○
説明員(
太宰博邦君) 先般の当
委員会におきまして
児童行政当面の問題と、それに対する
児童局長の
考えということについて申述べるようにお話がございましたので、
只今からその概略を申上げることにいたします。
お
手許に配りましたものの中に要
保護児童調査結果表というのがございます。これが最近の私
ども調べた
調査の速報みたいなものでございますので、この
機会に申上げておきます。
これは本年の六月一日現在で
調査いたしたものでございまして、その第一が
児童の
保護理由別の
全国推計数でございます。これは二十八年度の今回調べましたものから推定いたしますると、
保護を必要とする
児童の数が約七十四万三千人という
数字が出て参ります。
その中で一番
最後の欄の「他人の
家庭に同居ている
児童」というのは、今回
調査項目の
関係で調べなかつたのでこれが抜けております。これを三年前の
昭和二十五年度にやはり
調査いたしましたものと比較いたしますと、要
保護児童の数が当時は四十万くらいと推定されておりまするので、その数が殖えておるということを
考えさせられるものでございます。
更に次の二の「
児童の
保護方法別」というものの欄でございまするが、これはこの
調査に当りました者が大体その
児童の
状況を調べまして、これはどういうふうな
保護を必要とするかということを記したものの
集計でございます。そこに書いておるような
数字がそこに出たわけでございます。特にこの「
保育所に入所させる必要のある者」というようなものが、これは現在
保育所に入
つていないものでございますが、それがなお十八万三千人ほどおるというような
数字が出ております。零と書いてありますところは、先ほど申上げましたように、これは
調査を、
項目でそれが出ていないのでございます。
それから三番目に「
児童の
保護者別」の表がございまするが、これをみますると七十四万三千の中で大体七三%は
両親がある。次に
母親のみが一七%、父親のみが五%ということでございます。大半が親がある。親のないいわゆる
孤児と言われまするものはその次の欄の
兄姉、親戚、その他という欄でございます。案外少い
数字が出ております。
それから
最後に「
保護者の
経済状況別」が出てございます。これも
調査員の調べによつたものの
集計でございまするが、
生活保護法の
適用を受けておりまするものが約一八%強、それから
保護法の
適用を受けていないが非常に
生活が苦しいというのが二七、八%、
生活に
余裕はないが前者ほどではないというのが三六%、
生活に
余裕があるというのが一七%くらいの
数字が出ておるわけであります。これが最近私
どものほうで調べた結果でございまするので、冒頭にこれを御
説明しておく次第でございます。
その次に当面の
児童福祉の問題とそれに対しまする
児童局のと
つておりまする方針について申上げます。大体五つのグループに分けて御
説明申上げて又御
批判御教示を頂きたいと思
つております。順序不同でございますが、
最初にはこの
児童福祉のなんと申しますか、
一般児童の
福祉の
積極面を
増進するというようなことを
考えております。私この地位につきましてからずつと見ておりますると、まあ
児童問題が非常にやかましく取上げられておりまするが、
国民一般の間に、もう少し本当に
児童福祉思想というものを実践すると申しまするか、
自分たちでできるところを
一つや
つて見ようというような雰囲気がどうも我が国の
現状では足りないような感じがいたすのでございます。勿論
児童の
福祉の責任は窮極において国が背負うのでございまするが、やはり国の
仕事それ
自身では手の届かない場面がたくさんございます。特に現在国の力は問題を起しまする
孤児とか、
浮浪児とか或いは
虚弱児というような、いわゆる
問題児の
処理に殆んど手をとられておる
状況でございまして、
一般児童の
積極的福祉の
増進という点につきましてはしばしば御
批判、御指摘を受けるのでありまするが、なかなかそちらに手が廻らないというのが
現状でございます。かような点につきましても、若し
社会の
人々が
自分の
地域において、
児童の問題にほんの少しでも
関心を持
つて何らかの実行に出て頂けるならば、非常に
児童の
福祉が
推進されるのではないかというふうに
考えておる次第であります。又
問題児の
