、御参考に聞いていただきたいのは、町の銀行に対しまして、政府はこれだけの援助もするし、それから造船業者合理化をはかり、海運業者努力して、世界マーケット競争して行くにはなかなか苦しい状態であるが、金融業者が、この利子補給等がありますと、それだけ利子払つてもらうことが非常に楽になるわけであります。金融業者自身も少し負担すべきじやないかということで、私は昨年金融関係人たちに集まつてもらいまして、何とかしてひとつ利子を下げてくれということの話をしまして、大体年に七厘何がしかたけ下げてもらう。平年になりますと、大体三億見当利子が下るわけであります。これを金融業者は、船の業者がまだまつらいのだからその方にまわしてくれという希望がありましたけれども政府がこれだけの援助をしておつてこれでわれわれはやつて行けると思うのだから、これは政府の方に入れべきだということでようやく話をつけまして、政府の方にその金が入ることになつているようなわけであります。できるだけ競争には耐え得るようにしたいけれども、甘やかしてはならない。政府の負担もでぎるだけ少くすることが、できるなら少くしたいというようなことで、私どもはそういうこともやつて来たわけでありますが、いずれにいたしましても本年は八月からですが、来年は平年になりますから、非常に大きな金額になつて、三十数億というようなものが出ているわけであります。これも政府開銀に対して三分五厘までになるよう、利子補給することに、本年度予算になつているわけであります。これが来年度予算では五分に返すことになります。これはどういうことになりますかというと、開銀が貸す利子を一分五厘は安くするというようなことで、政府の方は五分に返すというようなことも予算に出ているわけであります。そういうわけで海運の方の助長はぜひやらなくちやならないと思つておりますが、今申し上げたようにできるだげのものはやつて行くつもりであります。  それから陸の方の問題、特に鉄道の問題でありますが、海運の方には何でもかでもやつてつて、睦の方、特に国鉄私鉄その他に対しましての行き方もまた十分じやないという御注意がきのうもあつたわけでございますが、私どもといたしましては、国鉄などは修繕改良と申しますか、安全度を増すという点にはできるだけの予算、経費を組んでいる。ただ新しく延ばすという点が、どうしても運賃値上げ等ができない、それから中のいろいろな雑収入を増す、たとえばいろいろなところの賃貸を値上げするとか、あるいは不要のものを払下げをするとかいたしまして、収入を増すことにいたしましても、よう早く今のような修繕改良の方に力をいたすことができるだけで、新規の方両は非常に手薄になつていることは、まことに残念であります。財政資金もひどく圧迫を受けまして、運賃値上げも二等、一等の通行税外わくにしただけでございますから、非常にきゆうくつた予算になつていることはまことに遺憾でございますが、事実その通りでございます。そういうわけで、私どもといたしましては海、陸、空ともに力をいたすつもりでありまするが、今のように予算の上で利子補給等の数字が非常に多くなりますのは、ことしは平年並になつたためでございます。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 承りますと、乏しい財政資金のことでありますから、それに対する予算化につきましては、非常に困難を伴うことは私も承知をいたします。しかしこの外船舶の急速なる復興の方向も、やはり日本船によるドル節約、あるいはドル収入増加、こういうところに重点が指向されておると思うのであります。そういたしますると、それを陸海空で申しますと、大臣も御承知のように、この陸運行政上から、ドル節約をもつとやつて行く方法が幾らでもある。たとえば外車輸入筆につきましは、ももろんドル割当等行つて政府はそれに対して抑制措置を講じられておるのでありますけれども、しかしまたその盲点をくぐつて、正当あるいは正当ならざるいろいろの手段によつて政府意思以上の輸入車が町に氾濫をしている、こういうようなことを聞くのであります。それは通産省の所管と思われるのでありますが、しかしそれの実際の運用面につきましては、やはり運輸省所管とされるものだと私は考えております。そういたしますと、このような外貨節約を行うためには、やはり乗用車などもあのように目にあまる外車氾濫抑制して、むしろ国内作業を発展させ、国内内燃機産業世界水準に高めて行くためには、相当の奨励をいたしましても、決して日本財政に大きな損失を与えろものとは考えないのであります。こういう点について、将来この国内内燃機産業政策に対して、どういうお考えをお持ちになるか承りたい。
  6. 石井光次郎

    石井国務大臣 自動車の輸入問題については、全然あなたと同感でございまして、まず日本国内でできる自動車が全部はけて、それでどれだけ足りないかという線で輸入量をきめているわけでございます。日本のものもひつくるめてこれだけた、それから先は自由競争だというような形はとつていないのであります。私どもは国産を奨励し、そして安くていいものが一日も早くできて来るようにということで、今は不十分の点もありますけれども国内産の自動車がまずはける点を考えて、ぜひ買わなくてはならぬ分量があれば、それだけ輸入する。輸入するのも、高級車を押えて、そして実用車にかえたいということで、これは閣僚審議会でも私は強くその線を持ち出しまして、数の上においいても、それから品質の上においても制限を加えるということについて、今実行いたしているわけであります。ただ御承知のように、町にどんどんまだ高級車が出て来る一番の悩みは、アメリカ日本に駐留している人たち自動車が町に売られている。これは直接にはドル払いにはならないわけでございますけれども、間接的にはやがてそういうことに響くわけであります。これを何とか押えたいということで、私この問題も持ち出しましたが、実情は、今アメリカ人たちの風習がそうだというのでありますが、半年たつと自動車を一台買いかえていいということになつているのであります。そうすると、かりに三年日本にいるとして、そしてその通りつて行けば、六回かえられるということで、そのうちの五台なり四台は、一人の人で町に売るというようなことに数字的になる。いずれにしてもこれをもう少し制限して、せめて一年とか一年半とかいうことにしてもらえば、ずいぶんこれは違うのじやないか、何とかしてそういうふうなことを押えて行きたいということを、この間の外貨問題の閣僚審議会のときにも、重ねて大蔵省やら関係方面に話をしているわけであります。御趣旨は全然あなたと同じで、そのつもりでやつております。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 外車抑制につきましては、十分にその抑制方について努力していただくように、私はお願いしたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、昨年成立を見ました地方鉄道軌道整備法に基く予算関係でございますが、これは当初運輸省では、私の聞いたところでは、三億ないし四億の予算が必要だということを聞いたのであります。ところが予算書を見ますと、わずかに二千五百万円というような少額のものに削られているのでございますが、こうなるとこれの対象会社は一体どの程度にお考えになつているか。また今日の日本私有鉄道の中で、実際独立して採算のとれる会社というのは、全国で十数社にしかすぎないと私は考えます。あとのものは、ほとんどが創立以来赤字経営を続けておるという状態にありますが、しかしこれをこのままに放置しておきますことは、企業それ自体のみならず、その従業員も非常に低い賃金で生活に迫われろというようなことで、ひいてはその地方産業開発にも、施設不十分等から、私は重大な損失をもたらすものと考えます。こういう点につきまして、なぜこのように少額なものになつたかということと、それからその対象会社を一体どのように考えられるか、この二点についてお尋ねをいたしたい。さらにこの予算は、国鉄利子補給の問題とあおせ増額する意思はないか。あるいはこの運輸省関係予算の中で操作をして、増額をする余裕がないか、お尋ねしたいと思います。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 地方鉄道整備法に関する今のお尋ねの詳細は、鉄監局長から御納得の行くように御説明申し上げますが、最後におつしやいました運輸省予算の中でやりくりして、これをもう少し増すような方法はないか、あるいはそのほかの方法増額することばできないかというお尋ねでありますが、それはほかの方もみんな切詰められ、切詰められて出した予算でありますから、この方に特にまわすということは今日なかなか困難だと思います。内容につきしまして今お尋ねの点を局長から申し上げます。
  9. 植田純一

