○一松定吉君 ちよつと
政府当局に伺いますがね。
裁判官の
報酬を上げるということは、これは片山内閣のときにや
つたと思うのですがね、芦田内閣でありましたか、塚崎君が
最高裁判所の長官代理として内閣に働きかけましたときに、法務大臣は
鈴木君であ
つたと思うが、
裁判官の地位というものは、よほどこれは高くしなければならない。だからむしろ国務大臣以上にその
裁判官というものの地位を高めなければいけない。我が国における
裁判官に対する信頼感の強いということは、
裁判官というものが至公至平で物事を見て判断することによ
つて、そうして
国民の利害
関係を裁断するということに権威があるのだから、その人の地位はどこまでも高めなければならん。その地位を高めるについてはつまり物質上の待遇をよくするということは勿論であるが、その他の社会上の地位もよくしなければならん。取あえず物質上の待遇をよくするということにおいて、
報酬を上げなければならんということで上
つたのでありましたが、そのときに実は国務大臣より以上に……総理大臣は別として……ということを主張したのであるが、まあこの際は国務大臣と同一待遇でよかろうということできめた。そのときに
検事総長は
裁判官よりも二級下に下げるがよろしい、こういうようなことで意見が随分闘かわされたのであるが、
検事総長一人だけは
最高裁判所の判事と同じようにしよう、一人だけは……ということで、
検事総長だけは
最高裁判所の判事と同じように即ち八万八千円ということに
なつたわけです。併しその他の
検事長、
検事正というものは高等
裁判所長官よりも、
地方裁判所所長よりも一段下げよう、こういうことでその当時にそういう手続をと
つてお
つたのでありまするが、今度これを見ると、この
次長検事というものが判事の一級官よりもこれは上げなければならん、こういうようなふうにな
つておるのですが、これは一体どういうわけなんですか。
次長検事を一級の
裁判官よりも上げる。そうして一方は七万二千円であるのに一方は七万五千円にしてやらなければならんというようなことが私にはよくわからない。このほうの一つ
説明を求めると同時に、この
検事の特級というものをこしらえてある。私どもの考えでは、
検事長は高等
裁判所の長官より一級下、
検事正は所長より一級下、普通の
検事は普通の判事より一級下、こういうふうなことによ
つて裁判官というものの地位が高まる。立派な人を
裁判官にすることができる。
国民の信頼というものが高まる。こういう
建前でこれはや
つたんだ。それは
次長検事は判事の一級よりも高くするというのは一体どういうわけなんです。又普通の
検事長よりも高くしなければならん。それは
東京には普通の
地方より
検事長の優秀なものを抜擢して
検事総長の下に次長というものを置く必要があるのだからと言うのかも知れませんよ。そうな
つて来て、而もこの
検事の特級というものがだんだんできて来て、初めはまあ全国でいわゆる指定地とかいうような所だけだというようなことで、
裁判官の一級と同じようにしてお
つたのを、今度はそれを五年以上
検事正を勤めればすぐに特級にするというようなことにな
つて来ると、判事の一級俸をと
つておるものと
検事正というものの五年以上の勤務をしたものとが同じようなことになると、折角ここに区別をつけて、そうして
裁判官の地位の向上ということに努力した精神がここに没却されることになる。これはやはり私も長い間判事も
検事もしてお
つた経験があるが、判事のほうを
優遇したほうが本当にいいのです。この点に対する一つ御意見を承わりたい。