処理にいたしましても、そういう
子供がありました場合に、これをいち早く取上げて、そうしていち早く
処理するということにつきましては、やはりこれ同様、
地域社会の
人々にそういう
関心がありますれば、それが早く
措置される。その結果、その
子供の不幸は救われるということになるのじやないか、かようないろいろな面から、
地域社会の
人々の間に
児童福祉全般についての
協力と申しまするか、
自分たちでもやれるだけのものは
自分たちでや
つてやろうと、こういうふうに温い
気持が満たされて行きますることは、
ひとり児童福祉の問題に限らず、
福祉国家の
推進のためにも非常に結構だというふうに
考えております。それの道行きといたしまして、一番何人も異論のない、又どこの御
家庭でも問題を持
つておりまするところの
母子衛生という回からこれに入
つて行つたならば一番入りやすいんじやないかというような
考えから、
母子衛生を
中心とした
地域組織が自然に盛り上
つて来て、それが
充実して行くように仕向けて行きたいということを現在
考えておる次第でございます。これは昔のように天降り的に
政府から命令するというようなことでは到底効果が上りません。又
補助金を以て、
補助金に目をくらまされて、これを餌にして作り上げるということも
健実なやり方ではないと
考えておるのでございます。
全国のまあ
保健所管内に約七百五十ほどございまするが、一カ所でもいいからそういう
地域組織が盛り上るように
一つや
つてみたい。そうして
最初から大きなことを望まないで、何でもいいから
一つ仕事を取上げて、それを軌道に乗せる。その間にこの
母子衛生思想が若干でも向上いたしますれば、それを元にして又漸次
仕事の
範囲を広めて行く、当然問題は
母子衛生のみの
範囲にとどまらず、
公衆衛生全般にも及び、易に
児童福祉全般にも及び、まあ気長な話でございまするけれ
ども、そういうふうにじつくり行つたものは却
つて間違いがないんじやないかというような
気持で、これを
明年度の計画として取上げたいと
考えておる次第であります。時間がございませんが、お
手許に雑誌をお配りしていますが、今そこに私の
気持が書いてございまするので、大変恐縮でございまするが、お暇なときでも御一読頂きまして、御教示頂ければ有難いと存じておる次第であります。で、これは
財政面といたしましては、前に申しましたように、一切
補助金その他を使いません。ただこの
組織が伸びて行きますように、県の
当局の
指導、この
指導のための
経費というものを若干、一千万円ほどでございますが、
明年度に計上しておる次第でございます。そう金をかけないでやれるという見込みであります。
それから第二に、
児童の
福祉の積極的な
増進を図ります第二の
施策といたしまして、
全国に十二万五千人おりまする
児童委員について、もつと積極的にこの
児童の問題に取組んで頂くようにしたいという
考えを持
つております。勿論現在におきましても、
民生委員が
児童委員を兼ねておりまするので、
児童福祉の問題について、かような
人たちの
協力があるわけでございまするけれ
ども、なお一段とこの
人々の
協力を促すための
努力を私
どもがいたしましたならば、最近の
児童福祉思想の高ま
つておる現在でもありまするので、この
人たちの
協力がより
活機になり、それだけに
児童の
福祉の面が
推進されることかと存ずるのであります。幸いにいたしまして、この十二月に
民生委員の一
斎改選がございまするので、この
機会に、従来もそうでありましたが、
児童委員たる
使命を持
つておるのでありますから、この
使命を果せるような適当な
人々を選ぶようにということを
地方に通牒して、かような面についても働き得る、又
関心の高い人を人選してもらうように依頼しておる次第であります。すでに現在
改選になります前の
民生委員、
児童委員につきましても、先般の
全国民生委員児童委員大会におきましても、
児童福祉については我々ももつと
協力したい。何か
一つみんなで取上げてやろうという自発的な
民生委員のかたがたの
申出によりまして、
大会の
決議として、
里親制度、
職親制度を
推進すると、こういう
決議までして頂いておりまして、私
ども感激しておるのでありまするが、かようなことで、
児童委員というものを、もつとく私
どもがお願いして活動してもらいまするならば、