    植田政府委員 お答え申し上げます。地方鉄道軌道整備法につきましては、御承知通り北海道開発鉄道に関しましては、従来から法律があつたのでございますが、それによりまして本年度も約九百八十万円予算に計上されておりますが、それ以外は全然新規事項でございまして、実は二十九年度予算要求におきましても、相当多くのものを対象とし、また金額におきましても相当多額予算を要求いたしたのでありなすが、先ほども申しましたような新規事項につきましては、全般財政上極度に抑制するという方針がとられまして、そういうようなことで非常な削減を受けたわけであります。予算のきまります過程におきまして、いろいろと折衝を重ねたのでありますが、予算といたしまして二千五百万円ということに相なりましたような次第でございます。  なおこの対象となります鉄道につきましては、御承知通りこの法の趣旨が、新線補助にいたしましても、また欠陥補助にいたしましても、無条件補助がきるという趣旨ではございませんので、いろいろと補助をいたしますにつきましては制約がございます。そういうような関係で、この予算が非常に削減になりまして、どの程度対象考えておるかというふうなお話でございますが、具体的には現在また政府部内におきまして、どういう会社対象とするかということにつきまして現存折衝中でございます。大体そういうようなわけでございますので、具体的にはまだ実は決しておりませんが、北海道の従来から補助を愛けておりました鉄道以外に、新規にこの法律によりまして補助対象になる鉄道はきわめて局限された、わずかなものになる、かような見通しでございます。
  10. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 地鉄整備法関係に基きまするものはあまりにも少額に失するので、もう一度考え直してもらいたい。ただ私は企業の安易な運営だけを強調よるような考えではないのでありまして、やはりそのみじめな私鉄沿線の乗客の便宜に伴いまする沿線産業開発と同時に、従業員生活環境の安定を願うためにも、今のような御答弁でなくて、ぜひとももう少し範囲を広げてもらいたい、こういうふうに考えるのであります。今の答弁で行きますと、何か局限された特定会社を目標にに、この法律ができたような感じを持つのであります。そうなりますとこの私鉄整備法関係におきましても、またまたいろいろの疑惑を生むようなことがないとも限らない。運用の面においてはそういうことを生ずるおそれがないとも限らないのでありまして、従つて初めから法の運用にあたつて特定会社に限定されるような範囲施行をもつていたしますことは、非常に遺憾だと思います。  次にお尋ねしたいのは、自動車関係できのうお尋ねいたしましたが、今度は税の改正で、ただいま閣議でも非常に御論議になつておるようでありますが、これは本来ならば行政管理庁長官に来ていただいて質問をすれば一番適当だと思うのでありますが、あまりにも自動車関係の税金が高率になつて、一年足らずの間に五倍、六倍という多額の税を課せられるようになるということを聞くのでありますが、そういたしますとそれはどこへしわ寄せになるかと申しますと、やはり運賃に影響して行くか、さもなくば労働条件その他運用条件を切下げて、運用しなければならないということになると、非常な犠牲を従業員に伴うことになる。またそのようにしてとりやすいところから税を取立てるということが常識化して参りますならば、これは軌道の上を走つているのとは違つて、車体の整備等においてもきわめてなおざりになるおそれが生じて来る。そうなりますと、その後に来りまする輸送安全性というものはきわめて危険な状態になるのであつて、ゆゆしい問題を生じて来ると私は思うのであります。こういう点につきましては、十分に考慮を払つて運輸大臣は御努力をなさつていると思いますが、この自動車税、いわゆるガソリン税増額とか、いろいろの自動車税関係のいきさつについて、もう一度私は聞かしていただきたいと思います。
  11. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは昨日もお答え申したのでありますが、自動車に対する地方税の、特に軽油を使つておりますディーゼル車に対して、非常に急激な税の増加になつて、どうも納得ができないので、きのうも塚田長官の方に果議を申し立てたのでありますが、なお折衝中でありますが、大分話がかわつて、ある点に私どもの主張の一部がいれられるのではないかと思つておりますが、なお続けて折衝いたしております。
  12. 竹谷源太郎

    竹谷委員 関連して……。私は運輸大臣日本国有鉄道経営の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。日本国有鉄道は発足以来数年になりましたが、この日本国有鉄道というものを公共企業体として、特殊な形態をとらせましたゆえんのものはいろいろありましようが、独立採算制のもとで企業合理化をやり、コストの引下げをやつて、国民の要望にこたえたいというのが、非常に大きなねらいであつたろうと思うのでありますが、これにつきまして運輸省当局並びに日本国有鉄道当局が、技術改善向上並びに企業合理化のためにいかなる努力をし、研究をし、そうして、その結果に基いてどのような企業合理化の実を上げ、コストの引き下げが実現をされたか、これを運輸大臣国鉄総裁の御両名にお伺いをいたしたのであります。  申すまでもなく日本国有鉄道はわが国における最大事業でございまして、この企業合理化日本国有鉄道においていかに行われたかということは、ひいて日本のあらゆる産業の模範になることと思うのでありまして、この意味合いから申しましても日本国有鉄道の経常の合理化という問題は、日本産業界最大、緊急な問題であろうと思うのであります。諸外国鉄道の例を見ますと、私はよく承知はしませんが、アメリカは大体私企業経営しておるようでありますが、ヨーロッパ各国は多く国営となつておるように承知いたしております。フランスは現在多少の赤字を出しておりますが、イギリス西ドイツ国有鉄道はそれぞれ黒字経営でございます。さらにこれらの国々日本と違いまして、網の目のように鉄道網がしかも複線で敷かれておる。そうでありますにかかわらず、日本よりも人口密度は低い、そのほかに自家用自動車も非常に発達をしておりまして、旅客は自分の自動車あるいは自動自動車あるいは飛行機を利用する。貨物につきましても、道路が非常に整備されておりますから、貨物自動車でたくさんの貨物をどんどん輸送ができる。こういうふうな点から見ますと、日本人口密度が高く、利用者の数が多いから旅客も多い。貨物もどうしても鉄道によらなければならぬものが多いので、自然国有針道貨物輸送量が多くなつて来る。こういう点から見ますならば、日本はむしろそれら欧米各国に比べて、はるかに運賃収入旅客においても貨物においても多くなければならない。これはしろうと考えても当然そういう結論が出て来るに違いないのであります。しかし私がこう言いますと、向う貨物旅客とも運賃が非常に高いのである、日本は他の物価は三百倍ないし五百倍になつておるが、鉄道運賃は百何十倍くらいの程度にすぎない、これが赤字の原因である、こうおつしやるかもしれませんが、しかしながら旅客あるいは貨物輸送現状を見まするならば、日本国有鉄道は人間をまるで貨物扱いに、積み上げるようにして、荷物のようにして送つております。向う鉄道は百人の定員のところを二十人か三十人で、がらあきであり、しかもそれが二十分か三十分おきに、幹線をどんどん旅客列車貨物列車も通つておる。こういうふうにして利用者の非常な便宜をはかり、快的なる汽車旅行ができるような、そういうサービスをやつておりながら、西ドイツ及びイギリスにおいては黒字経営をやつておる。むろん日本運賃が非常に安いとおつしやるかもしれませんが、これらの国々に比べまして――貨物運賃のことは私は詳しく知りませんが、旅客運賃においては日本に比べて欧米旅客運賃は、まず平均して二倍半くらいであろうと思う。三等を対比いたしますと、二倍半ないし三倍でございます。ところが、同じ列車日本ではその四倍も五倍もの旅客輸送しておる現状であります。こういう点から言いますと、日本の方が利用率と料金を対比して、むしろ収入が多い現状であると思うのであります。しかるにもかかわらず非常な赤字を出してどうにもならない。少しばかりの職員のベース・アップをするために、一々運賃値上げをしなければその財政需要を満たし得ない。こういうようなことば明らかに企業がきわめて不合理に経営せられておるか、何らかの欠陥があるのではないかと、こう思われるのであります。  先般問題になりました鉄道会館のような、ああいう乱脈な経営ぶりが至るところにあるのではないか。この点は昨日も山口君から質問があつたのでございまするが、日本交通公社に対する何十億という債権を取立てないでおる。あるいは日本通運株式会社、これらに対してもやはり四十何億の貸金があつても、ちつとも取立てをしない。百億近くの金が寝ておつたんでは、これは保全経済のような高利で利回りするというようなことでなくても、普通の金利でありましても、年に数億ないし数十億の金利国有鉄道が損をしておる、こういうようなことになると思うのであります。これは、あるいは高架線の下の用地の貸付料はもつと高くはできないか、あるいは物品の購入などもつと安く買い入れるなり、あるいは工事費用をもつと切下げて施行ができないか、こういうようなしろうとで気のつくような点だけでも、多々改善されなければならぬものがあるであろうと思うのでございまするが、運輸省並び国鉄当局は、あらゆる合理化の面についていかなる努力をし、研究をし、そうしていかなる研究の結果が得られたか、その結果に基いてどのような経営合理化をやり、そうして経費の切下げをやることができたか、コストはいかように下つたか、それをまず第一にお尋ねいたしたいのであります。
  13. 石井光次郎

    石井国務大臣 国鉄経営合理化は、あれだけの世帯でございまするから、絶えず心にかけておらなければ、十分に能率を上げ、最小の費用最大の効果を上げるというようなことはなかなか困難なのでございまするから、この問題につきましては、国鉄においても年中考慮をいたしており、人的の関係、あるいは資産等の関係、あるいは経理等の扱い方につきましても、また運行の面につきましても、その合理化については絶えず努力してくれておると思うております。私どももその問題は絶えず要請しておる問題であり、運貨の値上げができない際においては、特にこういう問題に力を入れなければならないということで、話合いもいたしておるわけでございます。詳細な点につきましては、どういうふうにやつておるか、どういう心持でどういう点にやつておるか、国鉄当局からお答えいたします。
  14. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの御質問は、私どもにとりましてまことに頂門の一針でございます。どういうふうに合理化をするのか、どういうふうに運営をしておるのかというような、一般的な、非常に広い視野に立つての御質問でございます。私も昨年、いやいやでございましたが、欧米各国の事情を拝見して参りました。お話の通りアメリカは別でございますが、ヨーロッパの各軌道はほとんど国有でございます。これは非常に私どもの参考になるのでございまして、今お話がございましたが、私の見たところでは、必ずしもイギリス西ドイツも決して良好なる黒字の成績を上げているとは私は思いません。特に西ドイツのごときは非常に多数の人間をかかえておりまして、どうしてこんなに人間が多いのか、人間が多過ぎはせぬかと言いましたところが、あそこの国鉄総裁フローネ氏は、まさにその通りだ、人間を減らしたいのだ、減らしたいけれどもどうにもならないのでかかえておるというような状況で、非常に困つているという話をしておりました。しかしお話のような、たとえばフランスあるいはベルギー、イギリスにいたしましても同様でございますが、戦災の復興につきましては国が国鉄に対して非常に援助をいたしております。あらゆる面において貸金をする、あらゆる面において復興についての資金というものに対して非常な援助をいたしております。しかるにわが日本におきましては、さしたる援助をしていないと私は考えております。数千億の資金を投じて非常な援助をいたしております。またたとえば経済政策的に運賃の割引をしなくてはならぬという場合においては、その欠損は全部補填をいたしておるというふうな措置もとつております。日本においてはこれは歴史的なものでありまして、たとえば定期のごときは八割、九割、はなはだしきは九割二分まで割引をいたしておる。これは沿革的なものでありますから、何もこれに対して政府援助をしなければならぬということを強制的に申し上げるわけではないのですが、国の全体の財政、経済の面から見まして運賃の引上げがいかぬということになりました場合においては、これに対して相当の補償をするということをはつきり政府国有鉄道の間に契約をしておる。そういう面もよくごらんを願いたいと思います。むろん各国の鉄道ことごとく、物価と同じように運賃も上つておりません。大体においてフランスにおきましても、まだおそらく三割くらいは押えられておるはずです。ベルギーも同様であります。しかし日本のように物価が三三三に上なつておるのに、運賃が一三〇ないし一四〇だというような国はございません。私がそう言うだろうという御質問でありましたが、これはあまりにも私は押え過ぎているのではないか、もう少しやはり見てもらつてもいいのじやないかと思います。われわれの努力も足らないかもしれません。しかしながら、たとえば現場の人たちはあまり滅つておりませんけれども、いわゆるホワイト・カラー、一般行政と同じような仕事をしている人間を比べてみますと、昭和十一年は全体の人間に対して約一割であつたのであります。今日はこれが四分六厘であります。半数以下に減じております。昭和二十二、三年、これは六十万以上を越しておつた人員が四十四万に滅つております。十数万人減つておる。しかも戦前においては労働基準法はございません。この労働基準法の結果ふえました人員は約二割であります。でありますから、もしも労働基準法をここではずすということになりまして、昭和十一年ごろの戦前のいわゆる労働状況に返すということになしますれば、ここにおいて約八万人くらいの人員を減らし得る可能性はございます。それがいいか悪いかは別問題であります。そういう点も御考慮の上にごらんを願わないといかぬと存じます。  なお皆さんはよく鉄道は独占企業であるというふうにおつしやいますけれども、現在は決して独占ではございません。独占の王座は非常にゆらぎまして、バス、トラックにごらんの通りたいへんな人員と貨物と食われております。しかるにいかがでありますか。一体運送業というものは、船舶業者は船だけしか持つておりません。港湾、燈台、そのほかの設備は全部国ないしほかの人がやつております。航空事業も同様でございます。バス、トラックも、バスとトラックを持つておれば仕事ができるのであります。しかるに鉄道だけは全部自分のところでやらなければならぬ。これは独占の時代におきましては当然であろうと思います。しかしこの独占の地位がゆらいで来た場合において、何もかも全部やらなければならぬということは、これは大いにお考えを願わなければならぬ点ではないかと思います。現にフランスあるいはその他の欧米の各国におきましては、地上の工作物、信号、保安というような施設につきましては、六割までは国が負担をしようじやないかという契約をいたしております。国道の踏切りにつきましては、国と国有鉄道とが半々の負担をいたしております。現にそういうことが行われておるのであります。かような観点を私は往々に強調しようと思つておりますが、ぜひそういう点にも御考慮を払つていただきたいと思います。あらゆる点において時代はかわつて来ております。交通の情勢はかわつております。  さらに昨日米問題になつております新線の問題につきましても、私は新線をやるなとは申しません。私は日本現状から申しまして、新線は必要な場合があると思います。しかしながらその全部の負担を国鉄が負わなければならぬという理由はないと思います。眠つておる水が動力にかわる、眠つておる森林が活用されるということによつて日本には確かに財貨がふえるのであります。しかしながらその結果の損失を全部日本国有鉄道だけが負わなければならぬということは、あまりにも不合理ではないか。そこで大臣にも申し上げてありますが、少くとも借金の利息くらいは何とかしていただきたい。われわれの調べたところによりますと、今着手しております三十線ができますと、大体五十億ないし百億の損失になります。現在線におきましても、二万キロのうち約二三%しか黒字線はございません。あとの七七%は全部赤字線であります。いわんや今後できます鉄道におきまして、黒字線があると思われないのであります。百億の借金が一体いつになつたら解消するか、おそらく十年じやない、二十年、三十年の長い間かかるのじやないかと思います。かりに二十年かかるといたしましたならば、五十億ありましても一千億となつてしまう。現在の運賃収入は二千数百億でありますから、毎年その赤字を埋め合わせるなら、これはゆゆしき大事であります。過日の建設審議会におきまして私はそのことを申し上げたのでありますが、何かの措置を講じない限りにおいては、日本国有鉄道は破滅になつてしまう。滅亡するということに立ち至るのであります。しかしながら鉄道というようなものは、非常に堅固な工作物が多いのでありますからして、大体二十年ないし五十年くらいの命数を持つておる建設物が多いのであります。これがだんだん弱くなつで行くということは目に見えないのであります。しかしある一定の期間が経過した暁におきましては、たいへんなことになつて来るのであります。そういう点からいたしまして、昨年来私は二割五分の運賃値上げないし三割の運貨値上げということをお願いしたのでありますが、国の経済全般の上からそういうことは認められないというお話でございまして、この窮状においてもお認めくださらなかつたのでありますが、私の説明も足りなかつたかと思います。  そういう情勢でございまして、なるほど経営合理化ということについても、大いに努めなければならぬ点があるかもしれませんけれども、先ほど申しましたように、人員等の点におきまして、相当に努力をいたしております。現に今年度におきましても、十億になんなんとする経費の節約をいたしております。今後におきましても、もとより御指摘の点、物品の購入、あるいは人間の使い方の問題について、あらゆる努力をいたすつもりでございますけれども、これはおよそ限度がございます。要するに物価が三百三十倍になつている場合におきまして、運賃が百三十ないし百四十倍であるということは、欧米各国に比較いたしましても、あまりにも押え過ぎているのではないか。新線にいたしましても、なぜそんなに赤字が出るのかと申しましたならば、新線は大体四百倍の建設費を要します。昔でありますと、大体一キロメートル十四、五万円でできたのであります。今日では、六千万円ないし一億かかります。そういう新線を建設しておきながら、運賃が百四十倍、百三十倍というのでは、合わないのは当然でございまして、今後われわれが、現在ある線をとりかえて行く、あるいは直して行くという場合においても、相当な金がかかるわけでありますから、引き合わなくなつて来て、いずれはたいへんなことになります。もし私の説明が足りなければ、お求めに応じまして何どきでも御説明を申し上げますから、お聞き取りを願いたいと思いますが、そういう状態でございます。御指摘の通り合理化の面におきましても、われわれは大いに努力しなければならぬと考えております。また新しい技術の導入ということについても、今後大いに検討するつもりでありますが、根本はそういうところにあるということ、また昨日来お話がございました仲裁裁定の問題にいたしましても、やはり根本は財政的にそういうみじめな状態にある、自主性が全然ないというところに、根本的な大きな問題があると私は思つておる次第でございます。
  15. 竹谷源太郎