児童福祉の
推進ということについても、これは大きな力になるのではないか、かように
考えておる次第であります。第一の
児童福祉の積極的な
推進と申しますか、さような点については以上の二つの点で行きたいと
考えておる次第であります。
第二番目に
児童福祉行政の
効率化と申しまするか、合理的、
科学的に
国家財政の面でも
効率化を図るというようなことに力を注いで行きたいと思
つております。この問題については、当然現在の職員などに対しまする訓練というようなことにも力を入れて行くことは勿論でありまするが、そのほかにもなすべきことがたくさんあるように
考えておるのであります。今回一番大きな問題にな
つておりまするのは、
児童福祉施設の
経費、つまり
措置費の問題でございます。この
措置費の問題は特に
保育所あたりを
中心として大きな問題にな
つておるのでありまするが、この
措置費それ
自身についても私
ども従来力が足りませんのでなかなか
適正化を図ることができなかつたのでありまして、例えば
地域差というものがなくて現在
全国一本の
平均の
単価で流しておるような次第であります。かような点についても、
地域差を設けて、その
地域に応じた
措置費の
基準をきめて行きたい。それから特に
保育所ではこの
措置費が足りないという問題が現在起
つておりまするが、その足りないという面の大きな
一つの原因は、御承の
通り、
児童の
保護者から
負担できるだけ
負担せしめる、そうして
負担できない場合において初めて分けの費用でこれをみるということでありまして、その
負担できるだけ
負担せしめているかどうかということに、つまり
措置費の徴収の
基準の問題もございます。かような点が十二分に
現状に合
つていない、
全国ばらばらであるというようにも思われますので、かような点の
適正化をも図
つて行く必要があると存ずるのであります。かような点で、
措置費の
適正化ということについて力を入れて行かねばならないというように
考えております。
それからなお
効率化の問題といたしまして、
児童の
取扱の
技術を
科学的により一歩進めるという問題もあろうかと思
つております。これは、昔のように
子供に対する愛情さえあれば
児童の
福祉行政を
推進することができるのだというようなことは今日では許されなく
なつたわけでありまして、やはり
児童の
取扱については
技術についても十二分に
科学の裏打の下にこれを
推進して行かなければその実が挙らないというような
状況でございますが、この点についても力を入れて行きたい。例えば、
保育所の保母さんなどについても最近は
研究熱が非常に盛んで、
自分の職場に起
つて参りまする現象を掴まえて、そこからこれを分析し
研究して
一つの
科学的な
基準を見出すというような
努力が最近盛んにな
つて来ております。かようなことは結構なことでありますので伸ばして行きたい、又
孤児その他の
子供の
収容施設として
養護施設というものがございまするが、今日だんだん
科学的に検討してみますると、多数の
子供を
養護施設で預か
つておりますると、いわゆるホスピタリズムと申しまして、
一つの癖が出て来る。本当に
子供のためを思うならば、できるだけ
家庭に近いような環境で育てるのがいいのだというようなことが唱えられております。さよう点から
考えますると、
里親の
制度というものが普通の
家庭に代るものとしては好ましい形態であるというふうにも感じられるのでありまして、かような点から、
里親の
制度を育成して参りたい。それにはいろいろな障害がございまするが、それも片附けて、とにかくこの
制度を伸ばして行きたいというような
気持も持
つております。又
児童相談所は現在御
承知の
通り百二十カ所ほどございまするが、これも
内容がまだ極めて不備でございます。かような点についても、
内容の
充実というものも図
つて行く必要があるのではないか、かように
考えておる次第であります。
最後に
子供が大きくな
つて参ります際の
自活能力と申しまするか、
自分が現在
社会の
負担において日々を送
つておるわけでございまするが、
社会はこういう
子供たちに対して
保護する
義務があると同様に、又
子供たちも成るべく早く
社会に
負担をかける
度合を少くするということについて
協力する
義務もあろうかと
考えるのであります。かようなふうにして、