    竹谷委員 国鉄総裁のお話によりますと、戦災復興に関する経費は、欧米では国家から出していると言つていますけれども日本でも終戦後すでに九箇年もたつのであつて、戦災復旧のための補充、改良、取替は大体完了したと思つております。なおまた外国では、政府でいろいろめんどうを見ておる、これはそうでありましようが、日本でも国有鉄道のいろいろな財産は、政府の投資になつておるので、別に金利払つておるわけではありませんし、また国税その他の負担というものは負つていないのであります。独占企業としての、また国営企業としての、非常な恩典があるわけであります。あなたはいろいろな事情の羅列をされました。しかし私がただいま御質問申し上げたのは、そういう点ではなくて、国鉄がどうしても運賃値上げをしなければベース・アップができないといつても、国民が納得しないのはどういうところに原因があるかと申しますと、国鉄がぎりぎりのりつぱな経営をやつてつて、この上は運賃を上げるほか、赤字解消の手段はないということを納得させるだけの手段をとつておらない、それだけの勉強をしておらないところに問題があると思うのでございます。今のようにいろいろな事情の羅列を伺うのは、私の目的ではないのであります。国民が国鉄経営について納得をして、それなら運賃を上げてもしかたがない、かように国民があげて承服するような、そういう経営をなして来ているか。またそうした承服されない点があるならば、こういうふうな点についてかくのごとく研究をし、かくのごとく改善をし、こうなつておるのであるから事情をよくとくと御了承の上、上げていただきたい、こういうふうに出て来なければならぬと思う。それをいきなり運賃値上げに持つて行つて、これ以外に方法はないのだというのでは、われわれはとうてい納得できない、国民大衆も納得できないと思うのであります。私は決して運輸大臣並びに国鉄総裁を攻撃するのではなくて、あなた方が今後国鉄経営をなさる上において、真に国民の一致した強力を求めるためには、これ以外の手段は私はないと思う。今運輸大臣並びに国鉄総裁の御意見を承つてみますると、いろいろ事情を述べるだけで、陳情をするだけで、何ら企業合理化の真の努力がなされておらないという判断をなさざるを得ないのでありまして、企業合理化のための具体的研究の結果が出ておるか、またいかたる具体的計画を実施しておるか、やつておること、やろうとすること、やつた結果、それを御質問申し上げておるのでございまして、それがないのではとうていわれわれは承服できない。この大きなわが国最大事業が、無計画、無定見に、しかも無研究に行われておるのでは、とうていあなた方に対してこの大事業をまかしておくことはできない、こういう感じがいたすのでございまして、運輸大臣としてこの問題に対してどういうお考えを持つておるか、運輸大臣の御答弁を伺いたい。今までやつたことがあればその結果を具体的にお示し願いたいし、具体的にやつていないならやつていない、そして将来どういうふうにやりますという覚悟のほどをぜひ伺つておきたい。これが国有鉄道の根本問題であろうと私は確信するのであります。
  16. 石井光次郎

    石井国務大臣 合理化の点は、今一般の考え方を国鉄総裁から申し上げましたが、私どもは具体的にいろいろな問題を片つぱしから、その方針に従つてつて行かなければならぬと思うておるのでございますが、たとえば今度の予算にいたしましても、たとえば雑収入に十数億の増加考えておるというようなことは、この間からのいろいろな鉄道会館問題等に関連いたしましたときも話がありまして、鉄道が持つておるいろいろなものを貸しておるのが非常に低い率である、こういうものを収入を増すという点からいたしまして、それを合理化せしめて行く。そうして適当な値段まで収入を増す、あるいは不要なものであつて、これは将来に備えておくというより、この際片づけてもいいというようなもの等もあるやに聞くのでありますが、こういうものをできるだけ処分をして行くというようなこと等が、ものの面においては考えられるのでございます。人の面におきましては、国鉄は特に人の配置その他については苦慮いたされておる。これにつきましては、私は今までも相当な配慮がすでに行われて来たと思うておるのでございます。いずれにいたしましても、今お話のありましたように、これだげのことをしておるのに、なおまだ足りないのだ。やむを得ず運賃値上げか何かしなげれはならぬということを国民全般が知つてくれるということが、非常に必要なことだと思うのでございますが、実際やられておることにつきましても、一向世間に知られていない、知らしめていない問題もあるように思うのでございます。この点につきましては、みんなが納得の行くようにいろいろなものを周知せしめるような方法を、できるだけとるようにされたが適当ではないかということで、この間からその問題等も話しておるのでございます。そういたしましてみんなが、やむを得ぬということを了承してもらうような方向に、どんな場合でも――運賃値上げ等につきましても、そういう方向に持つて行かなければならない。こういうふうに思うておるのでございます。この点は予算を組む場合にいろいろ話し合つたりいたしまして、そういうものやら、燃料費の節約でありますとかいうものが、予算の面には現われておるのでございますが、それをごらん願いたいし、またそのほかにつきましては、国鉄総裁からお答え申し上げます。
  17. 長崎惣之助

    長崎説明員 その点については、われわれは非常に口下手と申しますか、説明が下手と申しますか、そういう点はあります。これはやはり過去の日本国有鉄道のあり方の惰性でありまして、これは是正して行かなければならぬと考えております。私どもが今日喫緊の要務として考えておりますことは、第一が電化の問題でございます。電化は石炭の節約、石炭をもつと有効に使うという面におきまして、国民経済の上に非常に大きな寄与をいたすことはむろんでございますが、さらにその沿線地方の皆さんの非常な便利になる。国鉄自身の経営におきましても非常な合理化が行われる。少くとも一割程度の利益が上るという点におきまして、電化はぜひ進めたい。できるだけ多くの資金を使つて速急にやりたいということを考えております。さらにローカル線につきましては、ごらんの通り戦前に比較いたしましてまだサービスが著しく低下しております。これはディーゼル動車の導入によりましてぜひ速急に直して行きたい。あるいは安全度の今日国鉄の財産を現在の価額に直してみますと、一兆五千億くらいになります。このうち三千六百億程度のものは耐用命数が来ておるのであります。その三千六百億のうち、近々ここ三、四年の間に直さなければ危険であるというようなものが約二千億程度ございます。どうしてもこれは直さなければならぬ。この三つを総合いたしましても、ここに相当大きな資金がいるわけであります。日本の経済全般の事情からいたしまして、それがわずかに五百億程度に押えられておるということは、何としても訂正しなければならぬ。今日取替その他の経費として計上されてありますものが三百数十億でありますが、どうしても五百億程度いるのであります。それが見られない。その五百億程度に上げるためにでも、運賃値上げを私はお願いしなければならぬと思うのであります。これは取替であります。新しい投資をしてもうけるために借金をするのではなくて、すでにあるものの取替でありますから、やはり現在利用しておられる方々の御負担において背負つていただかなければならぬと思います。そういう意味におきましても、運賃値上げは私は必至であると考えます。先ほど来申し上げました物価との比較でなくて、そういう意味においても必至である。電化をやりたい、あるいはディーゼル化をやりたい、自動車鉄道との共同の上に、そしてたとえば自動車が姫路から東京まで来るというような不合理なことをやめまして、自動車鉄道が手を握り合つて日本の経済再建に努力してみたい。やはりその場合においてかかるものは資本であります。道路と鉄道との関係は、今日においてはあまり密接になつておりません。それを道路と鉄道とを密接に結びつけるためには、ここに資本がいるのであります。私どもは決してただ唯々として運賃値上げをしてひつくり返つて遊んでおるわけではないのでありまして、そういう面において何とかして資金を得たいものだ、では今日において資金をどこから持つて来るか、その手段はいろいろございましよう。しかしそれは紙の上の空論であつてはいけない。しかも運賃値上げに理論的根拠がないかと申しますならば、私は今申し上げたような理論的な根拠があると思うのであります。しかもそれが欧米各国に比較して非常に無理な要求かといえばそうではない。こういうように考えて参りますと、なるほど私が常々運賃値上げ運賃値上げと言つて、何だか安易な道を行くようにお考えになるかもしれませんが、そうではないのでありまして、これはすべて電化とか、あるいはディーゼル動車化とか、あるいは北方の幹線の強化とかいうような面に力を入れたいという一心から申し上げている次第であります。決して私どもは唯々としてひなたぼつこをしているわけではないのでありまして、運賃値上げをしていただく上におきましては、いろいろな面において国民各位の御負担にこたえなければならぬということは十分に私は考えているつもりであります。
  18. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ただいま運輸大臣並びに国鉄総裁の御答弁を聞きますと、合理化方策の断片的な陳述にとどまるものでありまして、結局周知徹底が下手なために、どうも国民の了解を得られないということでありますが、私はむしろ周知徹底せしむベきものを持つていない、かように断せざるを得ないのであります。こうして無研究、無計画、無調査ではならないのでありまして、運輸大臣国鉄経営のために国鉄経営委員会というようなものを設けて、徹底的に調査研究をし、合理化方策を立て、その上に立つて国家資金がこれだけ必要である、国家投資がこれだけ必要である、あるいは国家の助成がこれだけ必要である、運賃はどうしなければならぬということを編み出してもらいたいと思います。そうした一定の見通しある計画のもとに立つて、今後国鉄経営をなす意思ありやいなや、運輸大臣にお伺いいたしたいのであります。
  19. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは国鉄に限らない問題でございますが、公社がどういうあり方であるべきかということについていろいろ意見があるのでございまして、そのために御承知のように臨時公共企業体合理化審議会というものが近く発足をすることになつておるのでございます。そういう際において、国鉄のあり方はどうあるべきかというような問題等の際、こういう問題についてもなお研究を根本的にいたして行きたいと思つております。
  20. 竹谷源太郎