社会に御迷惑をかけているならば、成るべくその御迷惑をかける
度合を少くして、早く
社会に貢献する
立場に廻るという方面の
努力をする
義務があると、かように
考えるのであります。そのための
施策といたしまして、
職親制度というものは伸ばして行きたい。これは大きくなりました
子供が
社会に出ます。までに
技能を身に付けさして、そうして
社会に出ましたときはその
技能によ
つて自立できる、こういうふうにするという
制度でございます。この
制度もいよいよ伸ばして行きたいという
考えを持
つております。
その次に
精神薄弱児というのが最近とみに取上げられておりまするが、このいわゆる知能指数が
平均よりも以下な
子供、
段階から申しますと、魯鈍、痴愚、白痴でございますが、というような幾多の
段階がございまするが、それぞれの
段階の
子供にもできるだけ
社会に御迷惑をかける
度合を少くする、具体的に申上げますると、こういう
子供たちでも
職業として自活できるような
方法があろうではないか、人並みの事はできないにしましても、又誰かがついて面倒をみてやらなければならないにいたしましても、とにかくこういう
子供でも私
どもの
努力、
知慧の絞り方の如何によ
つて一生
社会の厄介ものとな
つて過ごすのではなしに、何らかの
意味において
職業戦線について、
社会にかける
負担を軽減する
立場に廻る、かように
考えておりまするので、これは今年度の
科学研究費によりまして、現在
職業適性に関する
研究を進めておる次第であります。それから
明年度の
予算として要求しておりまするものに
肢体不自由児の
養育措置費というものを要求しておりまするが、これは、御
承知の
肢体不自由児は、これは早く発見いたしまして、早く
措置いたしますれば、比較的それは治り易いのでありまして、
社会的生活を営むことが可能になるのでありまするが、これを放置して置きますると、漸次治りにくくなる。程度がひどくなる。そうして一層
社会の
厄介者とな
つて過さなければならなくなるわけであります。さような
意味で、早く発見して、早く治したいのでありまして、現在
肢体不自由児の
養育・
相談の
仕事はや
つておりまするが、悲しいかな、
相談の結果治さなければならないということになりました場合に、
貧困階層においてはその
経費が出ないという問題がございます。これについては
養育費をそういう
階層の
人々について
国庫において
補助するというような
措置をと
つて行きたい。そういたしますれば、この
子供達が
国庫の
補助によ
つて、早く治療を受けて、一人前にな
つて社会に貢献する
立場に廻るということと、放
つておいて
社会に一生厄介になることとの比較は、大きな差が出てくる。かように
考えております。以上のようなことで、
自活能力を附与するための自覚と申しますか、さようなことを取上げて参りたいと
考えている次第であります。
それから大きく第三の
施策といたしまして、
施設の
充実、拡充という問題でございます。第一は、現在
保育所については、非常に
全国的な
要望が強いのでございます。今年度におきましても、国の
予算に計上いたしました約十倍の申込が来ているような
状況でございます。事実その
内容を見ますると、
保育所に
子供を寄越しまする御
家庭は六五%が
両親の共稼ぎ或いは
母子世帯における
母親の
勤労のために
子供の面倒を見る人がいなくな
つて保育所に寄越すというケースが占めておりますので、いわば
保育所は
勤労者に対する
援護施設とも言うべき積極的な
使命を持
つているように感じますので、
明年度においても引続きこれを伸ばして行きたいと
考えております。又
養護施設でも、
年長の
子供については、先ほ
ども申上げましたように、早く
社会に復帰させるように、
職業能力を授けたいと
考えておりますので、それに向くように、
年長児だけを収容するような
養護施設も設けて見ては如何であろうか、かようなことでさような
年長児だけを収容するような
養護施設或いは現在不足を告げております
精神薄弱児施設肢体不自由児施設、こういうようなものを
充実して行くように
考えている次第であります。それから第二には
措置費の
内容でございますが、これはしばしばお叱りをこうむ
つているように、現在でも甚だ不十分でございまするので、これを一層