    竹谷委員 運輸大臣にもう一つお伺いしたいのでありますが、昭和二十九年度政府関係機関予算予算書の総則というものがあつて、その第十六条に給与総額が書いてあり、その但書として、この給与総額を変更する場合のことにつきまして次のように書いてあります。「この予算の基礎となつた給与準則を実施するため必要を生じた場合において、経費の流用、予備費の使用により、」云々、かように書いてございます。この予算総則の結果、公共企業体等労働関係法による仲裁裁定がありました場合、給与ベースの変更の場合は、この給与総則の制限によりまして、いかなる場合でも予算上不可能ということにならざるを得ないのでございます。そこでこの政府関係機関予算予算総則第十六条を削除するなり、あるいは削除しないしまでも、この予算の基礎となつた給与準則を実施するため必要を生じた場合のみならず、公共企業体等労働関係法による仲裁裁定実施のためにも経費の流用等ができる、こういうように、この規定の中に公共企業体等労働関係法による仲裁裁定実施のために必要を生じた場合を加えますと、公共企業体等労働関係法に基く仲裁裁定の実施が予算上可能な場合が非常にたくさん起つて来る。一々大きな紛争を起し、一々国会の審議にまたなくても、独立採算制公共企業体である、一応国家予算と独立したこの日本国有鉄道としては、仲裁裁定を尊重する場合が多々起つて来る、そこでいろいろな労使紛争がなくなることによつて国鉄経営上非常にプラスするところが多いだろうと思うのでございます。運輸大臣は、この政府関係機関予算総則第十六条を削除するか、あるいはずつと程度を低くしまして、削除しないでも公共企業体等労働関係法による仲裁裁定実施のためにも、経費の流用及び予算費の使用ができると、こういうふうに予算総則に一句加えることによつて公共企業体等労働関係法の精神を大部分生かすことができる、こういうことになるのでございますが、この予算総則の規定を変更し、あるいは規定を挿入することについて賛成であるかどうか、運輸大臣の御意見を承りたいと思います。
  21. 植田純一

    植田政府委員 ただいまお尋ねの点につきましてお答え申し上げます。ただいま御指摘の予算総則の第十六条の根本は、法律の規定に基きましてできております条項でございます。すなわち国有鉄道法におきまして、いわゆる給与の総額というものがきめられておりまして、これを越える給与準則はつくることができない、こういう建前になつておるわけであります。この原則がある限りにおきまして、この給与総額という十六条の予算総則の規定は、これを廃止するということはできない問題であろうかと思います。  なお公労法の関係におきましては、いわゆる予算上不可能な仲裁裁定ができました場合につきましては、公労法の十六条の規定がございまして、ただこの点につきましてのいろいろの解釈におきまして、国会におきましてもいろいろと議論があるのでございますが、政府といたしましては、予算上資金上不可能な仲裁裁定があり得るということで、十六条の規定ができておる、かような解釈で従来進んでおるわけでありますが、なおそういう点につきまして、公労法のいわゆる検討ということが従来から問題になつております。そういう場合により明確になるような考慮が払われるではないか、かように考えておる次第であります。
  22. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それでは今の問題はあとにまわしまして、運輸大臣予算委員会に出なければならぬということでありますから、運輸大臣に対する質問に移ります。先般国鉄労組の責任者の処分があつたのでございますが、この問題は多分去年は中央の三人だけであつたが、今度は命令を受けてただ下働きをした国鉄地方本部の人たちが十四名馘首されておるのであります。これにつきましてはおよそ国鉄総裁は、自分の部下として処分をすることは好まなかつたろうと思う。これは政府から圧迫があつてつたのではないか、それをまず第一にお伺いしたい。  次に、こうした労使の紛争が絶えないのでありますが、こうした問題を繰返さないために、将来運輸省としては国鉄に労使協議会というようなものなどを設置いたしまして、そうして労使間の紛争を円満に解決するような構想を持つていないかどうか、その点を運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  23. 石井光次郎

    石井国務大臣 国鉄の年末闘争に対しましての処分につきにまして、一般の方針につきまして、国鉄総裁から話合いがあり、それを了承したのでございますが、政府からぜひこれだけの者をやれ、ぜひこういう方法でやれというようなことを、政府側として持出したことは全然ございません。運輸省だけでなく、ほかの方面からもないはずでございます。  それから第二の点はごもつともな問題で、私どもそれを一番考えるのでございます。何とかして、同じようなことを毎年々々繰返しておつては、かんじんの仕事の上に大きな影響を求し、国民全般に非常な迷惑を及ぼす問題でありますから、これはぜひ経営者側、労務者側との間でいろいろ話をして、どういうふうな方法で仕事をうまくやつて行くかということその他につきまして、何か案をこしらえてくれぬか、そういうものをやる方針で何か考えてくれぬかということを話しております。国鉄総裁もそういう心持であるようでございます。何とかどういう形かが出て来て、同じようなことが繰返しやられないような方法ができますれば、一番望ましいことだと思つて、私は方法が何かできて来ることを期待いたしておるわけであります。
  24. 竹谷源太郎

    竹谷委員 羽田飛行場はただいま日本航空会社の国際空港ですし、また諸外国の国際航空会社がこれを使つておるので、いよいよ狭隘を告げて参つておるのでございますが、しかるに米軍がこれを相当部分使つておるので、民間航空の発達を阻害すること甚大であると思います。運輸大臣はこの羽田空港の米軍の施設を全部返還してもらうように希望されておるかどうか、またこれに対してさような努力をされるかどうか、われわれは切に米軍の返還を要望してやまないのでありますが、大臣の御意見を承りたいと思います。
  25. 石井光次郎

    石井国務大臣 羽田が国際空港になりまして、だんだん国際航空が盛んになつてつております。アメリカの方で非常に大きな部分を使われておりますことは、まことにきゆうくつを感じているから、できれば全部早く返してもらいたい。もしできないならば、われわれの方に最小限いるだけのものを返してもらいたいということで、順次そういうところまで話が進んでおるのでございます。先ごろ向うの連中と協議をいたしまして、向うも何とかして自分の方で引下り得る限りのものは引下がる、たとえば建物等についても、この建物をただよこせというだけではなしに、全体のプランを米軍の方にも見ていただいて、日本の方の側で、この建物の中のものをここに移してもらいたい、きゆうくつの建物をこうやつてわれわれの方に提供してくれればいいという、具体的なものを示してくれれば、それについてできるだけのことをしようじやないかというようなところまで参りまして、今航空局がそれについての案を考えておるわけでございます。根本は何とかしてのいてもらいたい問題でございますが、なかなかこれのかわりの場所がない。あれはアメリカの軍で使つておりますが、いわゆる空軍とまた別なものになつておりまして、どうしてもこれは別な所にほしいということになりますので、その点で全面的にのいてもらうことは今のところなかなかむずかしい状態であります。それならばそれはのいてもらうまでの間、われわれの方の使用に必要な部分をでぎるだけ多くこちらの方に提供してもらうということで、根本問題の解決を続けて相談をしながら、そういう現実に沿うた話を進めておるわけでございます。
  26. 關内正一

    ○關内委員長 臼井莊一君。
  27. 臼井莊一

    ○臼井委員 大臣予算委員会でお忙しいようでありますが、簡単に二、三お伺いしたいと思います。  造船汚職の問題については、すでに先輩の方からもいろいろお話があつたようでありますが、急に日本造船を拡充しなくちやならぬことになつたことは、昨日山口委員の御質問に対してもお答えがありましたので、その点はわれわれも同感であります。ただ急にやらざるを得なくなつてしまつたことは、占領中占領軍の方針が、日本の船舶の保有量を非常に制限している、造船も制限するということがあつたように聞いているのですが、その点について占領軍の方針などどうであつたか、もしおわかりであればお伺いしたいと思います。
  28. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は、前の方の様子はしばらく追放中でありまして、関係いたしておりませんからよく存じませんが、アメリカの占領治下におきまして、またその後講和条約等によりまして、日本の経済の自主性が回復するようになりましたころにおいても最後まで問題になつたのは、日本造船海運の問題であつたということを承知いたしております。これは某々国が、日本の経済の復興をできるだけ押えよう、延ばさせたいという一つの案であり、策であつたと私は思うのでありまして、船の発展を押えておけば、日本の貿易そのものにも非常に苦しい状態が来る、少くとも回復はおそくなるということでやつたことは事実だろうと思うのであります。ダレス氏が条約の問題に相談に来たころ、私、浪人中でありましたが会つて話をしたときも、私はこの問題を持ち出したのでありますが、日本の経済の復興という面からすれば、造船海運もぜひ自由にしなければならないということを言つてくれと話したところが、その通り努力してくれて、結果において日本が自由にやれるようになつたことは御承知通りでございます。そういうわけで抑えられておつた日本の船でも、占領中においては実際どういうふうに運航されておつたかということは、皆さんの方が御承知でありますが、たとえばタイの米を受取りに行くというのに、タイの米を受取りに行くというだけの許可が出ると、行きがけに、かりに雑貨を向うに持つてつた上方が商売になるという場合でも、某々国の反対によつてなかなかそれができないで、から船で行つてつて来るということでありましたから、運賃は二倍かかるという非常に苦しい状態を経て来たわけであります。講和会議が済みまして、その後において日本はあらゆる点から見て、どうしても船を戦前のある程度まで回復しなければならぬということで、運輸省の四箇年計画で、年三十万トン、まず外航船舶百二十万トンをできるだけ早い機会にこしらえようという案が成り立つたようなわけであると思います。
  29. 臼井莊一

    ○臼井委員 そういう占領中の制限は、ほかにも電力の問題とかいろいろあるように聞いているのであります。従つて平和条約発効後、かつて海運国というところまで行かぬでも、回復しようということは、一応われわれとしては本案に賛成した一つの理由でございますが、ただ急に馬力をかげてスピードを出してやつて行くことになると、バスの運転手がよほどしつかりしていないと、転覆したり、脱線しがちになるわけであります。そこで、この外航船舶融資利子補給及び損失補償法の成立した際に、附帯決議をいたしておつたのであります。すなわち四つのうちで、第二の「利子補給制度の強化により、海運会社は多大の助成を国家より受けることに鑑み、海運会社の自粛を図り、その企業努力をさらに強化せしめるよう政府においてこれが指導監督の遺憾なきを期すこと」。こういう附帯決議があります。さらにまた討論におきましても、本案の目的達成のため運輸大臣は、会社に対し不当な経理の是正、その他経理の改善に関する勧告及び不当な競争の排除についての必要な勧告をなし得ることになつている。会社の業務または経理の監督権を持つておるのでありますから、附帯決議案にもあるように、政府においては海運及び造船に対し、適当な指導及び監督の重大なる責任を果たすべきであると信ずると、こういうふうにつけ加えておいたのであります。ところが、ここに汚職問題が起つたということは、われわれとしても非常に遺憾に存ずるのでありますが、本案が成立いたしましてから、この趣旨にのつとつてどういう監督をし、指導をしたかについてお伺いしたいと思うのであります。
  30. 石井光次郎

    石井国務大臣 利子補給が行われるようになりまして、監査制度を設けることになつたのでございまして、私どもといたしましては、運輸省内に監査室を設けましていろいろな報告をとり、それをもととして注意を与えておるのでございます。こまかい点につきましては海運局長からお答え申し上げます。
  31. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 ただいま大臣から答弁がありましたように、海運監査室をもうけまして、船会社の経理において重要と認められる事項につきましては、あらかじめ運輸省に相談をして処置する、こういうことになつております。たとえば九月期の決算におきましても、船会社として株の対策上配当したい、こういう会社がございましたら、その決算の内容を見ました上で、その配当を思いとどまらせて、その分を償却の方にまわせるというふうな処置をとつております。それから年末の賞与等につきましても、できるだけの自粛をなさしめる、昨年に比べまして非常なる自粛ぶりを示しております。その他いろいろの会社の問題につきましては、事前に私どもの方に相談をする、従つて今後におきましては、過去において山下汽船が犯しましたような例は絶対に起らない、かように存じます。
  32. 臼井莊一

    ○臼井委員 その海運監査室というのができましたのはいつごろでございますか。
  33. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 これは定員の関係その他で非常にごたごたいたしまして、発足いたしましたのは十月の中旬からでございます。定員が新たにとれませんので、既定の定員を差繰つて実施しておる次第でございます。
  34. 臼井莊一

    ○臼井委員 その点についてあとでまた海運局長にお伺いしますが、大臣になおお伺いしたいのは、その討論の中で、会社自体も国家から非常な助成を受けておるのだから、その点を十分反省して企業合理化に努め、法の目的達成に努力しろということをつけ加えておいたのでありますが、それにもかかわらず、何かリベートというような方法行つておる、こういうように聞いておるのでありますが、そうするとあまり反有しているというふうに私は考えないのです。この点について、そういうリべ-トというものは当局ではもちろん認めていないように思うし、ことに利子補給後においてはこれはいけないというふうに言つておりますが、そうであるかどうか。さらにもしこのリベートのようなものをやる会社は、今後利子補給を停止する、こういうような断固たることに出なければ、会社としても立つかつぶれるかというような場合には、手段を選ばずやることも考えられるのですが、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  35. 石井光次郎

    石井国務大臣 前のことは私ただうわさだけで、造船界の慣習とかいろいろな話は聞いておりますが、どの程度つたかも存じません。財政資金を使うようになりましてからは、それは一切禁じておるわけでございます。かりにそういう問題がありといたしますれば、ただいまおつしやたような利子補給をどうするとか、何かの方法を講じなければならないと思つております。
  36. 臼井莊一

    ○臼井委員 その点は十分にひとつお考えいただきたい。  あと一点大臣にお伺いしたいのですが、現在の法規で造船及び船舶会社に対して、大臣の責任において監督が十分行い得るかどうか、その点をお伺いいたします。
  37. 石井光次郎

    石井国務大臣 監査室を設けまして、監査要綱をいろいろきめておるのでございますが、これをまだ完全に実施と申しますか、やりつつある途中でありますが、私どもはこの要綱が必要あれば、また今度の問題がかりに明らかになりまして、こういう点を注意すべきだ、ああいう点を監督すべきだという点があれば、今の法規の範囲内において相当厳重な監督ができるのではないか、こういうふうに思つております。そういうふうな報告その他の実地監査等の制度を強化するということは考えられると思うのでございます。
  38. 臼井莊一