充実するように、この
単価の引上げを図
つて行きたい。それから特に
保育所につきましては、
保育所給食という問題がございまして、曾ては
ミルクは
駐留軍の好意的なあれ或いは
ララ物資というようなもので賄われて来たのでありますが、現在はこの
ミルクが
全額自分たちの
経費で賄うということにな
つております。これを半額
国家で持つようにいたしますれば、
保育所に
ミルクが安く行く、そうしてたくさんの
施設でこの
ミルクを
子供に与えることができますれば、丁度その年頃の
子供としては一番栄養の豊富な
ミルクを飲めることに相成りまするので、
保育所給食という問題について力を入れて行く、このために
保育所給食法ということを現在制定しては如何かというので
考えている次第でございます。なお先般
通りました、
私設社会事業振興会によりまして、
私設社会事業の
内容、設備というものの改善にも更に力を入れて行きたい、かように
考えている次第でございます。
それから大きな第四といたしまして
母子福祉対策でございまするが、現在
母子福祉につきましては
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律、あれが
中心となりまして、その他
戦没者遺族については恩給、或いは
戦傷病者遺族等援護法というようなことで
措置がとられて、おります。その他税法などにおいても
軽減措置というような一連の
措置がとられております。
差当り現在の
段階におきましては、
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律を早く円満に行政化したいという念願を持
つているのでありまして、差当
つては
地方からの
要望を聞いて見ますと、
資金の
貸付に伴うところの
事務費が非常に不足しているという話でございますので、この
事務費を何とかして十分に賄
つてやりたいというので、この
事務費について
財政当局に要求している次第でございます。
なお
母子福祉対策ではございませんが、これと関連して、
施設の
孤児が片親のない場合においては、
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律で就学の途が開かれております。
両親のない
子供たちには
高等教育を受ける途が、現在事実上開かれておりません。これを何とかしてくれという
要望がございまするので、これも何とかして実現したいというふうに
考えている次第でございます。
それから第五番目の問題といたしましては、これはまあ当面の問題でございまするが、
一つはいわゆる
基地の
児童福祉対策でございます。これは前にも一度あらまし申上げたこともあろうかと存じまするが、大体現在六百三十カ所ほど大きな
基地が、まとまつた
基地が
全国にあるわけであります。さような
基地におきまして、しばしば
児童の
福祉にと
つて弊害のあるような
事件が起きている。この
児童を護るためにどうしたらいいかということが大きな問題にな
つているわけであります。私
どもといたしましてはこの前も申上げましたように、先ずその対象をいろいろ分類いたしまして、
子供に対する
施策といたしましては、
子供の
遊び場所或いは一緒に集ま
つて大人が
指導するに適当な
児童館というような
施設、或いは小さな
子供については
保育所というようなものを
充実して、それを
中心にしてその辺の
子供たちの
福祉を図
つて行くというような
施策を講じたい。第二には
基地の附近のいわゆる
成人層の
人たちには十分に
児童福祉思想を啓蒙して、
自分たちの
子供を護るのだということを彼等に十分に認識させる、そうしてそれによ
つてこの
児童の
福祉を損わぬように気を付けてもらう、こういうようなことを
考えております。又
駐留軍に対しましてもこの
施策に
協力してもらうようにというので、この夏でございましたか、
日米行政委員会の
分科会としての
基地の
行政協議会というものを、問題の起きそうな各
基地に設置させることにいたしました。そこでいろいろな風紀の問題その他の問題と合せて、
児童の
福祉の問題をとり上げてもらうように
措置いたした次第でございます。又いわゆる特殊の婦人というものにつきましても、これはむづかしいとは思いますけれ
ども、極力そういうところから足を洗うように、又少くとも