    ○臼井委員 なお監督上法規的に不備だという際には、即急に今後十分監査のできるような立法措置もお考えいただいて、こういう不祥事のないように万全を期していただきたいということを特に申し添えまして、私の質問はこれで終ります。
  39. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の質問に対する竹谷委員国鉄関係の関連質問がありましたが、私は特に昨日から総裁にいろいろお尋ねをし、所見もただしておつたのであめりますが、本日総裁が国鉄の実情についていろいろ申されました。私も微力ではありますけれども、長年鉄道におつたものでありますから、今日のような経済状態の中における交通機関の運営のむずかしさ、特に不合理さというものは、私もしみじみ身をもつて体験をしておる一人でありまして、従つて総裁のおつしやることは単なる理想ではない。国としてなすべきものがなされておらない政府の責任も当然あるものと考えます。従つて私はこの点に関しては総裁にまつたく賛成であります。しかしその中で合理化面についてさらに一、二点総裁にお伺いいたしたい。それはさなきだにむずかしい交通事業の運営でありますから、これを運営するにあたつては私どもの運輸会社においても同じことでありまして、幾つかの子会社と申しますか、直接その事業経営したいのであるが、それをやればさらに収入面において鉄道を圧迫することになる、やむを得ずこれを切り離して、別の会社組織にして運営をさせてその場を一応切り抜ける。悪い言葉で言えば糊塗するということになりますが、しかし善意にとつて切り抜ける方策を立て、このようなことが非常に多角的に行われるのであります。しかしながらこれを国鉄公社で見ますると、合理化の面からいたしますとそれも一つの方法でありますが、反面注意しなければならないことは、このような事業を興しますと、たとえば公社のごとき、日通のごとき、あるいはその他の会社のごとき、国鉄との関連性においては、当然その中に納付金の契約に基きます納付期限を付したものがあるのであります。それがいわゆる交通公社の切符の納入金等にもなるのであります。ところが交通公社にいたしましても、今日のような経済状態では、従来からやつてつたそれらの単なる事業たけをもつてしてはまかなうことができなくなつたということも、昨月総裁は本委員会において明らかに御答弁なつたところでありまして、それは私は一応ごもつともと思うのであります。しかしながら、だからといつて納付金の延滞等をそのままに捨て置くということは、経営の合理的運用面からいえば、非常な支障を来すものと思うのであります。そういう点につきましては現に私どもの手元にあります交通公社の昭和二十八年三月三十一日現在の報告書によりますと、ロマンス社に投資しておりまするものはなお一億四千百万円に及んでおります。また切符の未払い未納入額に至りましては、当然これは私営等のあらゆる切符を包含しておると思いますけれども従つて国鉄に純粋に納入される金とは思いませんけれども、しかしながらその切符の取扱いました売上額の未納入金は百六十九億に及んでおると報告されております。そういたしますと、今総裁は国鉄運用に対する合理化について非常な努力をされていることを承知いたしましたが、しかしなお日通等の未納金などを合せますと、国鉄に対して非常に大きな負担をこれらの会社はかけておるのではないかというふうに考えられるのでありますが、総裁はきのうの答弁によりますと、それがだんだん改善されつつある、そして今は一箇月以上にあまり大きな遅れを見せないまでに回復しておると言われたのでありますが、どうもこの報告書から見ますと百六十九億以上もの金が、そしてまた従来から焦げついておりました一億四千百万円というこのような厖大な金がどうも総裁のきのうおつしやつた答弁のような状態には回復していないのではないかと思われますが、いかがでしようか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  40. 長崎惣之助

    長崎説明員 これは非常にさしでがましいことを私申し上げまして恐縮でありますが、昨日山口さんが申されました新聞の記事でございますが、あの新聞の記事は全然検察庁でやつておりますので、私どもが推測することもどうかと思いますけれども、あれは過去の事実についてのものじやないかと思うのであります。現に滝なにがしという者は現在は交通公社の理事ではございません。かつてはそうでありましたが、これは当時の情勢から申しまして、いろいろな損失を及ぼしたという責任を負つてやめた人であります。それだけをちよつと申し上げておきます。  重ねてのお尋ねでございますが、なるほど二十八年の三月ごろにおきましては、まだ私は延滞はあつたと思います。その後非常な努力を願いまして、二十八年の十月分からは、本来の契約の一箇月延納、一箇月後払いという姿に帰つて来ておることは事実でございます。これは数字によつて後刻お目にかけるつもりでございます。
  41. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は次に予算関係にもどりしてお伺いをいたしたいのでありますが、本年度国鉄関係予算を見ますと――きのう委員外質問質問をされておりましたが、きわめて少額でございますが、たしか東海道線の電化の完成は昭和三十年を完成の目途にされておるように私は承つたのでありますが、どうもそれが今日の予算で見ますと、所期の計画通りには参らないのではないかというふうに考えますが、総裁はいかがお考えでしようか。
  42. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほども申し上げましたように、電化は国民各位にとりましても、日本国有鉄道経営上から見ましても、非常に有利な望ましい仕事でございます。従いましてこれはぜひ所期の通り、三十年度にはどうしても東海道線の電化というものを完成したい、そういう心持でおります。しかし一方東北線等につきましても喫緊の必要がございますので、それらの準備、着手の基準と申しますか、そういうものもできるだけ早い時期にやつて行きたい。従来の電化は何と申しますか、これはおしかりを受けるかもしれませんが、御承知のように電化設備費というものがありまして、一定の計画のもとにある年度割をきめて仕事をしておつたのであります。今度は継続費というものができましたけれども、過去においては継続費というものはなかつたのでありまして、毎年々々の予算で適当に進めて行かなければならぬというようなことでありまして、非常に不安定なものでありました。これは来年度予算においては継続予算はちよつとまだできないかもしれませんけれども、少くとも三十年ごろからは継続費と、従つて工事については一定の、五箇年なり三箇年なりの計画をお示しいたしまして、皆さんの御賛同を得たい。今年はおそらくできると思いますが、今月の末ごろになりますかあるいは来月の初めごろになりますか、国鉄の長期計画の試案というようなものをお目にかけまして、いろいろ御批判を仰ぎたいと考えております。
  43. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 さらにお伺いいたしますが、ローカル線のディーゼル化の問題につきましては、前の国会におきまして、これを増強してローカル交通の強化をはかりたいということで、御計画をお示しになつたことを記憶いたしております。その後そのディーゼル化の計画がどのように進行しておるか。もう一点は、たとえば私どもの地方におきますると、福知山線等のディーゼル化の計画も承つてつたのでありまするが、それは一小地域のものにすぎませんが、しかしたとえばそういつた線はいつごろから本格的にディーゼル化することができるのか、こういつた点についてひとつその御計画を伺いたい。
  44. 長崎惣之助

    長崎説明員 ディーゼル化と申しますか、そういう計画は来年度予算におきましては、予算面は残念ながら百両ということになつております。しかし客車の取替その他の予算がございますから、客車をディーゼル動車にかえてやるという方法もございますので、所期の通り大体五箇年間に一千両のディーゼル動車をつくりたい。二十八年度の終りにおきましては、たしか五百両か三百両ぐらいになるはずであります。あと二、三箇年でディーゼル動車というものはほとんど全国に行き渡るようになるのじやないか、そうしたい、かように思つております。しかしこの時期はなるべく早い時期にして行きたい。さらにはディーゼル動車でありましても、もつと簡易な、何と申しますかバスの大きなようなものも設計、研究すべきではないか、値段の安い――今ディーゼル動車は一両千五百万円ぐらいいたしますが、そういうものを三両連結いたしますと約五千万円になりますから、これはどうもローカ