児童に対する悪影響を防止することには
協力して貰うというような趣旨で
地方に通牒を流してや
つてもら
つておる次第であります。
予算面からいたしますると、私
どもといたしましては、
子供の
施設関係にいろいろ
経費がかか
つておると思いますので、
明年度において約一億三千万ほど要求しておる次第であります。
保育所については、本年すでに手持の
予算で、一億七千万円の、すでに一番問題の起きておりまするところに、二十カ所ほどになると思いますが、設置せしめるように手配をいたしておるわけであります。かようなことで
基地の周辺の
児童の
福祉を更に
推進して行きたいと
考えております。
第二に当面の問題といたしまして、いわゆる
冷害対策でございますが、
冷害地の
児童の
福祉の問題につきましては、特に問題と
考えられまするものが二つございます。
一つは
身売り防止の問題でありましよう。これは大体
貧困なる
地方においてはあえて
冷害のときと言わず、かような問題が起
つておりまするので、昨年
厚生次官通知で以て
児童の
人身売買事件の
対策というものを
作つて、
地方に流しておるのでありまするが、今回
冷害は起
つて参りますると特にこういう問題も起
つて来るじやないか、幸いにいたしまして、
只今のところ、まだ本格的にな
つておりませんので、いち早くこれに対するところを手を打つようにしておるのでございまして、大体
農業土木とか、或いは
失業救済事業とかいうような、或いは直接
営農資金の
貸付、それから
共済保険の支払いを促進するとかいうようなことによ
つて、その
被害農家に何らかの形で
職業を与える。現金を得させるというようなことをいたしますと共に、
貧困な
家庭については
生活の
保護法の
適用によ
つて、その
生活を救うという
措置を講じますと同時に、この
児童委員あたりを
中心にして、
関係のものが
協力して
児童の人権を尊重するという思想を、そういう問題の起きそうなところに、重点的に啓発、喧伝をするということを、手を打たせておるわけでございまして、次の第二の
冷害対策について問題と
考えられますのは、いわゆる親たちが土木事業、開拓事業或いは炭焼きなどに出ました場合に、残つた
子供の問題でございます。即ち
保育所の問題でございます。これは明年でき秋までの問題でありまするので、臨時
保育所という形でこれを見て行きたい。大体私設
保育所に準ずるようなものでございます。学校でもお寺でも、又村の公民館でもいい、こういう既設の建物などを利用して、簡易に
保育所を設置させるという、そういう場合において、その保母さんの
経費について、国が扶助する、既設
保育所と大体似たようなことになるのでありまするが、ただ今回は町村が非常に痛められておるだろうと
考えられますので、
国庫補助率を三分の一から二分の一に引上げ、県費で以て四分の一を出させ、自己
負担分を四分の一ということにいたしたい、かように
考えておるわけであります。大体減収率の非常に高いところを掴まえまして、まあ目の子でありまするが約二千カ所ほど、
児童にいたしまして二十万人くらいのものをこれによ
つて救済したいというような
考えを持
つております。同時にさような
保育所に参りまする
子供がひよつとすると弁当などを持
つて来ないこともあるのじやないかということが予想されるわけであります。すでに学校などについては欠食
児童ということがうるさく叫ばれております。
保育所についてもさような問題も起きる虞れがございまするので、さような点については、やはりこの分けの
立場で以て食事を与えてやるというような必要もあろうかと思いますので、差当
つては農林省に話してこのパンを一個づつやれるようにこれは大体二分の一の
単価でわける、こういうことになると存じますが、かようなことをしてやりたいということを交渉中でございます。又他のユニセフにおきましてもこの
冷害地の
児童には何らかの応援をしてもらう。つまり
ミルクをやはり支給してもらうということで、これも現在向うと折衝中でございます。かようなことにいたしまして、
冷害地の
児童につきましても、私
ども現在
考えておりますところは以上のような点を実施して行きたい、かように
考えているわけでございます。大変簡単で恐縮でございましたが、
差当り私
どもの
考えておりますところを申上げ、後又御質問に応じてお答え申上げたいと思います。